説明

電動機の通電制御方法

【課題】 電動機の通電直後に流れる突入電流を抑えるとともに電動機を確実に作動することが可能な通電制御方法を提供すること。
【解決手段】 モータ31に流れる実電流値Iaと予め設定されている所定電流値I3とを比較して、実電流値Iaが所定電流値I3より大きいときにはモータ31への通電・非通電のデューティ比を所定比率だけ小さくし、実電流値Iaが所定電流値I3より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしてもデューティ比が100%を超えないときにはモータ31への通電・非通電のデューティ比を所定比率だけ大きくし、実電流値Iaが所定電流値I3より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしたときのデューティ比が100%を超えるとモータ31を常時通電するようにする通電制御方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機に流れる電流を制御する通電制御方法に関するものであり、特に通電開始直後に流れる突入電流を制御するための通電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の通電制御方法としては、特開平8−223983号公報に開示される技術がある。この技術には、負荷電流に応じた出力トルクを発生するモータと、軸方向に往復動するロッドと、モータの出力トルクを軸方向の推力に変換してロッドに伝達し、モータへの通電が停止するとロッドに掛る負荷によってモータを逆回転させる動力伝達機構と、モータへの通電を所定時間(1秒)に設定するとともに、モータに所定値以上の電流が流れると電流をPWM制御して所定トルク以上の出力トルクとならないように負荷電流を制限するモータ駆動回路とを備える車両の駆動状態を切換える駆動切換機構が開示されている。
【0003】この技術に開示される通電制御方法によると、PWM制御によりモータに流れる負荷電流が制限されてモータの出力トルクが抑えられるので、ロッドや動力伝達機構に大きな負荷が掛らなくなって、動力伝達機構や構成部品の小型化が可能になるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記公報に開示される技術では、モータへの通電時且つアクチュエータの非作動時では電流をPWM制御によって電流値を制限している。しかしながら、モータへの通電開始直後にモータに流れる突入電流を制限することに関しては何ら述べられておらず、モータに大電流である突入電流が流れるとモータが過剰発熱し、モータ駆動回路が劣化したり耐久性が低下する、という問題がある。
【0005】そこで本発明は、上記の実情に鑑みて、電動機の通電直後に流れる突入電流を抑えるとともに電動機を確実に作動することが可能な通電制御方法を提供することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために請求項1の発明は、通電電流に応じて駆動する電動機への通電開始直後から行われる通電制御方法であって、電動機に流れる実電流値と予め設定されている所定電流値とを比較して、実電流値が所定電流値より大きいときには電動機への通電・非通電のデューティ比を所定比率だけ小さくし、実電流値が所定電流値より小く且つデューティ比を所定比率だけ大きくしてもデューティ比が100%を超えないときには電動機への通電・非通電のデューティ比を所定比率だけ大きくし、実電流値が所定電流値より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしたときのデューティ比が100%を超えるときにはデューティ比を100%に設定するようにした。
【0007】請求項1によると、通電開始直後に電動機に流れ込む突入電流が予め設定された所定電流値より大きくなると電動機への通電デューティ比を所定比率だけ小さくするので、電動機に流れる電流はデューティ比を小さくする前より小さくなる。実電流値が所定電流値より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしてもデューティ比が100%を超えないときにはデューティ比を所定比率だけ大きくして、電動機に流れる電流を所定電流値付近に確保する。これにより電動機の耐久性が大幅に低減することがなくなる。また、実電流値が所定電流値より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしたときのデューティ比が100%を超えたときには、電動機に流れる電流が安定して定常状態となっていると考えられるので、電動機へのデューティ比を100%に設定する。このような通電制御によって、請求項1の発明では所定電流値付近で電流値が安定する。したがって、電動機には通電開始直後に流れる突入電流等の大電流が流れず、電動機が過剰発熱することがなくなるとともに、電動機には所定電流値付近の電流値が流れるため、電動機は確実に作動することができ、電動機の応答性も確保される。
【0008】
【実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1に、本実施の形態の通電制御方法が行われる電動機を備える装置である自動車の2輪駆動−4輪駆動切替装置10の断面図を示す。図1では各構成が見難くならないように一部の構成を除いてハッチングを省略している。
【0009】駆動切替装置10は変速機(図示せず)の出力である入力軸24と車両の前輪駆動軸12と後輪駆動軸11との間に配設されており、駆動切替装置用アクチュエータ30の作動によって車両の駆動状態を2輪駆動、4輪駆動(センターデフロック)及び4輪駆動(センターデフフリー)の3つの状態に切替える装置である。後輪駆動軸11には入力軸24を介して回転駆動力が伝達され、後輪駆動軸11の回転駆動力はセンターデフユニット13からサイレントチェーン19を介して前輪駆動軸12に伝達可能に構成されている。センターデフユニット13は前輪駆動軸12と後輪駆動軸11との間の回転数の差を吸収する装置であり、遊星歯車機構によって構成されている。
【0010】駆動切替装置10による駆動状態の切替について説明する。本実施の形態で用いられる駆動切替装置は、ロッド33の位置に応じて車両の駆動状態を2輪駆動、4輪駆動(センターデフロック)及び4輪駆動(センターデフフリー)の3つの状態に切替え、ロッド33の位置に応じて第1シャフト14が軸方向に移動されることで各シャフト14、15に配設される2駆−4駆切替シフトフォーク16及びセンターデフロックシフトフォーク17が軸方向に移動して、各シフトフォーク16、17の端部に設けられたスリーブ16A、17Aが軸方向に移動される。これによって車両の駆動状態が切替えられる。4輪駆動(センターデフフリー)状態では、前輪駆動軸12側の部材とセンターデフユニット13とが連結されて、遊星歯車機構の遊星歯車作用によって両駆動軸11、12の回転数の差を吸収しながら後輪駆動軸11の回転駆動力がサイレントチェーン19を介して前輪駆動軸12に伝達される。4輪駆動(センターデフロック)状態ではスリーブ17Aが図面上側の位置となってセンターデフユニット13の遊星歯車機構がロックされ、前輪駆動軸12と後輪駆動軸11とが直結状態となり、両駆動軸11、12は同じ回転数で回転駆動する。また、2輪駆動の状態では前輪駆動軸12側の部材とセンターデフユニット13が連結されずに、後輪駆動軸11のみに入力軸24の回転駆動力が伝達される。
【0011】次に、駆動切替装置用アクチュエータ30について説明する。図2は本実施の形態における駆動切替装置用アクチュエータ30の断面図、図3は図2のA視図である。駆動切替装置用アクチュエータ30は、負荷電流に応じて回転駆動する電動機であるモータ31と、モータ31の出力軸31Aの回転トルクを軸方向の推力に変換して出力する出力機構32と、出力機構32を介してモータ31の回転トルクに応じた推力が伝達され、伝達された推力に応じて位置が変位するロッド33と、モータ31の出力軸31Aと出力機構32との間に配設されロッド33側から出力軸31A側へ伝達される動力により出力軸31Aが回転するのを禁止するサイクロイドギヤ34と、サイクロイドギヤ34と出力機構32との間に配設され、モータ31の回転時且つロッド33の往復動不可時におけるモータ31の回転を吸収する回転吸収機構35と、回転吸収機構35と出力軸31Aとの間に配設され、出力軸31Aの回転角度を検出するリミットスイッチ36とをハウジング37内に配設している。更に駆動切替装置要アクチュエータ30は、外部からの信号を入力して車両の駆動状態を選択し、選択された駆動状態となるべくモータ31への通電を出力する制御機構40をハウジング37の外部に備えている。制御機構40の回路構成を図4に示す。
【0012】回転吸収機構35は、サイクロイドギヤ34を介してモータ31の出力軸31Aの回転を伝達可能なモータ側回転部材35Aと、モータ側回転部材35Aの回転方向に弾縮可能なスパイラルスプリング35Bと、出力機構32に回転力を伝達可能な出力側回転部材35Cと、モータ側回転部材35Aと出力側回転部材35Cとの間に配設されるプレート35Dとを備えている。
【0013】制御機構40について説明する。制御機構40は、外部からの信号であるバッテリー(図示せず)から供給される電源、車速、手動スイッチ50のオン・オフ、リミットスイッチ36の複数の端子の接触・非接触、及びモータ31に流れる電流を入力して、これら入力された信号に応じた駆動状態となるようにモータ31への通電電流を算出し、この算出された電流値を出力すべくリレー42、43及びFET44、45のオン・オフを出力するCPU41により構成される。モータ31に流れる電流は、抵抗47に流れる電流をコンパレータ46にて予め設定されている複数の所定電流値と比較することで、モータ31に流れる電流が所定の電流値に達しているか否かを検知している。
【0014】駆動切替装置用アクチュエータ30の作動について、図5〜図7のタイムチャートを用いて説明する。本実施の形態では4輪駆動(センターデフフリー)から4輪駆動(センターデフロック)へ切替わるときの各構成の作動について説明する。図5はモータ31に流れる実電流値Ia、図6は回転吸収機構35のスパイラルスプリング35Bによりロッド33に作用する推力、図7はロッド33のストロークをそれぞれ示している。先ず、時間t0〜t1での各状態について説明する。4輪駆動(センターデフフリー)の状態から手動スイッチ50のセンターデフロックのスイッチがオンされると、CPU41がリレー42、43及びFET44、45のオン・オフ信号を出力し、モータ31への通電が開始される(時間t0)。ここで、通電開始直後にはモータ31に突入電流が流れようとするが、後述する第1デューティ制御にてモータ31に流れる突入電流を抑えることで、モータ31には第1所定電流値I1程度の電流しか流れない。尚、第1デューティ制御は本発明の請求の範囲で述べられている通電制御に対応するものであり、また、第1所定電流値I1は本発明の請求の範囲で述べられている所定電流値に対応するものである。通電開始から時間t0’を経過して突入電流が流れなくなってからは定常電流I2がモータ31に流れる。このように時間t0〜t1ではモータ31に電流が流れて出力軸31Aが回転駆動し、出力機構32を介してロッド33が軸方向に変位する。このときにはロッド33の軸方向変位は規制されずに、時間に比例してロッド33がストロークし、スパイラルスプリング35Bには各部材の摺動抵抗のみが作用するだけである。
【0015】次に、ロッド33のストロークに伴うセンターデフロックシフトフォーク17の軸方向の変位に際して、スリーブ17Aの内外周に形成されたスプラインとセンターデフユニット13に形成されたスプラインとが噛み合うと、センターデフユニット13の遊星歯車機構が作用しないようにスリーブ17Aが遊星歯車機構を一体回転させてセンターデフロック状態となるが、スリーブ17Aが軸方向に変位しても、センターデフフリーの状態では遊星歯車機構が作用しているためにスリーブ17Aの内外周に形成されたスプラインとセンターデフユニット13に形成されたスプラインとは直ぐには噛み合わず、スリーブ17Aのスプラインとセンターデフユニット13のスプラインとが噛み合うまでは、時間t1〜t3で示されるスパイラルスプリング35Bが弾縮した状態(以下、待ち状態と称す)を保持している。この待ち状態ではロッド33が軸方向に変位できず、それに伴って実電流値Iaは徐々に大きくなる。実電流値Iaがコンパレータ46にて検出される第2所定電流値I3に達する(時間t2)と、PWM制御にてモータ31に流れる電流を第2所定電流値I3に保持するとともにON・OFF制御にてモータ31への通電・非通電を行う第2デューティ制御を行い(時間t2〜t3)、過電流によるモータ31の発熱を抑える。時間t2〜t3で行われる第2デューティ制御のPWM制御の周期は数百μsec、ON・OFF制御の周期は数百msec〜数secに設定されている。尚、出力軸31Aはサイクロイドギヤ34を介して回転吸収機構35に連結されているので、モータ31が非通電になっても出力軸31Aが逆方向に回転することはなく、電流のON・OFF制御が可能になる。時間t1〜t3でのスパイラルスプリング35Bの弾縮について説明する。時間t1〜t2まではスパイラルスプリング35Bを弾縮させながらモータ31が回転することでスパイラルスプリング35Bに作用する荷重が徐々に大きくなり、時間t2でモータ31の回転が停止する。第2デューティ制御が行われる時間t2〜t3ではモータ31が回転することなくスパイラルスプリング35Bに略一定の荷重が作用してロッド33に略一定の推力が蓄えられる。
【0016】第2デューティ制御はスリーブ17Aのスプラインとセンターデフユニット13のスプラインとが噛み合うまで行われ、スリーブ17Aがセンターデフユニット13のスプラインに噛み合う(時間t3)と、スリーブ17Aがスプラインに沿って軸方向に変位する。
【0017】時間t3〜t4ではスパイラルスプリング35Bが弾縮状態から非弾縮状態に移行して、スパイラルスプリング35Bの荷重が0となる(時間t4)。このときにはスパイラルスプリング35Bの弾性力によりロッド33は軸方向に素早く変位する。
【0018】時間t4〜t5ではモータ31への通電が連続して行われる。スリーブ17Aがセンターデフユニット13のスプラインに沿って軸方向に変位するので、ロッド33は時間に比例してストロークし、モータ31には待ち状態に達するまでの電流と略同じ定常電流I2が流れる。
【0019】時間t5〜t6ではスリーブ17Aがスプラインに沿って駆動状態の切替え完了の位置まで変位し、ロッド33の軸方向の変位が規制されてからモータ31への通電が停止するまでを示している。時間t5を経過してから実電流値Iaが徐々に大きくなり、実電流値Iaがコンパレータ46にて検出される第3所定電流値I4に達する(時間t6)と、モータ31を非通電として4輪駆動(センターデフフリー)から4輪駆動(センターデフロック)への切替えが完了する。
【0020】本発明の主旨である図5の時間t0〜t0’における第1デューティ制御について説明する。図8R>8は図5の時間t0〜t0’における通電・非通電のデューティ比、実電流値Ia及び第1所定電流値I1を示すタイムチャートである。また、図9はモータ31への通電に係るフローチャートである。
【0021】本実施の形態では、突入電流が流れる時間t0〜t0’は数〜数十msecであり、第1デューティ制御は周期Tが数百μsecに設定されるPWM制御である。
【0022】図9のフローチャートにしたがってモータ31への通電を説明する。ステップ10にて車両の駆動状態の切換要求があるか否かが判断され、切換要求有の場合にはステップ11に進み、モータ31への通電を開始する。次に、ステップ12にて予め設定された比率D0(0<D0<100)と周期Tとを乗した時間だけスイッチをONしてモータ31へ通電し、ステップ13にて100とD0の差と周期Tとを乗した時間スイッチをOFFしてモータ31への通電を停止する。次に、ステップ14に進んでモータ31に流れる実電流値Iaと第1所定電流値I1とを比較して、実電流値Iaが第1所定電流値I1以下のときにはモータ31への通電比率を大きくする必要があると判断して、ステップ15に進んで比率Dn−1(nは正の整数)に所定比率h(0<h<100)を加えた値が100%以上か否かを判定し、100%より小さい場合にはステップ16にてDn−1にhを加えた値をDnとする。これによりモータ31への通電・非通電のデューティ比が所定比率だけ大きくなる。ステップ14で実電流値Iaが第1所定電流値I1より大きいときにはステップ17に進んで比率Dn−1から所定比率hを差し引いた値をDnとする。これによりモータ31への通電・非通電のデューティ比が所定比率だけ小さくなる。ステップ15でDn−1に所定比率hを加えた値が100%以上の場合にはステップ20に進み、周期Tに対する通電比率が100%であっても第1所定電流I1以上とはならないと判断してモータ31を常時通電する。ステップ16、17からステップ18に進み、周期Tにステップ16或いはステップ17で求めた値Dnを乗した時間だけスイッチをONとしてモータ31へ通電し、ステップ19にて100%とDnの差と周期Tとを乗した時間だけスイッチをOFFしてモータ31への通電を停止する。ここで、ステップ12とステップ13及びステップ18とステップ19で行われる周期Tは非常に短い時間(数百μsec)であるので、周期T内ではモータ31に流れる電流は完全に零にはならない。したがって、モータ31に流れている実電流は、図8に示すように完全に零にならずに第1所定電流値I1付近を保持する。上述したステップ14からステップ19は、ステップ15にてDn−1に所定比率hを加えた値が100%以上となるまで、即ちモータ31に流れる実電流値Iaが安定するまで繰り返し行われる。尚、図9のステップ11からステップ20までが第1デューティ制御に対応するステップである。また、ステップ16とステップ17で用いられる所定比率hは、ステップ16とステップ17で異なる比率に設定してもよい。
【0023】第1デューティ制御が終了すると、ステップ20からステップ21に進んで実電流値Iaが第2所定電流値I3以上か否かを判断する。ステップ21にて実電流値Iaが第2所定電流値I3より小さいときには、ステップ23に進んで駆動状態の切替が完了したか否かを判断する。切替が完了していないときにはステップ20に戻ってモータ31へ常時通電し、ロッド33が軸方向に変位できずにモータ31に流れる電流値が徐々に大きくなり、ステップ21にて実電流値Iaが第2所定電流値I3に達したと判断すると、ステップ22に進んで前述した第2デューティ制御を行う。第2デューティ制御は、実電流値Iaが第2所定電流値I3より小さくなるまで行われ、ステップ23にて車両の駆動状態の切換が完了したと判断すると、ステップ24にてモータ31への通電を停止する。
【0024】以上説明したように、本実施の形態によると第1デューティ制御によってモータ31への通電開始直後に流れる突入電流を第1所定電流値I1付近に抑えることができるので、モータ31には大電流が流れなくなり、モータ31が過剰発熱することがなくなるとともに、モータ31は確実に作動することができ、応答性も確保される。
【0025】上述した実施の形態では、モータ31への通電開始直後からモータ31に流れる電流の大きさに応じて電流を第1デューティ制御し、電流が安定したことを検出すると第1デューティ制御を終了して、第1所定電流値I1に達するまでは常時通電するようにしたが、これ以外の方法として、予め突入電流が流れる時間を実験的に求めておき、その時間に達すると第1デューティ制御を終了するようにしてもよい。
【0026】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定される意図はなく、本発明の主旨に沿った形態のものであればどのようなものであってもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明によると、所定電流値付近で電流値が安定するので、電動機には通電開始直後に流れる突入電流等の大電流が流れず、電動機が過剰発熱することがなくなるとともに、電動機には所定電流値付近の電流値が流れるため、電動機は確実に作動することができ、電動機の応答性も確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における駆動切換装置の断面図である。
【図2】本実施の形態における駆動切替用アクチュエータの断面図である。
【図3】図2のA視図である。
【図4】本実施の形態における制御機構の回路図である。
【図5】本実施の形態における駆動切替用アクチュエータに係るタイムチャートである。
【図6】本実施の形態における駆動切替用アクチュエータに係るタイムチャートである。
【図7】本実施の形態における駆動切替用アクチュエータに係るタイムチャートである。
【図8】時間t0〜t0’におけるデューティ比及び実電流Iaを示すタイムチャートである。
【図9】モータ31への通電に係るフローチャートである。
【符号の説明】
10・・・駆動切替装置 11・・・後輪駆動軸
12・・・前輪駆動軸 13・・・センターデフユニット
14・・・第1シャフト 15・・・第2シャフト
16・・・2駆−4駆切替シフトフォーク
17・・・センターデフロックシフトフォーク
19・・・サイレントチェーン
23・・・減速機 24・・・入力軸
30・・・駆動切替装置用アクチュエータ 31・・・モータ(電動機)
32・・・出力機構 33・・・ロッド(出力部材)
34・・・サイクロイドギヤ(逆転禁止機構)
35・・・回転吸収機構
36・・・リミットスイッチ(検出機構) 37・・・ハウジング
40・・・制御機構 50・・・手動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通電電流に応じて駆動する電動機への通電開始直後から行われる通電制御方法であって、前記電動機に流れる実電流値と予め設定されている所定電流値とを比較して、前記実電流値が前記所定電流値より大きいときには前記電動機への通電・非通電のデューティ比を所定比率だけ小さくし、前記実電流値が前記所定電流値より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしてもデューティ比が100%を超えないときには前記電動機への通電・非通電のデューティ比を所定比率だけ大きくし、前記実電流値が前記所定電流値より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしたときのデューティ比が100%を超えると前記電動機への通電・非通電のデューティ比を100%に設定することを特徴とする、電動機の通電制御方法。
【請求項2】 請求項1の通電制御方法における通電制御の制御周期は、前記電動機への通電開始直後から電流が安定するまでの時間よりも短い時間であることを特徴とする、電動機の通電制御方法。
【請求項3】 前記所定電流値は、前記電動機を駆動させるのに必要最小限の電流値より大きく且つ電動機への通電開始直後に流れる突入電流の最大値より小さい値に設定されることを特徴とする、請求項1の電動機の通電制御方法。
【請求項4】 請求項1の通電制御方法における通電制御は、前記電動機への通電開始直後から前記実電流値が前記所定電流値より小さく且つデューティ比を所定比率だけ大きくしたときのデューティ比が100%を超えるまで行われることを特徴とする、電動機の通電制御方法。
【請求項5】 請求項1の通電制御方法における通電制御は、前記電動機への通電開始直後から電流が安定して定常状態になると想定される所定の時間が経過するまで行われることを特徴とする、電動機の通電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−339970(P2001−339970A)
【公開日】平成13年12月7日(2001.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−156950(P2000−156950)
【出願日】平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】