説明

電力制御装置、電力管理装置、電力制御方法および電力管理システム

【課題】発電設備を用いて電力取引を行う者が電力市場における価格変動リスクを被ることを抑制することができる電力制御装置、電力管理装置、電力制御方法および電力管理システムを提供する。
【解決手段】電力制御装置は、発電を行う発電設備に接続され、発電設備からの電力を所定の供給先へ送るパワーコンディショナと、パワーコンディショナの動作を制御する制御部とを備える。電力管理装置は、蓄電池に接続され、発電設備からの電力を所定の供給先へ供給するよう制御する電力供給制御装置に対して、発電設備からの電力の供給先を指定する指示を生成する電力管理部と、電力管理部による指示を電力制御装置に送信する通信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電力制御装置、電力管理装置、電力制御方法および電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電力の充電および放電を行うことができる蓄電池を備え、自然エネルギーを利用した発電設備により得た電力、または電力会社から購入した電力を蓄えることができる蓄電設備の導入が企業、一般家庭などにおいても進んでいる。
【0003】
蓄電設備に蓄えられる電力のうち、発電設備および蓄電設備の保有者が消費する電力を超える電力については、現在は電力会社が買取りを行なっている。しかし、発電設備および蓄電設備が更に普及するであろう将来においては、電力自由化の進展と共に電力は電力取引市場において取引されることになり、その電力取引に参加する者も増加すると考えられる。電力市場への参加することにより利益を得ることができる可能性が高いのであれば、発電設備および蓄電設備を導入し、電力市場へ参加しようとする者が増えると考えられる。
【0004】
そこで、電力価格の変動をアルゴリズムに従って予測し、低価格と予測した際には電力を買って蓄電設備に蓄電し、高価格と予測した際には、蓄電設備に蓄電された電力を売り、利益を得ようとする蓄電システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−233053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された蓄電システムにおいては、電力が高価格であると予想される場合に売電を行うため、蓄電システムを利用する者は利益を期待することができる。これにより、企業だけに限らず、一般家庭にも発電設備および蓄電設備を導入しようというインセンティブを与えることができる。
【0007】
しかし、電力市場には様々な思惑をもった参加者が多数いることなどにより、どんなに優秀な予測アルゴリズムであっても、予測を誤る可能性を排除できない。したがって、蓄電設備を保有し電力取引に参加する者に損失が発生する場合があり得る。
【0008】
これは、そもそも特許文献1における蓄電システムは電力価格変動により利益を得ようとするものであるから、価格変動リスクはこのシステムの大前提であるとも言え、避けることができないものである。つまり、特許文献1の蓄電システムにおいては、価格変動があることによって利益を期待できる一方、その価格変動自体をリスクが高いとして嫌う者は、発電設備および蓄電設備を導入しないと考えられる。
【0009】
また、自然エネルギー発電は本質的に自然条件によって発電量が決まるので、現在主流となっている火力・水力・原子力発電のように、時間によって変化する電力需要に合わせた計画的な発電は難しく、その発電量は自然条件任せの不安定なものになる。総発電量、あるいは、電力取引市場で取引される電力量のうち、自然エネルギー発電によるものが増大すると、上述した発電量の不安定さによって、その取引電力価格の変動が大きくなると予想される。例えば、天気予報が外れ、日照が少なかったとすると、太陽光発電による発電量は、予想外に減少するから、電力取引市場に売りに出される電力が減少して、電力価格は高くなる。逆に、日照が予想以上に多ければ、売りに出される電力は増加して、電力価格は安くなる。
【0010】
電力価格の変動が大きいと、発電設備および蓄電設備の保有者は電力取引により損失を被る可能性があるため、発電設備および蓄電設備の導入と電力取引への参加を躊躇してしまう。これにより発電設備および蓄電設備の普及が妨げられることとなる。そのため、発電設備および蓄電設備の普及を促進するためには、そのような電力市場における電力価格変動によるリスクを抑制するための施策が必要である。
【0011】
したがって、本技術の目的は、蓄電設備および発電設備を用いる者が電力市場における価格変動リスクを被ることを抑制することができる電力制御装置、電力管理装置、電力制御方法および電力管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、第1の技術は、発電を行う発電設備に接続され、発電設備からの電力を所定の供給先へ送るパワーコンディショナと、パワーコンディショナの動作を制御する制御部とを備える電力制御装置である。
【0013】
また、第2の技術は、蓄電池に接続され、発電設備からの電力を所定の供給先へ供給するよう制御する電力制御装置に対して、発電設備からの電力の供給先を指定する指示を生成する電力管理部と、該電力管理部による指示を電力制御装置に送信する通信部とを備える電力管理装置である。
【0014】
また、第3の技術は、発電を行う発電設備に接続され、発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するパワーコンディショナと、パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、通信部とを備える電力制御装置における電力制御方法であって、通信部により、発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置から指示を受信し、指示に基づきパワーコンディショナの動作を制御する電力制御方法である。
【0015】
さらに、第4の技術は、発電を行う発電設備に接続され、発電設備からの電力を所定の供給先へ送るパワーコンディショナと、発電設備からの電力の供給先を指定する電力管理装置からの指示を受信する第1の通信部と、指示に基づきパワーコンディショナの動作を制御する制御部とを備える電力制御装置と、電力制御装置に対して、発電設備からの電力の供給先を指定する指示を生成する電力管理部と、電力管理部による指示を電力制御装置に送信する第2の通信部とを備える電力管理装置とからなる電力管理システムである。
【発明の効果】
【0016】
本技術によれば、発電設備および蓄電設備の保有者が電力市場における価格変動リスクを被ることを抑制することができる。これにより、社会全体における発電設備および蓄電設備の導入を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、電力管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、電力制御装置を備える蓄電設備および発電設備の構成を示すブロック図である。
【図3】図3Aは、電力・ポイント管理サーバの構成を示すブロック図であり、図3Bはポイント交換サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、電力・ポイント管理サーバにより行われる電力管理処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係を求める処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係を求める処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、電力・ポイント管理サーバから充電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、電力・ポイント管理サーバから充電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、電力・ポイント管理サーバから充電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、電力・ポイント管理サーバから充電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図11は、電力・ポイント管理サーバから充電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、電力・ポイント管理サーバから充電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は、電力・ポイント管理サーバから売電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、電力・ポイント管理サーバから売電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】図15は、電力・ポイント管理サーバから売電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】図16は、電力・ポイント管理サーバから売電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】図17は、電力・ポイント管理サーバから売電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】図18は、電力・ポイント管理サーバから売電指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】図19は、電力・ポイント管理サーバから自律動作指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】図20は、電力・ポイント管理サーバから自律動作指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は、電力・ポイント管理サーバから自律動作指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】図22は、電力・ポイント管理サーバから自律動作指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】図23は、電力・ポイント管理サーバから自律動作指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】図24は、電力・ポイント管理サーバから自律動作指示がなされた場合の電力制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図25】図25は、電力・ポイント管理サーバにより行われる、発電電力を売電に充てない場合のポイント発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】図26は、平均電力価格の算出の一例を説明するための図である。
【図27】図27は、平均電力価格の算出の他の例を説明するための図である。
【図28】図28は、発電電力を売電に充てない場合のポイント発行処理の具体例を示す図である。
【図29】図29は、発電電力を売電に充てる場合に異なるポイント発行処理を行う必要性を説明するための図である。
【図30】図30は、発電電力を売電に充てる場合のポイント発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図31】図31は、発電電力を売電に充てる場合のポイント発行処理の具体例を示す図である。
【図32】図32は、電力制御装置側で蓄電設備に蓄えられている電力の使用用途を決定することができる場合における電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本技術は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態>
[1−1.電力管理システムの構成]
[1−2.電力制御装置、蓄電設備および発電設備の構成]
[1−3.電力・ポイント管理サーバおよびポイント交換サーバの構成]
[1−4.電力・ポイント管理サーバにおける処理:電力管理処理]
[1−5.電力制御装置における処理:売電価格、買電価格、充電利益価格の大小関係を求める処理]
[1−6.電力制御装置における処理:充電指示を受けた場合の処理]
[1−7.電力制御装置における処理:売電指示を受けた場合の処理]
[1−8.電力制御装置における処理:自律動作指示を受けた場合の処理]
[1−9.電力・ポイント管理サーバにおける処理:ポイント発行処理]
{1−9−1. 発電電力を売電に充てない場合のポイント発行処理}
{1−9−2. 発電電力を売電に充てる場合のポイント発行処理}
[1−10.電力制御装置側で電力の使用用途を決定することができる場合における電力制御処理]
<2.本技術により奏する効果>
<3.変形例>
【0019】
<1.実施の形態>
[1−1.電力管理システムの構成]
図1は、本技術に係る電力管理システムの全体構成を示す図である。電力管理システムは、発電設備40に接続され、蓄電設備100を構成する電力制御装置10と、蓄電設備100における電力供給先の指示および蓄電設備100における蓄電量に応じてポイントの発行を行う電力・ポイント管理サーバ200とから構成されている。電力・ポイント管理サーバ200が特許請求の範囲における電力管理装置に相当するものである。
【0020】
本技術に係る電力管理システムは、発電設備40における発電で得られた電力を電力市場に売却することにより利益を得ようとするものである。また、発電設備40による発電電力を蓄電設備100に充電し、その電力を電力市場に売却する、自家消費に充てることにより経済的メリットを得ようとするものである。また、発電設備40による発電に加え、夜間など比較的電力市場における電力価格が低いときに電力市場から電力を購入することにより蓄電を行い、電力価格が高いときに電力を電力市場に売却することにより利益を得るようにしてもよい。
【0021】
電力市場とは、売電を希望する者と買電を希望する者が電力取引を行うことにより形成される市場である。従来は、一般電気会社が地域毎に独占的に電力の供給を行ってきたが、近年、既存の電力会社以外でも電力を自由に売買できるようにする規制緩和の動きが活発化している。
【0022】
蓄電設備100は、電力を蓄えるための蓄電池モジュールを有し、充電および放電が可能な蓄電用の設備である。蓄電設備100は個人住宅、マンションなどの集合住宅、企業または各種団体のビル、施設などに備え付けられる。蓄電設備100は蓄電池モジュールにおける充放電などの電力制御を行う電力制御装置10を備える。蓄電設備100は電力網に接続されており、電力・ポイント管理サーバ200による管理に従い、電力網からの電力による充電および電力網への放電が行われる。蓄電設備100および電力制御装置10の詳細については後述する。なお、以下の説明において蓄電設備100を保有する者を企業、一般家庭など種類を問わず、蓄電設備保有者と称する。
【0023】
電力・ポイント管理サーバ200は、ネットワークを介して蓄電設備100の電力制御装置10と接続されており、蓄電設備100の蓄電量に応じて蓄電設備保有者ごとにポイントを発行するものである。また、電力・ポイント管理サーバ200は、ネットワークを介して電力市場と接続されており、電力市場における電力価格を取得し、その電力価格に基づいて、電力制御装置10に対して充放電などの電力供給指示も行う。蓄電設備100への充電は発電設備40によって得られる電力により行われ、蓄電設備100からの放電により電力市場に対する売電が行われる。また、電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと電力市場における買電により充電を行うようにしてもよい。
【0024】
電力・ポイント管理サーバ200は、蓄電設備保有者に対してポイントサービスの提供を行う企業、業者など(以下、ポイント発行者と称する。)のビル、施設などに設置される。電力は蓄電設備保有者が有する蓄電設備100に蓄えられるが、その蓄電設備100における充放電による売買電は電力・ポイント管理サーバ200による管理のもと行われる。よって、電力市場における電力取引はポイント発行者が担うこととなる。ポイント発行者は、発電設備40からの電力、蓄電設備100に充電された電力を電力市場に売却することにより電力市場における電力価格に応じた代金を取得し、利益を得る。電力・ポイント管理サーバ200は多数の蓄電設備をその管理下に置くのが好ましい。
【0025】
電力の売買は電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと行われるため、蓄電設備保有者は、電力市場における電力価格を気にすることなく、電力市場に参加することができる。蓄電設備100における蓄電量に応じて電力・ポイント管理サーバ200からポイントが付与される。このポイントは後述するように、財・サービスとの交換することができるため、これにより蓄電設備保有者は利益を得ることができる。このように、本技術において、ポイントは蓄電量に応じてあたかも貨幣のような働きをする。
【0026】
なお、蓄電設備保有者とポイント発行者との間で個別の契約を締結してもよい。例えば、発電設備40により得られた電力、蓄電池モジュールに充電された電力を蓄電設備保有者が自己の電気機器などを動作させる電力として利用(以下、自家消費と称する。)できるか否か、蓄電設備保有者の意思で自由に売電することができるか否か、蓄電池モジュールへの蓄電は価格の安い深夜電力などで行うことができるか否か、などである。
【0027】
また、蓄電設備保有者の指示により電力を自家消費している場合、または、蓄電設備保有者の意思で売電している場合に電力・ポイント管理サーバ200から充電、放電などの指示があった場合、どちらの指示を優先するかも契約で定めることができるのが好ましい。また、電力・ポイント管理サーバ200から蓄電設備100の自律動作が指示されている場合に蓄電設備保有者が自らの意思で充放電を行うことが可能か否かも契約で定めることができるのが好ましい。
【0028】
なお、このような蓄電設備保有者とポイント発行者との間で個別の契約は、例えば、ポイント発行者が複数の契約内容を蓄電設備保有者に提示して、蓄電設備保有者がいずれかを選択することにより締結される。
【0029】
電力管理システムは上述のように構成されているが、電力管理システムにおいて蓄電設備保有者に付与されるポイントの利用のためには、ポイント交換者および財・サービス提供者が存在することが望ましい。
【0030】
ポイント交換者は、蓄電設備保有者が有するポイントと財・サービス提供者により提供された財・サービスとの交換を行う交換所を開設し、蓄電設備保有者の求めに応じてポイントと財・サービスとの交換を行う者である。交換所は、実際の店舗、商業施設のような形態であってもよいし、電子商取引サーバのような電子的な情報交換によって、財・サービスを提供する形態であってもよい。
【0031】
ポイント交換者は、ポイントと財・サービスとの交換が行われたことにより有することとなったポイントをポイント発行者に譲渡することによりポイント発行者から代金を得る。これによりポイント交換者は利益を得ることができる。ポイントと代金の交換レートはポイント発行者とポイント交換者との間であらかじめ定めておくとよい。なお、ポイント発行者とポイント交換者は同一の者であってもよい。その場合にはポイントと代金の交換は不要となる。
【0032】
財・サービス提供者は、ポイント交換者に財・サービスを提供する。財・サービス提供者は、ポイント交換者により蓄電設備保有者が保有するポイントと財・サービスとの交換が行われた場合、交換されたポイントに相当する代金をポイント交換者から受け取る。これにより、財・サービス提供者は利益を得ることができる。
【0033】
財・サービスとは、物質的・精神的に何らかの効用や満足などを提供するものであり、その中で有形のものが財であり、売買した後にモノが残らない無形のものがサービスである。
【0034】
財としては、例えば物品、金券などが挙げられる。さらに詳しくは、物品としては、例えば、日用雑貨、家電、電子機器、食品などが挙げられる。金券としては、商品券、ビール券、旅行券、図書券、航空券、イベント鑑賞券などが挙げられる。サービスとしては、レジャーサービス、医療サービス、宿泊サービス、教育サービス、運輸サービス、外食サービス、コンサルティングサービスなどが挙げられる。また、ポイントをマイレージなど他のポイントサービスのポイントに交換することができてもよい。財・サービスは上述したものに限られず、経済的な取引の対象となるものであればどのようなものでもよい。
【0035】
財・サービス提供者が提供する各種財・サービスとの交換に必要なポイント数はポイント発行者とポイント交換者との間で定められたポイントと代金の交換レートに基づいて財・サービス提供者が決定するとよい。なお、財・サービス提供者はポイント交換者と同一の者であってもよい。また、財・サービス提供者、ポイント発行者およびポイント交換者が同一の者であってもよい。
【0036】
また、上述のポイント交換者の説明においては、財・サービスはポイント交換者を介して蓄電設備保有者に提供されると説明した。ただし、財・サービスの提供方法はこれに限られるものではない。例えば、財・サービス提供者が実際に店舗、商業施設などを所有・経営している場合は、その店舗などに蓄電設備保有者が訪れて、蓄電設備保有者と財・サービス提供者との間でその店舗などで販売されている財・サービスとポイントとの交換を行うようにしてもよい。そして、財・サービス提供者はその交換で得たポイントをポイント発行者に渡し、そのポイント数に応じた代金を受け取るようにしてもよい。
【0037】
財・サービスの交換所が電子商取引サーバである場合においては、財・サービスは財・サービス提供者から蓄電設備保有者に直接提供されるようにしてもよい。例えば、財が動画、音楽、電子書籍などのネットワークを介して提供可能なコンテンツなどである場合にはそれらをネットワークを介して財・サービス提供者から蓄電設備保有者に直接提供するようにしてもよい。
【0038】
[1−2.電力制御装置、蓄電設備および発電設備の構成]
次に、電力制御装置10、蓄電設備100および発電設備40の構成について説明する。図2は電力制御装置10、蓄電設備100および発電設備40の構成を示すブロック図である。なお、図2において、各ブロックを接続する線のうち、太線はDC電力線を示し、細線はAC電力線を示し、破線は制御信号または情報信号の伝送線を示す。
【0039】
蓄電設備100は電力制御装置10と蓄電池モジュール30とから構成されている。蓄電池モジュール30は、電力を蓄えるバッテリセル31と、バッテリセル31の管理制御を行うセル制御部32とから構成されている。バッテリセル31を構成する電池としては、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素電池など充放電を行うことができるものであればいかなるものを採用してもよい。なお、図2においては、バッテリセル31は1つのブロックで示されているが、バッテリセル31の数は1つに限られず、複数のバッテリセル31を用いてもよい。セル制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、バッテリセル31の状態(温度、充電量など)の管理を行うセンサなどから構成されている。セル制御部32は、バッテリセル31の管理を行うとともに、バッテリセル31の状態を示す情報を電力制御装置10の制御部11に送信する。
【0040】
電力制御装置10は、制御部11、通信部12およびパワーコンディショナ13から構成されている。電力制御装置10は、ポイント発行者側に設けられた電力・ポイント管理サーバ200による管理に従って、蓄電設備100における充放電などの電力制御を行うものである。
【0041】
制御部11は、通信部12、パワーコンディショナ13に接続されている。制御部11は、例えば、CPU、RAMおよびROMなどから構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれるプログラムが格納されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに格納されているプログラムに基づき様々な処理を実行することによって電力制御装置10全体の制御を行う。さらに、通信部12により受信した電力・ポイント管理サーバ200からの充電を指示するコマンド(以下、充電コマンドと称する。)、放電を指示するコマンド(以下、放電コマンドと称する。)、電力制御装置10側で自律的に動作することを指示するコマンド(以下、自律動作コマンドと称する。)に対応して制御信号を送信し、パワーコンディショナ13におけるモード切り替え制御も行う。
【0042】
また、制御部11は発電設備40に接続されており、発電設備40と通信を行うことにより、発電設備40における発電量の取得、発電設備40の動作状況の確認などを行う。
【0043】
通信部12は、例えば、所定のプロトコルに基づいてインターネット、専用回線などのネットワークを介してポイント発行者側の電力・ポイント管理サーバ200との通信を行うためのネットワークインターフェースである。通信方式は有線通信、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、3G回線を用いた通信など、どのようなものでもよい。電力制御装置10は、通信部12を介して電力・ポイント管理サーバ200から送信されてくる充電コマンド、放電コマンド、自律動作コマンドを受信する。
【0044】
また、制御部11による制御のもと、通信部12は蓄電池モジュール30における蓄電量を示す蓄電量情報、発電設備40における発電量を示す発電量情報を電力・ポイント管理サーバ200に送信する。なお、蓄電量情報の送信は電力・ポイント管理サーバ200からの求めに応じて行われる。
【0045】
また、通信部12は、蓄電設備保有者が有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機などの端末装置50とネットワークを介して通信を行う。これにより、蓄電設備保有者が外出先などにおいても蓄電状況、放電状況などの確認、動作モードの設定などを行うことができる。
【0046】
さらに、通信部12は、ネットワークを介して電力市場における電力会社のサーバ、または、電力市場において電力取引を仲介するブローカーなどのサーバに接続され、電力市場における電力価格情報を取得してもよい。さらに、制御部11の制御のもと、電力会社のサーバなどと電力市場に対する売り注文など、電力取引に必要な通信も行うようにしてもよい。
【0047】
パワーコンディショナ13は、DC電力線を介して蓄電池モジュール30と接続されている。また、パワーコンディショナ13は、DC電力線および接続ユニット41を介して発電設備40と接続されている。また、パワーコンディショナ13は、AC電力線で配電盤110および買電メータ120を介して系統電力140に接続されている。さらに、パワーコンディショナ13は、AC電力線で売電メータ130を介して系統電力140に接続されている。
【0048】
パワーコンディショナ13は、双方向インバータを備え、直流電力と直流電力の変換を行い、電力を所定の出力先へ出力する。パワーコンディショナ13は、発電設備40により得られた発電電力を蓄電池モジュール30に出力する。これにより蓄電池モジュール30に充電が行われる。また、パワーコンディショナ13は、発電設備40により得られた発電電力を売電のため、系統電力140へ出力する。さらに、パワーコンディショナ13は、発電設備40により得られた発電電力を自家消費のため、配電盤110に出力する。発電電力は配電盤110を介して電気機器150に供給される。
【0049】
また、パワーコンディショナ13は、蓄電池モジュール30から電力を取り出して、売電のために系統電力140へ出力する。さらに、パワーコンディショナ13は、蓄電池モジュール30から電力を取り出して自家消費のため、配電盤110に供給する。
【0050】
さらに、パワーコンディショナ13は、買電により取得した系統電力140からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池モジュール30に出力する。これにより買電による蓄電池モジュール30の充電が行われる。
【0051】
パワーコンディショナ13は、充電モード、放電モードおよび自律動作モードの3つのモードで動作する。充電モードとは、発電設備40における発電により得た電力を蓄電池モジュール30に蓄えるモードである。また、電力市場からの買電が可能である場合には買電により得た電力を蓄電池モジュール30に蓄える動作も行う。放電モードとは、蓄電池モジュール30から放電を行うモードである。自律動作モードとは、電力を何れの出力先にも出力しないモードである。
【0052】
このようなパワーコンディショナ13における動作の切り替えは、制御部11からの制御信号により行われる。すなわち、制御部11の制御のもとパワーコンディショナ13によって電力の出力先が切り替えられる。また、パワーコンディショナ13は、蓄電池モジュール30からの放電の際には放電した電力量を測定し、蓄電池モジュール30への充電の際には充電される電力量を測定する。
【0053】
本実施の形態においては、発電設備40により得られた電力を蓄電池モジュール30へ供給することによって充電が行われる。さらに、電力網からの電力を蓄電池モジュール30へ供給することにより買電による充電を行うようにしてもよい。また、パワーコンディショナ13が蓄電池モジュール30から取り出した電力を系統電力140を介して電力網へ送ることにより売電が行われる。
【0054】
なお、パワーコンディショナ13から系統電力140へ電力を出力することにより売電を行う場合、売電メータ130によって、パワーコンディショナ13から系統電力140に出力される電力量(売電力量)が計測される。売電メータ130は電力量を測定すると共に、測定を行った時刻を測定するようにしてもよい。売電メータ130は制御部11に接続されており、測定した売電力量を制御部11に通知する。なお、売電メータ130は測定結果の信頼性の担保のために、ポイント発行者などによる所定の認証などを受けておくとよい。
【0055】
なお、パワーコンディショナ13は、蓄電池モジュール30とDC電力線、および、パワーコンディショナ13と発電設備40とを接続するDC電力線を通過する電力を測定する電力測定器(センサ)を備えていることが好ましい。制御部11は、このパワーコンディショナ13が備える電力測定器による測定結果によっても蓄電量情報および発電量情報を取得することができる。
【0056】
電力制御装置10は上述のように構成されているが、電力制御装置10の制御部11にはさらに入力部21、表示部22および記憶部23が接続されている。入力部21は、ユーザが電力制御装置10への指示を入力するために用いる入力手段である。入力部21は例えば、表示部22と一体に構成されたタッチスクリーン、ボタン、スイッチ、ダイヤルなどにより構成される。入力部21に対して入力がなされると、その入力に対応した制御信号が生成されて制御部11に出力される。そして、制御部11によりその制御信号に対応した演算処理や制御が行われる。
【0057】
表示部22は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどにより構成された表示手段である。表示部22には、蓄電設備100における充電状況、放電状況、ポイント発行者から付与されたポイント、蓄電設備保有者とポイント発行者との契約情報などの各種情報が表示される。
【0058】
記憶部23は、ハードディスク、フラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。記憶部23は、ポイント発行者から発行されるポイントを示すポイント情報、蓄電設備保有者とポイント発行者間における契約内容を示す契約情報、電力・ポイント管理サーバ200との認証に用いる認証情報などを記憶保持するものである。記憶部23に記憶されるポイント情報、契約情報などは表示部22によって表示される。これにより、蓄電設備保有者は自分が現在保有するポイント、過去のポイント増減の履歴、契約内容などを確認することができる。記憶部23に記憶される契約情報としては、例えば、電力制御装置10は蓄電設備保有者からの指示と電力・ポイント管理サーバ200からの指示のどちらを優先するかという情報がある。この契約情報は制御部11による電力制御において用いられる。
【0059】
なお、ポイント発行者とポイント交換者とが同一の企業、団体などあり、電力管理システムに係るサービスがインターネット上におけるいわゆるクラウドサービスとして提供される場合には記憶部23は不要である。上述した各種情報は全てポイント発行者側の電力・ポイント管理サーバ200において管理保持される。
【0060】
以上のようにして電力制御装置10および蓄電設備100は構成されている。そして、本実施の形態においては、パワーコンディショナ13には接続ユニット41を介して発電設備40が接続されている。
【0061】
発電設備40は、環境負荷が低いいわゆる自然エネルギー、再生可能エネルギーなどと称されるエネルギーを用いた発電設備であることが好ましい。例えば、太陽光、太陽熱、風力、水力、マイクロ水力、潮汐力、波力、水の温度差、海流、バイオマス、地熱、音や振動などのエネルギー、などを利用した発電設備である。また、発電機能を備えるエアロバイク、人が上を歩くことにより発電する仕組みを有する床(発電床などと称される。)など人力で発電を行うものであってもよい。ただし、発電設備40は上述のものを利用した発電設備に限られず、環境負荷の低い発電方法を採用したものであればどのようなものであってもよい。
【0062】
発電設備40によって得られた電力はパワーコンディショナ13に供給され、電力制御装置10の制御部11の制御のもと蓄電池モジュール30における充電、売電のための放電、自家消費に用いられる。
【0063】
なお、パワーコンディショナ13と系統電力140との間に設けられた配電盤110には複数の電気機器150が接続されている。発電設備40により得られた電力、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力がパワーコンディショナ13および配電盤110を介して電気機器150に送られる。これにより、蓄電設備保有者は電気機器150を使用することができる。また、系統電力140からの電力が配電盤110を介して電気機器150に送られることにより、蓄電設備保有者は電気機器150を使用することも可能である。
【0064】
電気機器150は、一般家庭においては、テレビジョン受像機、オーディオ機器などの電子機器、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、空調機器などの家電などがある。また、企業であれば、パーソナルコンピュータ、コピー機、ファクシミリ、プリンタ、空調機器などがある。さらに、店舗、商業施設などにおいては照明機器、空調機器、エレベーターなどの輸送機器などがある。
【0065】
[1−3.電力・ポイント管理サーバおよびポイント交換サーバの構成]
次に、ポイント発行者側において用いられる電力・ポイント管理サーバ200について説明する。図3Aは電力・ポイント管理サーバ200の構成を示すブロック図である。電力・ポイント管理サーバ200は、通信部210、制御部220、電力管理部221、ポイントレート決定部222、ポイント発行部223、保有者データベース230、交換者データベース240とから構成されている。
【0066】
通信部210は、例えば、所定のプロトコルに基づいてインターネットなどのネットワークを介して蓄電設備100との通信を行うためのネットワークインターフェースである。通信方式は有線通信、無線LAN、Wi−Fi、3G回線を用いた通信などどのようなものでもよい。通信部210は、電力管理部221が発行する充電コマンド、放電コマンドおよび自律動作コマンドを電力制御装置10に対して送信する。
【0067】
また、通信部210は、電力制御装置10から送信された蓄電池モジュール30に蓄えられた蓄電量および前記発電設備40における発電量を示す発電量情報を示す蓄電量情報を受信する。なお、電力制御装置10における蓄電量情報の送信は電力・ポイント管理サーバ200からの求めに応じて行われる。また、通信部210は、ネットワークを介して電力市場における電力会社のサーバ、または、電力市場において電力取引を仲介するブローカーなどのサーバに接続され、電力市場における電力価格情報を取得する。さらに、電力管理部221の指示のもと、電力会社のサーバなどと電力市場に対する売り注文など、電力取引に必要な通信も行う。
【0068】
制御部220は、例えば、CPU、RAMおよびROMなどから構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれるプログラムが格納されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに格納されているプログラムに基づき様々な処理を実行することによって電力・ポイント管理サーバ200全体の制御を行う。また、所定のプログラムを実行することにより、電力管理部221、ポイントレート決定部222およびポイント発行部223として機能する。
【0069】
電力管理部221は、通信部210によって受信した電力価格情報、発電設備40における発電量を示す発電量情報などを用いて、所定のアルゴリズムにより蓄電池モジュール30への充電量、電力市場への売電量、自家消費に充てる自家消費量を決定し、充電コマンド、放電コマンドおよび自律動作コマンドを発行する。コマンド発行およびコマンド送信を行う電力管理処理の詳細については後述する。
【0070】
ポイントレート決定部222は、蓄電設備保有者に付与されるポイントと、蓄電量情報で示される蓄電池モジュール30の蓄電量とのレート(以下、ポイントレートと称する。)を決定するものである。本実施の形態においては、蓄電池モジュール30における蓄電量に応じて蓄電設備保有者にポイントが付与される。ポイントレートを示すポイントレート情報は、ポイント発行部223に供給される。
【0071】
ポイント発行部223は、蓄電量情報で示される蓄電池モジュール30の蓄電量およびポイントレート決定部222から供給されるポイントレート情報に基づいてポイントを発行するものである。発行されたポイントは保有者データベース230などにおいて蓄電設備保有者ごとに管理される。また、発行されたポイントを示すポイント情報をネットワークを介して電力制御装置10に送信するようにしてもよい。ポイントレート決定およびポイント管理の詳細については後述する。
【0072】
保有者データベース230は、蓄電設備100を保有する蓄電設備保有者に関する情報である保有者情報を格納する。保有者情報としては、蓄電設備保有者の氏名、住所、電話番号、蓄電設備識別情報、発電設備識別情報、認証情報などが挙げられる。ただし、保有者情報はそれらに限られるものではない。蓄電設備保有者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント発行者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。
【0073】
また、ポイント発行者と蓄電設備保有者間の契約内容を示す契約情報も保有者データベース230に格納される。電力管理部221は電力管理処理の際にその契約情報を参照することができる。
【0074】
保有者情報は、例えば、蓄電設備保有者とポイント発行者との契約時において、書面などによって蓄電設備保有者が提示し、ポイント発行者が保有者データベース230に入力することにより格納される。また、蓄電設備保有者による電力管理システムの利用開始時に、表示部22に電力制御装置10の表示部22に蓄電設備保有者に保有者情報の入力を促す入力画面を表示させるようにしてもよい。蓄電設備保有者が入力画面の指示に従い入力部21を用いて入力を行うと、入力された保有者情報がネットワークを介して保有者データベース230に送信されて格納される。
【0075】
交換者データベース240は、ポイント交換者に関する情報である交換者情報を格納する。交換者情報としては、ポイント交換者の氏名、企業名、団体名、住所、電話番号、契約内容などが挙げられる。ただし、交換者情報はそれらに限られるものではない。ポイント交換者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント発行者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。
【0076】
交換者情報は、例えば、ポイント発行者とポイント交換者の契約時において、書面などによってポイント交換者が提示し、ポイント発行者が交換者データベース240に入力することにより格納される。また、ネットワークを介して送受信を行い交換者データベース240に格納するようにしてもよい。なお、ポイント発行者とポイント交換者とが同一の企業、団体などが運営する場合には交換者情報および交換者データベース240は不要である。
【0077】
次に、ポイント交換者側において用いられるポイント交換サーバ300について説明する。図3Bはポイント交換サーバ300の構成を示すブロック図である。ポイント交換サーバ300は、制御部310、通信部320、保有者データベース330、発行者データベース340とから構成されている。
【0078】
制御部310は、CPU、RAMおよびROMなどから構成されており、プログラムに基づき様々な処理を実行することによってポイント交換サーバ300全体の制御を行う。
【0079】
通信部320は、例えば、所定のプロトコルに基づいてインターネットなどのネットワークを介して蓄電設備100との通信を行うためのネットワークインターフェースである。ポイント交換サーバ300は、ネットワークを介して蓄電設備保有者と接続されている。これにより、ネットワークを介してポイント、財・サービスのやり取りを行うことができる。ただし、電力管理システムに係るサービスがクラウドサービスとして提供される場合には、ポイントは蓄電設備保有者の指示のもとポイント発行者からポイント交換者に送られる。また、通信部320によって、財・サービスのうちネットワークを介して提供可能なもの(電子書籍、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、各種クーポンなど)を提供するようにしてもよい。なお、上述のように、ポイントと財・サービスの交換は実際の交換所などで行うようにしてもよい。
【0080】
保有者データベース330は、蓄電設備保有者に関する情報である保有者情報を格納する。保有者情報としては、蓄電設備保有者の氏名、住所、電話番号、登録番号、財・サービスの交換履歴などが挙げられる。ただし、保有者情報はそれらに限られるものではない。蓄電設備保有者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント交換者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。なお、保有者情報は電力・ポイント管理サーバ200の保有者データベース230に格納されているものと共有するようにしてもよい。
【0081】
発行者データベース340は、ポイント発行者に関する情報である発行者情報を格納する。発行者情報としては、ポイント発行者の氏名、企業名、団体名、住所、電話番号、契約内容などが挙げられる。ただし、発行者情報はそれらに限られるものではない。ポイント発行者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント交換者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。
【0082】
[1−4.電力・ポイント管理サーバにおける処理:電力管理処理]
次に、電力・ポイント管理サーバ200により行われる処理について説明する。電力・ポイント管理サーバ200における処理は、電力制御装置10に充電、売電、自律動作を指示する電力管理処理と、蓄電設備保有者に対してポイントの発行を行うポイント発行処理とに分けられる。
【0083】
まず、電力管理処理について説明する。図4は、電力管理処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS11で、電力市場における電力会社のサーバ、または、電力市場において電力取引を仲介するブローカーなどから電力市場における電力価格情報を取得する。次にステップS12で、電力制御装置10から蓄電池モジュール30における蓄電量を示す蓄電量情報を取得する。なお、蓄電量情報の取得は電力管理処理を行う場合に限られず常時定期的に行うようにしてもよい。その場合、電力管理処理ではその時点における最新の蓄電量情報で示される蓄電量に基づいて処理を行う。
【0084】
次にステップS13で、充電を行うのが適切か否かが判定される。充電が適切であるか否かは、例えば、予め所定の買電閾価格を定めておき、電力市場における電力価格と買電閾価格とを比較することにより行うことができる。電力市場における電力価格が買電閾価格よりも低い場合には買電が適切であると判定される。また、買電が適切か否かは例えば、特開2002−233053号公報記載の以下の方法を用いても行うことができる。
【0085】
まず、上述のステップS11で受信した電力価格情報の時系列データを蓄積し、電力価格変動の分析及び経時変動予測を行い、最適な電力の購入量、購入時期を決定する。まず、過去の電力価格の時系列データの分析を行うことにより、電力価格の変動予測値(基準予測値)を算出する。過去の時系列データから将来の値を予測する方法としては例えば、ニューラルネットワークによるパターン分析がある。さらに、精度の高い予測を行うため、過去の気象情報、電力需要動向などの外的要因が生じた場合の電力価格の相関関係を用いて電力価格の変動感度を算出し、予測に反映ようにしてもよい。例えば、気温が1℃上昇すると電力価格が1円/kWh上昇すると分かっている場合、この気象条件に対する変動感度は1円/(kWh・℃)となる。この変動感度を基準予測値に反映することにより、気象条件、電力需要動向などの外的要因を考慮した電力価格の予測値(購入電力価格予測値)を下記の式1を用いて算出する。
【0086】
[式1]購入電力価格予測値=基準予測値(時系列データから算出)×気象条件に対する感度×外的要因に対する感度
【0087】
さらに、算出した購入電力価格予測値及び過去の電力価格の時系列データを統計処理し、ある一定の時期までの電力価格の最小値の期待値(電力購入基準価格)を算出する。そして、電力価格情報が示す電力市場における電力価格がこの電力購入基準価格を下回っている場合に買電が適切であると判断される。一方、電力価格情報が示す電力価格がこの電力購入基準価格を上回っている場合には買電は適切ではないと判断される。
【0088】
なお、充電の判断に用いるアルゴリズムは上述のものに限られず、電力市場の価格変動、及びその予測値と販売可能な電力量から、販売量、販売時期を決定するアルゴリズムであれば、どのようなものでもよい。例えば,既存の他の市場、例えば株式市場で自動売買に使われているプログラムを、電力市場に合うように改変して用いることも可能である。
【0089】
ステップS13で買電が適切であると判定された場合、処理はステップS14に進む(ステップS13のYes)。そしてステップS14で管理下にある電力制御装置10に対して充電を指示する充電コマンドを送信する。なお、充電コマンドでは、充電指示とともに、充電時間、充電する電力量なども指示するようにするとよい。
【0090】
一方、ステップS13で買電が適切ではないと判断された場合、処理はステップS15に進む(ステップS13のNo)。そして、ステップS15で売電が適切であるか否かが判定される。売電が適切であるか否かは、例えば、予め所定の売電閾価格を定めておき、電力市場における電力価格と売電閾価格とを比較することにより行うことができる。電力市場における電力価格が売電閾価格よりも高い場合には売電が適切であると判定される。また、売電が適切か否かの判定は例えば、特開2002−233053号公報記載の以下の方法を用いても行うことができる。
【0091】
売電価格は、蓄電量に電力価格をかけることによって定められる。また、蓄電には蓄電装置運転に伴うコストが発生する。説明を簡単にするため、この蓄電に要するコストは毎日一定の金額必要となるものと仮定する。蓄電システムの運用による利益は、下記の式により求まる。
[式2]
蓄電システムの運用による利益=電力販売料金−電力購入料金−蓄電コスト
[式3]
電力購入料金=購入電力量×購入時期における電力価格
[式4]
電力販売料金=購入電力量×(100−放電率(%/日)×蓄電日数)×販売時期における電力価格
[式5]
蓄電コスト=コスト単価(¥/日)×蓄電日数
【0092】
電力価格の経時的変動予測は、上述のものと同様の方法で行い、蓄電システム運用による利益の予測値(電力の販売利益予測値)を計算する。この予測値を統計処理することにより、ある一定の時期までの利益の最大値の期待値(電力販売基準利益)を求め、ある時刻に算出した利益が電力販売基準利益を上回った場合に、売電が適切であると判定する。
【0093】
なお、売電の判断に用いるアルゴリズムは上述のものに限られず、電力市場の価格変動、及びその予測値と販売可能な電力量から、販売量、販売時期を決定するアルゴリズムであれば、どのようなものでもよい。例えば,既存の他の市場、例えば株式市場で自動売買に使われているプログラムを、電力市場に合うように改変して用いることも可能である。
【0094】
ステップS15で売電が適切であると判定された場合、処理はステップS16に進む(ステップS15のYes)。次にステップS16で、電力市場に対して売り注文を発行する。そして、電力市場との間で売買取引が成立後、ステップS17で電力制御装置10に対して放電コマンドを送信する。なお、放電コマンドでは、放電指示とともに、放電時間、放電する電力量なども指示するようにするとよい。
【0095】
一方、ステップS15で売電が適切ではないと判断された場合、処理はステップS18に進む(ステップS15のNo)。処理がステップS18に進む場合とは、買電が適切ではなく、さらに売電も適切ではないと判定された場合である。この場合、電力・ポイント管理サーバ200は電力制御装置10に対して、電力・ポイント管理サーバ200からの指示に対応して動作するのではなく、電力制御装置10の独自の判断で動作するように自律動作指示コマンドを送信する。
【0096】
以上のようにして電力管理処理が行われる。蓄電設備100に蓄えられた電力は電力・ポイント管理サーバ200により電力市場における電力価格との関係を判断して売買される。これにより、ポイント発行者は利益を得ることができる。また、蓄電設備保有者は電力市場における電力価格を気にする必要がない。
【0097】
[1−5.電力制御装置における処理:売電価格、買電価格、充電利益価格の大小関係を求める処理]
次に、電力制御装置10における処理について、図5乃至図24を参照して説明する。以下の処理は電力制御装置10の制御部11によって行われる。処理においてはまず、発電設備40により得られた発電電力を電力会社または電力市場に売る際の電力価格(以下、売電価格Vmと称する。)、電力会社から電力を購入する場合の電力価格(以下、買電価格Vgと称する。)、および充電を行うことによる経済的価値(以下、充電利益価格Vcと称する。)の大小関係を求める。充電利益価格Vcは特許請求の範囲における「所定の価格」に相当するものである。図5および図6は、それら各価格の大小関係を求める処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
なお、売電価格Vm、買電価格Vgは固定的なものではなく変動するものである。例えば、売電価格Vmは、電力を電力会社に売る場合は、特定の発電方法(例えば、太陽光発電など)により発電した電力については別途割増価格が設定される可能性がある。また、電力会社が存在する国の政府の政策などによっても変化する場合がある。電力を電力市場に売る場合は、電力取引の状況などに応じて変動する。
【0099】
また、買電価格Vgは深夜電力を購入する場合には低価格になるなど購入する時間帯によって変動する可能性がある。さらに、本技術係るシステムが実施される国における政府の政策などにより変動することもあり得る。
【0100】
充電を行うことによる経済的価値を示す充電利益価格Vcは、「充電量とポイントのレート×ポイント当たりの金銭的価値」、という式から算出することができる。充電量とポイントのレートとは、蓄電池モジュール30における充電量の増加分に対して付与されるポイントのレートである。また、ポイント当たりの金銭的価値とは、ポイントが実際の金銭としてどれほどの価値を有するかを示すものである。
【0101】
充電量とポイントのレートとは、例えば、1kwh当たり1ポイントなどである。充電量とポイントのレートの算出方法は後述する。また、ポイント当たりの金銭的価値は例えば、1000円の財・サービスと交換できるポイント数が100ポイントである場合には1ポイント当たり10円ということになる。よって、この場合の充電利益価格Vcは、「充電量とポイントのレート×ポイント当たりの金銭的価値」という式に基づいて、「(1ポイント/1kwh)×(10円/1ポイント)=10円/1kwh」、すなわち、1kwh当たり10円、ということになる。ただし、この値は説明を行うための一例である。この充電利益価格Vcは蓄電設備保有者からみた価値であり、ポイント発行者からみた価値を表すものではない。
【0102】
図5および図6のフローチャートについて説明する。まず、ステップS101で「i=0」に設定する。図5および図6のフローチャートでは最終的なiの値に基づいて売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係を求める。続いて、ステップS102で充電利益価格Vcが売電価格Vmより大きいか否かが判定される。充電利益価格Vcが売電価格Vmより大きい場合(ステップS102のYes)には、処理はステップS103に進み、「i=i+4」とする処理がなされる。
【0103】
次に処理はステップS104に進む。また、上述のステップS102で充電利益価格Vcが売電価格Vm以下であると判定された場合も処理はステップS104に進む(ステップS102のNo)。そして、ステップS104で充電利益価格Vcが買電価格Vgより大きいか否かが判定される。充電利益価格Vcが買電価格Vgより大きい場合(ステップS104のYes)には、処理はステップS105に進み、「i=i+2」とする処理がなされる。
【0104】
次に処理はステップS106に進む。また、上述のステップS104で充電利益価格Vcが買電価格Vg以下であると判定された場合も処理はステップS106に進む(ステップS104のNo)。そして、ステップS106で売電価格Vmが買電価格Vgより大きいか否かが判定される。売電価格Vmが買電価格Vgより大きい場合(ステップS106のYes)には、処理はステップS107に進み、「i=i+1」とする処理がなされる。
【0105】
次に処理はステップS108に進む。また、上述のステップS106で売電価格Vmが買電価格Vg以下であると判定された場合も処理はステップS108に進む(ステップS16のNo)。そして、ステップS108で「i=7」であるか否かが判定される。「i=7」である場合(ステップS108のYes)、処理はステップS109に進み、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vc>Vm>Vg」であると判定される。
【0106】
ステップS108で「i=7」ではないと判定された場合(ステップS108のNo)、処理はステップS110に進み、「i=6」であるか否かが判定される。「i=6」である場合(ステップS110のYes)、処理はステップS111に進み、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vc>Vg≧Vm」であると判定される。
【0107】
ステップS110で「i=6」ではないと判定された場合(ステップS110のNo)、処理はステップS112に進み、「i=3」であるか否かが判定される。「i=3」である場合(ステップS112のYes)、処理はステップS113に進み、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vm≧Vc>Vg」であると判定される。
【0108】
ステップS112で「i=3」ではないと判定された場合(ステップS112のNo)、処理はステップS114に進み、「i=1」であるか否かが判定される。「i=1」である場合(ステップS114のYes)、処理はステップS115に進み、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vm>Vg≧Vc」であると判定される。
【0109】
ステップS114で「i=1」ではないと判定された場合(ステップS114のNo)、処理はステップS116に進み、「i=4」であるか否かが判定される。「i=4」である場合(ステップS116のYes)、処理はステップS117に進み、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vg≧Vc>Vm」であると判定される。
【0110】
ステップS116で「i=4」ではないと判定された場合(ステップS116のNo)、処理はステップS118に進み、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vg≧Vm≧Vc」であると判定される。なお、ステップS116で「i=4」ではないと判定された場合とは「i=0」である。
【0111】
なお、図5および図6に示したフローチャートは売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係を求めるための処理の一例である。各ステップの順序は図5および図6に示したものに限られない。また、処理自体も売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係を求めることができる処理であればどのようなものを採用してもよい。
【0112】
[1−6.電力制御装置における処理:充電指示を受けた場合の処理]
次に、図7〜12を参照して、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされた場合の電力制御装置10における電力制御処理について説明する。処理は図5および図6に示される処理で求められた売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係に基づいて行われる。なお、以下の説明においては、蓄電設備保有者とポイント発行者との間で、蓄電設備保有者が発電電力を自家消費に充てることができる契約が締結されていることを前提とする。
【0113】
なお、以下に説明する各処理は、(1)蓄電池モジュール30の充放電回数をなるべく減らし、蓄電池モジュール30の寿命を出来る限り伸ばす、(2)余計な処理は行わず面倒は避ける、という原則に基づくものである。
【0114】
したがって、例えば、「充電利益価格Vc=買電価格Vg」である場合、買電を行って充電をすることは可能であるが経済的メリットはないため、蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすため買電による充電は行わないのが好ましい。あるいは、「充電利益価格Vc=売電価格Vm」である場合、発電設備40による発電電力を売電または充電しても経済的メリットは同じである。よって、蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすため充電は行わないのが好ましい。また、蓄電池モジュール30に蓄えられている電力を売電しても経済的メリットはないため、蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすために放電は行わないのが好ましい。
【0115】
また、あるいは、「売電価格Vm=買電価格Vg」である場合、発電設備40による発電電力を放電することにより売電する、発電設備40による発電電力を自家消費に充てる、自家消費に充てるための電力を電力会社から購入する、何れの場合においても経済的メリットは同じである。したがって、余計な処理は行わず面倒は避けるという(2)の原則に従うとすると、売電は行わず、自家消費を優先することになる。
【0116】
以下の説明において、電力・ポイント管理サーバ200から指示された充電量を「指示充電量Pchrg*」とする。また、発電設備40によって得られる発電電力の量を「発電量Pgen」とする。
【0117】
また、蓄電池モジュール30に充電する電力を「充電量Pchrg」(ただし、Pchrg>0)とし、蓄電池モジュール30から取り出す電力を「放電量(−Pchrg)」(ただし、Pchrg<0)とする。
【0118】
また、電力市場へ売却する電力を「売電量Psell」と称する。また、売電時に蓄電設備100において電力が通過する経路上にある蓄電設備100の構成要素(各種器具、配線など)それぞれの最大許容電力の中の最小値、すなわち、売電時における蓄電設備100の最大許容電力を「売電許容量Psell_max」と称する。
【0119】
また、充電時に蓄電設備100において電力が通過する経路上にある蓄電設備100の構成要素(各種器具、配線など)それぞれの最大許容電力の中の最小値、すなわち、充電時における蓄電設備100の最大許容電力を「充電許容量Pchrg_max」と称する。
【0120】
また、発電により得られた電力の内、自家消費に用いる電力を「自家消費量Pcons」と称する。さらに、蓄電設備保有者が自己の家庭内、建物内などで消費可能な全電力を「全体自家消費量Pcons_max」と称する。
【0121】
なお、蓄電設備100と発電設備40からなるシステムは、「発電量Pgen≦売電許容量Psell_max+自家消費量Pcons」、という条件を満たすように設計すべきである。この条件は、発電量Pgenの全てを放電および自家消費で消費することができることを意味している。発電設備40の最大発電電力よりも放電時における蓄電設備100の最大許容電力である売電許容量Psell_maxが大きい場合にはこの条件は満たされる。
【0122】
また、電力制御装置10は、あらかじめ蓄電設備100における充電許容量Pchrg_maxおおよび売電許容量Psell_maxを把握し、記憶保持しておくとよい。また、蓄電設備100を保有する蓄電設備保有者の家庭、建物などにおける「全体自家消費量Pcons_max」も、記憶保持しておくとよい。これらは、例えば、本技術に係るシステムを導入する時点でその導入作業を行う設置業者、ポイント発行者などにより算出されて電力制御装置10に設定される。
【0123】
また、電力・ポイント管理サーバ200は、「指示充電量Pchrg*≦充電許容量Pchrg_max」という条件のもと「指示充電量Pchrg*」分充電するよう充電指示を出すものとする。なぜなら、充電時における蓄電設備100の最大許容電力である充電許容量Pchrg_maxを超える電力を充電するように指示を出しても、充電許容量Pchrg_max以上充電することは不可能だからである。電力・ポイント管理サーバ200は新たな電力制御装置10が接続された時点で、充電許容量Pchrg_maxを送信するように電力制御装置10に要求し、取得した充電許容量Pchrg_maxを保有者データベース230において各蓄電設備保有者の蓄電設備100ごとに格納しておくとよい。そして、電力管理部221は、電力制御装置10に充電指示を出す場合に、充電許容量Pchrg_maxを参照し、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電指示を出す。
【0124】
まず、図5および図6に示す処理で、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係が「Vc>Vm>Vg」であると判定された場合について図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS201で、蓄電池モジュール30が充電可能な状態であるか否かが判定される。蓄電池モジュール30が充電可能か否かの判定は、判定時における蓄電池モジュール30の充電量を示す充電量情報を取得し、充電可能な空き容量があるか否かを確認することにより行われる。ステップS201で蓄電池モジュール30が充電可能であると判定された場合処理はステップS202に進む(ステップS201のYes)。
【0125】
次にステップS202で、充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。発電量Pgenは発電設備40から発電量を示す発電量情報を取得することにより得ることができる。充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen以上である場合には処理はステップS203に進む(ステップS202のYes)。
【0126】
次にステップS203で、発電量Pgenが指示充電量Pchrg*以上であるか否かが判定される。発電量Pgenが指示充電量Pchrg*以上である場合、処理はステップS204に進む(ステップS203のYes)。そしてステップS204で、発電電力を蓄電池モジュール30への充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。
【0127】
充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen以上であるため、発電量Pgenの全てを充電にあてることが可能である。よって、「充電量Pchrg=発電量Pgen」となる。売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの中で充電利益価格Vcが最も高いため、なるべく多く充電を行うのが好ましい。なお、発電量Pgenの全てを充電に充てるため、「売電量Psell=0」、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0128】
一方、ステップS203で発電量Pgenが指示充電量Pchrg*以上ではないと判定された場合、処理はステップS205に進む(ステップS203のNo)。そしてステップS205で、発電量Pgenの全てを充電に充てるように制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、発電量Pgenは指示充電量Pchrg*未満であるため、発電量Pgenのみでは指示充電量Pchrg*分を満たすことができない。そこで、不足分である「指示充電量Pchrg*−発電量Pgen」分買電を行い、それを充電に充てるよう制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」となり、指示充電量Pchrg*分の充電を行うことができる。なお、なお、発電量Pgenの全てを充電に充てるため、「売電量Psell=0」、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0129】
説明はステップS202に戻る。ステップS202で、充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合、処理はステップS206に進む(ステップS202のNo)。そしてステップS206で、制御部11は発電電力を充電に充てるよう、パワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxは発電量Pgen未満であり、発電量Pgenの全てを充電に充てることはできないため、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電が行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0130】
次にステップS207で、発電量Pgenと充電量Pchrgの差がP1として算出される。P1は発電量Pgenを充電に充てた場合に充電しきれずに余る余剰電力を示すものである。次にステップS208で、売電許容量Psell_maxがP1以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxがP1以上である場合には処理はステップS209に進む(ステップS208のYes)。
【0131】
そして、ステップS209でP1の全てを売電するよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「売電量Psell=P1」となる。これは、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされたため充電を行ったが電力が余っており、さらに、買電価格Vgよりも売電価格Vmの方が高いため、余った発電電力は全て売電することが適切だからである。したがって、発電電力の自家消費を行うことはできず、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0132】
一方、ステップS208で売電許容量Psell_maxがP1未満であると判定された場合、処理はステップS210に進む(ステップS208のNo)。そしてステップS210で、制御部11はP1を売電に充てるよう、パワーコンディショナ13を制御する。これは、買電価格Vgよりも売電価格Vmの方が高いため、余った発電電力は出来る限り売電するのが適切だからである。ただし、売電許容量Psell_maxがP1未満であり、P1の全てを売電に充てることはできないため、売電許容量Psell_maxを上限として売電が行われる。したがって、P1には余りが生じる。そこで、「自家消費量Pcons=P1−売電許容量Psell_max」として、P1と売電量に相当する売電許容量Psell_maxの差分を自家消費に充てるようにするとよい。
【0133】
説明はステップS201に戻る。ステップS201で、蓄電池モジュール30が充電可能ではないと判定された場合処理はステップS211に進む(ステップS201のNo)。そしてステップS211で、充電量Pchrgが0に設定される。これは、上述したように、電力・ポイント管理サーバ200はポイント発行のために定期的に蓄電池モジュール30における蓄電量を取得しているため、蓄電量を把握して上で充電指示を出していれば、蓄電池モジュール30が充電不可能であると判定されることはないはずだからである。したがって、この場合は「充電量Pchrg=0」となる。また、この場合、エラー処理として、表示部22における表示などによって蓄電設備保有者にその旨の通知を行う、または電力・ポイント管理サーバ200にその旨の通知を行うようにするとよい。
【0134】
このように、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされており、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vc>Vm>Vg」であり、充電利益価格Vcが最も高いため、充電を優先するように処理が行われる。
【0135】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係が「Vc>Vg≧Vm」であると判定された場合について図8のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS301〜307までは図7のフローチャートのステップS201〜207と同様であるため、その説明を省略する。説明はステップS308から行う。また、ステップS311も図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。
【0136】
ステップS308では、全体自家消費量Pcons_maxがP1以上であるか否かが判定される。上述のように、P1は、発電量Pgenを充電に充てた場合に余る余剰電力を示すものである。全体自家消費量Pcons_maxがP1以上である場合、処理はステップS309に進む(ステップS308のYes)。
【0137】
そしてステップS309で、P1の全てを自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「自家消費量Pcons=P1」となる。これは、売電価格Vmが買電価格Vgよりも低いため、余った発電電力を売却するよりも自家消費に充てるほうが経済的メリットがあるからである。全体自家消費量Pcons_maxがP1以上であるため、P1の全てを自家消費量Pconsとすることができる。なお、売電を行うことはできないため、「売電量Psell=0」となる。
【0138】
一方、ステップS308で全体自家消費量Pcons_maxがP1未満であると判定された場合、処理はステップS310に進む(ステップS308のNo)。そしてステップS310で、P1を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが買電価格Vgよりも低いため、余った発電電力を売却するよりも自家消費に充てるほうが経済的メリットがあるからである。ただし、全体自家消費量Pcons_maxがP1未満であるため、全体自家消費量Pcons_maxを上限として電力は自家消費に充てられる。よって、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0139】
全体自家消費量Pcons_maxはP1未満であるため、P1を自家消費に充ててもP1には余りが生じる。また、発電電力はすでに充電および自家消費に充てられている。そこで、制御部11はP1の余剰分を「売電量Psell=P1−全体自家消費量Pcons_max」として売電に充てるようパワーコンディショナ13を制御する。
【0140】
このように、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされており、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vc>Vg≧Vm」であり、充電利益価格Vcが最も高いため、充電を優先するように処理が行われる。
【0141】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm≧Vc>Vg」であると判定された場合について図9のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS405およびステップS415は、上述した、図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。
【0142】
まず、ステップS401で売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上である場合、処理はステップS402に進む(ステップS401のYes)。そしてステップS402で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるため、発電量Pgenの全てを売電に充てることが可能である。よって、「売電量Psell=発電量Pgen」となる。このように、発電電力の全てを売電に充てるのは、売電価格Vmが最も高いため、発電量Pgenの全てを売電に充てることに経済的メリットがあるからである。なお、発電量Pgenの全てを売電量Psellとするため、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0143】
次にステップS403で、蓄電池モジュール30が充電可能であるか否かが判定される。充電可能である場合、処理はステップS404に進む。そして、ステップS404で、制御部11は「充電量Pchrg=Pchrg*」として買電により蓄電池モジュール30の充電を行うようパワーコンディショナ13を制御する。これは買電価格Vgが最も低いからである。
【0144】
説明はステップS401に戻る。ステップS401で売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合、処理はステップS406に進む(ステップS401のNo)。そしてステップS406で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、発電量Pgenの全てを売電に充てることはできず、売電許容量Psell_maxを上限として売電が行われる。よって、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。これは、売電価格Vmが最も高いため、売電を行うことが蓄電設備保有者にとって経済的メリットがあるからである。
【0145】
次にステップS407で、発電量Pgenと売電許容量Psell_maxとの差がP2として算出される。発電量Pgenが売電許容量Psell_max以上であるため、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」として売電を行った場合に、発電量Pgenに余りが生じる。このP2はその売電しきれずに余った電力を示すものである。
【0146】
次にステップS408で、蓄電池モジュール30は充電可能であるか否かが判定される。充電可能である場合、処理はステップS409に進む(ステップS408のYes)。次にステップS409で、充電許容量Pchrg_maxがP2以上であるか否かが判定される。充電許容量Pchrg_maxがP2以上である場合には処理はステップS410に進む(ステップS409のYes)。
【0147】
次にステップS410で、P2が指示充電量Pchrg*以上であるか否かが判定される。P2が指示充電量Pchrg*以上である場合、処理はステップS411に進む(ステップS410のYes)。そしてステップS411で、P2の全てを充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。上述したように、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、発電量Pgenの全てを売電することはできない。しかし、蓄電池モジュール30は充電が可能であり、さらに、充電利益価格Vcが買電価格Vg以上であるため、売電を行えないのであれば、充電を行うほうが経済的メリットがあるからである。よって、「充電量Pchrg=P2」となる。
【0148】
一方、ステップS410で、充電許容量Pchrg_maxがP2未満であると判定された場合、処理はステップS412に進む(ステップS410のNo)。そしてステップS412で、P2の全てを充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、P2は指示充電量Pchrg*未満であるため、P2だけでは指示充電量Pchrg*を満たすことはできない。そこで、不足分である「指示充電量Pchrg*−P2」を買電により補い、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」として充電が行われるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。なお、発電電力はまず売電に充てられ、さらに余ったP2は充電に充てられるため、発電量Pgenを自家消費に充てることができず、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0149】
説明はステップS409に戻る。ステップS409で充電許容量Pchrg_maxがP2未満であると判定された場合、処理はステップS413に進む(ステップS409のNo)。そしてステップS413で、P2を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxはP2未満であり、P2の全てを充電に充てることはできないため、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電が行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0150】
次に、ステップS414で、上述のステップS413で充電に充てられたP2の余りを自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「自家消費量Pcons=P2−充電許容量Pchrg_max」となる。
【0151】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm≧Vc>Vg」であり、売電価格Vmが最も高いため、指示充電量Pchrg*を満たすように充電を行いつつ、売電を優先するように処理が行われる。
【0152】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm>Vg≧Vc」であると判定された場合について図10のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS501〜508までは図9のフローチャートにおけるステップS401〜408と同様であるため、その説明を省略する。
【0153】
ステップS508で蓄電池モジュール30が充電可能であると判定された場合、処理はステップS509へ進む(ステップS508のYes)。次に、ステップS509では、P2が指示充電量Pchrg*以上であるか否かが判定される。P2は、発電電力を「売電量Psell=売電許容量Psell_max」として売電に充てた場合に、売電しきれずに余った電力を示すものである。P2が指示充電量Pchrg*以上である場合、処理はステップS510に進む(ステップS509のYes)。そしてステップS510で、P2を指示充電量Pchrg*分充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」となる。これにより、電力・ポイント管理サーバ200からの指示された充電量を満たすことができる。
【0154】
P2は指示充電量Pchrg*以上であるため、ステップS510で、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」として充電が行われると、「P2−充電量Pchrg」分の余りが生じる。そこで、次にステップS511で、P2の余りである「P2−充電量Pchrg」を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、すでに売電は可能な限り行われ、また、電力・ポイント管理サーバ200から指示された分の充電はおこなっているため、それでもなお電力が余る場合にはその電力を自家消費に充てるのが効率的だからである。
【0155】
説明はステップS509に戻る。ステップS509で、P2が指示充電量Pchrg*未満であると判定された場合、処理はステップS512に進む(ステップS509のNo)。そして、ステップS512で、P2を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、P2は指示充電量Pchrg*未満であるため、P2だけでは指示充電量Pchrg*を満たすことはできない。そこで、不足分である「指示充電量Pchrg*−P2」を買電により補い、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」として充電が行われるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。なお、発電量Pgenは売電に充てられ、さらにP2は充電に充てられるため、発電電力を自家消費に充てることができず、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0156】
説明はステップS508に戻る。ステップS508で蓄電池モジュール30が充電可能ではないと判定された場合、処理はステップS513に進む(ステップS508のNo)。そして、ステップS513で「充電量Pchrg=0」となり、さらにステップS211で上述したのと同様のエラー処理が行われる。次にステップS514で、P2を自家消費に充てるよう、制御部11パワーコンディショナ13を制御する。
【0157】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm>Vg≧Vc」であり、売電価格Vmが最も高いため、指示充電量Pchrg*を満たすように充電を行いつつ、売電を優先するように処理が行われる。
【0158】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vc>Vm」であると判定された場合について図11のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS605およびステップS615は、上述した、図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。
【0159】
まずステップS601で、全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上である場合には処理はステップS602に進む(ステップS601のYes)。
【0160】
そしてステップS602で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上であるため、発電量Pgenの全てを自家消費に充てることが可能である。よって、「自家消費量Pcons=発電量Pgen」となる。これは、売電価格Vmが最も低く、次いで充電利益価格Vcが低いため、発電量Pgenを充電または売電しても蓄電設備保有者に経済的メリットはないからである。なお、発電量Pgenは全て自家消費に充てられるため、売電は行われず、「Psell=0」となる。
【0161】
次にステップS603で、蓄電池モジュール30が充電可能であるか否かが判定される。充電可能である場合には処理はステップS604に進む。そしてステップS604で、指示充電量Pchrg*分買電を行って充電を行うよう制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」となる。ステップS602で発電量Pgenを自家消費に充てたため、充電は買電により行う必要がある。これにより、電力・ポイント管理サーバ200からの指示充電量Pchrg*を満たすことができる。
【0162】
説明はステップS601に戻る。ステップS601で全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合に処理はステップS606に進む(ステップS601のNo)。そして、ステップS606で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、全体自家消費量Pcons_maxは発電量Pgen未満であるため、発電量Pgenは、全体自家消費量Pcons_maxを上限として自家消費に充てられる。よって、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。これは、売電価格Vmが最も低く、次いで充電利益価格Vcが低いため、発電量Pgenを充電または売電しても蓄電設備保有者に経済的メリットはないからである。
【0163】
次にステップS607で、「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max」がP3として算出される。全体自家消費量Pcons_maxは発電量Pgen未満であるため、P3は、発電量Pgenを自家消費に充てて余った電力を示すものである。
【0164】
次にステップS608で、蓄電池モジュール30は充電可能であるか否かが判定される。ステップS608で蓄電池モジュール30が充電可能であると判定された場合、処理はステップS609に進む(ステップS608のYes)。次にステップS609で、充電許容量Pchrg_maxがP3以上であるか否かが判定される。
【0165】
充電許容量Pchrg_maxがP3以上である場合、処理はステップS610に進む(ステップS609のYes)。そしてステップS610で、P3が指示充電量Pchrg*以上であるか否かが判定される。P3が指示充電量Pchrg*以上である場合、処理はステップS611に進む(ステップS610のYes)。
【0166】
そしてステップS611で、P3の全てを充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「Pchrg=P3」となる。これは、売電価格Vmが充電利益価格Vcよりも低いため、余った電力を売電に充てるよりも充電するほうが蓄電設備保有者にとって経済的メリットがあるからである。なお、P3の全てを充電に充てるため、売電は行われず、「Psell=0」となる。
【0167】
一方、ステップS610で、P3が指示充電量Pchrg*以上ではないと判定された場合、処理はステップS612に進む(ステップS610のNo)。そしてステップS612で、P3を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、P3が指示充電量Pchrg*未満であるため、P3のみでは指示充電量Pchrg*分の充電を行うことができない。そこで、不足分である「充電量Pchrg−P3」分を買電により補うよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」となり、電力・ポイント管理サーバ200から指示された充電量である指示充電量Pchrg*分の充電を行うことができる。なお、P3の全てを充電に充てるため、「売電量Psell=0」となる。
【0168】
説明はステップS609に戻る。ステップS609で、充電許容量Pchrg_maxがP3未満である場合、処理はステップS613に進む(ステップS609のNo)。そしてステップS609で、P3を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmよりも充電利益価格Vcの方が高いため、余った電力は蓄電に充てる方が蓄電設備保有者に経済的メリットがあるからである。ただし、充電許容量Pchrg_maxはP3未満であり、P3の全てを売電に充てることはできないため、充電許容量Pchrg_maxを上限として売電を行う。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0169】
上述のステップS613ではP3の全てを充電に充てることはできない。したがって、「P3−充電量Pchrg」分の余りが生じる。そこで、次にステップS614で、その余った電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「売電量Psell=P3−充電量Pchrg」となる。このように売電を行うのは、発電量Pgenを自家消費に充て、さらに充電に充てても電力が余っている場合には、その余った電力を売却するのが適切だからである。
【0170】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vc>Vm」であり、売電価格Vmが高く、充電利益価格Vcが低いため、指示充電量Pchrg*を満たすように充電を行いつつ、自家消費を優先するように処理が行われる。
【0171】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から充電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vm≧Vc」であると判定された場合について図12のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS701〜708までは図11のフローチャートのステップS601〜608と同様であるため、その説明を省略する。説明はステップS709から行う。
【0172】
ステップS709で、P3が指示充電量Pchrg*以上であるか否かが判定される。P3が指示充電量Pchrg*以上である場合、処理はステップS710に進む(ステップS709のYes)。
【0173】
そしてステップS710で、P3を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。P3は指示充電量Pchrg*以上であるため、P3を充電に充てることにより、指示充電量Pchrg*を満たすことができる。よって、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」となる。
【0174】
P3は指示充電量Pchrg*以上であるため、ステップS710で、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」としてP3を充電に当てた場合、P3には余りが生じる。そこで、次にステップS711で、その余った電力「P3−充電量Pchrg」を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「売電量Psell=P3−充電量Pchrg」となる。これは、発電量Pgenを自家消費に充て、さらに充電に充てても電力が余っている場合には、その余った電力を売却するのが適切だからである。
【0175】
一方、ステップS709で、P3が指示充電量Pchrg*以上ではないと判定された場合、処理はステップS712に進む(ステップS709のNo)。そしてステップS712で、P3を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、P3は指示充電量Pchrg*未満であるため、P3のみでは指示充電量Pchrg*分の充電を行うことができない。そこで、不足分である「充電量Pchrg*−P3」分を買電により補うよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより、「充電量Pchrg=指示充電量Pchrg*」となり、電力・ポイント管理サーバ200から指示された充電量である指示充電量Pchrg*分の充電を行うことができる。なお、P3の全てを充電に充てるため、売電は行われず「売電量Psell=0」となる。
【0176】
説明はステップS708に戻る。ステップS708で蓄電池モジュール30が充電可能ではないと判定された場合、処理はステップS713に進む(ステップS708のNo)。そして、ステップS713で、「充電量Pchrg=0」となり、さらにステップS211で上述したのと同様のエラー処理が行われる。次にステップS714で、P3を売電に充てるよう、制御部11パワーコンディショナ13を制御する。これは、すでに全体自家消費量Pcons_max分の自家消費を行っており、さらに充電が不可能であるため、余った電力は売電に充てるのが適切だからである。
【0177】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vm≧Vc」であり、買電価格Vgが高く、充電利益価格Vcが低いため、指示充電量Pchrg*を満たすように充電を行いつつ、自家消費を優先するように処理が行われる。
【0178】
[1−7.電力制御装置における処理:売電指示を受けた場合の処理]
次に、図13〜18を参照して電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされた場合の電力制御装置10における電力制御処理について説明する。処理は図5および図6に示す処理で求められた売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係に基づいて行われる。なお、以下の説明においては、蓄電設備保有者とポイント発行者との間で、蓄電設備保有者が発電電力を自家消費することができる契約が締結されており、電力を自家消費に充てることが可能であることを前提とする。
【0179】
なお、以下の説明において、電力・ポイント管理サーバ200の電力管理部221からの売電指示において指定された売電量を「指示売電量Psell*」とする。電力・ポイント管理サーバ200の電力管理部211は、「Psell*≦Psell_max」という条件のもと「指示売電量Psell*」分売電を行うように売電指示を出すものとする。なぜなら、蓄電設備100の売電可能な最大電力である売電許容量Psell_maxを超える量の売電を指示しても、売電許容量Psell_max以上売電することは不可能だからである。電力・ポイント管理サーバ200は新たな電力制御装置10が接続された時点で、売電許容量Psell_maxを示すデータを送信するように電力制御装置10に要求し、売電許容量Psell_maxを取得する。そして、取得した売電許容量Psell_maxは保有者データベース230において各蓄電設備保有者の蓄電設備100ごとに格納しておくとよい。そして、電力管理部221は、電力制御装置10に充電指示を出す場合に、売電許容量Psell_maxを参照し、売電許容量Psell_maxを上限として売電指示を出す。その他の用語の定義は[1−6.電力制御装置における処理:充電指示を受けた場合]と同様である。
【0180】
まず、図13のフローチャートについて説明する。図13は電力・ポイント管理サーバ200から売電の指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vc>Vm>Vg」である場合の処理を示すフローチャートである。なお、
なお、ステップS813は、上述した、図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。
【0181】
まずステップS801で、発電量Pgenと指示売電量Psell*との差がP4として算出される。次にステップS802で、P4が0以上であるか否かが判定される。これは、発電量Pgenのみで指示売電量Psell*を満たすことができるか否かを判定するものである。P4が0以上である場合には、発電量Pgenのみで指示売電量Psell*を満たすことができることとなる。一方、P4が0未満である場合には、発電量Pgenのみで指示売電量Psell*を満たすことができず、発電量Pgenのみでは「−P4」分電力が足りないこととなる。
【0182】
ステップS802でP4が0未満であると判定された場合、処理はステップS803に進む(ステップS802のNo)。そしてステップS803で、発電量Pgenを売電に充て、さらに不足分「−P4」を蓄電池モジュール30から取り出して売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより、電力・ポイント管理サーバ200からの指示された売電量である指示売電量Psell*を満たすことができる。よって、「売電量Psell=指示売電量Psell*」となる。なお、発電量Pgenは全て売電に充てられ、自家消費には充てられないため、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0183】
一方、ステップS802でP4が0以上であると判定された場合、処理はステップS804に進む(ステップS803のYes)。次にステップS804で、蓄電池モジュール30が充電可能である否かが判定され、充電可能である場合、処理はステップS805に進む(ステップS804のYes)。
【0184】
そしてステップS805で充電許容量Pchrg_maxがP4以上であるか否かが判定される。充電許容量Pchrg_maxがP4以上である場合、処理はステップS806に進む(ステップS805のYes)。そしてステップS806で、発電電力を指示売電量Psell分売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。上述のステップS802で、発電量Pgenと指示売電量Psell*との差であるP4は0以上であると判定されており、発電量Pgenは指示売電量Psell*以上であるため、発電量Pgenのみで指示売電量Psell*分の売電を行うことが可能である。
【0185】
さらに、発電量PgenはP4分、指示売電量Psell*よりも多いため、P4を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。上述のステップS805で、充電許容量Pchrg_maxがP4以上と判定されているため、P4の全てを充電に充てることが可能である。このようにP4を充電に充てるのは、蓄電利益価格Vcが売電価格Vmおよび買電価格Vgよりも高いため、発電電力が余る場合にはその余剰電力を充電したほうが蓄電設備保有者にとって経済的メリットがあるからである。
【0186】
一方、ステップS805において、充電許容量Pchrg_maxがP4以上ではないと判定された場合、処理はステップS807に進む(ステップS805のNo)。そしてステップS807で、発電電力を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxはP4未満であるため、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電が行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0187】
次にステップS808で、「P4−充電量Pchrg」の値がP5として算出される。上述のステップS805で、P4は充電許容量Pchrg_max以上であり、ステップS807で、充電許容量Pchrg_max分の充電が行われたため、P5はP4の充電後の残量を示すものである。
【0188】
次にステップS809で、売電許容量Psell_maxが指示売電量Psell*とP5との合計以上であるか否かが判定される。「売電許容量Psell_max≧指示売電量Psell*+P5」である場合、処理はステップS810に進む(ステップS809のYes)。
【0189】
そしてステップS810で、発電電力の残り分である「指示売電量Psell*+P5」を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ステップS802で、発電量Pgenは指示売電量Psell*以上であると判定され、さらに、ステップS807の充電は発電量Pgenと指示売電量Psell*の差分であるP4を充てることにより行われるため、発電電力は指示売電量Psell*以上残っている。したがって、指示された売電量である指示売電量Psell*分の売電を行うことは可能である。なお、発電電力の残りが全てが売電に充てられるため、自家消費に発電電力を充てることはできず、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0190】
一方、ステップS809で、「売電許容量Psell_max≧指示売電量Psell*+P5」ではないと判定された場合、処理はステップS811に進む(ステップS809のNo)。そして、ステップS811で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、売電許容量Psell_maxが指示売電量Psell*とP5との合計以上ではないため、売電許容量Psell_maxを上限として売電が行われる。よって、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0191】
さらに、ステップS812で、発電量Pgenの余りである「発電量Pgen−充電許容量Pchrg_max−売電許容量Psell_max」分を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。
【0192】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vc>Vm>Vg」であり、売電価格Vmが最も高いため、指示売電量Psell*を満たすように売電を行いつつ、充電を優先するように処理が行われる。
【0193】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vc>Vg≧Vm」であると判定された場合について図14のフローチャートに基づいて説明する。なお、図14のステップS901〜908までは図13のステップS801〜808までと同様であるため、その説明を省略する。また、ステップS913は、上述した、図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。説明はステップS909から行う。
【0194】
ステップS909では、全体自家消費量Pcons_maxがP5以上であるか否かが判定される。P5とは、「P4−充電量Pchrg」により算出されるものであり、発電量Pgenを電力・ポイント管理サーバ200から指示された売電量分の売電に充て、さらに充電に充てた際の発電電力の残量を示すものである。全体自家消費量Pcons_maxがP5以上である場合には処理はステップS910に進む(ステップS909のYes)。
【0195】
そしてステップS910で、発電電力を指示売電量Psell*分売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより電力・ポイント管理サーバ200からの指示された売電量である指示売電量Psell*分の売電が行われる。さらに、ステップS911で、発電電力のうち、P5分を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ステップS909で、全体自家消費量Pcons_maxはP5以上であると判定されているため、指示売電量Psell*分売電を行い余った電力P5の全てを自家消費に充てることが可能である。
【0196】
一方、ステップS909で、全体自家消費量Pcons_maxがP5以上ではないと判定された場合、処理はステップS912に進む(ステップS909のNo)。そしてステップS912で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、全体自家消費量Pcons_maxがP5未満であり、発電電力から指示売電量Psell*および充電量Pchrgの除いた量であるP5の全てを自家消費に充てることはできない。よって、電力は全体自家消費量Pcons_maxを上限として自家消費に充てられ、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0197】
さらに、ステップS913で、発電電力の余りである「発電量Pgen−充電許容量Pchrg_max−全体自家消費量Pcons_max」を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。
【0198】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vc>Vg≧Vm」であり、充電利益価格Vcが最も高いため、指示売電量Psell*を満たすように売電を行いつつ、充電を優先するように処理が行われる。
【0199】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm≧Vc>Vg」であると判定された場合について図15のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS1012は、上述した、図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。
【0200】
まずステップS1001で、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上である場合(ステップS1001のYes)、処理はステップS1002に進み、発電量Pgenが指示売電量Psell*以上であるか否かが判定される。発電量Pgenが指示売電量Psell*以上である場合、処理はステップS1003に進む(ステップS1002のYes)。
【0201】
そしてステップS1003で、発電電力の全てを売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが最も高く、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされているため、できるだけ売電を行うことが適切だからである。さらに、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるため、発電量Pgenの全てを売電に充てることが可能だからである。なお、発電量Pgenの全てを売電に充てるため、「充電量Pchrg=0」、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0202】
一方、ステップS1002で、発電量Pgenが指示売電量Psell*以上ではないと判定された場合、処理はステップS1004に進む(ステップS1002のNo)。そして、ステップS1004で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、発電量Pgenは指示売電量Psell*未満であるため、発電量Pgenのみでは指示売電量Psell*分の売電を行うことができない。そこで、不足分である「指示売電量Psell*-発電量Pgen」を放電量(−Pchrg)として蓄電池モジュールから取り出して売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより、指示売電量Psell*分の売電を行うことができる。なお、発電量Pgenは全て売電に充てられるため、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0203】
説明はステップS1001に戻る。ステップS1001で、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上ではないと判定された場合、処理はステップS1005に進む(ステップS1001のNo)。そして、ステップS1005で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、売電許容量Psell_maxは発電量Pgen以上ではないため、発電量Pgenの全てを売電に充てることはできない。よって、売電許容量Psell_maxを上限として売電が行われ、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0204】
次にステップS1006で、「P6=発電量Pgen−売電許容量Psell_max」として、発電量Pgenと売電許容量Psell_maxの差がP6として算出される。ステップS1005で、発電量Pgenのうち、売電許容量Psell_max分を売電に充てたため、P6は発電量Pgenの残量を示すものとなる。
【0205】
次にステップS1007で、蓄電池モジュール30が充電可能であるか否かが判定される。蓄電池モジュール30が充電可能である場合、処理はステップS1008に進む(ステップS1007のYes)。次にステップS1008で、充電許容量Pchrg_maxがP6以上であるか否かが判定される。充電許容量Pchrg_maxがP6以上である場合、処理はステップS1009に進む(ステップS1008のYes)。
【0206】
そしてステップS1009で、P6を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「充電量Pchrg=P6」となる。これは、蓄電利益価格Vcが売電価格Vmに次いで高いため、売電して余った電力を充電に充てることに蓄電設備保有者にとっての経済的メリットがあるからである。なお、発電量Pgenの残量であるP6の全てを充電に充てるため、自家消費量Pconsは0となる。
【0207】
一方、ステップS1008で、充電許容量Pchrg_maxがP6未満であると判定された場合、処理はステップS1010に進む(ステップS1008のNo)。そしてステップS1010で、P6を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxはP6未満であるため、充電は充電許容量Pchrg_maxを上限として行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0208】
次にステップS1011で、「P6−充電量Pchrg」を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、ステップS1005で売電を行い、ステップS1010で充電を行い、それでも発電電力が余っている場合にはその余った電力を自家消費に充てる、というものである。
【0209】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm≧Vc>Vg」であり、売電価格Vmが最も高いため、指示売電量Psell*を満たすように売電を行いつつ、売電、次いで充電を優先するように処理が行われる。
【0210】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm>Vg≧Vc」であると判定された場合について図16のフローチャートに基づいて説明する。なお、図16のステップS1101〜1106までは図15のステップS1001〜1006までと同様であるためその説明を省略する。説明はステップS1107から行う。
【0211】
ステップS1107では、全体自家消費量Pcons_maxがP6以上であるか否かが判定され、全体自家消費量Pcons_maxがP6以上である場合、処理はステップS1108に進む(ステップS1107のYes)。そして、ステップS1108で、P6を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、蓄電利益価格Vcが最も低いため、売電後発電電力が余っている場合にはその余った電力を充電するよりも自家消費に充てるほうが経済的メリットがあるからである。なお、P6の全てを自家消費に充てるため、充電は行われず、「充電量Pchrg=0」となる。
【0212】
一方、ステップS1107で、全体自家消費量Pcons_maxがP6未満であると判定された場合、処理はステップS1109に進む(ステップS1107のNo)。そしてステップS1109で、P6を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、全体自家消費量Pcons_maxがP6未満であるため、全体自家消費量Pcons_maxを上限として自家消費が行われる。よって、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0213】
さらにステップS1110でP6の余りを充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電を行い、自家消費を行い、それでも電力が余っている場合にはその電力は充電するのが適切だからである。ステップS1109でP6は全体自家消費量Pcons_max分自家消費に充てられているため、ステップS1110で充電に充てられる電力量は「P6−全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0214】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm>Vg≧Vc」であり、売電価格Vmが最も高いため、指示売電量Psell*を満たすように売電を行うことを優先して処理が行われる。
【0215】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vc>Vm」であると判定された場合について図17のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS1214は、上述した、図7のフローチャートのステップS211と同様であるためその説明を省略する。
【0216】
まずステップS1201で、全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上である場合、処理はステップS1202に進む(ステップS1201のYes)。
【0217】
そして、ステップS1202で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上であるため、発電量Pgenの全てを自家消費に充てることが可能である。よって、「自家消費量Pcons=発電量Pgen」となる。これは、売電価格Vmが最も低いため、発電電力を自家消費に充てたほうが蓄電設備保有者に経済的メリットがあるからである。
【0218】
次にステップS1203で、蓄電池モジュール30から指示売電量Psell*分の電力を取り出して売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより、電力・ポイント管理サーバ200からの指示された売電量である指示売電量Psell*分の売電を行う。よって、「売電量Psell=指示売電量Psell*」となる。
【0219】
説明はステップS1201に戻る。ステップS1201で全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合、処理はステップS1204に進む(ステップS1201のNo)。そしてステップS1204で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen未満であるため、全体自家消費量Pcons_maxを上限として発電電力が自家消費に充てられる。よって、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0220】
次にステップS1205で、「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max−指示売電量Psell*」の値がP7として算出される。次にステップS1206で、P7が0以上であるか否かが判定される。P7が0未満である場合、処理はステップS1207に進む(ステップS1206のNo)。
【0221】
そして、ステップS1207で、この時点での発電電力の残量である「発電量Pgen−自家消費量Pcons」を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、ステップS1205で算出されたP7が0未満であるということは、「発電量Pgen−自家消費量Pcons」では指示売電量Psell*を満たすことができないということである。したがって、さらに、不足分「−P7」分の電力を蓄電池モジュール30から取り出して売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これにより、電力・ポイント管理サーバ200から指示された売電量である指示売電量Psell*分の売電を行うことができる。
【0222】
一方、ステップS1206で、P7が0以上であると判定された場合(ステップS1206のYes)、処理はステップS1208に進み、蓄電池モジュール30が充電可能であるか否かが判定される。蓄電池モジュール30が充電可能である場合、処理はステップS1209に進む(ステップS1208のYes)。次にステップS1209で、充電許容量Pchrg_maxがP7以上であるか否かが判定される。充電許容量Pchrg_maxがP7以上である場合、処理はステップS1210に進む(ステップS1209のYes)。
【0223】
そしてステップS1210で、発電電力のうちP7分を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。さらに、ステップS1211で、発電電力で指示売電量Psell*分の売電を行うよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ステップS1210に至る時点で発電電力は、「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max」分残っている。また、上述のように、「P7=発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max−指示売電量Psell*」である。したがって、発電電力の残量「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max」で、P7分の充電と指示売電量Psell*分の売電を行うことができる。
【0224】
説明はステップS1209に戻る。ステップS1209で充電許容量Pchrg_maxがP7未満であると判定された場合、処理はステップS1212に進む(ステップS1209のNo)。そして、ステップS1212で、発電電力の余剰分「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max」を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxはP7未満であるため、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電が行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0225】
そしてステップS1213で、残る全ての充電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。なお、この時点で発電電力の残量は、「指示売電量Psell*+P7−充電量Pchrg」である。よって、「売電量Psell=指示売電量Psell*+P7−充電量Pchrg」となる。
【0226】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vc>Vm」であり、買電価格Vgが高く、売電価格Vmが低いため、指示売電量Psell*を満たすように売電を行いつつ、自家消費を優先するように処理が行われる。
【0227】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示がなされ、さらに、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vm≧Vc」であると判定された場合について図18のフローチャートに基づいて説明する。なお、図18のステップS1301〜1307までは図17のステップS1201〜1207までと同様であるためその説明を省略する。説明はステップS1308から行う。
【0228】
ステップS1308では、「指示売電量Psell*+P7」であるか否かが判定される。この時点における発電電力の残量は「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max=指示売電量Psell*+P7」であるため、ステップS1308は、この発電電力の残量をすべて売電に充てることができるか否かを判断する処理であるといえる。売電許容量Psell_maxは「指示売電量Psell*+P7」以上である場合、処理はステップS1309に進む(ステップS1308のYes)。
【0229】
そしてステップS1309で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。この時点で、発電量Pgenは自家消費にしか充てられておらず、発電電力の残量は「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max=指示売電量Psell*+P7」であり、売電許容量Psell_maxは「指示売電量Psell*+P7」以上であるため、全てを売電に充てることが可能である。なお、発電電力の残り全てを売電に充てるため、充電量Pchrgは0となる。
【0230】
一方、ステップS1308で、売電許容量Psell_maxが「指示売電量Psell*+P7」未満であると判定された場合、処理はステップS1310に進む(ステップS1308のNo)。そして、ステップS1310で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、売電許容量Psell_maxが「指示売電量Psell*+P7」未満であるため、売電許容量Psell_maxを上限として売電が行われる。よって、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0231】
さらにステップS1311で、この時点での発電電力の残量である「指示売電量Psell*+P7−売電許容量Psell_max」を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、すでに発電電力を自家消費および売電に充てており、それでも電力が余る場合には、充電するのが適切だからである。
【0232】
このように、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vm>Vc」であり、買電価格Vgが高く、充電利益価格Vcが低いため、指示売電量Psell*を満たすように売電を行いつつ、自家消費を優先するように処理が行われる。
【0233】
[1−8.電力制御装置における処理:自律動作指示を受けた場合の処理]
次に、電力・ポイント管理サーバ200から自律動作指示を受けた場合の電力制御装置10における処理について図19乃至図24を参照して説明する。電力制御装置10は電力・ポイント管理サーバ200かから自律動作の指示を受けた場合、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係に基づいて、蓄電設備保有者に経済的メリットが生じるように以下の処理を行う。
【0234】
なお、以下に説明する各処理は、(1)蓄電池モジュール30の充売電回数をなるべく減らし、蓄電池モジュール30の寿命を出来る限り伸ばす、(2)余計な処理は行わず面倒は避ける、という原則に基づくものである。
【0235】
したがって、充電利益価格Vc=買電価格Vgである場合、買電を行って充電をすることは可能であるが経済的メリットはないため、蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすため買電による充電は行わないのが好ましい。充電利益価格Vc=売電価格Vmである場合、発電設備40による発電電力を売電または充電しても経済的メリットは同じである。よって、蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすため充電は行わないのが好ましい。また、蓄電池モジュール30に蓄えられている電力を売電しても経済的メリットはないため、蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすため充電は行わないのが好ましい。すなわち、充電利益価格Vcが売電価格Vmまたは買電価格Vgと等しい場合には蓄電池モジュール30における充電は行わないのが好ましい。
【0236】
売電価格Vm=買電価格Vgである場合、発電設備40による発電電力を売電することにより売電する、発電設備40による発電電力を自家消費に充てる、自家消費に充てるための電力を電力会社から購入する、何れの場合においても経済的メリットは同じである。したがって、余計な処理は行わず面倒は避けるという(2)の原則に従うとすると、売電は行わず、自家消費を優先することになる。
【0237】
まず、上述した図5および図6に示す処理で、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係が「Vc>Vm>Vg」であると判定された場合について図19のフローチャートに基づいて説明する。
【0238】
まず、ステップS1401で、蓄電池モジュール30が充電可能であるか否かが判定される。蓄電池モジュール30が充電可能か否かの判定は、制御部11がセル制御部32から蓄電池モジュール30の現在の充電量を示す充電量情報を取得し、空き容量があるか否かを確認することにより行われる。ステップS1401で蓄電池モジュール30が充電可能であると判定された場合処理はステップS1402に進む(ステップS1401のYes)。
【0239】
次にステップS1402で、充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen以上である場合には処理はステップS1403に進む(ステップS1402のYes)。そして、ステップS1403で、発電電力を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen以上であるから発電量Pgenの全てを充電に充てることが可能である。さらに、蓄電利益価格Vcが最も高いため、可能な限り蓄電を行うことが蓄電設備保有者にとって経済的メリットがある。よって、「充電量Pchrg=発電量Pgen」となる。
【0240】
「充電量Pchrg=発電量Pgen」、すなわち、発電量Pgenは全て充電されるため、売電量Psellおよび自家消費量Pconsは共に0となる。なお、この場合、買電価格Vgは売電価格Vm、充電利益価格Vcに比べて低いため、発電設備40による発電量Pgenに加え、買電することにより充電を行うようにしてもよい。
【0241】
一方、ステップS1401で蓄電池モジュール30が充電可能ではないと判定された場合(ステップS1401のNo)、処理はステップS1404に進み、「充電量Pchrg=0」に設定される。これは、蓄電池モジュール30は充電可能ではないため、蓄電池モジュール30への充電は行われないことを示している。
【0242】
次にステップS1406で、発電量Pgenと充電量Pchrgの差がP1として算出される。P1は発電量Pgenを充電量Pchrgとした場合に充電しきれずに余る余剰電力を示すものである。なお、ステップS1404からステップS1406に処理が移行した場合、ステップS1404で「充電量Pchrg=0」に設定されているため、P1は発電量Pgenと等しくなる。
【0243】
次にステップS1407で、売電許容量Psell_maxがP1以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxがP1以上である場合には処理はステップS1408に進む(ステップS1407のYes)。そして、ステップS1408で、P1を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、充電が不可能であり、また、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるから売電処理が可能であり、さらに、電力市場において買電価格Vgよりも売電価格Vmの方が高いため、充電できない場合には発電電力は全て売電するのが適切だからである。よって、「売電量Psell=P1」となる。また、発電量Pgenの自家消費に充てることはできず、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0244】
一方、ステップS1407で売電許容量Psell_maxがP1未満であると判定された場合、処理はステップS1409に進む(ステップS1407のNo)。そしてステップS1409で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、充電が不可能であり、さらに、電力市場において買電価格Vgよりも売電価格Vmが高いため、発電した電力は売電するのが適切だからである。ただし、売電許容量Psell_maxがP1未満であるため、P1の全てを売電することはできず、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0245】
また、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」の場合、売電は売電許容量Psell_max分しか行えないため、P1には余りが生じる。そこで、次にステップS1410で、P1の余りを自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「自家消費量Pcons=P1−売電許容量Psell_max」となる。
【0246】
説明は、ステップS1402に戻る。ステップS1402において充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合、処理はステップS1405に進む(ステップS202のNo)。そして、ステップS1405で発電電力を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxが発電量Pgen未満であるため、発電量Pgenの全てを充電することはできず、充電許容量Pchrg_maxを充電の上限として充電を行うものである。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0247】
次に、ステップS1406で、発電量Pgenと充電量Pchrgの差がP1として算出される。上述したように、P1は発電量Pgenを充電した場合に充電しきれずに生じる余剰電力を示すものである。次にステップS1407で、売電許容量Psell_maxがP1以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxがP1以上である場合には処理はステップS1408に進む(ステップS1407のYes)。
【0248】
そしてステップS1408で、P1を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、蓄電池モジュール30への充電が可能であるが発電量Pgenが充電許容量Pchrg_max以上であるため、余剰電力が生じ、さらに、売電価格Vmが売電価格Vmよりも高いため、その余剰電力を売却することがポイント発行者の利益となるからである。
【0249】
一方、ステップS1407で売電許容量Psell_maxがP1未満であると判定された場合には処理はステップS1409に進む(ステップS1407のNo)。次にステップS1409でP1を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電許容量Psell_maxがP1未満であり、P1の全てを売電することはできないため、売電許容量Psell_maxを上限として売電を行うというものである。よって、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0250】
また、売電許容量Psell_maxがP1未満で売電を行うということは、P1の売電を行っても電力は余っているということである。よって、次にステップS1410で、P1の余りを自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「自家消費量Pcons=P1−売電許容量Psell_max」となる。
【0251】
次に、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの大小関係が「Vc>Vg≧Vm」であると判定された場合について図20のフローチャートに基づいて説明する。
なお、ステップS1501〜1506までは、図19に示すフローチャートのステップS1401〜1406と同様であるため、その説明を省略する。説明はステップS1507から行う。
【0252】
ステップS1507で、全体自家消費量Pcons_maxがP1以上であるか否かが判定される。全体自家消費量Pcons_maxがP1以上である場合、処理はステップS1508に進む(ステップS1507のYes)。そしてステップS1508で、P1を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、充電を行うことができず、売電価格Vmが買電価格Vgよりも低いため、売電を行うよりも自家消費に充てるほうが経済的メリットがあるからである。全体自家消費量Pcons_maxがP1以上であるため、P1の全てを自家消費量Pconsとすることができ、「自家消費量Pcons=P1」となる。よって、売電は行わないため、「売電量Psell=0」となる。
【0253】
一方、ステップS1507で全体自家消費量Pcons_maxがP1未満であると判定された場合、処理はステップS1509に進む(ステップS1507のNo)。そしてステップS1409で、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」として電力が自家消費に充てられるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、充電が不可能であり、売電価格Vmが買電価格Vgよりも低いため、売電を行うよりも自家消費に充てるほうが経済的だからである。ただし、全体自家消費量Pcons_maxがP1未満であるため、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0254】
また、全体自家消費量Pcons_maxはP1未満であるため、P1の全てを自家消費に充てても電力には余りが生じる。よって、次にステップS1410で、P1の余りを売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。
【0255】
次に、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm≧Vc>Vg」であると判定された場合について図21のフローチャートに基づいて説明する。
【0256】
まず、ステップS1601で売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上である場合、処理はステップS1602に進む。そして、ステップS1602で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「売電量Psell=発電量Pgen」となる。これは、売電価格Vmが最も高いため、発電量Pgenの全てを売電して売電を行うことが蓄電設備保有者の利益になるからである。なお、発電量Pgenの全てを売電量Psellとするため、充電量Pchrg=0、自家消費量Pcons=0となる。
【0257】
一方、ステップS1601で売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合、処理はステップS1603に進む(ステップS1601のNo)。そしてステップS1603で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが最も高いため、売電による売電を行うのが適切であるが、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、売電許容量Psell_maxを上限として売電を行うというものである。よって、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0258】
なお、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、発電量Pgen全てを売電することはできない。そこで、次にステップS1604で、発電量Pgenと売電許容量Psell_maxとの差をP2として算出する。このP2は売電量Psellを売電許容量Psell_maxとした場合に売電しきれずに余る売電余剰電力を示すものである。
【0259】
次にステップS1605で、蓄電池モジュール30は充電可能であるか否かが判定される。充電可能である場合、処理はステップS1606に進む(ステップS1605のYes)。次にステップS1606で、充電許容量Pchrg_maxがP2以上であるか否かが判定される。充電許容量Pchrg_maxがP2以上である場合には処理はステップS1607に進む(ステップS1606のYes)。
【0260】
そして、ステップS1607で、P2を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。上述したように、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、発電量Pgenの全てを売電することはできない。しかし、蓄電池モジュール30は充電が可能であり、さらに、充電利益価格Vcが買電価格Vg以上であるため、売電を行えないのであれば、充電を行うことが蓄電設備保有者の利益となるからである。よって、「充電量Pchrg=P2」となる。なお、P2の全てが充電に充てられるため、「自家消費量Pcons=0」となる
【0261】
一方、ステップS1606で、充電許容量Pchrg_maxがP2未満であると判定された場合、処理はステップS1608に進む(ステップS1606のNo)。そしてステップS1608で、P2を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、充電許容量Pchrg_maxがP2未満であり、P2全てを充電することはできないため、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電は行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0262】
次に、ステップS1609で「自家消費量Pcons=P2−充電量Pchrg」としてP2の余りを自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。上述のように、充電許容量Pchrg_maxがP2未満であるため、上述のステップS1608で充電を行ってもP2の全てを充電することはできない。そこで、「P2−充電量Pchrg」で示される、売電および充電を行ってもなお余る電力を自家消費に充てる。
【0263】
説明はステップS1605に戻る。ステップS1605で蓄電池モジュール30が充電可能ではないと判定された場合(ステップS1605のNo)、処理はステップS1610に進み、「充電量Pchrg=0」に設定される。
【0264】
そしてステップS1609で、ステップS1609で「自家消費量Pcons=P2−充電量Pchrg」として電力が自家消費に充てられるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。なお、ステップS1610で充電量Pchrg=0とされているため、ステップS1610からステップS1609に移行した場合は、自家消費量Pcons=P2となる。
【0265】
なお、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係は「Vm≧Vc>Vg」であり、売電価格Vmが最も高いため、蓄電池モジュール30から電力を取り出せる場合にはその電力も売電するのが好ましい。また、買電価格Vgが最も低いため、買電することにより充電を行うことが好ましい。
【0266】
次に、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vm>Vg≧Vc」であると判定された場合について図22のフローチャートに基づいて説明する。
【0267】
まず、ステップS1701で売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxが発電量Pgen以上である場合、処理はステップS1702に進む(ステップS1701のYes)。そして、ステップS1702で、発電電力を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vm最も高いため、発電量Pgenの全てを売電して売電を行うことがポイント発行者の利益となるからである。よって、「売電量Psell=発電量Pgen」となる。なお、発電量Pgenの全てを売電量Psellとするため、「充電量Pchrg=0」、「自家消費量Pcons=0」となる。
【0268】
一方、ステップS1701で売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合、処理はステップS1703に進む(ステップS1701のNo)。そしてステップS1702で、発電電力を用いて「売電量Psell=売電許容量Psell_max」として売電が行われるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが最も高いため、売電による売電を行うことがポイント発行者の利益になるが、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、売電許容量Psell_maxを上限として売電を行うというものである。
【0269】
ただし、売電許容量Psell_maxが発電量Pgen未満であるため、発電量Pgen全てを売電することはできないため、余りが生じる。そこで、ステップS1704で、その余りが「P2=発電量Pgen−売電許容量Psell_max」として算出される。
【0270】
次にステップS1705で、全体自家消費量Pcons_maxがP2以上であるか否かが判定される。全体自家消費量Pcons_maxがP2以上である場合には処理はステップS1706に進む(ステップS1705のYes)。
【0271】
そしてステップS1706で、P2を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、全体自家消費量Pcons_maxがP2以上であり、また、充電利益価格Vcが最も低いため、売電して余った電力は充電せずに自家消費に充てるのが蓄電設備保有者の利益となるからである。また、電力を充電せずに直接自家消費に充てることにより蓄電池モジュール30の寿命を伸ばすこともできる。よって、「自家消費量Pcons=P2」となる。
【0272】
一方、ステップS1705で、全体自家消費量Pcons_maxがP2未満であると判定された場合、処理はステップS1707へ進む(ステップS1705のNo)。そしてステップS1707で、P2を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、全体自家消費量Pcons_maxはP2未満であり、P2の全てを自家消費に充てることはできないため、全体自家消費量Pcons_maxとして自家消費が行われる。よって、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0273】
全体自家消費量Pcons_maxはP2未満であり、全体自家消費量Pcons_maxを上限としてP2を自家消費に充てた場合、P2には余りが生じる。そこで、ステップS1708で、そのP2の余りを充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。よって、「充電量Pchrg=P2−全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0274】
次に、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vc>Vm」であると判定された場合について図23のフローチャートに基づいて説明する。
【0275】
まずステップS1801で、全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上であるか否かが判定される。全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上である場合には処理はステップS1802に進む(ステップS1801のYes)。そしてステップS1802で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが最も低く、次いで充電利益価格Vcが低いため、発電量Pgenを充電または売電(売電)しても蓄電設備保有者に経済的メリットはないからである。全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen以上であるため、発電量Pgenの全てを自家消費に充てることができ、「自家消費量Pcons=発電量Pgen」となる。
【0276】
一方、ステップS1801で全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen未満であると判定された場合に処理はステップS1803に進む(ステップS1801のNo)。そして、ステップS1803で、発電電力を自家消費に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen未満であり、発電量Pgenの全てを自家消費に充てることはできないため、全体自家消費量Pcons_maxを上限として自家消費が行われる。よって、「自家消費量Pcons=全体自家消費量Pcons_max」となる。
【0277】
次にステップS1804で、「発電量Pgen−全体自家消費量Pcons_max」がP3として算出される。上述のステップS1801で、全体自家消費量Pcons_maxが発電量Pgen未満であると判定されたため、P3は、発電量Pgenを自家消費に充てて余った電力、自家消費余剰電力を示すものである。
【0278】
次にステップS1805で、蓄電池モジュール30は充電可能であるか否かが判定される。ステップS1805で蓄電池モジュール30が充電可能であると判定された場合、処理はステップS1806に進む(ステップS1805のYes)。次にステップS1806で、充電許容量Pchrg_maxがP3以上であるか否かが判定される。
【0279】
充電許容量Pchrg_maxがP3以上である場合、処理はステップS1807に進む(ステップS1806のYes)。そしてステップS1807で、P3を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmよりも充電利益価格Vcが高いため、発電量Pgenを自家消費してP3が発生する場合には売電よりも充電を行う方が蓄電設備保有者の利益となるからである。よって、「充電量Pchrg=P3」となる。
【0280】
一方、ステップS1806で、充電許容量Pchrg_maxがP3未満であると判定された場合には、処理はステップS1808に進む(ステップS1806のNo)。そしてステップS1808で、P3を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmよりも充電利益価格Vcが高いため、P3を売電するよりも充電するほうが蓄電設備保有者の利益となるからである。ただし、充電許容量Pchrg_maxがP3未満であるため、充電許容量Pchrg_maxを上限として充電が行われる。よって、「充電量Pchrg=充電許容量Pchrg_max」となる。
【0281】
充電許容量Pchrg_maxがP3未満である場合において、充電許容量Pchrg_maxを上限としてP3を充電に充てると、P3には余りが生じる。そこで、次にステップS1809で、その余りである「P3−充電量Pchrg」を充電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、発電量Pgenを自家消費に充て、さらにP3を充電してもなお電力が余っている場合には売電を行う、とういうことである。
【0282】
説明はステップS1805に戻る。ステップS1805で蓄電池モジュール30は充電可能ではないと判定された場合、処理はステップS1810に進む(ステップS1805のNo)。次にステップS1810で「充電量Pchrg=0」とされる。これは蓄電池モジュール30が充電不可能であることによるものである。
【0283】
そしてステップS1809で、「売電量Psell=P3−充電量Pchrg」として売電が行われるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。これは、発電量Pgenを自家消費してもなお余っているP3を充電することができないため、売電を行うということである。ただし、ステップS1810からステップS1809に処理が移行した場合には、充電量Pchrg=0であるため、「売電量Psell=P3」となる。
【0284】
次に、売電価格Vm、買電価格Vg、充電利益価格Vcの関係が「Vg≧Vm≧Vc」であると判定された場合について図24のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS1901〜1904までは図23のフローチャートの全てを1801〜1804と同様であるため、その説明を省略する。説明はステップS1905から行う。
【0285】
ステップS1905で、売電許容量Psell_maxがP3以上であるか否かが判定される。売電許容量Psell_maxがP3以上である場合、処理はステップS1906に進む(ステップS1905のYes)。
【0286】
そしてステップS1906で、P3を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。売電許容量Psell_maxがP3以上であり、P3の全てを売電に充てることが可能であるため、「売電量Psell=P3」となる。これは、充電利益価格Vcよりも売電価格Vmが低いため、P3は売電による売電を行う方がポイント発行者の利益となるからである。
【0287】
一方、ステップS1905で売電許容量Psell_maxがP3未満であると判定された場合、処理はスステップS1907に進む(ステップS1905のNo)。そしてステップS1907で、P3を売電に充てるよう、制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。ただし、売電許容量Psell_maxがP3未満であり、P3の全てを売電に充てることはできないため、売電許容量Psell_maxを上限として売電が行われる。よって、「売電量Psell=売電許容量Psell_max」となる。
【0288】
電許容量Psell_maxを上限として売電を行った場合、「P3−売電許容量Psell_max」分の余りが生じる。そこで、ステップS1908で、「充電量Pchrg=P3−売電許容量Psell_max」としてその余り分を充電するように制御部11はパワーコンディショナ13を制御する。
【0289】
[1−9.電力・ポイント管理サーバにおける処理:ポイント発行処理]
{1−9−1. 発電電力を売電に充てない場合のポイント発行処理}
次に、ポイント発行処理について説明する。まず、図25乃至図28を参照して、電力・ポイント管理サーバ200から売電の指示があり、発電設備40による発電電力による売電処理を行わなかった場合のポイント発行処理について説明する。図25は、ポイント発行処理の流れを示すフローチャートであり、この処理はポイントレート決定部222とポイント発行部223により行われる。ポイント発行処理は蓄電池モジュール30における蓄電量に応じて蓄電設備保有者にポイントを付与する処理である。
【0290】
まず、ステップS21で、蓄電池モジュール30における蓄電量情報の取得が行われる。なお、蓄電量情報の取得はポイント発行処理を行う場合に限られず常時定期的に行うようにしてもよい。その場合、ポイント発行処理ではその時点における最新の蓄電量情報で示される蓄電量に基づいて処理を行う。
【0291】
次にステップS22で、ポイントレートが決定される。ここで、ポイントレートの決定方法について説明する。まず、財・サービス提供者により提供される財・サービスの価格と、その財・サービスを得るために必要なポイントとにおけるレート(財・サービスレートと称する。)を固定する。
【0292】
次に、電力市場価格の平均価格を算出する。この平均電力価格がポイントレート算出の基準となる。平均電力価格は、例えば、単位電力量当たりの単価として算出される。
【0293】
平均電力価格の算出は様々な方法で行うことができる。図26および図27にその例を示す。図26は縦軸を電力価格、横軸を日数として、10日間における移動平均を算出した例を示すものである。細線が電力市場価格を示し、太線が移動平均を示す。この場合、ポイントレートも変動することになるが、変動の大きさは電力市場価格の変動に比べて小さい。よって、電力市場価格の変動による価格変動リスクを低減することができる。
【0294】
例えば、ポイントレートの決定は毎日深夜0時に行い、その後の24時間はそのポイントレートを用いるようにしてもよい。なお、ポイントレートの決定を週一回、月一回、年一回など所定の時間間隔を空けて行い、次のポイントレート決定時まではそのポイントレートを用いるようにするとよい。
【0295】
また、図27は、10日ごとに日々の電力市場価格の過去10日分における平均電力価格を算出し、その平均電力価格を次の10日間におけるポイントレート算出の基準とする場合である。細線が電力価格を示し、太線が平均電力価格を示す。この場合も、ポイントレートの変動の大きさは電力市場価格の変動に比べて小さい。よって、電力市場価格の変動による価格変動リスクを低減することができる。この平均電力価格を算出するための期間は10日間に限られず、1週間、1ヶ月、1年などでもよい。
【0296】
そして、このようにして算出した平均電力価格を財・サービスレートに基づいてポイントに変換する。これにより、蓄電量とポイントのレートであるポイントレートが決定される。
【0297】
例えば、財・サービスである1000円の商品券と交換するのに必要なポイントが100ポイントとする場合、財・サービスレートは1ポイント10円となる。そして、電力市場価格の所定の期間における平均電力価格が1kwh当たり10円であるとすると、ポイントレートは1kwh当たり1ポイントとなる。蓄電設備100に1kwhの電力が蓄えられた場合、蓄電設備保有者には1ポイントが付与されることとなる。ただし、このレートは、説明のために示す一例である。
【0298】
このように、電力市場において変動する電力市場価格を平均した平均電力価格を基準としてポイントレートを設定することにより、ポイントレートの変動は電力市場価格の変動に比べて小さくなる。したがって、蓄電設備保有者が電力価格変動リスクを被ることを防止することができる。これにより、一般家庭や企業に対して蓄電設備を導入し、さらに、本技術に係るシステムを介して電力市場へ参加しようとするインセンティブを与えることができる。
【0299】
また、上述したように蓄電設備保有者とポイント発行者との間で個別の契約がある場合には、その契約内容もポイントレートの決定の基準とすることができる。個別の契約とは例えば、蓄電池モジュール30に充電された電力を蓄電設備保有者が自家消費できるか否か、保有者の意思で自由に売電することができるか否かなどである。
【0300】
基本的には、蓄電設備保有者の自由度が低い契約である場合には蓄電設備保有者がより利益を得ることができるようにポイントレートを高く設定するのが好ましい。自由度が低い場合とは例えば、発電設備40にからの電力を蓄電設備保有者が自家消費できず、自由に売買もできない契約である場合(すなわち、蓄えられた電力は全てポイント発行者側の電力・ポイント管理サーバ200による管理のもと売電にのみ用いられる。)である。この場合、売買電の決定は全て電力・ポイント管理サーバ200で行われ、蓄電設備保有者の意思は反映されないため、高いポイントレートを設定するのが好ましい。
【0301】
一方、蓄電設備保有者の自由度が高い契約である場合にはポイント発行者が有利となるようにポイントレートを低く設定するのが好ましい。例えば、発電設備40にからの電力を蓄電設備保有者が自家消費できる契約である場合、ポイント発行者が売電を行おうとしても蓄電池モジュール30の蓄電量が意図する売電量に満たないというような場合があり得る。したがって、このような場合にはポイント発行者が有利となるようにポイントレートを設定するのが好ましい。
【0302】
図25のフローチャートの説明に戻る。次にステップS23で、蓄電池モジュール30における蓄電量が前回取得した蓄電量に比べて増加しているか否かが判定される。蓄電量が増加していると判定された場合、処理はステップS24に進む(ステップS23のYes)。
【0303】
そして、ステップS24で、ステップS22で決定されたポイントレートに基づいてポイント発行部223によってポイントが発行され、ポイントが加算される。なお、ポイントは蓄電量そのものに対して加算されるのではなく、前回のポイント発行時における蓄電量に対する増加分に対して加算される。ポイント発行部223は、現在のポイント数などを示すポイント情報を管理するとともに、ポイントの増減の履歴なども管理するようにしてもよい。また、ネットワークおよび通信部12を介してポイント情報を電力制御装置10に送信するようにしてもよい。
【0304】
一方、ステップS23で蓄電量が増加していないと判定された場合、処理はステップS25に進む(ステップS23のNo)。次にステップS25で蓄電量が前回取得した蓄電量に比べて減少したか否かが判定される。蓄電量が減少していないと判定された場合、処理はステップS26に進む(ステップS25のNo)。
【0305】
上述したステップS23で蓄電量が増加していないと判定され、さらに、ステップS25で蓄電量が減少していないと判定された場合とは、すなわち蓄電量に変化はないということである。したがって、すなわちステップS26ではポイントの増減は行われない。
【0306】
説明はステップS25に戻る。ステップS25で蓄電量が前回取得した蓄電量に比べて減少したと判定された場合、処理はステップS27に進む(ステップS25のYes)。次にステップS27で蓄電量の減少は電力・ポイント管理サーバ200の指示に基づく売電によるものであるか否かが判定される。
【0307】
蓄電量の減少が電力・ポイント管理サーバ200の指示に基づく売電によるものではないと判定された場合(ステップS27のNo)、処理はステップS28に進む。そして、ステップS28でポイント発行部223によりマイナスのポイントが発行されることにより、ポイントの減算が行われる。蓄電量の減少が電力・ポイント管理サーバ200の指示に基づく売電によるものではない場合とは、蓄電設備保有者が自家消費により電力を消費して蓄電量が減少した場合である。または、蓄電設備保有者が自らの意思で売電を行った場合である。それはポイント発行者が売電を行うことができる電力が蓄電設備保有者により減らされたと考えられるため、ポイントを減算する。ポイントの減算は、前回のポイント発行時における蓄電量に対する減少分に対して行われる。
【0308】
一方、蓄電量の減少が電力・ポイント管理サーバ200からの売電指示による売電によるものであると判定された場合(ステップS27のYes)、処理はステップS26に進み、ポイントの増減は行われない。売電によって蓄電量が減少した場合とは、売電によってポイント発行者が利益を得た場合であるため、そのような場合に蓄電設備保有者のポイントを減少させるのは不合理だからである。なお、蓄電設備保有者が自家消費することができない契約である場合にはステップS27の処理は必要ない。
【0309】
このようにしてポイント発行処理が行われる。次に、図28を参照して上述したポイント発行処理について具体的な例を挙げて説明する。
【0310】
図28は、縦軸を蓄電量とし、横軸を時間として、ある期間内における蓄電量の変化を示したグラフである。横軸に対応して下方向に延びる矢印はポイント発行処理を行った時点を示す。この矢印で示すように、蓄電量の取得とそれに基づくポイント発行は定期的に行われている。なお、説明の理解を容易にするため、ポイントレートは蓄電量1kwh当たり1ポイントとする。
【0311】
まず、電力・ポイント管理サーバ200から充電を指示する充電コマンドが電力制御装置10に送信されると発電設備40からの電力による充電が行われる(期間(1))。ただし、買電により充電を行ってもよい。そして、電力・ポイント管理サーバ200から自律動作を指示する自律動作コマンドが電力制御装置10に送信され、発電設備40からの電力が蓄電設備30に充電されなかったとすると、発電設備40からの電力は直接充電または自家消費に充てられる。したがって、蓄電量に変化はない(期間(2))。期間(1)に示す充電が停止するまでの間に2回のポイント発行処理が行われている。
【0312】
1回目のポイント発行においては初期値(0kwh)から蓄電量が2kwh増加しているため、2ポイント加算される。次に、2回目のポイント発行時においては、蓄電量が1回目のポイント発行時と比較して2kwh増加しているため、2ポイント加算される。
【0313】
また、期間(2)に示す停止中に3回目のポイント発行処理が行われている。3回目のポイント発行時においては2回目のポイント発行時と比較して蓄電量1kwh増加しているため、+1ポイント加算される。
【0314】
再び電力・ポイント管理サーバ200から充電コマンドが送信されると、発電設備40からの電力による充電が行われる(期間(3))。充電が行われている期間(3)の間に2回のポイント発行処理が行われている。4回目のポイント発行時においては3回目のポイント発行時と比較して蓄電量が1kwh増加しているため、1ポイント加算される。次に、5回目のポイント発行時においては4回目のポイント発行時と比較して蓄電量が2kwh増加しているため、+2ポイント加算される。
【0315】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から放電を指示する放電コマンドが送信されて、蓄電池モジュール30からの放電(売電)により蓄電量が減少する(期間(4))。なお、放電を指示する場合、放電可能な蓄電量および売電した電力量を正確に把握するために、電力・ポイント管理サーバ200は、ポイント発行のための蓄電量取得とは別に売電開始直前および売電終了直後の蓄電量を取得しておくとよい。
【0316】
期間(4)に示す間に6回目のポイント発行処理が行われる。6回目のポイント発行時においては5回目のポイント発行時と比較して蓄電量が6kwh減少している。しかし、これは電力・ポイント管理サーバ200からの指示による放電で減少したものであるため、ポイントの増減はない。
【0317】
再び、電力・ポイント管理サーバ200から充電コマンドが送信されると充電が行われて蓄電量が増加する(期間(5))。期間(5)の間には7回目のポイント発行処理が行われている。7回目のポイント発行時においては6回目のポイント発行時と比較して蓄電量が2kwh増加しているため、2ポイント加算される。
【0318】
次の期間(6)では蓄電設備保有者が蓄電設備100に蓄えられた電力を使用する自家消費が行われる。この期間(6)の間に2回のポイント発行処理が行われている。8回目のポイント発行時においては7回目のポイント発行時と比較して蓄電量は同じであるため、ポイントの増減はない。続いて、9回目のポイント発行時においては8回目のポイント発行時と比較して蓄電量が2kwh減少している。これは自家消費による減少であるため、2ポイント減算される。すなわち2ポイント分、蓄電設備保有者が保有しているポイントを減らす。
【0319】
そして、電力・ポイント管理サーバ200から充電コマンドが送信されると充電が行われて蓄電量が増加していく(期間(7))。なお、自律動作モードに切り替えられた場合、制御部11は自律動作モード前の動作モードを記憶しておき、自家消費が終了した場合には電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドがなくても自律動作モード前の動作モードに戻るようにしておいてもよい。
【0320】
期間(7)の間に10回目のポイント発行処理が行われている。10回目のポイント発行時においては、9回目のポイント発行時と比較して蓄電量は同じであるため、ポイントの増減はない。
【0321】
以上のようにして、発電電力が売電に充てられない場合のポイント発行処理が行われる。
【0322】
{1−9−2. 発電電力を売電に充てる場合のポイント発行処理}
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示があり、発電設備40による発電電力が蓄電池モジュール30の売電に充てられる場合のポイント発行処理について説明する。まず、図29を参照して、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示があり、発電電力が売電に充てられた場合には異なるポイント発行処理を行う必要性について説明する。
【0323】
図29は、図28と同様に縦軸を蓄電量とし、横軸を時間として、ある期間内における蓄電量の変化を示したグラフである。横軸に対応して下方向に延びる矢印はポイント発行処理を行った時点を示す。この矢印で示すように、ポイント発行は定期的に行われている。なお、説明の理解を容易にするため、ポイントレートは蓄電量1kwh当たり1ポイントとする。
【0324】
図29では、期間(4)において電力・ポイント管理サーバ200から売電指示に基づく、6kwhの売電が行われている。この売電は5kwhを発電電力により賄い、1kwhを蓄電池モジュール30からの放電で賄ったものとする。そうすると、蓄電池モジュール30における蓄電量の減少は図29において破線で示される6kwhではなく、実線で示されるように1kwhとなる。なお、破線は6kwhの売電を全て蓄電池モジュール30からの放電で賄った場合を示すものである。
【0325】
売電に充てられた5kwhの発電電力は、電力・ポイント管理サーバ200からの売電指示がなければ充電に充てることができたものである。5kwhの発電電力が充電に充てられれば、蓄電設備保有者は5kwhに応じたポイントを取得することができる。したがって、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示があり、発電電力を売電に充てた場合、売電指示がなければ充電に充てることができた発電電力を売電に充てることになるため、その分のポイント発行を行わなければ、蓄電設備保有者に不利益を与えることになる。そこで、発電電力の5kwhは一旦蓄電池モジュール30に充電され、蓄電池モジュール30から取り出されることにより売電に充てられたと考え、5kwhに応じたポイントを発行するものとする。よって、6回目のポイント発行においては5ポイント加算されることとなる。
【0326】
次に、図30を参照して、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示があり、発電電力が売電に充てられた場合のポイント発行処理のフローについて説明する。この処理はポイントレート決定部222とポイント発行部223により行われる。ステップS21およびステップS22は図25に示すものと同様であり、ステップS21で、蓄電池モジュール30における蓄電量情報が取得され、次にステップS22で、ポイントレートが決定される。
【0327】
次にステップS41で、前回のポイント発行から今回のポイント発行までに電力・ポイント管理サーバ200から売電指示があり、売電が行われたか否かが判定される。電力・ポイント管理サーバ200から売電指示があり、発電電力を売電に充てた場合、処理はステップS42に進む(ステップS42のYes)。
【0328】
次にステップS42で、電力・ポイント管理サーバ200から売電指示に基づき行われた売電の売電量を取得する。売電量は、電力制御装置10の制御部11に対して問い合わせを行い、制御部11からの回答により取得するとよい。
【0329】
次にステップS43で、ステップS42で取得した売電量を前回ポイント発行時の蓄電量から減算する。そして、処理はステップS23に進む。ステップS23以降は図25に示すものと同様である。ただし、ステップS43で売電量が前回ポイント発行時における
の蓄電量から減算されているため、ステップS23以降の蓄電量が増減の判断は、その減算された蓄電量を基準として判断される。
【0330】
この点について図31を参照して説明する。期間(4)において電力・ポイント管理サーバ200からの売電指示があり、発電電力により売電が行われたものとする。この場合、6回目のポイント発行処理において、図30のフローチャートの処理がなされる。この場合、前回のポイント発行時である5回目のポイント発行時の蓄電量から売電量が減算される。ただし、これは5回目のポイント発行に影響を与えるものではない。5回目のポイント発行時の蓄電量は8kwhであり、売電量は6kwhであるため、減算により蓄電量は2kwhとなる。そして、この2kwhを基準として6回目のポイント発行処理を行う。
そうすると、6回目のポイント発行時の蓄電量は7kwhであり、基準となる2kwhからは5kwh増加している。よって、5ポイントが加算される。
【0331】
以上のようにして、電力・ポイント管理サーバ200におけるポイント発行処理が行われる。
【0332】
[1−10.電力制御装置側で電力の使用用途を決定することができる場合における電力制御処理]
次に、図32を参照して、電力制御装置10側で蓄電設備100に蓄えられている電力の使用用途を決定することができる場合における電力制御処理について説明する。この処理は、蓄電設備保有者側で電力の使用用途を決定できる契約が締結されている場合になされるものである。この処理は電力制御装置10の制御部11によって行われる。なお、制御部11がこの処理を行うように、蓄電設備保有者が事前に電力制御装置10の設定を行っていてもよいし、蓄電設備保有者が入力部21を用いて入力指示を行った場合にこの処理が行われるようにしてもよい。
【0333】
まず、ステップS2001で、売電価格Vmが充電利益価格Vcより大きいか否かが判定される。なお、売電価格Vm、買電価格Vgは電力・ポイント管理サーバ200からネットワークを介して電力価格情報を受信することにより取得することできる。また、電力制御装置10を電力市場における電力会社のサーバ、または、電力市場において電力取引を仲介するブローカーなどのサーバに接続し、直接電力価格情報を取得するようにしてもよい。充電利益価格Vcは、電力・ポイント管理サーバ200からネットワークを介して取得してもよいし、上述の方法により、電力制御装置10側で算出するようにしてもよい。
【0334】
売電価格Vmが充電利益価格Vcより大きい場合(ステップS2001のYes)、処理はステップS2002に進み、買電価格Vgが充電利益価格Vcより大きいか否かが判定される。次に、買電価格Vgが充電利益価格Vc以下である場合、処理はステップS2003に進む(ステップS2002のNo)。この場合、各価格の関係は、売電価格Vm>充電利益価格Vc≧買電価格Vgとなる。
【0335】
そしてステップS2003で、制御部11は、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力を取り出して放電を行うようにパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが最も高いため、放電による売電を行うことが蓄電設備保有者の利益になるからである。
【0336】
一方、ステップS2002で買電価格Vgが充電利益価格Vcより大きいと判定された場合、処理はステップS2004に進む(ステップS2002のYes。)
【0337】
次にステップS2004で、売電価格Vmが買電価格Vgより大きいか否かが判定される。売電価格Vmが買電価格Vgより大きい場合、処理はステップS2003に進む(ステップS2004のYes)。この場合には、各価格の関係は、売電価格Vm>買電価格Vg>充電利益価格Vcとなる。
【0338】
そしてステップS2003で、制御部11は、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力を取り出して放電を行うようにパワーコンディショナ13を制御する。これは、売電価格Vmが最も高いため、放電による売電を行うことが蓄電設備保有者の利益になるからである。
【0339】
一方、ステップS2004で、売電価格Vmが買電価格Vg以下である場合には処理はステップS2005に進む(ステップS2004のNo)。この場合には、各価格の関係は、買電価格Vg≧売電価格Vm>充電利益価格Vcとなる。
【0340】
そして、ステップS2005で、制御部11は、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力を取り出して自家消費に充てるようにパワーコンディショナ13を制御する。これは、買電価格Vgが最も高く、充電利益価格Vcが最も低いため、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力で自家消費を行うことが蓄電設備保有者の利益になるからである。
【0341】
説明はステップS2001に戻る。ステップS2001で売電価格Vmが充電利益価格Vc以下であると判定された場合、処理はステップS2006に進む(ステップS2001のNo)。次にステップS2006で、買電価格Vgが充電利益価格Vcより大きいか否かが判定される。買電価格Vgが充電利益価格Vcより大きい場合には処理はステップS2005に進む(ステップS2006のYes)。この場合には、各価格の関係は、買電価格Vg>充電利益価格Vc≧売電価格Vmとなる。
【0342】
そして、ステップS2005で、制御部11は、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力を取り出して自家消費に充てるようにパワーコンディショナ13を制御する。これは、買電価格Vgが最も高いため、買電による充電は行わず、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力で自家消費を行うことが蓄電設備保有者の利益になるからである。
【0343】
一方、ステップS2006で買電価格Vgが充電利益価格Vc以下である場合には処理は行われず終了となる。(ステップS2006のNo)。
【0344】
以上のようにして、電力制御装置10側で行われる蓄電池モジュール30に蓄えられた電力の用途を決定する電力制御処理が行われる。この処理では、買電価格Vgが充電利益価格Vcよりも高い場合には制御部11は、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力を取り出して自家消費に充てるようにパワーコンディショナ13を制御する。また、売電価格Vmが充電利益価格Vcよりも高い場合には、制御部11は、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力を取り出して放電による売電を行うようにパワーコンディショナ13を制御する。すなわち、買電価格Vgと売電価格Vmの大小関係によって蓄電設備保有者に利益になる電力用途を決定する。
【0345】
なお、充電利益価格Vc>買電価格Vgである場合には買電することにより充電を行うようにするとよい。また、売電価格Vm>買電価格Vgである場合には電力市場から買電を行い、電力市場へ売電を行うとよい。ただし、このような自体が生じ得ないと考えられる。さらに、売電価格Vm≦買電価格Vgである場合、蓄電設備保有者が電力市場から買電を行うことができるのであれば買電を行うとよい。
【0346】
<2.本技術により奏する効果>
以上のようにして本技術における電力制御、ポイント発行が行われる。現状の電力市場は大口の取引に限られており、例えば、一般家庭に設置するような小規模な蓄電設備100に蓄えられる電力量では、電力取引に参加することができない。例えば、日本卸電力取引所の取引単位は、電力1000kw、時間30分である。したがって、取引可能な最小の電力量は500kwhとなる。一方、家庭用蓄電池の蓄電容量は多くても数十kwh程度であり出力も大きくて数kw程度である。よって、一般家庭などにおいて発電設備および蓄電設備の導入が広まっても一般家庭が単独で電力取引に参加するのは難しい。これが電力取引への参加を妨げる要因の一つとなっている。
【0347】
本技術においては、電力・ポイント管理サーバ200を有するポイント発行者が発電設備および蓄電設備を保有する多数の蓄電設備保有者を管理下に置くことが望ましい。そして、多数の蓄電設備100と電力市場間における電力取引は電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと行われる。これにより、複数の電力取引をまとめて行うことにより、電力の取引量が大きくなり、あたかも大口の取引を行っているようになる。したがって、電力市場が小口の取引では参加しにくい場合にも、多数の蓄電設備保有者を束ねることにより、有利な条件での大口の取引が可能となる。
【0348】
蓄電設備100は蓄電設備保有者が保有しているが、蓄電設備100における電力制御は電力・ポイント管理サーバ200の管理指示のもと行われる。そして、電力・ポイント管理サーバ200は電力市場における電力価格に基づいて売買電を行う。さらに、蓄電設備保有者には蓄電量に応じたポイントが発行される。したがって、蓄電設備保有者は、電力市場における電力価格を気にせず、価格変動リスクを被ることなく、蓄電量に応じたポイントによる利益を得ることができる。これにより、蓄電設備保有者に対する電力価格の価格変動リスクを抑制することができるため、社会全体における発電設備および蓄電設備の導入を促進させることができる。
【0349】
また、これまで企業や家庭が環境貢献しようと自然エネルギーによる発電設備の導入を検討しても、立地条件が悪い為(太陽光発電なら晴天率が低すぎる、風力発電なら風が弱すぎるまたは強すぎる、など)ため、自然エネルギー発電設備の導入が経済的に見合わず、導入を断念する場合があった。しかし、自然エネルギー発電設備の導入が経済的に見合わなくても、その代わりに本技術に係る電力管理システムを導入することにより経済的リスクを軽減することができる。よって、発電設備および蓄電設備の導入を促進することができる。また、本技術に係る電力管理システムが普及する結果、発電所の負荷平準化に貢献でき、社会全体として環境負荷が軽減される。
【0350】
また、本技術においては、ポイント発行者が適切なタイミングで適切な価格で電力を売却することにより収益を上げられる。したがって、ポイント発行者は本技術に係るシステムを利用することによりシステム運営コストを賄うことが可能となる。
【0351】
また、本技術を用いることにより、財・サービスを提供する財・サービス提供者にも多くの利益をもたらすことができる。一般的に、環境に配慮した商品サービスは通常の商品サービスに比べて割高である。これらの割高な商品・サービスを購入する顧客は、環境意識の高い顧客であると考えられる。
【0352】
本技術に係るシステムに参加する蓄電設備保有者は環境意識が高いと考えられるから、環境配慮商品・サービスを販売したい企業が財・サービス提供者になれば売上の増大を期待できる。また、環境配慮商品・サービスを取り扱っていない企業であっても、本技術に係るシステムに参加すること自体が環境活動に貢献していることになるため、その企業が環境に配慮していることを社会にアピールすることができる。
【0353】
本技術は、以上のような様々な効果を奏することにより、本技術に係るシステムに参加する者それぞれに利益を与えることができるため、蓄電設備の導入を促進する事が可能となる。
【0354】
<3.変形例>
以上、本技術の一実施の形態について具体的に説明したが、本技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能であり、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0355】
(1)発電を行う発電設備に接続され、
前記発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するパワーコンディショナと、
該パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
を備える
電力制御装置。
【0356】
(2)前記発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置からの指示を受信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を制御する
前記(1)に記載の電力制御装置。
【0357】
(3)前記制御部は、さらに、電力市場における電力価格に基づいて前記パワーコンディショナの動作を制御する
前記(1)または(2)に記載の電力制御装置。
【0358】
(4)前記パワーコンディショナは蓄電池に接続され、前記発電設備からの電力を前記蓄電池に出力する
前記(1)から(3)のいずれかに記載の電力制御装置。
【0359】
(5)前記パワーコンディショナは電力網に接続され、前記発電設備からの電力を前記電力網へ出力する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の電力制御装置。
【0360】
(6)前記パワーコンディショナは電気機器に接続され、前記発電設備からの電力を前記電気機器に出力する
前記(1)から(5)のいずれかに記載の電力制御装置。
【0361】
(7) 前記蓄電池を備える蓄電設備ごとにポイントを発行する電力管理装置と通信を行う通信部を更に備え、該通信部を介して、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電量情報および前記発電設備における発電量を示す発電量情報を前記電力管理装置に送信する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の電力制御装置。
【0362】
(8)蓄電池に接続され、発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するよう制御する電力制御装置に対して、前記発電設備からの電力の出力先を指定する指示を生成する電力管理部と、
該電力管理部による指示を前記電力制御装置に送信する通信部と
を備える
電力管理装置。
【0363】
(9)前記蓄電池を備える蓄電設備ごとにポイントを発行するポイント発行部を備え、
前記通信部は、前記電力制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電量情報を受信し、
前記ポイント発行部は、前記蓄電量情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行する
前記(8)に記載の電力管理装置。
【0364】
(10)前記ポイント発行部は、前記蓄電量情報で示される前記蓄電量が増加している場合には、前記ポイントを増加させる
前記(9)に記載の電力管理装置。
【0365】
(11)前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記発電設備の保有者による電力の使用により減少した場合には、前記ポイントを減少させる
前記(9)または(10)に記載の電力管理装置。
【0366】
(12)前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記電力管理部による指示により減少した場合には、前記ポイントの増減は行わない
前記(9)から(11)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0367】
(13)前記電力管理部は、電力市場における電力の売却価格に基づいて、前記発電設備からの電力の出力先を指定する指示を生成する
前記(9)から(12)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0368】
(14)前記電力管理部は、前記電力市場における電力の売却価格が所定の価格より低い場合には、前記発電設備からの電力を前記蓄電池へ出力する指示を生成する
前記(9)から(13)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0369】
(15)前記電力管理部は、前記電力市場における電力の売却価格が所定の価格より高い場合には、前記発電設備からの電力を電力網へ出力する指示を生成する
前記(9)から(14)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0370】
(16)前記蓄電量と前記ポイントとのレートを決定するポイントレート決定部をさらに備える
前記(9)から(15)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0371】
(17)前記ポイントレート決定部は、電力市場における電力価格の平均値に基づいて前記レートを決定する
前記(16)に記載の電力管理装置。
【0372】
(18)発電を行う発電設備に接続され、
前記発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するパワーコンディショナと、
該パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
通信部とを備える電力制御装置における電力制御方法であって、
前記通信部により、前記発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置から指示を受信し、
前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を制御する
電力制御方法。
【0373】
(19)発電を行う発電設備に接続され、
前記発電設備からの電力を所定の出力先へ送るパワーコンディショナと、
前記発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置からの指示を受信する第1の通信部と、
前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
を備える電力制御装置と、
前記電力制御装置に対して、前記発電設備からの電力の出力先を指定する指示を生成する電力管理部と、
該電力管理部による指示を前記電力制御装置に送信する第2の通信部と
を備える電力管理装置
とからなる
電力管理システム。
【符号の説明】
【0374】
10・・・電力制御装置
11・・・制御部
12・・・通信部
13・・・パワーコンディショナ
30・・・蓄電池モジュール
40・・・発電設備
100・・蓄電設備
200・・電力・ポイント管理サーバ
210・・通信部
220・・制御部
221・・電力管理部
222・・ポイントレート決定部
223・・ポイント発行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電を行う発電設備に接続され、
前記発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するパワーコンディショナと、
該パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
を備える
電力制御装置。
【請求項2】
前記発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置からの指示を受信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を制御する
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、電力市場における電力価格に基づいて前記パワーコンディショナの動作を制御する
請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記パワーコンディショナは蓄電池に接続され、前記発電設備からの電力を前記蓄電池に出力する
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記パワーコンディショナは電力網に接続され、前記発電設備からの電力を前記電力網へ出力する
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記パワーコンディショナは電気機器に接続され、前記発電設備からの電力を前記電気機器に出力する
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記蓄電池を備える蓄電設備ごとにポイントを発行する電力管理装置と通信を行う通信部を更に備え、該通信部を介して、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電量情報を前記電力管理装置に送信する
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項8】
蓄電池に接続され、発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するよう制御する電力制御装置に対して、前記発電設備からの電力の出力先を指定する指示を生成する電力管理部と、
該電力管理部による指示を前記電力制御装置に送信する通信部と
を備える
電力管理装置。
【請求項9】
前記蓄電池を備える蓄電設備ごとにポイントを発行するポイント発行部を備え、
前記通信部は、前記電力制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電量情報を受信し、
前記ポイント発行部は、前記蓄電量情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行する
請求項8に記載の電力管理装置。
【請求項10】
前記ポイント発行部は、前記蓄電量情報で示される前記蓄電量が増加している場合には、前記ポイントを増加させる
請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項11】
前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記発電設備の保有者による電力の使用により減少した場合には、前記ポイントを減少させる
請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項12】
前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記電力管理部による指示により減少した場合には、前記ポイントの増減は行わない
請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項13】
前記電力管理部は、電力市場における電力の売却価格に基づいて、前記発電設備からの電力の出力先を指定する指示を生成する
請求項8に記載の電力管理装置。
【請求項14】
前記電力管理部は、前記電力市場における電力の売却価格が所定の価格より低い場合には、前記発電設備からの電力を前記蓄電池へ出力する指示を生成する
請求項13に記載の電力管理装置。
【請求項15】
前記電力管理部は、前記電力市場における電力の売却価格が所定の価格より高い場合には、前記発電設備からの電力を電力網へ出力する指示を生成する
請求項13に記載の電力管理装置。
【請求項16】
前記蓄電量と前記ポイントとのレートを決定するポイントレート決定部をさらに備える
請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項17】
前記ポイントレート決定部は、電力市場における電力価格の平均値に基づいて前記レートを決定する
請求項16に記載の電力管理装置。
【請求項18】
発電を行う発電設備に接続され、
前記発電設備からの電力を所定の出力先へ出力するパワーコンディショナと、
該パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
通信部とを備える電力制御装置における電力制御方法であって、
前記通信部により、前記発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置から指示を受信し、
前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を制御する
電力制御方法。
【請求項19】
発電を行う発電設備に接続され、
前記発電設備からの電力を所定の出力先へ送るパワーコンディショナと、
前記発電設備からの電力の出力先を指定する電力管理装置からの指示を受信する第1の通信部と、
前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
を備える電力制御装置と、
前記電力制御装置に対して、前記発電設備からの電力の出力先を指定する指示を生成する電力管理部と、
該電力管理部による指示を前記電力制御装置に送信する第2の通信部と
を備える電力管理装置
とからなる
電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−25359(P2013−25359A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156540(P2011−156540)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】