説明

電動作業機

【課題】作業及び走行のみに応じて電力が消費されるようにして、消費電力を低減できる電動作業機の提供を課題とする。
【解決手段】バッテリ11からの電力により駆動される電動作業機であって、作業装置(耕耘軸81、耕耘爪82・・・)と作業装置を駆動する作業用電動モータ61とを有する作業ユニット(耕耘ユニット4)と、走行装置(車軸51、走行輪52・52)と走行装置を駆動する走行用電動モータ31とを有する走行ユニット3と、前記作業用電動モータ61及び走行用電動モータ31への電力供給を制御する制御装置13と、操作部20と、を有する機体ユニット2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動作業機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、バッテリからの電力によってモータを駆動し、該モータからの動力を耕耘装置等の作業装置に伝えて、圃場等を耕耘する電動作業機は公知となっている。
【0003】
特許文献1に示す電動作業機のひとつである電動管理機は、圃場上を走行するための走行輪と圃場を耕耘する耕耘爪を有する耕耘機を備えており、一つの電動モータの出力回転力が変速機構を介して走行輪と耕耘爪が取付けられた耕耘軸へと伝達される。このような構成の場合、電動モータは、走行と耕耘作業を同時に行える容量(出力)の電動モータが搭載されているため、必要トルクが大きい耕耘作業は行わず、必要トルクが小さい走行のみ行う場合であっても、消費電力は必要以上に消費されることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−115777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明では、作業及び走行のみに応じて電力が消費されるようにして、消費電力を低減できる電動作業機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、バッテリからの電力により駆動される電動作業機であって、作業装置と作業装置を駆動する作業用電動モータとを有する作業ユニットと、走行装置と走行装置を駆動する走行用電動モータとを有する走行ユニットと、前記作業用電動モータ及び走行用電動モータへの電力供給を制御する制御装置と、操作部と、を有する機体ユニットと、を備えるものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1に記載の電動作業機であって、前記作業ユニットと前記走行ユニットとは、減速装置をそれぞれ有するものである。
【0009】
請求項3においては、請求項1または請求項2の電動作業機であって、前記作業ユニットと前記走行ユニットは、前記機体ユニットに対してそれぞれ着脱可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、作業ユニットおよび走行ユニットがそれぞれ別途の電動モータを有することで、作業装置、走行装置を個別に制御することができる。つまり、作業装置、走行装置、どちらか一方を使用する際には、未使用の他方は電動モータを駆動させる必要がなくなり省電力化に繋がる。また、変速する際にギヤ等を移動させる必要がなく、ユニット毎に電動モータの駆動を停止することができる。作業ユニットの作業装置の駆動を容易に停止することができるため、後進または作業を伴わない移動が安全におこなうことができる。
【0012】
請求項2においては、請求項1の効果に加え、作業ユニットおよび走行ユニットがそれぞれ別途の減速装置を有することで、それぞれのモータの出力に応じた強度の減速装置とすることができコストダウンに繋がる。
【0013】
請求項3においては、請求項1及び請求項2の効果に加え、作業ユニットが不要な場合、または、走行ユニットが不要な場合など、作業の必要に応じて着脱することができるため、電動作業機全体が不要なユニットの分だけ軽量化することができ、重量負荷が軽減されるため省電力化に繋がる。
各ユニットを着脱可能とすることで、例えば、作業ユニットがロータリ耕耘装置を備えたものであれば、作業ユニットを外して各部品の清掃(メンテナンス)も容易に行うことができる。
作業の異なる作業ユニットを複数用意することで、一つの機体ユニットで異なる作業をおこなうことができ、汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電動作業機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく各ユニットの内部構造を示す簡略側断面図。
【図3】本発明の実施形態にかかる制御回路図。
【図4】本発明の第二実施形態に係る電動作業機の全体的な構成を示した側面図。
【図5】同じく台車ユニットの連結部およびその周辺の構成を示した側面図。
【図6】本発明の第三実施形態に係る電動作業機の全体的な構成を示した側面図。
【図7】同じく台車ユニットの連結部およびその周辺の構成を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明の第一実施形態である歩行型の電動作業機1の全体的な構成について、図1から図3を参照して説明する。尚、以下の説明において、図中の矢印A方向を前方向として前後左右上下方向を定義する。また、ことわりがない限り、電動作業機1の各ユニットが組み付けられた状態、つまり、電動作業機1が完成した状態における位置及び方向で各部の説明を行うこととする。
【0016】
第一実施形態の電動作業機1は歩行型管理機であり、耕耘作業や畝立て作業等の管理作業を行うことができる作業機である。電動作業機1は、機体ユニット2、走行ユニット3、作業ユニット(第一実施形態において耕耘ユニット4)によって構成される。
【0017】
機体ユニット2は、作業者によって各種操作・操縦が行われ、走行ユニット3及び耕耘ユニット4に電力を供給するなどの制御を行うためのユニットである。機体ユニット2は、主として、電源・制御部10と操作部20によって構成される。
【0018】
さらに、電源・制御部10は、主として、バッテリ11、バッテリケース12、制御装置13によって構成される。
【0019】
バッテリ11は、二次電池とされ、充電及び放電を可能としている。このバッテリ11からの電力を電動作業機1の各種電気機器に供給して作動させることができる。バッテリ11は、略箱状に形成され、一側面(例えば、下端面)には、接続端子が形成され、走行ユニット3、または、作業ユニットに形成した接続端子と接続可能に構成し、電力を供給可能としている。バッテリ11の上部には、作業者が把持できる把手11aが取付けられ、充電時等には把手11aを握ってバッテリケース12より外して容易に持ち運びできるようにしている。
【0020】
バッテリケース12は、バッテリ11を収容する略箱状のケースであって、その長手方向が前低後高に傾斜するように配置される。バッテリケース12の上部は、開放されており、作業者が把手11aを把持しながらバッテリ11が挿入できる挿入口となっている。バッテリケース12内には、接続端子が形成されており、当該接続端子とバッテリ11の接続端子とが接続可能となるように構成される。但し、バッテリケース12の挿入口は上部に限定するものではなく、側部であってもよい。
【0021】
バッテリケース12には、制御装置13(図3参照)が収容され、エネルギー源であるバッテリ11からの電力を作業者の操作によって各装置へと適宜供給するように構成されている。但し、制御装置13の配置位置は限定するものではなく、バッテリケース12の上面または下面等に配置してもよい。また、バッテリ11とバッテリケース12と制御装置13は一体的に構成することもでき、バッテリケース12に接続端子を設けて走行ユニット3、または、作業ユニットと接続する構成とすることもできる。
【0022】
バッテリケース12の後側面には、走行ユニット3をバッテリケース12に取付け可能とするための取付穴(ネジ穴)12a・12a・・・が形成される。さらに、バッテリケース12の後下側面の適宜の位置には、バッテリ11と走行ユニット3の走行用電動モータ31と電気的に接続可能な第一制御コネクタ132の第一機体側端子132a(図3)が設けられている。第一制御コネクタ132の第一機体側端子132aは、ハーネス131を介して制御装置13と接続されている。
【0023】
また、バッテリケース12の前側面には、耕耘ユニット4を取付け可能とするための取付穴(ネジ穴)12b・12b・・・が形成される。さらに、バッテリケース12の前上面の適宜の位置には、耕耘ユニット4の作業用電動モータ61と電気的に接続可能な第二制御コネクタ136の第二機体側端子136aが設けられている。第二制御コネクタ136の第二機体側端子136aは、ハーネス135を介して制御装置13と接続されている。
【0024】
操作部20は、各種装置を操作したり、電動作業機1を操縦したりするためのものであって、電源・制御部10の後上部から後上方へと突出するように取付けられる。操作部20は、主として、基部側ハンドル21、上部側ハンドル22、スイッチレバー25a・25b、操作装置26によって構成される。
【0025】
基部側ハンドル21は、筒状の部材であり、その前下端部をバッテリケース12の上後部に固定して、その長手方向を前低後高に傾斜するように配置される。
【0026】
上部側ハンドル22は、平面視においてループ状に形成された部材であり、作業者が把持する部分を成すものである。上部側ハンドル22の前端部は、基部側ハンドル21の後端部に連結される。より詳細には、上部側ハンドル22は、軸線を左右方向(水平方向)とする回動軸23を介して、基部側ハンドル21に支持される。回動軸23は、電源・制御部10と略同じ高さ又はやや上方に配置される。このような構成により、回動軸23を支点として上部側ハンドル22を基部側ハンドル21に対して回動することができる。
【0027】
前記回動軸23の右側には、ハンドル固定レバー24が設けられている。該ハンドル固定レバー24を回動して緩めることにより、上部側ハンドル22を上下任意の高さまで回動でき、または、後方へ回動することができる。したがって、上部側ハンドル22が、邪魔することなく前記バッテリ11をバッテリケース12内に挿入し易やすくすることができる。そして、ハンドル固定レバー24を締付方向に回動することで、上部側ハンドル22を所望の回動位置で固定することができる。
【0028】
上部側ハンドル22の後部は、側面視において略水平であるグリップ部22aが形成され、当該グリップ部22aの下方には、スイッチレバー25a・25bが配置される。スイッチレバー25a・25bの前端部は、上部側ハンドル22の中途部に上下方向に回動可能に支持される。スイッチレバー25a・25bは、バッテリケース12内の制御装置13と電気的に接続されており、スイッチレバー25a・25bの後部を上方に回動させる。つまり、作業者がグリップ部22aとともにスイッチレバー25a・25bを把持することで、各種装置が駆動するように構成される。ここで、左右のスイッチレバー25a・25bの内、左側のスイッチレバー25aは、走行ユニット3の各種装置を駆動させ、右側のスイッチレバー25bは、耕耘ユニット4の各種装置を駆動させるように構成することも可能である。また、逆に、左側のスイッチレバー25aが、耕耘ユニット4の各種装置を駆動させ、右側のスイッチレバー25bが、走行ユニット3の各種装置を駆動させるように構成することも可能である。
【0029】
操作装置26は、主として、主電源スイッチ121と走行ユニット操作部261と作業ユニット操作部262とによって構成される。操作装置26は、上部側ハンドル22のグリップ部22aに取付けられ、バッテリケース12内の制御装置13と電気的に接続される。主電源スイッチ121は、「ON」したり「OFF」したりすることで、電力を各種装置(走行用電動モータ31および作業用電動モータ61)へと供給したり遮断したりするように構成されている。走行ユニット操作部261は、走行ユニット3内の走行用電動モータ31を正転させる前進スイッチ261aと、走行用電動モータ31を逆転させる後進スイッチ261bと、走行用電動モータ31の回転数を変更して走行速度を変更可能とする変速ダイヤル261cを備えている。作業ユニット操作部262は、作業用電動モータ61の回転数を変更して耕耘ユニット4の耕耘軸81の回転数を変更する作業速度変更ダイヤル262aを備えている。
【0030】
次に、走行ユニット3について説明する。
走行ユニット3は、機体ユニット2を支持し電動作業機1を走行可能にするためのものである。走行ユニット3は、主として、走行ケース30、走行用電動モータ31、減速装置40、走行装置(車軸51走行輪52・52)によって構成される。
【0031】
走行ケース30は、走行用電動モータ31と減速装置40を収容するとともに機体ユニット2を走行輪52・52によって支持できるようにするためのものである。走行ケース30は、その長手方向を前後方向として前高後低となるように前記バッテリケース12の後側面に取付けられる。走行ケース30の上部には、バッテリケース12に固設できるようにフランジ部30aが形成され、当該フランジ部30aに前記バッテリケース12の側面に形成された取付穴12a・・・に合うように、取付穴30b・・・が開口されている。また、機体ユニット2に走行ユニット3を取り付けた状態で、第一制御コネクタ132の第一機体側端子132aと電気的に接続できるように、第一制御コネクタ132の第一走行側端子132b(凸状)が配置される。
【0032】
さらに、走行ケース30内の上部には、走行用電動モータ31が配置されている。走行用電動モータ31は、ハーネス133を介して第一制御コネクタ132の第一走行側端子132bと接続されている。走行用電動モータ31の下部からは走行用電動モータ出力軸32が下方に突設される。
【0033】
さらに、減速装置40は、走行用電動モータ出力軸32から車軸51へ減速して動力を伝達するものである。減速装置40は、走行用電動モータ出力軸32の同軸延長上に配置される走行駆動軸41と、走行駆動軸41の下部から水平な車軸51へ動力を伝達するウォームギヤ機構43とからなる。
【0034】
ウォームギヤ機構43は、走行駆動軸41の下端部に取付けられたウォーム43aと、車軸51の左右中央にスプライン結合されたウォームホイール43bとによって構成される。但し、減速装置40の減速機構は、ウォームギヤ機構43に限定するものではなく、遊星歯車機構や平歯車機構やベベルギヤ機構等であっても、またウォームギヤ機構を含むそれら機構を組合わせて構成したものであってもよく、限定するものではない。
【0035】
一方、走行ケース30の下端部には、走行ケース30を左右方向に貫通する車軸51が走行ケース30によって回動可能に支持される。車軸51には、その左右両端部にそれぞれ走行輪52・52が固設される。
【0036】
このように構成することで、走行ユニット3の全体が機体ユニット2に固定された状態で、バッテリ11から供給される電力により走行用電動モータ31が回転駆動される。この回転駆動は、走行用電動モータ出力軸32を介して走行駆動軸41へと伝達され、走行駆動軸41の下端部にあるウォーム43aを回転させる。ウォーム43aと嵌合したウォームホイール43bは、ウォーム43aが回転することで、ウォーム43aの回転方向を変換させながら減速されて車軸51を回転させる。車軸51が回転することで、左右の走行輪52・52が回転し、電動作業機1全体が走行輪52・52によって支持されながら走行することが可能となる。
【0037】
そして、機体ユニット2の前進スイッチ261a又は後進スイッチ261bを操作することで走行輪52・52が前回転したり後回転したりして、電動作業機1が前進したり後進したりする。
【0038】
また、走行ユニット3は、機体ユニット2に対して着脱可能に構成される。つまり、機体ユニット2のバッテリケース12に形成された第一制御コネクタ132の第一機体側端子132aと走行ユニット3の第一制御コネクタ132の第一走行側端子132bを接続させる。さらに、機体ユニット2のバッテリケース12の取付穴12a・・・と走行ケース30の取付穴30b・・・を合わせた状態で、バッテリケース12と走行ケース30とをボルトナット88・・・等によって固定することで、走行ユニット3全体が機体ユニット2に容易に取付けることができる。また、ボルトナット88・・・等を緩めて、接続された第一制御コネクタ132を第一機体側端子132aと第一走行側端子132bとに分離することで、走行ユニット3の全体が機体ユニット2から容易に取り外すことができる。
【0039】
次に、耕耘ユニット4について説明する。
耕耘ユニット4は、機体ユニット2の前部に取付けられ、圃場を耕耘するためのものである。耕耘ユニット4は、主として、作業用電動モータ61、耕耘減速装置70、耕耘ケース60、作業装置(耕耘軸81、耕耘爪82・・・)、耕耘カバー83等によって構成される。
【0040】
耕耘ケース60は、作業用電動モータ61と耕耘減速装置70を収容するケースである。耕耘ケース60は、その長手方向を前低後高となるように前記バッテリケース12の前側面に取付けられる。耕耘ケース60の後側面の上部には、バッテリケース12の前側面の下部に取付けられるようにフランジ部60aが形成され、当該フランジ部60aに前記バッテリケース12の前側面に形成された取付穴12bに合うように、取付穴60bが開口されている。また、機体ユニット2に耕耘ユニット4を取付けた状態で、第二制御コネクタ136の第二機体側端子136aと電気的に接続できるように、第二制御コネクタ136の第二作業側端子136bが配置される。
【0041】
さらに、耕耘ケース60内の上部には、作業用電動モータ61が配置されている。作業用電動モータ61は、ハーネス137を介して第二制御コネクタ136の第二作業側端子136bと接続されている。作業用電動モータ61は、耕耘ケース60内を移動できないように図示しない支持部材によって支持されている。作業用電動モータ61の下部には、耕耘モータ出力軸62の上端部が固設される。
【0042】
さらに、耕耘減速装置70は、耕耘モータ出力軸62に連結した装置であって、耕耘モータ出力軸62の軸心方向の延長上に配置される。耕耘減速装置70は、耕耘モータ出力軸62の同軸上に配置される耕耘駆動軸71と、耕耘駆動軸71の下部から水平な耕耘軸81へ動力を伝達するウォームギヤ機構73とからなる。
【0043】
ウォームギヤ機構73は、耕耘モータ出力軸62の下端部に取付けられたウォーム73aと、耕耘軸81にスプライン結合されたウォームホイール73bとによって構成される。但し、耕耘減速装置70の減速機構は、ウォームギヤ機構73に限定するものではなく、遊星歯車機構や平歯車機構ベベルギヤ機構等であっても、またウォームギヤ機構を含むそれら機構を組合わせて構成したものであってもよく、限定するものではない。
【0044】
一方、耕耘ケース60の下端部には、耕耘ケース60を左右方向に貫通する耕耘軸81が耕耘ケース60によって回動可能に支持される。耕耘ケース60から突出した耕耘軸81上には、耕耘作業を行うための複数の耕耘爪82・・・が取付けられている。さらに、耕耘爪82・・・の上方は、耕耘カバー83で覆われ、耕耘ケース60の一部に固設されている。耕耘カバー83は主に、土砂飛散防止を目的としたカバーである。
【0045】
このように構成することで、耕耘ユニット4の全体が機体ユニット2に固定された状態で、バッテリ11から供給される電力によって作業用電動モータ61が回転駆動される。この回転駆動は、耕耘モータ出力軸62を介して耕耘駆動軸71へと伝達され、耕耘駆動軸71の下端部にあるウォーム73aを回転させる。ウォーム73aと嵌合したウォームホイール73bは、ウォーム73aが回転することで、ウォーム73aの回転方向を変換させながら減速して耕耘軸81を回転させる。耕耘軸81が回転することで、左右の耕耘爪82・・・が回転し、圃場を耕耘することが可能となる。
【0046】
以上のように構成された電動作業機1において、機体ユニット2に取付けられた変速ダイヤル261cによって、走行ユニット3の走行装置(車軸51及び走行輪52・52)の走行速度を適宜の速度に変更することができる。
【0047】
また、耕耘ユニット4は、機体ユニット2に対して着脱可能に構成される。つまり、機体ユニット2のバッテリケース12に形成された第二制御コネクタ136の第二機体側端子136aと耕耘ユニット4の第二制御コネクタ136の第二作業側端子136bを接続させる。さらに、機体ユニット2のバッテリケース12の取付穴12b・・・と耕耘ケース60の取付穴60b・・・を合わせた状態で、それらバッテリケース12と耕耘ケース60とをボルトナット88・・・等によって固定することで、耕耘ユニット4全体が機体ユニット2に容易に固定することができる。また、ボルトナット88・・・等を緩めて、接続された第二制御コネクタ136の第二機体側端子136aと第二作業側端子136bを分離することで、耕耘ユニット4全体が機体ユニット2から容易に取り外すことができる。
【0048】
そして、耕耘作業後に、圃場の土が付着した耕耘爪82等を清掃(洗浄)する際には、機体ユニット2から耕耘ユニット4を取り外して、耕耘ユニット4のみの状態としてから、耕耘爪82等を洗浄することができる。したがって、電動作業機1をユニット毎に分解してそれぞれを洗浄することができるため、電動作業機1全体を洗浄するよりも、容易に洗浄を行うことができる。
【0049】
また、洗浄を行う際も、本実施形態の各ユニットであれば、機体ユニット2側にバッテリ11が搭載されているため、特に、作業の際に圃場面に近く洗浄を頻繁に行わなくてはならなくなる走行ユニット3および耕耘ユニット4には、バッテリ11が搭載されておらず、ショートする心配がないため、水洗いが容易となる。
【0050】
第一実施形態の電動作業機1における作業ユニットである耕耘ユニット4を別の用途のユニットに取り替えることによって、様々な作業用途に電動作業機が用いられることとなる。つまり、図4に示す第二実施形態の電動作業機100は、図1に示す第一実施形態の走行ユニット3が取付けられた機体ユニット2に対して、図4に示すように台車ユニット400を取付けることによって構成される。
【0051】
ここで、台車ユニット400とは、荷物等を載置可能とする上部が開放された箱状の載置部401と、当該載置部401の下方に前後方向に所定間隔をとって載置部401に回動可能に支持された車軸402aを有し当該車軸402aの左右両端部に走行輪402b・・・を配置した走行輪部402と、台車ユニット400の後側面に取付けられた連結部403とによって構成される。
【0052】
連結部403は、台車側連結部431と、機体側連結部432とから成る。
【0053】
台車側連結部431は、載置部401の後側面から突出する連結アーム311と、当該連結アーム311の後端に取付けられ上下方向に開口されたリング状の連結リング312と、から構成される。
【0054】
機体側連結部432は、図5に示すように、連結リング312の内径よりも若干小さな直径の上部と連結リング312の外周直径ほどある下部を有する円柱部材321と、当該円柱部材321の下端に取付けられ複数の取付穴322a・・・が設けられた取付板322と、から構成される。取付板322は、機体ユニット2に取付けられた際に、載置部401が適当な位置となるように配置される。つまり、機体ユニット2のバッテリケース12の前面に略水平となるように、円柱部材321の下端に取付けられている。取付板322の取付穴322a・・・は、機体ユニット2のバッテリケース12に設けられた取付穴12b・・・に対応する位置に設けられている。
【0055】
次に、台車ユニット400を機体ユニット2に取付ける方法について説明する。
【0056】
先ず、機体側連結部432を機体ユニット2のバッテリケース12の前面に取付ける。この際に、取付板322の取付穴322a・・・をバッテリケース12の取付穴12bに合わせた状態で、ボルトナット88・・・によって取付板322とバッテリケース12とを固定する。そして、機体側連結部432の円柱部材321の上部に、台車側連結部431の連結リング312が外嵌されることで、台車側連結部431と機体側連結部432とが連結される。この連結された連結部431・432は、円柱部材321の軸心方向(上下方向)を中心として連結リング312と連結アーム311とが左右方向に回動することができる。つまり、連結アーム311と連結された載置部401と走行輪部402とも、連結リング312と連結アーム311とともに、回動することができる。
【0057】
また、作業ユニットは、第一実施形態から第二実施形態に示した耕耘ユニット4や台車ユニット400に限定するものではなく、モア装置や車軸耕耘型の耕耘装置等の作業装置を備えたものであってもよい。
【0058】
次に、第二実施形態に係る電動作業機100とは異なる各ユニットの取付方法を第三実施形態で説明する。尚、第一実施形態および第二実施形態と同じ部材や構成については、説明を省略する。
【0059】
第一実施形態および第二実施形態に係る電動作業機1・100では、機体ユニット2に対して各ユニット(走行ユニット3、耕耘ユニット4、台車ユニット400)は各ユニットに形成された取付穴12b・30b・322bにボルトナット88・・・を締結することで、各ユニットを機体ユニット2に取付けている。
【0060】
図6及び図7に示す第三実施形態の電動作業機300においては、第二実施形態の機体ユニット2に形成された取付穴12a・12bは、設けておらず、その代わりに、ワンタッチ掛止具(所謂、パッチン錠)89の被掛止部89aが取付けられている。このワンタッチ掛止具89は、フック状の被掛止部89aと、当該被掛止部89aに一部を引掛けその状態を保持する掛止部89bとからなる。
【0061】
掛止部89bは、台車ユニット400の取付板323(第二実施形態の取付板322に相当する)に、バッテリケース212の前側面の被掛止部89aに掛止可能な位置に取付けられている。
【0062】
走行ケース230(第一実施形態および第二実施形態の走行ケース30に対応)も同様に、バッテリケース212の後側面の被掛止部89aにそれぞれ対応するように掛止部89b・・・が取付けられている。
【0063】
このように構成することで、第一実施形態および第二実施形態のボルトナット88・・・で各ユニットを固定する方法に比べて、第三実施形態に示すワンタッチ掛止具89で各ユニットを固定する方が容易に行うことができる。
【0064】
尚、各実施形態の電動作業機1・100・300は、電動作業機1・100・300の前部に作業ユニット(耕耘ユニット4・台車ユニット400)を、電動作業機1・100・300の後部に走行ユニット3を配置しているが、限定するものではない。つまり、機体ユニット2の前方に走行ユニット3を配置し、後方に作業ユニット(耕耘ユニット4・台車ユニット400)を配置してもよい。また、機体ユニットを最も上部に配置して、機体ユニットの前下方に作業ユニット又は走行ユニットの一方を配置し、機体ユニットの後下方に作業ユニット又は走行ユニットの他方を配置しても良い。上記場合においても、各ユニットを取付ける方法は、各ユニットに取付穴を形成してボルトナットで固定しても、ワンタッチ掛止具で取付ける方法でも可能である。
【0065】
第一実施形態から第三実施形態における各ユニット(機体ユニット2、走行ユニット3、作業ユニット(耕耘ユニット4、台車ユニット400))は、それぞれ他のユニットに対して着脱可能に構成されていたが、機体ユニット2と走行ユニットが一体的に構成されていたり、機体ユニット2を台車ユニット400が一体的に構成されていたりしてもよい。
【0066】
第一実施形態から第三実施形態において、走行用電動モータ出力軸32が車軸51に対して直交するように、耕耘モータ出力軸62が耕耘軸81に対して直交するように走行用電動モータ31および作業用電動モータ61が配置されている。しかし、走行用電動モータと作業用電動モータは、横置き、つまり車軸51や耕耘軸81に対して平行に配置してもよい。また、走行用電動モータは車軸内、作業用電動モータは耕耘軸内に配置してもよい。
【0067】
尚、各モータを横置きに構成した場合、そのモータに対応する減速装置はギヤやスプロケット等で構成することも可能である。
【0068】
以上の如く、本実施形態の電動作業機1は、バッテリ11からの電力により駆動される電動作業機であって、作業装置(耕耘軸81、耕耘爪82・・・)と作業装置を駆動する作業用電動モータ61とを有する作業ユニット(耕耘ユニット4)と、走行装置(車軸51、走行輪52・52)と走行装置を駆動する走行用電動モータ31とを有する走行ユニット3と、前記作業用電動モータ61及び走行用電動モータ31への電力供給を制御する制御装置13と、操作部20と、を有する機体ユニット2と、を備えるものである。
【0069】
このように構成することにより、作業ユニット(耕耘ユニット4)および走行ユニット3がそれぞれ別途の電動モータ(走行用電動モータ31、作業用電動モータ61)を有することで、作業装置(耕耘軸81、耕耘爪82・・・)、走行輪(車軸51、走行輪52・52)を個別に制御することができる。つまり、作業装置、走行装置、どちらか一方を使用する際には、未使用の他方は電動モータを駆動させる必要がなくなり省電力化に繋がる。また、変速する際にギヤ等を移動させる必要がなく、ユニット毎に電動モータ31・61の駆動を停止することができる。作業ユニット(耕耘ユニット4)の作業装置(耕耘軸81耕耘爪82)の駆動を容易に停止することができるため、後進または作業を伴わない移動が安全におこなうことができる。
【0070】
本実施形態の電動作業機1は、前記作業ユニット(耕耘ユニット4)と前記走行ユニット3とは、減速装置40・70をそれぞれ有するものである。
【0071】
このように構成することにより、作業ユニット(耕耘ユニット4)および走行ユニット3がそれぞれ別途の減速装置40・70を有することで、それぞれの電動モータ(作業用電動モータ61、走行用電動モータ31)の出力に応じた強度の減速装置とすることができコストダウンに繋がる。
【0072】
本実施形態の電動作業機1は、前記作業ユニット(耕耘ユニット4)と前記走行ユニット3は、前記機体ユニット2に対してそれぞれ着脱可能に構成されるものである。
【0073】
このように構成することにより、作業ユニット(耕耘ユニット4)が不要な場合、または、走行ユニット3が不要な場合など、作業の必要に応じて着脱することができるため、電動作業機全体が不要なユニットの分だけ軽量化することができ、重量負荷が軽減されるため省電力化に繋がる。各ユニットを着脱可能とすることで、作業ユニットを外して各部品の清掃(メンテナンス)も容易に行うことができる。作業の異なる作業ユニットを複数用意することで、一つの機体ユニットで異なる作業をおこなうことができ、汎用性が向上する。
【符号の説明】
【0074】
1 電動作業機
2 機体ユニット
3 走行ユニット
4 耕耘ユニット
11 バッテリ
13 制御装置
20 操作部
31 走行用電動モータ
40 減速装置
51 車軸(走行装置の一部)
52 走行輪(走行装置の一部)
61 作業用電動モータ
70 減速装置
81 耕耘軸(作業装置の一部)
82 耕耘爪(作業装置の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリからの電力により駆動される電動作業機であって、
作業装置と作業装置を駆動する作業用電動モータとを有する作業ユニットと、
走行装置と走行装置を駆動する走行用電動モータとを有する走行ユニットと、
前記作業用電動モータ及び走行用電動モータへの電力供給を制御する制御装置と、操作部と、を有する機体ユニットと、
を備えることを特徴とする電動作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動作業機であって、
前記作業ユニットと前記走行ユニットとは、減速装置をそれぞれ有することを特徴とする電動作業機。
【請求項3】
請求項1または請求項2の電動作業機であって、
前記作業ユニットと前記走行ユニットは、前記機体ユニットに対してそれぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする電動作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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