説明

集水井の水抜き栓

【課題】この発明は、集水井の井戸壁体を構成するライナープレートに形成した集水孔の目詰まりの修復作業を容易且つ短時間で行うことができ、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することを目的とする。
【解決手段】この発明は、地盤に形成した縦坑内に円筒状の井戸壁体をライナープレートにより組み立て、このライナープレートに形成した集水孔から地盤中の水を井戸壁体の内側に集める集水井の前記集水孔に取り付けられる水抜き栓を設け、この水抜き栓は、前記集水孔に前記井戸壁体の外側から嵌合して固定される本体部と、この本体部に前記井戸壁体の内側から挿入されて前記井戸壁体の内側への土砂の流入を阻止する一方で水の流入を許容するフィルタ部と、前記本体部に前記井戸壁体の内側から着脱可能に取り付けられて前記フィルタ部を押さえるフィルタ押さえ部と、からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は集水井の水抜き栓に係り、特に、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することができる集水井の水抜き栓に関する。
【背景技術】
【0002】
地すべり防止工としての抑制工には、ライナープレートを用いた集水井が多く用いられている。ライナープレートを用いた集水井は、地盤に形成した縦坑内に管状の井戸壁体をライナープレートにより組み立て、前記ライナープレートに形成した集水孔から地盤中の水を井戸壁体の内側に集める。集められた水は、自然排水され、または、ポンプによりくみ上げられて排水される。
【0003】
従来の集水井には、円筒状の井戸壁体を隙間を開けて多重に同心配置し、各井戸壁体の側面に内外を連通する開口部を形成し、各井戸壁体の開口部の開口面積は内側になるほど大きくなるように形成し、各開口部を網状部材で覆ったものがある。
【特許文献1】特開平8−291542号公報
【0004】
従来の集水井には、最外層の壁を撤去可能な仮壁とし、内側の壁に集水孔を設けた多重壁井筒を地中に埋設し、埋設した多重壁井筒の壁の間に礫を充填してフィルタ層を形成し、最外層の仮壁を撤去して集水井を構築するものがある。
【特許文献2】特開2003−138611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の集水井においては、井戸壁体を構成する部材に集水孔を形成して井戸壁体内に水を集めているが、長期間の使用により集水孔が周囲の礫・砂等の砂利により目詰まりを生じ易く、集水機能が低下する問題がある。
【0006】
そこで、従来の集水井には、前記特許文献1のように、集水孔(開口部)をフィルタ(網状部材)で覆うことで、砂利による目詰まりを防止するものがある。
【0007】
ところが、この集水井は、集水孔を覆うフィルタに目詰まりを生じた場合に、目詰まりの修復作業やフィルタの交換作業を行うために、目詰まりを生じた井戸壁体を構成する部材(ライナープレート)を外したり、井戸壁体の外側の礫等のフィルタ層を掘り出す必要がある。
【0008】
このため、従来の集水井は、目詰まりの修復作業に多大な手間と時間を用するため、修復作業が困難であり、集水機能の低下を早期に回復することができない問題があった。
【0009】
この発明は、集水井の井戸壁体を構成するライナープレートに形成した集水孔の目詰まりの修復作業を容易且つ短時間で行うことができ、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、地盤に形成した縦坑内に円筒状の井戸壁体をライナープレートにより組み立て、このライナープレートに形成した集水孔から地盤中の水を井戸壁体の内側に集める集水井の前記集水孔に取り付けられる水抜き栓を設け、この水抜き栓は、前記集水孔に前記井戸壁体の外側から嵌合して固定される本体部と、この本体部に前記井戸壁体の内側から挿入されて前記井戸壁体の内側への土砂の流入を阻止する一方で水の流入を許容するフィルタ部と、前記本体部に前記井戸壁体の内側から着脱可能に取り付けられて前記フィルタ部を押さえるフィルタ押さえ部と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明の集水井の水抜き栓は、集水井の井戸壁体を構成するライナープレートの集水孔に本体部を井戸壁体の外側から嵌合して固定しているので、ライナープレートに本体部を容易に取り付けることができ、本体部にフィルタ部を井戸壁体の内側から挿入し、本体部にフィルタ押さえ部を井戸壁体の内側から着脱可能に取り付けているので、フィルタ部が目詰まりした場合に、井戸壁体の内側からフィルタ押さえ部を着脱してフィルタ部の清掃・交換を行うことができる。
このため、この発明の集水井の水抜き栓は、集水井の井戸壁体を構成するライナープレートに形成した集水孔の目詰まりの修復作業を容易且つ短時間で行うことができ、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
図1〜図14は、この発明の実施例を示すものである。図1は水抜き栓の分解斜視図、図2は水抜き栓の斜視図、図3は水抜き栓をライナープレートへ取り付ける状態の斜視図、図4は集水井の断面図、図5は水抜き栓の正面図、図6は水抜き栓の側面図、図7は水抜き栓の背面図、図8は図5のA−A線による水抜き栓の断面図、図9は本体部の正面図、図10は本体部の側面図、図11は本体部の背面図、図12はフィルタ押さえ部の正面図、図13はフィルタ押さえ部の側面図、図14はフィルタ押さえ部の背面図である。
【0014】
図4において、2は地盤、4は縦坑、6は井戸壁体、8はライナープレート、10は集水孔、12は集水井である。集水井12は、地盤2に形成した縦坑4内に円筒状の井戸壁体6をライナープレート8により組み立て、このライナープレート8に形成した集水孔10から地盤2中の水を井戸壁体6の内側に集める。井戸壁体6の内側に集められた水は、自然排水され、または、ポンプによりくみ上げられて排水される。なお、縦坑4と井戸壁体6との間には、必要に応じて礫・砂等の砂利を充填してフィルタ層を形成する。
【0015】
前記集水井12には、図2・図3に示すように、ライナープレート8の集水孔10に取り付けられる水抜き栓14を設けている。この水抜き栓14は、図1に示すように、本体部16とフィルタ部18とフィルタ押さえ部20とからなる。本体部16は、ライナープレート8の集水孔10に井戸壁体6の外側から嵌合して固定される。フィルタ部18は、ライナープレート8に取り付けられた本体部16に井戸壁体6の内側から挿入されて、井戸壁体6の内側への土砂の流入を阻止する一方で水の流入を許容する。フィルタ押さえ部20は、ライナープレート8に取り付けられた本体部16に井戸壁体6の内側から着脱可能に取り付けられて、フィルタ部18を押さえる。
【0016】
前記ライナープレート8は、図3に示すように、組み立てた井戸壁体6がコルゲート管形状になるように、井戸壁体6の長手方向(図3において上下方向)に向かう断面を波形状に形成している。
【0017】
前記水抜き栓14の本体部16は、図9〜図11に示すように、可撓性素材により筒状に形成されるとともに、集水孔10に挿入可能な外径の筒部22を有している。筒部22は、一端側に、集水孔10の内径よりも大きい外径の外側ストッパ部24を設けている。この外側ストッパ部24には、一端側の径方向対称位置に斜面状の外側ストッパ面26を設けている。外側ストッパ面26は、図3・図6に示すように、井戸壁体6の外側において、ライナープレート8の集水孔10周囲の波形状窪部分28に当接して、抜け止め及び回転止めをする。
【0018】
前記筒部22は、他端側に、集水孔10の内径よりも僅かに大きい外径の内側ストッパ部30を設けている。この内側ストッパ部30は、他端側に垂直面状の内側ストッパ面32を設け、外周に他端側外方に向かって窄まるテーパ面状のガイド面34を設けている。内側ストッパ面32は、図3・図6に示すように、井戸壁体6の内側において、ライナープレート8の集水孔10周囲の波形状突部分36に当接して、抜け止めをする。ガイド面34は、水抜き栓14を集水孔10に嵌合する際に集水孔10内面により押圧され、内側ストッパ部30を筒部22の径中心方向に撓み変形させる。
【0019】
前記筒部22は、他端側に、スリット38を設けている。スリット38は、内側ストッパ部30を集水孔10に挿入可能なように、この内側ストッパ部30を筒部22の径中心方向に撓み変形させるためのものである。
【0020】
前記筒部22内には、一端側に端壁部40を設けている。筒部22内には、この端壁部40の内側に始端して他端側に開口するフィルタ挿入孔42を設けるとともに、このフィルタ挿入孔42の端壁部40側の内周に雌ねじ部44を設けている。端壁部40には、フィルタ挿入孔42を筒部22外に連通する複数の端壁部用水抜き孔46を設けている。
【0021】
前記水抜き栓14のフィルタ部18は、図1・図8に示すように、多数の透孔を有する素材により厚肉円板状に形成している。
【0022】
前記水抜き栓14のフィルタ押さえ部20は、図12〜図14に示すように、フィルタ挿入孔42に挿入されたフィルタ部18に一側を当接される円板状の当接部48と、この当接部48の他側の中心から突出する軸状の操作部50とを有している。当接部48は、外周に前記雌ねじ部44に螺合する雄ねじ部52を設けるとともに、一側と他側とを連通する複数の当接部用水抜き孔54を設けている。前記フィルタ押さえ部20の操作部50には、六角形の操作用孔56を形成し、この操作用孔56を前記当接部用水抜き孔54の1つに連通している。
【0023】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0024】
集水井12の水抜き栓14は、図1に示すように、本体部16とフィルタ部18とフィルタ押さえ部20とからなり、本体部16の他端側からフィルタ挿入孔42にフィルタ部18を挿入して一端側の端壁部40に当接させ、フィルタ挿入孔42にフィルタ押さえ部20の当接部48を挿入して雄ねじ部52を筒部22の雌ねじ部44に螺合し、操作部50により当接部48を回転させて締め付けることにより、端壁部40にフィルタ部18を当接部48で押し付ける。
【0025】
これにより、水抜き栓14は、図2・図5〜図8に示すように、本体部16に収納したフィルタ部18をフィルタ押さえ部20により押さえた状態で組み立てられる。
【0026】
組み立てられた水抜き栓14は、図3に示すように、円筒状の井戸壁体6を構成するライナープレート8の集水孔10に、井戸壁体6の外側から嵌合して固定される。水抜き栓14は、本体部16の筒部22の他端側の内側ストッパ部30を井戸壁体6の外側からライナープレート8の集水孔10に押し込むと、内側ストッパ部30のガイド面34が集水孔10内面により押圧され、スリット38により内側ストッパ部30が原形から筒部22の径中心方向に撓み変形される。内側ストッパ部30は、撓み変形により外径が集水孔10の内径よりも小さくなり、集水孔10に挿入可能になる。
【0027】
水抜き栓14は、撓み変形した内側ストッパ部30をライナープレート8の集水孔10にさらに押し込むことで、ガイド面34がライナープレート8の集水孔10を通過して井戸壁体6の内側に突入し、ガイド面34が集水孔10内面による押圧から解放され、内側ストッパ部30が原形に復元する。
【0028】
原形に復元した内側ストッパ部30は、内側ストッパ面32を、図6に示すように、井戸壁体6の内側において、ライナープレート8の集水孔10周囲の波形状突部分36に当接して、抜け止めをする。また、外側ストッパ部24は、外側ストッパ面26を、井戸壁体6の外側において、ライナープレート8の集水孔10周囲の波形状窪部分28に当接して、抜け止め及び回転止めをする。これにより、水抜き栓14は、井戸壁体6の内側からフィルタ押さえ部20を着脱可能な状態で、ライナープレート8の集水孔10に嵌合して固定される。
【0029】
ライナープレート8に取り付けられた水抜き栓14は、井戸壁体6外側の地盤2中の水を、端壁部用水抜き孔46から、フィルタ部18、当接部用水抜き孔54を介して井戸壁体6の内側に流入させる。これにより、集水井12は、地盤2中の水を集める。集められた水は、自然排水され、または、ポンプによりくみ上げられて排水される。
【0030】
この集水井12の水抜き栓14は、フィルタ部18に目詰まりを生じた場合に、井戸壁体6の内側からフィルタ押さえ部20の操作部50を手で回転させ、当接部48の雄ねじ部52と筒部22の雌ねじ部44との螺合を緩めて、フィルタ押さえ部20をフィルタ挿入孔42から取り外すことで、目詰まりの修復作業やフィルタ部18の交換作業を行うことができる。作業終了後は、本体部16のフィルタ挿入孔42にフィルタ部18を挿入してフィルタ押さえ部20の当接部48の雄ねじ部52を筒部22の雌ねじ部44に螺合し、操作部50により当接部48を回転させて締め付けることにより、フィルタ部18を組み付けることができる。
【0031】
このように、この集水井12の水抜き栓14は、集水井12の井戸壁体6を構成するライナープレート8の集水孔10に本体部16を井戸壁体6の外側から嵌合して固定しているので、ライナープレート8に容易に取り付けることができ、本体部16にフィルタ部18を井戸壁体6の内側から挿入し、本体部16にフィルタ押さえ部20を井戸壁体6の内側から着脱可能に取り付けているので、フィルタ部18が目詰まりした場合に、井戸壁体6の内側からフィルタ押さえ部20を着脱してフィルタ部18の清掃・交換を行うことができる。
【0032】
このため、この集水井12の水抜き栓14は、井戸壁体6を構成するライナープレート8を外したり、井戸壁体6の外側の砂利等のフィルタ層を掘り出す作業を必要とせず、井戸壁体6を構成するライナープレート8に形成した集水孔10の目詰まりの修復作業を容易且つ短時間で行うことができ、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することができる。
【0033】
また、フィルタ押さえ部20の操作部50には、六角形の操作用孔56を設けているので、フィルタ押さえ部20を手で回転操作することができない場合に、工具を使用して回転させることができる。また、フィルタ押さえ部20の操作部50は、操作用孔56を当接部用水抜き孔54の1つに連通しているので、集水機能を上げることができる。
【0034】
なお、この実施例においては、水抜き栓14をライナープレート8の集水孔10に井戸壁体6の外側から取り付けたが、図15〜図17に示すようよに、ライナープレート8の集水孔10に井戸壁体6の内側から取り付けることもできる。
【0035】
図15〜図17に示す変形例の水抜き栓60は、ライナープレート8の集水孔10に井戸壁体6の内側から嵌合して固定される本体部62と、ライナープレート8に取り付けられた本体部62に井戸壁体6の内側から挿入されて井戸壁体6の内側への土砂の流入を阻止する一方で水の流入を許容するフィルタ部64と、ライナープレート8に取り付けられた本体部62に井戸壁体6の内側から着脱可能に取り付けられてフィルタ部64を押さえるフィルタ押さえ部66と、からなる。
【0036】
本体部62の筒部68は、集水孔10に挿入可能な外径を有し、一端側に集水孔10の内径よりも僅かに大きい外径の外側ストッパ部70を設け、この外側ストッパ部70の他端側に垂直面状の外側ストッパ面72を設け、外周に一端側外方に向かって窄まるテーパ面状のガイド面74を設け、外側ストッパ部70を集水孔10に挿入可能なように筒部68の径中心方向に撓み変形させるためのスリット76を設けている。
【0037】
前記筒部68は、他端側に集水孔10の内径よりも大きい外径の内側ストッパ部78を設け、この内側ストッパ部78の他端側の径方向対称位置に斜面状の内側ストッパ面80を設けている。
【0038】
前記筒部68内には、中間に端壁部82を設け、この端壁部82の一側に始端して一端側に開口する導水孔84を設けるとともに、この端壁部82の他側に始端して他端側に開口するフィルタ挿入孔86を設け、このフィルタ挿入孔86の内周に雌ねじ部88を設けている。端壁部82には、フィルタ挿入孔86を導水孔84に連通する複数の端壁部用水抜き孔88を設けている。
【0039】
前記フィルタ部64は、多数の透孔を有する素材により厚肉円板状に形成している。
【0040】
前記フィルタ押さえ部66は、フィルタ挿入孔86に挿入されたフィルタ部64に一側を当接される円板状の当接部90と、この当接部90の他側の中心から突出する軸状の操作部92とを有している。当接部90は、外周に前記雌ねじ部88に螺合する雄ねじ部94を設けるとともに、一側と他側とを連通する複数の当接部用水抜き孔96を設けている。操作部92には、六角形の操作用孔98を形成し、この操作用孔98を前記当接部用水抜き孔96の1つに連通している。
【0041】
この水抜き栓60は、本体部62の筒部68一端側の外側ストッパ部70を井戸壁体6の内側からライナープレート8の集水孔10に押し込むことで、外側ストッパ部70のガイド面74及びスリット76により外側ストッパ部70を原形から筒部68の径中心方向に撓み変形させて、集水孔10に挿入可能になる。水抜き栓60は、撓み変形した外側ストッパ部70をライナープレート8の集水孔10にさらに押し込むと、ガイド面74がライナープレート8の集水孔10を通過して井戸壁体6の外側に突出して押圧から解放され、外側ストッパ部70が原形に復元する。
【0042】
原形に復元した外側ストッパ部70は、外側ストッパ面72を、井戸壁体6の外側において、ライナープレート8の集水孔10周囲の波形状突部分36に当接して、抜け止めをする。また、内側ストッパ部78は、内側ストッパ面80を、井戸壁体6の内側において、ライナープレート8の集水孔10周囲の波形状窪部分28に当接して、抜け止め及び回転止めをする。これにより、水抜き栓60は、井戸壁体6の内側からフィルタ押さえ部66を着脱可能な状態で、ライナープレート8の集水孔10に嵌合して固定される。
【0043】
ライナープレート8に取り付けられた水抜き栓60は、井戸壁体6外側の地盤2中の水を、導水孔84から、端壁部用水抜き孔88、フィルタ部64、当接部用水抜き孔96を介して井戸壁体6の内側に流入させる。これにより、集水井12は、地盤2中の水を集める。集められた水は、自然排水され、または、ポンプによりくみ上げられて排水される。
【0044】
この集水井12の水抜き栓60は、フィルタ部64に目詰まりを生じた場合に、井戸壁体6の内側からフィルタ押さえ部66の操作部92を手で回転させ、当接部90の雄ねじ部94と筒部68の雌ねじ部88との螺合を緩めて、フィルタ押さえ部66をフィルタ挿入孔86から取り外すことで、目詰まりの修復作業やフィルタ部64の交換作業を行うことができる。作業終了後は、本体部62のフィルタ挿入孔86にフィルタ部64を挿入してフィルタ押さえ部66の当接部90の雄ねじ部94を筒部68の雌ねじ部88に螺合し、操作部92により当接部90を回転させて締め付けることにより、フィルタ部64を組み付けることができる。
【0045】
このように、変形例の水抜き栓60は、ライナープレート8の集水孔10に本体部62を井戸壁体6の内側から嵌合して固定しているので、ライナープレート8に容易に取り付けることができるとともに交換が容易であり、本体部62にフィルタ部64を井戸壁体6の内側から挿入し、本体部62にフィルタ押さえ部66を井戸壁体6の内側から着脱可能に取り付けているので、フィルタ部64が目詰まりした場合に、井戸壁体6の内側からフィルタ押さえ部66を着脱してフィルタ部64の清掃・交換を行うことができる。
【0046】
このため、この水抜き栓60は、井戸壁体6を構成するライナープレート8を外したり、井戸壁体6の外側の砂利等のフィルタ層を掘り出す作業を必要とせず、井戸壁体6を構成するライナープレート8に形成した集水孔10の目詰まりの修復作業を容易且つ短時間で行うことができ、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することができる。
【0047】
また、フィルタ押さえ部66の操作部92には、六角形の操作用孔98を設けているので、手で回転操作することができない場合に、工具を使用して回転させることができる。また、フィルタ押さえ部66の操作部92は、操作用孔98を当接部用水抜き孔96の1つに連通しているので、集水機能を上げることができる。
【0048】
なお、この発明は、上述実施例に限定されることなく、種々応用改変が可能である。例えば、水抜き栓は、本体部の筒部の一端側及び他端側に夫々垂直面状のストッパ面及びテーパ面状のガイド面を有するストッパ部を設けるとともにこのストッパ部を撓み変形させるためのスリットを夫々設け、筒部内の中間に端壁部を設け、この端壁部を挟んで筒部の一端側及び他端側に夫々開口するフィルタ挿入孔を設け、各フィルタ挿入孔の内周に雌ねじ部を設け、端壁部に両側のフィルタ挿入孔を連通する複数の端壁部用水抜き孔を設け、本体部を対称形状に形成することで、本体部にフィルタ及びフィルタ押さえ部を一端側及び他端側のいずれ側からでも取り付け可能とし、ライナープレートの集水孔に本体部を井戸壁体の内側及び外側のいずれ側からでも取り付け可能とすることができる。
【0049】
また、フィルタ部は、多数の透孔を有する素材により厚肉円板状に形成した1種類でなく、多数透孔素材と網状素材との2種類を組み合わせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明の集水井の水抜き栓は、目詰まりによる集水機能の低下を早期に回復することができ、地すべり防止工としてのライナープレートを用いた集水井や浸透井に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例を示す水抜き栓の分解斜視図である。
【図2】水抜き栓の斜視図である。
【図3】水抜き栓をライナープレートへ取り付ける状態の斜視図である。
【図4】集水井の断面図である。
【図5】水抜き栓の正面図である。
【図6】水抜き栓の側面図である。
【図7】水抜き栓の背面図である。
【図8】図5のA−A線による水抜き栓の断面図である。
【図9】本体部の正面図である。
【図10】本体部の側面図である。
【図11】本体部の背面図である。
【図12】フィルタ押さえ部の正面図である。
【図13】フィルタ押さえ部の側面図である。
【図14】フィルタ押さえ部の背面図である。
【図15】変形例を示す水抜き栓の正面図である。
【図16】変形例を示す水抜き栓の側面図である。
【図17】図15のB−B線による水抜き栓の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
2 地盤
4 縦坑
6 井戸壁体
8 ライナープレート
10 集水孔
12 集水井
14 水抜き栓
16 本体部
18 フィルタ部
20 フィルタ押さえ部
22 筒部
24 外側ストッパ部
26 外側ストッパ面
28 波形状窪部分
30 内側ストッパ部
32 内側ストッパ面
34 ガイド面
36 波形状突部分
38 スリット
40 端壁部
42 フィルタ挿入孔
44 雌ねじ部
46 端壁部用水抜き孔
48 当接部
50 操作部
52 雄ねじ部
54 当接部用水抜き孔
56 操作用孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に形成した縦坑内に円筒状の井戸壁体をライナープレートにより組み立て、このライナープレートに形成した集水孔から地盤中の水を井戸壁体の内側に集める集水井の前記集水孔に取り付けられる水抜き栓を設け、この水抜き栓は、前記集水孔に前記井戸壁体の外側から嵌合して固定される本体部と、この本体部に前記井戸壁体の内側から挿入されて前記井戸壁体の内側への土砂の流入を阻止する一方で水の流入を許容するフィルタ部と、前記本体部に前記井戸壁体の内側から着脱可能に取り付けられて前記フィルタ部を押さえるフィルタ押さえ部と、からなることを特徴とする集水井の水抜き栓。
【請求項2】
前記ライナープレートは、組み立てた井戸壁体がコルゲート管形状になるように井戸壁体の長手方向に向かう断面を波形状に形成し、前記水抜き栓の本体部は可撓性素材により形成されるとともに前記集水孔に挿入可能な外径の筒部を有し、前記筒部は一端側に前記集水孔の内径よりも大きい外径の外側ストッパ部を設け、この外側ストッパ部には前記井戸壁体の外側において前記ライナープレートの集水孔周囲の波形状窪部分に当接して抜け止め及び回転止めをする外側ストッパ面を設け、前記筒部は他端側に前記集水孔の内径よりも僅かに大きい外径の内側ストッパ部を設け、この内側ストッパ部には前記井戸壁体の内側において前記ライナープレートの集水孔周囲の波形状突部分に当接して抜け止めをする内側ストッパ面を設けるとともに、他端側外方に向かって窄まるガイド面を設け、前記筒部は他端側に前記内側ストッパ部を集水孔に挿入可能なようにこの内側ストッパ部を筒部の径中心方向に撓み変形させるためのスリットを設け、前記筒部内には一端側の端壁部に始端して他端側に開口するフィルタ挿入孔を設けるとともに、このフィルタ挿入孔の前記端壁部側の内周に雌ねじ部を設け、前記端壁部にはフィルタ挿入孔を筒部外に連通する端壁部用水抜き孔を設け、前記水抜き栓のフィルタ部は多数の透孔を有する素材により厚肉円板状に形成し、前記水抜き栓のフィルタ押さえ部は前記フィルタ挿入孔に挿入された前記フィルタ部に一側を当接される円板状の当接部とこの当接部の他側の中心から突出する軸状の操作部とを有し、前記当接部は外周に前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を設けるとともに、一側と他側とを連通する当接部用水抜き孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の集水井の水抜き栓。
【請求項3】
前記フィルタ押さえ部の操作部には、六角形の操作用孔を設け、この操作用孔を前記当接部用水抜き孔の1つに連通したことを特徴とする請求項2に記載の集水井の水抜き栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−203777(P2009−203777A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50075(P2008−50075)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(391047190)岡三リビック株式会社 (20)