電動パワーステアリング装置
【課題】一方のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いが他方のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いに対して与える悪影響を低減し得る電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】デュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置において、アシスト側となるラックバー30の軸方向他端側における第2ラック歯R2の周方向反対側に突出部33を設けると共に、該突出部33の周方向両側に1対の凹部34,34を設け、さらにこれら凹部34,34のうち当該ラックバー30の支持に供する被サポート面34a,34aについて、その内角θが90度より大きく180度よりも小さく設定した。
【解決手段】デュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置において、アシスト側となるラックバー30の軸方向他端側における第2ラック歯R2の周方向反対側に突出部33を設けると共に、該突出部33の周方向両側に1対の凹部34,34を設け、さらにこれら凹部34,34のうち当該ラックバー30の支持に供する被サポート面34a,34aについて、その内角θが90度より大きく180度よりも小さく設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのラック歯を有する1つのラック軸に操舵側及びアシスト側に係る1対のピニオン軸が噛合することにより構成される、いわゆるデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイールに連係して操舵力の伝達に供する第1ピニオンギヤと、操舵アシスト力を発生させる電動機に連係して操舵アシスト力の伝達に供する第2ピニオンギヤと、を分離して構成することで当該装置のレイアウト性の向上が図られ、これによって、他の装置との干渉を回避可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−39032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の電動パワーステアリング装置では、2つの両ピニオンギヤと1つのラックバーとが常に噛合しているために、一方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いが他方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いに悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる技術的課題に鑑みて案出されたものであり、一方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いが他方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いに対して与える悪影響を低減し得る電動パワーステアリング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、操舵側とアシスト側とにそれぞれ連係される別異の第1、第2ピニオンギヤと、該各ピニオンギヤにそれぞれ噛合する第1、第2ラック歯が形成されたラックバーとを備えた電動パワーステアリング装置において、とりわけ、ラックバーにおける第2ラック歯の形成領域につき、第2ラック歯の周方向反対側に突出部が設けられると共に、該突出部の周方向両側に当該ラックバーの支持に供する1対の凹部が設けられ、該各凹部を構成する1対の構成面の成す角が90度より大きく180度よりも小さくなるように形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、ラックバーのアシスト側における被支持部に90度より大きい内角を有する面によって構成される1対の凹部を設けたことで、ラックバーに作用する捩り方向の力に基づくラックバーの回転変位を抑制することが可能となる。この結果、第1ピニオンギヤと第1ラック歯との噛み合いへ及ぶ悪影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の正面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の第1実施形態を示し、図1に示す操舵系ラック・ピニオン構成部に係る縦断面図である。
【図3】図1に示すアシスト系ラック・ピニオン構成部に係る縦断面図である。
【図4】図1に示すラックバーの斜視図である。
【図5】図4に示すラックバーをA方向から見た矢視図である。
【図6】図4に示すラックバーをB方向から見た矢視図である。
【図7】図2の部分拡大図である。
【図8】図3の部分拡大図である。
【図9】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る電動パワーステアリング装置の作用効果の説明に供するラックバーの横断面図である。
【図11】従来の電動パワーステアリング装置に係るラックバーの横断面図である。
【図12】一方向操舵においてラックバーに操舵アシストトルクが作用した状態を示す図であって、(a)は図5に相当する図、(b)は図6に相当する図である。
【図13】他方向操舵においてラックバーに操舵アシストトルクが作用した状態を示す図であって、(a)は図5に相当する図、(b)は図6に相当する図である。
【図14】本発明に係る電動パワーステアリング装置の第2実施形態を示し、図2に相当する操舵系ラック・ピニオン構成部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電動パワーステアリング装置の各実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、下記の各実施形態では、本発明に係る電動パワーステアリング装置を、従来と同様、自動車に適用したものを示している。
【0011】
図1〜図13は本発明の第1実施形態を示しており、この電動パワーステアリング装置は、図1に示すように、図外のステアリングホイールに連係され、運転者の操舵力を図外の転舵輪へ伝達する操舵系ラック・ピニオン構成部10と、電動機である電動モータMに連係され、該電動モータMにより発生させた操舵アシスト力を図外の転舵輪へ伝達するアシスト系ラック・ピニオン構成部20と、を備えてなるものであり、一対のブラケット40,40を介して車体に取り付けられる。
【0012】
すなわち、この電動パワーステアリング装置は、図1〜図4に示すように、図外のステアリングホイールに連係する第1出力軸11と、前記電動モータMに連係する第2出力軸21と、が1つのラックバー30を共有するかたちで構成され、当該ラックバー30を介して運転者による操舵力及び電動モータMによる操舵アシスト力が図外の転舵輪へと伝達される。
【0013】
前記操舵系ラック・ピニオン構成部10は、図2に示すように、その一端側が図外のステアリングホイールと一体回転可能に連係する入力軸12と、その一端側がトーションバー13を介して入力軸12の他端側に相対回転可能に連結された第1出力軸14と、該第1出力軸14の回転運動をラックバー30の直線運動へと変換することで転舵に供する第1ラック・ピニオン機構11と、入力軸12の外周側に配置され、当該入力軸12と第1出力軸14の相対回転変位量に基づき操舵入力トルクを検出するトルクセンサ15と、から主として構成されている。
【0014】
前記第1ラック・ピニオン機構11は、第1出力軸14の他端部外周に形成された第1ピニオン歯P1(本発明に係る第1ピニオンギヤ)と、第1出力軸14の他端側にほぼ直交するかたちで配置されるラックバー30の軸方向一端側の所定範囲に形成される第1ラック歯R1(図5参照)と、が噛合してなり、第1出力軸14の回転方向に応じてラックバー30が軸方向へと移動することで、当該ラックバー30の両端部に連係される図外の転舵輪の向きが変更されるようになっている。
【0015】
一方、前記アシスト系ラック・ピニオン構成部20は、図3に示すように、所定の減速機構を介して電動モータMの駆動軸に連係される第2出力軸22と、該第2出力軸22の回転運動をラックバー30の直線運動へと変換することで転舵に供する第2ラック・ピニオン機構21と、から主として構成されている。なお、前記減速機構については、後述する第2ハウジング42の上部側に設けられた第1ギヤ収容部内に収容されるもので、電動モータMの駆動軸先端に連結されるウォームシャフト23と、第2出力軸22の基端部外周に固定されたウォームホイール24と、からなるウォーム歯車によって構成されている。
【0016】
前記第2ラック・ピニオン機構21は、第2出力軸22の先端部外周に形成された第2ピニオン歯P2(本発明に係る第2ピニオンギヤ)と、第2出力軸22の先端部にほぼ直交するかたちで配置されるラックバー30の軸方向他端側の所定範囲に形成される第2ラック歯R2(図6参照)と、が噛合してなり、第1ラック・ピニオン機構11と同様に、第2出力軸22の回転方向に応じてラックバー30が軸方向へ移動することとなる。この際、電動モータMが前記トルクセンサ15による検出結果や図外の車輪等に配設された車速センサからの車速信号等に基づき制御され、これによって、運転者の操舵トルクに応じた適切な操舵アシストトルクが図外の転舵輪に伝達されることとなる。
【0017】
前記ラックバー30は、特に図4〜図6に示すように、2つの軸部材を接合してなるもので、第1ラック歯R1が形成された第1部材31と、第2ラック歯R2が形成された第2部材32と、が所定角度(本実施形態では90°)分だけ相互に位相をずらした状態で接合されることによって構成されている。
【0018】
前記第1部材31は、特に図5〜図7に示すように、その全体がほぼ丸棒状に構成されたものであって、その所定の軸方向範囲に第1ラック歯R1が一面状に鍛造され、当該第1ラック歯R1が形成された部位を除き、その横断面がほぼ円形状となるように構成されている(図7参照)。換言すれば、前記一面状の第1ラック歯R1と、その周方向反対側の部分(背部)に形成される円形部B1と、により、第1ラック歯R1を有する第1ラック歯形成部が構成されている。そして、かかる第1部材31は、その円筒状に形成された一端部が摩擦圧接によって第2部材32の一端部に接合される。
【0019】
前記第2部材32は、特に図5、図6及び図8に示すように、第2ラック歯R2の形成領域が異形状に構成されたものであって、その所定の軸方向範囲に第2ラック歯R2が前記第1ラック歯R1と同様に一面状に鍛造されると共に、その背部が横断面Y字状となるように鍛造され、第2ラック歯R2の形成されていない両端部32a,32bのみがほぼ円筒状に形成されている(図8参照)。換言すれば、前記一面状の第2ラック歯R2と、その背部に形成される異形部B2と、により、第2ラック歯R2を有する第2ラック歯形成部が構成されている。また、この第2部材32は、その一端部32aの外端側が段差縮径状に形成されることで第1部材31の一端部とほぼ同径に形成され、前記摩擦圧接によって第1部材31と段差なく接合される。
【0020】
なお、前記第2ラック歯形成部における異形部B2は、図8に示すように、第2ラック歯R2の周方向反対側に設けられ、前記両円筒部32a,32bの外縁よりも径方向外側へ突出する突出部33と、該突出部33の周方向両側に設けられ、前記両円筒部32a,32bの外縁よりも径方向内側へと窪む1対の凹部34,34と、から構成されていて、前記1対の凹部34,34には、後述する第2ラックリテーナ52により支持される一対の被サポート面34a,34aが構成されている。そして、この一対の被サポート面34a,34aは、当該第2部材32の周方向において、その縦断面がほぼ円弧状に、かつ、外方(第2ラックリテーナ52側)へ凸となるように形成されていて、これら両者34a,34aの成す角は、90度より大きく、かつ、180度よりも小さい所定角度θとなるように設定されている。
【0021】
また、前記ラックバー30の一端側(第1部材31)と第1出力軸14とは、図1及び図2に示すように、2つに分割して構成されたハウジングのうち第1ハウジング41の下部側に設けられたギヤ収容部内にて収容されている。このギヤ収容部は、ラックバー30の一端側を軸方向へ移動可能に収容するラック収容室43と、該ラック収容室43と交差するようにラックバー30の一端側正面(第1ラック歯R1)に臨むように配置され、第1出力軸14を回転自在に収容する第1ピニオン収容室44と、から構成されていて、これら両収容室43,44の連通部において、ラックバー30と第1出力軸14とが噛合することとなる。
【0022】
また、前記第1ハウジング41内には、ラック収容室43に対してほぼ直交するかたちで穿設され、一端側が外部へと開口して他端側がラックバー30の一端側背面に臨むようにして構成されたほぼ円筒状の第1リテーナ収容部45が設けられていて、かかる第1リテーナ収容部45内には、ラックバー30と第1出力軸14との適正な噛み合い状態を保持する第1リテーナ機構が収容されている。
【0023】
この第1リテーナ機構は、図2及び図7に示すように、ラックバー30の一端側背面に隣接して配置され、その一端側に形成された縦断面ほぼ円弧凹状の(縦断面がほぼ円弧状で、かつ、内方へ凸となるように構成された)サポート面51a(本発明に係る支持部)を介してラックバー30の一端側の支持に供する第1ラックリテーナ51と、第1リテーナ収容部45の一端部に螺着され、当該第1リテーナ収容部45の一端開口を閉塞すると共に、当該第1リテーナ収容部45内における軸方向位置により後述する第1コイルばね55に対する予圧の調整に供する第1調整部材53と、第1ラックリテーナ51の他端部に穿設された凹部51b内において第1調整部材53によって予圧が付与された状態で保持され、第1ピニオン歯P1に対し第1ラック歯R1を噛み合わせる方向へラックバー30を付勢する第1コイルばね55と、第1ラックリテーナ51とラックバー30との間に介装され、該ラックバー30の摺動の円滑化に供する第1摺動部材57と、から構成されている。
【0024】
前記第1ラックリテーナ51は、第1リテーナ収容部45内において微小な径方向隙間をもって軸方向へ摺動自在に収容されていて、かかる径方向隙間は、当該第1ラックリテーナ51の他端側外周に嵌着された周知のOリング59,59によって閉塞されることで、第1リテーナ収容部45内が液密に保持されるようになっている。なお、このOリング59,59は、第1リテーナ収容部45内に第1ラックリテーナ51を弾性的に保持することによって、当該第1ラックリテーナ51の適切な軸心位置を確保する役割も担っている。
【0025】
また、前記第1リテーナ収容部45の一端側内周面には軸方向の所定領域に雄ねじ部が形成されている一方、第1調整部材53の外周面には前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されていて、かかるねじ構造をもって第1調整部材53が第1リテーナ収容部45の一端部内周に螺着されることによって、第1コイルばね55の予圧を調整しつつ第1ラックリテーナ51を保持できるようになっている。この際、第1コイルばね55は、第1ラックリテーナ51の外端面と第1調整部材53の内端面の各中央部に対向配置される一対の凹部51b,53aをもって、第1リテーナ収容部45内にて支持される。
【0026】
一方、前記ラックバー30の他端側(第2部材32)と第2出力軸22とは、図1及び図3に示すように、前記分割形成された他方のハウジングである第2ハウジング42の下部側に設けられた第2ギヤ収容部内にて収容されている。ここで、第1ハウジング41と第2ハウジング42とは、それぞれの接合端部に形成されたフランジ部41a,42aを介して複数のボルト50により連結されている(図1参照)。なお、この際、前記両ハウジング41,42は、前記両フランジ部41a,42aにおいて周方向へ延設された長孔41b,42bを介して連結されていて、当該長孔41b,42bの周方向幅の範囲において相対回転可能に構成されている。これにより、前記両ハウジング41,42を前記両部材31,32の位相角θに合わせて高い精度で形成する必要が無く、装置の製造コストの低廉化等が図られている(図9参照)。
【0027】
前記第2ギヤ収容部は、前記第1ハウジング41に係るギヤ収容部と同様に、ラックバー30を軸方向へ移動可能に収容するラック収容室46と、該ラック収容室46と交差するようにしてラックバー30の他端側正面(第2ラック歯R2)に臨むように配置され、第2出力軸22を回転自在に収容する第2ピニオン収容室47と、から構成されていて、これら両収容室46,47の連通部において、ラックバー30と第2出力軸22とが噛合することとなる。
【0028】
また、前記第2ハウジング42内には、前記第1ハウジング41と同様に、ラック収容室46に対してほぼ直交するかたちで穿設され、一端側が外部へと開口し他端側がラックバー30の他端側背面に臨むように構成されたほぼ円筒状の第2リテーナ収容部48が設けられていて、この第2リテーナ収容部48内には、ラックバー30と第2出力軸22との適正な噛み合い状態を保持する第2リテーナ機構が収容されている。
【0029】
この第2リテーナ機構は、図3及び図8に示すように、ラックバー30の他端側背面に隣接して配置され、その一端側に形成された縦断面ほぼ円弧凹状の(縦断面がほぼ円弧状で、かつ、内方へ凸となるように構成された)サポート面52a(本発明に係る支持部)を介してラックバー30の他端側の支持に供する第2ラックリテーナ52と、第2リテーナ収容部48の一端部に螺着され、当該第2リテーナ収容部48の一端開口を閉塞すると共に、当該第1リテーナ収容部45内における軸方向位置により後述する第2コイルばね56に対する予圧の調整に供する第2調整部材54と、第2ラックリテーナ52の他端部に穿設された凹部52b内において第2調整部材54によって予圧が付与された状態で保持され、第2ピニオン歯P2に対し第2ラック歯R2を噛み合わせる方向へラックバー30を付勢する第2コイルばね56と、第2ラックリテーナ52とラックバー30との間に介装され、該ラックバー30の摺動の円滑化に供する第2摺動部材58と、から構成されている。
【0030】
前記第2ラックリテーナ52は、前記第1ラックリテーナ51と同様、第2リテーナ収容部48内において微小な径方向隙間をもって軸方向へ摺動自在に収容されていて、当該第2ラックリテーナ52の他端側外周に嵌着された周知のOリング59,59により前記径方向隙間が閉塞されている。そして、第2リテーナ収容部48の一端側内周面に雄ねじ部が、第2調整部材54の外周面に前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部それぞれ形成されていて、かかるねじ構造をもって第2調整部材54が第2リテーナ収容部48の一端部内周に螺着されることによって、第2コイルばね56の予圧を調整しつつ第2ラックリテーナ52が保持される。この際、第2コイルばね56は、第2ラックリテーナ52の外端面と第2調整部材54の内端面の各中央部に対向配置される一対の凹部52b,54aをもって、第2リテーナ収容部48内にて支持される。
【0031】
また、前記第2ラックリテーナ52のサポート面52a,52aについては、その曲率52rがラックバー30の被サポート面34a,34aの曲率34rよりも大きくなるように設定されている(図8参照)。
【0032】
以下、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の特徴的な作用効果について、図2及び図3を参照しつつ、図10〜図13に基づいて説明する。
【0033】
前述のように、前記電動パワーステアリング装置では、前記各ラック・ピニオン機構11,21において、前記各コイルばね55,56によりラックバー30に対して予圧F1,F2を付与することによって、前記各ピニオン歯P1,P2と前記各ラック歯R1,R2とのバックラッシュがゼロになるように設定されている。
【0034】
しかしながら、この際、前記各ラック・ピニオン機構11,21にて前記各出力軸14,22からラックバー30へ入力される荷重は、図12や図13に示すように、運転者からの入力荷重である操舵トルクに対し電動モータMからの入力荷重である操舵アシストトルクの方が遙かに大きく、この操舵アシストトルクT2については前記予圧F2のみでは抑えることができないことから、ラックバー30について、当該操舵アシストトルクT2により、ラジアル方向(捩り方向)にロールモーメントM1を、また、アキシアル方向(軸方向)にピッチングモーメントM2を、それぞれ招来してしまうこととなる。
【0035】
すると、これにより、入力荷重の小さい操舵側(第1部材31側)については前記ロールモーメントM1に負けてしまい、ラックバー30が図中左側へと移動する一方向転舵の場合には、図12(b)に示すように、噛合方向に作用する力が低減され、操舵側において前記両歯P1,R1間がいわゆる片当たりとなってしまい、かかる噛み合い不足によってラトル音の発生等の不具合を招来してしまう。また、逆方向転舵(ラックバー30が図中右側へと移動する他方向転舵)の場合には、前記ピッチングモーメントM2に負けてしまうことで、図13(b)に示すように、操舵側において、前記予圧F1に前記ピッチングモーメントM2により増大した操舵アシストトルクT2に対する反力(径方向成分RT2)が加わることから、前述した一方向転舵の場合とは反対に、噛合方向に作用する力が過大となってしまい、均一となる適切な操舵フィーリングが得られないといった問題を招来してしまう。
【0036】
そこで、本実施形態では、かかる入力荷重の大きいラックバー30の他端側を、その横断面がほぼY字形状(異形状)となるように、かつ、被サポート面34a,34aの成す角ωが90度より大きく180度よりも小さくなるように形成した第2部材32によって構成するようにしたことから、図10及び図11に示すように、所定の支持幅Lにおけるラックバー1(第2部材32)に対する第2ラックリテーナ52の支持点S2を、縦断面ほぼ円形状に構成された従来のラックバーに係る支持点S1よりも第2部材32の中心Cへ近づけることが可能となる。
【0037】
すなわち、前記第2ラックリテーナ52の支持点S2が第2部材32の中心Cへと近づくことにより、前記両歯P2,R2の噛み合い点Eからの距離Xが短くなる分、前記ロールモーメントM1を低減することが可能となり、これによって、当該ロールモーメントM1に基づいたラックバー30のラジアル方向の変位を抑制することができる。この結果、第1ラック・ピニオン機構11における前記両歯P1,R1間の片当たりが抑制され、当該両歯P1,R1間の適正な噛み合いが得られることとなり、前記ラトル音の発生等の不具合を低減することができる。
【0038】
また、前記第2ラックリテーナ52の支持点S2が第2部材32の中心Cへ近づくことにより、当該第2部材32の中心Cと支持点S2との間の角度δが拡大することとなって、操舵アシストトルクT2に対向する力(前記予圧F2(径方向成分F2y))を増大させることが可能となり(図10と図11を比較参照)、これによって、前記ピッチングモーメントM2が低減され、当該ピッチングモーメントM2に基づいたラックバー30のアキシアル方向の変位を抑制することもできる。この結果、前記逆方向転舵の場合に、操舵側において前記予圧F1に操舵アシストトルクT2に対する反力(径方向成分RT2y)が加わるとしても、前記ピッチングモーメントM2を抑制できる分、前記噛合方向に作用する力の増大化を抑制することが可能となり、操舵フィーリングを均一に近づけることができる(図13(b)参照)。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、アシスト側となる前記ラックバー30の他端側を、その被サポート面34a,34aの成す角θが90度より大きく180度よりも小さくなるように設定された横断面ほぼY字形状となるように構成したことにより、ラックバー30に作用する前記ロールモーメントM1に基づく当該ラックバー30のラジアル方向の変位を抑制することが可能となる。この結果、操舵側となる第1ラック・ピニオン機構11における前記両歯P1,R1間の噛み合いに及ぶ悪影響を低減することができる。
【0040】
さらには、かかる特異な構成により、前記アシスト側の大きな操舵アシストトルクによって招来されるピッチングモーメントM2に基づいて操舵側の噛合方向に作用する力を低減することも可能となり、これによって、第1ラック・ピニオン機構11における適切な噛み合いが得られ、均一な操舵フィーリングの確保に供される。
【0041】
また、前記電動パワーステアリング装置では、特に前記ラックバー30の他端側における被サポート面34a,34aと、該被サポート面34a,34aを支持するサポート面34a,34aと、が同一の方向に凸となる円弧状縦断面を有する構成となっていると共に、サポート面52a,52aの曲率52rが被サポート面34a,34aの曲率34rより大きくなるように設定されていることから、特に大きな荷重が作用するアシスト側においてラックバー30に入力荷重が作用する際の当該ラックバー30(被サポート面34a,34a)に対するサポート面52a,52aの追従性を向上させることができる。
【0042】
また、ラックバー30の他端側を前記Y字形状に形成したことにより、当該ラックバー30の軽量化にも供されることとなり、装置の軽量化は勿論のこと、操舵レスポンスの向上にも寄与できる。
【0043】
なお、かかる異形なラックバー30の形成にあたっては、前記分割構成した両部材31,32を前記摩擦圧接等によって接合するようにすることで、製造コストの増大化を抑制することができる。
【0044】
図14は本発明に係る電動パワーステアリング装置の第2実施形態を示したものであって、前記第1ラックリテーナの配置を変更したものである。なお、かかる構成以外の基本的構成については前記第1実施形態と同様であるため、当該第1実施形態と同一の構成及び作用については、当該第1実施形態と同一の符号を付すことによってその説明を省略する。
【0045】
すなわち、本実施形態では、前記第1出力軸14に対しラックバー30を図中斜め上方へと押し上げるかたちで支持するように第1ラックリテーナ51が配設されている。
【0046】
より具体的には、前記第1ラックリテーナ51の進退移動方向が、第1出力軸14(第1ピニオン歯P1)からラックバー30(第1ラック歯R1)へと作用するロールモーメントM1の作用方向よりも、第2出力軸22(第2ピニオン歯P2)からラックバー30(第2ラック歯R2)に作用するロールモーメントM2の作用方向に近い方向となるように構成されている。
【0047】
かかる構成とすることで、第2出力軸22から受けるロールモーメントM1を第1ラックリテーナ51にてさらに効率よく受けることが可能となり、当該ロールモーメントM1に基づくラトル音の発生等といった前記操舵側に対する悪影響をより一層低減することができる。
【0048】
本発明は前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば第1部材31と第2部材32との位相角など、ラックバー30の具体的な形状については、電動パワーステアリング装置の用途や仕様等に応じて自由に変更することができる。
【0049】
また、前記両ハウジング41,42は、必ずしも分割して構成されている必要はなく、一体に構成することも可能である。この場合は、特に組立作業工程を短縮することができ、生産性の向上等に貢献することができる。
【符号の説明】
【0050】
14…第1出力軸(第1ピニオンギヤ)
22…第2出力軸(第2ピニオンギヤ)
30…ラックバー
33…突出部
34…凹部
34a…被サポート面(凹部を構成する面)
51…第1ラックリテーナ
52…第2ラックリテーナ
52a…サポート面(支持部)
55…第1コイルばね(第1付勢部材)
56…第2コイルばね(第2付勢部材)
M…電動モータ(電動機)
P1…第1ピニオン歯(第1ピニオンギヤ)
P2…第2ピニオン歯(第2ピニオンギヤ)
R1…第1ラック歯
R2…第2ラック歯
θ…成す角(凹部を構成する両面の成す角度)
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのラック歯を有する1つのラック軸に操舵側及びアシスト側に係る1対のピニオン軸が噛合することにより構成される、いわゆるデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイールに連係して操舵力の伝達に供する第1ピニオンギヤと、操舵アシスト力を発生させる電動機に連係して操舵アシスト力の伝達に供する第2ピニオンギヤと、を分離して構成することで当該装置のレイアウト性の向上が図られ、これによって、他の装置との干渉を回避可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−39032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の電動パワーステアリング装置では、2つの両ピニオンギヤと1つのラックバーとが常に噛合しているために、一方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いが他方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いに悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる技術的課題に鑑みて案出されたものであり、一方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いが他方側のピニオンギヤとラックバーとの噛み合いに対して与える悪影響を低減し得る電動パワーステアリング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、操舵側とアシスト側とにそれぞれ連係される別異の第1、第2ピニオンギヤと、該各ピニオンギヤにそれぞれ噛合する第1、第2ラック歯が形成されたラックバーとを備えた電動パワーステアリング装置において、とりわけ、ラックバーにおける第2ラック歯の形成領域につき、第2ラック歯の周方向反対側に突出部が設けられると共に、該突出部の周方向両側に当該ラックバーの支持に供する1対の凹部が設けられ、該各凹部を構成する1対の構成面の成す角が90度より大きく180度よりも小さくなるように形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、ラックバーのアシスト側における被支持部に90度より大きい内角を有する面によって構成される1対の凹部を設けたことで、ラックバーに作用する捩り方向の力に基づくラックバーの回転変位を抑制することが可能となる。この結果、第1ピニオンギヤと第1ラック歯との噛み合いへ及ぶ悪影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の正面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の第1実施形態を示し、図1に示す操舵系ラック・ピニオン構成部に係る縦断面図である。
【図3】図1に示すアシスト系ラック・ピニオン構成部に係る縦断面図である。
【図4】図1に示すラックバーの斜視図である。
【図5】図4に示すラックバーをA方向から見た矢視図である。
【図6】図4に示すラックバーをB方向から見た矢視図である。
【図7】図2の部分拡大図である。
【図8】図3の部分拡大図である。
【図9】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る電動パワーステアリング装置の作用効果の説明に供するラックバーの横断面図である。
【図11】従来の電動パワーステアリング装置に係るラックバーの横断面図である。
【図12】一方向操舵においてラックバーに操舵アシストトルクが作用した状態を示す図であって、(a)は図5に相当する図、(b)は図6に相当する図である。
【図13】他方向操舵においてラックバーに操舵アシストトルクが作用した状態を示す図であって、(a)は図5に相当する図、(b)は図6に相当する図である。
【図14】本発明に係る電動パワーステアリング装置の第2実施形態を示し、図2に相当する操舵系ラック・ピニオン構成部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電動パワーステアリング装置の各実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、下記の各実施形態では、本発明に係る電動パワーステアリング装置を、従来と同様、自動車に適用したものを示している。
【0011】
図1〜図13は本発明の第1実施形態を示しており、この電動パワーステアリング装置は、図1に示すように、図外のステアリングホイールに連係され、運転者の操舵力を図外の転舵輪へ伝達する操舵系ラック・ピニオン構成部10と、電動機である電動モータMに連係され、該電動モータMにより発生させた操舵アシスト力を図外の転舵輪へ伝達するアシスト系ラック・ピニオン構成部20と、を備えてなるものであり、一対のブラケット40,40を介して車体に取り付けられる。
【0012】
すなわち、この電動パワーステアリング装置は、図1〜図4に示すように、図外のステアリングホイールに連係する第1出力軸11と、前記電動モータMに連係する第2出力軸21と、が1つのラックバー30を共有するかたちで構成され、当該ラックバー30を介して運転者による操舵力及び電動モータMによる操舵アシスト力が図外の転舵輪へと伝達される。
【0013】
前記操舵系ラック・ピニオン構成部10は、図2に示すように、その一端側が図外のステアリングホイールと一体回転可能に連係する入力軸12と、その一端側がトーションバー13を介して入力軸12の他端側に相対回転可能に連結された第1出力軸14と、該第1出力軸14の回転運動をラックバー30の直線運動へと変換することで転舵に供する第1ラック・ピニオン機構11と、入力軸12の外周側に配置され、当該入力軸12と第1出力軸14の相対回転変位量に基づき操舵入力トルクを検出するトルクセンサ15と、から主として構成されている。
【0014】
前記第1ラック・ピニオン機構11は、第1出力軸14の他端部外周に形成された第1ピニオン歯P1(本発明に係る第1ピニオンギヤ)と、第1出力軸14の他端側にほぼ直交するかたちで配置されるラックバー30の軸方向一端側の所定範囲に形成される第1ラック歯R1(図5参照)と、が噛合してなり、第1出力軸14の回転方向に応じてラックバー30が軸方向へと移動することで、当該ラックバー30の両端部に連係される図外の転舵輪の向きが変更されるようになっている。
【0015】
一方、前記アシスト系ラック・ピニオン構成部20は、図3に示すように、所定の減速機構を介して電動モータMの駆動軸に連係される第2出力軸22と、該第2出力軸22の回転運動をラックバー30の直線運動へと変換することで転舵に供する第2ラック・ピニオン機構21と、から主として構成されている。なお、前記減速機構については、後述する第2ハウジング42の上部側に設けられた第1ギヤ収容部内に収容されるもので、電動モータMの駆動軸先端に連結されるウォームシャフト23と、第2出力軸22の基端部外周に固定されたウォームホイール24と、からなるウォーム歯車によって構成されている。
【0016】
前記第2ラック・ピニオン機構21は、第2出力軸22の先端部外周に形成された第2ピニオン歯P2(本発明に係る第2ピニオンギヤ)と、第2出力軸22の先端部にほぼ直交するかたちで配置されるラックバー30の軸方向他端側の所定範囲に形成される第2ラック歯R2(図6参照)と、が噛合してなり、第1ラック・ピニオン機構11と同様に、第2出力軸22の回転方向に応じてラックバー30が軸方向へ移動することとなる。この際、電動モータMが前記トルクセンサ15による検出結果や図外の車輪等に配設された車速センサからの車速信号等に基づき制御され、これによって、運転者の操舵トルクに応じた適切な操舵アシストトルクが図外の転舵輪に伝達されることとなる。
【0017】
前記ラックバー30は、特に図4〜図6に示すように、2つの軸部材を接合してなるもので、第1ラック歯R1が形成された第1部材31と、第2ラック歯R2が形成された第2部材32と、が所定角度(本実施形態では90°)分だけ相互に位相をずらした状態で接合されることによって構成されている。
【0018】
前記第1部材31は、特に図5〜図7に示すように、その全体がほぼ丸棒状に構成されたものであって、その所定の軸方向範囲に第1ラック歯R1が一面状に鍛造され、当該第1ラック歯R1が形成された部位を除き、その横断面がほぼ円形状となるように構成されている(図7参照)。換言すれば、前記一面状の第1ラック歯R1と、その周方向反対側の部分(背部)に形成される円形部B1と、により、第1ラック歯R1を有する第1ラック歯形成部が構成されている。そして、かかる第1部材31は、その円筒状に形成された一端部が摩擦圧接によって第2部材32の一端部に接合される。
【0019】
前記第2部材32は、特に図5、図6及び図8に示すように、第2ラック歯R2の形成領域が異形状に構成されたものであって、その所定の軸方向範囲に第2ラック歯R2が前記第1ラック歯R1と同様に一面状に鍛造されると共に、その背部が横断面Y字状となるように鍛造され、第2ラック歯R2の形成されていない両端部32a,32bのみがほぼ円筒状に形成されている(図8参照)。換言すれば、前記一面状の第2ラック歯R2と、その背部に形成される異形部B2と、により、第2ラック歯R2を有する第2ラック歯形成部が構成されている。また、この第2部材32は、その一端部32aの外端側が段差縮径状に形成されることで第1部材31の一端部とほぼ同径に形成され、前記摩擦圧接によって第1部材31と段差なく接合される。
【0020】
なお、前記第2ラック歯形成部における異形部B2は、図8に示すように、第2ラック歯R2の周方向反対側に設けられ、前記両円筒部32a,32bの外縁よりも径方向外側へ突出する突出部33と、該突出部33の周方向両側に設けられ、前記両円筒部32a,32bの外縁よりも径方向内側へと窪む1対の凹部34,34と、から構成されていて、前記1対の凹部34,34には、後述する第2ラックリテーナ52により支持される一対の被サポート面34a,34aが構成されている。そして、この一対の被サポート面34a,34aは、当該第2部材32の周方向において、その縦断面がほぼ円弧状に、かつ、外方(第2ラックリテーナ52側)へ凸となるように形成されていて、これら両者34a,34aの成す角は、90度より大きく、かつ、180度よりも小さい所定角度θとなるように設定されている。
【0021】
また、前記ラックバー30の一端側(第1部材31)と第1出力軸14とは、図1及び図2に示すように、2つに分割して構成されたハウジングのうち第1ハウジング41の下部側に設けられたギヤ収容部内にて収容されている。このギヤ収容部は、ラックバー30の一端側を軸方向へ移動可能に収容するラック収容室43と、該ラック収容室43と交差するようにラックバー30の一端側正面(第1ラック歯R1)に臨むように配置され、第1出力軸14を回転自在に収容する第1ピニオン収容室44と、から構成されていて、これら両収容室43,44の連通部において、ラックバー30と第1出力軸14とが噛合することとなる。
【0022】
また、前記第1ハウジング41内には、ラック収容室43に対してほぼ直交するかたちで穿設され、一端側が外部へと開口して他端側がラックバー30の一端側背面に臨むようにして構成されたほぼ円筒状の第1リテーナ収容部45が設けられていて、かかる第1リテーナ収容部45内には、ラックバー30と第1出力軸14との適正な噛み合い状態を保持する第1リテーナ機構が収容されている。
【0023】
この第1リテーナ機構は、図2及び図7に示すように、ラックバー30の一端側背面に隣接して配置され、その一端側に形成された縦断面ほぼ円弧凹状の(縦断面がほぼ円弧状で、かつ、内方へ凸となるように構成された)サポート面51a(本発明に係る支持部)を介してラックバー30の一端側の支持に供する第1ラックリテーナ51と、第1リテーナ収容部45の一端部に螺着され、当該第1リテーナ収容部45の一端開口を閉塞すると共に、当該第1リテーナ収容部45内における軸方向位置により後述する第1コイルばね55に対する予圧の調整に供する第1調整部材53と、第1ラックリテーナ51の他端部に穿設された凹部51b内において第1調整部材53によって予圧が付与された状態で保持され、第1ピニオン歯P1に対し第1ラック歯R1を噛み合わせる方向へラックバー30を付勢する第1コイルばね55と、第1ラックリテーナ51とラックバー30との間に介装され、該ラックバー30の摺動の円滑化に供する第1摺動部材57と、から構成されている。
【0024】
前記第1ラックリテーナ51は、第1リテーナ収容部45内において微小な径方向隙間をもって軸方向へ摺動自在に収容されていて、かかる径方向隙間は、当該第1ラックリテーナ51の他端側外周に嵌着された周知のOリング59,59によって閉塞されることで、第1リテーナ収容部45内が液密に保持されるようになっている。なお、このOリング59,59は、第1リテーナ収容部45内に第1ラックリテーナ51を弾性的に保持することによって、当該第1ラックリテーナ51の適切な軸心位置を確保する役割も担っている。
【0025】
また、前記第1リテーナ収容部45の一端側内周面には軸方向の所定領域に雄ねじ部が形成されている一方、第1調整部材53の外周面には前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されていて、かかるねじ構造をもって第1調整部材53が第1リテーナ収容部45の一端部内周に螺着されることによって、第1コイルばね55の予圧を調整しつつ第1ラックリテーナ51を保持できるようになっている。この際、第1コイルばね55は、第1ラックリテーナ51の外端面と第1調整部材53の内端面の各中央部に対向配置される一対の凹部51b,53aをもって、第1リテーナ収容部45内にて支持される。
【0026】
一方、前記ラックバー30の他端側(第2部材32)と第2出力軸22とは、図1及び図3に示すように、前記分割形成された他方のハウジングである第2ハウジング42の下部側に設けられた第2ギヤ収容部内にて収容されている。ここで、第1ハウジング41と第2ハウジング42とは、それぞれの接合端部に形成されたフランジ部41a,42aを介して複数のボルト50により連結されている(図1参照)。なお、この際、前記両ハウジング41,42は、前記両フランジ部41a,42aにおいて周方向へ延設された長孔41b,42bを介して連結されていて、当該長孔41b,42bの周方向幅の範囲において相対回転可能に構成されている。これにより、前記両ハウジング41,42を前記両部材31,32の位相角θに合わせて高い精度で形成する必要が無く、装置の製造コストの低廉化等が図られている(図9参照)。
【0027】
前記第2ギヤ収容部は、前記第1ハウジング41に係るギヤ収容部と同様に、ラックバー30を軸方向へ移動可能に収容するラック収容室46と、該ラック収容室46と交差するようにしてラックバー30の他端側正面(第2ラック歯R2)に臨むように配置され、第2出力軸22を回転自在に収容する第2ピニオン収容室47と、から構成されていて、これら両収容室46,47の連通部において、ラックバー30と第2出力軸22とが噛合することとなる。
【0028】
また、前記第2ハウジング42内には、前記第1ハウジング41と同様に、ラック収容室46に対してほぼ直交するかたちで穿設され、一端側が外部へと開口し他端側がラックバー30の他端側背面に臨むように構成されたほぼ円筒状の第2リテーナ収容部48が設けられていて、この第2リテーナ収容部48内には、ラックバー30と第2出力軸22との適正な噛み合い状態を保持する第2リテーナ機構が収容されている。
【0029】
この第2リテーナ機構は、図3及び図8に示すように、ラックバー30の他端側背面に隣接して配置され、その一端側に形成された縦断面ほぼ円弧凹状の(縦断面がほぼ円弧状で、かつ、内方へ凸となるように構成された)サポート面52a(本発明に係る支持部)を介してラックバー30の他端側の支持に供する第2ラックリテーナ52と、第2リテーナ収容部48の一端部に螺着され、当該第2リテーナ収容部48の一端開口を閉塞すると共に、当該第1リテーナ収容部45内における軸方向位置により後述する第2コイルばね56に対する予圧の調整に供する第2調整部材54と、第2ラックリテーナ52の他端部に穿設された凹部52b内において第2調整部材54によって予圧が付与された状態で保持され、第2ピニオン歯P2に対し第2ラック歯R2を噛み合わせる方向へラックバー30を付勢する第2コイルばね56と、第2ラックリテーナ52とラックバー30との間に介装され、該ラックバー30の摺動の円滑化に供する第2摺動部材58と、から構成されている。
【0030】
前記第2ラックリテーナ52は、前記第1ラックリテーナ51と同様、第2リテーナ収容部48内において微小な径方向隙間をもって軸方向へ摺動自在に収容されていて、当該第2ラックリテーナ52の他端側外周に嵌着された周知のOリング59,59により前記径方向隙間が閉塞されている。そして、第2リテーナ収容部48の一端側内周面に雄ねじ部が、第2調整部材54の外周面に前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部それぞれ形成されていて、かかるねじ構造をもって第2調整部材54が第2リテーナ収容部48の一端部内周に螺着されることによって、第2コイルばね56の予圧を調整しつつ第2ラックリテーナ52が保持される。この際、第2コイルばね56は、第2ラックリテーナ52の外端面と第2調整部材54の内端面の各中央部に対向配置される一対の凹部52b,54aをもって、第2リテーナ収容部48内にて支持される。
【0031】
また、前記第2ラックリテーナ52のサポート面52a,52aについては、その曲率52rがラックバー30の被サポート面34a,34aの曲率34rよりも大きくなるように設定されている(図8参照)。
【0032】
以下、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の特徴的な作用効果について、図2及び図3を参照しつつ、図10〜図13に基づいて説明する。
【0033】
前述のように、前記電動パワーステアリング装置では、前記各ラック・ピニオン機構11,21において、前記各コイルばね55,56によりラックバー30に対して予圧F1,F2を付与することによって、前記各ピニオン歯P1,P2と前記各ラック歯R1,R2とのバックラッシュがゼロになるように設定されている。
【0034】
しかしながら、この際、前記各ラック・ピニオン機構11,21にて前記各出力軸14,22からラックバー30へ入力される荷重は、図12や図13に示すように、運転者からの入力荷重である操舵トルクに対し電動モータMからの入力荷重である操舵アシストトルクの方が遙かに大きく、この操舵アシストトルクT2については前記予圧F2のみでは抑えることができないことから、ラックバー30について、当該操舵アシストトルクT2により、ラジアル方向(捩り方向)にロールモーメントM1を、また、アキシアル方向(軸方向)にピッチングモーメントM2を、それぞれ招来してしまうこととなる。
【0035】
すると、これにより、入力荷重の小さい操舵側(第1部材31側)については前記ロールモーメントM1に負けてしまい、ラックバー30が図中左側へと移動する一方向転舵の場合には、図12(b)に示すように、噛合方向に作用する力が低減され、操舵側において前記両歯P1,R1間がいわゆる片当たりとなってしまい、かかる噛み合い不足によってラトル音の発生等の不具合を招来してしまう。また、逆方向転舵(ラックバー30が図中右側へと移動する他方向転舵)の場合には、前記ピッチングモーメントM2に負けてしまうことで、図13(b)に示すように、操舵側において、前記予圧F1に前記ピッチングモーメントM2により増大した操舵アシストトルクT2に対する反力(径方向成分RT2)が加わることから、前述した一方向転舵の場合とは反対に、噛合方向に作用する力が過大となってしまい、均一となる適切な操舵フィーリングが得られないといった問題を招来してしまう。
【0036】
そこで、本実施形態では、かかる入力荷重の大きいラックバー30の他端側を、その横断面がほぼY字形状(異形状)となるように、かつ、被サポート面34a,34aの成す角ωが90度より大きく180度よりも小さくなるように形成した第2部材32によって構成するようにしたことから、図10及び図11に示すように、所定の支持幅Lにおけるラックバー1(第2部材32)に対する第2ラックリテーナ52の支持点S2を、縦断面ほぼ円形状に構成された従来のラックバーに係る支持点S1よりも第2部材32の中心Cへ近づけることが可能となる。
【0037】
すなわち、前記第2ラックリテーナ52の支持点S2が第2部材32の中心Cへと近づくことにより、前記両歯P2,R2の噛み合い点Eからの距離Xが短くなる分、前記ロールモーメントM1を低減することが可能となり、これによって、当該ロールモーメントM1に基づいたラックバー30のラジアル方向の変位を抑制することができる。この結果、第1ラック・ピニオン機構11における前記両歯P1,R1間の片当たりが抑制され、当該両歯P1,R1間の適正な噛み合いが得られることとなり、前記ラトル音の発生等の不具合を低減することができる。
【0038】
また、前記第2ラックリテーナ52の支持点S2が第2部材32の中心Cへ近づくことにより、当該第2部材32の中心Cと支持点S2との間の角度δが拡大することとなって、操舵アシストトルクT2に対向する力(前記予圧F2(径方向成分F2y))を増大させることが可能となり(図10と図11を比較参照)、これによって、前記ピッチングモーメントM2が低減され、当該ピッチングモーメントM2に基づいたラックバー30のアキシアル方向の変位を抑制することもできる。この結果、前記逆方向転舵の場合に、操舵側において前記予圧F1に操舵アシストトルクT2に対する反力(径方向成分RT2y)が加わるとしても、前記ピッチングモーメントM2を抑制できる分、前記噛合方向に作用する力の増大化を抑制することが可能となり、操舵フィーリングを均一に近づけることができる(図13(b)参照)。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、アシスト側となる前記ラックバー30の他端側を、その被サポート面34a,34aの成す角θが90度より大きく180度よりも小さくなるように設定された横断面ほぼY字形状となるように構成したことにより、ラックバー30に作用する前記ロールモーメントM1に基づく当該ラックバー30のラジアル方向の変位を抑制することが可能となる。この結果、操舵側となる第1ラック・ピニオン機構11における前記両歯P1,R1間の噛み合いに及ぶ悪影響を低減することができる。
【0040】
さらには、かかる特異な構成により、前記アシスト側の大きな操舵アシストトルクによって招来されるピッチングモーメントM2に基づいて操舵側の噛合方向に作用する力を低減することも可能となり、これによって、第1ラック・ピニオン機構11における適切な噛み合いが得られ、均一な操舵フィーリングの確保に供される。
【0041】
また、前記電動パワーステアリング装置では、特に前記ラックバー30の他端側における被サポート面34a,34aと、該被サポート面34a,34aを支持するサポート面34a,34aと、が同一の方向に凸となる円弧状縦断面を有する構成となっていると共に、サポート面52a,52aの曲率52rが被サポート面34a,34aの曲率34rより大きくなるように設定されていることから、特に大きな荷重が作用するアシスト側においてラックバー30に入力荷重が作用する際の当該ラックバー30(被サポート面34a,34a)に対するサポート面52a,52aの追従性を向上させることができる。
【0042】
また、ラックバー30の他端側を前記Y字形状に形成したことにより、当該ラックバー30の軽量化にも供されることとなり、装置の軽量化は勿論のこと、操舵レスポンスの向上にも寄与できる。
【0043】
なお、かかる異形なラックバー30の形成にあたっては、前記分割構成した両部材31,32を前記摩擦圧接等によって接合するようにすることで、製造コストの増大化を抑制することができる。
【0044】
図14は本発明に係る電動パワーステアリング装置の第2実施形態を示したものであって、前記第1ラックリテーナの配置を変更したものである。なお、かかる構成以外の基本的構成については前記第1実施形態と同様であるため、当該第1実施形態と同一の構成及び作用については、当該第1実施形態と同一の符号を付すことによってその説明を省略する。
【0045】
すなわち、本実施形態では、前記第1出力軸14に対しラックバー30を図中斜め上方へと押し上げるかたちで支持するように第1ラックリテーナ51が配設されている。
【0046】
より具体的には、前記第1ラックリテーナ51の進退移動方向が、第1出力軸14(第1ピニオン歯P1)からラックバー30(第1ラック歯R1)へと作用するロールモーメントM1の作用方向よりも、第2出力軸22(第2ピニオン歯P2)からラックバー30(第2ラック歯R2)に作用するロールモーメントM2の作用方向に近い方向となるように構成されている。
【0047】
かかる構成とすることで、第2出力軸22から受けるロールモーメントM1を第1ラックリテーナ51にてさらに効率よく受けることが可能となり、当該ロールモーメントM1に基づくラトル音の発生等といった前記操舵側に対する悪影響をより一層低減することができる。
【0048】
本発明は前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば第1部材31と第2部材32との位相角など、ラックバー30の具体的な形状については、電動パワーステアリング装置の用途や仕様等に応じて自由に変更することができる。
【0049】
また、前記両ハウジング41,42は、必ずしも分割して構成されている必要はなく、一体に構成することも可能である。この場合は、特に組立作業工程を短縮することができ、生産性の向上等に貢献することができる。
【符号の説明】
【0050】
14…第1出力軸(第1ピニオンギヤ)
22…第2出力軸(第2ピニオンギヤ)
30…ラックバー
33…突出部
34…凹部
34a…被サポート面(凹部を構成する面)
51…第1ラックリテーナ
52…第2ラックリテーナ
52a…サポート面(支持部)
55…第1コイルばね(第1付勢部材)
56…第2コイルばね(第2付勢部材)
M…電動モータ(電動機)
P1…第1ピニオン歯(第1ピニオンギヤ)
P2…第2ピニオン歯(第2ピニオンギヤ)
R1…第1ラック歯
R2…第2ラック歯
θ…成す角(凹部を構成する両面の成す角度)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの操舵操作に伴って回転する第1ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤと噛合する第1ラック歯が軸方向一方側に形成され、他方側に第2ラック歯が形成されるラックバーと、
前記第2ラック歯と噛合する第2ピニオンギヤと、
前記第2ピニオンギヤを介してラック軸に操舵アシスト力を付与する電動機と、
前記ラックバーを挟んで前記第1ピニオンギヤの反対側に配置され、該第1ピニオンギヤとの噛み合いに際して前記ラックバーを支持する第1ラックリテーナと、
前記第1ラックリテーナを介して前記ラックバーを前記第1ピニオンギヤとの噛み合い方向へ付勢する第1付勢部材と、
前記ラックバーを挟んで前記第2ピニオンギヤの反対側に配置され、該第2ピニオンギヤとの噛み合いに際して前記ラックバーを支持する第2ラックリテーナと、
前記第2ラックリテーナを介して前記ラックバーを前記第2ピニオンギヤとの噛み合い方向へ付勢する第2付勢部材と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記ラックバーは、前記第2ラック歯が形成された領域に、前記第2ラック歯の周方向反対側に設けられた突出部と、前記第2ラック歯の周方向反対側であって前記突出部の周方向両側に設けられた1対の凹部と、を有すると共に、
前記第2ラックリテーナは、前記1対の凹部と当接する当接部を含む1対の支持部を有し、
前記1対の凹部は、一方側の凹部を構成する面と他方側の凹部を構成する面とが成す前記第2ラック歯側の角度が90度より大きく180度よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記一対の凹部は前記ラックバーの周方向において外側に凸となる円弧形状に形成されると共に、
前記1対の支持部は、前記ラックバーの周方向において内側に凸となる円弧形状であって、その曲率が前記1対の凹部よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記第1ラックリテーナは、前記第1ピニオンギヤから前記ラックバーへと作用する前記ラックバーの捩り方向に係る力の作用方向に対して前記第2ピニオンギヤから前記ラックバーに作用する前記ラックバーの捩り方向に係る力の作用方向に近い方向へと進退移動するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項1】
ステアリングホイールの操舵操作に伴って回転する第1ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤと噛合する第1ラック歯が軸方向一方側に形成され、他方側に第2ラック歯が形成されるラックバーと、
前記第2ラック歯と噛合する第2ピニオンギヤと、
前記第2ピニオンギヤを介してラック軸に操舵アシスト力を付与する電動機と、
前記ラックバーを挟んで前記第1ピニオンギヤの反対側に配置され、該第1ピニオンギヤとの噛み合いに際して前記ラックバーを支持する第1ラックリテーナと、
前記第1ラックリテーナを介して前記ラックバーを前記第1ピニオンギヤとの噛み合い方向へ付勢する第1付勢部材と、
前記ラックバーを挟んで前記第2ピニオンギヤの反対側に配置され、該第2ピニオンギヤとの噛み合いに際して前記ラックバーを支持する第2ラックリテーナと、
前記第2ラックリテーナを介して前記ラックバーを前記第2ピニオンギヤとの噛み合い方向へ付勢する第2付勢部材と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記ラックバーは、前記第2ラック歯が形成された領域に、前記第2ラック歯の周方向反対側に設けられた突出部と、前記第2ラック歯の周方向反対側であって前記突出部の周方向両側に設けられた1対の凹部と、を有すると共に、
前記第2ラックリテーナは、前記1対の凹部と当接する当接部を含む1対の支持部を有し、
前記1対の凹部は、一方側の凹部を構成する面と他方側の凹部を構成する面とが成す前記第2ラック歯側の角度が90度より大きく180度よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記一対の凹部は前記ラックバーの周方向において外側に凸となる円弧形状に形成されると共に、
前記1対の支持部は、前記ラックバーの周方向において内側に凸となる円弧形状であって、その曲率が前記1対の凹部よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記第1ラックリテーナは、前記第1ピニオンギヤから前記ラックバーへと作用する前記ラックバーの捩り方向に係る力の作用方向に対して前記第2ピニオンギヤから前記ラックバーに作用する前記ラックバーの捩り方向に係る力の作用方向に近い方向へと進退移動するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−63723(P2013−63723A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204341(P2011−204341)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
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