説明

電動カーテン

【課題】電動カーテンにおいて、簡単な構成により、小型で使い勝手の良い駆動部を備え、また、施工容易であって既存のカーテンを容易に電動化することを可能とする。
【解決手段】電動カーテン1は、電力によって衝撃を反復発生しつつ衝撃力によって自走する駆動部2と、それを制御する制御部20とを備え、駆動部2の自走によってカーテン11aが開閉される。駆動部2は、カーテンレール11に沿った方向の衝撃を発生させるインパクトアクチュエータ3と、筐体22と、摩擦板23とを備えている。駆動部2は、クランパ4を構成するランナ12と一体化され、摩擦板23を介してカーテンレール11の下面Sに保持される。駆動部2は、摩擦板23とカーテンレール11との間の摩擦力の存在のもとでカーテンレール11に沿う所定の一方向に移動する。自走する小型の駆動部2をランナ12に結合するだけで、既存カーテンを容易に電動化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃によって自走する駆動部を備えた電動カーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンレールに沿って配列した複数の永久磁石からなる固定子と、カーテンレールに沿って自走する電磁石からなる可動子とを備えて構成したリニアモータを用いてカーテンを開閉する電動カーテンが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。また、カーテンレールに沿って配置したワイヤをカーテンレールの一部に固定した回転モータとプーリとによって走行させ、ワイヤによってカーテンを開閉する電動カーテンが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−42158号公報
【特許文献2】特開2000−5045号公報
【特許文献3】実公平2−11888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような電動カーテンにおいては、カーテンレールに沿って、リニアモータを構成したり、回転モータやプーリとワイヤの系を敷設したりする必要があり、装置が大掛かりになるという問題がある。また、装置が大掛かりである故に、既存のカーテンを電動化したいという要求に対して、容易に応えられないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、小型で使い勝手の良い駆動部を備え、また、施工容易であって既存のカーテンを容易に電動化することができる電動カーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の電動カーテンは、カーテンレールに沿って開閉自在なカーテンを開閉させる駆動部と、この駆動部に供給する電力を制御する制御部と、を備えた電動カーテンにおいて、駆動部は、電力印加により衝撃を発生しその衝撃力により当該駆動部と共に移動するインパクトアクチュエータを備えていることを特徴とする。
【0007】
この電動カーテンにおいて、駆動部はカーテンを吊り下げて移動するランナと共に移動することが好ましい。
【0008】
この電動カーテンにおいて、駆動部とカーテンレールとの間に摩擦力を発生させて駆動部の移動の方向をカーテンレールに沿う一方向に制限するクランパを備えることが好ましい。
【0009】
この電動カーテンにおいて、制御部は電力を制御することによって駆動部の移動速度を制御することが好ましい。
【0010】
この電動カーテンにおいて、駆動部は電源として電池を備えて電池と共に移動することが好ましい。
【0011】
この電動カーテンにおいて、駆動部を遠隔操作するためのリモコンを備え、制御部はリモコンからの操作信号を受信する信号受信部を備えていることが好ましい。
【0012】
この電動カーテンにおいて、駆動部は位置センサを備え、制御部は位置センサからの位置信号に基づいて駆動部の移動制御を行うことが好ましい。
【0013】
この電動カーテンにおいて、駆動部は速度センサを備え、制御部は速度センサからの速度信号に基づいて駆動部の移動制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電動カーテンによれば、カーテンを開閉させる駆動部をインパクトアクチュエータによって構成するので、そのような駆動部の小型化や操作容易性の特性を生かして使い勝手の良い電動カーテンを実現でき、既存カーテンを容易に電動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る電動カーテンの一部断面側面図、(b)は同電動カーテンの一部断面正面図、(c)は同電動カーテンの開閉動作中の一部断面側面図。
【図2】(a)(b)は同電動カーテンの駆動部に適用されるインパクトアクチュエータの左向き動作を説明する断面図、(c)(d)は同インパクトアクチュエータの右向き動作を説明する断面図。
【図3】(a)は同電動カーテンの駆動部に適用される他のインパクトアクチュエータの断面図、(b)は同インパクトアクチュエータの動作原理を説明する模式図。
【図4】(a)(b)は同電動カーテンの駆動部に適用されるさらに他のインパクトアクチュエータの左向き動作を説明する断面図、(c)は同インパクトアクチュエータを左向きに動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図5】(a)(b)は同インパクトアクチュエータの右向き動作を説明する断面図、(c)は同インパクトアクチュエータを右向きに動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図6】(a)(b)は同電動カーテンの駆動部に適用されるさらに他のインパクトアクチュエータの動作を説明する断面図、(c)は同インパクトアクチュエータの動作原理を説明する模式図。
【図7】(a)は同電動カーテンの駆動部に適用されるさらに他のインパクトアクチュエータの平面断面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図。
【図8】(a)〜(c)は同インパクトアクチュエータの動作例を示す一部断面の側面図。
【図9】(a)(b)は同インパクトアクチュエータを動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図10】同電動カーテンの駆動部に適用されるさらに他のインパクトアクチュエータの断面図。
【図11】(a)(b)は同インパクトアクチュエータの部分拡大断面図。
【図12】(a)〜(d)は同インパクトアクチュエータの動作の様子を示す一部断面の側面図。
【図13】第1の実施形態の電動カーテンの変形例を示す斜視図。
【図14】第1の実施形態の電動カーテンの他の変形例を示す斜視図。
【図15】(a)(b)は同変形例の駆動部に適用されるインパクトアクチュエータの左向き動作を説明する断面図。
【図16】第2の実施形態の電動カーテンを示す斜視図。
【図17】第2の実施形態の電動カーテンの変形例を示す斜視図。
【図18】(a)(b)は第2の実施形態の電動カーテンの他の変形例の動作例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る電動カーテンについて、図面を参照して説明する。図1(a)乃至(c)は第1の実施形態に係る電動カーテンを示す。電動カーテン1は、カーテンレール11に沿って開閉自在なカーテン11aを開閉させる駆動部2と、駆動部2をカーテンレール11の下面Sに自走可能に保持するクランパ4と、電源10から駆動部2に供給する電力を制御する制御部20と、を備えている。カーテン11aは、カーテンレール11に沿って移動自在に取り付けられた複数のランナ12に、フック13によって上部を係止されている。駆動部2は、電力印加により衝撃を発生しその衝撃力により駆動部2と共に移動するインパクトアクチュエータ3(単にアクチュエータ3ともいう)と、アクチュエータ3を支持する筐体22と、筐体22に一体化された摩擦板23と、を備えている。アクチュエータ3の詳細は後述される。筐体22は、アクチュエータ3への電力供給用の端子台などを収納する機能、およびアクチュエータ3が発生する衝撃力の方向がカーテンレール11に沿った移動方向になるようにアクチュエータ3の姿勢を調整する取り付け基台としての機能を有する。摩擦板23は摩擦性の接触面を有し、駆動部2がクランパ4によってカーテンレール11の下面Sに保持されたときに、その接触面が下面Sに押圧される。
【0017】
カーテンレール11は、断面がC字形状であって、窓の近くに設置される。ランナ12は、フック13が係止される部分12aと、これを上方から支持する支持部12bと、支持部12bに設けられた車輪12cとを備えている。車輪12cは、カーテンレール11に沿って走行可能となっている。カーテン11aの端に設けられたランナ12は、支持部12bに設けられた鍔部12dと、コイルバネ12eとを備え、クランパ4を構成している。コイルバネ12eは、鍔部12dと摩擦板23との間にあって、その伸長力によって摩擦板23をカーテンレール11に押しつけると同時に、支持部12bを介して車輪12cをカーテンレール11に押しつける。このような構成により、駆動部2は、摩擦板23、クランパ4およびランナ12と一体化されている。
【0018】
駆動部2は、アクチュエータ3がカーテンレール11に沿った方向(X方向)の衝撃力を発生させることによって移動すなわち自走する。自走する駆動部2の移動の方向をカーテンレール11に沿う開方向または閉方向のいずれか一方向に制限するためには、衝撃発生の前段階における反動による逆向き移動を抑制するための抗力を駆動部2に作用させる必要がある。この抗力として、クランパ4のコイルバネ12eの押圧力によって生成される摩擦板23とカーテンレール11との間の摩擦力が用いられる。この摩擦力は、駆動部2が電動動作していない状態でも、人手によってカーテン11aを開閉できる程度の弱い摩擦力で構わない。
【0019】
上記構成の電動カーテン1の動作を説明する。駆動部2が移動することにより駆動部2に一体化されているランナ12が移動し、それによりランナ12に吊り下げられたカーテン11aが開閉される。駆動部2のアクチュエータ3を動作させるために、制御部20は、電源10からの直流または交流電流を、適宜のパルス電流に波形整形したり、ベースラインを変更した正弦波に整形したりして、電力の時間制御を行う。制御部20は、操作者による操作器20aの操作によって開閉停止等の指示を受ける。制御部20は、その指示に従って駆動部2を制御し、図1(a)から(c)に示すように、カーテン11aを開閉する。カーテン11aの開閉動作の切り替えは、制御部20に、開、閉、および駆動部2の動作停止の3状態を切り替えるロータリスイッチを設けて(不図示)、操作器20aからの指示により、ロータリスイッチを切り替えるようにすればよい。操作器20aは、例えば、つまみ部を備えて制御部20からぶら下げた紐で構成して、つまみ部の引き下げによってロータリスイッチの切り替えを行えばよい。2つのリミットスイッチを、それらの接点部を互いにカーテンレール11の方向に向かい合わせて配置し、操作器20aをカーテン11aの開または閉の方向に傾けて、一方のリミットスイッチのオン操作を行って、カーテン11aを開閉するようにしてもよい。制御部20や操作器20aは、自走する駆動部2に備えてもよく、壁面などに固定してもよい。
【0020】
駆動部2は、カーテン11aにおける先頭のランナ12だけに備える他、他のランナ12にも備えてもよい。複数の駆動部2を用いる場合、カーテン11aの開時における各駆動部2の間隔はカーテン11aからの引き戻し力によって調整され、カーテン11aの閉時に間隔は駆動部2同士が互いに接触して相互に及ぼす力によって調整される。
【0021】
本実施形態の電動カーテン1によれば、衝撃によって自走する駆動部2によってカーテン11aを開閉するようにしたので、駆動部2の小型化容易性や操作容易性の特性を生かして使い勝手の良い電動カーテンを実現できる。また、駆動部2が自走するので、従来の電動カーテンにおけるリニアモータやワイヤを用いる場合のような、カーテンレールに沿って駆動用構成部品を敷設する必要がない。従って、自走する駆動部2をランナに結合するだけで、既存カーテンを容易に電動化することができる。また、既存のカーテンレールを使用することも容易であり、非電動カーテンの電動化に際して、レールの取替えが不要であり、リニアモータや回転モータおよびプーリとワイヤなどの部品が不要である。
【0022】
(渦電流式のインパクトアクチュエータ)
次に、駆動部2におけるインパクトアクチュエータ3の構成と動作原理について詳細説明する。図2はアクチュエータ3の例を示す。アクチュエータ3は、図2(a)に示すように、互いに離間し同軸に対向配置して一体化された左右の電磁コイル31と、電磁コイル31の間に配置された弾性体30と、各電磁コイル31と弾性体30との間に配置された2つの導電体32と、を備えている。各導電体32は、それぞれ少なくとも弾性体30の伸縮する範囲内で電磁コイル31の軸方向に沿って移動自在に構成されている。電磁コイル31は、その中心軸上に配置された軸棒31aによって一体化され、それぞれコイル枠31bに納められている。導電体32は、例えばアルミニュームなどの良導電体から成るドーナツ状の金属円板であって、軸棒31aによって移動方向が拘束されている。弾性体30は、アクチュエータ3が非駆動状態のとき、導電体32を電磁コイル31に近接させるように伸張している。導電体32と電磁コイル31の近接の度合いは、導電体32に必要な渦電流を発生できる距離であればよい。弾性体30は、例えばコイルバネや板バネ、ゴムなどを用いて構成することができる。アクチュエータ3は、電磁コイル31と導電体32を1つずつ含む組を、軸棒31aに沿って弾性体30の両側に、互いに対称配置となるように備えている。
【0023】
上記構成のアクチュエータ3の動作を説明する。アクチュエータ3は、筐体22および摩擦板23(これらを併せて対象物Mという)に衝撃を与えることにより対象物Mを軸棒31aの方向に移動させる。衝撃によって発生する力を衝撃力または衝撃と称する。対象物Mがその移動に伴ってランナ12(図1)に衝撃を与えることにより、ランナ12が軸棒31aの方向に移動する。電磁コイル31は、電力を与えられることにより、衝撃の発生源となる。対象物Mは、左方の組の動作によって左方に移動され、右方の組の動作によって右方に移動される。そこで、まず、左方の組の動作を説明する。左方の導電体32は、左方の電磁コイル31の通電によって導電体32に発生する渦電流に起因して発生する反発力によって、図2(a)に示すように、右方に反発移動される。すると、弾性体30は、移動する導電体32により圧縮され、その後、その伸張力によって導電体32を左方へ押し戻す。この時点で、電磁コイル31の通電はオフされている。従って、導電体32は、図2(b)に示すように、左方の電磁コイル31に衝突し、その衝突によって左方に向かう衝撃が発生する。対象物Mは、この衝撃によって左方に押されて左方に移動する。制御部20は、必要な渦電流とこれに起因する反発力とが得られるように電流を一気に流すように電磁コイル31への電力制御を行い、導電体32と電磁コイル31との衝突が邪魔されないように電力をオフする。また、制御部20は、このような通電を繰り返すことにより、対象物Mに反復して衝撃を与えて対象物Mをパルス的に左方へ移動させる。図2(c)(d)は、右方の組の動作によって対象物Mを右方に移動する場合を示す。その動作は、図2(a)(b)の場合の動作を左右に反転したものと考えることができる。
【0024】
上述のような衝撃による対象物Mの一方向への移動には、後戻りを防止する機構が必要であり、その機構として摩擦板23を用いる摩擦力発生機構の他に、または、摩擦力発生機構に加えて、ラチェット機構などを用いることができる。ラチェット機構は、例えば、対象物Mが移動するカーテンレールの面に移動方向に沿う線形歯車を設け、線形歯車の歯にかみ合う歯止めを対象物Mに設けて構成する。歯と歯止めとを噛み合わせることによって、歯止めの移動方向、従って、対象物Mの移動方向が一方向に制限される。移動方向を切り替えるには、例えば、電磁石で動作する歯止め切り替え機構を備えて、その機構によって、歯と歯止めとの噛み合わせ方向を逆転すればよい。紐で構成した操作器20aを駆動部2に備えて用いる場合は、操作器20aの操作によって歯と歯止めとの噛み合わせ方向を切り替えるようにしてもよい。
【0025】
上述のように、アクチュエータ3は、左方と右方のいずれの方向であっても対象物Mを移動させることができ、往復駆動が可能な駆動部2を構成する。電動カーテン1は、この駆動部2を用いることにより、カーテン11aを開閉させることができる。また、このような駆動部2は、小型・軽量・安価に実現することができ、電動カーテン1を小型・軽量・安価に実現することができる。駆動部2が、対象物Mに衝撃を反復して与えることにより対象物Mを衝撃の方向に一方的に移動させるためには、前述したように、摩擦板23(対象物M)が移動に際して摩擦力による抵抗を受ける必要がある。対象物Mを左方に移動させる場合に、右方への導電体32の移動と弾性体30への衝突による衝撃が最大静止摩擦力を超えないようにする。また、左方への導電体32の移動と電磁コイル31への衝突による衝撃が最大静止摩擦力を超えるようにする。駆動部2は、この条件を満たす摩擦板23のもとで移動できる。弾性体30は、時間をかけて圧縮されることにより、衝撃を和らげるダンパの役割をしている。
【0026】
(永久磁石式のインパクトアクチュエータ)
図3はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図3(a)に示すように、上述の図2に示したアクチュエータ3において、2つの導電体32を、それぞれに対応して配置される2つの永久磁石33によって置き換えたものである。永久磁石33は、電磁コイル31の通電によって流れるコイル電流と永久磁石33の磁界との相互作用による反発力によって反発移動される。永久磁石33は、導電体32と同様にドーナツ円板状であって、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。この永久磁石33は、電磁コイル31に流れる電流の向きによって、図3(b)に示すように、斥力を受けたり、引力を受けたり(不図示)する。なお、図3(b)には、磁力線を矢印曲線によって示している。
【0027】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、例えば、左方の電磁コイル31と永久磁石33との組について説明する。アクチュエータ3は、永久磁石33に斥力を与えるように電磁コイル31に電流を流し、その後、電流をオフすると、永久磁石33は右方において弾性体30によって受け止められた後、弾性体30によって跳ね返されて、元の電磁コイル31に衝突する。つまり、アクチュエータ3は、上述の渦電流に起因して発生する反発力に代えて、電磁コイル31の通電によって流れるコイル電流と永久磁石33の磁界との相互作用による反発力を用いるものである。図2に示したものと、図3に示したものの折衷構成として、導電体32と永久磁石33とを1つずつ有するものとすることもできる。この構成の場合、左右の動作や構成が互いに対称的に成るとは限らない。逆に、対称的にならないことを利用して、往復動作の特性を違えて、コストや動作特性の最適化を図ることもできる。
【0028】
このアクチュエータ3において、左右の永久磁石33の互いの磁気反発力によって、弾性体30の反発力を代替させて、弾性体30を除去することができる(不図示)。この場合、2つの永久磁石33が互いに近づく場合には、相互の磁気反発力のダンピング効果によって衝突の衝撃が和らげられる。2つの永久磁石33が互いに離反する場合には、相対移動中の永久磁石33が相互に磁力を及ぼして、電磁コイル31に衝突するまでの間、その移動速度を加速し続ける。このことを考慮して、左右の組の間隔は適宜設定される。以上のように永久磁石33と電磁コイル31との反発力を用いるアクチュエータは、渦電流による場合よりもより大きな衝撃を発生させて1回で大きな移動を行える。また、渦電流による場合のジュール熱による発熱がない点、安定にエネルギ効率良く動作できる。
【0029】
(単コイル式のインパクトアクチュエータ)
図4および図5はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図4(a)に示すように、電磁コイル31と、永久磁石33と、ストッパ34と、電磁コイル31に通電する電流を時間制御する制御部20と、を備えている。永久磁石33は、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって電磁コイル31に対して相対移動する。ストッパ34は、永久磁石33の相対移動の範囲を制限するように電磁コイル31と一体化されて被衝突体をなす。このアクチュエータ3では、電磁コイル31への通電により、永久磁石33が被衝突体(すなわち、電磁コイル31とストッパ34のいずれか)と衝突することにより衝撃が発生する。被衝突体は、永久磁石33が衝突する相手(相対移動の相手)を示す用語として用いている。電磁コイル31は、コイル枠に納められ、その中心軸上に配置された軸棒31aによってストッパ34に一体化されている。永久磁石33は、ドーナツ円板状であって、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。この永久磁石33は、電磁コイル31に流れる電流の向きによって、斥力を受けたり、引力を受けたりする。
【0030】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、移動対象物Mを左方に移動させる場合について、図4(a)(b)(c)を参照して説明する。制御部20は、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御することにより、電磁コイル31による引力(J<0、時間t3)と斥力(J>0、時間t5)によって永久磁石33を往復移動させ、引力によって永久磁石33を電磁コイル31に衝突させる。すなわち、永久磁石33は、図4(a)に示すように電磁コイル31とストッパ34の間にある位置から、図4(c)の時間t3における引力によって左方に移動し、図4(b)に示すように電磁コイル31に衝突する。その後、永久磁石33は、図4(c)の時間t5における斥力によって、図4(a)に示す位置に復帰する。このような永久磁石33の動作(時間t3,t5における動作)が繰り返され、対象物Mが左方にパルス的に移動する。図4(c)は、永久磁石33が図4(b)に示すように電磁コイル31側にある状態(初期状態)から、時間t2における斥力によって動作を開始する例を示す。時間t1,t4は駆動調整時間である。
【0031】
対象物Mを右方に移動させる場合について、図5(a)(b)(c)を参照して説明する。図5(a)は、図4(a)と同じ図である。制御部20は、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御することにより、電磁コイル31による斥力(J>0、時間t4)と引力(J<0、時間t5)によって永久磁石33を往復移動させ、斥力によって永久磁石33をストッパ34に衝突させる。すなわち、永久磁石33は、図5(a)に示すように電磁コイル31とストッパ34の間にある位置から、図5(c)の時間t4における斥力によって右方に移動し、図5(b)に示すようにストッパ34に衝突する。その後、永久磁石33は、図5(c)の時間t5における引力によって、図5(a)に示す位置に復帰する。この永久磁石33の動作(時間t4,t5における動作)が繰り返され、対象物Mが右方にパルス的に移動する。ここで、図5(c)の時間t1,t2における永久磁石33の動作を説明する。時間t1では、永久磁石33が初期状態にあると仮定する。初期状態は、コイル電流Jがゼロであり、永久磁石33が電磁コイル31とストッパ34との中間位置(図5(a)の状態)ではなく、永久磁石33が、前述の図4(b)に示すように、電磁コイル31側にある状態である。永久磁石33は、その初期状態において移動範囲の左端にある。永久磁石33が左端の初期状態から右方に移動してストッパ34に衝突する最初の衝突では、時間t2に示すように、コイル電流Jは漸増した後、一定値となるコイル電流Jが流される。時間t2の始めにコイル電流Jを漸増させるのは、急激な離反に起因する反動による移動対象物Mの左方への移動を抑制するためである。
【0032】
上記のように、対象物Mは、永久磁石33が左方の電磁コイル31に衝突することによって左方に移動され、永久磁石33が右方のストッパ34に衝突することによって右方に移動される。従って、対象物Mを左方に移動させる場合には、永久磁石33がストッパ34に衝突しないように電磁コイル31からの磁気力を永久磁石33に及ぼす必要がある。逆に、対象物Mを右方に移動させる場合には、永久磁石33が電磁コイル31に衝突しないように電磁コイル31からの磁気力を永久磁石33に及ぼす必要がある。コイル電流Jを制御する制御部20は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動の一方向において衝突を発生させ、その一方向とは反対方向において衝突を回避させると共に相対移動の方向を反転させる。制御部20は、一方向における衝撃のみを反復して発生させるように、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御する。このような制御部20とアクチュエータ3とを備えた駆動部2は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動のいずれの向きにおいても衝突による衝撃を発生させることができるので、対象物Mの往復移動を実現することができる。また、アクチュエータ3が1つの電磁コイル31に、永久磁石33とストッパ34とを組み合わせて成るので、小型かつ簡単な構成となる。このアクチュエータ3を備えた駆動部2を用いることにより、電動カーテン1を、モータや駆動力伝達装置などを用いる場合に比べて小型・軽量・安価に実現することができる。
【0033】
(コイル移動式のインパクトアクチュエータ)
図6はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図6(a)に示すように、上述の図4(a)に示したアクチュエータ3において、電磁コイル31と永久磁石33とを互いに入れ替え、ストッパ34を別途の永久磁石33に置き換えたものである。すなわち、アクチュエータ3は、互いに離間して同軸配置され軸棒31aの両端に固定された円板状の2つの永久磁石33と、軸棒31aに沿って移動自在とされた電磁コイル31と、を備えている。電磁コイル31は、コイル枠に納められ、中心軸上を軸棒31aによって挿通されている。2つの永久磁石33は、軸棒31aによってストッパ34に一体化されて被衝突体(この場合、電磁コイル31が衝突する相手)をなす。電磁コイル31は、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって、2つの永久磁石33に対して相対移動する。その相対移動の範囲は被衝突体によって(両端の永久磁石33によって)制限される。2つの永久磁石33は、ドーナツ円板状であり、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。
【0034】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、図6(b)(c)により、対象物Mを左方に移動させる場合について説明する。上述のような永久磁石33の間に挟まれた電磁コイル31は、通電されると、図6(c)に示すように、一方の永久磁石33から斥力を受け、他方の永久磁石33から引力を受ける。従って、電磁コイル31は、電磁コイル31に流す電流の向きによって、左方または右方のいずれかに移動方向を選択することができる。そこで、制御部20によって、電磁コイル31のコイル電流を時間制御することにより、図6(b)に示すように、電磁コイル31を左方の永久磁石33に衝突させて対象物Mを左方に移動させることができる。同様に、電磁コイル31を右方の永久磁石33に衝突させて対象物Mを右方に移動させることができる。制御部20は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動の一方向において衝突を発生させ、その一方向とは反対方向において衝突を回避させると共に相対移動の方向を反転させる。制御部20は、一方向における衝撃のみを反復して発生させるように電磁コイル31に通電する電流を時間制御する。制御部20は、このような制御を繰り返すことにより、対象物Mを左方、同様に右方へパルス的に移動させる。
【0035】
(ボイスコイル式のインパクトアクチュエータ)
図7、図8、および図9はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図7(a)(b)(c)に示すように、矩形の磁気回路35の対向する内面にそれぞれ配設された矩形平板状の永久磁石33と、2つの永久磁石33の間で移動自在に配設された電磁コイル31と、不図示の制御部20と、を備えている。そして、電磁コイル31と2つの永久磁石33とは互いに組み合わされてボイスコイル構造とされている。電磁コイル31は、磁気回路35の内部に設けられた磁気回路が挿通(その挿通方向をX軸方向とする)され、この磁気回路部分は各永久磁石33の対向磁極となっている。電磁コイル31は、上部を回転軸受31cによって回動自在に支持されている。また、電磁コイル31の下部には、ハンマ34aが電磁コイル31の一部として設けられている。磁気回路35の外周におけるX軸方向の両端には、ハンマ34aが衝突可能な位置に、ストッパ34が設けられている。永久磁石33とストッパ34とが一体化されて被衝突体が形成されている。
【0036】
永久磁石33による磁界は、X軸方向に直交する水平方向に設定されている。従って、この磁界中に配設された電磁コイル31に通電されると、電磁コイル31は、そのコイル電流の向きに従って、X軸の正方向(右矢印方向)、またはその反対の負方向に移動させる力を受ける。そこで、図8(a)に示すように、電磁コイル31が左向きの力を受けると、電磁コイル31が左側に振り子運動をして、ハンマ34aが左側のストッパ34に衝突し、対象物Mが左方向に移動される。アクチュエータ3の動作を図8(a)(b)に示す状態間で反復して行うために、制御部20は、電磁コイル31に通電する電流を、図9(a)に示す時間変化となるように時間制御する。コイル電流Jは、例えば、正弦関数をコイル電流Jの正方向にシフトさせた関数形になっている。電磁コイル31は、このコイル電流Jの正側では、図8(a)に示すように、左方に振れて左方で衝突し、コイル電流Jの負側では、図8(b)に示すように、中立点に戻り、その後、コイル電流Jの時間変化に従って、左方への移動と衝突を繰り返す。また、アクチュエータ3の動作を図8(b)(c)に示す状態間で反復して行って対象物Mを右方に移動する場合、コイル電流Jは、図9(b)に示すように、正弦関数をコイル電流Jの負方向にシフトさせた時間変化とされる。
【0037】
上述の、図4乃至図9によって説明したアクチュエータ3は、より一般的に、次のように表現することができる。すなわち、アクチュエータ3は、対象物に衝撃を与えることにより該対象物を移動させる装置である。アクチュエータ3は、電磁コイル31と、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって電磁コイル31に対して相対移動する永久磁石33と、ストッパ34と、を備えている。ストッパ34は、前記相対移動の範囲を制限するように電磁コイル31または永久磁石33のいずれかと一体化されて被衝突体を構成している。このようなアクチュエータ3は、電磁コイル31への通電により、被衝突体と該被衝突体に一体化されなかった電磁コイル31または永久磁石33のいずれかとが衝突することにより前記衝撃が発生されるものである。永久磁石33とストッパ34とが被衝突体をなす場合が図4の例である。また、ストッパ34として2個目の永久磁石33を設けて、2つの永久磁石33によって被衝突体をなす場合が図6の例である。また、永久磁石33と2つのストッパ34とによって被衝突体をなす場合が図7、図8の例である。
【0038】
このように、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動のいずれの向きにおいても衝突による衝撃を発生させることができるので、対象物Mの往復移動を実現することができる。また、アクチュエータ3が1つの電磁コイル31に、永久磁石33とストッパ34とを組み合わせて成るので、小型かつ簡単な構成となる。このアクチュエータ3を用いることにより、電動カーテン1を、モータや駆動力伝達装置などを用いて駆動する場合に比べて、小型・軽量・安価に実現することができる。
【0039】
(中立点復帰式のインパクトアクチュエータ)
図10、図11、および図12はさらに他のアクチュエータ3を示す。アクチュエータ3は、図10に示すように、電磁コイル31と、その両端に配置したステータ35aと、これらの電磁コイル31およびステータ35aの中心軸上を往復移動する軸棒31aに一体化されて成る移動質量体3aと、を備えている。移動質量体3aは、電磁コイル31およびステータ35aに対して相対運動を行う。移動質量体3aは、軸棒31aと、ステータ35aの内径側にそれぞれ配置された2つの永久磁石33と、両永久磁石33間に挿入された鉄心35bと、両永久磁石33の両端に配置されたヨーク35cと、2つの衝突頭片37と、衝撃増強錘36と、を備えている。一方のヨーク35cには衝突頭片37が直接接して配置され、他方のヨーク35cには衝突頭片37を介在させて他の衝突頭片37が配置されている。アクチュエータ3は、電磁コイル31、ステータ35a、および移動質量体3aを内蔵する外筒(シールドケース38)と、シールドケース38の両端に配置されて軸棒31aを軸支する軸受板39とをさらに備えている。電磁コイル31およびステータ35aはシールドケース38の内壁に固定されている。図10は、電磁コイル31が通電されていない状態を示す。この状態において、移動質量体3aは、永久磁石33、鉄心35b、ヨーク35c、およびステータ35aによって生じる磁場に起因する引力によって中立点に位置している。
【0040】
軸棒31aは、電磁コイル31およびステータ35aと同心である。軸棒31aを除く移動質量体3aの各構成物は、軸棒31aと同心になるように配置されて、軸棒31aと一体化されている。鉄心35bは、その長さが電磁コイル31の長さと同等である。換言すれば、鉄心35bは、両ステータ35aの間に収まる長さを有する。また、鉄心35bは、円筒の両端部に鍔部を備えた形状を有し、中央部の径が両端部の径よりも小さく形成されている。これにより、鉄心35bの両端部とこれらに近接する各ステータ35aとの間に、磁気抵抗の低い磁気回路が形成される。永久磁石33は、リング形状を有し、その厚み方向(中心軸方向)に磁化されている。2つの永久磁石33は、互いに磁極の方向を逆向きにして鉄心35bの両端に配置されている。永久磁石33の厚みはステータ35aの厚みよりも薄く、永久磁石33およびヨーク35cの厚みの合計はステータ35aの厚みよりも厚い。
【0041】
図10に示す中立状態において、2つの衝突頭片37とこれらに対向する各軸受板39との距離Dは、互いに等距離とされている。軸受板39は、衝突頭片37によって衝突される被衝突体であり、軸棒31aに一体化されて成る移動質量体3aの、電磁コイル31およびステータ35aに対する相対運動の移動範囲を制限する。すなわち、移動質量体3aの可動範囲は距離Dの2倍である(図11参照)。この距離Dは、移動質量体3aがいずれかの衝突頭片37に衝突した位置から、移動質量体3aが永久磁石33とステータ35aとの相互の引力によって中立点に復帰することができる距離以内に設定されている。
【0042】
図11によってアクチュエータ3の動作原理を説明する。電磁コイル31に一定方向に電流を流すと、例えば、図11(a)に磁力線Bで模式的に示すように、磁場が発生する。電磁コイル31の磁場は、2つの永久磁石33の一方による磁場を弱め、他方による磁場を強める。従って、電磁コイル31が発生する磁場によって、永久磁石33、鉄心35b、およびヨーク35cに作用する磁力に非対称性が生じ、移動質量体3aは、白抜き矢印で示すように移動する。電磁コイル31に前記一定方向とは逆方向に電流を流すと、図11(b)に示すように、移動質量体3aは、前記とは逆方向に移動する。また、図11(a)(b)の状態において、コイル電流を切って電磁コイル31による磁場を除くと、移動質量体3aは、永久磁石33とステータ35aとの相互の引力によって、前述の図10に示すように、中立点に復帰する。
【0043】
図12によってアクチュエータ3による左方向への移動の一連の動作を説明する。図12(a)に示すように、アクチュエータ3を摩擦板23を介して、例えば水平な摩擦面Sに載置する。アクチュエータ3と摩擦板23とは互いに一体化されている。この状態で、電磁コイル31は励磁されてなく、移動質量体3aは、中立点にあり、摩擦板23の左方先端は位置x0にある。電磁コイル31に電流を流すと、図12(b)に示すように、移動質量体3aが移動して軸受板39に衝突し、その衝撃によってアクチュエータ3と共に摩擦板23が移動し、その先端は位置x1に至る。衝撃の大きさは、電磁コイル31に流す電流の大きさとその立ち上がりの速さに依存し、より急激かつより大電流を流すことにより、より大きな衝撃を発生させることができる。衝突後に電磁コイル31に流す電流を停止すると、アクチュエータ3の内部の移動質量体3aが、図12(c)に示すように、中立点に復帰する。この復帰移動は、永久磁石33の磁気力によってゆっくり行われるので、摩擦板23と摩擦面Sとの間の静止摩擦力を超えるような反動はなく、摩擦板23の移動はない。また、永久磁石33の磁気力調整や摩擦面Sとの摩擦力調整などの条件設定を行うことにより、中立点への復帰の際に摩擦板23の移動が発生しないようにできる。以下、電磁コイル31に再び電流を流すことにより、図12(d)に示すように、摩擦板23の先端がさらに移動して位置x2に至る。アクチュエータ3は、このような動作の繰り返しによって、対象物Mを介して押されたり、または、引かれたりするように配置された物体(例えば、図1のランナ12)を、間欠的に移動させることができる。
【0044】
(その他のインパクトアクチュエータ)
上記に示した各アクチュエータ3は、電磁コイル31を用いて磁気的に衝撃を発生させるものである。その他のアクチュエータとして、圧電素子を用いるものを電動カーテン1の駆動部2に適用することもできる。例えば、圧電素子と、圧電素子に連結した重りと、を備え、圧電素子に時間制御した電圧を印加することにより、圧電素子を急速に伸ばしたり縮めたりして重りを移動させ、その重りを対象物Mに衝突させるようにアクチュエータを構成することができる。
【0045】
(第1の実施形態の変形例)
図13は第1の実施形態の電動カーテンの変形例を示す。この電動カーテン1は、第1の実施形態におけるカーテンレール11が、その開口溝部を下方ではなく横向きにして天井ではなく壁面に取り付けらられる点、および駆動部2がカーテンレール11の上側に設けられる点が、第1の実施形態と異なる。クランパ4は、C字形状の本体部41と、本体部41の上部側に設けられた調整ねじとコイルバネや板バネやゴムなどの弾性体とを有する付勢部42と、本体部41の下部側に設けられた車輪を有する転動部(カーテンレール11内、不図示)と、を備えている。クランパ4は、いわゆるCクランプにおける力の作用部に、付勢部42と上記転動部とを備えたものである。クランパ4は、付勢部42による適宜の付勢力によって駆動部2をカーテンレール11と共に挟み込んで摩擦板23とカーテンレール11の上面Sとの間に摩擦力を発生させ、転動部による移動容易性によって駆動部2と共にカーテンレール11に沿って移動する。駆動部2とランナ12とは、駆動部2に設けたランナ結合部材24によってカーテンレール11に沿った方向の前後からランナ12を挟み込むことにより、脱着容易に結合され、駆動部2の移動に伴ってランナ12が追随して移動する。この変形例の電動カーテン1によれば、クランパ4がランナ12とは独立に設けられ、駆動部2とランナ12とは簡単なランナ結合部材24によって脱着容易に結合されているので、既存の非電動のカーテンを容易に電動化することができる。
【0046】
(第1の実施形態の他の変形例)
図14、図15は第1の実施形態の電動カーテンの他の変形例を示す。図14に示す電動カーテン1は、一方向にだけ自走できる2個の駆動部2を、互いに逆向きに配置してカーテン11aの端のランナ12に結合させた点が、第1の実施形態の電動カーテン1と異なり、他は同様である。2個の駆動部2は共通の摩擦板23に一体化されている(別体としてもよい)。制御部20は、カーテン11aの開または閉に応じて、いずれか一方の駆動部2を動作させる。
【0047】
(片側駆動のインパクトアクチュエータ)
図15(a)(b)は図14に示した変形例の電動カーテン1に適用される駆動部2におけるアクチュエータ3を示す。アクチュエータ3は、電磁コイル31、導電体32、弾性体30、ストッパ30aをこの順番で配置して構成される。電磁コイル31とストッパ30aとは一体化されている。アクチュエータ3は、図2に示したアクチュエータ3において、一方(右方)の電磁コイル31と導電体32などの組を除いた構成と同等であり、その左方の組の動作も同様である。片側駆動のアクチュエータ3は、両側駆動(往復駆動)のアクチュエータ3よりも小型に構成できるので、電動カーテン1における狭い空間に分散させて配置することができる融通性がある。
【0048】
(第2の実施形態)
図16は第2の実施形態の電動カーテンを示す。この電動カーテン1において、駆動部2は、インパクトアクチュエータ3を動作させる電源10として電池10aを備えており、電池10aと共に移動する。制御部20は、操作者による操作器20aの操作によって開閉停止等の指示を受け、その指示に従って駆動部2を制御し、カーテン11aの開閉動作を行う。この第2の実施形態の電動カーテン1は、駆動部2と共に移動する電池10aを電源として備える点で、上述した第1の実施形態の電動カーテンと異なる。本実施形態の電動カーテン1は、外部に固定配置した電源10を用いないので、電源用配線が不要であり、従って、そのような配線作業が不要であり、駆動部2をカーテンレール11に容易に設置でき、かつ、容易に取り付けて動作させることができる。操作器20aは、駆動部2に近接して、例えば駆動部2の直下に設けることにより、操作信号用の配線を行うことなく、駆動部を制御することができる。
【0049】
(第2の実施形態の変形例)
図17は第2の実施形態の変形例を示す。この変形例の電動カーテン1は、第2の実施形態の電動カーテン1において、駆動部2を遠隔操作するための無線方式のリモコン5と、リモコン5からの操作信号を受信して処理する信号受信部25とを備えるものである。リモコン5は操作器20aに替わるもの、または、これに追加するものであり、カーテン11aの開閉動作や停止動作などを指示するための操作用の複数のボタン5aと、指示信号を駆動部2に向けて、例えば赤外線信号によって発信する発信部5bとを備えている。信号受信部25は、発信部5bからの信号が赤外線信号の場合は、赤外線受信素子などを含む一般的な構成の回路から構成される。このような電動カーテン1によれば、操作器20a(コントローラ)から駆動部2への配線が不要となる。また、リモコン5による電動カーテン1の無線遠隔操作が可能になり、例えば、窓から離れた位置にあるベッド上から、窓辺の電動カーテン1を開閉することが可能になる。また、リモコン5に、タイマー機能、その他の電気回路や操作ボタンを組み込み、所定時刻や所定時間後などに、電動カーテン1を開または閉する信号をリモコン5から駆動部2に向けて自動発信させることにより、使い勝手のよい電動カーテン1を実現できる。
【0050】
(第2の実施形態の他の変形例)
図18(a)(b)は第2の実施形態の他の変形例を示す。図18(a)に示すように、本変形例の電動カーテン1は、両開きカーテンであり、両方のカーテン11aの開閉端に駆動部2が設けられ、各駆動部2に位置センサ26が備えられている。制御部20は、位置センサ26からの位置信号に基づいて駆動部2の移動制御を行う。位置センサ26は、例えば、カーテンレール11に沿って予め配置した凹凸形状、明暗コード、2値反射率のパターンコードなどの明暗や光反射の有無を検出して位置変化に対応する光信号の変化をカウントする光反射型センサやカウンタなどによって構成される。また、位置センサ26は、発光・受光機構を備え、カーテンレール11からの光の反射によって表面の微小な変化を画像として読み取り、センサの移動に伴う画像のズレを計算することで移動を検知する、光学式マウスの動作原理を用いるセンサで構成してよい。この場合、カーテンレール11に沿って予め凹凸形状、明暗コード、2値反射率のパターンコードなどを配置する必要はない。また、駆動部2の移動に伴って機械的に回転する車輪やボールなどの回転体を備えて回転体の回転数から駆動部2の移動距離と位置とを求めるように、位置センサ26を構成してもよい。駆動部2が開閉途中で停止した位置情報を取得するためには、例えば、位置情報を記憶する記憶装置を備え、全開状態や全閉状態において記憶情報の初期化処理や原点復帰処理を行うようにすればよい。また、例えば、位置センサ26を、カーテンレール11に沿う絶対位置を読み取り可能な構成としてもよい。例えば、カーテンレール11に絶対位置を表記しておき、位置センサ26がその表記を読み取るようにすればよい。
【0051】
位置信号に基づく駆動部2の移動制御は、例えば、制御部20に時間計測部を備えて、距離が既知の移動区間を所定の時間で移動するように、時間目標制御方式の制御とすればよい。このような位置センサ26を備えて行う移動制御によれば、両開きカーテンにおける相互の駆動部2の制御状況を考慮することなく、互いに位置情報を参照することなく、所定の時間で、所定の動作確認位置を経由しながら開閉制御を行うことができる。これにより、両開きの電動カーテン1は、左右相互の開閉位置を対応させながら開閉することができ、従って、同時に開または閉動作を終了し、または、所定位置において閉動作や開動作を終了することができる。例えば、電動カーテン1は、図18(b)に示すように、閉動作の際に、左右のカーテン11aを所定位置Pに遅滞なく到着させ、先頭ランナに備えた磁石15を互いに吸着させてカーテン11aを閉じることができる。本変形例によれば、操作者や観察者が、電動カーテン1の開閉動作に対して、カーテン11aの移動の様子に違和感を感じることなくカーテン11aの開閉動作が行われる。
【0052】
次に、引き続き図18(a)(b)を参照して、第2の実施形態のさらに他の変形例を説明する。本変形例は、駆動部2に速度センサ(不図示)を備え、制御部20が速度センサからの速度信号に基づいて駆動部2の移動制御を行うものである。速度センサは、上述の位置センサ26を用いて、制御部20が位置センサ26からの位置情報を処理することにより、位置の時間変化率から速度信号を求める構成とすることができる。また、加速度センサを備えて、制御部20が加速度センサからの加速度情報に基づいて速度を求めるようにしてもよい。なお、電動カーテン1において必要な速度情報は、駆動部2の時々刻々の速度ではなく、例えば、1回または複数回の衝撃発生によって移動する間の平均速度である。このような平均速度が求められることにより、例えば、図18(a)(b)に示すような両開きカーテンの開閉に際して、目標速度と実測速度との差をなくすように駆動部2の移動速度制御を行って目標速度を維持することができる。
【0053】
駆動部2の移動速度の制御は、アクチュエータ3への入力電力における入力電圧、衝撃発生用のパルス時間幅、単位時間当たりの衝撃発生回数などを変化させて行うことができ、これにより高速にしたり低速にしたりすることができる。このような制御は、制御部20において、位置センサ26からの位置信号や速度センサからの速度情報、および目標位置や目標速度に基づいて行われる。目標位置や目標速度は、例えば、制御部20に予め初期設定された数値や、操作器20aやリモコン5(いずれも不図示)からの制御部20への動作指示に基づく数値などである。このような移動制御を行うことにより、カーテンレール11の表面状態の位置変化によって駆動部2の移動に対する抵抗力が位置変化する場合であっても、所定の一定速度で駆動部2移動させて、カーテン11aを一定速度で開閉できる。本変形例によれば、例えば、駆動部2の摩擦板とカーテンレール11との摩擦抵抗の増大や、外力による抵抗付加などによって開閉速度が遅くなった場合に、速度の低下を検知して入力電力を変化させて開閉速度を設定値に追随させることができる。また、両開きのカーテンにおいて両方のカーテン11aの相互の位置を適宜の位置に維持しながら開閉することができる。
【0054】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態とその変形例の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。また、カーテンレール11は、上述した断面C字型のものに限らず、棒状のもの、板状のもの、ワイヤ状のものなど、カーテンを保持すると共にその移動をガイドできるものであればよい。駆動部は、カーテンレールとは別に設けたガイドレール上を移動するようにしてもよい。さらに、駆動部は、カーテンレールに沿って移動するものに限らず、駆動部の動作によってカーテンを開閉できる移動をするものであればよい。従って、例えば、ランナと駆動部とを紐で連結してカーテンを開閉する構成とすることもできる。この場合に、駆動動力方向変換用のプーリなどを用いて駆動部の移動方向をカーテンレールに直交する方向にしたり、ランナの移動方向とは逆向きに駆動部を移動させる構成とすることもできる。また、カーテンレールは、直線状に限らず、例えば、円弧状、その他の任意形状のカーテンレールであってもよい。また、本願発明の電動カーテンは、布製のカーテンのように柔軟なカーテンに限らず、アコーデオンカーテン、折りたたみカーテンなど、カーテンレールに沿って開閉される一般的な開閉装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 電動カーテン
10 電源
10a 電池
11 カーテンレール
11a カーテン
12 ランナ
2 駆動部
3 インパクトアクチュエータ(アクチュエータ)
20 制御部
25 信号受信部
26 位置センサ
4 クランパ
5 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールに沿って開閉自在なカーテンを開閉させる駆動部と、この駆動部に供給する電力を制御する制御部と、を備えた電動カーテンにおいて、
前記駆動部は、電力印加により衝撃を発生しその衝撃力により当該駆動部と共に移動するインパクトアクチュエータを備えていることを特徴とする電動カーテン。
【請求項2】
前記駆動部はカーテンを吊り下げて移動するランナと共に移動することを特徴とする請求項1に記載の電動カーテン。
【請求項3】
前記駆動部とカーテンレールとの間に摩擦力を発生させて前記駆動部の移動の方向をカーテンレールに沿う一方向に制限するクランパを備えることを特徴とする請求項2に記載の電動カーテン。
【請求項4】
前記制御部は電力を制御することによって前記駆動部の移動速度を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電動カーテン。
【請求項5】
前記駆動部は電源として電池を備えて該電池と共に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電動カーテン。
【請求項6】
前記駆動部を遠隔操作するためのリモコンを備え、
前記制御部は前記リモコンからの操作信号を受信する信号受信部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電動カーテン。
【請求項7】
前記駆動部は位置センサを備え、
前記制御部は前記位置センサからの位置信号に基づいて前記駆動部の移動制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電動カーテン。
【請求項8】
前記駆動部は速度センサを備え、
前記制御部は前記速度センサからの速度信号に基づいて前記駆動部の移動制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電動カーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−200293(P2012−200293A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65070(P2011−65070)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】