説明

集合型自動車運転模擬装置

【課題】種々の属性を持つ対象者ごとにそれぞれ最適な教習プログラムを課し、運転・操作の教育・訓練を同時に行えるようにする。
【解決手段】複数の模擬運転席が1つの中央制御装置に接続され、それぞれの模擬運転席にそれぞれの運転者が搭乗して模擬運転操作を行う集合型自動車運転模擬装置において、中央制御装置から任意の前記模擬運転席が任意の教習プログラムをダウンロードし、前記それぞれの模擬運転席ごとに、ダウンロードされた前記それぞれの教習プログラムを使って模擬運転操作を行うことにより、前記それぞれの模擬運転席ごとに異なった模擬運転操作を同時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転及び走行を模擬する自動車運転模擬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転・走行の教育・訓練のために、運転及び走行を模擬する自動車運転模擬装置が用いられる。
自動車教習所などでは、こういった教育・訓練を一度に複数の対象者に行うために、複数の模擬運転席を設けている。これら模擬運転席がネットワークに接続され、さらに教官が操作する中央制御装置が、ネットワークを介して各模擬運転席に接続されている。教官は中央制御装置から、各模擬運転席に教習プログラムをダウンロードし、このプログラムを実行して、各運転者は教育・訓練を受ける。教官はさらに各運転席をモニタし、必要に応じて運転者に指示を出したり、具体的な指導をすることにより、教育・訓練を効果的に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−235299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こういった教育・訓練を受ける対象者は、年齢、性別、性格、運転技術や習熟度において千差万別であり、各対象者に対しそれぞれに最適な教育プログラムを使って効果的な教育・訓練を行うことが必要である。例えば年齢が比較的若く運転技量に自信があるが、性格がせっかちな対象者(対象者A)に対しては、自信過剰で自分本位の運転から来る危険を防止し、交通の秩序や他人への思いやり運転といった方向に導く教育や指導が必要である。また高齢で身体の運動能力や反射感覚に衰えの目立つ対象者(対象者B)には、こういった衰えを前提としてより慎重な安全運転を心掛けるような、教育や指導が必要である。
【0005】
しかしながら、従来の集合型自動車運転模擬装置は、こういった対象者の属性に関係なく、単一の教習プログラムを全員に課して同じメニューでの教育・訓練を行うものであり、各対象者の能力、適正、技量、性格に合わせて、効果的な安全運転や運転技能の向上の教育・訓練を行うものではなかった。従って例えば「対象者A」向けの教育プログラム(Aプログラム)を実行しているときは、「対象者B」は運転席に座ってたとえそのAプログラムを実行したとしても運動能力や反射感覚の衰えのため追従できないか、または座ったまま待機せざるを得ないことになる。「対象者B」向けの教習プログラムの場合はこれとは逆の現象となる。このことから、対象者の種々の属性に適した教習プログラムをそれぞれの対象者に課して、各対象者に対する自動車の運転・操作の教育・訓練が、同時に行える集合型自動車運転模擬装置が待たれていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、種々の属性を持つ対象者ごとにそれぞれ最適な教習プログラムを課して、これら対象者に対して、自動車の運転・走行の教育・訓練を同時に行えるところの、集合型自動車運転模擬装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の模擬運転席が1つの中央制御装置に接続され、前記それぞれの模擬運転席にそれぞれの運転者が搭乗して模擬運転操作を行う集合型自動車運転模擬装置において、前記中央制御装置から任意の前記模擬運転席が任意の教習プログラムをダウンロードし、前記それぞれの模擬運転席ごとに、ダウンロードされた前記それぞれの教習プログラムを使って模擬運転操作を行うことにより、前記それぞれの模擬運転席ごとに異なった模擬運転操作を同時に行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対象者の種々の属性に適した教習プログラムをそれぞれの対象者に課して、各対象者に対する自動車の運転・操作の教育・訓練が、同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による集合型自動車運転模擬装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明を実施する形態を実施例として以下に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明装置の1実施例の機能ブロック図であり、10i(i=11〜26)は模擬運転席、102は中央制御装置、201は教習プログラム1、202は教習プログラム2、203は教習プログラム3、204は教習プログラム4、…である。模擬運転席10i、中央制御装置102はネットワークで接続され、教習プログラム20j(j=1,2…)は中央制御装置102が備える記憶手段1022に格納されている。模擬運転席10iは教室の広さに応じて複数台備え、各運転席にはテレビジョン画像のモニタ、自動車模擬運転のためのハンドル、ブレーキ、アクセル等の操作器械、コンピュータを備える。模擬運転席10iのコンピュータは中央制御装置102からダウンロードされた教習プログラム20jによる画像を表示するための画像と操作器械の操作状態応じた自動車窓外の画像とその変化画像を生成する画像生成をしてモニタに表示させる。
模擬運転席10iには、コード入力手段Rを備える。各教習生は、模擬運転席10iにおいて、各個人の教習生番号をテンキー入力によりまたは受講生カードに記憶された教習生番号を読み取らせ入力する。中央制御装置102には、各教習生番号ごとに教習生ごとの属性すなわち年齢、性別、性格、運転技術や習熟度の経歴が記録されている。属性の各要素を所定の式に当てはめ、結果である属性を示す値はいずれかの教習プログラムに対応される。従って、教習生番号は属性を介して教習プログラムと関連づけられている。
模擬運転席10iにおいて教習番号が入力されると、中央制御装置102当該入力された教習番号から属性を読み出し、属性に応じた教習プログラムkを読み出し、模擬運転席10iのコンピュータが備える記憶手段にダウンロードする。
【0012】
例えば、ある模擬運転席では、その運転席に座った運転者の属性から、年齢が比較的若く運転技量に自信があるが、性格がせっかちな対象者に対して、自信過剰で自分本位の運転からくる危険を防止し、交通の秩序や他人への思いやり運転といった教習プログラムCで教育や指導を行う。また、別の運転席運転席では、その運転席に座った運転者の属性から、高齢で身体の運動能力や反射感覚に衰えの目立つ対象者に対して、このような衰えを前提としてより慎重な安全運転を心掛けるといった教習プログラムDで、教育や指導を行う。他の模擬運転席においても、その運転席に座った運転者の属性に合わせて、例えばご婦人に特有の運転傾向に適した教習プログラムEで教育や指導を行うとか、長期間運転から遠ざかっていたいわゆるペーパードライバーが運転感覚を思い出し、運転に復帰するのを助けるための教習プログラムで教育や指導を行うとかといったように、それぞれの模擬運転席ごとに、その席に座った運転者に最適な教習プログラムFを使って、同時に教育・訓練が行える。その回の教習が終了すると、属性の各要素に該当する項目について変化、向上または問題点があるとその旨に記録更新する。
以上説明したように、本発明によれば、種々の属性を持つ対象者ごとに、それぞれ最適な教習プログラムを課して、これら対象者に対して、自動車の運転・走行の教育・訓練を同時に行える集合型自動車運転模擬装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0013】
10i 模擬運転席
102 中央制御装置
201 教習プログラム1
202 教習プログラム2
203 教習プログラム3
204 教習プログラム4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の模擬運転席が1つの中央制御装置に接続され、前記それぞれの模擬運転席にそれぞれの運転者が搭乗して模擬運転操作を行う集合型自動車運転模擬装置において、
前記中央制御装置から任意の前記模擬運転席が任意の教習プログラムをダウンロードし、
前記それぞれの模擬運転席ごとに、ダウンロードされた前記それぞれの教習プログラムを使って模擬運転操作を行うことにより、前記それぞれの模擬運転席ごとに異なった模擬運転操作を同時に行うことを特徴とする集合型自動車運転模擬装置。



【図1】
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【公開番号】特開2013−114240(P2013−114240A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263259(P2011−263259)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000176730)三菱プレシジョン株式会社 (97)