説明

電力供給システム、及び電力供給方法

【課題】よりきめ細かく蓄電池と電力系統との制御を行い、より電気料金を節約することが可能な電力供給システムを提供すること。
【解決手段】負荷15に接続された、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電池122と、蓄電池122の残存容量を検出する残存容量検出部13と、負荷15の消費電力に対する、蓄電池122と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて予め設定されている最小限残存電力値をピーク時間帯までは残すように、残存容量の検出結果を利用して制御する制御部14とを備えた、電力供給システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、夜間に電力を蓄積し、昼間の電力使用量のピーク時に利用する蓄電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1の蓄電装置では、ピークの値を減少させることによって電気料金を安く出来ると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009―296880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、よりきめ細かな蓄電池と商用の電力系統との制御が行われておらず、電気料金の節約が不十分であった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、よりきめ細かく蓄電池と電力系統との制御を行い、より電気料金を節約することが可能な電力供給システム及び電力供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
負荷に接続された、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電池と、
前記蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出部と、
前記負荷の消費電力に対する、前記蓄電池と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて、予め設定されている最小限残存電力量を前記ピーク時間帯までは残すように、前記残存容量の検出結果を利用して制御する制御部とを備えた、電力供給システムである。
【0008】
第2の本発明は、
前記蓄電池と前記電力系統からの供給は、前記蓄電池を優先させる、第1の本発明の電力供給システムである。
【0009】
第3の本発明は、
前記負荷は、複数グループに分かれており、
前記複数のグループ毎に前記蓄電池が設けられており、
前記制御部は、複数の前記蓄電池のうち余剰の電力を有する前記蓄電池の電力を、それ以外の前記蓄電池に接続されている前記グループに供給するよう制御を行う、第2の本発明の電力供給システムである。
【0010】
第4の本発明は、
負荷の消費電力を検出する負荷検出部と、
前記負荷に接続された、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電池と、
前記消費電力が、契約電力値から決定されている所定の値に達すると、電力系統に加えて前記蓄電池を併用して、前記契約電力値を超えないように制御を行う制御部とを備えた、電力供給システムである。
【0011】
第5の本発明は、
負荷に接続された蓄電池に、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電ステップと、
前記蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出ステップと、
前記負荷の消費電力に対する、前記蓄電池と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて、予め設定されている最小限残存電力量を前記ピーク時間帯までは残すように、前記残存容量の検出結果を利用して制御する制御ステップとを備えた、電力供給方法である。
【0012】
第6の本発明は、
第5の本発明の電力供給方法の、少なくとも、前記負荷の消費電力に対する、前記蓄電池と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて、予め設定されている最小限残存電力量を前記ピーク時間帯までは残すように、前記残存容量の検出結果を利用して制御する前記制御ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
【0013】
第7の本発明は、
第6の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、よりきめ細かな蓄電池と電力系統との制御を行い、より電気料金を節約することが可能な電力供給システム及び電力供給方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における電力供給システムの概念構成図
【図2】一日の消費電力の変動のグラフを示す図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における電力供給システムの制御のフローを示す図
【図4】本発明にかかる実施の形態1における電力供給システムの制御を説明するためのグラフを示す図
【図5】本発明にかかる実施の形態2における電力供給システムの概念構成図
【図6】本発明にかかる実施の形態2における電力供給システムの制御のフローを示す図
【図7】本発明にかかる実施の形態2における電力供給システムの蓄電部の変形例の構成を示す図
【図8】本発明にかかる実施の形態3における電力供給システムの概念構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
以下の本発明にかかる実施の形態1における電力供給システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる実施の形態1における電力供給システムの概念構成図である。図1に示すように、本実施の形態1の電力供給システムは、商用電力系統10に接続されている電力調整部11と、電力調整部11を介して商用電力系統10から電力を蓄電する蓄電部12と、蓄電部12の残存容量を検出する残存容量検出部13と、検出された残存容量の結果を受け、蓄電部12と電力調整部11の制御を行う制御部14とを備えている。上記電力調整部11には、負荷15が接続されている。この負荷15としては、空調機16、PC(パーソナルコンピュータ)17、及び照明装置18が用いられている。
【0019】
上記蓄電部12には、交流と直流を変換するための双方向インバーター121と、直流に変換された電気を蓄電する蓄電池122が設けられている。又、制御部14には、メモリ141が設けられており、メモリ141には、空調機16、PC17、及び照明器具18等の負荷15による消費電力が契約電力値を超える時間帯、契約電力値を超える総電力量及び時刻に応じた蓄電池122からの電力供給量の制御プログラムなどが記録されている。尚、図1において新合繊に関しては点線で示されている。
【0020】
次に、負荷における消費電力の変動について説明する。
【0021】
ビルや工場のような高圧受電を行う場合、30分最大需要電力計(デマンド値)の組込まれた電子式電力量計が取り付けられ、計測が行われる。そして、高圧受電500kW以上の場合、電力会社との協議により契約電力値が決められており、最大需要電力が契約電力値を超えると、通常より割り増しの違約金を支払う必要がある。そして、最大需要電力(デマンド値)をもとに、新たに契約電力値変更の協議が行われる。
【0022】
このように、消費電力が契約電力値を超えることによって違約金が発生することになるため、消費電力を契約電力値以下に抑える必要がある。
【0023】
ここで、本実施の形態では、予め負荷15の消費電力の変動が複数日にわたって取得されている。この負荷15の消費電力の変動のグラフを図2に示す。図2は、夏季における複数日の負荷15の消費電力の変動量の平均を示すグラフSの図であり、契約電力値が550kWに設定されている。
【0024】
図2に示すように、朝から急速に消費電力は上昇し、昼休みの休憩時間で一旦減少する。そして、昼休み休憩後、再び消費電力は上昇し、最大となる。その後、夜間に向けて消費電力は減少する。このような図2の負荷変動曲線では、13時30分から16時25分の間における消費電力が契約電力値W1(550kW)を超えていることが分かる。この13時30分から16時30分の間において違約金が発生することになる。
【0025】
そのため、本実施の形態の電力供給システムでは、図2のような負荷変動曲線を複数日に渡って計測し、契約電力値よりも若干量低い基準電力値W2が設定され、その基準電力値W2を超える時刻(T1〜T2)と、その超える時刻における30分毎の消費電力量が学習される。その上で、基準電力値W2を超える時刻と、基準電力値W2を超える総消費電力量と、蓄電池122から放電する30分毎の放電量が決定され、メモリ141内に記憶されている。尚、このように若干量低い電力W2を基準にして消費電力が基準電力値W2を超えている時刻を学習したのは、契約電力値に対してマージンをもたせるためである(詳しくは後述する)。又、デマンド値は、毎時間の0〜30分、30分〜60分の30分毎の消費電力の平均値であるため、30分間の消費電力の平均値が、基準電力値W2を超えている時刻がT1〜T2として記憶される。すなわち、図2では、基準電力値W2を超えている時刻は、13:15〜16:40となっているが、13:00から13:30の間と、16:30〜17:00までの間の消費電力の平均値は、基準電力値W2の値よりも小さいため、メモリ141に記憶される時刻T1は13:30となり、時刻T2は16:30となる。尚、この点については図4においても説明する。又、図2に示すような電力負荷曲線は、負荷15に負荷センサ(図示せず)を設けることにより取得可能である。
【0026】
次に、本実施の形態1の電力供給システムの動作について説明するとともに、本発明の電力供給方法の一例についても述べる。
【0027】
図3は、本実施の形態1の電力供給システムの制御のフロー図である。このような制御フローは、制御部14のメモリ141に記憶されている。
【0028】
S10において、制御部14は、夜間の電気料金の時間帯(例えば、23時から翌日の7時まで)の間に、蓄電部12による蓄電の制御を行う。蓄電部12では、商用電力系統10からの交流が、双方向インバーター121によって直流に変換され、蓄電池122に蓄電される。このS10が、本発明の蓄電ステップの一例に相当する。尚、蓄電池122内の残存容量の検出は、残存容量検出部14によって常時行われている。この残存容量検出の制御が、本発明の残存容量検出ステップの一例に相当する。
【0029】
次に、S11において、昼間の電気料金の時間帯(例えば、7時から23時)になると、蓄電部12からの放電が開始される。具体的には、蓄電池122からの直流が双方向インバーター121によって交流に変換され、電力調整部11を介して負荷15へと供給される。ここで、商用電力系統10より蓄電部12からの電力供給を優先させるように電力調整部11は制御される。
【0030】
次に、S12において、予め学習によって取得された時刻T1に達したか否かが制御部14内のタイマーによって検出される。時刻T1に達していない場合には、制御はS13へと進む。
【0031】
そして、S13において、蓄電池の残存容量が、基準電力値W2を超えた総電力量Aを供給可能な規定の残存容量Bに達したか否かが判定される。ここで、蓄電池122からの供給過程においてエネルギーロスが発生するため、総電力量Aを供給可能な規定の残存容量Bとは、総電力量Aにエネルギーロスの分を考慮した電力量に相当する。
【0032】
そして、蓄電池の残存容量が規定の残存容量Bに達した場合、S14において、蓄電池122からの電力供給が停止され、制御はS12へと進む。一方、蓄電池122の残存容量が規定の残存容量Bに達していない場合は、蓄電池122からの電力供給が停止されず、制御はS12へと進む。
【0033】
一方、S12において、時刻がT1に達すると、予め決められた規則に基づいて蓄電池122から放電を行うように制御が行われる。図4は、時刻T1〜T2の負荷曲線の拡大図である。T1を13:30とし、T2を16:30とする。デマンド値は、毎時間の0〜30分、30分〜60分の30分毎の消費電力の平均値である。そのため、図4に示すように、時刻を30分毎に区切り、領域d1、d2、d3、d4、d5、d6とし、各領域の基準電圧W2(540kW)を超えている部分の電力量をP1、P2、P3、P4、P5、P6とすると、領域毎に契約電力値をオーバーしている部分(図4中斜線部分)を補うように蓄電池122から電力を放電するように制御が行われる。尚、このように、商用電力系統10からの電力供給量が契約電力値W1よりも低いW2となるように制御を行うのは、例えばノイズなどの影響によって商用電力系統10からの供給電力が契約電力値を超えないように余裕をもたせるためである。
【0034】
図4に示すように、本実施の形態では、13:30〜14:00の間は、P1分の電力が蓄電池122から放電されるとともに商用電力系統10からも電力が供給されるよう制御が行われる。そして、14:00〜14:30の間は、P2分の電力が蓄電池122から放電されるとともに商用電力系統10からも電力が供給されるよう制御が行われ、14:30〜15:00の間は、P3分の電力が蓄電池122から放電されるとともに商用電力系統10からも電力が供給されるよう制御が行われ、15:00〜15:30の間は、P4分の電力が蓄電池122から放電されるとともに商用電力系統10からも電力が供給されるよう制御が行われ、15:30〜16:00の間は、P5分の電力が蓄電池122から放電されるとともに商用電力系統10からも電力が供給されるよう制御が行われ、16:00〜16:30の間は、P6分の電力が蓄電池122から放電されるとともに商用電力系統10からも電力が供給されるよう制御が行われる。
【0035】
理解を容易にするため簡単な数値を用いて説明する。例えばT1〜T2までの総消費電力量を2000kWhとすると、基準電力値W2を超えている総消費電力量は、2000―(540×3)=380kWhとなり、この380kWhが総電力量Aとなる。この総電力量(380kWh)の内訳が、p1(30kWh)+p2(70kWh)+p3(90kWh)+p4(90kWh)p5(70kWh)+p6(30kWh)とする。また、この総電力量Aを供給するために必要な規定の電力量Bを420kWhとすると、蓄電池122は、時刻T1まで420kWhの電力量を残存しておく必要があり、各電力量p1、p2、p3、p4、p5、p6を供給するために必要な電力量を、35kwh、76kWh、99kWh、99kWh、76kWh、35kwhとすると、13:30〜14:00の間には、例えば35kWhを蓄電池122から供給し、14:00〜14:30の間には、76kWhを蓄電池122から供給し、14:30〜15:00の間には、99kWhを蓄電池122から供給し、15:00〜15:30の間には、99kWhを蓄電池122から供給し、15:30〜16:00の間には、76kWhを蓄電池122から供給し、16:00〜16:30の間には、35kWhを蓄電池122から供給するように制御が行われる。
【0036】
尚、上述したが13:00〜13:30と16:00〜16:30にも基準電力値W2を超えている領域q1、q2が存在しているが、平均すると基準電力値W2を超えていないため、蓄電池122からの電力の供給は行われない。また、このように平均して基準電力値W2を超えていないため、メモリ141に記憶されている時刻T1〜T2は、13:30〜16:30となっている。
【0037】
このようにS15において、メモリ141に記憶されている30分毎の消費電力量に基づいて時刻T1〜T2の間、商用電力系統10の電力の供給と蓄電池122からの電力の供給を併用するように予め決められた規則に基づいて制御が行われる。尚、本発明のピーク時間帯の一例は、本実施の形態の時刻T1〜T2に相当し、本発明のピーク消費電力値の一例は、本実施の形態の時刻T1〜T2の間の消費電力値(グラフS参照)に相当する。また、本発明の最小限残存電力量の一例は、本実施の形態の規定の残存容量Bに相当する。また、上記S12〜S15が、本発明の制御ステップの一例に相当する。
【0038】
次に、S16において、蓄電池122の残存容量がなくなるまで、蓄電池122の放電が行われ、蓄電池122の残存容量がなくなると、負荷15への電力供給の全てが商用電力系統10から行われる。
【0039】
そして、夜間の電気料金設定の時間帯になると、S10に示すように蓄電池122への蓄電が行われる。
【0040】
以上のように、本実施の形態の電力供給システムでは、商用電力系統からの電力供給を契約電力値よりも小さく抑えることが出来るとともに、夜間に蓄電した電力を昼間に出来るだけ使い切るようにすることで、出来るだけコストを下げることが可能となる。
【0041】
また、デマンド値を抑えることにより契約電力値を低くすることが出来、コストを抑えることが出来る。また、新たにビルや工場を建てる場合や、電力会社からの受電設備を変更する場合、容量の低いケーブルを用いることが出来るため、コストを抑えることが出来る。
【0042】
なお、本実施の形態では、夏季における基準電力値W2を超える時刻(T1〜T2)と、その超える時刻における30分毎の消費電力量が学習され、制御プログラムがメモリ141内に記憶されていたが、季節毎に基準電力値を超える時刻と消費電力が学習されて、季節毎に異なる制御プログラムが記憶されていても良い。
【0043】
又、負荷15の消費電力量を負荷センサ(図示せず)によって検出して、その結果をメモリ141内に保存していたが、後述する図8に示すような負荷センサ39を設け、例えば、1週間毎にデータを更新するようにしても良い。例えば、8月の第1週目のデータを基に、第2週目の制御が行われ、第2週目の制御を基に第3週目の制御がおこなわれるように構成されていてもよい。但し、冷房など使用によって消費電力が上昇していく季節の場合には、その点を加味して制御を行うようにした方がより好ましい。
【0044】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2の電力供給システムについて説明する。
【0045】
本実施の形態2の電力供給システムは、実施の形態1と異なり、負荷が複数のグループに分けられており、グループ毎に蓄電部が設けられている構成となっている。
【0046】
図5は、本実施の形態2の電力供給システムの概略構成図である。図5に示すように、本実施の形態2の電力供給システムは、商用電力系統20に接続されている配電部21と、配電部21に接続されている3つの電力調整部22a、22b、22cと、電力調整部22aを介して商用電力系統20から電力を蓄電する蓄電部23aと、蓄電部23aの残存容量を検出する残存容量検出部24aと、電力調整部22bを介して商用電力系統20から電力を蓄電する蓄電部23bと、蓄電部23bの残存容量を検出する残存容量検出部24bと、電力調整部22cを介して商用電力系統20から電力を蓄電する蓄電部23cと、蓄電部23cの残存容量を検出する残存容量検出部24cと、検出された残存容量の結果を受け、配電部21、電力調整部22a、22b、22c、蓄電部23a、23b、23cの制御を行う制御部25とを備えている。尚、制御部25としては、例えばサーバーなどを用いて、電力調整部、蓄電部、配電部等とLANによって通信を行うように構成されている。
【0047】
そして、蓄電部23aには、交流と直流を変換するための双方向インバーター231aと、直流に変換された電気を蓄電する蓄電池232aが設けられており、蓄電部23bには、交流と直流を変換するための双方向インバーター231bと、直流に変換された電気を蓄電する蓄電池232bが設けられており、蓄電部23cには、交流と直流を変換するための双方向インバーター231cと、直流に変換された電気を蓄電する蓄電池232cが設けられている。
【0048】
又、上記電力調整部22aには、複数の空調機26が接続されており、電力調整部22bには、複数のPC(パーソナルコンピュータ)27が接続されており、電力調整部22cには、複数の照明器具28が接続されている。
【0049】
尚、本実施の形態2の蓄電部23a、23b、23cのうち、少なくともPC27に接続されている蓄電部23bは、UPS(Uninterruptible Power Supply)機能を有しており、商用電力系統20からの電力供給が停止した際には、PC27へと数分間電力を供給するように制御が行われる。
【0050】
又、本発明のグループの一例は、本実施の形態の複数の空調機26に相当し、複数のPC27に相当し、複数の照明器具28に相当する。
【0051】
次に、本実施の形態2の電力供給システムの動作について説明するとともに、本発明の電力供給方法の一例についても述べる。
【0052】
尚、本実施の形態2においても、契約電力値を超える時刻は実施の形態1で用いた図2及び図4と同様とする。図6は、本発明にかかる実施の形態2における電力供給システムの制御のフローを示す図である。
【0053】
S20において、本実施の形態2の電力供給システムでは、制御部25は、夜間の電気料金の時間帯の間に、蓄電部23a、23b、23cによって蓄電が行われるよう制御を行う。蓄電部23a、23b、23cでは、商用電力系統20からの交流が、配電部21を経て、それぞれの双方向インバーター231a、231b、231cによって直流に変換され、蓄電池232a、232b、232cに蓄電される。このS20が、本発明の蓄電ステップの一例に相当する。尚、蓄電池232a、231c、231c内の残存容量の検出は、残存容量検出部24a、24b、24cによって常時行われている。この残存容量検出の制御が、本発明の残存容量検出ステップの一例に相当する。
【0054】
次に、S21において、昼間の電気料金の時間帯になると、蓄電部23a、23b、23cからの電力の供給が開始される。具体的には、蓄電池232a、232b、232cからの直流が双方向インバーター231a、231b、231cによって交流に変換され、電力調整部22a、22b、22cを介して、それぞれの負荷(空調機26、PC27、照明器具28)へと供給される。ここで、商用電力系統20より蓄電部23a、23b、23cからの電力供給を優先させるように電力調整部22a、22b、22cは制御される。尚、それぞれの蓄電部23a、23b、23cから空調機26、PC27、照明器具28への電力の供給が開始されると、蓄電池232a、231c、231c内の残存容量の検出が残存容量検出部24a、24b、24cによって開始される。この残存容量検出の制御が、本発明の残存容量検出ステップの一例に相当する。
【0055】
次に、S22において、予め学習によって得られている時刻T1に達したか否かが制御部14内のタイマーによって検出される。
【0056】
そして、時刻T1に達していない場合、S23において、蓄電池232a、232b、232cのいずれかの残存容量が規定の残存容量に達したか否かが判定される。ここで、実施の形態1と同様に、基準電力値W2を超えた総電力量をAとし、総電力量Aを供給するために必要な規定の電力量をBとすると、各蓄電池232a、232b、232cの規定の残存容量とは、それぞれの蓄電池232aに繋がっている負荷の電力使用量に比例して必要な規定の電力量Bを分配した量である。ここで、Bとは、電力量Aを供給する際のエネルギーロスを考慮した量である。
【0057】
理解を容易にするために、簡易な数値を用いて説明する。例えば、T1(13:30)〜T2の(16:30)までの総消費電力量を2000kWhとし、この間における空調機26、PC27、空調機28の消費電力量の比を2:1:1とすると、基準電力値(540kW)を超えている総消費電力量は、2000―(540×3)=380kWhとなる。この380kWhが総電力量Aとなり、この総電力量Aを供給するために必要な規定の電力量Bを420kWhとすると、蓄電池232aの残存容量の規定の残存容量とは、420×(2/4)となり、210kWhとなる。蓄電池232b、232cの規定の残存容量とは、420×(1/4)となり、105kWとなる。尚、PC27に接続されている蓄電池232bの規定の残存容量に関しては、時刻T1からT2まで必要な電力量に停電時に所定の時間PC27に電力を供給出来る電力量を加えた量である。すなわち、蓄電部23bでは、UPS機能も有しているため、停電時に供給出来る電力が常に確保されている。
【0058】
そして、蓄電池232a、232b、232cのうちいずれかの蓄電池が規定の残存容量に達すると、S24において、規定の残存容量に達した蓄電池からの電力の供給が停止される。
【0059】
次に、S25において、供給停止した以外の蓄電池から、供給停止した蓄電池に接続されている負荷へと電力が供給される。例えば、空調機26に接続されている蓄電池232aの残存容量が規定の残存容量に達した場合、蓄電池232b、232cからの電力が電力調整部22aを介して空調機26へと供給される。尚、蓄電池232b、232cからは、それぞれに接続されているPC27、及び照明器具28へも電力が供給される。
【0060】
続いて、S26において、全ての蓄電池232a、232b、232cの残存容量が、それぞれの規定の残存容量に達したか否かが検出される。全ての蓄電池の残存容量が、それぞれの規定の残存容量に達していない場合は、制御はS22へと進む。
【0061】
一方、全ての蓄電池の残存容量が、それぞれの規定の残存容量に達した場合には、全ての蓄電池の電力供給が停止されて、制御がS22へと進む。
【0062】
そして、時刻がT1に達すると、S28において、蓄電池232a、232b、232cから放電を行うように制御が行われる。ここで、実施の形態1と同様に、30分毎に基準電力値をオーバーしている部分を補うように蓄電池232a、232b、232cから電力の供給が行われる。この際の電力の供給は、各蓄電池に接続されている各負荷の以前の消費電力量に基づいて学習により決定されている。例えば、図4において14:00〜14:30の間に、蓄電池から76kWhの電力を放電する必要がある場合、上述したように、T1〜T2の間における空調機26、PC27、空調機28の消費電力量の比を2:1:1とすると、蓄電池232a、蓄電池232b、蓄電池232cからは、それぞれ38kWh、19kWh、19kWh供給されることになる。尚、上記S21〜S28が、本発明の制御ステップの一例に相当する。
【0063】
次に、S29において、全ての蓄電池232a、232b、232cの残存容量がなくなるまで放電が行われ、全ての蓄電池232a、232b、232cの残存容量がなくなると、空調機26、PC27、及び照明器具28への電力供給の全てが商用電力系統20から行われる。尚、ここでも、残存容量のなくなった蓄電池に接続されている負荷に、他の蓄電池からの電力を供給するように制御を行っても良い。要するに、夜間に蓄電した電力を昼間に出来るだけ使い切るように制御が行われれば良い。
【0064】
そして、夜間の電気料金設定の時間帯になると、S20に示すように蓄電池232a、232b、232cへの蓄電が行われる。
【0065】
以上のように、本実施の形態の電力供給システムでは、商用電力系統からの電力供給を契約電力値よりも小さく抑えることが出来るとともに、夜間に蓄電した電力を昼間に出来るだけ使い切るようにすることで、出来るだけコストを下げることが可能となる。
【0066】
また、デマンド値を抑えることにより契約電力値を低くすることが出来、コストを抑えることが出来る。また、新たにビルや工場を建てる場合や、電力会社からの受電設備を変更する場合、容量の低いケーブルを用いることが出来るため、コストを抑えることが出来る。
【0067】
尚、本実施の形態2では、蓄電部23bのみUPS機能を有しているとして説明したが、蓄電部23a、23cもUPS機能を有していてもよい。
【0068】
又、本実施の形態2の蓄電部23a、23b、23cには、複数の負荷が接続されているが、1つ又は少数の負荷に接続されるような容量のUPS機能付き蓄電部であってもよい。このような蓄電部としては、図7のような構成を挙げることが出来る。図7に示す蓄電部29は、制御ボックス291と、制御ボックス291に接続された電池部292とを有している。制御ボックス291には、AC200〜270Vの入力部293と、AC100V、最大450Wの出力部294が設けられている。また、制御ボックス291にはLANの接続部295、USBの接続部296、及びアナログタイマー297等が設けられている。また、電池部292としては、容量50Ahの鉄燐酸リチウム電池が2つ接続されたものを用いることが出来る。尚、2つの鉄燐酸リチウム電池及び制御ボックス291はシリアルケーブル298によって接続されている。又、商用電力系統20からの電力が配電部、電力調整部などを介して入力部293へと入力され、インバーターによって直流に変換されて電池部292の鉄燐酸リチウム電池に充電される。一方、出力部294には例えば、PC等の負荷が接続されている。そして、LANを介して、各負荷に接続されている蓄電部29がサーバーに接続されている。このような構成において、複数日の間、各負荷における消費電力のデータを採取し、そのデータを基に、総負荷量を計算し、実施の形態1で述べたような時刻T1〜T2における制御等がメモリに記憶される。そして、各負荷の消費電力に応じて時刻T1〜T2の間に蓄電池から電力を放電することにより、実施の形態2と同様の効果を得ることが出来る。尚、有線LANでなく、無線LANであってもよい。
【0069】
また、PCに代表される個人が有している機器は、個々人の管理にゆだねられておりエネルギーマネジメントとして統括した電力制御の対象になりにくいものであったが、上記のように個々のPCに蓄電部を接続し、各蓄電部とサーバーをLANで接続する構成とすることによって、電力消費量をサーバーによって監視することが出来、統括的にエネルギーマネジメントを行うことが可能となる。このような構成のUPS機能付き蓄電部は、実施の形態1の蓄電部にも適用可能である。
【0070】
また、上記実施の形態1、2では、基準電力値を超える時間帯はT1〜T2と1つの時間帯であるが、例えば、10:00〜12:00及び13:30〜16:30というように基準電力を超える時間帯が、2つに分割されていてもよい。その場合、それぞれの時間帯において、図4で説明したような制御が行われればよい。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3の電力供給システムについて説明する。本実施の形態3の電力供給システムは、実施の形態1と異なり、予め学習した結果に基づいて制御を行わず、負荷の消費電力量をリアルタイムで検出し、蓄電池からの放電の制御を行う。
【0072】
図8は、本実施の形態3の電力供給システムの概略構成図である。図8に示すように、本実施の形態3の電力供給システムは、商用電力系統30に接続されている電力調整部31と、電力調整部31に接続された負荷35の消費電力を計測する負荷センサ39と、電力調整部31を介して商用電力系統30から電力を蓄電する蓄電部32と、蓄電部32の残存容量を検出する残存容量検出部33と、負荷センサ39によって検出された消費電力、及び検出された残存容量の結果を受け、蓄電部32と電力調整部31の制御を行う制御部34とを備えている。上記負荷35には、空調機36、PC(パーソナルコンピュータ)37、及び照明器具38が接続されている。尚、本発明の負荷検出部の一例は、本実施の形態の負荷センサ39に相当する。
【0073】
次に、本実施の形態3の電力供給システムの動作について説明する。
【0074】
負荷センサ39によって負荷35による消費電力量は常に検出され、その検出結果が制御部34へと送信されている。そして、制御部34は、30分間における平均の消費電力が契約電力値以下になるように、所定の消費電力量に達した時点で蓄電池322からの放電が開始される。
【0075】
具体的には、例えば、契約電力値が550kWとすると、30分間で、550kW×0.5hで225kWh以上の電力を消費した場合に違約金を支払うことになる。そのため、例えば、13時からスタートして消費電力量が100kWhを超えた場合、蓄電池322からの電力の供給を開始が行われるように制御することが出来る。15分で100kWhに達したとすると、残りの15分の間で商用電力系統30から100kWh以上供給されないように、蓄電池322から放電が行われる。商用電力系統30と蓄電池322を併用せずに、例えば、商用電力系統30から消費電力量が200kWhを超えた場合、全ての電力供給を蓄電池322から行うようにしても良い。
【0076】
尚、蓄電池322への充電は、夜間の電気料金の時間帯に行われる。
【0077】
以上のように制御することによっても、契約電力値を超過しないようにすることが出来、コストを抑えることが可能となる。
【0078】
また、デマンド値を抑えることにより契約電力値を低くすることが出来、コストを抑えることが出来る。また、新たにビルや工場を建てる場合や、電力会社からの受電設備を変更する場合、容量の低いケーブルを用いることが出来るため、コストを抑えることが出来る。
【0079】
又、本発明のプログラムは、上述した本発明の電力供給方法の少なくとも、制御ステップの動作をコンピュータにより実行させるプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0080】
又、本発明の記録媒体は、上述した本発明の電力供給方法の制御ステップの全部又は一部の動作をコンピュータにより実行させるプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して前記動作を実行する記録媒体である。
【0081】
又、本発明の上記「ステップの動作」とは、前記ステップの全部又は一部の動作を意味する。
【0082】
又、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な、ROM等の記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0083】
又、本発明のプログラムの一利用形態は、インターネット等の伝送媒体、光・電波・音波等の伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0084】
又、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0085】
尚、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の電力供給システム及び電力供給方法は、よりきめ細かく蓄電池と電力系統との制御を行い、より電気料金を節約することが可能な効果を有し、商用ビルや工場などの電力供給システム等として有用である。
【符号の説明】
【0087】
10、20、30 商用電力系統
11、22a、22b、22c 電力調整部
12、23a、23b、23c、29 蓄電部
13、24a、24b、24c 残存容量検出部
14、25、34 制御部
15 負荷
16、26、36 空調機
17、27、37 PC
18、28、38 照明器具
21 配電部
121 双方向インバーター
122 蓄電池
141 メモリ
291 制御ボックス
292 電池部
293 入力部
294 出力部
295 LAN接続部
296 USB接続部
297 アナログタイマー






【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に接続された、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電池と、
前記蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出部と、
前記負荷の消費電力に対する、前記蓄電池と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて、予め設定されている最小限残存電力量を前記ピーク時間帯までは残すように、前記残存容量の検出結果を利用して制御する制御部とを備えた、電力供給システム。
【請求項2】
前記蓄電池と前記電力系統からの供給は、前記蓄電池を優先させる、請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記負荷は、複数グループに分かれており、
前記複数のグループ毎に前記蓄電池が設けられており、
前記制御部は、複数の前記蓄電池のうち余剰の電力を有する前記蓄電池の電力を、それ以外の前記蓄電池に接続されている前記グループに供給するよう制御を行う、請求項2記載の電力供給システム。
【請求項4】
負荷の消費電力を検出する負荷検出部と、
前記負荷に接続された、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電池と、
前記消費電力が、契約電力値から決定されている所定の値に達すると、電力系統に加えて前記蓄電池を併用して、前記契約電力値を超えないように制御を行う制御部とを備えた、電力供給システム。
【請求項5】
負荷に接続された蓄電池に、夜間の電気料金設定の時間に蓄電する蓄電ステップと、
前記蓄電池の残存容量を検出する残存容量検出ステップと、
前記負荷の消費電力に対する、前記蓄電池と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて、予め設定されている最小限残存電力量を前記ピーク時間帯までは残すように、前記残存容量の検出結果を利用して制御する制御ステップとを備えた、電力供給方法。
【請求項6】
請求項5記載の電力供給方法の、少なくとも、前記負荷の消費電力に対する、前記蓄電池と電力系統からの供給を制御する際、学習から得られたピーク時間帯におけるピーク消費電力値と契約電力値に基づいて、予め設定されている最小限残存電力量を前記ピーク時間帯までは残すように、前記残存容量の検出結果を利用して制御する前記制御ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
請求項6記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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