説明

電子カメラ

【課題】 フィルム式光学ローパスフィルタの温湿度による変化でも歪みのない状態で常時保持をする。
【解決手段】 フィルム式光学ローパスフィルタの一端を回転可能な回転軸に固定し、温度、湿度、トルク、回転角度を検出し、検出結果を演算して最適張力が付与するように回転軸をモーターにより駆動制御するLPF保持機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCCDやCMOS等よりなる撮像素子などに用いられる光学的ローパスフィルタで、中でもフィルム状の光学LPFに関し、それをデジタルカメラ等の機器内に実装する場合の保持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOS等よりなる撮像素子を使用した撮像光学系においては、被写体光の高空間周波数成分を制限し、擬似信号の発生に伴う被写体による光とは異なる色成分を除去するために、LPFが用いられている。このLPFとして、従来一般的には、水晶板などによる複屈折タイプのものが広く使われている。
【0003】
この水晶板は屈折率の異方性がさほど大きくなく、制限すべき所定の空間周波数を得るためには、水晶板の厚さが通常1mm程度必要となる。それを複数枚貼り合わせて使用するために、トータルの厚みが厚くなり、その結果、機器の小型化や軽量化を阻害するばかりでなく、収差やゴーストなど光学的性能の低下の要因ともなる。
【0004】
また、ニオブ酸リチウムなど屈折率の異方性が大きい材料が知られている。この材料の場合は屈折率の異方性が大きいため、制限すべき所定の空間周波数を得るための厚みは水晶に比べて極めて薄くできるが、反面、厚み加工上あるいは貼り合わせ加工上の技術的困難さがあり、その結果、コストが高くなる。
【0005】
一方、高分子製光学LPFに関する提案が特開平08−122708でされている。これは、光学異方性高分子フィルムよりなるもので、製造が容易であり、特定の光学的特性を有するものであることにより、LPFとして優れた機能を有し、小型化、軽量化が図れると共に、コスト的にも有利と言えるものである。
【0006】
この光学異方性高分子フィルムを使えば、水晶やニオブ酸リチウムを使う場合のデメリットを回避することが可能となるが、一方では、一枚の厚みが極めて薄いフィルム状のため、これを複数枚貼り合せてもかなりの可撓性を有しており、デジタルカメラ等の機器内に実装する場合は、その平面性の維持に留意しなければならない。また、平面性の維持は温度・湿度の変化にも対応する必要がある。
【0007】
平面性維持の方法として、ガラス等の硬い基材に貼り付ける方法が従来より知られているが、この場合は、材質の相違による膨張率差により、貼付けが剥がれるなどの不具合を生じる虞があった。
【特許文献1】特開平08−122708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたもので、光学異方性高分子フィルム等のフィルム状のLPFを、デジタルカメラ等の機器内に実装する際に、フィルム状のLPFに常に適度な張力を与えることにより、温度・湿度が変化しても、所定の平面性が維持できる保持機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、いかなる環境状況下においても、LPFの張り状態が変化することの無く常に平面性を維持できるLPF保持機構を提供する。温度、湿度検出手段の検出結果より、LPFが巻きついている回転軸を駆動させ適正張力が付与するように制御する第一に実施形態。回転軸の回転角度検出手段、回転軸を保持している軸に掛かるトルク検出手段の検出結果により、LPFに適正張力が付与するように制御する第二の実施形態。温度、湿度、回転軸の回転角度、回転軸の保持軸に掛かるトルク検出手段の結果より、LPFに適正張力が付与するように制御する第三の実施形態にて、常時LPFに張力を持たせ平面性を維持させることを目的とした。
【発明の効果】
【0010】
以上、説明したように、本発明の撮像装置は、温度・湿度の変化によって、フィルム状ローパスフィルタが膨張しても最適な張力を与えることができるので、フィルム状ローパスフィルタを撓み無く保持することができる。
【0011】
また、温度・湿度の変化によってフィルム状ローパスフィルタが縮小しても最適の張力を与えることができるので、張力の加えすぎによるフィルム状ローパスフィルタの破損を防ぐこともできる。
【0012】
さらに、温度・湿度に応じて最適な張力を与えることが可能となり、良好なローパス効果を常に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について以下に説明をする。
【0014】
図1のカメラ1に対して着脱可能な交換レンズ2は複数枚の撮影レンズ群3及び、絞り径を変化させることで光量をコントロールする絞り4からなり、カメラ1のマウント5によって装着固定される。不図示のカメラ1の接点部と不図示の交換レンズ2の接点部が接触することによって電気的な接続がなされ、この接点部を介してカメラ1から交換レンズ2への電力の供給やレンズを制御するための通信を行う。交換レンズ2の撮影レンズ群3を透過した光束はカメラ1のメインミラー6に入射する。メインミラー6はハーフミラーとなっており反射した光束はファインダーへと導かれ、透過した光束はサブミラー7にて下方へ反射し、焦点検出装置8へと導かれる。焦点検出装置8は撮影レンズ群3のデフォーカス量を検出し、撮影レンズ群3が合焦状態となるようにレンズ駆動量を演算し、演算より求められたレンズ駆動量を接点部を介して交換レンズ2へ送出すると、交換レンズ2は不図示のモーターを制御して撮影レンズ群3を駆動して焦点調節を行う。メインミラー6によってファインダーへと導かれた光束はピント板9に被写体像を結像し、撮影者はペンタプリズム10および接眼レンズ11を介してこのピント板上の被写体像を観察するように構成されている。ペンタプリズム10の後方には、カメラ1の観察画面内の被写体輝度を測定するための測光レンズ12と測光センサ13が配置されている。14、15はシャッターを構成する後幕と先幕で、これら後幕15、先幕14の開放によって、後方に配置されている固体撮像素子であるCCD(固体撮像素子)16に必要な露光を与える。撮影時に固体撮像素子16に蓄積された画像データは、別に設けられた不図示の画像処理回路を通して後述する外部記憶装置に送られる。17はフィルム状光学LPF(以下、LPF)であり、図2に示すように、被写体像を水平分離する複屈折フィルム17aと、被写体像を垂直分離する複屈折フィルム17bと、その間に複屈折フィルム17aを通った直線偏光を円偏光に変換する位相フィルム17cを挟み込むように接合されている。18はLPFを巻き取る回転軸に結合されている回転ギヤで、回転軸は撮影光軸と略直交する方向に配置されている。19は回転軸受け部材に取り付けられている角度計、20も回転軸受け部材に取り付けられているトルク計である。
【0015】
21は回転ギヤ18の近傍に略平行に配置された金属体からなるガイドローラーである。回転ギヤ18の下方にはモーター22が回転ギヤ18と略平行に配置されている。23はLPF17の回転軸に固定されていないもう一方を固定しているLPF保持部材である。24は固体撮像素子16の表面を保護する保護ガラスであり、25は保護ガラス24の表面に接合された、赤外波長域の光線を遮断する赤外カットフィルタである。26は基板(A)で、固体撮像素子16が保持されており、固体撮像素子16を駆動するための駆動回路が実装されている。この基板(A)26の後方にもう1枚の基板(B)27が配置してあり、これにはLCDモニター装置28を駆動させるための駆動回路が実装されている。この基板(A)26及び基板(B)27は不図示のフレキシブルプリント基板で接続されて通信を行っている。基板(B)27の外側の面には撮影された画像を表示するLCDモニター装置28及び画像を視認させるためのバックライト照明装置29が配置してある。30は画像データを記録するための、着脱可能な外部記憶装置(記録手段)で、31はカメラの電源である着脱可能なバッテリーである。
【0016】
図3において、LPF17の一端が回転軸32に固定されている。
【0017】
回転軸32と同軸上には回転ギヤ18があり、回転軸32と回転ギヤ18は結合されていて、共に回転可能な構成になっている。回転ギヤ側には回転軸を受けるための軸受け部33があり、ガイドローラー21の軸受けも兼ねている。軸受け部33には回転軸32と同軸上に配置された角度計19があり、角度計19の近傍にはトルク計20が配置され回転軸32の回転に連動してそれぞれ検知を行なう。
【0018】
回転軸32の下方にはモーター22が配置されており、回転ギヤ18の歯車とモーター30の歯車が噛み合って動力を伝達するように構成されている。LPF17の他方の端部はLPF保持部材23にて固定されている。なお、LPF17がモーター22の駆動力により保持部材23から外れないようにLPF抜け防止処置として抜け防止部材34を設けてある。図3中のLPF17は時計方向に常時付勢されている。
【0019】
図4は、本発明の実施の形態であるデジタルカメラの電気回路構成を示すブロック図である。同図において、101はプリント基板で、カメラの動作の全てを制御するマイクロコンピューター102、 固体撮像素子118の出力である画像データ処理および、LCDモニター装置121に画像を表示する画像表示制御回路(画像表示手段)119等が搭載されている。マイクロコンピューター102の内部には、回転軸駆動手段の構成の一部である制御プログラムが実装されている。103はSW1で、不図示のレリーズ釦の半押し状態でオン(ON)するスイッチであり、このSW1/103がオン(ON)するとデジタルカメラは撮影準備状態になる。104はSW2で、不図示のレリーズ釦が最後まで押された状態でオン(ON)するスイッチであり、このSW2/104がオン(ON)するとデジタルカメラは撮影動作を開始する。105はレンズ制御回路で、本実施の形態は、レンズ交換式のデジタルカメラであるので、交換レンズ2(図1参照)との通信及びAF(オートフォーカス)時の交換レンズ2の駆動や絞り羽根の駆動の制御をこのレンズ制御回路105が受け持っている。106は測距回路で、AF(オートフォーカス)のための被写体に対するディフォーカス量を検出する機能を有する。107は測光回路で、被写体の輝度を測定する機能を有する。108はシャッターの制御を行う回路で、固体撮像素子118に対して適正な露光を行う。117はデータを保存するためのROMで測距、測光、温度、湿度、トルク、角度などの検出データが保存される。LCDモニター装置121とバックライト照明装置122は画像表示手段を構成している。120は記録手段であるところの外部記憶装置である。
【0020】
111は本発明の第一の実施形態に係るところの温度/湿度変化検知手段の構成の一部である温度/湿度変化検知回路である。109の温度検出回路で温度計(図示省略)からの温度データを検出する。110の湿度検出回路で湿度計(図示省略)からの湿度データを検出する。検出されたデータと常温、常湿時の基準データに基づき回転軸駆動制御回路116を介してモーター115を所定量駆動させる。
【0021】
114は本発明の第二の実施形態に係るところのトルク/角度変化検知手段の構成の一部であるトルク/角度変化検知回路である。112のトルク検出回路で回転軸に設置されているトルク計により回転軸に付与されている負荷をトルクに換算してトルクを算出する。
【0022】
113は角度検出回路で、回転軸と同軸に設置されている角度計から回転軸角度を算出する。
【0023】
検出して得られたトルクデータと軸角度データに基づき回転軸駆動制御回路116を介してモーター115を所定量駆動させる。
【0024】
また、本発明の第三の実施形態の構成に付いて述べる。
【0025】
109の温度検出回路で温度計(図示省略)からの温度データを検出する。110の湿度検出回路で湿度計(図示省略)からの湿度データを検出する。温度/湿度変化検知回路にて検出されたデータと常温、常湿時の基準データに基づき回転軸を駆動させる駆動量を算出する。以上より温湿度に関する駆動量が決定する。次に112のトルク検出回路と113の角度検出回路にて、回転軸に設置されているトルク計により回転軸に付与されている負荷をトルクに換算してトルクを算出する。また、回転軸と同軸に設置されている角度計から回転軸角度を算出する。検出して得られたトルクデータと軸角度データに基づき回転軸を駆動させる駆動量を算出する。先に決定している温湿度による駆動量と、トルク、軸角度による駆動量に基づき回転軸駆動制御回路116にて最終駆動量を算出し、モーター115を所定量駆動させる。
【0026】
図5、図6は、回転ギヤをLPF側から見た拡大図である。
【0027】
回転軸駆動制御回路116で回転軸32が駆動した後の回転ギヤ18が変動しないように固定する機構について説明をする。
【0028】
図5において、17はLPF、18は回転ギヤ、21はガイドローラー、22はモーター、32は回転軸、35はラチェット、36は係止棒である。
【0029】
回転ギヤ18にはラチェット35が同軸に取り付けられており、係止棒36と噛み合うことで、LPF17の張力によって回転ギヤ18が回転してしまうのを防ぐ役割を果たす。
【0030】
係止棒36は図示しない退避機構によって駆動されることで、ラチェット35と接する位置から退避する。係止棒が退避した後に回転ギヤ18は回転を始める。本図は、係止棒36がラチェット35とから退避した状態を示す。
【0031】
図6は回転ギヤ18が回転軸駆動制御回路116により決定した所定の駆動量をモーター22で駆動させ係止棒36でラチェット35を保持している図である。ラチェット35の歯と係止棒36が噛み合い、所望の回転角を維持すると共にLPF17に一定に張力を付与することで平面性を安定して維持することができる。
【0032】
図7は第一の実施形態におけるLPF17の張力調節機構の動作を示すフローチャートである。
【0033】
ステップS401では、温度計による検出データを温度検出回路109にて抽出し、湿度計による検出データを湿度検知回路110にて抽出し温度、湿度の各抽出データを温度/湿度変化検知回路111へ取り込みステップS402に進む。
【0034】
ステップS402において、温度/湿度変化検知回路111は、ステップS401で取得した温度データ・湿度データと、過去にROM117に保存された温度データ・湿度データを比較し、温度、湿度が変化しているか否かを判定する。
【0035】
温度、湿度が変化していると判定したときはステップS403に進み、温度、湿度が変化していないと判定したときはステップS408に進む。
【0036】
ステップS403では、マイクロコンピューター102が、ステップS402において、温度/湿度変化検知回路111が、ステップS401で取得した温度データ・湿度データを基にLPF17の最適な張力を演算する。そして、この演算された演算結果で回転軸32の回転角を変更する必要があるか否かを判定する。
【0037】
変更する必要があると判定したときははステップS404に進み、変更する必要が無いと判定したときはステップS408に進む。
【0038】
回転角変更と判定されると、演算結果を基に角度計19は回転角の回転量を決定する。
【0039】
角度計19は常温、常湿の環境下でLPF17の平面特性が維持できる最適張力となるように調整されている。そのため、温度だけが変化しても、湿度だけが変化しただけで最適張力を演算し、回転軸32を駆動させることは言うまでも無い。また、温度と湿度では回転軸32を駆動させるための変化量は異なる。
【0040】
ステップS404では、係止棒36を回転ギヤの側壁配置されたラチェット35から退避させ、回転ギヤ18を回転可能な状態にする。
【0041】
ステップS405では、ステップ403で演算された回転角の回転量になるまで回転ギヤ18を回転させ、ステップS406に進む。
【0042】
ステップS406では、係止棒36を図6に示すラチェット35と接する位置に移動させ、ラチェット35の歯と係止棒36が噛み合うことで、回転ギヤ18がLPF17の張力によって回転してしまうのを防ぐ。
【0043】
ステップS407では、ROM117に保存されている温度、湿度データに、ステップS401で得られた温度、および湿度データを上書き保存し、ステップS408に進む。
【0044】
ステップS408では、マイクロコンピューター102内に含まれるタイマーの作動を開始し、ステップS409に進む。
【0045】
ステップS409では、タイマーが所定時間経過しているかどうかを判別し、所定時間経過していると判別されたときはステップS410に進み、所定時間経過していないと判別されたときはステップS409に戻る。
【0046】
ステップS410では、マイクロコンピューター102内に含まれるタイマーをリセットし、ステップS401に戻る。
【0047】
図8は第二の実施形態におけるLPF17の張力調節機構の動作を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS501では、トルク計による検出データをトルク検出回路112にて抽出し、角度計による検出データを角度検知回路113にて抽出しトルク、角度の各抽出データをトルク/角度変化検知回路114へ取り込みステップS502に進む。
【0049】
ステップS502において、トルク/角度変化検知回路114は、ステップS501で取得したトルクデータ・角度データと、過去にROM117に保存されたトルクデータ・角度を比較し、トルク、角度が変化しているか否かを判定する。
【0050】
トルク、角度が変化していると判定したときはステップS503に進み、トルク、角度が変化していないと判定したときはステップS508に進む。
【0051】
ステップS503では、マイクロコンピューター102が、ステップS502において、トルク/角度変化検知回路114が、ステップS501で取得したトルクデータ・角度データからLPF17の最適な張力を演算する。そして、この演算された演算結果と、現状の回転軸32の状態を角度計19と、トルク計20より演算し比較する。その結果より回転軸32の回転角を変更する必要があるか否かを判定する。
【0052】
変更する必要があると判定したときははステップS504に進み、変更する必要が無いと判定したときはステップS508に進む。
【0053】
ステップS504では、係止棒36を回転ギヤの側壁配置されたラチェット35から退避させ、回転ギヤ18を回転可能な状態にする。
【0054】
ステップS505では、ステップ503で演算された回転角、あるいは、張力になるまで回転ギヤ18を回転させ、ステップS506に進む。
【0055】
ステップS506では、係止棒36を図6に示すラチェット35と接する位置に移動させ、ラチェット35の歯と係止棒36が噛み合うことで、回転ギヤ18がLPF17の張力によって回転してしまうのを防ぐ。
【0056】
ステップS507では、ROM117に保存されているトルクデータ、角度データに、ステップS501で得られたトルク、および角度データを上書き保存し、ステップS508に進む。
【0057】
ステップS508では、マイクロコンピューター102内に含まれるタイマーの作動を開始し、ステップS509に進む。
【0058】
ステップS509では、タイマーが所定時間経過しているかどうかを判別し、所定時間経過していると判別されたときはステップS510に進み、所定時間経過していないと判別されたときはステップS509に戻る。
【0059】
ステップS510では、マイクロコンピューター102内に含まれるタイマーをリセットし、ステップS501に戻る。
【0060】
図9は第三の実施形態におけるLPF17の張力調節機構の動作を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS601では、温度計による検出データを温度検出回路109にて抽出し、湿度計による検出データを湿度検知回路110にて抽出し温度、湿度の各抽出データを温度/湿度変化検知回路111へ取り込みステップS602に進む。
【0062】
ステップS602において、温度/湿度変化検知回路111は、ステップS601で取得した温度データ・湿度データと、過去にROM117に保存された温度データ・湿度データを比較し、温度、湿度が変化しているか否かを判定する。
【0063】
温度、湿度が変化していると判定したときはステップS603に進み、温度、湿度が変化していないと判定したときはステップS609に進む。
【0064】
ステップS603では、マイクロコンピューター102が、ステップS602において、温度/湿度変化検知回路111が、ステップS601で取得した温度データ・湿度データを基にLPF17の最適な張力を演算する。そして、この演算された演算結果で回転軸32の回転角を変更する必要があるか否かを判定する。
【0065】
変更する必要があると判定したときははステップS604に進み、変更する必要が無いと判定したときはステップS609に進む。
【0066】
ステップS612では、トルク計による検出データをトルク検出回路112にて抽出し、角度計による検出データを角度検知回路113にて抽出しトルク、角度の各抽出データをトルク/角度変化検知回路114へ取り込みステップS613に進む。
【0067】
ステップS613において、トルク/角度変化検知回路114は、ステップS612で取得したトルクデータ・角度データと、過去にROM117に保存されたトルクデータ・角度を比較し、トルク、角度が変化しているか否かを判定する。
【0068】
トルク、角度が変化していると判定したときはステップS614に進み、トルク、角度が変化していないと判定したときはステップS609に進む。
【0069】
ステップS614では、マイクロコンピューター102が、ステップS613において、トルク/角度変化検知回路114が、ステップS612で取得したトルクデータ・角度データからLPF17の最適な張力を演算する。そして、この演算された演算結果と、現状の回転軸32の状態を角度計19と、トルク計20より演算し比較する。その結果より回転軸32の回転角を変更する必要があるか否かを判定する。
【0070】
変更する必要があると判定したときははステップS604に進み、変更する必要が無いと判定したときはステップS609に進む。
【0071】
ステップS604では、温度、湿度データから得られる演算結果とトルク、角度から得られる演算結果とから相対的に再演算する。これは、温度と湿度の環境条件と、トルクと回転角度の物理的条件では駆動量を決定するにあたりそれぞれが占める演算に掛かる割合のウェートが異なるからである。以上を加味して再演算を行いLPF17に最適張力が付与される駆動量を得ることを重要視しているためである。この最終結果を基に回転軸32の回転角を変更する必要があるか否かを判定する。
【0072】
変更する必要があると判定したときははステップS605に進み、変更する必要が無いと判定したときはステップS609に進む。
【0073】
ステップS605では、係止棒36を回転ギヤの側壁配置されたラチェット35から退避させ、回転ギヤ18を回転可能な状態にする。
【0074】
ステップS606では、ステップ603で演算された回転角、あるいは、張力になるまで回転ギヤ18を回転させ、ステップS607に進む。
【0075】
ステップS607では、係止棒36を図6に示すラチェット35と接する位置に移動させ、ラチェット35の歯と係止棒36が噛み合うことで、回転ギヤ18がLPF17の張力によって回転してしまうのを防ぐ。
【0076】
ステップS608では、ROM117に保存されている温湿度データに、ステップS601で得られた温度、および湿度データを上書き保存し、ステップS609に進む。
【0077】
ステップS609では、マイクロコンピューター102内に含まれるタイマーの作動を開始し、ステップS610に進む。
【0078】
ステップS610では、タイマーが所定時間経過しているかどうかを判別し、所定時間経過していると判別されたときはステップS611に進み、所定時間経過していないと判別されたときはステップS610に戻る。
【0079】
ステップS611では、マイクロコンピューター102内に含まれるタイマーをリセットし、ステップS601に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示す概略図である。
【図2】フィルム状光学的ローパスフィルタの構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る撮像装置のフィルム状光学的ローパスフィルタの張力調整機構を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る撮像装置の張力調整機構の動作を示すシステムブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る撮像装置の張力調整機構の動作を示す詳細図ある。
【図6】本発明の実施形態に係る撮像装置の張力調整機構の動作を示す詳細図ある。
【図7】本発明の第一の実施形態に係る撮像装置の張力調整機構の動作を示すフローチャートある。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る撮像装置の張力調整機構の動作を示すフローチャートある。
【図9】本発明の第三の実施形態に係る撮像装置の張力調整機構の動作を示すフローチャートある。
【符号の説明】
【0081】
1 カメラ
2 交換レンズ
16 固体撮像素子
17 フィルム状の光学ローパスフィルタ
18 回転ギヤ
19 角度計
20 トルク計
21 ガイドローラー
22 モーター
23 LPF保持部材
24 保護ガラス
25 赤外カットフィルタ
26 基板(A)
27 基板(B)
28 LCDモニター装置
29 バックライト照明
30 外部記憶装置
31 電源
32 回転軸
33 軸受け部
34 LPF抜け防止部材
35 ラチェット
36 係止棒
109 温度検出回路
110 湿度検出回路
111 温度/湿度変化検知回路
112 トルク検出回路
113 角度検出回路
114 トルク/角度変化検知回路
115 モーター
116 回転軸駆動制御回路
117 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、
前記被写体と前記撮影素子と光軸上に略垂直に配置される有機材を使った光学ローパスフィルタ(以降、LPF)において、
前記LPFの一端は回転可能な回転軸に固定され、
前記回転軸を駆動させる駆動手段と、動作時の温度を測定する温度検出手段と、
動作時の空気中の湿度を測定する湿度検出手段と、
前記検出結果を記録する記憶手段と、
前記温度検出手段と前記湿度検出手段の検出結果と、
前記記憶手段に保存されている過去の検出結果とを比較して駆動制御をするシステム制御手段とを有し、
前記LPFを駆動させ最適張力を保持するLPF保持機構を有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記光学ローパスフィルタはアパチャサイズより大きいことを特徴とする。
【請求項3】
半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、
前記被写体と前記撮影素子と光軸上に略垂直に配置される有機材を使った光学ローパスフィルタ(以降、LPF)において、
前記LPFの一端は回転可能な回転軸に固定され、
前記回転軸を駆動させる駆動手段と、
前記回転軸の回転角を検出する角度検出手段と、
前記回転軸の軸に掛かるトルク力を検出するトルク検出手段と、
前記検出結果を記録する記憶手段と、
前記角度検出手段と前記トルク検出手段の検出結果と、
前記記録手段に保存されている過去の検出結果とを比較して駆動制御をするシステム制御手段とを有し、
前記LPFを駆動させ最適張力を保持するLPF保持機構を有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、
前記被写体と前記撮影素子と光軸上に略垂直に配置される有機材を使った光学ローパスフィルタ(以降、LPF)において、
前記LPFの一端は回転可能な回転軸に固定され、
前記回転軸を駆動させる駆動手段と、
前記回転軸の回転角を検出する角度検出手段と、
前記回転軸の軸に掛かるトルク力を検出するトルク検出手段と動作時の温度を測定する温度検出手段と、動作時の空気中の湿度を測定する湿度検出手段と、
前記検出結果を記録する記憶手段と、
前記角度検出手段、前記トルク検出手段、前記温度検出手段、前記湿度検出手段の検出結果と、
前記記憶手段に保存されている過去の検出結果とを比較して駆動制御をするシステム制御手段とを有し、
前記LPFを駆動させ最適張力を保持するLPF保持機構を有することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−173832(P2006−173832A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360863(P2004−360863)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】