説明

離型フィルム

【課題】 フレキシブルプリント配線基板の製造工程において、シンジオタクチックポリスチレンを用いた離型フィルムの優れた特性を維持しつつ、CL接着剤のフロー量、仕上がり外観シワ、成形性にも優れた離型フィルムとカバーレイプレス成形方法を提供すること。
【解決手段】
少なくとも離型側層(A)と中間層(B)とを有する離型多層フィルムであって、該離型側層(A)が、シンジオタクチックポリスチレンからなり、かつ該離型側層(A)に表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)が3〜20μmであるエンボス加工が施されていることを特徴とする離型多層フィルム。
前記離型多層フィルムに、更にポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリスチレンからなる離型反対側層(C)を備えている離型多層フィルム。
更に前記該離型反対側層(C)に表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)が3〜20μmであるエンボス加工が施されている前記離型多層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線基板の製造工程において用いられる離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(以下、FPCということがある)は、ポリイミドフィルムなど絶縁基材の表面に所定の回路を設けたフレキシブル回路部材より構成されている。このようなFPCの製造にあたっては、通常、フレキシブル回路部材を、接着剤付き耐熱樹脂フィルムであるカバーレイで被覆して絶縁及び回路保護を行い、これに離型フィルムを重ねたうえ熱盤により加熱成形(プレス工程)する。
【0003】
このようなFPCの製造にあたって、離型フィルムには様々な特性が要求される。たとえば、(1)熱プレス後、配線基板から離型フィルムが容易に剥離すること(離型性)、 (2)熱プレス時、基板表面の回路配線の凹凸によく追随し回路配線間を埋め、カバーレイから回路配線間へ滲み出す接着剤の進入を防止すること(以下、CL接着剤のフロー量という。)、(3)仕上がりFPCの外観シワがないこと(仕上がり外観シワ)が求められ、FPCの製造工程に用いられる離型フィルムは、このような特性をバランスよく保持する必要がある。さらに離型フィルムに必要な他の特性としては、FPC全体への均一な圧力による脱ボイド性(以下、成形性という。)、フィルム端面からの樹脂シミ出し量が少ないことなども挙げられる。
【0004】
FPC製造用の離型フィルムの1種として、離型層にシンジオタクチックポリスチレン(SPS)を使用したものがあり、たとえば特許第3850624号公報には最外層をシンジオタクチックポリスチレン層で構成し、中間層にシンジオタクチックポリスチレン及び/又はオレフィン系樹脂で構成した離型フィルムが記載されている。また、特許第3943254号公報には表面層がシンジオタクチックポリスチレンであって、所定範囲の結晶化度の物性を有する離型フィルムが開示されている。
【0005】
また、他の離型フィルムとして、4−メチル1−ペンテンポリメチルペンテンを用いた離型フィルムも提案されている。たとえば特開2003-334907号公報には、離型層にポリメチルペンテンを使用し、離型層にエンボス処理を施した離型フィルムが開示されている。
【0006】
しかし、シンジオタクチックポリスチレンからなる離型層を有し、エンボス加工の表面粗さが不充分な離型フィルムは、前記特性のうち「仕上がり外観シワ」が充分ではない。またポリメチルペンテンからなる離型層を有しエンボス加工による離型フィルムは、前記特性のうち「CL接着剤のフロー量」が充分ではなく、カバーレイからの接着剤シミ出し量が多くFPCの製造に用いる離型フィルムとしては未だ充分満足できる特性を備えるには至っていない。
【特許文献1】特許第3850624号公報
【特許文献2】特許第3943254号公報
【特許文献3】特開2003-334907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、シンジオタクチックポリスチレンを用いた離型フィルムの優れた特性を維持しつつ、CL接着剤のフロー量、仕上がり外観シワ、成形性にも優れた離型フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は下記(1)〜(4)記載の本発明により達成される。
【0009】
(1)少なくとも離型側層(A)と中間層(B)とを有する離型多層フィルムであって、
該離型側層(A)がシンジオタクチックポリスチレンからなり、かつ該離型側層(A)に表面粗さ3〜20μmであるエンボス加工が施されていることを特徴とする離型多層フィルム。
【0010】
(2)前記(1)記載の離型多層フィルムに、更にポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリスチレンからなる離型反対側層(C)を備えている離型多層フィルム。
【0011】
(3)前記離型反対側層(C)に表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)が3〜20μmであるエンボス加工が施されている前記(2)の離型多層フィルム。
【0012】
(4)また前記(1)〜(3)のいずれかの離型多層フィルムを用いて製造されたことを特徴とする回路基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
CL接着剤のフロー量、仕上がり外観シワ、成形性に優れた本願発明に係る離型多層フィルムを用いることにより、回路基板生産時における外観やメッキに関する不良発生頻度を低減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る離型多層フィルムの離型側層(A)は、シンジオタクチックポリスチレンからなる。シンジオタクチックポリスチレンは側鎖であるベンゼン環が交互に位置する立体規則性を有するシンジオタクチック構造を有するがポリスチレンである。具体例としては商品名「ザレックS104」(出光興産(株)製)等の市販の樹脂を用いることができる。
【0015】
本発明に係る離型多層フィルムの離型側層(A)には表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)が、3μm以上20μm以下であるエンボス加工が施される。エンボス加工による離型層表面粗さ(Rz)は5μm以上15μm以下であれことが好ましい。
【0016】
エンボス加工された離型フィルムの表面粗さ(Rz)が、3μm未満であればプレス後の仕上がり外観シワが発生し易くなり問題となる。また、20μmを越えるとCL接着剤が回路基板の凹凸の隙間からの流出量が多くなり、その結果シミ出した接着剤が固まることにより回路側面にヒゲが生じることによりメッキ付き性が問題となる。なお、表面粗さは5μm以上15μm以下であることがより好ましい。
【0017】
本願発明に係る離型多層フィルムの離型側層(A)の表面粗さ(Rz)は離型側層(A)の樹脂層厚み未満とする。離型フィルムの表面粗さ(Rz)が離型層樹脂厚みを越えると、プレス工程時に中間層からシミ出した樹脂が回路基板表面に付着し、生産上問題となる。
【0018】
本発明に係る離型多層フィルムには、クッション層である中間層が形成される
【0019】
本発明に係る離型多層フィルムの中間層には、公知の離型フィルムに用いられている樹脂が採用でき、例えばポリエチレン、ポリプロプレン等のαオレフィン系重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を共重合体成分として有するαオレフィン系共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス系樹脂が挙げられ、これらを単独あるいは複数併用してもよい。これらの中でもαオレフィン系共重合体が好ましい。具体的には、エチレン等のαオレフィンと、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体(EMMA)、およびそれらの部分イオン架橋物等が挙げられる。
【0020】
本発明に係る離型多層フィルムの中間層に用いられる樹脂としては、シンジオタクチックポリスチレンと良好な接着性すること、また、熱プレス温度で適度なクッション性を有すると共に積層フィルムの端面から流出することのない樹脂が好ましい。また、このようなクッション性を有する層の樹脂としては、軟化温度(ビカット軟化温度)50〜160℃であるのが好ましい。軟化温度が50℃未満であるとプレス時に離型フィルムの端面より樹脂が滲み出してきて当て板等に付着し、次工程への二次汚染の懸念がある。
【0021】
一方、軟化温度が160℃を超えると成形性が悪く、FPCの回路配線細部にボイドが発生する可能性があり好ましくない。なお、クッション層の厚みは特に限定されない。
【0022】
積層タイプの離型フィルムは、クッション層の片面に単層離型フィルムが積層された2層の離型フィルムであってもよいが、クッション層の両面を単層の離型フィルムとした3層以上の積層離型フィルムであることがより好ましい。
【0023】
なお、本発明のようにクッション性を付与するため中間層を積層することにより離型多層フィルムは配線基板を熱プレスする際に離型性に加え好適なクッション性を有する。
【0024】
離型フィルムの離型層の平均厚みは、強度や柔軟性、密着性を考慮して通常15〜60μm、好ましくは20〜45μmである。離型層の厚みが15μmよりも小さいと熱プレス後に離型層が破れ、FPCと離型フィルムとを剥離する際にFPC表面に離型層樹脂が残る。一方、離型層の厚みが60μmより大きくなると対形状追従性が低下しカバーレイに付着している接着剤のシミ出し量が多くなり。また成形性も悪くなり、ボイドが発生する。
【0025】
積層された離型フィルムの全体の厚みは、離型フィルムの強度や柔軟性、密着性を考慮して通常60μm〜200μm、好ましくは100μm〜150μmである。離型フィルム全体の厚さが60〜200μmの範囲であると特に離型性と埋め込み性のバランスに優れる。
【0026】
本発明に係る離型多層フィルムの離型層(および離型反対側層が設けられた場合は離型反対側層)にはインラインまたはオフラインでエンボス加工が施される。ここで、インラインでのエンボス加工とは、押出し成形によるフィルム製作の工程中においてエンボス加工を施すことを言い、オフラインでエンボス加工とは、押出し成形によりフィルムを製作した後、表面にエンボスを有するエンボスロールを用いてフィルム面にエンボス加工を施すことを言う。
【0027】
エンボス加工方法については、本発明の目的を満足し、効果を損なわない限りは、特に限定されない。例えば、オフラインでエンボス加工を施す場合、高温、高圧にて、エンボスロールにフィルムを通すことによって行う方法がある。この場合の条件としては、エンボスロールの表面温度T0(℃)は、TG−40<T0<TG+20(但し、TGは前記離型層の樹脂のガラス転移温度(℃))の範囲内である。エンボスロールの表面温度が下限値未満だと、フィルムへのエンボスの転写が不十分で表面粗さが3μm未満となる可能性があり、上限値を超えると、エンボス加工時に離型フィルムがエンボスロールに取られる可能性がある。
【0028】
エンボス加工する圧力は、特に限定されないが、線圧10〜200kgf/cm(ゲージ圧)、より好ましくは30〜120kgf/cmである。線圧が下限値未満だとエンボスによる凹凸転写が不十分となり、上限値を超えると、フィルムがエンボスロールに取られる可能性がある。
【0029】
エンボス加工に使用するマットロールの粗さは、十点平均粗さ(Rz)が3μm〜20μmである。フィルム出来上がりのRz=3〜20μmである。3μm未満だと、仕上がり外観シワが発生し、20μmを超えると、CL接着剤フロー量が多く、またエンボスの目がFPC側に転写され、仕上がり外観が良くない。
【0030】
インラインでエンボス加工を施す場合、ダイスから出てきたフィルムにタッチロールなどのエンボスを有するロールに押し当てる方法等がある。その一例としては、押出し成形された樹脂をフィルム化するため押出し成形直後に設置される第1ロール及び/またはタッチロールの表面にエンボスを有するロールを用いることにより、押出し成形加工にてダイスより溶融した樹脂が第1ロールとタッチロールにて挟持されることで第1ロール及び/またはタッチロール表面のエンボス形状が樹脂フィルムの表面に転写されることでエンボス加工され離型フィルムが製作される。
【0031】
インラインでエンボス加工を施す場合の条件としては、エンボスロールの表面温度T0(℃)は、TG−60<T0<TG(但し、TGは前記離型層の樹脂のガラス転移温度(℃))の範囲内である。T0が下限値より下回るとエンボスによる凹凸転写が不十分となり、表面粗さが3μm未満となる可能性があり、上限値を超えると、エンボス加工時に離型フィルムがエンボスロールに取られる可能性がある。
【0032】
タッチロールはエンボス加工時に均一に転写させることが出来る為、ロールの表面がゴム性であるゴムロールが好ましい。ゴムロールの材質としてはエボナイト、シリコン(常温での硬度55°)、肉厚範囲は4mm以上8mm以下がこのましい。下限値を下回るとクッション性がなくなり均一な転写にならず、しわが発生する可能性がある。上限を超えるとゴム表面の冷却効率が悪化し、タッチロールにとられるおそれがある。更にとられを防止する為荷をポリテトラフルオロエチレン樹脂を巻くことが好ましい。
【0033】
本発明に係る離型多層フィルムには、ポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリスチレンからなる離型反対側層を備えることができる。
【0034】
本発明に係る離型多層フィルムの離型反対側層に使用されるポリプロピレンの種類は、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーが挙げられる。プロピレンの厚みは特に規定しない。
【0035】
本発明の主たる構成要素は、第1の態様では離型側層、中間層の2層、第2の態様では離型側層、中間層、離型反対側層の3層であるが、離型側層と中間層の層間、および中間層と離型反対側層の層間に接着樹脂層を介してもさしつかえなく、接着樹脂層の内容については、特に規定するものではない。
【0036】
本発明の離型フィルムの製造法は特に限定されるものではないが、多層のフィルムを製造するには共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法など離型フィルムについて従来公知の製造法がいずれも用いることができる。
【0037】
このようにして得られた本発明の離型フィルムは、FPCの製造工程において公知の離型フィルムと同様にカバーレイのプレスラミネート用の離型フィルムとして用いられる。たとえば、当て板/TPX単層フィルム/クッション紙/離型多層フィルム/カバーレイフィルム/フレキシブルプリント配線板/TPX単層フィルム/当て板のプレス構成にてプレス工程に供給する。プレス工程は加圧状態下、例えば150〜200℃、好ましくは160〜185℃まで昇温し、この温度で30〜90分間、好ましくは45〜80分間維持する。その後、常温まで冷却する。ここで昇温速度は特には限定されないが5〜30℃/分が好ましく、特に8〜20℃/分が好ましい。加圧条件も特に限定はないが、1〜4MPaが好ましく、特に2〜3MPaが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下に本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。実施例及び比較例において使用した原材料及びその物性は以下のとおりである。
(a)シンジオタクチックポリスチレン(SPS):ザレック S104(出光興産(株)製)
(b)ポリポロピレン(PP):ノーブレン FS2011DG2(住友化学(株)製)
(c)エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMMA):
アクリフト WD105−1(住友化学(株)製)
(d) 4−メチル1−ペンテンポリメチルペンテンとαオレフィンとの共重合体(TPX):
MX004(三井化学(株)製)
[実施例1〜10及び比較例1〜6]
(試料調製)
実施例1〜11及び比較例1〜3、および6では、3台の押出機に離型層樹脂、クッション層樹脂、離型層樹脂として、表1に示す各組成のポリマーを供給し、三層ダイス(300℃)より共押出して所定の厚さの離型多層フィルムを作成した。 比較例4,5では、1台の押出機に表1に示す組成の離型層樹脂を供給し、単層ダイス(300℃)より押出して所定の厚さの離型単層フィルムを作成した。 実施例9はオフラインでエンボス加工を施し、その他の実施例、比較例はインラインでエンボス加工を施した。比較例1については、エンボス処理を施さなかった。実施例10については、離型反対側層にPPを、実施例11については中間層にPPを使用した。比較例6については、離型側層および離型反対側層に4−メチル1−ペンテンポリメチルペンテンを使用した。
【0039】
前記試料調整により作成された離型フィルムを用い、当て板/TPX単層フィルム/クッション紙/離型フィルム/カバーレイフィルム/フレキシブルプリント配線板/離型フィルム/TPX単層フィルム/当て板のプレス構成にて一段型プレス機によりプレスした。プレスにあたっては加圧(3MPa)条件下、昇温速度10℃/分にて170℃まで昇温した。ついで、同温度にて30分間保持し、その後、常温まで冷却した。次にこれを取り出し評価した。
【0040】
なお、評価はJPCA規格(デザインガイドマニュアル・片面及び両面フレキシブルプリント配線板・JPCA―DG02、以下、JPCA規格と略す)に準拠し、以下のような項目と基準で行った。結果を表1に示す。離型フィルムの表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)は、表面粗さ形状測定機(東京精密社製、HANDYSURF E−35A)を用いて測定した。測定条件は、JIS B0601に準拠し、測定巾4000μm、速度0.6mm/Sで行った。
【0041】
(1)離型性(離型フィルムの破れ)
離型性は「JPCA規格の7.5.7.1項表面の付着物」に準拠し、回路基板製造後に離型フィルムと回路基板の剥離状態を目視で評価した。各符号は以下のとおりである。
×を不合格とし、それ以外を合格とした。
◎:破れ発生率 1.0%未満
○:破れ発生率 1.0%以上2.0%未満
×:破れ発生率 2.0%以上
【0042】
(2)CL接着剤のフロー量
回路基板にカバーレイフィルムの接着剤層の染み出しがあるか否かを、「JPCA規格の7.5.3.6項のカバーレイの接着剤の流れおよびカバーコートのにじみ」に準拠し、回路端子部へのシミ出し量を評価した。
各符号は以下のとおりである。△および×を不合格とし、それ以外を合格とした。
◎:フロー量 80μm未満
○:フロー量 80μm以上100μm未満
△:フロー量 100μm以上150μm未満
×:フロー量 150μm以上
【0043】
(3)仕上がり外観シワ
仕上がり外観シワは、「JPCA規格の7.5.7.2項のシワ」に準じて評価した。
各符号は以下のとおりである。×を不合格とし、それ以外を合格とした。
○:シワ発生率 2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
【0044】
(4)成形性
成形性は、「JPCA規格の7.5.3.3項の気泡」に準じて評価した。各符号は、以下の通りである。×を不合格とし、それ以外を合格とした。
○:ボイド発生率 2.0%未満
×:ボイド発生率 2.0%以上
【0045】
(5)フィルム端面シミ出し長さ
離型フィルム端面シミ出し長さ(フィルム4方向端面からの樹脂がシミ出した長さを測定)により評価した。×を不合格とし、それ以外を合格とした。
○:シミ出し長さ 5mm未満
×:シミ出し長さ 5mm以上

これらの結果を表1〜3に示した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る離型多層フィルムは熱プレス時の仕上がり外観シワの発生を防止でき更にカバーレイからの接着剤のシミ出しも完全に防止できるためフレキシブルプリント配線基板の製造工程で用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも離型側層(A)と中間層(B)とを有する離型多層フィルムであって、該離型側層(A)が、シンジオタクチックポリスチレンからなり、かつ該離型側層(A)に表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)が3〜20μmであるエンボス加工が施されていることを特徴とする離型多層フィルム。
【請求項2】
前記請求項1記載の離型多層フィルムに、更にポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリスチレンからなる離型反対側層(C)を備えている離型多層フィルム。
【請求項3】
前記該離型反対側層(C)に表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)が3〜20μmであるエンボス加工が施されている請求項2記載の離型多層フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の離型フィルムを用いて製造されたことを特徴とする回路基板の製造方法。

【公開番号】特開2009−241410(P2009−241410A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90826(P2008−90826)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】