説明

電子カメラ、画像処理装置、および画像処理プログラム

【課題】 複数の画像の再生順を、被写体の特性に応じた最適なものとすること。
【解決手段】 被写体を撮像して、複数の画像を生成する撮像部と、撮像部により生成した複数の画像について、評価を行う評価部と、評価部による評価結果に基づいて、撮像部により生成した複数の画像のうち、一部の画像を選択する選択部と、選択部により選択された複数の画像について、シーン認識を行う認識部と、認識部による認識結果に基づいて、シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラ、画像処理装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の画像を生成して記録媒体に記録した後に、露出、コントラスト、ボケなどの観点から画像の評価を行い、評価が所定の基準より低い画像を、上述した記録媒体から削除する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の発明では、露出条件評価、コントラスト評価、ボケ、焦点ボケの評価などにより画像評価処理を実行している。そして、画像評価の結果、記録媒体から削除されなかった画像には、通常、時系列に連番の名称が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−50494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した画像評価の結果、記録媒体から削除されなかった画像は、通常、複数枚の画像であり、ユーザは、これらの画像を順次再生して、最も好ましい1枚(あるいは数枚)の画像を選択する。記録媒体から削除されなかった画像には、時系列に連番の名称が付与されているため、これらの画像を再生する際には、複数の画像が時系列で再生されることになる。
【0006】
しかし、集合写真や記念撮影など、主要被写体に大きな動きがない被写体である場合には、時系列に再生されることに特にメリットはない。そのため、ユーザは、複数の画像を順次画像送りしたり、戻したりして比較を行わなくてはならす、どの画像が最も好ましい画像であるかの判断がすぐにはつかないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の画像の再生順を、被写体の特性に応じた最適なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子カメラは、被写体を撮像して、複数の画像を生成する撮像部と、前記撮像部により生成した前記複数の画像について、評価を行う評価部と、前記評価部による評価結果に基づいて、前記撮像部により生成した前記複数の画像のうち、一部の画像を選択する選択部と、前記選択部により選択された複数の画像について、シーン認識を行う認識部と、前記認識部による認識結果に基づいて、前記シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定部とを備える。
【0009】
なお、前記決定部により決定した前記再生順に応じて、前記シーン認識が行われた複数の画像のそれぞれの名称を決定する命名部を備えても良い。
【0010】
また、前記決定部は、前記認識部による認識結果に基づいて、前記評価部による評価が高い順に前記再生順を決定するか、または、前記撮像部による撮像順に合わせて再生順を決定しても良い。
【0011】
また、前記決定部は、前記認識部による認識の結果、主要被写体に連続的な変化があるシーンである場合には、前記撮像部による撮像順に合わせて前記再生順を決定し、前記主要被写体に連続的な変化がない場合には、前記評価部による評価が高い順に前記再生順を決定しても良い。
【0012】
また、前記評価部は、前記認識部による認識結果がポートレートのシーンである場合には、背景領域が目立つか否かをさらに評価し、前記決定部は、前記認識部による認識結果が前記ポートレートのシーンである場合には、前記評価部による評価の結果、前記背景領域が目立たない順に前記再生順を決定しても良い。
【0013】
また、前記撮像部により生成した前記複数の画像を記録媒体に記録する記録部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記記録媒体に記録された複数の画像のうち、前記選択部により選択された一部の画像を削除する削除部とを備え、
前記認識部は、前記削除部により削除されなかった複数の画像について、前記シーン認識を行っても良い。
【0014】
また、前記記録部は、前記決定部により決定した前記再生順を示す情報を、前記削除部により削除されなかった前記複数の画像と関連づけて記録しても良い。
【0015】
本発明の画像処理装置は、処理対象の画像として、複数の画像を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記複数の画像について、評価を行う評価部と、前記取得部により取得した前記複数の画像について、シーン認識を行う認識部と、前記認識部による認識結果に基づいて、前記シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定部とを備える。
【0016】
なお、前取得部により取得した前記複数の画像を記録媒体に記録する記録部と、前記評価部による評価結果に基づいて、前記記録媒体に記録された複数の画像のうち、一部の画像を削除する削除部とを備え、前記取得部は、前記複数の画像として、撮像および生成された複数の画像を取得し、前記認識部は、前記削除部により削除されなかった複数の画像について、前記シーン認識を行っても良い。
【0017】
本発明の画像処理プログラムは、処理対象の画像に対する画像処理をコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、前記処理対象の画像として、複数の画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した前記複数の画像について、評価を行う評価ステップと、前記取得ステップにおいて取得した前記複数の画像について、シーン認識を行う認識ステップと、前記認識ステップにおける認識結果に基づいて、前記シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定ステップとを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の画像の再生順を、被写体の特性に応じた最適なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一の実施形態における電子カメラの構成例を示すブロック図
【図2】一の実施形態における電子カメラの動作を示す流れ図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、一の実施形態における電子カメラ10の構成例を示すブロック図である。電子カメラ10は、撮像レンズ11と、シャッタ12と、撮像素子13と、AFE14と、画像処理部15と、第1メモリ16と、第2メモリ17と、記録I/F18と、CPU19と、操作部20と、バス21とを備えている。ここで、画像処理部15、第1メモリ16、第2メモリ17、記録I/F18、CPU19は、バス21を介してそれぞれ接続されている。また、シャッタ11、撮像素子13、AFE14、操作部20は、それぞれCPU19と接続されている。
【0021】
シャッタ12は、撮影レンズ11と撮像素子13との間に配置されるメカシャッタである。
【0022】
撮像素子13は、撮像レンズ11による結像を撮像する撮像デバイスである。一の実施形態の撮像素子13は、例えば、任意の受光素子の画像信号をランダムアクセスで読み出し可能なCMOS型の固体撮像素子で構成される。なお、撮像素子13の出力はAFE14に接続されている。
【0023】
AFE14は、撮像素子13の出力に対してアナログ信号処理を施すアナログフロントエンド回路である。このAFE14は、相関二重サンプリングや、画像信号のゲインの調整や、画像信号のA/D変換を行う。そして、AFE14の出力は画像処理部15に接続されている。なお、CPU19は、AFE14により画像信号のゲインを調整することで、ISO感度に相当する撮像感度の調整を行う。
【0024】
画像処理部15は、AFE14から出力されたデジタルの画像信号に対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、ホワイトバランス調整など)を施す。
【0025】
第1メモリ16は、画像処理の前工程や後工程で画像のデータを一時的に記憶する。例えば、第1メモリ16は、揮発性の記憶媒体であるSDRAMにより構成される。また、第2メモリ17は、CPU19によって実行されるプログラムや、各画像信号でのSN比と撮像感度の値との対応関係を示すデータテーブルなどを記憶する不揮発性のメモリである。
【0026】
記録I/F18は、不揮発性の記憶媒体22を接続するためのコネクタを有している。そして、記録I/F18は、コネクタに接続された記憶媒体22に対して後述の本画像のデータの書き込み/読み込みを実行する。上記の記憶媒体22は、ハードディスクや、半導体メモリを内蔵したメモリカードなどで構成される。なお、図1では記憶媒体22の一例としてメモリカードを図示する。
【0027】
CPU19は、電子カメラ10の動作を統括的に制御するプロセッサである。例えば、CPU19は、被写体の撮影を行うための撮影モードでの動作時において、ユーザの撮像指示入力に応じて撮像素子13を駆動させて、不揮発性の記憶媒体22への記録を伴う本画像の撮像処理を実行する。
【0028】
また、撮影モードでのCPU19は、本画像の撮像に先立って公知の自動露出演算を実行し、撮像条件の1パラメータである撮像感度を設定する。また、CPU19は、ユーザの入力に基づいて上記の撮像感度を設定してもよい。
【0029】
操作部20は、ユーザの操作を受け付ける複数のスイッチを有している。この操作部20は、例えば、本画像の撮像指示を受け付けるレリーズ釦や、十字状のカーソルキーや、決定釦などで構成される。
【0030】
なお、電子カメラ10は、複数の画像を連続して撮像し、生成した複数の画像を一旦記録し、その後に画像評価を行って評価の低い画像を削除する、いわゆるベストショットモードを備える。このモードは、操作部20を介したユーザの操作に基づいて設定されても良いし、CPU19により自動で設定されても良い。なお、ベストショットモードにおいては、ユーザは、操作部20のレリーズ釦を1回操作することにより撮影指示を行う。
【0031】
次に、ベストショットモードでの電子カメラ10の動作例を、図2の流れ図を用いて説明する。
【0032】
ステップS101において、CPU19は、ユーザによる撮影指示が行われたか否かを判定する。CPU19は、操作部20を介したユーザによる撮影指示が行われるまで待機し、撮影指示が行われるとステップS102に進む。
【0033】
ステップS102において、CPU19は、各部を制御して、n枚目の画像を撮影する。なお、初回のステップS102においては、n=1である。なお、以下では、n回目の撮影により生成された画像を、Img[n]と称する。例えば、1回目の撮影により生成された画像は、Img[1]である。
【0034】
ステップS103において、CPU19は、ステップS102の撮像により生成したn枚目の画像を記録I/F18を介して記憶媒体22に記録する。なお、CPU19は、記憶媒体22に記録する代わりに、第1メモリ16に記録しても良い。
【0035】
ステップS104において、CPU19は、ステップS102からステップS103の処理をN枚分終了したか否かを判定する。CPU19は、N枚分終了していないと判定するとステップS105に進み、N枚分終了したと判定すると、後述するステップS106に進む。なお、Nとは予め定められた撮影枚数(例えばN=20)である。この枚数は、固定のものであっても良いし、CPU19により自動で定められたものであっても良いし、操作部20を介したユーザ操作により定められたものであっても良い。
【0036】
ステップS105において、CPU19は、n=n+1として、ステップS102に戻る。すなわち、CPU19は、N回の撮影を繰り返し(ステップS102)、N枚の画像を記録する(ステップS103)。
【0037】
ステップS106において、CPU19は、記憶媒体22に記録されたN枚の画像のそれぞれについて、評価値E[n]を算出する。なお、以下では、n枚目の画像について算出された評価値を、評価値E[n]と称する。例えば、1枚目の画像について算出された評価値は、評価値E[1]である。評価値の算出は、例えば、輝度情報、焦点情報、コントラスト情報、エッジ情報などに基づいて、公知技術と同様に行われる。
【0038】
ステップS107において、CPU19は、記憶媒体22に記録されたN枚の画像のそれぞれについて、ステップS106で算出した評価値E[n]に基づいて、画像の評価を行う。画像の評価は、例えば、評価値E[n]を点数化するなど、公知技術と同様に行われる。点数化においては、例えば、露出、コントラスト、ボケ、笑顔、目瞑りなどのファクターにより、総合的な評価が行われるのが好ましい。
【0039】
ステップS108において、CPU19は、削除する画像を決定する。CPU19は、ステップS107で行った評価に基づき、評価の低い方から所定の枚数(例えば、15枚)の画像を削除する画像として選択する。このような選択を行うことにより、評価の高い画像を選択的に残すことができる。なお、削除する画像の枚数は、固定のものであっても良いし、CPU19により自動で定められたものであっても良いし、操作部20を介したユーザ操作により定められたものであっても良い。なお、削除する画像を決定する際に、評価値E[n]と閾値との比較に基づいて決定を行う際には、選択的に残される画像(削除されない画像)が1枚以上になるように、上述した閾値を調整すると良い。
【0040】
ステップS109において、CPU19は、ステップS108で決定した画像を記録媒体22から削除する。
【0041】
なお、ステップS103において、撮影により生成した画像を第1メモリ16に記録した場合には、CPU19は、第1メモリから画像を削除し、残りの画像を記録I/F18を介して記憶媒体22に記録する。
【0042】
ステップS110において、CPU19は、シーン認識を行う。CPU19は、記憶媒体22に記録された画像(ステップS109において削除されなかった画像)に基づいて、公知技術と同様にシーン認識を行う。例えば、CPU19は、画像の画像情報や、撮影情報(絞り値、シャッタースピード、ISO感度、焦点距離など)を総合的に解析し、主要被写体がどのようなものであるかを認識する。
【0043】
このシーン認識は、被写体に動きの軌跡が含まれるか否かを推測するためのものである。例えば、ポートレートや集合写真のようなシーンにおいては、被写体に動きの軌跡は含まれない(含まれにくい)と推測できる。また、例えば、被写体がスポーツを行っている人物や乗り物などのようなシーンにおいては、被写体に動きの軌跡が含まる(含まれやすい)と推測できる。
【0044】
ステップS111において、CPU19は、ステップS110で行ったシーン認識の結果に基づいて、「被写体に動きの軌跡が含まれるか否か」を判定する。CPU19は、「被写体に動きの軌跡が含まれる」と判定するとステップS112に進み、「被写体に動きの軌跡が含まれない」と判定すると、後述するステップS113に進む。基本的には、「被写体に動きの軌跡が含まれる」場合には、時系列の再生順が好ましく、「被写体に動きの軌跡が含まれない」場合には、時系列の再生順でなくて良いと考えることができる。
【0045】
なお、撮影期間が長い場合で、かつ、記憶媒体22に記録された画像(ステップS109において削除されなかった画像)の数が少ない場合など、「被写体に動きの軌跡が含まれるか否か」を判定できない場合がある。このような場合には、CPU19は、ステップS112およびステップS113のうち、予め定められた方(例えば、ステップS113)に進む構成としても良い。
【0046】
ステップS111において、「被写体に動きの軌跡が含まれる」と判定すると、ステップS112において、CPU19は、ステップS102で説明した撮影の撮像順に合わせて、記憶媒体22に記録された画像(ステップS109において削除されなかった画像)の再生順を決定する。
【0047】
「被写体に動きの軌跡が含まれる」場合とは、主要被写体がゴルフスイングをしている人物である場合や、走行中の車である場合などである。このような場合には、主要被写体が連続的な動作を行っていたり、主要被写体が連続的に変化している可能性が高いため、再生順は時系列であることが好ましい。したがって、CPU19は、複数の画像の撮影の撮像順に合わせて、再生順を決定する。このように再生順を決定することにより、再生時に、ユーザは、時系列で変化する複数の画像を目視して動きの軌跡を確認することができる。そのため、ユーザは、違和感なく複数の画像を比較することができるとともに、何れの画像が最も好ましい画像であるかの判断を迅速に行うことができる。
【0048】
一方、ステップS111において、「被写体に動きの軌跡が含まれない」と判定すると、ステップS113において、CPU19は、ステップS107で説明した評価の結果に基づいて、評価の高い順に、記憶媒体22に記録された画像(ステップS109において削除されなかった画像)の再生順を決定する。
【0049】
「被写体に動きの軌跡が含まれない」場合とは、被写体が集合写真や記念撮影の人物である場合や、風景などの場合である。このような場合には、主要被写体自身には大きな動きや変化はないが、笑顔や目瞑りなどのディテールが異なる可能性が高いため、再生順が時系列であることにメリットはない。したがって、CPU19は、評価の高い順に、再生順を決定する。このように再生順を決定することにより、再生時に、ユーザは、評価の高い方から順次複数の画像を目視して比較することができるとともに、何れの画像が最も好ましい画像であるかの判断を迅速に行うことができる。
【0050】
特に、被写体がいわゆるポートレートなどである場合には、「背景領域が目立つか否か」も重要なファクターとなる。そこで、顕著性マップなどにより「背景領域が目立つか否か」を評価に加味しても良い。顕著性マップとは、色、輝度、エッジ量、エッジの方向性などに基づき、周囲の領域に対する特異性を示すマップである。このようなマップを用いて評価を行うことにより、背景領域を基準として、画像の評価を行うことができる。なお、「背景領域が目立つか否か」の評価は、ステップS106で説明した評価値E[n]の算出時およびステップS107で説明した評価時にあわせて行っても良いし、ステップS110で説明したシーン認識の結果に基づき、「背景領域が目立つか否か」の評価が効果的であると判断できる場合に行っても良いし、ステップS113において再生順を決定する際に行っても良い。
【0051】
また、ステップS113において、評価の高い順に、再生順を決定する際に、ステップS110で説明したシーン認識の結果に基づいて、再生順の決定方法を変えても良い。例えば、集合写真においては、全体的な評価の高い順に再生順を決定し、ポートレートにおいては、「背景領域が目立つか否か」の評価が高い順に再生順を決定しても良い。
【0052】
ステップS114において、CPU19は、ステップS112またはステップS113で決定した再生順に応じて、記憶媒体22に記録された各画像(ステップS109において削除されなかった画像)の名称を決定する。通常、画像の生成時には、数字やアルファベットなどの昇順に応じて再生が行われる。そこで、CPU19は、上述した再生順に応じて、各画像の名称を決定する。
【0053】
ステップS115において、CPU19は、ステップS114で決定した各画像の名称を記録して、一連の処理を終了する。CPU19は、記憶媒体22に記録された画像(ステップS109において削除されなかった画像)のそれぞれの名称を、ステップS114で決定した名称に変更する。
【0054】
なお、一連の処理による複数の画像(ステップS109において削除されなかった複数の画像)をグループ化して記録する場合には、再生順が1番である画像を代表画像(メイン画像)としても良い。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、被写体を撮像して、複数の画像を生成し、生成した複数の画像について、評価を行う。そして、評価結果に基づいて、撮像部により生成した複数の画像のうち、一部の画像を選択し、選択した複数の画像について、シーン認識を行う。さらに、認識結果に基づいて、シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する。したがって、複数の画像の再生順を、被写体の特性に応じた最適なものとすることができる。
【0056】
特に、本実施形態によれば、シーン認識の結果に基づき、主要被写体に連続的な変化があるか否かを推測し、主要被写体に連続的な変化があるか否かに応じて、再生順を決定することにより、被写体の特性に応じた最適な再生順を決定することができる。そして、上述したように再生順を決定することにより、同じシーンで複数枚記録された画像を再生する際、常に人間の感覚にあった順序で再生を行うことができるので、ユーザは、違和感なく画像を鑑賞することができるとともに、何れの画像が最も好ましい画像であるかの判断を迅速に行うことができる。
【0057】
なお、本実施形態では、N枚の画像を撮影(ステップS102)および記録(ステップS103)した後に、評価値E[n]の算出(ステップS106)を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、N枚の画像を撮影(ステップS102)した後すぐに、評価値E[n]の算出(ステップS106)を開始しても良い。
【0058】
また、本実施形態では、再生順を決定する因子として、評価および撮像順を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、電子カメラ10が、予め登録された特定の人物を認証して撮影する機能を有する場合には、個人認証用の登録順に応じて再生順を決定しても良い。上述した機能は、例えば、運動会のかけっこにおけるゴールシーンなどで利用される。例えば、個人認証用の登録順が高い(優先順位が高い)人物の部分の評価がより高い、あるいは、人物がより大きく写っている画像の再生順を早くし、この人物の部分の評価がより低い、あるいは、人物がより小さく写っている画像の再生順を遅くしても良い。なお、このような再生順の決定は、上述された機能が有効になっている場合に常に実行しても良いし、ステップS110で説明したシーン認識の結果を加味して、実行するか否かを判断しても良い。
【0059】
また、本実施形態では、ステップS110で説明したシーン認識の結果に応じて、再生順を決定するための規則性を変更する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ポートレートや風景モードなどの撮影モードが設定された場合に、その撮影モードに応じて、再生順を決定するための規則性を変更する構成としても良い。さらに、ユーザが、所定の条件と再生順を決定するための規則性との関係を予め設定しておき、その条件を満たした場合には、上述した関係に基づいて再生順を決定するための規則性を変更しても良い。
【0060】
また、本実施形態では、再生順に応じて各画像の名称を決定する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、各画像の名称は変更せずに、再生順を示す情報を、各画像と対応づけて記録する構成としても良い。例えば、画像の付帯情報(タグ情報)などに、再生順を示す情報や、再生順を決定するための規則性を示す情報などを記録しても良い。
【0061】
また、本実施形態では、ベストショットモード時に図2のフローチャートに示した一連の処理を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、連写モードにおいて複数の画像を生成する場合にも本発明を同様に適用することができる。また、ユーザにより選択された複数の画像を対象として、ステップS106以降の処理を行っても良い。
【0062】
また、上述した実施形態では、本発明の技術を図1に示した電子カメラ10において実現する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、図1に示した電子カメラ10以外の構成の電子カメラにも本発明を同様に適用することができる。
【0063】
また、コンピュータと画像処理プログラムとにより、上記実施形態で説明した画像処理装置をソフトウェア的に実現しても良い。この場合、図2のフローチャートで説明したステップS106以降の処理の一部または全部をコンピュータで実現する構成とすれば良い。または、
さらに、上述したコンピュータ以外にも、デジタルの画像の再生表示機能やレタッチ機能を有する電子機器(例えば、フォトビューアー、デジタルフォトフレーム、写真の印刷装置など)などに本発明を同様に適用することができる。また、上述した実施形態で説明した電子カメラ10は、携帯電話端末などのカメラモジュールとして実装されるものであってもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、各処理をソフトウェア的に実現する例を説明したが、ASIC等によってこれらの各処理をハードウエア的に実現しても勿論かまわない。
【符号の説明】
【0065】
10…電子カメラ、13…撮像素子、14…AFE、16…第1メモリ、17…第2メモリ、19…CPU、22…記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して、複数の画像を生成する撮像部と、
前記撮像部により生成した前記複数の画像について、評価を行う評価部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記撮像部により生成した前記複数の画像のうち、一部の画像を選択する選択部と、
前記選択部により選択された複数の画像について、シーン認識を行う認識部と、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定部と
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記決定部により決定した前記再生順に応じて、前記シーン認識が行われた複数の画像のそれぞれの名称を決定する命名部を備える
ことを特徴とした電子カメラ。
【請求項3】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記決定部は、前記認識部による認識結果に基づいて、前記評価部による評価が高い順に前記再生順を決定するか、または、前記撮像部による撮像順に合わせて再生順を決定する
ことを特徴とした電子カメラ。
【請求項4】
請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記決定部は、前記認識部による認識の結果、主要被写体に連続的な変化があるシーンである場合には、前記撮像部による撮像順に合わせて前記再生順を決定し、前記主要被写体に連続的な変化がない場合には、前記評価部による評価が高い順に前記再生順を決定する
ことを特徴とした電子カメラ。
【請求項5】
請求項4に記載の電子カメラにおいて、
前記評価部は、前記認識部による認識結果がポートレートのシーンである場合には、背景領域が目立つか否かをさらに評価し、
前記決定部は、前記認識部による認識結果が前記ポートレートのシーンである場合には、前記評価部による評価の結果、前記背景領域が目立たない順に前記再生順を決定する
ことを特徴とした電子カメラ。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記撮像部により生成した前記複数の画像を記録媒体に記録する記録部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記記録媒体に記録された複数の画像のうち、前記選択部により選択された一部の画像を削除する削除部とを備え、
前記認識部は、前記削除部により削除されなかった複数の画像について、前記シーン認識を行う
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項7】
請求項6に記載の電子カメラにおいて、
前記記録部は、前記決定部により決定した前記再生順を示す情報を、前記削除部により削除されなかった前記複数の画像と関連づけて記録する
ことを特徴とした電子カメラ。
【請求項8】
処理対象の画像として、複数の画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記複数の画像について、評価を行う評価部と、
前記取得部により取得した前記複数の画像について、シーン認識を行う認識部と、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置において、
前取得部により取得した前記複数の画像を記録媒体に記録する記録部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記記録媒体に記録された複数の画像のうち、一部の画像を削除する削除部とを備え、
前記取得部は、前記複数の画像として、撮像および生成された複数の画像を取得し、
前記認識部は、前記削除部により削除されなかった複数の画像について、前記シーン認識を行う
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
処理対象の画像に対する画像処理をコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、
前記処理対象の画像として、複数の画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記複数の画像について、評価を行う評価ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記複数の画像について、シーン認識を行う認識ステップと、
前記認識ステップにおける認識結果に基づいて、前記シーン認識が行われた複数の画像の再生順を決定する決定ステップと
を備えたことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−55455(P2013−55455A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191542(P2011−191542)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】