説明

電動コンバイン

【課題】環境負荷の軽減および作業性を向上させた電動コンバインを提供する。
【解決手段】車両にエンジンおよびバッテリーを搭載し、バッテリーは、インバータI1〜I6を介して電動モータM1〜M6に電力を供給するとともに、エンジンおよび電動モータM1〜M6の各駆動源によって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動し、走行部は、電動モータM3の動力で駆動させるとともに、作業部は、電動モータM1〜M5の動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、エンジンの動力により駆動させるエンジン駆動部とを備え、走行部およびアクチュエータ駆動部の各駆動源には、それぞれの駆動速度を検出する検出器D1〜D6を設けるとともに、各検出器D1〜D6をコントローラCに接続し、かつコントローラCは、各検出器D1〜D6の検出情報に基づいて、対応する電動モータM1〜M6に接続したインバータI1〜I6の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動源に原動機およびアクチュエータを併用する電動コンバイン関し、より詳細には、走行部は、アクチュエータの動力で駆動させるとともに、作業部は、アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、走行部およびアクチュエータ駆動部の各駆動源には、それぞれの駆動速度を検出する検出器を設けるとともに、各検出器をコントローラに接続し、かつコントローラは、各検出の検出情報に基づいて、対応するアクチュエータに接続したインバータの制御を行う電動コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバイン(農作業車両)は、車体に搭載した原動機としてのエンジンの駆動力により、各種機械式の動力伝達機構を介してクローラなどの車両の走行部や、刈取、脱穀など複数の処理部からなる作業部を駆動させていた。しかし、近年、環境問題が重視される中で、大気汚染の軽減や燃費節約の機運が高まっており、動力源として、車両にエンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提唱されている。これは、車両が、エンジンと電動モータの二つの駆動源を持ち、それを使い分けることによって排ガスの低減と燃費を稼ぐものである。その一例として、車両にエンジンや発電機、バッテリー、処理部に設けた電動モータなどを搭載し、エンジンの動力で車両の走行部を駆動させるとともに、このエンジンの駆動により発電機を作動させ、発電した電力を、バッテリーを介して電動モータに供給し、刈取装置や脱穀装置など作業部を駆動させるもの(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
また、作業部として、脱穀部の扱胴を駆動するエンジンとは別個に、扱胴に補助出力用モータを設け、扱胴の駆動に連動させた車速を減少するなどした際、既に刈り取られている穀桿がそのまま脱穀部に搬送されるために搬送量が低減されず、扱胴に過負荷が生じた場合には、補助出力用モータを作動させて、補助出力用モータがエンジンと協働して扱胴を駆動し、扱胴のアシスト制御を行うようにしたもの(例えば、特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−095057号公報
【特許文献2】特開2007−111012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のようなコンバインでは、作業部の駆動源に電動モータを用いており、特に脱穀部における扱胴は、発電機により発電した電力を用いて作動する電動モータにより駆動させている。しかしながら、この扱胴は、重量を有するうえ、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟んだりして回転するため、コンバイン全体の駆動系における全出力の50〜60%前後にも相当する大きな出力を要し、上述した電動モータでは、このような扱胴を十分に回転駆動させることができず、扱胴の回転停止や、それに伴う各作業部への穀稈詰まりなど、作業能率を著しく低下させてしまう問題があった。さらには、エンジンの動力で走行部を駆動させているため、歯車や軸など多数の動力伝達部材を必要とすることから構成を複雑にしている。
【0006】
また、この特許文献1には、走行部の駆動源を電動モータにして、走行部と刈取部の駆動を協調させる開示もあるが、例えば、圃場が、車両で走行し辛いものの、穀稈が多く群生するような条件に変化した場合、これら多量の穀稈を刈り取るため、刈取部を駆動させる電動モータに負荷がかかる結果、この刈取部に協調する走行部は、車速を低下させる。そして、車速の低下に追従して、脱穀部での刈取穀稈を搬送するフィードチェーンの搬送速度も下がるため、刈取部で大量に刈り取った穀稈が、フィードチェーンで詰まってしまい、搬送停止やメンテナンスが必要となり、作業性が低下してしまう問題があった。
【0007】
また、特許文献2のようなコンバインでは、走行部および作業部全ての駆動源は1つのエンジンの駆動力で賄っており、上述したように大きな出力を必要とする扱胴を、このエンジンで駆動させるためには、エンジンの出力を下げることができず、その結果、エンジンを小型化することができない。さらに、バッテリーには、オルタネータなどで発電した低電圧の電力を充電しており、この電力を用いた補助出力用モータでは、扱胴を十分に回転させることができないという問題があった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、車両の駆動源にエンジンとアクチュエータを併用して、扱胴の駆動源のみをエンジン動力にすることで最適な動力配分にし、小型化を可能としたエンジンで扱胴を円滑に駆動させるとともに、走行部と、作業部のアクチュエータ駆動部との駆動を協調させて脱穀効率を向上させた、環境負荷の軽減および作業性を向上させた電動コンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、請求項1に記載の発明は、車両に原動機およびバッテリーを搭載し、前記バッテリーは、インバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、前記走行部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるとともに、前記作業部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、前記原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、前記走行部および前記アクチュエータ駆動部の各駆動源には、それぞれの駆動速度を検出する検出器を設けるとともに、前記各検出器をコントローラに接続し、かつ前記コントローラは、前記各検出の検出情報に基づいて、対応する前記アクチュエータに接続した前記インバータの制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記コントローラは、前記走行部および作業部の各駆動源に各別に設置するとともに、前記車両には、それぞれの前記コントローラを統括制御する統括制御部を設置したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記作業部の前記原動機駆動部は、脱穀部の扱胴としたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記コントローラおよび/または前記統括制御部は、前記走行部と、前記作業部の刈取部および脱穀部とをそれぞれ駆動する前記アクチュエータを協調駆動させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、車両に原動機およびバッテリーを搭載し、バッテリーは、インバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、走行部は、アクチュエータの動力で駆動させるとともに、作業部は、アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、走行部およびアクチュエータ駆動部の各駆動源には、それぞれの駆動速度を検出する検出器を設けるとともに、各検出器をコントローラに接続し、かつコントローラは、各検出の検出情報に基づいて、対応するアクチュエータに接続したインバータの制御を行うので、原動機であるエンジン動力を作業部の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンを必要最小限の大きさに抑えて小型化でき、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0014】
また、検出器が、電動モータで駆動される走行部および作業部の駆動速度を各駆動装置ごとに検出するため、コントローラは、作業状況に応じて走行部および作業部の各駆動装置を、インバータを介して装置別に細かく制御することで、コントローラが作業状態に応じて、処理工程における前後の駆動装置を車速と併せて最適な駆動状態にすることができる。従って、上述した環境負荷を低減させるとともに、作業性を向上させた電動コンバインを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、コントローラは、走行部および作業部の各駆動源に各別に設置するとともに、車両には、それぞれのコントローラを統括制御する統括制御部を設置したので、コントローラは、各コントローラによる各駆動部における駆動速度の検出情報の収集と、統括制御部によるそれら検出情報の解析および各インバータ制御とに分けて作業を分担できることから、1つのコントローラの作業負荷を軽減し、各駆動部を安定的に駆動制御することができる。従って、作業性を向上させた電動コンバインを提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、作業部の原動機駆動部は、脱穀部の扱胴としたので、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴のみをエンジン動力にして、扱胴を円滑に駆動させるとともに、エンジンを必要最小限の大きさに抑えて小型化でき、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。従って、作業性を向上させるとともに環境負荷を軽減させた電動コンバインを提供する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、コントローラおよび/または統括制御部は、走行部と、作業部の刈取部および脱穀部とをそれぞれ駆動するアクチュエータを協調駆動させたので、例えば、刈取穀稈量が増えるとともに車速が低下した場合でも、コントローラは、車速の低下に関わらず、刈取部と、フィードチェーンとの駆動速度を連係させてフィードチェーンの駆動速度を下げないため、脱穀部での搬送穀稈の詰まりなどを防ぐことができる。従って、作業性を向上させた電動コンバインを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る電動コンバインの一例を示した左側面図である。
【図2】電動コンバインの平面図。
【図3】穀稈搬送装置の左側面図である。
【図4】脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【図5】電動コンバインの動力伝達構成図である。
【図6】電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【図7】速度検出器を設置した駆動系各部のコントローラによるブロック図である。
【図8】駆動系各部の詳細を示すコントローラによるブロック図である。
【図9】アクチュエータ駆動部への速度検出器の設置例を示す、フィードチェーン駆動部の斜視図である。
【図10】コントローラによる各駆動系の制御例を示す、走行部と、作業部の刈取部および脱穀部との処理を説明したフローチャートである。
【図11】統括制御部を備える駆動系各部のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての電動コンバインの右側面図、図2は電動コンバインの左側面図、図3は穀稈搬送装置の左側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【0020】
まず、電動コンバイン1は、図1〜3に示すように、左右一対のトラックフレーム2に、左右一対のクローラ式走行装置である走行部3を装設し、これら左右トラックフレーム2に機台4が架設される。また、機台4上には、引起機構8、刈刃9、収穫物搬送手段10などを備える刈取部7や、フィードチェーン18を機体左側に張架し、扱胴6を内蔵する脱穀装置である脱穀部5、排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部11、脱穀部5からの籾を、揚穀筒を介して搬入するグレンタンク12、このグレンタンク12の籾を機外に搬出する搬送部16としての排出オーガ13などが設置される。
【0021】
さらに、機体前部の機台4上には、ハンドル14や運転席15、および運転席15下方には、原動機としてのエンジンEや、後述する発電機DおよびバッテリーBなどが設けられており、これら構成により自脱型の電動コンバイン1が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0022】
そして、機台3の後部には、グレンタンク12内の籾を外部へ排出するための排出オーガ13の縦オーガ13aが立設されるとともに、この縦オーガ16aの上端部には横オーガ13bが連設されている。この縦オーガ13aを中心として、グレンタンク12が左右回動可能に設けられて、グレンタンク12の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。また、機台3の後部には、脱穀部5に連続して穀稈搬送装置17が内設されている。
【0023】
刈取部7で刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置17のフィードチェーン18に受け継がれ、扱胴6の供給始端部を介して脱穀部5および選別部19からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン18後端には、排藁搬送チェーン20が配設され、この排藁搬送チェーン20後部下方には、カッター,結束機などからなる図示しない排藁処理部が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0024】
脱穀部5は、コンバイン1の進行方向左側に配置され、脱穀部4の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設されている。そして、グレンタンク12の前方には運転席15が配設されている。つまり、運転席15は、機体の進行方向右前部に配置されている。一方、グレンタンク12の後方には、排出オーガ13の縦オーガ13aが立設され、縦オーガ16を中心にして排出オーガ13およびグレンタンク12が側方へ回動可能とし、グレンタンク12を側方へ回動することにより機体内側のメンテナンスを容易にしている。
【0025】
そして、グレンタンク12の底部には、後述する排出コンベア12aが前後方向に配設され、該排出コンベアの後部が縦オーガ13aの下部に連通されるとともに、排出コンベア16後部から排出オーガ13に動力が伝達されて、横オーガ13bの先端よりトラックなどに、グレンタンク12内の穀粒を排出できるようにしている。さらに、脱穀部5の下方には、選別部19が配設され、脱穀部5から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク12に搬送したり、藁屑などを機外に排出するようにしている。
【0026】
穀稈搬送装置17は、上述の脱穀部5において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送チェーン20まで搬送するフィードチェーン18と、フィードチェーン18上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆21と、挟扼杆21を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体22などとから構成されている。
【0027】
この穀稈搬送装置17においては、対向配置される挟扼杆21とフィードチェーン18とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室31内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆21とフィードチェーン18とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部5にて脱粒された排藁は、フィードチェーン18の後端部(下流側端部)において、排藁搬送チェーン20へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン20によって、前記排藁処理部へと搬送される。
【0028】
挟扼杆21は、ステー23などによって固設される支持杆24と、支持杆24に複数の弾性支持体22を介して弾性支持して設けられている。この挟扼杆21は、フィードチェーン18に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン18による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0029】
支持杆24は、中空の柱状部材であり、図示しない扱室カバー内の左側において前後方向に長く、挟扼杆21と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆24の側面には、一定間隔ごとに弾性支持体22が、その上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体22の下部に挟扼杆21が弾性支持されている。この弾性支持体22の下部は、挟扼杆21に連結ピンで枢支されており、弾性支持体22の上部は支持杆24よりも上方に延出されている。
【0030】
次に、脱穀部5について説明する。図4に示すように、脱穀部5に形成された扱室31には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、この扱胴6の外周面には複数の扱歯32が植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網33が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン18により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網33から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0031】
続いて、選別部19について説明する。選別部19は、揺動選別装置41による揺動選別と唐箕42による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0032】
揺動選別装置41は、機枠43内に収納される。揺動選別装置41の前端部は、扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置41前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には後述の揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44によって揺動選別装置41が機枠43に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構44の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0033】
揺動選別装置41の前部には、流穀板45が設けられるとともに、この流穀板45の後下方に搬送板46が設けられる。これら流穀板45および搬送板46は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網33を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は、流穀板45および搬送板46上に落下し、揺動選別装置41の揺動により機体後方に搬送される。
【0034】
そして、搬送板46後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ(篩分装置)47が連設されるとともに、このグレンシーブ47と搬送板46の上方、かつ流穀板45の後方には、第一選別部であるチャフシーブ48が被装されている。さらに、チャフシーブ48の後方には、ストローラック49が配設される。
【0035】
チャフシーブ48は、複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することを可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置41に枢支されて、チャフシーブ48左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ48の左右両側に設けられた不図示の摺動板に枢結されている。
【0036】
上記摺動板は、揺動選別装置41と一体的に揺動されるとともに、この摺動板には図示しない調節レバーが枢結されており、該調節レバーに連結された図示しないワイヤの弛緩又は牽引により、この摺動板が前後に摺動される。なお、前記調節レバーは、上述のワイヤと反対側に設けられた図示しないバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0037】
そして、前記摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、このチャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ48の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ48の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0038】
こうして、穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ48を通過して下方に落下し、チャフシーブ48の開口よりも大きい藁屑などは後方に搬送される。このとき、チャフシーブ48とグレンシーブ47との間には、唐箕42により選別部19の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0039】
また、揺動選別装置19における前流穀板45の後部下方かつ後流穀板46の前部下方には唐箕42が配置され、チャフシーブ48やグレンシーブ47に選別風を送風するようにしている。
【0040】
そして、揺動選別装置41の後端部近傍には、吸引ファン50が全幅に横設され、唐箕42から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃などを、吸引ファン50により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0041】
選別部19内に投入され、前流穀板45上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ48上に漏下される過程において、唐箕42により発生する選別部19の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0042】
そして、チャフシーブ48上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、揺動選別装置41の揺動により、後方に搬送される、このとき、これら穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、チャフシーブ48の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ48の後方まで搬送され、ストローラック49を経て機外に排出される。
【0043】
また、チャフシーブ48の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、後流穀板46およびグレンシーブ47上に漏下される。このときも唐箕42からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0044】
さらに、グレンシーブ47上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などのうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑などは、グレンシーブ47を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部51に回収され、後述する一番コンベア51aから図示しない揚穀コンベアを経て、グレンタンク12に搬送される。
【0045】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒などが混じった未処理粒は、唐箕42からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部52に回収され、後述する二番コンベア52aから図示しない二番還元コンベアを経て、前流穀板45上(またはチャフシーブ48上)に再投入される。
【0046】
次に、本願発明の特徴である、車両の駆動源に、原動機としてのエンジンと、アクチュエータとを併用するとともに、コントローラにより各アクチュエータを駆動制御した電動コンバインについて、その具体的構成を説明する。図5は電動コンバインの動力伝達構成図、図6は電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図、図7は速度検出器を設置した駆動系各部のコントローラによるブロック図、図8は駆動系各部の詳細を示すコントローラによるブロック図、図9はアクチュエータ駆動部への速度検出器の設置例を示す、フィードチェーン駆動部の斜視図、図10はコントローラによる各駆動系の制御例を示す、走行部と、作業部の刈取部および脱穀部との処理を説明したフローチャートである。
【0047】
本願発明の電動コンバイン1は、走行部3および脱穀部5や刈取部7など複数の処理部からなる作業部61を構成した駆動系の駆動源を、電動モータM(アクチュエータ)とエンジンE(原動機)とを併用し、作業部61の一部の駆動源を、エンジンEの動力にしたものである。
【0048】
図1にも示したように、車両側部の、例えば、選別部19と、走行部3との間であって、車両前後方向の機台4上には、バッテリーBを複数並設(図例では7個だが、設置数は限定されない)する。このバッテリーは二次電池であり、リチウムイオン電池や、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池など適宜使用することができる。なお、バッテリーBの設置場所は限定しない。
【0049】
また、エンジンE近傍の機台4上には、エンジンEの図示しないクランク軸などに接続した発電機Dが設置されており、この発電機DはバッテリーBに接続されている。従って、エンジンEの動力により駆動させた発電機Dによって発電した比較的電圧の高い電力が、バッテリーBに充電され、後述する車両の駆動系の駆動源に用いられる。
【0050】
なお、エンジンEには、上述した発電機Dの他に、図示しない周知のオルタネータも設置されており、エンジンEの動力により駆動させたオルタネータによって発電した比較的電圧の低い電力が、別途設置した図示しないバッテリーを介して車両のライト、あるいはキャビンを装備する車両においてはエアコンなどの電源に用いられる。
【0051】
これらエンジンEおよび発電機Dを用いた電動コンバイン1の動力伝達構成は、図5に示すように、まず、エンジンEには、発電機Dおよび作業部61を構成する脱穀部5の扱胴6のみが接続される。そして、発電機Dには、バッテリーBが接続されている。
【0052】
また、バッテリーBには、車両の上記扱胴6以外の作業部61であって、刈取部7を駆動させる各駆動部に設置した、刈取部電動モータM1と、脱穀部5を駆動させる扱胴6以外の各駆動部に設置した脱穀部電動モータM2と、選別部19を駆動させる各駆動部に設置した選別部電動モータM3と、排藁処理部11を駆動させる各駆動部に設置した排藁処理部電動モータM4と、搬送部16を駆動させる各駆動部に設置した搬送部電動モータM5とが、それぞれインバータI1〜I5および図示しないドライバを介して接続されている。
【0053】
さらに、バッテリーBには、走行部3を駆動させる駆動部に、走行部電動モータM6が、インバータI6や図示しないドライバを介して接続されている。なお、各電動モータM1〜M6は、アクチュエータの例示であって、その構成は限定されない。
【0054】
つまり、作業部61には、エンジンEの動力により駆動(扱胴6)させる、エンジン駆動部(原動機駆動部)62と、バッテリーBの電力により各モータM1〜M5の動力により駆動させる、扱胴6を除いた脱穀部5を含むアクチュエータ駆動部63とを有する構成とされる。
【0055】
そして、これらエンジンEおよび各電動モータM1〜M6から各駆動系への動力伝達は、図6に示すように、まず、エンジン駆動部62においては、エンジンEの動力は、脱穀クラッチcおよび変速ギアgなどを介してVベルトvにより扱胴6の駆動軸6aに伝達され、扱胴6はエンジンEの動力により駆動する。
【0056】
一方、エンジンEの動力は、発電機Dも駆動させるため、この発電機Dにより発電した電力が、後述する各インバータI1〜I6に接続したバッテリーBに充電される。
【0057】
そして、刈取部7では、例えば、刈取部7全体を駆動させる刈取入力軸7aにインバータI1に接続した刈取部電動モータM1の出力軸を連結する。なお、刈取部7は、引起タインチェン64を備える穀稈引起装置65や、掻込ベルト66を備える穀稈搬送装置67、刈刃駆動ユニット68を有する刈刃装置69などからなる周知の構成であり、これら装置間にはベルトやギアなど周知の機械式伝達機構で動力を中継することができるが、この発明は上記に限定されず、例えば、刈取部7内における各装置を駆動する入力軸にそれぞれインバータを介して電動モータを設置してもよい。
【0058】
また、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動する入力軸18aには、インバータI2に接続した脱穀部電動モータM2が連結されるとともに、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動する各入力軸には、それぞれインバータI3を構成するインバータI3a,I3b,I3c,I3dに接続した選別部電動モータM3を構成する選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dが連結される。
【0059】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動する入力軸には、インバータI4を構成するインバータI4a,I4bに接続した脱穀部電動モータM4を構成する脱穀部電動モータM4a,M4bが連結されるとともに、搬送部16では、縦オーガ13aおよび横オーガ13bに連動する排出コンベア12aを駆動する入力軸に、インバータI5に接続した脱穀部電動モータM5が連結される。
【0060】
次に、走行部3では、上述の図6に示すように、クローラ式走行装置における左右駆動スプロケット3a,3bのそれぞれに接続する左右各車軸3c,3dに、インバータI6を構成するインバータI6a,I6bに接続した走行部電動モータM6を構成する走行部電動モータM6a,M6bが連結される。
【0061】
このような構成にすることで、エンジン動力を作業部61の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化できるとともに、走行部3は、エンジン動力を伝達する機械式の動力伝達部材を必要とせず、走行部3の構成を簡素化することができる。
【0062】
特に、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴6のみをエンジン動力にすることで、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟むなどして回転に大きな負荷がかかる扱胴6でも、円滑に回転駆動させることができるとともに、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化し、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0063】
次に、上述した各駆動系は、コントローラによりそれぞれの駆動速度が制御される。これは、図7に示すように、作業部61のアクチュエータ駆動部63および走行部3の駆動源とされる各電動モータM1〜M6には、それぞれ駆動速度を検出する検出器D1〜D6が設置される。
【0064】
その具体例として、図8に示すように、刈取部7全体を駆動させる刈取部電動モータM1には、検出器D1が設置されるとともに、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動させる脱穀部電動モータM2には、検出器D2が取付けられる。また、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動させる選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dには、それぞれ検出器D3を構成する検出器D3a,D3b,D3c,D3dが設置される。
【0065】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動させる脱穀部電動モータM4a,M4bには、それぞれ検出器D4を構成する検出器D4a,D4bが設置されるとともに、搬送部16を駆動させる脱穀部電動モータM5には、検出器D5が取付けられる。
【0066】
さらに、走行部3を駆動させる走行部電動モータM6a,M6bには、それぞれ検出器D6を構成する検出器D6a,D6bが設置される。
【0067】
上記検出器D1〜D6は、例えば、ロータリーエンコーダやタコ・ジェネレータなど周知の速度検出器を適宜用いることができ、各電動モータM1〜M6近傍に設置して、電動モータM1〜M6の駆動軸の回転速度を検出し、その検出情報をコントローラCに伝達するものである。
【0068】
これら検出器D1〜D6の設置例として、脱穀部5のフィードチェーン18で説明すると、図9に示すように、フィードチェーン18内側の前後両端に内設し、フィードチェーン18を巻回したスプロケットであって、フィードチェーン18の後端側(車両後部側)に備える駆動スプロケット18bに嵌入した入力軸18aには、脱穀部電動モータM2の出力軸18cが連結されており、この出力軸18c(入力軸18aでもよい)の軸周りに、ロータリーエンコーダなどの検出器D2が取付けられる。
【0069】
このようにして、走行部3および作業部61における各駆動部の駆動軸に検出器D1〜D6が取付けられている。なお、図示しないが、検出器は、エンジン動力による扱胴6の駆動軸にも設置させることができ、この場合、扱胴6に設置した検出器をコントローラCに接続するとともに、エンジンEをコントローラCに接続させ、コントローラCによりエンジンEの出力を制御する構成を加えることができる。
【0070】
そして、これら各検出器D1〜D6(D1,D2,D3a,D3b,D3c,D3d,D4a,D4b,D5,D6a,D6b)は、車両に設置したコントローラCに接続されるとともに、このコントローラCには、各インバータI1〜I6(I1,I2,I3a,I3b,I3c,I3d,I4a,I4b,I5,I6a,I6b)や図示しないドライバが接続される。
【0071】
ここで、圃場の作業条件が変化し、例えば、穀稈の群生量が増加しているが、地面の泥濘が多く、悪路になった場合、電動コンバイン1は、多量の穀稈を刈り取るため、刈取部電動モータM1の駆動に負荷をかけ、穀稈引起装置65や、穀稈搬送装置67などの作業効率を上げて、穀稈を大量に刈り取るとともに、刈り取った多量の穀稈が、次々に脱穀部5のフィードチェーン18に搬送される。
【0072】
その一方で、電動コンバイン1は、圃場の泥濘により車両が走行し辛くなっており、走行部3の走行部電動モータM6a,M6bに負荷がかかり、車速が低下する。なお、この場合、扱胴6の回転速度は一定とする。
【0073】
このとき、刈取部電動モータM1に設置した検出器D1が、刈取部電動モータM1の回転速度を検出してコントローラCに伝達するとともに、走行部電動モータM6a,M6bに設置した検出器D6が、走行部電動モータM6a,M6bの回転速度を検出してコントローラCに伝達する。
【0074】
そこで、図10に示すように、コントローラCは、ステップs1で走行部電動モータM6a,M6bの回転速度が低下している場合には、ステップs2に進み、刈取部電動モータM1の回転速度を確認し、刈取部電動モータM1の回転速度が低下している(刈取部7が穀稈を多く刈り取っていない)場合には、フィードチェーン18を駆動させる脱穀部電動モータM2のインバータI2を刈取部電動モータM1の回転速度に応じて制御し、脱穀部電動モータM2の回転速度を低下させる。
【0075】
しかし、コントローラCは、ステップs2において、刈取部電動モータM1の回転速度が低下していない(刈取部7が穀稈を多く刈り取っている)場合には、インバータI2を制御して、脱穀部電動モータM2の回転速度を刈取部電動モータM1の回転速度に応じて制御し、刈取部電動モータM1の回転速度を維持(または上昇)させる。
【0076】
このような構成により、走行部3の車速が低下したにも関わらず、刈取部7で刈り取られた大量の穀稈が、脱穀部5のフィードチェーン18に受け継がれても、コントローラCがフィードチェーン18の搬送速度を低下させず、脱穀部電動モータM2の回転速度を、刈取部電動モータM1の回転速度に協調させる。
【0077】
その結果、フィードチェーン18の搬送速度を上昇または通常速度にすることで、大量の穀稈をフィードチェーン18で詰まらせて、フィードチェーン18を含む前後の駆動装置を停止などさせることなく、フィードチェーン18で穀稈を効率よく搬送し、扱胴6で脱穀処理を行わせることができる。
【0078】
なお、上述とは逆に、車両が、泥濘などから出て、穀稈の群生量が少ない圃場に移動し、車速を上昇させた場合には、コントローラCは、走行部電動モータM6a,M6bの回転速度が上昇しても、穀稈刈取量の減少により、刈取部電動モータM1の回転速度低下に協調して脱穀部電動モータM2の回転速度も低下させることで、不要な電力消費を抑えることができる。
【0079】
上述した、駆動部の駆動速度の制御方法では、1つのコントローラCで各駆動部を制御する構成を説明したが、この構成に限定されず、複数のコントローラを用いて構成させることもできる。
【0080】
この場合、図11に示すように、検出器D1〜D6(D1,D2,D3a,D3b,D3c,D3d,D4a,D4b,D5,D6a,D6b)には、それぞれコントローラC1〜C6が接続されるとともに、各コントローラC1〜C6は、統括制御部C7に接続する。さらに、統括制御部C7は、各インバータI1〜I6(I1,I2,I3a,I3b,I3c,I3d,I4a,I4b,I5,I6a,I6b)に接続される。
【0081】
このような構成にすることで、各コントローラC1〜C6は、各検出器D1〜D6による各駆動部の駆動速度の検出情報を収集し、統括制御部C7は、各コントローラC1〜C6が得た情報に基づいて、情報を解析し、各インバータI1〜I6の制御を行う。
【0082】
その結果、各コントローラC1〜C6は、それぞれの駆動系の駆動状態を正確に収集できるとともに、統括制御部C7は、情報解析および各インバータI1〜I6への制御指示に分けて作業を分担できることから、1つのコントローラの作業負荷を軽減し、各駆動部を安定的に駆動制御することができる。
【0083】
上述では、走行部3と、作業部61の刈取部7および脱穀部5との協調駆動を説明したが、本願発明の電動コンバイン1では、排藁処理部11や選別部19、搬送部16なども含めた全ての駆動部で協調駆動させることが可能であり、作業条件の変化により、各駆動部が、前後の処理工程の駆動速度に協調して適切な駆動速度に迅速に変更されるため、各駆動部における駆動速度の違いなどで生じる装置への処理物の詰まりを防ぎ、効率的に処理を行うことができる。
【0084】
以上詳述したように、この例の電動コンバイン1は、車両にエンジンE(原動機)およびバッテリーBを搭載し、バッテリーBは、インバータI1〜I6を介して電動モータM1〜M6(アクチュエータ)に電力を供給するとともに、エンジンEおよび電動モータM1〜M6の各駆動源によって、車両の走行部3と、複数の処理部からなる作業部61とを駆動し、走行部3は、電動モータM3の動力で駆動させるとともに、作業部61は、電動モータM1〜M5の動力で駆動させるアクチュエータ駆動部63と、エンジンEの動力により駆動させるエンジン駆動部62(原動機駆動部)とを備え、走行部3およびアクチュエータ駆動部63の各駆動源には、それぞれの駆動速度を検出する検出器D1〜D6を設けるとともに、各検出器D1〜D6をコントローラCに接続し、かつコントローラCは、各検出器D1〜D6の検出情報に基づいて、対応する電動モータM1〜M6に接続したインバータI1〜I6の制御を行うものである。
【産業上の利用可能性】
【0085】
なお、この発明は、圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀する、駆動源にエンジンなどの原動機および電動モータを併用したあらゆる電動コンバインに適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
3 走行部
5 脱穀部
6 扱胴
7 刈取部
18 フィードチェーン
61 作業部
62 エンジン駆動部
63 アクチュエータ駆動部
B バッテリー
C,C1〜C6 コントローラ
C7 統括制御部
D 発電機
E エンジン
I1〜I6 インバータ
M1〜M6 電動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に原動機およびバッテリーを搭載し、
前記バッテリーは、インバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、
前記走行部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるとともに、前記作業部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、前記原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、
前記走行部および前記アクチュエータ駆動部の各駆動源には、それぞれの駆動速度を検出する検出器を設けるとともに、前記各検出器をコントローラに接続し、かつ前記コントローラは、前記各検出の検出情報に基づいて、対応する前記アクチュエータに接続した前記インバータの制御を行うことを特徴とする電動コンバイン。
【請求項2】
前記コントローラは、前記走行部および作業部の各駆動源に各別に設置するとともに、前記車両には、それぞれの前記コントローラを統括制御する統括制御部を設置したことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項3】
前記作業部の前記原動機駆動部は、脱穀部の扱胴としたことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項4】
前記コントローラおよび/または前記統括制御部は、前記走行部と、前記作業部の刈取部および脱穀部とをそれぞれ駆動する前記アクチュエータを協調駆動させたことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−193782(P2011−193782A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63588(P2010−63588)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】