説明

集塵機

【課題】
本発明の目的は、粉塵を払い落とす能力がより高い集塵機を提供することにある。
【解決手段】
粉塵を吸引するための吸込口6aを有するタンク6と、該タンク6内に設けられた袋状の一次フィルタ7と、該一次フィルタ7の内側に設けられたカバー8b,8cと、該カバー8b,8cの上方に設けられたファン2a及び該ファン2aを駆動するモータ2と、を有する集塵機1において、該一次フィルタ7の内側であって該カバー8b,8cの下方に、弾性体9を上下方向に移動可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタに付着した粉塵を払い落とす除塵機能を備えた集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示された集塵機は、フィルタの内側面に負圧によって弾性変形するフィルタケージを設け、運転を停止するとフィルタケージが復元してフィルタを膨張させフィルタ表面に堆積した粉塵を払い落とすものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−045318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に示された集塵機では、フィルタケージがフィルタに固定されているため、フィルタの膨張の大きさはフィルタケージの弾性変形の大きさとほぼ同等程度でしかなく、粉塵を払い落とす効果は小さかった。
【0005】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、粉塵を払い落とす能力がより高い集塵機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、粉塵を吸引するための吸込口を有するタンクと、該タンク内に設けられた袋状の一次フィルタと、該一次フィルタの内側に設けられたカバーと、該カバーの上方に設けられたファン及び該ファンを駆動するモータと、を有する集塵機において、該一次フィルタの内側であって該カバーの下方に、弾性体を上下方向に移動可能に設けた。
【0007】
また、該カバーで二次フィルタを支持し、該二次フィルタ及び該カバーの下方に該弾性体を配置し、該二次フィルタの外周面と該一次フィルタの内周面とが互いに向かい合うよう構成する。
【0008】
また該弾性体の一部を繰り抜いて繰り抜き部を形成し、該一次フィルタが該弾性体の内側へと変形できるよう構成する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、一次フィルタの内部であってカバーの下方に、弾性体を上下方向に移動可能に設けたので、運転時は負圧によってフィルタが収縮して弾性体を上方へ移動させるとともに圧縮させ、運転を停止させると弾性体が膨張するとともに下方へと落下しフィルタに勢いよく衝突する。この衝撃によりフィルタは大きく変形し、フィルタ表面に堆積していた粉塵を強く払い落とすことが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、運転時に弾性体が圧縮されても弾性体と二次フィルタとが接触しにくくなり、弾性体によって空気が流れ難くなるのを防ぐことができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、弾性体を追加してもタンクの容量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る集塵機の停止時の状態を示す全体断面図
【図2】本発明に係る集塵機の運転時の状態を示す全体断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る集塵機1について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0014】
集塵機1の上部には、モーター2と、モーター2によって回転駆動されるファン2aと、モーター2の起動及び停止を制御するためのスイッチ3を備えたヘッド部4が設けられている。ヘッド部4の下部には、吸引した粉塵5を貯めるための上部が開口したタンク6が設けられている。タンク6の側面には、粉塵5を搬送するための図示しないダクトホースが接続される吸込口6aが設けられている。
【0015】
タンク6の上部では、上端に開口部を有する一次フィルタ7がタンク6とヘッド部4との間に挟まれるようにして保持されている。一次フィルタ7の上端には開口部を形成するフック部7bが設けられ、フック部7bの下方に袋状の濾布材7a部が連続して設けられている。
【0016】
一次フィルタ7の内側には、トップカバー8bとボトムカバー8cとによって挟まれるように支持された二次フィルタ8aが設けられている。二次フィルタ8aは蛇腹状の濾布からなり、上方から見てモータ−2の回転軸を中心とする環状を構成するよう形成されている。二次フィルタ8a、トップカバー8b及びボトムカバー8cで二次フィルタユニット8を構成している。そしてトップカバー8b及びボトムカバー8cが特許請求の範囲に記載したカバーとして作用する。フック部7b及びトップカバー8bがタンク6とヘッド部4との間に挟まれることにより一次フィルタ7と二次フィルタユニット8がタンク6に対して保持されている。
【0017】
一次フィルタ7の内側であってボトムカバー8cの下方には、通気性のあるスポンジ等からなる弾性体9が設けられている。弾性体9は上方から環状に形成されており、一次フィルタとボトムカバー8cのいずれにも固定されず、自由に上下方向にも横方向にも移動できるよう一次フィルタ7の内側に収容されている。
【0018】
上記のように構成された集塵機1を運転する場合、スイッチ3をオンするとモーター2が起動し、ファン2aの回転によりタンク6の内部が負圧となり、ダクトホースから粉塵5を含む空気がタンク6の内部に吸引される。空気はダクトホースから吸込口6aを経てタンク6の内部に吸引され、一次フィルタ7と二次フィルタ8aを通過して集塵機1の外部に排出される。空気が一次フィルタ7を通過するときに粉塵5が一次フィルタ7の外側に付着してろ過され、さらに空気が二次フィルタ8aを通過するときに残りの粉塵5が二次フィルタ8aの外側に付着してろ過される。
【0019】
一次フィルタ7に付着した粉塵5の量が多くなってくると、一次フィルタ7が目詰まりして空気が一次フィルタ7を通過し難くなり、空気が通過するときの抵抗により一次フィルタ7が内側に引っ張られて収縮するようになる。一次フィルタ7が収縮しようとする力により弾性体9が上方へ持ち上げられてボトムカバー8cの下面に接触し、弾性体9はボトムカバー8cと一次フィルタ7との間で挟まれて圧縮される。
【0020】
そしてスイッチ3をオフして運転を停止させると、一次フィルタ7を通過しようとする空気の流れがなくなり、一次フィルタ7を内側に引っ張る力がなくなる。そして弾性体9は圧縮された状態から開放されて下方に向かって膨張するとともに、自重により下方に向かって勢いよく落下を始める。これに伴い一次フィルタ7も収縮した状態から開放されて下方に向かって伸び、元の状態まで戻ったころにさらに弾性体9が勢いよく一次フィルタ7に衝突して一次フィルタをさらに大きく膨張させる。そしてその反動により一次フィルタ7は再び収縮するとともに弾性体9を上方へと持ち上げ、一次フィルタ7があたかもトランポリンのように弾み、一次フィルタ7に付着していた粉塵5を強く払い落とすことができる。
【0021】
なお弾性体9は二次フィルタ8aよりも下方に配置されており、収縮してもボトムカバー8cが障壁となって二次フィルタ8aに接触し難くなっている。一次フィルタ7と弾性体9が収縮した状態でも二次フィルタ8aの外周が一次フィルタ7と向かい合うことになり、空気の流れが弾性体9によって遮られることがない。
【0022】
また弾性体9は上方から見て環状であり中央が繰り抜かれて繰り抜き部9aを形成しているので、図2に示すように、弾性体9の中央においては一次フィルタ7は弾性体9よりもさらに内側へと収縮することになり、弾性体9の追加によるタンク9の容量低減を抑えることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
2 モーター
2a ファン
3 スイッチ
4 ヘッド部
5 粉塵
6 タンク
6a 吸込口
7 一次フィルタ
7a 濾布
7b フック部
8 二次フィルタユニット
8a 二次フィルタ
8b トップカバー
8c ボトムカバー
9 弾性体
9a 繰り抜き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉塵を吸引するための吸込口を有するタンクと、
該タンク内に設けられた袋状の一次フィルタと、
該一次フィルタの内側に設けられたカバーと、
該カバーの上方に設けられたファン及び該ファンを駆動するモータと、
を有する集塵機において、
該一次フィルタの内側であって該カバーの下方に、弾性体を上下方向に移動可能に設けたことを特徴とする集塵機。
【請求項2】
該カバーで二次フィルタを支持し、該二次フィルタ及び該カバーの下方に該弾性体を配置し、該二次フィルタの外周面と該一次フィルタの内周面とが互いに向かい合うよう構成したことを特徴とする請求項1記載の集塵機。
【請求項3】
該弾性体の一部を繰り抜いて繰り抜き部を形成し、該一次フィルタが該弾性体の内側へと変形できるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の集塵機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−78703(P2013−78703A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218714(P2011−218714)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】