説明

電圧均等化装置並びに充電装置、組電池装置、充電システム

【課題】従来例と比べて小型化及びコストダウンを図る。
【解決手段】電圧均等化装置Aは一対の端子1a,1bを有し当該端子間1a,1bに直列接続される複数個(4個ずつ)の蓄電デバイスSELmを充電する複数(3つ)の電圧調整部11〜13と、これら3つの電圧調整部11〜13を制御する制御部2とを備えている。このように2個1組の蓄電デバイスSELmの両端電圧を均等化すれば、蓄電デバイスSELmの両端電圧のばらつきに起因する不具合を大抵は防ぐことができる。よって、電圧調整部1kの個数が組蓄電装置Bを構成する複数の蓄電デバイスSELmの個数よりも少なくて済むから、従来例と比べて電圧均等化装置Aの小型化及びコストダウンが図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサや蓄電池セルのような単体の蓄電デバイスが複数個直列に接続されてなる組蓄電装置の各蓄電デバイスの両端電圧を均等化する電圧均等化装置並びに、そのような電圧均等化装置を搭載した充電装置、組電池装置、充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンデンサや蓄電池セルのような単体の蓄電デバイスが複数個直列に接続されてなる組蓄電装置(いわゆる電池パックなど)が普及してきている。ここで、組蓄電装置を構成する単体の蓄電デバイスは、漏れ電流や自己放電などの影響で個々の両端電圧(極間電圧)にばらつきが生じ、このような両端電圧のばらつきを放置しておくと過充電されてしまったり、あるいは過放電されてしまう虞がある。一方、最近では個々の蓄電デバイスの両端電圧を監視して過放電や過充電になる前に充放電を停止する機能を有した組蓄電装置が提供されている。このような組蓄電装置においては、蓄電デバイスの両端電圧に生じるばらつきによって、何れかの蓄電デバイスの両端電圧が充電又は放電の限度値に達すると、他の蓄電デバイスの両端電圧が限度値に達していなくても直ちに充放電が停止されてしまい、その結果、組蓄電装置全体に蓄積される電気エネルギが減少してしまうことになる。
【0003】
そこで、従来より、組蓄電装置の各蓄電デバイスの両端電圧を均等化する電圧均等化装置が種々提供されている(例えば、特許文献1〜3参照)。この種の電圧均等化装置は、蓄電デバイスの両端電圧を調整する電圧調整部が、組蓄電装置を構成する全ての蓄電デバイス毎に設けられ、例えば、相対的に両端電圧が高い蓄電デバイスを電圧調整部によって放電することで最も低い両端電圧に揃えたり、あるいは、相対的に両端電圧が低い蓄電デバイスを電圧調整部によって充電することで最も高い両端電圧に揃えるといった方法で各蓄電デバイスの両端電圧を均等化している。
【特許文献1】特開2002−10510号公報
【特許文献2】特開平7−322515号公報
【特許文献3】特開2006−254535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では蓄電デバイスの両端電圧を調整する電圧調整部が、組蓄電装置を構成する全ての蓄電デバイス毎に設けられているため、組蓄電装置を構成する蓄電デバイスの個数が増えるに従って電圧調整部の数も増大するから、電圧均等化装置や組蓄電装置の大型化及びコストアップを招いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来例と比べて小型化及びコストダウンが図れる電圧均等化装置並びに充電装置、組電池装置、充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、単体の蓄電デバイスが複数個直列に接続されてなる組蓄電装置の各蓄電デバイスの両端電圧を均等化する電圧均等化装置であって、一対の端子を有し当該端子間に直列接続される複数個の蓄電デバイスを充電若しくは放電する複数の電圧調整部と、これら複数の電圧調整部を制御する制御部とを有し、電圧調整部は、少なくとも一方の端子が直列接続された蓄電デバイスの接続点に接続されるとともに、一対の端子間には、他の1乃至複数の電圧調整部の一方の端子が1乃至複数の蓄電デバイスを挟んで接続されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、各電圧調整部の端子間に直列接続されている蓄電デバイスの個数が全ての電圧調整部で同一であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、一対の端子を有し当該端子間に接続される単体の蓄電デバイスを充電若しくは放電する複数の第2電圧調整部と、これら複数の第2電圧調整部を制御する第2制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、電圧調整部は、一対の端子間に接続されたトランスの2次巻線と整流素子の直列回路からなり、制御部は、前記トランスの1次巻線に交流電圧を印加してなることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記トランスは、1つの1次巻線と、複数の同一巻数の2次巻線とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、電圧調整部は、一対の端子間に接続された抵抗素子とスイッチ要素の直列回路からなり、制御部は、前記スイッチ要素を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、電圧調整部は、1乃至複数のキャパシタと、当該キャパシタと蓄電デバイスとの接続関係を切り換えるスイッチ要素とを有し、制御部は、スイッチ要素をオン・オフ制御することで蓄電デバイスとキャパシタの間で電荷を移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置の電圧調整部を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置の電圧調整部を有する組電池装置と、請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置の制御部を有する充電装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓄電デバイスを充電若しくは放電する電圧調整部の個数は組蓄電装置を構成する複数の蓄電デバイスの個数よりも少なくて済むから、従来例と比べて小型化及びコストダウンが図れる電圧均等化装置並びに充電装置、組電池装置、充電システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、蓄電デバイスとしてリチウムイオン電池を用いた実施形態により、本発明を詳細に説明する。但し、本発明の技術思想が適用可能な蓄電デバイスはリチウムイオン電池に限定されるものではなく、ニッケル水素電池などの他の蓄電池や電気二重層コンデンサでも構わない。
【0018】
(実施形態1)
本実施形態の電圧均等化装置Aは、図1に示すように組蓄電装置Bを構成している複数個(図示例では8個)の蓄電デバイス(リチウムイオン電池セル)SEL1〜SEL8の両端電圧(極間電圧)を均等化するものであって、一対の端子1a,1bを有し当該端子間1a,1bに直列接続される複数個(図示例では4個ずつ)の蓄電デバイスSELm(m=1,2,…,8)を充電する複数(図示例では3つ)の電圧調整部11〜13と、これら3つの電圧調整部11〜13を制御する制御部2とを備えている。
【0019】
各電圧調整部1k(k=1,2,3)は全て同一の構成を有し、一方の端子1aにアノードが接続された整流用のダイオードDkと、ダイオードDkのカソードに一端が接続されるとともに他端が他方の端子1bに接続されたトランスTの2次巻線n21〜n23とで構成されている。尚、これら3つの2次巻線n21〜n23は図示しない同一の磁気回路(例えば、鉄心)に同一の巻数で巻設されている。
【0020】
また、これら3つの電圧調整部1kは、少なくとも一方の端子1a又は1bが直列接続された蓄電デバイスSELmの接続点に接続されるとともに、一対の端子1a,1b間には、他の1乃至複数の電圧調整部1kの一方の端子1a又は1bが1乃至複数の蓄電デバイスSELmを挟んで接続されている。具体的に説明すると、電圧調整部11の一方の端子1aが2個の蓄電デバイスSEL2,SEL3の接続点に接続されるとともに他方の端子1bが2個の蓄電デバイスSEL6,SEL7の接続点に接続され、電圧調整部12の一方の端子1aが蓄電デバイスSEL1の正極(組蓄電装置Bの正極)に接続されるとともに他方の端子1bが2個の蓄電デバイスSEL4,SEL5の接続点に接続され、電圧調整部13の一方の端子1aが2個の蓄電デバイスSEL4,SEL5の接続点に接続されるとともに他方の端子1bが蓄電デバイスSEL1の負極(組蓄電装置Bの負極)に接続され、1つの電圧調整部1kの端子1a,1b間には各々同数(4個)の蓄電デバイスSELがそれぞれ接続されるとともに異なる電圧調整部1kの端子1a,1b間には同数(2個)の蓄電デバイスSELがそれぞれ接続されている。
【0021】
制御部2は、トランスTの1次巻線n1と、1次巻線n1に交流電圧(高周波電圧)を印加するインバータ回路2aとで構成されている。尚、インバータ回路2aは、図2(a)に示すようなフォワード型若しくは図2(b)に示すようなフライバック型などの従来周知の回路構成を有しており、直流電源Eの直流電源電圧を高周波電圧に変換してトランスTの1次巻線n1に印加するものである。
【0022】
而して、制御部2のインバータ回路2aが動作(発振)すれば、トランスTの3つの2次巻線n21〜n23が同一の磁気回路に同一の巻数で巻設されているために同一レベルの誘導起電力が3つの2次巻線n21〜n23に生じ、各電圧調整部1kの端子間1a,1bに同一レベルの直流電圧が印加されることになるから、各蓄電デバイスSELmの両端電圧VSELmの間には、VSEL1+VSEL2+VSEL3+VSEL4=VSEL3+VSEL4+VSEL5+VSEL6=VSEL5+VSEL6+VSEL7+VSEL8の関係が成立することになる。この式を変形すると、VSEL1+VSEL2=VSEL5+VSEL6、VSEL3+VSEL4=VSEL7+VSEL8となる。
【0023】
すなわち、本実施形態の電圧均等化装置Aによれば、直列接続された2個の蓄電デバイスSEL1,SEL2とSEL5,SEL6、並びにSEL3,SEL4とSEL7,SEL8の両端電圧の和を均等化することができる。ここで、本実施形態の電圧均等化装置Aでは、VSEL1+VSEL2=VSEL3+VSEL4及びVSEL5+VSEL6=VSEL7+VSEL8の関係とVSEL1=VSEL2=VSEL3=VSEL4=VSEL5=VSEL6=VSEL7=VSEL8の関係については必ずしも成立するとは限らない。しかしながら、実使用上においては必ずしも全ての蓄電デバイスSELmの両端電圧を均等化する必要はなく、本実施形態のように2個1組の蓄電デバイスSELmの両端電圧が均等化されていれば、蓄電デバイスSELmの両端電圧のばらつきに起因する不具合を大抵は防ぐことができる。このように本実施形態によれば、電圧調整部1kの個数が組蓄電装置Bを構成する複数の蓄電デバイスSELmの個数よりも少なくて済むから、従来例と比べて電圧均等化装置Aの小型化及びコストダウンが図れるものである。
【0024】
(実施形態2)
本実施形態の電圧均等化装置Aは、図3に示すように電圧調整部1kの個数を5つとした点に特徴があり、その他の構成については実施形態1と共通である。故に、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
図3に示すように、本実施形態においても5つの電圧調整部1kは、少なくとも一方の端子1a又は1bが直列接続された蓄電デバイスSELmの接続点に接続されるとともに、一対の端子1a,1b間には、他の1乃至複数の電圧調整部1kの一方の端子1a又は1bが1乃至複数の蓄電デバイスSELmを挟んで接続されている。具体的に説明すると、電圧調整部11〜13については実施形態1と共通であり、さらに、電圧調整部14の一方の端子1aが2個の蓄電デバイスSEL1,SEL2の接続点に接続されるとともに他方の端子1bが2個の蓄電デバイスSEL5,SEL6の接続点に接続され、電圧調整部15の一方の端子1aが2個の蓄電デバイスSEL3,SEL4の接続点に接続されるとともに他方の端子1bが2個の蓄電デバイスSEL7,SEL8の接続点に接続され、1つの電圧調整部1kの端子1a,1b間には各々同数(4個)の蓄電デバイスSELがそれぞれ接続されるとともに異なる電圧調整部1kの端子1a,1b間には同数(1個)の蓄電デバイスSELがそれぞれ接続されている。
【0026】
而して、制御部2のインバータ回路2aが動作(発振)すれば、トランスTの5つの2次巻線n21〜n25が同一の磁気回路に同一の巻数で巻設されているために同一レベルの誘導起電力が5つの2次巻線n21〜n25に生じ、各電圧調整部1kの端子間1a,1bに同一レベルの直流電圧が印加されることになるから、各蓄電デバイスSELmの両端電圧VSELmの間には、VSEL1+VSEL2+VSEL3+VSEL4=VSEL2+VSEL3+VSEL4+VSEL5=VSEL3+VSEL4+VSEL5+VSEL6=VSEL4+VSEL5+VSEL6+VSEL7=VSEL5+VSEL6+VSEL7+VSEL8の関係が成立することになる。この式を変形すると、VSEL1=VSEL5、VSEL2=VSEL6、VSEL3=VSEL7、VSEL4=VSEL8となる。
【0027】
本実施形態の電圧均等化装置Aでは、VSEL1=VSEL2=VSEL3=VSEL4の関係とVSEL5=VSEL6=VSEL7=VSEL8の関係については必ずしも成立するとは限らない。しかしながら、実使用上においては必ずしも全ての蓄電デバイスSELmの両端電圧を均等化する必要はなく、本実施形態のように3個おきに蓄電デバイスSELmの両端電圧が均等化されていれば、蓄電デバイスSELmの両端電圧のばらつきに起因する不具合を大抵は防ぐことができる。よって実施形態1と同様に、本実施形態においても、電圧調整部1kの個数が組蓄電装置Bを構成する複数の蓄電デバイスSELmの個数よりも少なくて済むから、従来例と比べて電圧均等化装置Aの小型化及びコストダウンが図れるものである。
【0028】
ここで、実施形態1と比較して、本実施形態では電圧調整部1kが2つ増えているために小型化及びコストダウンに関しては不利であるものの電圧の均等化に関しては有利である。故に、組蓄電装置Bにおける各蓄電デバイスSELmの両端電圧のばらつきの程度や小型化及びコストダウンの要求に応じて電圧調整部1kの個数を適宜決定すればよい。尚、本実施形態では1つの電圧調整部1kが受け持つ蓄電デバイスSELmの個数を4個としているが、組蓄電装置Bを構成する蓄電デバイスSELmの個数をn、1つの電圧調整部1kが受け持つ蓄電デバイスSELmの個数をbとしたときに必要な電圧調整部1kの個数CNは、CN=n−(b−1)となる(但し、b≦(n+1)/2)。例えば、n=8,b=3とすれば、CN=6となる。
【0029】
(実施形態3)
本実施形態の電圧均等化装置Aは、図4(a)(b)に示すように一対の端子を有し当該端子間に接続される単体の蓄電デバイスSEL5〜SEL8を充電若しくは放電する複数(4個)の第2電圧調整部3a〜3dと、第2電圧調整部3a〜3dを制御する第2制御部(図示せず)とを有する第2電圧調整ブロック3を設けた点に特徴がある。但し、その他の構成については実施形態2と共通であるから、実施形態2と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
第2電圧調整部3a〜3dは、それぞれ抵抗Ra〜Rdとスイッチ要素(例えば、バイポーラトランジスタ)Qa〜Qdの直列回路が一対の端子間に接続されてなり、図示しない第2制御部によってスイッチ要素Qa〜Qdのベース電流を制御して端子間に接続されている蓄電デバイスSEL5〜SEL8の放電電流を増減することで各蓄電デバイスSEL5〜SEL8の両端電圧を各別に調整するものである。
【0031】
而して本実施形態によれば、第2電圧調整部3a〜3dによって4個の蓄電デバイスSEL5〜SEL8の両端電圧が均等に調整されるので、結果的にVSEL1=VSEL2=VSEL3=VSEL4の関係とVSEL5=VSEL6=VSEL7=VSEL8の関係が同時に成立することになり、組蓄電装置Bを構成する全ての蓄電デバイスSELmの両端電圧を均等化できるものである。ここで、本実施形態では第2電圧調整部3a〜3dを含めると従来例よりも回路規模が増大しているように見える。しかしながら、本実施形態では電圧調整部1kによって両端電圧のばらつきがほぼ均等化されており、しかも、第2電圧調整部3a〜3dが受け持つ蓄電デバイスSELmの個数が少ないためにこれらの蓄電デバイスSEL5〜SEL8の間では両端電圧にばらつきが生じ難いので、蓄電デバイスSEL5〜SEL8を短時間に大きな放電電流を流して放電させる必要がなく、従って、スイッチング素子Qa〜Qdに小信号用のトランジスタを用いるとともに抵抗Ra〜Rdに高抵抗を用いることによって、微少な放電電流を流して長い時間をかけて放電させればよい。これに対して従来例では、短時間に大きな放電電流を流して個々の蓄電デバイスを放電させて均等化を図る必要があるため、スイッチング素子にはパワートランジスタを用いるとともに抵抗には比較的に抵抗値の小さいものを用いなければならない。このことから、本実施形態では第2電圧調整部3a〜3dを設けていても、従来例のものと比較して小型化及びコストダウンが図れるものである。
【0032】
(実施形態4)
本実施形態の電圧均等化装置Aは、電圧調整部1kの構成に特徴があり、その他の構成については実施形態1〜3の何れかと共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0033】
実施形態1〜3における電圧調整部1kは蓄電デバイスSELmを充電することで両端電圧を均等化するのに対し、本実施形態における電圧調整部1kは蓄電デバイスSELmを放電することで両端電圧を均等化している。
【0034】
例えば、図5(a)に示すように、それぞれ抵抗R1,R2,R3とスイッチ要素(例えば、バイポーラトランジスタ)Q1,Q2,Q3の直列回路で電圧調整部1kが構成されており、図示しない制御部によってスイッチ要素Q1〜Q3のベース電流を制御して端子間に接続されている蓄電デバイスSELmの放電電流を増減することで蓄電デバイスSELmの両端電圧を調整することができる。
【0035】
あるいは、図5(b)に示すように、1つのキャパシタCk(k=1,2,3,4,5)と、当該キャパシタCkと蓄電デバイスSELmとの接続関係を切り換えるスイッチ要素(電界効果トランジスタ)Si(i=1,2,…,14)とで電圧調整部1kが構成され、図示しない制御部によってスイッチ要素Siがオン・オフ制御されることで蓄電デバイスSELmとキャパシタCkの間で電荷を移動させて蓄電デバイスSELmの両端電圧を調整することができる。
【0036】
8個のスイッチ要素S1〜S8の直列回路が組蓄電装置Bの両極間に接続され、残り6個のスイッチ要素S9〜S14の直列回路が直列接続されている6個の蓄電デバイスSEL2〜SEL7の両端間に接続されている。また、直列接続された2つのスイッチ要素S2及びS3、S4及びS5、S6及びS7、S10及びS11、S12及びS13の各接続点が、2個の蓄電デバイスSEL2及びSEL3、SEL4及びSEL5、SEL6及びSEL7、SEL3及びSEL4、SEL5及びSEL6の各接続点と接続されている。さらに、直列接続された2つのスイッチ要素S2及びS3、S4及びS5、S6及びS7、S10及びS11、S12及びS13と並列にそれぞれキャパシタC1〜C5が接続されている。そして、4つのスイッチ要素S1〜S4と1つのキャパシタC1で電圧調整部11が構成され、4つのスイッチ要素S3〜S6と1つのキャパシタC2で電圧調整部12が構成され、4つのスイッチ要素S5〜S8と1つのキャパシタC3で電圧調整部13が構成され、4つのスイッチ要素S9〜S12と1つのキャパシタC4で電圧調整部14が構成され、4つのスイッチ要素S11〜S14と1つのキャパシタC5で電圧調整部15が構成されている。
【0037】
例えば、電圧調整部11において、奇数番号のスイッチ要素S1,S3をオンするとともに偶数番号のスイッチ要素S2,S4をオフすれば、キャパシタC1が2個の蓄電デバイスSEL1,SEL2の直列回路に接続され、2個の蓄電デバイスSEL1,SEL2の両端電圧に等しい電圧になるまで、蓄電デバイスSEL1,SEL2からキャパシタC1に電荷が移動する。次に、奇数番号のスイッチ要素S1,S3をオフするとともに偶数番号のスイッチ要素S2,S4をオンすれば、キャパシタC1が別の2個の蓄電デバイスSEL3,SEL4の直列回路に接続されるため、キャパシタC1からこれら2個の蓄電デバイスSEL3,SEL4へ電荷が移動する。そして、キャパシタC1〜C5と2個1組の蓄電デバイスSELmとの間で電荷を相互に移動させることで徐々に各組の蓄電デバイスSELmの両端電圧を均等化することができる。但し、スイッチ要素S1〜S14をオン・オフする順序や組み合わせは一例であって、これに限定する主旨ではない。
【0038】
(実施形態5)
図6は、本発明に係る充電装置の実施形態を示している。本実施形態の充電装置Fは、実施形態1で説明した電圧均等化装置Aを内蔵している点に特徴がある。
【0039】
まず、本実施形態の充電装置Fによって充電される組蓄電装置Bについて説明する。この組蓄電装置Bは、直列接続された複数個(図示例では12個)の蓄電デバイスSELm(m=1,2,…,12)と、各々4個の蓄電デバイスSELmの両端電圧を個別に監視する電圧監視回路11A,11B,11Cと、電圧監視回路11A,11B,11Cの監視結果に応じて充電及び放電の許可信号並びに停止信号を制御信号端子12に出力する制御回路10とを備えている。既に説明したように、リチウムイオン電池からなる蓄電デバイスSELmには上限値及び下限値(両者を総称して「限度値」と呼ぶ。)が設定されており、制御回路10では、充電時において電圧監視回路11A,…で監視する何れかの蓄電デバイスSELmの両端電圧が上限値に達したと判断すれば、充電装置Fに対して充電の停止を指示するための停止信号を制御信号端子12を介して出力し、放電時において電圧監視回路11A,…で監視する何れかの蓄電デバイスSELmの両端電圧が下限値に達したと判断すれば、負荷装置(図示せず)に対して負荷の停止(放電の停止)を指示するための停止信号を制御信号端子12を介して出力する。また、制御回路10では制御信号端子12から入力する制御信号に基づいて充電装置Fと負荷装置の何れに接続されているかを判断し、充電装置Fに接続されており、且つ電圧監視回路11A,…で監視する全ての蓄電デバイスSELmの両端電圧が上限値未満であれば、充電装置Fに充電を行わせるための充電開始信号を制御信号端子12を介して出力し、負荷装置に接続されており、且つ電圧監視回路11A,…で監視する全ての蓄電デバイスSELmの両端電圧が下限値に達していなければ、負荷装置に負荷の動作を許可するための放電許可信号を制御信号端子12を介して出力する。
【0040】
一方、充電装置Fは、商用交流電源ACから供給される交流電圧を整流する整流器20と、整流器20で整流された脈流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路21と、インバータ回路21から出力される高周波交流電圧を整流する整流器22と、制御信号端子12を介して組蓄電装置Bから入力される制御信号(充電開始信号や充電停止信号)に応じてインバータ回路21の動作を制御する充電制御回路23と、電圧均等化装置Aとを備えている。
【0041】
電圧均等化装置Aは、実施形態1と同様に3つの電圧調整部1k(k=1,2,3)と制御部2からなり、電圧調整部11の一方の端子1aに接続された接続端子131が蓄電デバイスSEL1の正極(組蓄電装置Bの正極)に接続されるとともに他方の端子1bに接続された接続端子133が2個の蓄電デバイスSEL6,SEL7の接続点に接続され、電圧調整部12の一方の端子1aに接続された接続端子132が2個の蓄電デバイスSEL3,SEL4の接続点に接続されるとともに他方の端子1bに接続された接続端子134が2個の蓄電デバイスSEL9,SEL10の接続点に接続され、電圧調整部13の一方の端子1aに接続された接続端子133が2個の蓄電デバイスSEL6,SEL7の接続点に接続されるとともに他方の端子1bに接続された接続端子135が蓄電デバイスSEL1の負極(組蓄電装置Bの負極)に接続され、1つの電圧調整部1kの端子1a,1b間には各々同数(6個)の蓄電デバイスSELがそれぞれ接続されるとともに異なる電圧調整部1kの端子1a,1b間には同数(3個)の蓄電デバイスSELがそれぞれ接続されている。尚、本実施形態における電圧均等化装置Aでは、3個1組で合計4組の蓄電デバイスSELmの両端電圧を互いに均等化することができる。
【0042】
本実施形態では、電圧均等化装置Aを充電装置Fに内蔵したことで組蓄電装置Bの構成を簡素化することができる。
【0043】
(実施形態6)
図7は、本発明に係る組蓄電装置及び充電装置の実施形態を示している。本実施形態は、電圧均等化装置Aを構成する3つの電圧調整部1k(k=1,2,3)が組蓄電装置Bに内蔵され、電圧均等化装置Aを構成する制御部2が充電装置Fに内蔵されている点に特徴がある。但し、本実施形態における組蓄電装置B及び充電装置Fの基本構成は実施形態5で説明した組蓄電装置B並びに充電装置Fと共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
充電装置Fと組蓄電装置Bとは、蓄電デバイスSEL1の正極(組蓄電装置Bの正極)に接続された接続端子131、蓄電デバイスSEL12の負極(組蓄電装置Bの負極)に接続された接続端子132、制御信号端子12の3つの端子を介して接続されている。但し、電圧均等化装置Aの制御部2と各電圧調整部1kとの間では、トランスTの1次巻線n1と2次巻線n21〜n23との磁気結合によって非接触で給電される。
【0045】
而して本実施形態によれば、電圧均等化装置Aの制御部2と各電圧調整部1kとの間で非接触給電を行っているため、実施形態5と比較して、接続端子13の数を6つから2つに減らすことができる。
【0046】
(実施形態7)
図8は、本発明に係る組蓄電装置及び充電装置からなる充電システムの実施形態を示している。本実施形態は、電圧均等化装置Aを構成する3つの電圧調整部1k(k=1,2,3)並びに制御部2の1次巻線n1が組蓄電装置Bに内蔵され、電圧均等化装置Aを構成する制御部2のインバータ回路2aが充電装置Fに内蔵されている点に特徴がある。但し、本実施形態における組蓄電装置B及び充電装置Fの基本構成は実施形態5,6で説明した組蓄電装置B並びに充電装置Fと共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
充電装置Fと組蓄電装置Bとは、蓄電デバイスSEL1の正極(組蓄電装置Bの正極)に接続された接続端子131、蓄電デバイスSEL12の負極(組蓄電装置Bの負極)に接続された接続端子132、インバータ回路2aの出力端とトランスTの1次巻線n1とを接続する一対の接続端子133,134、制御信号端子12の5つの端子を介して接続されている。
【0048】
而して本実施形態によれば、電圧均等化装置Aを構成する3つの電圧調整部1k並びに制御部2の1次巻線n1が組蓄電装置Bに内蔵され、電圧均等化装置Aを構成する制御部2のインバータ回路2aが充電装置Fに内蔵されているため、実施形態5と比較して、接続端子13の数を6つから5つに減らすことができる。
【0049】
但し、実施形態2で説明した電圧均等化装置Aの構成を本実施形態に採用し、図9に示す構成としても構わない。
【0050】
尚、上述した実施形態1〜7では、電圧均等化装置Aの電圧調整部1kが有する2次巻線n2kが同一の磁気回路(例えば、鉄心)に同一の巻数で巻設されているとしたが、実際には漏れ磁束の影響によって各2次巻線n2kに生じる誘導起電力が等しくなるとは限らないから、2次巻線n2kに生じる誘導起電力が等しくなるように巻数を微調整することは当然に行われることであり、このような微調整の範囲も含めて、「同一の巻数」で巻設されていることは明らかである。また、各2次巻線n2kについては、単独の巻線が複数重ねて巻設されたものであってもよいし、あるいは、1つの巻線に同一の巻数毎に中間タップを設けて構成されたものであってもよい。さらに、組蓄電装置Bについては、複数個の蓄電デバイスSELmを単純に直列接続した構成のみを開示したが、これに限定されるものではなく、複数個の蓄電デバイスSELmの直列回路を並列若しくは直並列に接続した構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る電圧均等化装置の実施形態1を示す回路構成図である。
【図2】(a),(b)は同上におけるインバータ回路の回路構成図である。
【図3】本発明に係る電圧均等化装置の実施形態2を示す回路構成図である。
【図4】(a)は本発明に係る電圧均等化装置の実施形態3を示す回路構成図、(b)は第2電圧調整ブロックの回路構成図である。
【図5】(a),(b)は本発明に係る電圧均等化装置の実施形態4を示す一部省略した回路構成図である。
【図6】本発明に係る充電装置の実施形態5を示す回路構成図である。
【図7】本発明に係る充電装置及び組蓄電装置の実施形態6を示す回路構成図である。
【図8】本発明に係る充電装置及び組蓄電装置の実施形態7を示す回路構成図である。
【図9】同上の他の構成の充電装置及び組蓄電装置を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0052】
A 電圧均等化装置
B 組蓄電装置
SEL1〜SEL8 蓄電デバイス
1〜13 電圧調整部
1a,1b 端子
2 制御部
2a インバータ回路
T トランス
n1 1次巻線
n21〜n23 2次巻線
D1〜D3 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体の蓄電デバイスが複数個直列に接続されてなる組蓄電装置の各蓄電デバイスの両端電圧を均等化する電圧均等化装置であって、
一対の端子を有し当該端子間に直列接続される複数個の蓄電デバイスを充電若しくは放電する複数の電圧調整部と、これら複数の電圧調整部を制御する制御部とを有し、
電圧調整部は、少なくとも一方の端子が直列接続された蓄電デバイスの接続点に接続されるとともに、一対の端子間には、他の1乃至複数の電圧調整部の一方の端子が1乃至複数の蓄電デバイスを挟んで接続されることを特徴とする電圧均等化装置。
【請求項2】
各電圧調整部の端子間に直列接続されている蓄電デバイスの個数が全ての電圧調整部で同一であることを特徴とする請求項1記載の電圧均等化装置。
【請求項3】
一対の端子を有し当該端子間に接続される単体の蓄電デバイスを充電若しくは放電する複数の第2電圧調整部と、これら複数の第2電圧調整部を制御する第2制御部とを有することを特徴とする請求項2記載の電圧均等化装置。
【請求項4】
電圧調整部は、一対の端子間に接続されたトランスの2次巻線と整流素子の直列回路からなり、制御部は、前記トランスの1次巻線に交流電圧を印加してなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電圧均等化装置。
【請求項5】
前記トランスは、1つの1次巻線と、複数の同一巻数の2次巻線とを有することを特徴とする請求項4記載の電圧均等化装置。
【請求項6】
電圧調整部は、一対の端子間に接続された抵抗素子とスイッチ要素の直列回路からなり、制御部は、前記スイッチ要素を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電圧均等化装置。
【請求項7】
電圧調整部は、1乃至複数のキャパシタと、当該キャパシタと蓄電デバイスとの接続関係を切り換えるスイッチ要素とを有し、制御部は、スイッチ要素をオン・オフ制御することで蓄電デバイスとキャパシタの間で電荷を移動させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電圧均等化装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置を備えたことを特徴とする充電装置。
【請求項9】
請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置の電圧調整部を備えたことを特徴とする組電池装置。
【請求項10】
請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置の電圧調整部を有する組電池装置と、請求項1〜7の何れかの電圧均等化装置の制御部を有する充電装置とを備えたことを特徴とする充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−261134(P2009−261134A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107104(P2008−107104)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】