説明

雫受け器

【課題】 雨傘の雫が垂れる部分を納めると共に、雨傘から滴下する雫を貯めて、適宜貯まった雨水を確実に排出することができ、且つ設置スペースを小さくすることができる雫受け器を提供する。
【解決手段】 本発明に係る雫受け器は、閉じられた雨傘の少なくとも先端部を収納可能な収納部3と、該収納部3に連設されて前記雨傘から滴下する雫を貯める貯水部4とを備える雫受け器であって、前記貯水部4は、先端部に開口8を有すると共に、該開口8を閉鎖する弁閉状態と、開口を開放する弁開状態とに切り替え可能な弁体11が内部に設けられ、しかも、少なくとも先端部が収納部3内に挿入可能な形状であると共に、別の雫受け器の収納部3内に挿入された状態で、前記弁体11の先端部が相手側の弁体11の後端部と当接して両弁体11,11が作動的に連結するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨傘の少なくとも先端部を納めると共に、雨傘から滴下する雫を貯めて、適宜貯まった雨水を排出することができる雫受け器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットや百貨店等不特定多数の人が利用する施設においては、雨水で濡れた折り畳んだ雨傘を持ち歩く際に、雨傘から滴下する雫を受けるために、ビニール袋が用いられている。
【0003】
ビニール袋は、かさ張らずに使用することができるものであるが、使用後、水が貯まっているものは携帯されず、使い捨てられてごみとなり、資源を浪費することになってしまう。また、濡れた雨傘にビニール袋を被せる際、雨水で手が濡れるという問題点がある。そこで、床を雫で濡らすことがなく雨水を回収できると共に、資源の浪費を防ぎ、片手で容易に雨傘に取り付けることができるものとして、図9に示す雫受け器が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この雫受け器33は、雨傘を差し込み挟持するためのインナー34と、インナー34の下部に嵌着した本体35と、本体35の下部に取り付けた貯水体36と、貯水体36の底部に設けた排水口37を塞ぐパッキング38を貼着した受け板39と、受け板39と貯水体36の間に介在したばね40とを備えるものであり、受け板の底面を適合した突起部材に押し当てることにより、貯水体内に貯まった雨水を排出することができる。
【特許文献1】実開平6−13531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記雫受け器は、回収及び保管のためのラックが1個ずつ横方向に並べるレイアウト構造であるため、スーパーマーケットや百貨店等多数の人が利用する施設においては、多数の雫受け器を並べるスペースを確保しなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、雨傘の雫が垂れる部分を納めると共に、雨傘から滴下する雫を貯めて、適宜貯まった雨水を確実に排出することができ、且つ設置スペースを小さくすることができる雫受け器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る雫受け器は、上記課題を解決するためになされたものであり、閉じられた雨傘の少なくとも先端部を収納可能な収納部と、該収納部に連設されて前記雨傘から滴下する雫を貯める貯水部とを備え、前記貯水部は、先端部に開口を有すると共に、該開口を閉鎖する弁閉状態と、開口を開放する弁開状態とに切り替え可能な弁体が内部に設けられ、しかも、少なくとも先端部が収納部内に挿入可能な形状であると共に、別の雫受け器の収納部内に挿入された状態で、前記弁体の先端部が相手側の弁体の後端部と当接して両弁体が作動的に連結するように構成されることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成の雫受け器によれば、弁体が貯水部の開口を閉鎖する弁閉状態となっていることで、濡れた雨傘から滴下する収納部内の雫は、貯水部内に至って貯水され、外部に漏れ出ることはない。そして、貯水部内の貯水を排水する場合は、弁体を弁閉状態から移動させ、弁開状態にして貯水部の開口を開放し、この開口から内部に貯水された水を排水させる。また、貯水部の少なくとも先端部が収納部内に挿入可能な形状であることで、複数の雫受け器を縦方向に重ねることができるようになっており、別の雫受け器の収納部内に挿入された状態で、弁体の先端部が相手側の弁体の後端部と当接して両弁体が作動的に連結することで、何れの雫受け器の貯水部も同時的に弁閉状態から弁開状態に切り替えられ得る。そのため、複数の雫受け器を縦方向に重ね、重ねた状態で各雫受け器の貯水部が弁開状態にされることで、各雫受け器から雨水が順次下方に排出されるようになっている。
【0009】
また、本発明に係る雫受け器は、前記弁体の先端部が押されることにより、前記貯水部が弁開状態にされると共に、前記弁体の後端部が移動して、前記収納部内に挿入された別の雫受け器の弁体の先端部を押す構成であることが好ましい。
【0010】
上記構成の雫受け器によれば、弁体の後端部が移動して、収納部内に挿入された別の雫受け器の弁体の先端部を押すことで、別の雫受け器の貯水部を完全な弁開状態にすることができる。
【0011】
また、本発明に係る雫受け器は、先端部を下方に向けた状態で、前記貯水部の内面が水平面に対して傾きを有するテーパ状に形成されることが好ましい。
【0012】
上記構成の雫受け器によれば、先端部を下方に向けると、貯水部内の雨水が先端部の開口に向かって流れるようになる。そのため、貯水部内の雨水を確実に排出することができる。
【0013】
また、本発明に係る雫受け器は、前記収納部が、雨傘を収納可能とすべく、雨傘の差込み口から前記貯水部への向きを長手方向とするカバー部を有し、該カバー部の内壁面に長手方向に延びる縦突起部を周方向に間隔を有して複数設けた構成であることが好ましい。
【0014】
上記構成の雫受け器の長手方向に延びる縦突起部とは、カバー部の内壁面において、雨傘の差込み口付近から貯水部が連設される付近にかけて連続的に又は断続的に設けられている突部である。この縦突起部は、内壁面に付着した雨水が伝わるガイドになると共に、別の雫受け器が重ねられた時に、カバー部の内壁面と別の雫受け器のカバー部の外壁面とが面で接することがないようにし、その間に雨水が表面張力で残余することのないスペーサとしての役割を果たす。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る雫受け器によれば、雨傘から滴下する雫を確実に貯めて、適宜貯まった雨水を確実に排出することができ、且つ設置スペースを小さくすることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る雫受け器の一実施形態である傘入れについて図を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る傘入れ1を示す斜視図、図2は、同傘入れ1を固定するスタンド2を含めた全体斜視図である。
【0017】
本実施形態に係る傘入れ1は、閉じられた雨傘を収納する収納部としての収納体3と、この収納体3に連設して取り付けられている、雨傘から滴下する雫を貯める貯水部としての貯水体4とを備えている。また、この傘入れ1を上方から差し込み可能で、差し込まれた傘入れ1が倒れないようにするためのスタンド2が別途提供される。
【0018】
収納体3は、円錐形状のカバー部5と、人が持ち歩く際に掴む取っ手6とを備えている。取っ手6は、一対の紐状体からなり、各取っ手6の両端部がカバー部5の上方開口に取り付けられ、弧状となった一対の取っ手6を掴んで携帯ができるようになっている。また、カバー部5の上方開口から差し込まれて収納された雨傘は、その先端部が収納体3の底部まで入り込むので、折畳み傘や子供用傘等、短い雨傘が収納されている場合にそれを取り出し易くできるように、カバー部5には、上方開口からカバー体の長手方向に沿って切り欠かれたスリット7が設けられている。
【0019】
図3、図4は、貯水体4を示す正断面図である。なお、図3、図4は、何れも先端部を下に向けた状態であり、図4は、傘入れ1が前記スタンド2に差し込まれて固定された時の状態を示している。貯水体4は、後端部で前記収納体3に連設され、先端部に開口としての排水口8を有する。貯水体4は、円錐形状の集水筒9を有し、その内部に、収納体3の内部空間と貯水体4の内部空間とを仕切るための仕切部材10と、この仕切部材10によって摺動可能に支持され、前記排水口8を閉鎖する弁閉状態(図3)と開放する弁開状態(図4)とを切り替える弁体11とを有する構造となっている。
【0020】
集水筒9は、その後端部が前記収納体3の(カバー部5の)先端部に取り付けられている。より詳しくは、カバー部5の筒状の先端部の外周面に雄ネジ12が形成される一方、集水筒9の筒状の後端部の内周面に雌ネジ13が形成され、両ネジが螺合することにより、集水筒9は、カバー部5の先端部に着脱自在に取り付けられる。
【0021】
また、集水筒9の外周面と収納体3のカバー部5の外周面とは、長手方向に対して同一ないし略同一角度のテーパを有し、また、上記のように取り付けた際、集水筒9の外周面とカバー部5の外周面とが面一ないし略面一となるように形状が設定されており、その結果、集水筒9からカバー部5にかけて(即ち、貯水体4から収納体3にかけて)一体の円錐形状を呈するようになる。ただし、集水筒9の先端部に前記排水口8を形成できるように、後端部から先端部に向かう途中より、外径を絞って上記テーパ角を大きくしている。また、排水口8付近では集水筒9の肉厚を大きくしている。
【0022】
集水筒9の先端部の先端面は、環状で、且つ、平坦な形状になっている。そこで、雨水が排出される通路を確保するために、集水筒9の内と外とを連通するように、この平坦な面に排水溝14が設けられている。この排水溝14は、放射状に複数形成されている。
【0023】
仕切部材10は、集水筒9における後端部付近の内周面に嵌合されて取り付けられている。より詳しくは、仕切部材10は、収納体3から貯水体4にかけての長手方向と直交するように配置される円板状の部材である。そして、仕切部材10の外周縁に形成された当止め部15が集水筒9の内周面に形成された段差状の当止め部16に係止され、さらには、仕切部材10の当止め部15が収納体3のカバー部5の筒状の先端部によって上方から押圧されることにより、即ち、仕切部材10の当止め部15がカバー部5の先端部と集水筒9の内周の当止め部16とに挟持されることにより、集水筒9内で仕切部材10がずれることがないようになっている。なお、取付け強度を確保するために、接着剤が使用されることもある。
【0024】
また、仕切部材10はガイド部17を備える。このガイド部17は、略円筒形状であり、仕切部材10の中心に設けられ、前記弁体11の弁軸19を摺動可能に支持するものである。このガイド部17の周りは、平坦面を有する円板形状となっており、ガイド部17の収納体側の端部は、平坦面より長さSだけ突出している。また、前記円板形状の部分には、収納体3から貯水体4内に雨水を通すための通水口18が設けられている。
【0025】
弁体11は、弁軸19と、コイルばね20と、止水部材21とを備えている。弁軸19は、収納体3から貯水体4にかけての長手方向に沿って配置され、中空円筒形状であり、後端部側で仕切部材10のガイド部17により支持される。また、仕切部材10のガイド部17には、付勢部材としてのコイルばね20が収納されており、弁軸19に設けられたつばA22と仕切部材10との間で弾性力が加えられ、弁軸19が排水口8へ向かって常時付勢されるようになっている。止水部材21は、弁軸19の先端部側に設けられたつばB23とつばC24との間に外嵌され、環状の径の異なる止水部25を複数段有しており、弁閉状態では各段が上記弾性力により集水筒9の内面に押し当てられるようになっている。この止水部材21は、各段において、径外方向へ向かって肉厚が小さくなり、集水筒9の内面に押し当てられた際に曲がり易いようになっている。
【0026】
図3に示す弁閉状態では、弁軸19の後端部26の端面を仕切部材10のガイド部17の端部の端面と面一ないし略面一に位置させると共に、弁軸19の先端部27を、集水筒9の先端部の端面より、長さSだけ凹んだ所に位置させる。一方、図4に示す弁開状態では、傘入れ1の自重により、スタンド2に設けられた長さTの突部28に弁体11の先端部27が押されてコイルばね20が縮み、弁軸19の後端部26が仕切部材10におけるガイド部17の収納体側の端部より距離Lだけ移動(突出)することになる。ここで、距離L=長さT−長さS、という関係になる。この弁開状態では、止水部材21の止水部25は集水筒9の内面から離れ、雨水が排出される通路が形成される。
【0027】
本実施形態では、貯水体内における構造物は、排水時に雨水が残らないように、先端部が下方に向けられた状態では、何れも上方に開放された水平面を有しないようになっている。即ち、集水筒9の内面やつばA22、つばB23及び止水部25の上面等は、何れも水平面に対して傾きを有するようになっている。
【0028】
図5は、弁閉状態で、濡れた雨傘が収納されている貯水体4を示す正断面図である。貯水体4が収納体3に連設されているので、雨傘から滴下する雫は、傘入れ1の外部に漏れることはない。また、弁閉状態では排水口8が閉鎖されているので、雨水を貯める閉じた空間が形成される。即ち、雨傘から滴下する雫は、仕切部材10に設けられた通水口18を通して貯水体4の下方へ流れて貯まってゆくようになる。ここで、止水部材21が止水部25を複数段有しているので、上段の止水部25と集水筒9の内面との間で水が漏れても、中段又は下段の止水部25により水を漏らさないようにすることができる。
【0029】
なお、弁体11の先端部27は、何れの状態でも排水口8より外部に突出することはないので、濡れた雨傘を収納した傘入れ1が先端部を下に向けて平坦な床に置かれても、弁体11の先端部27が押されることはなく、貯まった雨水が排出されることはない。また、貯水体4は収納体3にネジが螺合する方式で取り付けられているので、収納された雨傘や貯まった雨水の重みにより、貯水体4が収納体3から脱落することはない。
【0030】
図6は、複数の傘入れ1,…が重ねられて弁開状態になっていることを示す正断面図である。収納体3及び貯水体4は円錐形状であり、収納体3の取付け部の内径が、貯水体4の先端部の外径より大きいので、図に示すように、貯水体4が別の傘入れの収納体3に挿入されて重ねられ得る。図6は、傘入れ1がスタンド2に差し込まれて固定された時の状態を示しており、各傘入れ1は縦方向に重ねられている。このように重ねることができるので、使用後に傘入れ1を回収する際には、1個ずつ横方向に並べる必要はない。
【0031】
図6は、スタンド2に設けられた突部28によって、最も下に位置する傘入れ1の弁体11の先端部27が押されている状態を示している。この場合、この傘入れ1の貯水体4が弁開状態になると共に、弁体11の弁軸19の後端部26が仕切部材10におけるガイド部17の収納体側の端部より距離Lだけ移動(突出)し、さらに、上に重ねられた傘入れ1の弁体11の先端部27が押されることになる。そこで、上に重ねられた傘入れ1の貯水体4が弁開状態になると共に、弁体11の弁軸19の後端部26が仕切部材10におけるガイド部17の収納体側の端部より距離Lだけ移動することになる。このように、複数の傘入れ1,…の弁体11が作動的に連結しているので、重ねられた何れの傘入れ1の貯水部も同時的に完全な弁開状態となる。
【0032】
上記弁開状態では、各傘入れ1の弁体11の弁軸19に取り付けられた止水部材21の止水部25は集水筒9の内面から離れ、貯水体4に貯まった雨水は排水口8から排出される。さらに下に別の傘入れ1がある場合には、排出された雨水は、この別の傘入れ1の仕切部材10の通水口18に流入する。最も下に位置する傘入れ1から排出された雨水は、スタンド2に設けられた通水口29を通して外部に排出される。なお、各傘入れ1が先端部を下に向けて縦方向に重ねられているので、排水時に貯水体内に雨水が残ることはない。
【0033】
ところで、傘入れ1を使用した後は、収納体3のカバー部5の内面が雨水で濡れているので、複数の傘入れ1,…を重ねると、挿入した傘入れ1のカバー部5の外面と挿入された傘入れ1の濡れているカバー部5の内面とが接した場合、挿入した傘入れ1のカバー部5の外面が濡れてしまうことになる。この場合、次に傘入れ1を使用する者の衣服や荷物等が、前記カバー部5の外面に接して濡れてしまうという問題点がある。
【0034】
そこで、本実施形態に係る傘入れ1は、図1に示す通り、収納体3のカバー部5の外面に円周方向に延伸する複数の横突起部30,…を設け、収納体3のカバー部5の内面に長手方向に延伸する複数の縦突起部31,…を設けている。これらの突起部があることにより、収納体3のカバー部5の内面と外面とが面で接することがなくなり、複数の傘入れ1,…を重ねた後も、カバー部5の外面に付着する雨水は少なくなる。なお、収納体3のカバー部5の内面に円周方向に延伸する複数の横突起部を設け、収納体3のカバー部5の外面に長手方向に延伸する複数の縦突起部を設けた場合にも、上記と同様の効果を奏するが、内面に縦突起部がある形態の方が雨傘の収納時に引っ掛かることがなく好ましい。また、縦突起部を伝わって雨水が下方に流れ易くなるので、この点でも、カバー部5の内面に縦突起部31を設ける形態の方が好ましい。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る傘入れ1によれば、貯水体4が収納体3に連設されていることで、濡れた雨傘から滴下する雫を確実に貯めることができる。また、貯水体4が先端部に排出口を有すると共に、貯水体4の内部に設けられた弁体11が、この排水口8を閉鎖する弁閉状態と、排水口8を開放する弁開状態とに切り替えることで、貯水と排水とを行うことができる。
【0036】
また、貯水体4の先端部が収納体内に挿入可能であることで、複数の傘入れ1,…を重ねることができると共に、別の傘入れ1の収納体内に挿入された状態で、弁体11の弁軸19の先端部27が相手側の弁体11の弁軸19の後端部26と当接して両弁体が作動的に連結するように構成されることで、重ねた状態で排水を行うことができる。さらに、傘入れ1を縦方向に重ねることにより、重ねられた何れの傘入れ1も、貯水部に貯まった雨水を確実に排出することができる。なお、スタンドの上に複数の傘入れ1,…を重ねることができるので、傘入れ1を回収する場所の面積を小さくすることができる。
【0037】
また、貯水体4が収納体3にネジが螺合する方式で取り付けられているので、傘入れ1の保守の際に、貯水体4をはずして、仕切部材10の通水口18に詰まった石やごみ等を取り除くことができる。
【0038】
また、濡れた雨傘が収納体3に納められ、複数の傘入れ1,…が重ねられた後も収納体3のカバー部5の外面に付着する雨水を少なくできるので、傘入れ1を使用する者の衣服や荷物等が濡れてしまうことを少なくできる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、仕切部材10は貯水体4に取り付けられていたが、これに限定されるものではなく、例えば、仕切部材を収納体側に設けてもよく、図7に示すように、収納体3の側の仕切部としてカバー部5と一体に形成されているものであってもよい。また、図7に示す他の実施形態に係る傘入れ1の貯水体4においては、止水部材は弁体11に取り付けられず、弁体11の弁軸19の先端部27がゴム製の集水筒9の内面に押し当てられることで弁閉状態となる。
【0041】
図8は、他の実施形態に係る傘入れ1の貯水体4の弁開状態を示す正断面図である。本図は、傘入れ1がスタンド2の挿入部32に差し込まれて固定された時の状態を示している。スタンド2に設けられた突部28に弁体11の先端部27が押されてコイルばね20が縮み、弁体11の弁軸19の後端部26が移動している状態が示されている。この弁開状態では、貯水体4に貯まった雨水は排水口8から排水溝14を通して排出され、さらに、スタンド2に設けられた通水口29を通して外部に排出される。
【0042】
また、上記実施形態においては、収納体3と貯水体4の外形は円錐形状であるとしたが、貯水体4の少なくとも先端部が収納体内に挿入可能な形状であれば、例えば、角錐形状であっても、当然に同様の作用及び効果を奏する。
【0043】
また、上記実施形態においては、収納体3と貯水体4とが別々に構成され、分離可能となっているが、両者が一体的に構成されていてもよい。その場合、収納部と貯水部として特定される。
【0044】
また、上記実施形態においては、貯水体4の先端部の排水口8に排水溝14が形成されていることとしたが、スタンド2に設けられる通水口29が貯水体4の先端部の排水口8より内側に位置する場合には、前記排水溝14は不要となる。
【0045】
また、上記実施形態においては、収納体3のカバー部5の外面に円周方向に延伸する複数の横突起部30,…を設け、収納体3のカバー部5の内面に長手方向に延伸する複数の縦突起部31,…を設けているが、カバー部5の外面に縦突起部を設けてもよい。この場合、横突起部30に替わるものとしてもよく、横突起部30と並存するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態の傘入れを示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係る傘入れと、この傘入れを固定するスタンドとを含めた全体斜視図である。
【図3】同実施形態に係る傘入れの貯水体の弁閉状態を示す正断面図である。
【図4】同実施形態に係る傘入れの貯水体の弁開状態を示す正断面図である。
【図5】同実施形態に係る傘入れの貯水体が、弁閉状態で濡れた雨傘が収納されていることを示す正断面図である。
【図6】同実施形態に係る傘入れが複数重ねられて弁開状態になっていることを示す正断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る傘入れの貯水体の弁閉状態を示す正断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る傘入れの貯水体の弁開状態を示す正断面図である。
【図9】従来の雫受け器を示す正断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…傘入れ、2…スタンド、3…収納体、4…貯水体、5…カバー部、6…取っ手、7…スリット、8…排水口、9…集水筒、10…仕切部材、11…弁体、12…雄ネジ、13…雌ネジ、14…排水溝、15…当止め部、16…当止め部、17…ガイド部、18…通水口、19…弁軸、20…コイルばね、21…止水部材、22…つばA、23…つばB、24…つばC、25…止水部、26…後端部、27…先端部、28…突部、29…通水口、30…横突起部、31…縦突起部、32…挿入部、S…長さ、L…距離、T…長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じられた雨傘の少なくとも先端部を収納可能な収納部と、該収納部に連設されて前記雨傘から滴下する雫を貯める貯水部とを備える雫受け器であって、前記貯水部は、先端部に開口を有すると共に、該開口を閉鎖する弁閉状態と、開口を開放する弁開状態とに切り替え可能な弁体が内部に設けられ、しかも、少なくとも先端部が収納部内に挿入可能な形状であると共に、別の雫受け器の収納部内に挿入された状態で、前記弁体の先端部が相手側の弁体の後端部と当接して両弁体が作動的に連結するように構成されることを特徴とする雫受け器。
【請求項2】
前記弁体の先端部が押されることにより、前記貯水部が弁開状態にされると共に、前記弁体の後端部が移動して、前記収納部内に挿入された別の雫受け器の弁体の先端部を押すことを特徴とする請求項1に記載の雫受け器。
【請求項3】
先端部を下方に向けた状態で、前記貯水部の内面が水平面に対して傾きを有するテーパ状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の雫受け器。
【請求項4】
前記収納部は、雨傘を収納可能とすべく、雨傘の差込み口から前記貯水部への向きを長手方向とするカバー部を有し、該カバー部の内壁面に長手方向に延びる縦突起部を周方向に間隔を有して複数設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の雫受け器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−148588(P2010−148588A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327990(P2008−327990)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(391057052)株式会社サンパック (16)
【Fターム(参考)】