説明

電動工具

【課題】負荷の上昇に伴う減速比の切り換えを安価に且つ適切に行えるものとする。
【解決手段】 回転動力源としてのモータ10と、該モータ10で回転駆動される出力部12との間に、減速比を切り換える変速機11を配している電動工具である。上記出力12部の駆動に際して負荷の大小に応じて変化する駆動状態のうちの少なくとも2種の駆動状態を検出する駆動状態検出手段16,17と、上記駆動状態検出手段が検出した少なくとも2つの駆動状態が夫々に対して予め設定されている所定条件を共に満たす時に上記変速機に減速比の切換動作を行わせる制御手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具、殊に変速手段を備えている電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業の負荷の大小に応じて減速比を切り替えることができる電動工具によって、ネジ締めや穴あけ作業を行う場合、まず、低減速比、つまり低トルク高速回転で作業を開始し、その後、減速比を大きくして高トルク低速回転側へと変速して作業を行うことが効率的である。しかし、減速比切り換えの変速を手動で行うものでは、作業開始にあたり、低減速比に設定し、作業途中で高減速比側へ切り換える動作を加えなければならず、作業者にかかる負担が大きくなってしまう。
【0003】
このために、負荷トルクの変化に応じて変速が自動的になされるものがあるが、機械的機構のみで自動変速を行うものは構造的に複雑でコストも高くなってしまう。負荷トルクをトルクセンサで検出して変速を電磁的に行うものでは、トルクセンサによるコストアップが生じる。
【0004】
一方、特許文献1や特許文献2に示されているように、モータ電流を監視して、モータ電流が所定値を越えれば負荷トルクが大きくなったと判定して減速比を切り換える場合、自動変速のためのコストアップは小さく抑えることができる。
【0005】
しかし、モータ電流のみで動作状態を判断しているために、モータ起動時の突入モータ電流(図8(a)参照)で誤動作してしまう虞を有している。この点に対処するために、起動開始からの所定の時間はモータ電流を無視することも提案されているが、起動時からモータロックが生じるような負荷がかかっている時には、上記所定時間の間、モータに過大な電流が流れることになり、破壊にいたる場合もあり得る。
【0006】
また、急激なトリガースイッチ操作でモータ回転速度を急激に高める場合にも突入モータ電流が流れる(図8(b)参照)が、これに反応して自動変速するという誤動作を起こす可能性がある。
【0007】
しかも、モータは温度が上昇するとN−T(回転数−トルク)特性が変化(低下)するために、モータ電流のみで自動切り換えの判断をすると、モータの温度上昇に伴って減速比切り換え時のトルクが徐々に低下してしまい、低速回転での作業時間が長くなって作業速度が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−78349号公報
【特許文献2】特開2009−56590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、負荷の上昇に伴う減速比の切り換えを安価に且つ適切に行うことができる電動工具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、回転動力源としてのモータと、該モータで回転駆動される出力部との間に、減速比を切り換える変速機を配している電動工具において、上記出力部の駆動に際して負荷の大小に応じて変化する駆動状態のうちの少なくとも2種の駆動状態を検出する駆動状態検出手段と、上記駆動状態検出手段が検出した少なくとも2つの駆動状態が夫々に対して予め設定されている所定条件を共に満たす時に上記変速機に減速比の切換動作を行わせる制御手段とを備えていることに特徴を有している。
【0011】
複数の条件を満たさないことには自動変速されないために、単一の条件を満たすだけで自動変速を行う場合に比して、不要なタイミング、あるいは不適なタイミングで自動変速する虞を小さくすることができる。
【0012】
この場合、前記制御手段は、低減速比側から高減速比側への減速比の切換動作と、高減速比側から低減速比側への減速比の切換動作とにおいて、所定条件と比較する駆動状態に異なるものを用いるものであってもよい。
【0013】
また、前記駆動状態検出手段が検出する少なくとも2種の駆動状態として、モータ駆動電流値と、モータ回転数もしくはモータ回転数の増加率を好適に用いることができる。モータ起動時の突入電流だけでなく、急峻なモータ回転数の変化による突入電流によっても誤動作を起こすことがないものを簡便な構成で得ることができる。
【0014】
また、前記制御手段は、モータ駆動電流値とモータ回転数の増加率とが夫々所定条件を共に満たす時に低減速比側から高減速比側への減速比の切換動作を行わせるものを好適に用いることができ、さらにモータ駆動電流値とモータ回転数とが夫々所定条件を共に満たす時に高減速比側から低減速比側への減速比の切換動作を行わせるものを好適に用いることができる。
【0015】
前記モータもしくは該モータ用のモータ駆動回路の温度を検出するモータ駆動温度検出手段を備えて、前記制御手段は上記モータ駆動温度検出手段が検出したモータ駆動温度に応じて減速比の切換のための前記所定条件を補正するものや、電源の温度を検出する電源温度検出手段を備えて、前記制御手段は前記電源温度検出手段が検出した電源温度に応じて減速比の切換のための前記所定条件を補正するものであってもよい。
【0016】
前者の場合、作業速度のばらつきを低減し、安定した作業を行うことができる。また、前記駆動状態検出手段が検出する駆動状態の1つがモータ駆動電流値であれば、前記制御手段は前記モータ駆動温度検出手段が検出する前記モータ駆動温度の値が所定値より高い時、モータ駆動電流値に対する前記所定条件を高くするものが好ましい。変速時のトルクの低下を防ぐこととができ、作業速度の低下を防ぐことができる。
【0017】
後者の場合、電源への負荷を軽減し、電源が電池である場合、電池の劣化を防ぐことができる上に、電池の温度上昇で直ちにモータの強制停止という状態に至らないために、作業を安全に継続することができる。また、前記駆動状態検出手段が検出する駆動状態の1つがモータ駆動電流値であれば、前記制御手段は前記電源温度検出手段が検出する前記電源温度が所定値より高い時、モータ駆動電流値に対する前記所定条件を小さくするものであると、電池への負荷が軽減するとともに温度上昇を制限することができ、電池の劣化の防止及び作業の安全性の確保といった点で好ましいものとなる。
【0018】
さらには、前記モータもしくは該モータ用のモータ駆動回路の温度を検出するモータ駆動温度検出手段と、電源の温度を検出する電源温度検出手段とを備えており、
前記制御手段は上記モータ駆動温度検出手段が検出したモータ駆動温度と前記電源温度検出手段が検出した電源温度とに応じて前記所定条件を補正するものであってもよく、この時、電源温度が高い場合には、電源温度に応じた前記所定条件の補正をモータ駆動温度に応じた前記所定条件の補正よりも優先していると、電池温度の上昇によるモータ強制停止にいきなり陥ることがなくなるために、作業の安全性の確保という点で有利となる。
【0019】
また、上記モータ駆動温度検出手段が検出したモータ駆動温度が所定値より高い時のモータ駆動電流値に対する前記所定条件の補正値と、上記電源温度検出手段が検出した電源温度が所定値より高い時のモータ駆動電流値に対する前記所定条件の補正値のうち、小さい方の補正値を用いるものであってもよい。モータと電池の双方の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、単一の条件を満たすだけで自動変速を行う場合に比して、不要なタイミング、あるいは不適なタイミングで自動変速してしまう虞を小さくすることができるものであり、このために快適な作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態の一例の動作を示すフローチャートである。
【図2】同上のブロック図である。
【図3】モータ特性と温度の関係を示す説明図である。
【図4】他例のブロック図である。
【図5】同上の動作を示すフローチャートである。
【図6】更に他例のブロック図である。
【図7】同上の動作を示すフローチャートである。
【図8】(a)(b)は共に突入電流についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述すると、図2に示す電動工具は、正逆回転自在なモータ10を動力源とする電動ドリルドライバーであり、モータ10の回転出力は、減速比を切り換える変速機能を備えた変速機11を介して出力部12に出力される。図中18は電池パックである。
【0023】
上記変速機11は、ソレノイドなどの電磁部材によって減速比の切換が可能なもので、その減速比の切換動作は、制御回路13の制御下で行われる。
【0024】
この制御回路13は、トリガースイッチ14の操作に応じて上記モータ10の回転制御も司るもので、モータ駆動回路15を通じて上記モータ10の駆動を行う該制御回路13には、モータ10の回転数Nを検出する回転数検出手段16と、モータ駆動電流Iを検出する電流検出手段17とが接続されており、作業負荷に応じて減速比の切換動作を自動で行わせる場合、上記の両検出手段16,17で構成される駆動状態検出手段の検出出力に応じて、制御回路13が変速機11における減速比の切り換えを変速機11に指示する。
【0025】
今、モータ10の起動時に出力負荷が小さい場合、モータ駆動電流Iは大きくなり、モータ回転数Nの増加率も大きくなる。出力負荷が大きい場合はモータ駆動電流Iは同様に大きくなるものの、モータ回転数Nの増加率は小さく、もしくは0になる。
【0026】
このためにこの電動工具における1チップマイクロコンピュータなどで構成された上記制御回路13は、初期設定で減速比が小さい側(図1中の減速比1)にセットした状態でモータ10を起動し、モータ駆動電流I≧I1(A)かつモータ回転数の増加率≦α1の2つの条件を満たした時に、減速比が大となる側(図1中の減速比2)へ自動変速する。
【0027】
起動時の負荷が小さく、作業を続けるにつれて徐々に作業負荷が大きくなる作業を行う場合、モータ駆動電流Iが徐々に大きくなるとともにモータ回転数Nは低下するが、モータ駆動電流I≧I1(A)かつモータ回転数Nの増加率≦α1の条件を満たした時点で、制御回路13は変速機11を減速比が大となる側へ自動変速させる。なお、モータ回転数Nの低下は、その増加率を負の値となることもある。
【0028】
上記条件で自動変速を行うために、作業者が出力無負荷の状態でトリガースイッチ14をオンし、オフ寸前まで戻す動作を繰り返した場含(前記図8(b)に示す電流が流れる場合)でも、上記α1の値を判定可能な増加率に設定しておけば、突入電流による誤った自動変速切換を行うことはない。
【0029】
さらに減速比が大である状態(図1中の減速比3)に切り換えることができる場合(3段変速)は、モータ駆動電流I≧I2(A)かつモータ回転数Nの増加率≦α2の2つの条件を満たした場合に、減速比がより大きい側へ自動変速するようにしておけばよい。なお、I1<I2、α1>α2としているが、切り換えられる減速比の設定によっては異なっていてもよい。
【0030】
また、作業につれて負荷が小さくなる場合は、逆に減速比が小さくなる方向に変速するものとする。作業負荷が小さくなるとモータ駆動電流Iが小さくなり、モータ回転数Nは上昇する。従ってモータ駆動電流I≦I4(A)かつモータ回転数Nの増加率≧α4の条件を満たした場合に低減速比(高速側)に自動変速する。さらに高速側へ変速可能な場合はモータ駆動電流I≦I3(A)かつモータ回転数Nの増加率≧α3の条件を満たした場合に高速側へ自動変速する。なお、I4>I3、α3>α4としているが、この場合も切り換えられる減速比の設定によっては異なっていてもよい。
【0031】
以上のようにモータ駆動電流Iだけでなく、モータ回転数Nもしくはその増加率も変速条件に含めることにより、作業負荷に適した減速比で作業を行うことができるとともに、誤った変速を行ってしまうこともなくて、工具駆動部に過剰な負荷を与えてしまうことを防ぐことができる。
【0032】
上記実施例においてはモータ回転数Nに関して、その増加率の値で判定を行うようにしているが、回転数Nの値そのものを判定条件としてもよい。特に低減速比(高速側)に変速する場合は増加率で見なくても別の不具合を招く虞がない。図1に示すフローチャートでは、低減速比(高速側)への自動変速条件として、モータ回転数Nの値を用いている。ただし、高減速比(低速側)への自動変速に際しては、単位時間当たりの回転数増加率を用いることが好ましい。突入電流の影響を避けることが容易となるためである。
【0033】
ところで、モータ10はその温度が上昇すると図3に示すようにN−T(回転数−トルク)特性が変化(低下)する。したがって、固定のモータ電流値Iで変速のタイミングの判定を行うと、徐々に変速時のトルク値が低下することになる。この場合、徐々に作業速度も遅くなり、作業効率が著しく低下してしまう。
【0034】
この点に対しては、図4に示すようにモータ10もしくはモータ駆動回路15の温度を検出するモータ駆動温度検出手段19を設け、モータ駆動温度検出手段19が検出したモータ駆動温度Tmの値に応じて制御回路13が減速比切換のための条件値を補正することで、変速時のトルクの低下を防いで作業速度の低下を防止することができる。
【0035】
たとえばモータ電流Iの値と比較する電流値に対して上記補正を行う場合の一例について記すと、3段階に減速比を切り換えることができるとともに変速のためのモータ電流についての条件値として上述のI1,I2,I3,I4を用いているものにおいて、モータ駆動温度Tmが予め設定してある温度Tm1より低い時には、判定用の電流値I1,I2,I3,I4としてI11,I21,I31,I41を用い、モータ駆動温度Tmが温度Tm1以上で温度Tm2より低い時には、I12,I22,I32,I42を用い、更にモータ駆動温度Tmが温度Tm2以上で温度Tm3より低い時には、I13,I23,I33,I43を用いるのである。なお、Tm3>Tm2>Tm1、I11<I12<I13、I21<I22<I23であり、モータ駆動温度Tmが高くなるにつれて、減速判定電流の値を大きく設定する。低減速比への変速については、I31<I32<I33、I41<I42<I43とする。
【0036】
図5にこの場合のフローチャートを示す。上記補正はテーブルを設定して行っているが、モータ駆動温度と判定電流の関数式からモータ駆動温度によって判定電流値を変更しても良い。また、モータ駆動温度TmがTm3以上の場合は異常温度とし、モータ駆動を強制的に停止させることで工具の破壊を防ぐことが好ましい。
【0037】
このほか、連続的に作業を行った場合、モータ駆動温度Tmが上昇するだけでなく、電源である電池パック18内の電池温度Tbの上昇も発生する。しかも電池がリチウム電池である場合、高温では発火する危険性がある。このために、電池温度Tbが高温になれば、減速比を大とすることで作業を続行することができる場合でも、強制的に工具を停止させていたが、これでは作業能率が大幅に低下してしまう。
【0038】
このために、図6に示すように、電池の温度を検出する電池温度検出手段(電源温度検出手段)20を設けて、電池温度検出手段20が検出した電池温度Tbの値に応じて制御回路13が減速比切換のための条件値を補正することで、モータ10の負荷を軽くすることにより、電池温度Tbの上昇を抑えることができる。
【0039】
たとえば、検出した電池温度Tbが条件値Tb1よりも低い場合は、判定電流値I1〜I4を変更しないが、電池温度Tbが条件値Tb1以上で条件値Tb2よりも低い時には、判定電流値I1,I2を小さい値に補正して、減速比が大となる状態に早期に変速する。また電池温度Tbが条件値Tb2以上となれば、モータ10の強制停止を行う。
【0040】
このようにすることで、作業を続行しつつ電池の温度上昇を制限することができる。また、電池温度Tbの上昇でモータ10がいきなり停止して作業不能になることがなくなるために、作業を安全に継続することができる。
【0041】
なお、電池温度Tbに応じた補正についても、テーブルを設定して補正することができるほか、電池温度Tbと判定電流の関数式から電池温度Tbによって判定電流値を変更しても良い。
【0042】
図7に示すフローチャートでは、モータ駆動温度Tmと電池温度Tbの両者に応じて条件値(判定電流値)を前記テーブルに基づいて補正している。具体的には電池温度Tb<Tb1の場合は電池温度による補正は行わないものとし、モータ駆動温度Tmで決定される補正値を用いる。しかし、電池温度TbがTb1≦Tb<Tb2の条件を満たす時には、つまり電池温度Tbが高い場合は、モータ駆動温度Tmで決定される補正値ではなく、電池温度Tbに応じて設定されている補正値を用いて減速比の切り変えを行う。大減速比側(低速側)へ自動変速することで、モータ電流値が低下するために電池の温度上昇を制限することができるものであり、電池温度による変速判定値を優先して減速させることにより、作業者は従来のように急に停止して作業不能になることなく作業を安全に継続することができる。電池温度TbがTb2以上となって電池の発熱による危険性がある場合はモータ10を強制停止させるのは前記実施例と同じであり、また電池の温度上昇で直ちにモータ10の強制停止という状態に至るものではないために、作業を安全に継続することができる。
【0043】
モータ駆動温度Tmと電池温度Tbの両者に応じて条件値(判定電流値)を補正する場合、モータ駆動温度Tmに応じた補正後の判定電流値と、電池温度Tbに応じた補正後の判定電流値とを個別に導き、両判定電流値のうち、小さい方の判定電流値を用いて変速を行うようにしてもよい。モータ10及び電池パック18の双方の負担を軽減することができ、作業を安全に継続することができる。
【0044】
上記の各例では、減速比自動切り換えのために検出する駆動状態として、モータ電流Iとモータ回転数Nとを用いたが、この他、モータ電流Iとモータ駆動温度Tm、モータ電流Iと電池温度Tb、モータ駆動温度Tmとモータ回転数N、モータ回転数Nと電池温度Tbなどを用いてもよく、さらには上記のうちの3つ以上が夫々予め設定された条件を満たす時に減速比が切り換えられるようにしてもよい。トリガースイッチ14の操作量(引き量)を減速比自動切り換えのために検出する駆動状態の1つとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 モータ
11 変速機
12 出力部
13 制御回路
14 トリガースイッチ
15 モータ駆動回路
16 モータ回転数検出手段
17 モータ電流検出手段
18 電池パック
19 モータ駆動温度検出手段
20 電池温度検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力源としてのモータと、該モータで回転駆動される出力部との間に、減速比を切り換える変速機を配している電動工具において、
上記出力部の駆動に際して負荷の大小に応じて変化する駆動状態のうちの少なくとも2種の駆動状態を検出する駆動状態検出手段と、上記駆動状態検出手段が検出した少なくとも2種の駆動状態が夫々に対して予め設定されている所定条件を共に満たす時に上記変速機に減速比の切換動作を行わせる制御手段とを備えていることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記制御手段は、低減速比側から高減速比側への減速比の切換動作と、高減速比側から低減速比側への減速比の切換動作とにおいて、所定条件と比較する駆動状態に異なるものを用いていることを特徴とする請求項1記載の電動工具。
【請求項3】
前記駆動状態検出手段が検出する少なくとも2種の駆動状態は、モータ駆動電流値と、モータ回転数もしくはモータ回転数の増加率であることを特徴とする請求項1または2記載の電動工具。
【請求項4】
前記制御手段は、モータ駆動電流値とモータ回転数の増加率とが夫々所定条件を共に満たす時に低減速比側から高減速比側への減速比の切換動作を行わせるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記制御手段は、モータ駆動電流値とモータ回転数とが夫々所定条件を共に満たす時に高減速比側から低減速比側への減速比の切換動作を行わせるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記モータもしくは該モータ用のモータ駆動回路の温度を検出するモータ駆動温度検出手段を備えており、前記制御手段は上記モータ駆動温度検出手段が検出したモータ駆動温度に応じて減速比の切換のための前記所定条件を補正するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記駆動状態検出手段が検出する駆動状態の1つがモータ駆動電流値であり、前記制御手段は前記モータ駆動温度検出手段が検出する前記モータ駆動温度の値が所定値より高い時、モータ駆動電流値に対する前記所定条件を高くするものであることを特徴とする請求項6記載の電動工具。
【請求項8】
電源の温度を検出する電源温度検出手段を備えており、前記制御手段は前記電源温度検出手段が検出した電源温度に応じて減速比の切換のための前記所定条件を補正するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項9】
前記駆動状態検出手段が検出する駆動状態の1つがモータ駆動電流値であり、前記制御手段は前記電源温度検出手段が検出する前記電源温度が所定値より高い時、モータ駆動電流値に対する前記所定条件を小さくするものであることを特徴とする請求項8記載の電動工具。
【請求項10】
前記モータもしくは該モータ用のモータ駆動回路の温度を検出するモータ駆動温度検出手段と、電源の温度を検出する電源温度検出手段とを備えており、
前記制御手段は上記モータ駆動温度検出手段が検出したモータ駆動温度と前記電源温度検出手段が検出した電源温度とに応じて前記所定条件を補正するものであるとともに、電源温度が高い場合、電源温度に応じた前記所定条件の補正をモータ駆動温度に応じた前記所定条件の補正よりも優先していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項11】
前記駆動状態検出手段が検出する駆動状態の1つがモータ駆動電流値であり、
前記モータもしくは該モータ用のモータ駆動回路の温度を検出するモータ駆動温度検出手段と、電源の温度を検出する電源温度検出手段とを備え、
前記制御手段は、上記モータ駆動温度検出手段が検出したモータ駆動温度が所定値より高い時のモータ駆動電流値に対する前記所定条件の補正値と、上記電源温度検出手段が検出した電源温度が所定値より高い時のモータ駆動電流値に対する前記所定条件の補正値のうち、小さい方の補正値を用いるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate