説明

集塵システム

室内用の集塵システムには、気流を発生させる室内機を有する空気調和装置と、集塵装置と、室内機からの気流を制御する制御手段が設けられている。また、人やペット、掃除ロボット等の動作物を検出する動作物検出手段も設けられている。室内機からの気流は、塵埃発生位置を経由して集塵装置に届くように、室内機の位置と動作物検出手段で検知した塵埃発生位置と集塵装置の位置に基づいて、制御手段により制御され、塵埃を効率よく集塵装置で吸引できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の清浄化を行う集塵システムに関し、特に空気調和装置からの気流を集塵装置に搬送することにより、効率良く集塵を行えるように気流を制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集塵システムとして、室内に空気調和装置に代表される温度調節装置と、集塵装置の一例である空気清浄装置が連携して動作するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の集塵システムでは、温度調節装置(以下、「空気調和装置」という。)に備えられた汚れセンサの信号が、通信手段により空気清浄機(以下、「集塵装置」という。)に送信され、この汚れセンサの信号を元にして集塵装置の運転を開始するといった連携動作を行う例が示されている。
【0004】
これにより、集塵装置が設置される床面付近の高さでの汚れセンサ情報に加えて、通常室内のエアコンが設置されている高い位置での汚れセンサ情報をも取得でき、高さの異なる場所での汚れ具合を検知して動作を開始することができるものである。
【0005】
【特許文献1】特開2008−267795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成は、二つの汚れセンサの情報を使用して、広い高さ範囲での汚れ具合を検知して集塵装置の運転タイミングを制御することはできるが、空気調和装置の気流方向を制御して、人の動きや扉の開閉、その他掃除ロボットなどの動作物の動作により発生した塵埃を集塵装置で効率的に集塵することはできない。
【0007】
加えて、人などの動作により塵埃が舞上がった塵埃発生場所に向けて闇雲に送風する風向制御の方法では、人の動作などの動作物により発生した塵埃が空気調和装置による送風で風下方向に移動させるものの、送風が壁などに当ると風向を変えて下降気流となって塵埃の落下を促進する結果となり、集塵効率をより悪化させる場合もあることがあった。
【0008】
このように、空気調和装置と、人などの動作物の存在場所である塵埃の発生場所、集塵装置の3者の位置を考慮して送風方向を制御しないと、却って集塵効率を悪化させる結果になるという課題があった。
【0009】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、気流を発生させる空気調和装置の室内機の位置と、動作物検出手段で検出した人の位置などの塵埃発生位置と、集塵装置の位置を考慮して送風方向の制御を行うことにより、人の動作などにより発生した塵埃を、より効率よく集塵装置で吸引できうるようにする室内用の集塵システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る集塵システムは、気流を発生させる送風手段と、前記送風手段の風向制御を行う風向制御手段とを備えた室内機と、動作に伴い塵埃を発生させる動作物を検知して前記室内機に通知する動作物検出手段を有した空気調和装置と、排気によって室内に気流を発生させると共に吸引により前記室内の気流に乗って移動する塵埃を回収する集塵手段を備えた集塵装置とを備え、前記風向制御手段は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置の略近傍に送風を行うようになっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気調和装置からの気流が、人の動作などにより発生した塵埃を集塵装置の略近傍に運ぶことにより、より効率的に集塵して除去することができるものである。これによって、集塵システムは室内全体の塵埃を一層効率良く確実に除去することが出来るため、室内の快適性をより高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る室内用集塵システムの設置された室内の略上視図及び送風方向の一例を示す図
【図2】本発明に係る室内用集塵システムの設置された室内の略上視図及び別の送風方向の一例を示す図
【図3】室内用集塵システムのブロック図
【図4】室内用集塵システムの動作を示すフローチャート
【図5】室内用集塵システムにおいて空気調和装置、集塵装置の配置情報を指定する方法の一例を示す室内の上視図
【図6】空気調和装置の風向を決定する風向決定テーブルの一例を示す図
【図7】室内用集塵システムの経路中に遮蔽物がある場合の一例を示す略上視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、室内機を有する空気調和装置と集塵装置を備えた室内用集塵システムであって、室内機は、気流を発生させる送風手段と、前記送風手段の風向制御を行う風向制御手段とを備え、集塵装置は、排気によって室内に気流を発生させると共に吸引により前記室内の気流に乗って移動する塵埃を回収する集塵手段を備えている。空気調和装置はまた、動作に伴い塵埃を発生させる動作物を検知して前記室内機に通知する動作物検出手段を有し、前記風向制御手段は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置の略近傍に送風を行う。
【0014】
この構成により、空気調和装置からの気流が、人の動作で発生した塵埃を集塵装置の略近傍に運ぶことにより、より効率的に集塵して除去することができる集塵システムを実現できる。
【0015】
また、前記室内機は遮蔽物検出手段を備え、前記風向制御手段は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置の略近傍に送風を行う送風経路中に、前記遮蔽物検出手段が遮蔽物を検出した場合には、壁もしくは家具面伝いに送風方向を変向させて前記集塵装置の略近傍に送風を行う。上記により、部屋内の家具などのレイアウトに制限されず、より効率的に集塵の行える集塵システムを実現できる。
【0016】
また、前記動作物検出手段は、人体からの赤外線を検出する人感センサで構成され、前記人感センサで検出した物体の動作位置を前記塵埃発生位置とする。上記により、塵埃発生の主原因となる人の衣類からの発塵や、人の身動きなどにより発生する塵埃を、より効率的に集塵の行える集塵システムを実現する。
【0017】
また、前記動作物検出手段は、超音波を発信しその反射波を検出する超音波センサで構成され、前記超音波センサで検出した物体の動作位置を前記塵埃発生位置とする。上記により、掃除ロボットの移動や扉の開閉など、塵埃を発生させる動作物を、人やペットなど赤外線を発する動作物に係わらず検知することが可能となり、より効果的に集塵の行える集塵システムを実現する。
【0018】
また、前記遮蔽物検出手段は、超音波の発射方向を変更すると共に各発射方向ごとの反射に要した時間を計測して遮蔽物の存在を検出する。上記により、遮蔽物を正確に検出でき、より効果的な送風経路を決定できる集塵システムを実現できる。
【0019】
また、前記風向制御手段は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置の略近傍に送風を行えない場合は、前記送風手段の送風を行わない、上記により、適切な送風方向が存在しない場合には、無駄に送風を行って集塵効果を妨げることのない動作ができうるような集塵システムを実現できる。
【0020】
また、前記送風手段の送風時間は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置の略近傍に送風を行う経路長に基づいて決定される、上記により、集塵効果の改善のみならず消費電力の面でも、最も効率のよい集塵が行える集塵システムが実現できる。
【0021】
また、前記集塵装置は、塵埃の吸引量を検出する塵埃センサ手段をさらに備え、前記送風手段の送風時間は、前記塵埃センサ手段の検出値の時間変化に基づいて決定される。上記により、集塵効果の改善のみならず消費電力の面でも、最も効率のよい集塵が行える集塵システムが実現できる。
【0022】
また、本発明の他の態様は、気流を発生させる送風手段と、前記送風手段の風向制御を行う風向制御手段と、を備えた室内機と、動作に伴い塵埃を発生させる動作物を検知して前記室内機に通知する動作物検出手段を有した空気調和装置に対し、前記室内機を遠隔操作するリモコン装置と同一形式の電文を送受信して前記室内機を制御する通信手段と、排気によって室内に気流を発生させると共に吸引により前記室内の気流に乗って移動する塵埃を回収する集塵手段と、前記通信手段により、前記室内機の前記風向制御手段が前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置の略近傍に送風を行うように制御する制御手段を備えている。
【0023】
上記により、空気調和装置からの気流が、人の動作で発生した塵埃を集塵装置の略近傍に運ぶことにより、より効率的に集塵して除去することができる集塵システムを実現できる。
【0024】
本発明はまた、上記室内用集塵システム、又は上記集塵装置を制御するコンピュータに実装させるためのプログラムである。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る室内用集塵システムの設置された室内の略上視図の一例を示すものである。
【0026】
図1に示されるように、室内用集塵システムは、壁面13近傍に配置された集塵装置1と、壁面13に対向する壁面に設定された空気調和装置の室内機2を備えている。また、室内には家具の一例として、ラック4、タンス5及びテーブル6が設置されている。本実施の形態では、塵埃を発生させる動作物の一例として人3の位置を塵埃発生位置とする例を示す。すなわち、人3の動作によって人の衣服に付着していた塵埃や衣服自体の繊維からの発塵や、人の動作により床や家具に堆積していた塵埃が舞い上がることになる。従って、人3の動作を検出する構成として、室内機2には、動作物検出手段の一例である、人の発する赤外線により人を感知する人感センサ手段7を設置する。塵埃発生位置検知手段は、図1のように室内機2に一体構成であっても、別体であっても構わない。更に、今後はネットワーク家電として、通信手段を備え、他のネットワーク家電と情報の交換が可能な機器の普及も予測されるため、照明器具に付設の人感センサなどと通信してセンサ情報を入力するといった方法でも構わない。
【0027】
なお、塵埃を発生する動作物としては、人以外にも、ペットなどの動物や、ドアや扉の開閉動作、掃除ロボットなど機器類なども考えられる。従って、超音波センサやレーザなど対象物との距離を計測する測距センサを用いて動作物検出手段を構成すれば、人やペットなどの熱赤外線を検出する人感センサでは検出できない動作物を検出でき有効なものである。
【0028】
図1の人感センサ手段7では、一例として複数(例えば、3個)の人感センサにより構成され、楕円の破線8、9、10で示す範囲は、3個の人感センサそれぞれの検出範囲を可視的に示したものであり、それぞれの破線内に人が侵入した際に対応する人感センサが信号を出力する。
【0029】
この際、複数の検出範囲が重なる箇所に人が存在した場合には、複数の人感センサが信号を出力する。例えば、一例として、人3がテーブル6の室内機2側の破線8、9、10が重なるエリアに立った場合には、3個の人感センサが信号を出力し、人感センサ手段7は、人3がこのテーブル6の室内機2側に存在すると判定することになる。
【0030】
図1において、室内機2からの気流12は網掛けブロック矢印で示されており、人3は検出領域10に居るので、室内機2に向かって一番右側(図1の上側)の人感センサのみ信号を出力する。これにより、人感センサ手段7は、人3がラック4の周辺に存在すると判定することになる。
【0031】
以下、本発明に係る気流12の制御方法を、図2に示される周知例と比較して説明する。
【0032】
本発明によれば、人感センサ手段7で検出した人3の略在場所であるテーブル6付近を経由し、集塵装置1に向かうように気流12は制御されるのに対し、図2の例では、矢印14で示される室内機2からの気流は人感センサ手段7で検出した方向に向かうように制御される。
【0033】
本発明では、室内機2で発生した気流12は、人3を経由して集塵装置1に向かって運ばれるので、人3の動作により巻き上がる塵埃は集塵装置1に運ばれる。加えて、従来公知のように、図1の気流12は、壁11,13に沿って流れ、風速を落とさずに壁沿いに風向が変更される。したがって、本発明に係る集塵システムは、人3の動作により発生した塵埃を効果的に集塵装置1の略近辺に運び、集塵装置1の吸引により集塵ができる。
【0034】
一方、図2に示される例では、室内機2からの気流14は、人感センサ手段7が検出した場所に直接送風され、人3の動作により発生した塵埃は気流14により人3の後方の壁13に運ばれ、壁13に当ると風向を変えて下降気流となって集塵装置1に届くことなく落下する割合が多くなる。この場合、集塵効率は、室内機2からの送風により、室内機2から送風しない場合に比べても、却って悪くなり、この結果は本発明の発明者らの実験の結果とも一致している。
【0035】
従って、本発明に示すように、図1の如く、人感センサ手段7で検出した場所を経由して集塵装置1に向かうような気流を生じるように、室内機2の風向を制御して気流を起こす制御を行うことが重要であり、これにより人の動作により発生する塵埃をより確実に集塵装置1で集塵することが実現できうるものである。
【0036】
以下、図3のブロック図、図4の動作フロー図を用いて、本発明に係る集塵システムの動作を説明する。図3のブロック図は、空気調和装置の室内機2のブロック図と集塵装置1のブロック図の2つを示している。
【0037】
図3に示されるように、室内機2は、室内機2全体を制御する制御手段21と、気流を発生させるファンのような送風手段23と、送風手段23の風口部に設置した左右羽根及び上下羽根を稼動させて、送風手段から送風の風向制御を行う風向制御手段20と、室内の人の存在範囲を検出して制御手段21に入力する人感センサ手段7と、集塵装置2と無線通信を行う通信手段19を備える。通信手段19の通信方式は、空気調和装置が一般的に備える赤外線通信方式であっても良いし、今後空気調和装置などへの普及も考えられる電波による通信方式のものや、その他の方式であっても構わない。
【0038】
また、集塵装置1は、集塵装置1の全体を制御する制御手段17と、制御手段17からの制御により室内に排気によって気流を発生させると共に吸引により室内の気流に乗って移動する塵埃を回収する集塵手段18と、室内機2と無線通信を行う通信手段16を備える。各制御手段17、21は、マイコン及びその周辺回路で構成する。
【0039】
集塵装置1及び室内機2の動作フローを示す図4のフローチャートに示されるように、ステップS24で室内機2の制御手段21は通電されて動作を開始し、ステップS30で集塵装置1の制御手段17は通電されて動作を開始する。室内機2では、ステップS25に進み、人感センサ手段7で人が検出されるまで検出を続ける。
【0040】
ステップS25で、人感センサ手段7により人が検出されると、ステップS26で室内での略在位置を判定した検出エリア情報を含んだ電文を通信手段19により、集塵装置1に送信する。
【0041】
一方、集塵装置1では、ステップS30で制御手段17の動作が開始されると、検出エリア情報を含んだ電文が到着するまで制御手段17は待ち受ける。室内機2のステップS26で送信された電文が、集塵装置1の通信手段16で受信されると、すなわちステップS31での判定がYESの場合は、ステップS32で排気及び塵埃を吸引するファン等の集塵手段18を動作させる。続いて、ステップS33で、受信した人の存在位置を示す検出エリア情報を元に、室内機2の送風方向と送風時間を決定する。この際には、集塵装置1と室内機2との位置と検出エリア情報から予め最適な風向を決定したテーブル情報を記憶させておき、このテーブル情報を参照する事で送風方向を決定する。このテーブル情報の詳細については、後述する。
【0042】
ステップS34では、決定した送風方向情報を含んだ送風方向制御電文を通信手段16により室内機2に送信する。
【0043】
代わって、室内機2では、ステップS27に進んで送風方向制御電文が、集塵装置1から送信されるのを待ち受ける。送風方向制御電文が集塵装置1から送信されなければ、ステップS27を継続し、集塵装置1からの送風方向制御電文を室内機2が受信すると(ステップS27がYESの場合)、ステップS28に進んで、制御手段21により送風手段23及び風向制御手段20を制御して、送風方向制御電文の内容に従った方向への送風を開始する。
【0044】
一方、集塵装置1は、ステップS34で送風方向制御電文を送信すると、ステップS33で決定した送風時間の経過をステップS35でカウントする。送風時間が経過すると(ステップS35がYESの場合)、ステップS36に進んで通信手段16により送風停止電文を室内機2に送信し、続いてステップS37に進んで集塵手段18の集塵動作を停止し、再びステップS31に戻って新たな検出エリア情報が受信されるのを制御手段17は待ち受ける。
【0045】
室内機2は、ステップS28で送風運転を開始すると、ステップS29に進んで送風停止電文を受信したかどうかを判定する。送風停止電文を受信すると(ステップS29がYESの場合)、ステップS38に進んで、送風手段23による送風運転を停止し、再びステップS25に戻って、人感センサ手段7により新たな信号を検出したかどうか判定する。
【0046】
なお、図4の動作フロー図では、タイムアウトについては省略して図示していないが、各判定ステップ(例えば、ステップS27、S29)において一定時間のタイマを設けておき、タイムアウト時間が経過しても電文が到着しない場合は、各手段の動作を停止して初期状態(例えば、ステップS25)に戻るようにしておく方法が有効である。
【0047】
次に、図5と図6を用いて送風方向を決定するテーブル情報の一例について説明する。図5は、集塵装置1と室内機2を設置した部屋の上視図の一例であり、家具などは図示を省略している。例えば、図5に示すように便宜的に部屋内を、横4区画I,II,III,IV、縦3区画A,B,Cに分割して区画名を命名する場合には、図5では、室内機2は区画A−I位置にI→IVの方向向きに設置されていることとなる。また、集塵装置1は、C−IVの位置に正面IV→Iの向きに設置されていることとなる。
【0048】
図6は、送風方向を決定するテーブル情報である風向決定テーブル情報の一例であり、室内機2の人感センサ手段7を、図1、2に例示したように、3つの人感センサで構成した場合を示している。図6の風向決定デーブルの前4列は、図5に示した室内機2の位置と向き、集塵装置1の位置と向きを示し、人感センサの列は人感センサが人を検知している場合はON、検知していない場合はOFFを示している。最後の列は、室内機2の送風すべき風向を示している。なお、4行目以降は、記載を省略している。
【0049】
例えば、図6の3行目は、図1の場合に相当する場合を示しており、図1のように人3がラック4の前に居る場合は、人感センサの検出エリア10のみの内側に居るため、第1及び第2の人感センサはOFF信号を、第3の人感センサはON信号を出力する。この場合には、図6の3行目の風向欄に示すように「左」、すなわち図1の網点ブロック矢印12の方向に風向制御すべきことを示している。
【0050】
なお、図5では、室内を12(4×3)の区画に分割したが、この分割数以外であっても構わないし、人感センサの数も室内機2の人感センサ手段7を構成する人感センサの数に応じて増減すべきものである。また、図6の風向決定テーブル情報は、風向を決定するテーブルの参照方法の一例を示すイメージであり、集塵装置1の制御手段17に記憶されるが、制御手段17に記憶することなく、室内機2や集塵装置1の位置情報はディップスイッチの信号として入力する方法でも構わないし、室内機2や集塵装置1の配置が決まってから必要なテーブル部分のみを通信手段16や外部記憶メディアを介して制御手段17に記憶させるといった方法でももちろん構わない。
【0051】
続いて、送風機2から人感センサ手段7で検出した場所を経由して集塵装置2に、最短経路で送風する経路上に家具などの遮蔽物があり、送風が行えない場合の例について説明する。
【0052】
図7は、図1と図2と同じく室内機2と集塵装置1を設置した部屋の別の一例を示す上視図である。図1、図2とは、室内機2が超音波センサ40を備える点、集塵装置1の設置位置が異なる点、室内機2と集塵装置1との間にタンス24を設置している点が異なっているものである。図7の例では、超音波センサ40は室内の遮蔽物を検出する遮蔽物検出手段として採用されており、超音波を送信し、その反射波を検出する。超音波センサ40は、超音波の放出方向を変えるようなスキャンメカニズムを持った構成でも構わないし、いくつかの超音波素子を並べた素子アレイを構成し、パルス信号の入力タイミングを変えて超音波の放出方向が変わる構成などでも構わない。
【0053】
図7のように人3が空気調和装置2の正面部に検知された場合には、室内機2から人3の検知場所を経由して集塵装置1に風向を向けるためには、室内機2から正面に向けて送風する風向制御を行えばよいことになる(矢印26の送風方向)。ところが、送風方向26の経路中に超音波センサ(遮蔽物検出手段)40により、タンス24が検出されるため、十分な風量が集塵装置1に届くことが期待できないと考えられる。
【0054】
そこで、本発明においては、矢印27で示される方向に室内機2から斜め右(図7の斜め下)に送風して、室内機2からの空気を人3の場所を経由し、壁25、壁13を伝って遮蔽物を回避し集塵装置1に運んでいる。
【0055】
すなわち、送付経路中に遮蔽物がある場合には、壁や家具の表面などを伝った迂回経路で送風する場合の方が有効であると考えられ、本願発明者らの実験でも効果が確認されている。
【0056】
また、この実験では、室内機2からの送風時間は、無闇に長く吹いても室内機2の消費電力のロスを生じる上、送風時間を長くすることで、送風により人の検知位置から運んだ塵埃が集塵装置1の前を吹き過ぎてしまい、集塵効率が悪化するケースがあることも確認されている。
【0057】
送風時間の決定方法の一例としては、室内機2からの気流が集塵装置1の略近傍に届く時間で終了する方法が効果的であり、従って、送風手段の送風時間は、室内機2から人感センサ手段7で検出した前記略在位置を経由して前記集塵装置1までの経路長と、風速(送風手段23により発生した風の速度)に基づいて決定される。
【0058】
また、集塵装置1が汚れセンサや塵埃センサを備えている場合には、塵埃センサの検出値の時間変化に基づいて、例えば塵埃センサの塵埃量の時間変化が所定の閾値を下回った場合や、塵埃量の絶対値が所定の閾値を下回った場合に、集塵装置1の通信手段16から送風停止の電文を室内機2に送信するといった方法も有効である。
【0059】
また、家具による遮蔽などにより、送風経路が決定できない場合は、送風動作を行わない制御を組み込んでおくことも効果的である。例えば、図6の送風方向決定テーブル情報の風向の項目に送風停止といった項目を追加しておくなどの方法で実現できうるものである。
【0060】
なお、以上の説明は、空気調和装置として説明したが、温度調節機能を持たない送風装置とった装置を空気調和装置に変わる送風装置として用いる場合にも適用できうるものである。加えて、上述した実施の形態では、動作物検出手段としては人感センサ手段7を備え、遮蔽物検知手段としては超音波センサ40を備える構成を示したが、超音波センサ40により動作物検出手段をするといったように、両手段を兼用するように構成しても構わない。
【0061】
また、図4のフローチャートに示される各ステップは、コンピュータプログラム又はそれを記録した記録媒体により実現されても構わない。
【0062】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例も本発明に含まれている。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる集塵システムは、空気調和装置、集塵装置等の複数の装置を組み合わせて使用することができるので、同じ室内で連携して動作する様々な機器に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 集塵装置
2 室内機(空気調和装置)
3 人(動作物)
4 ラック(家具)
5 タンス(家具)
6 テーブル(家具)
7 人感センサ手段(動作物検出手段)
8,9,10 検出範囲
11、13、25 壁
16,19 通信手段
17,21 制御手段
18 集塵手段
20 風向制御手段
23 送風手段
24 タンス(家具)
40 超音波センサ(遮蔽物検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内用集塵システムであって、
気流を発生させる送風手段と、前記送風手段の風向制御を行う風向制御手段とを備えた室内機と、動作に伴い塵埃を発生させる動作物を検知して前記室内機に通知する動作物検出手段を有した空気調和装置と、
排気によって室内に気流を発生させると共に吸引により前記室内の気流に乗って移動する塵埃を回収する集塵手段を有する集塵装置とを備え、
前記風向制御手段は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置に向かって送風を行うように風向制御する、室内用集塵システム。
【請求項2】
前記室内機は室内の遮蔽物を検出する遮蔽物検出手段を備え、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記室内機から前記集塵装置への経路中に、前記遮蔽物検出手段が遮蔽物を検出した場合には、室内機からの送風を遮蔽物を回避しながら壁もしくは家具面伝いに集塵装置に向かって行う、請求項1に記載の室内用集塵システム。
【請求項3】
前記動作物検出手段は、人体からの赤外線を検出する人感センサで構成し、前記人感センサで検出した物体の動作位置を塵埃発生位置とする請求項1又は2に記載の室内用集塵システム。
【請求項4】
前記動作物検出手段は、超音波を送信しその反射波を検出する超音波センサで構成し、前記超音波センサで検出した物体の動作位置を塵埃発生位置とする請求項1又は2に記載の室内用集塵システム。
【請求項5】
前記遮蔽物検出手段は、超音波の発射方向を変更すると共に各発射方向ごとの反射に要した時間を計測して遮蔽物の存在を検出する請求項1又は2に記載の室内用集塵システム。
【請求項6】
前記風向制御手段は、前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置に送風を行えない場合は、前記送風手段の送風を行わない、請求項2に記載の室内用集塵システム。
【請求項7】
前記送風手段の送風時間は、前記室内機から前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置までの経路長に基づいて決定される、請求項1又は2に記載の室内用集塵システム。
【請求項8】
前記集塵装置は、塵埃の吸引量を検出する塵埃センサ手段をさらに備え、前記送風手段の送風時間は、前記塵埃センサ手段の検出値の時間変化に基づいて決定される、請求項1又は2に記載の室内用集塵システム。
【請求項9】
気流を発生させる送風手段と、前記送風手段の風向制御を行う風向制御手段と、を備えた室内機と、動作に伴い塵埃を発生させる動作物を検知して前記室内機に通知する動作物検出手段を有した空気調和装置に対し、前記室内機を遠隔操作するリモコン装置と同一形式の電文を送受信して前記室内機を制御する通信手段と、
排気によって室内に気流を発生させると共に吸引により前記室内の気流に乗って移動する塵埃を回収する集塵手段と、
前記通信手段により、前記室内機の前記風向制御手段が前記動作物検出手段で検出した塵埃発生位置を経由して前記集塵装置に送風を行うように制御する制御手段を備えた、集塵装置。
【請求項10】
請求項1〜8項のいずれか1項に記載の室内用集塵システム、又は請求項9項に記載の集塵装置の機能をコンピュータに実装させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−511017(P2013−511017A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521403(P2012−521403)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/JP2010/070245
【国際公開番号】WO2011/059077
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】