説明

電子タグ読取り制御装置、電子タグ読取り制御方法、および電子タグ読取り制御プログラム

【課題】ベルトコンベア等の搬送機構上を搬送される搬送中物品(が付帯する電子タグ)に対し、複数のリーダライタ等を連動させて確実な読取り処理を実行する。
【解決手段】搬送中物品30に対する読取り処理を行った所定のリーダライタ150から搬送中物品30に付帯した電子タグ10に対する読取り結果を受信する結果取得手段110と、前記読取り結果が含むタグIDを制御方法データベース125にて照合し制御内容を特定する制御内容特定手段111と、前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタ150のIDを順序データベース126にて照合し、前記所定のリーダライタ150の次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する次リーダライタ特定手段112とから電子タグ読取り制御装置100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タグ読取り制御装置、電子タグ読取り制御方法、および電子タグ読取り制御プログラムに関し、具体的には、ベルトコンベア等の搬送機構上を搬送される搬送中物品(が付帯する電子タグ)に対し、複数のリーダライタ等を連動させて確実な読取り処理を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トレーサビリティへの適用等で、電子タグが注目されている。電子タグの活用例として位置検出システムがある。この電子タグ位置検出方法として、複数のアンテナを使用したり、リーダ・ライタの送受信レベル、または、電子タグの送受信レベルを変更することで位置を確認する方法が提案されている。例えば、IDタグの配置位置の検出が可能で、アプリケーションの利用用途を拡大することが可能IDタグシステムを構築することを課題とした、複数の位置にそれぞれ配置され、各位置に関連するデータが書込まれ、データの書込みおよび読出しを行う無線通信に関し、無線通信距離可変の機能を備える該複数個のIDタグと、各IDタグに書込まれているデータの収集を行う無線通信に関し、無線通信距離可変の機能を備え、かつ指向性を有する無線通信が可能で、該指向性に基づき、データ収集の相手となるIDタグの配置方向を検出可能なデータ収集手段とを含むことを特徴とするIDタグシステム(特許文献1参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2004−348559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、SCM(サプライチェーンマネジメント)や物流での用途が期待されているRFID(特にUHF帯対応のもの)では、ゲート通過時の読取り機(リーダ)での読み落としの発生が実導入や実用上の大きな課題となっている。また、現在、多くのメーカから、多種多様な電子タグが市場に提供されているが、これらの電子タグはそれぞれ通信性能が異なる。また、同一の電子タグであっても、貼り付け対象物によって、通信性能が変化する。しかも、こうした電子タグが商品に添付され、この商品が様々な態様で複数、または単数で搬送される状況も生じている。
【0004】
こうした状況下では、搬送経路に設置されたリーダライタが搬送中物品に対する読取り動作を単純に行っても、ある場所Aのリーダライタでは搬送中物品Aを認識できたが、前記場所Aより搬送経路下流の場所Bのリーダライタでは、前記搬送中物品Aに続いて搬送されてくるはずの搬送中物品Bについて認識できなかったということも起こりうる。または、場所Aで認識された搬送中物品Aは所定個数のセットで搬送されてくるはずであるのに、前記場所Aや場所Bで認識できたのは前記所定個数以下のものだけであったということも起こりうる。そのため、現在、電子タグの読み取り率向上の必要性が叫ばれ、その要求が高まっている。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、ベルトコンベア等の搬送機構上を搬送される搬送中物品(が付帯する電子タグ)に対し、複数のリーダライタ等を連動させて確実な読取り処理を実行する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子タグ読取り制御装置は、電子タグを付帯した搬送中物品に対する、電子タグの読取り制御を行うコンピュータであり、電子タグの読取り処理を実行する複数のリーダライタと通信を行う通信装置と、電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベースと、前記搬送中物品の搬送経路に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベースと、を格納した記憶装置と、搬送中物品に対する読取り処理を行った所定のリーダライタから、前記搬送中物品に付帯した電子タグに対する読取り結果を受信する、結果取得手段と、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、該当する制御内容を特定する、制御内容特定手段と、前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタのIDを、前記順序データベースにて照合し、前記所定のリーダライタの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する、次リーダライタ特定手段と、前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信する、制御指示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記電子タグ読取り制御装置において、前記記憶装置が、電子タグに対する前記リーダライタの読取り結果を記憶する履歴データベースを備え、前記制御内容特定手段は、前記読取り結果が含むタグIDを前記履歴データベースに照合し、前記所定のリーダライタより読取り処理の実行順序が前のリーダライタからの読取り結果において、同じタグIDが含まれていた場合、制御内容の特定処理を実行しないものである、としてもよい。
【0008】
また、前記電子タグ読取り制御装置において、前記制御方法データベースが、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであり、前記制御内容特定手段は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に該当する制御内容を特定するものであるとしてもよい。
【0009】
また、前記電子タグ読取り制御装置において、前記制御方法データベースが、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に属する各電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであり、前記制御内容特定手段は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に含まれる前記タグID以外の他タグIDに関する制御内容を特定するものであり、前記制御指示手段は、前記次リーダライタに対し、前記特定した前記他タグIDに関する制御内容に対応する制御指示を送信するものである、としてもよい。
【0010】
また、前記電子タグ読取り制御装置において、前記通信装置が、前記搬送中物品を搬送する搬送機構の制御装置とも通信を行うものであり、前記次リーダライタに対する制御内容に所定項目に関する情報が含まれていた場合、搬送機構における搬送速度を現在速度より所定値だけ低下させる制御指示を前記搬送機構の制御装置に送信し、前記次リーダライタからの電子タグに対する読取り結果が得られた場合に、前記搬送機構における搬送速度を前記現在速度に復帰させる制御指示を前記搬送機構の制御装置に送信する、搬送制御手段を備える、としてもよい。
【0011】
また、本発明の電子タグ読取り制御方法は、電子タグを付帯した搬送中物品に対する、電子タグの読取り制御を行うコンピュータが、電子タグの読取り処理を実行する複数のリーダライタと通信を行う通信装置と、電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベースと、前記搬送中物品の搬送経路に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベースと、を格納した記憶装置と、演算装置とを備えて、搬送中物品に対する読取り処理を行った所定のリーダライタから、前記搬送中物品に付帯した電子タグに対する読取り結果を受信する、結果取得処理と、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、該当する制御内容を特定する、制御内容特定処理と、前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタのIDを、前記順序データベースにて照合し、前記所定のリーダライタの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する、次リーダライタ特定処理と、前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信する、制御指示処理と、を実行することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電子タグ読取り制御プログラムは、電子タグを付帯した搬送中物品に対する、電子タグの読取り制御を行うべく、電子タグの読取り処理を実行する複数のリーダライタと通信を行う通信装置と、電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベースと、前記搬送中物品の搬送経路に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベースと、を格納した記憶装置と、演算装置とを備えるコンピュータに、搬送中物品に対する読取り処理を行った所定のリーダライタから、前記搬送中物品に付帯した電子タグに対する読取り結果を受信するステップと、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、該当する制御内容を特定するステップと、前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタのIDを、前記順序データベースにて照合し、前記所定のリーダライタの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得するステップと、前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0013】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ベルトコンベア等の搬送機構上を搬送される搬送中物品(が付帯する電子タグ)に対し、複数のリーダライタ等を連動させて確実な読取り処理が実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態における電子タグ読取り制御装置100の構成図であり、図2は本実施形態における搬送経路におけるゲートの設置態様を示す図である。本実施形態における電子タグ読取り制御装置100(以下、装置100)は、電子タグ10を付帯した搬送中物品30に対する、電子タグ10の読取り制御を行うコンピュータ装置である。前記装置100は、電子タグ10のリーダライタ150とネットワーク140を通じて通信し、このリーダライタ150に対して前記電子タグ10の読取り制御指示を行う。或いは前記装置100が、電子タグ10のリーダライタ150を一体に備える状況も想定できる。
【0016】
また、前記リーダライタ150は、図2に示す如く、段ボールなど搬送中物品30が搬送されているベルトコンベア等の搬送経路31の所定箇所毎にアンテナ160を備えるものであり、本実施形態では搬送経路上のアンテナ用第1ゲート32aに第1アンテナ160a、前記アンテナ用第1ゲート32aより搬送経路で下流側にあたるアンテナ用第2ゲート32bに第2アンテナ160bが備わる形態を想定する。各アンテナ160a、160bは、それぞれのアンテナ用ゲート32a、32bに備わる3つのアンテナの総称とし、それぞれリーダライタ150a、リーダライタ150bに接続されている。勿論、こうしたアンテナ用ゲートおよびアンテナの設置形態はあくまで一例であり、適用状況に応じて種々変更可能である。また、各アンテナ用ゲート32に設置すべきアンテナ数と、リーダライタ150が制御可能な最大アンテナ数とに応じて、前記リーダライタ150の必要数は決定できる。従って、2つのアンテナ用ゲートにそれぞれ3つのアンテナを設置し、リーダライタ150の制御可能な最大アンテナ数が3個であった場合、各アンテナ用ゲート毎に1台ずつリーダライタ150を設置する必要がある。
【0017】
また、前記ベルトコンベア等の搬送経路31は、例えば、ベルト駆動用のモータや経路変更用のシリンダ(経路分岐時に搬送中物品や経路自体を移動させる)といった機械的動作を担う搬送機構40により稼働しており、更にこの搬送機構40は、前記モータやシリンダの稼働状態データ(モータ回転速度やシリンダの伸長値など)を適宜なセンサから得て搬送速度の増減や搬送経路の変更をコントロールする制御装置41(勿論、必要なプログラムを記憶装置に備えて演算装置で実行するコンピュータ装置である)により管理されている。この搬送機構40の制御装置41は、前記ネットワーク140に接続されており、前記装置100と通信可能な通信手段も備えているものとする。
【0018】
前記搬送中物品30は、こうした制御装置41によりコントロールされている前記搬送機構40により稼働している前記搬送経路31上を、例えば、製品製造ラインや商品出荷ラインの上流から下流に搬送されていく。従って、前記装置100は搬送経路31上を流れていく搬送中物品30(の付帯する電子タグ10)に対するリーダライタ150の読取り動作を制御することとなる。
【0019】
こうした前記装置100は、本発明の電子タグ読取り制御方法を実行する機能を実現すべく不揮発性メモリなどの記憶装置101に格納されたプログラム102をメモリ103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。また、前記装置100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種ボタン類などの入力インターフェイス105や、LEDやディスプレイなどの出力インターフェイス106、ならびに前記リーダライタ150や搬送機構40の制御装置41との間の通信を担う通信装置107を有している。
【0020】
続いて、前記装置100が例えばプログラム102に基づき構成・保持する手段につき説明を行う。なお、前記装置100は、記憶装置101において、電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベース125と、前記搬送中物品30の搬送経路31に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベース126と、電子タグ10に対する前記リーダライタ150の読取り結果を記憶する履歴データベース127とを利用可能である。
【0021】
こうした前記装置100は、搬送中物品30に対する読取り処理を行った所定のリーダライタ150から、前記搬送中物品30に付帯した電子タグ10に対する読取り結果を受信する、結果取得手段110を備える。
【0022】
また、前記装置100は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベース125にて照合し、該当する制御内容を特定する、制御内容特定手段111を備える。
【0023】
また、前記装置100は、前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタ150のIDを、前記順序データベース126にて照合し、前記所定のリーダライタ150の次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する、次リーダライタ特定手段112を備える。
【0024】
また、前記装置100は、前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信する、制御指示手段113を備える。
【0025】
なお、前記制御内容特定手段111は、前記読取り結果が含むタグIDを前記履歴データベース127に照合し、前記所定のリーダライタ150より読取り処理の実行順序が前のリーダライタからの読取り結果において、同じタグIDが含まれていた場合、制御内容の特定処理を実行しないものである、としてもよい。
【0026】
また、前記制御方法データベース125が、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであるとしてもよい。この場合、前記制御内容特定手段111は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベース125にて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に該当する制御内容を特定する。
【0027】
また、前記制御方法データベース125が、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に属する各電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであるとしてもよい。この場合、前記制御内容特定手段111は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に含まれる前記タグID以外の他タグIDに関する制御内容を特定する。また、前記制御指示手段113は、前記次リーダライタに対し、前記特定した前記他タグIDに関する制御内容に対応する制御指示を送信する。
【0028】
また、前記装置100は、前記次リーダライタに対する制御内容に所定項目に関する情報が含まれていた場合、搬送機構40における搬送速度を現在速度より所定値だけ低下させる制御指示を前記搬送機構40の制御装置41に送信し、前記次リーダライタからの電子タグに対する読取り結果が得られた場合に、前記搬送機構40における搬送速度を前記現在速度に復帰させる制御指示を前記搬送機構40の制御装置41に送信する、搬送制御手段114を備えるとしてもよい。
【0029】
次に、前記搬送中物品30に付帯する電子タグ10について説明する。前記電子タグ10は、CPU14、RAM13、ROM11(チップIDを格納)、EEPROM12により構成されるICチップ20と、このICチップ20を収容するモールド21、およびモールド21に配置されるアンテナ22、無線通信インターフェイス23(通信装置)とからなる。そして、リーダライタ150から発信される電波を前記アンテナ22で受信し、この受信電波から電力・クロック信号とデータを受け取る。また、こうして得た電力により回路を起動させ、前記ROM11に格納されているチップID等を電波として前記リーダライタ150に返信する。
【0030】
なお、これまで示した装置100における各機能部110〜114は、ハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、前記CPU104がプログラム実行に合わせて記憶装置101より該当プログラムをメモリ103に読み出して、これを実行することとなる。
【0031】
また、前記ネットワーク140に関しては、電子タグの通信プロトコルに沿ったネットワークを想定する。
【0032】
−−−テーブル構造例−−−
次に、本実施形態における装置100や電子タグ10が利用するテーブルの構造について説明する。図3は本実施形態における、(a)制御方法データベース125、(b)順序データベース126、(c)履歴データベース127の各データ構造例を示す図である。
【0033】
前記制御方法データベース125は、電子タグ10のタグIDと、該当電子タグ10に対する読取り処理にあたってのリーダライタ150の制御内容とを対応付けたデータベースである。この制御方法データベース125は、例えば、電子タグ10の属性ID(単数の場合と、複数のID群の場合がありうる)をキーとして、該当電子タグ(群)の属性内容、備考、搬送形態(搬送中物品が複数の場合の似姿、単体か複数個セットか)、およびリーダライタ150およびアンテナ160の制御内容といった情報を対応付けたレコードの集合体となっている。図に示す例では、前記属性内容として、電子タグ10の貼付対象の情報、例えば、金属、プラスティック、紙、といった情報をあげている。またこうした属性内容に応じて考慮すべき備考として、電子タグ10に対するアンテナ160の読取り位置や距離の既定を定めている。更に、前記制御内容としては、前記属性内容や備考に応じた、アンテナと電子タグ10との距離、アンテナ角度、電波の照射回数、アンテナ位置、アンテナ特性(利得、受信感度、偏波特性など)の制御データが設定されている。
【0034】
また、前記順序データベース126は、前記搬送中物品30の搬送経路31に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述したデータベースである。この順序データベース126は、例えば、搬送経路のIDをキーとして、搬送経路の最初に設けられた第1のゲート32にアンテナ160を接続しているリーダライタ150のID、その次に設けられたゲート32にアンテナ160を接続しているリーダライタ150のID、・・・搬送経路の最後に設けられたゲート32にアンテナ160を接続しているリーダライタ150のIDといった情報を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0035】
また、前記履歴データベース127は、前記電子タグ10に対する前記リーダライタ150の読取り結果を記憶するデータベースであり、例えば、読取りを行ったリーダライタ150のIDをキーとして、読み取った電子タグ10のタグID、読取り日時といった情報を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0036】
−−−処理フロー例−−−
以下、本実施形態における電子タグ読取り制御方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する電子タグ読取り制御方法に対応する各種動作のうち前記装置100に関するものは、前記装置100がメモリ103に読み出して実行するプログラム102によって実現される。そしてこのプログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0037】
図4は、本実施形態の電子タグ読取り制御方法の処理手順例を示す図である。上述したような搬送経路31上を搬送中物品30が流れている状況を想定する。搬送中物品30が搬送経路31上を流れていく形態として、例えば、いくつかの種類の物がランダムに前記アンテナ用ゲート32を通過する場合、搬送中物品30が単品だけでなく複数個のセットである場合、搬送中物品30が複数個セットの場合であり同種だけでなく多種混載のセットである場合、などが様々に想定できる。こうした状況で、前記搬送経路31上を搬送中物品30が次々に搬送されており、前記アンテナ用ゲート32に備わるアンテナ160が前記リーダライタ150からの指示を受けて搬送中物品30(に付帯の電子タグ10)に対する読取り処理を実行している。
【0038】
そこで、前記装置100の結果取得手段110は、搬送中物品30に対する読取り処理を行った所定のリーダライタ150、例えば、図2におけるリーダライタ150aから、前記搬送中物品30に付帯した電子タグ10に対する読取り結果(=タグID)を受信する(s100)。このリーダライタ150aは、アンテナ用第1ゲート32aにアンテナ160aを備えるものであるから、前記タグIDを格納した電子タグ10を付帯した搬送中物品30は、前記アンテナ用第1ゲート32aを通過したことになる。
【0039】
前記結果取得手段110が前記リーダライタ150aから受信した読取り結果はタグIDであり、例えば、“001”なるタグIDであったとする。この“001”なるタグIDのデータについては、前記履歴データベース127において前記リーダライタ150aのID(例:“R001”)に対応付けて日時情報と共に格納していく(s101)。
【0040】
一方、前記アンテナ用第1ゲート32aを通過した搬送中物品30は、そのまま搬送経路31上を下流側に搬送されていく。
【0041】
また、前記装置100の制御内容特定手段111は、前記読取り結果が含むタグID“001”を前記履歴データベース127に照合し、前記リーダライタ150aより読取り処理の実行順序が前のリーダライタからの読取り結果有無を確認する(s102)。そして前記実行順序が前のリーダライタからの読取り処理結果が前記履歴データベース127に格納されており、その読取り処理結果に前記タグID“001”が含まれていた場合(s103:Yes)、制御内容の特定処理を実行せず、次のリーダライタ150からの読取り処理結果を待つ待機状態となり、処理をステップs108に移す。これは、前記リーダライタ150aより実行順序が前のリーダライタからの読取り処理結果に応じて、前記リーダライタ150aより下流側のリーダライタに対して、既に制御内容を指示済みであるから、制御内容の特定や指示の処理の重複を回避するのである。
【0042】
こうした、リーダライタから受け取ってタグIDの既登録について履歴データベース127にて確認する場合、確認対象が複数個セットのタグIDであれば、処理に工夫を行うと効率化が図りやすい。例えばこの時、前記制御内容特定手段111は、タグIDのグループA(リーダライタ150aから直近で取得したタグID群)と、履歴データベース127にて前記リーダライタ150aからの取得が確認されたグループBとを比較するとする。なお、グループAは、タグIDが「B、A、B」から構成され、グループBは、タグIDが「B、A、A」から構成されるとする。この時、前記制御内容特定手段111は、前記グループAの中で一番数の少ないタグIDを選出する。この例ではタグID“A”にあたる。そして、このタグID“A”について、前記グループBを構成するタグIDのうち、“A”についてカウントする。すると、該当数が“2”であり、前記グループらは異なる構成のものであることが1回で判明する。
【0043】
ここで前記ステップs103の説明に戻る。一方、前記実行順序が前のリーダライタからの読取り処理結果が前記履歴データベース127に格納されていないか、格納されていてもその読取り処理結果に前記タグID“001”が含まれていなかった場合(s103:No)、前記制御内容特定手段111は、前記読取り結果が含むタグID“001”を前記制御方法データベース125にて照合し、該当する制御内容を特定する(s104)。
【0044】
前記タグID“001”を前記制御方法データベース125に照合した場合、タグ“001”が2個、つまり2個セットになった搬送中物品30が搬送されるケースが検索できる。ただし、前記アンテナ用第1ゲート32aでは、タグID“001”が1つのみ読み取られている。そこで、前記制御内容特定手段111は、前記ケースに対応する制御内容(アンテナ距離:50cm、アンテナ角度:45度、電波の照射回数:5回、アンテナ位置:経路直上(搬送形態が“縦積み”のため)、アンテナ特性:直線偏波)を特定できる。
【0045】
なお、前記制御方法データベース125が、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に属する各電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであるとしてもよい。この場合、前記制御内容特定手段111は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に含まれる前記タグID以外の他タグIDに関する制御内容を特定する。例えば、タグID“002”を含むタグID群について、前記制御内容特定手段111が前記制御方法データベースにてタグID群“002”、“003”を特定したとする。また、図3の例では図示していないが、各タグID“002”、“003”毎の制御内容もこの制御方法データベース125に格納されているとする。この時、前記制御内容特定手段111は、前記タグID群に含まれる前記タグID“002”以外の他タグID“003”に関する制御内容を特定する。つまり、既にタグID“002”については読み取れているが、一緒に搬送されているはずのタグID“003”が読み取られていないから、前記リーダライタ150aより下流のリーダライタに対して、このタグID“003”に応じた制御内容を指示するのである。
【0046】
また、複数個のタグがセットになった、つまり、複数個の搬送中物品30がセットになって搬送されるケースが複数通り検索された場合、各ケースに対応する各制御内容の項目間で、電子タグ10の読取り条件が最も簡便なものを選択し、制御内容の特定としてもよい。図3の例で、例えば、タグ“003”を属性IDに含むケースは、タグ“002”、“003”のセットと、タグ“003”の2ケースがある。前記リーダライタ150aから得たタグIDが“003”の1つのみであった場合、前記2ケースに対応する制御内容間の各項目について、読取り条件が優しいもの、つまり、アンテナ距離:100cm、アンテナ角度:上下に移動、電波の照射回数:10回、アンテナ位置:経路側面と経路直上の両方、アンテナ特性:直線偏波といった制御内容を特定することとできる。
【0047】
ここで、前記ステップs104以後の説明に戻る。前記装置100の次リーダライタ特定手段112は、前記リーダライタ150aから得た読取り結果が含む前記リーダライタ150aのID“R001”を、前記順序データベース126にて照合し、前記リーダライタ150aの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する(s105)。図3(b)の例であれば、リーダライタID“R001”なるリーダライタ150aの次に読取り処理を実行するのは、リーダライタID“R002”なるリーダライタである(読取り処理結果にはリーダライタが予め認識している搬送経路のIDも含まれているものとする)。このリーダライタは、図2の例であれば、アンテナ用第2ゲート32bのアンテナ160bリーダライタ150bに相当する。
【0048】
次に、前記装置100の制御指示手段113は、前記次リーダライタ“R002”に対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信する(s106)。前記アンテナ用第1ゲート32aを通過して搬送継続中であった前記搬送中物品30に対して、装置100が次なるリーダライタ150bによる読取り処理を指示したことになる。前記次リーダライタ150bは、前記搬送中物品30に対する読取り処理を、前記制御指示手段113からの制御指示に応じて実行し、タグIDの読取りを行うこととなる。この次リーダライタ150bによる読取り処理は、前記リーダライタ150aでの読取り処理結果を受けて、前記アンテナ用第1ゲート32aで読み取れていないおそれのある搬送中物品30を装置100が推定し、この推定に応じた読取り動作の内容で実行される。従って、少なくとも前記アンテナ用第1ゲート32aでの通過時よりは高い確率でタグ読取りに成功すると思量される。
【0049】
なお、前記装置100は、リーダライタ150での読取りを行う際の、リーダライタ150の制御内容をコントロールするだけでなく、前記搬送機構40の搬送状況を変化させることもできる。この場合、前記装置100の搬送制御手段114は、前記次リーダライタ150bに対する制御内容に所定項目に関する情報が含まれていた場合、搬送機構40における搬送速度を現在速度より所定値だけ低下させる制御指示を前記搬送機構40の制御装置41に送信する(s107)。なお、前記次リーダライタ150bに対する制御内容に所定項目に関する情報が含まれていた場合とは、例えば、制御方法データベース125において、電子タグ10やアンテナ160あるいはリーダライタ150の性能などにより、「読取り時に低速要」などのフラグが設定されている場合などを想定する。また、前記搬送機構40の速度制御用の命令書式が予め前記装置100の記憶装置101に記憶されており、前記搬送制御手段114は前記命令書式に例えば、減速値を設定して制御指示データを生成し、搬送機構40の制御装置41に送信する。
【0050】
また、前記搬送制御手段114は、前記次リーダライタ150bからの電子タグに対する読取り結果が得られた場合に、前記搬送機構40における搬送速度を前記現在速度に復帰させる制御指示を前記搬送機構40の制御装置41に送信する(s108)。この、搬送速度を前記現在速度に復帰させる制御指示のデータは、例えば、前記命令書式に設定した減速値を記憶装置101に記憶しておき、この減速値分と同じ値の増速値を命令書式に設定して生成すればよい。このような搬送機構40とも連動して読取り動作を確実なものとすることで、前記アンテナ用第1ゲート32aでの通過時には読み取りきれなかった搬送中物品30についても前記アンテナ用第2ゲート32bでの通過時には読み取れる可能性がより高まることとなる。
【0051】
本実施形態によれば、ベルトコンベア等の搬送機構上を搬送される搬送中物品(が付帯する電子タグ)に対し、複数のリーダライタ等を連動させて確実な読取り処理が実行できる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態における電子タグ読取り制御装置を含むネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態における搬送経路におけるゲートの設置態様を示す図である。
【図3】本実施形態における、(a)制御方法データベース125、(b)順序データベース126、(c)履歴データベース127の各データ構造例を示す図である。
【図4】本実施形態の電子タグ読取り制御方法の処理手順例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 電子タグ
11 ROM
12 EEPROM
13 RAM
14 CPU
20 ICチップ
21 モールド
22 (電子タグの)アンテナ
23 無線通信インターフェイス
30 搬送中物品
31 搬送経路
32 アンテナ用ゲート
40 搬送機構
41 制御装置
100 電子タグ読取り制御装置
11、101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 CPU
105 入力インターフェイス
106 出力インターフェイス
107 通信装置
110 結果取得手段
111 制御内容特定手段
112 次リーダライタ特定手段
113 制御指示手段
114 搬送制御手段
125 制御方法データベース
126 順序データベース
127 履歴データベース
140 ネットワーク
150 リーダライタ
160 (リーダライタの)アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タグを付帯した搬送中物品に対する、電子タグの読取り制御を行うコンピュータであり、
電子タグの読取り処理を実行する複数のリーダライタと通信を行う通信装置と、
電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベースと、
前記搬送中物品の搬送経路に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベースと、を格納した記憶装置と、
搬送中物品に対する読取り処理を行った所定のリーダライタから、前記搬送中物品に付帯した電子タグに対する読取り結果を受信する、結果取得手段と、
前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、該当する制御内容を特定する、制御内容特定手段と、
前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタのIDを、前記順序データベースにて照合し、前記所定のリーダライタの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する、次リーダライタ特定手段と、
前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信する、制御指示手段と、
を備えることを特徴とする電子タグ読取り制御装置。
【請求項2】
前記記憶装置が、電子タグに対する前記リーダライタの読取り結果を記憶する履歴データベースを備え、
前記制御内容特定手段は、前記読取り結果が含むタグIDを前記履歴データベースに照合し、前記所定のリーダライタより読取り処理の実行順序が前のリーダライタからの読取り結果において、同じタグIDが含まれていた場合、制御内容の特定処理を実行しないものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タグ読取り制御装置。
【請求項3】
前記制御方法データベースが、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであり、
前記制御内容特定手段は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に該当する制御内容を特定するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子タグ読取り制御装置。
【請求項4】
前記制御方法データベースが、複数の電子タグに関するタグID群と、該当電子タグ群に属する各電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けたものであり、
前記制御内容特定手段は、前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、前記タグIDが含まれるタグID群を特定し、このタグID群に含まれる前記タグID以外の他タグIDに関する制御内容を特定するものであり、
前記制御指示手段は、前記次リーダライタに対し、前記特定した前記他タグIDに関する制御内容に対応する制御指示を送信するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子タグ読取り制御装置。
【請求項5】
前記通信装置が、前記搬送中物品を搬送する搬送機構の制御装置とも通信を行うものであり、
前記次リーダライタに対する制御内容に所定項目に関する情報が含まれていた場合、搬送機構における搬送速度を現在速度より所定値だけ低下させる制御指示を前記搬送機構の制御装置に送信し、前記次リーダライタからの電子タグに対する読取り結果が得られた場合に、前記搬送機構における搬送速度を前記現在速度に復帰させる制御指示を前記搬送機構の制御装置に送信する、搬送制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子タグ読取り制御装置。
【請求項6】
電子タグを付帯した搬送中物品に対する、電子タグの読取り制御を行うコンピュータが、
電子タグの読取り処理を実行する複数のリーダライタと通信を行う通信装置と、
電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベースと、前記搬送中物品の搬送経路に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベースと、を格納した記憶装置と、演算装置とを備えて、
搬送中物品に対する読取り処理を行った所定のリーダライタから、前記搬送中物品に付帯した電子タグに対する読取り結果を受信する、結果取得処理と、
前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、該当する制御内容を特定する、制御内容特定処理と、
前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタのIDを、前記順序データベースにて照合し、前記所定のリーダライタの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得する、次リーダライタ特定処理と、
前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信する、制御指示処理と、
を実行することを特徴とする電子タグ読取り制御方法。
【請求項7】
電子タグを付帯した搬送中物品に対する、電子タグの読取り制御を行うべく、電子タグの読取り処理を実行する複数のリーダライタと通信を行う通信装置と、電子タグのタグIDと、該当電子タグに対する読取り処理にあたってのリーダライタの制御内容とを対応付けた制御方法データベースと、前記搬送中物品の搬送経路に沿って設けられたリーダライタ群における、リーダライタ間での読取り処理の実行順序を記述した順序データベースと、を格納した記憶装置と、演算装置とを備えるコンピュータに、
搬送中物品に対する読取り処理を行った所定のリーダライタから、前記搬送中物品に付帯した電子タグに対する読取り結果を受信するステップと、
前記読取り結果が含むタグIDを前記制御方法データベースにて照合し、該当する制御内容を特定するステップと、
前記読取り結果が含む前記所定のリーダライタのIDを、前記順序データベースにて照合し、前記所定のリーダライタの次に読取り処理を実行する次リーダライタの情報を取得するステップと、
前記次リーダライタに対し、前記特定した制御内容に対応する制御指示を送信するステップと、
を実行させる電子タグ読取り制御プログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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