説明

電動工具及び攪拌機

【課題】ハンドルからシャフトの下端までの距離を変化させ作業者の負担を軽減する電動工具及び攪拌機の提供。
【解決手段】 攪拌機1はハウジング2を有し、モータ3がハウジング2内に収容される。ハウジング2からは出力軸51が突出し、出力軸51には挿入孔が形成されており、その内周面に係合部51Dが設けられている。挿入孔内には、略円柱形上のシャフト52の一部が挿入されており、その挿入されている部分には、係合部51Dと係合する複数の被係合部52Bが設けられている。シャフト52の挿入孔に挿入されている側とは反対側の端部には、攪拌羽根6が設けられている。攪拌機1は、さらに係合部51Dと複数の被係合部52Bうちの所望の被係合部との係合を維持する係合保持部53を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具に関し、特に液体を攪拌する攪拌機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動工具たる攪拌機101は、図15及び16に示されるように、ハウジング102の上端部には作業者が把持するハンドル部123が設けられており、ハウジング102の下端からは出力軸141が下方に延びている。出力軸141は、中継部材151の一端に固定されており、中継部材151の他端からはシャフト152が延出している。シャフト152と中継部材151とは互いに固定されており、シャフト152の下端には攪拌羽根106が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2010−082566号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の攪拌機101では、シャフト152は中継部材151に固定されているため、攪拌機101のハンドル部123からシャフト152の下端(攪拌羽根106が設けられている位置)までの距離は不変であった。そのため、作業者の体格や攪拌しようとする容器の大きさの違いによっては、最適な攪拌羽根106の位置とならない場合があった。これにより、作業者は無理な姿勢で攪拌作業を行うことがあり、作業者の負担が大きくなっていた。そこで本発明は、ハンドルからシャフトの下端までの距離を変化させ作業者の負担を軽減する電動工具及び攪拌機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングから突出し、該モータにより軸心を中心に回転駆動され、該軸心方向の反ハウジング側端面から該軸心方向に挿入孔が形成され、該挿入孔の内周面側に係合部が設けられた出力軸と、該挿入孔内に一部が挿入され、該挿入孔内に挿入される部分には該係合部と係合可能な複数の被係合部が設けられた略円柱形状のシャフトと、該シャフトの該軸心方向の反ハウジング側端部に設けられた羽根と、該係合部と該複数の被係合部のうちの所望の該被係合部との係合を保持する係合保持部と、を有する攪拌機を提供する。
【0006】
このような構成によると、ハウジングから延出する出力軸及びシャフトの長さを所望の長さに調整することができるため、作業者の体格に応じて最適な位置で攪拌作業を行うことができる。さらに、係合保持部によって容易に係合部と被係合部との係合を保持できるため、作業者の利便性が向上する。
【0007】
上記構成の攪拌機において、該係合保持部は、該係合部と該被係合部との係合を維持する第1の位置と、該係合部と該被係合部との係合を解除可能な第2の位置との間を移動可能に構成されていることが好ましい。
【0008】
このような構成によると、作業者は係合保持部を移動させるといった簡易な操作によりシャフトを出力軸に対して固定・解除することができるため、作業者の利便性が向上する。
【0009】
上記構成の攪拌機において、該係合部は該挿入孔の円周方向に等間隔で複数設けられ、該被係合部は該シャフトの円周方向に等間隔で複数設けられ、該係合部と該被係合部との係合は、該出力軸に対して該シャフトを円周方向に180°より小さい所定角度回転させることにより行われることが好ましい。
【0010】
このような構成によると、係合部及び被係合部は円周方向に複数設けられているため、出力軸とシャフトとをより強固に係合させることができる。さらに、両者の係合は、出力軸に対してシャフトを回転させるといった簡易な操作により行うことができるため、作業者の利便性が向上する。
【0011】
上記構成の攪拌機において、該係合保持部は、該被係合部に係合した状態で該出力軸の反ハウジング側端面を押圧可能であって、押圧可能な位置が該第1の位置であり押圧不能な位置が該第2の位置であり、該第1の位置と該第2の位置とは該軸心方向で離間していることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、係合保持部は、被係合部に係合した状態で出力軸の反ハウジング側端面を押圧することにより係合部と被係合部との係合を保持することができる。
【0013】
上記構成の攪拌機において、該被係合部は、該出力軸の外周面側に臨み、該係合保持部は該第1の位置で該出力軸の外周面側に臨む該被係合部の部分を規制し、該第2の位置で該規制を解除することが好ましい。
【0014】
また、上記構成の攪拌機において、該係合部は該挿入孔の円周方向に等間隔で複数設けられ、該被係合部は該シャフトの円周方向に等間隔で複数設けられ、該第1の位置と該第2の位置とは該円周方向に離間していることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、係合部は該挿入孔の円周方向に等間隔で複数設けられ、被係合部はシャフトの円周方向に等間隔で複数設けられていることから、出力軸とシャフトとをより強固に係合させることができる。さらに、両者の係合・解除は、係合保持部を回転させるといった簡易な操作により行うことができるため、作業者の利便性が向上する。
【0016】
本発明は、さらに、モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングから突出し、該モータにより軸心を中心に回転駆動され、該軸心方向の反ハウジング側端面から該軸心方向に挿入孔が形成され、該挿入孔の内周面に第1ネジ部が設けられた出力軸と、該挿入孔内に一部が挿入され、該挿入孔に挿入される部分には第1ネジ部と嵌合可能な第2ネジ部が設けられた略円柱形状のシャフトと、該シャフトの該軸心方向の反ハウジング側端部に設けられた羽根と、該第2ネジ部に嵌合した状態で該出力軸の反ハウジング側端面を押圧可能なナットと、を有し、 該第1ネジ部は該出力軸の円周方向に等間隔に断続して設けられており、該第2ネジ部は該シャフトの円周方向に等間隔に断続して設けられていることを特徴とする攪拌機を提供する。
【0017】
このような構成によると、第1ネジ部を挿入孔の内周面に形成する際、及び第2ネジ部をシャフトに形成する際に、ネジ山を挿入孔及びシャフトの全周に亘って形成した後に軸方向にネジを除去することにより、径方向に断続的に形成することができる。これにより、部品点数を増やす必要がないため、安価な攪拌機を提供することができる。
【0018】
上記構成の攪拌機において、該シャフトの他端には、挿入部が設けられ、該挿入孔には該挿入部を受入可能な挿入受部が設けられ、該挿入部の外径と該挿入受部の内径とは略同一であることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、シャフトの挿入部の外径は出力軸の挿入受部の内径と略同一であるため、たとえ係合部と被係合部との間にがたつきがあったとしても、挿入部が挿入受部と接触してシャフトの回転振れを抑制し、安定してシャフトを回転させることができる。
【0020】
本発明は、さらに、モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングから突出し、該モータにより軸心を中心に回転駆動され、該軸心方向の反ハウジング側端面から該軸心方向に挿入孔が形成され、該挿入孔の内周面から該軸心方向と直交する方向に貫通する貫通孔が形成された出力軸と、該貫通孔内を該軸心方向と直交する方向に移動可能な球と、該挿入孔内に一部が挿入され、該挿入孔に挿入される部分に該球と係合可能な複数の係合孔が形成されたシャフトと、該シャフトの該軸心方向の反ハウジング側端部に設けられた羽根と、該出力軸に設けられ、該球の該軸心方向と直交する方向への移動を規制する管状部材と、を有することを特徴とする攪拌機を提供する。
【0021】
このような構成によると、管状部材を操作することによって球と係合孔との係合・解除を行うことができるため、簡単な操作によってハウジングから延出する出力軸及びシャフトの長さを所望の長さに調整することが可能となり、作業者の体格に応じて最適な位置で攪拌作業を行うことができる。さらに、管状部材によって球の位置を規制することにより、球と複数の係合孔を容易に係合・解除することが可能となり、作業者の利便性が向上する。
【0022】
さらに、本発明は、モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングから突出し、該モータの動力により駆動される出力軸と、該出力軸に固定可能な先端工具と、を有する電動工具であって、該先端工具は、該出力軸の軸方向において第1の位置と、該第1の位置から移動した第2の位置とにおいて、該出力軸に固定可能であることを特徴とする電動工具を提供する。
【0023】
このような構成によると、先端工具と被加工部材との距離が離れている場合にであっても、作業者の体格に応じて出力軸と先端工具との軸方向の長さを適正なものにすることができる。
【0024】
さらに、本発明は、モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングから突出し、該モータの動力により回転駆動される出力軸と、該出力軸に保持可能な先端工具と、を有する電動工具であって、該先端工具は、該出力軸に保持されており、該先端工具は、該出力軸に嵌合することを特徴とする電動工具を提供する。
【0025】
このような構成によると、先端工具と出力軸とが互いに嵌合することによって先端工具が出力軸に保持されているため、先端工具の回転時の出力軸に対する振れを抑制することができる。このため、作業性の良い電動工具となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ハンドルからシャフトの下端までの距離を変化させることができる電動工具及び攪拌機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機の断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機の出力軸部を最短にした時の出力軸部周辺の側面断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機の出力軸部を伸長した時の出力軸部周辺の側面断面図。
【図4(a)】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機のシャフトを中継部材に挿入する時の斜視図。
【図4(b)】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機のシャフトを中継部材に固定した時の斜視図。
【図5(a)】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機のシャフトと中継部材とが螺合していない時の図4(a)のV−V線に沿った断面図。
【図5(b)】本発明の第1の実施の形態に係る攪拌機のシャフトと中継部材とが螺合している時の図4(a)のV−V線に沿った断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る攪拌機の出力軸部を最短にした時の出力軸部周辺の側面断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る攪拌機の図6のAの拡大断面図。
【図8(a)】本発明の第2の実施の形態に係る攪拌機の管状部材が係合位置の時の図7のVIII−VIII線に沿った断面図
【図8(b)】本発明の第2の実施の形態に係る攪拌機の管状部材が解除位置の時の図7のVIII−VIII線に沿った断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る攪拌機の出力軸部を最短にした時の出力軸部周辺の側面断面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る攪拌機の図9のBの拡大断面図。
【図11(a)】本発明の第3の実施の形態に係る攪拌機の管状部材が係合位置の時の図10のXI−XI線に沿った断面図。
【図11(b)】本発明の第3の実施の形態に係る攪拌機の管状部材が解除位置の時の図10のXI−XI線に沿った断面図。
【図12(a)】本発明の第3の実施の形態に係る攪拌機のシャフトが移動不能位置の時の図10のXII−XII線に沿った断面図。
【図12(b)】本発明の第3の実施の形態に係る攪拌機のシャフトが移動可能位置の時の図10のXII−XII線に沿った断面図。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る攪拌機の管状部材周辺の部分断面図。
【図14(a)】本発明の第4の実施の形態に係る攪拌機の管状部材が当接位置の時の図13のXIV−XIV線に沿った断面図。
【図14(b)】本発明の第4の実施の形態に係る攪拌機の管状部材が解除位置の時の図13のXIV−XIV線に沿った断面図。
【図15】従来の攪拌機の全体図。
【図16】従来の攪拌機の図15のCの拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1の実施形態による電動工具の一例である攪拌機1について図1から図5に基づき説明する。なお、第2、第3、第4の実施例においても、電動工具の例として攪拌機を用いて説明しているが、この電動工具としては、攪拌機以外であっても良い。例えば、電気ドリル、電気往復動ノコギリ(セーバソー、レシプロソー)などの電動工具であってもよい。
【0029】
攪拌機1は、ハウジング2と、ハウジング2内に収容されるモータ3と、モータ3の出力により回転駆動する回転駆動部4と、ハウジング2から延出する出力軸部5と、出力軸部5の端部に設けられた攪拌羽根6とから主に構成される。ハウジング2から出力軸部5が延出している方向を下方向として定義し、逆を上方向と定義する。
【0030】
ハウジング2は、モータ3を収容するモータハウジング21と、回転駆動部4を収容するギヤボックス22と、ハンドル部23とから構成される。ギヤボックス22は、モータハウジング21の下方に位置する。ハンドル部23はモータハウジング21の上方に位置して、モータ3の電源を制御するトリガ24が設けられている。ハンドル部23には、電源ケーブル25が接続されており、図示せぬ電源と接続可能である。ハンドル部23の内部には、トリガ24の動作に連動してモータ3への電源の供給と遮断を切替えるスイッチ機構26が内蔵されている。
【0031】
モータ3は上下方向に延びるモータ出力軸31を有する。モータ出力軸31には、モータを冷却するための冷却ファン32がモータ出力軸31と同軸回転するように設けられている。モータ出力軸31の下端部にはピニオンギヤ33が設けられていて、ピニオンギヤ33はギヤボックス22に回転可能に支承されており、その先端部分がギヤボックス22内に突出している。
【0032】
ギヤボックス22内には、モータ出力軸31と平行して延びる出力軸41が設けられており、出力軸41はベアリング43によってギヤボックス22に回転可能に支承されている。出力軸41にはピニオンギヤ33と噛合するギヤ42が設けられていて、ギヤ42は出力軸41と同軸一体回転する。出力軸41の下部は、ギヤボックス22から外部に突出しており、その下端部には出力ネジ部41A(雄ネジ)が形成されている。
【0033】
出力軸部5は、中継部材51と、シャフト52と、ナット53とから構成される。中継部材51は、略円筒状であって上下方向に延びている。中継部材51の上端部の内周面には被出力ネジ51A(雌ネジ)が形成されていて、出力ネジ41Aと螺合している。攪拌機1の攪拌羽根6は、一方向にのみ回転可能であり、出力ネジ41Aと被出力ネジ51Aの締め付け方向と攪拌羽根6の回転方向とが一致するように構成される。これにより、攪拌時の出力ネジ41Aと被出力ネジ51Aとの緩みを防止することができる。中継部材51の内周面であって、被出力ネジ51Aの下方には、挿入受部51Bが設けられている。挿入受部51Bは、シャフト52に設けられた後述の挿入部52Aを挿入可能であって、挿入受部51Bと後述の挿入部52Aが嵌合するように構成される。中継部材51の内周面であって挿入受部51Bの下方には、拡径部51Cが設けられている。拡径部51Cは、挿入受部51Bよりも内径が大きく構成される。シャフト52及び攪拌羽根6によって、先端工具と称する。この先端工具は、ペンキやモルタルなどを攪拌するものである。なお、先端工具の他の例としては、ノコギリ刃(ソーブレード)や十字、一字が先端に設けられたビットなどであっても良い。
【0034】
拡径部51Cの下方であって、中継部材51の内周面の下端部には、被係合ネジ51D(雌ネジ)が上下方向の所定距離に亘って形成されている。図4(a)に示すように、被係合ネジ51Dはネジ山部51Eと空隙部51Fとにより構成される。ネジ山部51Eは、中継部材51の内周面の周方向に断続的に形成されている。具体的には、ネジ山部51Eは、内周面に120°毎に円周方向の円周距離a2に亘って形成されており、空隙部51Fは内周面に120°毎に円周方向の円周距離a1に亘って設けられている(図5(a))。ここで、a1はa2よりも大きくなるように設定されている。ネジ山部51Eと空隙部51Fとは、中継部材51の内周面においてそれぞれ3箇所ずつ交互に設けられる。被係合ネジ51Dは、中継部材51の内周面全周に亘ってネジ山を形成した後、形成されたネジ山を円周方向にa1に亘って3箇所除去することにより形成される。中継部材51の外周面には、中継部材51に対するシャフト52の回転量を示す図示せぬマーキングが施されている。
【0035】
図2及び図3に示すように、シャフト52は略円柱形状であって、上から挿入受部51Bに螺合することなく挿入される挿入部52Aと、挿入部52Aに接続する係合ネジ52B(雄ネジ)と、係合ネジ52Bに接続するシャフト部52Cが設けられている。シャフト52は、出力軸41及び中継部材51と同一の軸心(図中の一点鎖線)を中心に回転する。挿入部52Aの外径は挿入受部51Bの内径と略同一に構成される。ここで言う略同一とは、挿入部52Aは挿入受部51B内を抵抗なく摺動可能であって、攪拌時にシャフト52の回転中心と中継部材51の回転中心とがブレない程度を言う。図2に示すように、シャフト52を中継部材51の最奥まで挿入した時、シャフト52の上面と出力軸41の下面は当接する。
【0036】
係合ネジ52Bは、被係合ネジ51Dと同様にネジ山部52Dと空隙部52Eとにより構成される(図4)。具体的には、ネジ山部52Dは、シャフト52の外周面の周方向に断続的に形成されている。図5(a)に示すように、ネジ山部52Dは内周面に120°毎に円周方向の円周距離b2に亘って形成されており、空隙部52Eは内周面に120°毎に円周方向の円周距離b1に亘って設けられている。ここで、b1はb2以上であって、且つa1≒b1、a2≒b2となるように設定されている。これにより、図5(b)に示すように係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとを螺合させた時、ネジ山部51Eとネジ山部52Dとが円周方向全周に亘って螺合するため、中継部材51とシャフト52との結合がより強固なものとなる。被係合ネジ51Dと同様に、ネジ山部52Dと空隙部52Eとは、シャフト52の円周方向においてそれぞれ3箇所ずつ交互に設けられる。係合ネジ52Bも、シャフト52の外周面全周に亘ってネジ山を形成した後、形成されたネジ山を円周方向にb1に亘って3箇所除去することにより形成される。
【0037】
シャフト部52Cの下端には攪拌羽根6が同軸一体回転するように設けられている(図2,3)。攪拌羽根6はシャフト52の下端面に設けられたボルト61によって固定されている。
【0038】
シャフト52には、係合ネジ52Bと螺合するナット53が設けられている。ナット53の上面を中継部材51の下面に押圧させることにより、係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとの螺合が維持される。つまり、ナット53は中継部材51とシャフト52とのストッパとしての役割を果たす。出力軸41と、中継部材51と、シャフト52と、攪拌羽根6とは、同一の回転中心を有し、図2の一点鎖線を中心に回転する。
【0039】
次に、攪拌機1の出力軸部5の軸方向の長さの調整方法について説明する。まず、中継部材51の下面を押圧しているナット53を緩めてシャフト52を中継部材51に対して回転可能な状態にする。シャフト52を中継部材51に対して60°回転させることにより、係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとの螺合を解除する(図5(a))。これにより、シャフト52は中継部材51内を軸方向に移動可能となる。シャフト52を所望の位置で中継部材51に対して60°回転させて、係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとを螺合させる(図5(b))。中継部材51の外周面に施された図示せぬマーキングにより、シャフト52の必要回転量を容易に把握することができる。そして、ナット53の上面を中継部材51の下面に押圧させて中継部材51に対するシャフト52の位置を固定する。
【0040】
上記のような構成によると、ハウジング2から延出する中継部材51及びシャフト52の長さを所望の長さに調整することができるため、作業者の体格に応じて最適な位置で攪拌作業を行うことができる。さらに、ナット53によって容易に係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとの螺合を保持できるため、作業者の利便性が向上する。
【0041】
さらに、作業者はナット53を回転させて下方に移動させるといった簡易な操作によりシャフト52を中継部材51に対して固定・解除することができるため、作業者の利便性が向上する。
【0042】
さらに、ネジ山部51E、52Dは円周方向に複数設けられているため、中継部材51とシャフト52とをより強固に螺合させることができる。さらに、両者の螺合は、中継部材51に対してシャフト52を回転させるといった簡易な操作により行うことができるため、作業者の利便性が向上する。
【0043】
さらに、ナット53は、被係合ネジ51Dに係合した状態で中継部材51の反ハウジング側端面(下面)を押圧することにより、係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとの係合を保持することができる。
【0044】
さらに、係合ネジ52Bを中継部材51の内周面に形成する際、及び被係合ネジ51Dをシャフト52に形成する際に、ネジ山を全周に亘って形成した後に軸方向にネジ山を除去することにより、径方向に断続的に形成することができる。これにより、部品点数を増やす必要がないため、安価な攪拌機を提供することができる。
【0045】
さらに、シャフト52の挿入部52Aの外径は中継部材51の挿入受部51Bの内径と略同一であるため、たとえ係合ネジ52Bと被係合ネジ51Dとの間にがたつきがあったとしても、挿入部52Aが挿入受部51Bと接触してシャフト52の回転振れを抑制し、安定してシャフト52を回転させることができる。
【0046】
次に本発明の第2の実施形態の攪拌機201について図6から図8に基づき説明する。攪拌機201のハウジング2内の構成は第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。また、第1の実施形態と同一の構成によるものは、同一の符号を付し説明を省略する。出力軸部205は、中継部材251と、シャフト252と、管状部材256とから主に構成される。
【0047】
中継部材251は略円筒形状を成し、シャフト252の一部が挿入可能となっている。中継部材251の上端部の内周面には、被出力ネジ251A(雌ネジ)が形成されていて、出力ネジ41A(雄ネジ)と螺合している。第1の実施形態と同様に、出力ネジ41Aと被出力ネジ251Aの締め付け方向と攪拌羽根6の回転方向とが一致するように構成される。中継部材251の内周面であって被出力ネジ251Aの下方には、挿入受部251Bが設けられている。挿入受部251Bは、シャフト252に設けられた後述する挿入部252Aを挿入可能に構成される。図7に示すように、中継部材251の下部には、内周面と外周面とを連通させる連通孔251aが形成されている。連通孔251aは、円周方向に120°毎に3箇所形成され、ボール253が配置される(図8)。
【0048】
連通孔251aが形成されている同一平面内には、連通孔251aよりも小さい開口の貫通孔251bが形成されている。貫通孔251bには、位置決めピン254が圧入固定されている。位置決めピン254は、中継部材251の内周面側にその一部が突出している。挿通孔251aの下部であって中継部材251の内面には、シール部材255が設けられている(図7)。シール部材255によって、中継部材251の内部と外部とは遮断されている。これにより、ペンキやモルタルなどの攪拌される材料が、中継部材251と、シャフト252との間に入り込むことを防ぐようになっている。挿入孔251aの上部であって中継部材251の外面には、後述の被当接段差256Cと当接可能な当接段差251Cが設けられており、当接段差251Cは管状部材256の上方向への移動を規制する。当接段差251Cの下方であって中継部材251の外面には、止め輪257が設けられており、管状部材256の下方向への移動を規制する。
【0049】
シャフト252は略円柱形状を成し、挿入受部251Bに挿入可能であって挿入受部251Bと嵌合する挿入部252Aが設けられている。第1の実施の形態と同様に、挿入部252Aの外径は挿入受部251Bの内径と略同一に構成される。これにより、攪拌時の中継部材251に対するシャフト252の芯ブレを防止することができる。シャフト252の下端には、図示せぬ攪拌羽根6が設けられている。図6に示すように、挿入部252Aには、軸方向所定距離に亘って複数の係合孔252aが形成されている。係合孔252aは、ボール253の円周方向の位置と対応するように円周方向に120°毎に3箇所形成されていて、ボール253と係合可能である(図8)。シャフト252には、位置決めピン254の突出部分と嵌合する溝252bがシャフト252の上端面から、シャフト252の上端面と出力軸41の下面とが当接した時の位置決めピン254の位置までシャフト252の軸方向に形成されている(図6の点線)。位置決めピン254と溝252bとが嵌合することにより、シャフト252は中継部材251に対して上下方向に摺動可能且つ回転不能となる。
【0050】
管状部材256は略環状を成し、中継部材251の外周であって、ボール253が配置されている半径方向外方に設けられている。管状部材256は、中継部材251に対して図8(a)に示す係合位置から図8(b)に示す解除位置まで回動可能に構成されている。管状部材256は、図示せぬ付勢部材によって図8(a)に示す位置(図8(a)の反時計回り方向)に付勢されている。管状部材256の内周面には、ボール253と当接可能な凸部256Aと、ボール253の一部を受入可能な凹部256aが形成されている。凸部256Aと凹部256aとは、傾斜部256Bによって互いに接続されている。凸部256A及び凹部256aは、ボール253の円周方向の位置と対応するように管状部材256の円周方向に120°毎に3箇所それぞれ形成されている。管状部材256が係合位置にあるときは(図8(a))、凸部256Aはボール253と当接しており、凸部256Aはボール253を半径方向内方に付勢している。管状部材256が解除位置にあるときには(図8(b))、ボール253は半径方向に移動可能となり、凹部256aがボール253の一部を受入可能となる。管状部材256が係合位置と解除位置との間にあるときは、傾斜部256Bがボール253と当接可能となっている。図7に示すように、管状部材256の内周面であって凸部256Aの上面には、当接段差251Cと当接可能な被当接段差256Cが設けられている。管状部材256は中継部材251に対して、当接段差251Cと被当接段差256Cとが当接した位置(図7)と、管状部材256の下面と止め輪257とが当接した位置との間を上下方向に移動可能である。
【0051】
次に、攪拌機201の出力軸部205の軸方向の長さの調整方法について説明する。図8(a)に示すように、管状部材256が係合位置にあるときは、ボール253と係合孔252aとが係合しており、ボール253は凸部256Aで押圧されていて動作不能であるため、中継部材251に対してシャフト252の位置が固定されている。
【0052】
まず、管状部材256を係合位置から解除位置に回転させる(図8(b))。これにより、凹部256aとボール253とが対向し、ボール253は半径方向外側に移動可能となる。この状態で、出力軸部205が所望の長さになるまでシャフト252を上下方向に移動させる。このとき、ボール253の一部は凹部256a内に退避している。そして、管状部材256をフリーにすると、管状部材256は係合位置に付勢されているため、係合位置に戻るように所定量回転する。
【0053】
ボール253と係合孔252aとが対向した位置にある場合、ボール253は傾斜部256Bに押されて半径方向内方に移動し、凸部256Aによってボール253と係合孔252aとの係合が維持される。つまり、管状部材256は一気に係合位置まで戻る。他方、ボール253と係合孔252aとが対向した位置にない場合、ボール253は傾斜部256Bに押されて半径方向内方に移動してシャフト252の外周面と当接する。このとき、ボール253の半径方向の位置は係合位置の状態と比較すると半径方向外方に位置しているため、管状部材256は係合位置まで戻らずに係合位置と解除位置の中間で停止する。管状部材256は図8(a)の時計回り方向に付勢されていることにより、傾斜部256Bもボール253を半径方向内方に付勢する。この状態でシャフト252を上下方向に移動させると、ボール253と係合孔252aとが対向した瞬間にボール253は係合孔252aと係合し、ボール253が凸部256aによって半径方向内方に付勢され、管状部材256は係合位置まで戻る。
【0054】
上記のような構成によると、ボール253は中継部材251の円周方向に等間隔で複数設けられ、係合孔252aはシャフト252の円周方向に等間隔で複数設けられていることから、中継部材251とシャフト252とをより強固に係合させることができる。さらに、両者の係合・解除は、管状部材256を回転させるといった簡易な操作により行うことができるため、作業者の利便性が向上する。
【0055】
さらに、管状部材256を操作することによってボール253と係合孔252aとの係合・解除を行うことができるため、簡単な操作によってハウジング2から延出する中継部材251及びシャフト252の長さを所望の長さに調整することが可能となり、作業者の体格に応じて最適な位置で攪拌作業を行うことができる。さらに、管状部材256によってボール253の位置を規制することにより、ボール253と複数の係合孔252aとを容易に係合・解除することが可能となり、作業者の利便性が向上する。
【0056】
次に本発明の第3の実施形態の攪拌機301について図9から図12に基づき説明する。攪拌機301のハウジング2内の構成は第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。また、第1の実施形態と同一の構成によるものは、同一の符号を付し説明を省略する。出力軸部305は、中継部材351と、シャフト352と、管状部材356とから主に構成される。
【0057】
中継部材351は略円筒形状を成し、シャフト352の一部が挿入可能となっている。中継部材351の上端部の内周面には、被出力ネジ351A(雌ネジ)が形成されていて、出力ネジ41A(雄ネジ)と螺合している。第1の実施形態と同様に、出力ネジ41Aと被出力ネジ351Aの締め付け方向と攪拌羽根6の回転方向とが一致するように構成される。中継部材351の内周面であって被出力ネジ351Aの下方には、挿入受部351Bが設けられている。挿入受部351Bは、シャフト352に設けられた後述する挿入部352Aを挿入可能であって、挿入受部351Bと挿入部352Aとが嵌合するよう構成される。中継部材351の下部には、内周面と外周面とを連通させる連通孔351aが形成されている(図10)。図11に示すように、連通孔351aは、中継部材351の円周方向に120°毎に3箇所形成され、それぞれにボール353が中継部材351の半径方向に移動可能に配置される。
【0058】
中継部材351の内周面下部には、半径方向内方に突出する突出部351Cが設けられており、突出部351Cの内径は挿入受部351Bの内径よりも小さく設定されている。突出部351Cは、連通孔351aに対応するように中継部材351の内周面に円周方向に120°毎に3箇所形成されている(図12(b))。突出部351Cの上面には、後述する被当接面352Eと当接可能な当接面351Dが規定されている。突出部351Cは、下方に向かうほど内径が大きくなるように構成される傾斜面351Eを有し、傾斜面351Eによって中継部材351の下面と接続している。図10に示すように、挿入孔351aの上部であって中継部材351の外周面には、当接段差351Fが設けられており、当接段差351Fは後述の被当接段差356Cと当接可能である。挿入孔351aの下方であって中継部材351の外周面には、止め輪357が設けられている。
【0059】
シャフト352は略円柱形状を成し、シャフト352の上部には挿入部352Aが設けられている。挿入部352Aには、シャト352の軸方向に複数の係合部352Bが設けられていて、係合部352Bはボール353の配置と対応するようにシャフト352の円周方向に120°毎に3箇所配置される(図11)。係合部352Bは、傾斜面351Eと同一の傾斜角度を有し傾斜面351Eと当接可能なテーパ面352Cと、テーパ面352Cの下方に位置し中継部材351の内周面と接触可能な円周面352Dと、当接面351Dと当接可能であって係合部352Bの下面を構成する被当接面352Eとを有する(図10)。テーパ面352Cは、上から下に向かうにつれてシャフト352の半径方向外方に向かうように傾斜している。円周面352Dには、シャフト352の軸方向の断面形状が略く字状の係合孔352aが形成されており、係合孔352aには軸方向の上半分を構成する上面352bと下半分を構成する下面352cとが規定される。シャフト352の回転中心から円周面352Dまでの距離は、中継部材351の挿入受部351Bの内径と略同一に構成される。これにより、攪拌時のシャフト352の芯ブレを防止することができる。
【0060】
管状部材356は、中継部材351の外周であって、ボール353が配置されている半径方向外方に設けられている。管状部材356は、中継部材351に対して図11(a)に示す係合位置から図11(b)に示す解除位置まで回動可能に構成されている。管状部材356は、凸部356Aと、傾斜部356Bと、被当接段差356Cと、を有し、内周面に凹部356aが形成されている。管状部材356は第2の実施の形態の管状部材256と同一の形状であるため、詳細な説明を省略する。
【0061】
ボール353と係合孔352aとは係合可能であり、両者が係合している時、ボール353は凸部356Aによって半径方向内方に付勢されて係合孔352aの上面352bに当接し、シャフト352を上方に押上げるように作用する(図10)。このとき、傾斜面351Eはテーパ面352Cと当接しておりシャフト352が上方に移動することを防止している。つまり、ボール353の押上力をシャフト352のテーパ面352Cで受けることにより、シャフト352は中継部材351に対して固定される。ボール353と係合孔352aとが非係合状態のときは、シャフト352は中継部材351に対して自由に回転可能である。
【0062】
図12(a)は、図10のXII―XII線に沿った断面図であり、シャフト352の中継部材351に対する移動不能位置を示している。このとき、上から見て当接面351Dは被当接面352Eとは一致しており、シャフト352を中継部材351に対して下方向に移動させようとしても当接面351Dが被当接面352Eと当接することにより移動させることができない。同様に上方向に移動させようとしても、テーパ面352Cと傾斜面354とが当接して移動させることができない。図12(b)に示す移動可能位置までシャフト352を回転させると(具体的には、図12(a)の状態からシャフト352を60°回転させると)、上から見て当接面351Dと被当接面352Eとが互い違いになるとともに、テーパ面352Cと傾斜面354とが互い違いになってそれぞれが互いに干渉しなくなるため、シャフト352を中継部材351に対して上下方向に移動させることができる。中継部材351の外周面には、図示せぬマーキングが施されており、作業者は容易にシャフト352の中継部材351に対する移動可能位置及び移動不能位置を把握することができる。
【0063】
次に、攪拌機301の出力軸部305の軸方向の長さの調整方法について説明する。図11(a)に示す係合位置では、ボール353と係合孔352aとが係合しており、シャフト352は中継部材351に対して固定されている。
【0064】
まず、管状部材356を係合位置から解除位置に回転させる(図11(b))。これにより、凹部356aとボール353とが対向し、ボール353と係合孔352aとの係合が解除され、シャフト352は中継部材351に対して回転可能となる。シャフト352を移動可能位置まで回転させて(図12(b))、シャフト352を上下方向に移動させ、出力軸305が所望の長さに設定する。その後、シャフト352を移動不能位置まで回転させて(図12(a))、ボール353と係合孔352aとを対向させる。管状部材356をフリーにすると、管状部材356は係合位置に付勢されているため、係合位置に戻るように所定量回転する。これにより、ボール353と係合孔352aとが係合して、シャフト352は中継部材351に対して固定される。
【0065】
次に本発明の第4の実施形態の攪拌機401について図13から図14に基づき説明する。攪拌機401の図示せぬハウジング内の構成は第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。また、第1の実施形態と同一の構成によるものは、同一の符号を付し説明を省略する。出力軸部405は、中継部材451と、シャフト452と、管状部材456とから主に構成される。
【0066】
中継部材451は略円筒形状を成し、シャフト452の一部が挿入可能となっている。中継部材451の下部には、内周面と外周面とを連通させる連通孔451aが形成されている。連通孔451aは、円周方向に120°毎に3箇所形成され、ボール453が配置される(図14)。図14に示すように、ボール453が配置されている平面と同一平面内には、ピン挿入孔451bが形成されていて、その内部には止めピン458が中継部材451の半径方向に移動可能に配置されている。止めピン458は、バネ459によって半径方向外方に付勢されている。第3の実施の形態と同様に、中継部材451の内周面には挿入受部451Bが規定され、その下部には突出部451Cが設けられている。突出部451Cには、当接面451Dと、傾斜面451Eとが規定されている。挿入孔451aの上部であって中継部材451の外面には当接段差451Fが設けられており、挿入孔451aの下部であって中継部材451の外面には止め輪457が設けられている(図13)。
【0067】
シャフト452は略円柱形状を成し、シャフト452の上部にはシャフト452の軸方向に複数の係合部452Bが設けられている。係合部452Bは、ボール453の配置と対応するようにシャフト452の円周方向に120°毎に3箇所配置される(図14)。図13に示すように、係合部452Bは、傾斜面451Eと同一の傾斜角度を有し傾斜面451Eと当接可能なテーパ面452Cと、テーパ面452Cと接続し中継部材451の内周面と接触可能な円周面452Dと、円周面452Dの下部と接続しボール453と当接可能であって係合部452Bの下面を構成する被当接面452Eとを有する。テーパ面452Cは、上から下に向かうにつれてシャフト452の半径方向外方に向かうように傾斜しており、被当接面452Eは、上から下に向かうにつれて半径方向内方に向かうように傾斜している。シャフト452の回転中心から円周面452Dまでの距離は、中継部材451の挿入受部451Bの内径と略同一に構成される。これにより、攪拌時のシャフト452の芯ブレを防止することができる。
【0068】
管状部材456は、中継部材451の外周であって、ボール453が配置されている半径方向外方に設けられている。管状部材456は、中継部材451に対して図14(a)に示す当接位置から図14(b)に示す解除位置まで回動可能に構成されている。管状部材456は、凸部456Aと、傾斜部456Bと、被当接段差456Cと、を有し、その内周面には凹部456a及び止めピン458の頭を受入可能なピン受部456bが形成されている。管状部材456が解除位置にあるときは(図14(b))、バネ459の付勢力によってピン受部456bが止めピン458の頭を受入れる。これにより、止めピン458とシャフト452とが離間して、シャフト452は中継部材451に対して自由に回転可能となる。管状部材456は、ピン受部456b以外の構成は第3の実施の形態の管状部材356と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
ボール453と被当接面452Eとは当接可能であり、両者が当接している時、ボール453はシャフト452を上方に押上げるように作用する(図13)。このとき、傾斜面451Eはテーパ面452Cと当接しておりシャフト452が上方に移動することを防止している。第3の実施の形態と同様に、ボール453の押上力をシャフト452のテーパ面452Cで受けることにより、シャフト452は中継部材451に対して固定されている。このとき、図14(a)に示すように、止めピン458の先端がシャフト452を押圧しシャフト452が中継部材451に対して回転することを防止している。攪拌機401の攪拌羽根6の回転方向は、図14(a)の反時計回り方向であるため、係合部452Bの側面と止めピン458の先端部分とが当接してシャフト452が中継部材451に対して回転しない。
【0070】
ボール453と被当接面452Eとが非当接状態のときは、シャフト452は中継部材451に対して自由に回転可能である。第3の実施の形態と同様に、シャフト452には、移動可能位置と移動不能位置が規定されていて、中継部材451の外周には移動可能位置と移動不能位置を示すマーキングが施されている。
【0071】
次に、攪拌機401の出力軸部405の軸方向の長さの調整方法について説明する。図14(a)に示す当接位置では、ボール453と被当接面452Eとが当接しており止めピン458の先端はシャフト452と当接しているため、シャフト452は中継部材451に対して固定されている。
【0072】
まず、管状部材456を当接位置(図14(a))から解除位置(図14(b))に回転させる。これにより、凹部456aとボール453とが対向し、ボール453と被当接面452Eとの当接が解除されると同時に止めピン458とシャフト452とが離間し、シャフト452は中継部材451に対して回転可能となる。シャフト452を移動可能位置まで回転させてシャフト452を上下方向に移動させ、出力軸405が所望の長さに設定する。その後、シャフト452を移動不能位置まで回転させてボール453と被当接面452Eとを対向させる。管状部材456をフリーにすると、管状部材456は当接位置に付勢されているため、当接位置に戻るように所定量回転する。これにより、ボール453と被当接面452Eとが当接すると同時に止めピン458の先端がシャフト452の外周面を押圧し、シャフト452は中継部材451に対して固定される。
【0073】
本発明による電動工具及び攪拌機は上述した実施の形態に限定されず、たとえば特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、第1の実施の形態ではネジ山部51E及び52Dはそれぞれ120°毎に設けられていた。しかし、それぞれ180°ごとに合計2箇所もうけられていても良い。また、120°よりも小さい角度毎に設けられていても良い。また、ネジ山部51E及び52Dは中継部材51及びシャフト52の円周方向に1箇所だけに設けられていても良い。そのときは、中継部材51の内部に突起を設けて、シャフト52は中継部材51に対してネジ山部51Eと52Dとが係合する位置と係合しない位置との間のみを回転することができるようにしても良い。
【0075】
また、第1の実施の形態ではナット53は内周面の全周にわたってネジが形成されていたが、係合ネジ52Bと同様にナット53のネジ山を120°毎に3箇所形成しても良い。これにより、ナット53をシャフト52に対してワンタッチで係合させることができる。
【0076】
また、第2〜4の実施の形態では、中継部材に3つのボールを設けたが、それ以上のボールを設けても良い。また3つ以下であっても良い。このとき、それぞれのボールは円周方向等間隔に配置されることが望ましい。
【符号の説明】
【0077】
1・・攪拌機 2・・ハウジング 3・・モータ 4・・回転駆動部 5・・出力軸部 6・・攪拌羽根 21・・モータハウジング 22・・ギヤボックス 23・・ハンドル部 24・・トリガ 25・・電源ケーブル 26・・スイッチ機構 31・・モータ出力軸 32・・冷却ファン 33・・ピニオンギヤ 51・・中継部材 51A・・被出力ネジ 51B・・挿入受部 51C・・拡径部 51D・・被係合ネジ 51E・・ネジ山部 51F・・空隙部 52・・シャフト 52A・・挿入部 52B・・係合ネジ 52C・・シャフト部 52D・・ネジ山部 52E・・空隙部 53・・ナット 61・・ボルト 251・・中継部材 251A・・被出力ネジ 251B・・挿入受部 251C・・当接段差 251a・・連通孔 251b・・貫通孔 252・・シャフト 252A・・挿入部 252a・・係合孔 252b・・溝 253・・ボール 254・・位置決めピン 255・・シール部材 256・・管状部材 256A・・凸部 256B・・傾斜部 256C・・被当接段差 256a・・凹部 257・・止め輪 351・・中継部材 351A・・被出力ネジ 351B・・挿入受部 351C・・突出部 351D・・当接面 351E・・傾斜面 351F・・当接段差 351a・・連通孔 352・・シャフト 352A・・挿入部 352B・・係合部 352C・・テーパ面 352D・・円周面 352E・・被当接面 352a・・係合孔 352b・・上面 352c・・下面 353・・ボール 356・・管状部材 356A・・凸部 356B・・傾斜部 356C・・被当接段差 356a・・凹部 357・・止め輪 451・・中継部材 451B・・挿入受部 451C・・突出部 451D・・当接面 451E・・傾斜面 451F・・当接段差 451a・・連通孔 452・・シャフト 452B・・係合部 452C・・テーパ面 452D・・円周面 452E・・被当接面 453・・ボール 456・・管状部材 456A・・凸部 456B・・傾斜部 456C・・被当接段差 456a・・凹部 456b・・ピン受部 457・・止め輪 458・・止めピン 459・・バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
該モータを収容するハウジングと、
該ハウジングから突出し、該モータにより軸心を中心に回転駆動され、該軸心方向の反ハウジング側端面から該軸心方向に挿入孔が形成され、該挿入孔の内周面側に係合部が設けられた出力軸と、
該挿入孔内に一部が挿入され、該挿入孔内に挿入される部分には該係合部と係合可能な複数の被係合部が設けられた略円柱形状のシャフトと、
該シャフトの該軸心方向の反ハウジング側端部に設けられた羽根と、
該係合部と該複数の被係合部のうちの所望の該被係合部との係合を保持する係合保持部と、を有する攪拌機。
【請求項2】
該係合保持部は、該係合部と該被係合部との係合を維持する第1の位置と、該係合部と該被係合部との係合を解除可能な第2の位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌機。
【請求項3】
該係合部は該挿入孔の円周方向に等間隔で複数設けられ、該被係合部は該シャフトの円周方向に等間隔で複数設けられ、該係合部と該被係合部との係合は、該出力軸に対して該シャフトを円周方向に180°より小さい所定角度回転させることにより行われることを特徴とする請求項2に記載の攪拌機。
【請求項4】
該係合保持部は、該被係合部に係合した状態で該出力軸の反ハウジング側端面を押圧可能であって、押圧可能な位置が該第1の位置であり押圧不能な位置が該第2の位置であり、該第1の位置と該第2の位置とは該軸心方向で離間していることを特徴とする請求項3に記載の攪拌機。
【請求項5】
該被係合部は、該出力軸の外周面側に臨み、該係合保持部は該第1の位置で該出力軸の外周面側に臨む該被係合部の部分を規制し、該第2の位置で該規制を解除することを特徴とする請求項2に記載の攪拌機。
【請求項6】
該係合部は該挿入孔の円周方向に等間隔で複数設けられ、該被係合部は該シャフトの円周方向に等間隔で複数設けられ、該第1の位置と該第2の位置とは該円周方向に離間していることを特徴とする請求項5に記載の攪拌機。
【請求項7】
モータと、
該モータを収容するハウジングと、
該ハウジングから突出し、該モータにより軸心を中心に回転駆動され、該軸心方向の反ハウジング側端面から該軸心方向に挿入孔が形成され、該挿入孔の内周面に第1ネジ部が設けられた出力軸と、
該挿入孔内に一部が挿入され、該挿入孔に挿入される部分には第1ネジ部と嵌合可能な第2ネジ部が設けられた略円柱形状のシャフトと、
該シャフトの該軸心方向の反ハウジング側端部に設けられた羽根と、
該第2ネジ部に嵌合した状態で該出力軸の反ハウジング側端面を押圧可能なナットと、を有し、
該第1ネジ部は該出力軸の円周方向に等間隔に断続して設けられており、該第2ネジ部は該シャフトの円周方向に等間隔に断続して設けられていることを特徴とする攪拌機。
【請求項8】
該シャフトの他端には、挿入部が設けられ、該挿入孔には該挿入部を受入可能な挿入受部が設けられ、該挿入部の外径と該挿入受部の内径とは略同一であることを特徴とする請求項2に記載の攪拌機。
【請求項9】
モータと、
該モータを収容するハウジングと、
該ハウジングから突出し、該モータにより軸心を中心に回転駆動され、該軸心方向の反ハウジング側端面から該軸心方向に挿入孔が形成され、該挿入孔の内周面から該軸心方向と直交する方向に貫通する貫通孔が形成された出力軸と、
該貫通孔内を該軸心方向と直交する方向に移動可能な球と、
該挿入孔内に一部が挿入され、該挿入孔に挿入される部分に該球と係合可能な複数の係合孔が形成されたシャフトと、
該シャフトの該軸心方向の反ハウジング側端部に設けられた羽根と、
該出力軸に設けられ、該球の該軸心方向と直交する方向への移動を規制する管状部材と、
を有することを特徴とする攪拌機。
【請求項10】
モータと、
該モータを収容するハウジングと、
該ハウジングから突出し、該モータの動力により駆動される出力軸と、
該出力軸に固定可能な先端工具と、を有する電動工具であって、
該先端工具は、該出力軸の軸方向において第1の位置と、該第1の位置から移動した第2の位置とにおいて、該出力軸に固定可能であることを特徴とする電動工具。
【請求項11】
モータと、
該モータを収容するハウジングと、
該ハウジングから突出し、該モータの動力により回転駆動される出力軸と、
該出力軸に保持可能な先端工具と、を有する電動工具であって、
該先端工具は、該出力軸に保持されており、
該先端工具は、該出力軸に嵌合することを特徴とする電動工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13】
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【図14(a)】
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【図14(b)】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−230091(P2011−230091A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104906(P2010−104906)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】