説明

電圧印加装置及び電圧印加方法

【課題】効率的に複数の負荷に電圧を印加することができる部品コストが低い小型の電圧印加装置、及び、該電圧印加装置による電圧印加方法の提供。
【解決手段】DC/DCコンバータ14は、接続端子12又は13から入力された電圧を複数の電圧に変換することが可能であり、変換して得た一の出力電圧を複数の負荷21a,21b,21cに印加する。制御部15は、複数の負荷21a,21b,21cの中から、電圧印加中の一又は複数の負荷を特定し、特定した一又は複数の負荷夫々に対応する一又は複数の最低電圧を記憶部16から読み出す。制御部15は、DC/DCコンバータ14が電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を、読み出した一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適に車両に搭載され、入力される電圧を変換して得た出力電圧を複数の負荷に印加する電圧印加装置、及び、該電圧印加装置による電圧印加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、発電機はエンジンと連動して電圧を発生させて整流し、整流した電圧をバッテリに印加することによってバッテリを充電している。従って、エンジンの動作に使用する燃料は車両の走行、及び、バッテリの充電に使用されている。
【0003】
近年、車両の燃費の向上、及び、燃料の消費によって車両から排出されて地球温暖化につながる二酸化炭素の削減が求められている。このため、バッテリの電力を効率的に使用してバッテリの充電に使用する燃料を削減する必要がある。
【0004】
特許文献1には、バッテリの電力を効率的に使用することができる電源装置が開示されている。特許文献1に記載されている電源装置において、運転者が車両を減速する場合に、発電機は車両の運動エネルギーを電力に変換することによって車両を減速させ、変換した電力を車両に搭載された複数の負荷に供給する。これにより、熱として消費していた運動エネルギーが電力として使用され、バッテリの電力消費が効率的になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−63330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両には、ヘッドライト、スタータ、ワイパー及びラジオ等の多種多様な複数の負荷が搭載されている。車両に搭載された複数の負荷夫々が作動するために必要な最低電圧は互いに異なっている。
【0007】
しかしながら、従来の車両では、複数の負荷全てが作動できる十分に高い電圧をバッテリ又は発電機から直接に複数の負荷に印加するため、負荷によって余剰電力が発生する。発生した余剰電力は熱として排出されるため、従来の車両にはバッテリの電力が無駄に消費される問題がある。この問題を解決するためには、複数の負荷に効率的に電圧を印加する必要がある。
【0008】
複数の負荷に効率的に電圧を印加する電圧印加装置として、バッテリの出力電圧を複数の電圧に変換可能であり、複数の負荷夫々に接続する複数のDC/DCコンバータを備える電圧印加装置が考えられる。この電圧印加装置では、複数のDC/DCコンバータ夫々が、接続する負荷に応じた電圧にバッテリの出力電圧を変換し、変換した出力電圧を、接続される負荷に印加する。これにより、複数の負荷には電圧が効率的に印加される。
【0009】
しかしながら、このような電圧印加装置は、負荷の数と同数のDC/DCコンバータを備えなければならないので、部品コストが非常に高く、電圧印加装置が大型になる。このため、複数の負荷夫々にDC/DCコンバータを接続する電圧印加装置を製造することは非現実的である。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、効率的に複数の負荷に電圧を印加することができる部品コストが低い小型の電圧印加装置、及び、該電圧印加装置による電圧印加方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電圧印加装置は、入力される電圧を複数の電圧に変換可能であり、変換して得た一の出力電圧を複数の負荷に印加する電圧印加装置において、前記複数の負荷の中から、電圧印加中の一又は複数の負荷を特定する特定手段と、前記複数の負荷夫々が作動するために必要な複数の最低電圧を該複数の負荷夫々に対応付けて記憶している記憶手段と、前記特定手段が特定した一又は複数の負荷夫々に対応する一又は複数の最低電圧を前記記憶手段から読み出す読出手段と、前記出力電圧を、該読出手段が読み出した一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧に制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電圧印加装置は、前記入力される電圧を発生させるべく設けられた発電機が作動しているか否かを判定する判定手段と、該判定手段が作動していると判定した場合に前記制御手段による制御を停止する停止手段とを更に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電圧印加装置は、電圧印加中の負荷を示す負荷情報を通信線を介して受信する受信手段を更に備え、前記特定手段は、該受信手段が受信した負荷情報に基づいて電圧印加中の一又は複数の負荷を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電圧印加装置は、前記複数の負荷夫々に印加される電圧を各別に検出する検出手段を更に備え、前記特定手段は、該検出手段が電圧を検出した一又は複数の負荷を電圧印加中の一又は複数の負荷として特定するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電圧印加方法は、入力される電圧を複数の電圧に変換可能であり、変換して得た一の出力電圧を複数の負荷に印加する電圧印加装置による電圧印加方法において、前記複数の負荷の中から、電圧印加中の一又は複数の負荷を特定するステップと、前記出力電圧を、該ステップで特定した一又は複数の負荷夫々が作動するために必要な一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧に制御するステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法にあっては、複数の負荷の中から、電圧印加中の一又は複数の負荷を特定し、複数の負荷に印加する出力電圧を、特定した一又は複数の負荷夫々が作動するために必要な一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧に制御する。
【0017】
電圧印加中の一又は複数の負荷に、該一又は複数の負荷夫々が作動するために必要な一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧を一の出力電圧として印加するため、電圧を入力する電源、例えばバッテリの電力が効率的に使用される。これにより、電圧を入力する電源において、充放電量を低減できるため、寿命を延長し、容量を低減することができる。
また、入力される電圧を複数の負荷夫々に対応して変換する必要がなく、電圧を変換する装置は1つでよいため、部品コストが低く、車両に占める空間が小さい。
【0018】
本発明に係る電圧印加装置にあっては、判定手段は、入力される電圧を発生させるべく設けられた発電機が作動しているか否かを判定する。停止手段は、判定手段が作動していると判定した場合、制御手段による制御を停止する。
【0019】
発電機が作動して制御手段による制御が停止した場合、発電機が発生させた電圧が、変換されずに出力電圧として、複数の負荷に印加される。発電機が作動している場合、電圧を入力する発電機以外の電源、例えばバッテリが電力を消費することはない。
【0020】
加えて、通常、車両では、発電機が発生させる電圧は、電圧を入力する他の電源よりも高い。このため、発電機が発生させる高い電圧が複数の負荷に印加される。
【0021】
本発明に係る電圧印加装置にあっては、受信手段が通信線を介して、電圧印加中の負荷を示す負荷情報を受信し、特定手段は、受信手段が受信した負荷情報に基づいて電圧印加中の一又は複数の負荷を特定する。
【0022】
本発明に係る電圧印加装置にあっては、検出手段は、複数の負荷夫々に印加される電圧を各別に検出し、特定手段は、電圧を検出した一又は複数の負荷を、電圧印加中の一又は複数の負荷として特定する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、効率的に複数の負荷に電圧を印加することができ、かつ、電圧を入力する電源において、充放電量を低減でき、寿命を延長し、容量を低減することができる部品コストが低い小型の電圧印加装置、及び、該電圧印加装置による電圧印加方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態の要部構成を示すブロック図である。
【図2】制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図3】制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】複数の負荷に印加される出力電圧を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】電圧印加装置によるバッテリからの消費電力の削減効果を示す図表である。
【図6】本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態における制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態における制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態1の要部構成を示すブロック図である。この電圧印加装置1は、車両に好適に搭載され、4つの接続端子10,11,12,13を備えている。
【0026】
接続端子10は、複数のスイッチ20a,20b,20c夫々の一方の端子に接続されている。複数のスイッチ20a,20b,20c夫々の他方の端子は、複数の負荷21a,21b,21cに接続されている。複数のスイッチ20a,20b,20c夫々は負荷制御装置22によってオン/オフされる。
接続端子11は、通信線23を介して複数の負荷21a,21b,21c夫々に接続されている。
【0027】
接続端子12は、バッテリ24の正極端子、並びに、発電機25及びスタータ26の一方の端子に接続されている。発電機25及びスタータ26の間にエンジン27が接続されている。バッテリ24の負極端子、並びに発電機25及びスタータ26の他方の端子は接地されている。
接続端子13は予備の蓄電部28の一方の端子が接続されている。蓄電部28の他方の端子は接地されている。また、電圧印加装置1及び複数の負荷21a,21b,21c夫々は接地されている。
【0028】
電圧印加装置1は、接続端子12にてバッテリ24又は発電機25の出力電圧を、接続端子13にて蓄電部28の出力電圧を受け入れる。電圧印加装置1は、受け入れた出力電圧を複数の電圧に変換することが可能であり、変換して得た一の出力電圧を、接続端子10を介して複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する。
【0029】
電圧印加装置1は、接続端子11にて複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の負荷を示す負荷情報を受信する。また、電圧印加装置1は接続端子12及び13の各電圧を検出する。電圧印加装置1は、受信した負荷情報、並びに、検出した接続端子12及び13の電圧に基づいて、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を制御する。また、電圧印加装置1は、検出した接続端子12及び13の各電圧に基づいて、発電機25が発生させた電圧を蓄電部28に印加する。
【0030】
電圧印加装置1は、複数の負荷21a,21b,21c全てが電圧印加中でない場合、接続端子12から受け入れたバッテリ24又は発電機25の出力電圧を、そのまま接続端子10から出力する。バッテリ24又は発電機25の出力電圧は複数の負荷21a,21b,21cのいずれもが作動可能な電圧である。このため、複数のスイッチ20a,20b,20c全てがオフである状態から一又は複数のスイッチがオンになった場合、オンになった一又は複数のスイッチ夫々に接続されている一又は複数の負荷は確実に作動する。
【0031】
複数のスイッチ20a,20b,20c夫々は、半導体スイッチ又はリレー接点等であり、負荷制御装置22によってオン/オフを制御される。
複数の負荷21a,21b,21c夫々は、車両に搭載されるヘッドライト、ワイパー又はラジオ等の負荷である。負荷21a,21b,21c夫々が作動するために必要な最低電圧は互いに異なり、例えば10V、11V及び12Vである。複数の負荷21a,21b,21c夫々は、電圧印加装置1から電圧を印加されている場合、自身を示す負荷情報を電圧印加装置1に送信する。
【0032】
負荷制御装置22は、複数のスイッチ20a,20b,20c夫々のオン/オフを指示するオンオフ情報を受け付け、受け付けたオンオフ情報の指示に従って、複数のスイッチ20a,20b,20c夫々をオン/オフする。複数のスイッチ20a,20b,20c夫々がオンになった場合、複数の負荷21a,21b,21cは、電圧印加装置1から出力電圧を印加されて作動する。
【0033】
通信線23は、例えば、ツイストペア線であり、負荷情報を複数の負荷21a,21b,21c夫々から電圧印加装置1に伝送する。また、通信線23は車両の速度を示す車速情報を電圧印加装置1に伝送する。
【0034】
バッテリ24は、発電機25が作動している場合、発電機25が発生させる電圧によって充電され、発電機25が作動していない場合、接続端子12に電圧を印加する。
【0035】
発電機25は、エンジン27が作動している場合に、エンジン27に連動して電圧を発生させ、発生させた電圧を接続端子12、及び、バッテリ24の正極端子夫々に印加する。また、発電機25は、運転者が車両を減速させる場合、車両の運動エネルギーを電力に変換することによって車両を減速させ、変換した電力に係る電圧を接続端子12に印加する。
【0036】
スタータ26は、エンジン27を始動するためのモータであり、エンジン27が始動した後に停止する。
エンジン27は、スタータ26によって始動し、発電機25を駆動する。
【0037】
蓄電部28は、例えば、複数の電気二重層キャパシタを直列に接続することによって構成される。蓄電部28は、車両が減速している場合に発電機25が発生させる電圧を、電圧印加装置1を介して受け入れて電力を蓄える。蓄電部28は、車両が減速していない場合、蓄えている電力に係る電圧を、電圧印加装置1を介して負荷21a,21b,21c夫々に印加する。
【0038】
電圧印加装置1は、4つの接続端子10,11,12,13の他に、DC/DCコンバータ14、制御部15、記憶部16、検出部17及び受信部18を備えている。DC/DCコンバータ14は、3つの接続端子10,12,13夫々に接続されている。制御部15は、記憶部16、検出部17及び受信部18夫々にバス19を介して接続されている。受信部18は接続端子11に接続されている。
【0039】
DC/DCコンバータ14は制御部15の指示に従って動作する。DC/DCコンバータ14は、接続端子12を介してバッテリ24若しくは発電機25から受け入れた電圧、又は、接続端子13を介して蓄電部28から受け入れた電圧を複数の電圧に変換することが可能である。
【0040】
DC/DCコンバータ14は、変換して得た一の出力電圧を、接続端子10を介して複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する。DC/DCコンバータ14が印加する出力電圧は制御部15によって制御される。更に、DC/DCコンバータ14は、接続端子12を介して発電機25が発生させた電圧を受け入れ、受け入れた電圧を蓄電部28に印加し、蓄電部28を充電する。
【0041】
制御部15は、DC/DCコンバータ14が複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧、及び、DC/DCコンバータ14が変換して得た出力電圧の出力先を制御する。ここで、出力先は接続端子10又は13である。また、制御部15は、検出部17から通知される検出結果に応じて、電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧の制御を停止する。更に、制御部15は検出部17の動作を制御している。制御部15が実行する動作については後述する。
【0042】
記憶部16は、複数の負荷21a,21b,21c夫々が作動するために必要な最低電圧を、複数の負荷21a,21b,21c夫々に対応付けて記憶している。制御部15は、記憶部16から複数の負荷21a,21b,21c夫々の最低電圧を読み出す。
【0043】
検出部17は、接続端子12,13夫々に接続されており、制御部15の指示に従って、接続端子12及び13夫々の電圧を検出し、検出した結果を制御部15に通知する。
【0044】
制御部15は、接続端子12の電圧に基づいて発電機25が発電しているか否かを判定する。
【0045】
通常、発電機25が発生させる電圧は、バッテリ24が出力する電圧よりも高い。このため、発電機25が作動しているか否かを判定する閾値として、バッテリ24が出力する電圧よりも高く、発電機25が発生させる電圧よりも低い電圧を設定する。バッテリ24が出力する電圧、及び、発電機25が発生させる電圧夫々が12V及び14Vである場合、閾値は例えば13.5Vに設定される。
制御部15は、接続端子12の電圧が閾値よりも高いか否かによって、発電機25が作動しているか否かを判定する。
【0046】
また、制御部15は、接続端子13の電圧に基づいて、蓄電部28が電力を蓄えているか否か、及び、満充電であるか否かを判定する。制御部15は、接続端子13において所定電圧を超える電圧を検出した場合に蓄電部28が電力を蓄えていると判定し、接続端子13の電圧が満充電を示す満充電電圧である場合に蓄電部28が満充電であると判定する。
【0047】
受信部18は、通信線23を介して接続端子11から、車両の走行速度を示す車速情報及び負荷情報を受信し、受信した車速情報及び負荷情報を制御部15に出力する。負荷21a,21b,21c夫々は、電圧印加装置1から出力電圧を印加されている場合、所定時間間隔で自身を示す負荷情報を受信部18に送信する。車速情報も所定時間間隔で受信部18に送信される。
【0048】
なお、電圧印加装置1は、電圧を変換するDC/DCコンバータ14が1つであるため、複数の負荷21a,21b,21c夫々に複数のDC/DCコンバータを接続する電圧印加装置と比較して、部品コストが低く、小型であり、車両に占める空間は小さい。
【0049】
次に、制御部15が実行する動作の手順を説明する。図2及び図3は制御部15が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
初めに、制御部15は、検出部17に接続端子12の電圧を検出させ、検出部17が検出した接続端子12の電圧が閾値を超えるか否かによって、発電機25が作動しているか否かを判定する(S1)。
【0050】
制御部15は、接続端子12の電圧が閾値を超えておらず、発電機25が作動していないと判定した場合(S1:NO)、受信部18が受信した負荷情報によって、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の負荷を特定する(S2)。
【0051】
制御部15は、ステップS2で特定した結果に基づいて、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の負荷が有るか否かを判定する(S3)。
【0052】
制御部15は、電圧印加中の負荷が無いと判定した場合(S3:NO)、ステップ1の動作を繰り返す。制御部15は、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の負荷が無い場合、接続端子12から受け入れたバッテリ24の出力電圧を、そのまま接続端子10から出力する。
【0053】
バッテリ24の出力電圧は複数の負荷21a,21b,21cのいずれもが作動可能な電圧である。これにより、負荷制御装置22が複数のスイッチ20a,20b,20cの中の一又は複数のスイッチをオンにした場合に、オンになったスイッチに接続している負荷が確実に作動する。
【0054】
制御部15は、電圧印加中の負荷が有ると判定した場合(S3:YES)、電圧印加中の一又は複数の負荷夫々に対応する最低電圧を記憶部16から読み出し、電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を、読み出した最低電圧の中から最も高い電圧に決定する(S4)。
【0055】
次に、制御部15は、検出部17に接続端子13の電圧を検出させ、検出部17が接続端子13で検出した電圧が所定電圧を超えているか否かによって、蓄電部28に電力が蓄えられているか否かを判定する(S5)。制御部15は、電圧が所定電圧を超えている場合に電力が蓄えられていると判定し、電圧が所定電圧を超えていない場合に電力が蓄えられていないと判定する。
【0056】
制御部15は、蓄電部28に電力が蓄えられていると判定した場合(S5:YES)、DC/DCコンバータ14に、接続端子13から入力された蓄電部28の出力電圧を変換させて、接続端子10から電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する一の出力電圧をステップS4で決定した出力電圧に制御する(S6)。
【0057】
制御部15は、蓄電部28に電力が蓄えられていないと判定した場合(S5:NO)、DC/DCコンバータ14に、接続端子12から入力されたバッテリ24の出力電圧を変換させて、接続端子10から電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する一の出力電圧をステップS4で決定した出力電圧に制御する(S7)。
【0058】
制御部15は、蓄電部28が電力を蓄えている場合に、蓄電部28の電力を優先して使用するため、バッテリ24が消費する電力を削減することができる。
【0059】
制御部15は、接続端子12の電圧が閾値を超えており、発電機25が作動していると判定した場合(S1:YES)、DC/DCコンバータ14が接続端子10から電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧の制御を停止する(S8)(図3参照)。この場合、制御部15は、DC/DCコンバータ14に、接続端子12から受け入れた発電機25の出力電圧を、変換せずに、接続端子10から電圧印加中の一又は複数の負荷に出力させる。
【0060】
これにより、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷夫々に、作動するために必要な最低電圧以上の出力電圧を印加することができる。
【0061】
車両に搭載される負荷には、印加される出力電圧によって機能が向上する負荷がある。例えば、ヘッドライトは、最低電圧よりも高い電圧を印加された場合、車両の前方をより明るく照らすことができ、機能が向上する。
【0062】
従って、発電機25が電圧を発生させて、バッテリ24の電力が消費されない場合、発電機25の高い電圧を電圧印加中の一又は複数の負荷に印加することによって負荷の機能を向上させることができる。
【0063】
なお、複数の負荷21a,21b,21c夫々は、作動するために必要な最低電圧以上の電圧、即ち、バッテリ24又は発電機25の出力電圧が印加された場合であっても正常に動作するように構成されている。
【0064】
次に、制御部15は、受信部18が受信した車速情報に基づいて、車両が減速しているか否かを判定する(S9)。
制御部15は、車両が減速していると判定した場合(S9:YES)、検出部17に接続端子13の電圧を検出させ、検出部17が接続端子13で検出した電圧が満充電電圧であるか否かによって、蓄電部28が満充電であるか否かを判定する(S10)。
【0065】
制御部15は、接続端子13で検出した電圧が満充電電圧である場合に蓄電部28が満充電であると判定し、接続端子13で検出した電圧が満充電電圧ではない場合に蓄電部28が満充電でないと判定する。
【0066】
制御部15は、蓄電部28が満充電ではないと判定した場合(S10:NO)、DC/DCコンバータ14に、接続端子12を介して入力された発電機25の出力電圧を接続端子10,13夫々から出力させる(S11)。
【0067】
これにより、発電機25の出力電圧が、複数のスイッチ20a,20b,20cの中で、負荷制御装置22がオンにしている一又は複数のスイッチ夫々に接続された一又は複数の負荷に印加される。
【0068】
更に、蓄電部28にも発電機25の出力電圧が印加される。このため、車両の減速時に発電機25が運動エネルギーから変換した電力が、バッテリ24に供給されると共に、DC/DCコンバータ14を介して蓄電部28にも蓄えられる。
【0069】
制御部15は、車両が減速していないと判定した場合(S9:NO)、又は、蓄電部28が満充電であると判定した場合(S10:YES)、DC/DCコンバータ14に、接続端子12から入力された発電機25の出力電圧を接続端子10から出力させる(S12)。
【0070】
発電機25の出力電圧を接続端子10から出力させることによって、複数のスイッチ20a,20b,20cの中で、負荷制御装置22がオンしている一又は複数のスイッチ夫々に接続された一又は複数の負荷に発電機25の出力電圧が印加される。
【0071】
制御部15は、ステップS6、S7、S11及びS12のいずれかを実行した後、動作を終了する。制御部15は、図2及び図3に示す動作の手順を所定時間間隔で繰り返し実行する。
【0072】
なお、複数の負荷21a,21b,21c夫々は、接続端子10から出力される最も低い電圧が印加された場合であっても、負荷情報を受信部18に送信可能に構成されている。
【0073】
これにより、作動するために必要な最低電圧が、接続端子10から出力されている電圧よりも高い負荷に電圧が新たに印加された場合であっても、接続端子10からの出力電圧は、新たに電圧が印加された負荷の最低電圧に制御される。
【0074】
次に、接続端子10から複数の負荷21a,21b,21cに印加される出力電圧を説明する。図4は、複数の負荷21a,21b,21cに印加される出力電圧を説明するためのタイミングチャートである。
【0075】
ここでは、複数の負荷21a,21b,21c夫々が作動するために必要な最低電圧を10V、11V及び12Vとし、バッテリ24が出力する電圧、及び、発電機25が発生させる電圧夫々を12V及び14Vとしている。
【0076】
図4には、発電機25が発生させる電圧の時間波形、負荷21a,21b,21c夫々のオンオフ状態を示す時間波形、並びに、DC/DCコンバータ14が接続端子10から出力する電圧の時間波形が示されている。負荷21a,21b,21c夫々において、電圧が印加されている状態をオン状態とし、電圧が印加されていない状態をオフ状態とする。
【0077】
制御部15は、発電機25が電圧14Vを発生させている間、複数の負荷21a,21b,21c夫々のオン/オフ状態に関係なく、DC/DCコンバータ14に、電圧印加中の一又は複数の負荷へ、出力電圧14Vを印加させる。
【0078】
発電機25が電圧14Vを発生させていない間、制御部15は、DC/DCコンバータ14に、電圧印加中の一又は複数の負荷へ、複数の負荷21a,21b,21c夫々のオン/オフ状態に応じた出力電圧を印加させる。
【0079】
複数の負荷21a,21b,21cの全てが、負荷制御装置22によってオフ状態であり、電圧が印加されていない場合、DC/DCコンバータ14は接続端子10から電圧を出力しない。
【0080】
ただし、図4に示していないが、複数の負荷21a,21b,21c全てがオフ状態である場合に、複数の負荷21a,21b,21cのいずれかがオン状態になると、DC/DCコンバータ14は接続端子12から受け入れたバッテリ24の出力電圧、即ち、複数の負荷21a,21b,21cいずれもが作動可能な電圧を接続端子10から出力する。その後、図4に示すように、DC/DCコンバータ14が接続端子10から出力する電圧が制御部15によって制御される。
【0081】
負荷21a,21b,21cのいずれかがオン状態である場合、オン状態にある負荷が作動するために必要な最低電圧をDC/DCコンバータ14は、オン状態にある負荷に印加する。
【0082】
DC/DCコンバータ14は、負荷21aのみがオン状態である場合には10Vを負荷21aに、負荷21bのみがオン状態である場合には11Vを負荷21bに、負荷21cのみがオン状態である場合には12Vを負荷21cに印加する。
【0083】
複数の負荷21a,21b,21cにおいて、2つの負荷がオン状態である場合、制御部15は、DC/DCコンバータ14に、オン状態に2つの負荷夫々が作動するために必要な最低電圧の中の最も高い最低電圧をオン状態の2つの負荷に印加させる。
【0084】
負荷21a,21bがオン状態である場合には、負荷21bが作動するために必要な最低電圧11Vが負荷21a,21bに印加される。
負荷21a,21cがオン状態である場合、又は、負荷21b,21cがオン状態である場合、負荷21cが作動するために必要な最低電圧12Vが、負荷21a,21c、又は、負荷21b,21cに印加される。
【0085】
負荷21a,21b,21c全てがオン状態である場合には、制御部15は、DC/DCコンバータ14に、3つの負荷21a,21b,21cの負荷夫々が作動するために必要な最低電圧の最も高い最低電圧が負荷21a,21b,21cに印加される。ここで、3つの負荷21a,21b,21cの負荷夫々が作動するために必要な最低電圧の最も高い最低電圧は、負荷21cが作動するために必要な最低電圧12Vである。
【0086】
図5は、電圧印加装置1によるバッテリ24からの消費電力の削減効果を示す図表である。ここで、負荷21a,21b,21cが作動するために必要な最低電圧を10V、11V及び12Vとし、負荷21a,21b,21c夫々が最低電圧で作動した場合に消費する電力は20W、11W及び48Wとしている。
【0087】
図5では、発電機25が発電していない場合におけるバッテリ24の電力からの消費削減効果を示している。発電機25が発電している場合におけるバッテリ24からの消費電力の削減効果は、従来技術の削減効果と同じである。
【0088】
図5では、電圧印加中の負荷を、負荷21a,21b,21c夫々の欄に白丸を記しており、複数の負荷21a,21b,21c全てに出力電圧が印加されていないパターンを除く7つのパターン夫々をNo.1〜7として示している。また、従来技術として、負荷21a,21b,21cの中でオン状態にある一又は複数の負荷に一律にバッテリ24から電圧12Vを印加した場合に、オン状態にある一又は複数の負荷が消費する合計電力がパターンごとに示されている。
【0089】
更に、本発明を適用した場合に、DC/DCコンバータ14がオン状態にある一又は複数の負荷に印加する出力電圧と、オン状態にある一又は複数の負荷が消費する合計電力とをパターンごとに示している。従来技術及び本発明を適用した場合に消費する合計電力の差をパターンごとに示している。
【0090】
図5に示すように、各パターンにおいて、本発明を適用した場合の合計電力は、従来技術を適用した場合の合計電力以下である。図5の合計電力の差に示すように、作動するために必要な最低電圧が最も高い12Vである負荷21cがオン状態でない場合、DC/DCコンバータ14は接続端子10からバッテリ24の出力電圧12V未満の電圧を出力する。これにより、バッテリ24からの消費電力が削減されていることがわかる。
【0091】
実施の形態1にあっては、電圧印加装置1は、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷に、一又は複数の負荷における複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧を出力するため、バッテリ24からの電力が効率的に使用される。
【0092】
このため、発電機25がバッテリ24を充電するために発生させる電力が減少し、発電機25によって消費される燃料が削減され、燃費が向上する。
更に、バッテリ24からの電力を効率的に使用することによって、バッテリ24及び蓄電部28の充放電量を低減することができるので、バッテリ24及び蓄電部28において、寿命が延長され、容量を低減することができる。
【0093】
なお、電圧印加装置1は、複数の負荷21a,21b,21cから負荷情報を受信する代わりに、例えば、複数のスイッチ20a,20b,20cをオン/オフする負荷制御装置22に通信線で接続され、負荷制御装置22から負荷情報を受信しても良い。この場合、負荷制御装置22は、電圧印加中の負荷として、オンにしたスイッチに接続されている負荷を示す負荷情報を電圧印加装置1に送信する。
【0094】
(実施の形態2)
図6及び図7は、本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態2における制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態2の構成については、実施の形態1の構成(図1参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
実施の形態2において、実施の形態1と異なる点は、制御部15が実行する動作の手順である。実施の形態2における制御部15は、発電機25が電圧を発生させていない場合に、記憶部16が複数の負荷21a,21b,21c夫々に対応付けて記憶している最低電圧の中で、最低電圧が高い負荷から順に電圧印加中であるか否かを判定する。
【0096】
そして、制御部15は、DC/DCコンバータ14に、電圧印加中であると最初に判定した負荷の最低電圧を、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の一又は複数の負荷へ印加させる。
【0097】
実施の形態2におけるステップS21、S28〜S35夫々は、実施の形態1におけるステップS1、S5〜S12(図2及び図3参照)夫々と同じであるため説明を省略する。
ここで、複数の負荷21a,21b,21cにおいて、作動するために必要な最低電圧は、負荷21cが最も高く、負荷21c,21b,21aの順に低くなるものとする。
【0098】
制御部15は、発電機25が作動していないと判定した場合(S21:NO)、受信部18が受信した負荷情報によって、記憶部16が記憶している最低電圧の中で最も高い最低電圧に対応する負荷21cが電圧印加中であるか否かを判定する(S22)。
【0099】
制御部15は、負荷21cが電圧印加中であると判定した場合(S22:YES)、即ち、負荷21cを電圧印加中の負荷であると特定した場合、負荷21cを含む電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を、負荷21cに対応する最低電圧に決定する(S23)。
【0100】
負荷21cが作動するために必要な最低電圧は、負荷21a,21b夫々が作動するために必要な最低電圧よりも高い。このため、負荷21cがDC/DCコンバータ14によって出力電圧を印加されている場合、負荷21a,21b夫々が電圧印加中であるか否かに関係なく、制御部15は電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を決定することができる。
【0101】
制御部15は、負荷21cが電圧印加中でないと判定した場合(S22:NO)、作動するために必要な最低電圧が負荷21cの次に高い負荷21bが電圧印加中であるか否かを判定する(S24)。
【0102】
制御部15は、負荷21bが電圧印加中であると判定した場合(S24:YES)、即ち、負荷21bが電圧印加中の負荷であると特定した場合、負荷21bを含む電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を、負荷21bに対応する最低電圧に決定する(S25)。
【0103】
負荷21bが作動するために必要な最低電圧は、負荷21aが作動するために必要な最低電圧よりも高い。このため、負荷21bがDC/DCコンバータ14によって印加されている場合、負荷21aが電圧印加中であるか否かに関係なく、制御部15は電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を決定することができる。
【0104】
制御部15は、負荷21bが電圧印加中でないと判定した場合(S24:NO)、作動するために必要な最低電圧が負荷21bの次に高い負荷21aが電圧印加中であるか否かを判定する(S26)。
【0105】
制御部15は、負荷21aが電圧印加中であると判定した場合(S26:YES)、即ち、負荷21aが電圧印加中の負荷であると特定した場合、負荷21aに印加する出力電圧を、負荷21aに対応する最低電圧に決定する(S27)。
【0106】
制御部15は、負荷21aが電圧印加中でないと判定した場合(S26:NO)、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の負荷は無いため、ステップS21の動作を実行する。
制御部15は、ステップS23、S25又はS27を実行した後、ステップS28の動作を実行する。
【0107】
なお、制御部15は、ステップS29(又はステップS30)において、DC/DCコンバータ14に、接続端子13(又は接続端子12)から入力された蓄電部28(又はバッテリ24)の出力電圧を変換させて、接続端子10から電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する一の出力電圧をステップS23、S25又はS27で決定した出力電圧に制御する。
【0108】
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る電圧印加装置及び電圧印加方法の実施の形態3の要部構成を示すブロック図である。実施の形態3において、実施の形態1の構成部分(図1参照)と同様の構成部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0109】
実施の形態3において、実施の形態1と異なる点は、複数の負荷21a,21b,21cの中から電圧印加中の一又は複数の負荷を特定する方法である。
【0110】
実施の形態3における電圧印加装置3は、複数の負荷21a,21b,21c夫々において、DC/DCコンバータ14が接続端子10を介して電圧を印加する端子に各別に接続しており、各端子に印加される電圧を検出し、所定電圧を超える電圧を検出した一又は複数の負荷を、電圧印加中の一又は負荷として特定する。
【0111】
電圧印加装置3は、実施の形態1における電圧印加装置1と比較して、検出部17及び受信部18の代わりに検出部31及び受信部32を備えている。
【0112】
検出部31は、検出部17と同様に、制御部15にバス19によって接続されており、接続端子12及び13夫々の電圧を検出し、検出した結果を制御部15に通知する。
【0113】
検出部31は、更に、複数の負荷21a,21b,21c夫々において、DC/DCコンバータ14が接続端子10を介して電圧を印加する端子に各別に接続しており、複数の負荷21a,21b,21c夫々に印加する電圧を検出する。検出部31は検出した結果を制御部15に通知する。
【0114】
受信部32は、受信部18と異なり、負荷情報を受信せずに車速情報を外部から受信し、受信した車速情報を制御部15に通知する。
【0115】
実施の形態3における制御部15は、実施の形態1又は2における制御部15が実行した動作を実行する。
【0116】
実施の形態3における制御部15は、図2に示すステップS2を実行する場合、検出部31が、DC/DCコンバータ14が接続端子10を介して電圧を印加する複数の負荷21a,21b,21c夫々の端子において、所定電圧を超える電圧を検出したか否かによって、複数の負荷21a,21b,21cの中で電圧印加中の負荷を特定する。
【0117】
制御部15は、検出部31が所定電圧を超える電圧を検出した場合に負荷が電圧印加中であると判定し、検出部31が所定電圧を超える電圧を検出しなかった場合に負荷が電圧印加中でないと判定する。
【0118】
制御部15は、図6に示すステップS22、S24又はS26を実行する場合も、同様に、検出部31が、DC/DCコンバータ14が接続端子10を介して電圧を印加する複数の負荷21a,21b,21c夫々の端子において、所定電圧を超える電圧を検出したか否かによって、負荷21a,21b,21c夫々が電圧印加中であるか否かを判定する。
【0119】
以上の実施の形態1、2又は3において、作動するために必要な最低電圧は、負荷21a,21b,21c夫々について異なっていなくてもよい。例えば、負荷21aが作動するために必要な最低電圧が11Vであり、負荷21b,21c夫々が作動するために必要な最低電圧が12Vであってもよい。
【0120】
この場合、実施の形態2においては、制御部15は、最初に、最低電圧が最も高い負荷21b,21cのいずれかが電圧印加中であるかを判定する。制御部15は、負荷21b,21cのいずれかが電圧印加中である場合、電圧印加中の一又は複数の負荷に印加する出力電圧を、負荷21b,21cに対応する最低電圧に決定すればよい。制御部15は、負荷21b,21cのいずれも電圧印加中でない場合、負荷21aが電圧印加中であるか否かを判定する。
【0121】
また、実施の形態1、2又は3において、発電機25が発生させる電圧、及び、バッテリ24が出力する電圧夫々は12V及び14Vに限定されない。更に、負荷21a,21b,21c夫々が作動するために必要な電圧は10V、11V及び12Vに限定されない。
【0122】
また、電圧印加装置1又は3は発電機25に接続されず、バッテリ24及び/又は蓄電部28が電圧印加装置1又は3に電圧を印加してもよい。更に、電圧印加装置1又は3に電圧を入力する電源は、バッテリ24、発電機25又は蓄電部28に限定されない。
【0123】
電圧印加装置1又は3が接続する負荷の数は、3つに限定されず、2又は4以上であってもよい。また、電圧印加装置1は蓄電部28に接続されていなくてもよい。
【0124】
開示された実施の形態1、2及び3は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
1 電圧印加装置
14 DC/DCコンバータ
15 制御部(特定手段、読出手段、制御手段、判定手段、停止手段)
16 記憶部(記憶手段)
17 検出部(検出手段)
18 受信部(受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される電圧を複数の電圧に変換可能であり、変換して得た一の出力電圧を複数の負荷に印加する電圧印加装置において、
前記複数の負荷の中から、電圧印加中の一又は複数の負荷を特定する特定手段と、
前記複数の負荷夫々が作動するために必要な複数の最低電圧を該複数の負荷夫々に対応付けて記憶している記憶手段と、
前記特定手段が特定した一又は複数の負荷夫々に対応する一又は複数の最低電圧を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
前記出力電圧を、該読出手段が読み出した一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧に制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電圧印加装置。
【請求項2】
前記入力される電圧を発生させるべく設けられた発電機が作動しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が作動していると判定した場合に前記制御手段による制御を停止する停止手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電圧印加装置。
【請求項3】
電圧印加中の負荷を示す負荷情報を通信線を介して受信する受信手段
を更に備え、
前記特定手段は、
該受信手段が受信した負荷情報に基づいて電圧印加中の一又は複数の負荷を特定するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電圧印加装置。
【請求項4】
前記複数の負荷夫々に印加される電圧を各別に検出する検出手段を更に備え、
前記特定手段は、
該検出手段が電圧を検出した一又は複数の負荷を電圧印加中の一又は複数の負荷として特定するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電圧印加装置。
【請求項5】
入力される電圧を複数の電圧に変換可能であり、変換して得た一の出力電圧を複数の負荷に印加する電圧印加装置による電圧印加方法において、
前記複数の負荷の中から、電圧印加中の一又は複数の負荷を特定するステップと、
前記出力電圧を、該ステップで特定した一又は複数の負荷夫々が作動するために必要な一又は複数の最低電圧の中の最も高い最低電圧に制御するステップと
を備えることを特徴とする電圧印加方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−27052(P2013−27052A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156034(P2011−156034)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】