説明

電子ペーパー及び複製制御プログラム並びに複製制御方法

【課題】表示保持されている画像の不適切な複製を抑制する。
【解決手段】メモリ性を有する表示部を備える電子ペーパーであって、前記電子ペーパーの状態を検知するセンサと、前記センサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態が、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する状態検知部と、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断するカウント部と、前記表示部にドキュメント画像を表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー及び複製制御プログラム並びに複製制御方法に関し、特に、メモリ性を有する画面表示部に画像を表示する電子ペーパー及び当該電子ペーパーで動作する複製制御プログラム並びに当該電子ペーパーに表示された画像の複製を制御する複製制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパー等の表示装置が普及しており、例えば、会議等の資料を紙媒体として出力する代わりに、資料の画像を電子ペーパーで表示することにより、資源の消費削減を図っている。この電子ペーパーは、透明な液体中に分散している帯電粒子やマイクロカプセル中の帯電粒子に電圧を印加して泳動させることにより、無電源で(電圧を印加したり、電流を流したりすることなく)画像を保持することができる。
【0003】
このような電子ペーパーに関する技術として、例えば、下記特許文献1には、ドキュメント画像を無電源状態で表示保持する表示部を有した携帯可能な表示記録媒体であって、当該表示記録媒体の状況(表示記録媒体が表向き又は裏向きとされた状況、表示記録媒体が覆われた状況、表示記録媒体が立てられた状況、表示記録媒体に対してユーザが所定の距離内に存するか否かの状況)を検出する状況検出手段と、前記検出した状況が予め設定した状況であるかを判定する判定手段と、前記設定された状況と判定したことに応じて前記表示部に表示保持しているドキュメント画像を消去する消去手段と、を備えた表示記録媒体が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、情報画像を無電源状態で表示保持する表示部を有し、柔軟な薄型の電子ペーパーであって、該電子ペーパーの状態変化(電子ペーパーの回転変位、該電子ペーパーの所定の場所への移動、複数の該電子ペーパーの重ね合わせ)を検出する状態検出手段と、該状態変化を検出したことに応答して前記表示部に表示保持される情報に対して所定の処理(前記表示部に表示保持する情報画像を切り換える処理や前記表示部に表示保持する情報画像の電子データを記憶手段から消去する処理)を行う制御部と、を備えた電子ペーパーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−039107号公報
【特許文献2】特開2005−266226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LCD(Liquid Crystal Display)等の従来の表示装置は、画面表示部自体が発光して画面を表示しているため、画面に表示された画像を複写機で正確にコピー又はスキャンすることはできない。一方、粒子移動型の表示装置である電子ペーパーは、画面表示部は発光していないため、画面に表示された画像を複写機で正確にコピー又はスキャンすることが可能である。そのため、電子ペーパーの画面表示部に表示保持している画像の情報は、コピーやスキャンによって漏洩する恐れがある。
【0007】
また、電子ペーパーの画面表示部に表示されている画像を複製した場合、その画像が複製された画像であるかどうかを第三者が識別することができない。そのため、複製された情報を管理する際には、複製された画像であることが識別できる形態で管理する必要があり、ユーザの負担が大きくなる。
【0008】
このように画面表示部に表示保持している画像に対して、無制限にコピーやスキャンを許可すると上記問題が生じるため、従来は、電子ペーパーが特定の状態になったら、画面表示部に表示保持している画像を消去する制御を行っていた。しかしながら、画面表示部に表示保持している画像は、コピーやスキャンを許可すべき場合(例えば、適切なユーザがその画像を利用する場合など)もあるため、一律に画像を消去する制御では使い勝手が悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、表示保持されている画像の不適切な複製を抑制することができる電子ペーパー及び複製制御プログラム並びに複製制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、メモリ性を有する表示部を備える電子ペーパーであって、前記電子ペーパーの状態を検知するセンサと、前記センサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態が、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する状態検知部と、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断するカウント部と、前記表示部にドキュメント画像を表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加するものである。
【0011】
また、本発明は、メモリ性を有する表示部を備える装置で動作する複製制御プログラムであって、前記装置を、予め配置したセンサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態を検知し、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する状態検知部、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断するカウント部、前記表示部にドキュメント画像を表示させる表示制御部、として機能させ、前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加するものである。
【0012】
また、本発明は、メモリ性を有する表示部を備える電子ペーパーを用いた複製制御方法であって、前記表示部にドキュメント画像を表示させる第1ステップと、予め配置したセンサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態を検知し、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する第2ステップと、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断する第3ステップと、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合に、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加する第4ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子ペーパー及び複製制御プログラム並びに複製制御方法によれば、表示保持されている画像の不適切な複製を抑制することができる。
【0014】
その理由は、電子ペーパー(複製制御プログラム)は、電子ペーパーが特定の状態(画面表示部が下向きに載置されている状態)であることを検知したら、複製回数が予め定めた所定回数以下であれば、ドキュメント画像に複製であることを明示する特定情報を付加して、コピーやスキャンを許可する制御を行うからである。また、複製回数が所定回数を越えたら、ドキュメント画像を消去して、コピーやスキャンを禁止する制御を行うからである。
【0015】
これにより、複製回数が所定回数を越えるまでは、画面表示部に表示保持されているドキュメント画像をコピー又はスキャンすることができるため、適切なユーザはドキュメント画像を利用することができる。また、複製回数が所定回数を越えたら、画面表示部に表示保持されているドキュメント画像が消去されるため、情報の漏洩を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る電子ペーパーの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る電子ペーパーのパネル構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る電子ペーパーにおける圧力センサの配置例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る電子ペーパーの動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施例に係る画像加工設定画面の一例を示す図である。
【図6】画像加工時のコントラストを説明する図である。
【図7】本発明の一実施例に係る電子ペーパーを用いた加工後の合成画像例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係る電子ペーパーを用いた加工後の合成画像例を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係る電子ペーパーを用いた加工後の合成画像例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術で示したように、粒子移動型表示装置である電子ペーパーは、画面表示部が発光していないため、画面に表示された画像を正確にコピー又はスキャンすることが可能であり、情報が漏洩する恐れがある。また、画面に表示された画像をコピー又はスキャンした場合、それが複製されたものかどうかを第三者は識別することができないため、情報の管理に負担がかかる。このような問題に対して、電子ペーパーが特定の状態になったら、画面表示部に表示保持している画像を消去する制御を行うこともできるが、一律に画像を消去する制御では、適切なユーザもその画像を利用することができず、使い勝手が悪くなってしまう。
【0018】
一方、金券や印鑑証明書等の重要書類には、コピー牽制地紋が印刷された紙が使用される。このコピー牽制地紋とは、複写機でコピーする際に一部が消失し、一部のみ再現される地紋であり、例えば、一見して微細な幾何学模様に見えても、コピーすると「複写」という文字が浮かび上がるものである。このような特殊な用紙を用いれば複製を牽制することは可能であるが、電子ペーパーについては、このような地紋などをドキュメント画像に重畳して表示するものはなかった。
【0019】
そこで、本発明の一実施の形態では、電子ペーパーが特定の状態になったら、コピーやスキャンの動作であると判断し、複製回数が予め定めた所定回数を越えるまでは、画面表示部に表示保持されているドキュメント画像に複製であることを明示する特定情報を付加してコピーやスキャンを許可し、複製回数が所定回数を越えたら、画面表示部に表示保持されているドキュメント画像を消去してコピーやスキャンを禁止するようにする。
【0020】
具体的には、粒子移動型の表示装置(以下、電子ペーパー)に、電子ペーパーの状態を検知する状態検知部と、複製回数をカウントするカウント部と、画面表示部に表示保持されている画像を加工する表示制御部と、を設け、状態検知部が、電子ペーパーの画面表示部が下向きの状態で且つ何かに置かれている状態であることを検知した場合、カウント部は、複製回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断し、表示制御部は、複製回数が所定回数以下であれば画面表示部に表示保持されているドキュメント画像に複製であることを明示する特定情報を付加し、複製回数が所定回数を越えたら画面表示部に表示保持されているドキュメント画像を消去する。また、ドキュメント画像の加工に際して、ドキュメント毎に画像加工を行うか否か、どのような画像加工を行うかを事前に設定可能とし、また、コントラストを設定可能にして特定情報の見え方を調整できるようにする。
【0021】
このように、電子ペーパーの状態と複製回数とに基づいて画像を加工することにより、電子ペーパーの画面表示部に表示保持されている画像の漏洩を抑制しつつ、適切に利用することができるようになり、ユーザの利便性を格段に向上させることができる。
【実施例】
【0022】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る電子ペーパー及び複製制御プログラム並びに複製制御方法について、図1乃至図9を参照して説明する。図1は、本実施例の電子ペーパーの構成を示すブロック図であり、図2は、電子ペーパーのパネル構成を示す図、図3は、圧力センサの配置例を示す図である。また、図4は、本実施例の電子ペーパーの動作を示すフローチャート図であり、図5は、ドキュメント毎の画像加工設定例を示す図である。また、図6は、画像加工時のコンストラストを説明する図であり、図7乃至図9は、加工後の画像例を示す図である。
【0023】
本実施例の電子ペーパー10は、無電源で画像を表示保持する機能(いわゆるメモリ性)を有する表示装置であり、図1(a)に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示情報記憶部14と、操作部15と、タッチパネル16と、画面表示部17と、センサ18などで構成され、これらは、システムバス19によって接続されている。
【0024】
CPU11は、プログラムに従って演算するデータ処理装置である。ROM12は、電子ペーパー10全体の動作を制御するためのプログラム等を記憶する。RAM13は、CPU11による制御に必要なデータや制御動作時に一時記憶が必要なデータ等を記憶する。そして、CPU11とROM12やRAM13などのメモリとで制御部20が構成される。
【0025】
本実施例では、上記制御部20は、図1(b)に示すように、画像加工設定部21と、状態検知部22と、カウント部23と、表示制御部24などとしても機能する。
【0026】
画像加工設定部21は、画面表示部17に後述する画像加工設定画面を表示させ、ドキュメント毎に画像加工条件を設定できるようにする。なお、本実施例では、電子ペーパー10に画像加工設定画面を表示させる構成とするが、電子ペーパー10にドキュメントをダウンロードするダウンロード元の機器の画面(ユーザのコンピュータ装置のプリンタドライバ画面やMFP(Multi Function Peripheral)の操作画面など)に画像加工設定画面を表示させる構成としてもよい。
【0027】
状態検知部22は、センサ18(後述するジャイロセンサや圧力センサ)から出力される信号に基づいて、電子ペーパー10が特定の状態(画面表示部17がおおむね下向きで、何かに載置されている状態、すなわち、コピーやスキャンが行われる状態)であるかを判断する。
【0028】
カウント部23は、電子ペーパー10が特定の状態になった回数(コピーやスキャンが行われ回数)と予め定めた所定回数とを比較し、特定の状態になった回数が所定回数を越えたかどうかを判断する。
【0029】
表示制御部24は、画面表示部17に表示保持されているドキュメント画像の種別をドキュメントのヘッダ情報などから識別し、その種別のドキュメント画像に対して画像加工設定部21で設定された画像加工情報を取得する。そして、ドキュメント画像を加工しない設定の場合は、画面表示部17にドキュメント画像を表示保持し、ドキュメント画像を加工する設定の場合は、状態検知部22及びカウント部23の判断結果に基づいてドキュメント画像を加工する。例えば、電子ペーパー10が特定の状態であると状態検知部22が判断し、かつ、特定の状態になった回数が所定回数を越えていないとカウント部23が判断した場合は、取得した画像加工情報に従って、画面表示部17に表示保持されているドキュメント画像に対して、複製であることを明示する特定情報(例えば、地紋画像)を付加する画像処理を行う。また、電子ペーパー10が特定の状態であると状態検知部22が判断し、かつ、特定の状態になった回数が所定回数を越えたとカウント部23が判断した場合は、画面表示部17に表示保持されているドキュメント画像を消去する画像処理を行う。
【0030】
表示情報記録部14は、メモリやSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などであり、表示対象となるドキュメント画像の画像データやドキュメント画像に付加する特定情報の画像データなどを記憶する。
【0031】
操作部15は、電子ペーパー10の筐体に設けられたボタンやスイッチなどであり、ユーザの操作や入力を受け付け、操作や入力に応じた信号をCPU11に出力する。
【0032】
タッチパネル16は、画面表示部17上に、透明電極が格子状に配置された感圧式又は静電式の入力手段であり、画面表示部17の接触を感知したら、その接触感知に応じた信号をCPU11に出力する。
【0033】
画面表示部17は、透明な液体中に分散している帯電粒子やマイクロカプセル中の帯電粒子に電圧を印加して泳動させることによって情報を表示するデバイスであり、CPU11によって指示された画像(ドキュメント画像やドキュメント画像に特定情報を付加した合成画像など)を表示する。
【0034】
この画面表示部17のパネル構成について、図2の模式図を参照して説明する。パネルを構成する2枚のガラス基板の間に、リブと呼ばれる壁で仕切られた小部屋が画素毎に設けられており、その中に帯電時に粒子同士が反発する、プラスに帯電した電子粉粒体と、マイナスに帯電した電子粉粒体と、が閉じ込められている。そして、2枚のガラス基板の内側に透明電極が設置されており、この透明電極に電流を流すことによって、例えば、プラスに帯電した電子粉粒体は上へ、マイナスに帯電した電子粉粒体は下へ移動し、ガラス基板の内側に付着する。上記プラスの電子粉粒体とマイナスの電子粉粒体の色を黒白などに色を変えておくことによって、文字や図形などの画像を表示することができる。上記ガラス基板の内側に付着した電子粉粒体は、電源をオフにしても移動しないため、文字や図形などの画像の表示を保持することが可能となる。
【0035】
センサ18は、電子ペーパー10の状態を検知する各種検知器であり、検知した信号をCPU11に出力する。
【0036】
例えば、センサ18として、電子ペーパー10の任意の場所にジャイロセンサ(加速度センサ)が取り付けられており、このジャイロセンサは、電子ペーパー10の角速度を検知する。そして、ONでの積分演算処理により角度を算出して制御部20の状態検知部22に通知し、状態検知部22は、通知された角度に基づいて、電子ペーパー10の画面表示部17が下向き(完全に下向きである必要はない。)の状態であるかどうかを判断する。
【0037】
また、図3に示すように、センサ18として、画面表示部17が配置された面の枠に1又は複数の圧力センサ18aが取り付けられており、この圧力センサ18aは、電子ペーパー10の自重でONとなるように設定されている。そして、圧力センサ18aは、ONもしくはOFFの信号を状態検知部22に通知し、状態検知部22は、通知されたONもしくはOFFの信号(例えば、ONの数が特定数以上であるかどうかなど)に基づいて、電子ペーパー10が何か(例えば、原稿を載せるガラス板)の上に載置されているかどうかを判断する。
【0038】
このように、センサ18としてジャイロセンサと圧力センサとを組み合わせることにより、電子ペーパー10の画面表示部17が下向きの状態、かつ、何かの上に載置されている状態を検知することができ、この状態を検知することにより、コピー又はスキャンが行われるか否かを判断することができる。
【0039】
また、複数の圧力センサ18aを配列し、電子ペーパー10の画面表示部17が上向きの状態、かつ、複数の圧力センサ18aが画面表示部17の長辺方向や短辺方向に向かって所定の順番でONになった場合に、ハンディスキャナなどを用いてスキャンされたと判断することもできる。
【0040】
また、上記ジャイロセンサ及び圧力センサに加えて、若しくは、上記ジャイロセンサ及び圧力センサに代えて、光を検知するフォトセンサを画面表示部17が配置された面に複数取り付けることもでき、フォトセンサが所定の順番で所定の強度又は波長の光を検出した場合に、コピー又はスキャンが行われたと判断することもできる。
【0041】
なお、本実施例の電子ペーパー10は、図1の構成に限定されない。例えば、図1では、電子ペーパー10に操作部15やタッチパネル16を設けたが、画像加工の設定をユーザのコンピュータ装置やMFPで行う場合は、操作部15やタッチパネル16を省略することもできる。また、本実施例では、電子ペーパー10の画面表示部17が押圧されたことを圧力センサ18aが検出する構成としているが、タッチパネル16が押圧又は接触を検出することによって、画面表示部17が何かの上に載置された状態やハンディスキャナなどが接触している状態であると判断することもできる。
【0042】
次に、上記構成の電子ペーパー10の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。以下の説明において、ドキュメント画像に対応する画像加工設定情報は予め記憶されているものとする。また、コピー又はスキャンは、画面表示部17を下向きにして台上に置いて行うものとする。
【0043】
まず、制御部20(表示制御部24)は、操作部15やタッチパネル16のユーザ操作に従って、画面表示部17にドキュメント画像を表示させる(S101)。次に、表示制御部24は、画面表示部17に表示保持しているドキュメント画像の種別を判別し(S102)、判別した種別のドキュメント画像に対応する画像加工設定情報を確認する(S103)。そして、表示制御部24は、画像加工設定情報に基づいて、画面表示部17に表示保持しているドキュメント画像を加工するか否かを判断し(S104)、ドキュメント画像を加工しない場合は、ドキュメント画像の表示を保持して通常表示を行い(S105)、ドキュメント画像を加工する場合は、ドキュメント画像に対応する画像加工設定情報をRAM13などに書き込む(S106)。
【0044】
次に、状態検知部22は、ジャイロセンサから出力される信号に基づいて、電子ペーパー10の画面表示部17がおおむね下向きの状態であるかどうかを判断する(S107)。画面表示部17が下向きの状態でなければ、コピー又はスキャンが行われる状態ではなく、ドキュメント画像を加工する必要がないため、表示制御部24は、通常表示を行う(S105)。一方、画面表示部17が下向きの状態であれば、コピー又はスキャンが行われる可能性があるため、状態検知部22は、圧力センサ18aから出力される信号に基づいて、電子ペーパー10の画面表示部17の面が何かに載置されている状態であるかどうかを判断する(S108)。
【0045】
電子ペーパー10の画面表示部17の面が何かに載置されている状態でなければ、コピー又はスキャンが行われる状態ではなく、ドキュメント画像を加工する必要がないため、表示制御部24は、通常表示を行う(S105)。一方、電子ペーパー10の画面表示部17の面が何かに載置されている状態であれば、コピー又はスキャンが行われる状態であるため、カウント部23は、複製回数に1を加算し、複製回数が予め定めた所定回数以下であるかどうかを判断する(S109)。
【0046】
複製回数が所定回数以下の場合は、表示制御部24は、RAM13に保持した画像加工設定情報を読み取り、その画像加工設定情報に基づいて、画面表示部17に表示保持されているドキュメント画像上に、複製であることを明示する特定情報(地紋画像)を付加し(S110)、特定情報を付加したドキュメント画像を画面表示部17に表示させる(S111)。そして、特定情報を付加したドキュメント画像は、紙媒体に印刷されたり、スキャンデータとして保存若しくはユーザのコンピュータ装置に転送されたりする。一方、複製回数が所定回数を越える場合は、表示制御部24は、画面表示部17に表示保持されているドキュメント画像を消去する(S112)。
【0047】
このように、電子ペーパー10の画面表示部17が下向きの状態、かつ、画面表示部17の面が何かに載置されている状態であり、複製回数が所定回数以下の場合に、ドキュメント画像に複製であることを明示する特定情報を付加し、複製回数が所定回数を越えている場合に、ドキュメント画像を消去することにより、情報の漏洩を抑制しつつ、適正にドキュメント画像の複製を許可することができる。
【0048】
なお、電子ペーパー10が特定の状態であるときに、ドキュメント画像に特定情報を付加したり、ドキュメント画像を消去したりしたが、その後、電子ペーパー10が特定の状態でなくなった場合(電子ペーパー10の画面表示部17を上向きにした場合)は、元の表示状態に戻す(付加した特定画像を消去したり、ドキュメント画像を再表示したりする)ようにしてもよいし、加工した状態を維持してもよい。
【0049】
次に、画像加工の設定について説明する。図5は、画像加工設定部21(若しくはユーザのコンピュータ装置やMFP)によって表示されるドキュメント毎の画像加工設定画面30の一例である。
【0050】
この画像加工設定画面30では、ドキュメント毎に、画像加工の有無を設定することができ、画像加工の際は、ドキュメント画像上にどのような特定情報(文字や記号等)をどのように配置するかを設定することができる。また、コンストラクトを設定して特定情報の見え方を調整することができ、設定した条件でどのように表示されるかを確認することができる。更に、複製を許可する回数も設定することもできる。なお、画像加工設定が行われていないドキュメントに関しては、デフォルト設定を適用し、ドキュメント画像上に図7に示すような「COPY」という文字列が付加して表示される。以下、各項目について詳細に説明する。
【0051】
(1)設定ドキュメント指定
入力欄に直接入力したり、参照ボタンを押下して選択したりすることにより、画像加工を施すドキュメントの種別(特定の種類のドキュメントや特定の名称のドキュメント)を指定することができる。そして、指定したドキュメントに関して、以下の項目の設定内容を有効とする。
【0052】
(2)画像加工の有無
ONに設定した時は、電子ペーパー10の画面表示部17がおおむね下向きの状態、かつ、何かに載置されている状態であり、複製回数が所定回数以下の場合は、ドキュメント画像に特定情報を付加する画像加工を行い、電子ペーパー10の画面表示部17がおおむね下向きの状態、かつ、何かに載置されている状態であり、複製回数が所定回数を越える場合は、ドキュメント画像を消去する画像加工を行う。OFFに設定した時は、電子ペーパー10の状態に関わらず、ドキュメント画像をそのまま表示する通常表示を行う。
【0053】
(3)文字の設定
入力欄に直接入力することにより、画像加工ON時にどのような文字や記号等を付加するかを設定する。また、入力する文字や記号等の所定やサイズも決定することができる。
【0054】
(4)文字の配置設定
参照ボタンを押下して予め設定されたパターンの中から所望のパターンを指定することにより、画像加工ON時に付加する文字や記号等を画面上にどのように配置するかを設定する。
【0055】
(5)全体のコントラストの設定
所定のマークを線上でスライドさせることによりコントラストを設定し、コントラストの設定値から、付加する特定情報の画素のみ、電流を流す時間を調整する。例えば、黒白の電子粉粒体を使用した際、コントラストを低く設定した場合は、付加する特定情報は図7に示すようにグレーとなる。これにより、特定情報の見え方を調整することができる。
【0056】
(6)イメージサンプル
上記(3)〜(5)で設定した条件に従って、ドキュメント画像に特定情報を付加した合成画像のサンプルが表示される。
【0057】
(7)複製許可回数の指定
予め設定された回数の中から所望の回数を指定することにより、複製回数が指定された回数以下であれば、(3)〜(5)で設定した条件に従ってドキュメント画像に特定情報が付加される。また、複製回数が指定された回数を越えていれば、(3)〜(5)の設定に関わらず、ドキュメント画像が消去される。
【0058】
上記画像加工設定画面30は一例であり、設定する項目は上記に限定されない。例えば、ドキュメント画像と特定情報とが重なることにより、ドキュメント画像の内容が判別できなくなる場合もある。一方、ドキュメント画像と特定情報とが重ならないようにすると、特定情報を取り除くことができ、情報の漏洩が防止できなくなる場合もある。そのような場合は、特定情報を付加する場所(ドキュメント画像上に付加するか、ドキュメント画像以外の領域に付加するか)を指定できるようにすることもできる。
【0059】
その場合、表示制御部24は、ドキュメントの画像データのヘッダ情報やドキュメントの画像データに付加されたタグビット情報などを利用してドキュメント画像の構成を解析する。そして、ドキュメント画像の内容を判別しやすくする場合は、図8に示すように、ドキュメント画像の濃度が低い部分に特定画像を付加たり、ドキュメント画像を構成する各オブジェクトに重ならない背景部分に特定画像を付加したりすることができる。また、情報の漏洩を確実に防止する場合は、図9に示すように、ドキュメント画像を構成する各オブジェクトに少なくとも1つの特定情報が付加されるようにすることもできる。
【0060】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施例では、電子ペーパー10が平面になる場合を想定して説明したが、電子ペーパー10は曲面になる場合もある。そのような場合は、電子ペーパー10の少なくとも一部の領域が特定の状態である場合に、ドキュメント画像を加工するように制御することもできる。これにより、例えば、電子ペーパー10を折り曲げて載置したり、電子ペーパー10の端を持ち上げたりした場合であっても、不適切な複製を抑制することができる。
【0062】
また、上記実施例では、メモリ性を有する表示装置として電子ペーパーを例示したが、この表示装置の厚さは任意であり、例えば、表示部がメモリ性を有するタブレット端末やスレートPCなどの携帯型の装置に対しても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、無電源で画像を保持可能な電子ペーパー及び電子ペーパーで動作するプログラム並びに電子ペーパーに表示する画像の複製制御方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 電子ペーパー
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 表示情報記憶部
15 操作部
16 タッチパネル
17 画面表示部
18 センサ
18a 圧力センサ
19 システムバス
20 制御部
21 画像加工設定部
22 状態検知部
23 カウント部
24 表示制御部
30 画像加工設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ性を有する表示部を備える電子ペーパーであって、
前記電子ペーパーの状態を検知するセンサと、
前記センサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態が、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する状態検知部と、
前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断するカウント部と、
前記表示部にドキュメント画像を表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加する、
ことを特徴とする電子ペーパー。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数を越えた場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像を消去する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー。
【請求項3】
前記特定情報を付加する対象となる前記ドキュメント画像の種別、前記特定情報の文字列、前記特定情報の配置、前記特定情報の表示コントラスト、前記所定回数の内の少なくとも1つが設定可能であり、
前記表示制御部は、設定された条件に従って、前記特定情報を付加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー。
【請求項4】
前記センサは、ジャイロセンサ及び表示面側に配置された圧力センサであり、
前記特定の状態は、前記電子ペーパーの前記表示部が下向きであり、かつ、前記表示面が押圧された状態である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の電子ペーパー。
【請求項5】
前記センサは、ジャイロセンサ及び表示面側に配列された複数の圧力センサであり、
前記特定の状態は、前記電子ペーパーの前記表示部が上向きであり、かつ、前記表示面が長辺方向又は短辺方向に順に押圧された状態である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の電子ペーパー。
【請求項6】
メモリ性を有する表示部を備える装置で動作する複製制御プログラムであって、
前記装置を、
予め配置したセンサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態を検知し、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する状態検知部、
前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断するカウント部、
前記表示部にドキュメント画像を表示させる表示制御部、として機能させ、
前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加する、
ことを特徴とする複製制御プログラム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数を越えた場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像を消去する、
ことを特徴とする請求項6に記載の複製制御プログラム。
【請求項8】
前記特定情報を付加する対象となる前記ドキュメント画像の種別、前記特定情報の文字列、前記特定情報の配置、前記特定情報の表示コントラスト、前記所定回数の内の少なくとも1つが設定可能であり、
前記表示制御部は、設定された条件に従って、前記特定情報を付加する、
ことを特徴とする請求項6に記載の複製制御プログラム。
【請求項9】
前記センサは、ジャイロセンサ及び表示面側に配置された圧力センサであり、
前記特定の状態は、前記電子ペーパーの前記表示部が下向きであり、かつ、前記表示面が押圧された状態である、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一に記載の複製制御プログラム。
【請求項10】
前記センサは、ジャイロセンサ及び表示面側に配列された複数の圧力センサであり、
前記特定の状態は、前記電子ペーパーの前記表示部が上向きであり、かつ、前記表示面が長辺方向又は短辺方向に順に押圧された状態である、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一に記載の複製制御プログラム。
【請求項11】
メモリ性を有する表示部を備える電子ペーパーを用いた複製制御方法であって、
前記表示部にドキュメント画像を表示させる第1ステップと、
予め配置したセンサの出力に基づいて、前記電子ペーパーの状態を検知し、前記表示部がコピー又はスキャンが可能な特定の状態であるかを判断する第2ステップと、
前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数をカウントし、当該回数が予め定めた所定回数を越えたかを判断する第3ステップと、
前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数以下である場合に、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像に、複製であることを明示する特定情報を付加する第4ステップと、を有する、
ことを特徴とする複製制御方法。
【請求項12】
前記第4ステップでは、前記電子ペーパーが前記特定の状態であり、かつ、前記電子ペーパーが前記特定の状態となった回数が前記所定回数を越えた場合は、前記表示部に表示されている前記ドキュメント画像を消去する、
ことを特徴とする請求項11に記載の複製制御方法。
【請求項13】
前記特定情報を付加する対象となる前記ドキュメント画像の種別、前記特定情報の文字列、前記特定情報の配置、前記特定情報の表示コントラスト、前記所定回数の内の少なくとも1つを設定するステップを有し、
前記第4ステップでは、設定された条件に従って、前記特定情報を付加する、
ことを特徴とする請求項11に記載の複製制御方法。
【請求項14】
前記センサは、ジャイロセンサ及び表示面側に配置された圧力センサであり、
前記特定の状態は、前記電子ペーパーの前記表示部が下向きであり、かつ、前記表示面が押圧された状態である、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一に記載の複製制御方法。
【請求項15】
前記センサは、ジャイロセンサ及び表示面側に配列された複数の圧力センサであり、
前記特定の状態は、前記電子ペーパーの前記表示部が上向きであり、かつ、前記表示面が長辺方向又は短辺方向に順に押圧された状態である、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一に記載の複製制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97226(P2013−97226A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240854(P2011−240854)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】