電子ペン
【課題】媒体上に形成された筆跡を読み取る電子ペンの小型化を図る。
【解決手段】デジタルペン60は、媒体上に情報を描画するペンチップ69と、媒体に向けて光を出射する赤外LED63と、媒体からの反射光を受ける赤外CMOS64と、赤外LED63から出射される光を拡散させて媒体に向けて透過させるとともに、媒体からの反射光を赤外CMOS64へ導くための開口部が設けられる拡散板623aとを含む。
【解決手段】デジタルペン60は、媒体上に情報を描画するペンチップ69と、媒体に向けて光を出射する赤外LED63と、媒体からの反射光を受ける赤外CMOS64と、赤外LED63から出射される光を拡散させて媒体に向けて透過させるとともに、媒体からの反射光を赤外CMOS64へ導くための開口部が設けられる拡散板623aとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙等の媒体上に筆記された文字や図形等が電子データに変換され、それがパーソナルコンピュータや携帯電話等に転送されて、筆記内容が保存等される技術が注目されている。
例えば特許文献1では、次のような技術が記載されている。すなわち、表面にそれぞれ異なるパターンで形成された微細なドットが印刷された媒体と、例えば撮像素子が内蔵されたペンデバイスとを用い、ペンデバイスによりこの媒体上に筆記が行われると、筆記された文字や図形等の位置のドットパターンが撮像素子に読み込まれ、文字や図形等の位置(描画トレース)の位置座標が特定される。それにより、筆記された文字や図形等からなる電子文書の生成や、所定の電子文書への文字や図形等の付加等を行う。
また、例えば特許文献2では次のような技術が記載されている。即ち、手持ち器具の照明装置でペン先近傍のLEDから発せられる光で紙面を局所照明するには光分散部等の工夫が必要とある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−94907号公報
【特許文献1】特開2001−40922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、媒体上に形成された筆跡を読み取る電子ペンでは、筆記用のペン軸、媒体に光を照射する光源、微細ドットを読み込む例えば撮像素子、撮像素子にて読み取られた微細ドットから描画トレースの位置座標を取得する処理回路等の様々な機能部品が内蔵される。そのため、かかる電子ペンは、通常のペンに比べてサイズが大型化し、ユーザにとって使用し難いという不都合があった。
本発明は、様々な機能部品の配置を工夫することで、媒体上に形成された筆跡を読み取る電子ペンの小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、媒体上に情報を描画するペン芯と、前記媒体に向けて光を出射する光源と、前記媒体からの反射光を受ける受光部と、前記光源から出射される光を拡散させて前記媒体に向けて透過させるとともに、当該媒体からの反射光を前記受光部へ導くための開口部が設けられる拡散板とを含むことを特徴とする電子ペンである。
請求項2に記載の発明は、前記拡散板は、前記ペン芯の外形に沿った形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子ペンである。
請求項3に記載の発明は、前記拡散板は、前記電子ペンの先端方向から見て前記光源を覆うように前記ペン芯の位置から広がる形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の電子ペンである。
請求項4に記載の発明は、前記拡散板は、前記ペン芯の位置から扇状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の電子ペンである。
請求項5に記載の発明は、前記拡散板は、前記ペン芯の位置から略半円状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の電子ペンである。
請求項6に記載の発明は、前記拡散板の前記開口部の開口に沿った形状を有する光学フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子ペンである。
【0006】
請求項7に記載の発明は、媒体上に色材を用いて情報を描画するペン芯と、前記媒体に向けて光を出射する光源と、前記媒体からの反射光を受光面にて受けて信号を出力する受光部と、前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分と前記ペン芯の部分とが開口された扇形状を有し、前記光源から出射される光を拡散させて当該媒体に向けて透過させる拡散板と、前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分に配置された光学フィルタと、前記光学フィルタを通過した光を前記受光部の前記受光面に結像するレンズと、前記受光部から出力された信号に基づいて、前記媒体に記録された情報を取得する情報取得手段とを含むことを特徴とする電子ペンである。
請求項8に記載の発明は、前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線から離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペンである。
請求項9に記載の発明は、前記光源を2つ有し、2つの前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線に対して対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペンである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1によれば、電子ペンを大きくすることなく、光源から出射される光を拡散させることができ、反射光を受光部へ導くことができる。
本発明の請求項2によれば、光源から出射されペン芯付近を通過する光を拡散させることができる。
本発明の請求項3によれば、簡易な形状で光源から出射される光を効率良く拡散させることができる。
本発明の請求項4によれば、電子ペンの内部空間の形状に即した形状を有する拡散板は、光源から出射される光を確実に拡散させることができる。
本発明の請求項5によれば、光源から出射される光を確実に拡散させることができる。
本発明の請求項6によれば、拡散板の開口部を通過する光を確実に光学フィルタに入射させることができる。
【0008】
本発明の請求項7によれば、電子ペンを大きくすることなく、光源から出射される光を拡散させることができ、反射光を光学フィルタを経由して受光部へ導くことができる。
本発明の請求項8によれば、電子ペンの小型化に好適となるように光源を配置できる。
本発明の請求項9によれば、光源を2つ有する場合も電子ペンを小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
まず、本実施の形態における筆跡情報管理システム1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態の筆跡情報管理システム1の構成の一例を示した図である。図1に示したように、この筆跡情報管理システム1は、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40と、端末装置50とがネットワーク80に接続されることにより構成されている。また、端末装置50には、電子ペンの一例としてのデジタルペン60が通信装置70を介して接続されている。
【0010】
本実施の形態の筆跡情報管理システム1では、端末装置10から電子文書の印刷要求が行われると、文書サーバ20は端末装置10からの印刷要求を受け取り、画像形成装置40に対して印刷要求の対象となった電子文書の印刷指示を行う。それにより、画像形成装置40は、この電子文書の文書画像を紙等の媒体に印刷するが、その際に、画像形成装置40は文書画像に加えて符号画像を媒体上に印刷する。
ここでの符号画像とは、識別情報および位置情報を符号化して得られる識別符号および位置符号を画像化したものである。識別情報とは、媒体を一意に特定するための情報であり、本実施の形態では識別情報サーバ30が発行する。また、位置情報は、媒体上の座標位置を特定するための情報であり、本実施の形態では文書サーバ20が生成する。
そして、文書画像と符号画像とが印刷された媒体に対し、ユーザが筆跡情報生成手段の一例であるデジタルペン60を用いて筆記すると、デジタルペン60は符号画像に含まれる位置情報に基づいて手書き情報(筆跡情報)を生成する。またそれと同時に、デジタルペン60は符号画像に含まれる識別情報を認識する。そして、認識された識別情報と筆跡情報とは、端末装置50を介して文書サーバ20に送られる。識別情報と筆跡情報とを受け取った文書サーバ20は、識別情報に基づいて媒体に印刷された電子文書を特定し、この特定された電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する。
【0011】
なお、本明細書では、媒体に記録する画像の元となる電子データを「電子文書」と表記するが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、データベース管理ソフトウェアや表計算ソフトウェアで記録されるデータ、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
また、本明細書において、「媒体」は、画像を印刷可能な媒体であれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシート等といったプラスチックシートや金属板等であっても構わない。
さらに、本明細書では、電子文書、媒体、さらにはデジタルペン60やユーザについて、それぞれを一意に識別するための識別情報を用いて処理を行うが、単に「識別情報」という場合には、媒体に関する識別情報を意味するものとする。すなわち、本実施の形態では、媒体に固有に付与される媒体識別情報の一例として、この識別情報を用いる。
【0012】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システム1を構成する各構成要素について詳細に説明する。
端末装置10は、文書サーバ20に対して電子文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
文書サーバ20は、電子文書を記憶し管理するコンピュータ装置である。また、端末装置10から電子文書の印刷要求があると、電子文書の画像と、識別情報および位置情報を表す符号画像とを生成し、これらを合成した合成画像を媒体に印刷する印刷命令を画像形成装置40に対して出力する。ここで、文書サーバ20としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
【0013】
識別情報サーバ30は、媒体に付与する識別情報を発行するコンピュータ装置である。そして、発行した識別情報を、その識別情報が付与される媒体に印刷される電子文書と関連付けて記憶する。ここで、識別情報サーバ30としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
画像形成装置40は、媒体に画像を印刷し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置40は、単体のプリンタや印刷機であってもよいし、他にスキャナや通信の機能を備えた所謂「複合機」であってもよい。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いるとよいが、その他の方式を用いてもよい。
【0014】
端末装置50は、印刷文書に対する筆記を電子化した情報(以下、「筆跡情報」という)を、印刷文書に記録された画像の元となる電子文書に反映させるために識別情報サーバ30に送信するコンピュータ装置である。また、筆跡情報を反映する対象の電子文書をディスプレイ(不図示)に表示し、その上に筆跡情報を重ねて表示するようにしてもよい。ここで、端末装置50としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。なお、本実施の形態では、筆記の内容を電子化した筆跡情報の一例として、筆跡情報を用いている。また、筆跡情報を主に手書き情報として説明するが、これに限らず、例えば、建築や機械等の図面データを出力する装置であるプロッタ等によって機械的に描画された情報等を含むものである。
【0015】
デジタルペン60は、筆跡情報生成手段および筆跡情報生成装置の一例であり、印刷文書上に文字または図形を筆記するために用いられるペンデバイスである。また、媒体に印刷された符号画像を読み取る撮像素子を備える。そして、撮像素子で読み取った符号画像から位置情報を検出し、筆記した文字または図形をイメージデータ化した筆跡情報をこの位置情報に基づいて生成し記憶する。
通信装置70は、デジタルペン60から筆跡情報を取得して端末装置50に送信する装置である。例えば、デジタルペン60とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルで接続され、デジタルペン60に記憶された筆跡情報を端末装置50に送信する。ここで、通信装置70と端末装置50との間の通信の方式としては、USB、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信機能等、種々の方式が用いられる。また、図1では、通信装置70をデジタルペン60と別体のものとして示しているが、必ずしも別体である必要はなく、一体に構成してもよい。
【0016】
引き続いて、筆跡情報管理システム1を構成する各構成要素の詳細を説明する。
まず、文書サーバ20の構成について説明する。
図2は、文書サーバ20の機能構成の一例を示したブロック図である。図2に示したように、文書サーバ20は、受信部21と、識別情報取得部22と、電子文書管理部23と、筆跡情報管理部24と、文書/筆跡情報記憶部25とを備える。また、識別符号生成部27aと、位置符号生成部27bと、符号配置部27cと、パターン画像記憶部27dと、符号画像生成部27eとを備える。さらに、文書画像生成部26と、画像合成部28と、送信部29とを備える。
【0017】
受信部21は、端末装置10から印刷要求を受信する。ここで、印刷要求には、電子文書に加えて、印刷対象となる電子文書の識別情報(以下、「文書ID」という)と、印刷される媒体上での電子文書のレイアウトを定めるための各種設定(以下、「印刷設定」という)とが含まれる。文書IDは、端末装置10にて電子文書毎に付与されるが、文書サーバ20にて付与してもよい。また、受信部21は、印刷文書が印刷される媒体に固有に付与される識別情報を識別情報サーバ30から受信する。さらに、印刷文書に対する筆記が行われた際には、識別情報サーバ30から、印刷文書に埋め込まれた識別情報と、印刷文書に対する筆記の内容(筆記画像)を電子化した筆跡情報とを受信する。
識別情報取得部22は、受信部21から文書IDおよび印刷設定を取得し、これを送信部29に渡して識別情報の発行要求の送信を指示し、これを文書画像生成部26に渡して文書画像の生成を指示する。また、受信部21から媒体の識別情報を取得し、これを識別符号生成部27aに渡して識別符号の生成を指示する。
【0018】
電子文書管理部23は、受信部21が受信した識別情報と電子文書とを取得し、文書IDに基づき両者を対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、文書/筆跡情報記憶部25に記憶された電子文書についての、印刷設定に従って媒体上に印刷された状態を反映した新たな電子文書(第2の電子文書)を生成し、生成された第2の電子文書を文書/筆跡情報記憶部25に記憶する。さらに、電子文書の表示や印刷が指示された際には、対応する識別情報と電子文書とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
【0019】
筆跡情報管理部24は、受信部21が受信した識別情報と筆跡情報とを取得し、識別情報に基づき筆跡情報を電子文書に対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、筆跡情報の表示が指示された際には、対応する識別情報と筆跡情報とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
文書/筆跡情報記憶部25は、電子文書管理部23によって管理される電子文書と、筆跡情報管理部24によって管理される筆跡情報とを記憶する。ここで、本実施の形態では、識別情報と電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する記憶手段の一例として、文書/筆跡情報記憶部25を設けている。
【0020】
識別符号生成部27aは、媒体を特定する識別情報を符号化して識別符号を生成する。
位置符号生成部27bは、媒体上の座標位置を示す位置情報を符号化して位置符号を生成する。
符号配置部27cは、識別符号生成部27aにて生成された識別符号や、位置符号生成部27bにて生成された位置符号等を所定のレイアウト(後段の図3参照)に従って2次元平面に配置し2次元の符号配列を生成する。
パターン画像記憶部27dは、符号配列に格納される各符号の符号値に対応するパターン画像を記憶する。
符号画像生成部27eは、符号配置部27cが生成した2次元の符号配列を参照し、各符号値に対応したパターン画像を選択して符号画像を生成する。
【0021】
文書画像生成部26は、識別情報取得部22から文書IDおよび印刷設定を取得し、この文書IDで特定される電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。そして、印刷設定に従ってその電子文書の文書画像を生成する。
画像合成部28は、符号画像生成部27eが生成した符号画像と、文書画像生成部26が生成した文書画像とを合成し、合成画像を生成する。
送信部29は、識別情報サーバ30に対して識別情報の発行要求を送信する。また、画像形成装置40に対して媒体に対する画像の印刷命令を送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、識別情報サーバ30に対して識別情報と筆跡情報とを送信する。
【0022】
ここで、本実施の形態の文書サーバ20で生成される符号画像について説明する。
図3は、符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。まず、符号画像を構成する単位パターンについて説明する。図3(a)は、単位パターンの一例を示したものである。
単位パターンとは、情報埋め込みの最小単位である。図3(a)では、黒塗りの領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒塗りの領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。すなわち、図3(a)は、ドットを配置可能な9箇所の中から選択した2箇所(黒塗りの領域)にドットを配置することで単位パターンを構成した例を示したものである。ここで、9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは36(=9C2)通りなので、単位パターンは、36種類存在する。このうち、4種類の単位パターンは、同期パターンとして使用される。同期パターンとは、画像の回転を検出したり、識別符号および位置符号の相対的な位置を特定したりするためのパターンである。特に、画像の回転を検出する必要があることから、4種類の同期パターンとしては、そのうちの1つの同期パターンを90度回転するとそのうちの別の同期パターンになるようなものが選ばれる。また、この4種類の単位パターンを除く32種類の単位パターンは、識別符号および位置符号を表現する情報パターンとして使用され、5ビットの情報が表現される。
【0023】
ところで、図3(a)に示したドットは、あくまで情報表現のためのドットであり、画像を構成する最小の点を意味するドットとは必ずしも一致しない。本実施の形態において、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2)である。情報表現のためのドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、情報表現のためのドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。ただし、上記の値84.6μmは、あくまで計算上の数値であり、実際に印刷されたトナー像では100μm程度になる。なお、本明細書で「ドット」というときは、特に明示しない限り、画像を構成する最小の点を意味するドットではなく、情報表現のためのドットを指すものとする。
【0024】
次に、このような単位パターンから構成される符号ブロックについて説明する。図3(b)に、符号ブロックのレイアウトの一例を示す。なお、ここでは、画像ではなく、パターン画像によって置き換えられる直前の符号配列で示している。すなわち、図3(b)の最小の四角(以下、「単位ブロック」という)に、図3(a)のような単位パターン(36通りの単位パターンのいずれか)が配置され、その画像が媒体に形成されることになる。
図3(b)のレイアウトでは、符号ブロックの左上の1つの単位ブロックに、同期符号が配置されている。また、同期符号が配置された単位ブロックの右側の4つの単位ブロックにX位置符号が配置され、同期符号が配置された単位ブロックの下側の4つの単位ブロックにY位置符号が配置されている。さらに、これらの位置符号が配置された単位ブロックに囲まれた16(=4×4)個の単位ブロックに識別符号が配置されている。
【0025】
ここで、識別情報の符号化について述べる。
識別情報を符号化する場合、識別情報を構成するビット列は、RS符号化を行うために複数のブロックに分割される。符号化には、いくつかの方法があるが、本実施の形態では、RS符号化が適している。RS符号は多値の符号法であり、この場合、単位ブロックで表現される値がRS符号の多値に対応するからである。例えば、1つの単位ブロックで5ビットの情報を表現する場合、60ビットの識別情報は、ブロック長が5ビットの12個のブロックに分割される。そして、2ブロックの誤りを訂正可能なRS符号を採用したとすると、符号長は16ブロックとなり、図3(b)の符号ブロックにおける識別符号が配置される単位ブロックに収まることになる。なお、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用してもよい。
【0026】
引き続いて、位置情報の符号化について述べる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、ある長さのシフトレジスタとフィードバックによって生成される符号系列とのうち、その周期が最長になる系列をいう。Kをシフトレジスタの段数とすると、M系列の系列長は2K−1となる。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用して位置情報を符号化する。
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。すなわち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。この場合、位置符号も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。
【0027】
なお、本明細書では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いている。しかしながら、広範な位置情報を用意しておき、媒体ごとに異なる範囲から位置情報を切り出して埋め込み、位置情報の違いによって媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法においては、媒体を識別する機能が位置情報に備わっているものと見て、位置情報を識別情報としても考えるものとする。
【0028】
次に、識別情報サーバ30の構成について説明する。
図4は、識別情報サーバ30の機能構成の一例を示したブロック図である。図4に示したように、識別情報サーバ30は、受信部31と、識別情報管理部32と、識別情報記憶部33と、表示情報生成部34と、送信部39とを備える。
受信部31は、文書サーバ20から識別情報の発行要求を受信する。また、受信部31は、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを端末装置50から受信する。ここで、本実施の形態では、端末装置50から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信し、さらに筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信する受信手段の一例として、受信部31を設けている。
【0029】
識別情報管理部32は、識別情報の発行要求があると、識別情報を重複することなく発行し、その際に指定された文書IDおよび印刷設定を識別情報に関連付けて記憶する。また、識別情報の指定を受けて、その識別情報に対応する文書IDおよび印刷設定を取り出す。
識別情報記憶部33は、識別情報を、その使用/未使用の状態、それが付与された媒体に印刷された電子文書の文書ID、それが付与された媒体に電子文書が印刷された際の印刷設定を関連付けて記憶するデータベースである。
表示情報生成部34は、筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から取得した情報に基づいて、筆跡情報を表示するための表示情報を生成する。この表示情報としては、例えば、端末装置50で表示するイメージを生成する元となるデータを生成する。
【0030】
送信部39は、文書サーバ20からの要求に応じて発行した識別情報を文書サーバ20に送信する。また、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを文書サーバ20に送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、端末装置50に対して表示情報を送信する。ここで、本実施の形態では、媒体の識別情報と筆跡情報とを送信する送信手段の一例として、送信部39を設けている。
【0031】
次に、デジタルペン60について説明する。なお、ここではデジタルペン60の機能構成の概略を説明することとし、デジタルペン60の構成の詳細は後段で説明する。
図5は、デジタルペン60の機能構成の概略を説明する図である。図5に示したように、デジタルペン60は、ペン全体の動作を制御する制御回路61を備える。制御回路61は、読み取った符号画像を処理する画像処理部61aと、画像処理部61aでの処理結果から識別情報および位置情報を抽出するデータ処理部61bとを含み、情報取得手段の一例として機能する。
また、制御回路61には、デジタルペン60による筆記動作をペン芯の一例としてのペンチップ69に加わる圧力(筆圧)によって検知し、デジタルペン60を動作状態に設定する筆圧検知スイッチ62が接続されている。さらに、媒体上に赤外光を照射する光源の一例としての赤外LED63と、反射光を検知することによって符号画像を読み取る受光部の一例としての赤外CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)64も接続されている。さらにまた、識別情報および位置情報を記憶するための情報メモリ65と、外部装置と通信するための通信回路66と、ペンを駆動するためのバッテリ67と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ68とが接続されている。
【0032】
制御回路61において実現される機能構成について詳細に説明する。図6は、制御回路61の機能構成の一例を示したブロック図である。なお、図6では、制御回路61内の画像処理部61aとデータ処理部61bとに分けて、機能構成例を示している。
図6に示したように、画像処理部61aは、画像取得部611と、ドット配列生成部612とを備える。また、データ処理部61bは、符号配列生成部613と、識別情報取得部614と、位置情報取得部615と、筆跡情報生成部616と、送信部619とを備える。
【0033】
画像取得部611は、赤外CMOS64が印刷文書から読み取った符号画像を取得する。また、必要に応じて、符号画像に含まれるノイズを除去する。
ドット配列生成部612は、符号画像におけるドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。すなわち、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置に「1」を、ドットがない位置に「0」を記憶することにより、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換える。そして、この2次元の配列をドット配列として出力する。
【0034】
符号配列生成部613は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位パターンに対応するブロックを検出する。具体的には、単位パターンが配置されるブロックと同じ形状および大きさの枠をドット配列上で動かし、枠内のドット数が均等になる位置で枠を固定する。例えば、図3(a)の単位パターンを用いる場合であれば、3ドット×3ドットに対応する大きさの枠を動かし、枠内に含まれるドット数が2となる位置で枠を固定する。そして、その枠で区切られた各ブロック内のドット位置から定まる符号値を格納した符号配列を生成する。また、この符号配列が生成されると、予め定められた同期符号の符号値を検索することによって、同期符号の位置が特定される。
【0035】
識別情報取得部614は、符号配列から同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。そして、画像生成時にRS符号化処理で用いたパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を取得する。
位置情報取得部615は、符号配列から同期符号の位置を基準にして位置符号を検出する。そして、位置符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成時に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を同期符号によるオフセットで補正した値を位置情報として取得する。なお、オフセットで補正するのは、位置符号の間に同期符号が配置されているためである。
【0036】
筆跡情報生成部616は、位置情報取得部615が取得した位置情報を連結して筆跡情報を生成する。ここで、筆跡情報には、少なくともデジタルペン60のペン先の軌跡を電子化したデータが含まれるが、これ以外の情報を含んでもよい。ペン先の軌跡以外の情報としては、例えば、筆記した時にペンに設定されていた色の情報や、筆圧の情報等がある。
送信部619は、識別情報取得部614が取得した識別情報と、筆跡情報生成部616が生成した筆跡情報とを通信回路66に渡すことで、通信装置70への情報送信を実現する。ここで、本実施の形態では、媒体の識別情報と筆跡情報とを送信する送信手段の一例として、送信部619を設けている。
【0037】
デジタルペン60では、まず、赤外LED63が媒体に対して赤外光を照射し、赤外CMOS64がその反射光を受光することにより、符号画像を読み取る(すべて図5参照)。そして、画像取得部611がこの読み取った符号画像を取得する。その際に、符号画像にノイズが含まれていれば、これを除去する。次に、ドット配列生成部612が、符号画像に含まれるドット位置をデジタルデータ化し、ドット配列を生成する。そして、符号配列生成部613が、ドット配列からブロックを検出し、ブロックごとの符号値を格納した符号配列を生成する。そして、符号配列において、同期符号の位置を特定する。その後、識別情報取得部614が、同期符号の位置に基づいて識別符号を検出し、これを復号して識別情報を取得する。また、位置情報取得部615が、同期符号の位置に基づいて位置符号を検出し、これを復号して位置情報を取得する。そして、筆跡情報生成部616が、位置情報を連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部619が、これらの情報を通信装置70および端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。
【0038】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システム1にて電子文書に関して行われる各種処理について説明する。
[印刷文書の生成処理]
図7は、筆跡情報管理システム1にて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
まず、ユーザは端末装置10から電子文書の印刷指示を文書サーバ20に送信する(ステップ101)。その際には、端末装置10は、印刷対象となる電子文書と、電子文書の識別情報(文書ID)と、ユーザが指定した印刷設定とを送信する。ここで、印刷設定は、印刷の対象とするページ、印刷部数、媒体である用紙のサイズ、拡大縮小率、Nアップ (電子文書のNページを媒体の1ページに割り付ける印刷)、余白領域の大きさ等の設定を含む。
【0039】
文書サーバ20は、端末装置10から電子文書の印刷指示を受信する(ステップ201)。印刷指示に含まれる印刷対象となる電子文書は、電子文書管理部23に送られ、電子文書管理部23が、電子文書を文書IDと関連付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する(ステップ202)。
また、文書サーバ20は、印刷を指示された電子文書の文書IDと印刷設定とを識別情報サーバ30に送信する(ステップ203)。ここで、文書IDとしては、例えば、URL(Uniform Resource Locator)を用いるとよいが、電子文書を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いてもよい。
それにより、識別情報サーバ30は、文書IDと印刷設定とを受信する(ステップ301)。そして、識別情報を管理する識別情報管理部32が識別情報記憶部33から未使用の識別情報を取得する(ステップ302)。ここで、取り出す識別情報の数は、印刷設定に応じて決められる。つまり、基本的には、印刷するページ数に印刷部数を乗じて得られる数の識別情報が取り出される。ただし、印刷設定情報の中に、Nアップ印刷の指定等がある場合は、それも考慮される。例えば、10ページの電子文書を2アップ印刷で5部印刷する場合は、25(=10÷2×5)個の識別情報が取り出される。
次に、識別情報サーバ30は、識別情報と文書IDと印刷設定とを関連付けて識別情報記憶部33に登録する(ステップ303)。そして、識別情報サーバ30は、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ304)。
【0040】
それにより、文書サーバ20は、識別情報を受信する(ステップ204)。そして、識別情報および位置情報を表す符号画像を生成する(ステップ205)。
すなわち、文書サーバ20では、受信部21が識別情報を受信する。そして、受信部21は、受信した識別情報を識別情報取得部22に受け渡す。すると、まず識別情報取得部22が、取得した識別情報を識別符号生成部27aに渡し、識別符号生成部27aが、上記した方法を用いて媒体の識別情報を符号化し、識別符号を生成する。
また、位置符号生成部27bは、受信部21から印刷設定を受け取り、印刷設定に応じた範囲の位置情報を上記した方法を用いて符号化し、位置符号を生成する。
そして、符号配置部27cが、媒体識別符号と位置符号とを所定のレイアウトに従って配置し、これを符号画像生成部27eが、パターン画像記憶部27dに記憶されたパターン画像を用いて画像化することで符号画像を生成する。
【0041】
その後、文書サーバ20では、文書画像生成部26が、電子文書の文書画像を生成する(ステップ206)。その際に、文書画像生成部26は、ステップ201で識別情報取得部22が取得した文書IDを受け取り、文書IDに基づいて印刷対象となる電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。また、ステップ201で識別情報取得部22が取得した印刷設定を受け取り、これに基づいて文書画像を生成する。
そして、画像合成部28は、ステップ205で生成された符号画像と、ステップ206で生成された文書画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップ207)。
その後、合成画像は送信部29に渡され、送信部29が、合成画像の印刷命令を画像形成装置40に送信する(ステップ208)。ここで、合成画像の印刷命令は、例えば、文書画像の印刷命令の列からなるPDL(Page Description Language)ファイルに対し、符号画像として印刷する内容をPDLコマンドとして設定したPDLの形式で送信される。
【0042】
画像形成装置40は、文書サーバ20から合成画像(電子文書の文書画像および符号画像)を受信する(ステップ401)。そして、画像形成装置40は、文書画像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)により画像に展開する(ステップ402)。次に、文書画像はC、M、Yのトナーを用いて、符号画像はK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて、それぞれ画像形成を行う(ステップ403)。
【0043】
ところで、上述した例では、識別情報サーバ30は識別情報を発行するだけで、文書サーバ20が、識別情報を含む符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成とした。しかしながら、識別情報サーバ30が、符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成としてもよい。
また、符号画像を画像形成装置40で生成する構成を採用してもよい。その場合には、文書サーバ20または識別情報サーバ30が、電子文書から生成したPDLに識別情報を付加して画像形成装置40へ送信し、画像形成装置40が識別情報を含む符号画像を生成することになる。
【0044】
また、上記の例では、識別情報と文書IDと印刷設定とが関連付けられて構成されたデータベース(識別情報記憶部33)を識別情報サーバ30に置く構成について説明した。これは、かかるデータベースを共有可能な装置(識別情報サーバ30)に置くことで、複数ユーザへの対応や、サーバのアクセス制御技術を利用した電子文書のセキュリティ確保が可能となるからである。しかしながら、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、端末装置10や文書サーバ20に上記のデータベースを置く構成を採用してもよい。
【0045】
また、上記した画像形成装置40では、符号画像をK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて形成するようにした。これは、Kのトナーが、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナーよりも赤外光の吸収量が多く、デジタルペン60での符号画像の読み取りが容易となるからである。しかしながら、符号画像は、特殊トナーを用いて形成することも可能である。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」および「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷文書における画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが人間の目で認識し難いものも、「不可視」に含める。
【0046】
なお、ここでは、電子文書の画像に符号画像を合成して印刷することとしたが、白紙(ノートや付箋等)に符号画像を印刷する構成としてもよい。その場合は、ステップ201で受信する印刷要求に文書IDを含めないようにし、ステップ303で識別情報と文書IDおよび印刷設定との関連付けを行わないようにし、ステップ206における文書画像の生成は実行しないようにすればよい。
【0047】
[筆跡情報の登録処理]
次に、デジタルペン60が筆跡情報を生成して文書サーバ20に登録する際の動作について説明する。
上記したように、デジタルペン60では、識別情報取得部614が識別情報を取得する。また、位置情報取得部615が位置情報を取得する。さらに、筆跡情報生成部616が位置情報を相互に連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部619が、識別情報および筆跡情報を通信装置70および端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。そして、識別情報サーバ30が筆跡情報を文書サーバ20に登録する。
図8は、筆跡情報を登録する際の識別情報サーバ30および文書サーバ20の動作の一例を示したシーケンス図である。
識別情報サーバ30では、まず、筆跡情報を取得する筆跡情報取得手段の一例としての受信部31が、デジタルペン60からの識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ311)。次に、識別情報および筆跡情報は識別情報管理部32に渡され、識別情報管理部32は、渡された識別情報に関連付けられた文書IDを識別情報記憶部33から取り出す。そして、ステップ311で受信した識別情報および筆跡情報の送信先となる文書サーバ20(文書IDで特定される電子文書が存在する文書サーバ20)を決定する(ステップ312)。なお、識別情報記憶部33において識別情報に文書IDが関連付けられていなければ、その識別情報は白紙(ノートや付箋)に割り当てられたものであると考えられる。その場合は、白紙に対する筆跡情報を管理する文書サーバ20を送信先として決定すればよい。
【0048】
その後、識別情報および筆跡情報は送信部39に渡され、送信部39が、ステップ312で送信先として決定した文書サーバ20に対し、識別情報および筆跡情報を送信する(ステップ313)。
これにより、文書サーバ20では、受信部21が、識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ211)。そして、受信部21は、受信した識別情報を筆跡情報管理部24に渡す。すると、筆跡情報管理部24は、識別情報と筆跡情報とを対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に記憶する(ステップ212)。
【0049】
ところで、本実施の形態の筆跡情報管理システム1では、文書サーバ20が電子文書や筆跡情報を管理し、識別情報サーバ30が媒体を一意に識別するための識別情報を生成/管理するように構成した。しかしながら、これらの処理を如何なる装置で行うかについては種々のバリエーションが考えられる。例えば、識別情報を生成/管理する処理は、文書サーバ20で行ってもよいし、端末装置50や画像形成装置40で行ってもよい。また、符号画像を画像形成装置40で生成してもよい。
そのため、これらの処理を汎用的な装置としてのコンピュータ90で行うものとして一般化できる。そこで、筆跡情報管理システム1を構成する端末装置10、文書サーバ20、識別情報サーバ30、画像形成装置40の制御部、端末装置50がコンピュータ90で構成されるものとして、コンピュータ90のハードウェア構成について説明しておく。
【0050】
図9は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図9に示したように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92および磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0051】
次に、デジタルペン60の構成を詳細に説明する。
図10はデジタルペン60の全体構成を説明する図であって、(a)はデジタルペン60の外観斜視図、(b)はデジタルペン60のキャップ部610の外観斜視図、(c)はデジタルペン60のペン本体部620の外観斜視図である。図10に示したように、本実施の形態のデジタルペン60は、ペン本体部620と、ペン本体部620に対して着脱自在なキャップ部610とで構成されている。
【0052】
続いて、図11はペン本体部620の構成を説明する断面図である。図11に示したように、ペン本体部620は、筐体621、筆記検知機能部622、符号画像検出部623、操作表示部624、キャップ位置検出機能部625、制御回路部626により構成される。
筐体621は、ペン本体部620の外壁を構成するとともに、ペン本体部620に配置される各種機能部を支持する。
筆記検知機能部622は、媒体に対する筆記が行われた際に、媒体に加えられた筆圧を検出して、筆記が行われていることを検知する機能部である。筆記検知機能部622には、図5に示したペンチップ69と、筆圧検知スイッチ62とが含まれる。
符号画像検出部623は、媒体に所定の波長の光(例えば、赤外光)を照射し、媒体からの反射光に基づいて、媒体に印刷された符号画像を検出する機能部である。符号画像検出部623には、図5に示した赤外LED63と、赤外CMOS64とが含まれる。
【0053】
操作表示部624は、媒体から読み取られた符号画像に基づく特定処理の実行を指示する機能部である。例えば、符号画像に含まれる識別情報及び位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する。また、デジタルペン60の動作状態を特定色の表示で行う機能部でもある。
キャップ位置検出機能部625は、ペン本体部620の所定位置にキャップ部610が取り付けられたか否かを検出する機能部である。
制御回路部626は、デジタルペン60を動作させる際の各種処理を実行する機能部である。また、通信装置70を介して端末装置50に識別情報及び筆跡情報を送信する機能部である。制御回路部626には、図5に示した画像処理部61aやデータ処理部61bを備える制御回路61、情報メモリ65、通信回路66、バッテリ67、およびペンIDメモリ68が含まれる。
【0054】
引き続き、筆記検知機能部622について説明する。
図12は、筆記検知機能部622を説明する図である。図12に示したように、筆記検知機能部622は、ペンチップ69、ペンチップ支持部622a、ペンチップ留め部材622b、付勢バネ622c、継ぎ手部材622d、筆圧検知スイッチ62を備える。
ペンチップ69は、例えばボールペン等で構成され、媒体上にインク等の色材により文字や図形等を描画する。尚、本実施形態では、ペンチップ69が色材によって描画する例を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。無色のインク等によって描画するものでも良い。或いは、インク等の用いることなく感圧ディスプレイに押圧することで描画しても良い。
ペンチップ支持部622aは、ペンチップ69をペン軸pに沿って移動自在に支持する。
ペンチップ留め部材622bは、ゴム等の弾性体によりリング状に形成されている。そして、ペンチップ69を自らの弾性力で挟持することでペンチップ69を保持し、ペンチップ69がペンチップ支持部622aから脱落することを抑制している。また、ペンチップ69に対し、ペン軸pに沿ってペンチップ留め部材622bによる摩擦力以上の引っ張り力が加わった場合には、ペンチップ69がペンチップ支持部622aから引き抜かれることを許容する。さらに、ペンチップ留め部材622bによる摩擦力以上の押付け力が加わった場合には、ペンチップ69がペンチップ支持部622aに装着されることを許容する。
【0055】
継ぎ手部材622dは、ペンチップ69のペン軸pに沿った移動を筆圧検知スイッチ62に伝達する。すなわち、デジタルペン60による筆記動作によりペンチップ69が媒体に押し付けられた際に、ペンチップ69に加わる圧力(筆圧)によってペンチップ69はペン軸pに沿ってデジタルペン60の内部側に移動する。それにより、継ぎ手部材622dは付勢バネ622cの付勢力に抗してペンチップ69の移動量だけ移動され、筆圧検知スイッチ62を押す。
またその場合に、継ぎ手部材622dのペンチップ69側の端部622eは、外径が大径に構成され、端部622eが筐体621に形成された所定幅の溝部621aの内部に配置される。それにより、継ぎ手部材622dの移動範囲は、筐体621に形成された溝部621aの幅に制限される。
筆圧検知スイッチ62は、筆記動作によってペンチップ69に筆圧が加わり、継ぎ手部材622dからの押圧力を受ける。それにより、筆圧検知スイッチ62はオンに切り換えられ、デジタルペン60を動作状態に設定する。
付勢バネ622cは、継ぎ手部材622dをペンチップ69側に付勢する。それにより、筆記動作が行われていない場合には、継ぎ手部材622dの端部622eは、筐体621の溝部621aにより制限された移動範囲の中の最もペンチップ69側に位置する。それによって、筆圧検知スイッチ62はオフに切り換えられ、デジタルペン60を動作停止状態に設定する。
【0056】
次に、符号画像検出部623について説明する。
図13は、符号画像検出部623を説明する図である。図13に示したように、符号画像検出部623は、媒体上に赤外光を照射する赤外LED63(図5も参照)と、赤外LED63から出射された赤外光を拡散させて透過させる拡散板623aと、媒体からの反射光を検知することによって媒体上の符号画像を読み取る赤外CMOS64(図5も参照)とを備えている。また、符号画像検出部623は、媒体からの反射光を赤外CMOS64に結像させる結像光学系として、赤外光を主に通過させる光学フィルタの一例としてのIR(Infrared)フィルタ623bと、結像レンズ623cと、結像レンズ623cを支持する鏡筒623dと、結像レンズ623cを通過した赤外光の光路を90°折り返して赤外CMOS64に導くプリズム623eと、鏡筒623dおよびプリズム623eを支持するホルダ623fと、プリズム623eと赤外CMOS64との間のギャップを所定値に保つスペーサ623gとを備えている。
【0057】
符号画像検出部623では、赤外LED63から出射された赤外光は、拡散板623aによって拡散された後、媒体表面を照射する。そして、媒体上から反射された赤外光は、IRフィルタ623bにより赤外光以外の光が除外された後、結像レンズ623cにより集光され、プリズム623eにより光路を赤外CMOS64に向けて折り返されて赤外CMOS64に結像される。そして、赤外CMOS64により媒体上の符号画像が読み取られる。赤外CMOS64により読み取られた符号画像は、制御回路部626の制御回路61(図5参照)に送られる。
【0058】
次に、操作表示部624について説明する。
図14は、操作表示部624を説明する図である。図14に示したように、操作表示部624は、基板624aと、基板624a上に設けられた切替スイッチ624bと、筐体621の外部からのユーザの操作を受け付ける操作ボタン624cと、第1の発光LED624fと、第2の発光LED624gとを備えている。基板624aは、固定ビス624kにより筐体621に固定されている。また、操作ボタン624cは、操作ボタン624cがユーザにより所定量押圧された場合に基板624aに接触する接触部624dを備えている。
切替スイッチ624bは、1回のスイッチングが行われることでオフ状態からオン状態に切り替え設定を行うスイッチング部材である。そして、オン状態に設定されることで、媒体から読み取られた符号画像に基づく特定処理の実行を指示する信号を出力する。本実施の形態では、切替スイッチ624bがオン状態に設定されることにより、符号画像に含まれる識別情報及び位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する信号が制御回路部626の制御回路61(図5参照)に送られる。
【0059】
ユーザによって操作ボタン624cが押されると、操作ボタン624cは切替スイッチ624b自身が有する反発力に抗して押し下げられるとともに、切替スイッチ624bはオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、制御回路部626の制御回路61に対して、符号画像に含まれる識別情報及び位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する信号が送られる。なお、ユーザによって操作ボタン624cが押された際、操作ボタン624cは、切替スイッチ624bによって支持されるとともに、基板624aに接触する接触部624dによって支持される。
その後、ユーザによる操作ボタン624cの押圧が解除されると、操作ボタン624cは切替スイッチ624bからの反発力によって元の位置に戻されるとともに、切替スイッチ624bはオン状態からオフ状態に切り替えられる。これにより、所定の情報源へのリンクは解除される。
【0060】
また、基板624a上に設けられた第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gは、デジタルペン60の動作状態を特定色を表示することで表現する。例えば、第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gそれぞれは、デジタルペン60の動作状態に応じて赤色と緑色とに発光色が変化する。そして、例えば、第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gは、デジタルペン60が動作状態(電源オンの状態)である場合に、緑色に発光する。また、操作ボタン624cが操作されて切替スイッチ624bが所定の情報源へのリンクを指示する状態になった場合に、第2の発光LED624gは赤色を発光する。
その際に、第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gから発光した光は、それぞれ第1の導波部材624hおよび第2の導波部材624jにより、筐体621の外部に表示される。
【0061】
次に、キャップ位置検出機能部625について説明する。
図15は、キャップ位置検出機能部625を説明する図である。図15に示したように、キャップ位置検出機能部625は、基板625aと、基板625a上に設けられた切替スイッチ625bと、操作ボタン625cとを備えている。基板625aは、筐体621に固定されている。また、操作ボタン625cは、切替スイッチ625b側とは反対側の端部が筐体621に固定されている。そして、切替スイッチ625b側の端部が操作ボタン625c自身の弾性により揺動する。
【0062】
そして、ペン本体部620にキャップ部610が装着されていない状態や、キャップ部610の内周面に設けられた溝部(不図示)の位置が操作ボタン625cの位置と一致するようにキャップ部610がペン本体部620に装着された状態にある場合には、操作ボタン625cの切替スイッチ625b側の端部は、筐体621の外部に突出するように位置する。その状態において、操作ボタン625cは、切替スイッチ625bをオフ状態に設定する。そして、切替スイッチ625bがオフ状態に設定されることにより、符号画像検出部623は媒体上の符号画像を読み取ることができる状態に設定される。
一方、キャップ部610の内周面に設けられた溝部(不図示)の位置が操作ボタン625cの位置と一致しない状態でキャップ部610がペン本体部620に装着された状態にある場合には、操作ボタン625cの切替スイッチ625b側の端部は、キャップ部610の内周面により筐体621の内部に押し込められるように位置する。その状態において、操作ボタン625cは、切替スイッチ625bをオン状態に設定する。そして、切替スイッチ625bがオン状態に設定されることにより、符号画像検出部623は媒体上の符号画像を読み取ることができない状態に設定される。
【0063】
次に、制御回路部626について説明する。
図16は、制御回路部626を説明する図である。図16に示したように、制御回路部626では、図5に示した画像処理部61aやデータ処理部61b、情報メモリ65、通信回路66、バッテリ67、及びペンIDメモリ68等の各機能部が、回路基板626a上に配置されたLSI(Large Scale Integration)やIC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されている。
また、制御回路部626には、デジタルペン60から通信装置70に識別情報及び筆跡情報を送信するUSBケーブルとの接続を行うコネクタ626bが備えられている。
【0064】
ここで、符号画像検出部623を構成する主要部品について詳述する。
図17は、符号画像検出部623付近を拡大して示した図である。図17(a)はデジタルペン60の先端方向から見た断面図、(b)は説明のために筐体621と赤外LED63と取り除いた状態を示す斜視図、(c)は赤外LED63から照射される赤外光が拡散板623aにて拡散される状態を説明するための斜視図である。
図17(a)に示したように、拡散板623aは、デジタルペン60の先端方向から見て、ペンチップ69の位置を中心としてIRフィルタ623b側に向けて広がった扇状、略半円状に広がる形状であって、赤外LED63の照射面を覆っている。また、拡散板623aは、媒体からの反射光を鏡筒623dへ導くための開口部を有し、開口部とは反対側はペンチップ69の外形に沿った形状を有している。即ち、拡散板623aは、媒体から鏡筒623dへの反射光が通過する光路の部分とペンチップ69の部分とが開口された形状を有している。これにより、拡散板623aは、赤外LED63から照射される赤外光を拡散させることできる。また、拡散板623aは、媒体からの反射光を、拡散板623aの開口部とIRフィルタ623bとを通過して鏡筒623dへ導くことができる。特に、拡散板623aはペンチップ69の外形に沿った形状を有しているので、ペンチップ69付近を通過する光を確実に拡散させることができる。
拡散板623aが備わっていないとき、赤外LED63から媒体(被照射体)までの距離が短いことから、赤外LED63から照射された赤外光は広がることなく媒体に当たる。このとき、媒体上の赤外光が当たった領域だけ反射光の光量が大きくなり過ぎて、赤外CMOS64(図13参照)は検出領域全体の反射光を適切に検出することはできない。これに対して、本実施の形態では、検出領域全体の反射光の光量が概ね均一になるように、拡散板623aが赤外LED63から照射される赤外光を拡散させている。
【0065】
図17(b)に示したように、IRフィルタ623bは、拡散板623aに開口された光路の部分に配されている。これにより、媒体からIRフィルタ623bを通過する反射光は、拡散板623aによって拡散されることなく鏡筒623dに入射される。尚、赤外LED63の照射面はIRフィルタ623bよりも媒体側に配置されていることから(図13参照)、赤外LED63から照射される赤外光がIRフィルタ623bに直接入射されることはない。
図17(a)及び(c)に示したように、赤外LED63は、デジタルペン60の先端方向から見て、ペンチップ69と鏡筒623dとを結ぶ仮想の線から離間した位置に配置されている。本実施の形態では、赤外LED63は、ペンチップ69と鏡筒623dとを結ぶ仮想の線に対して対称となる2つの位置の一方(図17(c)では手前側)に配置されている。このような配置により、略円筒状の筐体621内にペンチップ69と鏡筒623dと赤外LED63とが効率良く収納され、デジタルペン60の小型化を実現している。
尚、図17(c)では、赤外LED63は、デジタルペン60の先端方向から見てペンチップ69と鏡筒623dとを結んだ仮想の線に対して対称となる2つの位置の一方に配置された例を説明したが、2つの赤外LED63が線対称の両方に配置されてもデジタルペン60の大きさに変化はない。一方の赤外LED63が切れたときに、他方の赤外LED63に切り換えることで、デジタルペン60を継続して使用できる。また、左右に配置された光源は、異なるタイプの光源であってもよい。例えば、一方には本実施の形態のごとく赤外LEDを採用し、他方には赤外以外のLED(例えば白色LED)を採用しても良い。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、拡散板623aは、反射光を鏡筒623dへ導くための開口部が形成されているので、媒体からの反射光は拡散板623aを透過することなく鏡筒623dへ導かれる。拡散板623aは、赤外LED63から照射される赤外光の拡散に必要で、デジタルペン60の小型化に好適な大きさを実現できる。また、拡散板623aに開口された光路の部分にIRフィルタ623bを配することで、IRフィルタ623bを備えてもデジタルペン60の大きさを抑えることができる。
更に、ペンチップ69とIRフィルタ623bと鏡筒623dとが筐体621内に配置されて収納されることで、デジタルペン60の小型化を実現できる。より詳しく述べれば、ペンチップ69と鏡筒623dとを結んだ仮想の線に対して対称となる2つの位置の一方に赤外LED63を配置することで、デジタルペン60の大きさを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の筆跡情報管理システムの構成の一例を示した図である。
【図2】文書サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図3】符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。
【図4】識別情報サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図5】デジタルペンの構成の一例を示した図である。
【図6】制御回路の機能構成の一例を示したブロック図である。
【図7】筆跡情報管理システムにて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
【図8】筆跡情報を登録する際の識別情報サーバおよび文書サーバの動作の一例を示したシーケンス図である。
【図9】コンピュータのハードウェア構成を示した図である。
【図10】デジタルペンの全体構成を説明する図である。
【図11】ペン本体部の構成を説明する断面図である。
【図12】筆記検知機能部を説明する図である。
【図13】符号画像検出部を説明する図である。
【図14】操作表示部を説明する図である。
【図15】キャップ位置検出機能部を説明する図である。
【図16】制御回路部を説明する図である。
【図17】符号画像検出部付近を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【0068】
1…筆跡情報管理システム、10…端末装置、20…文書サーバ、25…文書/筆跡情報記憶部、27b…位置符号生成部、30…識別情報サーバ、40…画像形成装置、50…端末装置、60…デジタルペン(電子ペン)、61a…画像処理部(情報取得手段)、61b…データ処理部(情報取得手段)、63…赤外LED(光源)、64…赤外CMOS(受光部)、69…ペンチップ(ペン芯)、621…筐体、623a…拡散板、623b…IRフィルタ(光学フィルタ)、623d…鏡筒
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙等の媒体上に筆記された文字や図形等が電子データに変換され、それがパーソナルコンピュータや携帯電話等に転送されて、筆記内容が保存等される技術が注目されている。
例えば特許文献1では、次のような技術が記載されている。すなわち、表面にそれぞれ異なるパターンで形成された微細なドットが印刷された媒体と、例えば撮像素子が内蔵されたペンデバイスとを用い、ペンデバイスによりこの媒体上に筆記が行われると、筆記された文字や図形等の位置のドットパターンが撮像素子に読み込まれ、文字や図形等の位置(描画トレース)の位置座標が特定される。それにより、筆記された文字や図形等からなる電子文書の生成や、所定の電子文書への文字や図形等の付加等を行う。
また、例えば特許文献2では次のような技術が記載されている。即ち、手持ち器具の照明装置でペン先近傍のLEDから発せられる光で紙面を局所照明するには光分散部等の工夫が必要とある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−94907号公報
【特許文献1】特開2001−40922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、媒体上に形成された筆跡を読み取る電子ペンでは、筆記用のペン軸、媒体に光を照射する光源、微細ドットを読み込む例えば撮像素子、撮像素子にて読み取られた微細ドットから描画トレースの位置座標を取得する処理回路等の様々な機能部品が内蔵される。そのため、かかる電子ペンは、通常のペンに比べてサイズが大型化し、ユーザにとって使用し難いという不都合があった。
本発明は、様々な機能部品の配置を工夫することで、媒体上に形成された筆跡を読み取る電子ペンの小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、媒体上に情報を描画するペン芯と、前記媒体に向けて光を出射する光源と、前記媒体からの反射光を受ける受光部と、前記光源から出射される光を拡散させて前記媒体に向けて透過させるとともに、当該媒体からの反射光を前記受光部へ導くための開口部が設けられる拡散板とを含むことを特徴とする電子ペンである。
請求項2に記載の発明は、前記拡散板は、前記ペン芯の外形に沿った形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子ペンである。
請求項3に記載の発明は、前記拡散板は、前記電子ペンの先端方向から見て前記光源を覆うように前記ペン芯の位置から広がる形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の電子ペンである。
請求項4に記載の発明は、前記拡散板は、前記ペン芯の位置から扇状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の電子ペンである。
請求項5に記載の発明は、前記拡散板は、前記ペン芯の位置から略半円状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の電子ペンである。
請求項6に記載の発明は、前記拡散板の前記開口部の開口に沿った形状を有する光学フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子ペンである。
【0006】
請求項7に記載の発明は、媒体上に色材を用いて情報を描画するペン芯と、前記媒体に向けて光を出射する光源と、前記媒体からの反射光を受光面にて受けて信号を出力する受光部と、前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分と前記ペン芯の部分とが開口された扇形状を有し、前記光源から出射される光を拡散させて当該媒体に向けて透過させる拡散板と、前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分に配置された光学フィルタと、前記光学フィルタを通過した光を前記受光部の前記受光面に結像するレンズと、前記受光部から出力された信号に基づいて、前記媒体に記録された情報を取得する情報取得手段とを含むことを特徴とする電子ペンである。
請求項8に記載の発明は、前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線から離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペンである。
請求項9に記載の発明は、前記光源を2つ有し、2つの前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線に対して対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペンである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1によれば、電子ペンを大きくすることなく、光源から出射される光を拡散させることができ、反射光を受光部へ導くことができる。
本発明の請求項2によれば、光源から出射されペン芯付近を通過する光を拡散させることができる。
本発明の請求項3によれば、簡易な形状で光源から出射される光を効率良く拡散させることができる。
本発明の請求項4によれば、電子ペンの内部空間の形状に即した形状を有する拡散板は、光源から出射される光を確実に拡散させることができる。
本発明の請求項5によれば、光源から出射される光を確実に拡散させることができる。
本発明の請求項6によれば、拡散板の開口部を通過する光を確実に光学フィルタに入射させることができる。
【0008】
本発明の請求項7によれば、電子ペンを大きくすることなく、光源から出射される光を拡散させることができ、反射光を光学フィルタを経由して受光部へ導くことができる。
本発明の請求項8によれば、電子ペンの小型化に好適となるように光源を配置できる。
本発明の請求項9によれば、光源を2つ有する場合も電子ペンを小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
まず、本実施の形態における筆跡情報管理システム1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態の筆跡情報管理システム1の構成の一例を示した図である。図1に示したように、この筆跡情報管理システム1は、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40と、端末装置50とがネットワーク80に接続されることにより構成されている。また、端末装置50には、電子ペンの一例としてのデジタルペン60が通信装置70を介して接続されている。
【0010】
本実施の形態の筆跡情報管理システム1では、端末装置10から電子文書の印刷要求が行われると、文書サーバ20は端末装置10からの印刷要求を受け取り、画像形成装置40に対して印刷要求の対象となった電子文書の印刷指示を行う。それにより、画像形成装置40は、この電子文書の文書画像を紙等の媒体に印刷するが、その際に、画像形成装置40は文書画像に加えて符号画像を媒体上に印刷する。
ここでの符号画像とは、識別情報および位置情報を符号化して得られる識別符号および位置符号を画像化したものである。識別情報とは、媒体を一意に特定するための情報であり、本実施の形態では識別情報サーバ30が発行する。また、位置情報は、媒体上の座標位置を特定するための情報であり、本実施の形態では文書サーバ20が生成する。
そして、文書画像と符号画像とが印刷された媒体に対し、ユーザが筆跡情報生成手段の一例であるデジタルペン60を用いて筆記すると、デジタルペン60は符号画像に含まれる位置情報に基づいて手書き情報(筆跡情報)を生成する。またそれと同時に、デジタルペン60は符号画像に含まれる識別情報を認識する。そして、認識された識別情報と筆跡情報とは、端末装置50を介して文書サーバ20に送られる。識別情報と筆跡情報とを受け取った文書サーバ20は、識別情報に基づいて媒体に印刷された電子文書を特定し、この特定された電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する。
【0011】
なお、本明細書では、媒体に記録する画像の元となる電子データを「電子文書」と表記するが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、データベース管理ソフトウェアや表計算ソフトウェアで記録されるデータ、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
また、本明細書において、「媒体」は、画像を印刷可能な媒体であれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシート等といったプラスチックシートや金属板等であっても構わない。
さらに、本明細書では、電子文書、媒体、さらにはデジタルペン60やユーザについて、それぞれを一意に識別するための識別情報を用いて処理を行うが、単に「識別情報」という場合には、媒体に関する識別情報を意味するものとする。すなわち、本実施の形態では、媒体に固有に付与される媒体識別情報の一例として、この識別情報を用いる。
【0012】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システム1を構成する各構成要素について詳細に説明する。
端末装置10は、文書サーバ20に対して電子文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
文書サーバ20は、電子文書を記憶し管理するコンピュータ装置である。また、端末装置10から電子文書の印刷要求があると、電子文書の画像と、識別情報および位置情報を表す符号画像とを生成し、これらを合成した合成画像を媒体に印刷する印刷命令を画像形成装置40に対して出力する。ここで、文書サーバ20としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
【0013】
識別情報サーバ30は、媒体に付与する識別情報を発行するコンピュータ装置である。そして、発行した識別情報を、その識別情報が付与される媒体に印刷される電子文書と関連付けて記憶する。ここで、識別情報サーバ30としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
画像形成装置40は、媒体に画像を印刷し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置40は、単体のプリンタや印刷機であってもよいし、他にスキャナや通信の機能を備えた所謂「複合機」であってもよい。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いるとよいが、その他の方式を用いてもよい。
【0014】
端末装置50は、印刷文書に対する筆記を電子化した情報(以下、「筆跡情報」という)を、印刷文書に記録された画像の元となる電子文書に反映させるために識別情報サーバ30に送信するコンピュータ装置である。また、筆跡情報を反映する対象の電子文書をディスプレイ(不図示)に表示し、その上に筆跡情報を重ねて表示するようにしてもよい。ここで、端末装置50としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。なお、本実施の形態では、筆記の内容を電子化した筆跡情報の一例として、筆跡情報を用いている。また、筆跡情報を主に手書き情報として説明するが、これに限らず、例えば、建築や機械等の図面データを出力する装置であるプロッタ等によって機械的に描画された情報等を含むものである。
【0015】
デジタルペン60は、筆跡情報生成手段および筆跡情報生成装置の一例であり、印刷文書上に文字または図形を筆記するために用いられるペンデバイスである。また、媒体に印刷された符号画像を読み取る撮像素子を備える。そして、撮像素子で読み取った符号画像から位置情報を検出し、筆記した文字または図形をイメージデータ化した筆跡情報をこの位置情報に基づいて生成し記憶する。
通信装置70は、デジタルペン60から筆跡情報を取得して端末装置50に送信する装置である。例えば、デジタルペン60とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルで接続され、デジタルペン60に記憶された筆跡情報を端末装置50に送信する。ここで、通信装置70と端末装置50との間の通信の方式としては、USB、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信機能等、種々の方式が用いられる。また、図1では、通信装置70をデジタルペン60と別体のものとして示しているが、必ずしも別体である必要はなく、一体に構成してもよい。
【0016】
引き続いて、筆跡情報管理システム1を構成する各構成要素の詳細を説明する。
まず、文書サーバ20の構成について説明する。
図2は、文書サーバ20の機能構成の一例を示したブロック図である。図2に示したように、文書サーバ20は、受信部21と、識別情報取得部22と、電子文書管理部23と、筆跡情報管理部24と、文書/筆跡情報記憶部25とを備える。また、識別符号生成部27aと、位置符号生成部27bと、符号配置部27cと、パターン画像記憶部27dと、符号画像生成部27eとを備える。さらに、文書画像生成部26と、画像合成部28と、送信部29とを備える。
【0017】
受信部21は、端末装置10から印刷要求を受信する。ここで、印刷要求には、電子文書に加えて、印刷対象となる電子文書の識別情報(以下、「文書ID」という)と、印刷される媒体上での電子文書のレイアウトを定めるための各種設定(以下、「印刷設定」という)とが含まれる。文書IDは、端末装置10にて電子文書毎に付与されるが、文書サーバ20にて付与してもよい。また、受信部21は、印刷文書が印刷される媒体に固有に付与される識別情報を識別情報サーバ30から受信する。さらに、印刷文書に対する筆記が行われた際には、識別情報サーバ30から、印刷文書に埋め込まれた識別情報と、印刷文書に対する筆記の内容(筆記画像)を電子化した筆跡情報とを受信する。
識別情報取得部22は、受信部21から文書IDおよび印刷設定を取得し、これを送信部29に渡して識別情報の発行要求の送信を指示し、これを文書画像生成部26に渡して文書画像の生成を指示する。また、受信部21から媒体の識別情報を取得し、これを識別符号生成部27aに渡して識別符号の生成を指示する。
【0018】
電子文書管理部23は、受信部21が受信した識別情報と電子文書とを取得し、文書IDに基づき両者を対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、文書/筆跡情報記憶部25に記憶された電子文書についての、印刷設定に従って媒体上に印刷された状態を反映した新たな電子文書(第2の電子文書)を生成し、生成された第2の電子文書を文書/筆跡情報記憶部25に記憶する。さらに、電子文書の表示や印刷が指示された際には、対応する識別情報と電子文書とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
【0019】
筆跡情報管理部24は、受信部21が受信した識別情報と筆跡情報とを取得し、識別情報に基づき筆跡情報を電子文書に対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、筆跡情報の表示が指示された際には、対応する識別情報と筆跡情報とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
文書/筆跡情報記憶部25は、電子文書管理部23によって管理される電子文書と、筆跡情報管理部24によって管理される筆跡情報とを記憶する。ここで、本実施の形態では、識別情報と電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する記憶手段の一例として、文書/筆跡情報記憶部25を設けている。
【0020】
識別符号生成部27aは、媒体を特定する識別情報を符号化して識別符号を生成する。
位置符号生成部27bは、媒体上の座標位置を示す位置情報を符号化して位置符号を生成する。
符号配置部27cは、識別符号生成部27aにて生成された識別符号や、位置符号生成部27bにて生成された位置符号等を所定のレイアウト(後段の図3参照)に従って2次元平面に配置し2次元の符号配列を生成する。
パターン画像記憶部27dは、符号配列に格納される各符号の符号値に対応するパターン画像を記憶する。
符号画像生成部27eは、符号配置部27cが生成した2次元の符号配列を参照し、各符号値に対応したパターン画像を選択して符号画像を生成する。
【0021】
文書画像生成部26は、識別情報取得部22から文書IDおよび印刷設定を取得し、この文書IDで特定される電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。そして、印刷設定に従ってその電子文書の文書画像を生成する。
画像合成部28は、符号画像生成部27eが生成した符号画像と、文書画像生成部26が生成した文書画像とを合成し、合成画像を生成する。
送信部29は、識別情報サーバ30に対して識別情報の発行要求を送信する。また、画像形成装置40に対して媒体に対する画像の印刷命令を送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、識別情報サーバ30に対して識別情報と筆跡情報とを送信する。
【0022】
ここで、本実施の形態の文書サーバ20で生成される符号画像について説明する。
図3は、符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。まず、符号画像を構成する単位パターンについて説明する。図3(a)は、単位パターンの一例を示したものである。
単位パターンとは、情報埋め込みの最小単位である。図3(a)では、黒塗りの領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒塗りの領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。すなわち、図3(a)は、ドットを配置可能な9箇所の中から選択した2箇所(黒塗りの領域)にドットを配置することで単位パターンを構成した例を示したものである。ここで、9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは36(=9C2)通りなので、単位パターンは、36種類存在する。このうち、4種類の単位パターンは、同期パターンとして使用される。同期パターンとは、画像の回転を検出したり、識別符号および位置符号の相対的な位置を特定したりするためのパターンである。特に、画像の回転を検出する必要があることから、4種類の同期パターンとしては、そのうちの1つの同期パターンを90度回転するとそのうちの別の同期パターンになるようなものが選ばれる。また、この4種類の単位パターンを除く32種類の単位パターンは、識別符号および位置符号を表現する情報パターンとして使用され、5ビットの情報が表現される。
【0023】
ところで、図3(a)に示したドットは、あくまで情報表現のためのドットであり、画像を構成する最小の点を意味するドットとは必ずしも一致しない。本実施の形態において、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2)である。情報表現のためのドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、情報表現のためのドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。ただし、上記の値84.6μmは、あくまで計算上の数値であり、実際に印刷されたトナー像では100μm程度になる。なお、本明細書で「ドット」というときは、特に明示しない限り、画像を構成する最小の点を意味するドットではなく、情報表現のためのドットを指すものとする。
【0024】
次に、このような単位パターンから構成される符号ブロックについて説明する。図3(b)に、符号ブロックのレイアウトの一例を示す。なお、ここでは、画像ではなく、パターン画像によって置き換えられる直前の符号配列で示している。すなわち、図3(b)の最小の四角(以下、「単位ブロック」という)に、図3(a)のような単位パターン(36通りの単位パターンのいずれか)が配置され、その画像が媒体に形成されることになる。
図3(b)のレイアウトでは、符号ブロックの左上の1つの単位ブロックに、同期符号が配置されている。また、同期符号が配置された単位ブロックの右側の4つの単位ブロックにX位置符号が配置され、同期符号が配置された単位ブロックの下側の4つの単位ブロックにY位置符号が配置されている。さらに、これらの位置符号が配置された単位ブロックに囲まれた16(=4×4)個の単位ブロックに識別符号が配置されている。
【0025】
ここで、識別情報の符号化について述べる。
識別情報を符号化する場合、識別情報を構成するビット列は、RS符号化を行うために複数のブロックに分割される。符号化には、いくつかの方法があるが、本実施の形態では、RS符号化が適している。RS符号は多値の符号法であり、この場合、単位ブロックで表現される値がRS符号の多値に対応するからである。例えば、1つの単位ブロックで5ビットの情報を表現する場合、60ビットの識別情報は、ブロック長が5ビットの12個のブロックに分割される。そして、2ブロックの誤りを訂正可能なRS符号を採用したとすると、符号長は16ブロックとなり、図3(b)の符号ブロックにおける識別符号が配置される単位ブロックに収まることになる。なお、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用してもよい。
【0026】
引き続いて、位置情報の符号化について述べる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、ある長さのシフトレジスタとフィードバックによって生成される符号系列とのうち、その周期が最長になる系列をいう。Kをシフトレジスタの段数とすると、M系列の系列長は2K−1となる。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用して位置情報を符号化する。
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。すなわち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。この場合、位置符号も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。
【0027】
なお、本明細書では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いている。しかしながら、広範な位置情報を用意しておき、媒体ごとに異なる範囲から位置情報を切り出して埋め込み、位置情報の違いによって媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法においては、媒体を識別する機能が位置情報に備わっているものと見て、位置情報を識別情報としても考えるものとする。
【0028】
次に、識別情報サーバ30の構成について説明する。
図4は、識別情報サーバ30の機能構成の一例を示したブロック図である。図4に示したように、識別情報サーバ30は、受信部31と、識別情報管理部32と、識別情報記憶部33と、表示情報生成部34と、送信部39とを備える。
受信部31は、文書サーバ20から識別情報の発行要求を受信する。また、受信部31は、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを端末装置50から受信する。ここで、本実施の形態では、端末装置50から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信し、さらに筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信する受信手段の一例として、受信部31を設けている。
【0029】
識別情報管理部32は、識別情報の発行要求があると、識別情報を重複することなく発行し、その際に指定された文書IDおよび印刷設定を識別情報に関連付けて記憶する。また、識別情報の指定を受けて、その識別情報に対応する文書IDおよび印刷設定を取り出す。
識別情報記憶部33は、識別情報を、その使用/未使用の状態、それが付与された媒体に印刷された電子文書の文書ID、それが付与された媒体に電子文書が印刷された際の印刷設定を関連付けて記憶するデータベースである。
表示情報生成部34は、筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から取得した情報に基づいて、筆跡情報を表示するための表示情報を生成する。この表示情報としては、例えば、端末装置50で表示するイメージを生成する元となるデータを生成する。
【0030】
送信部39は、文書サーバ20からの要求に応じて発行した識別情報を文書サーバ20に送信する。また、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを文書サーバ20に送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、端末装置50に対して表示情報を送信する。ここで、本実施の形態では、媒体の識別情報と筆跡情報とを送信する送信手段の一例として、送信部39を設けている。
【0031】
次に、デジタルペン60について説明する。なお、ここではデジタルペン60の機能構成の概略を説明することとし、デジタルペン60の構成の詳細は後段で説明する。
図5は、デジタルペン60の機能構成の概略を説明する図である。図5に示したように、デジタルペン60は、ペン全体の動作を制御する制御回路61を備える。制御回路61は、読み取った符号画像を処理する画像処理部61aと、画像処理部61aでの処理結果から識別情報および位置情報を抽出するデータ処理部61bとを含み、情報取得手段の一例として機能する。
また、制御回路61には、デジタルペン60による筆記動作をペン芯の一例としてのペンチップ69に加わる圧力(筆圧)によって検知し、デジタルペン60を動作状態に設定する筆圧検知スイッチ62が接続されている。さらに、媒体上に赤外光を照射する光源の一例としての赤外LED63と、反射光を検知することによって符号画像を読み取る受光部の一例としての赤外CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)64も接続されている。さらにまた、識別情報および位置情報を記憶するための情報メモリ65と、外部装置と通信するための通信回路66と、ペンを駆動するためのバッテリ67と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ68とが接続されている。
【0032】
制御回路61において実現される機能構成について詳細に説明する。図6は、制御回路61の機能構成の一例を示したブロック図である。なお、図6では、制御回路61内の画像処理部61aとデータ処理部61bとに分けて、機能構成例を示している。
図6に示したように、画像処理部61aは、画像取得部611と、ドット配列生成部612とを備える。また、データ処理部61bは、符号配列生成部613と、識別情報取得部614と、位置情報取得部615と、筆跡情報生成部616と、送信部619とを備える。
【0033】
画像取得部611は、赤外CMOS64が印刷文書から読み取った符号画像を取得する。また、必要に応じて、符号画像に含まれるノイズを除去する。
ドット配列生成部612は、符号画像におけるドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。すなわち、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置に「1」を、ドットがない位置に「0」を記憶することにより、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換える。そして、この2次元の配列をドット配列として出力する。
【0034】
符号配列生成部613は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位パターンに対応するブロックを検出する。具体的には、単位パターンが配置されるブロックと同じ形状および大きさの枠をドット配列上で動かし、枠内のドット数が均等になる位置で枠を固定する。例えば、図3(a)の単位パターンを用いる場合であれば、3ドット×3ドットに対応する大きさの枠を動かし、枠内に含まれるドット数が2となる位置で枠を固定する。そして、その枠で区切られた各ブロック内のドット位置から定まる符号値を格納した符号配列を生成する。また、この符号配列が生成されると、予め定められた同期符号の符号値を検索することによって、同期符号の位置が特定される。
【0035】
識別情報取得部614は、符号配列から同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。そして、画像生成時にRS符号化処理で用いたパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を取得する。
位置情報取得部615は、符号配列から同期符号の位置を基準にして位置符号を検出する。そして、位置符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成時に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を同期符号によるオフセットで補正した値を位置情報として取得する。なお、オフセットで補正するのは、位置符号の間に同期符号が配置されているためである。
【0036】
筆跡情報生成部616は、位置情報取得部615が取得した位置情報を連結して筆跡情報を生成する。ここで、筆跡情報には、少なくともデジタルペン60のペン先の軌跡を電子化したデータが含まれるが、これ以外の情報を含んでもよい。ペン先の軌跡以外の情報としては、例えば、筆記した時にペンに設定されていた色の情報や、筆圧の情報等がある。
送信部619は、識別情報取得部614が取得した識別情報と、筆跡情報生成部616が生成した筆跡情報とを通信回路66に渡すことで、通信装置70への情報送信を実現する。ここで、本実施の形態では、媒体の識別情報と筆跡情報とを送信する送信手段の一例として、送信部619を設けている。
【0037】
デジタルペン60では、まず、赤外LED63が媒体に対して赤外光を照射し、赤外CMOS64がその反射光を受光することにより、符号画像を読み取る(すべて図5参照)。そして、画像取得部611がこの読み取った符号画像を取得する。その際に、符号画像にノイズが含まれていれば、これを除去する。次に、ドット配列生成部612が、符号画像に含まれるドット位置をデジタルデータ化し、ドット配列を生成する。そして、符号配列生成部613が、ドット配列からブロックを検出し、ブロックごとの符号値を格納した符号配列を生成する。そして、符号配列において、同期符号の位置を特定する。その後、識別情報取得部614が、同期符号の位置に基づいて識別符号を検出し、これを復号して識別情報を取得する。また、位置情報取得部615が、同期符号の位置に基づいて位置符号を検出し、これを復号して位置情報を取得する。そして、筆跡情報生成部616が、位置情報を連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部619が、これらの情報を通信装置70および端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。
【0038】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システム1にて電子文書に関して行われる各種処理について説明する。
[印刷文書の生成処理]
図7は、筆跡情報管理システム1にて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
まず、ユーザは端末装置10から電子文書の印刷指示を文書サーバ20に送信する(ステップ101)。その際には、端末装置10は、印刷対象となる電子文書と、電子文書の識別情報(文書ID)と、ユーザが指定した印刷設定とを送信する。ここで、印刷設定は、印刷の対象とするページ、印刷部数、媒体である用紙のサイズ、拡大縮小率、Nアップ (電子文書のNページを媒体の1ページに割り付ける印刷)、余白領域の大きさ等の設定を含む。
【0039】
文書サーバ20は、端末装置10から電子文書の印刷指示を受信する(ステップ201)。印刷指示に含まれる印刷対象となる電子文書は、電子文書管理部23に送られ、電子文書管理部23が、電子文書を文書IDと関連付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する(ステップ202)。
また、文書サーバ20は、印刷を指示された電子文書の文書IDと印刷設定とを識別情報サーバ30に送信する(ステップ203)。ここで、文書IDとしては、例えば、URL(Uniform Resource Locator)を用いるとよいが、電子文書を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いてもよい。
それにより、識別情報サーバ30は、文書IDと印刷設定とを受信する(ステップ301)。そして、識別情報を管理する識別情報管理部32が識別情報記憶部33から未使用の識別情報を取得する(ステップ302)。ここで、取り出す識別情報の数は、印刷設定に応じて決められる。つまり、基本的には、印刷するページ数に印刷部数を乗じて得られる数の識別情報が取り出される。ただし、印刷設定情報の中に、Nアップ印刷の指定等がある場合は、それも考慮される。例えば、10ページの電子文書を2アップ印刷で5部印刷する場合は、25(=10÷2×5)個の識別情報が取り出される。
次に、識別情報サーバ30は、識別情報と文書IDと印刷設定とを関連付けて識別情報記憶部33に登録する(ステップ303)。そして、識別情報サーバ30は、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ304)。
【0040】
それにより、文書サーバ20は、識別情報を受信する(ステップ204)。そして、識別情報および位置情報を表す符号画像を生成する(ステップ205)。
すなわち、文書サーバ20では、受信部21が識別情報を受信する。そして、受信部21は、受信した識別情報を識別情報取得部22に受け渡す。すると、まず識別情報取得部22が、取得した識別情報を識別符号生成部27aに渡し、識別符号生成部27aが、上記した方法を用いて媒体の識別情報を符号化し、識別符号を生成する。
また、位置符号生成部27bは、受信部21から印刷設定を受け取り、印刷設定に応じた範囲の位置情報を上記した方法を用いて符号化し、位置符号を生成する。
そして、符号配置部27cが、媒体識別符号と位置符号とを所定のレイアウトに従って配置し、これを符号画像生成部27eが、パターン画像記憶部27dに記憶されたパターン画像を用いて画像化することで符号画像を生成する。
【0041】
その後、文書サーバ20では、文書画像生成部26が、電子文書の文書画像を生成する(ステップ206)。その際に、文書画像生成部26は、ステップ201で識別情報取得部22が取得した文書IDを受け取り、文書IDに基づいて印刷対象となる電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。また、ステップ201で識別情報取得部22が取得した印刷設定を受け取り、これに基づいて文書画像を生成する。
そして、画像合成部28は、ステップ205で生成された符号画像と、ステップ206で生成された文書画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップ207)。
その後、合成画像は送信部29に渡され、送信部29が、合成画像の印刷命令を画像形成装置40に送信する(ステップ208)。ここで、合成画像の印刷命令は、例えば、文書画像の印刷命令の列からなるPDL(Page Description Language)ファイルに対し、符号画像として印刷する内容をPDLコマンドとして設定したPDLの形式で送信される。
【0042】
画像形成装置40は、文書サーバ20から合成画像(電子文書の文書画像および符号画像)を受信する(ステップ401)。そして、画像形成装置40は、文書画像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)により画像に展開する(ステップ402)。次に、文書画像はC、M、Yのトナーを用いて、符号画像はK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて、それぞれ画像形成を行う(ステップ403)。
【0043】
ところで、上述した例では、識別情報サーバ30は識別情報を発行するだけで、文書サーバ20が、識別情報を含む符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成とした。しかしながら、識別情報サーバ30が、符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成としてもよい。
また、符号画像を画像形成装置40で生成する構成を採用してもよい。その場合には、文書サーバ20または識別情報サーバ30が、電子文書から生成したPDLに識別情報を付加して画像形成装置40へ送信し、画像形成装置40が識別情報を含む符号画像を生成することになる。
【0044】
また、上記の例では、識別情報と文書IDと印刷設定とが関連付けられて構成されたデータベース(識別情報記憶部33)を識別情報サーバ30に置く構成について説明した。これは、かかるデータベースを共有可能な装置(識別情報サーバ30)に置くことで、複数ユーザへの対応や、サーバのアクセス制御技術を利用した電子文書のセキュリティ確保が可能となるからである。しかしながら、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、端末装置10や文書サーバ20に上記のデータベースを置く構成を採用してもよい。
【0045】
また、上記した画像形成装置40では、符号画像をK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて形成するようにした。これは、Kのトナーが、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナーよりも赤外光の吸収量が多く、デジタルペン60での符号画像の読み取りが容易となるからである。しかしながら、符号画像は、特殊トナーを用いて形成することも可能である。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」および「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷文書における画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが人間の目で認識し難いものも、「不可視」に含める。
【0046】
なお、ここでは、電子文書の画像に符号画像を合成して印刷することとしたが、白紙(ノートや付箋等)に符号画像を印刷する構成としてもよい。その場合は、ステップ201で受信する印刷要求に文書IDを含めないようにし、ステップ303で識別情報と文書IDおよび印刷設定との関連付けを行わないようにし、ステップ206における文書画像の生成は実行しないようにすればよい。
【0047】
[筆跡情報の登録処理]
次に、デジタルペン60が筆跡情報を生成して文書サーバ20に登録する際の動作について説明する。
上記したように、デジタルペン60では、識別情報取得部614が識別情報を取得する。また、位置情報取得部615が位置情報を取得する。さらに、筆跡情報生成部616が位置情報を相互に連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部619が、識別情報および筆跡情報を通信装置70および端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。そして、識別情報サーバ30が筆跡情報を文書サーバ20に登録する。
図8は、筆跡情報を登録する際の識別情報サーバ30および文書サーバ20の動作の一例を示したシーケンス図である。
識別情報サーバ30では、まず、筆跡情報を取得する筆跡情報取得手段の一例としての受信部31が、デジタルペン60からの識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ311)。次に、識別情報および筆跡情報は識別情報管理部32に渡され、識別情報管理部32は、渡された識別情報に関連付けられた文書IDを識別情報記憶部33から取り出す。そして、ステップ311で受信した識別情報および筆跡情報の送信先となる文書サーバ20(文書IDで特定される電子文書が存在する文書サーバ20)を決定する(ステップ312)。なお、識別情報記憶部33において識別情報に文書IDが関連付けられていなければ、その識別情報は白紙(ノートや付箋)に割り当てられたものであると考えられる。その場合は、白紙に対する筆跡情報を管理する文書サーバ20を送信先として決定すればよい。
【0048】
その後、識別情報および筆跡情報は送信部39に渡され、送信部39が、ステップ312で送信先として決定した文書サーバ20に対し、識別情報および筆跡情報を送信する(ステップ313)。
これにより、文書サーバ20では、受信部21が、識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ211)。そして、受信部21は、受信した識別情報を筆跡情報管理部24に渡す。すると、筆跡情報管理部24は、識別情報と筆跡情報とを対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に記憶する(ステップ212)。
【0049】
ところで、本実施の形態の筆跡情報管理システム1では、文書サーバ20が電子文書や筆跡情報を管理し、識別情報サーバ30が媒体を一意に識別するための識別情報を生成/管理するように構成した。しかしながら、これらの処理を如何なる装置で行うかについては種々のバリエーションが考えられる。例えば、識別情報を生成/管理する処理は、文書サーバ20で行ってもよいし、端末装置50や画像形成装置40で行ってもよい。また、符号画像を画像形成装置40で生成してもよい。
そのため、これらの処理を汎用的な装置としてのコンピュータ90で行うものとして一般化できる。そこで、筆跡情報管理システム1を構成する端末装置10、文書サーバ20、識別情報サーバ30、画像形成装置40の制御部、端末装置50がコンピュータ90で構成されるものとして、コンピュータ90のハードウェア構成について説明しておく。
【0050】
図9は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図9に示したように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92および磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0051】
次に、デジタルペン60の構成を詳細に説明する。
図10はデジタルペン60の全体構成を説明する図であって、(a)はデジタルペン60の外観斜視図、(b)はデジタルペン60のキャップ部610の外観斜視図、(c)はデジタルペン60のペン本体部620の外観斜視図である。図10に示したように、本実施の形態のデジタルペン60は、ペン本体部620と、ペン本体部620に対して着脱自在なキャップ部610とで構成されている。
【0052】
続いて、図11はペン本体部620の構成を説明する断面図である。図11に示したように、ペン本体部620は、筐体621、筆記検知機能部622、符号画像検出部623、操作表示部624、キャップ位置検出機能部625、制御回路部626により構成される。
筐体621は、ペン本体部620の外壁を構成するとともに、ペン本体部620に配置される各種機能部を支持する。
筆記検知機能部622は、媒体に対する筆記が行われた際に、媒体に加えられた筆圧を検出して、筆記が行われていることを検知する機能部である。筆記検知機能部622には、図5に示したペンチップ69と、筆圧検知スイッチ62とが含まれる。
符号画像検出部623は、媒体に所定の波長の光(例えば、赤外光)を照射し、媒体からの反射光に基づいて、媒体に印刷された符号画像を検出する機能部である。符号画像検出部623には、図5に示した赤外LED63と、赤外CMOS64とが含まれる。
【0053】
操作表示部624は、媒体から読み取られた符号画像に基づく特定処理の実行を指示する機能部である。例えば、符号画像に含まれる識別情報及び位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する。また、デジタルペン60の動作状態を特定色の表示で行う機能部でもある。
キャップ位置検出機能部625は、ペン本体部620の所定位置にキャップ部610が取り付けられたか否かを検出する機能部である。
制御回路部626は、デジタルペン60を動作させる際の各種処理を実行する機能部である。また、通信装置70を介して端末装置50に識別情報及び筆跡情報を送信する機能部である。制御回路部626には、図5に示した画像処理部61aやデータ処理部61bを備える制御回路61、情報メモリ65、通信回路66、バッテリ67、およびペンIDメモリ68が含まれる。
【0054】
引き続き、筆記検知機能部622について説明する。
図12は、筆記検知機能部622を説明する図である。図12に示したように、筆記検知機能部622は、ペンチップ69、ペンチップ支持部622a、ペンチップ留め部材622b、付勢バネ622c、継ぎ手部材622d、筆圧検知スイッチ62を備える。
ペンチップ69は、例えばボールペン等で構成され、媒体上にインク等の色材により文字や図形等を描画する。尚、本実施形態では、ペンチップ69が色材によって描画する例を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。無色のインク等によって描画するものでも良い。或いは、インク等の用いることなく感圧ディスプレイに押圧することで描画しても良い。
ペンチップ支持部622aは、ペンチップ69をペン軸pに沿って移動自在に支持する。
ペンチップ留め部材622bは、ゴム等の弾性体によりリング状に形成されている。そして、ペンチップ69を自らの弾性力で挟持することでペンチップ69を保持し、ペンチップ69がペンチップ支持部622aから脱落することを抑制している。また、ペンチップ69に対し、ペン軸pに沿ってペンチップ留め部材622bによる摩擦力以上の引っ張り力が加わった場合には、ペンチップ69がペンチップ支持部622aから引き抜かれることを許容する。さらに、ペンチップ留め部材622bによる摩擦力以上の押付け力が加わった場合には、ペンチップ69がペンチップ支持部622aに装着されることを許容する。
【0055】
継ぎ手部材622dは、ペンチップ69のペン軸pに沿った移動を筆圧検知スイッチ62に伝達する。すなわち、デジタルペン60による筆記動作によりペンチップ69が媒体に押し付けられた際に、ペンチップ69に加わる圧力(筆圧)によってペンチップ69はペン軸pに沿ってデジタルペン60の内部側に移動する。それにより、継ぎ手部材622dは付勢バネ622cの付勢力に抗してペンチップ69の移動量だけ移動され、筆圧検知スイッチ62を押す。
またその場合に、継ぎ手部材622dのペンチップ69側の端部622eは、外径が大径に構成され、端部622eが筐体621に形成された所定幅の溝部621aの内部に配置される。それにより、継ぎ手部材622dの移動範囲は、筐体621に形成された溝部621aの幅に制限される。
筆圧検知スイッチ62は、筆記動作によってペンチップ69に筆圧が加わり、継ぎ手部材622dからの押圧力を受ける。それにより、筆圧検知スイッチ62はオンに切り換えられ、デジタルペン60を動作状態に設定する。
付勢バネ622cは、継ぎ手部材622dをペンチップ69側に付勢する。それにより、筆記動作が行われていない場合には、継ぎ手部材622dの端部622eは、筐体621の溝部621aにより制限された移動範囲の中の最もペンチップ69側に位置する。それによって、筆圧検知スイッチ62はオフに切り換えられ、デジタルペン60を動作停止状態に設定する。
【0056】
次に、符号画像検出部623について説明する。
図13は、符号画像検出部623を説明する図である。図13に示したように、符号画像検出部623は、媒体上に赤外光を照射する赤外LED63(図5も参照)と、赤外LED63から出射された赤外光を拡散させて透過させる拡散板623aと、媒体からの反射光を検知することによって媒体上の符号画像を読み取る赤外CMOS64(図5も参照)とを備えている。また、符号画像検出部623は、媒体からの反射光を赤外CMOS64に結像させる結像光学系として、赤外光を主に通過させる光学フィルタの一例としてのIR(Infrared)フィルタ623bと、結像レンズ623cと、結像レンズ623cを支持する鏡筒623dと、結像レンズ623cを通過した赤外光の光路を90°折り返して赤外CMOS64に導くプリズム623eと、鏡筒623dおよびプリズム623eを支持するホルダ623fと、プリズム623eと赤外CMOS64との間のギャップを所定値に保つスペーサ623gとを備えている。
【0057】
符号画像検出部623では、赤外LED63から出射された赤外光は、拡散板623aによって拡散された後、媒体表面を照射する。そして、媒体上から反射された赤外光は、IRフィルタ623bにより赤外光以外の光が除外された後、結像レンズ623cにより集光され、プリズム623eにより光路を赤外CMOS64に向けて折り返されて赤外CMOS64に結像される。そして、赤外CMOS64により媒体上の符号画像が読み取られる。赤外CMOS64により読み取られた符号画像は、制御回路部626の制御回路61(図5参照)に送られる。
【0058】
次に、操作表示部624について説明する。
図14は、操作表示部624を説明する図である。図14に示したように、操作表示部624は、基板624aと、基板624a上に設けられた切替スイッチ624bと、筐体621の外部からのユーザの操作を受け付ける操作ボタン624cと、第1の発光LED624fと、第2の発光LED624gとを備えている。基板624aは、固定ビス624kにより筐体621に固定されている。また、操作ボタン624cは、操作ボタン624cがユーザにより所定量押圧された場合に基板624aに接触する接触部624dを備えている。
切替スイッチ624bは、1回のスイッチングが行われることでオフ状態からオン状態に切り替え設定を行うスイッチング部材である。そして、オン状態に設定されることで、媒体から読み取られた符号画像に基づく特定処理の実行を指示する信号を出力する。本実施の形態では、切替スイッチ624bがオン状態に設定されることにより、符号画像に含まれる識別情報及び位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する信号が制御回路部626の制御回路61(図5参照)に送られる。
【0059】
ユーザによって操作ボタン624cが押されると、操作ボタン624cは切替スイッチ624b自身が有する反発力に抗して押し下げられるとともに、切替スイッチ624bはオフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、制御回路部626の制御回路61に対して、符号画像に含まれる識別情報及び位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する信号が送られる。なお、ユーザによって操作ボタン624cが押された際、操作ボタン624cは、切替スイッチ624bによって支持されるとともに、基板624aに接触する接触部624dによって支持される。
その後、ユーザによる操作ボタン624cの押圧が解除されると、操作ボタン624cは切替スイッチ624bからの反発力によって元の位置に戻されるとともに、切替スイッチ624bはオン状態からオフ状態に切り替えられる。これにより、所定の情報源へのリンクは解除される。
【0060】
また、基板624a上に設けられた第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gは、デジタルペン60の動作状態を特定色を表示することで表現する。例えば、第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gそれぞれは、デジタルペン60の動作状態に応じて赤色と緑色とに発光色が変化する。そして、例えば、第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gは、デジタルペン60が動作状態(電源オンの状態)である場合に、緑色に発光する。また、操作ボタン624cが操作されて切替スイッチ624bが所定の情報源へのリンクを指示する状態になった場合に、第2の発光LED624gは赤色を発光する。
その際に、第1の発光LED624fおよび第2の発光LED624gから発光した光は、それぞれ第1の導波部材624hおよび第2の導波部材624jにより、筐体621の外部に表示される。
【0061】
次に、キャップ位置検出機能部625について説明する。
図15は、キャップ位置検出機能部625を説明する図である。図15に示したように、キャップ位置検出機能部625は、基板625aと、基板625a上に設けられた切替スイッチ625bと、操作ボタン625cとを備えている。基板625aは、筐体621に固定されている。また、操作ボタン625cは、切替スイッチ625b側とは反対側の端部が筐体621に固定されている。そして、切替スイッチ625b側の端部が操作ボタン625c自身の弾性により揺動する。
【0062】
そして、ペン本体部620にキャップ部610が装着されていない状態や、キャップ部610の内周面に設けられた溝部(不図示)の位置が操作ボタン625cの位置と一致するようにキャップ部610がペン本体部620に装着された状態にある場合には、操作ボタン625cの切替スイッチ625b側の端部は、筐体621の外部に突出するように位置する。その状態において、操作ボタン625cは、切替スイッチ625bをオフ状態に設定する。そして、切替スイッチ625bがオフ状態に設定されることにより、符号画像検出部623は媒体上の符号画像を読み取ることができる状態に設定される。
一方、キャップ部610の内周面に設けられた溝部(不図示)の位置が操作ボタン625cの位置と一致しない状態でキャップ部610がペン本体部620に装着された状態にある場合には、操作ボタン625cの切替スイッチ625b側の端部は、キャップ部610の内周面により筐体621の内部に押し込められるように位置する。その状態において、操作ボタン625cは、切替スイッチ625bをオン状態に設定する。そして、切替スイッチ625bがオン状態に設定されることにより、符号画像検出部623は媒体上の符号画像を読み取ることができない状態に設定される。
【0063】
次に、制御回路部626について説明する。
図16は、制御回路部626を説明する図である。図16に示したように、制御回路部626では、図5に示した画像処理部61aやデータ処理部61b、情報メモリ65、通信回路66、バッテリ67、及びペンIDメモリ68等の各機能部が、回路基板626a上に配置されたLSI(Large Scale Integration)やIC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されている。
また、制御回路部626には、デジタルペン60から通信装置70に識別情報及び筆跡情報を送信するUSBケーブルとの接続を行うコネクタ626bが備えられている。
【0064】
ここで、符号画像検出部623を構成する主要部品について詳述する。
図17は、符号画像検出部623付近を拡大して示した図である。図17(a)はデジタルペン60の先端方向から見た断面図、(b)は説明のために筐体621と赤外LED63と取り除いた状態を示す斜視図、(c)は赤外LED63から照射される赤外光が拡散板623aにて拡散される状態を説明するための斜視図である。
図17(a)に示したように、拡散板623aは、デジタルペン60の先端方向から見て、ペンチップ69の位置を中心としてIRフィルタ623b側に向けて広がった扇状、略半円状に広がる形状であって、赤外LED63の照射面を覆っている。また、拡散板623aは、媒体からの反射光を鏡筒623dへ導くための開口部を有し、開口部とは反対側はペンチップ69の外形に沿った形状を有している。即ち、拡散板623aは、媒体から鏡筒623dへの反射光が通過する光路の部分とペンチップ69の部分とが開口された形状を有している。これにより、拡散板623aは、赤外LED63から照射される赤外光を拡散させることできる。また、拡散板623aは、媒体からの反射光を、拡散板623aの開口部とIRフィルタ623bとを通過して鏡筒623dへ導くことができる。特に、拡散板623aはペンチップ69の外形に沿った形状を有しているので、ペンチップ69付近を通過する光を確実に拡散させることができる。
拡散板623aが備わっていないとき、赤外LED63から媒体(被照射体)までの距離が短いことから、赤外LED63から照射された赤外光は広がることなく媒体に当たる。このとき、媒体上の赤外光が当たった領域だけ反射光の光量が大きくなり過ぎて、赤外CMOS64(図13参照)は検出領域全体の反射光を適切に検出することはできない。これに対して、本実施の形態では、検出領域全体の反射光の光量が概ね均一になるように、拡散板623aが赤外LED63から照射される赤外光を拡散させている。
【0065】
図17(b)に示したように、IRフィルタ623bは、拡散板623aに開口された光路の部分に配されている。これにより、媒体からIRフィルタ623bを通過する反射光は、拡散板623aによって拡散されることなく鏡筒623dに入射される。尚、赤外LED63の照射面はIRフィルタ623bよりも媒体側に配置されていることから(図13参照)、赤外LED63から照射される赤外光がIRフィルタ623bに直接入射されることはない。
図17(a)及び(c)に示したように、赤外LED63は、デジタルペン60の先端方向から見て、ペンチップ69と鏡筒623dとを結ぶ仮想の線から離間した位置に配置されている。本実施の形態では、赤外LED63は、ペンチップ69と鏡筒623dとを結ぶ仮想の線に対して対称となる2つの位置の一方(図17(c)では手前側)に配置されている。このような配置により、略円筒状の筐体621内にペンチップ69と鏡筒623dと赤外LED63とが効率良く収納され、デジタルペン60の小型化を実現している。
尚、図17(c)では、赤外LED63は、デジタルペン60の先端方向から見てペンチップ69と鏡筒623dとを結んだ仮想の線に対して対称となる2つの位置の一方に配置された例を説明したが、2つの赤外LED63が線対称の両方に配置されてもデジタルペン60の大きさに変化はない。一方の赤外LED63が切れたときに、他方の赤外LED63に切り換えることで、デジタルペン60を継続して使用できる。また、左右に配置された光源は、異なるタイプの光源であってもよい。例えば、一方には本実施の形態のごとく赤外LEDを採用し、他方には赤外以外のLED(例えば白色LED)を採用しても良い。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、拡散板623aは、反射光を鏡筒623dへ導くための開口部が形成されているので、媒体からの反射光は拡散板623aを透過することなく鏡筒623dへ導かれる。拡散板623aは、赤外LED63から照射される赤外光の拡散に必要で、デジタルペン60の小型化に好適な大きさを実現できる。また、拡散板623aに開口された光路の部分にIRフィルタ623bを配することで、IRフィルタ623bを備えてもデジタルペン60の大きさを抑えることができる。
更に、ペンチップ69とIRフィルタ623bと鏡筒623dとが筐体621内に配置されて収納されることで、デジタルペン60の小型化を実現できる。より詳しく述べれば、ペンチップ69と鏡筒623dとを結んだ仮想の線に対して対称となる2つの位置の一方に赤外LED63を配置することで、デジタルペン60の大きさを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の筆跡情報管理システムの構成の一例を示した図である。
【図2】文書サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図3】符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。
【図4】識別情報サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図5】デジタルペンの構成の一例を示した図である。
【図6】制御回路の機能構成の一例を示したブロック図である。
【図7】筆跡情報管理システムにて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
【図8】筆跡情報を登録する際の識別情報サーバおよび文書サーバの動作の一例を示したシーケンス図である。
【図9】コンピュータのハードウェア構成を示した図である。
【図10】デジタルペンの全体構成を説明する図である。
【図11】ペン本体部の構成を説明する断面図である。
【図12】筆記検知機能部を説明する図である。
【図13】符号画像検出部を説明する図である。
【図14】操作表示部を説明する図である。
【図15】キャップ位置検出機能部を説明する図である。
【図16】制御回路部を説明する図である。
【図17】符号画像検出部付近を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【0068】
1…筆跡情報管理システム、10…端末装置、20…文書サーバ、25…文書/筆跡情報記憶部、27b…位置符号生成部、30…識別情報サーバ、40…画像形成装置、50…端末装置、60…デジタルペン(電子ペン)、61a…画像処理部(情報取得手段)、61b…データ処理部(情報取得手段)、63…赤外LED(光源)、64…赤外CMOS(受光部)、69…ペンチップ(ペン芯)、621…筐体、623a…拡散板、623b…IRフィルタ(光学フィルタ)、623d…鏡筒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体上に情報を描画するペン芯と、
前記媒体に向けて光を出射する光源と、
前記媒体からの反射光を受ける受光部と、
前記光源から出射される光を拡散させて前記媒体に向けて透過させるとともに、当該媒体からの反射光を前記受光部へ導くための開口部が設けられる拡散板と
を含むことを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
前記拡散板は、前記ペン芯の外形に沿った形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記拡散板は、前記電子ペンの先端方向から見て前記光源を覆うように前記ペン芯の位置から広がる形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の電子ペン。
【請求項4】
前記拡散板は、前記ペン芯の位置から扇状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の電子ペン。
【請求項5】
前記拡散板は、前記ペン芯の位置から略半円状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の電子ペン。
【請求項6】
前記拡散板の前記開口部の開口に沿った形状を有する光学フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項7】
媒体上に色材を用いて情報を描画するペン芯と、
前記媒体に向けて光を出射する光源と、
前記媒体からの反射光を受光面にて受けて信号を出力する受光部と、
前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分と前記ペン芯の部分とが開口された扇形状を有し、前記光源から出射される光を拡散させて当該媒体に向けて透過させる拡散板と、
前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分に配置された光学フィルタと、
前記光学フィルタを通過した光を前記受光部の前記受光面に結像するレンズと、
前記受光部から出力された信号に基づいて、前記媒体に記録された情報を取得する情報取得手段と
を含むことを特徴とする電子ペン。
【請求項8】
前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線から離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペン。
【請求項9】
前記光源を2つ有し、
2つの前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線に対して対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペン。
【請求項1】
媒体上に情報を描画するペン芯と、
前記媒体に向けて光を出射する光源と、
前記媒体からの反射光を受ける受光部と、
前記光源から出射される光を拡散させて前記媒体に向けて透過させるとともに、当該媒体からの反射光を前記受光部へ導くための開口部が設けられる拡散板と
を含むことを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
前記拡散板は、前記ペン芯の外形に沿った形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記拡散板は、前記電子ペンの先端方向から見て前記光源を覆うように前記ペン芯の位置から広がる形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の電子ペン。
【請求項4】
前記拡散板は、前記ペン芯の位置から扇状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の電子ペン。
【請求項5】
前記拡散板は、前記ペン芯の位置から略半円状に広がる形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の電子ペン。
【請求項6】
前記拡散板の前記開口部の開口に沿った形状を有する光学フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項7】
媒体上に色材を用いて情報を描画するペン芯と、
前記媒体に向けて光を出射する光源と、
前記媒体からの反射光を受光面にて受けて信号を出力する受光部と、
前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分と前記ペン芯の部分とが開口された扇形状を有し、前記光源から出射される光を拡散させて当該媒体に向けて透過させる拡散板と、
前記媒体から前記受光部への反射光が通過する光路の部分に配置された光学フィルタと、
前記光学フィルタを通過した光を前記受光部の前記受光面に結像するレンズと、
前記受光部から出力された信号に基づいて、前記媒体に記録された情報を取得する情報取得手段と
を含むことを特徴とする電子ペン。
【請求項8】
前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線から離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペン。
【請求項9】
前記光源を2つ有し、
2つの前記光源は、前記電子ペンの先端方向から見て前記ペン芯と前記レンズとを結ぶ仮想の線に対して対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ペン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−181389(P2009−181389A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20367(P2008−20367)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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