説明

電力変換装置及びそのコンデンサカバー

【課題】コンデンサの冷却効率を良好に保ちつつ、コンデンサを円滑に挿入できるコンデンサカバーと、それを用いた電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、複数の電子部品を有する本体部を筐体ベース11の前側に配置し、冷却風が通風される風洞部を筐体ベース11の後側に配置した筐体と、筐体ベース11に貫通して設けられ、一部が本体部内に配置されると共に、残りの部分が風洞部内に配置された、円筒状のコンデンサ40と、筐体ベース11に設けられ、コンデンサ40の上記残りの部分を覆う有底円筒状のコンデンサカバー50とを備えている。そして、コンデンサカバー50は、弾性を有する材料で構成されており、コンデンサ40の外径寸法と略等しい内径寸法である内周面513に、円筒軸方向に沿って設けられた溝514を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置及びそのコンデンサカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電力変換装置は、比較的大きな静電容量の円筒状のコンデンサを有している。このコンデンサは、電力変換装置の小型化やコンデンサの冷却効率の向上を図るべく、筐体ベースに貫通して設けられ、その一部が本体部内に配置されると共に、残りの部分が風洞部内に配置される構造が多く採用されている。この場合、コンデンサの風洞部内に配置された部分の防水、防塵のために、コンデンサカバーが設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、円筒形のコンデンサ(アルミニウム電解コンデンサ)を筐体ベース(本体シャシー)に取り付けるためのコンデンサカバー(取付具)が開示されている。このコンデンサカバーは、所定の硬さで所定の弾性を有するプラスチック材などの材料により、取付対象のコンデンサの外形に合わせて、その直径とほぼ同じ内径で、ほぼ同じ長さの有底の円筒形に作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−173861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術においては、コンデンサカバーの内径寸法をコンデンサの外径寸法と略等しくすることで、弾性を利用してコンデンサとコンデンサカバーとを密着させることが可能となり、冷却効率を向上できる。しかしながら、この場合には、コンデンサとコンデンサカバーとの間に隙間がないため、コンデンサカバーにコンデンサを挿入する際にカバー内部の空気が逃げることができず、コンデンサを円滑に挿入できないという課題がある。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、コンデンサの冷却効率を良好に保ちつつ、コンデンサをコンデンサカバーに円滑に挿入することができる電力変換装置及びそのコンデンサカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置であって、複数の電子部品を有する本体部を筐体ベースの一方側に配置し、冷却風が通風される風洞部を前記筐体ベースの他方側に配置した筐体と、前記筐体ベースに貫通して設けられ、一部が前記本体部内に配置されると共に、残りの部分が前記風洞部内に配置された、円筒状のコンデンサと、前記筐体ベースに設けられ、前記コンデンサの前記残りの部分を覆う有底円筒状のコンデンサカバーと、を備え、前記コンデンサカバーは、弾性を有する材料で構成されており、前記コンデンサの外径寸法と略等しい内径寸法である内周面に、円筒軸方向に沿って設けられた少なくとも1本の溝を有する電力変換装置が適用される。
【0008】
また、本発明の別の観点によれば、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置のコンデンサカバーであって、複数の電子部品を有する本体部が一方側に配置され、冷却風が通風される風洞部が他方側に配置された筐体ベースに貫通して設けられた円筒状のコンデンサの前記風洞部内に配置された部分を覆うように前記筐体ベースに設けられ、弾性を有する材料で有底円筒状に構成されており、前記コンデンサの外径寸法と略等しい内径寸法である内周面に、円筒軸方向に沿って設けられた少なくとも1本の溝を有する電力変換装置のコンデンサカバーが適用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンデンサの冷却効率を良好に保ちつつ、コンデンサをコンデンサカバーに円滑に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施の形態の電力変換装置を本体カバーを取り外した状態で本体部側から見た斜視図である。
【図2】本体カバーを取り外した状態における電力変換装置の縦断面図である。
【図3】コンデンサをコンデンサカバーに挿入する前の状態におけるコンデンサ及びコンデンサカバーを表す斜視図である。
【図4】コンデンサカバーをカバー本体部の円筒軸方向一方側から見た平面図である。
【図5】コンデンサ及びコンデンサカバーを表す側面図及び縦断面図である。
【図6】溝の形状のバリエーションの変形例において、コンデンサカバーをカバー本体部の円筒軸方向一方側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電力変換装置1は、交流電力から直流電力への変換を行うインバータ装置である。この電力変換装置1は、筐体ベース11を備えた筐体10と、筐体ベース11の前側(一方側。図1中紙面左手前側、図2中左側)に配置された本体部20と、筐体ベース11の後側(他方側。図1中紙面右奥側、図2中右側)に配置され、冷却風が通風される風洞部30と、例えばアルミニウム電解コンデンサ等の円筒状のコンデンサ40と、有底円筒状のコンデンサカバー50と、円環状のコンデンサバンド60(固定部材)と、円環状板金70と、本体部20を覆う本体カバー(図示省略)と、風洞部30を覆う風洞カバー80とを有している。
【0013】
本体部20は、ダイオードモジュール21とパワーモジュール22とを含む、複数の電子部品を有している。ダイオードモジュール21は、図示しない交流電源から供給された交流電力を整流し、直流電力に変換して出力する。パワーモジュール22は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジタ)等の半導体素子で構成された複数のスイッチング素子を有しており、これら複数のスイッチング素子の導通と遮断とがそれぞれ適宜の順序で繰り返されることにより、所定の周波数の交流電力を出力する。これらダイオードモジュール21及びパワーモジュール22は、後述のヒートシンク31のベース部311の前面(図1中紙面左手前側の面、図2中左側の面)に密着して固定されている。
【0014】
風洞部30には、ヒートシンク31と、交流電力から変換された直流電力の電流の脈動を平滑化するためのリアクトル32と、冷却風を発生するファンユニット33とが配置されている。ヒートシンク31は、熱伝導性の高い材料(例えばアルミニウム合金等)で構成されており、筐体ベース11の開口111を塞ぐように、前面が筐体ベース11の後面に取り付けられたベース部311と、ベース部311の後面(図1中紙面右奥側の面、図2中右側の面)に立設された複数のフィン312とを有している。このヒートシンク31は、ベース部311の前面に密着して固定された上記ダイオードモジュール21及びパワーモジュール22で発生される熱を複数のフィン312で放熱することにより、ダイオードモジュール21及びパワーモジュール22を冷却する。
【0015】
コンデンサ40は、上記ダイオードモジュール21により交流電力から変換された直流電力を平滑するコンデンサ(例えばアルミニウム電解コンデンサ等)である。このコンデンサ40は、端子41a,41bが配置された頂部42を含む一部が、コンデンサバンド60及び円環状板金70に嵌め込まれた状態で本体部20内に配置されると共に、頂部42の反対側の底部43(後述の図3参照)を含む残りの部分が、コンデンサカバー50に覆われた状態で風洞部30内に配置されるように、筐体ベース11の貫通孔112(後述の図5(b)参照)に貫通して設けられている。以下適宜、このコンデンサ40のうち、本体部20内に配置された部分を「本体部20側部分」と称し、風洞部30内に配置された部分を「風洞部30側部分」と称する。
【0016】
コンデンサカバー50は、弾性を有するシリコンゴム材料(ゴム材料、弾性を有する材料)で構成されている。このコンデンサカバー50は、コンデンサ40の風洞部30側部分を覆うように、筐体ベース11の貫通孔112に貫通して設けられている。
【0017】
コンデンサバンド60及び円環状板金70は、コンデンサ40を嵌め込んで、当該コンデンサ40を筐体ベース11に固定するための部材である。
【0018】
そして、上記コンデンサバンド60、円環状板金70、及びコンデンサカバー50(詳細には後述の鍔部52)が固定ネジ90により筐体ベース11の本体部20側、すなわち筐体ベース11の前側に固定されることによって、コンデンサ40及びコンデンサカバー50(詳細には後述のカバー本体部51)が筐体ベース11の貫通孔112を貫通した状態で、コンデンサ40が筐体ベース11に固定されている。
【0019】
以下、図3、図4、図5(a)、図5(b)を用いて、コンデンサ40、コンデンサカバー50、コンデンサバンド60、及び円環状板金70の詳細について説明する。
【0020】
図3、図4、図5(a)、図5(b)に示すように、コンデンサバンド60は、コンデンサ40の本体部20側部分における頂部42側に取り付けられている。このコンデンサバンド60は、その半径方向外側に向けて延設された略L字状の延設部61を、その円周方向複数箇所(この例では2箇所)に有している。各延設部61には、固定ネジ90が挿通される挿通孔62(第1挿通孔)がそれぞれ設けられている。
【0021】
円環状板金70は、コンデンサ40の本体部20側部分におけるコンデンサバンド60の取り付け位置より底部43側に取り付けられている。この円環状板金70は、その半径方向外側に向けて延設された舌部71を、コンデンサバンド60の2つの延設部61に対応する位置にそれぞれ有している。各舌部71には、上記延設部61の挿通孔62に対応する位置に、当該挿通孔62に挿通された固定ネジ90が挿通される挿通孔72がそれぞれ設けられている。
【0022】
コンデンサカバー50は、開口511及び底部512を有し、筐体ベース11の貫通孔112を貫通する有底円筒状のカバー本体部51と、カバー本体部51の開口511側端部に、当該カバー本体部51の半径方向外側に向けて延設された円環状の鍔部52とを一体的に有している。
【0023】
カバー本体部51には、コンデンサ40が、その頂部42が開口511側を向き、その底部43が底部512側を向くようにして挿入される。このカバー本体部51は、コンデンサ40の外径寸法と略等しい内径寸法である内周面513に、その円筒軸方向(図3、図5(a)、及び図5(b)中上下方向、図4中紙面手前奥方向)に沿って設けられると共に、その円周方向に等間隔に配置された複数本(この例では6本)の溝514を有している。各溝514は、上記円筒軸方向から見た平面視において、略長方形形状をそれぞれ有している。そして、このカバー本体部51は、コンデンサ40の挿入完了時において、底部512とコンデンサ40の底部43との間に上記円筒軸方向に所定の隙間Sが形成されるように構成されている。
【0024】
鍔部52は、その半径方向外側に向けて延設された舌部521を、コンデンサバンド60の2つの延設部61及び円環状板金70の2つの舌部71に対応する位置にそれぞれ有している。各舌部521には、上記延設部61の挿通孔62及び舌部71の挿通孔72に対応する位置に、当該挿通孔62及び挿通孔72に挿通された固定ネジ90が挿通される挿通孔522(第2挿通孔)がそれぞれ設けられている。そして、この鍔部52は、カバー本体部51が筐体ベース11の貫通孔112を貫通し、カバー本体部51にコンデンサ40が挿入された状態で、コンデンサバンド60の2つの挿通孔62、円環状板金70の2つの挿通孔72、及び、当該鍔部52の2つの挿通孔522に挿通された固定ネジ90が筐体ベース11に設けられた2つのネジ孔113に締結された際に、コンデンサバンド60と筐体ベース11との間に円環状板金70を介して挟まれて、筐体ベース11の前側(本体部20側)に固定されるようになっている。
【0025】
すなわち、コンデンサ40を筐体ベース11に取り付ける際には、コンデンサ40が挿入されたコンデンサカバー50のカバー本体部51を、筐体ベース11の貫通孔112に当該筐体ベース11の前側から挿入する。あるいは、カバー本体部51を貫通孔112に挿入した後に、当該カバー本体部51にコンデンサ40を挿入してもよい。そして、コンデンサ40の本体部20側部分に取り付けられたコンデンサバンド60の2つの挿通孔62及び円環状板金70の2つの挿通孔72と、筐体ベース11の前面に接触することで係止されたコンデンサカバー50の鍔部52の2つの挿通孔522とに固定ネジ90を挿通して、当該固定ネジ90を筐体ベース11のネジ孔113に締結する。これにより、コンデンサ40及びカバー本体部51を筐体ベース11の貫通孔112に貫通させた状態で、コンデンサバンド60の2つの延設部61、円環状板金70の2つの舌部71、及び鍔部52の2つの舌部521が筐体ベース11の前側に固定されて、コンデンサ40が筐体ベース11に固定される。
【0026】
以上説明した本実施形態の電力変換装置1においては、次のような効果を得ることができる。すなわち、一般に電力変換装置は、ダイオードモジュール21により交流電力から変換された直流電力を平滑化するために、比較的大きな静電容量の円筒状のコンデンサ(例えば本実施形態におけるコンデンサ40)を有している。このコンデンサ40は、電力変換装置の小型化やコンデンサの冷却効率の向上を図るべく、筐体ベース11の貫通孔112に貫通して設けられ、その一部が本体部20内に配置されると共に、残りの部分が風洞部30内に配置される構造が多く採用されている。この場合、コンデンサ40の風洞部30内に配置された部分の防水、防塵のために、コンデンサカバーが設けられる。
【0027】
ここで、コンデンサカバーを例えばアルミニウム等の金属材料で構成する場合、コンデンサ40の外径寸法に対して予め所定のクリアランスを有する内径寸法とする必要がある。このため、挿入されたコンデンサ40とコンデンサカバーとの間に隙間が形成され、空気断熱によりコンデンサ40の冷却効率が低下してしまう。
【0028】
そこで、コンデンサカバーを例えばプラスチック等の所定の弾性を有する材料で構成することが考えられる。この場合、コンデンサカバーの内径寸法をコンデンサ40の外径寸法と略等しくするか、あるいは若干小さくすることで、弾性を利用してコンデンサ40とコンデンサカバーとを密着させることが可能となり、冷却効率を向上できる。しかしながら、この場合には、コンデンサ40とコンデンサカバーとの間に隙間がないため、コンデンサカバーにコンデンサ40を挿入する際にカバー内部の空気が逃げることができず、コンデンサ40を円滑に挿入できないという課題がある。
【0029】
そこで本実施形態においては、コンデンサカバー50をシリコンゴム材料で構成すると共に、コンデンサ40の外径寸法と略等しい内径寸法である内周面513に、円筒軸方向に沿って溝514を設けている。これにより、シリコンゴム材料の弾性を利用してコンデンサ40とコンデンサカバー50とを密着させることができ、且つ、コンデンサカバー50にコンデンサ40を挿入する際に、カバー内部の空気を溝を介して外部に逃がすことができる。したがって、コンデンサ40の冷却効率を良好に保ちつつ、コンデンサ40をコンデンサカバー50に円滑に挿入することができる。
【0030】
また、本実施形態では特に、コンデンサカバー50が、円周方向に等間隔に配置された6本の溝514を有する。これにより、コンデンサカバー50にコンデンサ40を挿入する際に、カバー内部の空気を円周方向に均等に分配しつつ外部に逃がすことができる。したがって、コンデンサ40をコンデンサカバー50により一層円滑に挿入することができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、コンデンサカバー50を、シリコンゴム材料で構成している。これにより、コンデンサカバー50に比較的大きな弾性をもたせることができる。その結果、弾性を利用してコンデンサ40とコンデンサカバー50とを確実に密着させ、冷却効率を高めることができる。また、シリコンゴム材料は、弾性、耐熱性、撥水性、電気絶縁性、化学的安定性等に優れているので、コンデンサカバー50の機能性、信頼性、耐劣化性等をより一層向上できる。
【0032】
また、本実施形態では特に、コンデンサカバー50が、有底円筒状のカバー本体部51と、このカバー本体部51の開口511側端部に設けられた円環状の鍔部52とを一体的に有している。そして、鍔部52は、カバー本体部51が筐体ベース11の貫通孔112を貫通した状態で、筐体ベース11の前側に固定されている。これにより、鍔部52によって筐体ベース11の貫通孔112とカバー本体部51との隙間を本体部20側より覆うことができるので、貫通孔112を密閉することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態では特に、コンデンサバンド60の挿通孔62、円環状板金70の挿通孔72、及びコンデンサカバー50の鍔部52の挿通孔522に固定ネジ90を挿通して筐体ベース11のネジ孔113に締結することにより、コンデンサ40が筐体ベース11に固定されている。このとき、コンデンサカバー50の鍔部52が円環状板金70を介してコンデンサバンド60と筐体ベース11とに挟まれるので、コンデンサカバー50についても筐体ベース11に固定することができる。また、鍔部52が固定ネジ90の締め付けにより筐体ベース11に密着されるので、筐体ベース11の貫通孔112の密閉性を高めることができる。
【0034】
また、本実施形態では特に、コンデンサ40の挿入完了時において、カバー本体部51の底部512とコンデンサ40の底部43との間に円筒軸方向に所定の隙間Sが形成されている。すなわち、カバー本体部51は、円筒軸方向の寸法に余裕分を有している。これにより、1種類のコンデンサカバー50で、円筒軸方向の長さが異なる複数種類のコンデンサ40に対応することが可能となり、コンデンサカバー50の汎用性を向上できる。
【0035】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0036】
(1)溝の形状のバリエーション
上記実施形態においては、コンデンサカバー50のカバー本体部51の内周面513の溝514の形状を、カバー本体部51の円筒軸方向から見た平面視において略長方形となる形状としたが、これに限られない。すなわち、カバー本体部51の内周面513の溝の形状としては、上記実施形態における形状以外にも、以下のような形状が考えられる。
【0037】
図6(a)には、比較のために、上記実施形態におけるカバー本体部51の内周面513の溝514の形状を示している。図6(a)に示すように、上記実施形態におけるカバー本体部51の内周面513の溝514は、カバー本体部51の円筒軸方向から見た平面視において、略長方形形状を有している。
【0038】
図6(b)には、カバー本体部51の内周面513の溝の他の形状を示している。図6(b)に示す例では、カバー本体部51の内周面513の溝514Aは、カバー本体部51の円筒軸方向から見た平面視において、略半円形形状を有している。
【0039】
図6(c)には、カバー本体部51の内周面513の溝のさらに他の形状を示している。図6(c)に示す例では、カバー本体部51の内周面513の溝514Bは、カバー本体部51の円筒軸方向から見た平面視において、略三角形形状を有している。
【0040】
図6(d)には、カバー本体部51の内周面513の溝のさらに他の形状を示している。図6(d)に示す例では、カバー本体部51の内周面513の溝514Cは、カバー本体部51の円筒軸方向から見た平面視において、略逆台形形状を有している。
【0041】
カバー本体部51の内周面513の溝の形状を、これら図6(b)、図6(c)、及び図6(d)に示すような形状とした場合についても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、カバー本体部51の内周面513の溝の形状としては、上記図6(a)〜図6(d)に示すような形状に限られず、他の形状であってもよい。
【0042】
(2)その他
上記実施形態においては、コンデンサカバー50が、内周面513に、その円筒軸方向に沿って設けられると共に、その円周方向に等間隔に配置された6本の溝514を有する構成としたが、これに限られず、コンデンサカバー50は内周面513に少なくとも1本の溝を有していればよい。また、内周面513の溝を途中で曲折して設けてもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、コンデンサカバー50をシリコンゴム材料で構成してしたが、これに限られず、コンデンサカバー50を、例えばクロロプレンゴムやエチレンプロピレンゴム等のシリコンゴム材料以外のゴム材料で構成してもよい。あるいは、コンデンサカバー50を、例えば弾性を有するプラスチック等のゴム材料以外の弾性を有する材料で構成してもよい。
【0044】
さらに以上では、電力変換装置1が交流電力から直流電力への変換を行うインバータ装置である場合を一例として説明したが、これに限られず、電力変換装置が直流電力から交流電力への変換を行うコンバータ装置である場合にも適用することができる。
【0045】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0046】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 電力変換装置
10 筐体
11 筐体ベース
20 本体部
21 ダイオードモジュール(電子部品)
22 パワーモジュール(電子部品)
30 風洞部
40 コンデンサ
43 底部(コンデンサの底部)
50 コンデンサカバー
51 カバー本体部
52 鍔部
60 コンデンサバンド(固定部材)
62 挿通孔(第1挿通孔)
90 固定ネジ
511 開口
513 内周面
514 溝
522 挿通孔(第2挿通孔)
S 所定の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置であって、
複数の電子部品を有する本体部を筐体ベースの一方側に配置し、冷却風が通風される風洞部を前記筐体ベースの他方側に配置した筐体と、
前記筐体ベースに貫通して設けられ、一部が前記本体部内に配置されると共に、残りの部分が前記風洞部内に配置された、円筒状のコンデンサと、
前記筐体ベースに設けられ、前記コンデンサの前記残りの部分を覆う有底円筒状のコンデンサカバーと、を備え、
前記コンデンサカバーは、
弾性を有する材料で構成されており、前記コンデンサの外径寸法と略等しい内径寸法である内周面に、円筒軸方向に沿って設けられた少なくとも1本の溝を有する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記コンデンサカバーは、
前記内周面に円周方向に等間隔に配置された複数本の前記溝を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コンデンサカバーは、
ゴム材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記コンデンサカバーは、
シリコンゴム材料で構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コンデンサカバーは、
前記内周面に前記溝が設けられた有底円筒状のカバー本体部と、
前記カバー本体部の開口側端部に半径方向外側に向けて延設された円環状の鍔部と、を一体的に有し、
前記鍔部は、
前記カバー本体部が前記筐体ベースを貫通した状態で、前記筐体ベースの本体部側に固定される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記コンデンサが嵌め込まれ、当該コンデンサを前記筐体ベースに固定するための円環状の固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、
固定ネジ用の第1挿通孔を円周方向複数箇所に有し、
前記鍔部は、
前記固定部材の前記第1挿通孔に対応する位置に前記固定ネジ用の第2挿通孔を有し、前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔に挿通された前記固定ネジが前記筐体ベースに締結された際に、前記固定部材と前記筐体ベースとに挟まれる
ことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記カバー本体部は、
前記コンデンサの挿入完了時において、前記コンデンサの底部との間に前記円筒軸方向に所定の隙間が形成されるように、構成されている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置のコンデンサカバーであって、
複数の電子部品を有する本体部が一方側に配置され、冷却風が通風される風洞部が他方側に配置された筐体ベースに貫通して設けられた円筒状のコンデンサの前記風洞部内に配置された部分を覆うように前記筐体ベースに設けられ、
弾性を有する材料で有底円筒状に構成されており、前記コンデンサの外径寸法と略等しい内径寸法である内周面に、円筒軸方向に沿って設けられた少なくとも1本の溝を有する
ことを特徴とする電力変換装置のコンデンサカバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−227252(P2012−227252A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91931(P2011−91931)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)