説明

電動歯ブラシ

ハンドグリップ部(2)と付属部(3)(ブラシヘッド(4)など)とを含む電動歯ブラシ(1)について説明する。ブラシヘッド(4)は、好ましくは第1の電気モータ(7.1)を備えた第1の駆動ユニット(6.1)によって駆動可能である。ケア剤用のストックホルダ(8.1)は、ポンプ(10.1)を介してダクト(11.1)と接続され、このダクトはブラシヘッド(4)につながる。この場合、ポンプ(10.1)は、第2の電気モータ(7.2)を備えた第2の駆動ユニット(6.2)によって駆動可能である。第1及び第2の電気モータ(7.1、7.2)はバッテリ又はアキュムレータ(12)により電力を供給される。ハンドグリップ部(2)のケース(16)は、ハンドグリップ部(2)内で長手方向に延びる防水性のパーティション(17)によって第1及び第2のチャンバ(19、20)に分割され、第1のチャンバ(19)には第1及び第2の駆動ユニット(6.1、6.2)及びバッテリ又はアキュムレータ(12)が配置され、第2のチャンバ(20)にはストックホルダ(8.1)及びポンプ(10.1)が配置されている。ポンプ(10.1)は、第2の駆動ユニット(6.1)によりレバー(15)を介して駆動することができ、ポンプの動き(A’−B’)は、レバー(15)からパーティション(17)の内蔵の軟弾性膜(18)を介して、力の伝達が可能な接触によりポンプ(10.1)に伝達されるか、パーティション(17)の防水性スライドスリット(21)を介してポンプ(10.1)に伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドグリップ部と付属部とを含む電動歯ブラシに関するものである。この場合、ハンドグリップ部はケースを備え、ケース内にはケア剤用のストックホルダ、ケア剤を送り出すためのポンプ及びポンプを駆動するための駆動ユニットが配置されている。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,957,925(B1)号から、ハンドグリップ部と、このハンドグリップ部に配置された第1の電気モータによって駆動されるブラシヘッド付きの付属部とを含む電動歯ブラシが知られている。液状のケア剤(練り歯磨き)のために、電動歯ブラシのハンドグリップ部内には、ポンプを介してブラシヘッドにつながるダクトに接続されたストックホルダが配置されている。このポンプは第2の電気モータによって継続的又は規定のインターバルをおいて駆動され、第1及び第2の電気モータはバッテリ又はアキュムレータによって電力を供給される。これにより、別のチューブから手作業でケア剤をブラシヘッドに塗る必要がなくなり、ケア剤が歯に均等に行き渡るため、歯磨き効果が改善される。この電動歯ブラシには、例えば、ストックホルダからのケア剤の漏れによる漏電及び/又は腐食によって、電気部品又は電子部品の作動障害が発生する可能性があるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,957,925(B1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、本発明の課題は、高い作動安定性を保証し、更にコンパクトな構造を有し、それによって操作性に優れた電動歯ブラシを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、ハンドグリップ部と付属部と含む電動歯ブラシによって解決され、この場合、ハンドグリップ部はケースの長手方向に延びるパーティションによって、防水性の第1及び第2のチャンバに分割されており、第2のチャンバにはケア剤用のストックホルダ及びポンプが配置され、第1のチャンバにはポンプ用駆動ユニットが配置されている。ケースの第2のチャンバには、外部から再密閉可能なカバー部品を介してアクセスできる。
【0006】
ストックホルダには、口腔内を手入れするための液体状又はペースト状の薬剤が含まれる。これには、例えば、歯の洗浄剤の他、虫歯予防、歯垢の除去、口臭の軽減、歯のホワイトニング又は美白化、エナメル質の復元、又は敏感な歯の保護強化のための薬剤などがある。電動歯ブラシに2つのストックホルダがある場合は、この2つのストックホルダに異なる薬剤を入れ、2つのポンプによってこれらを同時に供給することができる。このことは、口腔内の手入れに、複数の薬剤を使用する必要があり、それらを一緒に保存すると相互反応するおそれがあるため、別々に保管しなければならない場合に、特に有利である。2つのストックホルダに別々に保存し、2つのポンプで同時に供給することにより、これらの薬剤は口腔内で初めて混合されるため、同時投与が可能となる。更に、2つの薬剤が口腔内で相互に反応する場合は、有利な効果が期待できる。
【0007】
ストックホルダは、好ましくは多層構造の金属及び合成樹脂製の柔らかいフィルムを有する交換可能な袋からなり、好適には縦長の平坦な形を有する。ポンプで口内ケア剤を取り出す際に発生する負圧により、ストックホルダは折り畳まれる。ポンプは、使用者の選択により、操作ボタン又は電子スイッチにより制御できる。また電動歯ブラシは、好ましくは隣り合って配置されている多数のストックホルダを含むこともでき、交換可能なユニットに統合することができる。
【0008】
ストックホルダにはポンプに接続するための接続ピースが取り付けられ、この接続ピースにはシングルバルブ又はマルチ動作バルブが取り付けられている。ポンプは、流入バルブ付きのストックホルダを連結する連結部に接続されており、この流入バルブは、好ましくは接続サポート内部に配置され、ストックホルダの連結時にストックホルダに取り付けられたタペットにより、強制的に開かれる。このバルブはポンプ又はストックホルダの乾燥を防ぐ。ストックホルダの接続ピースには、更に、ポンプの連結部とかみ合うことのできるラッチエレメントが取り付けられるのが好ましい。
【0009】
ポンプは、連結部及びダクトを介して接続された流出口と共に、交換可能な構成ユニットを形成する。交換可能な構成ユニットは、連結ピース内に複数の流入口と、ダクトを介して接続された複数の流出口とを備えたポンプを含むこともできる。流出口は付属部のダクトと接続することができる。
【0010】
付属部は、例えば、交換可能な形でハンドグリップ部と接続することのできる周知のブラシヘッドからなる。このブラシヘッドには、ハンドグリップ部の第1の駆動ユニットで駆動できる可動式のブラシ部が取り付けられている。第1の駆動ユニットは、同様に、防水性の第1のチャンバに配置されている。ブラシヘッドは、更にダクトを介してポンプ及びストックホルダと接続可能であるケア剤の流出口を有している。ハンドグリップ部に、ポンプ用の第2の駆動ユニットがあり、それによって、ブラシ部の駆動とは無関係にケア剤を注入できることが好ましい。それによって、例えば、歯磨きの初めに比較的高い圧送率で比較的多くのケア剤を送り出し、残りの歯磨き時間は比較的低い圧送率で必要に応じた量のケア剤を継続的に送り出すことができる。歯ブラシのコンパクトな構造を達成するために、好ましくは付属部の駆動ユニット及びポンプの駆動ユニットは、ケースの長手方向に並べて第1のチャンバに取り付けられる。
【0011】
2つのチャンバの間のパーティションは、少なくとも一部が軟弾性を有するように形成することができ、駆動ユニットの駆動動作のポンプへの伝達は、パーティションの軟弾性を有する部分において行われる。パーティションが硬い場合には、例えば、駆動ユニットの駆動動作をポンプへ伝達できるようにする防水性のスライドスリットが準備されている。どちらの場合も、駆動動作の伝達はレバーによって行われ、このレバーは、必要に応じて複数のポンプを操作することもできる。
【0012】
パーティションの軟弾性を有する部分は、硬化合成樹脂のエレメントを有する柔らかい膜からなり、このエレメントは膜の軟弾性合成樹脂によって押出し加工されている。これらのエレメントは、伝達ピンとして形成されるか、又は円筒形の伝達ピンのキャッチとして形成される。伝達エレメントは一方の端部がレバーによって操作され、他方の側でポンプとポジティブ接続又は実質的に接続され、好ましくは膜式バルブポンプの弾性のある膜と直接的に接続されている。ポンプの操作はポジティブ接続で行うことができる。つまり、レバーをポンプ膜に押し付けることも、レバーをポンプ膜に引くこともできるため、ポンプはリターンスプリングが不要となる。ただし、ポンプがリターンスプリングを有する場合、ポンプ膜を元の位置に戻す動作はリターンスプリングによって行われるため、レバーは伝達エレメントを介してポンプ膜に圧力を加えるだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、以下に図を示した3つの実施例で詳細に説明される。
【図1】歯ブラシ付属部、ストックホルダ及びポンプ動作を伝達するための内蔵の軟弾性膜付きケースパーティションを備えた、第1の実施例としての電動歯ブラシの側面断面図。
【図2】図1に基づく電動歯ブラシのケースの側面断面図。
【図3】図1に基づく電動歯ブラシの側面図である。ただし、後部カバー部なし。
【図4】図3に基づく電動歯ブラシの側面図である。ただし、後部カバー部付き。
【図5】図3に基づくストックホルダを備えた電動歯ブラシの背面図。
【図6】図5に基づくストックホルダの詳細拡大図。
【図7】歯ブラシ付属部、隣り合って配置された2つのストックホルダ及びポンプ動作を伝達するための内蔵の軟弾性膜付きケースパーティションを備えた、第2の実施例としての電動歯ブラシの側面断面図。
【図8】図7に基づく、隣り合って配置された2つのストックホルダを有する電動歯ブラシの背面図。
【図9】図8に基づく、隣り合って配置された2つのストックホルダの詳細拡大図。
【図10】2つの流入口及び2つの流出口と共に1つの構成ユニットを形成する第1のポンプ及び第2のポンプの透視図。
【図11】ケース−パーティションを介してポンプ動作を伝達するための防水性スライドスリットを備えた、第3の実施例としての歯ブラシ部品及びストックホルダ連結部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、歯ブラシ付属部3及びストックホルダ8.1を備えた電動歯ブラシ1.1の第1の実施例の側面断面図である。第1の電動歯ブラシ1.1は、ハンドグリップ部2と、ブラシヘッド4を備えた(交換可能な)付属部3とを有し、付属部3はハンドグリップ部2の前端部5に固定可能であり、ブラシヘッド4は第1の電気モータ7.1を備えた第1の駆動ユニット6.1により駆動可能である。
【0015】
ハンドグリップ部2は液体ケア剤9.1用のストックホルダ8.1を有している。ストックホルダ8.1は、ポンプ10.1を介してダクト11.1と接続されており、このダクトはブラシヘッド4につながる。ポンプ10.1は、第2の電気モータ7.2を備えた第2の駆動ユニット6.2により駆動可能で、この場合に第1と第2の電気モータ7.1、7.2はバッテリ又はアキュムレータ12により電源を供給される。
【0016】
ハンドグリップ部2のケース16が、防水性の縦長のパーティション17によって、隣り合って配置された第1及び第2のチャンバ19、20を形成することにより、電気構成部品(モータ付き駆動ユニット、アキュムレータ、コントロールユニットなど)が伝送系(ポンプ10.1、ダクト11.1又はストックホルダ8.1)から分離されるため、高い作動安定性が達成される。これにより、ストックホルダ8.1からのケア剤9.1の漏れ、若しくは、例えば洗浄水など外部からの水分の漏れによる漏電及び/又は腐食による電気又は電子部品の動作障害が確実に排除される。
【0017】
第1のチャンバ19の中で、第1及び第2の駆動ユニット6.1、6.2及びバッテリ又はアキュムレータ12が第1の列13に前後して配置され、第2のチャンバ20の中で、第1のストックホルダ8.1及び第1のポンプ10.1が第2の列14に前後して配置され、チャンバ19、20の中に構成要素を含む第1及び第2の列13、14が隣り合って配置されることにより、コンパクトで使いやすいハンドグリップ部2又は電動歯ブラシ1.1のコンパクトでスリムな構造及び優れた操作性が生じる。
【0018】
第1の駆動ユニット6.1及びポンプ10.1は、ハンドグリップ部2の前端部5に配置されている。ポンプ10.1は、第2の駆動ユニット6.2によりレバー15.1を介して駆動可能であり、第2の駆動ユニット6.2は、出力軸32を介して、往復運動A−Bをレバー15.1に伝達し、この運動はポンプの動きA’−B’として、レバー15.1のもう一方の端部から、パーティション17のゴム状弾性を有する内蔵の軟弾性膜18を介して、力の伝達が可能なゴム状弾性接触により、ポンプ10.1又は膜式バルブポンプ10.3に伝達される。レバー15.1は、片側を第1の駆動ユニット6.1の隣に配置され、レバー15.1が膜式バルブポンプ10.3と対応する。
【0019】
内蔵の軟弾性膜18により、パーティション17による第1及び第2のチャンバ19、20の機密性を保った分離が維持される。内蔵の軟弾性膜18は、好ましくは(環状の)丸い表面を有し、パーティション17の一部を形成する。
【0020】
膜式バルブポンプ10.3のゴム状弾性膜が復元力を有することにより、膜式バルブポンプ10.3の完全なポンプ動作が達成される。
【0021】
第2のチャンバ20は、外側に再密閉可能なカバー部22を有し、これにより、ストックホルダ8.1の交換を簡単にすることができるか、又は、ケア剤9.1を満たしやすくすることができる。好ましくは、ストックホルダ8.1がフラットな形状で形成され、主としてプラスチックフィルム23からなるのが好ましい。
【0022】
ストックホルダ8.1を膜式バルブポンプ10.3と接続するために、連結部25が取り付けられ(詳細は図11参照)、この連結部はストックホルダ8.1の手動交換のために固定装置25.1を有し、この固定装置はストックホルダ8.1のネック40.1(図11)を固定する。膜式バルブポンプ10.3は、出口側でダクト11.1を介して流出口42.1(図10)と接続される。
【0023】
第2の駆動ユニット6.2は、ギヤユニット30(例えば、1:60のギヤ減速比を有する)を備えた第2の電気モータ7.2によって形成されており、このギヤユニットは、出力軸32を用いて、レバー15.1に伝達される往復運動A−Bを実施する。その際に、固定された回転ヒンジ33を介して、レバー15.1の往復運動A’−B’が、タペット34からパーティション17の軟弾性膜18による接触を通して、第1のポンプ10.1に伝達される。
【0024】
構成要素(第1及び第2の駆動ユニット6.1、6.2及びアキュムレータ12)の第1の列13と前部ケース内壁35との間に、コントロールユニット及び第1、第2のスイッチ37.1、37.2(例えば、オン/オフスイッチ37.1及びケア剤9.1供給用プログラムスイッチ37.2)を備えた電子回路基板36が配置され、これらのスイッチは、第1及び第2の軟弾性を有するケース内壁ゾーン38.1、38.2を介して、第1の電動歯ブラシ1.1を制御するために手動で操作することができる。
【0025】
図2は、図1に基づくパーティション17を備えた第1の電動歯ブラシ1.1のケース16だけの側面断面図である。ケース16の前端部には第1の開口部39.1(この開口部を通して、駆動ユニット6.1がブラシヘッドを駆動できる)と、ダクト11.1の通路である第2の開口部39.2とがある。
【0026】
図3は、図1に基づく第1の電動歯ブラシ1.1の側面断面図である。ただし、カバー部22を外した状態である。この状態でストックホルダ8.1を交換できる。
【0027】
図4は、図3に基づく第1の電動歯ブラシ1.1の側面図である。ただし、第2のチャンバ20を密封する再密閉可能なカバー部22を備えている。
【0028】
図5は、図3に基づく、第1のストックホルダ8.1を備えた第1の電動歯ブラシ1.1の背面図である。この図から連結部25及び固定装置25.1を備えたストックホルダ8.1の位置が詳しくわかる。
【0029】
図6は図5に基づくストックホルダ8.1の詳細拡大図であり、ここに、連結部25に接続するためのネック40.1が示されている。
【0030】
図7は、第2の実施例としての、図1に基づく第1の実施例に対応する第2の電動歯ブラシ1.2であるが、この電動歯ブラシは、第1及び第2のストックホルダ8.1、8.2、第1及び第2の膜式バルブポンプ10.3、10.4、ブラシヘッドにつながる第1及び第2のダクト11.1、11.2並びに第1及び第2のレバー15.1、15.2を備えた装置31を有している。
【0031】
第2の電動歯ブラシ1.2は、ブラシヘッド4をもつ(交換可能な)付属部3が設けられたハンドグリップ部2を有し、付属部3はハンドグリップ部2の前端部5に固定可能であり、ブラシヘッド4は第1の電気モータ7.1を備えた第1の駆動ユニット6.1により駆動可能である。
【0032】
ハンドグリップ部2は、第1及び第2の液体ケア剤9.1、9.2用の第1及び第2のストックホルダ8.1、8.2を有している。第1又は第2のストックホルダ8.1、8.2は、第1又は第2のポンプ10.1、10.2を介して、ブラシヘッド4につながる第1又は第2のダクト11.1、11.2と接続されている。第1及び第2のポンプ10.1、10.2は、第2の電気モータ7.2を備えた第2の駆動ユニット6.2により駆動可能で、この場合に第1及び第2の電気モータ7.1、7.2はバッテリ又はアキュムレータ12により電源を供給される。
【0033】
ハンドグリップ部2のケース16が防水性の縦長のパーティション17によって、隣り合って配置された第1及び第2のチャンバ19、20を形成することにより、電気構成部品(モータ付き駆動ユニット、アキュムレータ、コントロールユニットなど)が、伝送系(ポンプ10.1、10.2、ダクト11.1、11.2又はストックホルダ8.1、8.2)から分離されるため、高い作動安定性が達成される。これにより、ストックホルダ8.1、8.2からのケア剤の漏れ、又は、例えば洗浄水などその他の外部からの水分の漏れによる漏電及び/又は腐食による電気又は電子部品の動作障害が確実に排除される。
【0034】
第1のチャンバ19の中で、第1及び第2の駆動ユニット6.1、6.2及びバッテリ又はアキュムレータ12が第1の列13に前後して配置され、第2のチャンバ20の中で、第1及び第2のストックホルダ8.1、8.2と第1及び第2のポンプ10.1、10.2とが第2の列14に前後して配置され、チャンバ19、20の中に構成要素を備えた第1の列と第2の列13、14が隣り合って配置されることにより、コンパクトで使いやすいハンドグリップ2又は電動歯ブラシ1.2のコンパクトでスリムな構造及び優れた操作性が生じる。
【0035】
第1の駆動ユニット6.1並びに第1及び第2のポンプ10.1、10.2は、ハンドグリップ部2の前端部5に配置されている。
【0036】
第1及び第2のポンプ10.1、10.2は、第2の駆動ユニット6.2を介して、第1又は第2のレバー15.1、15.2により駆動可能で、第2の駆動ユニット6.2は、第1又は第2の出力軸32.1、32.2によって、往復運動A−B、C−Dを第1又は第2のレバー15.1、15.2に伝達し、この運動は、ポンプ動作A’−B’、C’−D’として、第1又は第2のレバー15.1、15.2のもう一方の端から、パーティション17のゴム状弾性をもつ内蔵の軟弾性膜18を介して、力の伝達が可能なゴム状弾性接触により、第1又は第2のポンプ10.1、10.2若しくは膜式バルブポンプ10.3、10.4に伝達される。内蔵の軟弾性膜18により、パーティション17による第1及び第2のチャンバ19、20の機密性を保った分離が維持される。内蔵の軟弾性膜18は、好ましくは(環状の)丸い表面を有し、パーティション17の一部を形成する。
【0037】
膜式バルブポンプ10.3、10.4のゴム状弾性膜が復元力を有することにより、膜式バルブポンプ10.3、10.4の完全なポンプ動作が達成される。
【0038】
第1及び第2のレバー15.1、15.2は、第1の駆動ユニット6.1の両側に配置され、第1のレバー15.1が第1の膜式バルブポンプ10.3と対応し、第2のレバー15.2が第2の膜式バルブポンプ10.4と対応する。
【0039】
第2のチャンバ20は、外側に再密閉可能なカバー部22を有し、これにより1つ又は複数のストックホルダ8.1、8.2の交換が簡単になるか、又はケア剤9.1、9.2を満たしやすくなる。好ましくはストックホルダ8.1、8.2がフラットな形状で形成され、主としてプラスチックフィルム23からなるのが好ましい。
【0040】
第1及び第2のストックホルダ8.1、8.2を第1及び第2の膜式バルブポンプ10.3、10.4と接続するために、連結部25が取り付けられ(詳細は図11参照)、この連結部は第1及び第2のストックホルダ8.1、8.2の手動交換のために固定装置25.1を有し、この固定装置は第1のストックホルダ8.1の第1のネック40.1(図11)又は第2のストックホルダ8.2の第2のネック40.2(図11)を固定する。第1の膜式バルブポンプ10.3は、出口側で第1のダクト11.1を介して、第1の流出口42.1(図10)に接続され、第2の膜式バルブポンプ10.4は出口側で第2のダクト11.2を介して、第2の流出口42.2に接続される。
【0041】
第2の駆動ユニット6.2は、ギヤユニット30(例えば、1:60のギヤ減速比を有する)を備えた第2の電気モータ7.2によって形成されており、このギヤユニットは装置31に接続され、この装置は、ギヤユニット30の回転運動から、対応する往復運動A−Bを第1及び第2の出力軸32.1、32.2を用いて実施し、この往復運動は第1又は第2のレバー15.1、15.2に伝達される。第1又は第2の固定された回転ヒンジ33.1、33.2を介して、第1又は第2のレバー15.1、15.2の往復運動A’−B’が、第1又は第2のタペット34.1、34.2からパーティション17の軟弾性膜18による接触を通して、第1又は第2のポンプ10.1、10.2に伝達される。
【0042】
構成要素(第1及び第2の駆動ユニット6.1、6.2及びアキュムレータ12)の第1の列13と前部のケース内壁35との間に、コントロールユニット及び第1、第2のスイッチ37.1、37.2を備えた電子回路基板36が配置され、これらのスイッチは、第1及び第2の軟弾性を有するケース内壁ゾーン38.1、38.2を介して、第2の電動歯ブラシ1.2を制御するために手動で操作することができる。
【0043】
第2の液体ケア剤9.2を送り出すために、第2のポンプ10.2が配置されており、このポンプは選択により、1つの列の3番目に配置された駆動ユニット(図には表示なし)によって、又は装置31(図7)を使って第2の電気モータ7.2により駆動可能である。第3の駆動ユニットにより、追加の電気モータ及びより長いレバーが必要になるであろう。これにより、選択的に、第1及び/又は第2のケア剤9.1、9.2を、順番に又は同時に、しかも規定の流量プロファイルで供給することができる。
【0044】
図8には、第2の電動歯ブラシ1.2が図5と同じく背面図で示されているが、隣り合って配置された、クリップツールにより手で簡単に交換できる第1及び第2のストックホルダ8.1、8.2を備えている。第2のストックホルダ8.2からの第2の液体ケア剤9.2を使用することによって、簡単な方法で、選択的に第2の電動歯ブラシ1.2を追加で使用できるようになる。この第2の液体ケア剤9.2は、好ましくは、歯のケアにおいて第1のケア剤9.1を補足するような性質のものにすることができる。
【0045】
図9は、図8に基づく、隣り合って配置された2つのストックホルダ8.1、8.2の詳細拡大図である。これらのストックホルダは、連結部25と連結するため及びケア剤9.1、9.2を取り出すために、第1又は第2のネック40.1、40.2を有している。
【0046】
図10は、第1及び第2の流入口41.1、41.2を備えた第1及び第2のポンプ10.2、10.2の透視図である。これらの流入口は、第1又は第2の流出開口部27.1、27.2を介して第1又は第2のダクト11.1、11.2と接続されており、これらのダクトは先端側に第1又は第2の流出口42.1、42.2を有し、全体として、1つの構成ユニット28を形成する。この構成ユニット28により、組立てが簡単になり、場合によっては、交換が簡単になる。
【0047】
図11は、第3の実施例において、パーティション17を通ってポンプの動きA’−B’、C’−D’を伝達するための防水性スライドスリット21を備えた第3の電動歯ブラシ1.3と、第1の膜式バルブポンプ10.3の第1の流入口41.1に接続された連結部25を介しての第1のストックホルダ8.1の接続とを示している。連結部25は、流入バルブ26.1を有し、このバルブは、第1のネック41.1による第1のストックホルダ8.1の連結により、第1のバルブタペット43.1によって作動する。流入バルブ26.1は、ストックホルダ8.1が取り外された場合に、ケア剤9.1の詰まり/乾燥を防ぐ。第1のシールリング44.1は、連結部25の機械的接続及び防水接続を保証する。二重容器24の実施に際しては、すべてのエレメントが二重に配置されて、1つのユニットを形成するのが好ましい。
【0048】
ポンプの動きA’−B’又はC’−D’の第1又は第2のポンプ10.1、10.2への伝達は、第1又は第2のレバー15.1、15.2により、第1又は第2のスライドバルブ21.1、21.2を用い、力の伝達が可能な接続を通して、それぞれの防水性スライドスリット21からパーティション17を介して行われる。第1又は第2のスライドバルブ21.1、21.2は、一方では第1の接続46.1又は第2の接続46.2によって、第1又は第2のレバー15.1、15と、他方では第3又は第4の接続46.3、46.4によって第1又は第2の膜式バルブポンプ10.3、10.4の膜と、振動の出ないように接続されている。第1又は第2の膜式バルブポンプ10.3、10.4が操作されている状態は、破線45によって示されている。
【0049】
上記の電動歯ブラシは以下の利点を有する。
− 電気構成部品と伝送系又はストックホルダを分離するケース内の防水性パーティションによる高い作動安定性。
− コンパクトで操作性に優れたハンドグリップ部。
− 簡単に交換可能なストックホルダ。
− 簡単に交換可能なポンプ。
− 連結部のバルブによる伝送系の乾燥防止。
− ブラシヘッド内の別々のストックホルダから、異なるケア剤を供給することによる口腔内衛生の改善。
− 適切な流量プロファイル(すなわち、歯磨き中にケア剤の供給の強さを変えること)による供給によって、ケア剤の有効物質を最適に適用する。
【符号の説明】
【0050】
1.1 第1の電動歯ブラシ
1.2 第2の電動歯ブラシ
1.3 第3の電動歯ブラシ
2 ハンドグリップ部
3 付属部
4 ブラシヘッド
5 前端部
6.1 第1の駆動ユニット
6.2 第2の駆動ユニット
7.1 第1の電気モータ
7.2 第2の電気モータ
8.1 第1のストックホルダ
8.2 第2のストックホルダ
9.1 第1の液体ケア剤
9.2 第2の液体ケア剤
10.1 第1のポンプ
10.2 第1のポンプ
10.3 第1の膜式バルブポンプ
10.4 第1の膜式バルブポンプ
11.1 第1のダクト
11.2 第2のダクト
12 バッテリ/アキュムレータ
13 第1の列
14 第2の列
15.1 第1のレバー
15.2 第2のレバー
16 ケース
17 パーティション
18 軟弾性膜
19 第1のチャンバ
20 第2のチャンバ
21 スライドスリット
21.1 第1のスライドバルブ
21.2 第2のスライドバルブ
22 カバー部
23 プラスチックフィルム
24 二重容器
25 連結部
25.1 固定装置
26.1 第1の流入バルブ
26.2 第2の流入バルブ
27.1 第1の流出開口部
27.2 第2の流出開口部
28 構成ユニット
30 ギヤユニット
31 装置
32.1 第1の出力軸
32.2 第2の出力軸
33.1 第1の回転ヒンジ
33.2 第2の回転ヒンジ
34.1 第1のタペット
34.2 第2のタペット
35 前部ケース内壁
36 電子回路基板
37.1 第1のスイッチ
37.2 第2のスイッチ
38.1 第1の軟弾性を有するケース内壁部分
38.2 第2の軟弾性を有するケース内壁部分
39.1 第1の開口部
39.2 第2の開口部
40.1 第1のネック
40.2 第2のネック
41.1 第1の流入口
41.2 第2の流入口
42.1 第1の流出口
42.2 第2の流出口
43.1 第1のバルブタペット
43.2 第2のバルブタペット
44.1 第1のシールリング
44.2 第2のシールリング
45 配線
46.1 第1の接続
46.2 第2の接続
46.3 第3の接続
46.4 第4の接続
A−B 第1の往復運動
A’−B’ 第1のポンプの動き
C−D 第2の往復運動
C’−D’ 第2のポンプの動き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドグリップ部(2)と付属部(3)とを含み、
前記ハンドグリップ部がケース(16)を有し、
該ケース内に、ケア剤用のストックホルダ(8.1)と、前記ケア剤を供給するためのポンプ(10.1)と、該ポンプ(10.1)を駆動するための駆動ユニット(6.2)と、が配置されている電動歯ブラシであって、
前記ハンドグリップ部(2)の前記ケース(16)が、該ケースの長手方向に延びるパーティション(17)によって防水性の第1チャンバ(19)及び第2チャンバ(20)に分割されており、
前記第1チャンバ(19)に前記駆動ユニット(6.2)が配置され、前記第2チャンバ(20)に前記ストックホルダ(8.1)及び前記ポンプ(10.1)が配置されていることを特徴とする、電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記パーティション(17)が、防水性スライドスリット(21)を有し、前記駆動ユニット(6.2)の駆動動作(A’−B’)が前記スライドスリット(21)を介して前記ポンプ(10.1)に伝達されることを特徴とする、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記パーティション(17)が、少なくとも部分的に軟弾性を有するよう形成されており、前記駆動ユニット(6.2)の駆動動作(A’−B’)が、前記パーティション(17)の軟弾性を有する部分において前記ポンプ(10.1)へ伝達されることを特徴とする、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記駆動ユニット(6.2)の駆動動作(A’−B’)が、レバー(15)を介して前記ポンプ(10.1)へ伝達されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記付属部(3)が、ダクト(11.1)を介して前記ポンプ(10.1)及び前記ストックホルダ(8.1)と接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記付属部(3)が、防水性の前記第1チャンバ(19)に配置されている駆動ユニット(6.1)によって駆動可能であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記第1チャンバ(19)に、前記付属部(3)用の前記駆動ユニット(6.1)及び前記ポンプ(10.1)用の前記駆動ユニット(6.2)が、前記ケース(16)の長手方向に並べて配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記電動歯ブラシが、第2ダクト(11.2)を介して前記付属部(3)に接続されている第2ストックホルダ(8.2)及び第2ポンプ(10.2)を有していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記ストックホルダ(8.1、8.2)が、フラットな形状に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記ポンプ(10.1;10.2)が、膜式バルブポンプ(10.3;10.4)であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2のストックホルダ(8.1、8.2)が、基本的にプラスチックフィルム(22)からなることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項12】
前記第1及び第2のストックホルダ(8.1、8.2)が、隣り合って配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の電動歯ブラシ。
【請求項13】
前記ポンプ(10.1;10.2)が連結部(25)に接続されており、これによって前記ストックホルダ(8.1;8.2)が連結されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項14】
前記連結部(25)が、前記ストックホルダ(8.1;8.2)の連結により作動する流入バルブ(26.1;26.2)を有していることを特徴とする、請求項13に記載の電動歯ブラシ。
【請求項15】
前記第1ポンプ(10.1)が、前記第1ダクト(11.1)を介して接続されている第1流入口(41.1)及び第1流出口(42.1)と共に1つの構成ユニット(28)を形成していること、又は、
前記第1及び第2ポンプ(10.1、10.2)が、前記第1又は第2ダクト(11.1、11.2)を介して接続されている前記第1及び第2流入口(41.1、41.2)並びに前記第1及び第2流出口(42.1、42.2)と共に1つの構成ユニット(28)を形成していることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項16】
前記2つのストックホルダ(8.1;8.2)が、異なる前記ケア剤(9.1;9.2)によって満たされていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項17】
前記第2チャンバ(20)が、外側に再密閉可能なカバー部(22)を有していることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−527717(P2010−527717A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509716(P2010−509716)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004162
【国際公開番号】WO2008/145320
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(591027846)ブラウン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (50)
【氏名又は名称原語表記】Braun GmbH
【Fターム(参考)】