説明

電動パワーステアリング装置

【課題】機電一体型電動パワーステアリング装置の減速ギヤボックス、電動モータ、制御ユニット、ステアリングコラムの組立工法を簡素化しながら発熱部材の放熱効果を十分に発揮し、異音の発生を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】機電一体型電動パワーステアリング装置の減速ギヤボックス4と減速ギヤボックス4に固定される制御ユニット19の間に空間を設け、制御ユニット19で弾性部材50を圧縮しながら挟持することで、電動モータのブラシノイズ、回転振動、チルト作動衝撃が制御ユニットに伝播し拡散することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング系に減速ギヤボックス内のウォーム減速機構を介して操舵補助力を伝達する電動モータを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置として、減速ギヤボックスに制御ユニットを装着し、検出した操舵トルクの情報に基づいて制御ユニットが電動モータを駆動制御し、電動モータで発生した操舵補助力をステアリング系にウォーム減速機構を介して伝達する機電一体型の電動パワーステアリング装置が知られている。
【0003】
特許文献1の装置のウォーム減速機構は、減速ギヤボックスのウォーム収納部に収納され、軸受部材を介して回転自在に支持されているウォームと、減速ギヤボックスのウォームホイール収納部に収納され、ウォームに噛み合ってステアリング系に回転力を伝達するウォームホイールとを備えている。
電動モータは、モータケースの一端側の開口部を閉塞するフランジ部材が結合した構成とされ、電動モータの出力軸をウォーム収納部の開口部からウォーム収納部内のウォームに同軸に連結し、フランジ部材の取付けフランジを、ウォーム収納部の開口部の周縁に形成したモータ取付け部に当接してネジ止めして減速ギヤボックスに装着する。
ここで、特許文献1の電動パワーステアリング装置は、制御ユニットの保護カバーに防振部材を取り付けることで、電動モータから制御ユニットに振動が伝達されても、制御ユニットが共振しないようにすることで、異音を抑制するものが開示されている。
【0004】
一方では、特許文献2のように、制御ユニットの放熱性を高めるために減速ギヤボックスと制御ユニットの間に、放熱グリスを配置して制御ユニットの発熱を減速ギヤボックスに伝達させるようにした電動パワーステアリング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−254555号公報
【特許文献2】特開2010−111247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、制御ユニットの保護カバーに防振部材を取り付ける為の手段が必要になってくるので、チルト機構の作動時の衝撃による脱落防止の配慮が必要になる。また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、放熱グリスの塗布工程での飛散を防止する必要があり、電動パワーステアリング装置の組立工程における手間が増える。
【0007】
本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、組立工法を簡素化しながら発熱部材の放熱効果を十分に発揮しながら異音の発生を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための電動パワーステアリング装置は、操舵トルクが伝達されるステアリングシャフトを内装するステアリングコラムと、前記ステアリングシャフトに減速ギヤボックス内の減速機構を介して操舵補助力を伝達する電動モータと、前記電動モータを制御するパワー基板を含む制御ユニットと、を一体的に前記減速ギヤボックスに固定する電動パワーステアリング装置において、前記制御ユニットの外周部に設けた複数の取付部の中心部で、かつ、前記制御ユニットと前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部との間に弾性部材を挟持することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、ステアリングコラムと、電動モータと、制御ユニットと、を一体的に減速ギヤボックスに固定する電動パワーステアリング装置において、制御ユニットの外周部に設けた複数の取付部の中心部で、かつ、制御ユニットと減速ギヤボックスの制御ユニット装着部との間に弾性部材を挟持することで、電動モータのブラシノイズ、回転振動が制御ユニットに伝播し拡散するのを抑制することが可能になる。また、チルト作動時の作動衝撃に対しても振動を抑制することが可能になる。
【0010】
前記制御ユニット装着部には凹溝が成形され、前記凹溝に前記弾性部材を嵌合させてもよい。かかる場合に、制御ユニット装着部には凹溝が成形され、凹溝に弾性部材を嵌合させて取り付けることにより、弾性部材が振動による落下や位置ズレを防止することができる。
【0011】
前記弾性部材は、前記制御ユニットと前記減速ギヤボックスの間で圧縮して取り付けられるとよい。かかる場合に、弾性部材は制御ユニットと減速ギヤボックスの間で圧縮して取り付けられることで、弾性部材が振動による落下や位置ズレを防止できると共に、振動が発生しても常に制御ユニットと減速ギヤボックスに接していることができるので、振動の減衰を行うことができる。
【0012】
前記パワー基板は、前記制御ユニットの前記減速ギヤボックス側に設けられるとともに、前記弾性部材は、熱伝導性フィラーを含有するとよい。かかる場合に、パワー基板を制御ユニットの減速ギヤボックス側に設けることで、パワー基板による発熱が減速ギヤボックスに伝播し易くなり、更に、弾性部材に熱伝導性フィラーを含有することで、パワー基板の発熱を放熱グリスを用いることなく減速ギヤボックスに放熱することができるので、放熱性を確保しながら組立性が改善される。
【0013】
前記弾性部材は、前記制御ユニットの外周部に設けた複数の取付部の中心部で、かつ、前記制御ユニットと前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部との間に複数設けられるとよい。かかる場合に、弾性部材を小型複数にすることで重量の増加を最小限にすることができる。
【0014】
前記弾性部材は、前記減速ギヤボックスの中央部に設けられたトルクセンサ開口部の両縁を、前記制御ユニット装着部に沿って覆うようするとよい。かかる場合に、弾性部材を減速ギヤボックスの中央部に設けられたトルクセンサ開口部の両縁を、制御ユニット装着部に沿って覆うようにしているので、制御ユニットを装着した後でトルクセンサ開口部をシールすることが可能になり、異物混入や水滴進入を防止することができるので、電気的に信頼性の高い電動パワーステアリング装置を提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る機電一体型電動パワーステアリング装置によれば、制御ユニットと減速ギヤボックスの間に空間を設け、弾性部材を配置することで、電動モータのブラシノイズ、回転振動が制御ユニットに伝播し拡散することを防止できる。また、弾性部材を熱伝導性に優れた弾性体とすることで、制御ユニットの放熱を促進させることができ制御ユニットの温度上昇を防止することができる。さらに、チルト作動時の衝撃による制御ユニットへ衝撃を緩和することができるので、チルトスプリングを配置する必要がなくなり、組立工数の削減と部品廃止によるコストダウンが可能となる。またさらに、弾性体をトルクセンサ開口部の両側面まで一体的に延長することで、制御ユニット、トルクセンサ及びトルクセンサ端子部への異物侵入を防止し、電動パワーステアリング装置の電気的なトラブルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を右ハンドル車に 適用した場合の左方向から示した斜視図である。
【図2】電動パワーステアリング装置を車両下方から示した図である。
【図3】制御ユニットの分解斜視図である。
【図4】第一実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。
【図5】第二実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。
【図6】第三実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態の電動パワーステアリング装置を運転席側から見た斜視図であり、図2は、電動パワーステアリング装置を車両下方から見た図であり、図3は、電動パワーステアリング装置の要部を示す縦断面図である。
【0018】
図1,2の符号1はコラム型の電動パワーステアリング装置であり、ステアリングホイール(図示せず)に連結されたステアリングシャフト2を回転自在に内装するステアリングコラム3に、減速ギヤボックス4が連結され、この減速ギヤボックス4に、軸方向がステアリングコラム3の軸方向と直交する方向に延長されたブラシモータで構成される電動モータ5が配設されている。ステアリングシャフト2には、ユニバーサルジョイント60を介してロアシャフト61の一端が連結され、このロアシャフト61の他端にはユニバーサルジョイント62を介してピニオンシャフト(不図示)が連結されている。
【0019】
ステアリングコラム3及び減速ギヤボックス4は、アッパ取付けブラケット6及びロア取付けブラケット7によって車体側に取付けられている。
ロア取付けブラケット7は、取付け板部7aと、この取付け板部7aの下面から左右方向に所定間隔を保って平行に延長する一対の支持板部7bとで形成されている。そして、支持板部7bの下端が、減速ギヤボックス4の車両前方側に一体形成された支持部4bに枢軸7cを介して回動自在に連結されている。また、取付け板部7aにはスリット7dが形成されており、このスリット7dに離脱用カプセル7eが嵌め込まれている。この離脱用カプセル7eにはボルト貫通孔7fが形成されており、離脱用カプセル7eの下方からボルト貫通孔7fに貫通した固定ボルト(図示せず)を車体側部材(図示せず)にねじ込むことで、取付け板部7aが車体側部材に取付けられている。
【0020】
アッパ取付けブラケット6は、一対の取付け板部6aと、これら一対の取付け板部6aを結合する結合板6a1と、一対の取付け板部6aの下端に固定されて左右(車幅)方向に離間している1対の支持板部6bと、これら一対の支持板部6bに形成されたステアリングコラム3を支持するチルト機構6cとを備えている。そして、チルト機構6cのチルトレバー6gを回動させ、ステアリングコラム3の支持状態を解除することにより、ステアリングコラム3をロア取付けブラケット7の枢軸7cを中心として上下にチルト位置調整可能にしている。また、一対の取付け板部6aにはスリット6dが形成されており、このスリット6dに離脱用カプセル6eが嵌め込まれている。この離脱用カプセル6eにはボルト貫通孔6fが形成されており、離脱用カプセル6eの下方からボルト貫通孔6fに貫通した固定ボルト(図示せず)を車体側部材(図示せず)にねじ込むことで、取付け板部6aが車体側部材に取付けられている。
【0021】
ステアリングシャフト2は、図3に示すように、上端がステアリングホイール(図示せず)に連結される入力軸2aと、この入力軸2aの下端にトーションバー2bを介して連結されたトーションバー2bを覆う出力軸2cとで構成されている。
減速ギヤボックス4は、高熱伝導性を有する材料例えばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の何れかを例えばダイキャスト成型することにより形成されている。この減速ギヤボックス4は、図3に示すように、電動モータ5の出力軸(不図示)に連接されたウォーム減速機のウォーム11を収納するウォーム収納部12と、このウォーム収納部12の下側にその中心軸と直交する中心軸を有しウォーム11に噛合するウォームホイール13を収納するウォームホイール収納部14と、このウォームホイール収納部14の車両後方側に一体に同軸的に連結されたトルクセンサ15を収納するトルクセンサ収納部16と、ウォーム収納部12の開放端面に形成された電動モータ5を取付けるモータ取付け部17(図1参照)と、トルクセンサ収納部16の車両後端に形成された筒状のコラム取付け部18と、ウォーム収納部12とウォームホイール収納部14の一部に跨がってウォームホイール収納部14及びトルクセンサ収納部16の中心軸線と直交する平面内に形成された制御ユニット19を装着する制御ユニット装着部20とを備えている。そして、減速ギヤボックス4のコラム取付け部18に、ステアリングコラム3の車両前端部が外嵌されて連結されている。
【0022】
前記トルクセンサ15は、ステアリングシャフト2の入力軸2a及び出力軸2c間の捩じれ状態を磁気的に検出してステアリングシャフトに伝達された操舵トルクを一対の検出コイル15a、15bで検出するように構成され、これら一対の検出コイル15a,15bの巻き始め、及び巻き終わりに夫々ステアリングコラム3の中心軸と直交する方向に平行に外部に突出する外部接続端子15c〜15fが接続され、これら外部接続端子15c〜15fの突出部が、減速ギヤボックス4の中央部に設けられたトルクセンサ開口部16aから車両後方側に向かって、ステアリングコラム3の中心軸と平行にL字状に折り曲げられている。この制御ユニット装着部20に装着される制御ユニット19は、図3に示すように、熱伝動率の高い金属製の放熱プレート21と、パワー基板23と、長方形の合成樹脂製フレーム24と、制御基板25と、樹脂カバー26、金属カバー27とを備えている。
【0023】
放熱プレート21は、制御ユニット装着部20の平坦取付け面に向けて、合成樹脂製フレーム24に固定される。合成樹脂製フレーム24と放熱プレート21は、熱伝導率の良いフィラーを配合した樹脂によって一体的に成形しても良い。パワー基板23は、電動モータ5を駆動制御する電界効果トランジスタ等のパワースイッチング素子で構成されるHブリッジ回路やこのHブリッジ回路のパワースイッチング素子を駆動するパルス幅変調回路等のディスクリート部品が実装され放熱プレート21に密着し、合成樹脂製フレーム24はパワー基板23を囲繞する。制御基板25は、合成樹脂製フレーム24の正面に取付けられ、トルクセンサ15の外部接続端子15c〜15fを直接挿通するスルーホール25a〜25dが穿設され、トルクセンサ15からのトルク検出値や図示しない車速センサからの車速検出値に基づいて操舵補助電流指令値を算出し、この操舵補助電流指令値と電動モータ5に出力するモータ電流の検出値とに基づいて電流フィードバック制御を行ってパワー基板23のパルス幅変調回路への電圧指令値を算出することにより、電動モータ5で発生させる操舵補助力を制御するマイクロコントロールユニット(MCU)やその周辺機器等のディスクリート部品が実装される。樹脂カバー26は、パワー基板23、合成樹脂製フレーム24及び制御基板25を覆い、更に金属カバー27は樹脂カバー26を覆うように合成樹脂製フレーム24に固定されている。
【0024】
また、合成樹脂製フレーム24は、長方形枠状のフレーム本体24aと、このフレーム本体24aの左端に形成され、電動モータ5の接続端子5c,5dに電気的に接続する端子台24cと、右端に固定された雌型コネクタ45とを備えている。雌型コネクタ45は、電源コネクタ45aと、車体の各部の制御機器とのデータの授受を行うCANなどのネットワークに接続する信号コネクタ45bとを備えている。
【0025】
減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20には、樹脂カバー26、パワー基板23、放熱プレート21、合成樹脂製フレーム24及び制御基板25を一体に組み立てた制御ユニット19が、放熱プレート21を背にして、合成樹脂製フレーム24の取付け板部24bが、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部に装着され、同時に、合成樹脂製フレーム24の正面側のスルーホール25a〜25dにトルクセンサ15の外部接続端子15c〜15fを挿通させてから減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部にビス止めされる。その後、外部接続端子15c〜15fとスルーホール25a〜25dとを半田付けした後に金属カバー27は合成樹脂製フレーム24にビス止めにて固定される。
【0026】
次に、上記実施形態の各実施形態の動作を図面を参照して説明する。
図1に示すように、減速ギヤボックス4は、電動モータ5、制御ユニット19、チルト機構6cを有するステアリングコラム3を一体にしている。その為、電動モータ5が作動すると、ブラシノイズや振動などの作動音や、チルト作動による衝撃が制御ユニット19に伝播しやすく、振動、作動音、衝撃の抑制手段が必要になる。また、電動モータ5が作動すると、制御ユニット19のパワー基板23が発熱し、放熱プレート21に伝播する。
【0027】
第一実施例では、図4に示すように、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20には、弾性部材50が制御ユニット装着部20の中央部に貼付されている。減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20に制御ユニット19を装着すると、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20と放熱プレート21の間には隙間Aを保ちながら弾性部材50が圧縮され固定される。この圧縮による弾性力が制御ユニット19の振動、作動音、衝撃を減衰することが可能になる。特に、振動波の腹となる振動の大きな部分、すなわち放熱プレート21の中央部で、制御ユニット19の外周部のビス止め部の中心部に位置する部分に弾性部材50を設けることで減衰効果を高めることができる。その結果、チルト作動の落下防止に用いられるチルトバネを廃止することもできる。また、弾性部材は、NBR(二トリルゴム)、HNBR(水素化二トリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、VMQ(シリコンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、ACM(アクリルゴム)IIR(ブチルゴム)、U(ウレタンゴム)などの耐熱限界温度の高い材料を基に、熱伝導性が高いフィラーである酸化アルミニウムや
チッ化ホウ素等を混合させたゴムシートの成形体を用いることで、パワー基板23の発熱が放熱プレート21を介して、減速ギヤボックス4に伝播させることができる。
【0028】
減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20には、弾性部材50が制御ユニット装着部20の中央部に貼付されているが、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20に凹溝20aを設けて弾性部材50を嵌め込んでも良く、また、制御ユニット装着部20を凸形状とし弾性部材50に凹溝を成形し、凹凸嵌合させて保持させても良い。この場合、弾性部材50が振動などで脱落することを防止することができる。
【0029】
第二実施例では、図5に示すように、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20には、小型円形状の弾性部材50aが制御ユニット装着部20の中央部に複数貼付されている。減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20に制御ユニット19を装着すると、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20と放熱プレート21の間には隙間Aを保ちながら弾性部材50aが圧縮され固定される。この圧縮による弾性力が制御ユニット19の振動、作動音、衝撃を減衰することが可能になる。特に、振動波の腹となる振動の大きな部分、すなわち放熱プレート21の中央部で、制御ユニット19の外周部のビス止め部の中心部に位置する部分に弾性部材50aを設けることで減衰効果を高めることができる。その結果、チルト作動の落下防止に用いられるチルトバネを廃止することもできる。また、熱伝導性が高いフィラーである酸化アルミニウムや
チッ化ホウ素等を混合させたゴムシートの成形体を用いることで、パワー基板23の発熱が放熱プレート21を介し、減速ギヤボックス4に伝播させることができる。
【0030】
第二実施例においても第一実施例と同様に、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20には、弾性部材50aが制御ユニット装着部20の中央部に貼付されているが、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20に凹溝を設けて弾性部材50aを嵌め込んでも良く、また、制御ユニット装着部20を凸形状とし弾性部材50aに凹溝を成形し、凹凸嵌合させて保持させても良い。この場合、弾性部材50aが振動などで脱落することを防止することができる。
【0031】
第三実施例では、図6に示すように、第一実施例同様に、減速ギヤボックス4の制御ユニット装着部20には、弾性部材50bが制御ユニット装着部20の中央部に貼付されている。制御ユニット19の振動、作動音、衝撃の減衰効果及び放熱効果は実施例一と同様であるが、更に弾性部材50bは、減速ギヤボックス4の中央部に設けられたトルクセンサ開口部16aの両側面に沿ってシール部51bが一体的に延在して設けられており、トルクセンサ15への外部からの異物進入を防止するになっている。これにより電動パワーステアリング装置の電気的なトラブルを防止することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングシャフト、2a…入力軸、2b…トーションバー、2c…出力軸、3…ステアリングコラム、4…減速ギヤボックス、4b…支持部、5…電動モータ、6…アッパ取付けブラケット、7…ロア取付けブラケット、11…ウォーム、12…ウォーム収納部、13…ウォームホイール、14…ウォームホイール収納部、15…トルクセンサ、15a,15b…検出コイル、15c〜15f…外部接続端子、16…トルクセンサ収納部、17…モータ取付け部、18…コラム取付け部、19…制御ユニット、20…制御ユニット装着部、20a…凹溝、21…放熱プレート、23…パワー基板、24…合成樹脂製フレーム、24b…取付け板部、24c…端子台、25…制御基板、25a〜25d…スルーホール、26…樹脂カバー、27…金属カバー、32,33…
ネジ、50…弾性部材、50a…弾性部材、50b…弾性部材、51b…シール部、60…ユニバーサルジョイント、61…
ロアシャフト、62…ユニバーサルジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵トルクが伝達されるステアリングシャフトを内装するステアリングコラムと、前記ステアリングシャフトに減速ギヤボックス内の減速機構を介して操舵補助力を伝達する電動モータと、前記電動モータを制御するパワー基板を含む制御ユニットと、を一体的に前記減速ギヤボックスに固定する電動パワーステアリング装置において、前記制御ユニットの外周部に設けた複数の取付部の中心部で、かつ、前記制御ユニットと前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部との間に弾性部材を挟持することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記制御ユニット装着部には凹溝が成形され、前記凹溝に前記弾性部材を嵌合させたことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記制御ユニットと前記減速ギヤボックスの間で圧縮して取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
前記パワー基板は、前記制御ユニットの前記減速ギヤボックス側に設けられるとともに、前記弾性部材は、熱伝導性フィラーを含有していることを特徴とする請求項1から3に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記制御ユニットの外周部に設けた複数の取付部の中心部で、かつ、前記制御ユニットと前記減速ギヤボックスの制御ユニット装着部との間に複数設けられることを特徴とする請求項1から4に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記減速ギヤボックスの中央部に設けられたトルクセンサ開口部の両縁を、前記制御ユニット装着部に沿って覆うようになっていることを特徴とする請求項1から5に記載の電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176632(P2012−176632A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39153(P2011−39153)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】