電子ペーパー装置
【課題】簡易な構造で、平面状に配置した複数の電子ペーパー部の表示部を任意に選択するとともに、複数の表示部に表示させた情報を一望に見ることができる電子ペーパー装置を提供する。
【解決手段】メモリー性表示部ARと駆動回路14とを備える複数の電子ペーパー部EPと、表示部に表示する情報を書き換える制御装置部DAとを含む電子ペーパー装置で、電子ペーパー部EPは、接続端子部12と駆動回路14間の複数の接続線の少なくとも一つに非導通構造13を備えるとともに、非導通構造の位置および個数で決まる配置パターンが、各電子ペーパー部毎に異なっており、複数の電子ペーパー部の各接続端子部を互いに積層する形態で接続したとき、表示部が互いに重ならないように構成されており、非導通構造および、複数の接続線によって構成される判定回路によって、制御装置部から受信した、制御信号に対応した電子ペーパー部の表示素子を駆動する。
【解決手段】メモリー性表示部ARと駆動回路14とを備える複数の電子ペーパー部EPと、表示部に表示する情報を書き換える制御装置部DAとを含む電子ペーパー装置で、電子ペーパー部EPは、接続端子部12と駆動回路14間の複数の接続線の少なくとも一つに非導通構造13を備えるとともに、非導通構造の位置および個数で決まる配置パターンが、各電子ペーパー部毎に異なっており、複数の電子ペーパー部の各接続端子部を互いに積層する形態で接続したとき、表示部が互いに重ならないように構成されており、非導通構造および、複数の接続線によって構成される判定回路によって、制御装置部から受信した、制御信号に対応した電子ペーパー部の表示素子を駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示メモリー性を有する表示素子が配置された表示部と、この表示素子を駆動する駆動回路と、を備える複数の電子ペーパー部と、電子ペーパー部の表示素子を駆動させて表示部に表示する情報を書き換える制御装置部とを含んで構成した電子ペーパー装置に関する。より具体的には、平面状に配置した複数の電子ペーパー部の表示部に対して、一つの制御装置部で制御した情報を表示させて、複数の表示部に表示させた情報を一望できる電子ペーパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わるものとして基板間に粒子群として構成した表示媒体を気体と共に封入して、あるいは、基板間に粒子群として構成した表示媒体を液体と共に封入したカプセルやカップを配置して、この表示媒体を有する表示素子を駆動させて画像等の情報を表示する電子ペーパー装置が提案されており、その使用形態も種々、提案されるようになっている。
情報表示形態の一つとして、液晶表示装置などの従来の電子ペーパーを複数、タイルのように並べて複数の表示部を形成して、複数の表示部(画面)を一望できるようにしたものがある。(特許文献1など参照)また、小画面を連結した構成で形成した大画面の表示部に情報表示が行なえるようにしたものもある。(特許文献2など参照)
【0003】
しかし、いずれも一つの表示部(画面)に対して一つの制御装置が必要であり、例えば、特許文献1が開示する表示装置は、複数の表示装置をタイルのように並べており、表示装置個々に制御装置が用いられているし、特許文献2が開示する表示装置は、連結された小画面の一つ一つに制御装置が接続されて一つの大画面表示装置が構成されるため、連結された小画面の数(表示部の数)だけの制御装置が用いられている。すなわち、従来の電子ペーパー装置にあっては、一つの電子ペーパー部(言い換えれば表示部)に一つの制御装置を接続して表示を制御するのが一般的な形態であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−96911号公報
【特許文献2】特開2002−139747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一枚の電子ペーパー部の表示部では表示が難しいような大きな画像、或いは、複数を同時に表示したい画像などにあっては、複数の電子ペーパー部の表示部を平面状に配置して情報を表示させて、表示させた情報を一望したいという要請もある。
しかしながら、従来の電子ペーパー装置にあっては、前述したように表示部を備えた電子ペーパー部と、これを制御して駆動させる制御装置とが一体となった構成、或いは大画面を構成する小画面(個々の表示部)と制御装置とが一対一の構成であり、平面状に並べられた複数の表示部の数に合せた数の制御装置が必要であった。
したがって、複数の電子ペーパー部(言い換えれば表示部)を並べる電子ペーパー装置を設計する場合、電子ペーパー部の枚数分の制御装置を設けることになる。このように電子ペーパー部の数が増えると、それに対応して制御装置の数も増加することになるので製品構造が複雑になるとともに、これに伴うコストアップが懸念される。
また、従来の電子ペーパー装置にあっては、一つの制御装置と一体となった表示部が、平面状に並べられた構成であり、複数の表示部のどれかを選択して情報を表示させる場合には、当該表示部が備える制御装置を選択して起動させることになる。複数の表示部に表示させたい場合には、複数の制御装置を起動させなければならず、制御装置の起動に伴う電力消費も大きかった。
【0006】
よって、本発明の目的は、平面状に配置した複数の電子ペーパー部から情報表示させたい表示部を任意に選択して、一つの制御装置部だけで複数の電子ペーパー部に情報表示するとともに、複数の電子ペーパー部(表示部)に表示させた情報を一望に見ることができる電子ペーパー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、少なくとも一方が透明な領域を備える2枚の基板を対向配置させて形成したギャップ空間に、対向する表示用電極対および該表示用電極対間に配置された、電気的に駆動できる表示媒体で構成された、表示メモリー性を有する表示素子が配置された表示部と、前記表示素子を駆動する駆動回路と、を備える複数の電子ペーパー部と、前記表示素子を駆動させるための制御信号を送信して前記表示部に表示する情報を書き換える制御装置部とを含んで構成した電子ペーパー装置であって、前記電子ペーパー部は、前記制御装置部と接続される接続端子部および前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線の少なくとも一つに非導通構造を備えるとともに、前記非導通構造の配置位置および配置個数で決められる配置パターンが、各電子ペーパー部において互いに異なっており、前記複数の電子ペーパー部と前記一つの制御装置部との接続が、前記複数の電子ペーパー部の各接続端子部を互いに積層する形態でなされたときに、各電子ペーパー部の前記表示部が互いに重ならないように構成されており、前記非導通構造を含むとともに、前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線によって構成される判定回路によって、前記制御装置部から受信した、前記制御信号に対応した電子ペーパー部の表示素子を駆動するように構成されていることを特徴とする電子ペーパー装置よって達成される。
【0008】
前記電子ペーパー部の表示部の平面視形状は、矩形状であり、前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿った端部領域に整列形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部であると共に、前記制御装置部の接続端子部は、前記孔状コネクター部に挿入接続可能な複数の凸状のコネクターを、前記制御装置部において整列形成した凸状コネクター部とされ、前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた構成にすること、前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた切欠部とすることもできる。
【0009】
また、前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿って実装されたフレキシブル配線基板に形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記フレキシブル配線基板の端部領域に整列形成された孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部である構成にすることもできる。
非導通構造は、電子ペーパー部において、当該電子ペーパー部が備える駆動回路の入力側端子と、制御装置部との接続端子部とを繋ぐ複数の接続線の少なくとも一つに設けた非導通構造である。この非導通構造は、電気的に絶縁されている構造であり、上記接続線のいくつかを断線させて形成したり、電子ペーパー部の孔状接続端子部のいくつかにおいて制御装置部の凸状接続端子部と接続しない絶縁構造を形成したり、電子ペーパー部の接続端子部のいくつかを切り欠いた切欠部にして形成したり、することによって得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子ペーパー装置によると、一つの制御装置部に接続された複数の電子ペーパー部の表示部が平面状に、互いに重ならないように配置されると共に、一つの制御装置部からの制御信号で前記複数の電子ペーパー部の表示部を任意に選択して、複数の電子ペーパー部の表示部ごとに表示させたい情報を表示できるので、構造を複雑にすることがなく、また、コストアップさせたり、電力消費を大きくさせたりすることもなく、大きな画像、或いは、複数の情報を、任意に選択した表示部に表示させて一望できる電子ペーパー装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)、(b)は電子ペーパー装置で採用するのに好適な電子ペーパー部の原理的構成を説明するために示した図である。
【図2】(a)、(b)は電子ペーパー装置で採用するのに好適な電子ペーパー部の他の原理的構成を説明するために示した図である。
【図3】複数の電子ペーパー部とこれを制御するため制御装置部を1つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置の一例を説明するために示した図である。
【図4】複数の電子ペーパー部とこれを制御するため制御装置部を1つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置の他の例を説明するために示した図である。
【図5】6個の電子ペーパー部で6個の表示部を平面状に形成する場合を例示した図である。
【図6】接続線配置領域および電子ペーパー部の接続端子部を、電子ペーパー部の背面側基板に設けた例および電子ペーパー部に実装されたフレキシブル配線基板(FPC)に設けた例について示している図である。
【図7】接続線配置領域および電子ペーパー部の接続端子部を、電子ペーパー部の背面側基板に設けた、制御装置部との接続位置を左右逆に接続した同じ形態の電子ペーパー部とした変形例について示した図である。
【図8】電子ペーパー部について示しており、背面側基板に制御装置部との接続端子部を設けた場合の具体例を示した図である。
【図9】電子ペーパー部と制御装置部との接続および装着構造について示した図である。
【図10】制御装置部と電子ペーパー部との接続端子部周辺に形成される判定回路の構成を例示した図である。
【図11】電子ペーパー装置で電子パーパー部が備える駆動回路の構成例を示した図である。
【図12】2個の電子ペーパー部を備える電子ペーパー装置で、#2電子ペーパー部の表示部の表示書換えを行うときの処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の電子ペーパー装置に係る電子ペーパー部について説明する。本発明の電子ペーパー装置に係る電子ペーパー部は、例えば、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として対向電極対間に備えた帯電粒子移動方式の表示素子を表示部に備えている。このような表示素子は、電極間に電圧を印加したときに駆動して粒子(表示媒体)が移動し、給電を断っても、移動した粒子がその位置に留まることによって表示した情報が維持されるので、表示メモリー性を有する表示素子となる。
このような帯電粒子移動方式の表示素子を配置した表示部は、例えば、対向する2枚の基板間の空間に封入した帯電性粒子を含む粒子群で構成した表示媒体に電界を付与する構成で形成される。付与された電界方向に沿って、帯電性粒子を含む粒子群が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、帯電性粒子を含む粒子群が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。そして、一旦表示された情報は給電を断っても、そのまま表示されている。これが表示メモリー性である。従って、帯電性粒子を含む粒子群が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時、或いは表示情報を継続して表示する時の安定性(表示メモリー性ともいう)を維持できるように、表示部に配置する表示素子を設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、電界による力、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0013】
以下、本発明の電子ペーパー装置で採用するのに好適な電子ペーパー部の表示部の一例を図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に基づき説明する。
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、基板間の隔壁4で形成された各セル7内に封入し、背面側の基板1に設けた表示用電極5(ストライプ電極)と観察側の基板2に設けた表示用電極6(ストライプ電極)とが、対向交差(好ましくは対向直交交差)して形成する画素となる表示用電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と略垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、一つの表示用電極対と白色表示媒体3Wおよび黒色表示媒体3Bで構成され、マトリックス配置された表示素子で構成された画素で白黒のドットマトリックス表示を行っている。上記のように移動した白色表示媒体3W、黒色表示媒体3Bは、表示素子に印加する電圧を切断しても、そのままの状態を維持するので、表示した情報は保持される。これを、表示メモリー性を有すると称する。図1に示した構成の表示部では、パッシブ駆動方式でドットマトリックス表示を行うことができる。
なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。ここでは画素(表示素子)とセルとを1対1に対応させているが、画素(表示素子)とセルとは1対1に対応させないこともできる。
図示の例では、隔壁部分4と背面側の基板1との間に接着剤9を配置してもう一方の基板1とを貼り合わせて接合し、セル内に配置した表示媒体を封止した構造としている。
【0014】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、基板間の隔壁4で形成された各セル7内に封入し、背面側の基板1に設けた表示用電極5(TFT付き画素電極)と観察側の基板に設けた表示用電極6(共通電極)とで形成する画素となる表示用電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と略垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、一つの表示用電極対と白色表示媒体3Wおよび黒色表示媒体3Bで構成され、マトリックス配置された表示素子で構成された画素で白黒のドットマトリックス表示を行っている。上記のように移動した白色表示媒体3W、黒色表示媒体3Bは、表示素子に印加する電圧を切断しても、そのままの状態を維持するので、表示した情報は保持される。これを、表示メモリー性を有すると称する。図2に示した構成の情報表示用パネルでは、アクティブ駆動方式でドットマトリックス表示を行うことができる。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。ここでは画素(表示素子)とセルとを1対1に対応させているが、画素(表示素子)とセルとは1対1に対応させないこともできる。
図示の例では、隔壁部分4と背面側の基板1との間に接着剤9を配置してもう一方の基板1とを貼り合わせて接合し、セル内に配置した表示媒体を封止した構造としている。
【0015】
本例では、画素とセルとを1対1にした例を示したが、例えば、図1、図2に示した隔壁部分4の一部(4−1)のみとして、その間にある二つの隔壁4を形成しない構造にすれば、画素とセルとを3対1にした構造が得られる。また、図1、図2の横方向に形成される隔壁においても同様のことを行えば9対1にした構造が得られる。後述する表示媒体を内包したカプセルを観察側の基板2と背面側の基板1との間に配置する場合には、上記した9対1の構造や、さらに隔壁を減らし、画素とセルとが、16対1、25対1、36対1、49対1、64対1、81対1、100対1とした構造にすることができる。隔壁の数を少なくすることで、表示部領域に占める非表示領域を小さくできる。
【0016】
なお、上記基板1、2としては、ガラスシート、樹脂シート、金属シート等の基板から適切なものを適宜に選択して用いることができる。表示面側(観察側)とする基板2の表示部形成領域は透明とする。この基板2の透明な表示部形成領域において、基板の内側に配置する表示用電極(図1、2などで説明した、ストライプまたは共通電電極6)は透明電極とする。一方、観察側としない基板1は透明であることを要しない。この基板1の表面には、マトリックス状電極対を構成するように薄膜トランジスタ(TFT)付き画素電極もしくはストライプ電極が表示用電極として形成されている。この対向する表示用電極対に電圧を印加したときに、この電極対間に配置された表示媒体(粒子群)に電界が付与され、表示媒体が移動して所望の表示を行なう表示素子を備えた前述の構造が実現できる。
【0017】
また、上記のように表示媒体として粒子群を採用した場合には、表示部の基板間のギャップ空間にセルを設け、セル内に表示媒体を封止した構造が好ましい。これにより粒子の偏在を防止できる。また、表示媒体を封止する空間は気体空間(真空を含む)としてもよいし、絶縁液体空間としてもよい。セルは上記のように隔壁で囲んで形成してもいし、カプセルやカップによって形成してもよい。このような表示媒体は、電界が付与された時にだけ移動し、電界が付与されないとき、言い換えれば表示用電極対への給電を断ったときは移動しないので、このような表示媒体を採用した電子ペーパー部の表示素子は、表示メモリー性を有するものとすることができる。
上記隔壁で囲んで設けるセルは画素形状および画素配置に合せてもよいし、画素形状および画素配置とは対応させなくてもよい。セルの開口形状は四角形(角丸付き四角形を含む)や六角形などの多角形が好ましく、マトリックス状、ハニカム状、網状に配置することができる。表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有するセル形状が好ましく、角丸付きの四角形、角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。
【0018】
電子ペーパー部の表示部で基板間ギャップを確保するために設ける隔壁やセルを形成するために設ける隔壁の形成材料としては、レジスト材が好適に用いられる。この中でも、ドライフィルムレジスト材が取り扱いやすいので好ましく、一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。形成したい隔壁部分の高さに合せた厚みのドライフィルムレジスト材を電子ペーパー部の基板に積層し、所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすればよい。
上記電子ペーパー部の表示部で基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅は、例えば20μm〜100μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅は、例えば5μm〜30μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅を、パネル基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅よりも小さくすると、表示部領域に占める非表示領域を小さくできるので好ましい。
【0019】
実施形態において、電子ペーパー部の接続端子部は孔状接続端子部である。孔状接続端子部は、表示部の背面側において、絶縁性樹脂基板に形成するのが好ましい。電子ペーパー部の背面側基板を絶縁性樹脂基板として、この背面側基板に、ドライバーIC(駆動回路)を直接実装し、ドライバーIC入力側の端子から延びる接続線の先に孔状接続端子部を形成したり、あるいはテープキャリアパッケージ(TCP)のドライバーIC入力側の端子から延びる接続線の先に孔状接続端子部を形成したり、あるいはドライバーICを搭載したフレキシブル基板(FPC基板)のドライバーIC入力側の端子から延びる接続線の先に孔状接続端子部を形成したりする。背面側基板の厚さは特に制約はないが、25μm〜1000μmの範囲が好ましく、25μm〜200μmの範囲がさらに好ましい。1000μmより厚いと、電子ペーパー部が重なったときに平面状に配置された複数の表示部の表示面高さが揃わずに良好な視認性が得られにくくなる不都合がある。孔状接続端子部を形成する基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等、絶縁性で孔形成が容易な樹脂製のものが好ましい。
【0020】
表示用電極と接続された電極端子部を背面側基板の端部に設け、この電極端子部にフレキシブル基板(FPC)やテープキャリアパッケージ(TCP)を実装した構成にして、このFPCやTCPの基板に孔状接続端子部を形成することもできる。FPCやTCPの基板の厚さは、25μm〜150μmの範囲が好ましく、材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等、絶縁性でフレキシブルな樹脂材料が好ましい。この場合には、電子ペーパー部の背面側基板をガラス基板にすることもできる。孔状接続端子部を、ガラス基板ではなくフレキシブルな樹脂製基板に形成できるからである。
【0021】
電子ペーパー部の基板のうち観察側基板は、少なくとも表示部とする領域が透明な基板とする。この表示部とする領域が透明であればそれ以外の領域は透明でなくてもよい。観察側基板の厚さは、25μm〜5000μmの範囲が好ましいが、薄型の電子ペーパー部とするには、25μm〜1000μmの範囲が好ましく、さらには、25μm〜200μmの範囲が好ましい。観察側基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等の樹脂基板のほか、ガラス基板を用いることができる。
【0022】
電子ペーパー部の表示部に配置する表示素子を構成する表示用電極において、観察側には透明電極を設ける。透明電極の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(例えば、Poly(3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-(Styrenesulfonate)(PEDOT:PSS))などの透明導電性高分子類が挙げられる。なお、表示用電極の厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。
【0023】
電子ペーパー部の表示部に配置する表示素子を構成する表示用電極において、背面側基板に設ける電極としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン
(例えば、Poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-(Styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)などの導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。背面側基板の表示用電極は透明であってもよいし、透明でなくても良い。また、背面側に設ける表示用電極の厚みは、導電性が確保できれば良く、0.01μm〜10μmの範囲で設ける。
【0024】
この表示用電極および表示用電極から延びる配線電極およびTCP実装用の電極端子部を、あるいは、この表示用電極および表示用電極から延びる配線電極および孔状接続端子部を構成する導電膜を、同じ材料で形成することもできる。この場合には、例えば銅薄膜を背面側基板上に形成した後、それぞれの電極にパターニングすればよく、前記二例でそれぞれの三者を同時に形成することも可能である。
【0025】
本発明に係る、表示用電極から延びる配線電極、駆動回路(ドライバーIC)から延びる接続線および孔状接続端子部を構成する導電膜(電極)は、表示部の外側領域に設ける。導電膜(電極)材料としては、電気抵抗が小さく、可撓性のある金属が好ましい。前記した、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。この導電膜(電極)の厚みは、導電性が確保でき可撓性に支障がなければ良く、0.1μm〜20μmが好ましく、1μm〜10μmがより好ましい。0.1μmより薄いと損傷して断線しやすいという不都合があり、20μmより厚いと、孔状接続端子部に配置された孔の内側に露出した電極部分において可撓性を発現し難くなり、制御装置部の凸状接続端子部との電気的接続に支障をきたすような不都合となる場合がある。
【0026】
導電膜(電極)の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。パターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。
【0027】
さて、本発明の電子ペーパー装置は、上記のように構成することができる電子ペーパー部が複数準備してある。そして、情報を表示する表示部、すなわち表示素子を配置した領域の互いの位置が重ならない配置がとれるように、これら電子ペーパー部の接続端子部を設けてある。これら電子ペーパー部の接続端子部を積層して、一つの制御装置部の凸状接続端子部に接続したときに、複数の表示部が平面状に並んだ大きな表示部(大画面)、或いは複数の表示部が平面状に配置されて、異なる情報をそれぞれに表示した複数の表示部を一望できるように設計してある。しかも、各電子ペーパー部の表示部に表示させる情報は、一つの制御装置部から送信される制御信号を、各電子ペーパー部が各別に受信して表示書換えできるように設計した電子ペーパー装置である。
以下では、更に図を参照して、本発明の電子ペーパー装置の特徴的な構造について詳細に説明する。
【0028】
図3は、複数の電子ペーパー部EPと、その電子ペーパー部EPの表示素子を駆動するための制御信号を形成して送信する制御装置部DAを一つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置を説明するために示した図である。図3で示す形態例は、2枚の電子ペーパー部EPと1個の制御装置部DAとで構成した電子ペーパー装置である。なお、重複する説明を避けるため、図1、2で示した部位と同様の部位には、同じ符号している。
図3(a)は一方の電子ペーパー部EP−1の平面図であり、図3(b)は図3(a)におけるA−A断面図、そして、図3(c)は制御装置部DAに、電子ペーパー部EP−1と電子ペーパーEP−2とを組み付けて、電子ペーパー装置とする様子を示した図である。
電子ペーパー部EP−1の表示部となる表示部領域AR−1および電子ペーパー部EP−2の表示部となる表示部領域AR−2はいずれも矩形であることが好ましい。
また、図3(c)からも分かるように、表示部領域AR−1と表示部領域AR−2とを並べた時にできる両者間の隙間部分を狭くするために、当該隣接部分にあたる表示部領域の外側部分となる表示部の縁部、いわゆる額縁部分は、他の表示部の縁部よりも狭くするのが好ましい。
電子ペーパー部EP−1は表示素子により情報を表示する表示部となる表示部領域AR−1よりも背面側の基板1が大きく設定してある。基板1上の表示部領域AR−1に隣接する領域SAは他方の電子ペーパー部EP−2を設置するために設定した設置領域SAである。そして、図3(c)で示すように、この設置領域SAに電子ペーパー部EP−2がセットされる。ここでは、背面側基板1を延在させて設置領域SAとされ、この設置領域SAを含んで図示しない配線を引き回すための引き回し配線領域11−1、11−2とされている。
【0029】
それぞれの電子ペーパー部EP−1、EP−2は、接続線形成領域11−1、11−2の一辺側で、その一部に接続端子部12−1、12−2がそれぞれ同じ配列で整列形成されている。この配列は、制御装置部の凸状接続端子部32と同じ配列である。そして、電子ペーパー部EP−1側の接続端子部12−1は、設置領域SA側にずらして配置してある。これにより、接続端子部12−1、12−2は、図3(c)で示すように、電子ペーパー部EP−1の接続端子部12−1上に電子ペーパー部EP−2の接続端子部12−2を積層配置したときに、電子ペーパー部EP−1の表示部AR−1と電子ペーパー部EP−2の表示部AR−2とが互いに重ならないように配置される。
ただし、この接続端子部12−1、12−2には異なる位置に非導通構造が設けてある。実施形態においては、非導通構造として切欠部13−1、13−2が設けてある。なお、この非導通構造(切欠部13−1、13−2)による機能については後で詳述するが、この非導通構造(切欠部13−1、13−2)が電子ペーパー部EP−1と電子ペーパー部EP−2とを区別する識別手段となる。また、ここで例示した切欠部の代わりに、同じ接続端子部に対応するドライバーIC(駆動回路)からの接続線において他の形態で非導通構造を形成してもよい。すなわち、切欠部とは電気的な構成で導線の非導通構造の一形態例であり、これと同じに機能する構造(形態)であれば切欠以外の構造でもよい。
そして、この切欠部(非導通構造部)を含む接続線配置領域11−1、11−2には、後述する判定回路が設定してある。この判定回路は、制御装置部DAから送信された制御信号が、当該電子ペーパー部自身宛の制御信号であるかどうかを判定して、当該電子ペーパー部自身宛の制御信号であると判定した場合に、制御信号を駆動回路(ドライバーIC)に出力して、当該電子ペーパー部に対してだけ制御信号に基づいた情報を表示させる。この判定回路については、後に詳述する。
【0030】
各電子ペーパー部EP−1、EP−2には、表示部AR−1、AR−2に配置された表示素子を駆動させる駆動回路(ドライバーIC)14−1、14−2が配置されている。電子ペーパー部EP−1、EP−2に設ける駆動回路(ドライバーIC)は、それぞれ表示部AR−1、AR−2に配置された表示素子駆動に必要なドライバー機能およびドライバーICのアウトプット(OUTPUT)を無効にする機能、言い換えれば、ドライバー機能を無効にする機能を最低限備えたICチップである。そして、制御装置部DA側に画像の生成、描き換えなどの制御に必要なCPUやグラフィックコントローラなどの主要な制御回路構成を配置して、各電子ペーパー部EP−1、EP−2側での回路構成を簡素化するのが好ましい。ドライバーICのアウトプット(OUTPUT)を無効にする機能としては、アウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)の他にもクロック(CLOCK)やチップセレクト(CHIP−SELECT)などがある。
【0031】
制御装置部DAは、電子ペーパー部EP−1、EP−2の積層状となっている接続端子部(すなわち、電子ペーパーEP側の接続部材12−1、12−2)と接続可能な接続端子部32を備えている。制御装置部DAには、電子ペーパー部EP−1、EP−2に表示する画像の生成、描き換えなどの制御に関わる一連の制御信号を生成するための回路や制御回路などを含むCPUや、制御IC、メモリーICなどの集積回路配置領域が設けてある。制御装置部DAに、電子ペーパー部EPを駆動させる駆動回路の一部を搭載してもよい。制御装置部DAが備えるCPUによって、電子ペーパー部EPへ表示する情報を制御する。制御装置部DAには、パーソナルコンピュータ(PC)、その他の電子機器、記憶装置などと接続可能な接続端子が設けられていてもよい(不図示)。
さらにまた、情報表示を実行する時に必要な電源供給は、制御装置部DAの少なくとも上記電子回路部を覆う筐体にシート電池やコイン型電池などの電源を搭載して制御装置部DAと接続させたり、筐体に設けた制御装置部DAと接続した接続端子に外部電源を接続させたりして行うことができる。
【0032】
図4は、複数の電子ペーパー部EPと、その電子ペーパー部EPの表示素子を駆動するための制御信号を形成して送信する制御装置部DAを一つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置の他の例を説明するために示した図である。図4で示す形態例は、図3で示す形態例の変形例であり、2枚の電子ペーパー部EP−1、EP−2と1個の制御装置部DAとで構成した電子ペーパー装置である。なお、重複する説明を避けるため、図3で示した部位と同様の部位には、同じ符号している。
図4(a)は一方の電子ペーパー部EP−1の平面図であり、図4(b)は図4(a)におけるA−A断面図、そして、図4(c)は制御装置部DAに、電子ペーパー部EP−1と電子ペーパーEP−2とを組み付けて、電子ペーパー装置とする様子を示した図である。
図4(a)〜(c)に示す例において図3(a)〜(c)に示す例と異なる点は、図4(a)〜(c)に示す例においては、図3(a)〜(c)に示す例における基板1上の表示部領域AR−1に隣接する領域SAに背面側基板が配置されないようにした点である。図4(a)〜(c)に示す例では、図3(a)〜(c)に示す例と同様の作用・効果を得ることができるほか、二つの表示部の表面を揃えて同じ高さにする効果を得ることができる。
【0033】
図5に示す例は、(2×3)配置による6枚の電子ペーパー部EPで6個の表示部を平面状に形成する場合を示している。ここでは、制御装置部DAの図示は省略しているが、電子ペーパー部EP−1〜EP−6の積層状となっている接続端子部に、図示しない制御装置部DAの接続端子部が図3の場合と同様に接続される。
図5で示す場合では、例えば電子ペーパー部EP−1の接続端子部12−1、EP−2の接続端子部12−2、・・・・・EP−6の接続端子部12−6というように接続端子部を順に重ねて各電子ペーパー部を配置したときに、それぞれの表示部が互いに重ならないように配置される。
ここでは各電子ペーパー部の非導通構造として切欠部を採用し、この切欠部を1個備えた電子ペーパー部とし、接続端子部12−1〜12−6に設ける切欠部13−1〜13−6は互いに異なる位置となるように設定してある。
なお、図3、図4、図5における電子ペーパー部の個数、大きさは一例示である。任意の個数、任意の(n×m)個による複数の電子ペーパー部で複数の表示部を、任意の位置に配置するように設計してもよい。表示部を隣接させる必要もなく、目的に合わせて隣接配置させたり、離して配置したりできる。また、表示部領域ARを同じ大きさや同じ形状にする必要はなく、異なる大きさや異なる形状の組合せとしてもよい。
【0034】
図6は、接続線配置領域11および接続端子部12をフレキシブル回路基板(以下、FPC)側に設けた変形例である。2枚の電子ペーパー部EP−1、EP−2とした場合について示している。図6で示す電子ペーパー部EP−1、EP−2では基本構造部分である表示部領域AR−1、表示部領域AR−2をそれぞれ同じに形成してある。そして、電子ペーパー部EP−1、EP−2の背面側基板に引き回された表示用電極との接続線に、フレキシブル配線基板(以下、FPC)が異方性導電膜(以下、ACF)で電気的に接続された1辺側において、ドライバーICが搭載されたテープキャリアパッケージ(TCP)がACFで電気的に接続実装されている。(TCPは不図示)他の構成は、図3と同様である。
図6で示す例の場合、複数準備する電子ペーパー部の表示部を共通に作製し、ドライバーIC(駆動回路)は量産されているTCPとして実装し、表示部の表示用電極から引き出される接続線が形成される部分であって、各電子ペーパー部において形状が異なる部分を樹脂製基板であるFPCとし、接続端子部をTCPに形成するので製造コストを低減できる。
ここでは各電子ペーパー部の非導通構造として切欠部を採用し、この切欠部を1個備えた電子ペーパー部とし、接続端子部12−1、12−2に設ける切欠部13−1、13−2は互いに異なる位置となるように設定してある。
【0035】
図7は、駆動回路(ドライバーIC)14、接続線(不図示)および接続端子部12をFPCに設け、このFPCを電子ペーパー部の表示部にACFで接続実装している。同じ形態の表示部に、同じ形態のFPCを実装した同じ形態の電子ペーパー部EP−1、EP−2を左右逆にして制御装置部と接続した変形例を示している。図7で示す例の場合、複数準備する電子ペーパー部は全てが同じ形態となるので更にコストを低減できる。接続端子部12−1、12−2に設ける切欠部13−1、13−2は、電子ペーパー部EP−1、EP−2としては同じ位置に形成されているが、制御装置部への接続時に切欠部13−1、13−2は左右逆になるので、制御装置部の接続端子部(凸状接続端子部)32の配列において異なる位置に配列してある接続端子32と接続される。すなわち、電子ペーパー部EP−1が制御装置部に接続されたときに形成される非導通構造(切欠部)の位置と、電子ペーパー部EP−2が制御装置部に接続されたときに形成される非導通構造(切欠部)の位置とは異なることになる。これによって、後述する判定回路による電子ペーパー部EP−1、EP−2の識別が可能となる。
【0036】
ここで、前掲図3〜図7で説明した電子ペーパー部の接続端子部12の好ましい端子構造、そして、この接続端子部12と接続される制御装置部DAの接続端子部32の好ましい端子構造について説明する。
更に、図8及び図9を参照する。図8は電子ペーパー部EPについて示しており背面側基板1に制御装置部DAとの接続端子部12を設けた場合の具体例である。図8(a)はその平面図、図8(b)は図8(a)におけるB−B断面図、そして図8(c)は図8(b)におけるCR部内を拡大して示す図である。また図9は電子ペーパー部EPと制御装置部DAとを接続させて装着した場合の概略構造について示しており、図9(a)は装着前の様子を示した平面視図、そして、図9(b)は導通する接続部分の様子を模式的に示した図であり、図9(c)は導通しない部分(非導通構造部分)となる接続部分の様子を模式的に示した図である。
【0037】
電子ペーパー部の接続端子部12は孔状に形成した接続端子(孔状のコネクター12a)の集合として構成するのが好ましい。孔状接続端子部12は、電子ペーパー部での背面側の絶縁性樹脂基板1や、FPCやTCPに形成することができる。この孔状接続端子部において孔内側に露出する露出電極(図8(c)の符号21参照)は、可撓性、弾力性を有している導電膜とすることが好ましい。このような導電膜としては、銅メッキ膜、スパッタリングで形成したニッケル薄膜やこれらを組合せた導電膜が挙げられ、0.05μm〜50μm程度の厚さにすれば、良好な導電性と可撓性、弾力性を示すので好適である。
その他、例えば片面銅箔樹脂フィルムを背面側樹脂基板1として用意し、その銅箔側をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、フィルムと接続電極パターン部分を残して他の銅箔部分をエッチング除去し、次に、フィルムの反対側から例えばレーザ光を照射して銅箔部分の直下に貫通孔1hlを形成し、最後に銅箔側表面のうち小孔を形成すべき箇所以外をマスキングして銅箔をエッチング処理して貫通孔と連通する小孔を形成する。樹脂フィルムをエッチングする方法に、酸素リアクティブイオンエッチング(酸素RIE)を採用すれば、銅箔をエッチングすることなく樹脂フィルムだけをエッチングできるので好ましい。
【0038】
なお、図9(a)で、孔状接続端子部12に接続する帯状の部分(ハッチングした12ep)が接続線となる導電膜であり、前述した切欠部13となる位置で接続線となる導電膜12epが切断されている様子が示されている。前述したように切欠部13は、電気的に非導通とする構成の一例であり、他の非導通構造に変更してもよい。
制御装置部DAから電子ペーパー部EPに送信される制御信号は、表示素子の駆動を制御するための信号のほかに、どの電子ペーパー部EPの表示素子を駆動させるのかを識別するための識別信号を含む。そして、ここで示している複数の孔状接続端子部12、接続線となる導電膜12ep、そして切欠部13が配置されている領域が、電子ペーパー部EPにおける制御信号受信部113となる。
【0039】
なお、上記孔状接続端子部は、背面側基板の他方の表面にも導電膜が形成され、かつ、上下面の導電膜のそれぞれは貫通孔の上下端部に一部張り出している構造としてもよい。また、背面側基板の上面と下面に導電膜を形成し、貫通孔の壁面にも例えば貴金属の無電解メッキで導電膜を配置した構造にすることもできる。背面側基板の両側に導電膜を形成したものは、導通接続の信頼性が高くなるので好適である。また、貫通孔の壁面に耐食性の貴金属メッキ膜があるとさらに導通接続の信頼性が高くなるので好適である。
また、上記孔状接続端子部は、貫通孔の内部に露出した導電膜(露出電極)に小孔が設けられた構造であってもよい。この場合、導電膜(露出電極)に形成する小孔の平面視形状は、後述する制御装置部DA側の接続端子部32を構成する凸状に形成した挿入型接続端子(凸状のコネクター32a)を受け入れることができる形状であればよく、例えば、貫通孔1hlより小径の円形孔、十文字形状をしたスリット孔(図8(c)の符号21参照)、円形孔と十文字スリット孔を組合せた孔、円形孔と三方スリット孔を組合せた孔、複数のスリット孔を星型に集合させた孔、星型の孔などをあげることができる。これら小孔のうちスリット孔は、凸状のコネクター32aを挿入したときに、スリット孔周辺部が撓んで導電膜が凸状のコネクター32(図9参照)の導電性部分に確実に接触して信頼性の高い導通接続ができる点で好適である。
【0040】
上記のように電子ペーパー部の接続端子部に形成される孔状接続端子部(孔状のコネクター12a)に対して、制御装置部DA側に設けるのは挿入型接続端子(凸状のコネクター32a)とする。この凸状の挿入型接続端子部となる導電性突起は、孔状接続端子部に挿入されたときに、孔内側に露出している導電膜21と確実に接触して導通がとれる形状であればよい。
なお、導電性突起の断面形状も格別限定されるものではないが、例えば、四角形、三角形、多角形、円形などの形状が挙げられ、孔状接続端子部の孔形状に対して嵌合しやすい断面形状にすることが好ましい。
また、挿入型接続端子となる導電性突起は、導電性突起全体を銅、ニッケル、金、パラジウム、ロジウム、銀などで形成したり、樹脂製突起の表面全体に、例えばニッケル、金、白金、ロジウム、パラジウム、銀、錫、はんだなどをメッキして、表面の導電性を得るとともに、表面を硬質にしたりする。また、カーボンや鉄などを含む導電性塗料を塗布して導電性突起の表面全体に導電膜を形成することも有効な方法である。
【0041】
上記のように電子ペーパー部の孔状接続端子部12と、これに対応する制御装置部DA側の凸状の挿入型接続端子部32とによって電子ペーパー装置の接続構造が形成されるものであるが、前述したように、各電子ペーパー部側の接続端子部には、少なくとも一つの非導通構造を形成することにより、その非導通構造の配置位置と配置個数との組み合わせでそれぞれ異なる配置パターンが決められる。そして、この配置パターンは、各電子ペーパー部すべてで異なるものとする。これにより、制御装置部DA側に設けた凸状挿入型接続端子に対して、各電子ペーパーがそれぞれ異なった接続構造を形成することになる。その結果、電子ペーパー部に形成された判定回路では、当該判定回路に含まれる前記配置パターンが電子ペーパー部を特定する識別情報として認識される。
図9(a)では、駆動回路(ドライバーIC)14の入力側のチップセレクト用ラインに繋がる接続線に設ける非導通構造を切欠部13として1個設定した電子ペーパー部を示している。図9(b)は切欠部13を設定した接続端子部以外の部分で、孔状のコネクター12aと凸状のコネクター32aとが互いに接触して導通する様子を示している。図9(c)は切欠部13を設定した接続端子部で凸状のコネクター32cが接触せず(絶縁されて)非導通である様子を示している。
【0042】
なお、図9(a)で例示する構造では、孔状のコネクター12aと凸状のコネクター32(32a、32c)とを接続した後における補強用に、電子ペーパー部EPの接続端子部12の両側に補助孔15が設けてある。また、これに対応して制御装置部DAの接続端子部32の両側に補助突起35が設けてある。このような補強構造を採用すれば、接続後の構造を安定に維持できるので好ましい。
ところで、図10では導通部分12b、12d、12f、12h、12j、12lを介して制御装置部DAからの制御信号に含まれる識別信号を受信する。判定回路16は、電子ペーパー部EPに配置してあり、この判定回路16に含まれる導通構造および非導通構造(図10では切欠部13)それぞれの配置位置と配置個数とで決められる配置パターンによる電子ペーパー部を識別するための識別情報と、制御装置部から受信した識別信号とを比較して、当該電子ペーパー部の表示部の情報を書換えると判定した場合に、駆動回路からのアウトプットが有効になって、情報が書き換えられる。これら判定回路16、駆動回路14については下記で詳細に説明する。
【0043】
また、図9(a)は制御装置部DAの凸状のコネクター32aと、電子ペーパー部EP側の孔状のコネクター12a及び切欠部13との位置関係が理解し易いように示したものである。本願発明における実際の形態は、複数の電子ペーパー部EPの接続端子部12が積層状態となる。そして、この積層状態にある接続端子部12を貫通するように制御装置部DA側の接続端子部32、例えば、凸状のコネクター32aが設定される。
そして、前述したように複数の電子ペーパー部EPの接続端子部12には互いに異なる配置パターンで非導通構造(例えば、切欠部13)が設定してあるので(図3(c)参照)、接続端子部32を構成する複数の凸状コネクター32aとの接続状態が複数の電子ペーパー部EPそれぞれで異なる。
【0044】
電子ペーパー部と制御装置部の接続端子部は、それぞれの電子ペーパー部の1辺に、そして制御装置部の基板の1辺に整列配置してある。配置する個数は、導通接続を行なう端子数となり、電子ペーパー部では後述する判定回路16および駆動回路14から引き出されたチップセレクト線以外の駆動回路14入力側の接続線数に応じた個数となる。なお、駆動回路14はドライバーICとも呼ばれるICチップであり、本発明ではドライバー機能とともにドライバー機能を無効にする機能とを少なくとも含んで構成されている回路である。
【0045】
次に、判定回路16の回路構成および判定方法について説明する。
図10は、電子ペーパー部EP側に設けられる判定回路16の回路構成を説明する回路図である。図10には、識別信号を含む制御信号を送信するCPU及び、切欠部13として示した非導通構造部分、制御装置部DA側および電子ペーパー部EP側の導通構造の近傍の一部が示されている。図11は、電子ペーパー部EP側に配置される駆動回路14a〜14cと、駆動回路14a〜14cに接続される接続線を説明する図である。
【0046】
電子ペーパー部EP側の判定回路16を構成する導通構造は、識別信号受信部として形成され、図10では接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lである。この接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lは、制御装置部DA側の接続端子部のうち接続端子部32b、32d、32f、32h、32j、32lと電気的に接続される。電子ペーパー部EP側の識別信号受信部以外の接続端子部12a、12c、12e、12g、12i、12kは、制御装置部DA側の接続端子部32a、32c、32e、32g、32i、32kと電気的に接続される。この接続端子部12a、12c、12e、12g、12i、12kの少なくとも一つ(ここでは接続端子部12c)に、制御装置部DA側と電気的に接続されない非導通構造(ここでは切欠部13としている)を設ける。
【0047】
図10に示す電子ペーパー部では、他の電子ペーパー部において接続端子部12cとなる部分を切欠部13として非導通構造を形成することによって、1個の非導通構造と5個の導通構造との配置パターンを構成して、当該電子ペーパー部の識別情報としている。このように識別信号受信部となる接続端子部以外の接続端子部を6個、判定回路16に設けた構成の電子ペーパー部においては、前記6個の接続端子部に1個から6個まで非導通構造を設けることができ、〔26−1〕通りの配置パターンを得ることができる。
【0048】
なお、非導通構造は、1つの電子ペーパー部において、1個設けてもよいし、複数個設けてもよい。また、複数の電子ペーパー部のうち1つの電子ペーパー部は、非導通構造が設けられていなくもよい。すなわち、複数の電子ペーパー部において、非導通構造の配置パターンが互いに異なるように構成されていればよい。
識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部と、非導通構造を設ける接続部とはペアとなって配置される。非導通構造は1個でも複数個でもよく、配置個数と配置位置との組み合わせによって複数の配置パターンが形成される。識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部と、それ以外の導通接続部とのペアがN個ある判定回路では、〔2N(2のN乗)−1〕個の配置パターンが形成できる。
識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部は、電子ペーパー装置において用いる電子ペーパー部の枚数に応じてその数を決めることができる。図10では、識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部を6個としているので、このような電子ペーパー部を用いる電子ペーパー装置では、最大で26枚(64枚)の電子ペーパー部を用いることができることになる。
ところで、識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部の数が増えればそれだけ接続線の数が増え、接続線を配線する領域が必要となり、電子ペーパー部の表示部以外の領域が大きくなってしまうことになる。したがって、識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部の数は、実際の電子ペーパー装置に適した最小限にすることが好ましい。識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部の数は、電子ペーパー部が2枚の場合であれば1個とし、3枚〜4枚の場合であれば2個とし、5枚〜8枚の場合であれば3個とし、9枚〜16枚の場合であれば4個とする。
【0049】
また、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12l、識別信号受信部以外の接続端子部12a、12c、12e、12g、12i、12kは、例えば図10に示すように形成される。図10では、接続端子部12cに非導通構造(切欠部13)を形成している。また、図10では、XNOR回路311、NAND回路312を論理回路として備えた判定回路16を構成して、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lを介して受信した識別信号と、当該電子ペーパー部における非導通構造と導通構造との配置パターンで決められた識別情報とを比較して一致するか一致しないかを判定し、判定結果に応じて当該電子ペーパー部が備える駆動回路14a〜14eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)を有効にしたり無効にしたりできるように駆動回路14a〜14eと電気的に接続されるように構成されている。
【0050】
判定回路16の出力線は分岐されており、駆動回路14a〜14eの各々に接続されている。ここでは、駆動回路14a〜14eのチップセレクト用ライン320a〜320eに接続している。
【0051】
次いで、図12に基づいて、判定回路の具体的な判定態様、及び制御装置部が複数の電子ペーパー部に情報を表示する処理について説明する。図12は、図5に一例として示した、制御装置部が6数の電子ペーパー部に情報を表示する処理を説明するフローチャートである。以下に示す具体例では、1つの制御装置部に6枚の電子ペーパー部が装着されており、#2画面にあたる#2電子ペーパー部の表示部にデータ(情報)を描画して表示する。よって、制御装置部のCPUから#2電子ペーパー部を識別するための識別信号を含んだ制御信号を送信し、#2電子ペーパー部の表示部に描画データ信号に基づく画像を表示させる。
【0052】
ステップ1において、制御装置部は、制御信号を電子ペーパー部に対して送信する。具体的には、制御装置部の接続端子部および電子ペーパー部の接続端子部を介して、#2電子ペーパー部EP−2の表示部に所望の情報を表示させるための制御信号(#2電子ペーパー部を識別するための識別信号を含む制御信号)を、#2電子ペーパー部を含むすべての電子ペーパー部に対して送信する。
【0053】
ステップ21において、#2電子ペーパー部を含むすべての電子ペーパー部は、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lで受信した識別信号と、導通構造である接続端子部12a、12c、12e、12g、12h、12kの少なくとも一つに設けた非導通構造(切欠部13)の配置位置と配置個数とによる配置パターンで決まる電子ペーパー部の識別情報と、を比較して一致しているか一致していないかを判定する。
【0054】
具体的には、制御装置部のCPUから電子ペーパー部側の判定回路16に、#2電子ペーパー部の表示部に表示すべき描画データ信号であることを識別するための識別信号(例えば、「010000」)が6枚全ての電子ペーパー部EP−1〜EP−6に対して送信される。#2電子ペーパー部EP−2(図10に示した構成の電子ペーパー部)は、識別信号受信部としての接続端子部12b、12f、12h、12j、12lの出力が「0」となる。一方、識別信号受信部としての接続端子部12dの出力が「1」となる。また、接続端子部12a、12e、12g、12i、12kの出力は、接続端子部32a、32e、32g、32i、32kを介して接地されて、「0」となる。一方、切欠部13が形成された接続端子部12cは、接地されないため「1」が出力される。よって、#2電子ペーパー部EP−2では、判定回路16のXNOR回路311の出力側の真理値は、「111111」となる。全てのXNOR回路311の出力が「1」となり、NAND回路312の出力は「0」となる。すなわち、#2電子ペーパー部EP−2の識別情報と識別信号とが一致する(ステップ21:YES)。
【0055】
よって、判定回路16のスイッチ17がオフ(OFF)となって(ステップ31)、駆動回路14a〜14eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)が有効となり(ステップ41)、CPUからの出力信号を受信した際に、駆動回路14a〜14eから電子ペーパー部の表示部へ描画データが出力される(ステップ51)。よって、#2電子ペーパー部の表示部において情報の書き換えが実行される(ステップ61)。
【0056】
一方、他の電子ペーパー部の表示部、例えば、#1電子ペーパー部EP−1の表示部は、接続端子部12aに対応する部分(図10参照)に切り欠きが形成されている。ステップ1において、制御装置部が、#1電子ペーパー部EP−1に対して#2電子ペーパー部を識別するための識別信号を含む制御信号(#2電子ペーパーEP−2の表示部を書換えるための描画データ信号)を送信すると、#1電子ペーパー部EP−1は、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lで受信した識別信号と、導通構造である接続端子部12a、12c、12e、12g、12h、12kの少なくとも一つに設けた非導通構造(切欠部13)の配置位置と配置個数とによる配置パターンで決まる電子ペーパー部の識別情報と、を比較して一致しているか一致していないかを判定する。
【0057】
具体的には、制御装置部の接続端子部32b、32d、32f、32h、32j、32lから#1電子ペーパー部EP−1の判定回路16に、#2電子ペーパー部EP−2に表示すべき描画データであることを識別するための識別信号(例えば、「010000」)が送信される。
【0058】
#1電子ペーパー部EP−1の識別信号受信部としての接続端子部12d、12f、12h、12j、12lの出力は、「0」となる。一方、識別信号受信部としての接続端子部12bの出力は、「1」となる。また、接続端子部12c、12e、12g、12i、12kの出力は、接続端子部32c、32e、32g、32i、32kを介して接地されて、「0」となる。一方、切欠部13が形成された接続端子部12a部分は、接地されないため「1」が出力される。よって、#1電子ペーパー部EP−1では、判定回路16のXNOR回路311の出力側の真理値は、「001111」となる。全てのXNOR回路311の出力が「1」とならないため、NAND回路312の出力は「1」となる。すなわち、#1電子ペーパー部EP−1の識別情報と識別信号とが一致しない(ステップ21:NO)。
【0059】
よって、判定回路16のスイッチ17がオン(ON)となって(ステップ32)、駆動回路14a〜14eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)が無効となり(ステップ42)、CPUからの出力信号を受信しても、駆動回路14a〜14eから、#1電子ペーパー部EP−1の表示部へ描画データが出力されない(ステップ52)。よって、#1電子ペーパー部EP−1(#2電子ペーパー部以外の他の電子ペーパー部EP−3〜EP−6も同様)の書き換えが実行されない(ステップ62)。
【0060】
なお、ここでは、#1電子ペーパー部EP−1を例に挙げて説明しているが、他の電子ペーパー部EP−3〜EP−6についても、#1電子ペーパー部EP−1同様に、入力された識別信号と、判定回路16を構成している導通構造および非導通構造の配置位置と配置個数で決められる配置パターンに基づく識別情報とが一致せず、書き換えが実行されない。
【0061】
このように、電子ペーパー装置では、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lで受信した識別信号と、非導通構造(切欠部13)と導通構造のいずれかが形成される接続端子部12a、12c、12e、12g、12h、12kとにおいて、導通構造および非導通構造の配置位置と配置個数で決められる配置パターンに基づく識別情報とを比較して一致しているか一致していないかを判定する判定回路16を、複数の各電子ペーパー部が備えており、識別信号と識別情報とが一致した電子ペーパー部の表示部に、当該電子ペーパー部が備える駆動回路14a〜14eから制御信号(描画データ)が出力される。これにより、制御装置部から送信された識別信号に一致した電子ペーパー部の表示部にだけ、この識別信号を含んだ制御信号に基づいた所定の描画データ(表示させたい情報)が表示される。
【0062】
また、上記本発明の実施形態で示した判定回路の構成は一例である。上記実施形態では非導通構造(切欠部)の配置パターンと、CPUの各端子からの入力とをXNOR論理回路で比較しているが、例えば、CPU端子からの入力を一度シフトレジスタで受ける方法等も考えられる。このように、非導通構造(切欠部)の配置パターンとして与えられる情報と、制御装置部から送信される識別信号による情報を比較して、一致しているか一致していないかを検出して判定する回路は、本発明の実施形態に記載した論理回路(XNOR、NAND)に限定されるものではなく、他の論理回路やメモリー回路など一般的に用いられる電子回路とすることもできる。非導通構造(切欠部)の配置パターンと、電子回路とを組み合せて判定回路を構成したことに本発明の特徴がある。
【0063】
以上で説明した構成を備える電子ペーパー装置は、1つの制御装置部だけで複数の電子ペーパー部の表示部の書換えを、当該表示書換えを実行したい電子ペーパー部を選択して行うことができる。よって、本願発明によると、製品構造を複雑にしたり、コストアップを招来させたりすることなく、簡易な構成で大きな画像、或いは、複数の情報を任意に選択した電子ペーパー部の表示部に表示させて、表示させた情報を一望かつ同時に見ることができる電子ペーパー装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の対象となる電子ペーパー装置は、一つの制御装置部に、情報を表示する表示部(表示画面)となる電子ペーパー部を複数装着して構成される。各電子ペーパー部の表示部の表示書換えは個別になされる。各電子ペーパー部の表示部に配置した表示素子は表示メモリー性を有するので、書換えの処理をしない間は、その表示が維持される。よって、例えば4枚の電子ペーパー部で表示部(表示画面)を構成した場合に、4個の表示部(4画面)それぞれで異なる情報を表示してもよいし、同じ情報を4個の表示部(4画面)に表示してもよい、更には4個の表示部(4画面)で1つ情報(例えば、1枚の絵画)を大きく表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 背面側基板
2 観察側基板
3W、3B 表示媒体(粒子群)
4 隔壁
7 セル
12 電子ペーパー部の接続端子部
13 切欠部(非導通構造)
14 駆動回路
16 判定回路
32 制御装置部の接続端子部
EP 電子ペーパー部
DA 制御装置部
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示メモリー性を有する表示素子が配置された表示部と、この表示素子を駆動する駆動回路と、を備える複数の電子ペーパー部と、電子ペーパー部の表示素子を駆動させて表示部に表示する情報を書き換える制御装置部とを含んで構成した電子ペーパー装置に関する。より具体的には、平面状に配置した複数の電子ペーパー部の表示部に対して、一つの制御装置部で制御した情報を表示させて、複数の表示部に表示させた情報を一望できる電子ペーパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わるものとして基板間に粒子群として構成した表示媒体を気体と共に封入して、あるいは、基板間に粒子群として構成した表示媒体を液体と共に封入したカプセルやカップを配置して、この表示媒体を有する表示素子を駆動させて画像等の情報を表示する電子ペーパー装置が提案されており、その使用形態も種々、提案されるようになっている。
情報表示形態の一つとして、液晶表示装置などの従来の電子ペーパーを複数、タイルのように並べて複数の表示部を形成して、複数の表示部(画面)を一望できるようにしたものがある。(特許文献1など参照)また、小画面を連結した構成で形成した大画面の表示部に情報表示が行なえるようにしたものもある。(特許文献2など参照)
【0003】
しかし、いずれも一つの表示部(画面)に対して一つの制御装置が必要であり、例えば、特許文献1が開示する表示装置は、複数の表示装置をタイルのように並べており、表示装置個々に制御装置が用いられているし、特許文献2が開示する表示装置は、連結された小画面の一つ一つに制御装置が接続されて一つの大画面表示装置が構成されるため、連結された小画面の数(表示部の数)だけの制御装置が用いられている。すなわち、従来の電子ペーパー装置にあっては、一つの電子ペーパー部(言い換えれば表示部)に一つの制御装置を接続して表示を制御するのが一般的な形態であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−96911号公報
【特許文献2】特開2002−139747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一枚の電子ペーパー部の表示部では表示が難しいような大きな画像、或いは、複数を同時に表示したい画像などにあっては、複数の電子ペーパー部の表示部を平面状に配置して情報を表示させて、表示させた情報を一望したいという要請もある。
しかしながら、従来の電子ペーパー装置にあっては、前述したように表示部を備えた電子ペーパー部と、これを制御して駆動させる制御装置とが一体となった構成、或いは大画面を構成する小画面(個々の表示部)と制御装置とが一対一の構成であり、平面状に並べられた複数の表示部の数に合せた数の制御装置が必要であった。
したがって、複数の電子ペーパー部(言い換えれば表示部)を並べる電子ペーパー装置を設計する場合、電子ペーパー部の枚数分の制御装置を設けることになる。このように電子ペーパー部の数が増えると、それに対応して制御装置の数も増加することになるので製品構造が複雑になるとともに、これに伴うコストアップが懸念される。
また、従来の電子ペーパー装置にあっては、一つの制御装置と一体となった表示部が、平面状に並べられた構成であり、複数の表示部のどれかを選択して情報を表示させる場合には、当該表示部が備える制御装置を選択して起動させることになる。複数の表示部に表示させたい場合には、複数の制御装置を起動させなければならず、制御装置の起動に伴う電力消費も大きかった。
【0006】
よって、本発明の目的は、平面状に配置した複数の電子ペーパー部から情報表示させたい表示部を任意に選択して、一つの制御装置部だけで複数の電子ペーパー部に情報表示するとともに、複数の電子ペーパー部(表示部)に表示させた情報を一望に見ることができる電子ペーパー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、少なくとも一方が透明な領域を備える2枚の基板を対向配置させて形成したギャップ空間に、対向する表示用電極対および該表示用電極対間に配置された、電気的に駆動できる表示媒体で構成された、表示メモリー性を有する表示素子が配置された表示部と、前記表示素子を駆動する駆動回路と、を備える複数の電子ペーパー部と、前記表示素子を駆動させるための制御信号を送信して前記表示部に表示する情報を書き換える制御装置部とを含んで構成した電子ペーパー装置であって、前記電子ペーパー部は、前記制御装置部と接続される接続端子部および前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線の少なくとも一つに非導通構造を備えるとともに、前記非導通構造の配置位置および配置個数で決められる配置パターンが、各電子ペーパー部において互いに異なっており、前記複数の電子ペーパー部と前記一つの制御装置部との接続が、前記複数の電子ペーパー部の各接続端子部を互いに積層する形態でなされたときに、各電子ペーパー部の前記表示部が互いに重ならないように構成されており、前記非導通構造を含むとともに、前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線によって構成される判定回路によって、前記制御装置部から受信した、前記制御信号に対応した電子ペーパー部の表示素子を駆動するように構成されていることを特徴とする電子ペーパー装置よって達成される。
【0008】
前記電子ペーパー部の表示部の平面視形状は、矩形状であり、前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿った端部領域に整列形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部であると共に、前記制御装置部の接続端子部は、前記孔状コネクター部に挿入接続可能な複数の凸状のコネクターを、前記制御装置部において整列形成した凸状コネクター部とされ、前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた構成にすること、前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた切欠部とすることもできる。
【0009】
また、前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿って実装されたフレキシブル配線基板に形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記フレキシブル配線基板の端部領域に整列形成された孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部である構成にすることもできる。
非導通構造は、電子ペーパー部において、当該電子ペーパー部が備える駆動回路の入力側端子と、制御装置部との接続端子部とを繋ぐ複数の接続線の少なくとも一つに設けた非導通構造である。この非導通構造は、電気的に絶縁されている構造であり、上記接続線のいくつかを断線させて形成したり、電子ペーパー部の孔状接続端子部のいくつかにおいて制御装置部の凸状接続端子部と接続しない絶縁構造を形成したり、電子ペーパー部の接続端子部のいくつかを切り欠いた切欠部にして形成したり、することによって得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子ペーパー装置によると、一つの制御装置部に接続された複数の電子ペーパー部の表示部が平面状に、互いに重ならないように配置されると共に、一つの制御装置部からの制御信号で前記複数の電子ペーパー部の表示部を任意に選択して、複数の電子ペーパー部の表示部ごとに表示させたい情報を表示できるので、構造を複雑にすることがなく、また、コストアップさせたり、電力消費を大きくさせたりすることもなく、大きな画像、或いは、複数の情報を、任意に選択した表示部に表示させて一望できる電子ペーパー装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)、(b)は電子ペーパー装置で採用するのに好適な電子ペーパー部の原理的構成を説明するために示した図である。
【図2】(a)、(b)は電子ペーパー装置で採用するのに好適な電子ペーパー部の他の原理的構成を説明するために示した図である。
【図3】複数の電子ペーパー部とこれを制御するため制御装置部を1つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置の一例を説明するために示した図である。
【図4】複数の電子ペーパー部とこれを制御するため制御装置部を1つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置の他の例を説明するために示した図である。
【図5】6個の電子ペーパー部で6個の表示部を平面状に形成する場合を例示した図である。
【図6】接続線配置領域および電子ペーパー部の接続端子部を、電子ペーパー部の背面側基板に設けた例および電子ペーパー部に実装されたフレキシブル配線基板(FPC)に設けた例について示している図である。
【図7】接続線配置領域および電子ペーパー部の接続端子部を、電子ペーパー部の背面側基板に設けた、制御装置部との接続位置を左右逆に接続した同じ形態の電子ペーパー部とした変形例について示した図である。
【図8】電子ペーパー部について示しており、背面側基板に制御装置部との接続端子部を設けた場合の具体例を示した図である。
【図9】電子ペーパー部と制御装置部との接続および装着構造について示した図である。
【図10】制御装置部と電子ペーパー部との接続端子部周辺に形成される判定回路の構成を例示した図である。
【図11】電子ペーパー装置で電子パーパー部が備える駆動回路の構成例を示した図である。
【図12】2個の電子ペーパー部を備える電子ペーパー装置で、#2電子ペーパー部の表示部の表示書換えを行うときの処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の電子ペーパー装置に係る電子ペーパー部について説明する。本発明の電子ペーパー装置に係る電子ペーパー部は、例えば、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として対向電極対間に備えた帯電粒子移動方式の表示素子を表示部に備えている。このような表示素子は、電極間に電圧を印加したときに駆動して粒子(表示媒体)が移動し、給電を断っても、移動した粒子がその位置に留まることによって表示した情報が維持されるので、表示メモリー性を有する表示素子となる。
このような帯電粒子移動方式の表示素子を配置した表示部は、例えば、対向する2枚の基板間の空間に封入した帯電性粒子を含む粒子群で構成した表示媒体に電界を付与する構成で形成される。付与された電界方向に沿って、帯電性粒子を含む粒子群が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、帯電性粒子を含む粒子群が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。そして、一旦表示された情報は給電を断っても、そのまま表示されている。これが表示メモリー性である。従って、帯電性粒子を含む粒子群が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時、或いは表示情報を継続して表示する時の安定性(表示メモリー性ともいう)を維持できるように、表示部に配置する表示素子を設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、電界による力、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0013】
以下、本発明の電子ペーパー装置で採用するのに好適な電子ペーパー部の表示部の一例を図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に基づき説明する。
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、基板間の隔壁4で形成された各セル7内に封入し、背面側の基板1に設けた表示用電極5(ストライプ電極)と観察側の基板2に設けた表示用電極6(ストライプ電極)とが、対向交差(好ましくは対向直交交差)して形成する画素となる表示用電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と略垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、一つの表示用電極対と白色表示媒体3Wおよび黒色表示媒体3Bで構成され、マトリックス配置された表示素子で構成された画素で白黒のドットマトリックス表示を行っている。上記のように移動した白色表示媒体3W、黒色表示媒体3Bは、表示素子に印加する電圧を切断しても、そのままの状態を維持するので、表示した情報は保持される。これを、表示メモリー性を有すると称する。図1に示した構成の表示部では、パッシブ駆動方式でドットマトリックス表示を行うことができる。
なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。ここでは画素(表示素子)とセルとを1対1に対応させているが、画素(表示素子)とセルとは1対1に対応させないこともできる。
図示の例では、隔壁部分4と背面側の基板1との間に接着剤9を配置してもう一方の基板1とを貼り合わせて接合し、セル内に配置した表示媒体を封止した構造としている。
【0014】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、基板間の隔壁4で形成された各セル7内に封入し、背面側の基板1に設けた表示用電極5(TFT付き画素電極)と観察側の基板に設けた表示用電極6(共通電極)とで形成する画素となる表示用電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と略垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、一つの表示用電極対と白色表示媒体3Wおよび黒色表示媒体3Bで構成され、マトリックス配置された表示素子で構成された画素で白黒のドットマトリックス表示を行っている。上記のように移動した白色表示媒体3W、黒色表示媒体3Bは、表示素子に印加する電圧を切断しても、そのままの状態を維持するので、表示した情報は保持される。これを、表示メモリー性を有すると称する。図2に示した構成の情報表示用パネルでは、アクティブ駆動方式でドットマトリックス表示を行うことができる。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。ここでは画素(表示素子)とセルとを1対1に対応させているが、画素(表示素子)とセルとは1対1に対応させないこともできる。
図示の例では、隔壁部分4と背面側の基板1との間に接着剤9を配置してもう一方の基板1とを貼り合わせて接合し、セル内に配置した表示媒体を封止した構造としている。
【0015】
本例では、画素とセルとを1対1にした例を示したが、例えば、図1、図2に示した隔壁部分4の一部(4−1)のみとして、その間にある二つの隔壁4を形成しない構造にすれば、画素とセルとを3対1にした構造が得られる。また、図1、図2の横方向に形成される隔壁においても同様のことを行えば9対1にした構造が得られる。後述する表示媒体を内包したカプセルを観察側の基板2と背面側の基板1との間に配置する場合には、上記した9対1の構造や、さらに隔壁を減らし、画素とセルとが、16対1、25対1、36対1、49対1、64対1、81対1、100対1とした構造にすることができる。隔壁の数を少なくすることで、表示部領域に占める非表示領域を小さくできる。
【0016】
なお、上記基板1、2としては、ガラスシート、樹脂シート、金属シート等の基板から適切なものを適宜に選択して用いることができる。表示面側(観察側)とする基板2の表示部形成領域は透明とする。この基板2の透明な表示部形成領域において、基板の内側に配置する表示用電極(図1、2などで説明した、ストライプまたは共通電電極6)は透明電極とする。一方、観察側としない基板1は透明であることを要しない。この基板1の表面には、マトリックス状電極対を構成するように薄膜トランジスタ(TFT)付き画素電極もしくはストライプ電極が表示用電極として形成されている。この対向する表示用電極対に電圧を印加したときに、この電極対間に配置された表示媒体(粒子群)に電界が付与され、表示媒体が移動して所望の表示を行なう表示素子を備えた前述の構造が実現できる。
【0017】
また、上記のように表示媒体として粒子群を採用した場合には、表示部の基板間のギャップ空間にセルを設け、セル内に表示媒体を封止した構造が好ましい。これにより粒子の偏在を防止できる。また、表示媒体を封止する空間は気体空間(真空を含む)としてもよいし、絶縁液体空間としてもよい。セルは上記のように隔壁で囲んで形成してもいし、カプセルやカップによって形成してもよい。このような表示媒体は、電界が付与された時にだけ移動し、電界が付与されないとき、言い換えれば表示用電極対への給電を断ったときは移動しないので、このような表示媒体を採用した電子ペーパー部の表示素子は、表示メモリー性を有するものとすることができる。
上記隔壁で囲んで設けるセルは画素形状および画素配置に合せてもよいし、画素形状および画素配置とは対応させなくてもよい。セルの開口形状は四角形(角丸付き四角形を含む)や六角形などの多角形が好ましく、マトリックス状、ハニカム状、網状に配置することができる。表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有するセル形状が好ましく、角丸付きの四角形、角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。
【0018】
電子ペーパー部の表示部で基板間ギャップを確保するために設ける隔壁やセルを形成するために設ける隔壁の形成材料としては、レジスト材が好適に用いられる。この中でも、ドライフィルムレジスト材が取り扱いやすいので好ましく、一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。形成したい隔壁部分の高さに合せた厚みのドライフィルムレジスト材を電子ペーパー部の基板に積層し、所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすればよい。
上記電子ペーパー部の表示部で基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅は、例えば20μm〜100μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅は、例えば5μm〜30μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅を、パネル基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅よりも小さくすると、表示部領域に占める非表示領域を小さくできるので好ましい。
【0019】
実施形態において、電子ペーパー部の接続端子部は孔状接続端子部である。孔状接続端子部は、表示部の背面側において、絶縁性樹脂基板に形成するのが好ましい。電子ペーパー部の背面側基板を絶縁性樹脂基板として、この背面側基板に、ドライバーIC(駆動回路)を直接実装し、ドライバーIC入力側の端子から延びる接続線の先に孔状接続端子部を形成したり、あるいはテープキャリアパッケージ(TCP)のドライバーIC入力側の端子から延びる接続線の先に孔状接続端子部を形成したり、あるいはドライバーICを搭載したフレキシブル基板(FPC基板)のドライバーIC入力側の端子から延びる接続線の先に孔状接続端子部を形成したりする。背面側基板の厚さは特に制約はないが、25μm〜1000μmの範囲が好ましく、25μm〜200μmの範囲がさらに好ましい。1000μmより厚いと、電子ペーパー部が重なったときに平面状に配置された複数の表示部の表示面高さが揃わずに良好な視認性が得られにくくなる不都合がある。孔状接続端子部を形成する基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等、絶縁性で孔形成が容易な樹脂製のものが好ましい。
【0020】
表示用電極と接続された電極端子部を背面側基板の端部に設け、この電極端子部にフレキシブル基板(FPC)やテープキャリアパッケージ(TCP)を実装した構成にして、このFPCやTCPの基板に孔状接続端子部を形成することもできる。FPCやTCPの基板の厚さは、25μm〜150μmの範囲が好ましく、材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等、絶縁性でフレキシブルな樹脂材料が好ましい。この場合には、電子ペーパー部の背面側基板をガラス基板にすることもできる。孔状接続端子部を、ガラス基板ではなくフレキシブルな樹脂製基板に形成できるからである。
【0021】
電子ペーパー部の基板のうち観察側基板は、少なくとも表示部とする領域が透明な基板とする。この表示部とする領域が透明であればそれ以外の領域は透明でなくてもよい。観察側基板の厚さは、25μm〜5000μmの範囲が好ましいが、薄型の電子ペーパー部とするには、25μm〜1000μmの範囲が好ましく、さらには、25μm〜200μmの範囲が好ましい。観察側基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等の樹脂基板のほか、ガラス基板を用いることができる。
【0022】
電子ペーパー部の表示部に配置する表示素子を構成する表示用電極において、観察側には透明電極を設ける。透明電極の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(例えば、Poly(3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-(Styrenesulfonate)(PEDOT:PSS))などの透明導電性高分子類が挙げられる。なお、表示用電極の厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。
【0023】
電子ペーパー部の表示部に配置する表示素子を構成する表示用電極において、背面側基板に設ける電極としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン
(例えば、Poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-(Styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)などの導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。背面側基板の表示用電極は透明であってもよいし、透明でなくても良い。また、背面側に設ける表示用電極の厚みは、導電性が確保できれば良く、0.01μm〜10μmの範囲で設ける。
【0024】
この表示用電極および表示用電極から延びる配線電極およびTCP実装用の電極端子部を、あるいは、この表示用電極および表示用電極から延びる配線電極および孔状接続端子部を構成する導電膜を、同じ材料で形成することもできる。この場合には、例えば銅薄膜を背面側基板上に形成した後、それぞれの電極にパターニングすればよく、前記二例でそれぞれの三者を同時に形成することも可能である。
【0025】
本発明に係る、表示用電極から延びる配線電極、駆動回路(ドライバーIC)から延びる接続線および孔状接続端子部を構成する導電膜(電極)は、表示部の外側領域に設ける。導電膜(電極)材料としては、電気抵抗が小さく、可撓性のある金属が好ましい。前記した、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。この導電膜(電極)の厚みは、導電性が確保でき可撓性に支障がなければ良く、0.1μm〜20μmが好ましく、1μm〜10μmがより好ましい。0.1μmより薄いと損傷して断線しやすいという不都合があり、20μmより厚いと、孔状接続端子部に配置された孔の内側に露出した電極部分において可撓性を発現し難くなり、制御装置部の凸状接続端子部との電気的接続に支障をきたすような不都合となる場合がある。
【0026】
導電膜(電極)の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。パターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。
【0027】
さて、本発明の電子ペーパー装置は、上記のように構成することができる電子ペーパー部が複数準備してある。そして、情報を表示する表示部、すなわち表示素子を配置した領域の互いの位置が重ならない配置がとれるように、これら電子ペーパー部の接続端子部を設けてある。これら電子ペーパー部の接続端子部を積層して、一つの制御装置部の凸状接続端子部に接続したときに、複数の表示部が平面状に並んだ大きな表示部(大画面)、或いは複数の表示部が平面状に配置されて、異なる情報をそれぞれに表示した複数の表示部を一望できるように設計してある。しかも、各電子ペーパー部の表示部に表示させる情報は、一つの制御装置部から送信される制御信号を、各電子ペーパー部が各別に受信して表示書換えできるように設計した電子ペーパー装置である。
以下では、更に図を参照して、本発明の電子ペーパー装置の特徴的な構造について詳細に説明する。
【0028】
図3は、複数の電子ペーパー部EPと、その電子ペーパー部EPの表示素子を駆動するための制御信号を形成して送信する制御装置部DAを一つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置を説明するために示した図である。図3で示す形態例は、2枚の電子ペーパー部EPと1個の制御装置部DAとで構成した電子ペーパー装置である。なお、重複する説明を避けるため、図1、2で示した部位と同様の部位には、同じ符号している。
図3(a)は一方の電子ペーパー部EP−1の平面図であり、図3(b)は図3(a)におけるA−A断面図、そして、図3(c)は制御装置部DAに、電子ペーパー部EP−1と電子ペーパーEP−2とを組み付けて、電子ペーパー装置とする様子を示した図である。
電子ペーパー部EP−1の表示部となる表示部領域AR−1および電子ペーパー部EP−2の表示部となる表示部領域AR−2はいずれも矩形であることが好ましい。
また、図3(c)からも分かるように、表示部領域AR−1と表示部領域AR−2とを並べた時にできる両者間の隙間部分を狭くするために、当該隣接部分にあたる表示部領域の外側部分となる表示部の縁部、いわゆる額縁部分は、他の表示部の縁部よりも狭くするのが好ましい。
電子ペーパー部EP−1は表示素子により情報を表示する表示部となる表示部領域AR−1よりも背面側の基板1が大きく設定してある。基板1上の表示部領域AR−1に隣接する領域SAは他方の電子ペーパー部EP−2を設置するために設定した設置領域SAである。そして、図3(c)で示すように、この設置領域SAに電子ペーパー部EP−2がセットされる。ここでは、背面側基板1を延在させて設置領域SAとされ、この設置領域SAを含んで図示しない配線を引き回すための引き回し配線領域11−1、11−2とされている。
【0029】
それぞれの電子ペーパー部EP−1、EP−2は、接続線形成領域11−1、11−2の一辺側で、その一部に接続端子部12−1、12−2がそれぞれ同じ配列で整列形成されている。この配列は、制御装置部の凸状接続端子部32と同じ配列である。そして、電子ペーパー部EP−1側の接続端子部12−1は、設置領域SA側にずらして配置してある。これにより、接続端子部12−1、12−2は、図3(c)で示すように、電子ペーパー部EP−1の接続端子部12−1上に電子ペーパー部EP−2の接続端子部12−2を積層配置したときに、電子ペーパー部EP−1の表示部AR−1と電子ペーパー部EP−2の表示部AR−2とが互いに重ならないように配置される。
ただし、この接続端子部12−1、12−2には異なる位置に非導通構造が設けてある。実施形態においては、非導通構造として切欠部13−1、13−2が設けてある。なお、この非導通構造(切欠部13−1、13−2)による機能については後で詳述するが、この非導通構造(切欠部13−1、13−2)が電子ペーパー部EP−1と電子ペーパー部EP−2とを区別する識別手段となる。また、ここで例示した切欠部の代わりに、同じ接続端子部に対応するドライバーIC(駆動回路)からの接続線において他の形態で非導通構造を形成してもよい。すなわち、切欠部とは電気的な構成で導線の非導通構造の一形態例であり、これと同じに機能する構造(形態)であれば切欠以外の構造でもよい。
そして、この切欠部(非導通構造部)を含む接続線配置領域11−1、11−2には、後述する判定回路が設定してある。この判定回路は、制御装置部DAから送信された制御信号が、当該電子ペーパー部自身宛の制御信号であるかどうかを判定して、当該電子ペーパー部自身宛の制御信号であると判定した場合に、制御信号を駆動回路(ドライバーIC)に出力して、当該電子ペーパー部に対してだけ制御信号に基づいた情報を表示させる。この判定回路については、後に詳述する。
【0030】
各電子ペーパー部EP−1、EP−2には、表示部AR−1、AR−2に配置された表示素子を駆動させる駆動回路(ドライバーIC)14−1、14−2が配置されている。電子ペーパー部EP−1、EP−2に設ける駆動回路(ドライバーIC)は、それぞれ表示部AR−1、AR−2に配置された表示素子駆動に必要なドライバー機能およびドライバーICのアウトプット(OUTPUT)を無効にする機能、言い換えれば、ドライバー機能を無効にする機能を最低限備えたICチップである。そして、制御装置部DA側に画像の生成、描き換えなどの制御に必要なCPUやグラフィックコントローラなどの主要な制御回路構成を配置して、各電子ペーパー部EP−1、EP−2側での回路構成を簡素化するのが好ましい。ドライバーICのアウトプット(OUTPUT)を無効にする機能としては、アウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)の他にもクロック(CLOCK)やチップセレクト(CHIP−SELECT)などがある。
【0031】
制御装置部DAは、電子ペーパー部EP−1、EP−2の積層状となっている接続端子部(すなわち、電子ペーパーEP側の接続部材12−1、12−2)と接続可能な接続端子部32を備えている。制御装置部DAには、電子ペーパー部EP−1、EP−2に表示する画像の生成、描き換えなどの制御に関わる一連の制御信号を生成するための回路や制御回路などを含むCPUや、制御IC、メモリーICなどの集積回路配置領域が設けてある。制御装置部DAに、電子ペーパー部EPを駆動させる駆動回路の一部を搭載してもよい。制御装置部DAが備えるCPUによって、電子ペーパー部EPへ表示する情報を制御する。制御装置部DAには、パーソナルコンピュータ(PC)、その他の電子機器、記憶装置などと接続可能な接続端子が設けられていてもよい(不図示)。
さらにまた、情報表示を実行する時に必要な電源供給は、制御装置部DAの少なくとも上記電子回路部を覆う筐体にシート電池やコイン型電池などの電源を搭載して制御装置部DAと接続させたり、筐体に設けた制御装置部DAと接続した接続端子に外部電源を接続させたりして行うことができる。
【0032】
図4は、複数の電子ペーパー部EPと、その電子ペーパー部EPの表示素子を駆動するための制御信号を形成して送信する制御装置部DAを一つ備えた本発明に係る電子ペーパー装置の他の例を説明するために示した図である。図4で示す形態例は、図3で示す形態例の変形例であり、2枚の電子ペーパー部EP−1、EP−2と1個の制御装置部DAとで構成した電子ペーパー装置である。なお、重複する説明を避けるため、図3で示した部位と同様の部位には、同じ符号している。
図4(a)は一方の電子ペーパー部EP−1の平面図であり、図4(b)は図4(a)におけるA−A断面図、そして、図4(c)は制御装置部DAに、電子ペーパー部EP−1と電子ペーパーEP−2とを組み付けて、電子ペーパー装置とする様子を示した図である。
図4(a)〜(c)に示す例において図3(a)〜(c)に示す例と異なる点は、図4(a)〜(c)に示す例においては、図3(a)〜(c)に示す例における基板1上の表示部領域AR−1に隣接する領域SAに背面側基板が配置されないようにした点である。図4(a)〜(c)に示す例では、図3(a)〜(c)に示す例と同様の作用・効果を得ることができるほか、二つの表示部の表面を揃えて同じ高さにする効果を得ることができる。
【0033】
図5に示す例は、(2×3)配置による6枚の電子ペーパー部EPで6個の表示部を平面状に形成する場合を示している。ここでは、制御装置部DAの図示は省略しているが、電子ペーパー部EP−1〜EP−6の積層状となっている接続端子部に、図示しない制御装置部DAの接続端子部が図3の場合と同様に接続される。
図5で示す場合では、例えば電子ペーパー部EP−1の接続端子部12−1、EP−2の接続端子部12−2、・・・・・EP−6の接続端子部12−6というように接続端子部を順に重ねて各電子ペーパー部を配置したときに、それぞれの表示部が互いに重ならないように配置される。
ここでは各電子ペーパー部の非導通構造として切欠部を採用し、この切欠部を1個備えた電子ペーパー部とし、接続端子部12−1〜12−6に設ける切欠部13−1〜13−6は互いに異なる位置となるように設定してある。
なお、図3、図4、図5における電子ペーパー部の個数、大きさは一例示である。任意の個数、任意の(n×m)個による複数の電子ペーパー部で複数の表示部を、任意の位置に配置するように設計してもよい。表示部を隣接させる必要もなく、目的に合わせて隣接配置させたり、離して配置したりできる。また、表示部領域ARを同じ大きさや同じ形状にする必要はなく、異なる大きさや異なる形状の組合せとしてもよい。
【0034】
図6は、接続線配置領域11および接続端子部12をフレキシブル回路基板(以下、FPC)側に設けた変形例である。2枚の電子ペーパー部EP−1、EP−2とした場合について示している。図6で示す電子ペーパー部EP−1、EP−2では基本構造部分である表示部領域AR−1、表示部領域AR−2をそれぞれ同じに形成してある。そして、電子ペーパー部EP−1、EP−2の背面側基板に引き回された表示用電極との接続線に、フレキシブル配線基板(以下、FPC)が異方性導電膜(以下、ACF)で電気的に接続された1辺側において、ドライバーICが搭載されたテープキャリアパッケージ(TCP)がACFで電気的に接続実装されている。(TCPは不図示)他の構成は、図3と同様である。
図6で示す例の場合、複数準備する電子ペーパー部の表示部を共通に作製し、ドライバーIC(駆動回路)は量産されているTCPとして実装し、表示部の表示用電極から引き出される接続線が形成される部分であって、各電子ペーパー部において形状が異なる部分を樹脂製基板であるFPCとし、接続端子部をTCPに形成するので製造コストを低減できる。
ここでは各電子ペーパー部の非導通構造として切欠部を採用し、この切欠部を1個備えた電子ペーパー部とし、接続端子部12−1、12−2に設ける切欠部13−1、13−2は互いに異なる位置となるように設定してある。
【0035】
図7は、駆動回路(ドライバーIC)14、接続線(不図示)および接続端子部12をFPCに設け、このFPCを電子ペーパー部の表示部にACFで接続実装している。同じ形態の表示部に、同じ形態のFPCを実装した同じ形態の電子ペーパー部EP−1、EP−2を左右逆にして制御装置部と接続した変形例を示している。図7で示す例の場合、複数準備する電子ペーパー部は全てが同じ形態となるので更にコストを低減できる。接続端子部12−1、12−2に設ける切欠部13−1、13−2は、電子ペーパー部EP−1、EP−2としては同じ位置に形成されているが、制御装置部への接続時に切欠部13−1、13−2は左右逆になるので、制御装置部の接続端子部(凸状接続端子部)32の配列において異なる位置に配列してある接続端子32と接続される。すなわち、電子ペーパー部EP−1が制御装置部に接続されたときに形成される非導通構造(切欠部)の位置と、電子ペーパー部EP−2が制御装置部に接続されたときに形成される非導通構造(切欠部)の位置とは異なることになる。これによって、後述する判定回路による電子ペーパー部EP−1、EP−2の識別が可能となる。
【0036】
ここで、前掲図3〜図7で説明した電子ペーパー部の接続端子部12の好ましい端子構造、そして、この接続端子部12と接続される制御装置部DAの接続端子部32の好ましい端子構造について説明する。
更に、図8及び図9を参照する。図8は電子ペーパー部EPについて示しており背面側基板1に制御装置部DAとの接続端子部12を設けた場合の具体例である。図8(a)はその平面図、図8(b)は図8(a)におけるB−B断面図、そして図8(c)は図8(b)におけるCR部内を拡大して示す図である。また図9は電子ペーパー部EPと制御装置部DAとを接続させて装着した場合の概略構造について示しており、図9(a)は装着前の様子を示した平面視図、そして、図9(b)は導通する接続部分の様子を模式的に示した図であり、図9(c)は導通しない部分(非導通構造部分)となる接続部分の様子を模式的に示した図である。
【0037】
電子ペーパー部の接続端子部12は孔状に形成した接続端子(孔状のコネクター12a)の集合として構成するのが好ましい。孔状接続端子部12は、電子ペーパー部での背面側の絶縁性樹脂基板1や、FPCやTCPに形成することができる。この孔状接続端子部において孔内側に露出する露出電極(図8(c)の符号21参照)は、可撓性、弾力性を有している導電膜とすることが好ましい。このような導電膜としては、銅メッキ膜、スパッタリングで形成したニッケル薄膜やこれらを組合せた導電膜が挙げられ、0.05μm〜50μm程度の厚さにすれば、良好な導電性と可撓性、弾力性を示すので好適である。
その他、例えば片面銅箔樹脂フィルムを背面側樹脂基板1として用意し、その銅箔側をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、フィルムと接続電極パターン部分を残して他の銅箔部分をエッチング除去し、次に、フィルムの反対側から例えばレーザ光を照射して銅箔部分の直下に貫通孔1hlを形成し、最後に銅箔側表面のうち小孔を形成すべき箇所以外をマスキングして銅箔をエッチング処理して貫通孔と連通する小孔を形成する。樹脂フィルムをエッチングする方法に、酸素リアクティブイオンエッチング(酸素RIE)を採用すれば、銅箔をエッチングすることなく樹脂フィルムだけをエッチングできるので好ましい。
【0038】
なお、図9(a)で、孔状接続端子部12に接続する帯状の部分(ハッチングした12ep)が接続線となる導電膜であり、前述した切欠部13となる位置で接続線となる導電膜12epが切断されている様子が示されている。前述したように切欠部13は、電気的に非導通とする構成の一例であり、他の非導通構造に変更してもよい。
制御装置部DAから電子ペーパー部EPに送信される制御信号は、表示素子の駆動を制御するための信号のほかに、どの電子ペーパー部EPの表示素子を駆動させるのかを識別するための識別信号を含む。そして、ここで示している複数の孔状接続端子部12、接続線となる導電膜12ep、そして切欠部13が配置されている領域が、電子ペーパー部EPにおける制御信号受信部113となる。
【0039】
なお、上記孔状接続端子部は、背面側基板の他方の表面にも導電膜が形成され、かつ、上下面の導電膜のそれぞれは貫通孔の上下端部に一部張り出している構造としてもよい。また、背面側基板の上面と下面に導電膜を形成し、貫通孔の壁面にも例えば貴金属の無電解メッキで導電膜を配置した構造にすることもできる。背面側基板の両側に導電膜を形成したものは、導通接続の信頼性が高くなるので好適である。また、貫通孔の壁面に耐食性の貴金属メッキ膜があるとさらに導通接続の信頼性が高くなるので好適である。
また、上記孔状接続端子部は、貫通孔の内部に露出した導電膜(露出電極)に小孔が設けられた構造であってもよい。この場合、導電膜(露出電極)に形成する小孔の平面視形状は、後述する制御装置部DA側の接続端子部32を構成する凸状に形成した挿入型接続端子(凸状のコネクター32a)を受け入れることができる形状であればよく、例えば、貫通孔1hlより小径の円形孔、十文字形状をしたスリット孔(図8(c)の符号21参照)、円形孔と十文字スリット孔を組合せた孔、円形孔と三方スリット孔を組合せた孔、複数のスリット孔を星型に集合させた孔、星型の孔などをあげることができる。これら小孔のうちスリット孔は、凸状のコネクター32aを挿入したときに、スリット孔周辺部が撓んで導電膜が凸状のコネクター32(図9参照)の導電性部分に確実に接触して信頼性の高い導通接続ができる点で好適である。
【0040】
上記のように電子ペーパー部の接続端子部に形成される孔状接続端子部(孔状のコネクター12a)に対して、制御装置部DA側に設けるのは挿入型接続端子(凸状のコネクター32a)とする。この凸状の挿入型接続端子部となる導電性突起は、孔状接続端子部に挿入されたときに、孔内側に露出している導電膜21と確実に接触して導通がとれる形状であればよい。
なお、導電性突起の断面形状も格別限定されるものではないが、例えば、四角形、三角形、多角形、円形などの形状が挙げられ、孔状接続端子部の孔形状に対して嵌合しやすい断面形状にすることが好ましい。
また、挿入型接続端子となる導電性突起は、導電性突起全体を銅、ニッケル、金、パラジウム、ロジウム、銀などで形成したり、樹脂製突起の表面全体に、例えばニッケル、金、白金、ロジウム、パラジウム、銀、錫、はんだなどをメッキして、表面の導電性を得るとともに、表面を硬質にしたりする。また、カーボンや鉄などを含む導電性塗料を塗布して導電性突起の表面全体に導電膜を形成することも有効な方法である。
【0041】
上記のように電子ペーパー部の孔状接続端子部12と、これに対応する制御装置部DA側の凸状の挿入型接続端子部32とによって電子ペーパー装置の接続構造が形成されるものであるが、前述したように、各電子ペーパー部側の接続端子部には、少なくとも一つの非導通構造を形成することにより、その非導通構造の配置位置と配置個数との組み合わせでそれぞれ異なる配置パターンが決められる。そして、この配置パターンは、各電子ペーパー部すべてで異なるものとする。これにより、制御装置部DA側に設けた凸状挿入型接続端子に対して、各電子ペーパーがそれぞれ異なった接続構造を形成することになる。その結果、電子ペーパー部に形成された判定回路では、当該判定回路に含まれる前記配置パターンが電子ペーパー部を特定する識別情報として認識される。
図9(a)では、駆動回路(ドライバーIC)14の入力側のチップセレクト用ラインに繋がる接続線に設ける非導通構造を切欠部13として1個設定した電子ペーパー部を示している。図9(b)は切欠部13を設定した接続端子部以外の部分で、孔状のコネクター12aと凸状のコネクター32aとが互いに接触して導通する様子を示している。図9(c)は切欠部13を設定した接続端子部で凸状のコネクター32cが接触せず(絶縁されて)非導通である様子を示している。
【0042】
なお、図9(a)で例示する構造では、孔状のコネクター12aと凸状のコネクター32(32a、32c)とを接続した後における補強用に、電子ペーパー部EPの接続端子部12の両側に補助孔15が設けてある。また、これに対応して制御装置部DAの接続端子部32の両側に補助突起35が設けてある。このような補強構造を採用すれば、接続後の構造を安定に維持できるので好ましい。
ところで、図10では導通部分12b、12d、12f、12h、12j、12lを介して制御装置部DAからの制御信号に含まれる識別信号を受信する。判定回路16は、電子ペーパー部EPに配置してあり、この判定回路16に含まれる導通構造および非導通構造(図10では切欠部13)それぞれの配置位置と配置個数とで決められる配置パターンによる電子ペーパー部を識別するための識別情報と、制御装置部から受信した識別信号とを比較して、当該電子ペーパー部の表示部の情報を書換えると判定した場合に、駆動回路からのアウトプットが有効になって、情報が書き換えられる。これら判定回路16、駆動回路14については下記で詳細に説明する。
【0043】
また、図9(a)は制御装置部DAの凸状のコネクター32aと、電子ペーパー部EP側の孔状のコネクター12a及び切欠部13との位置関係が理解し易いように示したものである。本願発明における実際の形態は、複数の電子ペーパー部EPの接続端子部12が積層状態となる。そして、この積層状態にある接続端子部12を貫通するように制御装置部DA側の接続端子部32、例えば、凸状のコネクター32aが設定される。
そして、前述したように複数の電子ペーパー部EPの接続端子部12には互いに異なる配置パターンで非導通構造(例えば、切欠部13)が設定してあるので(図3(c)参照)、接続端子部32を構成する複数の凸状コネクター32aとの接続状態が複数の電子ペーパー部EPそれぞれで異なる。
【0044】
電子ペーパー部と制御装置部の接続端子部は、それぞれの電子ペーパー部の1辺に、そして制御装置部の基板の1辺に整列配置してある。配置する個数は、導通接続を行なう端子数となり、電子ペーパー部では後述する判定回路16および駆動回路14から引き出されたチップセレクト線以外の駆動回路14入力側の接続線数に応じた個数となる。なお、駆動回路14はドライバーICとも呼ばれるICチップであり、本発明ではドライバー機能とともにドライバー機能を無効にする機能とを少なくとも含んで構成されている回路である。
【0045】
次に、判定回路16の回路構成および判定方法について説明する。
図10は、電子ペーパー部EP側に設けられる判定回路16の回路構成を説明する回路図である。図10には、識別信号を含む制御信号を送信するCPU及び、切欠部13として示した非導通構造部分、制御装置部DA側および電子ペーパー部EP側の導通構造の近傍の一部が示されている。図11は、電子ペーパー部EP側に配置される駆動回路14a〜14cと、駆動回路14a〜14cに接続される接続線を説明する図である。
【0046】
電子ペーパー部EP側の判定回路16を構成する導通構造は、識別信号受信部として形成され、図10では接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lである。この接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lは、制御装置部DA側の接続端子部のうち接続端子部32b、32d、32f、32h、32j、32lと電気的に接続される。電子ペーパー部EP側の識別信号受信部以外の接続端子部12a、12c、12e、12g、12i、12kは、制御装置部DA側の接続端子部32a、32c、32e、32g、32i、32kと電気的に接続される。この接続端子部12a、12c、12e、12g、12i、12kの少なくとも一つ(ここでは接続端子部12c)に、制御装置部DA側と電気的に接続されない非導通構造(ここでは切欠部13としている)を設ける。
【0047】
図10に示す電子ペーパー部では、他の電子ペーパー部において接続端子部12cとなる部分を切欠部13として非導通構造を形成することによって、1個の非導通構造と5個の導通構造との配置パターンを構成して、当該電子ペーパー部の識別情報としている。このように識別信号受信部となる接続端子部以外の接続端子部を6個、判定回路16に設けた構成の電子ペーパー部においては、前記6個の接続端子部に1個から6個まで非導通構造を設けることができ、〔26−1〕通りの配置パターンを得ることができる。
【0048】
なお、非導通構造は、1つの電子ペーパー部において、1個設けてもよいし、複数個設けてもよい。また、複数の電子ペーパー部のうち1つの電子ペーパー部は、非導通構造が設けられていなくもよい。すなわち、複数の電子ペーパー部において、非導通構造の配置パターンが互いに異なるように構成されていればよい。
識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部と、非導通構造を設ける接続部とはペアとなって配置される。非導通構造は1個でも複数個でもよく、配置個数と配置位置との組み合わせによって複数の配置パターンが形成される。識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部と、それ以外の導通接続部とのペアがN個ある判定回路では、〔2N(2のN乗)−1〕個の配置パターンが形成できる。
識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部は、電子ペーパー装置において用いる電子ペーパー部の枚数に応じてその数を決めることができる。図10では、識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部を6個としているので、このような電子ペーパー部を用いる電子ペーパー装置では、最大で26枚(64枚)の電子ペーパー部を用いることができることになる。
ところで、識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部の数が増えればそれだけ接続線の数が増え、接続線を配線する領域が必要となり、電子ペーパー部の表示部以外の領域が大きくなってしまうことになる。したがって、識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部の数は、実際の電子ペーパー装置に適した最小限にすることが好ましい。識別信号受信部となる導通構造を設ける接続部の数は、電子ペーパー部が2枚の場合であれば1個とし、3枚〜4枚の場合であれば2個とし、5枚〜8枚の場合であれば3個とし、9枚〜16枚の場合であれば4個とする。
【0049】
また、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12l、識別信号受信部以外の接続端子部12a、12c、12e、12g、12i、12kは、例えば図10に示すように形成される。図10では、接続端子部12cに非導通構造(切欠部13)を形成している。また、図10では、XNOR回路311、NAND回路312を論理回路として備えた判定回路16を構成して、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lを介して受信した識別信号と、当該電子ペーパー部における非導通構造と導通構造との配置パターンで決められた識別情報とを比較して一致するか一致しないかを判定し、判定結果に応じて当該電子ペーパー部が備える駆動回路14a〜14eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)を有効にしたり無効にしたりできるように駆動回路14a〜14eと電気的に接続されるように構成されている。
【0050】
判定回路16の出力線は分岐されており、駆動回路14a〜14eの各々に接続されている。ここでは、駆動回路14a〜14eのチップセレクト用ライン320a〜320eに接続している。
【0051】
次いで、図12に基づいて、判定回路の具体的な判定態様、及び制御装置部が複数の電子ペーパー部に情報を表示する処理について説明する。図12は、図5に一例として示した、制御装置部が6数の電子ペーパー部に情報を表示する処理を説明するフローチャートである。以下に示す具体例では、1つの制御装置部に6枚の電子ペーパー部が装着されており、#2画面にあたる#2電子ペーパー部の表示部にデータ(情報)を描画して表示する。よって、制御装置部のCPUから#2電子ペーパー部を識別するための識別信号を含んだ制御信号を送信し、#2電子ペーパー部の表示部に描画データ信号に基づく画像を表示させる。
【0052】
ステップ1において、制御装置部は、制御信号を電子ペーパー部に対して送信する。具体的には、制御装置部の接続端子部および電子ペーパー部の接続端子部を介して、#2電子ペーパー部EP−2の表示部に所望の情報を表示させるための制御信号(#2電子ペーパー部を識別するための識別信号を含む制御信号)を、#2電子ペーパー部を含むすべての電子ペーパー部に対して送信する。
【0053】
ステップ21において、#2電子ペーパー部を含むすべての電子ペーパー部は、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lで受信した識別信号と、導通構造である接続端子部12a、12c、12e、12g、12h、12kの少なくとも一つに設けた非導通構造(切欠部13)の配置位置と配置個数とによる配置パターンで決まる電子ペーパー部の識別情報と、を比較して一致しているか一致していないかを判定する。
【0054】
具体的には、制御装置部のCPUから電子ペーパー部側の判定回路16に、#2電子ペーパー部の表示部に表示すべき描画データ信号であることを識別するための識別信号(例えば、「010000」)が6枚全ての電子ペーパー部EP−1〜EP−6に対して送信される。#2電子ペーパー部EP−2(図10に示した構成の電子ペーパー部)は、識別信号受信部としての接続端子部12b、12f、12h、12j、12lの出力が「0」となる。一方、識別信号受信部としての接続端子部12dの出力が「1」となる。また、接続端子部12a、12e、12g、12i、12kの出力は、接続端子部32a、32e、32g、32i、32kを介して接地されて、「0」となる。一方、切欠部13が形成された接続端子部12cは、接地されないため「1」が出力される。よって、#2電子ペーパー部EP−2では、判定回路16のXNOR回路311の出力側の真理値は、「111111」となる。全てのXNOR回路311の出力が「1」となり、NAND回路312の出力は「0」となる。すなわち、#2電子ペーパー部EP−2の識別情報と識別信号とが一致する(ステップ21:YES)。
【0055】
よって、判定回路16のスイッチ17がオフ(OFF)となって(ステップ31)、駆動回路14a〜14eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)が有効となり(ステップ41)、CPUからの出力信号を受信した際に、駆動回路14a〜14eから電子ペーパー部の表示部へ描画データが出力される(ステップ51)。よって、#2電子ペーパー部の表示部において情報の書き換えが実行される(ステップ61)。
【0056】
一方、他の電子ペーパー部の表示部、例えば、#1電子ペーパー部EP−1の表示部は、接続端子部12aに対応する部分(図10参照)に切り欠きが形成されている。ステップ1において、制御装置部が、#1電子ペーパー部EP−1に対して#2電子ペーパー部を識別するための識別信号を含む制御信号(#2電子ペーパーEP−2の表示部を書換えるための描画データ信号)を送信すると、#1電子ペーパー部EP−1は、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lで受信した識別信号と、導通構造である接続端子部12a、12c、12e、12g、12h、12kの少なくとも一つに設けた非導通構造(切欠部13)の配置位置と配置個数とによる配置パターンで決まる電子ペーパー部の識別情報と、を比較して一致しているか一致していないかを判定する。
【0057】
具体的には、制御装置部の接続端子部32b、32d、32f、32h、32j、32lから#1電子ペーパー部EP−1の判定回路16に、#2電子ペーパー部EP−2に表示すべき描画データであることを識別するための識別信号(例えば、「010000」)が送信される。
【0058】
#1電子ペーパー部EP−1の識別信号受信部としての接続端子部12d、12f、12h、12j、12lの出力は、「0」となる。一方、識別信号受信部としての接続端子部12bの出力は、「1」となる。また、接続端子部12c、12e、12g、12i、12kの出力は、接続端子部32c、32e、32g、32i、32kを介して接地されて、「0」となる。一方、切欠部13が形成された接続端子部12a部分は、接地されないため「1」が出力される。よって、#1電子ペーパー部EP−1では、判定回路16のXNOR回路311の出力側の真理値は、「001111」となる。全てのXNOR回路311の出力が「1」とならないため、NAND回路312の出力は「1」となる。すなわち、#1電子ペーパー部EP−1の識別情報と識別信号とが一致しない(ステップ21:NO)。
【0059】
よって、判定回路16のスイッチ17がオン(ON)となって(ステップ32)、駆動回路14a〜14eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)が無効となり(ステップ42)、CPUからの出力信号を受信しても、駆動回路14a〜14eから、#1電子ペーパー部EP−1の表示部へ描画データが出力されない(ステップ52)。よって、#1電子ペーパー部EP−1(#2電子ペーパー部以外の他の電子ペーパー部EP−3〜EP−6も同様)の書き換えが実行されない(ステップ62)。
【0060】
なお、ここでは、#1電子ペーパー部EP−1を例に挙げて説明しているが、他の電子ペーパー部EP−3〜EP−6についても、#1電子ペーパー部EP−1同様に、入力された識別信号と、判定回路16を構成している導通構造および非導通構造の配置位置と配置個数で決められる配置パターンに基づく識別情報とが一致せず、書き換えが実行されない。
【0061】
このように、電子ペーパー装置では、識別信号受信部としての接続端子部12b、12d、12f、12h、12j、12lで受信した識別信号と、非導通構造(切欠部13)と導通構造のいずれかが形成される接続端子部12a、12c、12e、12g、12h、12kとにおいて、導通構造および非導通構造の配置位置と配置個数で決められる配置パターンに基づく識別情報とを比較して一致しているか一致していないかを判定する判定回路16を、複数の各電子ペーパー部が備えており、識別信号と識別情報とが一致した電子ペーパー部の表示部に、当該電子ペーパー部が備える駆動回路14a〜14eから制御信号(描画データ)が出力される。これにより、制御装置部から送信された識別信号に一致した電子ペーパー部の表示部にだけ、この識別信号を含んだ制御信号に基づいた所定の描画データ(表示させたい情報)が表示される。
【0062】
また、上記本発明の実施形態で示した判定回路の構成は一例である。上記実施形態では非導通構造(切欠部)の配置パターンと、CPUの各端子からの入力とをXNOR論理回路で比較しているが、例えば、CPU端子からの入力を一度シフトレジスタで受ける方法等も考えられる。このように、非導通構造(切欠部)の配置パターンとして与えられる情報と、制御装置部から送信される識別信号による情報を比較して、一致しているか一致していないかを検出して判定する回路は、本発明の実施形態に記載した論理回路(XNOR、NAND)に限定されるものではなく、他の論理回路やメモリー回路など一般的に用いられる電子回路とすることもできる。非導通構造(切欠部)の配置パターンと、電子回路とを組み合せて判定回路を構成したことに本発明の特徴がある。
【0063】
以上で説明した構成を備える電子ペーパー装置は、1つの制御装置部だけで複数の電子ペーパー部の表示部の書換えを、当該表示書換えを実行したい電子ペーパー部を選択して行うことができる。よって、本願発明によると、製品構造を複雑にしたり、コストアップを招来させたりすることなく、簡易な構成で大きな画像、或いは、複数の情報を任意に選択した電子ペーパー部の表示部に表示させて、表示させた情報を一望かつ同時に見ることができる電子ペーパー装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の対象となる電子ペーパー装置は、一つの制御装置部に、情報を表示する表示部(表示画面)となる電子ペーパー部を複数装着して構成される。各電子ペーパー部の表示部の表示書換えは個別になされる。各電子ペーパー部の表示部に配置した表示素子は表示メモリー性を有するので、書換えの処理をしない間は、その表示が維持される。よって、例えば4枚の電子ペーパー部で表示部(表示画面)を構成した場合に、4個の表示部(4画面)それぞれで異なる情報を表示してもよいし、同じ情報を4個の表示部(4画面)に表示してもよい、更には4個の表示部(4画面)で1つ情報(例えば、1枚の絵画)を大きく表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 背面側基板
2 観察側基板
3W、3B 表示媒体(粒子群)
4 隔壁
7 セル
12 電子ペーパー部の接続端子部
13 切欠部(非導通構造)
14 駆動回路
16 判定回路
32 制御装置部の接続端子部
EP 電子ペーパー部
DA 制御装置部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な領域を備える2枚の基板を対向配置させて形成したギャップ空間に、対向する表示用電極対および該表示用電極対間に配置された、電気的に駆動できる表示媒体で構成された、表示メモリー性を有する表示素子が配置された表示部と、
前記表示素子を駆動する駆動回路と、を備える複数の電子ペーパー部と、
前記表示素子を駆動させるための制御信号を送信して前記表示部に表示する情報を書き換える制御装置部とを含んで構成した電子ペーパー装置であって、
前記電子ペーパー部は、前記制御装置部と接続される接続端子部および前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線の少なくとも一つに非導通構造を備えるとともに、前記非導通構造の配置位置および配置個数で決められる配置パターンが、各電子ペーパー部において互いに異なっており、
前記複数の電子ペーパー部と前記一つの制御装置部との接続が、前記複数の電子ペーパー部の各接続端子部を互いに積層する形態でなされたときに、各電子ペーパー部の前記表示部が互いに重ならないように構成されており、
前記非導通構造を含むとともに、前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線によって構成される判定回路によって、
前記制御装置部から受信した、前記制御信号に対応した電子ペーパー部の表示素子を駆動するように構成されている、
ことを特徴とする電子ペーパー装置。
【請求項2】
前記電子ペーパー部の表示部の平面視形状は、矩形状であり、前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿った端部領域に整列形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部であると共に、前記制御装置部の接続端子部は、前記孔状コネクター部に挿入接続可能な複数の凸状のコネクターを、前記制御装置部において整列形成した凸状コネクター部とされ、
前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー装置。
【請求項3】
前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた切欠部である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子ペーパー装置。
【請求項4】
前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿って実装されたフレキシブル配線基板に形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記フレキシブル配線基板の端部領域に整列形成された孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子ペーパー装置。
【請求項1】
少なくとも一方が透明な領域を備える2枚の基板を対向配置させて形成したギャップ空間に、対向する表示用電極対および該表示用電極対間に配置された、電気的に駆動できる表示媒体で構成された、表示メモリー性を有する表示素子が配置された表示部と、
前記表示素子を駆動する駆動回路と、を備える複数の電子ペーパー部と、
前記表示素子を駆動させるための制御信号を送信して前記表示部に表示する情報を書き換える制御装置部とを含んで構成した電子ペーパー装置であって、
前記電子ペーパー部は、前記制御装置部と接続される接続端子部および前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線の少なくとも一つに非導通構造を備えるとともに、前記非導通構造の配置位置および配置個数で決められる配置パターンが、各電子ペーパー部において互いに異なっており、
前記複数の電子ペーパー部と前記一つの制御装置部との接続が、前記複数の電子ペーパー部の各接続端子部を互いに積層する形態でなされたときに、各電子ペーパー部の前記表示部が互いに重ならないように構成されており、
前記非導通構造を含むとともに、前記接続端子部と前記駆動回路との間の複数の接続線によって構成される判定回路によって、
前記制御装置部から受信した、前記制御信号に対応した電子ペーパー部の表示素子を駆動するように構成されている、
ことを特徴とする電子ペーパー装置。
【請求項2】
前記電子ペーパー部の表示部の平面視形状は、矩形状であり、前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿った端部領域に整列形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部であると共に、前記制御装置部の接続端子部は、前記孔状コネクター部に挿入接続可能な複数の凸状のコネクターを、前記制御装置部において整列形成した凸状コネクター部とされ、
前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー装置。
【請求項3】
前記非導通構造が、前記凸状のコネクターとの電気的な接続を絶縁するように、電子ペーパー部の前記接続端子部に設けられた切欠部である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子ペーパー装置。
【請求項4】
前記駆動回路および前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記電子ペーパー部の1辺に沿って実装されたフレキシブル配線基板に形成され、前記電子ペーパー部の接続端子部は、前記フレキシブル配線基板の端部領域に整列形成された孔状のコネクターを複数含む孔状コネクター部である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子ペーパー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−19999(P2013−19999A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151909(P2011−151909)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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