説明

電子ペーパー表示装置及びこの駆動方法

【課題】駆動電圧を低くすることができる電子ペーパー表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の電子ペーパー表示装置は映像を表示する電子ペーパーパネル100と、電子ペーパーパネル100の振動を発生させるための振動部材200と、を含むことができる。電子ペーパー表示装置は、さらに、電子ペーパーパネル100と振動部材200を駆動する駆動部300を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー表示装置及びこの駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代表示装置として、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)、プラズマ表示パネル(PDP;Plasma Display Panel)、有機電界発光装置(Elector Luminescence)及び電子ペーパー表示装置などが広く普及している。
【0003】
これらのうちの電子ペーパー表示装置は、柔軟に曲げることができ、他の表示装置に比べて生産単価がずっと低廉である。
【0004】
また、電子ペーパー表示装置は、背景照明や持続的な再充電を必要としないので、とても少ないエネルギーで駆動することができ、エネルギー効率が遥かに優秀であるという特徴を有している。
【0005】
また、電子ペーパー表示装置は、鮮明で視野角が広くて電源が瞬間的に遮断されても表示された文字や映像が完全に消えないメモリー機能も有することができるために本や新聞または雑誌などの印刷媒体を含めた折ることができるスクリーン及び電子壁紙などの広範囲な分野で幅広く使用することができるものとして期待されている。
【0006】
一方、電子ペーパー表示装置を実現することができる技術的方式には、大きく分けて、液晶を利用した方式、有機EL方式、反射フィルム反射型表示方式、電気泳動方式、ツイストボール方式、エレクトロニック方式、メカニカル反射型表示方式などが開発されている。
【0007】
このうちでもツイストボールを利用した電子ペーパー表示装置は、二つの電極、及び二つの電極の間に配置され、光学的及び電気的異方性を有するツイストボールが付着したエラストマーシートを含んでいる。この時、ツイストボールの外周面に誘電液がコーティングされている。
【0008】
ここで、ツイストボールは、お互いに異なる電荷に帯電された黒色の半球体と白色の半球体から構成することができる。このようなツイストボールを利用した電子ペーパー表示装置では、二つの電極に電圧を印加する際の印加する電圧の方向に応じて、ツイストボールの各半球体が誘電液内部で、お互いに反対の極性の電極側に面するように回転し、それによって、黒白の表示が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、電子ペーパー表示装置が常用されるようにするためには、映像表示のための電力消費量を小さくする必要がある。しかし、電子ペーパー表示装置は、電極とツイストボールの間隔の問題、及び複数のツイストボールの間に発生する引力による結合の問題のために、ツイストボールが回転を始めるための最小しきい値電位を高くせざるをえなかった。
【0010】
これにより、電子ペーパー表示装置の駆動電圧は高くなり、その結果、結局電子ペーパー表示装置の駆動が、携帯用として使用されるバッテリー電源では不可能になることがある。
【0011】
したがって、本発明は従来の電子ペーパー表示装置で発生することがある上記のような問題点を解決することができる電子ペーパー表示装置及びこの駆動方法を提供することに発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した目的を達成するため、本発明は、映像を表示する電子ペーパーパネルと、電子ペーパーパネルの振動を発生させるための振動部材を含む電子ペーパー表示装置を提供する。
【0013】
ここで、電子ペーパーパネルは、基板上に配置された第1電極と、第1電極上に配置されたツイストボールと、第1電極上に配置された第2電極を含むことができる。
【0014】
また、振動部材は、リニアモータ及びピエゾ素子のうちのいずれか一つで構成することができる。
【0015】
また、振動部材は、電子ペーパーパネルに対して垂直方向及び水平方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に電子ペーパーパネルを振動させることができる。
【0016】
本発明の他の態様は、電子ペーパーパネルに振動を発生させる段階と、及び前記電子ペーパーパネルに映像表示のための駆動電圧を印加する段階と、を含む電子ペーパー表示装置の駆動方法を提供する。
【0017】
ここで、電子ペーパーパネルに振動を発生させる段階以前に電子ペーパーパネルを放電させる段階をさらに含むことができる。
【0018】
また、振動部材は、電子ペーパーパネルに対して垂直方向及び水平方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に電子ペーパーパネルを振動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電子ペーパー表示装置によれば、映像を表示するためのしきい値電位を低くすることができ、電子ペーパー表示装置の電力消費量を減らすことができる。
【0020】
また、電子ペーパー表示装置の電力消耗量を減らすことができるので、携帯用バッテリーによって充分に駆動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例による電子ペーパー表示装置の断面図である。
【図2】図1に示された電子ペーパーパネルの一部を拡大した断面図である。
【図3】本発明の第2実施例による電子ペーパー表示装置の駆動方法を説明するために示した断面図である。
【図4】同じく、本発明の第2実施例による電子ペーパー表示装置の駆動方法を説明するために示した断面図である。
【図5】同じく、本発明の第2実施例による電子ペーパー表示装置の駆動方法を説明するために示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を、電子ペーパー表示装置の図面を参照して詳細に説明する。以下に記載する実施例は、当業者に本発明の思想が充分に理解されるようにするための例として提供するものである。よって、本発明は、以下に説明する実施例に限定されることはなく、他の形態で実現されることもできる。また、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜のために誇張して表現することがある。明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を示している。
【0023】
図1は、本発明の第1実施例による電子ペーパー表示装置の断面図である。
【0024】
図2は、図1に示された電子ペーパーパネルの一部を拡大した断面図である。
【0025】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例による電子ペーパー表示装置は、映像を表示する電子ペーパーパネル100及び振動部材200を含むことができる。
【0026】
電子ペーパーパネル100は、第1及び第2電極120、140の間に配置されたツイストボール150を含むことができる。
【0027】
具体的には、第1電極120は、第1基板110上に配置することができる。第1基板110に使用される材質の例としては、プラスチック基板及び硝子基板などがあるが、あるいはフィルムの形態とすることができる。第1電極120は、金属で、例えば、CuまたはAgで形成することができる。
【0028】
第2電極140は、第2基板130上に配置することができる。ここで、第2電極140は、第1電極120と向い合うように、第1及び第2基板110、130を合着させることができる。
【0029】
第2基板130は、光を透過することができる透明な材質で形成することができる。例えば、透明な材質の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリウレタン及びセルロースアセテートブチレート(CAB)などとすることができる。
【0030】
第2電極140は、光を透過することができる導電物質、例えば、ITO、IZO及びITZOなどで構成することができる。
【0031】
本発明の実施例では、第2電極140及び第2基板130が、光を透過することができる材質で構成されるものと限定して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2電極及び第2基板を、光を反射する材質で形成し、第1電極及び第1基板を、光を透過することができる材質で形成することもできる。
【0032】
これに加えて、図面には示していないが、第1及び第2電極120、140の間にツイストボール150を配置するための隔壁をさらに配置することもできる。すなわち、隔壁によって区切られた領域にツイストボール150を配置することもできる。
【0033】
ツイストボール150は、第1及び第2電極120、140の間に配置することができる。この時、ツイストボール150は、第1及び第2電極120、140の間に配置された透明媒介体160の内部に配置することができる。ここで、透明媒介体160は、透明な誘電体液とすることができる。または、透明媒介体160は、透明な誘電シートとすることができる。この時、誘電シートは複数のキャビティを有し、キャビティ内部に充填された誘電液の内部にツイストボール150を配置することができる。
【0034】
ツイストボール150は、光を吸収する第1半球体150aと光を反射する第2半球体150bから構成することができる。ここで、第1半球体150aと第2半球体150bはお互いに異なる電荷に帯電させることができる。この時、第1及び第2電極120、140にそれぞれ異なる電圧を印加すると、第1及び第2電極120、140の間で形成された電場によって、ツイストボール150が回転することによって電子ペーパー表示装置は、文字や映像を表示することができる。例えば、第1半球体150aは(+)電荷に帯電させ、第2半球体150bは(−)電荷に帯電させることができる。この時、第1及び第2電極120、140にそれぞれ(−)電圧と(+)電圧を印加して第1及び第2電極120、140の間に発生させた電場によってツイストボール150を回転させることができる。これにより、ツイストボール150の回転に応じて選択的に光の反射と光の吸収が行われるようにすることによって、電子ペーパー表示装置は、文字や映像を表示することができる。
【0035】
ここで、第1及び第2電極120、140に電源を印加しなかった場合、複数のツイストボール150は引力によってお互いに接触したり、またはツイストボール150は第1電極120や第2電極140に接触したりすることがある。
【0036】
このように、ツイストボール150が他のツイストボール150や第1電極120または第2電極140に接触している場合には、ツイストボール150に生じる摩擦力によって、ツイストボール150を回転させるための最小限のしきい値電位が高くなってしまう。ここで、このような摩擦力は電子ペーパーパネルが隔壁を有する場合、ツイストボール150と隔壁間の接触によって発生することもある。
【0037】
また、ツイストボール150の電荷面、すなわち、第1及び第2半球体150a、150bの境界面が電界方向に対して垂直に配置された場合、水平に配置された場合より回転量がさらに大きくなるので、しきい値電位が高くなってしまう。
【0038】
すなわち、ツイストボール150が回転を始めるための最小限のしきい値電位は、ツイストボール150に対する摩擦力やツイストボール150の電荷面の配置による回転量の差のために、低くするのに限界があり、その結果、電子ペーパー表示装置の駆動電圧を低くするのには限界がある。
【0039】
これを解決するために、電子ペーパーパネル100に振動を発生させる振動部材200を設ける。
【0040】
振動部材200が電子ペーパーパネル100を振動させる場合、引力によってお互いに接触している複数のツイストボール150や、第1電極120や第2電極140に接触しているツイストボール150をお互いに分離させることができる。すなわち、振動によって、ツイストボール150の摩擦力を減らすことができる。また、振動部材200が電子ペーパーパネル100を振動させる場合、ツイストボール150の電荷面の方向を変えることができる。
【0041】
これにより、ツイストボール150は、振動部材200から印加された振動によって回転のためのモメンタム(momentum)を印加されることによって、さらに容易に回転させることができる。
【0042】
ここで、振動部材200は、電子ペーパーパネル100に対して垂直方向または水平方向に振動を印加することができる。しかし、これに限定されるものではなく、振動部材200はツイストボール150の回転のためのモメンタムを与えるだけで良いため、振動部材200は電子ペーパーパネルのどのような方向に振動を印加してもよい。
【0043】
また、振動部材200は、電子ペーパーパネル100に振動を印加することができる装置、例えばリニアモータまたはピエゾ素子とすることができる。
【0044】
また、振動部材200は、電子ペーパーパネル100で映像を表示しない領域に配置することができる。例えば、振動部材200は、電子ペーパーパネル100のエッジ領域に配置することができる。
【0045】
これに加えて、電子ペーパー表示装置は、電子ペーパーパネル100の駆動及び振動部材200の駆動のための駆動部300をさらに含むことができる。
【0046】
駆動部300は、振動部材200を駆動した後、電子ペーパーパネル100を駆動することができる。すなわち、電子ペーパーパネル100のツイストボール150の回転のためのモメンタムを印加した後、電子ペーパーパネル100を駆動することによって、ツイストボール150の回転のためのしきい値電位、すなわち電子ペーパー表示装置の駆動電圧を低くすることができる。
【0047】
したがって、本発明の実施例の電子ペーパー表示装置は、振動部材を有することによってツイストボールの回転のためのしきい値電位を低くすることができ、その結果、電子ペーパー表示装置の駆動電圧を低くすることができる。
【0048】
以下、図3〜5を参照して、本発明の実施例による電子ペーパー表示装置の駆動方法を詳しく説明する。説明の便宜上、電子ペーパー表示装置は、簡略に図示した。
【0049】
図3〜5は、本発明の第2実施例による電子ペーパー表示装置の駆動方法を説明するために示した断面図である。
【0050】
図3を参照すると、電子ペーパー表示装置は、映像を表示する電子ペーパーパネル100と電子ペーパーパネル100を振動させる振動部材200を含むことができる。これに加えて、電子ペーパー表示装置は、電子ペーパーパネル100と振動部材200を駆動するための駆動部(図1の300)を含むことができる。
【0051】
ここで、電子ペーパーパネル100は二つの電極、すなわち、第1及び第2電極120、140の間に配置されたツイストボール150を含むことができる。この時、電子ペーパーパネル100を駆動する前にツイストボール150は引力によってお互いに接触していたり、または第1電極120や第2電極140に接触していたりする場合がある。また、ツイストボール150の電荷面が電界方向に対して垂直に配置されることがある。
【0052】
図4を参照すると、駆動部300によって振動部材200が駆動されて電子ペーパーパネル100に振動が発生する。これによって、電子ペーパーパネル100の内部に配置されたツイストボール150に回転のためのモメンタムを与えることができる。すなわち、電子ペーパーパネル100に加えられた振動は、ツイストボール150の摩擦力を減らすことができ、それだけではなく、ツイストボール150の電荷面方向を変えることができ、これらによって、ツイストボール150を回転するためのしきい値電位を低くすることができる。
【0053】
ここで、振動方向は、電子ペーパーパネル100に対して水平または垂直方向とすることができる。しかし、本発明の実施例は、これに限定されるものではない。
【0054】
これに加えて、駆動部300は、振動部材200を駆動する前に電子ペーパーパネル100を放電させることができる。すなわち、電子ペーパーパネル100の第1及び第2電極120、140を放電させることで、第1及び第2電極120、140に対するツイストボール150の引力を減らすことができ、振動によって電子ペーパーパネル100のツイストボール150をお互いに容易に分離させることができる。
【0055】
図5を参照すると、駆動部300は、電子ペーパーパネル100に駆動電圧を印加することで、電子ペーパーパネル100は映像を表示することができる。この時、電子ペーパーパネル100に加えられた振動によってツイストボール150は、回転のためのモメンタムを印加されるために、低い駆動電圧を印加しても容易に回転させて、使用者に映像を提供することができる。
【0056】
したがって、本発明の実施例によれば、電子ペーパー表示装置に映像を表示する前にツイストボールに回転のためのモメンタムを与えるために電子ペーパーパネルを振動させることで、電子ペーパー表示装置の駆動電圧を低くすることができる。
【0057】
以上説明した本発明の望ましい実施例は、例示の目的のために開示するものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者には、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内でさまざまな置き換え、変形及び変更が可能である。このような置き換え、変更などは、以下の特許請求範囲に規定する本発明に含まれるものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100 電子ペーパーパネル
110 第1基板
120 第1電極
130 第2基板
140 第2電極
150 ツイストボール
200 振動部材
300 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する電子ペーパーパネルと、
前記電子ペーパーパネルの振動を発生させるための振動部材と、
を含む電子ペーパー表示装置。
【請求項2】
前記電子ペーパーパネルは、
基板上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置されたツイストボールと、
前記第1電極上に配置された第2電極と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項3】
前記振動部材は、リニアモータ及びピエゾ素子のうちのいずれか一つで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項4】
前記振動部材は、前記電子ペーパーパネルに対して垂直方向及び水平方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に前記電子ペーパーパネルを振動させることを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項5】
電子ペーパーパネルに振動を発生させる段階と、
前記電子ペーパーパネルに映像表示のための駆動電圧を印加する段階と、
を含むことを特徴とする電子ペーパー表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記電子ペーパーパネルに振動を発生させる段階以前に、
前記電子ペーパーパネルを放電させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の電子ペーパー表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記振動部材は、前記電子ペーパーパネルに対して垂直方向及び水平方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に前記電子ペーパーパネルを振動させることを特徴とする請求項5に記載の電子ペーパー表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−2803(P2011−2803A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200652(P2009−200652)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】