説明

電子パネル

【課題】有機材料層に電圧を印加したり、有機材料層によって電位差が生じたりする電極に接続された配線が、樹脂材料に導電性材料が含有されたものから構成された場合であっても、有機材料層が設けられた領域に水分や空気が入り込んでしまうことを防止する。
【解決手段】カソード電極61a,61bに電圧を印加するための配線62a,62bが、樹脂バインダーに導電性材料が含有された導電ペーストによって形成されているものの、この配線62a,62bが、バリア層40a,40bによる封止領域内にて断線部分63a,63bを有し、この断線部分63a,63bが、ITOからなる導通部53a,53bによって接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子表示パネルや太陽電池等の発光/発電機能を有する有機材料を封止してなる電子パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する表示装置として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。これらの表示装置は、それぞれ一長一短を有しており、例えば、CRTディスプレイは、視野角が広いものの奥行きサイズが厚く、また、液晶ディスプレイは、奥行きサイズが薄いものの視野角が狭く、また、プラズマディスプレイは、視野角が広く奥行きサイズが薄いものの消費電力が多い。
【0003】
近年、上述したような表示装置に加えて、デジタル情報を紙のように薄い表示媒体に表示する薄型の電子表示パネルが普及しはじめている。このような薄型の電子表示パネルは、互いに対向する2つの電極間に、電極に電圧が印加されると発光する有機材料を配置し、この有機材料の発光によって情報を表示するものである。そして、紙のように薄いために携帯がしやすいとともに、消費電力が少なく、また視野角が広いことから、今後のさらなる普及が予想される。
【0004】
ところが、このような電子表示パネルにおいては、有機材料の発光特性が酸素や水分によって劣化するため、それに伴って表示性能も劣化してしまう。そこで、基板上の有機材料が積層された領域をシール材によって封止する技術が特許文献1に開示されている。この技術においては、金属からなる電極及び配線が形成された基板上の領域のうち、有機材料が積層された領域がシール材によって封止されており、それにより、基板上の有機材料が積層された領域に侵入する空気や水分を低減することができ、表示性能の劣化を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−183209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように電極及び配線が形成された基板上にシール材によって封止を施す場合、配線上にシール材を配置することになるが、配線を構成する材料が、導電ペーストのように樹脂バインダーに導電性材料が含有してなるものである場合、シール材によって封止を施していても、水分や空気がこの配線を伝って封止された領域に入り込んでしまい、表示性能が劣化してしまうという問題点がある。また、有機材料が積層された領域をシール材によって封止するだけであるため、有機材料が積層された領域の封止が十分であるとは言い難く、そのため、上述したように、配線を構成する材料が、導電ペーストのように樹脂バインダーに導電性材料が含有してなるものである場合、水分や空気が封止された領域に入り込んでしまい、表示性能が劣化してしまうことになる。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、有機材料層に電圧を印加したり、有機材料層によって電位差が生じたりする電極に接続された配線が、樹脂材料に導電性材料が含有されたものから構成された場合であっても、有機材料層が設けられた領域に水分や空気が入り込んでしまうことを防止できる電子パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
金属化合物から構成された第1の電極及びそれに接続された第1の配線からなる第1の導電層と、樹脂材料に導電性材料が含有されたものから構成された第2の電極及びそれに接続された第2の配線からなる第2の導電層と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟み込まれた有機材料層と、前記第1及び第2の電極、並びに前記有機材料層を封止する封止層とを有し、前記第1及び第2の配線から前記第1及び第2の電極を介して前記有機材料層に電圧が印加され、または、前記有機材料層によって前記第1の電極と前記第2の電極との間に生じた電位差が前記第1及び第2の配線を介して取り出される電子パネルにおいて、
前記第2の配線は、前記封止層による封止領域内にて断線部分を有し、該断線部分が前記第1の導電層によって接続されていることを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、第1及び第2の電極と、これら第1の電極と第2の電極とに挟み込まれた有機材料層とが、封止層によって封止されて構成されている。第1及び第2の電極には、第1及び第2の電極を介して有機材料層に電圧を印加したり、有機材料層によって第1の電極と第2の電極との間に生じた電位差を取り出したりするための第1及び第2の配線がそれぞれ接続されているが、そのうち第2の配線が、樹脂材料に導電性材料が含有されたものから構成されているため、有機材料層が封止層によって封止されているものの、この第2の配線を伝って水分や空気が入り込み、有機材料層に付着してしまう。ところが、第2の配線が、封止層による封止領域内にて断線部分を有し、この断線部分が、第1の電極及び第1の配線を構成する金属化合物からなる第1の導電層によって接続されているので、外部から第2の配線を伝って空気や水分が入り込んだとしても、この断線部分にてその空気や水分が遮断され、有機材料層に付着することがない。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明においては、第1及び第2の電極を介して有機材料層に電圧を印加したり、有機材料層によって第1の電極と第2の電極との間に生じた電位差を取り出したりするための第1及び第2の配線のうち、第2の配線が、樹脂材料に導電性材料が含有されたものから構成されているものの、この第2の配線が、第1及び第2の電極、並びに有機材料層を封止する封止層による封止領域内にて断線部分を有し、この断線部分が、第1の電極及び第1の配線を構成する金属化合物からなる第1の導電層によって接続されているので、外部から第2の配線を伝って空気や水分が入り込んだとしても、この断線部分にてその空気や水分が遮断され、有機材料層に付着することがなく、有機材料層が設けられた領域に水分や空気が入り込んでしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による電子表示パネルの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したアノード電極を含む第1の導電層の構成を示す図、(d)は(b)に示したカソード電極を含む第2の導電層の構成を示す図、(e)は(a)に示したB−B’断面図である。
【図2】図1に示した電子表示パネルにおける配線の断線部分及び導通部による作用を説明するための図であり、(a)は配線の断線部分と導通部との位置関係を示す図、(b)は配線の断線部分における断面図、(c)は配線、導通部及びカソード電極からなる等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明による電子表示パネルの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したアノード電極51a,51bを含む第1の導電層の構成を示す図、(d)は(b)に示したカソード電極61a,61bを含む第2の導電層の構成を示す図、(e)は(a)に示したB−B’断面図である。
【0014】
本形態における電子表示パネルは図1に示すように、保護フィルム30の一方の面に、封止層であるバリア層40aと、第1の電極であるアノード電極51a,51bとが順次積層され、さらに、アノード電極51a,51b上には、有機材料層である有機EL発光層70a,70bと、第2の電極であるカソード電極61a,61bとが積層され、これらアノード電極51a,51b、有機EL発光層70a,70b及びカソード電極61a,61bを覆うように封止層であるバリア層40bが積層され、そのバリア層40bに表面シート20が積層されて構成されている。これにより、有機EL発光層70a,70bが、アノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとに挟み込まれた形状となっている。また、バリア層40a上には、アノード電極51a,51bとともに、導通部53a,53bと、アノード電極51a,51bにそれぞれ接続された第1の配線52a,52bとが積層されている。また、これらアノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53b、並びに有機EL発光層70a,70bが積層されたバリア層40aには、カソード電極61a,61bとともに、カソード電極61a,61bにそれぞれ接続された第2の配線62a,62bが積層されている。また、保護フィルム30の表面シート20とは反対側には、表面シート10が粘着剤層12によって接着されている。
【0015】
表面シート10は、アノード電極51a,51b、有機EL発光層70a,70b及びカソード電極61a,61bに対向する領域に、アノード電極51a,51b及びカソード電極61a,61bと略同一形状を有する窓部11a,11bが形成されている。この窓部11a,11bは、表面シート10が透明な材料から構成され、窓部11a,11b以外の領域が着色されることにより形成される。
【0016】
保護フィルム30は、透明なPEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等からなり、例えば、125μm程度の厚さを有する。
【0017】
表面シート20は、PETやPEN、あるいはアルミ等のフレキシブル性を有するものからなり、例えば、125μm程度の厚さを有する。
【0018】
バリア層40a,40bは、表面シート20及び保護フィルム30のそれぞれの一方の面の全面に積層されており、有機EL発光層70a,70bへの外部からの水分や酸素を遮断するものであって、例えば、窒化チタン、窒化酸化チタン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機物質と、感光性アクリル酸塩ポリマー等の有機物質との積層構造をなしており、1〜5μmの厚さを有する。これにより、アノード電極51a,51b、有機EL発光層70a,70b及びカソード電極61a,61bがバリア層40a,40bによって封止されている。なお、バリア層40a,40bとして粘着性を有するものを用いることにより、バリア層40a,40bどうし、また、バリア層40a,40bと表面シート20及び保護フィルム30とを接着することや、バリア層40a,40bに粘着層を新たに積層させ、この粘着層によって、バリア層40a,40bどうし、また、バリア層40a,40bと表面シート20及び保護フィルム30とを接着することが考えられる。
【0019】
アノード電極51a,51bは、それぞれ電子表示パネル1にて表示すべき情報を示す形状を有し、アノード電極51aは“T”、アノード電極51bは“F”の形状を有している。また、配線52a,52bは、その一端がアノード電極51a,51bに接続され、他端が、アノード電極51a,51bに電圧を印加するための端子(不図示)に接続されている。また、導通部53a,53bは、後述する配線62a,62bの断線部分63a,63bに対向する領域に設けられている。これらアノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53bは、透明な金属化合物からなるITO(Indium Tin Oxide)から構成され、保護フィルム30上に積層されたバリア層40a上に、例えば、1000〜1500Åの厚さを有して第1の導電層として積層されている。
【0020】
有機EL発光層70a,70bは、バリア層40a上に積層されたアノード電極52a,52b上に積層されており、厚さが、例えば、100〜1000nmであり、アノード電極52a,52b及びカソード電極61a,61bの形状よりも一回り大きな形状を有している。このように、有機EL発光層70a,70bの形状を、アノード電極52a,52b及びカソード電極61a,61bの形状よりも一回り大きな形状とすることにより、アノード電極52a,52b間、カソード電極61a,61b間、または、アノード電極52a,52bとカソード電極61a,61bとの間における電気的短絡を防止することができるようになる。有機EL発光層70a,70bは、ポリフェニレンビニレン等に代表されるπ共役系ポリマー、もしくは色素含有系ポリマーを有機溶媒に溶解させた溶液からなるものである。この有機溶媒としては、トルエン・キシレン・ジエチルベンゼン・クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、あるいはシクロヘキサノン等、環状炭化水素系溶媒の少なくとも1つからなるものが挙げられ、その中でも、有機溶媒はクロロベンゼンが好ましい。
【0021】
カソード電極61a,61bは、アノード電極52a,52b上に積層された有機EL発光層70a,70b上に積層されており、それぞれ、電子表示パネル1にて表示すべき情報を示す形状を有し、アノード電極52a,52bと同様に、カソード電極61aは“T”、カソード電極61bは“F”の形状を有している。また、配線62a,62bは、その一端がカソード電極61a,61bに接続され、他端が、カソード電極61a,61bに電圧を印加するための端子(不図示)に接続されており、この両端の間に、電気的に切断された断線部分63a,63bを有している。これらカソード電極61a,61b及び配線62a,62bは、アノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53b、並びに有機EL発光層70a,70bが積層されたバリア層40a上に、樹脂バインダー中に銀等の導電性材料が含有されてなる導電ペーストによって、例えば、1〜5μmの厚さを有して第2の導電層として積層されている。すなわち、断線部分63a,63bは、バリア層40a,40bにおける封止領域内に設けられていることになる。
【0022】
粘着剤層12は、表面シート10の窓部11a,11bに対向する領域には積層されていない。それにより、電子表示パネル1を表面シート10側から視認した場合、有機EL発光層70a,70bの発光による表示を視認することが可能となる。なお、粘着剤層12を透明な粘着剤から構成すれば、有機EL発光層70a,70bの発光による表示を視認可能としながらも、窓部11a,11bに対向する領域にも粘着剤層12を積層して表面シート10と保護フィルム30とをその全面で接着することができる。
【0023】
上記のように構成された電子表示パネル1においては、配線52a,52b,62a,62bを介して、アノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとに互いに異なる電圧が印加されると、アノード電極51a,51b及びカソード電極61a,61bに印加された電圧に応じた電圧が有機EL発光層70a,70bに印加され、それにより、有機EL発光層70a,70bが発光し、その発光によって情報“TF”が表示されることになる。
【0024】
以下に、上述した電子表示パネル1の製造方法について説明する。
【0025】
図1に示した電子表示パネル1を製造する場合は、まず、保護フィルム30の一方の面の全面にバリア層40a及びITOを順次積層する。そして、ITOをパターニングすることにより、バリア層40a上に、アノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53bを形成する。この際、ITOのパターンニングは、アノード電極51a,51bの形状が、上述したように、それぞれ、電子表示パネル1にて表示すべき情報である“T”、“F”となるように行われる。
【0026】
次に、バリア層40a上に形成されたアノード電極51a,51b上に、有機EL発光層70a,70bを積層する。なお、有機EL発光層70a,70bは、上述したように、アノード電極52a,52bの形状よりも一回り大きな形状となるように積層する。
【0027】
次に、アノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53b、並びに有機EL発光層70a,70bが積層されたバリア層40a上に、樹脂バインダー中に銀等の導電性材料が含有されてなる導電ペーストを用いた印刷によって、アノード電極51a,51bと同一の形状にカソード電極61a,61bを形成するとともに、断線部分63a,63bを有する配線62a,62bを形成する。なお、カソード電極61a,61bは、アノード電極51a,51bと重なるように有機EL発光層70a,70b上に形成するが、配線62a,62bは、アノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとが電気的に短絡しないようにするために配線52a,52bに重ならないように形成する必要がある。
【0028】
次に、アノード電極51a,51b、配線52a,52b、導通部53a,53b、有機EL発光層70a,70b、カソード電極61a,61b及び配線62a,62bが積層されたバリア層40a上の全面に、これらアノード電極51a,51b、配線52a,52b、導通部53a,53b、有機EL発光層70a,70b、カソード電極61a,61b及び配線62a,62bを覆うように、バリア層40bを積層する。
【0029】
その後、バリア層40b上に表面シート20を積層するとともに、保護フィルム30に粘着剤層12によって表面シート10を接着し、図1に示した電子表示パネル1が完成する。
【0030】
なお、上述した製造方法は、図1に示した電子表示パネル1の製造方法の一例であって、上述したように、バリア層40a上にアノード電極51a,51b、配線52a,52b、導通部53a,53b、有機EL発光層70a,70b、カソード電極61a,61b及び配線62a,62bを順次積層し、その後、このバリア層40a上の全面に、これらアノード電極51a,51b、配線52a,52b、導通部53a,53b、有機EL発光層70a,70b、カソード電極61a,61b及び配線62a,62bを覆うように、バリア層40bを積層しているが、バリア層40aが積層された保護フィルム30上に、アノード電極51a,51b、配線52a,52b、導通部53a,53b、有機EL発光層70a,70b、カソード電極61a,61b及び配線62a,62bを順次積層するとともに、表面シート20上にバリア層40bを積層し、これら保護フィルム30と表面シート20とをバリア層40a,40bが互いに対向するように接着することにより、図1に示した電子表示パネル1を製造することも考えられる。
【0031】
また、バリア層40aの全面に積層されたITOをパターンニングすることにより、バリア層40a上に、アノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53bを形成しているが、バリア層40aの全面に積層されたITOをパターンニングせずに、ITOのバリア層40aとは反対側の面のうち、アノード電極51a,51b、配線52a,52b及び導通部53a,53bとなる領域以外に絶縁層を積層することによって、アノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとが電気的に短絡しないようにすることも考えられる。
【0032】
以下に、上述した電子表示パネル1において、配線62a,62bに設けられた断線部分63a,63bと、この断線部分63a,63bに対向する領域に設けられた導通部53a,53bとによる作用について説明する。
【0033】
図2は、図1に示した電子表示パネル1における配線62a,62bの断線部分63a,63b及び導通部53a,53bによる作用を説明するための図であり、(a)は配線62a,62bの断線部分63a,63bと導通部53a,53bとの位置関係を示す図、(b)は配線62a,62bの断線部分63a,63bにおける断面図、(c)は配線62a,62b、導通部53a,53b及びカソード電極61a,61bからなる等価回路図である。
【0034】
上述したように、導通部53a,53bは、配線62a,62bの断線部分63a,63bに対向する領域に設けられているため、バリア層40a上に導通部53a,53b及び配線62a,62bを形成した場合、図2(a)に示すように、配線62a,62bの断線部分63a,63bが導通部53a,53bによってそれぞれ覆われた状態となり、この領域には、有機EL発光層70a,70bが設けられていないことから、図2(b)に示すように、配線62a,62bの断線部分63a,63bにおける端部と導通部53a,53bとが接触し、それにより、断線部分63a,63bが導通部53a,53bによって電気的に接続された状態となる。
【0035】
これにより、図2(c)に示すように、カソード電極61a,61bに電圧を印加するための端子64a,64bがそれぞれ、配線62a,62b及び導通部53a,53bを介してカソード電極61a,61bと電気的に接続された状態となる。
【0036】
ここで、カソード電極61a,61bに接続された配線62a,62bが、樹脂バインダーに導電性材料が含有された導電ペーストによって形成されているため、有機EL発光層70a,70bがバリア層40a,40bによって封止されているものの、この配線62a,62bを伝って水分や空気が入り込み、有機EL発光層70a,70bに付着してしまう。ところが、上述したように、カソード電極61a,61bに接続された配線62a,62bが、バリア層40a,40bによる封止領域内にて断線部分63a,63bを有し、この断線部分63a,63bが、ITOからなる第1の導電層を構成する導通部53a,53bによって接続されているので、外部から配線62a,62bを伝って空気や水分が入り込んだとしても、この断線部分63a,63bにてその空気や水分が遮断され、有機EL発光層70a,70bに付着することがなくなる。なお、導通部53a,53bにおいては、断線部分63a,63b側となる面にてバリア層40bに十分に接している必要があるため、断線部分63a,63bの長さは、例えば、3mm以上であることが好ましい。ただし、ITOはその抵抗値が高いことから、導通部53a,53bの幅を広くとれる場合は、導通部53a,53bの幅を広くすることが好ましい。
【0037】
このように本形態においては、カソード電極61a,61bに電圧を印加するための配線62a,62bが、樹脂バインダーに導電性材料が含有された導電ペーストによって形成されているものの、この配線62a,62bが、バリア層40a,40bによる封止領域内にて断線部分63a,63bを有し、この断線部分63a,63bが、ITOからなる第1の導電層を構成する導通部53a,53bによって接続されているので、有機EL発光層70a,70bが設けられた領域に水分や空気が入り込んでしまうことを防止できる。
【0038】
なお、本形態においては、電子パネルとして、アノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとの間に有機EL発光層70a,70bが挟み込まれて構成され、アノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとに配線52a,52b,62a,62bを介して互いに異なる電圧が印加されると、アノード電極51a,51b及びカソード電極61a,61bに印加された電圧に応じた電圧が有機EL発光層70a,70bに印加され、それにより、有機EL発光層70a,70bが発光し、その発光によって情報“TF”を表示する電子表示パネル1を例に挙げて説明したが、本発明の電子パネルとしては、太陽光等の光が照射された場合に自己発電する有機材料層をアノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとの間に挟み込み、有機材料層における自己発電によってアノード電極51a,51bとカソード電極61a,61bとの間に生じた電位差を配線52a,52b,62a,62bを介して取り出す太陽電池パネルにおいても適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 電子表示パネル
10,20 表面シート
11a,11b 窓部
12 粘着剤層
30 保護フィルム
40a,40b バリア層
51a,51b アノード電極
52a,52b,62a,62b 配線
53a,53b 導通部
61a,61b カソード電極
63a,63b 断線部分
64a,64b 端子
70a,70b 有機EL発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化合物から構成された第1の電極及びそれに接続された第1の配線からなる第1の導電層と、樹脂材料に導電性材料が含有されたものから構成された第2の電極及びそれに接続された第2の配線からなる第2の導電層と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟み込まれた有機材料層と、前記第1及び第2の電極、並びに前記有機材料層を封止する封止層とを有し、前記第1及び第2の配線から前記第1及び第2の電極を介して前記有機材料層に電圧が印加され、または、前記有機材料層によって前記第1の電極と前記第2の電極との間に生じた電位差が前記第1及び第2の配線を介して取り出される電子パネルにおいて、
前記第2の配線は、前記封止層による封止領域内にて断線部分を有し、該断線部分が前記第1の導電層によって接続されていることを特徴とする電子パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−175845(P2011−175845A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38818(P2010−38818)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】