電子カメラ
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子カメラにおいて、電子ビューファインダ(EVF)や液晶ディスプレイ(LCD)などの表示手段における表示形態を使用状態に応じて最適化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ(電子カメラ)においては、電子ビューファインダ(EVF)を有するものが存在する。この電子ビューファインダは、撮影画像を電子的に表示することが可能であり、光学カメラにおける光学ファインダに相当する機能を有するものである。この電子ビューファインダにおいて、被写体に関する時間的な連続画像を表示するライブビュー表示を行うことにより、被写体に関する撮影画像(想定画像)を確認しつつ撮像を行うことが可能である。
【0003】
また、このようなデジタルカメラは、上記の電子ビューファインダの他に、比較的大型の液晶ディスプレイ(LCD)をその背面等に設けていることが多い。そして、このような液晶ディスプレイにおいても同様のライブビュー表示を行うことにより、被写体に関する撮影画像を確認しつつ撮像を行うことが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電子ビューファインダにおける表示においては、環境光の影響が考慮されておらず、環境光に応じた電子ビューファインダの表示特性は最適化されていないという問題を有している。
【0005】
また、2種類の表示手段(電子ビューファインダおよび液晶ディスプレイなど)がある場合にも、単に両表示手段を手動操作で切り換えて表示を行うのみであり、環境光などを含めた使用状態に応じた最適化がなされていないという問題を有している。
【0006】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、環境光に応じた電子ビューファインダの表示特性を最適化することが可能な電子カメラを提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、2種類の表示手段を有する電子カメラにおいて、これらの2種類の表示手段の表示形態を最適化することが可能な電子カメラを提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電子カメラであって、環境光を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より低いか否かを判定する判定手段と、電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、を備え、前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より低いと判定される場合には、前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る電子カメラにおいて、前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、前記第1の値は、前記第2の値よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、電子カメラであって、環境光を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より高いか否かを判定する判定手段と、電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、を備え、前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より高いと判定される場合には、前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明に係る電子カメラにおいて、前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、前記第1の値は、第2の値よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
<A.第1実施形態>
<A1.デジタルカメラの要部構成>
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ1の要部構成を示す図であり、図1は平面図、図2は図1のII−II位置から見た断面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0027】
これらの図に示すように、デジタルカメラ1は、略直方体状の外形を有するカメラ本体部2を備えている。また、このデジタルカメラ1は、被写体の撮像等を行う撮像部3を備えており、この撮像部3は、カメラ本体部2に対して前方に(図2の左側に)突出した部分とカメラ本体部2の内部とにおいて設けられている。
【0028】
撮像部3は、撮影レンズであるマクロ機能付きレンズ群30の後方位置の適所にCCDカラーエリアセンサ303を有する撮像回路302(図4参照)が設けられている。また、このレンズ群30は、ズームレンズ300と合焦レンズ301とを備えている。
【0029】
一方、カメラ本体部2の内部には、ズームレンズ300のズーム比の変更と収容位置、撮影位置間のレンズ移動を行うためのズームモータM1、および合焦レンズ301を駆動して合焦を行うためのモータM2とが設けられている。
【0030】
カメラ本体部2の前面には、グリップ部Gが設けられ、カメラ本体部2上端部の適所にポップアップ形式の内蔵フラッシュ5が設けられている。また、カメラ本体部2の上面にはシャッタボタン9が設けられている。
【0031】
一方、図3に示すように、カメラ本体部2の背面には、略中央に撮影画像のライブビュー表示及び記録画像の再生表示等を行なうための液晶ディスプレイ((以下、「LCD」とも称する))表示部10と電子ビューファインダ(以下、「EVF」とも称する)20とが設けられている。このLCD10およびEVF20では、カラーで画像表示が行われる。
【0032】
また、EVF20は、比較的小型のLCD22などの表示部に表示される画像を接眼レンズ21を介して視認可能にするものである。なお、このEVF20においては、観察者の目とEVF20の接眼レンズ21(図2)との間にアイピースキャップ23(図2において破線で示す)のような遮光部材を設けることなどにより、遮光性を高めることなどが行われる。
【0033】
カメラ本体部2の背面には、「撮影モード」と「再生モード」とを切換設定する撮影/再生モード設定スイッチ14が設けられている。撮影モードは、写真撮影を行なうモードであり、再生モードは、メモリカード8に記録された撮影画像をLCD10に再生表示するモードである。
【0034】
デジタルカメラ1の背面右方には、4連スイッチ35が設けられており、ボタンL、Rを押すことにより、ズームモータM1が駆動しズーミングを行い、その他、ボタンU、D、L、Rで各種操作を行う。
【0035】
また、カメラ本体部2の背面には、LCDボタン31、確定ボタン32、取消ボタン33、およびメニューボタン34が設けられている。このLCDボタン31は、LCD表示またはEVF表示をオンオフさせるためのボタンであり、LCDボタン31を押す毎にLCD表示またはEVF表示のオンオフ状態が切り替わる(後に詳述)。
【0036】
図1に示すように、デジタルカメラ1はメモリカード8が装着されるようになっている。また、デジタルカメラ1は、4本の単三形乾電池E1〜E4を直列接続してなる電源電池Eを駆動源としている。
【0037】
<A2.デジタルカメラの機能ブロック>
図4は、デジタルカメラ1の機能ブロック図である。同図において、CCD303は、レンズ群30により結像された被写体の光像を、R(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。タイミングジェネレータ314は、CCD303の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものである。
【0038】
撮像部3における露出制御は、絞り制御ドライバ306によるレンズ群30の絞りと、CCD303の露光量、すなわち、シャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間を調節して行なわれる。被写体輝度が低輝度時に適切なシャッタスピードが設定できない場合は、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行なうことにより露光不足による不適正露出が補正される。すなわち、低輝度時は、シャッタスピードとゲイン調整とを組み合わせて露出制御が行なわれる。画像信号のレベル調整は、信号処理回路313内のAGC回路のゲイン調整において行なわれる。
【0039】
タイミングジェネレータ314は、タイミング制御回路202から送信される基準クロック基づきCCD303の駆動制御信号を生成するものである。タイミングジェネレータ314は、例えば積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号,垂直同期信号,転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0040】
信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズの低減を行ない、AGC回路のゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行なう。
【0041】
調光回路304は、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ5の発光量を全体制御部211により設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影においては、露出開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光が調光センサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から発光停止信号が出力され、この発光停止信号に応答して内蔵フラッシュ5の発光を強制的に停止し、これにより内蔵フラッシュ5の発光量が所定の発光量に制御される。
【0042】
A/D変換器205は、画像信号の各画素信号を12ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器205は、タイミング発生回路から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を12ビットのデジタル信号に変換する。
【0043】
タイミングジェネレータ314、A/D変換器205に対するクロックを生成するタイミング制御回路202が設けられている。タイミング制御回路202は、全体制御部211内の基準クロックにより制御される。
【0044】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画素信号の黒レベルを基準の黒レベルに補正するものである。また、WB(ホワイトバランス)回路207は、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換を行なうものである。WB回路207は、全体制御部211から入力されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分のパラメータ(特性の傾き)は全体制御部211により、オートまたはマニュアルで、撮影画像毎に設定される。
【0045】
γ補正回路208は、画素データの階調を補正するものである。画像メモリ209は、γ補正回路208から出力される画素データを記憶するメモリである。画像メモリ209は、1フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303画素数に対応する1600×1200画素分の画素データの記憶容量を有し、各画素データが対応する画素位置に記憶されるようになっている。
【0046】
LCDVRAM210は、LCD10に表示される画像データのバッファメモリである。LCDVRAM210は、LCD10の画素数400×300に対応した画像データの記憶容量を有している。
【0047】
EVFVRAM220は、EVF20に表示される画像データのバッファメモリである。EVFVRAM220は、EVF20の画素数640×480に対応した画像データの記憶容量を有している。
【0048】
また、撮影待機状態においては、撮像部3により1/30(秒)毎に撮像された画像の各画素データがA/D変換器205〜γ補正回路208により所定の信号処理を施された後、画像メモリ209に一時記憶されるとともに、全体制御部211を介してLCDVRAM210、EVFVRAM220に転送され、LCD10やEVF20に表示される(ライブビュー表示)。
【0049】
これによって、ユーザは被写体像を視認することができる。また、再生モードにおいては、メモリカード8から読み出された画像が全体制御部211で所定の信号処理が施された後、VRAM210に転送され、LCD10に再生表示される。EVF20でも同様の表示が行われる。
【0050】
カードI/F212は、メモリカード8への画像データの書込み及び画像データの読出しを行なうためのインターフィースである。また、通信用I/F224は、パーソナルコンピュータ225を通信可能に外部接続するための、例えばUSB規格に準拠したインターフェースである。このカードI/F212、通信用I/F224を介して、メモリカード8やCD−ROM226などの記録媒体に記録している制御プログラムを、全体制御部211のROM内に取り込むことができる。
【0051】
RTC219は、撮影日時を管理するするための時計回路である。図示しない別の電源で駆動される。
【0052】
操作部250は、上述したシャッタボタン9、LCDボタン31、確定ボタン32などの各種スイッチ、ボタンなどで構成されている。
【0053】
シャッタボタン9は、銀塩カメラで採用されているような半押し状態(S1)と押し込んだ状態(S2)とが検出可能な2段階スイッチになっている。待機状態でシャッタボタン9をS1状態にすると、AFのためのレンズ駆動を開始し、全体制御部211による画像メモリ209内における画像のコントラストを評価しながら、コントラストがもっとも高くなるようにモータM1、M2により、レンズを駆動し停止させる。S1状態時の画像メモリ内の画像データのレベルを判定することで、シャッタースピード(SS)と絞り値を決定する。さらにホワイトバランスの補正値を決定する。
【0054】
全体制御部211は、マイクロコンピュータからなり、上述したカメラの各部材の駆動を有機的に制御してデジタルカメラ1の撮影動作を統括制御するものである。
【0055】
図5は、全体制御部211内のCPUやメモリの全体によって実現される内部機能を示すブロック図である。この全体制御部211は、露出制御値(シャッタスピード(SS)と絞り値)を設定するための輝度判定部211aと露光量設定部211bとを備えている。
【0056】
さらに、全体制御部211は、上記撮影画像の記録処理を行なうために、フィルタリング処理を行なうフィルタ部211fと、サムネイル画像及び圧縮画像を生成する記録画像生成部211gとを備え、メモリカード8に記録された画像をLCD10やEVF20に再生するために、再生画像を生成する再生画像生成部211hを備えている。
【0057】
上記のフィルタ部211fは、デジタルフィルタにより記録すべき画像の高周波成分を補正して輪郭に関する画質の補正を行なうものである。
【0058】
記録画像生成部211gは、画像メモリ209から画素データを読み出してメモリカード8に記録すべきサムネイル画像と圧縮画像とを生成する。記録画像生成部211gは、画像メモリ209から横方向と縦方向の両方向でそれぞれ8画素毎に画素データを読み出し、順次、メモリカード8に転送することで、サムネイル画像を生成しつつメモリカード8に記録する。
【0059】
また、記録画像生成部211gは、画像メモリ209から全画素データを読み出し、これらの画素データに2次元DCT変換、ハフマン符号化等のJPEG方式による所定の圧縮処理を施して圧縮画像の画像データを生成し、この圧縮画像データをメモリカード8の本画像エリアに記録する。
【0060】
全体制御部211は、撮影モードにおいて、シャッタボタン9により撮影が指示されると、撮影指示後に画像メモリ209に取り込まれた画像のサムネイル画像と設定された圧縮率によりJPEG方式により圧縮された圧縮画像とを生成し、撮影画像に関するタグ情報(コマ番号、露出値、シャッタスピード、圧縮率、撮影日、撮影時のフラッシュのオンオフのデータ、シーン情報、画像の判定結果等)等の情報とともに両画像をメモリカード8に記憶する。
【0061】
デジタルカメラ1によって記録された画像の各コマはタグの部分とJPEG形式で圧縮された高解像度の画像データ((1600×1200)画素)とサムネイル表示用の画像データ((80×60)画素)が記録されている。
【0062】
撮影/再生モード設定スイッチ14を再生モードに設定したときには、メモリカード8内のコマ番号の最も大きな画像データが読み出され、再生画像生成部211hにてデータ伸張され、これがVRAM210、220に転送されることにより、LCD10やEVF20には、コマ番号の最も大きな画像すなわち直近に撮影された画像が表示される。ボタンUを操作することにより、コマ番号の大きな画像が表示され、ボタンDを押すことによりコマ番号の小さな画像が表示される。
【0063】
メモリカード8は、図6に示すように、デジタルカメラ1によって記憶された画像を、圧縮率1/20で230コマの画像分記憶可能であり、各コマは、タグ情報の部分と、JPEG形式で圧縮された高解像度の画像信号(640×480画素)とサムネイル表示用の画像信号(80×60画素)が記録されている。各コマ単位で、例えばEXIF形式の画像ファイルとして扱うことが可能である。
【0064】
再び図5を参照する。図5に示されるように、全体制御部211は、環境光検出部211c、表示形態制御部211dをさらに有している。後述するように、環境光検出部211cは、環境光の各種特性(輝度および色合い)を、自動露光調節動作(AE動作)時の値BV(ブライトネスバリュー)や、ホワイトバランス動作時の各種ゲインの値を用いて検出する動作を行う。また、表示形態制御部211dは画像補正部211eを有しており、この画像補正部211eは、環境光検出部211cによって検出された環境光の特性に応じてLCD10およびEVF20の表示特性を変更することにより画像を補正する。この画像補正部211eにより補正された画像が、撮影時のLCD10およびEVF20におけるライブビュー画像として表示される。なお、表示形態制御部211dは、環境輝度判定部211iおよび勧告表示制御部211jをさらに有しているが、これらについては後述する。
【0065】
<A3.デジタルカメラにおける動作>
つぎに、上記のデジタルカメラ1における動作について説明する。以下では、電子ビューファインダ(EVF)20の表示特性を、検出された環境光に応じて最適化する動作について説明する。EVF20の表示特性には、輝度、コントラスト、および色合いに関するものが存在する。ここでは、これらの表示特性を、環境光の特性(輝度、色合い等)に応じて変更することにより、EVF20の表示特性の最適化を図る。以下では、このような最適化動作について、大きく4つの場合に分けて説明する。
【0066】
<その1>
まず、環境光の輝度に応じて、EVF20の輝度およびコントラストを変化させる場合について説明する。
【0067】
ここにおいて、環境光の輝度は、被写体輝度に関するAPEX値(アペックスバリュー)である値BV(ブライトネスバリュー)を用いて取得することができる。被写体輝度に関するAPEX値BVは、自動露光調節動作(以下、「AE動作」とも称する)の結果として得られる。
【0068】
このAE動作は、全体制御部211の制御下(図4)において行われる。具体的には、画像メモリ209に蓄えられた画像の情報を全体制御部211によって読み出すことによりその画像の輝度を得た上で、その画像輝度がAE動作における狙い値(目標値)よりも低い場合には、タイミングジェネレータ314の制御によりシャッタースピードを低速にすること(および/または絞り制御ドライバ306の制御により絞りを開くこと)などによって入射光量を増加させ、その輝度が狙い値よりも高い場合には、逆にシャッタースピードを高速にするなどの制御を行うにより入射光量を減少させる。このような動作を繰り返すことにより、画像の輝度がAE動作における上記の狙い値に対して所定幅を有する範囲内に入ったときに、露光量の自動調節動作が完了する。
【0069】
そして、この自動調節完了時の値BVを環境光の輝度(被写体輝度)を表す指標値として求めることができる。この動作は、上記の環境光検出部211c(図5)により行われる。
【0070】
ここで、値BV(ブライトネスバリュー)は、シャッタースピードに関するAPEX値である値TV(タイムバリュー)と、絞りに関するAPEX値である値AV(アパーチャバリュー)と、感度に関するAPEX値である値SV(センシティブバリュー)との間に、次の数1により示される関係を有している。
【0071】
【数1】
【0072】
したがって、この数1に基づいて、上述のようなAE動作が施された自動露光調節後の各値TV,AV,SVを用いることにより、値BVを算出することができる。
【0073】
また、表1は、各値BVと各値BVに対応する使用環境との関係を表している。上記のようにして得られた値BVは、デジタルカメラ1が使用されている環境(使用環境)における環境光の輝度を表している。
【0074】
【表1】
【0075】
つぎに、環境光の輝度を表す指標値として算出された値BVを環境光の輝度(明るさ)を表す値として用い、この値BVに応じてEVF20の輝度やコントラストなどを調節することにより、環境光の輝度に応じてEVF20の表示特性を調整する動作を行う。
【0076】
ここでは、環境光の輝度に応じてEVF20の輝度(明るさ)を変更する調整動作について説明する。より具体的には、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20の輝度を低下させる場合について説明する。
【0077】
次の表2は、値BVとEVF20の輝度との関係を示している。
【0078】
【表2】
【0079】
この表2においては、値BV=8のときに、被写体の輝度が標準状態であるとしてEVF20の輝度の調整を行う場合を例示しており、値BVが8より大きな値になるにつれてEVF20の輝度を低下させ、値BVが8より小さな値になるにつれてEVF20の輝度を増大させる場合を示している。なお、値BV=8は、屋外(明るい曇り程度)において撮影する場合の環境光の輝度に相当し、ここでは、そのような環境光の下でEVF20が最も見やすい輝度(明るさ)となるようにEVF20の輝度の標準状態が設定される場合を例示している。
【0080】
なお、表2において、「EVF20の輝度」の欄(行)の「標準−」は標準状態から輝度を10%低下させた状態を意味し、「標準−−」は標準状態から輝度を20%低下させた状態を意味する。同様に、「EVF20の輝度」の欄の「標準+」は標準状態から輝度を10%増大させた状態を意味し、「標準++」は標準状態から輝度を20%増大させた状態を意味する。
【0081】
また、図7は、輝度の調整について説明する図であり、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係が示されている。図7におけるラインLB1は、標準状態における両画素値Pin,Poutの間の関係を表す。標準状態においては、ラインLB1に示すように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとは、その最大値が互いに同じ値となるような(その比が1となるような)線形関係を有している。
【0082】
表2に示すように、値BV=9のときには、標準状態よりも輝度を10%を低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。図7のラインLB2は、輝度を10%低下させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。このように、入力画素値Pinが同一であってもその出力画素値は約10%低減された状態を有するものとなる。同様に、値BV=10のときは、標準状態よりも輝度を20%を低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。図7のラインLB3は、輝度を20%低下させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。一方、値BV=7のときは、標準状態よりも輝度を10%増大させるようにEVF20の表示特性を調整する。図7のラインLB4は、輝度を10%増大させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。
【0083】
ここにおいて、このような各状態(「標準」、「標準+」、「標準−」など)の輝度に対する入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係は、それぞれ、全体制御部211内のROM内においてあらかじめテーブルTBL(図4)として予め記憶されているものとする。
【0084】
そして、画像補正部211e(図5)は、表2に示すような関係に基づき、値BVに対応するEVF20の出力画像の補正動作(輝度に関する補正動作)を行う。具体的には、次のような動作を行う。
【0085】
まず、AE動作において求められた環境光の輝度(値BV)に応じたEVF20の輝度(「標準」、「標準+」、「標準−」、...などのいずれであるか)を決定し、この決定されたEVF20の輝度に対応するテーブルTBLを選択する。
【0086】
さらに、この選択されたテーブルTBLに記憶された情報を用いて、EVF20における各画素の出力画素値を決定する。より具体的には、値BVに対応して決定(選択)されたテーブルTBLの情報を用いて、画像メモリ209に記憶されている撮影画像の各画素の画素値(入力画素値Pin)に対して、EVF20における表示画像の画素値(出力画素値Pout)を求めることができる。
【0087】
これにより、値BVに対応するEVF20の出力画像の輝度に関する補正動作を行うことができる。
【0088】
つぎに、環境光の輝度に応じてEVF20のコントラストを変更する調整動作について説明する。具体的には、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20のコントラストを増大させる場合について説明する。
【0089】
上記の表2においては、値BVとEVF20のコントラストとの関係が示されている。この表2においては、値BV=8のときに、被写体の輝度(すなわち環境光の輝度)が標準状態であるとしてEVF20のコントラストの調整を行う場合を例示しており、値BVが8より大きな値になるにつれてEVF20のコントラストを増大させ、値BVが8より小さな値になるにつれてEVF20のコントラストを低下させる場合を示している。
【0090】
なお、表2において、「EVF20のコントラスト」の欄の「標準−」は標準状態からコントラストを10%低下させた状態を意味し、「標準−−」は標準状態からコントラストを20%低下させた状態を意味する。同様に、「EVF20のコントラスト」の欄の「標準+」は標準状態からコントラストを10%増大させた状態を意味し、「標準++」は標準状態からコントラストを20%増大させた状態を意味する。
【0091】
表2に示すように、値BV=9のときは、標準状態よりもコントラストを10%低下させるようにEVF20の表示特性を調整し、値BV=10のときは、標準状態よりもコントラストを20%を増大させるようにEVF20の表示特性を調整する。また、値BV=7のときは、標準状態よりもコントラストを10%低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。
【0092】
また、図8は、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示す図である。図8におけるラインLC1は、標準状態における両画素値Pin,Poutの間の関係を表す。標準状態においては、ラインLC1に示すように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとが各最大値が互いに同じ値となるような線形関係を有している。
【0093】
ここで、図8のラインLC2は、コントラストを20%低下させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示しており、図8のラインLC3は、コントラストを50%増大させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。
【0094】
このように、入力画素値Pinのうち所定の幅PWを有する中間領域が出力画素値Poutのフルレンジに対応するように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係が定められるので、画像としてのコントラストを増大させることができる。たとえば、ラインLC3では、入力画素値Pinのフルレンジに対して50%減の幅PWを有する中間領域が出力画素値Poutのフルレンジに対応することにより、コントラストを標準状態よりも50%増大させることができる。
【0095】
また、図8のラインLC4は、コントラストを20%低下させた状態の入力画素値と出力画素値との関係を示している。入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係をこのように定めることにより、コントラストを標準状態よりも20%低下させることができる。
【0096】
ここでは、このような各状態(「標準」、「標準+」、「標準−」など)のコントラストに対する入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を、それぞれ、全体制御部211内のROM内においてあらかじめテーブルTBL(図4)として記憶しておくものとする。なお、これらのコントラストの調整状態を表すテーブルTBLをさらに各輝度の調整状態毎に準備しておけば、輝度とコントラストとを同時に調整することが可能である。
【0097】
そして、画像補正部211e(図5)は、表2に示すような関係に基づき、値BVに対応するEVF20の出力画像の補正動作(コントラストに関する補正動作)を行う。具体的には、次のような動作を行う。
【0098】
まず、AE動作において求められた環境光の輝度(値BV)に応じたEVF20のコントラスト(「標準」、「標準+」、「標準−」、...などのいずれであるか)を決定し、この決定されたEVF20のコントラストに対応するテーブルTBLを選択する。
【0099】
さらに、この選択されたテーブルTBLに記憶された情報を用いて、EVF20における各画素の出力画素値を決定する。より具体的には、値BVに対応して決定(選択)されたテーブルTBLの情報を用いて、画像メモリ209に記憶されている撮影画像の各画素の画素値(入力画素値Pin)に対して、EVF20における表示画像の画素値(出力画素値Pout)を求めることができる。
【0100】
これにより、値BVに対応するEVF20の出力画像のコントラストに関する補正動作を行うことができる。
【0101】
上記のようなEVF20のコントラスト調整を行った場合、EVF20のコントラストは、環境光の輝度が高くなるにつれて増大するように調整されるので、デジタルカメラ1の周囲が明るい場合(環境光の輝度が高い場合)にあっても、EVF20において見やすい表示を行うことが可能になる。
【0102】
また、このようなコントラストの増大を伴うコントラスト調整のみを行う場合には、被写体によってはEVF20の表示に眩しさが感じられることがある。このような場合、上記のコントラストの調整に加えて、さらに上記のようなEVF20の輝度調整を行うことにより、このような事態を防止することができる。すなわち、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20の輝度を低下させ、かつ、EVF20のコントラストを増大させることにより、眩しさを抑えた見やすい表示を行うことが可能になる。
【0103】
<その2>
次に、環境光の輝度に応じてEVF20の輝度(明るさ)を変更する別の調整動作について説明する。この動作は、上記の「その1」において説明した動作の逆の動作であり、具体的には、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20の輝度をも増大させる動作である。言い換えれば、環境光の輝度が低くなるにつれて、EVF20の輝度をも低下させる動作である。
【0104】
次の表3は、値BVとEVF20の輝度との関係を示している。
【0105】
【表3】
【0106】
この表3においては、値BV=8のときに、被写体の輝度が標準状態であるとしてEVF20の輝度の調整を行う場合を例示しており、値BVが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の輝度を増大させ、値BVが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の輝度を低下させる場合を示している。なお、表3において、「標準−」、「標準−−」、「標準+」、「標準++」などは表2と同様の状態を意味するものとする。
【0107】
この調整動作においては、表3に示すように、値BV=9のときには、標準状態よりも輝度を10%を増大させるようにEVF20の表示特性を調整し、値BV=10のときには、標準状態よりも輝度を20%を増大させるようにEVF20の表示特性を調整する。また、値BV=7のときは、標準状態よりも輝度を10%低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。
【0108】
具体的には、上述したように、各状態(「標準」、「標準+」、「標準−」など)の輝度に対する入力画素値Pinと出力画素値Poutとの各関係を、全体制御部211内のROM内においてあらかじめテーブルTBLとして記憶しておき、環境光の輝度に応じたEVF20の輝度(表示特性)を決定し、その決定された輝度に対応するテーブルTBLに記憶された情報を用いることにより、EVF20における各画素の出力画素値を決定する。
【0109】
このようなEVF20の輝度調整を行った場合、環境光の輝度が高くなるにつれてEVF20の輝度も増大するように調整されるので、たとえば、右目で実被写体を観察し、左目でファインダ画像(EVF20におけるライブビュー画像)を観察するような場合において、輝度差から生じる違和感を減少させることができる。よって、周囲が明るいときにEVF20も明るくなるので見やすくなり、逆に、周囲が暗いときにEVF20も暗くなるので見やすくなる。このような効果は、観察者の目とEVF20の接眼レンズ21(図2)との間にアイピースキャップ23(図2において破線で示す)のような遮光部材がある場合にはさらに大きなものとなる。
【0110】
<その3>
以上においては、環境光の輝度に応じてEVF20の表示特性を変更する場合について説明したが、以下では環境光の色合いに応じてEVF20の色合いを変更する場合について説明する。
【0111】
ここではまず、環境光の色合いとEVF20の色合いとが反対方向になるように、EVF20の色合いを調整する場合について説明する。
【0112】
環境光の色合いは、WB回路207によるホワイトバランス動作の結果に反映される。CCD303は、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3原色の画素に関する各ゲインGR,GG,GBをそれぞれ独立に制御することにより、ホワイトバランスを制御する。そして、ホワイトバランスが調整された後の画像が画像メモリ209(図4)に記憶される。
【0113】
また、一般に、このホワイトバランスの制御は、グリーン(G)に関するゲイン(Gゲイン)GGを基準にして他のゲインGR,GBを相対的に増減させることにより行われ、たとえば、レッド(R)に関するゲイン(Rゲイン)GRがグリーン(G)に関するゲインGGの1.8倍となるように設定し、ブルー(B)に関するゲイン(Bゲイン)GBがグリーン(G)に関するゲインGGの2.0倍となるように設定した状態を標準状態として設定した上で、上記の各ゲインの相対的関係を変更することにより、ホワイトバランス、すなわち色合いを変更することができる。ここにおいて、ゲインGR,GG,GBは、各画素の入力画素値に対する出力画素値の比を表現しており、たとえば、グリーン(G)に関するGゲインGGを「1.0」として設定した場合には、上記の標準状態においては、レッド(R)に関するRゲインGRは、「1.8」であり、ブルー(B)に関するBゲインGBは、「2.0」となる。
【0114】
このホワイトバランスの調整動作においては、環境光の色合いにおいて青みが強い場合には、RゲインGRを大きくしBゲインGBを小さくすることにより撮影画像の色合いを制御する。これにより、画像メモリ209に記憶される撮影画像は、適切な色合いを有する画像となる。たとえば、画像全体における色温度を測定し、測定された色温度に応じてRゲインGRを「2.2」に増大しBゲインGBを「1.6」に低下するように設定することにより、撮影画像が適切な色合いとなるようにホワイトバランスの制御動作が行われることがある。この場合、逆に、ホワイトバランス動作における各ゲインGR,GG,GBの値を読み出すことにより、環境光の色合い(上記の場合は青みが強い状態であること)を得ることができる。
【0115】
この実施形態では、このようにして得られた環境光の色合いに対して反対の特性を有するように、EVF20の色合いを調整する調整動作を行う。
【0116】
次の表4は、環境光の色合いに関する指標値であるRゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の赤みコントロール値との関係を示している。
【0117】
【表4】
【0118】
同様に、次の表5は、環境光の色合いに関する指標値であるBゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の青みコントロール値との関係を示している。
【0119】
【表5】
【0120】
なお、表4(表5)において、「標準−」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%低下させた状態を意味し、「標準−−」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を20%低下させた状態を意味する。同様に、「標準+」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%増大させた状態を意味する。
【0121】
この表4および表5においては、RゲインGR=1.8、かつ、BゲインGB=2.0のときに、環境光の色合いが標準状態であるとしてEVF20の色合いの調整を行う場合を例示している。また、表4に示されるように、RゲインGRが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を増大させ、RゲインGRが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を低下させる。同様に、表5に示されるように、BゲインGBが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を低下させ、BゲインGBが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を増大させる。
【0122】
ここにおいて、色温度が高く(たとえば8000K)環境光が青みが強い状態である場合には、WB回路207によって、たとえば、RゲインGRを「2.2」に増大しBゲインGBを「1.6」に低下するように設定されることにより、適切な色合いとなるように調整される。言い換えれば、RゲインGRが「2.2」に増大されBゲインGBが「1.6」に低下したことを検出することにより、環境光が強い青みを有する状態であることを認識することができる。
【0123】
これに対して、全体制御部211は、上記の表4に示すようにEVFの赤みコントロール値を10%増大させ、表5に示すようにEVFの青みコントロール値を10%低下させるように制御を行う。これにより、EVF20を赤みが強く、青みが弱い画像となるように、EVF20の色合いを変更する。すなわち、環境光の色合いに対して反対方向の特性を有するように、EVF20の色合いを調整する調整動作を行う。
【0124】
なお、EVF20の色別コントロール値を増減するにあたっては、上述の輝度値の調整動作を各色毎に行えばよい。たとえば、EVFの赤みコントロール値を10%増大させるにあたっては、上述の輝度値の調整動作により、各画素の赤色成分の輝度を10%増大させればよい。また、EVFの青みコントロール値を10%低下させるにあたっては、上述の輝度値の調整動作により、各画素の青色成分の輝度を10%低下させればよい。
【0125】
より具体的には、この色合いの調整動作は、次のようにして行われる。ただし、ここでは、この調整動作を行う以前において、全体制御部211において、上述の輝度等に関する複数のテーブルTBLがそれぞれ各色別に準備されており、さらに、上記の表4および表5に示される色別のコントロールに関する情報が併せて別のテーブルTBLとして準備されているものとする。
【0126】
まず、表4および表5の情報を有するテーブルTBLを用いて、環境光の色合いに応じた各色のコントロール値に関する情報を求めた上で、そのコントロール値に対応する、輝度等に関する色別のテーブルTBLを選択する。そして、選択された各色別のテーブルTBLに記憶されている、入力画素値Pinおよび出力画素値Pout間の関係に基づいて、EVF20の各画素の出力画素値Poutを求めることにより、EVF20の色合いを調整する動作を行う。ここで、入力画素値Pinは、画像メモリ209に記憶された各画素値であり、これに対してEVF20に出力する際の出力画素値Poutを上記のテーブルTBLを用いて求めるのである。
【0127】
そして、このような各出力画素値PoutがVRAM220に転送されることにより、EVF20においてそのような出力画素値に応じた撮影画像が表示されることになる。
【0128】
この場合、画像補正部211eは、EVF20の色合いを環境光の色合いと反対の方向に変化させるように調整するので、EVF20の接眼レンズ21(図2)に入ってきた迷光の色合いの影響をキャンセル(低減)することができる。たとえば、環境光の色合いが強い青みを有する場合には、上記の調整動作によって、EVF20の色合いは弱い青みを有するように調整されるので、EVF20に入射する強い青みを有する迷光の影響をキャンセル(低減)することが可能である。
【0129】
<その4>
上記においては、環境光の色合いの反対向きにEVF20の色合いを調整することにより、環境光の色合いに応じてEVF20の色合いを変更する場合について説明したが、ここでは、環境光の色合いと同じ方向にEVF20の色合いを調整する場合について説明する。
【0130】
次の表6は、環境光の色合いに関する指標値であるRゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の赤みコントロール値との関係を示している。
【0131】
【表6】
【0132】
同様に、次の表7は、環境光の色合いに関する指標値であるBゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の青みコントロール値との関係を示している。
【0133】
【表7】
【0134】
なお、表6(表7)において、「標準−」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%低下させた状態を意味する。同様に、「標準+」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%増大させた状態を意味し、「標準++」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を20%増大させた状態を意味する。
【0135】
この表6および表7においては、RゲインGR=1.8、かつ、BゲインGB=2.0のときに、環境光の色合いが標準状態であるとしてEVF20の色合いの調整を行う場合を例示している。また、表6に示されるように、RゲインGRが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を低下させ、RゲインGRが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を増大させる。同様に、表7に示されるように、BゲインGBが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を増大させ、BゲインGBが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を低下させる。
【0136】
ここにおいて、色温度が高く(たとえば8000K)環境光が青みが強い状態である場合には、WB回路207によって、たとえば、RゲインGRを「2.2」に増大しBゲインGBを「1.6」に低下するように設定されることにより、適切な色合いとなるように調整される。言い換えれば、RゲインGRが「2.2」に増大されBゲインGBが「1.6」に低下したことを検出することにより、環境光が強い青みを有する状態であることを認識することができる。
【0137】
これに対して、全体制御部211は、上記の表6に示すようにEVFの赤みコントロール値を10%低減させ、表7に示すようにEVFの青みコントロール値を10%増大させるように制御を行う。これにより、EVF20を青みが強い画像となるように、EVF20の色合いを変更する。すなわち、環境光の色合いに対して同じ方向の特性を有するように、EVF20の色合いを調整する調整動作を行う。
【0138】
ここで、具体的な調整動作は、上述の「その3」における動作と同様であるが、この「その4」における動作においては、表6および表7に例示されるような関係に基づき、EVF20の色合いが環境光の色合いと同じ方向に調整される点で相違する。
【0139】
この場合、画像補正部211eは、EVF20の色合いを、環境光の色合いと同じ方向に変化させるように調整する(たとえば、環境光が青みが強い色合いを有する場合に、EVF20も青みが強い色合いを有する画像を表示するように調整する)ので、EVF20における表示が肉眼での被写体の見え方に近くなる。また、この効果は、観察者の目とEVF20の接眼レンズ21との間にアイピースキャップ23(図2参照)のような遮光部材がある場合など、迷光の影響が排除される場合に、より大きなものとなる。
【0140】
<B.第2実施形態>
第2実施形態は、2種類の表示手段(ここでは、LCD10およびEVF20)における表示状態(ON/OFFなど)を環境光の輝度に応じて変更する場合について説明する。
【0141】
なお、この実施形態に係るデジタルカメラの構成等は、上記第1実施形態とほぼ同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0142】
図9は、LCD10およびEVF20の表示状態に関する状態遷移図である。上述したように、LCD10およびEVF20は、LCDボタン31(図3参照)の押下により、その表示状態が遷移する。より具体的には、LCDボタン31を押す毎に、状態ST1→状態ST2→状態ST3→状態ST1→...というように(矢印AR1,AR2,AR3参照)、順次にLCD10およびEVF20の表示状態が切り替わる。2種類の表示手段(LCD10およびEVF20)のうちON状態となっている表示手段においてライブビュー画像などの画像が表示される。以下では、ライブビュー画像の表示に関して説明するものとする。ここにおいて、状態ST1はEVF20がON(オン)かつLCD10がOFF(オフ)している状態であり、状態ST2はEVF20がOFFかつLCD10がONしている状態であり、状態ST3はEVF20およびLCD10のいずれもがONしている状態である。
【0143】
なお、ここでは、デジタルカメラ1の電源がONされた状態において、LCD10およびEVF20のうち少なくとも一方がON状態にある場合を想定しているため、EVF20およびLCD10のいずれもがOFFしている状態に遷移することを考慮していないが、このような状態を上記の状態遷移の中に追加してもよい。
【0144】
ここでは、LCD10およびEVF20の表示状態を変更するにあたって、LCDボタン31による手動変更だけではなく、環境光に応じた自動変更を実現する。より具体的には、環境光の「輝度」に応じて、LCD10およびEVF20のうち少なくともEVF20がONしている状態、言い換えれば、少なくともEVF20において撮影画像が表示される状態(状態ST1またはST3)に自動的に遷移する。
【0145】
たとえば、LCD10のみがON状態にある状態ST2においては、環境光の輝度が高い場合には、LCD10の表示画面が見にくいと感じられる(視認性が低い)ことがある。これは、たとえば、LCD10として透過型液晶が用いられている場合などにおいて、大きな輝度を有する環境光がLCD10表面で反射することによる影響に起因するものである。
【0146】
これに対して、この実施形態のデジタルカメラ1においては、このような弊害を除去するため、LCD10およびEVF20の表示状態を環境光の輝度に応じて変更する。
【0147】
ここにおいて、環境光の輝度は、上記の第1実施形態において説明したように、被写体輝度に関するAPEX値である値BVを用いて取得することができる。したがって、この値BVを利用し、値BVが所定の値以上(たとえば9以上)となる場合に環境光の輝度が高いとする基準を用いて、環境光の輝度が高いか否かについての判定を行うことができる。この判定動作は、全体制御部211の環境輝度判定部211i(図5)において行われる。
【0148】
そして、このような基準に基づいて環境光の輝度が高いと判定される場合には、矢印AR4(図9)のように、EVF20がONする状態ST1に遷移する。この場合、EVF20は、LCD10に比べて環境光による影響を受けにくいので、環境光の輝度が高い場合であっても比較的高い視認性を確保することができる。
【0149】
あるいは、上記の基準に基づいて環境光の輝度が高いと判定される場合には、矢印AR5のように、EVF20およびLCD10の双方がONする状態ST3に遷移するように設定してもよい。この場合であっても、EVF20がONすることにより撮影画像が少なくともEVF20において表示されるため、環境光の輝度が高い場合にあっても、操作者はEVF20におけるライブビュー表示によって撮影画像を確認することができ、比較的高い視認性を確保すること(見やすい表示を確保すること)ができる。
【0150】
なお、これらの矢印AR4,AR5で示される2つの状態遷移のうちのいずれの状態遷移を行ってもよく、さらには、これらの状態遷移のうちのいずれかをデフォルト状態として設定しておき、メニュー画面などにおいて操作者がその状態遷移の一方を任意に選択できるようにしてもよい。また、このような遷移動作(換言すれば表示状態の変更動作)は、全体制御部211の表示形態制御部211dにより実現される。
【0151】
このようにこの実施形態のデジタルカメラ1によれば、環境光に応じてLCD10およびEVF20のうち少なくとも一方の表示状態が変更されるので、LCD10およびEVF20を、使用状態(環境光の輝度)に応じた適切な表示状態に切り換えることが可能である。すなわち、LCD10およびEVF20の表示状態の最適化を図ることが可能であり、操作性を向上させることができる。
【0152】
<第2実施形態の変形例>
また、上記においては、環境光の輝度が高いと判定される場合に、撮影画像が少なくともEVF20において表示される状態(ST1,ST3)へと自動的に切り換える場合について説明したが、少なくともEVF20において撮影画像が表示される状態へと切り換えることを促す表示をLCD10において行ってもよい。操作者は、このような表示を見ることによって、LCDボタン31による手動操作によって、LCD10およびEVF20の表示状態を遷移させることが可能である。
【0153】
図10は、このような変形例に係る、LCD10およびEVF20の表示状態の状態遷移図である。上述した各状態ST1,ST2,ST3に加えて、状態ST21が示されている。ここにおいて、状態ST21は、EVF20がOFFしLCD10がONしている状態ST2において、さらに、少なくともEVF20がONしている状態(ST1またはST3)へと切り換えることを促す勧告表示(または推奨表示)DR(図11参照)がLCD10において行われている状態を示している。
【0154】
たとえば、LCD10のみがON状態にある状態ST2において、環境光の輝度が高いと判定されると、矢印AR6(図10)に示すように、EVF20がONする状態ST21に遷移する。なお、環境光の輝度が高いか否かについては、たとえば、上述したように値BVが9以上となる場合に環境光の輝度が高いとする旨の基準を用いて判定することができる。
【0155】
そして、環境光の輝度が高いと判定される場合には、LCD10およびEVF20のうち少なくともEVF20がONしている状態、言い換えれば、少なくともEVF20において撮影画像が表示される状態(状態ST1,ST3)に遷移することを促す旨の勧告表示DRを行う。
【0156】
図11は、LCD10において上記の勧告表示(または推奨表示)DRが行われている状態を示している。図11においては、勧告表示DRとして、LCD10およびEVF20の表示状態を変更すべき旨を表示するため、「change」(変更)の文字が表示されている場合を示している。ただし、勧告表示DRは、これに限定されず、その他の文字による表示を行ったり、LCD10の画面全体を点滅させるなどの手法による表示を行ってもよい。なお、このような勧告表示は、全体制御部211の勧告表示制御部211j(図5)などにより実現される。
【0157】
これに対して、LCD10における勧告表示DRを見た操作者は、LCDボタン31による手動操作によって、LCD10およびEVF20の表示状態を矢印AR7に示すように状態ST3へと遷移させることが可能である。これにより、LCD10に加えてEVF20もONし、撮影画像がEVF20において表示されるため、操作者はEVF20におけるライブビュー表示によって撮影画像を確認することができ、比較的高い視認性を確保することができる。
【0158】
なお、操作者がLCD10を表示させる必要がないと判断した場合には、操作者はLCDボタン31をさらにもう一度押下することにより、LCD10およびEVF20の表示状態を状態ST1に遷移させる。状態ST1は、LCD10はOFFしているが、EVF20がONしている状態である。この場合、EVF20における表示を行うことにより同様の効果を得ることが可能であり、さらにLCD10における表示を行わないことにより、消費電力の低減などの効果を得ることも可能である。
【0159】
このように、上記の勧告表示DRを行うことにより、操作者に対して適切な表示状態に関する情報を提供することができる。したがって、操作者は、環境光の輝度が高くEVF20による表示が好ましい状態であることを認識することができ、LCD10およびEVF20を環境(環境光の輝度)に応じた適切な表示状態に切り換えることが可能である。すなわち、LCD10およびEVF20の表示状態の最適化を図ることが可能であり、操作性を向上させることができる。
【0160】
なお、上記においては、矢印AR7で示すように、状態ST21から状態ST3へと遷移する場合を示したが、矢印AR8で示すように状態ST21から状態ST1へと遷移するようにしてもよい。
【0161】
<C.第3実施形態>
つぎに、この第3実施形態では、暗い環境下においてフラッシュ撮影を行うという使用状態に応じて、2種類の表示手段(ここでは、LCD10およびEVF20)における表示状態を使い分ける場合について説明する。
【0162】
なお、デジタルカメラの構成等は、上記第1実施形態とほぼ同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0163】
まず、全体制御部211は、フラッシュ撮影を行うべき状態であるか否かを判定する。たとえば、フラッシュ撮影を行うべき旨の明示の指示が操作者の所定の操作により与えられた場合や、環境光の輝度を検出することにより自動的にフラッシュ撮影を行うべき状態であると判断する場合などにおいて、フラッシュ撮影を行うべき状態であると判定することができる。以下では、フラッシュ撮影を行うべき状態であると判定された後の動作について説明する。
【0164】
図12は、シャッタボタン9(図3)の押下時点の前後付近における、LCD10およびEVF20の表示状態を示すタイミングチャートである。以下では、この図12を参照しながら、LCD10およびEVF20などにおける動作について説明する。なお、これらのLCD10およびEVF20における表示状態の変更動作は、上述の表示形態制御部211d(図5)を用いて行われる。
【0165】
まず、撮影待機状態においては、CCD303(図4)において先述のように1/30(秒)毎に被写体の画像が取得され、画像メモリ209等を介してLCD10に出力されることによりライブビュー表示が行われているものとする。なお、この際、EVF20における表示は行われていないものとする。
【0166】
そして、時刻t10において操作者がシャッタボタン9を半押し状態(S1)にすることによって発生するパルス信号に応答して、フラッシュ5がプレ発光を行う。さらに、このプレ発光によるフラッシュ光を浴びた被写体に関する静止画像(プレ発光画像とも称する)がCCD303により取得される。このプレ発光画像は時刻t12以降少なくとも所定期間T1にわたってEVF20において表示される(プレビュー表示)。なお、図11においては、後述する本発光後のLCD10におけるアフタービュー表示の終了時点(時刻t40)まで、EVF20におけるプレビュー表示が行われる場合が示されている。その後、時刻t20において、操作者がシャッタボタン9をさらに押し込んだ状態(S2)にすることによって発生するパルス信号に応答して、フラッシュ5が本発光を行う。さらに、この本発光によるフラッシュ光を浴びた被写体に関する静止画像(本発光画像とも称する)がCCD303により取得される。この本発光画像は時刻t30以降所定期間T2にわたってLCD10において表示される(アフタービュー表示)。このアフタービュー表示により、操作者は、撮影した静止画像を確認することができる。なお、期間T2経過後(時刻t40以降)においては、LCD10はライブビュー表示に戻る。
【0167】
図13は、期間T1におけるLCD10およびEVF20の表示形態を示す図である。図13に示されるように、EVF20にはフラッシュ光を浴びたプレ発光画像DLが表示されており、一方のLCD10にはフラッシュ光を浴びていない暗い環境下でのライブビュー画像DDの表示が行われている。
【0168】
以上のように、本発光による撮影以前の期間T1にわたっては、LCD10においてライブビュー画像を表示しつつ、かつ、EVF20にプレ発光画像を表示しているので、操作者は、両表示(LCD10におけるライブビュー表示、およびEVF20におけるプレビュー表示)を交互に見比べることにより、出来上がりイメージを想像することが容易になる。このように、夜間撮影時などのフラッシュ撮影時におけるLCD10とEVF20とにおける表示形態の最適化を図り、操作性を向上させることができる。
【0169】
特に、暗い環境下においても比較的高い視認性を確保することが可能なEVF20にプレ発光画像が表示されるので、このEVF20を用いて撮影画像(出来上がりイメージ画像)を確認することが容易になる。したがって、暗い環境下においてもフレーミングが容易になる。
【0170】
<D.第4実施形態>
この第4実施形態では、(フラッシュ撮影を行うか否かに拘わらず)暗い環境下などで撮影を行う際に、2種類の表示手段(ここでは、LCD10およびEVF20)における表示形態を使い分ける場合について説明する。より具体的には、被写体輝度が低くフレーミングが困難な状況下において、LCD10およびEVF20の双方において、輝度を互いに相違させた状態で、ライブビュー表示を行うものとする。
【0171】
なお、デジタルカメラの構成等は、上記第1実施形態とほぼ同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0172】
まず、全体制御部211は、被写体輝度が低いか否かを所定の基準に基づいて判定する。この所定の基準としては、たとえば、上記の値BVが所定の値(たとえばBV=3)以下になった場合に被写体輝度が低い(言い換えれば環境光の輝度が低い)ものとして判定する基準が用いられる。
【0173】
そして、環境光の輝度が低い(すなわち暗い)と判定された場合において、LCD10にはゲインG1を用いることにより撮影画像と同様の輝度(通常の輝度)を有する画像をライブビュー表示するとともに、EVF20にはゲインG1よりも高いゲインG2を用いることにより高輝度を有する画像(明るい画像)をライブビュー表示することを行う。
【0174】
ここで、「ゲイン」は、上述したように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの比(すなわち、Pout/Pin)である。たとえば、ゲインG1は、所定の画素に関する、画像メモリ209に記憶されている撮影画像の画素値(入力画素値Pin)とLCD10における表示画像の画素値(出力画素値Pout)との比である。したがって、画像メモリ209に記憶された各画素の画素値(各入力画素値Pin)に対して、その画素値に対応するゲインG1を乗ずることによりLCD10に出力する際の各画素の出力画素値Poutを求めることができる。
【0175】
同様に、ゲインG2は、所定の画素に関する、画像メモリ209の画素値(入力画素値Pin)とEVF20の画素値(出力画素値Pout)との比である。したがって、画像メモリ209に記憶された各画素の画素値(各入力画素値Pin)に対して、その画素値に対応するゲインG2を乗ずることによりEVF20に出力する際の各画素の出力画素値Poutを求めることができる。
【0176】
なお、ゲインG1,G2の値は、異なる入力画素値Pinに対して必ずしも同一の値であることを要さず、各入力画素値Pin毎に対応する値がそれぞれ定められていてもよい。また、この入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係は、上述したように、全体制御部211のテーブルTBLに記憶しておくことなどが可能である。また、このようなゲインG1,G2を用いたLCD10およびEVF20の出力画像に関する補正動作は、上述の画像補正部211e(図5)において行われる。
【0177】
ここでは、EVF20の表示に関するゲインG2として、数2に示すように、ゲインG1に対して1より大きな所定値(たとえば1.2)を乗じた値を用いる。場合について説明する。
【0178】
【数2】
【0179】
このように、ゲインG1よりも大きなゲインG2(>G1)を用いた画像表示(すなわちゲインアップした画像表示)をEVF20において行うことにより、EVF20は、LCD10より高い輝度を有する画像(明るい画像)をライブビュー表示することになる。
【0180】
したがって、被写体輝度が低くフレーミングが困難な状況下においても、LCD10には撮影画像と同様のゲインG1を用いることにより通常の輝度を有する画像をライブビュー表示するとともに、EVF20は、LCD10より高い輝度を有する画像(すなわち見やすい画像)をライブビュー表示することになる。これにより、操作者は、LCD10のライブビュー表示により撮影画像の露出状態を想定しながら、さらに高い輝度を有する画像(明るい画像)が表示されるEVF20のライブビュー表示を用いることによりフレーミングを容易に行うことが可能になる。すなわち、暗い環境下においても、露出状況を考慮したフレーミング動作を容易に実現することができる。
【0181】
なお、上記においては、EVF20においてゲインアップした表示(G2>G1)を行う場合について説明したが、EVF20においてゲインダウンした表示(G2<G1)を行ってもよい。
【0182】
より具体的には、環境光の輝度が高い(すなわち明るい)と判定される場合において、LCD10には撮影画像と同様のゲインG1を用いることにより通常の輝度を有する画像をライブビュー表示した上で、EVF20にはゲインG1よりも低いゲインG2を用いることにより低輝度を有する画像(暗い画像)をライブビュー表示することを行う。このゲインG2としては、数2に示すように、ゲインG1に対して1より小さな所定値(たとえば0.8)を乗じた値を用いる。
【0183】
【数3】
【0184】
これにより、EVF20は、LCD10より低い輝度を有する画像(より暗い画像)をライブビュー表示することになる。したがって、環境光の輝度が高い状況下においても、EVF20において明るさを抑えた画像(眩しさを抑制した画像)が表示されるので、見やすい表示を行うことができる。
【0185】
<E.その他>
上記各実施形態においては、表2などにおいて、たとえば「標準+」は標準状態から輝度などの表示特性を10%増大させた状態を意味するものとしていたが、これに限定されない。たとえば、「標準+」を標準状態から所定の表示特性を5%などその他の割合で増大させるものとしてもよい。その他の「標準++」、「標準−」などについても同様であり、その他の割合で変更してもよい。
【0186】
また、上記各実施形態においては、環境光の検出をCCD303などを用いて行っていたが、これに限定されず、たとえば、カメラ本体部2の表面などにおいて別途に設けたセンサーにより環境光を検出するようにしてもよい。
【0187】
さらに、本発明については、上記各実施形態のように静止画が主に撮影対象となるデジタルカメラに限らず、動画を撮影できるビデオカメラなどにも適用できる。すなわち、本明細書における「電子カメラ」は、静止画および動画のいずれが撮影対象であってもよい。
【0188】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし請求項4に記載の電子カメラによれば、環境光の輝度が所定の基準より低い又は高いと判定される場合には、第1表示手段においては第1の値のゲインで撮影画像が表示され、第2表示手段においては第2の値のゲインで撮影画像が表示される。したがって、第1表示手段と第2表示手段とにおける表示形態の最適化を図り、操作性を向上させることができる。
【0189】
特に、請求項2に記載の電子カメラによれば、電子ビューファインダにおけるゲインは、液晶ディスプレイにおけるゲインよりも大きいので、電子ビューファインダーは、液晶ディスプレイより高い輝度を有する画像を表示する。したがって、環境光の輝度が低くフレーミングが困難な状況下においても、液晶ディスプレイの表示により撮影画像の露出状態を想定しながら、さらに高い輝度を有する画像(明るい画像)が表示される電子ビューファインダーにおける表示を用いることによりフレーミングを容易に行うことが可能になる。すなわち、暗い環境下においても露出状況を考慮したフレーミング動作を容易に実現することができる。
【0190】
また特に、請求項4に記載の電子カメラによれば、電子ビューファインダにおけるゲインは、液晶ディスプレイにおけるゲインよりも小さいので、電子ビューファインダーは、液晶ディスプレイより低い輝度を有する画像を表示する。したがって、環境光の輝度が高い状況下においても、電子ビューファインダーにおいて明るさを抑えた画像(眩しさを抑制した画像)が表示されるので、見やすい表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1の平面図である。
【図2】図1のII−II位置から見た断面図である。
【図3】デジタルカメラ1の背面図である。
【図4】デジタルカメラ1の機能ブロック図である。
【図5】全体制御部211内の内部構成を示すブロック図である。
【図6】メモリカード8の画像記憶を説明する図である。
【図7】輝度の調整について説明する図である。
【図8】コントラストの調整について説明する図である。
【図9】LCD10およびEVF20の表示状態に関する状態遷移図である。
【図10】LCD10およびEVF20の表示状態に関する別の状態遷移図である。
【図11】LCD10において勧告表示DRが行われている状態を示す図である。
【図12】LCD10およびEVF20の表示状態を示すタイミングチャートである。
【図13】期間T1におけるLCD10およびEVF20の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
3 撮像部
5 フラッシュ
9 シャッタボタン
10 LCD
20 EVF
21 接眼レンズ
23 アイピースキャップ
31 LCDボタン
DD ライブビュー画像
DL プレ発光画像
DR 勧告表示
TBL テーブル
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子カメラにおいて、電子ビューファインダ(EVF)や液晶ディスプレイ(LCD)などの表示手段における表示形態を使用状態に応じて最適化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ(電子カメラ)においては、電子ビューファインダ(EVF)を有するものが存在する。この電子ビューファインダは、撮影画像を電子的に表示することが可能であり、光学カメラにおける光学ファインダに相当する機能を有するものである。この電子ビューファインダにおいて、被写体に関する時間的な連続画像を表示するライブビュー表示を行うことにより、被写体に関する撮影画像(想定画像)を確認しつつ撮像を行うことが可能である。
【0003】
また、このようなデジタルカメラは、上記の電子ビューファインダの他に、比較的大型の液晶ディスプレイ(LCD)をその背面等に設けていることが多い。そして、このような液晶ディスプレイにおいても同様のライブビュー表示を行うことにより、被写体に関する撮影画像を確認しつつ撮像を行うことが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電子ビューファインダにおける表示においては、環境光の影響が考慮されておらず、環境光に応じた電子ビューファインダの表示特性は最適化されていないという問題を有している。
【0005】
また、2種類の表示手段(電子ビューファインダおよび液晶ディスプレイなど)がある場合にも、単に両表示手段を手動操作で切り換えて表示を行うのみであり、環境光などを含めた使用状態に応じた最適化がなされていないという問題を有している。
【0006】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、環境光に応じた電子ビューファインダの表示特性を最適化することが可能な電子カメラを提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、2種類の表示手段を有する電子カメラにおいて、これらの2種類の表示手段の表示形態を最適化することが可能な電子カメラを提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電子カメラであって、環境光を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より低いか否かを判定する判定手段と、電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、を備え、前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より低いと判定される場合には、前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る電子カメラにおいて、前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、前記第1の値は、前記第2の値よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、電子カメラであって、環境光を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より高いか否かを判定する判定手段と、電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、を備え、前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より高いと判定される場合には、前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明に係る電子カメラにおいて、前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、前記第1の値は、第2の値よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
<A.第1実施形態>
<A1.デジタルカメラの要部構成>
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ1の要部構成を示す図であり、図1は平面図、図2は図1のII−II位置から見た断面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0027】
これらの図に示すように、デジタルカメラ1は、略直方体状の外形を有するカメラ本体部2を備えている。また、このデジタルカメラ1は、被写体の撮像等を行う撮像部3を備えており、この撮像部3は、カメラ本体部2に対して前方に(図2の左側に)突出した部分とカメラ本体部2の内部とにおいて設けられている。
【0028】
撮像部3は、撮影レンズであるマクロ機能付きレンズ群30の後方位置の適所にCCDカラーエリアセンサ303を有する撮像回路302(図4参照)が設けられている。また、このレンズ群30は、ズームレンズ300と合焦レンズ301とを備えている。
【0029】
一方、カメラ本体部2の内部には、ズームレンズ300のズーム比の変更と収容位置、撮影位置間のレンズ移動を行うためのズームモータM1、および合焦レンズ301を駆動して合焦を行うためのモータM2とが設けられている。
【0030】
カメラ本体部2の前面には、グリップ部Gが設けられ、カメラ本体部2上端部の適所にポップアップ形式の内蔵フラッシュ5が設けられている。また、カメラ本体部2の上面にはシャッタボタン9が設けられている。
【0031】
一方、図3に示すように、カメラ本体部2の背面には、略中央に撮影画像のライブビュー表示及び記録画像の再生表示等を行なうための液晶ディスプレイ((以下、「LCD」とも称する))表示部10と電子ビューファインダ(以下、「EVF」とも称する)20とが設けられている。このLCD10およびEVF20では、カラーで画像表示が行われる。
【0032】
また、EVF20は、比較的小型のLCD22などの表示部に表示される画像を接眼レンズ21を介して視認可能にするものである。なお、このEVF20においては、観察者の目とEVF20の接眼レンズ21(図2)との間にアイピースキャップ23(図2において破線で示す)のような遮光部材を設けることなどにより、遮光性を高めることなどが行われる。
【0033】
カメラ本体部2の背面には、「撮影モード」と「再生モード」とを切換設定する撮影/再生モード設定スイッチ14が設けられている。撮影モードは、写真撮影を行なうモードであり、再生モードは、メモリカード8に記録された撮影画像をLCD10に再生表示するモードである。
【0034】
デジタルカメラ1の背面右方には、4連スイッチ35が設けられており、ボタンL、Rを押すことにより、ズームモータM1が駆動しズーミングを行い、その他、ボタンU、D、L、Rで各種操作を行う。
【0035】
また、カメラ本体部2の背面には、LCDボタン31、確定ボタン32、取消ボタン33、およびメニューボタン34が設けられている。このLCDボタン31は、LCD表示またはEVF表示をオンオフさせるためのボタンであり、LCDボタン31を押す毎にLCD表示またはEVF表示のオンオフ状態が切り替わる(後に詳述)。
【0036】
図1に示すように、デジタルカメラ1はメモリカード8が装着されるようになっている。また、デジタルカメラ1は、4本の単三形乾電池E1〜E4を直列接続してなる電源電池Eを駆動源としている。
【0037】
<A2.デジタルカメラの機能ブロック>
図4は、デジタルカメラ1の機能ブロック図である。同図において、CCD303は、レンズ群30により結像された被写体の光像を、R(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。タイミングジェネレータ314は、CCD303の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものである。
【0038】
撮像部3における露出制御は、絞り制御ドライバ306によるレンズ群30の絞りと、CCD303の露光量、すなわち、シャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間を調節して行なわれる。被写体輝度が低輝度時に適切なシャッタスピードが設定できない場合は、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行なうことにより露光不足による不適正露出が補正される。すなわち、低輝度時は、シャッタスピードとゲイン調整とを組み合わせて露出制御が行なわれる。画像信号のレベル調整は、信号処理回路313内のAGC回路のゲイン調整において行なわれる。
【0039】
タイミングジェネレータ314は、タイミング制御回路202から送信される基準クロック基づきCCD303の駆動制御信号を生成するものである。タイミングジェネレータ314は、例えば積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号,垂直同期信号,転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0040】
信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズの低減を行ない、AGC回路のゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行なう。
【0041】
調光回路304は、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ5の発光量を全体制御部211により設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影においては、露出開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光が調光センサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から発光停止信号が出力され、この発光停止信号に応答して内蔵フラッシュ5の発光を強制的に停止し、これにより内蔵フラッシュ5の発光量が所定の発光量に制御される。
【0042】
A/D変換器205は、画像信号の各画素信号を12ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器205は、タイミング発生回路から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を12ビットのデジタル信号に変換する。
【0043】
タイミングジェネレータ314、A/D変換器205に対するクロックを生成するタイミング制御回路202が設けられている。タイミング制御回路202は、全体制御部211内の基準クロックにより制御される。
【0044】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画素信号の黒レベルを基準の黒レベルに補正するものである。また、WB(ホワイトバランス)回路207は、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換を行なうものである。WB回路207は、全体制御部211から入力されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分のパラメータ(特性の傾き)は全体制御部211により、オートまたはマニュアルで、撮影画像毎に設定される。
【0045】
γ補正回路208は、画素データの階調を補正するものである。画像メモリ209は、γ補正回路208から出力される画素データを記憶するメモリである。画像メモリ209は、1フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303画素数に対応する1600×1200画素分の画素データの記憶容量を有し、各画素データが対応する画素位置に記憶されるようになっている。
【0046】
LCDVRAM210は、LCD10に表示される画像データのバッファメモリである。LCDVRAM210は、LCD10の画素数400×300に対応した画像データの記憶容量を有している。
【0047】
EVFVRAM220は、EVF20に表示される画像データのバッファメモリである。EVFVRAM220は、EVF20の画素数640×480に対応した画像データの記憶容量を有している。
【0048】
また、撮影待機状態においては、撮像部3により1/30(秒)毎に撮像された画像の各画素データがA/D変換器205〜γ補正回路208により所定の信号処理を施された後、画像メモリ209に一時記憶されるとともに、全体制御部211を介してLCDVRAM210、EVFVRAM220に転送され、LCD10やEVF20に表示される(ライブビュー表示)。
【0049】
これによって、ユーザは被写体像を視認することができる。また、再生モードにおいては、メモリカード8から読み出された画像が全体制御部211で所定の信号処理が施された後、VRAM210に転送され、LCD10に再生表示される。EVF20でも同様の表示が行われる。
【0050】
カードI/F212は、メモリカード8への画像データの書込み及び画像データの読出しを行なうためのインターフィースである。また、通信用I/F224は、パーソナルコンピュータ225を通信可能に外部接続するための、例えばUSB規格に準拠したインターフェースである。このカードI/F212、通信用I/F224を介して、メモリカード8やCD−ROM226などの記録媒体に記録している制御プログラムを、全体制御部211のROM内に取り込むことができる。
【0051】
RTC219は、撮影日時を管理するするための時計回路である。図示しない別の電源で駆動される。
【0052】
操作部250は、上述したシャッタボタン9、LCDボタン31、確定ボタン32などの各種スイッチ、ボタンなどで構成されている。
【0053】
シャッタボタン9は、銀塩カメラで採用されているような半押し状態(S1)と押し込んだ状態(S2)とが検出可能な2段階スイッチになっている。待機状態でシャッタボタン9をS1状態にすると、AFのためのレンズ駆動を開始し、全体制御部211による画像メモリ209内における画像のコントラストを評価しながら、コントラストがもっとも高くなるようにモータM1、M2により、レンズを駆動し停止させる。S1状態時の画像メモリ内の画像データのレベルを判定することで、シャッタースピード(SS)と絞り値を決定する。さらにホワイトバランスの補正値を決定する。
【0054】
全体制御部211は、マイクロコンピュータからなり、上述したカメラの各部材の駆動を有機的に制御してデジタルカメラ1の撮影動作を統括制御するものである。
【0055】
図5は、全体制御部211内のCPUやメモリの全体によって実現される内部機能を示すブロック図である。この全体制御部211は、露出制御値(シャッタスピード(SS)と絞り値)を設定するための輝度判定部211aと露光量設定部211bとを備えている。
【0056】
さらに、全体制御部211は、上記撮影画像の記録処理を行なうために、フィルタリング処理を行なうフィルタ部211fと、サムネイル画像及び圧縮画像を生成する記録画像生成部211gとを備え、メモリカード8に記録された画像をLCD10やEVF20に再生するために、再生画像を生成する再生画像生成部211hを備えている。
【0057】
上記のフィルタ部211fは、デジタルフィルタにより記録すべき画像の高周波成分を補正して輪郭に関する画質の補正を行なうものである。
【0058】
記録画像生成部211gは、画像メモリ209から画素データを読み出してメモリカード8に記録すべきサムネイル画像と圧縮画像とを生成する。記録画像生成部211gは、画像メモリ209から横方向と縦方向の両方向でそれぞれ8画素毎に画素データを読み出し、順次、メモリカード8に転送することで、サムネイル画像を生成しつつメモリカード8に記録する。
【0059】
また、記録画像生成部211gは、画像メモリ209から全画素データを読み出し、これらの画素データに2次元DCT変換、ハフマン符号化等のJPEG方式による所定の圧縮処理を施して圧縮画像の画像データを生成し、この圧縮画像データをメモリカード8の本画像エリアに記録する。
【0060】
全体制御部211は、撮影モードにおいて、シャッタボタン9により撮影が指示されると、撮影指示後に画像メモリ209に取り込まれた画像のサムネイル画像と設定された圧縮率によりJPEG方式により圧縮された圧縮画像とを生成し、撮影画像に関するタグ情報(コマ番号、露出値、シャッタスピード、圧縮率、撮影日、撮影時のフラッシュのオンオフのデータ、シーン情報、画像の判定結果等)等の情報とともに両画像をメモリカード8に記憶する。
【0061】
デジタルカメラ1によって記録された画像の各コマはタグの部分とJPEG形式で圧縮された高解像度の画像データ((1600×1200)画素)とサムネイル表示用の画像データ((80×60)画素)が記録されている。
【0062】
撮影/再生モード設定スイッチ14を再生モードに設定したときには、メモリカード8内のコマ番号の最も大きな画像データが読み出され、再生画像生成部211hにてデータ伸張され、これがVRAM210、220に転送されることにより、LCD10やEVF20には、コマ番号の最も大きな画像すなわち直近に撮影された画像が表示される。ボタンUを操作することにより、コマ番号の大きな画像が表示され、ボタンDを押すことによりコマ番号の小さな画像が表示される。
【0063】
メモリカード8は、図6に示すように、デジタルカメラ1によって記憶された画像を、圧縮率1/20で230コマの画像分記憶可能であり、各コマは、タグ情報の部分と、JPEG形式で圧縮された高解像度の画像信号(640×480画素)とサムネイル表示用の画像信号(80×60画素)が記録されている。各コマ単位で、例えばEXIF形式の画像ファイルとして扱うことが可能である。
【0064】
再び図5を参照する。図5に示されるように、全体制御部211は、環境光検出部211c、表示形態制御部211dをさらに有している。後述するように、環境光検出部211cは、環境光の各種特性(輝度および色合い)を、自動露光調節動作(AE動作)時の値BV(ブライトネスバリュー)や、ホワイトバランス動作時の各種ゲインの値を用いて検出する動作を行う。また、表示形態制御部211dは画像補正部211eを有しており、この画像補正部211eは、環境光検出部211cによって検出された環境光の特性に応じてLCD10およびEVF20の表示特性を変更することにより画像を補正する。この画像補正部211eにより補正された画像が、撮影時のLCD10およびEVF20におけるライブビュー画像として表示される。なお、表示形態制御部211dは、環境輝度判定部211iおよび勧告表示制御部211jをさらに有しているが、これらについては後述する。
【0065】
<A3.デジタルカメラにおける動作>
つぎに、上記のデジタルカメラ1における動作について説明する。以下では、電子ビューファインダ(EVF)20の表示特性を、検出された環境光に応じて最適化する動作について説明する。EVF20の表示特性には、輝度、コントラスト、および色合いに関するものが存在する。ここでは、これらの表示特性を、環境光の特性(輝度、色合い等)に応じて変更することにより、EVF20の表示特性の最適化を図る。以下では、このような最適化動作について、大きく4つの場合に分けて説明する。
【0066】
<その1>
まず、環境光の輝度に応じて、EVF20の輝度およびコントラストを変化させる場合について説明する。
【0067】
ここにおいて、環境光の輝度は、被写体輝度に関するAPEX値(アペックスバリュー)である値BV(ブライトネスバリュー)を用いて取得することができる。被写体輝度に関するAPEX値BVは、自動露光調節動作(以下、「AE動作」とも称する)の結果として得られる。
【0068】
このAE動作は、全体制御部211の制御下(図4)において行われる。具体的には、画像メモリ209に蓄えられた画像の情報を全体制御部211によって読み出すことによりその画像の輝度を得た上で、その画像輝度がAE動作における狙い値(目標値)よりも低い場合には、タイミングジェネレータ314の制御によりシャッタースピードを低速にすること(および/または絞り制御ドライバ306の制御により絞りを開くこと)などによって入射光量を増加させ、その輝度が狙い値よりも高い場合には、逆にシャッタースピードを高速にするなどの制御を行うにより入射光量を減少させる。このような動作を繰り返すことにより、画像の輝度がAE動作における上記の狙い値に対して所定幅を有する範囲内に入ったときに、露光量の自動調節動作が完了する。
【0069】
そして、この自動調節完了時の値BVを環境光の輝度(被写体輝度)を表す指標値として求めることができる。この動作は、上記の環境光検出部211c(図5)により行われる。
【0070】
ここで、値BV(ブライトネスバリュー)は、シャッタースピードに関するAPEX値である値TV(タイムバリュー)と、絞りに関するAPEX値である値AV(アパーチャバリュー)と、感度に関するAPEX値である値SV(センシティブバリュー)との間に、次の数1により示される関係を有している。
【0071】
【数1】
【0072】
したがって、この数1に基づいて、上述のようなAE動作が施された自動露光調節後の各値TV,AV,SVを用いることにより、値BVを算出することができる。
【0073】
また、表1は、各値BVと各値BVに対応する使用環境との関係を表している。上記のようにして得られた値BVは、デジタルカメラ1が使用されている環境(使用環境)における環境光の輝度を表している。
【0074】
【表1】
【0075】
つぎに、環境光の輝度を表す指標値として算出された値BVを環境光の輝度(明るさ)を表す値として用い、この値BVに応じてEVF20の輝度やコントラストなどを調節することにより、環境光の輝度に応じてEVF20の表示特性を調整する動作を行う。
【0076】
ここでは、環境光の輝度に応じてEVF20の輝度(明るさ)を変更する調整動作について説明する。より具体的には、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20の輝度を低下させる場合について説明する。
【0077】
次の表2は、値BVとEVF20の輝度との関係を示している。
【0078】
【表2】
【0079】
この表2においては、値BV=8のときに、被写体の輝度が標準状態であるとしてEVF20の輝度の調整を行う場合を例示しており、値BVが8より大きな値になるにつれてEVF20の輝度を低下させ、値BVが8より小さな値になるにつれてEVF20の輝度を増大させる場合を示している。なお、値BV=8は、屋外(明るい曇り程度)において撮影する場合の環境光の輝度に相当し、ここでは、そのような環境光の下でEVF20が最も見やすい輝度(明るさ)となるようにEVF20の輝度の標準状態が設定される場合を例示している。
【0080】
なお、表2において、「EVF20の輝度」の欄(行)の「標準−」は標準状態から輝度を10%低下させた状態を意味し、「標準−−」は標準状態から輝度を20%低下させた状態を意味する。同様に、「EVF20の輝度」の欄の「標準+」は標準状態から輝度を10%増大させた状態を意味し、「標準++」は標準状態から輝度を20%増大させた状態を意味する。
【0081】
また、図7は、輝度の調整について説明する図であり、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係が示されている。図7におけるラインLB1は、標準状態における両画素値Pin,Poutの間の関係を表す。標準状態においては、ラインLB1に示すように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとは、その最大値が互いに同じ値となるような(その比が1となるような)線形関係を有している。
【0082】
表2に示すように、値BV=9のときには、標準状態よりも輝度を10%を低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。図7のラインLB2は、輝度を10%低下させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。このように、入力画素値Pinが同一であってもその出力画素値は約10%低減された状態を有するものとなる。同様に、値BV=10のときは、標準状態よりも輝度を20%を低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。図7のラインLB3は、輝度を20%低下させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。一方、値BV=7のときは、標準状態よりも輝度を10%増大させるようにEVF20の表示特性を調整する。図7のラインLB4は、輝度を10%増大させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。
【0083】
ここにおいて、このような各状態(「標準」、「標準+」、「標準−」など)の輝度に対する入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係は、それぞれ、全体制御部211内のROM内においてあらかじめテーブルTBL(図4)として予め記憶されているものとする。
【0084】
そして、画像補正部211e(図5)は、表2に示すような関係に基づき、値BVに対応するEVF20の出力画像の補正動作(輝度に関する補正動作)を行う。具体的には、次のような動作を行う。
【0085】
まず、AE動作において求められた環境光の輝度(値BV)に応じたEVF20の輝度(「標準」、「標準+」、「標準−」、...などのいずれであるか)を決定し、この決定されたEVF20の輝度に対応するテーブルTBLを選択する。
【0086】
さらに、この選択されたテーブルTBLに記憶された情報を用いて、EVF20における各画素の出力画素値を決定する。より具体的には、値BVに対応して決定(選択)されたテーブルTBLの情報を用いて、画像メモリ209に記憶されている撮影画像の各画素の画素値(入力画素値Pin)に対して、EVF20における表示画像の画素値(出力画素値Pout)を求めることができる。
【0087】
これにより、値BVに対応するEVF20の出力画像の輝度に関する補正動作を行うことができる。
【0088】
つぎに、環境光の輝度に応じてEVF20のコントラストを変更する調整動作について説明する。具体的には、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20のコントラストを増大させる場合について説明する。
【0089】
上記の表2においては、値BVとEVF20のコントラストとの関係が示されている。この表2においては、値BV=8のときに、被写体の輝度(すなわち環境光の輝度)が標準状態であるとしてEVF20のコントラストの調整を行う場合を例示しており、値BVが8より大きな値になるにつれてEVF20のコントラストを増大させ、値BVが8より小さな値になるにつれてEVF20のコントラストを低下させる場合を示している。
【0090】
なお、表2において、「EVF20のコントラスト」の欄の「標準−」は標準状態からコントラストを10%低下させた状態を意味し、「標準−−」は標準状態からコントラストを20%低下させた状態を意味する。同様に、「EVF20のコントラスト」の欄の「標準+」は標準状態からコントラストを10%増大させた状態を意味し、「標準++」は標準状態からコントラストを20%増大させた状態を意味する。
【0091】
表2に示すように、値BV=9のときは、標準状態よりもコントラストを10%低下させるようにEVF20の表示特性を調整し、値BV=10のときは、標準状態よりもコントラストを20%を増大させるようにEVF20の表示特性を調整する。また、値BV=7のときは、標準状態よりもコントラストを10%低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。
【0092】
また、図8は、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示す図である。図8におけるラインLC1は、標準状態における両画素値Pin,Poutの間の関係を表す。標準状態においては、ラインLC1に示すように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとが各最大値が互いに同じ値となるような線形関係を有している。
【0093】
ここで、図8のラインLC2は、コントラストを20%低下させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示しており、図8のラインLC3は、コントラストを50%増大させた状態の入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を示している。
【0094】
このように、入力画素値Pinのうち所定の幅PWを有する中間領域が出力画素値Poutのフルレンジに対応するように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係が定められるので、画像としてのコントラストを増大させることができる。たとえば、ラインLC3では、入力画素値Pinのフルレンジに対して50%減の幅PWを有する中間領域が出力画素値Poutのフルレンジに対応することにより、コントラストを標準状態よりも50%増大させることができる。
【0095】
また、図8のラインLC4は、コントラストを20%低下させた状態の入力画素値と出力画素値との関係を示している。入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係をこのように定めることにより、コントラストを標準状態よりも20%低下させることができる。
【0096】
ここでは、このような各状態(「標準」、「標準+」、「標準−」など)のコントラストに対する入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係を、それぞれ、全体制御部211内のROM内においてあらかじめテーブルTBL(図4)として記憶しておくものとする。なお、これらのコントラストの調整状態を表すテーブルTBLをさらに各輝度の調整状態毎に準備しておけば、輝度とコントラストとを同時に調整することが可能である。
【0097】
そして、画像補正部211e(図5)は、表2に示すような関係に基づき、値BVに対応するEVF20の出力画像の補正動作(コントラストに関する補正動作)を行う。具体的には、次のような動作を行う。
【0098】
まず、AE動作において求められた環境光の輝度(値BV)に応じたEVF20のコントラスト(「標準」、「標準+」、「標準−」、...などのいずれであるか)を決定し、この決定されたEVF20のコントラストに対応するテーブルTBLを選択する。
【0099】
さらに、この選択されたテーブルTBLに記憶された情報を用いて、EVF20における各画素の出力画素値を決定する。より具体的には、値BVに対応して決定(選択)されたテーブルTBLの情報を用いて、画像メモリ209に記憶されている撮影画像の各画素の画素値(入力画素値Pin)に対して、EVF20における表示画像の画素値(出力画素値Pout)を求めることができる。
【0100】
これにより、値BVに対応するEVF20の出力画像のコントラストに関する補正動作を行うことができる。
【0101】
上記のようなEVF20のコントラスト調整を行った場合、EVF20のコントラストは、環境光の輝度が高くなるにつれて増大するように調整されるので、デジタルカメラ1の周囲が明るい場合(環境光の輝度が高い場合)にあっても、EVF20において見やすい表示を行うことが可能になる。
【0102】
また、このようなコントラストの増大を伴うコントラスト調整のみを行う場合には、被写体によってはEVF20の表示に眩しさが感じられることがある。このような場合、上記のコントラストの調整に加えて、さらに上記のようなEVF20の輝度調整を行うことにより、このような事態を防止することができる。すなわち、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20の輝度を低下させ、かつ、EVF20のコントラストを増大させることにより、眩しさを抑えた見やすい表示を行うことが可能になる。
【0103】
<その2>
次に、環境光の輝度に応じてEVF20の輝度(明るさ)を変更する別の調整動作について説明する。この動作は、上記の「その1」において説明した動作の逆の動作であり、具体的には、環境光の輝度が高くなるにつれて、EVF20の輝度をも増大させる動作である。言い換えれば、環境光の輝度が低くなるにつれて、EVF20の輝度をも低下させる動作である。
【0104】
次の表3は、値BVとEVF20の輝度との関係を示している。
【0105】
【表3】
【0106】
この表3においては、値BV=8のときに、被写体の輝度が標準状態であるとしてEVF20の輝度の調整を行う場合を例示しており、値BVが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の輝度を増大させ、値BVが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の輝度を低下させる場合を示している。なお、表3において、「標準−」、「標準−−」、「標準+」、「標準++」などは表2と同様の状態を意味するものとする。
【0107】
この調整動作においては、表3に示すように、値BV=9のときには、標準状態よりも輝度を10%を増大させるようにEVF20の表示特性を調整し、値BV=10のときには、標準状態よりも輝度を20%を増大させるようにEVF20の表示特性を調整する。また、値BV=7のときは、標準状態よりも輝度を10%低下させるようにEVF20の表示特性を調整する。
【0108】
具体的には、上述したように、各状態(「標準」、「標準+」、「標準−」など)の輝度に対する入力画素値Pinと出力画素値Poutとの各関係を、全体制御部211内のROM内においてあらかじめテーブルTBLとして記憶しておき、環境光の輝度に応じたEVF20の輝度(表示特性)を決定し、その決定された輝度に対応するテーブルTBLに記憶された情報を用いることにより、EVF20における各画素の出力画素値を決定する。
【0109】
このようなEVF20の輝度調整を行った場合、環境光の輝度が高くなるにつれてEVF20の輝度も増大するように調整されるので、たとえば、右目で実被写体を観察し、左目でファインダ画像(EVF20におけるライブビュー画像)を観察するような場合において、輝度差から生じる違和感を減少させることができる。よって、周囲が明るいときにEVF20も明るくなるので見やすくなり、逆に、周囲が暗いときにEVF20も暗くなるので見やすくなる。このような効果は、観察者の目とEVF20の接眼レンズ21(図2)との間にアイピースキャップ23(図2において破線で示す)のような遮光部材がある場合にはさらに大きなものとなる。
【0110】
<その3>
以上においては、環境光の輝度に応じてEVF20の表示特性を変更する場合について説明したが、以下では環境光の色合いに応じてEVF20の色合いを変更する場合について説明する。
【0111】
ここではまず、環境光の色合いとEVF20の色合いとが反対方向になるように、EVF20の色合いを調整する場合について説明する。
【0112】
環境光の色合いは、WB回路207によるホワイトバランス動作の結果に反映される。CCD303は、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3原色の画素に関する各ゲインGR,GG,GBをそれぞれ独立に制御することにより、ホワイトバランスを制御する。そして、ホワイトバランスが調整された後の画像が画像メモリ209(図4)に記憶される。
【0113】
また、一般に、このホワイトバランスの制御は、グリーン(G)に関するゲイン(Gゲイン)GGを基準にして他のゲインGR,GBを相対的に増減させることにより行われ、たとえば、レッド(R)に関するゲイン(Rゲイン)GRがグリーン(G)に関するゲインGGの1.8倍となるように設定し、ブルー(B)に関するゲイン(Bゲイン)GBがグリーン(G)に関するゲインGGの2.0倍となるように設定した状態を標準状態として設定した上で、上記の各ゲインの相対的関係を変更することにより、ホワイトバランス、すなわち色合いを変更することができる。ここにおいて、ゲインGR,GG,GBは、各画素の入力画素値に対する出力画素値の比を表現しており、たとえば、グリーン(G)に関するGゲインGGを「1.0」として設定した場合には、上記の標準状態においては、レッド(R)に関するRゲインGRは、「1.8」であり、ブルー(B)に関するBゲインGBは、「2.0」となる。
【0114】
このホワイトバランスの調整動作においては、環境光の色合いにおいて青みが強い場合には、RゲインGRを大きくしBゲインGBを小さくすることにより撮影画像の色合いを制御する。これにより、画像メモリ209に記憶される撮影画像は、適切な色合いを有する画像となる。たとえば、画像全体における色温度を測定し、測定された色温度に応じてRゲインGRを「2.2」に増大しBゲインGBを「1.6」に低下するように設定することにより、撮影画像が適切な色合いとなるようにホワイトバランスの制御動作が行われることがある。この場合、逆に、ホワイトバランス動作における各ゲインGR,GG,GBの値を読み出すことにより、環境光の色合い(上記の場合は青みが強い状態であること)を得ることができる。
【0115】
この実施形態では、このようにして得られた環境光の色合いに対して反対の特性を有するように、EVF20の色合いを調整する調整動作を行う。
【0116】
次の表4は、環境光の色合いに関する指標値であるRゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の赤みコントロール値との関係を示している。
【0117】
【表4】
【0118】
同様に、次の表5は、環境光の色合いに関する指標値であるBゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の青みコントロール値との関係を示している。
【0119】
【表5】
【0120】
なお、表4(表5)において、「標準−」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%低下させた状態を意味し、「標準−−」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を20%低下させた状態を意味する。同様に、「標準+」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%増大させた状態を意味する。
【0121】
この表4および表5においては、RゲインGR=1.8、かつ、BゲインGB=2.0のときに、環境光の色合いが標準状態であるとしてEVF20の色合いの調整を行う場合を例示している。また、表4に示されるように、RゲインGRが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を増大させ、RゲインGRが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を低下させる。同様に、表5に示されるように、BゲインGBが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を低下させ、BゲインGBが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を増大させる。
【0122】
ここにおいて、色温度が高く(たとえば8000K)環境光が青みが強い状態である場合には、WB回路207によって、たとえば、RゲインGRを「2.2」に増大しBゲインGBを「1.6」に低下するように設定されることにより、適切な色合いとなるように調整される。言い換えれば、RゲインGRが「2.2」に増大されBゲインGBが「1.6」に低下したことを検出することにより、環境光が強い青みを有する状態であることを認識することができる。
【0123】
これに対して、全体制御部211は、上記の表4に示すようにEVFの赤みコントロール値を10%増大させ、表5に示すようにEVFの青みコントロール値を10%低下させるように制御を行う。これにより、EVF20を赤みが強く、青みが弱い画像となるように、EVF20の色合いを変更する。すなわち、環境光の色合いに対して反対方向の特性を有するように、EVF20の色合いを調整する調整動作を行う。
【0124】
なお、EVF20の色別コントロール値を増減するにあたっては、上述の輝度値の調整動作を各色毎に行えばよい。たとえば、EVFの赤みコントロール値を10%増大させるにあたっては、上述の輝度値の調整動作により、各画素の赤色成分の輝度を10%増大させればよい。また、EVFの青みコントロール値を10%低下させるにあたっては、上述の輝度値の調整動作により、各画素の青色成分の輝度を10%低下させればよい。
【0125】
より具体的には、この色合いの調整動作は、次のようにして行われる。ただし、ここでは、この調整動作を行う以前において、全体制御部211において、上述の輝度等に関する複数のテーブルTBLがそれぞれ各色別に準備されており、さらに、上記の表4および表5に示される色別のコントロールに関する情報が併せて別のテーブルTBLとして準備されているものとする。
【0126】
まず、表4および表5の情報を有するテーブルTBLを用いて、環境光の色合いに応じた各色のコントロール値に関する情報を求めた上で、そのコントロール値に対応する、輝度等に関する色別のテーブルTBLを選択する。そして、選択された各色別のテーブルTBLに記憶されている、入力画素値Pinおよび出力画素値Pout間の関係に基づいて、EVF20の各画素の出力画素値Poutを求めることにより、EVF20の色合いを調整する動作を行う。ここで、入力画素値Pinは、画像メモリ209に記憶された各画素値であり、これに対してEVF20に出力する際の出力画素値Poutを上記のテーブルTBLを用いて求めるのである。
【0127】
そして、このような各出力画素値PoutがVRAM220に転送されることにより、EVF20においてそのような出力画素値に応じた撮影画像が表示されることになる。
【0128】
この場合、画像補正部211eは、EVF20の色合いを環境光の色合いと反対の方向に変化させるように調整するので、EVF20の接眼レンズ21(図2)に入ってきた迷光の色合いの影響をキャンセル(低減)することができる。たとえば、環境光の色合いが強い青みを有する場合には、上記の調整動作によって、EVF20の色合いは弱い青みを有するように調整されるので、EVF20に入射する強い青みを有する迷光の影響をキャンセル(低減)することが可能である。
【0129】
<その4>
上記においては、環境光の色合いの反対向きにEVF20の色合いを調整することにより、環境光の色合いに応じてEVF20の色合いを変更する場合について説明したが、ここでは、環境光の色合いと同じ方向にEVF20の色合いを調整する場合について説明する。
【0130】
次の表6は、環境光の色合いに関する指標値であるRゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の赤みコントロール値との関係を示している。
【0131】
【表6】
【0132】
同様に、次の表7は、環境光の色合いに関する指標値であるBゲインとEVF20の色合いに関する指標値であるEVF20の青みコントロール値との関係を示している。
【0133】
【表7】
【0134】
なお、表6(表7)において、「標準−」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%低下させた状態を意味する。同様に、「標準+」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を10%増大させた状態を意味し、「標準++」は標準状態から赤み(青み)コントロール値を20%増大させた状態を意味する。
【0135】
この表6および表7においては、RゲインGR=1.8、かつ、BゲインGB=2.0のときに、環境光の色合いが標準状態であるとしてEVF20の色合いの調整を行う場合を例示している。また、表6に示されるように、RゲインGRが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を低下させ、RゲインGRが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の赤みコントロール値を増大させる。同様に、表7に示されるように、BゲインGBが標準状態の値より小さな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を増大させ、BゲインGBが標準状態の値より大きな値になるにつれてEVF20の青みコントロール値を低下させる。
【0136】
ここにおいて、色温度が高く(たとえば8000K)環境光が青みが強い状態である場合には、WB回路207によって、たとえば、RゲインGRを「2.2」に増大しBゲインGBを「1.6」に低下するように設定されることにより、適切な色合いとなるように調整される。言い換えれば、RゲインGRが「2.2」に増大されBゲインGBが「1.6」に低下したことを検出することにより、環境光が強い青みを有する状態であることを認識することができる。
【0137】
これに対して、全体制御部211は、上記の表6に示すようにEVFの赤みコントロール値を10%低減させ、表7に示すようにEVFの青みコントロール値を10%増大させるように制御を行う。これにより、EVF20を青みが強い画像となるように、EVF20の色合いを変更する。すなわち、環境光の色合いに対して同じ方向の特性を有するように、EVF20の色合いを調整する調整動作を行う。
【0138】
ここで、具体的な調整動作は、上述の「その3」における動作と同様であるが、この「その4」における動作においては、表6および表7に例示されるような関係に基づき、EVF20の色合いが環境光の色合いと同じ方向に調整される点で相違する。
【0139】
この場合、画像補正部211eは、EVF20の色合いを、環境光の色合いと同じ方向に変化させるように調整する(たとえば、環境光が青みが強い色合いを有する場合に、EVF20も青みが強い色合いを有する画像を表示するように調整する)ので、EVF20における表示が肉眼での被写体の見え方に近くなる。また、この効果は、観察者の目とEVF20の接眼レンズ21との間にアイピースキャップ23(図2参照)のような遮光部材がある場合など、迷光の影響が排除される場合に、より大きなものとなる。
【0140】
<B.第2実施形態>
第2実施形態は、2種類の表示手段(ここでは、LCD10およびEVF20)における表示状態(ON/OFFなど)を環境光の輝度に応じて変更する場合について説明する。
【0141】
なお、この実施形態に係るデジタルカメラの構成等は、上記第1実施形態とほぼ同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0142】
図9は、LCD10およびEVF20の表示状態に関する状態遷移図である。上述したように、LCD10およびEVF20は、LCDボタン31(図3参照)の押下により、その表示状態が遷移する。より具体的には、LCDボタン31を押す毎に、状態ST1→状態ST2→状態ST3→状態ST1→...というように(矢印AR1,AR2,AR3参照)、順次にLCD10およびEVF20の表示状態が切り替わる。2種類の表示手段(LCD10およびEVF20)のうちON状態となっている表示手段においてライブビュー画像などの画像が表示される。以下では、ライブビュー画像の表示に関して説明するものとする。ここにおいて、状態ST1はEVF20がON(オン)かつLCD10がOFF(オフ)している状態であり、状態ST2はEVF20がOFFかつLCD10がONしている状態であり、状態ST3はEVF20およびLCD10のいずれもがONしている状態である。
【0143】
なお、ここでは、デジタルカメラ1の電源がONされた状態において、LCD10およびEVF20のうち少なくとも一方がON状態にある場合を想定しているため、EVF20およびLCD10のいずれもがOFFしている状態に遷移することを考慮していないが、このような状態を上記の状態遷移の中に追加してもよい。
【0144】
ここでは、LCD10およびEVF20の表示状態を変更するにあたって、LCDボタン31による手動変更だけではなく、環境光に応じた自動変更を実現する。より具体的には、環境光の「輝度」に応じて、LCD10およびEVF20のうち少なくともEVF20がONしている状態、言い換えれば、少なくともEVF20において撮影画像が表示される状態(状態ST1またはST3)に自動的に遷移する。
【0145】
たとえば、LCD10のみがON状態にある状態ST2においては、環境光の輝度が高い場合には、LCD10の表示画面が見にくいと感じられる(視認性が低い)ことがある。これは、たとえば、LCD10として透過型液晶が用いられている場合などにおいて、大きな輝度を有する環境光がLCD10表面で反射することによる影響に起因するものである。
【0146】
これに対して、この実施形態のデジタルカメラ1においては、このような弊害を除去するため、LCD10およびEVF20の表示状態を環境光の輝度に応じて変更する。
【0147】
ここにおいて、環境光の輝度は、上記の第1実施形態において説明したように、被写体輝度に関するAPEX値である値BVを用いて取得することができる。したがって、この値BVを利用し、値BVが所定の値以上(たとえば9以上)となる場合に環境光の輝度が高いとする基準を用いて、環境光の輝度が高いか否かについての判定を行うことができる。この判定動作は、全体制御部211の環境輝度判定部211i(図5)において行われる。
【0148】
そして、このような基準に基づいて環境光の輝度が高いと判定される場合には、矢印AR4(図9)のように、EVF20がONする状態ST1に遷移する。この場合、EVF20は、LCD10に比べて環境光による影響を受けにくいので、環境光の輝度が高い場合であっても比較的高い視認性を確保することができる。
【0149】
あるいは、上記の基準に基づいて環境光の輝度が高いと判定される場合には、矢印AR5のように、EVF20およびLCD10の双方がONする状態ST3に遷移するように設定してもよい。この場合であっても、EVF20がONすることにより撮影画像が少なくともEVF20において表示されるため、環境光の輝度が高い場合にあっても、操作者はEVF20におけるライブビュー表示によって撮影画像を確認することができ、比較的高い視認性を確保すること(見やすい表示を確保すること)ができる。
【0150】
なお、これらの矢印AR4,AR5で示される2つの状態遷移のうちのいずれの状態遷移を行ってもよく、さらには、これらの状態遷移のうちのいずれかをデフォルト状態として設定しておき、メニュー画面などにおいて操作者がその状態遷移の一方を任意に選択できるようにしてもよい。また、このような遷移動作(換言すれば表示状態の変更動作)は、全体制御部211の表示形態制御部211dにより実現される。
【0151】
このようにこの実施形態のデジタルカメラ1によれば、環境光に応じてLCD10およびEVF20のうち少なくとも一方の表示状態が変更されるので、LCD10およびEVF20を、使用状態(環境光の輝度)に応じた適切な表示状態に切り換えることが可能である。すなわち、LCD10およびEVF20の表示状態の最適化を図ることが可能であり、操作性を向上させることができる。
【0152】
<第2実施形態の変形例>
また、上記においては、環境光の輝度が高いと判定される場合に、撮影画像が少なくともEVF20において表示される状態(ST1,ST3)へと自動的に切り換える場合について説明したが、少なくともEVF20において撮影画像が表示される状態へと切り換えることを促す表示をLCD10において行ってもよい。操作者は、このような表示を見ることによって、LCDボタン31による手動操作によって、LCD10およびEVF20の表示状態を遷移させることが可能である。
【0153】
図10は、このような変形例に係る、LCD10およびEVF20の表示状態の状態遷移図である。上述した各状態ST1,ST2,ST3に加えて、状態ST21が示されている。ここにおいて、状態ST21は、EVF20がOFFしLCD10がONしている状態ST2において、さらに、少なくともEVF20がONしている状態(ST1またはST3)へと切り換えることを促す勧告表示(または推奨表示)DR(図11参照)がLCD10において行われている状態を示している。
【0154】
たとえば、LCD10のみがON状態にある状態ST2において、環境光の輝度が高いと判定されると、矢印AR6(図10)に示すように、EVF20がONする状態ST21に遷移する。なお、環境光の輝度が高いか否かについては、たとえば、上述したように値BVが9以上となる場合に環境光の輝度が高いとする旨の基準を用いて判定することができる。
【0155】
そして、環境光の輝度が高いと判定される場合には、LCD10およびEVF20のうち少なくともEVF20がONしている状態、言い換えれば、少なくともEVF20において撮影画像が表示される状態(状態ST1,ST3)に遷移することを促す旨の勧告表示DRを行う。
【0156】
図11は、LCD10において上記の勧告表示(または推奨表示)DRが行われている状態を示している。図11においては、勧告表示DRとして、LCD10およびEVF20の表示状態を変更すべき旨を表示するため、「change」(変更)の文字が表示されている場合を示している。ただし、勧告表示DRは、これに限定されず、その他の文字による表示を行ったり、LCD10の画面全体を点滅させるなどの手法による表示を行ってもよい。なお、このような勧告表示は、全体制御部211の勧告表示制御部211j(図5)などにより実現される。
【0157】
これに対して、LCD10における勧告表示DRを見た操作者は、LCDボタン31による手動操作によって、LCD10およびEVF20の表示状態を矢印AR7に示すように状態ST3へと遷移させることが可能である。これにより、LCD10に加えてEVF20もONし、撮影画像がEVF20において表示されるため、操作者はEVF20におけるライブビュー表示によって撮影画像を確認することができ、比較的高い視認性を確保することができる。
【0158】
なお、操作者がLCD10を表示させる必要がないと判断した場合には、操作者はLCDボタン31をさらにもう一度押下することにより、LCD10およびEVF20の表示状態を状態ST1に遷移させる。状態ST1は、LCD10はOFFしているが、EVF20がONしている状態である。この場合、EVF20における表示を行うことにより同様の効果を得ることが可能であり、さらにLCD10における表示を行わないことにより、消費電力の低減などの効果を得ることも可能である。
【0159】
このように、上記の勧告表示DRを行うことにより、操作者に対して適切な表示状態に関する情報を提供することができる。したがって、操作者は、環境光の輝度が高くEVF20による表示が好ましい状態であることを認識することができ、LCD10およびEVF20を環境(環境光の輝度)に応じた適切な表示状態に切り換えることが可能である。すなわち、LCD10およびEVF20の表示状態の最適化を図ることが可能であり、操作性を向上させることができる。
【0160】
なお、上記においては、矢印AR7で示すように、状態ST21から状態ST3へと遷移する場合を示したが、矢印AR8で示すように状態ST21から状態ST1へと遷移するようにしてもよい。
【0161】
<C.第3実施形態>
つぎに、この第3実施形態では、暗い環境下においてフラッシュ撮影を行うという使用状態に応じて、2種類の表示手段(ここでは、LCD10およびEVF20)における表示状態を使い分ける場合について説明する。
【0162】
なお、デジタルカメラの構成等は、上記第1実施形態とほぼ同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0163】
まず、全体制御部211は、フラッシュ撮影を行うべき状態であるか否かを判定する。たとえば、フラッシュ撮影を行うべき旨の明示の指示が操作者の所定の操作により与えられた場合や、環境光の輝度を検出することにより自動的にフラッシュ撮影を行うべき状態であると判断する場合などにおいて、フラッシュ撮影を行うべき状態であると判定することができる。以下では、フラッシュ撮影を行うべき状態であると判定された後の動作について説明する。
【0164】
図12は、シャッタボタン9(図3)の押下時点の前後付近における、LCD10およびEVF20の表示状態を示すタイミングチャートである。以下では、この図12を参照しながら、LCD10およびEVF20などにおける動作について説明する。なお、これらのLCD10およびEVF20における表示状態の変更動作は、上述の表示形態制御部211d(図5)を用いて行われる。
【0165】
まず、撮影待機状態においては、CCD303(図4)において先述のように1/30(秒)毎に被写体の画像が取得され、画像メモリ209等を介してLCD10に出力されることによりライブビュー表示が行われているものとする。なお、この際、EVF20における表示は行われていないものとする。
【0166】
そして、時刻t10において操作者がシャッタボタン9を半押し状態(S1)にすることによって発生するパルス信号に応答して、フラッシュ5がプレ発光を行う。さらに、このプレ発光によるフラッシュ光を浴びた被写体に関する静止画像(プレ発光画像とも称する)がCCD303により取得される。このプレ発光画像は時刻t12以降少なくとも所定期間T1にわたってEVF20において表示される(プレビュー表示)。なお、図11においては、後述する本発光後のLCD10におけるアフタービュー表示の終了時点(時刻t40)まで、EVF20におけるプレビュー表示が行われる場合が示されている。その後、時刻t20において、操作者がシャッタボタン9をさらに押し込んだ状態(S2)にすることによって発生するパルス信号に応答して、フラッシュ5が本発光を行う。さらに、この本発光によるフラッシュ光を浴びた被写体に関する静止画像(本発光画像とも称する)がCCD303により取得される。この本発光画像は時刻t30以降所定期間T2にわたってLCD10において表示される(アフタービュー表示)。このアフタービュー表示により、操作者は、撮影した静止画像を確認することができる。なお、期間T2経過後(時刻t40以降)においては、LCD10はライブビュー表示に戻る。
【0167】
図13は、期間T1におけるLCD10およびEVF20の表示形態を示す図である。図13に示されるように、EVF20にはフラッシュ光を浴びたプレ発光画像DLが表示されており、一方のLCD10にはフラッシュ光を浴びていない暗い環境下でのライブビュー画像DDの表示が行われている。
【0168】
以上のように、本発光による撮影以前の期間T1にわたっては、LCD10においてライブビュー画像を表示しつつ、かつ、EVF20にプレ発光画像を表示しているので、操作者は、両表示(LCD10におけるライブビュー表示、およびEVF20におけるプレビュー表示)を交互に見比べることにより、出来上がりイメージを想像することが容易になる。このように、夜間撮影時などのフラッシュ撮影時におけるLCD10とEVF20とにおける表示形態の最適化を図り、操作性を向上させることができる。
【0169】
特に、暗い環境下においても比較的高い視認性を確保することが可能なEVF20にプレ発光画像が表示されるので、このEVF20を用いて撮影画像(出来上がりイメージ画像)を確認することが容易になる。したがって、暗い環境下においてもフレーミングが容易になる。
【0170】
<D.第4実施形態>
この第4実施形態では、(フラッシュ撮影を行うか否かに拘わらず)暗い環境下などで撮影を行う際に、2種類の表示手段(ここでは、LCD10およびEVF20)における表示形態を使い分ける場合について説明する。より具体的には、被写体輝度が低くフレーミングが困難な状況下において、LCD10およびEVF20の双方において、輝度を互いに相違させた状態で、ライブビュー表示を行うものとする。
【0171】
なお、デジタルカメラの構成等は、上記第1実施形態とほぼ同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0172】
まず、全体制御部211は、被写体輝度が低いか否かを所定の基準に基づいて判定する。この所定の基準としては、たとえば、上記の値BVが所定の値(たとえばBV=3)以下になった場合に被写体輝度が低い(言い換えれば環境光の輝度が低い)ものとして判定する基準が用いられる。
【0173】
そして、環境光の輝度が低い(すなわち暗い)と判定された場合において、LCD10にはゲインG1を用いることにより撮影画像と同様の輝度(通常の輝度)を有する画像をライブビュー表示するとともに、EVF20にはゲインG1よりも高いゲインG2を用いることにより高輝度を有する画像(明るい画像)をライブビュー表示することを行う。
【0174】
ここで、「ゲイン」は、上述したように、入力画素値Pinと出力画素値Poutとの比(すなわち、Pout/Pin)である。たとえば、ゲインG1は、所定の画素に関する、画像メモリ209に記憶されている撮影画像の画素値(入力画素値Pin)とLCD10における表示画像の画素値(出力画素値Pout)との比である。したがって、画像メモリ209に記憶された各画素の画素値(各入力画素値Pin)に対して、その画素値に対応するゲインG1を乗ずることによりLCD10に出力する際の各画素の出力画素値Poutを求めることができる。
【0175】
同様に、ゲインG2は、所定の画素に関する、画像メモリ209の画素値(入力画素値Pin)とEVF20の画素値(出力画素値Pout)との比である。したがって、画像メモリ209に記憶された各画素の画素値(各入力画素値Pin)に対して、その画素値に対応するゲインG2を乗ずることによりEVF20に出力する際の各画素の出力画素値Poutを求めることができる。
【0176】
なお、ゲインG1,G2の値は、異なる入力画素値Pinに対して必ずしも同一の値であることを要さず、各入力画素値Pin毎に対応する値がそれぞれ定められていてもよい。また、この入力画素値Pinと出力画素値Poutとの関係は、上述したように、全体制御部211のテーブルTBLに記憶しておくことなどが可能である。また、このようなゲインG1,G2を用いたLCD10およびEVF20の出力画像に関する補正動作は、上述の画像補正部211e(図5)において行われる。
【0177】
ここでは、EVF20の表示に関するゲインG2として、数2に示すように、ゲインG1に対して1より大きな所定値(たとえば1.2)を乗じた値を用いる。場合について説明する。
【0178】
【数2】
【0179】
このように、ゲインG1よりも大きなゲインG2(>G1)を用いた画像表示(すなわちゲインアップした画像表示)をEVF20において行うことにより、EVF20は、LCD10より高い輝度を有する画像(明るい画像)をライブビュー表示することになる。
【0180】
したがって、被写体輝度が低くフレーミングが困難な状況下においても、LCD10には撮影画像と同様のゲインG1を用いることにより通常の輝度を有する画像をライブビュー表示するとともに、EVF20は、LCD10より高い輝度を有する画像(すなわち見やすい画像)をライブビュー表示することになる。これにより、操作者は、LCD10のライブビュー表示により撮影画像の露出状態を想定しながら、さらに高い輝度を有する画像(明るい画像)が表示されるEVF20のライブビュー表示を用いることによりフレーミングを容易に行うことが可能になる。すなわち、暗い環境下においても、露出状況を考慮したフレーミング動作を容易に実現することができる。
【0181】
なお、上記においては、EVF20においてゲインアップした表示(G2>G1)を行う場合について説明したが、EVF20においてゲインダウンした表示(G2<G1)を行ってもよい。
【0182】
より具体的には、環境光の輝度が高い(すなわち明るい)と判定される場合において、LCD10には撮影画像と同様のゲインG1を用いることにより通常の輝度を有する画像をライブビュー表示した上で、EVF20にはゲインG1よりも低いゲインG2を用いることにより低輝度を有する画像(暗い画像)をライブビュー表示することを行う。このゲインG2としては、数2に示すように、ゲインG1に対して1より小さな所定値(たとえば0.8)を乗じた値を用いる。
【0183】
【数3】
【0184】
これにより、EVF20は、LCD10より低い輝度を有する画像(より暗い画像)をライブビュー表示することになる。したがって、環境光の輝度が高い状況下においても、EVF20において明るさを抑えた画像(眩しさを抑制した画像)が表示されるので、見やすい表示を行うことができる。
【0185】
<E.その他>
上記各実施形態においては、表2などにおいて、たとえば「標準+」は標準状態から輝度などの表示特性を10%増大させた状態を意味するものとしていたが、これに限定されない。たとえば、「標準+」を標準状態から所定の表示特性を5%などその他の割合で増大させるものとしてもよい。その他の「標準++」、「標準−」などについても同様であり、その他の割合で変更してもよい。
【0186】
また、上記各実施形態においては、環境光の検出をCCD303などを用いて行っていたが、これに限定されず、たとえば、カメラ本体部2の表面などにおいて別途に設けたセンサーにより環境光を検出するようにしてもよい。
【0187】
さらに、本発明については、上記各実施形態のように静止画が主に撮影対象となるデジタルカメラに限らず、動画を撮影できるビデオカメラなどにも適用できる。すなわち、本明細書における「電子カメラ」は、静止画および動画のいずれが撮影対象であってもよい。
【0188】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし請求項4に記載の電子カメラによれば、環境光の輝度が所定の基準より低い又は高いと判定される場合には、第1表示手段においては第1の値のゲインで撮影画像が表示され、第2表示手段においては第2の値のゲインで撮影画像が表示される。したがって、第1表示手段と第2表示手段とにおける表示形態の最適化を図り、操作性を向上させることができる。
【0189】
特に、請求項2に記載の電子カメラによれば、電子ビューファインダにおけるゲインは、液晶ディスプレイにおけるゲインよりも大きいので、電子ビューファインダーは、液晶ディスプレイより高い輝度を有する画像を表示する。したがって、環境光の輝度が低くフレーミングが困難な状況下においても、液晶ディスプレイの表示により撮影画像の露出状態を想定しながら、さらに高い輝度を有する画像(明るい画像)が表示される電子ビューファインダーにおける表示を用いることによりフレーミングを容易に行うことが可能になる。すなわち、暗い環境下においても露出状況を考慮したフレーミング動作を容易に実現することができる。
【0190】
また特に、請求項4に記載の電子カメラによれば、電子ビューファインダにおけるゲインは、液晶ディスプレイにおけるゲインよりも小さいので、電子ビューファインダーは、液晶ディスプレイより低い輝度を有する画像を表示する。したがって、環境光の輝度が高い状況下においても、電子ビューファインダーにおいて明るさを抑えた画像(眩しさを抑制した画像)が表示されるので、見やすい表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1の平面図である。
【図2】図1のII−II位置から見た断面図である。
【図3】デジタルカメラ1の背面図である。
【図4】デジタルカメラ1の機能ブロック図である。
【図5】全体制御部211内の内部構成を示すブロック図である。
【図6】メモリカード8の画像記憶を説明する図である。
【図7】輝度の調整について説明する図である。
【図8】コントラストの調整について説明する図である。
【図9】LCD10およびEVF20の表示状態に関する状態遷移図である。
【図10】LCD10およびEVF20の表示状態に関する別の状態遷移図である。
【図11】LCD10において勧告表示DRが行われている状態を示す図である。
【図12】LCD10およびEVF20の表示状態を示すタイミングチャートである。
【図13】期間T1におけるLCD10およびEVF20の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
3 撮像部
5 フラッシュ
9 シャッタボタン
10 LCD
20 EVF
21 接眼レンズ
23 アイピースキャップ
31 LCDボタン
DD ライブビュー画像
DL プレ発光画像
DR 勧告表示
TBL テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カメラであって、
環境光を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より低いか否かを判定する判定手段と、
電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、
前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、
前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、
を備え、
前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より低いと判定される場合には、
前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、
前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、
前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、
前記第1の値は、前記第2の値よりも大きいことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
電子カメラであって、
環境光を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より高いか否かを判定する判定手段と、
電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、
前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、
前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、
を備え、
前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より高いと判定される場合には、
前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、
前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、
前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、
前記第1の値は、第2の値よりも小さいことを特徴とする電子カメラ。
【請求項1】
電子カメラであって、
環境光を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より低いか否かを判定する判定手段と、
電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、
前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、
前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、
を備え、
前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より低いと判定される場合には、
前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、
前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、
前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、
前記第1の値は、前記第2の値よりも大きいことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
電子カメラであって、
環境光を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を用いて、前記環境光の輝度が所定の基準より高いか否かを判定する判定手段と、
電子的に撮影画像を表示可能な第1表示手段と、
前記第1表示手段と異なる表示態様で、電子的に前記撮影画像を表示可能な第2表示手段と、
前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける表示画像の前記撮影画像に対する各ゲインを調整することにより前記第1表示手段および前記第2表示手段のそれぞれにおける画像補正を行う画像補正手段と、
を備え、
前記画像補正手段は、前記判定手段により前記環境光の輝度が前記所定の基準より高いと判定される場合には、
前記第1表示手段には第1の値のゲインで前記撮影画像を表示し、
前記第2表示手段には前記第1の値と異なる第2の値のゲインで前記撮影画像を表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記第1表示手段は、表示部に表示される画像を接眼レンズを介して視認可能にする電子ビューファインダであり、
前記第2表示手段は、液晶ディスプレイであり、
前記第1の値は、第2の値よりも小さいことを特徴とする電子カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【特許番号】特許第3551123号(P3551123)
【登録日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【発行日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−116538(P2000−116538)
【出願日】平成12年4月18日(2000.4.18)
【公開番号】特開2001−309211(P2001−309211A)
【公開日】平成13年11月2日(2001.11.2)
【審査請求日】平成12年9月5日(2000.9.5)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【参考文献】
【文献】特開平06−054238(JP,A)
【文献】特開平07−177398(JP,A)
【文献】特開平08−023461(JP,A)
【文献】特開平04−270571(JP,A)
【文献】特開平11−146248(JP,A)
【文献】特開平10−336512(JP,A)
【文献】特開平11−004368(JP,A)
【文献】特開2000−059656(JP,A)
【文献】特開平05−284393(JP,A)
【文献】実開平06−077375(JP,U)
【登録日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【発行日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年4月18日(2000.4.18)
【公開番号】特開2001−309211(P2001−309211A)
【公開日】平成13年11月2日(2001.11.2)
【審査請求日】平成12年9月5日(2000.9.5)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【参考文献】
【文献】特開平06−054238(JP,A)
【文献】特開平07−177398(JP,A)
【文献】特開平08−023461(JP,A)
【文献】特開平04−270571(JP,A)
【文献】特開平11−146248(JP,A)
【文献】特開平10−336512(JP,A)
【文献】特開平11−004368(JP,A)
【文献】特開2000−059656(JP,A)
【文献】特開平05−284393(JP,A)
【文献】実開平06−077375(JP,U)
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