説明

電力管理装置、電力管理方法、電力管理プログラム

【課題】電力使用超過による電源遮断の頻発が回避できる電力管理装置を提供する。
【解決手段】電流センサ22からの電流検出値が基準値内かどうかを判定し、電流検出値が基準値から外れていたら、バックアップ電源スイッチ27をオンする。基準値は、停電による瞬断が発生したことを表す電流値である下限値と、アンペアブレーカ11の契約アンペア数とによって決める。負荷13の消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合に、バックアップ電源スイッチ27をオンして、蓄電池20からの電力供給により商用電源10の電力の供給を補い、負荷13の消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合でも、アンペアブレーカ11が作動して、電源供給が遮断することを回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭や事務所の分電盤に設けられる電力管理装置、電力管理方法、電力管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料の枯渇化や、二酸化炭素の排出による地球温暖化の影響から、電力使用量の削減が叫ばれている。また、家計において電力料金が占める割合は高く、電力使用量を減らして、少しでも家計の負担を減らしたいと願う家庭は多い。
【0003】
家庭内で無駄な電力使用料金を削減するためには、契約アンペア数の見直しが重要である。すなわち、電力料金の基本料金は、契約アンペア数によって異なる。契約アンペア数を小さくすれば、基本料金が安くなるので、同じ電力使用量でも電力料金が安くなり、経済的である。
【0004】
これに対して、現状では、保有される家電機器は増加の一方であり、トータルの消費電力は増加傾向にある。このため、現実的には、各家庭の契約アンペア数は増大傾向にある。
【0005】
また、各家庭の契約アンペア数を安易に下げてしまうと、アンペアブレーカの作動による電源遮断が頻発するという問題が生じてくる。つまり、契約アンペア数の上限近くまで電力を使用していると、新たに電気機器の使用を開始すると、突然、アンペアブレーカが作動して、電源遮断が生じることがある。特に、エアコンや暖房機器では、立ち上げ運転時、定常運転時、再起動時等、各モードで、電力使用量に大きな差がある。このため、契約アンペア数の上限近くまで電力を使用していると、モードが切り替わったときに、突然、アンペアブレーカが作動して、電源遮断が生じることがある。
【0006】
夜間、アンペアブレーカの作動による電源遮断が生じると、アンペアプレーカを入れるために、使用者は、暗闇の中、分電盤内のアンペアプレーカを探し求めることになる。また、パソコン使用時にアンペアブレーカの作動による電源遮断が起きると、データ紛失の恐れがある。また、エアコン使用時にアンペアブレーカの作動による電源遮断が生じると、エアコンの再度起動運転が必要となり、電力使用量が多くなり、経済的、環境的に、デメリットである。
【0007】
電力使用超過による停電対策としては、例えば特許文献1に、商用電源から受電している分電盤内に消費電流検出装置を備え、消費電流値が所定の値を超えた時点で警報を行うことで、家庭内や事務所内に配線されている電路の絶縁不良や、電化製品内部の電路における、電力使用超過により停電の予告と、漏電による電力消費を警告可能な停電警報装置が開示されている。このような停電対策は、近年では、ホームエネルギーマネージメントシステム(HEMS)の一機能として、活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−257598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されているものでは、電力使用超過により停電の予告や警告は行えるが、電力使用超過を続けていれば、電力の供給は遮断されてしまう。また、特許文献1に記載されているものでは、契約アンペア数を必要最低限にすると、電力使用超過により停電の予告や警告が頻繁に行われることになり、居住者にとって、必ずしも便利であるとはいえない場合もある。
【0010】
上述の課題を鑑み、本発明は、電力使用超過による電源遮断の頻発が回避しつつ、電力使用超過による停電の予告や警告の回数を抑えられる電力管理装置、電力管理方法、電力管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係る電力管理装置は、商用電源からの電力を受けて負荷に電力を供給する電力管理装置であって、負荷に供給する電力量を検出する検出手段と、検出手段での電力量の検出値が予め決められた電力量の基準値の範囲内であるか否かを判定し、電力量の検出値が電力量の基準値の範囲から外れた場合に、負荷の電力を満たすように蓄電池から電力を負荷に対して供給する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電力管理方法は、商用電源からの電力を受けて負荷に電力を供給する電力管理方法であって、負荷に供給する電力量を検出し、負荷に対する電力量の検出値が予め決められた電力量の基準値の範囲内であるか否かを判定し、負荷に対する電力量の検出値が電力量の基準値の範囲から外れた場合に、負荷の電力を満たすように蓄電池から電力を負荷に対して供給するようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電力管理プログラムは、商用電源からの電力を受けて負荷に電力を供給する電力管理プログラムであって、負荷に供給する電力量を検出するステップと、負荷に対する電力量の検出値が予め決められた電力量の基準値の範囲内であるか否かを判定するステップと、負荷に対する電力量の検出値が電力量の基準値の範囲から外れた場合に、負荷の電力を満たすように蓄電池から電力を負荷に対して供給するステップとを含むようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、停電等により、家庭や事務所内に送られる商用電源の供給が遮断したときに、蓄電池により電力の供給を確保すると共に、消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合に、蓄電池からの電力供給により商用電源の電力を補うことにより、アンペアブレーカが作動して電源供給が遮断してしまうことを回避できる。このため、契約アンペア数を必要最低限にしても、アンペアブレーカの作動による電源遮断の頻発が回避できる。また、電力使用超過により停電の予告や警告の回数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電力管理装置を示すブロック図である。
【図2】アンペアブレーカの契約アンペア数及び基本料金の関係の説明図である。
【図3】電気機器とその消費電流の関係の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力管理装置を示すブロック図である。図1において、分電盤1には、アンペアブレーカ11と、パワーコントローラ12とが配設されている。アンペアブレーカ11は、契約アンペア数を超える電流が流れると、電力の供給を遮断する装置である。アンペアブレーカ11の色は、図2に示すように、契約アンペア数により定められている。また、図2に示すように、電力料金の基本料金は、この契約アンペア数により定められている。
【0017】
パワーコントローラ12は、停電等により、家庭や事務所内に送られる商用電源10の供給が瞬断したときに、蓄電池20により負荷13の電力の供給を確保すると共に、負荷13の消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合に、蓄電池20からの電力供給により商用電源10の電力の供給を補う。これにより、負荷13の消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合でも、アンペアブレーカ11が作動して、電源供給が遮断することが回避できる。
【0018】
パワーコントローラ12は、電流センサ21及び22と、整流器23と、インバータ24と、充電器25と、制御部26と、バックアップ電源スイッチ27とから構成される。
【0019】
電流センサ21は、入力される商用電源10の電流を検出する。電流センサ22は、蓄電池20から送られる電流を検出する。整流器23は、交流の商用電源10を直流に変換する。インバータ24は、整流器23からの直流電源又はバックアップ電源スイッチ27を介された蓄電池20からの直流電源を交流電源に変換する。充電器25は、交流の商用電源10を直流に変換し、蓄電池20の充電を行う。制御部26は、電流センサ21の電流検出値CT1に応じて、バックアップ電源スイッチ27を制御する。バックアップ電源スイッチ27は、蓄電池20からの電力の供給のオン/オフを行う。蓄電池20としては、例えばリチウム・イオン電池が用いられる。
【0020】
警告部28は、電力使用超過によるアンペアブレーカ11の作動による電源供給の遮断が生じる可能性を警報する。アンペアブレーカ11の作動による電源供給の遮断の可能性の基準値は、例えば、蓄電池20が使用された積算供給電力量に基づいて設定される。蓄電池20が使用された積算供給電力量は、電流センサ22の電流検出値CT2と、蓄電池20の電圧と、バックアップ電源スイッチ27のオン時間とから求められる。
【0021】
家庭や事務所に送られてきた商用電源10は、アンペアブレーカ11、パワーコントローラ12を介して、エアコン、テレビ、冷蔵庫等の負荷13に供給される。負荷13として使用される電気機器とその消費電流の関係は、例えば図3に示すようになっている。
【0022】
なお、分電盤1には、この他、漏電ブレーカや安全ブレーカは配設されるが、ここでは、説明を簡単とするために、これらの機器は省略してある。
【0023】
上述のように、本発明の第1の実施形態では、分電盤1に、パワーコントローラ12が配設される。このパワーコントローラ12は、停電等により、家庭や事務所内に送られる商用電源10の供給が瞬断したときに、蓄電池20により電力の供給を確保すると共に、消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合に、蓄電池20からの電力供給により商用電源10の電力を補うことで、アンペアブレーカ11が作動して、電源供給が遮断することを制限する働きをする。
【0024】
例えば、アンペアブレーカ11が40Aである場合、負荷13の消費電流が40Aの上限付近であったとする。ここで、新たな機器の使用等により、負荷13の消費電流が40Aを超えたとする。通常では、負荷13の消費電流が40Aを超えれば、アンペアブレーカ11を流れる電流も40Aを超えるので、アンペアブレーカ11が作動し、電源の供給が遮断される。
【0025】
これに対して、本発明の第1の実施形態では、電流センサ21の電流検出値CT1から負荷13の消費電流が40Aを超えたことが検出されると、バックアップ電源スイッチ27がオンされ、蓄電池20からの電流が負荷13に供給される。この場合、図1に示すように、負荷13に供給される電流Ixは、商用電源10からの電流Iaと、蓄電池20からの電流Ibとの和(Ia+Ib)となる。よって、負荷13に供給される電流Ixが一時的にΔだけ増加し、(40+Δ)Aとなっても、商用電源10からの供給される電流Iaは、(Ia=(40+Δ)−Ib)となるので、増加した電流量Δだけ蓄電池20からの電流Ibを補えば、アンペアブレーカ11を流れる電流Iaは40A以下となり、アンペアブレーカ11は作動することはなくなる。
【0026】
図4は、本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。図4において、制御部26は、電流センサ22からの電流検出値CT1を検出し(ステップS101)、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値内か否かを判定する(ステップS102)。ここで、基準値は、停電による瞬断が発生したことを表す電流値である下限値(例えば0A)と、アンペアブレーカ11により使用電力が予め決められた量を超えたことを表す上限値(契約アンペア数)とによって決められる範囲である。
【0027】
ステップS102で、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値内なら(ステップS102 Yes)、制御部26は、バックアップ電源スイッチ27はオフし(ステップS103)、ステップS101に処理をリターンする。このときには、負荷13には、商用電源10からの電力だけが供給される。
【0028】
なお、バックアップ電源スイッチ27がオフし、商用電源10からの電力が負荷13に供給される間では、充電器25により、蓄電池20は充電される。
【0029】
ステップS102で、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値から外れていたら(ステップS102 No)、制御部26は、バックアップ電源スイッチ27をオンする(ステップS104)。これにより、負荷13には、蓄電池20からの電力が供給される。
【0030】
ここで、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値以下(例えば0v)になり、バックアップ電源スイッチ27をオンした場合には、停電が発生していることを意味する。この場合、蓄電池20からの電力が負荷13に供給されることで、停電の間でも、負荷13に電力の供給を維持できる。
【0031】
電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値以上になり、バックアップ電源スイッチ27をオンした場合には、負荷13の消費電力がアンペアブレーカ11により決まる所定の電力値を超えていることを意味する。この場合、蓄電池20からの電力が負荷13に供給されることで、商用電源10からの電力の供給が補われ、アンペアブレーカ11が作動して、電源供給が遮断することが回避できる。
【0032】
これと共に、制御部26は、ステップS104でバックアップ電源スイッチ27をオンした後、電流センサ22の検出値CT2から、蓄電池20の積算電力供給量を検出する(ステップS105)。そして、この蓄電池20の積算電力供給量が所定値以上か否かを判定する(ステップS106)。蓄電池20の積算電力供給量が所定値以上になるまでの間では(ステップS106 No)、制御部26は、処理をステップS101にリターンし、ステップS102、S104〜S106、ステップS101の処理が繰り返される。
【0033】
バックアップ電源スイッチ27をオンしたまま、時間が経過すると、蓄電池20の積算電力供給量が増加していく。ステップS106で、蓄電池20の積算電力供給量が所定値以上まで増加したら(ステップS106 Yes)、制御部26は、警告部28により警報を出力させる(ステップS107)。
【0034】
つまり、バックアップ電源スイッチ27がオンし、蓄電池20から負荷13に電力の供給を続けると、蓄電池20の容量が減少していき、負荷13に十分な電力を供給できなくなる。負荷13に十分な電力を供給できなくなれば、アンペアブレーカ11が作動して、電源が遮断されることになる。
【0035】
そこで、バックアップ電源スイッチ27がオンのときには、ステップS105で、蓄電池20からの電力の積算電力供給量が検出される。ステップS106で蓄電池20の積算供給電力量が基準値以上になり、蓄電池20の残量が少なくなったと判定されると、ステップS107でアンペアブレーカ11の作動による電源供給の遮断の可能性が警報される。
【0036】
なお、警報に関する基準値は、予め決められていても良いし、タッチパネルやボタンを介して利用者が入力(基準値を上げる・下げる、又は基準値を直接入力する)することによって必要に応じて変更するようにしても良い。
【0037】
警報に関する基準値を利用者が自在に設定できると、電力使用超過による電源供給の遮断が生じる可能性の警報タイミングを自在に設定できることになる。すなわち、蓄電池20の積算供給電力量を基準値とした場合には、この基準値を下げれば(警告を発する基準となる積算供給電力量を小さくする)、電力使用超過による電源供給の遮断が生じる可能性は早いタイミングで警告される。この場合には、利用者は、電力使用超過による電源供給の遮断が生じる可能性を早い段階で気づくことになり、電源遮断に対する対策はとりやすい。一方、電力使用超過による電源供給の遮断が生じる可能性を早い段階で気づく必要がない場合や、警報が頻発することを低減したい場合には、基準値を上げるように設定する(警告を発する基準となる積算供給電力量を大きくする)ことができる。この場合、警報が出力される機会を低減できる。このように、警報に関する基準値を利用者が任意に設定できることにより、利用者の使用環境に応じて、電力使用超過による電源供給の遮断が生じる可能性の警報タイミングを自在に設定でき、ユーザにとって利便性が向上する。
【0038】
また、電力使用超過による電源遮断の可能性は、上述の「蓄電池の積算電力供給量」ばかりでなく、「蓄電池からの電力供給開始時からの時間」や、「使用電力と契約アンペアとの近接度」等を警報に関する基準値として判定しても良い。
【0039】
また、「蓄電池の積算電力供給量」、「蓄電池からの電力供給開始からの時間」、「使用電力と契約アンペアとの近接度」の機能が割り付けられたボタンが分電盤1に設けられていて、これの何れかを選択して押下することで、警報の設定を可能としても良い。
【0040】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、停電等により、家庭や事務所内に送られる商用電源10の供給が遮断したときに、蓄電池20により電力の供給を確保すると共に、消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合に、蓄電池20からの電力供給により商用電源10の電力を補うことにより、アンペアブレーカ11が作動して、電源供給が遮断することを回避することができる。
【0041】
例えば、契約アンペア数50Aの家庭に対して、契約アンペア数を40Aに変更して、蓄電池20として、0.1KWhのリチウム・イオン電池を使用して試験を行ったところ、使用電力が50Aに達したが、6分間、アンペアブレーカ11の作動による電源供給の遮断は発生しなかった。また、蓄電池20からの積算電力供給が0.05kWhとなったら、警報を発生させるようにしたところ、家電機器動作から3分後に警報がなり、家電機器の運転を中止することにより、アンペアブレーカの作動による電源供給の遮断を回避することができた。この契約アンペア数の変更により、停電等の問題なく、電気の基本料金を1365円/月から1092円/月に削減できき、月に273円、年間で3276円、経費の節約ができることになる。
【0042】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。この実施形態では、予め決められた時間帯であるか否かを判定し、その時間帯である場合には、基準値の範囲を超えていなくても、蓄電池から負荷に電力を供給するように構成されている。なお、第2の実施形態の基本構成は、図1に示した第1の実施形態の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0043】
図5において、制御部26は、電流センサ22からの電流検出値CT1を検出し(ステップS201)、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値内か否かを判定する(ステップS202)。
【0044】
ステップS202で、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値内なら(ステップS202 Yes)、制御部26は、現在時刻を取得し(ステップS203)、現在時刻が電力ピーク時間帯か否かを判定する(ステップS204)。電力ピーク時間帯は、例えば、夏季の昼間の時間帯である。ステップS204で、電力ピーク時間帯でなければ(ステップS204 No)、制御部26は、バックアップ電源スイッチ27はオフし(ステップS205)、ステップS201に処理をリターンする。ステップS204で、電力ピーク時間帯でなら(ステップS204 Yes)、制御部26は、処理をステップS206に進める。
【0045】
ステップS202で、電流センサ22からの電流検出値CT1が基準値から外れていたら(ステップS202 No)、制御部26は、バックアップ電源スイッチ27をオンする(ステップS206)。そして、制御部26は、電流センサ22の検出値CT2から、蓄電池20の積算電力供給量を検出し(ステップS207)、この蓄電池20の積算電力供給等が所定値以上か否かを判定する(ステップS208)。
【0046】
蓄電池20の積算電力供給量が所定値以上になっていなければ(ステップS208 No)、制御部26は、処理をステップS201にリターンする。
【0047】
ステップS208で、蓄電池20の積算電力供給量が所定値以上になったら(ステップS208 Yes)、制御部26は、警告部28により警報を出力させ(ステップS209)、処理をステップS102にリターンする。
【0048】
このように、本発明の第2の実施形態では、現在時刻が電力ピーク時間帯の場合には、基準値の範囲を超えていなくても、バックアップ電源スイッチ27をオンし、蓄電池20から負荷13に電力を供給するようにしている。これにより、電力負荷を電力需給のひっ迫した時期(夏季平日昼間等)から緩慢な時期(夜間、休日等)に移行させるピークシフトを実現することができる。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の実施形態では、蓄電池20としてリチウム・イオン電池を用いているが、鉛蓄電池等の二次電池を用いても良い。また、上述の実施形態では、パワーコントローラ12として、バックアップ電源スイッチ27で蓄電池20の電源をオン/オフするバッテリスイッチ方式のものを用いているが、パワーコントローラ12の構成は、これに限定されるものではない。パワーコントローラ12としては、電源の供給が瞬断したときに蓄電池20により負荷13への電力の供給を確保すると共に、負荷13の消費電力が契約アンペア数を一時的に超えた場合に、蓄電池20からの電力供給により商用電源10の電力の供給を補うような構成であれば、どのようなものを用いても良い。
【0050】
また、図1におけるパワーコントローラ12の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより電力管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0051】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:分電盤
10:商用電源
11:アンペアブレーカ
12:パワーコントローラ
13:負荷
20:蓄電池
21,22:電流センサ
23:整流器
24:インバータ
25:充電器
26:制御部
27:バックアップ電源スイッチ
28:警告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの電力を受けて負荷に電力を供給する電力管理装置であって、
前記負荷に供給する電力量を検出する検出手段と、
前記検出手段での電力量の検出値が予め決められた電力量の基準値の範囲内であるか否かを判定し、前記電力量の検出値が前記電力量の基準値の範囲から外れた場合に、前記負荷の電力を満たすように蓄電池から電力を前記負荷に対して供給する制御手段と
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、現在の時間が予め決められた時間帯であるか否かを判定し、現在時刻が前記予め決められた時間帯である場合には、前記電力量の検出値が前記電力量の基準値の範囲を超えるか否かに係わらず、前記負荷の電力を満たすように前記蓄電池から電力を前記負荷に対して供給することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記電力量の基準値の範囲は、瞬断が発生したことを表す電流値である下限値と、使用電力が予め決められた量を超えることを表す上限値とによって決められる範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
更に、警報に関する基準値から電力使用超過による電源供給の遮断が生じる可能性を検出し、警告を発生する警告手段を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電力管理装置。
【請求項5】
更に、前記警告手段に対し、前記警報に関する基準値を設定する設定手段を有することを特徴とする請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項6】
商用電源からの電力を受けて負荷に電力を供給する電力管理装置における電力管理方法であって、
前記電力管理装置の検出手段が、前記負荷に供給する電力量を検出し、
前記電力管理装置の判定手段が、前記負荷に対する電力量の検出値が予め決められた電力量の基準値の範囲内であるか否かを判定し、
前記電力管理装置の制御手段が、前記負荷に対する電力量の検出値が前記電力量の基準値の範囲から外れた場合に、前記負荷の電力を満たすように蓄電池から電力を前記負荷に対して供給する
ようにしたことを特徴とする電力管理方法。
【請求項7】
商用電源からの電力を受けて負荷に電力を供給する電力管理装置であるコンピュータに、
前記負荷に供給する電力量を検出する検出手段、
前記負荷に対する電力量の検出値が予め決められた電力量の基準値の範囲内であるか否かを判定する判定手段、
前記負荷に対する電力量の検出値が前記電力量の基準値の範囲から外れた場合に、前記負荷の電力を満たすように蓄電池から電力を前記負荷に対して供給する制御手段
として機能させるための電力管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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