説明

集電箱

【課題】蓋体を取り外して開閉スイッチを操作する時の集電箱の安全性を高める。
【解決手段】集電箱10は、入力端子、出力端子及び、手動で操作が可能な開閉スイッチ15を備える収納箱と、収納箱の開口を覆う蓋体22と、収納箱の側面に形成された第1結合部20と、蓋体22の内側面に第1結合部20と相対向する位置に突出形成された第2結合部24と、蓋体22と収納箱の間に設けられ開閉スイッチ15の操作部16に相対向する位置に開閉スイッチ15を手動で操作が可能な大きさに形成された開口28と、蓋体22の第2結合部24に対応する位置に形成された第2結合部24を挿通し得る切り欠きを備える内蓋25とを備え、内蓋25の切り欠きには、開放端部を除いて形成された側壁と底面とを備える内蓋カバー30が形成され、内蓋カバー30内の第1結合部20と蓋体22の第2結合部24とが対向して位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池などの電源からの電力を集電する集電箱に関し、詳しくは、
使用者が蓋を開け、開閉スイッチを手動で操作する際に、指等が内部の電子部品に接触す
ることを抑制する内蓋カバーを備えた、安全性に優れた集電箱に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池などの直流電源は、各太陽電池モジュールの出力する電力量を十分に確保する
ため、複数の太陽電池モジュールからの発電電力を接続箱などの集電箱に導き、集電して
大きな電力が得られるようにしている。この集電箱の内部には、太陽電池モジュールから
入力される複数の入力端子と集電した電力を出力する出力端子と、入力端子と出力端子の
間に設けられ、通電のオンオフを切り替えるブレーカー等の開閉スイッチが設けられてい
る。
【0003】
そして、集電箱には、これらの配線作業が可能なように開口が設けられているが、集電
箱内の電子部品に触れると危険なため、通常はこの開口を塞ぐための蓋体で覆われている
。また、近年、直流電源としての太陽電池などが普及するにつれ、集電箱が設置される機
会も増えている。そして、集電箱には、通電のON/OFFを切り換えるため、例えばブ
レーカー等の開閉スイッチが設けられているが、この開閉スイッチの操作は蓋体をはずし
て行われる。その際、使用者が内部の電子部品に触れることができないよう集電箱内には
、蓋体との間に電子部品が覆われるように内蓋が設けられている。さらに、このような内
蓋には、内蓋を取り外さなくても集電箱内に設けられた各種スイッチの操作が可能なよう
にするため、これらのスイッチと対応した位置に開口又は切り欠きが形成されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1に記載の屋外設置機器では、図9に示すように、接続箱40の
筐体は、前面が開口された金属製の略箱形のケーシング本体41と、ケーシング本体41
の前面開口を覆う金属製の略箱形の蓋体としてのフロントパネル(図示省略)とによって
構成され、ケーシング本体41には、複数のパワー基板、複数の制御基板およびその周辺
の電気回路部分を覆うように略L字状の基板カバー42が取り付けられ、さらに入力端子
を備える複数の開閉器及びパワーコンディショナー側に接続される出力端子などを備えた
端子台を覆うように端子台カバー43が取り付けられた構成をしている。このとき、基板
カバー42及び端子台カバー43が内蓋に該当する。そして、基板カバー42及び端子台
カバー43が取り付けられたとき、開閉器44が露出されるようにされており、内蓋を取
り外さずにこの開閉器を操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−295990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載されたそれぞれの内蓋は、電子部品が保護される部分は
薄い板状に形成されている。そのため、開閉器44が設けられ開口されている部分では、
ケーシング本体41及び接続箱40と基板カバー42及び端子台カバー43との間に、隙
間が形成されてしまっており、この隙間から使用者の指等が電子部品と接触するおそれが
ある。
【0007】
一方、集電箱に蓋体を取り付けるためには、ねじ等が用いられ、このねじ孔は、集電箱
が壁等に設置されたときの使用者の作業性を考慮して、作業のしやすい集電箱が取り付け
られたときの下側の面に設けられることが多い。例えば、上記特許文献1に記載の屋外接
続機器では、ケーシング本体41の下板41aに、フロントパネルの下板をねじ固定する
ためのネジ孔45が複数形成されている。そのため、基板カバー42及び端子台カバー4
3の内蓋には、このねじ孔45を避けるように切り欠かれたり、内蓋自体が小さく形成さ
れたりされている。しかし、このように内蓋が切り欠かれたり、小さく形成されたりする
と、多くの隙間が発生し、電子部品との接触の機会が増えることとなる。
【0008】
そこで、発明者等は、集電箱内に取り付けられる内蓋に使用者が電子部品に接触し難く
なるようにすることを目的として種々検討を重ねた結果、内蓋を集電箱の略すべての開口
を覆うように形成するとともに、内蓋に形成された開口及び切り欠きに電子部品と接触で
きるような隙間をさらに覆う内蓋カバーを形成することで、使用者が電子部品と接触する
ことを極力抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、使用者が集電箱の蓋体を取り外して開閉スイッチ等を操作する際
、内部の電子部品に接触することを抑制した、安全性に優れた集電箱を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の集電箱は、
それぞれ直流電流が供給される複数の入力端子と、前記複数の入力端子に供給される電
流をまとめて出力するための出力端子と、
前記複数の入力端子からそれぞれ供給される直流電流の供給と遮断を切り替える手動で
操作が可能な開閉スイッチと、を備える収納箱と、
前記収納箱の開口を覆う蓋体と、
前記収納箱の側面に形成された第1結合部と
前記蓋体の内側面に前記第1結合部と相対向する位置に突出形成され、前記蓋体を前記
第1結合部と一体に固着させるための第2結合部と、
前記蓋体と前記収納箱の間に設けられ、前記開閉スイッチの操作部に相対向する位置に
前記開閉スイッチを手動で操作が可能な大きさに形成された開口と、前記蓋体の前記第2
結合部に対応する位置に形成され前記第2結合部を挿通し得る切り欠きとを備える内蓋と

を備え、
前記内蓋の前記切り欠きには、前記切り欠きの開放端部を除いて形成された所定深さの
側壁と、前記側壁によって形成された底を被覆する底面とを備える内蓋カバーが形成され

前記内蓋カバー内に、前記収納箱に形成された第1結合部と、前記蓋体に形成された第
2結合部とが互いに対向して位置するようになされていることを特徴とする。
【0011】
また、第2の態様の集電箱は、前記第1の態様の集電箱において、
前記第1結合部及び前記第2結合部に螺合により結合し得るネジ部が形成された軸部と
、前記軸部の終端に形成された頭部とを有し、前記収納箱の外部から前記第1結合部及び
前記第2結合部に螺合により結合し得る結合部材を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第3の態様の集電箱は、前記第2の態様の集電箱において、
前記軸部は、先端部と前記頭部との間に前記軸部よりも細径の逃げ溝部分を備え、
前記先端部を前記第2結合部から離脱した際に、前記逃げ溝部が前記第1結合部内に遊
嵌状態で支持されるようになされていることを特徴とする。
【0013】
また、第4の態様の集電箱は、前記第3の態様の集電箱において、
前記内蓋カバーの底部には、前記内蓋の前記切り欠きの開放端部と同一の側に、前記遊
嵌状態の前記結合部材を挿通し得る切り欠き口が形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、第5の態様の集電箱は、前記第2〜4のいずれかの態様の集電箱において、
前記結合部材の頭部は、人手で操作できる大きさ及び形状となされていることを特徴と
する。
【0015】
また、第6の態様の集電箱は、前記第1〜5のいずれかの態様の集電箱において、
前記内蓋に形成された開口には、前記開閉スイッチとの間の隙間を狭くするための前記
収納箱の内部側に折り曲げられた壁部材が形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、第7の態様の集電箱は、前記第1〜6のいずれかの態様の集電箱において、
前記スイッチは、前記第1結合部側の高さが前記第1結合部とは反対側の高さよりも低
くなるように、所定角度傾けて前記収納箱の底部に取り付けられていることを特徴とする

【0017】
また、第8の態様の集電箱は、前記第7の態様の集電箱において、
前記スイッチは、前記開閉スイッチの操作部が閉状態の時に前記第1結合部側となるよ
うに取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
また、第9の態様の集電箱は、前記第1の態様の集電箱において、
前記内蓋は、金属で形成され、
前記蓋体は、樹脂で形成されていることを特徴とする請求項に記載の集電箱。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様の集電箱によれば、従来では、覆うことがなかった結合部材が結合される結
合部が形成される部分も内蓋カバーを形成することで切り欠き部分をすべて覆うことがで
きるので、開閉スイッチの操作部以外の部分は、内蓋で覆うことが可能となる。そのため
、蓋体を取り外し、開閉スイッチを手動で操作する際、他の電子部品に触れることがない
ので、使用者が感電等することを抑制でき、安全性を高めることができるとともに、電子
部品に触れないので、電子部品の故障のリスクを減らすことができる。
【0020】
第2の態様の集電箱によれば、収納箱と蓋体とを結合する結合部材を螺合によるねじや
ボルト等を用いることができるので、作業を容易に行うことができる。
【0021】
第3の態様の集電箱によれば、結合部材は、収納箱の第1結合部に遊嵌状態で支持され
ていることで、集電箱から外さずにおくことができるので、結合部材の紛失を抑制するこ
とができる。
【0022】
第4の態様の集電箱によれば、内蓋カバーに切り欠き口が形成されていることで、第1
結合部とこの第1結合部に遊嵌状態に支持された結合部材を取り付けたまま、内蓋を着脱
することができる。なお、内蓋カバーに形成された結合部を通過させる切り欠き口は、蓋
体に形成された第1結合部及び結合部材により塞がれるので、指等が入る隙間が形成され
ることを抑制することができる。
【0023】
第5の態様の集電箱によれば、結合部材の操作を、結合部材の着脱を手動で行うことが
できるので、特別な工具や技術を用いることなく容易に行うことができる。
【0024】
第6の態様の集電箱によれば、内蓋の開閉スイッチの操作部が操作される開口の周囲の
隙間も壁部材により塞がれているので、指等が侵入する隙間を塞ぎ、電子部品に触れるこ
とをより抑制することができる。
【0025】
第7の態様の集電箱によれば、開閉スイッチが所定角度傾けて取り付けられているので
、操作部は垂直に比べやや下を向いて配置されることになり、例えば、集電箱が高所に配
置されていたとしても下方からの操作がしやすくなる。
【0026】
第8の態様の集電箱によれば、例えば、地震や火災等のとき、操作部を下げる操作の方
が容易であるため、緊急の対応がとりやすい。また、地震等の振動により、操作部が重力
により下方へ移動してしまっても、閉状態となるようにしておけば、通電が遮断されるだ
けなので、後の火災等の災害に進展することを抑制することができる。
【0027】
第9の態様の集電箱によれば、内蓋が燃え難い金属で形成されているので、蓋体を樹脂
で形成しても、火災の発生を抑制することができる。また、蓋体は取り外しが頻繁に行わ
れるので、金属に比べ軽い樹脂で形成することで、作業性をよくすることができるととも
に、樹脂は金属に比べ成型が容易であり、材料費も安価であるので製造コストを減らすこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1Aは実施形態にかかる集電箱の斜視図であり、図1Bは、側面図である。
【図2】図1AにII−II線での断面図である。
【図3】図3A〜図3Cは図2の分解図であり、図3Dは図3Cの接合部材の拡大図である。
【図4】収納箱の斜視図である。
【図5】図5Aは内蓋の正面斜視図であり、図5Bは、内蓋の背面斜視図である。
【図6】収納箱と内蓋の取付けを示した斜視図である。
【図7】図7Aは収納箱と内蓋を取り付けた状態を示した部分断面図であり、図7Bは図7AのVIIB方向から見た図であり、図7Cは収納箱、内蓋及び蓋体を取り付けた状態を示した部分断面図である。
【図8】開閉スイッチの変形例を示した断面図である。
【図9】従来例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について、実施形態及び図面を参照しながら詳細に
説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための集電箱
の一例を説明するものであって、本発明をこの実施形態に記載された集電箱に特定するこ
とを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のもの
にも等しく適応し得るものである。
【0030】
[実施形態]
集電箱10は、図1〜図3に示すように、収納箱11とそれを覆う蓋体22と、収納箱
11と蓋体22の間に設けられる内蓋25と、収納箱11と蓋体22とを結合する結合部
材32で構成されている。そして、この集電箱10は収納箱11の底面11eに設けられ
た固定部12と家の壁等にボルト等で固定されている。また、この集電箱10には、太陽
電池パネルから電力が入力されるために導かれる配線とパワーコンディショナーへ出力さ
れるために導かれる配線が接続されているが、図示は省略する。
【0031】
次に、図1〜図7を参照して、実施形態に係る集電箱10を構成する各部品について説
明する。図2〜図4に示すように収納箱11は、一方が開放された箱状体であり、集電箱
10が壁等に取り付けられたとき、壁側に面する矩形状の底面11eと、この底面11e
の端辺からそれぞれ立設された矩形状の上側面11a、下側面11b及び左右の両側面1
1c、11dで構成されており、その内部には、コイル13、コンデンサー14及び開閉
スイッチ15等の各種電子部品(図4参照)や、内部の熱を冷却するヒートシンク(図示
省略)が収納されている。なお、コイル等の各種電子部品は公知のものであるので詳細な
説明は省略する。
【0032】
開閉スイッチ15はON(開)及びOFF(閉)の切換が可能な操作部16を有してお
り、設置されている太陽電池パネルに対応して複数個設けられている。この開閉スイッチ
15は、太陽電池パネルから供給される電力が入力される入力端子17とパワーコンディ
ショナーへと出力する出力端子18が接続されている。このとき、操作部は、閉状態のと
きに下方に位置しているように設定されていると好ましい。このようにすることで、例え
ば、地震や火災等のとき、操作部を下げる操作の方が容易であるため、緊急の対応がとり
やすい。また、地震等の振動により、操作部が重力により下方へ移動してしまっても、閉
状態となるようにしておけば、通電が遮断されるだけなので、後の火災等の災害に進展す
ることを抑制することができる。このとき、操作部が下側に位置したときに開状態である
と通電がされてしまうので、火災等が発生する原因となるおそれもある。なお、実施形態
では、図4に示すように、開閉スイッチは3個用いた場合を示すが、これに限らず太陽電
池パネルの設置数に対応して増減させることもできる。
【0033】
収納箱11の上側面11aには、蓋体22と液密に結合されるように突出した係合突部
19が形成されている。また、収納箱11の下側面11bには、第1結合部20が形成さ
れている。この第1結合部20は、収納箱11の略中心部であって、後述する蓋体22に
形成された第2結合部24と同じ縦軸上に対応する位置に、収納箱11の内側に向かって
凸状に形成されている。
【0034】
この第1結合部20には、結合部材32が挿通されるが、結合部材32は、第2結合部
24との結合が外れたとき、第1結合部20内に遊嵌状態で支持されるようになされてい
る。このようにすることで、結合部材32が損失されることを抑制することができる。
【0035】
この結合部材32は、図3C及び図3Dに示すように、第1結合部20及び第2結合部
24に螺合により結合し得るネジ部32aが形成された軸部32bと、軸部32bの終端
に形成された頭部32cとを有し、収納箱11の外部から第1結合部20及び第2結合部
24に螺合により結合し得る部材であり、軸部32bは、ネジ部32aと頭部32cとの
間に軸部32bよりも細径の逃げ溝部分32dを備えている。そして、この逃げ溝部32
dが形成されていることで、第1結合部20に上述した遊嵌状態で支持されることができ
る。なお、結合部材32は、ドライバーや六角レンチ等の工具を用いて着脱してもよいが
、実施形態の結合部材は、人の手で着脱ができるように、手持ち部に溝が形成されたいわ
ゆるローレット加工がされている。なお、人の手で作業できれば、グリップ状等に形成さ
れていてもよい。
【0036】
次に、図1〜図3に示すように、蓋体22は、収納箱11の開放された面を覆うことが
できる大きさの所定厚さを有する矩形状の板状体で形成された蓋板面22eと、この蓋板
面22eの4辺から収納箱11側に所定長さの側壁22a〜22dが立設された箱状体で
形成されており、収納箱11の各側面11a〜11dの端部と液密に被さるようになって
いる。このように被さることで、例えば集電箱10が屋外に設置された場合などにおいて
雨水等の浸入を抑制することができる。また、蓋体22の上方の収納箱側に立設された側
面22aには収納箱11の係合突部19と液密に係合されるように下方に突出した係合垂
下部23が形成されている。
【0037】
また、蓋体22の収納箱11と接近する内側には、やや突出した位置に第2結合部24
が形成され、この第2結合部24は、収納箱11に形成された第1結合部20と、結合部
材32で結合できるように第1結合部20と対応する位置に形成されている。この第2結
合部24も、凸状に形成されており、この凸状部分が結合部材31と螺合される。
【0038】
次に、内蓋25は、図3b及び図5に示すように、蓋体22よりやや薄い厚さを有する
板状体で形成されており、収納箱11に取り付けられるように、収納箱11に形成された
係止片21(図4参照)と係止できる係止溝26(図6参照)や、ねじ孔27等が形成さ
れている。
【0039】
内蓋25は、収納箱11内に設けられた開閉スイッチ15の操作部16に対応する位置
に開口28が形成されており、内蓋25が収納箱11に取り付けられたとき、この開口2
8から、操作部16が突出するように配置されている。さらに、この開口28には、内蓋
25と開閉スイッチ15との間に形成された隙間を狭くするために、収納箱11の内部側
に折り曲げられた壁部材28aが形成されている。この壁部材28aにより、開閉スイッ
チ15と収納箱11の隙間から使用者の指等が侵入することを抑制することができる。な
お、実施形態では、開口28は矩形状であるため、壁部材28aは4面に形成されている
。また、開口28の周囲には、操作する開閉スイッチ15の操作部16の区別ができるよ
うに表示部33(図6参照)が設けられている。このようにすることで、使用者の誤操作
を抑制することができる。
【0040】
また、内蓋25の下方側端部には、蓋体22に形成された第2結合部24に対応する位
置に第2結合部24が挿通可能な大きさの切り欠き29が形成されている。この切り欠き
29は、収納箱11に内蓋25を取り付けた後、蓋体22を取り付けるため、蓋体22に
形成された第2結合部24が、収納箱11に形成された第1結合部20と対応する位置に
配置されるために形成されたものである。さらに、この切り欠き29には、内蓋25が切
り欠き29により開放された部分を除いて収納箱11の内部側に向かって所定深さで形成
された3面の側壁30a、30b、30cと、この側壁30a、30b、30cの端部を
覆うように形成された底面30dにより形成された内蓋カバー30が設けられている。こ
の内蓋カバー30は、収納箱11に取り付けられたとき、収納箱11に形成された第1結
合部20を囲うような形で形成されている。
【0041】
また、内蓋カバー30の底面30dには、内蓋25の切り欠き29の開放されている方
向と同じ方向に、第1結合部20と遊嵌状態に納まっている結合部材32とを挿通し得る
大きさの切り欠き口31が形成されている。この切り欠き口31が設けられていることで
、第1結合部20と遊嵌状態の結合部材32を納めたまま内蓋25を取り付けることがで
きる。
【0042】
次に、図1、図2、図6及び図7を参照して、収納箱11、蓋体22及び内蓋25の取
付けについて説明する。まず、収納箱11を屋内の壁と収納箱11に形成された固定部1
2とをボルト等で固定する。このとき、収納箱11と壁との間に固定部12を設けて隙間
を作ることで、放熱等の効果を奏することができる。
【0043】
次に、収納箱11に内蓋25を取り付ける。この取り付けは、まず、収納箱11に設け
られた係止片21と内蓋25に形成された係止溝26とを係止し、内蓋25を収納箱11
の開放された面に合わせるように移動させる。このとき、図7Aに示すように、内蓋25
の下方に形成された内蓋カバー30が、収納箱11の内部に深く侵入するが、内蓋カバー
30に形成された切り欠き口31が、収納箱11の下側面11bに形成された第1結合部
20を挿通することで内蓋25は、所定の位置に配置されて取り付けることが出来る。
【0044】
その後、収納箱11と内蓋25とをねじ等で固定する。このとき、収納箱11に設けら
れた開閉スイッチ15は、内蓋25の開口28から突出するようになり、内蓋25を取り
付けたまま、操作部16を操作することができるようになる。
【0045】
次に、収納箱11に蓋体22を取り付ける。この取り付けは、まず、収納箱11の上方
に形成された係合突部19と蓋体22の上部に形成された係合垂下部23とが係合される
。その後、蓋体22を収納箱11の開放された面を覆うように被せる。このとき、内蓋2
5の下部に設けられた切り欠き29に、蓋体22に形成された第2結合部24が挿通され
る。そして、第2結合部24は、収納箱11に形成された第1結合部20と対応する位置
に配置されることとなる。
【0046】
蓋体22が収納箱11に被せられたら、第1結合部20と第2結合部24を結合部材3
2によって固定する。この固定は、第1結合部20に遊嵌状態に支持されている結合部材
32を第2結合部24に螺合することで行われるが、このとき結合部材32を螺合のため
回転させると、第2結合部24が形成されている蓋体22が下方向に引き寄せられるよう
に移動する。そして、この移動により、上側の係合突部19と係合垂下部23とがより強
く結合することができ、より液密に密着することができるので、防水効果をより高めるこ
とができる。以上で、集電箱の取付けが完了する。
【0047】
次に開閉スイッチ15の操作の工程について説明する。開閉スイッチ15は、太陽電池
パネルからの電力の給電のON及びOFFを切り替える部分であり、太陽電池や周辺機器
に異常が生じ、至急に停止する際などに専門知識を有するサービスマンによらず一般の使
用者が操作できるものである。開閉スイッチ15の操作は、蓋体22を取り外して行われ
る。蓋体22は、結合部材32と第2結合部24との螺着を外した後、取り外される。そ
して、内蓋25の開口28から突出している操作部16を手動で操作することで行われる

【0048】
このとき、内蓋25と収納箱11との隙間は、開口28に形成された壁部材28aと内
蓋25の内蓋カバー30とによってすべて覆われているので、使用者は指等を挿入するこ
とが困難となり、内部の電子部品に触れることが抑制される。また、内蓋カバー30に形
成された切り欠き口31は、収納箱11に形成された第1結合部20及び第1結合部20
に遊嵌状態で支持されている結合部材32により塞がれているので、この切り欠き口31
からも使用者の指等を侵入させることは困難となっており、高い安全性を得ることができ
る。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、収納箱の電子部品の略すべてを覆うことができる
内蓋が設けられたことにより、蓋体を取り外して作業をする際に、収納箱内に設けられた
電子部品に触れることを抑制することができるので、安全性の高い集電箱を得ることがで
きる。
【0050】
なお、本実施形態の集電箱では、開閉スイッチ15は、壁に垂直に設けられた場合を説
明したが、これに限らず、図8に示すように、開閉スイッチ15Aを所定角度傾けて取り
付けてもよい。このようにすることで、操作部16Aの操作が行いやすくなる。特に、家
の壁の高い場所に設置された場合などは、下から見上げての操作がさらに行いやすくなる
。なお、この傾きθは、取り付ける高さにより変わるが、垂直を基準として、3°〜10
°傾けると好ましく、より好ましくは5°傾けるのが好ましい。
【0051】
また、蓋体及び内蓋は金属で形成されることが多いが、これに限らず、内蓋を金属で形
成した場合、蓋体を樹脂で形成するようにしてもよい。このようにすることで、内蓋が燃
え難い金属で形成されているので、蓋体を樹脂で形成しても、火災が発生するおそれは減
少する。また、蓋体は取り外しが頻繁に行われるので、金属に比べ軽い樹脂で形成するこ
とで、作業性をよくすることができる。さらに、金属性に比べ成型が容易であり、材料費
も安価であるので製造コストを減らすことができる。
【符号の説明】
【0052】
10…集電箱 11…収納箱 11a…上側面 11b…下側面 11e…底面 15、
15A…開閉スイッチ 16…操作部 20…第1結合部 22…蓋体 24…第2結合
部 25…内蓋 28…開口 28a…壁部材 29…切り欠き 30…内蓋カバー 3
0a〜30c…側壁 30d…底面 31…切り欠き口 32…結合部材 33…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ直流電流が供給される複数の入力端子と、前記複数の入力端子に供給される電
流をまとめて出力するための出力端子と、
前記複数の入力端子からそれぞれ供給される直流電流の供給と遮断を切り替える手動で
操作が可能な開閉スイッチと、を備える収納箱と、
前記収納箱の開口を覆う蓋体と、
前記収納箱の側面に形成された第1結合部と
前記蓋体の内側面に前記第1結合部と相対向する位置に突出形成され、前記蓋体を前記
第1結合部と一体に固着させるための第2結合部と、
前記蓋体と前記収納箱の間に設けられ、前記開閉スイッチの操作部に相対向する位置に
前記開閉スイッチを手動で操作が可能な大きさに形成された開口と、前記蓋体の前記第2
結合部に対応する位置に形成され前記第2結合部を挿通し得る切り欠きとを備える内蓋と

を備え、
前記内蓋の前記切り欠きには、前記切り欠きの開放端部を除いて形成された所定深さの
側壁と、前記側壁によって形成された底を被覆する底面とを備える内蓋カバーが形成され

前記内蓋カバー内に、前記収納箱に形成された第1結合部と、前記蓋体に形成された第
2結合部とが互いに対向して位置するようになされていることを特徴とする集電箱。
【請求項2】
前記第1結合部及び前記第2結合部に螺合により結合し得るネジ部が形成された軸部と
、前記軸部の終端に形成された頭部とを有し、前記収納箱の外部から前記第1結合部及び
前記第2結合部に螺合により結合し得る結合部材を備えることを特徴とする請求項1に記
載の集電箱。
【請求項3】
前記軸部は、先端部と前記頭部との間に前記軸部よりも細径の逃げ溝部分を備え、
前記先端部を前記第2結合部から離脱した際に、前記逃げ溝部が前記第1結合部内に遊
嵌状態で支持されるようになされていることを特徴とする請求項2に記載の集電箱。
【請求項4】
前記内蓋カバーの底部には、前記内蓋の前記切り欠きの開放端部と同一の側に、前記遊
嵌状態の前記結合部材を挿通し得る切り欠き口が形成されていることを特徴とする請求項
3に記載の集電箱。
【請求項5】
前記結合部材の頭部は、人手で操作できる大きさ及び形状となされていることを特徴と
する請求項2〜4のいずれかに記載の集電箱。
【請求項6】
前記内蓋に形成された開口には、前記開閉スイッチとの間の隙間を狭くするための前記
収納箱の内部側に折り曲げられた壁部材が形成されていることを特徴とする請求項1〜5
のいずれかに記載の集電箱。
【請求項7】
前記スイッチは、前記第1結合部側の高さが前記第1結合部とは反対側の高さよりも低
くなるように、所定角度傾けて前記収納箱の底部に取り付けられていることを特徴とする
請求項1〜6のいずれかに記載の集電箱。
【請求項8】
前記スイッチは、前記開閉スイッチの操作部が閉状態の時に前記第1結合部側となるよ
うに取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の集電箱。
【請求項9】
前記内蓋は、金属で形成され、
前記蓋体は、樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の集電箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178940(P2012−178940A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41195(P2011−41195)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(591052055)島根三洋電機株式会社 (5)
【Fターム(参考)】