雨水等処理施設用構造体、雨水等処理施設用構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設
【課題】 優れた機械的強度を有し、且、施工作業を容易に実行しうる雨水等処理施設用構造体、雨水等処理施設用構造体ブロック、及び、これを用いた雨水等処理施設を提供する。
【解決手段】 第1及び第2の半割り部材10、20は、アーチ状である。中間板31は、板面の一面315、及び、他面316において、対向辺に溝状の第1の嵌合部311、及び、第2の嵌合部312を備えている。第1及び第2の半割り部材10、20は、中間板31の一面315、及び、他面316のそれぞれにおいて、両端縁13、14が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている、
上述した構造体1は、周囲が透水/遮水層5により被覆されて地中に埋設され、雨水等処理施設に用いられる。
【解決手段】 第1及び第2の半割り部材10、20は、アーチ状である。中間板31は、板面の一面315、及び、他面316において、対向辺に溝状の第1の嵌合部311、及び、第2の嵌合部312を備えている。第1及び第2の半割り部材10、20は、中間板31の一面315、及び、他面316のそれぞれにおいて、両端縁13、14が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている、
上述した構造体1は、周囲が透水/遮水層5により被覆されて地中に埋設され、雨水等処理施設に用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水等処理施設用構造体(以下、単に構造体と称する)、雨水等処理施設用構造体ブロック(以下、単に構造体ブロックと称する)、及び、これらを用いた雨水等処理施設に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水等処理施設には、雨水等を地中に排出して緩やかに浸透させるために埋設される浸透トレンチや、集水した雨水等を貯留するために埋設される雨水等貯留施設、さらには集水した雨水等を一時的に貯留してのち、地中に排出して緩やかに浸透させるために埋設される雨水等貯留浸透施設などがある。
【0003】
この種の雨水等処理施設は、通常、何らかの構造体を内蔵している。例えば、浸透トレンチは、透水管と、充填砕石と、透水シートとを含み、透水管に雨水等を流入させるとともに、透水管から雨水等を地中に排出し、且、充填砕石を通して地中へ分散浸透させる。特許文献1に示す浸透トレンチにおいて、透水管には、2つの半割り部材が上下反転して筒状に組み合わされている構造体が用いられている。
【0004】
また、特許文献2及び3に示す雨水等処理施設は、設置穴の内部に複数の半割り部材、及び、これらを組み合わせた構造体が配置されている。構造体は、設置穴の内壁面の崩壊を防止し、雨水等の貯留空間を確保する。
【0005】
上述したように、この種の雨水等処理施設に用いられる構造体は、いずれも地中に埋設されるものであるから、周囲から加えられる土圧に対抗しうる機械的強度を備えていることが重要である。
【0006】
また、この種の雨水等処理施設は広い設置面積を要するため、道路や駐車場の地下に設置されることが多い。従って、構造体は、車両の往来や、駐車時の車両重量など、特に、地表面から垂直方向に加えられる押し圧力に対して、優れた機械的強度を備えていることが重要である。
【0007】
しかし、特許文献1乃至3に開示されているように、この種の構造体において、2つの半割り部材が上下反転して筒状に組み合わされている構造によると、組み合わせ面の結合強度を充分に確保することができなかった。特に、構造体は、地表面からの垂直方向に加えられる押し圧力に対して弱くなる傾向にあり、組み合わせ面に沿って水平方向に変形してしまう問題を生じていた。
【特許文献1】特開2002−129639号公報
【特許文献2】特開2000−008312号公報
【特許文献3】特開2000−008313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、優れた機械的強度を有する構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの課題は、運搬、移動、組み立て配置等の施工作業を容易に実行しうる構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明に係る構造体は、2つの半割り部材と、中間板とを含む。半割り部材は、アーチ状である。中間板は、板面の一面、及び、他面において、対向辺に溝状の嵌合部を備えている。2つの半割り部材は、中間板の一面、及び、他面のそれぞれにおいて、両端縁が、嵌合部に嵌合されている。
【0011】
上述したように、構造体は、半割り部材と、中間板とに分離されているから、嵩張らない態様で運搬することができる。
【0012】
構造体は、半割り部材のアーチ状の両端縁が、中間板の一面及び他面のそれぞれにおいて嵌合部に嵌合され、中間板を介して筒状に組み合わされているから、筒状の内部空間を雨水等の流路又は貯留空間として利用することができる。
【0013】
また、半割り部材のアーチ状の両端縁は、中間板の嵌合部に嵌合されているから、構造体に押し圧力が加えられ、半割り部材の両端縁が広がる方向に変形しようとした場合、両端縁の変形移動を中間板との嵌合構造より制御することができる。従って、優れた機械的強度を有する構造体を得ることができる。
【0014】
さらに、半割り部材のアーチ状の両端縁は、中間板の嵌合部に嵌合されているから、構造体の組み合わせ配置作業において、別途結合部材を用いる必要がない。従って、構造体の組み合わせ配置作業を、容易、且、安価に実行することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様において、構造体は、複数が、幅方向、長手方向、又は、高さ方向に並べられて構造体ブロックを構成する。この構成によると、構造体ブロックは、雨水等処理施設に用いた場合に、様々な施工条件に追従することができる。例えば、構造体ブロックは、複数の構造体を長手方向に連続して配置することにより、浸透トレンチに用いた場合に、流路の全長を調節することができる。また、複数の構造体を幅方向、及び、高さ方向に積層配置することにより、雨水等貯留施設、及び、雨水等貯留浸透施設に用いた場合に、雨水等の貯留空間を調節することができる。
【0016】
本発明のもう一つの好ましい態様において、構造体ブロックは、幅方向に隣接する中間板の端縁が連結されている。この構造によると、構造体ブロックは、構造的な一体性に優れ、良好な機械的強度を有することができる。
【0017】
上述した構造体、又は、構造体ブロックは、それぞれ透水層又は遮水層と組み合わされて、雨水等処理施設に用いられる。本発明に係る雨水等処理施設において、構造体又は構造体ブロックは、周囲が透水層又は遮水層により被覆されて地中に埋設される。
【0018】
本発明に係る雨水等処理施設は、上述した構造体又は構造体ブロックを含むから、上述した利点を全て含む。例えば、構造体又は構造体ブロックは、半割り部材のアーチ状の両端縁は、中間板の嵌合部に嵌合されているから、雨水等処理施設が道路や駐車場の地下に設置されたとしても、地表面から加えられる押し圧力により変形することなく、優れた機械的強度を安定的に維持することができる。
【0019】
また、構造体又は構造体ブロックは、優れた機械的強度を有するから、従来のように構造体の周囲に充填砕石を敷設する必要はない。従って、雨水等処理施設の製造コストおよび施工コストを低減することができるとともに、広い雨水等の貯留空間を確保することができる。
【0020】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)優れた機械的強度を有する構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することができる。
(2)運搬、移動、組み立て配置等の施工作業を容易に実行しうる構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明に係る構造体の斜視図、図2は図1に示した構造体の組み立て構造を示す斜視図である。
【0023】
また、構造体を構成する半割り部材について、図3は図1及び図2に示した半割り部材の平面図、図4は図3の4−4線に沿った断面図、図5は図1及び図2に示した中間板の平面図である。
【0024】
さらに、構造体を構成する中間板について、図6は図5に示した中間板の正面図、図7は図6に示した中間板の正面図について一部を拡大して示す図、図8は図5に示した中間板の一部を破断して示す側面図である。
【0025】
図1及び図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る構造体は、第1の半割り部材10と、第2の半割り部材20と、中間板31とを含む。これらは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の適当な合成樹脂材料、または、合成樹脂材料と無機粉体とを混合した複合材料を用いた成型品として構成することができる。
【0026】
まず、構造体を構成する半割り部材について、図1乃至図4を参照すると、第1の半割り部材10は、アーチ状であって、縦リブ11と、横リブ12と、両端縁13、14と、天面部分15を含む。
【0027】
縦リブ11は、天面部分15において、内周側に突出する(図4参照)とともに、長手方向a1に沿って断続的に備えられている。この縦リブ11の構造により、天面部分15には、縦リブ11の形成部分以外の面151及び152が、それぞれ長手方向a1に沿って連続するとともに、互いに平行して形成される。縦リブ11、及び、縦リブ11により形成される部分151及び152は、第1の半割り部材10に必要とされる機械的強度に応じて、幅寸法、設置数、及び、設置場所等が決定される。
【0028】
横リブ12は、複数が、長手方向a1に沿って間隔d1を隔てて備えられているとともに、それぞれが長手方向a1に直交する幅方向w1に沿って条状に備えられている。即ち、横リブ12は、長手方向a1に沿ってピッチ間隔d1で凹凸を交互に繰り返す形状(所謂、断面波形形状)である。縦リブ11と同様に、横リブ12もまた、第1の半割り部材10に必要とされる機械的強度に応じて、設置数、幅寸法、及び、ピッチ間隔d1が決定される。
【0029】
第1の半割り部材10は、アーチ状であって、天面部分15に相対向する位置に、開放面16を有する。アーチ状の両端縁13、14は、開放面16の両端に備えられ、それぞれ起点153から開放面16と平行する広がり方向に立ち上がっている(図4参照)。即ち、図1乃至図4に示す第1の半割り部材10は、正面視した形状が台形形状であるが、半割り部材のアーチ形状は、三角形形状、多角形形状、さらには円弧形状であってもよい。
【0030】
第2の半割り部材20は、第1の半割り部材10を上下反転したものを用いることができる。第2の半割り部材20は、アーチ状であって、縦リブ21と、横リブ22と、両端縁23、24と、底面部分25を含む。
【0031】
縦リブ21は、底面部分25において、内周側に突出するとともに、長手方向a1に沿って断続的に備えられている。この縦リブ21の構造により、底面部分25には、縦リブ21の形成部分以外の面151及び152が、それぞれ長手方向a1に沿って連続するとともに、互いに平行して形成されている。
【0032】
横リブ22は、複数が、長手方向a1に沿って間隔d1を隔てて備えられているとともに、それぞれが長手方向a1に直交する幅方向w1に沿って条状に備えられている。即ち、横リブ22は、長手方向a1に沿ってピッチ間隔d1で凹凸を交互に繰り返す形状(所謂、断面波形形状)である。
【0033】
第2の半割り部材20は、アーチ状であって、底面部分25に相対向する位置に、開放面26を有する。両端縁23、24は、開放面26の両端に備えられ、それぞれ起点253から開放面26と平行する広がり方向に立ち上がっている。即ち、図1乃至図4に示す第2の半割り部材20は、正面視した形状が台形形状である。
【0034】
次に、構造体を構成する中間板について、主に図5乃至図7を参照すると、中間板31は、基板部分310と、第1の嵌合部311と、第2の嵌合部312とを備えている。
【0035】
第1の嵌合部311は、凹溝状であって、中間板31の一面315及び他面316において、少なくとも1組の対向辺に沿って連続して備えられている。より詳細に説明すると、第1の嵌合部311は、一面315及び他面316の相対する位置に、それぞれ第1の突壁部317と、第2の突壁部318とを有する。第1の突壁部317は中間板31の外周側に備えられており、中間板31の板面S0から高さh2で立ち上がっている。第2の突壁部318は中間板31の内周側に備えられており、中間板31の板面S0から高さh2で立ち上がっている。
【0036】
第1の嵌合部311は、第1及び第2の突壁部317、318が、間隔d2を隔てて対向して備えられており、中間板31の板面S0、及び、向かい合う第1の突壁部317の内側面S1と、第2の突壁部318の内側面S2により凹溝状に形成されている。第1及び第2の突壁部317、318は、第1又は第2の半割り部材10、20を挟持するために備えられるから、上端に内向きフック等の係止構造を有することもできる。
【0037】
また、第2の突壁部318の内側面S2は、好ましくは内側方向に立ち上がるテーパ面を有する(図6参照)。第2の突壁部318の内側面S2がテーパ面を有する構成によると、第1又は第2の半割り部材10、20を第1の嵌合部311に組み合わせたときに、両端縁を、テーパ面に沿って凹溝状の内部に案内することができる。
【0038】
第2の嵌合部312は、第1の嵌合部311を左右反転した形状を有する。即ち、第2の嵌合部312は、凹溝状であって、一面315及び他面316において、少なくとも1組の対向辺に沿って連続して備えられている。より詳細に説明すると、第2の嵌合部312は、一面315及び他面316の相対する位置に、それぞれ第1の突壁部317と、第2の突壁部318とを有する。
【0039】
第2の嵌合部312は、第1及び第2の突壁部317、318が、間隔d2を隔てて対向して備えられており、中間板31の板面S0と、第1及び第2の突壁部317、318の向かい合う内側面S1、S2により凹溝状に形成されている。
【0040】
さらに、中間板31は、好ましくは、第1及び第2の嵌合部311、312に挟まれている基板部分310が、断面波形形状になっている(図7参照)。即ち、基板部分310は、長手方向a1に交互に凹凸を繰り返して延びており、且、それぞれが長手方向a1に直交する幅方向w1に沿って条状に備えられている。
【0041】
再び図1及び図8を参照して説明する。第1及び第2の半割り部材10、20と、中間板31との組み合わせについて、第1の半割り部材10は、一面315において、両端縁13及び14が、それぞれ第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている。同様に、第2の半割り部材20は、他面316において、両端縁23及び24が、それぞれ第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている。
【0042】
両者の組み合わせについて、例えば第1の半割り部材10は、両端縁13、14が、第1及び第2の嵌合部311、312のそれぞれにおいて、第1の及び第2の突壁部317、318の相対抗面間に挿入され、その際に生じる凹凸嵌合により、中間板31の一面315に結合される。両端縁13、14は、第1及び第2の嵌合部311、312の内部において、好ましくは第1の突壁部317の内側面S1に接触し、保持されている。
【0043】
構造体は、雨水等処理施設に用いられる場合には、好ましくは第1及び第2の半割り部材10、20、中間板31にそれぞれ、通水孔(図示しない)が備えられる。構造体は、合成樹脂材料でなるから、例えば通水孔の穿設加工を容易に行うことができる。
【0044】
上述したように、構造体は、第1及び第2の半割り部材10、20と、中間板31とに分離されているから、中間板31、第1及び第2の半割り部材10、20を、嵩張ることのない態様で輸送することができる。従って、輸送コストが低減される共に、輸送が容易になる。具体的には、第1及び第2の半割り部材10、20は広口形状であるから、同一向きに重ねることにより嵩張りを回避し得る。また、図示の中間板31は平板状であり、嵩張らない状態で重ねて輸送できる。
【0045】
第1及び第2の半割り部材10、20は、縦リブ11と、横リブ12とを含む。縦リブ11は、長手方向a1に沿って備えられている。横リブ12は、複数が長手方向a1に沿って間隔d1を隔てて備えられているとともに、それぞれが幅方向w1に沿って条状に備えられている。この構成によると構造体は、全周方向からの加圧力に対して優れた機械的強度を備えることができる。
【0046】
さらに、第1及び第2の半割り部材10、20は、縦リブ11と、横リブ12とを有しており、機械的強度に優れているので、薄型に成形することができる。従って、第1及び第2の半割り部材10、20は、軽量であって、運搬、移動、組み立て配置等の施工作業を容易に実行することができる。
【0047】
第1及び第2の半割り部材10、20は、両端縁13及び14(23及び24)が、開放面16(26)の両端に備えられ、且、起点153(253)から開放面16と平行する方向に広がっているから、第1及び第2の半割り部材10、20を筒状に組み合わせた場合に広い内部空間を有することができる。従って、構造体を雨水等処理施設に用いた場合に、空間率の高い筒状の内部空間を、雨水等の流路または貯留空間として利用することができる。
【0048】
中間板31は、一面315及び他面316において、少なくとも1組の対向辺に、第1及び第2の嵌合部311、312が備えられている。第1及び第2の半割り部材10、20は、一面315及び他面316のそれぞれにおいて、両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている構成によると、構造体に対して押し圧力が加えられ、第1及び第2の半割り部材10、20が開放面16(26)と平行する方向に変形しようとした場合、両端縁13及び14(23及び24)の変形移動を、第1及び第2の嵌合部311、312により制御することができる。従って構造体は、優れた機械的強度を有することができる。
【0049】
また、第1及び第2の半割り部材10、20は、一面315及び他面316のそれぞれにおいて、両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されているから、構造体の組み立て作業において、別途結合部材を用いる必要がなくなる。従って、構造体の組み立て作業を、容易、且、安価に実行することができる。
【0050】
図1及び図8に示した構造体は、透水層などと組み合わされて、雨水等処理施設を構成する。次に、本発明の一実施形態に係る構造体を用いた雨水等処理施設について説明する。図9は本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す側面断面図、図10は図9に示した雨水等処理施設の正面断面図である。図9及び図10において、図1及び図8に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0051】
本発明の一実施形態に係る雨水等処理施設において、構造体1は、複数が長手方向a1に配置され、周囲が透水層5により被覆されて地中に埋設されている。より詳細に説明すると、図9及び図10に示す雨水等処理施設は、所謂、浸透トレンチである。構造体1は、好ましくは、地表面Gからの埋設深さが500〜600mmとなるように埋設されている。雨水等処理施設は、構造体1の周囲が不織布等の透水層5によって覆われており、透水層5を通じて構造体1の内部を流れる雨水等が地中に排出されるとともに、透水層5により構造体1の内部への土砂の流入が阻止されている。
【0052】
本発明の一実施形態に係る雨水等処理施設は、図1及び図8を参照して説明した構造体1を含むから、上述した利点を全て有する。例えば、構造体1は、第1及び第2の半割り部材10、20の両端縁13及び14(23及び24)が、それぞれ第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されているから、雨水等処理施設が道路や駐車場の地下に設置されたとしても、地表面Gから加えられる押し圧力により変形する問題は生じない。従って、構造体1、及び、これを含む雨水等処理施設は、優れた機械的強度を有するとともに、これを安定的に維持することができる。
【0053】
また、構造体1は、優れた機械的強度を有するとともに、筒状の内部に広い流路空間を有するから、従来のように構造体1の周囲に充填砕石を敷設する必要はない。従って、雨水等処理施設の製造コストおよび施工コストを低減することができる。
【0054】
図9及び図10において、構造体1が、雨水等貯留浸透施設に用いられる場合、好ましくは、中間板31、第1及び第2の半割り部材10、20の面内には、通水孔(図示しない)が備えられるから、外部配管(図示しない)から構造体1の内部に流入した雨水等を、通水孔(図示しない)、及び、透水層5を通して地中に浸透させることができる。
【0055】
第1及び第2の半割り部材10、20は、両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されているから、周囲からの土圧や、特に地表Gから加わる押し圧力によって、第1及び第2の半割り部材10、20が幅方向w1に広がろうとする変形が中間板31により制御される。従って、構造体1は、地表面Gから加わる押し圧力に対して十分な機械的強度を確保することができる。
【0056】
また、構造体1は、地中に埋設されており、土圧により周囲から常時加圧される状態にあるから、その土圧を利用して第1及び第2の半割り部材10、20と、中間板31とが強固に結合される。従って、構造体1は、地表Gから加わる押し圧力に対して十分な機械的強度を備えていれば、その組み立てに際してビスや止め具等の結合部材を用いる必要がなく、組み立て、配置作業を容易に実行することができる。
【0057】
図9及び図10において、不織布等の透水層5を、ビニールシート等の遮水層5に替え、遮水層5によって構造体1の周囲を覆えば、雨水等貯留施設を構成できる。
【0058】
以上の説明は、最初に述べたように、最小単位としての構造体を用いた場合の雨水等処理施設として、所謂、浸透トレンチに適用した場合の実施形態である。本発明に係る構造体は、複数を連続して配置することにより構造体ブロックを構成し、より大型の雨水等処理施設に用いることもできる。図11は本発明に係る構造体ブロックの斜視図である。また、構造体ブロックを構成する中間板について、図12は図10に示した構造体ブロックにおいて中間板の分解構造を示す平面図、図13は図11に示した構造体ブロックにおいて中間板の組み立て状態を示す平面図、図14は図13の一部を拡大して示す正面図である。図11乃至図14において、図1乃至図8に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0059】
図11乃至図14に示す構造体ブロックは、図1及び図8を参照して説明した構造体1を複数用いて幅方向w1、及び、高さ方向h1に積層配置したものでなる。図11では省略しているが、構造体1は、長手方向a1に連接配置することもできる。図11乃至図14に示す構造体ブロックは、図1及び図8を参照して説明した構造体と同様の構造及び利点を有する。
【0060】
さらに、図11乃至図14を参照すると、本発明の一実施形態に係る構造体ブロックは、幅方向w1に隣接する中間板31の対向辺が連結されている構造に特長がある。図11を参照してより詳細に説明すると、本発明の一実施形態に係る構造体ブロックは、それぞれ形態の異なる第1〜第3の中間板33〜33を有している。
【0061】
第1の中間板31は、第1の嵌合部311と、第2の嵌合部312とを有する。第1の嵌合部311は、図1乃至図8を参照して説明した第1の嵌合部311と同一の構造であって、一面315及び他面316において、対向辺に沿って連続して備えられている。第1の嵌合部311は、間隔d2を隔てて対向する第1及び第2の突壁部317、318を有しており、中間板31の板面S0と、第1の突壁部317の側面S1、及び、第2の突壁部318の側面S2により凹溝状に形成されている(図7参照)。
【0062】
一方、第2の嵌合部312は、一面315及び他面316において、第1の嵌合部311に相対向する対向辺に沿って断続的に備えられている。第2の嵌合部312は、平面視した形状が凹凸状に形成されており、且、凸状部分に間隔d2を隔てて対向する第1〜第3の突壁部317〜319を有している。第2の嵌合部312は、第1〜第3の突壁部317〜319の相互間において、中間板31の板面S0、第1の突壁部317の側面S1、第2の突壁部318の側面S2、及び、第3の突壁部319の両側面S3により、第1及び第2の凹溝313、314が形成されている(図7参照)。
【0063】
第2の中間板32は、第1の嵌合部321と、第2の嵌合部322とを有する。第1及び第2の嵌合部321、322のそれぞれは、一面325及び他面326において、対向辺に沿って断続的に備えられている。第1及び第2の嵌合部321、322は、平面視した形状が凹凸状に形成されており、且、凸状部分に間隔d2を隔てて対向する第1〜第3の突壁部327〜329を有している。第1及び第2の嵌合部321、322は、第1〜第3の突壁部327〜329の相互間において、中間板32の板面S0、第2の突壁部327の側面S1、第2の突壁部328の側面S2、及び、第3の突壁部329の両側面S3により、第1及び第2の凹溝323、324が形成されている(図14参照)。
【0064】
さらに、第3の中間板33は、第1の嵌合部331と、第2の嵌合部332とを有する。第1の嵌合部331は、一面335及び他面336において、対向辺に沿って断続的に備えられている。第1の嵌合部331は、平面視した形状が凹凸状に形成されており、且、凸状部分に間隔d2を隔てて対向する第1〜第3の突壁部337〜339を有している。第1及び第2の嵌合部321、322は、第1〜第3の突壁部337〜339の相互間において、中間板33の板面S0、第2の突壁部337の側面S1、第2の突壁部338の側面S2、及び、第3の突壁部339の両側面S3により凹溝状部分が2つ備えている(図14参照)。
【0065】
一方、第2の嵌合部332は、一面335及び他面336において、対向辺に沿って連続して備えられている。第2の嵌合部332は、間隔d2を隔てて対向する第1及び第2の突壁部337、338を有しており、中間板33の板面S0と、第1の突壁部337の側面S1、及び、第2の突壁部338の側面S2により、凹溝状に形成されている。
第1〜第3の中間板33〜33は、隣接する中間板31〜33において、対応する凹凸形状の嵌合部が相互に嵌合されて、平板状に配置されている。
【0066】
より具体的に説明すると、例えば、第1の中間板31と、第2の中間板32とは、第2の嵌合部312と、これに対応する第1の嵌合部321が、互いに凹凸嵌合可能な凹凸形状を有している。そして第1の中間板31と、第2の中間板32とを嵌合した場合、第2の嵌合部312が有する第1及び第2の凹溝313、314と、第1の嵌合部321が有する第1及び第2の凹溝323、324とが、一体的に組み合わされ、両者の組み合わせ部分に、長手方向a1に直通する凹溝がそれぞれ形成される。
【0067】
同様に、第2の中間板32と、第3の中間板33とは、第2の嵌合部322と、これに対応する第1の嵌合部331が、互いに凹凸嵌合可能な凹凸形状を有している。そして第1の中間板331と、第2の中間板322とを嵌合した場合、第2の嵌合部32が有する第1及び第2の凹溝323、324と、第1の嵌合部331が有する第1及び第2の凹溝333、334とが、一体的に組み合わされ、両者の組み合わせ部分に、長手方向a1に直通する凹溝がそれぞれ形成される。
【0068】
図14を参照すると、第1及び第2の半割り部材10、20は、面状に組み合わされた中間板32、33の一面325、335及び他面326、336において、それぞれの両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部322、331に嵌合されている。
【0069】
第2の中間板32において、第2の嵌合部322が有する第1及び第2の凹溝323、324は、隣接する第3の中間板33において、組み合わされる第1の嵌合部331が有する第1及び第2の凹溝333、334と一体的に機能し、凹溝を共有する構造となる。
【0070】
上述した構造によると、例えば、隣接する中間板32、33が相互に凹凸嵌合されているから、構造体ブロックは施工作業が容易であるとともに、構造的な一体性に優れ、良好な機械的強度を有することができる。
【0071】
また、構造体ブロックは、一面側において、第1の半割り部材10の両端縁13、14が、隣接する中間板32、33それぞれの第1及び第2の嵌合部322、331を連通し、且、他面側において、第2の半割り部材20の両端縁23、24が、隣接する中間板32、33それぞれの第1及び第2の嵌合部322、331を連通することにより、かんぬき的な結合効果を果たすことができるから、構造的な一体性に優れ、良好な機械的強度を有することができる。
【0072】
さらに、構造体ブロックは、中間板31〜33を複数連結することにより、様々な施工条件に容易に追従することができる。例えば、図12において、構造体ブロックは、第1及び第3の中間板31、33を架橋する第2の中間板32を複数用いることにより、平面寸法を容易に調節することができる。
【0073】
図11乃至図14に示した構造体ブロックは、透水層などと組み合わされて、雨水等処理施設を構成する。図15は本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す正面断面図である。図15において、図1乃至図14に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0074】
図15に示す雨水等処理施設は、所謂、雨水等貯留浸透施設であって、構造体ブロックには、適宜、通水孔(図示しない)が備えられており、且、周囲が不織布等の透水層5によって覆われている。図15からは必ずしも明らかではないが、雨水等処理施設において、構造体ブロックは、軸方向a1(図11参照)の両外端面部分に遮蔽板が備えられ、外部から区画された内部空間を有することが好ましい。
【0075】
図15に示した雨水等処理施設は、図1乃至図8に示した構造体、図9及び図10に示した雨水等処理施設、及び、図11乃至図14に示した構造体ブロックの利点を全て含む。例えば、構造体1は優れた機械的強度を有するから、これらの複数を積層配置して得られた構造体ブロックは優れた機械的強度を有する。従って、本発明の一実施形態に係る雨水等処理施設の構造によると、積層される他の構造体1の重量や、周囲からの土圧、及び、地表面Gからの押し圧力により構造体ブロックが変形してしまう問題が解決されており、施工当初の好ましい積層配置態様を長期間に渡って維持することができる。
【0076】
このように、構造体ブロックは、全体として優れた機械的強度を有するから、構造体1の積層配置態様を設定することにより、様々な施工条件に容易に追従し、多様な容量を有する雨水等処理施設を提供することができる。
【0077】
しかも、従来のように構造体1の周囲に充填砕石を敷設する必要はない。従って、雨水等処理施設の製造コストおよび施工コストを低減することができる。
【0078】
図15において、不織布等の透水層5を、ビニールシート等の遮水層5に替え、遮水層5によって構造体ブロックの周囲を覆えば、雨水等貯留施設を構成できる。
【0079】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る構造体の斜視図である。
【図2】図1に示した構造体の組み立て構造を示す斜視図である。
【図3】図1及び図2に示した半割り部材の平面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図1及び図2に示した中間板の平面図である。
【図6】図5に示した中間板の正面図である。
【図7】図6に示した中間板の正面図について一部を拡大して示す図である。
【図8】図5に示した中間板の一部を破断して示す側面図である。
【図9】本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す側面断面図である。
【図10】図8に示した雨水等処理施設の正面断面図である。
【図11】本発明に係る構造体ブロックの斜視図である。
【図12】図10に示した構造体ブロックにおいて中間板の分解構造を示す平面図である。
【図13】図11に示した構造体ブロックにおいて中間板の組み立て状態を示す平面図である。
【図14】図13の一部を拡大して示す正面図である。
【図15】本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 構造体
10、20 第1及び第2の半割り部材
11、21 縦リブ
12、22 横リブ
13〜14、23〜24 両端縁
31〜33 第1〜第3の中間板
311〜331 第1の嵌合部
312〜332 第2の嵌合部
315〜335 一面
316〜336 他面
317〜337 第1の突壁部
318〜338 第2の突壁部
319〜339 第3の突壁部
5 透水層/遮水層
G 地表面
d1 リブ間隔
a1 長手方向
w1 幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水等処理施設用構造体(以下、単に構造体と称する)、雨水等処理施設用構造体ブロック(以下、単に構造体ブロックと称する)、及び、これらを用いた雨水等処理施設に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水等処理施設には、雨水等を地中に排出して緩やかに浸透させるために埋設される浸透トレンチや、集水した雨水等を貯留するために埋設される雨水等貯留施設、さらには集水した雨水等を一時的に貯留してのち、地中に排出して緩やかに浸透させるために埋設される雨水等貯留浸透施設などがある。
【0003】
この種の雨水等処理施設は、通常、何らかの構造体を内蔵している。例えば、浸透トレンチは、透水管と、充填砕石と、透水シートとを含み、透水管に雨水等を流入させるとともに、透水管から雨水等を地中に排出し、且、充填砕石を通して地中へ分散浸透させる。特許文献1に示す浸透トレンチにおいて、透水管には、2つの半割り部材が上下反転して筒状に組み合わされている構造体が用いられている。
【0004】
また、特許文献2及び3に示す雨水等処理施設は、設置穴の内部に複数の半割り部材、及び、これらを組み合わせた構造体が配置されている。構造体は、設置穴の内壁面の崩壊を防止し、雨水等の貯留空間を確保する。
【0005】
上述したように、この種の雨水等処理施設に用いられる構造体は、いずれも地中に埋設されるものであるから、周囲から加えられる土圧に対抗しうる機械的強度を備えていることが重要である。
【0006】
また、この種の雨水等処理施設は広い設置面積を要するため、道路や駐車場の地下に設置されることが多い。従って、構造体は、車両の往来や、駐車時の車両重量など、特に、地表面から垂直方向に加えられる押し圧力に対して、優れた機械的強度を備えていることが重要である。
【0007】
しかし、特許文献1乃至3に開示されているように、この種の構造体において、2つの半割り部材が上下反転して筒状に組み合わされている構造によると、組み合わせ面の結合強度を充分に確保することができなかった。特に、構造体は、地表面からの垂直方向に加えられる押し圧力に対して弱くなる傾向にあり、組み合わせ面に沿って水平方向に変形してしまう問題を生じていた。
【特許文献1】特開2002−129639号公報
【特許文献2】特開2000−008312号公報
【特許文献3】特開2000−008313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、優れた機械的強度を有する構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの課題は、運搬、移動、組み立て配置等の施工作業を容易に実行しうる構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明に係る構造体は、2つの半割り部材と、中間板とを含む。半割り部材は、アーチ状である。中間板は、板面の一面、及び、他面において、対向辺に溝状の嵌合部を備えている。2つの半割り部材は、中間板の一面、及び、他面のそれぞれにおいて、両端縁が、嵌合部に嵌合されている。
【0011】
上述したように、構造体は、半割り部材と、中間板とに分離されているから、嵩張らない態様で運搬することができる。
【0012】
構造体は、半割り部材のアーチ状の両端縁が、中間板の一面及び他面のそれぞれにおいて嵌合部に嵌合され、中間板を介して筒状に組み合わされているから、筒状の内部空間を雨水等の流路又は貯留空間として利用することができる。
【0013】
また、半割り部材のアーチ状の両端縁は、中間板の嵌合部に嵌合されているから、構造体に押し圧力が加えられ、半割り部材の両端縁が広がる方向に変形しようとした場合、両端縁の変形移動を中間板との嵌合構造より制御することができる。従って、優れた機械的強度を有する構造体を得ることができる。
【0014】
さらに、半割り部材のアーチ状の両端縁は、中間板の嵌合部に嵌合されているから、構造体の組み合わせ配置作業において、別途結合部材を用いる必要がない。従って、構造体の組み合わせ配置作業を、容易、且、安価に実行することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様において、構造体は、複数が、幅方向、長手方向、又は、高さ方向に並べられて構造体ブロックを構成する。この構成によると、構造体ブロックは、雨水等処理施設に用いた場合に、様々な施工条件に追従することができる。例えば、構造体ブロックは、複数の構造体を長手方向に連続して配置することにより、浸透トレンチに用いた場合に、流路の全長を調節することができる。また、複数の構造体を幅方向、及び、高さ方向に積層配置することにより、雨水等貯留施設、及び、雨水等貯留浸透施設に用いた場合に、雨水等の貯留空間を調節することができる。
【0016】
本発明のもう一つの好ましい態様において、構造体ブロックは、幅方向に隣接する中間板の端縁が連結されている。この構造によると、構造体ブロックは、構造的な一体性に優れ、良好な機械的強度を有することができる。
【0017】
上述した構造体、又は、構造体ブロックは、それぞれ透水層又は遮水層と組み合わされて、雨水等処理施設に用いられる。本発明に係る雨水等処理施設において、構造体又は構造体ブロックは、周囲が透水層又は遮水層により被覆されて地中に埋設される。
【0018】
本発明に係る雨水等処理施設は、上述した構造体又は構造体ブロックを含むから、上述した利点を全て含む。例えば、構造体又は構造体ブロックは、半割り部材のアーチ状の両端縁は、中間板の嵌合部に嵌合されているから、雨水等処理施設が道路や駐車場の地下に設置されたとしても、地表面から加えられる押し圧力により変形することなく、優れた機械的強度を安定的に維持することができる。
【0019】
また、構造体又は構造体ブロックは、優れた機械的強度を有するから、従来のように構造体の周囲に充填砕石を敷設する必要はない。従って、雨水等処理施設の製造コストおよび施工コストを低減することができるとともに、広い雨水等の貯留空間を確保することができる。
【0020】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)優れた機械的強度を有する構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することができる。
(2)運搬、移動、組み立て配置等の施工作業を容易に実行しうる構造体、構造体ブロック、及び、これらを用いた雨水等処理施設を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明に係る構造体の斜視図、図2は図1に示した構造体の組み立て構造を示す斜視図である。
【0023】
また、構造体を構成する半割り部材について、図3は図1及び図2に示した半割り部材の平面図、図4は図3の4−4線に沿った断面図、図5は図1及び図2に示した中間板の平面図である。
【0024】
さらに、構造体を構成する中間板について、図6は図5に示した中間板の正面図、図7は図6に示した中間板の正面図について一部を拡大して示す図、図8は図5に示した中間板の一部を破断して示す側面図である。
【0025】
図1及び図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る構造体は、第1の半割り部材10と、第2の半割り部材20と、中間板31とを含む。これらは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の適当な合成樹脂材料、または、合成樹脂材料と無機粉体とを混合した複合材料を用いた成型品として構成することができる。
【0026】
まず、構造体を構成する半割り部材について、図1乃至図4を参照すると、第1の半割り部材10は、アーチ状であって、縦リブ11と、横リブ12と、両端縁13、14と、天面部分15を含む。
【0027】
縦リブ11は、天面部分15において、内周側に突出する(図4参照)とともに、長手方向a1に沿って断続的に備えられている。この縦リブ11の構造により、天面部分15には、縦リブ11の形成部分以外の面151及び152が、それぞれ長手方向a1に沿って連続するとともに、互いに平行して形成される。縦リブ11、及び、縦リブ11により形成される部分151及び152は、第1の半割り部材10に必要とされる機械的強度に応じて、幅寸法、設置数、及び、設置場所等が決定される。
【0028】
横リブ12は、複数が、長手方向a1に沿って間隔d1を隔てて備えられているとともに、それぞれが長手方向a1に直交する幅方向w1に沿って条状に備えられている。即ち、横リブ12は、長手方向a1に沿ってピッチ間隔d1で凹凸を交互に繰り返す形状(所謂、断面波形形状)である。縦リブ11と同様に、横リブ12もまた、第1の半割り部材10に必要とされる機械的強度に応じて、設置数、幅寸法、及び、ピッチ間隔d1が決定される。
【0029】
第1の半割り部材10は、アーチ状であって、天面部分15に相対向する位置に、開放面16を有する。アーチ状の両端縁13、14は、開放面16の両端に備えられ、それぞれ起点153から開放面16と平行する広がり方向に立ち上がっている(図4参照)。即ち、図1乃至図4に示す第1の半割り部材10は、正面視した形状が台形形状であるが、半割り部材のアーチ形状は、三角形形状、多角形形状、さらには円弧形状であってもよい。
【0030】
第2の半割り部材20は、第1の半割り部材10を上下反転したものを用いることができる。第2の半割り部材20は、アーチ状であって、縦リブ21と、横リブ22と、両端縁23、24と、底面部分25を含む。
【0031】
縦リブ21は、底面部分25において、内周側に突出するとともに、長手方向a1に沿って断続的に備えられている。この縦リブ21の構造により、底面部分25には、縦リブ21の形成部分以外の面151及び152が、それぞれ長手方向a1に沿って連続するとともに、互いに平行して形成されている。
【0032】
横リブ22は、複数が、長手方向a1に沿って間隔d1を隔てて備えられているとともに、それぞれが長手方向a1に直交する幅方向w1に沿って条状に備えられている。即ち、横リブ22は、長手方向a1に沿ってピッチ間隔d1で凹凸を交互に繰り返す形状(所謂、断面波形形状)である。
【0033】
第2の半割り部材20は、アーチ状であって、底面部分25に相対向する位置に、開放面26を有する。両端縁23、24は、開放面26の両端に備えられ、それぞれ起点253から開放面26と平行する広がり方向に立ち上がっている。即ち、図1乃至図4に示す第2の半割り部材20は、正面視した形状が台形形状である。
【0034】
次に、構造体を構成する中間板について、主に図5乃至図7を参照すると、中間板31は、基板部分310と、第1の嵌合部311と、第2の嵌合部312とを備えている。
【0035】
第1の嵌合部311は、凹溝状であって、中間板31の一面315及び他面316において、少なくとも1組の対向辺に沿って連続して備えられている。より詳細に説明すると、第1の嵌合部311は、一面315及び他面316の相対する位置に、それぞれ第1の突壁部317と、第2の突壁部318とを有する。第1の突壁部317は中間板31の外周側に備えられており、中間板31の板面S0から高さh2で立ち上がっている。第2の突壁部318は中間板31の内周側に備えられており、中間板31の板面S0から高さh2で立ち上がっている。
【0036】
第1の嵌合部311は、第1及び第2の突壁部317、318が、間隔d2を隔てて対向して備えられており、中間板31の板面S0、及び、向かい合う第1の突壁部317の内側面S1と、第2の突壁部318の内側面S2により凹溝状に形成されている。第1及び第2の突壁部317、318は、第1又は第2の半割り部材10、20を挟持するために備えられるから、上端に内向きフック等の係止構造を有することもできる。
【0037】
また、第2の突壁部318の内側面S2は、好ましくは内側方向に立ち上がるテーパ面を有する(図6参照)。第2の突壁部318の内側面S2がテーパ面を有する構成によると、第1又は第2の半割り部材10、20を第1の嵌合部311に組み合わせたときに、両端縁を、テーパ面に沿って凹溝状の内部に案内することができる。
【0038】
第2の嵌合部312は、第1の嵌合部311を左右反転した形状を有する。即ち、第2の嵌合部312は、凹溝状であって、一面315及び他面316において、少なくとも1組の対向辺に沿って連続して備えられている。より詳細に説明すると、第2の嵌合部312は、一面315及び他面316の相対する位置に、それぞれ第1の突壁部317と、第2の突壁部318とを有する。
【0039】
第2の嵌合部312は、第1及び第2の突壁部317、318が、間隔d2を隔てて対向して備えられており、中間板31の板面S0と、第1及び第2の突壁部317、318の向かい合う内側面S1、S2により凹溝状に形成されている。
【0040】
さらに、中間板31は、好ましくは、第1及び第2の嵌合部311、312に挟まれている基板部分310が、断面波形形状になっている(図7参照)。即ち、基板部分310は、長手方向a1に交互に凹凸を繰り返して延びており、且、それぞれが長手方向a1に直交する幅方向w1に沿って条状に備えられている。
【0041】
再び図1及び図8を参照して説明する。第1及び第2の半割り部材10、20と、中間板31との組み合わせについて、第1の半割り部材10は、一面315において、両端縁13及び14が、それぞれ第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている。同様に、第2の半割り部材20は、他面316において、両端縁23及び24が、それぞれ第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている。
【0042】
両者の組み合わせについて、例えば第1の半割り部材10は、両端縁13、14が、第1及び第2の嵌合部311、312のそれぞれにおいて、第1の及び第2の突壁部317、318の相対抗面間に挿入され、その際に生じる凹凸嵌合により、中間板31の一面315に結合される。両端縁13、14は、第1及び第2の嵌合部311、312の内部において、好ましくは第1の突壁部317の内側面S1に接触し、保持されている。
【0043】
構造体は、雨水等処理施設に用いられる場合には、好ましくは第1及び第2の半割り部材10、20、中間板31にそれぞれ、通水孔(図示しない)が備えられる。構造体は、合成樹脂材料でなるから、例えば通水孔の穿設加工を容易に行うことができる。
【0044】
上述したように、構造体は、第1及び第2の半割り部材10、20と、中間板31とに分離されているから、中間板31、第1及び第2の半割り部材10、20を、嵩張ることのない態様で輸送することができる。従って、輸送コストが低減される共に、輸送が容易になる。具体的には、第1及び第2の半割り部材10、20は広口形状であるから、同一向きに重ねることにより嵩張りを回避し得る。また、図示の中間板31は平板状であり、嵩張らない状態で重ねて輸送できる。
【0045】
第1及び第2の半割り部材10、20は、縦リブ11と、横リブ12とを含む。縦リブ11は、長手方向a1に沿って備えられている。横リブ12は、複数が長手方向a1に沿って間隔d1を隔てて備えられているとともに、それぞれが幅方向w1に沿って条状に備えられている。この構成によると構造体は、全周方向からの加圧力に対して優れた機械的強度を備えることができる。
【0046】
さらに、第1及び第2の半割り部材10、20は、縦リブ11と、横リブ12とを有しており、機械的強度に優れているので、薄型に成形することができる。従って、第1及び第2の半割り部材10、20は、軽量であって、運搬、移動、組み立て配置等の施工作業を容易に実行することができる。
【0047】
第1及び第2の半割り部材10、20は、両端縁13及び14(23及び24)が、開放面16(26)の両端に備えられ、且、起点153(253)から開放面16と平行する方向に広がっているから、第1及び第2の半割り部材10、20を筒状に組み合わせた場合に広い内部空間を有することができる。従って、構造体を雨水等処理施設に用いた場合に、空間率の高い筒状の内部空間を、雨水等の流路または貯留空間として利用することができる。
【0048】
中間板31は、一面315及び他面316において、少なくとも1組の対向辺に、第1及び第2の嵌合部311、312が備えられている。第1及び第2の半割り部材10、20は、一面315及び他面316のそれぞれにおいて、両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されている構成によると、構造体に対して押し圧力が加えられ、第1及び第2の半割り部材10、20が開放面16(26)と平行する方向に変形しようとした場合、両端縁13及び14(23及び24)の変形移動を、第1及び第2の嵌合部311、312により制御することができる。従って構造体は、優れた機械的強度を有することができる。
【0049】
また、第1及び第2の半割り部材10、20は、一面315及び他面316のそれぞれにおいて、両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されているから、構造体の組み立て作業において、別途結合部材を用いる必要がなくなる。従って、構造体の組み立て作業を、容易、且、安価に実行することができる。
【0050】
図1及び図8に示した構造体は、透水層などと組み合わされて、雨水等処理施設を構成する。次に、本発明の一実施形態に係る構造体を用いた雨水等処理施設について説明する。図9は本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す側面断面図、図10は図9に示した雨水等処理施設の正面断面図である。図9及び図10において、図1及び図8に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0051】
本発明の一実施形態に係る雨水等処理施設において、構造体1は、複数が長手方向a1に配置され、周囲が透水層5により被覆されて地中に埋設されている。より詳細に説明すると、図9及び図10に示す雨水等処理施設は、所謂、浸透トレンチである。構造体1は、好ましくは、地表面Gからの埋設深さが500〜600mmとなるように埋設されている。雨水等処理施設は、構造体1の周囲が不織布等の透水層5によって覆われており、透水層5を通じて構造体1の内部を流れる雨水等が地中に排出されるとともに、透水層5により構造体1の内部への土砂の流入が阻止されている。
【0052】
本発明の一実施形態に係る雨水等処理施設は、図1及び図8を参照して説明した構造体1を含むから、上述した利点を全て有する。例えば、構造体1は、第1及び第2の半割り部材10、20の両端縁13及び14(23及び24)が、それぞれ第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されているから、雨水等処理施設が道路や駐車場の地下に設置されたとしても、地表面Gから加えられる押し圧力により変形する問題は生じない。従って、構造体1、及び、これを含む雨水等処理施設は、優れた機械的強度を有するとともに、これを安定的に維持することができる。
【0053】
また、構造体1は、優れた機械的強度を有するとともに、筒状の内部に広い流路空間を有するから、従来のように構造体1の周囲に充填砕石を敷設する必要はない。従って、雨水等処理施設の製造コストおよび施工コストを低減することができる。
【0054】
図9及び図10において、構造体1が、雨水等貯留浸透施設に用いられる場合、好ましくは、中間板31、第1及び第2の半割り部材10、20の面内には、通水孔(図示しない)が備えられるから、外部配管(図示しない)から構造体1の内部に流入した雨水等を、通水孔(図示しない)、及び、透水層5を通して地中に浸透させることができる。
【0055】
第1及び第2の半割り部材10、20は、両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部311、312に嵌合されているから、周囲からの土圧や、特に地表Gから加わる押し圧力によって、第1及び第2の半割り部材10、20が幅方向w1に広がろうとする変形が中間板31により制御される。従って、構造体1は、地表面Gから加わる押し圧力に対して十分な機械的強度を確保することができる。
【0056】
また、構造体1は、地中に埋設されており、土圧により周囲から常時加圧される状態にあるから、その土圧を利用して第1及び第2の半割り部材10、20と、中間板31とが強固に結合される。従って、構造体1は、地表Gから加わる押し圧力に対して十分な機械的強度を備えていれば、その組み立てに際してビスや止め具等の結合部材を用いる必要がなく、組み立て、配置作業を容易に実行することができる。
【0057】
図9及び図10において、不織布等の透水層5を、ビニールシート等の遮水層5に替え、遮水層5によって構造体1の周囲を覆えば、雨水等貯留施設を構成できる。
【0058】
以上の説明は、最初に述べたように、最小単位としての構造体を用いた場合の雨水等処理施設として、所謂、浸透トレンチに適用した場合の実施形態である。本発明に係る構造体は、複数を連続して配置することにより構造体ブロックを構成し、より大型の雨水等処理施設に用いることもできる。図11は本発明に係る構造体ブロックの斜視図である。また、構造体ブロックを構成する中間板について、図12は図10に示した構造体ブロックにおいて中間板の分解構造を示す平面図、図13は図11に示した構造体ブロックにおいて中間板の組み立て状態を示す平面図、図14は図13の一部を拡大して示す正面図である。図11乃至図14において、図1乃至図8に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0059】
図11乃至図14に示す構造体ブロックは、図1及び図8を参照して説明した構造体1を複数用いて幅方向w1、及び、高さ方向h1に積層配置したものでなる。図11では省略しているが、構造体1は、長手方向a1に連接配置することもできる。図11乃至図14に示す構造体ブロックは、図1及び図8を参照して説明した構造体と同様の構造及び利点を有する。
【0060】
さらに、図11乃至図14を参照すると、本発明の一実施形態に係る構造体ブロックは、幅方向w1に隣接する中間板31の対向辺が連結されている構造に特長がある。図11を参照してより詳細に説明すると、本発明の一実施形態に係る構造体ブロックは、それぞれ形態の異なる第1〜第3の中間板33〜33を有している。
【0061】
第1の中間板31は、第1の嵌合部311と、第2の嵌合部312とを有する。第1の嵌合部311は、図1乃至図8を参照して説明した第1の嵌合部311と同一の構造であって、一面315及び他面316において、対向辺に沿って連続して備えられている。第1の嵌合部311は、間隔d2を隔てて対向する第1及び第2の突壁部317、318を有しており、中間板31の板面S0と、第1の突壁部317の側面S1、及び、第2の突壁部318の側面S2により凹溝状に形成されている(図7参照)。
【0062】
一方、第2の嵌合部312は、一面315及び他面316において、第1の嵌合部311に相対向する対向辺に沿って断続的に備えられている。第2の嵌合部312は、平面視した形状が凹凸状に形成されており、且、凸状部分に間隔d2を隔てて対向する第1〜第3の突壁部317〜319を有している。第2の嵌合部312は、第1〜第3の突壁部317〜319の相互間において、中間板31の板面S0、第1の突壁部317の側面S1、第2の突壁部318の側面S2、及び、第3の突壁部319の両側面S3により、第1及び第2の凹溝313、314が形成されている(図7参照)。
【0063】
第2の中間板32は、第1の嵌合部321と、第2の嵌合部322とを有する。第1及び第2の嵌合部321、322のそれぞれは、一面325及び他面326において、対向辺に沿って断続的に備えられている。第1及び第2の嵌合部321、322は、平面視した形状が凹凸状に形成されており、且、凸状部分に間隔d2を隔てて対向する第1〜第3の突壁部327〜329を有している。第1及び第2の嵌合部321、322は、第1〜第3の突壁部327〜329の相互間において、中間板32の板面S0、第2の突壁部327の側面S1、第2の突壁部328の側面S2、及び、第3の突壁部329の両側面S3により、第1及び第2の凹溝323、324が形成されている(図14参照)。
【0064】
さらに、第3の中間板33は、第1の嵌合部331と、第2の嵌合部332とを有する。第1の嵌合部331は、一面335及び他面336において、対向辺に沿って断続的に備えられている。第1の嵌合部331は、平面視した形状が凹凸状に形成されており、且、凸状部分に間隔d2を隔てて対向する第1〜第3の突壁部337〜339を有している。第1及び第2の嵌合部321、322は、第1〜第3の突壁部337〜339の相互間において、中間板33の板面S0、第2の突壁部337の側面S1、第2の突壁部338の側面S2、及び、第3の突壁部339の両側面S3により凹溝状部分が2つ備えている(図14参照)。
【0065】
一方、第2の嵌合部332は、一面335及び他面336において、対向辺に沿って連続して備えられている。第2の嵌合部332は、間隔d2を隔てて対向する第1及び第2の突壁部337、338を有しており、中間板33の板面S0と、第1の突壁部337の側面S1、及び、第2の突壁部338の側面S2により、凹溝状に形成されている。
第1〜第3の中間板33〜33は、隣接する中間板31〜33において、対応する凹凸形状の嵌合部が相互に嵌合されて、平板状に配置されている。
【0066】
より具体的に説明すると、例えば、第1の中間板31と、第2の中間板32とは、第2の嵌合部312と、これに対応する第1の嵌合部321が、互いに凹凸嵌合可能な凹凸形状を有している。そして第1の中間板31と、第2の中間板32とを嵌合した場合、第2の嵌合部312が有する第1及び第2の凹溝313、314と、第1の嵌合部321が有する第1及び第2の凹溝323、324とが、一体的に組み合わされ、両者の組み合わせ部分に、長手方向a1に直通する凹溝がそれぞれ形成される。
【0067】
同様に、第2の中間板32と、第3の中間板33とは、第2の嵌合部322と、これに対応する第1の嵌合部331が、互いに凹凸嵌合可能な凹凸形状を有している。そして第1の中間板331と、第2の中間板322とを嵌合した場合、第2の嵌合部32が有する第1及び第2の凹溝323、324と、第1の嵌合部331が有する第1及び第2の凹溝333、334とが、一体的に組み合わされ、両者の組み合わせ部分に、長手方向a1に直通する凹溝がそれぞれ形成される。
【0068】
図14を参照すると、第1及び第2の半割り部材10、20は、面状に組み合わされた中間板32、33の一面325、335及び他面326、336において、それぞれの両端縁13及び14(23及び24)が、第1及び第2の嵌合部322、331に嵌合されている。
【0069】
第2の中間板32において、第2の嵌合部322が有する第1及び第2の凹溝323、324は、隣接する第3の中間板33において、組み合わされる第1の嵌合部331が有する第1及び第2の凹溝333、334と一体的に機能し、凹溝を共有する構造となる。
【0070】
上述した構造によると、例えば、隣接する中間板32、33が相互に凹凸嵌合されているから、構造体ブロックは施工作業が容易であるとともに、構造的な一体性に優れ、良好な機械的強度を有することができる。
【0071】
また、構造体ブロックは、一面側において、第1の半割り部材10の両端縁13、14が、隣接する中間板32、33それぞれの第1及び第2の嵌合部322、331を連通し、且、他面側において、第2の半割り部材20の両端縁23、24が、隣接する中間板32、33それぞれの第1及び第2の嵌合部322、331を連通することにより、かんぬき的な結合効果を果たすことができるから、構造的な一体性に優れ、良好な機械的強度を有することができる。
【0072】
さらに、構造体ブロックは、中間板31〜33を複数連結することにより、様々な施工条件に容易に追従することができる。例えば、図12において、構造体ブロックは、第1及び第3の中間板31、33を架橋する第2の中間板32を複数用いることにより、平面寸法を容易に調節することができる。
【0073】
図11乃至図14に示した構造体ブロックは、透水層などと組み合わされて、雨水等処理施設を構成する。図15は本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す正面断面図である。図15において、図1乃至図14に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0074】
図15に示す雨水等処理施設は、所謂、雨水等貯留浸透施設であって、構造体ブロックには、適宜、通水孔(図示しない)が備えられており、且、周囲が不織布等の透水層5によって覆われている。図15からは必ずしも明らかではないが、雨水等処理施設において、構造体ブロックは、軸方向a1(図11参照)の両外端面部分に遮蔽板が備えられ、外部から区画された内部空間を有することが好ましい。
【0075】
図15に示した雨水等処理施設は、図1乃至図8に示した構造体、図9及び図10に示した雨水等処理施設、及び、図11乃至図14に示した構造体ブロックの利点を全て含む。例えば、構造体1は優れた機械的強度を有するから、これらの複数を積層配置して得られた構造体ブロックは優れた機械的強度を有する。従って、本発明の一実施形態に係る雨水等処理施設の構造によると、積層される他の構造体1の重量や、周囲からの土圧、及び、地表面Gからの押し圧力により構造体ブロックが変形してしまう問題が解決されており、施工当初の好ましい積層配置態様を長期間に渡って維持することができる。
【0076】
このように、構造体ブロックは、全体として優れた機械的強度を有するから、構造体1の積層配置態様を設定することにより、様々な施工条件に容易に追従し、多様な容量を有する雨水等処理施設を提供することができる。
【0077】
しかも、従来のように構造体1の周囲に充填砕石を敷設する必要はない。従って、雨水等処理施設の製造コストおよび施工コストを低減することができる。
【0078】
図15において、不織布等の透水層5を、ビニールシート等の遮水層5に替え、遮水層5によって構造体ブロックの周囲を覆えば、雨水等貯留施設を構成できる。
【0079】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る構造体の斜視図である。
【図2】図1に示した構造体の組み立て構造を示す斜視図である。
【図3】図1及び図2に示した半割り部材の平面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図1及び図2に示した中間板の平面図である。
【図6】図5に示した中間板の正面図である。
【図7】図6に示した中間板の正面図について一部を拡大して示す図である。
【図8】図5に示した中間板の一部を破断して示す側面図である。
【図9】本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す側面断面図である。
【図10】図8に示した雨水等処理施設の正面断面図である。
【図11】本発明に係る構造体ブロックの斜視図である。
【図12】図10に示した構造体ブロックにおいて中間板の分解構造を示す平面図である。
【図13】図11に示した構造体ブロックにおいて中間板の組み立て状態を示す平面図である。
【図14】図13の一部を拡大して示す正面図である。
【図15】本発明に係る雨水等処理施設について一部を省略して示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 構造体
10、20 第1及び第2の半割り部材
11、21 縦リブ
12、22 横リブ
13〜14、23〜24 両端縁
31〜33 第1〜第3の中間板
311〜331 第1の嵌合部
312〜332 第2の嵌合部
315〜335 一面
316〜336 他面
317〜337 第1の突壁部
318〜338 第2の突壁部
319〜339 第3の突壁部
5 透水層/遮水層
G 地表面
d1 リブ間隔
a1 長手方向
w1 幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの半割り部材と、中間板とを含む雨水処理施設用構造体であって、
前記半割り部材は、アーチ状であり、
前記中間板は、板面の一面、及び、他面において、対向辺に溝状の嵌合部を備えており、
前記2つの半割り部材は、前記中間板の前記一面、及び、前記他面のそれぞれにおいて、両端縁が前記嵌合部に嵌合されている、
雨水等処理施設用構造体。
【請求項2】
複数の構造体を含む雨水等処理施設用構造体ブロックであって、
前記構造体は、請求項1に記載されたものであり、複数が、幅方向、長手方向、又は、高さ方向に並べられている、
雨水等処理施設用構造体ブロック。
【請求項3】
請求項2に記載された雨水等処理施設用構造体ブロックであって、
前記複数の構造体のうち、幅方向に隣接する前記構造体は、前記中間板が互いに連結されている雨水等処理施設用構造体ブロック。
【請求項4】
雨水等処理施設用構造体ブロックを含む雨水等処理施設であって、
前記雨水等処理施設用構造体ブロックは、請求項2又は3に記載されたものでなり、周囲が透水層または遮水層の何れかにより被覆されて地中に埋設されている、
雨水等処理施設。
【請求項1】
2つの半割り部材と、中間板とを含む雨水処理施設用構造体であって、
前記半割り部材は、アーチ状であり、
前記中間板は、板面の一面、及び、他面において、対向辺に溝状の嵌合部を備えており、
前記2つの半割り部材は、前記中間板の前記一面、及び、前記他面のそれぞれにおいて、両端縁が前記嵌合部に嵌合されている、
雨水等処理施設用構造体。
【請求項2】
複数の構造体を含む雨水等処理施設用構造体ブロックであって、
前記構造体は、請求項1に記載されたものであり、複数が、幅方向、長手方向、又は、高さ方向に並べられている、
雨水等処理施設用構造体ブロック。
【請求項3】
請求項2に記載された雨水等処理施設用構造体ブロックであって、
前記複数の構造体のうち、幅方向に隣接する前記構造体は、前記中間板が互いに連結されている雨水等処理施設用構造体ブロック。
【請求項4】
雨水等処理施設用構造体ブロックを含む雨水等処理施設であって、
前記雨水等処理施設用構造体ブロックは、請求項2又は3に記載されたものでなり、周囲が透水層または遮水層の何れかにより被覆されて地中に埋設されている、
雨水等処理施設。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−342584(P2006−342584A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169387(P2005−169387)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591084654)エバタ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591084654)エバタ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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