説明

雪の圧縮装置

【課題】 雪の圧縮を良好に行うことができる雪の圧縮装置を提供する。
【解決手段】 機本体2と、この機本体2内に雪を取り入れる取入手段4と、この取入手段により取り入れた雪を前記機本体内で圧縮する圧縮手段5とを備えた雪の圧縮装置1である。前記圧縮手段5は、ほぼ平行に配置した一対のスクリューコンベヤ21L,21Rを備えるから、取入手段4が機本体2内に雪を取り入れ、この取り入れた雪を一対の対向回転するスクリューコンベヤ21Rが搬送方向に送りながら均一な密度で圧縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪などに用いる雪の圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラッセル車ですくい上げた雪を取り入れるホッパーと、該ホッパーから取り入れた雪を圧縮する圧縮機と、圧縮した雪を一定長さでカットする切断機と、切断した雪を後続する運搬車に積み込むためのベルトコンベアとを備え、前記圧縮機は、車両幅方向へ複数の油圧シリンダを備える排雪運搬車があり、圧雪することで体積が小さくなり、運搬が容易となり、また、一定サイズにカットすることにより、無駄な空間を生じることなく積込むことが可能となる(例えば特許文献1)と記載されている。
【0003】
また、粉雪を連続搬送する装置として、ケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に支持され、円筒状をなすシャフトの円周にブレードを螺旋状に設けたスクリュウと、前記スクリュウを回転させる駆動手段と、前記スクリュウの前記シャフトの内部に熱媒を流通させる加温手段とを設けてなるスクリューコンベア装置(例えば特許文献2)がある。
【特許文献1】特開平9−41336号公報
【特許文献2】特開平11−255315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の装置では、平面上の板を用い、油圧シリンダにより一方向から押して雪をブロック状に圧縮するため、圧縮に非常に大きな力が必要となる。また、特許文献2には、雪をスクリューにより搬送することは記載されているが、雪を圧縮する点については考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明は、雪の圧縮を良好に行うことができる雪の圧縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、機本体と、この機本体内に雪を取り入れる取入手段と、この取入手段により取り入れた雪を前記機本体内で圧縮する圧縮手段とを備えた雪の圧縮装置において、前記圧縮手段は、ほぼ平行に配置した一対のスクリューコンベヤを備えるものである。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記機本体内で圧縮成形された雪ブロックを排出する排出手段と、この排出された雪ブロックを切断分離してブロック単体を形成する切断部材とを備え、前記排出された雪ブロックの排出先端側を低くした状態で上部から前記切断部材を降下して切断するものである。
【0008】
また、請求項3の発明は、前記機本体内で圧縮成形された雪ブロックからブロック単体を形成するブロック形成手段と、前記ブロック成形手段により成形されたブロック単体を前記機本体に積重ねる積重ね手段とを備えるものである。
【0009】
また、請求項4の発明は、前記ブロック単体を、前記機本体に積重ねる積重ね手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成によれば、取入手段が機本体内に雪を取り入れ、この取り入れた雪を、一対の対向回転するスクリューコンベヤが搬送方向に送りながら、均一な密度で圧縮する。
【0011】
また、請求項2の構成によれば、圧縮成形した雪ブロックを排出し、前記排出された雪ブロックの排出先端側を低くすることにより、圧縮された雪ブロックの上面側が引張領域となる曲げが発生し、その引張領域となった上面側に切断手段が降下して食い込むことにより、円滑な切断が可能となる。
【0012】
また、請求項3の構成によれば、成形されたブロック単体を積重ねて保管することができる。
【0013】
また、請求項4の発明は、圧縮成形した雪ブロックを排出し、前記排出された雪ブロックの排出先端側を低くすることにより、圧縮された雪ブロックの上面側が引張領域となる曲げが発生し、その引張領域となった上面側に切断手段が降下して食い込むことにより、円滑な切断が可能となり、切断して得られたブロック単体を積重ねて保管することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる雪の圧縮装置を採用することにより、従来にない雪の圧縮装置が得られ、その雪の圧縮装置を夫々記述する。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の雪の圧縮装置の実施例1について図1〜図10を参照して説明する。同図に示すように、雪の圧縮装置1は、略箱型の機本体2を備え、この機本体2の幅方向両側に走行手段たるクローラ3,3を備える自動式である。前記機本体2の前側下部には、前方の雪を取り入れる取入手段4が設けられ、この取入手段4により取り入れた雪は、機本体2に設けた圧縮手段5の圧縮搬送室6内に送られ、圧縮されてブロック状に形成され、前記圧縮搬送室6の後部から排出手段7により外部に排出され、連続的に排出された雪ブロック101が切断手段51によりブロック単体102に切断分離され、そのブロック単体102は、機本体2の後部に設けた積重ね手段8により積上げられる。尚、図2及び図5などに示すように、前記圧縮搬送室6は左右方向に長い角形断面をなす。そして、前記排出手段7と切断手段51とによりブロック形成手段9を構成している。
【0016】
前記取入手段4は、機本体2の前面下部に、前側に拡大した取入筒体11が設けられている。この取入筒体11には、その前部に全面開口した取入口11Aが設けられ、その後部に角形の排出口11Bを備え、この排出口11Bは中央側に開口する。また、前記取入筒体11の側面形状は、後方に向かって縮小し、その内部に左右幅方向のオーガー12を設け、このオーガー12は、オーガー軸12Aの左右両側にほぼ左右対称のオーガー羽根12B,12Bを備え、図示しない回転駆動手段によりオーガー軸12Aを回転駆動すると共に機本体2を前進することにより、取入口11Aから取り込んだ雪が、前記排出口11Bへと集められる。また、前記排出口11Bと前記圧縮搬送室6の搬入口6Aとは、断面角形の通路13により連結され、この通路13内には、掻き揚げ送り手段たるベーン14が設けられ、このベーン14は横方向のベーン軸14Aと、このベーン軸14Aに複数設けられた掻き揚げ体たるゴム板14Bとからなり、図示しない回転駆動手段によりベーン軸14Aを図1中反時計回り方向に回転することにより、通路13の下傾斜面13Aにゴム板14Bの先端が摺動し、雪を上方の前記搬入口6Aから前記圧送搬送室6内へと送り込む。尚、搬入口6Aは、圧縮搬送室6の前側の底面6Cに開口する。
【0017】
前記圧縮手段5は、前記圧縮搬送室6内に一対のスクリューコンベア21L,21Rを左右に並んで2組備える。すなわち4つのスクリューコンベア21L,21R,21L,21Rが左右に並んで配置されている。前記一対のスクリューコンベア21L,21Rは、各回転軸22,22をほぼ平行に配置し、各回転軸22,22には螺旋方向が逆向きのスクリュー23L,21Rを設けている。前記回転軸22は、その前側が前記圧縮搬送室6の前側外部において軸受24により回転自在に軸支され、その回転軸22の前端にギヤ25を設け、隣り合うスクリューコンベア21L,21R,21L,21Rのギヤ25,25,25,25同士が噛合し、両側のギヤ25,25に噛合する駆動ギヤ26,26が、スクリュウ駆動モータ27,27により回転駆動する。隣り合うスクリューコンベア21L,21R,21L,21Rは逆回転で雪を搬出口6Bに送る方向にそれぞれ回転する。このように隣り合うスクリューコンベア21L,21R,21L,21Rの螺旋方向が異なり、且つ逆方向に回転することにより、雪とスクリュー23L,21Rとが供回りすることなく、搬出口6B側に向かって、雪をほぼ均一に圧縮しながら搬送することができる。
【0018】
前記回転軸22の後端と圧縮搬送室6の搬出口6Bとの間には、圧縮空間28が設けらており、前記搬出口6Bは、反力トレイ装置31の反力板32により閉塞可能になっている。尚、前記反力トレイ装置31は、前記圧縮手段5の一部と前記排出手段5とを兼用して構成するものである。前記反力トレイ装置31は、前記圧縮搬送室6の底面6Cとほぼ同一幅の移動トレイ33を備え、この移動トレイ33の後部に前記反力板32が立設されている。前記移動トレイ33は、前記機本体2に設けたガイド部材34に沿って前後方向移動可能に設けられ、また、移動トレイ33の下部の左右に前後方向のラック35,35を設け、機本体2の下部には、トレイ駆動用モータ36を設け、このトレイ駆動モータ36により駆動する左右方向の駆動軸37を、前記機本体2に回動自在に設け、前記駆動軸37の両側に前記ラック35,35に噛合する駆動ギヤ38,38を設けている。尚、トレイ駆動モータ36はブレーキ付きのものを用い、ブレーキによりその回転を停止する制動を加えたり、その制動を解除したりできる。
【0019】
したがって、駆動用モータ36の駆動により駆動ギヤ38,38を回転駆動すると、ラック35,35を一体に設けた移動トレイ33が、前後方向に移動することができる。また、駆動用モータ36のブレーキを用いて、雪の圧力を受けても反力板32が移動しないように位置固定することができる。そして、前記スクリューコンベア21L,21R,21L,21Rが、前記圧縮空間28の雪に、一側方向である後側に向って圧縮する圧縮力を加えるのに対して、前記反力板32は、前記圧縮力と逆方向の反力を前記圧縮空間28内の雪に加えるものである。
【0020】
前記スクリューコンベア21L,21R,21L,21R及び反力トレイ装置31は、制御手段41により制御され、この制御手段41には前記スクリュウ駆動モータ27,トレイ駆動モータ36などが電気的に接続されており、その制御手段41の制御の一例について説明する。まず、移動トレイ33は、その反力板32が搬出口6Bを塞ぐ位置にあり、トレイ駆動モータ36の制動力により位置固定されている。スクリュウコンベア21L,21R,21L,21Rにより雪が圧縮搬送室6の圧縮空間28へと送られて圧縮される。反力板32は固定されており、雪の圧縮が進むとスクリュウ駆動モータ27に加わる抵抗が大きくなるから、該モータ27において、例えば、閾値として定格トルクに対応する電流を超えたら、雪が所定の圧縮状態(圧縮密度)に達したと判断して反力板32が後退するように移動トレイ33を駆動する。この場合、圧縮空間28内の雪に所定の反力を与えるようにしながら移動トレイ33を後退させる。尚、制御方法は、閾値制御のほかPID制御や状態フィードバック制御のようなアナログ制御を用いてもよい。
【0021】
前記機本体2の後部には、移動トレイ33により排出された雪ブロック101を切断する切断手段51と、切断分離したブロック単体102を積み重ねる積重ね手段52とが設けられている。前記切断手段51は、前記機本体2の後部左右に支柱53,53を立設し、この支柱53,53に、ガイド部材54により門型板状の昇降枠55を昇降可能に設け、この昇降枠55内に切断部材たるカッターブレード56を取り付け、このカッターブレード56は下端が刃部56Aになっている。前記昇降枠55の両側にラック57,57を固定し、各ラック57,57に駆動ギヤ58,58を噛合し、これら駆動ギヤ58,58を昇降駆動モータ59により駆動し、この昇降駆動モータ59は、機本体2に固定され、駆動ギヤ58,58の間に位置する。
【0022】
また、前記昇降枠55の左右には、積重ね手段8のアーム62,62が、後方に向ってほぼ水平に突設されている。また、積重ね手段8は、前記アーム62,62に機本体2の幅方向に移動する挟持アーム63,63を設け、この挟持アーム63は、移動駆動手段である流体圧シリンダ64を備え、この流体圧シリンダ64の本体をアーム62に固定し、流体圧シリンダ64の伸縮杆64Aを前記挟持アーム63に固定している。また、流体圧シリンダ64の前後には、案内部材65,65が配置され、この案内部材65は、そのスライド軸65Aを前記挟持アーム62に固定し、そのスライド軸65Aを案内する案内筒体65Bを有する。尚、スライド軸65Aは、その軸方向を機本体2の幅方向に合わせている。
【0023】
したがって、流体圧シリンダ64が伸縮すると、両側の案内部材65,65により安定的に挟持アーム63を移動することができる。
【0024】
また、図8の略図に示すように、前記圧縮搬送室6の底面6Cより、前記移動トレイ33の底面33Aは僅かに低い位置に配置されており、例えば、高さの差Hを3〜6mm程度としている。また、前記制御手段41により、前記切断手段51及び積重ね手段8が制御され、その昇降駆動モータ59と流体圧シリンダ64の駆動制御部とに、前記制御手段41が電気的に接続されている。
【0025】
次に、前記制御手段41の制御による前記切断手段51と積重ね手段8の動作について、以下に説明する。上述したように、移動トレイ33が所定位置まで後退し、図9(A)に示すように、雪ブロック101が搬出口6Bから所定長さだけ排出されたら、前記昇降駆動モータ59を駆動して昇降体55を降下し、刃部56Aを雪ブロック101の上面から食い込ませてブロック単体102を形成する。この場合、図8に示すように、圧縮搬送室6の底面6Cと移動トレイ33の底面33Aとの高さの差Hにより、雪ブロック101は上面側が引張領域となるように撓んでいるため、固まった雪ブロック101を円滑に切断分離することができる。刃部56Aが底面33Aまで降下すると、昇降駆動モータ59が停止し、昇降体55が停止するとともに、図示しないストッパにより、降下が規制される。この位置で、挟持アーム63,63は、ブロック単体102を側面から挟む位置にあり、流体圧シリンダ64が伸張して挟持アーム63,63がブロック単体102を挟持する。この挟持の後、昇降駆動モータ59が駆動し、昇降体55が上昇して、図9(B)に示すように、移動トレイ33が前方移動可能な位置までブロック単体102を持ち上げ、該位置で昇降体55が停止する。昇降体55が停止したら、図9(B)に示したように、移動トレイ33が前進し、反力板32が搬出口6Bを塞ぐ位置で移動トレイ33が停止し、上述したように、反力板32により圧縮空間28内の雪に反力を加えながら移動トレイ33が後退し、図9(C)に示すように、所定位置まで後退したら、昇降体55が降下し、挟持アーム63,63により挟持していたブロック単体102が、移動トレイ33上の雪ブロック101上に乗るか、あるいは図9(D)に示すように、その僅かに上の位置まで来たら、降下を停止し、挟持アーム63,63が開いて、図9(E)に示すように、雪ブロック101上にブロック単体102を載置する。さらに、昇降体55が降下し、雪ブロック101を切断し、切断されたブロック単体102を挟持アーム63,63が挟持した後、昇降体55が上昇し、2個の積重ねられたブロック単体102,102は、移動トレイ33が後方移動可能な位置まで持ち上げられ、該位置で昇降体55が停止する。この後、同様にして、次のブロック単体102が切断形成され、3個の積重ねられたブロック単体102,102,102は、移動トレイ33が後方移動可能な位置まで持ち上げられ、該位置で昇降体55が停止し、本実施例では、複数、例えば6つのブロック単体102,102,102,102,102,102が積重ね手段8により積み重ねられ、最下部のブロック単体102を挟持アーム63,63により挟持した状態で、移動することができ、所定位置に移動した後、機本体2を停止し、昇降体55を降下し、挟持アーム63,63を開いて、積み重ねたブロック単体102,102,102,102,102,102を下すことができる。
【0026】
また、図10などに示すように、前記機本体2には、走行方向前側に、左右の照明手段71,71が設けられ、側部には、障害物などを検知する検知手段たる超音波センサ72,72が設けられ、前記照明手段71,71の中央にはステレオビジョンカメラ73が設けられている。また、図中、74はGPSアンテナ、75は3段式の状態表示灯、76は非常停止スイッチ、77は着脱コネクタ取付穴、78は吊上げ用のフックである。尚、機本体2は、前記超音波センサ72,72,GPSアンテナ74などと図示しない走行制御手段により自動走行するように構成されている。
【0027】
そして、一対の対向回転するスクリューコンベヤ21L,21Rを用いることにより、雪とスクリュー23L,23Rとが一体となって回る供回りを防ぎながら、雪を滑らかに圧縮空間28へと送ることができる。また、搬出口6Bから送り出された雪ブロック101は、カッターブレード56により一定の大きさになるように切断され、この際、高さの差Hを利用して雪ブロック101に曲げを生じさせ、引張応力が生じている面にカッターブレード56を挿入することで、円滑に切断することができる。また、生成された矩形のブロック単体102は、その側面から挟持アーム63,63で保持して持ち上げ、次に生成されたブロック単体102の上に重ねる。その挟持アーム63,63は、ブロック単体102を降下して保持状態を解除し、移動トレー33上のブロック単体102を挟持し、持ち上げ、この動作を繰り返し、6段程度にブロック単体102を積上げ、機本体2を走行し、それらブロック単体102を所定の位置で地面に下すことができる。
【0028】
このように本実施例では、請求項1に対応して、機本体2と、この機本体2内に雪を取り入れる取入手段4と、この取入手段4により取り入れた雪を前記機本体2内で圧縮する圧縮手段5とを備えた雪の圧縮装置において、圧縮手段5は、ほぼ平行に配置した一対のスクリューコンベヤ21L,21Rを備えるから、取入手段4が機本体2内に雪を取り入れ、この取り入れた雪を一対の対向回転するスクリューコンベヤ21L,21Rが搬送方向に送りながら均一な密度で圧縮することができる。
【0029】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、機本体2内で圧縮成形された雪ブロック101を排出する排出手段7と、この排出された雪ブロック101を切断分離してブロック単体102を形成する切断部材たるカッターブレード56とを備え、排出された雪ブロック101の排出先端側を低くした状態で上部からカッターブレード56を降下して切断するから、圧縮成形した雪ブロック101を排出し、排出された雪ブロック101の排出先端側を低くすることにより、圧縮された雪ブロック101の上面側が引張領域となる曲げが発生し、その引張領域となった上面側にカッターブレード56が降下して食い込むことにより、円滑な切断が可能となる。
【0030】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、機本体2内で圧縮成形された雪ブロック101からブロック単体102を形成するブロック形成手段9と、ブロック成形手段9により成形されたブロック単体102を機本体2の後部に積重ねる積重ね手段8とを備えるから、成形されたブロック単体102を積重ねて保管することができる。
【0031】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、ブロック単体102を、機本体2に積重ねる積重ね手段8を備えるから、圧縮成形した雪ブロック101を排出し、排出された雪ブロック101の排出先端側を低くすることにより、圧縮された雪ブロック101の上面側が引張領域となる曲げが発生し、その引張領域となった上面側にカッターブレード56が降下して食い込むことにより、円滑な切断が可能となり、切断して得られたブロック単体102を積重ねて保管することができる。
【0032】
また、実施例上の効果として、圧縮空間28内の雪に反力を加える反力トレイ装置31を備え、この反力トレイ装置31は、移動トレイ33と反力板32とを備え、圧縮空間28内の雪が所定の圧縮密度に達したら、反力板32により圧縮空間28内の雪に所定の反力を与えながら移動トレイ33を外側に移動するように構成したから、移動トレイ33が移動しても、反力板32と外部に出た雪ブロック101とにより、圧縮空間28内の雪がブロック状になるまで圧縮され、雪ブロック101を外部に排出しながら、連続する雪ブロック101を効率よく製造することができる。
【0033】
そして、人力による除雪作業は、肉体的・精神的にも作業者の負担が大きく、本実施例の装置では、雪を圧縮してブロック単体102を成形する装置を、自走式の機本体2に搭載することにより、除雪作業を自動的に行うことができる。また、本装置を人手で操作する場合も、雪の圧縮と、ブロック単体102の成形を自動的に行うため、除雪作業が極めて楽になり、また、雪がブロック単体102となるため、雪室への再利用など取り扱いが容易で、利用価値が高まる。
【0034】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、取入手段は、実施例のものに限定されず、雪を投入するホッパーなどでよい。また、車輪などの走行手段を設け、機本体の後部に操作ハンドルを設け、この操作ハンドルを人力で押すことにより、移動するようにしてもよい。さらに、反力トレイ装置の制御方法は各種の方法を用いることができる。また、積重ね手段により重ねるブロック単体は、2段以上であれば、何段でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1を示す前後方向の断面図である。
【図2】同上、取入装置及び圧縮手段の要部の正面図である。
【図3】同上、取入装置及び圧縮手段の要部の平面図である。
【図4】同上、排出手段の要部の側面図である。
【図5】同上、排出手段の要部の背面図である。
【図6】同上、切断手段及び積重ね手段の背面図である。
【図7】同上、切断手段及び積重ね手段の平面図である。
【図8】同上、排出手段と切断手段の概略説明図である。
【図9】同上、切断手段及び積重ね手段の動作を説明する側面図である。
【図10】同上、正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 圧縮装置
2 機本体
3 クローラ
4 取入手段
5 圧縮手段
7 排出手段
8 積重ね手段
9 ブロック形成手段
21L スクリューコンベア
21R スクリューコンベア
23L,23R スクリュー
28 圧縮空間
31 反力トレイ装置
32 反力板
33 移動トレイ
51 切断手段
56 カッターブレード(切断部材)
101 雪ブロック
102 ブロック単体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機本体と、この機本体内に雪を取り入れる取入手段と、この取入手段により取り入れた雪を前記機本体内で圧縮する圧縮手段とを備えた雪の圧縮装置において、前記圧縮手段は、ほぼ平行に配置した一対のスクリューコンベヤを備えることを特徴とする雪の圧縮装置。
【請求項2】
前記機本体内で圧縮成形された雪ブロックを排出する排出手段と、この排出された雪ブロックを切断分離してブロック単体を形成する切断部材とを備え、前記排出された雪ブロックの排出先端側を低くした状態で上部から前記切断部材を降下して切断することを特徴とする請求項1記載の雪の圧縮装置。
【請求項3】
前記機本体内で圧縮成形された雪ブロックからブロック単体を形成するブロック形成手段と、前記ブロック成形手段により成形されたブロック単体を前記機本体に積重ねる積重ね手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の雪の圧縮装置。
【請求項4】
前記ブロック単体を、前記機本体に積重ねる積重ね手段を備えることを特徴とする請求項2記載の雪の圧縮装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−326674(P2006−326674A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157932(P2005−157932)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度および17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構次世代ロボット実用化プロジェクトプロトタイプ開発支援事業委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)」
【出願人】(592102940)新潟県 (41)
【出願人】(594091215)株式会社技術開発研究所 (9)
【Fターム(参考)】