説明

電子ペン

【課題】アンテナ特性の向上を図る電子ペンを提供する。
【解決手段】キャップ103には、金属製のクリップ105が設けられており、キャップ103に付設されたクリップ105の一端は、キャップ内側に連通している。キャップ内壁には、クリップ105の一端が付設された位置と反対側に突起部107が設けられており、キャップ103を電子ペン100の後端に嵌合した際、突起部107が筐体に設けられたアンテナ端子106の一端を押し込み、アンテナ端子106の他端がクリップ105の一端と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを外部装置に送信する電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙に書いた情報をデジタル情報として管理する電子ペン(「デジタルペン」ともいう)が普及しつつある。電子ペンは、通常のペン先部に加えて、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどの小型カメラを内蔵している。利用者が電子ペンを用いて、所定のドットパターンが印刷された専用紙に文字や図を記述すると、電子ペンは筆圧を検出して、小型カメラによる撮像を開始し、電子ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙のドットパターンを読み取る。
【0003】
電子ペンにはプロセッサが内蔵されており、このプロセッサが小型カメラによって読み取られたドットパターンから専用紙上の座標を算出する。また、プロセッサは、算出された座標データとタイムスタンプとを関連付けてメモリに記憶する。メモリに記憶されたデータは、利用者の指示に従って、データ通信ユニットから端末装置へ転送される。
【0004】
このように、データ通信ユニットからデータを外部の端末装置へ転送する技術として、例えば、特許文献1に開示の技術が知られている。特許文献1には、メモリに格納されたデータが読み出され、読み出されたデータに所定の送信処理を施して、電子ペン内部に設けられたアンテナコイルから電磁波として放射する電子ペンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−211990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示の電子ペンでは、アンテナコイルが電子ペンに内蔵されており、アンテナ特性を向上させるのが困難である。
【0007】
本発明の目的は、アンテナ特性の向上を図る電子ペンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子ペンは、筐体に対して着脱自在なキャップと、前記キャップに付設され、付設された一端が前記キャップ内部に連通する金属製のクリップと、前記筐体の後端側側面に突出し、前記キャップを前記筐体の後端に嵌合した場合において、前記クリップの一端に接続するアンテナ端子と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アンテナ特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子ペンのペン先側構成を示す断面図
【図2】本発明の一実施の形態に係る電子ペンの後端側構成を示す断面図
【図3】キャップを開口部側から見た斜視図
【図4】筐体側面に形成された突起を示す斜視図
【図5】電子ペンの後端にキャップを嵌合した様子を示す図
【図6】マルチアンテナとして構成したクリップを示す図
【図7】図6に示したアンテナの内側にアンテナパターンを構成した様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(一実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子ペン100のペン先側構成を示す断面図である。図1において、専用紙のドットパターンを撮像するカメラ部102がペン先101の近傍に設けられており、着脱自在なキャップ103が筐体104に嵌合し、ペン先101及びカメラ部102を収容している。キャップ103には、金属製のクリップ105が設けられており、キャップ103に付設されたクリップ105の一端は、キャップ内側に連通している。クリップ105は、例えば、60mm程度の長さを有し、アンテナ素子として機能する。具体例としては、近距離無線通信方式のBlue Tooth(登録商標)用のダイポールアンテナが想定される。この場合、アンテナの周波数及びインピーダンスが比較的安定しているため、これらの調整に要する負荷を低減することができる。なお、キャップ103は、クリップ105以外は絶縁体とする。
【0013】
図2は、本発明の一実施の形態に係る電子ペン100の後端側構成を示す断面図である。図2では、キャップ103を電子ペン100の後端に嵌合した様子を示している。電子ペン100の後端側筐体の側面に突出するアンテナ端子106が設けられている。
【0014】
キャップ内壁には、クリップ105の一端が付設された位置と反対側に突起部107が設けられており、キャップ103を電子ペン100の後端に嵌合した際、突起部107がアンテナ端子106の一端を押し込み、アンテナ端子106の他端がクリップ105の一端と接続する。
【0015】
筐体内部には、基板108が設けられており、アンテナ端子106と基板108とが配線によって接続されている。また、基板108には、図示せぬプロセッサ、メモリなどが搭載されている。これにより、プロセッサがデータを変調し、アンテナとして機能するクリップ105から送出することができる。
【0016】
ここで、キャップ内壁には、図3に示すように、キャップ103の開口部から奥へ向かって直線状の溝109が形成されており、筐体104の側面には、図4に示すように、突起部110が形成されている。利用者がキャップ103を電子ペン100の後端に嵌合させる際、筐体104の突起部110をキャップ103の溝109に合わせ、突起部110を溝109に沿って摺動させる。電子ペン100の後端にキャップ103を嵌合した様子を図5に示す。これにより、キャップ103のクリップ105と筐体104のアンテナ端子106とを容易に接続することができる。
【0017】
このように、本実施の形態によれば、キャップに設けた金属製のクリップをアンテナ素子として機能させることにより、アンテナ特性を向上させることができる。
【0018】
なお、本実施の形態では、クリップの形状については、特に言及しなかったが、図6に示すように、キャップ103に接続する支持部201からキャップ開口部と終端部にそれぞれ延伸する、マルチバンドに対応したマルチアンテナとして構成してもよい。このように、アンテナ素子を外付けにしたことにより、アンテナ形状を自由にデザインすることができると共に、筐体を小型化することができる。
【0019】
また、図7に示すように、図6に示したアンテナの内側にアンテナパターンを構成してもよい。これにより、手や物がアンテナパターンに触れにくくなり、アンテナ特性の劣化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる電子ペンは、アンテナ特性の向上を図るのに有用である。
【符号の説明】
【0021】
101 ペン先
102 カメラ部
103 キャップ
104 筐体
105 クリップ
106 アンテナ端子
107、110 突起部
108 基板
109 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に対して着脱自在なキャップと、
前記キャップに付設され、付設された一端が前記キャップ内部に連通する金属製のクリップと、
前記筐体の後端側側面に突出し、前記キャップを前記筐体の後端に嵌合した場合において、前記クリップの一端に接続するアンテナ端子と、
を具備する電子ペン。
【請求項2】
前記クリップは、ダイポールアンテナとして動作する請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記クリップは、マルチバンドに対応したマルチアンテナとして動作する請求項1に記載の電子ペン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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