説明

電子カメラおよびデータ通信システム

【課題】簡単な操作で、電子カメラ間でネットワーク接続情報を送受信できない。
【解決手段】第1の電子カメラ2aで画像データと第2の電子カメラ4aが指定されると、内部メモリ31から、第2の電子カメラ4aのネットワーク接続情報が読み出される。第2の電子カメラ4aの電源がオフ状態の場合等では、第1の電子カメラ2aは、無線LAN接続により、インターネット回線網6に接続されたデータ保存サーバ7に対して画像データを送信する。画像データが正常に送信できれば、送信された画像データはデータ保存サーバ7に保存される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して、データを送受信する電子カメラおよびデータ通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子カメラと外部装置をUSBケーブルなどの通信用ケーブルによって接続し、電子カメラによって撮影されて電子カメラ内の記録媒体に保存された画像データを、外部装置に転送するデータ通信システムが知られている。このようなデータ通信システムは、電子カメラとパーソナルコンピュータ(以下、PCという)を接続することにより構成され、電子カメラによって生成された画像データをPCに送信して、PCの表示モニタに表示することができる。また、電子カメラとプリンタを接続することにより、電子カメラによって生成された画像データをプリンタに転送し、プリンタによって画像をプリントアウトすることができる。
【0003】
その一方で、無線通信機能を備えた電子カメラの開発も進められている。無線LANを利用して、このような電子カメラを外部装置とネットワーク接続するデータ通信システムも提案されている。このようなデータ通信システムによれば、電子カメラによって生成された画像データを、ネットワーク経由でPCやプリンタなどの外部装置に送信することが可能になる。
【0004】
しかしながら、ネットワークを介して電子カメラからある特定の外部装置に画像データを送信するには、ネットワーク上で電子カメラが送信先の外部装置を認識できる必要がある。そのためには画像データの送信先である外部装置のIPアドレスなどのネットワーク接続情報を、画像データの送信側である電子カメラに設定する必要がある。そこで、このような設定を行うために、通信用ケーブルを介して電子カメラとPCなどを接続し、通信用ケーブルを利用して外部装置のネットワーク接続情報を電子カメラに送信することが考えられる。あるいは、外部装置のネットワーク接続情報をメモリカードに記録し、このメモリカードを電子カメラにセットすることによって、電子カメラに外部装置のネットワーク接続情報を設定することが考えられる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−328288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通信用ケーブルを介して外部装置のネットワーク接続情報を電子カメラに送信する場合には、通信用ケーブルの端子を外部装置および電子カメラのコネクタに差し込まなければならず、面倒であった。また、メモリカードを介して外部装置のネットワーク接続情報を電子カメラに送信する場合にも、メモリカードを外部装置および電子カメラのメモリカードスロットに挿入、抜き出ししなければならず、やはり面倒であった。このような問題は、電子カメラと外部装置との接続に限らず、ネットワークを介して接続される複数のデータ通信装置間の接続においても、同様に生じ得る。
【0007】
したがって、本発明の目的は、簡単な操作で、複数のデータ通信装置間でネットワーク接続情報を送受信することができる電子カメラおよびデータ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の電子カメラは、被写体像を撮像して画像データを生成する撮像部と、他の電子カメラから光信号として送信され、ネットワーク接続を確立するために必要なネットワーク接続情報を取得する情報取得部と、前記撮像部で生成された画像データと、前記情報取得部で取得された前記ネットワーク接続情報とを記憶する記憶部と、前記ネットワーク接続情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記画像データを、ネットワークを介して送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記ネットワーク接続情報が前記他の電子カメラへ画像データを送信する接続情報である場合は、前記他の電子カメラへ画像データを送信し、前記ネットワーク接続情報が前記ネットワークに接続されるサーバへ画像データを送信する接続情報である場合は、前記サーバへ画像データを送信することを特徴とする。
請求項6に記載のデータ通信システムは、ネットワークを介して第1の電子カメラおよび第2の電子カメラが接続されたデータ通信システムであって、前記第1の電子カメラは、被写体像を撮像して画像データを生成する第1の撮像部と、前記第1の撮像部で生成された画像データと、前記第1の電子カメラに関するネットワーク接続情報とを記憶する第1の記憶部と、光を発光する第1の発光素子と、前記第1の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報に基づいて、前記第1の発光素子の動作を制御することにより、前記第1の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報を光信号に変換して、前記第1の発光素子から前記第2の電子カメラへ発信させる第1の発光制御部と、前記第2の電子カメラの第2の発光部より発光された光に基づいて、前記第2の電子カメラに関するネットワーク接続情報を取得する第1の情報取得部と、前記ネットワークを介して前記第2の電子カメラから送信される画像データを受信する第1の受信部と、前記第1の情報取得部により取得されたネットワーク接続情報に基づいて、前記ネットワークを介して画像データを送信する第1の送信部とを備え、前記第2の電子カメラは、被写体像を撮像して画像データを生成する第2の撮像部と、前記第2の撮像部で生成された画像データと、前記第2の電子カメラに関するネットワーク接続情報とを記憶する第2の記憶部と、光を発光する第2の発光素子と、前記第2の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報に基づいて、前記第2の発光素子の動作を制御することにより、前記第2の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報を光信号に変換して、前記第2の発光素子から前記第1の電子カメラへ発信させる第2の発光制御部と、前記第1の電子カメラの前記第1の発光部より発光された光に基づいて、前記第1の電子カメラに関するネットワーク接続情報を取得する第2の情報取得部と、前記ネットワークを介して前記第1の電子カメラから送信される画像データを受信する第2の受信部と、前記第2の情報取得部により取得されたネットワーク接続情報に基づいて、前記ネットワークを介して画像データを送信する第2の送信部とを備え、前記第1および第2のカメラのネットワーク接続情報は、少なくとも、第1および第2のカメラ相互で画像データを送受信する接続情報と、サーバへ画像データ保存する接続情報とを含み、ネットワーク接続情報が、カメラ相互で接続する接続情報であった場合は、前記第1の送信部は前記第2のカメラへ画像データを送信し、また、前記第2の送信部は前記第1のカメラへ画像データを送信し、ネットワーク接続情報が、サーバへ画像データ保存する接続情報であった場合は、前記第1の送信部は前記サーバへ画像データを送信し、また、前記第2の送信部は前記サーバへ画像データを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信用ケーブルやメモリカードを用いることなく、簡単な操作で電子カメラの画像データを送受信することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデータ通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の第1の電子カメラおよび第2の電子カメラの構成を示すブロック図である。
【図3】データ通信システムによって実行される画像データの通信処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るデータ通信システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態で用いるネットワーク接続情報の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るデータ通信システムの構成を示すブロック図である。図1において、データ通信システム1は、第1の電子カメラ2と、無線LANを介して第1の電子カメラ2に接続された第1のアクセスポイント3と、第2の電子カメラ4と、無線LANを介して第2の電子カメラ4に接続された第2のアクセスポイント5と、第1のアクセスポイント3および第2のアクセスポイント5に接続されたインターネット回線網6とから構成されている。
【0012】
図1のデータ通信システム1においては、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4は、第1のアクセスポイント3、第2のアクセスポイント5およびインターネット回線網6を介して、相互に接続されている。第1のアクセスポイント3および第2のアクセスポイント5は、それぞれ第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4と無線通信するためのものであり、たとえばPCや無線通信用ルータなどによって構成されている。
【0013】
図2は、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の構成を示すブロック図である。図2において、第1の電子カメラ2は、アクセスランプ21と、アクセスランプ21の動作を制御する発光制御回路22と、画像を撮像して画像データを生成する撮像部23と、画像データに所定の信号処理を施す画像信号処理回路24と、無線LANを介して第1のアクセスポイント3に接続される無線通信部25と、画像を表示する表示モニタ26と、表示モニタ26を駆動する表示処理回路27と、コントローラ28と、ROM29と、RAM30と、内部メモリ31と、モード切り替えボタンおよび画像データ送信ボタンなどが配置された操作部32とを備えている。
【0014】
第1の電子カメラ2は、被写体を撮影して画像データを生成する「撮影モード」と、画像データを再生し表示モニタ26に表示する「再生モード」と、第2の電子カメラ4との間で画像データを送受信する「画像データ通信モード」と、第2の電子カメラ4との間でIPアドレス、サブネットマスク、WEPキー、ユーザー名などのネットワーク接続情報を送受信する「接続情報通信モード」との4つの動作モードに、選択的に切り換え可能に構成されている。
一方、図2において、第2の電子カメラ4も第1の電子カメラ2と同様に、アクセスランプ41、発光制御回路42、撮像部43、画像信号処理回路44、無線LANを介して第2のアクセスポイント5に接続される無線通信部45、表示モニタ46、表示処理回路47、コントローラ48、ROM49、RAM50、内部メモリ51、操作部52を備え、「撮影モード」、「再生モード」、「画像データ通信モード」、「接続情報通信モード」の4つの動作モードに選択的に切り換え可能に構成されている。第2の電子カメラ4に配置されたアクセスランプ41、発光制御回路42、撮像部43、画像信号処理回路44、無線通信部45、表示モニタ46、表示処理回路47、コントローラ48、ROM49、RAM50および内部メモリ51は、それぞれ、第1の電子カメラ2に配置されたアクセスランプ21、発光制御回路22、撮像部23、画像信号処理回路24、無線通信部25、表示モニタ26、表示処理回路27、コントローラ28、ROM29、RAM30、
内部メモリ31および操作部32と同一の構成を有している。
【0015】
第1の電子カメラ2のアクセスランプ21は、第1の電子カメラ2の動作モードが「撮影モード」、「再生モード」および「画像データ通信モード」に設定されているときには、内部メモリ31へのアクセスを示すランプとして機能し、第1の電子カメラ2の動作モードが「接続情報通信モード」に設定されているときには、後述するように、ネットワーク接続情報を光信号として送信する際の発光素子として機能する。アクセスランプ21は、高速で点滅することが可能なLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)によって構成されている。第1の電子カメラ2の発光制御回路22は、アクセスランプ21の発光タイミングを制御するためのものであり、第1の電子カメラ2の動作モードが、「撮影モード」、「再生モード」および「画像データ通信モード」に設定されている場合には、内部メモリ31に記録されたデータが読み出されるとき、および内部メモリ31にデータを記録するときに、アクセスランプ21を発光させるように機能する。
【0016】
一方、第1の電子カメラ2の動作モードが、「接続情報通信モード」に設定されている場合には、発光制御回路22は、IPアドレス、サブネットマスク、WEPキー、ユーザー名などの第1の電子カメラ2側のネットワーク接続情報に基づいて、アクセスランプ21の発光タイミングおよび消灯タイミングを制御するように機能する。具体的には、ネットワーク接続情報のデータ値の「1」をアクセスランプ21の発光に対応付けられ、データ値の「0」をアクセスランプ21の消灯に対応付けられる。そして、所定の送信周期に同期して、アクセスランプ21の発光時間および消灯時間を制御することにより、アクセスランプ21からネットワーク接続情報を光信号として出力させる。したがって、第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報は、アクセスランプ21から発光される可視光を通信媒体として、第2の電子カメラ4に送信される。
【0017】
第2の電子カメラ4のアクセスランプ41および発光制御回路42は、それぞれ第1の電子カメラ2のアクセスランプ21および発光制御回路22と同一の構成を有している。そのため、第2の電子カメラ4の動作モードが「接続情報通信モード」に設定されているときには、第2の電子カメラ4のアクセスランプ41および発光制御回路42から、第2の電子カメラ4側のネットワーク接続情報に基づいて変調された光信号が、第1の電子カメラ2に送信される。
【0018】
第1の電子カメラ2の撮像部23は、CCD撮像素子23aとA/D変換器23bとを備えている。CCD撮像素子23aは、複数の受光画素がマトリクス状に配置され、光電変換によって生成した電荷を各受光画素に蓄積する受光部(図示せず)と、受光部の各受光画素に蓄積された電荷を転送する転送部(図示せず)と、転送部によって転送された電荷を電気信号に変換して出力する出力部(図示せず)とを備えており、受光部に結像された被写体像に応じた画像信号を出力する。一方、A/D変換器23bは、CCD撮像素子23aからの画像信号の出力タイミングに同期して、CCD撮像素子23aから出力された画像信号を1画素単位でデジタル化し、画像データを生成する。
【0019】
撮像部23は、第1の電子カメラ2の動作モードが「撮影モード」に設定されているときには、被写体像に応じた画像信号を出力する受光素子として機能とし、一方、第1の電子カメラ2の動作モードが、「接続情報通信モード」に設定されているときには、第2の電子カメラ4のアクセスランプ41から出力される光信号を受光する受光素子として機能する。したがって、第1の電子カメラ2の動作モードが「接続情報通信モード」に設定されているときには、撮像部23からは光信号に対応したデータが出力される。以下、本明細書においては、被写体を撮像して得られる画像データと区別するため、光信号を受光することによって撮像部23から出力されるデータを、光データと呼ぶことにする。
【0020】
一方、第2の電子カメラ4の撮像部43は、第1の電子カメラ2の撮像部23と同一の構成を有している。そのため、第1の電子カメラ2の撮像部23と同様に、第2の電子カメラ4の動作モードが「撮影モード」に設定されているときには、第2の電子カメラ4の撮像部43からは、被写体像に応じた画像データが出力され、第2の電子カメラ4の動作モードが「接続情報通信モード」に設定されているときには、第1の電子カメラ2のアクセスランプ21から送信された光信号に応じた光データが出力される。
【0021】
第1の電子カメラ2の画像信号処理回路24は、第1の電子カメラ2の動作モードが「撮影モード」に設定されているときには、A/D変換器23bから出力された画像データに対して、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などのデジタル信号処理を施し、さらに、画像サイズ変更などのデータ圧縮処理を施す。一方、第1の電子カメラ2の動作モードが「接続情報通信モード」に設定されているときには、画像信号処理回路24は、A/D変換器23bから出力される光データを、第2の電子カメラ4のアクセスランプ41からの光信号の送信周期に同期してサンプリングし、光データから第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報を再生する。第2の電子カメラ4の画像信号処理回路44は、第1の電子カメラ2の画像信号処理回路24と同一の構成を有している。そのため、第2の電子カメラ4の動作モードが「接続情報通信モード」に設定されているときには、第2の電子カメラ4の画像信号処理回路44によって、第2の電子カメラ4の撮像部43から出力される光データがサンプリングされ、第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が再生される。
【0022】
第1の電子カメラ2の無線通信部25は、撮像部23から出力される画像データ、および内部メモリ31に記憶された画像データに対し、FM変調処理などを施して所定の搬送波に重畳させた後に、第1のアクセスポイント3に、画像データを電波として無線送信する。さらに、無線通信部25は、インターネット回線網6および第1のアクセスポイント3を経由して、第2の電子カメラ4から無線送信される電波を受信し、受信した電波に対してFM復調処理などを施し、第2の電子カメラ4から送信された画像データを再生する。第2の電子カメラ4の無線通信部45も、第2のアクセスポイント5に画像データを無線送信するとともに、インターネット回線網6および第2のアクセスポイント5を経由して、第1の電子カメラ2から無線送信される電波を受信し、画像データを再生する。
【0023】
第1の電子カメラ2のコントローラ28は、第1の電子カメラ2の電源スイッチがオンされたときに、ROM29に記録された制御プログラムを読み出して実行し、第1の電子カメラ2を起動させる。さらに、コントローラ28は、制御プログラムに従って第1の電子カメラ2全体の動作を制御する。第1の電子カメラ2のRAM30は、撮像部23から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、各種画像処理や画像圧縮および伸張処理の際のバッファメモリとして機能する。第1の電子カメラ2の内部メモリ31は、たとえばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、撮像部23から出力される画像データ、あるいは画像信号処理回路24によって画像処理の施された画像データを記憶する。一方、第2の電子カメラ4のコントローラ48、ROM49、RAM50および内部メモリ51も、それぞれ第1の電子カメラ2のコントローラ28、ROM29、RAM30および内部メモリ31と同様に機能する。
【0024】
以上のような構成を有する本実施形態にかかるデータ通信システム1は、以下のようにして、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間にネットワークを形成した後に、無線LANを経由して、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間で相互に画像データを送受信する。
【0025】
図3は、データ通信システム1によって実行される画像データの通信処理の手順を示すフローチャートである。第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間で画像データ
を送受信するにあたっては、図3において、まず第1の電子カメラ2の動作モードが「撮影モード」に設定される(ステップS1−1)。次いで、第1の電子カメラ2によって被写体が撮影され、第1の電子カメラ2の撮像部23および画像信号処理回路24によって、画像データが生成される(ステップS1−2)。こうして生成された画像データは、第1の電子カメラ2の内部メモリ31に記録される。同様にして、第2の電子カメラ4においても、動作モードが「撮影モード」に設定され、被写体が撮影されて画像データが生成されるとともに、生成された画像データが第2の電子カメラ4の内部メモリ51に記録される(ステップS2−1およびS2−2)。第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4によって生成される画像データは、静止画像の画像データであってもよいし、動画像の画像データであってもよい。
【0026】
こうして、第1の電子カメラ2の内部メモリ31および第2の電子カメラ4の内部メモリ51に、それぞれ画像データが記録されると、第1の電子カメラ2に第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が設定されるとともに、第2の電子カメラ4に第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が設定される。第1の電子カメラ2に第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報を設定する場合には、まず、ユーザーによってPC(図示せず)に第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が入力され、ネットワーク接続情報がPC内のハードディスクに記録される。次いで、通信用ケーブルを介してPCと第1の電子カメラ2が接続され、PC内のハードディスクに記録された第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が、第1の電子カメラ2に送信される。こうして送信されたネットワーク接続情報は、自らのネットワーク接続情報として、第1の電子カメラ2の内部メモリ31に記録される(ステップS1−3)。
【0027】
第2の電子カメラ4に第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報を設定する場合も、第1の電子カメラ2に第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報を設定する場合と同様にして、ユーザーによってPCに第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が入力された後に、PCに入力されたネットワーク接続情報が、通信用ケーブルを介して第2の電子カメラ4に送信され、第2の電子カメラ4の内部メモリ51に記録される。こうして、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4に、それぞれ、自らのネットワーク接続情報が設定されると、第1の電子カメラ2と第2の電子カメラ4との間で、それぞれのネットワーク接続情報が相互に送受信される。
【0028】
第1の電子カメラ2と第2の電子カメラ4との間でネットワーク接続情報を送受信するにあたっては、まず、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の動作モードが、それぞれ「接続情報通信モード」に設定される(ステップS1−4およびS2−4)。
【0029】
第1の電子カメラ2から第2の電子カメラ4に第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報を送信する場合には、まず、第1の電子カメラ2のアクセスランプ21と第2の電子カメラ4の撮像部43とが対向するように、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4が配置される。次いで、ユーザーによって第1の電子カメラ2の操作部32が操作されて、第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報を第2の電子カメラ4に送信すべき旨の指示信号が第1の電子カメラ2に入力される。その結果、第1の電子カメラ2の内部メモリ31に記録された第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が読み出され、第1の電子カメラ2の発光制御回路22に出力される。次いで、第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報に基づいて、発光制御回路22によってアクセスランプ21の発光タイミングが制御され、アクセスランプ21から、第2の電子カメラ4に向けて、光信号が送信される(ステップS1−5)。
【0030】
アクセスランプ21から送信された光信号は、第2の電子カメラ4の撮像部43によって受信され、次いで、受信された光信号に応じた光データが第2の電子カメラ4の撮像部
43から出力される(ステップS2−5)。撮像部43から出力された光データは、画像信号処理回路44に出力され、その後画像信号処理回路44によって光データがサンプリングされ、第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が再生される。こうして再生された第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報は、第2の電子カメラ4の内部メモリ51に記録される(ステップS2−6)。
【0031】
一方、第2の電子カメラ4から第1の電子カメラ2に第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報を送信する場合には、第2の電子カメラ4のアクセスランプ41と第1の電子カメラ2の撮像部23とが対向するように、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4が配置される。次いで、第1の電子カメラ2から第2の電子カメラ4に、ネットワーク接続情報を送信したのと同様にして、第2の電子カメラ4のアクセスランプ41から第1の電子カメラ2に向けて、第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報に応じた光信号が送信される(ステップS2−7)。その後、光信号が第1の電子カメラ2の撮像部23によって受信され、第1の電子カメラ2の画像信号処理回路24によって、第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が再生されるとともに、再生された第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が第1の電子カメラ2の内部メモリ31に記録される(ステップS1−6およびS1−7)。
【0032】
以上のようにして、第1の電子カメラ2の内部メモリ31に第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が記録されるとともに、第2の電子カメラ4の内部メモリ51に第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報が記録される。そして、第1の電子カメラ2と第2の電子カメラ4との間で、無線LANを経由して画像データを相互に送受信することが可能な状態となる。こうした状態において、無線LANを経由して画像データを送受信するには、まず、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の動作モードが「画像データ通信モード」に設定され、第1の電子カメラ2と第1のアクセスポイント3が無線LANを介して接続される。また、第2の電子カメラ4と第2のアクセスポイント5が無線LANを介して接続される(ステップS1−8およびS2−8)。
【0033】
次いで、ユーザーによって第1の電子カメラ2の操作部32が操作されて、内部メモリ31に記録された画像データを送信すべき旨の指示信号が、第1の電子カメラ2に入力される。これに伴って、表示モニタ26に、送信可能な画像データのリストと送信先の外部機器のリストとが表示される。この時点では、内部メモリ31には第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が記録されているので、表示モニタ26には、第2の電子カメラ4が画像データの送信先として表示される。次いで、ユーザーによって第1の電子カメラ2の操作部32が操作されて、第2の電子カメラ4が画像データの送信先に決定される。さらに、画像データの送信ボタンが操作されると、内部メモリ31に記録された画像データとともに、第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が、第1のアクセスポイント3を介して第1の電子カメラ2の無線通信部25からインターネット回線網6に出力される(ステップS1−9)。
【0034】
こうして、第1の電子カメラ2からインターネット回線網6に、画像データおよび第2の電子カメラ4のネットワーク接続情報が出力されると、インターネット回線網6によって、第1のアクセスポイント3から第2のアクセスポイント5までのデータ通信経路が構築される。さらに、第2のアクセスポイント5によって、第2のアクセスポイント5から第2の電子カメラ4までのデータ通信経路が構築される。このようにして、第1の電子カメラ2と第2の電子カメラ4との間で、ネットワーク接続が確立される。その後、第1のアクセスポイント3、インターネット回線網6および第2のアクセスポイント5を経由して、画像データが第2の電子カメラ4に送信され、第2の電子カメラ4の無線通信部45によって受信される(ステップS1−10およびS2−9)。
【0035】
一方、第2の電子カメラ4から第1の電子カメラ2に画像データを送信する場合にも、第1の電子カメラ2から第2の電子カメラ4に画像データを送信する場合と同様にして、第2の電子カメラ4から、画像データととともに第1の電子カメラ2のネットワーク接続情報がインターネット回線網6に出力される。そして、第2のアクセスポイント5、インターネット回線網6および第1のアクセスポイント3を経由して、第1の電子カメラ2に画像データが送信される(ステップS2−10、S2−11およびS1−11)。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、画像データの送信先の電子カメラから画像データの送信側の電子カメラに、光通信を利用して画像データの送信先のネットワーク接続情報を送信することができる。したがって、通信用ケーブルやメモリカードを用いることなく、簡単な操作で画像データの送信側の電子カメラに画像データの送信先の電子カメラのネットワーク接続情報を設定することが可能になる。
【0037】
また、ネットワーク接続情報を光信号に変換して送信する場合には、光が発光されている方向にのみネットワーク接続情報が送信されるので、容易に意図した相手にのみネットワーク接続情報を送信することができる。したがって、電波を通信媒体としてネットワーク接続情報を送信する場合に比べてセキュリティが高い。また、ネットワーク接続情報に暗号化の処理を施す場合でも、高度な暗号化処理を施す必要がない。そのため、通信速度を向上させることが可能になるとともに、暗号化用の演算回路の規模を小さくすることが可能になる。
【0038】
さらに、本実施形態によれば、可視光を通信媒体としてネットワーク接続情報を送受信するように構成されているので、ネットワーク接続情報を送信し、また受信していることをユーザーが目視によって確認することができ、利便性を向上させることが可能になる。
【0039】
また、本実施形態によれば、高速で点滅させることができるLEDを用いて光信号を出力するように構成されているので、光信号の通信レートを向上させることができる。したがって、画像データの送信先の電子カメラから画像データの送信側の電子カメラに、速やかにネットワーク接続情報を送信することが可能になる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、画像データの送信先の電子カメラのアクセスランプから光信号を送信し、画像データの送信側の電子カメラの撮像部によって光信号を受信するように構成されているので、電子カメラの既存のハードウェア構成を利用して、光信号を送受信することができる。したがって、電子カメラに、新たなハードウェア構成を追加する必要がなく、電子カメラおよびデータ通信システム全体としてのコストが増大することを抑制することが可能になる。
なお、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、第1の電子カメラ2のアクセスランプ21および第2の電子カメラ4のアクセスランプ41を光信号を送信するための発光素子として用いている。しかし、アクセスランプに代えて、電源ランプ、表示モニタのバックライト、オートフォーカス処理に用いる補助ランプ、あるいは撮影タイミングをタイマセットした場合に用いるセルフタイマランプなどを、光信号を送信するための発光素子として用いてもよい。
【0041】
また、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、LEDを光源とする発光素子を光信号を送信するための発光素子として用いている。しかし、高速で点滅させることができる発光素子であればLED以外を光源とする発光素子を光信号を送信するための発光素子として用いてもよい。
【0042】
さらに、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、第1の電子カメラ2のCCD撮像素子21aおよび第2の電子カメラ4のCCD撮像素子41aを、光信号を
受信するための受光素子として用いている。しかし、電子カメラに被写体を撮影するためのCCD撮像素子とは別に受光素子を設け、この受光素子によって光信号を受信するように構成されてもよい。
【0043】
また、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4をそれぞれPCに接続し、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4に、それぞれ自らのネットワーク接続情報を設定し、その後、光通信を用いて相互にネットワーク接続情報を送受信することにより、画像データの送信側の電子カメラが画像データの送信先の電子カメラのネットワーク接続情報を保有するようにしている。しかし、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の一方のみをPCに接続し、PCに接続した電子カメラに、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の双方のネットワーク接続情報を設定し、その後、入力したネットワーク接続情報を第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の他方に、光通信を用いて送信することにより、画像データの送信側の電子カメラが画像データの送信先の電子カメラのネットワーク接続情報を保有するようにしてもよい。
【0044】
さらに、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、ユーザーがPCを用いて、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4にネットワーク接続情報を設定し、設定したネットワーク接続情報を用いて、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間でネットワーク接続を確立するように構成されている。しかし、ユーザーが設定したネットワーク接続情報に代えて、電子カメラの製造段階でデフォルト値として設定されるIPアドレスなどをネットワーク接続情報として用いて、ネットワーク接続を確立するように構成してもよい。
【0045】
さらに、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4は、無線LANを介してインターネット回線網6に接続されるように構成されている。しかし、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の少なくとも一方が、無線LAN接続ではなく有線接続されるように構成されてもよい。
【0046】
また、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、第1のアクセスポイント3、第2のアクセスポイント5およびインターネット回線網6を経由して、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間で画像データを送受信するように構成されている。しかし、第1のアクセスポイント3、第2のアクセスポイント5およびインターネット回線網6を経由することなく、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4のみによって、無線あるいは有線接続によるネットワークを構成し、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間で、直接的に画像データを送受信するように構成されてもよい。
【0047】
さらに、前記実施形態にかかるデータ通信システム1においては、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の間で、画像データのみを送受信するように構成されている。しかし、画像データに加えて、音声データを送受信するように構成されてもよいし、あるいは、音声データを文字データに変換した後に、この文字データを画像データとともに、送受信するように構成されてもよい。
【0048】
また、前記実施形態においては、第1の電子カメラ2および第2の電子カメラ4の2台の電子カメラが、無線LANを介して接続されるデータ通信システムについて説明した。しかし、3台以上の電子カメラが接続されるデータ通信システムに適用することもできる。
【0049】
さらに、前記実施形態においては、無線LANを介して第1の電子カメラ2と第2の電子カメラ4とが接続されたデータ通信システムにいて説明した。しかし、たとえば、電子
カメラとプリンタが接続されたデータ通信システムや、PC同士が接続されたデータ通信システムのように、広く、データを送受信することができる機器同士が接続されるデータ通信システムに適用することができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、2つの電子カメラは無線LANを介して接続される構成としたが、接続形態は、無線LAN以外のものでもよく、また、無線LAN機能を有していない電子カメラを用いる場合は、無線LAN以外の接続形態で接続できるようにすることが好ましい。第2の実施形態では、電子カメラの機能、接続時の状況等に応じて、複数の接続形態から1つの接続形態を選択して、ネットワーク接続を行うことができるようにする。
【0051】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るデータ通信システムの構成を示すブロック図である。図4において、データ通信システム1aは、第1の電子カメラ2a、第2の電子カメラ4a、第1のアクセスポイント3、第2のアクセスポイント5、インターネット回線網6、データ保存サーバ7から構成されている。第1の電子カメラ2a、第2の電子カメラ4aは、第1の実施形態の第1の電子カメラ2、第2の電子カメラ4と同様の構成を有しているが、ネットワーク接続情報の内容、および受信したネットワーク接続情報に基づいてネットワーク接続を確立する際の動作が第1の実施形態と異なる。第1のアクセスポイント3、第2のアクセスポイント5、インターネット回線網6は、図1に示されたものと同一物である。
【0052】
データ保存サーバ7は、インターネット回線網6に接続されており、ネットワークを介して送信されてきたデータを保存可能であり、また、インターネット回線網6に接続された他の機器からの要求に従って、保存されたデータをその機器に送信することが可能である。すなわち、第1の電子カメラ2aあるいは第2の電子カメラ4aがネットワーク接続された状態においては、第1の電子カメラ2aあるいは第2の電子カメラ4aからデータ保存サーバ7に画像データを送信することにより、その画像データをデータ保存サーバ7に保存することができる。また、第1の電子カメラ2aあるいは第2の電子カメラ4aがネットワーク接続された状態において、第1の電子カメラ2aあるいは第2の電子カメラ4aからデータ保存サーバ7に対して画像データの送信要求をすることにより、データ保存サーバ7に保存されている画像データを、第1の電子カメラ2aあるいは第2の電子カメラ4aにダウンロードすることができる。
【0053】
図5は、本実施形態において、2つの電子カメラ間で受け渡しがなされるネットワーク接続情報の内容を示す図である。第1の実施形態では、無線LAN経由で相手の電子カメラに接続する接続形態が前提であったので、たとえば第1の電子カメラ2から第2の電子カメラ4に受け渡すネットワーク接続情報は、第2の電子カメラ4が第1の電子カメラ2にネットワーク接続するための情報のみであった。これに対して、本実施形態では、無線LAN経由経由以外の接続形態も含む複数の接続形態の接続情報を受け渡す。そして、複数の接続形態には、優先順位の情報が付加されている。
【0054】
図5において、優先順位「1」の接続形態はFTP(File Transfer Protocol)接続であり、接続情報としては、この接続情報を送る側の電子カメラのIPアドレス、ユーザ名(さらにはパスワード)がある。この接続形態は、第1の実施形態での接続形態と同様である。優先順位「2」の接続形態は、データ保存サービス利用であり、接続情報は、そのデータ保存サービスのURL(Uniform Resource Locator)、ユーザ名(さらにはパスワード)である。優先順位「3」の接続形態は、USB(Universal Serial Bus)接続であり、接続情報は、USBヴァージョンである。この接続形態は、2つの電子カメラをUSBケーブルで接続してデータの受け渡しをする場合であり、どちらかの電子カメラがネットワーク接続不可能な場合に用いられる。2つの電子カメラの位置が離れている場合は、
この接続形態による接続は不可能である。優先順位「4」の接続形態は、可視光通信である。可視光通信とは、第1の実施形態で説明したように、図2のアクセスランプ21(または42)を点滅させることにより、変調された光信号を発信する通信形態である。この可視光通信に関しては、接続情報は特に必要ない。なぜなら、2つの電子カメラは、可視光通信でデータの受け渡しをする機能を持っており、図5の情報も可視光通信で受け渡しているからである。USB接続と同様に、2つの電子カメラの位置が離れている場合は、この接続形態による接続は不可能である。
【0055】
次に、第1の電子カメラ2aと第2の電子カメラ4aとの間で相互に画像データを送受信する際の動作について説明する。通信処理の手順は、第1に実施形態の図3のフローチャートと共通する部分が多いので、図3を参照して説明する。なお、以下の説明では、図3中の第1の電子カメラ2、第2の電子カメラ4を、それぞれ第1の電子カメラ2a、第2の電子カメラ4aに読み替えるものとする。2つの電子カメラ間でネットワーク接続情報を受け渡しする手順は、図3のステップS1−1〜S1−7、ステップS2−1〜S2−7と同様である。ネットワーク接続情報は、前述した図5の内容のデータが、それぞれの電子カメラに送られるものとする。
【0056】
次に、第1の電子カメラ2aおよび第2の電子カメラ4aの動作モードが「画像データ通信モード」に設定されると、第1の実施形態と同様に、第1の電子カメラ2aと第1のアクセスポイント3が無線LANを介して接続される。また、第2の電子カメラ4aと第2のアクセスポイント5が無線LANを介して接続される(ステップS1−8およびS2−8)。それぞれの電子カメラは、無線LANを介してネットワーク接続ができる機能を有しており、さらに、相手の電子カメラに対して送ったネットワーク接続情報の優先順位「1」の接続形態をFTP接続としている。したがって、相手側の電子カメラからのFTP接続によるデータ通信処理に対応するために、ここでは、無線LANを介したネットワーク接続を行う。このようにして、双方の電子カメラにおいて、インターネット回線網6を介したFTP接続による画像データの受信準備ができた状態となる。
【0057】
次に、ステップS1−9において、第1の電子カメラ2aで画像データと送信先(第2の電子カメラ4a)が指定されると、内部メモリ31から、第2の電子カメラ4aのネットワーク接続情報が読み出される。すなわち、図5のネットワーク接続情報が読み出される。本実施形態では、第1の電子カメラ2a、第2の電子カメラ4aは、図5に示す優先順位「1」から「4」の接続形態すべてで接続可能であるとする。そして、第1の電子カメラ2aは、まず、優先順位「1」のFTP接続での接続を試みる。そして、第2の電子カメラ4aとのネットワーク接続が確立できれば、第1の実施形態の場合と同様に、インターネット回線網6を介して、第1の電子カメラ2aから第2の電子カメラ4aへ画像データが送信される(ステップS1−10)。
【0058】
しかし、FTP接続が確立できない場合は、優先順位「2」の接続形態での接続を試みる。FTP接続が確立できない場合とは、相手の電子カメラ(第2の電子カメラ4a)の電源がオフ状態の場合、相手の電子カメラあるいは自分の電子カメラ(第1の電子カメラ2a)がネットワーク接続不可能な状態(無線LAN接続可能な範囲内にない場合など)が考えられる。優先順位「2」の接続形態は、データ保存サービス利用であり、第1の電子カメラ2aは、無線LAN接続により、インターネット回線網6に接続されたデータ保存サーバ7に対して画像データを送信する。画像データが正常に送信できれば、送信された画像データはデータ保存サーバ7に保存される。その後、第2の電子カメラ4aは、無線LAN接続により、データ保存サーバ7に対して画像データの送信要求を出し、保存された画像データをダウンロードすればよい。第2の電子カメラ4aで、データ保存サーバ7に画像データが保存されていることを知るためには、種々の方法が考えられる。たとえば、データ保存サーバ7において、画像データが保存されたとき、第2の電子カメラ4a
に対して電子メールを送信して、画像データが保存されたことを知らせる方法がある。また、第2の電子カメラ4aにおいて、ネットワークに接続している状態のときに、定期的にデータ保存サーバ7に対して送信要求を出す方法でもよい。データ保存サーバ7との接続が確立できない場合は、優先順位「3」の接続形態での接続を試みる。データ保存サーバ7との接続が確立できない場合としては、データ保存サーバ7に障害が発生している場合、第1の電子カメラ2aがネットワーク接続不可能な状態(無線LAN接続可能な範囲内にない場合など)が考えられる。優先順位「3」の接続形態はUSB接続であり、この接続形態での接続を試みる場合は、2つの電子カメラをUSBケーブルで接続する。ケーブルを介して、接続が確立できれば、相手の電子カメラに対して画像データを送信する。
USB接続での接続が確立できない場合は、優先順位「4」の接続形態での接続を試みる。USB接続が確立できない場合としては、ケーブルがなく、両者を物理的に接続できない場合等が考えられる。優先順位「4」の接続形態は可視光通信であり、ネットワーク接続情報を受け渡しするのに使った接続形態であるから、2つの電子カメラが近い距離にあるときは接続可能であるはずである。接続が確立できれば、相手の電子カメラに対して画像データを送信する。優先順位「3」「4」の接続形態は、2つの電子カメラが近い位置にあるときのみ接続可能である。
【0059】
以上の説明では、第1の電子カメラ2aから第2の電子カメラ4aへ画像データを送信する場合について説明したが、第2の電子カメラ4aから第1の電子カメラ2aへ画像データを送る場合でも、2つの電子カメラの動作を入れ替えれば同様にして画像データの送信を行うことができる。
【0060】
以上のように、第2の実施形態によれば、複数の接続形態による接続情報を相手の機器に受け渡すので、ある接続形態で接続ができない場合でも、他の接続形態で接続することにより画像データの送信を試みることができるので、相手の機器に画像データを確実に送信できる可能性が高くなる。
【0061】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2005年第265127号(2005年9月13日出願)
【符号の説明】
【0062】
1;データ通信システム、2;第1の電子カメラ、4;第2の電子カメラ、7;データ保存サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像データを生成する撮像部と、
他の電子カメラから光信号として送信され、ネットワーク接続を確立するために必要なネットワーク接続情報を取得する情報取得部と、
前記撮像部で生成された画像データと、前記情報取得部で取得された前記ネットワーク接続情報とを記憶する記憶部と、
前記ネットワーク接続情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記画像データを、ネットワークを介して送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記ネットワーク接続情報が前記他の電子カメラへ画像データを送信する接続情報である場合は、前記他の電子カメラへ画像データを送信し、前記ネットワーク接続情報が前記ネットワークに接続されるサーバへ画像データを送信する接続情報である場合は、前記サーバへ画像データを送信することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
ネットワークを介して画像データを受信する受信部を備え、
前記記憶部は、前記受信部により受信した前記画像データを記憶することを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子カメラにおいて、
前記ネットワーク接続情報は、少なくとも、前記他の電子カメラから認識されるための認識情報を含むことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
前記ネットワーク接続情報は、前記各接続情報の優先順位を含むことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項4に記載の電子カメラにおいて、
前記送信部は、前記優先順位に従って、前記他の電子カメラへ画像データを送信する接続情報に基づいて前記ネットワークへの接続を確立し、この接続が確立できない場合は、前記サーバへ画像データを送信する接続情報に基づいて前記ネットワークへの接続を確立することを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
ネットワークを介して第1の電子カメラおよび第2の電子カメラが接続されたデータ通信システムは、
前記第1の電子カメラは、
被写体像を撮像して画像データを生成する第1の撮像部と、
前記第1の撮像部で生成された画像データと、前記第1の電子カメラに関するネットワーク接続情報とを記憶する第1の記憶部と、
光を発光する第1の発光素子と、
前記第1の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報に基づいて、前記第1の発光素子の動作を制御することにより、前記第1の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報を光信号に変換して、前記第1の発光素子から前記第2の電子カメラへ発信させる第1の発光制御部と、
前記第2の電子カメラの第2の発光部より発光された光に基づいて、前記第2の電子カメラに関するネットワーク接続情報を取得する第1の情報取得部と、
前記ネットワークを介して前記第2の電子カメラから送信される画像データを受信する第1の受信部と、
前記第1の情報取得部により取得されたネットワーク接続情報に基づいて、前記ネットワークを介して画像データを送信する第1の送信部とを備え、
前記第2の電子カメラは、
被写体像を撮像して画像データを生成する第2の撮像部と、
前記第2の撮像部で生成された画像データと、前記第2の電子カメラに関するネットワーク接続情報とを記憶する第2の記憶部と、
光を発光する第2の発光素子と、
前記第2の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報に基づいて、前記第2の発光素子の動作を制御することにより、前記第2の記憶部に記憶されたネットワーク接続情報を光信号に変換して、前記第2の発光素子から前記第1の電子カメラへ発信させる第2の発光制御部と、
前記第1の電子カメラの前記第1の発光部より発光された光に基づいて、前記第1の電子カメラに関するネットワーク接続情報を取得する第2の情報取得部と、
前記ネットワークを介して前記第1の電子カメラから送信される画像データを受信する第2の受信部と、
前記第2の情報取得部により取得されたネットワーク接続情報に基づいて、前記ネットワークを介して画像データを送信する第2の送信部とを備え、
前記第1および第2のカメラのネットワーク接続情報は、少なくとも、第1および第2のカメラ相互で画像データを送受信する接続情報と、サーバへ画像データ保存する接続情報とを含み、ネットワーク接続情報が、カメラ相互で接続する接続情報であった場合は、前記第1の送信部は前記第2のカメラへ画像データを送信し、また、前記第2の送信部は前記第1のカメラへ画像データを送信し、ネットワーク接続情報が、サーバへ画像データ保存する接続情報であった場合は、前記第1の送信部は前記サーバへ画像データを送信し、また、前記第2の送信部は前記サーバへ画像データを送信することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ通信システムにおいて、
前記ネットワーク接続情報は、前記各接続情報の優先順位を含むことを特徴とするデータ通信システム。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ通信システムにおいて、
前記第1もしくは第2の送信部は、前記優先順位に従って、カメラ相互で接続する接続情報に基づいて前記ネットワークへの接続を確立し、この接続が確立できない場合は、サーバへ画像データ保存する接続情報に基づいて前記ネットワークへの接続を確立することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項9】
請求項6に記載のデータ通信システムにおいて、
前記第1の発光素子は、前記第1の記憶部へのアクセスを示すアクセスランプ、前記第1の電子カメラの電源供給状態を示す電源ランプ、前記第1の記憶部に記憶された画像データを再生表示するための表示モニタのバックライト、前記第1の電子カメラのオートフォーカス処理に用いるための補助ランプ、または前記第1の撮像部による撮影タイミングをタイマセットした場合に用いるためのセルフタイマランプのいずれかであり、
前記第1の発光制御部は、ネットワークへの接続モードが設定されている際に、前記ネットワーク接続情報を前記第1の発光素子から前記第2の電子カメラへ発信することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項10】
請求項6に記載のデータ通信システムにおいて、
前記第2の発光素子は、前記第2の記憶部へのアクセスを示すアクセスランプ、前記第2の電子カメラの電源供給状態を示す電源ランプ、前記第2の記憶部に記憶された画像データを再生表示するための表示モニタのバックライト、前記第2の電子カメラのオートフォーカス処理に用いるための補助ランプ、または前記第2の撮像部による撮影タイミングをタイマセットした場合に用いるためのセルフタイマランプのいずれかであり、
前記第2の発光制御部は、ネットワークへの接続モードが設定されている際に、前記ネットワーク接続情報を前記第2の発光素子から前記第1の電子カメラへ発信することを特徴とするデータ通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−90341(P2012−90341A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13468(P2012−13468)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【分割の表示】特願2007−535511(P2007−535511)の分割
【原出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】