電力需給スケジューリング装置
【課題】エネルギーマネジメントシステム間で互いに協調して電力を融通可能な仕組みを提供する。
【解決手段】本発明の一態様としての電力需給スケジューリング装置は、供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、各単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を少なくとも含む電力供給予約情報と、要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を少なくとも含む電力要求予約情報を、他電力設備群を管理する他エネルギーマネジメントシステムのスケジューリング装置と相互にやりとりする送受信手段と、前記他電力設備群と収受する、各単位時間帯における電力受取量及び電力供給量のそれぞれを計画して、電力収受計画を作成する計画作成手段と、を備える。
【解決手段】本発明の一態様としての電力需給スケジューリング装置は、供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、各単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を少なくとも含む電力供給予約情報と、要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を少なくとも含む電力要求予約情報を、他電力設備群を管理する他エネルギーマネジメントシステムのスケジューリング装置と相互にやりとりする送受信手段と、前記他電力設備群と収受する、各単位時間帯における電力受取量及び電力供給量のそれぞれを計画して、電力収受計画を作成する計画作成手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の電力設備群が相互に連携する際に、他電力設備群への電力供給量、他電力設備群からの電力受取量のそれぞれを計画するエネルギーマネジメントシステムのための電力需給スケジューリング装置である。
【背景技術】
【0002】
今後、電気自動車をはじめとする大容量で需要発生が予測し難い負荷や、太陽光発電などの需要発生が予測し難い分散電源が増加し、電力供給事業者側(系統側)がコントロールできる余地が小さくなり、系統全体が非常に不安定になることが予想される。これらの不安定な電力需給をコントロールするため、CEMS(Community Energy Manegement System)、BEMS(Building Energy Management System)、HEMS(Home Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Manegement System)等の各種EMS(エネルギーマネジメントシステム)が提案されている。
【0003】
これらは、管理下にある自立した小規模な電力系統内で、分散電源の出力増減制御、電力機器の需要抑制、さらに蓄エネルギー設備(定置型蓄電池、蓄熱槽等)を保有する場合は急激な変動抑制やピークシフトを実施することで、電力系統内の需給の平準化や省エネルギーを図ることを主な目的としている。例えば、特許文献1ではビルのエネルギー管理を行うBEMSの例について、特許文献2では家庭内のエネルギー管理を行うHEMSの例について提案されている。
【0004】
また、自立した複数の小規模な電力系統間で相互に電力を融通することを支援するシステムとして、特許文献3などが提案されている。特許文献3では、事前に各時刻における各系統間の電力融通量を予約し、各系統の連系線において交流電力を一旦直流電力に変換し相互に電力融通するシステムについて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-236904号公報
【特許文献2】特開2009-130985号公報
【特許文献3】特開2011-61970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電力系統においては、単位時間帯毎の同時同量制約を守る必要が最優先のため、電力は系統側(電力供給事業者側)が全体で統一の取れた計画を立案しコントロールを行うことが一般的であった。上位階層から下位階層までEMSが連携する場合、例えば、系統側を制御するCEMS(Community Energy Management System)、各ビルや家庭などの需要家側を制御するBEMS、HEMS、FEMS等では、各EMSの動作は独立しており、下位のBEMS、HEMS、FEMS等の管轄する範囲で発生する電力需要・供給の影響は、上位のCEMSからは需要予測により一方的に見積もりコントロールするだけである。EMS間で相互に協力して相手の蓄電設備を活用し各時刻に融通する電力量の計画(以降、電力収受計画と称する)を生成する方法については考えられていない。例えば、上記の特許文献3では、自立した複数の小規模な電力系統間で事前に各時刻における当該系統間の電力融通量を予約・合意し相互に電力融通するシステムについて提案されているが、電力収受計画は予約を発する系統側が全て作成する前提であり、作成後に相手側の合意を取る仕組みである。
【0007】
相互に独立したEMS間で相互に電力収受を伴う密な連携を実施しようとした場合、互いに独立して電力収受の計画を立案すると、相互の計画の時間的粒度が異なるため計画の整合性を保って連携することが難しいことが予想され、これを解決する仕組みが必要である。
【0008】
それぞれのEMSの管理する分散電力系統が大容量の蓄電設備をバッファとして備えていることを前提とした場合、単位時間毎の電力量過不足量の時間方向の調整が容易になるため、相互に独立したEMS間で必要とされる電力収受計画の時間的な粒度が大きく異なる可能性が高くなる。例えば、大容量の蓄電設備を備えているビルAは1時間単位で外部から融通される電力の収支が合っていれば蓄電量の充放電で調整できる範囲であり問題ないが、蓄電設備を備えていないビルBは外部から融通される電力の収支の総量が瞬時毎にバランスが取らなくてはならないとする。このようなビル間A〜Bで電力を融通する場合、ビルA側から電力の要求、あるいは供給の予約の申込があったとしても、ビルA側の要求を元にビルB側が実行可能な単位時間毎の電力収受計画を立案する必要がある。この例のように、単位時間毎の同時同量制約を守る必要がない場合に相互に独立したEMS間で密な連携を実施しようとすると、相互の計画の時間的粒度が異なるため連携することが難しいことが予想される。
【0009】
さらに、上位階層から下位階層までEMSが一斉に導入されることは考え難く、例えば、各ビルの電力需給をコントロールするBEMS(Building and Energy Management System)が普及した後に、BEMS群を統括するCEMSが導入されるようなことが想定できる。さらに、事故や故障で階層の一部のEMSがダウンすることも予想される。このため、下位階層のEMSから段階的に導入されても問題なく動作し、後から相互連携も可能な自律分散的なEMSの電力収受スケジューリングの仕組みが必要である。
【0010】
本発明の一側面は、エネルギーマネジメントシステム間で互いに協調して電力を融通可能な仕組みを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態としての電力需給スケジューリング装置は、他電力設備群への電力供給量、他電力設備群からの電力受取量のそれぞれを計画する、電力設備を管理するエネルギーマネジメントシステムのためのスケジューリング装置であり、送受信手段と、計画作成手段とを備える。
【0012】
前記送受信手段は、電力供給予約情報と電力要求予約情報を、前記他電力設備群を管理する他エネルギーマネジメントシステムのスケジューリング装置と相互にやりとりする。
【0013】
前記電力供給予約情報は、供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、各単位時間帯当りの最大供給可能量、前記供給可能総電力量の上下限値のうち、少なくとも前記供給可能総電力量、前記供給可能状態開始時刻、前記供給可能状態終了時刻、及び前記各単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を含む。
【0014】
前記電力要求予約情報は、要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量、前記要求総電力量の上下限値のうち、少なくとも、前記要求総電力量、前記受取可能状態開始時刻、前記受取可能状態終了時刻、及び前記単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を含む。
【0015】
前記計画作成手段は、前記電力供給予約情報及び前記電力要求予約情報により前記他エネルギー管理システムからの電力供給及び電力要求の予約を受け付け、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する前記電力設備による電力発電量および電力負荷の発生予測、ならびに前記エネルギーマネジメントシステムの管理する蓄電池の容量、のいずれかに基づき、前記予約の全期間を通して各単位時間帯で、前記予約に基づき供給する電力量と、前記予約に基づき受け取る電力量間での過不足が発生しないように、前記他電力設備群と収受する、各前記単位時間帯における電力受取量及び電力供給量のそれぞれを計画して、電力収受計画を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるスケジューリング装置の属するEMSの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】階層的な構成を成す複数のEMSの例を示す図である。
【図3】電力供給予約情報及び電力要求予約情報の例を示す図である。
【図4】電力負荷を電力要求予約情報に変換した例を示す図である。
【図5A】図3の予約情報をグラフィカル表示した画面を示す図である。
【図5B】図3の予約情報を元に充電ステーション用EMSのスケジューラが作成した電力収受計画を示す図である。
【図5C】電力収受計画を表形式で表した図である。
【図6】電力供給予約の統合及び分割の例をそれぞれ示す図である。
【図7】スケジューラの計画作成手段で行われる計画の方式を説明する図である。
【図8】スケジューラの内部の機能構成の一実施形態を示す図である。
【図9】スケジューラにより行われる電力予約処理の大まかな流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明によるスケジューリング装置の属するEMS(エネルギーマネジメントシステム)の一実施形態の構成を示す図である。
【0019】
システム全体は、1つ以上の独立するEMSから構成される。図1において、1は一つのEMSを示す。EMS1は、各単位時間帯における電力受取量、電力供給量、及び蓄電池の充放電量を計画するスケジューラ11、蓄電設備12、インバータによる交流電力の周波数変換やAC/DC変換を行う機能を持つPCS(Power Controll System)13から構成される。
【0020】
EMS1は、複数の電力機器1〜Nを管理する。他のEMS2−5も、それぞれ複数の電力機器を管理する。ここで電力機器群とは、空調機器、照明機器、オフィス電源や、電気自動車の充電機器の様な電力を消費する機器だけでなく、太陽光発電装置や燃料電池のように電力を発電する装置も含むことがありうる。また、EMS内部の構成は本例に限定されるものではなく、蓄電設備がないこともありうる。
【0021】
図1の例では5つの独立したEMS及び、各EMSに電力管理される複数の電力機器群が存在し、EMS1を経由して相互に電力要求予約情報、電力供給予約情報、及び電力そのもののやりとりを実施する。各EMSは、電力を搬送するための電力経路と、予約情報をやりとりするための相互通信を行う情報経路によりそれぞれ接続されているものとする。
【0022】
なお、情報経路は、本例のように各EMS間を直にPear to Pear接続することに限定されず、各EMSに固有の通信アドレスを与えて構成したLAN、WANを経由し、TCP/IP通信の汎用的な通信プロトコルを利用して論理的に接続されていても良いものとする。
【0023】
電力経路は、AC、DCいずれかを限定せず、電力搬送が可能であれば良い。
【0024】
ここで、電力供給予約情報は、供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を少なくとも含む。電力要求予約情報は、要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を少なくとも含む。
【0025】
図8は、図1におけるスケジューラ11の内部の機能構成の一実施形態を示す。
【0026】
スケジューラ11は、その基本構成として、外部通信手段71、予約情報送受信手段74、予約情報記憶手段77、計画更新タイミング判定手段75、計画作成手段78、電力収受計画記憶手段81、電力収受計画送信手段82、充放電計画記憶手段80、充放電計画指示手段86、計画パラメータ設定手段87、予約受諾可否判定手段73及び予約受諾可否送信手段72を備える。
【0027】
外部通信手段71は、外部のモジュール(他のEMS)と通信する。
【0028】
予約情報送受信手段74は、電力予約情報(電力供給予約情報、電力要求予約情報)を他のEMSから受信し、また他のEMSに、電力予約情報を送信する。
【0029】
予約情報記憶手段77は、電力予約情報を記憶する。
【0030】
計画更新タイミング判定手段75は、予約(新規予約、予約変更、予約の取り消し)を受け付けたタイミング、あるいは定周期などで、計画更新処理を実施するか否かを決定し、計画更新のトリガーを発生する。
【0031】
計画作成手段78は、前記計画更新トリガーに応じて予約情報を元に他EMSとの間の電力収受計画と、自己の管理する蓄電設備の充放電計画を作成する。
【0032】
電力収受計画記憶手段81は、作成された電力収受計画を記憶する。
【0033】
電力収受計画送信手段82は、予約元の各EMSに電力収受計画を送信する。
【0034】
充放電計画記憶手段80は、作成された充放電計画を記憶する。
【0035】
充放電計画指示手段86は、管理下の蓄電設備に充放電計画を指示する。
【0036】
計画パラメータ設定手段87は、計画作成手段78の計画パラメータを設定する。
【0037】
予約受諾可否判定手段73は、計画作成手段78の計画結果を元に各予約を受諾することが可能か否かを判定する。
【0038】
予約受諾可否送信手段72は、予約が受諾不可能な場合に、当該予約の発信元の各EMSにその旨を送信する。予約受諾可否送信手段72は、予約を受諾可能な場合に受諾可能な旨を、発信元のEMSに通知してもよい。
【0039】
スケジュール11は、これらの手段に加えて、さらに、機器電力使用量実績記憶手段83、機器需要予測手段79、機器発電量実績記憶手段84、機器発電量予測手段79、予約確認情報送受信手段85、及び予約更新手段88を備えることが有り得る。
【0040】
機器電力使用量実績記憶手段83は、スケジューラ11の属するEMS1自身の管理する空調や照明等の電力設備による電力負荷が見込まれる場合は、当該電力設備機器の過去の電力使用量の実績データを記憶する。機器需要予測手段79は、電力使用量の実績データと、現在状態をセンサーにより観測した観測値(負荷機器の観測情報)とに基づき、計画期間における機器需要を予測し、予測した機器需要を電力要求予約の形式に変換する。実績データと観測値から機器需要を予測する方法は、本発明の本質ではなく、どのような方法を用いてもかまわない。
【0041】
機器発電量実績記憶手段84は、スケジューラ11の属するEMS1自身の管理するPVやガスタービン等の自家発電設備による電力供給が見込まれる場合は、当該電力設備機器の過去の発電量の実績データを記憶する。機器発電量予測手段76は、発電量の実績データと、現在状態をセンサーにより観測した観測値(発電機器の観測情報)に基づき、計画期間における発電供給を予測し、予測した発電供給を電力供給予約の形式に変換する。実績データと観測値から発電供給を予測する方法は、本発明の本質ではなく、どのような方法を用いてもかまわない。
【0042】
予約確認情報送受信手段85は、電力供給予約において電力供給可能総電力量の上下限値情報を含み、供給総電力量の変更が可能な場合、もしくは電力要求予約において要求総電力量の上下限値情報を含み、要求総電力量の変更が可能な場合については、各予約の発信元の各EMSに供給総電力量もしくは要求総電力量の変更の確認の問合せを行う。予約更新手段88は、確認の結果、発信元の各EMSから供給総電力量もしくは要求総電力量の上下限値の変更が通知された場合は、当該予約の変更を行った上で、予約情報記憶手段77の当該予約内容を変更し、さらに、計画更新タイミング判定手段75に計画更新の旨を通知する。
【0043】
図2−図5を用いて、階層的な構成を成す複数EMS間において相互連携するための電力供給予約情報、電力要求予約情報のやりとりの一例を示す。図2の例では、複数のビルで共用される大規模駐車場に付随する電気自動車用の充電ステーションが独立した設備として管理されると仮定し、電気自動車の充電機器群を管理する充電ステーション1管理用EMS23を対象とする。
【0044】
図2において、矢印は図1における情報線及び電力接により相互に接続されていることを示す。図2の例では、CEMS21の管理する電力系統からBEMS22及びBEMS27に電力供給を行い、充電ステーションEMS23はBEMS22及びBEMS27の双方から電力供給されることが可能であることを示す。また、電気自動車EV1の充電器、EV2の充電器、EV3の充電器はそれぞれ単体の電気自動車の充電コントロールを行うためのEMSを備え、充電ステーションEMS23から電力供給を受けるものとする。各電気自動車の充電コントロールを行うためのEMSは、急速充電器などの充電装置コントローラ側に搭載されていても良いし、電気自動車側に搭載されていても構わない。
【0045】
BEMS22に属するスケジューリング装置は、充電ステーションの使用電力については、自身の管理する空調や照明などの電気設備に必要な電力と現在の蓄電量を考慮して、余剰電力を充電ステーションに供給する大まかな見積もり計画を立てるだけであり、詳細な計画は充電ステーションを管理する下位のスケジューリング装置が立案すると仮定する。
【0046】
図3に電力予約情報の例を示す。本例では、充電ステーション用EMS23は、BEMS22から先行して図3(a)の2つの電力供給予約情報を受け取るとする。本例は、単位時間を1時間単位として、計350kWhの電力を最大50kWで10月1日の0〜12時の間に充電ステーションに対し供給可能であり、12〜24時の間には計200kWhの電力を最大50kWで供給可能である予約情報を示す。
【0047】
加えて、充電ステーション用EMS23は、BEMS27からも図3(b)の2つの電力供給予約情報を受け取るとする。本例は、計100kWhの電力を最大50kWで10月1日の11〜18時の間に充電ステーションに対し供給可能であり、さらに20〜24時の間にも計100kWhの電力を最大50kWで供給可能である予約情報を示す。
【0048】
充電ステーション用EMS23は、下位の各EVの充電装置を管理するEMSから先行して図3(c)(d)(e)の電力要求予約情報を受け取る。本例(c)では、EV1が計100kWhの電力を10月1日10時から23時の間に最大50kWで充電したい旨を示す。これは、EV1が10月1日10時前にはビルに到着し充電用コネクタに接続して充電開始可能な状態となり、23時までには充電を完了して出発しなければならない場合などに相当する。
【0049】
充電ステーション用EMS23自身の管理する充電ステーションの空調や照明などの電気設備による電力負荷がある場合、もしくは、太陽発電やガスタービン設備などの電力発電設備がある場合、自身の管理する電力発電設備の電力供給量や電力負荷の発生量を予測し、これらを仮想的に電力予約として扱うことが可能である。図4に、電力負荷を電力要求予約情報に変換した例を示す。本例では、10月1日0時から17時まで、1時間単位毎の17時間分の電力負荷予測値を電力要求予約情報として扱っている。
【0050】
予め決められた特定の時刻毎に、充電ステーション用EMS23は一旦電力予約情報の受付を締め切り、スケジューラがその時点における電力収受計画および充放電計画を更新し、計画が変更された各予約元に新たな計画を通知する。電力収受計画を更新するタイミングとしては、新規の予約追加、既存予約のキャンセル、既存予約の内容更新が行われたタイミング毎に実施するイベントドリブンによる方法もあり得る。
【0051】
充電ステーション用EMS23のスケジューラは、受け付けた全ての電力予約情報、及び、管理下にある蓄電池がある場合はその容量に基づき、全計画期間を通して予約に基づき供給する電力量と、予約に基づき受け取る電力量の過不足が規定の最大最小範囲内に収まるように、各単位時間帯における電力供給予約元EMSからの電力供給量、及び電力要求予約元EMSへの電力供給量のそれぞれを計画する。
【0052】
図5Aに、図2、図3の予約をグラフィカルに表示した例を示す。図5B及び図5Cに、図2および図3の予約を元に充電ステーション用EMS23のスケジューラが作成した電力収受計画の一例を示す。各図において、GUIの各グラフは、一番上が蓄電池の充電量(SoC)すなわち蓄電池充放電計画に相当し、2番目以降のグラフがそれぞれ、BEMS22、BEMS27から充電ステーション用EMS23への1時間毎の受取電力、自身の管理する電力設備への供給電力の予測値、充電ステーション用EMS23からEV充電器EMS24,25,26への1時間毎の電力供給計画を示す。
【0053】
2番目以降の電力収受計画グラフでは、+方向が充電ステーション用EMS23の受取(入力)電力、−方向が提供(出力)電力を示す。また、枠線が電力予約情報(開始時刻、終了時刻、単位時間帯当たりの最大電力)の情報を示している。図5Aでは、予約に従い電力をそれぞれ単位時間帯当りの最大可能出力で収受した場合(計画前の状態)を示すが、このまま実施すると途中で電力が足りなくなることが分かる。図5Bでは計画後の状態を示すが、各単位時間帯で予約に基づき供給される電力量と予約に基づき受け取る電力量の過不足が、自身の管理する蓄電池の容量の範囲内に収まっていることが分かる。図5Cは図5Bの電力収受計画及び蓄電池の充放電計画を表形式で示す。なお、図5B、図5Cは、以降で述べるヒューリスティックスによる方法を用いて実際にスケジューリング作成した例である。
【0054】
図5A−図5Cに示したように、本方式では、EMSが他のEMSから任意の時間粒度で電力供給や電力要求の予約がされたとしても、当該EMSの管理可能な単位時間帯毎の具体的な電力収受計画を作成し実施することが可能となる。図2−図5の例では、予約の方が計画単位より時間粒度が粗い例(1〜13時間)であるが、逆に予約の方が計画単位より時間粒度が細かい場合は、予約の発信元の相手のEMS毎に単位時間帯(計画単位)毎の電力収受量の総量を求め、単位時間帯毎の予約に変換するなどの方法が有り得る。
【0055】
図6(a)に、予約の方が計画単位よりも時間粒度が細かいため、2つの予約を1つの予約に統合する例を示す。図6(a)の例では、電力供給予約1、2はそれぞれ10分単位の計画に基づく予約であるが、充電ステーション用EMS23の計画単位が1時間単位であるため、電力供給予約1、2は、1〜2時の間に総量として30kwhを供給される予約3と等価であると内部的に変換して処理する。
【0056】
図6(b)に、予約の時間の境目と、予約を受ける側の計画の時間粒度が一致しないため、
1つの予約を2つの予約に分割する例を示す。図6(b)の例では、充電ステーション用EMS23では2時を境目として異なる単位時間帯となるため、電力供給予約1は、1〜2時に30kwh、2〜3時に10kwhを供給される予約2、3を合せたものと等価であると内部的に変換して処理する。ここで、予約1の40kwhは、予約1がそれぞれの単位時間帯に重複する時間の長さに応じて比例分割しているが、重複する時間の長い方の時間帯に全電力量をまとめるなどの方法でも良く、電力量の分割方法は特に限定しない。
【0057】
各予約の条件を満足する計画の更新に失敗した場合は、前回の計画更新成功以降に新たに受け付けた予約、もしくは内容変更された予約の発信元のEMSに対し、予約が受けられない旨を通知する。あるいは、各EMSの間に優先度が与えられており、新たな予約条件の元で条件を満足する計画の更新に失敗した場合は、前回の計画更新以降に新たに受け付けた予約の中で、優先度が下位のEMSから与えられた予約を一件ずつ除いては再計画することを計画に成功するまで順次反復し、計画作成に成功するまでに除いた予約の発信元のEMSに対し、予約が受けられない旨を通知する方法もあり得る。
【0058】
電力予約において総電力量の上下限値情報を含む場合、予約発信元のEMSに対し収受する総電力量の値を上下限内で変更することが可能であるが、総電力量を変更した場合は、予約の発信元のEMSへの確認が必要となる。
【0059】
図9に、スケジューラ11により行われる電力予約処理の大まかな流れを示す。図9は予約に総電力量の上下限値情報を含む場合の処理の例であるが、総電力量の上下限値情報がない場合は、Step7、Step12~Step14の処理が不要となる。
【0060】
図9において、予約情報送受信手段74が他EMSより、新規電力予約、受付済電力予約の内容変更、受付済電力予約のキャンセルのいずれかを受信すると(Step1)、予約情報記憶手段77の予約情報データを更新し(Step2)、計画更新タイミング判定手段75が計画更新するか否かを判定する(Step3)。
【0061】
計画更新すると判断された場合(Step4のYES)、計画作成手段78が電力収受計画及び蓄電設備の充放電計画を更新する(Step5)。計画更新に成功した場合(Step6のYES)は、計画更新のために予約の総電力量を上下限値の間で変更した予約がなければ(Step7のNO)、更新した計画を電力収受計画記憶手段81及び充放電計画記憶手段80に格納し(Step8)、更新した電力収受計画を各予約の発信元のEMSに返信し(Step9)、更新した充放電計画を蓄電設備に指示する(Step10)。引き続き予約受付を続ける場合(Step11のNO)、Step1に戻る。
【0062】
計画更新に失敗した場合(Step6のNO)は、予約受諾可否判定手段73が新たに受信した予約を受諾不可と判断し、当該予約の発信元EMSに受諾不可な旨を通知する(Step15)。
【0063】
計画更新のために予約の総電力量を上下限値の間で変更した予約があれば(Step7のYES)、総電力量を変更した予約の発信元の各EMSに対し、予約確認情報送受信手段85が変更後の総電力量を通知する(Step12)。もし発信元EMSから応答により総電力量変更が許可されない予約があった場合は(Step13のYES)、予約更新手段88が予約情報記憶手段77の予約の内で総電力量変更が許可されない予約の上下限値を変更し、計画更新の条件を変更した上で、再度、計画更新のトリガーを発信し(Step14)、Step3の計画更新タイミング判定手段75の処理に戻る。総電力量変更が全て許可される場合は(Step13のNO)、Step8の処理に移行する。
【0064】
ここで、予約に基づくスケジューラ11の計画作成手段78における計画の方法について述べる。これは、時間を離散化して一種のネットワークフローモデル化して定式化し混合整数計画問題として解く方法、ヒューリスティックスによる方法など、幾つかの方法が考えられる。ここでは簡易的な方式として、山崩し法に基づくヒューリスティックスを例として述べる。
【0065】
図7に本方式の概念図を示す。本方式では、図に示すように電力と時間を一定の単位量で離散化する。図7では、EMS1から2件の電力供給予約が来ており、EMS2、4からそれぞれ1件、EMS3から2件の電力要求予約が来ていることを示す。図で、左側がスケジューリング前の初期状態であり、それぞれの電力予約に対して単位時間当たりの最大電力量を開始時間と同時に収受した状態である。初期状態における総電力量(図7における離散化した電力を示すハコの総数)は、各予約の要求総電力量、供給総電力量にする。図7の一番下のグラフでは、初期状態で自身の管理する蓄電池に蓄積された電力量(離散化された電力を示すハコの数)を示し、初期値を1単位電力、蓄電容量の上下限を最大1単位電力〜最小0単位電力と設定する。
【0066】
他EMSから供給される電力と他EMSに提供する電力の差分の累積値が、このEMSの管理する蓄電設備に蓄積される電力量となる。初期状態では受け取る電力と供給する電力の各時刻でのバランスが取れていない状態のため、他EMSから供給される電力と他EMSに提供する電力の間の累積値の差分が自身の管理する蓄電設備の容量の上下限を逸脱し電力収支が合わなくなる瞬間があり、そのままでは実行不可能な計画である。図7では、ハッチングされたハコが初期状態において蓄電容量の上下限を逸脱した電力量を示す。
【0067】
本実施形態の方式では、自身の管理する蓄電池に蓄積された電力量(供給される電力と提供電力の間の差分累積値)が、蓄電容量の上下限を逸脱する時刻で最も早い時刻Tを検索し、蓄電容量の上限側を超えている場合は、時刻T以前に他から受け取る電力量が多すぎると見なし、時刻T以前に電力を受け取る電力供給予約で、かつ単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約を発見し、時刻T以降で単位時間当たりの最大電力量より小さくなる最も早い時刻に単位分の電力(図7における離散化した電力を示すハコ)をシフトする。逆に、蓄電容量の下限側を超えている場合は、時刻T以前に他に提供する電力が多すぎると見なし、時刻T以前に電力を提供する電力要求予約で、かつ単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約を発見し、時刻T以降で単位時間当たりの最大電力量より小さくなる最も早い時刻に単位分の電力をシフトする。シフト処理が可能な予約が複数存在する場合は、予約の優先度順に処理する方法、最も電力シフトの時間幅が少ない予約を発見してシフト対象とする方法など、いくつかの方式が考えられる。
【0068】
以上の単位電力のシフト処理(一種の山崩し処理)を、蓄電池に蓄積された電力量が蓄電容量の上下限を逸脱することがなくなるまで反復することで、図の右側のように全ての時間において蓄電池に蓄積された電力量が蓄電容量の範囲内に収まるようバランスの取れた電力収受の計画が高速に作成できる。
【0069】
もし、シフト処理の反復の途中で、蓄電容量の上下限を逸脱する時刻があるにも関わらず単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約が存在しない場合は、各予約の総電力量の上下限値の幅を利用した調整のための総電力量の増減処理を行う。
【0070】
すなわち、時刻Tで蓄電容量の上限側を超えている場合は、時刻T以前に開始する電力供給予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量からマイナスしても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をマイナスする。もしくは、時刻T以前に開始する電力要求予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量にプラスしても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をプラスする。
【0071】
時刻Tで蓄電容量の下限側を超えている場合は、時刻T以前に開始する電力供給予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量にプラスしても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をプラスする。もしくは、時刻T以前に開始する電力要求予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量からマイナスしても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をマイナスする。
【0072】
これらの総電力量の増減処理を、単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約が出現するまで反復し、シフト可能な予約が発見された後はシフト処理の反復に戻る。
【0073】
以上、本実施形態によれば、電力供給側、電力受取側それぞれのエネルギーマネジメントシステムが各々の電力設備、蓄電設備を独立して管理しつつ、電力供給予約、電力要求予約を介して、相互に協調して電力を融通することが可能となる。
【0074】
なお、以上に説明した実施形態におけるスケジューリング装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、当該装置内の各処理部は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、スケジューリング装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また、スケジューリング装置内の各記憶手段は、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の電力設備群が相互に連携する際に、他電力設備群への電力供給量、他電力設備群からの電力受取量のそれぞれを計画するエネルギーマネジメントシステムのための電力需給スケジューリング装置である。
【背景技術】
【0002】
今後、電気自動車をはじめとする大容量で需要発生が予測し難い負荷や、太陽光発電などの需要発生が予測し難い分散電源が増加し、電力供給事業者側(系統側)がコントロールできる余地が小さくなり、系統全体が非常に不安定になることが予想される。これらの不安定な電力需給をコントロールするため、CEMS(Community Energy Manegement System)、BEMS(Building Energy Management System)、HEMS(Home Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Manegement System)等の各種EMS(エネルギーマネジメントシステム)が提案されている。
【0003】
これらは、管理下にある自立した小規模な電力系統内で、分散電源の出力増減制御、電力機器の需要抑制、さらに蓄エネルギー設備(定置型蓄電池、蓄熱槽等)を保有する場合は急激な変動抑制やピークシフトを実施することで、電力系統内の需給の平準化や省エネルギーを図ることを主な目的としている。例えば、特許文献1ではビルのエネルギー管理を行うBEMSの例について、特許文献2では家庭内のエネルギー管理を行うHEMSの例について提案されている。
【0004】
また、自立した複数の小規模な電力系統間で相互に電力を融通することを支援するシステムとして、特許文献3などが提案されている。特許文献3では、事前に各時刻における各系統間の電力融通量を予約し、各系統の連系線において交流電力を一旦直流電力に変換し相互に電力融通するシステムについて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-236904号公報
【特許文献2】特開2009-130985号公報
【特許文献3】特開2011-61970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電力系統においては、単位時間帯毎の同時同量制約を守る必要が最優先のため、電力は系統側(電力供給事業者側)が全体で統一の取れた計画を立案しコントロールを行うことが一般的であった。上位階層から下位階層までEMSが連携する場合、例えば、系統側を制御するCEMS(Community Energy Management System)、各ビルや家庭などの需要家側を制御するBEMS、HEMS、FEMS等では、各EMSの動作は独立しており、下位のBEMS、HEMS、FEMS等の管轄する範囲で発生する電力需要・供給の影響は、上位のCEMSからは需要予測により一方的に見積もりコントロールするだけである。EMS間で相互に協力して相手の蓄電設備を活用し各時刻に融通する電力量の計画(以降、電力収受計画と称する)を生成する方法については考えられていない。例えば、上記の特許文献3では、自立した複数の小規模な電力系統間で事前に各時刻における当該系統間の電力融通量を予約・合意し相互に電力融通するシステムについて提案されているが、電力収受計画は予約を発する系統側が全て作成する前提であり、作成後に相手側の合意を取る仕組みである。
【0007】
相互に独立したEMS間で相互に電力収受を伴う密な連携を実施しようとした場合、互いに独立して電力収受の計画を立案すると、相互の計画の時間的粒度が異なるため計画の整合性を保って連携することが難しいことが予想され、これを解決する仕組みが必要である。
【0008】
それぞれのEMSの管理する分散電力系統が大容量の蓄電設備をバッファとして備えていることを前提とした場合、単位時間毎の電力量過不足量の時間方向の調整が容易になるため、相互に独立したEMS間で必要とされる電力収受計画の時間的な粒度が大きく異なる可能性が高くなる。例えば、大容量の蓄電設備を備えているビルAは1時間単位で外部から融通される電力の収支が合っていれば蓄電量の充放電で調整できる範囲であり問題ないが、蓄電設備を備えていないビルBは外部から融通される電力の収支の総量が瞬時毎にバランスが取らなくてはならないとする。このようなビル間A〜Bで電力を融通する場合、ビルA側から電力の要求、あるいは供給の予約の申込があったとしても、ビルA側の要求を元にビルB側が実行可能な単位時間毎の電力収受計画を立案する必要がある。この例のように、単位時間毎の同時同量制約を守る必要がない場合に相互に独立したEMS間で密な連携を実施しようとすると、相互の計画の時間的粒度が異なるため連携することが難しいことが予想される。
【0009】
さらに、上位階層から下位階層までEMSが一斉に導入されることは考え難く、例えば、各ビルの電力需給をコントロールするBEMS(Building and Energy Management System)が普及した後に、BEMS群を統括するCEMSが導入されるようなことが想定できる。さらに、事故や故障で階層の一部のEMSがダウンすることも予想される。このため、下位階層のEMSから段階的に導入されても問題なく動作し、後から相互連携も可能な自律分散的なEMSの電力収受スケジューリングの仕組みが必要である。
【0010】
本発明の一側面は、エネルギーマネジメントシステム間で互いに協調して電力を融通可能な仕組みを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態としての電力需給スケジューリング装置は、他電力設備群への電力供給量、他電力設備群からの電力受取量のそれぞれを計画する、電力設備を管理するエネルギーマネジメントシステムのためのスケジューリング装置であり、送受信手段と、計画作成手段とを備える。
【0012】
前記送受信手段は、電力供給予約情報と電力要求予約情報を、前記他電力設備群を管理する他エネルギーマネジメントシステムのスケジューリング装置と相互にやりとりする。
【0013】
前記電力供給予約情報は、供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、各単位時間帯当りの最大供給可能量、前記供給可能総電力量の上下限値のうち、少なくとも前記供給可能総電力量、前記供給可能状態開始時刻、前記供給可能状態終了時刻、及び前記各単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を含む。
【0014】
前記電力要求予約情報は、要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量、前記要求総電力量の上下限値のうち、少なくとも、前記要求総電力量、前記受取可能状態開始時刻、前記受取可能状態終了時刻、及び前記単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を含む。
【0015】
前記計画作成手段は、前記電力供給予約情報及び前記電力要求予約情報により前記他エネルギー管理システムからの電力供給及び電力要求の予約を受け付け、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する前記電力設備による電力発電量および電力負荷の発生予測、ならびに前記エネルギーマネジメントシステムの管理する蓄電池の容量、のいずれかに基づき、前記予約の全期間を通して各単位時間帯で、前記予約に基づき供給する電力量と、前記予約に基づき受け取る電力量間での過不足が発生しないように、前記他電力設備群と収受する、各前記単位時間帯における電力受取量及び電力供給量のそれぞれを計画して、電力収受計画を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるスケジューリング装置の属するEMSの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】階層的な構成を成す複数のEMSの例を示す図である。
【図3】電力供給予約情報及び電力要求予約情報の例を示す図である。
【図4】電力負荷を電力要求予約情報に変換した例を示す図である。
【図5A】図3の予約情報をグラフィカル表示した画面を示す図である。
【図5B】図3の予約情報を元に充電ステーション用EMSのスケジューラが作成した電力収受計画を示す図である。
【図5C】電力収受計画を表形式で表した図である。
【図6】電力供給予約の統合及び分割の例をそれぞれ示す図である。
【図7】スケジューラの計画作成手段で行われる計画の方式を説明する図である。
【図8】スケジューラの内部の機能構成の一実施形態を示す図である。
【図9】スケジューラにより行われる電力予約処理の大まかな流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明によるスケジューリング装置の属するEMS(エネルギーマネジメントシステム)の一実施形態の構成を示す図である。
【0019】
システム全体は、1つ以上の独立するEMSから構成される。図1において、1は一つのEMSを示す。EMS1は、各単位時間帯における電力受取量、電力供給量、及び蓄電池の充放電量を計画するスケジューラ11、蓄電設備12、インバータによる交流電力の周波数変換やAC/DC変換を行う機能を持つPCS(Power Controll System)13から構成される。
【0020】
EMS1は、複数の電力機器1〜Nを管理する。他のEMS2−5も、それぞれ複数の電力機器を管理する。ここで電力機器群とは、空調機器、照明機器、オフィス電源や、電気自動車の充電機器の様な電力を消費する機器だけでなく、太陽光発電装置や燃料電池のように電力を発電する装置も含むことがありうる。また、EMS内部の構成は本例に限定されるものではなく、蓄電設備がないこともありうる。
【0021】
図1の例では5つの独立したEMS及び、各EMSに電力管理される複数の電力機器群が存在し、EMS1を経由して相互に電力要求予約情報、電力供給予約情報、及び電力そのもののやりとりを実施する。各EMSは、電力を搬送するための電力経路と、予約情報をやりとりするための相互通信を行う情報経路によりそれぞれ接続されているものとする。
【0022】
なお、情報経路は、本例のように各EMS間を直にPear to Pear接続することに限定されず、各EMSに固有の通信アドレスを与えて構成したLAN、WANを経由し、TCP/IP通信の汎用的な通信プロトコルを利用して論理的に接続されていても良いものとする。
【0023】
電力経路は、AC、DCいずれかを限定せず、電力搬送が可能であれば良い。
【0024】
ここで、電力供給予約情報は、供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を少なくとも含む。電力要求予約情報は、要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を少なくとも含む。
【0025】
図8は、図1におけるスケジューラ11の内部の機能構成の一実施形態を示す。
【0026】
スケジューラ11は、その基本構成として、外部通信手段71、予約情報送受信手段74、予約情報記憶手段77、計画更新タイミング判定手段75、計画作成手段78、電力収受計画記憶手段81、電力収受計画送信手段82、充放電計画記憶手段80、充放電計画指示手段86、計画パラメータ設定手段87、予約受諾可否判定手段73及び予約受諾可否送信手段72を備える。
【0027】
外部通信手段71は、外部のモジュール(他のEMS)と通信する。
【0028】
予約情報送受信手段74は、電力予約情報(電力供給予約情報、電力要求予約情報)を他のEMSから受信し、また他のEMSに、電力予約情報を送信する。
【0029】
予約情報記憶手段77は、電力予約情報を記憶する。
【0030】
計画更新タイミング判定手段75は、予約(新規予約、予約変更、予約の取り消し)を受け付けたタイミング、あるいは定周期などで、計画更新処理を実施するか否かを決定し、計画更新のトリガーを発生する。
【0031】
計画作成手段78は、前記計画更新トリガーに応じて予約情報を元に他EMSとの間の電力収受計画と、自己の管理する蓄電設備の充放電計画を作成する。
【0032】
電力収受計画記憶手段81は、作成された電力収受計画を記憶する。
【0033】
電力収受計画送信手段82は、予約元の各EMSに電力収受計画を送信する。
【0034】
充放電計画記憶手段80は、作成された充放電計画を記憶する。
【0035】
充放電計画指示手段86は、管理下の蓄電設備に充放電計画を指示する。
【0036】
計画パラメータ設定手段87は、計画作成手段78の計画パラメータを設定する。
【0037】
予約受諾可否判定手段73は、計画作成手段78の計画結果を元に各予約を受諾することが可能か否かを判定する。
【0038】
予約受諾可否送信手段72は、予約が受諾不可能な場合に、当該予約の発信元の各EMSにその旨を送信する。予約受諾可否送信手段72は、予約を受諾可能な場合に受諾可能な旨を、発信元のEMSに通知してもよい。
【0039】
スケジュール11は、これらの手段に加えて、さらに、機器電力使用量実績記憶手段83、機器需要予測手段79、機器発電量実績記憶手段84、機器発電量予測手段79、予約確認情報送受信手段85、及び予約更新手段88を備えることが有り得る。
【0040】
機器電力使用量実績記憶手段83は、スケジューラ11の属するEMS1自身の管理する空調や照明等の電力設備による電力負荷が見込まれる場合は、当該電力設備機器の過去の電力使用量の実績データを記憶する。機器需要予測手段79は、電力使用量の実績データと、現在状態をセンサーにより観測した観測値(負荷機器の観測情報)とに基づき、計画期間における機器需要を予測し、予測した機器需要を電力要求予約の形式に変換する。実績データと観測値から機器需要を予測する方法は、本発明の本質ではなく、どのような方法を用いてもかまわない。
【0041】
機器発電量実績記憶手段84は、スケジューラ11の属するEMS1自身の管理するPVやガスタービン等の自家発電設備による電力供給が見込まれる場合は、当該電力設備機器の過去の発電量の実績データを記憶する。機器発電量予測手段76は、発電量の実績データと、現在状態をセンサーにより観測した観測値(発電機器の観測情報)に基づき、計画期間における発電供給を予測し、予測した発電供給を電力供給予約の形式に変換する。実績データと観測値から発電供給を予測する方法は、本発明の本質ではなく、どのような方法を用いてもかまわない。
【0042】
予約確認情報送受信手段85は、電力供給予約において電力供給可能総電力量の上下限値情報を含み、供給総電力量の変更が可能な場合、もしくは電力要求予約において要求総電力量の上下限値情報を含み、要求総電力量の変更が可能な場合については、各予約の発信元の各EMSに供給総電力量もしくは要求総電力量の変更の確認の問合せを行う。予約更新手段88は、確認の結果、発信元の各EMSから供給総電力量もしくは要求総電力量の上下限値の変更が通知された場合は、当該予約の変更を行った上で、予約情報記憶手段77の当該予約内容を変更し、さらに、計画更新タイミング判定手段75に計画更新の旨を通知する。
【0043】
図2−図5を用いて、階層的な構成を成す複数EMS間において相互連携するための電力供給予約情報、電力要求予約情報のやりとりの一例を示す。図2の例では、複数のビルで共用される大規模駐車場に付随する電気自動車用の充電ステーションが独立した設備として管理されると仮定し、電気自動車の充電機器群を管理する充電ステーション1管理用EMS23を対象とする。
【0044】
図2において、矢印は図1における情報線及び電力接により相互に接続されていることを示す。図2の例では、CEMS21の管理する電力系統からBEMS22及びBEMS27に電力供給を行い、充電ステーションEMS23はBEMS22及びBEMS27の双方から電力供給されることが可能であることを示す。また、電気自動車EV1の充電器、EV2の充電器、EV3の充電器はそれぞれ単体の電気自動車の充電コントロールを行うためのEMSを備え、充電ステーションEMS23から電力供給を受けるものとする。各電気自動車の充電コントロールを行うためのEMSは、急速充電器などの充電装置コントローラ側に搭載されていても良いし、電気自動車側に搭載されていても構わない。
【0045】
BEMS22に属するスケジューリング装置は、充電ステーションの使用電力については、自身の管理する空調や照明などの電気設備に必要な電力と現在の蓄電量を考慮して、余剰電力を充電ステーションに供給する大まかな見積もり計画を立てるだけであり、詳細な計画は充電ステーションを管理する下位のスケジューリング装置が立案すると仮定する。
【0046】
図3に電力予約情報の例を示す。本例では、充電ステーション用EMS23は、BEMS22から先行して図3(a)の2つの電力供給予約情報を受け取るとする。本例は、単位時間を1時間単位として、計350kWhの電力を最大50kWで10月1日の0〜12時の間に充電ステーションに対し供給可能であり、12〜24時の間には計200kWhの電力を最大50kWで供給可能である予約情報を示す。
【0047】
加えて、充電ステーション用EMS23は、BEMS27からも図3(b)の2つの電力供給予約情報を受け取るとする。本例は、計100kWhの電力を最大50kWで10月1日の11〜18時の間に充電ステーションに対し供給可能であり、さらに20〜24時の間にも計100kWhの電力を最大50kWで供給可能である予約情報を示す。
【0048】
充電ステーション用EMS23は、下位の各EVの充電装置を管理するEMSから先行して図3(c)(d)(e)の電力要求予約情報を受け取る。本例(c)では、EV1が計100kWhの電力を10月1日10時から23時の間に最大50kWで充電したい旨を示す。これは、EV1が10月1日10時前にはビルに到着し充電用コネクタに接続して充電開始可能な状態となり、23時までには充電を完了して出発しなければならない場合などに相当する。
【0049】
充電ステーション用EMS23自身の管理する充電ステーションの空調や照明などの電気設備による電力負荷がある場合、もしくは、太陽発電やガスタービン設備などの電力発電設備がある場合、自身の管理する電力発電設備の電力供給量や電力負荷の発生量を予測し、これらを仮想的に電力予約として扱うことが可能である。図4に、電力負荷を電力要求予約情報に変換した例を示す。本例では、10月1日0時から17時まで、1時間単位毎の17時間分の電力負荷予測値を電力要求予約情報として扱っている。
【0050】
予め決められた特定の時刻毎に、充電ステーション用EMS23は一旦電力予約情報の受付を締め切り、スケジューラがその時点における電力収受計画および充放電計画を更新し、計画が変更された各予約元に新たな計画を通知する。電力収受計画を更新するタイミングとしては、新規の予約追加、既存予約のキャンセル、既存予約の内容更新が行われたタイミング毎に実施するイベントドリブンによる方法もあり得る。
【0051】
充電ステーション用EMS23のスケジューラは、受け付けた全ての電力予約情報、及び、管理下にある蓄電池がある場合はその容量に基づき、全計画期間を通して予約に基づき供給する電力量と、予約に基づき受け取る電力量の過不足が規定の最大最小範囲内に収まるように、各単位時間帯における電力供給予約元EMSからの電力供給量、及び電力要求予約元EMSへの電力供給量のそれぞれを計画する。
【0052】
図5Aに、図2、図3の予約をグラフィカルに表示した例を示す。図5B及び図5Cに、図2および図3の予約を元に充電ステーション用EMS23のスケジューラが作成した電力収受計画の一例を示す。各図において、GUIの各グラフは、一番上が蓄電池の充電量(SoC)すなわち蓄電池充放電計画に相当し、2番目以降のグラフがそれぞれ、BEMS22、BEMS27から充電ステーション用EMS23への1時間毎の受取電力、自身の管理する電力設備への供給電力の予測値、充電ステーション用EMS23からEV充電器EMS24,25,26への1時間毎の電力供給計画を示す。
【0053】
2番目以降の電力収受計画グラフでは、+方向が充電ステーション用EMS23の受取(入力)電力、−方向が提供(出力)電力を示す。また、枠線が電力予約情報(開始時刻、終了時刻、単位時間帯当たりの最大電力)の情報を示している。図5Aでは、予約に従い電力をそれぞれ単位時間帯当りの最大可能出力で収受した場合(計画前の状態)を示すが、このまま実施すると途中で電力が足りなくなることが分かる。図5Bでは計画後の状態を示すが、各単位時間帯で予約に基づき供給される電力量と予約に基づき受け取る電力量の過不足が、自身の管理する蓄電池の容量の範囲内に収まっていることが分かる。図5Cは図5Bの電力収受計画及び蓄電池の充放電計画を表形式で示す。なお、図5B、図5Cは、以降で述べるヒューリスティックスによる方法を用いて実際にスケジューリング作成した例である。
【0054】
図5A−図5Cに示したように、本方式では、EMSが他のEMSから任意の時間粒度で電力供給や電力要求の予約がされたとしても、当該EMSの管理可能な単位時間帯毎の具体的な電力収受計画を作成し実施することが可能となる。図2−図5の例では、予約の方が計画単位より時間粒度が粗い例(1〜13時間)であるが、逆に予約の方が計画単位より時間粒度が細かい場合は、予約の発信元の相手のEMS毎に単位時間帯(計画単位)毎の電力収受量の総量を求め、単位時間帯毎の予約に変換するなどの方法が有り得る。
【0055】
図6(a)に、予約の方が計画単位よりも時間粒度が細かいため、2つの予約を1つの予約に統合する例を示す。図6(a)の例では、電力供給予約1、2はそれぞれ10分単位の計画に基づく予約であるが、充電ステーション用EMS23の計画単位が1時間単位であるため、電力供給予約1、2は、1〜2時の間に総量として30kwhを供給される予約3と等価であると内部的に変換して処理する。
【0056】
図6(b)に、予約の時間の境目と、予約を受ける側の計画の時間粒度が一致しないため、
1つの予約を2つの予約に分割する例を示す。図6(b)の例では、充電ステーション用EMS23では2時を境目として異なる単位時間帯となるため、電力供給予約1は、1〜2時に30kwh、2〜3時に10kwhを供給される予約2、3を合せたものと等価であると内部的に変換して処理する。ここで、予約1の40kwhは、予約1がそれぞれの単位時間帯に重複する時間の長さに応じて比例分割しているが、重複する時間の長い方の時間帯に全電力量をまとめるなどの方法でも良く、電力量の分割方法は特に限定しない。
【0057】
各予約の条件を満足する計画の更新に失敗した場合は、前回の計画更新成功以降に新たに受け付けた予約、もしくは内容変更された予約の発信元のEMSに対し、予約が受けられない旨を通知する。あるいは、各EMSの間に優先度が与えられており、新たな予約条件の元で条件を満足する計画の更新に失敗した場合は、前回の計画更新以降に新たに受け付けた予約の中で、優先度が下位のEMSから与えられた予約を一件ずつ除いては再計画することを計画に成功するまで順次反復し、計画作成に成功するまでに除いた予約の発信元のEMSに対し、予約が受けられない旨を通知する方法もあり得る。
【0058】
電力予約において総電力量の上下限値情報を含む場合、予約発信元のEMSに対し収受する総電力量の値を上下限内で変更することが可能であるが、総電力量を変更した場合は、予約の発信元のEMSへの確認が必要となる。
【0059】
図9に、スケジューラ11により行われる電力予約処理の大まかな流れを示す。図9は予約に総電力量の上下限値情報を含む場合の処理の例であるが、総電力量の上下限値情報がない場合は、Step7、Step12~Step14の処理が不要となる。
【0060】
図9において、予約情報送受信手段74が他EMSより、新規電力予約、受付済電力予約の内容変更、受付済電力予約のキャンセルのいずれかを受信すると(Step1)、予約情報記憶手段77の予約情報データを更新し(Step2)、計画更新タイミング判定手段75が計画更新するか否かを判定する(Step3)。
【0061】
計画更新すると判断された場合(Step4のYES)、計画作成手段78が電力収受計画及び蓄電設備の充放電計画を更新する(Step5)。計画更新に成功した場合(Step6のYES)は、計画更新のために予約の総電力量を上下限値の間で変更した予約がなければ(Step7のNO)、更新した計画を電力収受計画記憶手段81及び充放電計画記憶手段80に格納し(Step8)、更新した電力収受計画を各予約の発信元のEMSに返信し(Step9)、更新した充放電計画を蓄電設備に指示する(Step10)。引き続き予約受付を続ける場合(Step11のNO)、Step1に戻る。
【0062】
計画更新に失敗した場合(Step6のNO)は、予約受諾可否判定手段73が新たに受信した予約を受諾不可と判断し、当該予約の発信元EMSに受諾不可な旨を通知する(Step15)。
【0063】
計画更新のために予約の総電力量を上下限値の間で変更した予約があれば(Step7のYES)、総電力量を変更した予約の発信元の各EMSに対し、予約確認情報送受信手段85が変更後の総電力量を通知する(Step12)。もし発信元EMSから応答により総電力量変更が許可されない予約があった場合は(Step13のYES)、予約更新手段88が予約情報記憶手段77の予約の内で総電力量変更が許可されない予約の上下限値を変更し、計画更新の条件を変更した上で、再度、計画更新のトリガーを発信し(Step14)、Step3の計画更新タイミング判定手段75の処理に戻る。総電力量変更が全て許可される場合は(Step13のNO)、Step8の処理に移行する。
【0064】
ここで、予約に基づくスケジューラ11の計画作成手段78における計画の方法について述べる。これは、時間を離散化して一種のネットワークフローモデル化して定式化し混合整数計画問題として解く方法、ヒューリスティックスによる方法など、幾つかの方法が考えられる。ここでは簡易的な方式として、山崩し法に基づくヒューリスティックスを例として述べる。
【0065】
図7に本方式の概念図を示す。本方式では、図に示すように電力と時間を一定の単位量で離散化する。図7では、EMS1から2件の電力供給予約が来ており、EMS2、4からそれぞれ1件、EMS3から2件の電力要求予約が来ていることを示す。図で、左側がスケジューリング前の初期状態であり、それぞれの電力予約に対して単位時間当たりの最大電力量を開始時間と同時に収受した状態である。初期状態における総電力量(図7における離散化した電力を示すハコの総数)は、各予約の要求総電力量、供給総電力量にする。図7の一番下のグラフでは、初期状態で自身の管理する蓄電池に蓄積された電力量(離散化された電力を示すハコの数)を示し、初期値を1単位電力、蓄電容量の上下限を最大1単位電力〜最小0単位電力と設定する。
【0066】
他EMSから供給される電力と他EMSに提供する電力の差分の累積値が、このEMSの管理する蓄電設備に蓄積される電力量となる。初期状態では受け取る電力と供給する電力の各時刻でのバランスが取れていない状態のため、他EMSから供給される電力と他EMSに提供する電力の間の累積値の差分が自身の管理する蓄電設備の容量の上下限を逸脱し電力収支が合わなくなる瞬間があり、そのままでは実行不可能な計画である。図7では、ハッチングされたハコが初期状態において蓄電容量の上下限を逸脱した電力量を示す。
【0067】
本実施形態の方式では、自身の管理する蓄電池に蓄積された電力量(供給される電力と提供電力の間の差分累積値)が、蓄電容量の上下限を逸脱する時刻で最も早い時刻Tを検索し、蓄電容量の上限側を超えている場合は、時刻T以前に他から受け取る電力量が多すぎると見なし、時刻T以前に電力を受け取る電力供給予約で、かつ単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約を発見し、時刻T以降で単位時間当たりの最大電力量より小さくなる最も早い時刻に単位分の電力(図7における離散化した電力を示すハコ)をシフトする。逆に、蓄電容量の下限側を超えている場合は、時刻T以前に他に提供する電力が多すぎると見なし、時刻T以前に電力を提供する電力要求予約で、かつ単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約を発見し、時刻T以降で単位時間当たりの最大電力量より小さくなる最も早い時刻に単位分の電力をシフトする。シフト処理が可能な予約が複数存在する場合は、予約の優先度順に処理する方法、最も電力シフトの時間幅が少ない予約を発見してシフト対象とする方法など、いくつかの方式が考えられる。
【0068】
以上の単位電力のシフト処理(一種の山崩し処理)を、蓄電池に蓄積された電力量が蓄電容量の上下限を逸脱することがなくなるまで反復することで、図の右側のように全ての時間において蓄電池に蓄積された電力量が蓄電容量の範囲内に収まるようバランスの取れた電力収受の計画が高速に作成できる。
【0069】
もし、シフト処理の反復の途中で、蓄電容量の上下限を逸脱する時刻があるにも関わらず単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約が存在しない場合は、各予約の総電力量の上下限値の幅を利用した調整のための総電力量の増減処理を行う。
【0070】
すなわち、時刻Tで蓄電容量の上限側を超えている場合は、時刻T以前に開始する電力供給予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量からマイナスしても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をマイナスする。もしくは、時刻T以前に開始する電力要求予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量にプラスしても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をプラスする。
【0071】
時刻Tで蓄電容量の下限側を超えている場合は、時刻T以前に開始する電力供給予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量にプラスしても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をプラスする。もしくは、時刻T以前に開始する電力要求予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量からマイナスしても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、時刻T以前の時刻において単位分の電力をマイナスする。
【0072】
これらの総電力量の増減処理を、単位分の電力を時刻T以降にシフトすることが可能な予約が出現するまで反復し、シフト可能な予約が発見された後はシフト処理の反復に戻る。
【0073】
以上、本実施形態によれば、電力供給側、電力受取側それぞれのエネルギーマネジメントシステムが各々の電力設備、蓄電設備を独立して管理しつつ、電力供給予約、電力要求予約を介して、相互に協調して電力を融通することが可能となる。
【0074】
なお、以上に説明した実施形態におけるスケジューリング装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、当該装置内の各処理部は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、スケジューリング装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また、スケジューリング装置内の各記憶手段は、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他電力設備群への電力供給量、他電力設備群からの電力受取量のそれぞれを計画する、電力設備を管理するエネルギーマネジメントシステムのための電力需給スケジューリング装置であって、
(A)供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、各単位時間帯当りの最大供給可能量、前記供給可能総電力量の上下限値のうち、少なくとも前記供給可能総電力量、前記供給可能状態開始時刻、前記供給可能状態終了時刻、及び前記各単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を含む電力供給予約情報と、
(B)要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量、前記要求総電力量の上下限値のうち、少なくとも、前記要求総電力量、前記受取可能状態開始時刻、前記受取可能状態終了時刻、及び前記単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を含む電力要求予約情報と
を、前記他電力設備群を管理する他エネルギーマネジメントシステムのスケジューリング装置と相互にやりとりする送受信手段と、
前記電力供給予約情報及び前記電力要求予約情報により前記他エネルギー管理システムからの電力供給及び電力要求の予約を受け付け、さらに、当該予約情報と、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する蓄電池が存在すれば当該蓄電池の容量、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する前記電力設備が存在すれば当該電力設備による電力発電量および電力負荷の発生予測、の少なくともいずれかに基づき、前記予約の全期間を通して各単位時間帯で、前記予約に基づき供給する電力量と、前記予約に基づき受け取る電力量間での過不足が発生しないように、前記他電力設備群と収受する、各前記単位時間帯における電力受取量及び電力供給量のそれぞれを計画して、電力収受計画を作成する計画作成手段と、
を備えたことを特徴とする、電力需給スケジューリング装置。
【請求項2】
前記計画作成手段が前記電力収受計画を更新するタイミングとして、予め決められた特定の時刻毎に一旦前記予約の受付を締め切り、当該予約締め切り時刻より先に受け付けた予約に基づいて前記電力収受計画の更新を行い、計画が変更された各予約元であるスケジューリング装置に新たな計画を通知し、
もし前記電力供給予約情報及び前記電力要求予約情報を満足する電力収受計画が作成不可能な場合は、前回の計画更新成功以降に新たに受け付けた予約及び内容変更された予約の発信元のエネルギーマネジメントシステムに対し、当該予約が受けられない旨を通知する
ことを特徴とする、請求項1記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項3】
前記計画作成手段が前記電力収受計画を更新するタイミングとして、予め決められた特定の時刻毎に一旦前記予約の受付を締め切り、当該予約締め切り時刻より先に受け付けた予約に基づいて前記電力収受計画の更新を行い、計画が変更された各予約元であるスケジューリング装置に新たな計画を通知し、
もし予約条件を満足する電力収受計画が作成不可能な場合は、前回の計画更新以降に新たに受け付けた予約の中で、優先度が下位のエネルギーマネジメントシステムから与えられた予約を一件ずつ除いては再計画することを計画作成に成功するまで順次反復し、計画成功までに除かれた予約の発信元のエネルギーマネジメントシステムに対し予約が受けられない旨を通知する、
ことを特徴とする、請求項1記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項4】
前記計画作成手段が前記電力収受計画を更新するタイミングとして、新規の予約追加、既存予約のキャンセル、既存予約の内容更新のいずれかが行われたタイミング毎に、イベントドリブンで当該タイミングの時刻より先の電力収受計画の更新を行うことを特徴とする、請求項1、2または3記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項5】
電力を一定の単位量で離散化し、各予約に対して単位時間当たりの最大電力量を開始時間と同時に収受した状態を初期状態とし、受け取る電力と供給する電力の差分の累積値が、前記蓄電池の蓄電容量の上下限を逸脱する時刻で最も早い時刻を検索し、
(A)当該時刻で前記累積値が前記蓄電池の蓄電容量の上限側を超えている場合は、当該時刻以前に電力を受け取る電力供給予約で、かつ前記単位量の電力を当該逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約を発見し、当該予約の単位量分の受取電力を当該逸脱時刻以降にシフトし、
(B)逆に、当該時刻で前記累積値が前記蓄電池の蓄電容量の下限側を超えている場合は、当該時刻以前に電力を提供する電力要求予約で、かつ単位分の電力を当該逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約を発見し、当該予約の単位量分の提供電力を当該逸脱時刻以降にシフトする
処理を、前記累積値が前記蓄電池の蓄電容量の上下限を逸脱することがなくなるまで反復することを特徴とする、請求項1記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項6】
前記蓄電池の蓄電容量の上限または下限を逸脱する時刻があるにも関わらず単位分の電力を前記逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約が存在しない場合に、
(A)前記逸脱時刻で前記蓄電容量の上限側を超えている場合は、(1)前記逸脱時刻以前に開始する電力供給予約で単位分の電力を現時点の総電力量から削減しても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を削減するか、(2)もしくは、前記逸脱時刻以前に開始する電力要求予約で単位分の電力を現時点の総電力量に増分しても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を増分し、
(B)前記逸脱時刻で前記蓄電容量の下限側を超えている場合は、(1)前記逸脱時刻以前に開始する電力供給予約で単位分の電力を現時点の総電力量に増分しても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を増分するか、(2)もしくは、前記逸脱時刻以前に開始する電力要求予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量から削減しても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を削減する
という各予約の総電力量の増減処理を、単位分の電力を前記逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約が出現するまで反復し、シフト可能な予約が発見された後はシフト処理の反復に戻る
ことを特徴とする、請求項5記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項7】
前記計画作成手段は、前記電力収受計画とともに、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する蓄電池の充放電スケジュルールを作成する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項1】
他電力設備群への電力供給量、他電力設備群からの電力受取量のそれぞれを計画する、電力設備を管理するエネルギーマネジメントシステムのための電力需給スケジューリング装置であって、
(A)供給可能総電力量、供給可能状態開始時刻、供給可能状態終了時刻、各単位時間帯当りの最大供給可能量、前記供給可能総電力量の上下限値のうち、少なくとも前記供給可能総電力量、前記供給可能状態開始時刻、前記供給可能状態終了時刻、及び前記各単位時間帯当りの最大供給可能量の情報を含む電力供給予約情報と、
(B)要求総電力量、受取可能状態開始時刻、受取可能状態終了時刻、単位時間帯当りの最大受取可能量、前記要求総電力量の上下限値のうち、少なくとも、前記要求総電力量、前記受取可能状態開始時刻、前記受取可能状態終了時刻、及び前記単位時間帯当りの最大受取可能量の情報を含む電力要求予約情報と
を、前記他電力設備群を管理する他エネルギーマネジメントシステムのスケジューリング装置と相互にやりとりする送受信手段と、
前記電力供給予約情報及び前記電力要求予約情報により前記他エネルギー管理システムからの電力供給及び電力要求の予約を受け付け、さらに、当該予約情報と、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する蓄電池が存在すれば当該蓄電池の容量、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する前記電力設備が存在すれば当該電力設備による電力発電量および電力負荷の発生予測、の少なくともいずれかに基づき、前記予約の全期間を通して各単位時間帯で、前記予約に基づき供給する電力量と、前記予約に基づき受け取る電力量間での過不足が発生しないように、前記他電力設備群と収受する、各前記単位時間帯における電力受取量及び電力供給量のそれぞれを計画して、電力収受計画を作成する計画作成手段と、
を備えたことを特徴とする、電力需給スケジューリング装置。
【請求項2】
前記計画作成手段が前記電力収受計画を更新するタイミングとして、予め決められた特定の時刻毎に一旦前記予約の受付を締め切り、当該予約締め切り時刻より先に受け付けた予約に基づいて前記電力収受計画の更新を行い、計画が変更された各予約元であるスケジューリング装置に新たな計画を通知し、
もし前記電力供給予約情報及び前記電力要求予約情報を満足する電力収受計画が作成不可能な場合は、前回の計画更新成功以降に新たに受け付けた予約及び内容変更された予約の発信元のエネルギーマネジメントシステムに対し、当該予約が受けられない旨を通知する
ことを特徴とする、請求項1記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項3】
前記計画作成手段が前記電力収受計画を更新するタイミングとして、予め決められた特定の時刻毎に一旦前記予約の受付を締め切り、当該予約締め切り時刻より先に受け付けた予約に基づいて前記電力収受計画の更新を行い、計画が変更された各予約元であるスケジューリング装置に新たな計画を通知し、
もし予約条件を満足する電力収受計画が作成不可能な場合は、前回の計画更新以降に新たに受け付けた予約の中で、優先度が下位のエネルギーマネジメントシステムから与えられた予約を一件ずつ除いては再計画することを計画作成に成功するまで順次反復し、計画成功までに除かれた予約の発信元のエネルギーマネジメントシステムに対し予約が受けられない旨を通知する、
ことを特徴とする、請求項1記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項4】
前記計画作成手段が前記電力収受計画を更新するタイミングとして、新規の予約追加、既存予約のキャンセル、既存予約の内容更新のいずれかが行われたタイミング毎に、イベントドリブンで当該タイミングの時刻より先の電力収受計画の更新を行うことを特徴とする、請求項1、2または3記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項5】
電力を一定の単位量で離散化し、各予約に対して単位時間当たりの最大電力量を開始時間と同時に収受した状態を初期状態とし、受け取る電力と供給する電力の差分の累積値が、前記蓄電池の蓄電容量の上下限を逸脱する時刻で最も早い時刻を検索し、
(A)当該時刻で前記累積値が前記蓄電池の蓄電容量の上限側を超えている場合は、当該時刻以前に電力を受け取る電力供給予約で、かつ前記単位量の電力を当該逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約を発見し、当該予約の単位量分の受取電力を当該逸脱時刻以降にシフトし、
(B)逆に、当該時刻で前記累積値が前記蓄電池の蓄電容量の下限側を超えている場合は、当該時刻以前に電力を提供する電力要求予約で、かつ単位分の電力を当該逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約を発見し、当該予約の単位量分の提供電力を当該逸脱時刻以降にシフトする
処理を、前記累積値が前記蓄電池の蓄電容量の上下限を逸脱することがなくなるまで反復することを特徴とする、請求項1記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項6】
前記蓄電池の蓄電容量の上限または下限を逸脱する時刻があるにも関わらず単位分の電力を前記逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約が存在しない場合に、
(A)前記逸脱時刻で前記蓄電容量の上限側を超えている場合は、(1)前記逸脱時刻以前に開始する電力供給予約で単位分の電力を現時点の総電力量から削減しても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を削減するか、(2)もしくは、前記逸脱時刻以前に開始する電力要求予約で単位分の電力を現時点の総電力量に増分しても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を増分し、
(B)前記逸脱時刻で前記蓄電容量の下限側を超えている場合は、(1)前記逸脱時刻以前に開始する電力供給予約で単位分の電力を現時点の総電力量に増分しても総電力量の上限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を増分するか、(2)もしくは、前記逸脱時刻以前に開始する電力要求予約で、かつ単位分の電力を現時点の総電力量から削減しても総電力量の下限値を超えない予約を発見し、前記逸脱時刻以前の時刻において単位分の電力を削減する
という各予約の総電力量の増減処理を、単位分の電力を前記逸脱時刻以降にシフトすることが可能な予約が出現するまで反復し、シフト可能な予約が発見された後はシフト処理の反復に戻る
ことを特徴とする、請求項5記載の電力需給スケジューリング装置。
【請求項7】
前記計画作成手段は、前記電力収受計画とともに、前記エネルギーマネジメントシステムの管理する蓄電池の充放電スケジュルールを作成する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電力需給スケジューリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−74636(P2013−74636A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209721(P2011−209721)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願 平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「蓄電複合システム化開発:要素技術開発:需要側蓄電システムの統合化技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願 平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「蓄電複合システム化開発:要素技術開発:需要側蓄電システムの統合化技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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