電子マネーシステムおよび電子マネー処理装置の管理サーバ
【課題】電子マネー処理装置を搭載した自動販売機等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供する。
【解決手段】電子マネー処理装置と管理サーバ10との間で携帯電話通信網などの無線通信が絶たれている場合には、通信感度情報受信手段15bは、電子マネー処理装置の通信感度情報送信手段により送信される通信感度情報を受信する。通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定する。通信開始時刻決定手段11aにより新たな発呼時間が決定されると、発呼時間テーブル13bには、対象の電子マネー処理装置に対応付けてこの新しい通信開始時刻が記憶される。そして、通信開始時刻送信手段15aは、対象の電子マネー処理装置に新たな発呼時間を送信する。
【解決手段】電子マネー処理装置と管理サーバ10との間で携帯電話通信網などの無線通信が絶たれている場合には、通信感度情報受信手段15bは、電子マネー処理装置の通信感度情報送信手段により送信される通信感度情報を受信する。通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定する。通信開始時刻決定手段11aにより新たな発呼時間が決定されると、発呼時間テーブル13bには、対象の電子マネー処理装置に対応付けてこの新しい通信開始時刻が記憶される。そして、通信開始時刻送信手段15aは、対象の電子マネー処理装置に新たな発呼時間を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカード等を利用して電子マネーの決済を行う電子マネーシステム、および電子マネー処理装置の決済処理を管理する管理サーバに関し、より具体的には、電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる電子マネーシステムおよび電子マネー処理装置の管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子マネーを記憶した非接触ICカードや携帯電話機等の電子マネー媒体が急速に普及してきている。この電子マネー媒体を利用して電子的に決済を行う電子マネー処理装置は、例えば、自動販売機に搭載されている(例えば、特許文献1参照)。電子マネーには、例えば、Edy(登録商標)やSuica(登録商標)等の複数の種類があり、電子マネーの種類毎に異なる電子マネー事業者が管理・運営をしている。
【0003】
このような自動販売機に搭載された電子マネー処理装置は、一般に、自動販売機を管理する管理会社が運用する管理サーバと通信ネットワークを介して接続され、管理、維持、運営されている。
【0004】
ここで、自動販売機に搭載された電子マネー処理装置は、所定のタイミングで行われる通信(以下、「定時通信」という)により管理サーバと通信を行い、電子マネー処理装置から管理サーバへ電子マネー決済による決済処理情報を送信している。また、管理サーバから電子マネー処理装置には、ネガ情報(電子マネー決済を許可しない電子マネー媒体を特定するための情報であって、電子マネー決済を許可しない電子マネー媒体の識別情報からなる。)等が送信される。
【0005】
自動販売機は、様々な場所(ロケーション)に設置されるものであり、電子マネー処理装置がインターネットなどの通信ネットワークに直接的に接続できない場合もある。そのため、携帯電話通信網などの無線通信を用いて、管理サーバと電子マネー処理装置との間で定時通信が行われている。
【0006】
管理サーバは、上記の電子マネー事業者が運用する電子マネー事業者サーバに通信回線を介して接続されており、各電子マネー処理装置から取得した電子マネーによる決済処理情報を一括して電子マネー事業者サーバに送信する資金決済処理等を行っている。
【0007】
各電子マネー処理装置と管理サーバとの間の定時通信は、管理サーバから電子マネー処理装置への発呼に基づいて開始される。この発呼する時間(以下、「発呼時間」という)は、通常、他の自動販売機に搭載された電子マネー処理装置との定時通信に支障を生じない時間に決定して設定される。言い換えると、発呼時間は、数千、数万の自動販売機に搭載された電子マネー処理装置に対する管理サーバからの発呼時間が極力が偏重しないように決定されるものである。この発呼時間の設定作業は、電子マネー処理装置を搭載した自動販売機の設置時に設置作業員(サービスマン)もしくは管理サーバの管理者等により手動で、あるいは、管理サーバにより自動的に行われる。
【0008】
ここで、電子マネー処理装置への発呼時間が自動販売機の設置時に決定されると、決定された発呼時間は管理サーバにより記憶されるとともに、その後変更されることはない。自動販売機の設置後、何らかの要因で、決定した発呼時間を含む所定時間帯において通信ができなくなる状況が起こる可能性がある。例えば、店舗内に設置されている自動販売機に搭載された電子マネー処理装置において、閉店時間以降(店舗の閉まっているとき)に発呼時間が設定されてしまった場合には、店舗のシャッタが閉まることで電波状態が悪くなり、通信不能となることがある。また、屋外に設置された自動販売機に搭載された電子マネー処理装置の場合、周囲の新規建設等による電波状態の変化や、気象状況や季節による電波状態の変化などに起因して発呼時間の通信ができなくなることがある。
【0009】
また、オフィス等に設置された自動販売機に搭載された電子マネー処理装置の場合には、夜間などにオフィス全体の電源がオフされたことによって電子マネー処理装置の電源が発呼時間に落ちているために通信不能となる場合がある。このような場合には、管理サーバからの発呼による電子マネーの決済処理情報の収集や電子マネーのネガ情報の更新ための定時通信が失敗してしまう可能性がある。
【0010】
従来の電子マネーシステムでは、発呼時間における定時通信が失敗すると、例えば設定された上限回数に到達するまで何度でも発呼のリトライを行い、上限回数に到達するとこの定時通信を停止していた。その場合、電子マネーによる決済処理情報の収集や電子マネーのネガ情報の更新ができないので、以下のような問題が発生し得る:
(1)自動販売機における電子マネーの売上に対する資金決済ができなくなる。
(2)自動販売機に搭載された電子マネー処理装置に記憶されているネガ情報が更新されない場合には、電子マネーの種類によっては当該電子マネーが使用できなくなる。
(3)管理サーバにより収集されない電子マネー処理装置内に保存された売上情報が、ある一定件数まで蓄積してしまうと、電子マネー処理装置の仕様によっては、すべての電子マネーによる販売サービスが停止されてしまう。
【0011】
このように、電子マネー処理装置と管理サーバとの間の定時通信ができない場合には、顧客(電子マネー決済によって商品を購入しようとする顧客)に対して安定的に電子マネー決済のサービスを提供することができなくなる。
【0012】
したがって、現状では、例えば、管理サーバの管理者が上記のような定時通信の履歴を監視し、あるいは、自動販売機に商品を補充するサービスマンが電子マネー処理装置における通信履歴を確認することにより、定時通信が失敗していたことを確認した場合には、必要に応じて、管理者が発呼時間を変更する設定作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−30393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のように、発呼時間を変更する場合には、変更の前に、管理サーバの管理者または自動販売機のサービスマン等によって定時通信が可能な時間帯を調査し、定時通信が可能な時間帯における適当な時間を発呼時間として決定する作業が生じていた。このため、多大なる時間と労力を必要とするという問題があった。例えば、自動販売機の電源がオフされていた場合や、建物のシャッタの閉止などによる電波状態の変化については、サービスマンによる設置先の現地調査により、あるいは、設置場所における自動販売機のオーナーからの情報収集等により、通信不能の原因を把握・特定して、通信が良好に行える時間帯を明らかにすることができるかもしれない。
【0015】
しかし、その他の要因による電波状態の変化については、サービスマンや管理者には通信不能の原因を把握・特定しにくいので、最適な通信時間帯を求めることが困難であり、定時通信が連続的に失敗するようなすべての事象に対する解決策は見出されていない。
【0016】
また、自動販売機付近の電波状態や自動販売機の周辺環境(気象状況など)は日々変化するものであり、サービスマンや管理者が自動販売機の電子マネー処理装置の定時通信の可否を常に監視するというのでは、あまりにも時間と労力が掛かりすぎてしまい、問題の解決策としては全く現実的ではないという問題もある。
【0017】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、必要な場合には良好な通信が可能な発呼時間を決定することにより、電子マネー処理装置を搭載した自動販売機等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる電子マネーシステムおよびその電子マネー処理装置の管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態における電子マネーシステムは、複数の電子マネー処理装置と、複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
各電子マネー処理装置は、電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、通信感度測定手段により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、通信感度情報記憶手段に記憶されている通信感度情報に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、通信最適時間帯決定手段により決定された最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段とを備え、
管理サーバは、電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻を対応する電子マネー処理装置に送信する通信開始時刻送信手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段とを備え、
各電子マネー処理装置は、通信開始時刻送信手段により送信された自己に関する通信開始時刻を受信する通信開始時刻受信手段と、通信開始時刻受信手段により受信された通信開始時刻を記憶する装置通信開始時刻記憶手段と、装置通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に管理サーバからの通信を受けたか否かを判断する装置通信判断手段と、装置通信判断手段により管理サーバからの通信を受けていないと判断した場合には、通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯に、通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信する通信感度情報送信手段とをさらに備え、
管理サーバは、いずれかの電子マネー処理装置から通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段をさらに備え、
管理サーバでは、通信感度情報受信手段により通信感度情報が受信されると、通信開始時刻決定手段は、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻が決定されると、通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を対応する電子マネー処理装置に対応付けて記憶し、通信開始時刻送信手段は、対応する電子マネー処理装置に新しい通信開始時刻を送信し、対応する電子マネー処理装置では、通信開始時刻受信手段により新しい通信開始時刻が受信されると、装置通信開始時刻記憶手段は、既に記憶していた通信開始時刻を通信開始時刻受信手段により受信された該新しい通信開始時刻で更新して記憶することを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態における電子マネーシステムによれば、管理サーバと電子マネー処理装置との間で通信開始時刻の情報を共有するとともに、電子マネー処理装置に通信感度測定手段および装置通信判断手段を設け、管理サーバと電子マネー処理装置との間の通信が通信開始時刻に行えないと装置通信判断手段が判断した場合には、通信感度測定手段により測定された通信感度情報を管理サーバに送信し、この通信感度情報に基づいて、管理サーバの通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻を決定することとした。これにより、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないこと等による従来の問題を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置を搭載した自動販売機等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0020】
本発明の電子マネーシステムでは、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されればよい。このように、通信感度情報に基づいて、管理サーバ側において新しい通信開始時刻を決定することができる。
【0021】
本発明の電子マネーシステムでは、通信感度情報送信手段は、通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯を通信感度情報とともに管理サーバに送信し、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されてもよい。このように、電子マネー処理装置側で通信の最適時間帯を割り出しておき、管理サーバ側においてその最適時間帯のうち適当な時刻を新しい通信開始時刻と決定してもよい。
【0022】
また、本発明の別の実施形態における電子マネーシステムは、複数の電子マネー処理装置と、複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
各電子マネー処理装置は、電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、通信感度測定手段により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、管理サーバからの要求に応じて、通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信する通信感度情報送信手段とを備え、
管理サーバは、電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、サーバ通信判断手段により対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、通信感度情報要求手段に要求された電子マネー処理装置から通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段とを備え、
通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した通信感度情報に基づいて、電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻が決定されると、通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0023】
本発明の別の実施形態における電子マネーシステムによれば、電子マネー処理装置に通信感度測定手段を設け、管理サーバにサーバ通信判断手段を設け、管理サーバと電子マネー処理装置との間の通信が通信開始時刻に行えないとサーバ通信判断手段が判断した場合には、通信感度情報要求手段により、電子マネー処理装置に通信感度情報の送信を要求し、受信した通信感度情報に基づいて、管理サーバの通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻を決定することとした。これにより、上記一実施形態の構成の場合と同様に、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないこと等による従来の問題を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置における電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0024】
本発明の電子マネーシステムでは、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されればよい。
【0025】
本発明の電子マネーシステムでは、各電子マネー処理装置は、通信感度情報記憶手段に記憶されている測定時刻毎の通信感度に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、通信最適時間帯決定手段により決定された最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段とをさらに備え、通信感度情報送信手段は、通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯を通信感度情報とともに管理サーバに送信し、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されてもよい。
【0026】
また、上記の課題を解決するために、本発明の電子マネー処理装置の管理サーバは、無線通信における通信感度を定期的に測定し、測定した通信感度を記憶する複数の電子マネー処理装置のそれぞれと該無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する電子マネー処理装置の管理サーバであって、各電子マネー処理装置における電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、該各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、サーバ通信判断手段により対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、通信感度情報要求手段に要求された電子マネー処理装置から通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段とを備え、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した通信感度情報に基づいて、電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻が決定されると、通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0027】
本発明の管理サーバでは、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されてもよい。
【0028】
さらに、本発明のさらに別の実施形態の電子マネーシステムは、複数の電子マネー処理装置と、複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
各電子マネー処理装置は、電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、通信感度測定手段により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信する通信感度情報送信手段とを備え、
管理サーバは、各電子マネー処理装置の通信感度情報送信手段により送信された通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と、通信感度情報受信手段により受信された通信感度情報を各電子マネー処理装置に関連付けて記憶するサーバ通信感度情報記憶手段と、サーバ通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置との通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を、該対応する電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻として決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、管理サーバが、電子マネー処理装置からの通信感度情報に基づいて通信が可能な通信開始時刻を決定することにより、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないという問題を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態における電子マネーシステムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す自動販売機に搭載される電子マネー処理装置のハード構成の主要部を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電子マネー処理装置の機能を概念的に示すブロック図である。である。
【図4】図1に示す管理サーバのハード構成の主要部を示すブロック図である。
【図5】図4に示す管理サーバの機能を概念的に示すブロック図である。
【図6】図4に示す決済処理情報テーブルおよび発呼時間テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態における初期設定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態における電子マネー処理装置の機能を概念的に示すブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態における管理サーバの機能を概念的に示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の電子マネーシステムは、複数の自動販売機にそれぞれ搭載される電子マネー処理装置(電子マネー決済端末)と、これらの電子マネー処理装置が行う決済処理を管理する管理サーバとから構成される。以下の実施形態の電子マネー処理装置は、電子マネーを記憶した非接触ICカードや携帯電話等の電子マネー媒体の決済処理を行う装置であり、自動販売機の商品の決済処理を行う装置である。
【0032】
ここで、電子マネー媒体は、例えば、決済やチャージ(電子マネーの入金)により増減される貨幣情報を電子マネー情報として記憶するICチップと、所定の電子マネー端末との間で非接触により決済データの授受を行うアンテナとを備えている。
【0033】
<第1実施形態>
以下、本発明の電子マネーシステムおよび管理サーバの第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態の電子マネーシステムの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態における電子マネーシステム1の構成を概略的に示す図である。本実施形態の電子マネーシステム1では、管理サーバ10は、自動販売機21、22、・・・、2N(Nは任意の正の整数)に搭載された各電子マネー処理装置100と所定のタイミングで通信し(すなわち、管理サーバ10による発呼を行い)、電子マネー処理装置100は、電子マネーによる決済処理情報を取得するものである。
【0034】
なお、管理サーバ10は、電子マネーシステム1の管理者によって管理・運用され、自動販売機21〜2Nに搭載された各電子マネー処理装置100における電子マネーによる決済情報などを管理する。なお、電子マネーシステム1の管理者は、例えば自動販売機21〜2Nにより飲料を販売する飲料の販売会社(販売事業者)である。各電子マネー処理装置100も上記管理者によって運用されている。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の電子マネーシステム1は、複数の自動販売機21〜2Nにそれぞれ搭載されている電子マネー処理装置100と、複数の電子マネー処理装置100のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、電子マネー処理装置100における電子マネーによる決済に関する処理情報を受信して管理する管理サーバ10とを備えている。本実施形態の自動販売機21〜2Nは、例えば、複数種類の缶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのものであり、その内部には図示しない商品収容庫が設けられ、各種商品(本例では、飲料品)が収容されている。
【0036】
自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100は、例えば、携帯電話機の周波数帯域を用いて無線通信を行うことができる。各電子マネー処理装置100は、対応する自動販売機21〜2Nに隣接する基地局31、32、・・・3M(Mは任意の正の整数)を介して、インターネットなどの通信ネットワーク50に接続し、この通信ネットワーク50を介して電子マネーによる決済処理情報を管理サーバ10に送信するものである。ここで、本実施形態では、基地局31〜3Mは、例えば、携帯電話会社(キャリア)が設置している携帯電話通信網30を構成するために設けられたものであり、1つの基地局31〜3Mによりカバーされる電子マネー処理装置100(自動販売機21〜2N)の数は、利用する周波数帯域、通信可能エリア内に設置されている電子マネー処理装置100の数などにより決められる。なお、電子マネー処理装置100の詳細な構成は後述する。
【0037】
本実施形態では、電子マネーシステム1において、管理サーバ10は、各自動販売機21〜2Nに搭載された各電子マネー処理装置100における電子マネーによる決済に関する電子マネーによる決済処理情報を取得するために、自動販売機21〜2Nに搭載された電子マネー処理装置100毎に予め設定された所定の時間(発呼時間)に、対応する自動販売機21〜2Nに搭載された各電子マネー処理装置100と通信(以下、「定時通信」という)を行う。これらの発呼時間は、各自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100に関連付けられて、管理サーバ10により管理されている。以下、1つの自動販売機21〜2Nを用いて説明する場合には、代表して自動販売機21を用いるものとする。
【0038】
本実施形態では、自動販売機21の電子マネー処理装置100への発呼時間は、設置作業者(例えば、上記管理者(事業者)のサービスマンや、自動販売機21および電子マネー処理装置100の販売業者)により自動販売機21が所定のロケーションに設置されたとき、あるいはその後に、設置作業者または管理サーバ10の管理者により手動で決定される。その代わりに、この発呼時間は、自動販売機21〜2Nの設置時に管理サーバ10により自動的に決定されてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、管理サーバ10と各自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100との通信が対応する発呼時間に行われているか否かを判断する手段が自動販売機21〜2N側に設けられる。発呼時間に通信ができなかったと判断された場合には、管理サーバ10は、対象の電子マネー処理装置100の発呼時間を適宜変更して決定するものである。
【0040】
なお、第1実施形態に係る管理サーバ10は、単に電子マネー処理装置100の電子マネーの決済処理に関する通信を行うのみならず、電子マネー処理装置100を搭載する各自動販売機21〜2Nに対して、それらの機器情報(自動販売機の装置ID)と、自動販売機21〜2Nの設置から撤去、廃棄までの遷移状態と、各自動販売機21〜2Nの設置から各状態に遷移するために必要な設定情報と、それらの稼動情報とを共有するとともに、それらの情報の管理・設定・適用を行うものである。
【0041】
また、管理サーバ10は、上述のように、管理サーバ10からの発呼により、各自動販売機21〜2Nから定期的に自動販売機21〜2Nの売上情報(すなわち、現金での販売による売上、電子マネーでの販売による売上を含む)を収集し、該売上情報の管理を行う。さらに、本発明の技術的な特徴部分ではないが、管理サーバ10は、各電子マネーの事業者によりそれぞれ管理される電子マネー事業者サーバ41、42、・・・4K(Kは本システムで運用される電子マネーの事業者数、すなわち、電子マネー処理装置100により決済される電子マネーの種類の数を示し、ここでは、任意の正の整数である)を介して、電子マネーによる販売の売上情報に基づいて、各電子マネー事業者との資金決済を行う。なお、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kは、対象となる電子マネーを運営、管理する事業者固有のサーバシステム(センタシステム)である。
【0042】
このように、各電子マネー処理装置100および管理サーバ10は、該電子マネー処理装置100を備えた自動販売機21〜2Nの設置から撤去、廃棄までの各状態と、自動販売機21〜2Nにおける各電子マネーの稼動状態を共有するものである。
【0043】
電子マネー処理装置100は、管理サーバ10を経由して電子マネー事業者サーバ41〜4Kと通信を行うことにより、対応する自動販売機21〜2Nにおいて各種類の電子マネーを使用可能とするものである。これにより、電子マネー処理装置100は、電子マネーによる商品購入サービスを提供するとともに、電子マネーによる販売時にその売上情報を作成する。なお、後述するように、作成された電子マネーによる販売の売上情報は、管理サーバ10の発呼に応じて、各電子マネー処理装置100から管理サーバ10に送信される。
【0044】
次に、自動販売機21〜2Nに搭載されている電子マネー処理装置100のハード構成を説明する。図2は、図1に示す自動販売機21に搭載される電子マネー処理装置100のハード構成の主要部を示すブロック図である。図2に示すように、電子マネー処理装置100は、電子マネー処理装置100全体の動作を制御するための制御手段101と、自動販売機21本体の制御部(図示せず)とデータの送受信を行うための本体通信手段102と、電子マネー処理装置100の機能を実現する各種制御プログラムを含むプログラムや、これらのプログラムの処理で得られたデータなどを格納するための記憶手段103と、自動販売機21において電子マネーによる決済がなされたときにLEDの点灯・点滅により文字情報などを表示するLED表示手段104と、LED表示手段104に連動して音声による案内を出力する音声出力手段105と、利用者によるカードリーダ/ライタ107への電子マネー媒体200のかざし動作に応じて、選択された商品の決済処理を行う電子決済処理手段106と、携帯電話通信網30に対して無線による通信を行うためのモデムなどから構成される無線通信手段108と、無線通信手段108による通信感度(例えば、無線通信の電波強度)を定期的に測定する通信感度測定手段109と、通信感度測定手段109による無線通信の通信感度を測定するタイミングを計ったり、管理サーバ10からの通信開始時間を確認したりするために用いられるタイマ110とを備えている。
【0045】
制御手段101は、各種演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)を備え、記憶手段103に格納されている制御プログラムに従って、電子マネー処理装置100の各種制御を実行する。また、制御手段101は、後述するように、無線通信手段108による無線通信の可否、すなわち、管理サーバ10からの発呼を予め決められた通信開始時刻(発呼時間)に受けたか否かを判断し、必要に応じて、通信感度測定手段109により測定され、記憶手段103に記憶されている通信感度情報を管理サーバ10に送信するように無線通信手段108を制御する。なお、管理サーバ10に送信される通信感度情報については、詳細に後述する。
【0046】
なお、電子決済処理手段106は、いずれの商品も選択されていない場合には、利用者によるかざし動作に応じて、カードリーダ/ライタ107を介して電子マネー媒体200の電子マネー情報の残金データを取得し、制御手段101は、取得した電子マネー媒体200の残金データをLED表示手段104に表示させる。カードリーダ/ライタ107は、電子マネー媒体200のかざし動作に応じて、電子マネー媒体200の残金データを読み出し、電子決済処理手段106による決済処理の実行に応じて、電子マネー媒体200の残金データを書き換えるものである。
【0047】
記憶手段103には、電子決済処理手段106による電子マネーの決済処理の処理情報(決済処理情報)が記憶される。また、記憶手段103には、通信感度測定手段109により測定された通信感度情報(例えば、測定時刻毎の通信感度、すなわち、無線通信の電波強度)、この通信感度情報に基づいて決定される電波状態の最適時間帯、管理サーバ10により決定された通信開始時刻なども記憶される。
【0048】
なお、本実施形態では、通信感度測定手段109は、無線通信手段108による通信感度を定期的に、すなわち所定のタイミングで測定するように構成されているが、本発明はこのような構成に限らない。例えば、通信感度測定手段109は、通信感度を常時測定するように構成されてもよい。
【0049】
次に、本実施形態における電子マネー処理装置100の機能を説明する。図3は、図2に示す電子マネー処理装置100の機能を概念的に示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の電子マネー処理装置100の各機能は、制御手段101と、記憶手段103と、無線通信手段108と、通信感度測定手段109とにより実現される。
【0050】
制御手段101は、通信最適時間帯決定手段111と、装置通信判断手段112とを含む。記憶手段103は、処理情報記憶手段131と、通信感度情報記憶手段132と、装置通信開始時刻記憶手段133と、通信最適時間帯記憶手段134とを含む。無線通信手段108は、通信開始時刻受信手段181と、通信感度情報送信手段182とを含む。
【0051】
処理情報記憶手段131には、電子決済処理手段106により実行された電子マネーの決済処理に関する処理情報(決済処理情報)が記憶される。この決済処理情報は、管理サーバ10からの発呼に応じて、無線通信手段108、携帯電話通信網30および通信ネットワーク50を介して、管理サーバ10に送信されるものである。
【0052】
通信感度情報記憶手段132には、通信感度測定手段109により測定された無線通信手段108による通信感度が、0〜10の10段階の数値情報(通信感度レベル)として記憶される。また、通信感度情報記憶手段132には、予め通信感度が良好か否かを判別するための通信感度(電波強度)の基準値(本実施形態では、例えば、通信感度レベル「5」)が所定の期間(例えば、1週間)分記憶されている。
【0053】
通信感度測定手段109は、所定時間毎に、制御手段101の制御により無線通信手段108を動作させて、そのときの無線通信の通信感度である電波状況を測定するものである。ここで、所定時間とは、例えば、10分、30分、1時間などの一定の時間であり、測定した通信感度(電波強度)は、測定時刻と関連付けられる。通信感度情報記憶手段132には、通信感度測定手段109により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報が記憶される。例えば、通信感度情報記憶手段132には、通信感度測定手段109により1時間毎に測定された通信感度(電場強度)が1週間分時系列で記憶されるようになっており、1週間が経過する毎に通信感度情報が更新されるようになっている。
【0054】
通信最適時間帯決定手段111は、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報に基づいて、無線通信の電波状態の良好な最適時間帯を決定するものである。通信最適時間帯記憶手段134には、通信最適時間帯決定手段111により決定された最適時間帯が記憶される。
【0055】
具体的には、通信最適時間帯決定手段111は、通信感度情報記憶手段132から読み出した時系列の通信感度に関する数値情報(通信感度レベル)と基準値とを比較し、基準値以上の通信感度(電波強度)の時間帯を無線通信手段108による無線通信の電波状態が良好な最適時間帯として決定する。
【0056】
なお、電子マネー処理装置100の電源がオフの時間帯には、そのときの通信感度レベルは「0」として通信感度情報記憶手段132に記憶されればよい。停電や電子マネー処理装置100の電源がオフされているために定時通信ができなかった場合には、通信感度情報記憶手段132に記憶された時系列の通信感度情報は、その時間帯で通信感度レベルが0となっているので、電子マネー処理装置100の電源がオフの時間帯における通信感度(電波強度)は通信感度の基準値を超えることがない。したがって、通信最適時間帯決定手段111は、少なくとも電子マネー処理装置100の電源がオフされている時間帯以外の時間帯を電波状態の良好な最適時間帯と決定することになる。
【0057】
通信開始時刻受信手段181は、管理サーバ10で決定され、管理サーバ10から送信された自己に関する通信開始時刻を受信するものである。装置通信開始時刻記憶手段133には、通信開始時刻受信手段181により受信された通信開始時刻が記憶される。
【0058】
装置通信判断手段112は、装置通信開始時刻記憶手段133に記憶された通信開始時刻に管理サーバ10からの通信を受けたか否かを判断するものである。そして、装置通信判断手段112が管理サーバ10からの通信を受けていないと判断した場合には、通信感度情報送信手段182は、通信最適時間帯記憶手段134に記憶された最適時間帯に、通信感度情報記憶手段132に記憶された通信感度情報を管理サーバ10に送信するものである。
【0059】
次に、本実施形態における管理サーバ10のハード構成を説明する。図4は、図1に示す管理サーバ10のハード構成の主要部を示すブロック図である。図4に示すように、管理サーバ10は、制御手段11と、入力手段12と、記憶手段13と、表示手段14と、通信手段15とを備えている。
【0060】
制御手段11は、各種演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)を備え、記憶手段13に格納されている制御プログラムに従って、管理サーバ10の各種制御を実行するものである。本実施形態では、制御手段11は、各自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100から電子マネーによる決済処理情報を取得するとともに、電子マネー媒体200に関する最新のネガ情報を電子マネー処理装置100に送信して、電子マネー処理装置100の記憶手段103に記憶されているネガ情報を更新させる処理を実行する。ここで、「ネガ情報」とは、ネガティブ(否定的)情報の略語であり、遅れや未納があるクレジットカードによりチャージされた電子マネー媒体200(電子マネーカードや電子マネーのアプリケーションを実行可能な携帯電話など)や、盗難・紛失の電子マネー媒体200や、利用が停止された電子マネー媒体200、あるいは、偽造され、不正利用が発覚した電子マネー媒体200についての情報(例えば、カード番号情報など)をいう。
【0061】
入力手段12は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置によって構成され、管理サーバ10の管理者による入力装置を利用した操作を受け付けるものである。表示手段14は、例えば、CRTモニタや液晶表示装置によって構成され、記憶手段13に記憶され、制御手段11により処理された映像信号や画像信号に応じた映像・画像を表示するものである。
【0062】
記憶手段13には、決済処理情報テーブル13aと、発呼時間テーブル13bと、ネガ情報テーブル13cとが設けられる。決済処理情報テーブル13aには、各電子マネー処理装置100から取得した自動販売機21〜2Nにおける電子マネーによる決済処理情報が、対応する自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100の装置IDと関連付けられて記憶される。
【0063】
ここで、図6を参照して、決済処理情報テーブル13aおよび発呼時間テーブル13bの一例を説明する。図6(a)は、決済処理情報テーブル13aの一例を示し、図6(b)は、発呼時間テーブル13bの一例を示す。図6(a)に示すように、決済処理情報テーブル13aには、対象となる電子マネー処理装置100の装置IDに関連付けられて、該電子マネー処理装置100が搭載される自動販売機21〜2Nにおける電子マネーによる決済処理情報、すなわち、利用された電子マネーの種類、決済金額が記録される。この電子マネーの決済処理情報は、電子マネーの種類に応じて、電子マネー事業者サーバ41〜4Kにそれぞれ送信され、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kにおいて資金決済がなされる。
【0064】
また、図6(b)に示すように、発呼時間テーブル13bには、電子マネー処理装置100の装置IDとその発呼時間とが関連付けられて記憶されている。本例では、例えば、発呼時間は10秒間隔で設定されているが、管理サーバ10により管理される電子マネー処理装置100の数などに応じて、発呼時間の間隔が適宜調整されればよい。なお、管理サーバ10の処理能力やアプリケーションに応じて、同一の発呼時間に複数の電子マネー処理装置100が設定されていてもよい。
【0065】
ネガ情報テーブル13cには、図示を省略したが、電子マネーの種類およびカード番号が記憶されている。このようなネガ情報は、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kから管理サーバ10に送信される。管理サーバ10の制御手段11は、通信手段15によりネガ情報を受信すると、ネガ情報テーブル13cに記憶されている情報を更新する。
【0066】
また、ネガ情報テーブル13cのネガ情報が更新されると、管理サーバ10は、各電子マネー処理装置100へ発呼して、更新されたネガ情報を各電子マネー処理装置100に送信するものである。なお、管理サーバ10は、ネガ情報が更新されているか否かにかかわらず、ネガ情報テーブル13cに記憶されているネガ情報を各電子マネー処理装置100に送信するように構成されてもよい。
【0067】
次に、本実施形態における管理サーバ10の機能を説明する。図5は、図4に示す管理サーバ10の機能を概念的に示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態の管理サーバ10の各機能は、制御手段11と、記憶手段13と、通信手段15とにより実現される。
【0068】
制御手段11は、通信開始時刻決定手段11aと、処理情報取得手段11bとを含む。記憶手段13は、図4に示すように、決済処理情報テーブル13aと、発呼時間テーブル13bと、ネガ情報テーブル13cとを含む。通信手段15は、通信開始時刻送信手段15aと、通信感度情報受信手段15bとを含む。なお、発呼時間テーブル13bは、本発明の(特許請求の範囲に記載した)通信開始時刻記憶手段に対応し、通信開始時刻決定手段11aにより決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置100に対応付けて記憶するものである。
【0069】
通信開始時刻決定手段11aは、各電子マネー処理装置100から電子マネーの決済処理に関する処理情報(決済処理情報)を取得するために、各電子マネー処理装置100に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻、すなわち、各電子マネー処理装置100に対する発呼時間を決定するものである。通信開始時刻決定手段11aにより決定された各電子マネー処理装置100への発呼時間は、記憶手段13の発呼時間テーブル13bに記憶される。また、本実施形態では、通信開始時刻送信手段15aは、発呼時間テーブル13bに記憶された各電子マネー処理装置100の通信開始時刻(発呼時間)を対応する電子マネー処理装置100に送信している。
【0070】
処理情報取得手段11bは、発呼時間テーブル13bに記憶された通信開始時刻(発呼時間)に、対応する電子マネー処理装置100と通信を行うことにより、その電子マネー処理装置100の処理情報記憶手段131から電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するものである。処理情報取得手段11bにより取得された各電子マネー処理装置100の決済処理情報は、記憶手段13の決済処理情報テーブル13aに一時的に記憶(保存)され、所定のタイミング毎に、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kとの間で資金決済が行われる。
【0071】
電子マネー処理装置100の装置通信判断手段112によりその電子マネー処理装置100が管理サーバ10からの通信を受けていないと判断した場合、すなわち、当該電子マネー処理装置100と管理サーバ10との間で携帯電話通信網30などの無線通信(あるいは、インターネットなどの通信ネットワーク50)が絶たれている場合には、通信感度情報受信手段15bは、電子マネー処理装置100の通信感度情報送信手段182により送信される通信感度情報を受信する。
【0072】
ここで、通信感度情報受信手段15bにより通信感度情報が受信されるのは、電子マネー処理装置100と管理サーバ10との間の前回の定時通信が失敗したときである。そのため、このように通信感度情報が受信されると、通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定するものである。
【0073】
上述のように、管理サーバ10が管理する電子マネー処理装置100の数は、数千、数万にもなるため、通信開始時刻決定手段11aは、単にその電子マネー処理装置100の通信感度測定手段109により測定された通信感度(すなわち、電波状態)が良好な時間帯だけではなく、発呼時間テーブル13bに記憶されているすべての電子マネー処理装置100の発呼時間を加味して、上記新たな発呼時間を決定するものである。
【0074】
通信開始時刻決定手段11aは、例えば、通信感度情報受信手段15bにより受信した測定時刻(本実施形態では、例えば10秒)毎の通信感度(電波状態)に基づいて、通信が最適な時間帯を自ら判断し、このように判断した最適な時間帯のうち、他の電子マネー処理装置100への定時通信に支障を生じない所定の時刻を新たな発呼時間として決定すればよい。なお、発呼時間は極力他の電子マネー処理装置100の発呼時間とブッキングしないように設定される。このような設定は、管理サーバ10の制御手段11に過度の負荷が掛からないようにするための措置であり、同一時刻に複数の電子マネー処理装置100に定時通信を行うことを禁止するものではない。
【0075】
例えば、電子マネー処理装置100の通信感度情報送信手段182が、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報とともに、通信最適時間帯記憶手段134に記憶されている最適時間帯を管理サーバ10に送信するように構成されている場合には、通信開始時刻決定手段11aは、通信感度情報受信手段15bにより受信した最適時間帯に基づいて、この最適時間帯内の所定の時刻を新たな発呼時間(新しい通信開始時刻)として決定してもよい。
【0076】
通信開始時刻決定手段11aにより新たな発呼時間が決定されると、発呼時間テーブル13bには、対象の電子マネー処理装置100に対応付けてこの新しい通信開始時刻が記憶される。そして、通信開始時刻送信手段15aは、対象の電子マネー処理装置100に新たな発呼時間を送信するものである。
【0077】
なお、対応する電子マネー処理装置100では、通信開始時刻受信手段181により新たな発呼時間が受信されると、装置通信開始時刻記憶手段133では、既に記憶されていた通信開始時刻は、通信開始時刻受信手段181により受信された新たな発呼時間に更新されて記憶されることとなる。
【0078】
次に、フローチャートを用いて、本実施形態における電子マネーシステム1の動作を説明する。まず、自動販売機21を所定のロケーションに設置したときに実行される初期設定処理について説明する。図7は、本発明の第1実施形態における初期設定処理を示すフローチャートである。初期設定処理は、電子マネー処理装置100を搭載した自動販売機21を所定のロケーションに設置して電源を投入(電子マネー処理装置100の起動)した後、最初に管理サーバ10と通信するときに実行されるものである。
【0079】
まず、初期設定処理が実行される前提として、サービスマン(設置作業員)は、電子マネー処理装置100が搭載された自動販売機21を所定のロケーションに設置する作業を行う(ステップS101)。この設置作業が完了すると、自動販売機21(および電子マネー処理装置100)に電源が投入される。そして、サービスマンの操作により、自動販売機21の設置を確認するための設置確認通信が管理サーバ10との間で行われ(ステップS102)、管理サーバ10は、自動販売機21が所定のロケーションに設置されたことを確認する(ステップS103)。ここでは、例えば、電子マネー処理装置100の機器情報としての装置ID(シリアルナンバー)や稼働情報などが管理サーバ10と共有される。
【0080】
なお、このような電子マネー処理装置100からの設置確認通信および管理サーバ10による設置確認は、サービスマンから管理サーバ10の管理者への電話連絡等により行われ、管理サーバ10から発呼されることにより設置確認が行われてもよい。
【0081】
このように設置確認がなされると、管理サーバ10の通信開始時刻決定手段11aは、記憶手段13の発呼時間テーブル13bに既に記憶されているすべての電子マネー処理装置(例えば、他のすべての自動販売機22〜2Nの電子マネー処理装置100)の発呼時間に関する情報を読み出し(ステップS104)、既に設定されている発呼時間に支障を生じさせない時刻を当該電子マネー処理装置100への発呼時間として決定する(ステップS105)。
【0082】
次いで、管理サーバ10は、通信開始時刻送信手段15aによりこのように決定した発呼時間を電子マネー処理装置100に送信(通知)する(ステップS106)。電子マネー処理装置100では、通信開始時刻受信手段181により決定した発呼時間を受信すると、受信した発呼時間は、装置通信開始時刻記憶手段133に記憶される(ステップS107)。
【0083】
それ以降、所定のタイミングで通信感度測定手段109による通信感度の測定がなされる。すなわち、所定時間、例えば10秒が経過する毎に(ステップS108)、通信感度測定手段109は、無線通信手段108をアクティブにして無線通信の通信感度を測定し(ステップS109)、通信感度測定手段109により測定された通信感度(測定結果)を通信感度情報記憶手段132に記憶(保存)する(ステップS110)。
【0084】
ステップS106における管理サーバ10から電子マネー処理装置100への発呼時間の通知により、この初期設定処理は終了する。
【0085】
次に、管理サーバ10と各電子マネー処理装置100との間の定時通信処理について説明する。図8および図9は、本発明の第1実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。定時通信処理は、対象となる電子マネー処理装置100の起動後、所定のタイミング毎(例えば、毎日定時に、あるいは週に一度等)に実行されるものである。
【0086】
管理サーバ10は、まず、対象となる電子マネー処理装置100の発呼時間になったか否かを判断する(ステップS201)。また、これと並行して、電子マネー処理装置100は、記憶手段103の装置通信開始時刻記憶手段133に記憶されている通信開始時刻になったか否かを判断する(ステップS203)。管理サーバ10および電子マネー処理装置100は、発呼時間、すなわち通信開始時刻になるまでこの状態で待機する。
【0087】
ステップS201において発呼時間になったと判断された場合には、管理サーバ10は、その電子マネー処理装置100への定時通信を開始して(ステップS202)、処理情報取得手段11bは、電子マネー処理装置100の処理情報記憶手段131に記憶されている電子マネーの決済処理情報を取得するためのコマンドを送信する。そして、電子マネー処理装置100では、装置通信判断手段112は、通信開始時刻において管理サーバ10由来の発呼、すなわち、決済処理情報の取得コマンドを受信したか否かを判断する(ステップS204)。
【0088】
この取得コマンドを受信したと判断した場合には、電子マネー処理装置100は、無線通信手段108を介して、処理情報記憶手段131に記憶されている決済処理情報を管理サーバ10に送信する(ステップS205)。
【0089】
一方、定時通信を開始した管理サーバ10は、通信手段15を介して、対象の電子マネー処理装置100から決済処理情報を受信したか否かを判断する(ステップS206)。決済処理情報を受信していないと判断した場合には、処理フローはステップS202に戻って、管理サーバ10は、電子マネー処理装置100に対して決済処理情報の取得コマンドを再度送信する。なお、この取得コマンドを所定回数送信した場合においても、決済処理情報を受信することができなかったときには、管理サーバ10は、その電子マネー処理装置100と通信エラーとなったことを記録して、定時通信を終了すればよい。
【0090】
ステップS206において決済処理情報を受信したと判断した場合には、管理サーバ10は、受信した決済処理情報を決済処理情報テーブル13aに記憶するとともに(ステップS207)、ネガ情報テーブル13cに記憶されている電子マネーに関するネガ情報を電子マネー処理装置100に送信し(ステップS208)、この定時通信処理を終了する。
【0091】
そして、電子マネー処理装置100は、管理サーバ10からネガ情報を受信すると、受信したネガ情報を記憶手段103に記憶して(ステップS209)、すなわち、既に記憶されているネガ情報を更新して記憶して、この定時通信処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS204において、通信開始時刻にもかかわらず、管理サーバ10からの発呼、すなわち、決済処理情報の取得コマンドを受信していないと判断した場合には、電子マネー処理装置100は、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報を読み出して(ステップS210)、通信最適時間帯決定手段111は、このように読み出した通信感度情報に基づいて、無線通信の電波状態の良好な最適時間帯を決定する(ステップS211)。
【0093】
そして、電子マネー処理装置100は、通信感度情報送信手段182を介して、このように決定された最適時間帯に、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報を管理サーバ10に送信する(ステップS212)。
【0094】
通信感度情報受信手段15bを介して通信感度情報を受信すると、管理サーバ10の通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定し(ステップS213)、管理サーバ10は、決定した新たな発呼時間を発呼時間テーブル13bに記憶する(ステップS214)。
【0095】
そして、管理サーバ10は、通信開始時刻決定手段11aにより決定され、発呼時間テーブル13bに記憶された発呼時間を対象の電子マネー処理装置100に送信し(ステップS215)、この定時通信処理を終了する。
【0096】
通信開始時刻受信手段181により新たな発呼時間を受信すると、電子マネー処理装置100は、装置通信開始時刻記憶手段133に既に記憶されていた通信開始時刻(発呼時間)を、通信開始時刻受信手段181により受信された新たな発呼時間に更新して記憶し(ステップS216)、この定時通信処理を終了する。
【0097】
以上のようにして、本実施形態では、管理サーバ10から電子マネー処理装置100への定時通信が失敗したことを電子マネー処理装置100の装置通信判断手段112により判断した場合には、電子マネー処理装置100の設置ロケーションにおける無線通信の通信感度(電波状況)に応じて、定時通信の通信開始時刻を最適な時間帯に変更することができる。これにより、管理サーバ10の管理者や自動販売機21〜2N(電子マネー処理装置100)のサービスマンの手間を掛けることなく、電子マネーの決済処理情報(売上情報)の収集や電子マネーのネガ情報の更新ができなかったために従来発生していた問題点を解決することができる。したがって、電子マネー処理装置100を搭載した自動販売機21〜2Nによる電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0098】
なお、本実施形態の定時通信処理(図8および図9)では、管理サーバ10からの発呼による定時通信が失敗した場合に、電子マネー処理装置100の通信最適時間帯決定手段111は、自動販売機21の設置ロケーションにおける無線通信の電波状態の良好な最適時間帯を決定するものとして説明した(ステップS211)。しかしながら、本発明はこのような構成に限らず、通信最適時間帯決定手段111は、定時通信の可否にかかわらず、一定期間(例えば、1週間や1月など)毎に無線通信の最適時間帯を決定して、決定した最適時間帯を通信最適時間帯記憶手段134に記憶するように構成されてもよい。
【0099】
また、この場合、通信最適時間帯決定手段111により決定された最適時間帯は、電子マネー処理装置100における電子マネーの決済処理情報とともに、定時通信の際に管理サーバ10に送信されるように構成されていてもよい。
【0100】
<第2実施形態>
以下、本発明の電子マネーシステムおよび管理サーバの第2実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態では、定時通信の可否を電子マネー処理装置側で判断し、定時通信が行えなかった場合に、通信感度情報に基づいて、管理サーバが新たな発呼時間を再度決定するように構成されていた。本実施形態では、特に、定時通信の可否についても管理サーバ側で判断する点で第1実施形態の構成とは異なっている。なお、本実施形態の電子マネーシステムのハードウェアの構成については、実質的に第1実施形態と同様のものであるため、同様の機能を有するものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。また、電子マネーシステムの全体構成(図1)、電子マネー処理システムのハードウェア構成(図2)、および管理サーバのハードウェア構成(図4)は、第1実施形態と同様であるため、図1、図2および図4を用いて説明する。
【0101】
まず、本実施形態における電子マネー処理装置の機能を説明する。図10は、本発明の第2実施形態における電子マネー処理装置の機能を概念的に示すブロック図である。図10に示すように、本実施形態の電子マネー処理装置100'の機能は、第1実施形態と同様に、制御手段101と、記憶手段103と、無線通信手段108と、通信感度測定手段109とにより実現される。
【0102】
しかしながら、本実施形態の電子マネー処理装置100'は、以下の点において第1実施形態の電子マネー処理装置100とは異なる。すなわち、制御手段101は、装置通信判断手段112を含まず、記憶手段103は、装置通信開始時刻記憶手段133を含まず、無線通信手段108は、通信開始時刻受信手段181を含まない。
【0103】
このように、本実施形態では、定時通信の通信開始時刻が電子マネー処理装置100'に報知されておらず、定時通信の可否は電子マネー処理装置100'では判断されない。
【0104】
また、通信感度情報送信手段182は、電子マネー処理装置100'側で定時通信の失敗を判断した場合ではなく、単に管理サーバ10からの要求に応じて、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報を管理サーバ10に送信するものである。
【0105】
次に、本実施形態における管理サーバ10の機能を説明する。図11は、本発明の第2実施形態における管理サーバ10'の機能を概念的に示すブロック図である。図11に示すように、本実施形態の管理サーバ10'の機能は、第1実施形態と同様に、制御手段11と、記憶手段13と、通信手段15とにより実現される。
【0106】
しかしながら、本実施形態の管理サーバ10'は、制御手段11がサーバ通信判断手段11cおよび通信感度情報要求手段11dをさらに備える点で、第1実施形態の管理サーバ10とは異なる。
【0107】
サーバ通信判断手段11cは、発呼時間テーブル(通信開始時刻記憶手段)13bに記憶された発呼時間(通信開始時刻)に対応する電子マネー処理装置100'との通信を行うことができたか否かを判断するものである。サーバ通信判断手段11cは、例えば、定時通信を開始して、電子マネーの決済処理情報を取得するためのコマンドを送信した後、対象の電子マネー処理装置100'から電子マネーの決済情報が送信されてきたか否かに基づいて、定時通信の可否を判断する。その代わりに、サーバ通信判断手段11cは、例えば、PINGチェックテストのように、電子マネー処理装置100'のIPアドレスにPINGコマンドを送信することにより、電子マネー処理装置100'との疎通を確認するようにしてもよい。
【0108】
通信感度情報要求手段11dは、サーバ通信判断手段11cにより対応する電子マネー処理装置100'との通信を行うことができなかったと判断した場合には、その電子マネー処理装置100'の通信感度情報記憶手段132に記憶された通信感度情報を管理サーバ10'に送信するように繰り返し要求するものである。
【0109】
このように、本実施形態では、管理サーバ10'と電子マネー処理装置100'との定時通信が失敗したときに、通信感度情報要求手段11dは、通信感度情報を管理サーバ10'に送信するように電子マネー処理装置100'に要求するものである。しかしながら、定時通信の失敗時には、電子マネー処理装置100'から通信感度情報を取得するのも困難な場合が考えられる。したがって、通信感度情報要求手段11dは、通信感度情報を受信するまで繰り返し送信要求を行うものである。
【0110】
なお、通信感度情報要求手段11dは、このような定時通信の失敗時にのみ、通信感度情報の送信を電子マネー処理装置100'に要求するだけでなく、所定のタイミングで定期的に(例えば、数日に一度や1週間に一度など)通信感度情報(あるいは、定時通信を行うのに最適な時間帯)の送信を要求するように構成されていてもよい。
【0111】
通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100'に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定するものである。
【0112】
なお、通信開始時刻決定手段11aは、通信感度情報受信手段15bを介して受信した通信感度測定手段109による測定時刻毎の通信感度に基づいて、定時通信を行うのに最適な時間帯を判断し、この最適な時間帯のうち、他の電子マネー処理装置100'への定時通信に支障を生じない所定の時刻を新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間として決定すればよい。
【0113】
その代わりに、電子マネー処理装置100'の通信最適時間帯決定手段111が、通信感度情報記憶手段132に記憶されている測定時刻毎の通信感度に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定し、通信最適時間帯決定手段111により決定された最適時間帯が通信最適時間帯記憶手段134に記憶されている場合には、通信感度情報送信手段182は、通信最適時間帯記憶手段134に記憶された最適時間帯を通信感度情報とともに管理サーバ10'に送信するように構成されていてもよい。この場合、通信開始時刻決定手段11aは、通信感度情報受信手段15bにより受信した最適時間帯に基づいて、この最適時間帯内の所定の時刻を新たな発呼時間(新しい通信開始時刻)として決定してもよい。
【0114】
次に、フローチャートを用いて、本実施形態における電子マネーシステム1の動作を説明する。なお、自動販売機21を所定のロケーションに設置したときに実行される初期設定処理は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。なお、第2実施形態の電子マネーシステム1は、初期設定において管理サーバ10'が、各電子マネー処理装置100'に対応する発呼時間を送信せず、電子マネー処理装置100'が自己への発呼時間の保存を行わない点で、第1実施形態の電子マネーシステム1とは異なる。以下、管理サーバ10'と各電子マネー処理装置100'との間の定時通信処理である定時通信処理について説明する。図12は、本発明の第2実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。定時通信処理は、対象となる電子マネー処理装置100'の起動後、所定のタイミング毎(例えば、毎日定時に、あるいは週に一度等)に実行されるものである。
【0115】
管理サーバ10'は、まず、対象となる電子マネー処理装置100'の発呼時間になったか否かを判断する(ステップS301)。発呼時間になったと判断された場合には、管理サーバ10'は、その電子マネー処理装置100'への定時通信を開始して(ステップS302)、処理情報取得手段11bは、電子マネー処理装置100'の処理情報記憶手段131に記憶されている電子マネーの決済処理情報を取得するためのコマンドを送信する。
【0116】
決済処理情報の取得コマンドを受信すると、電子マネー処理装置100'は、無線通信手段108を介して、処理情報記憶手段131に記憶されている決済処理情報を管理サーバ10'に送信する(ステップS303)。
【0117】
決済処理情報の取得コマンドを送信した後、管理サーバ10'のサーバ通信判断手段11cは、決済処理情報を受信したか否かに基づいて、発呼時間テーブル(通信開始時刻記憶手段)13bに記憶された発呼時間(通信開始時刻)に対応する電子マネー処理装置100'との通信を行うことができたか否かを判断する(ステップS304)。
【0118】
決済処理情報を受信したと判断した場合には、管理サーバ10'は、受信した決済処理情報を決済処理情報テーブル13aに記憶するとともに(ステップS305)、ネガ情報テーブル13cに記憶されている電子マネーに関するネガ情報を電子マネー処理装置100'に送信する(ステップS306)。
【0119】
そして、電子マネー処理装置100'は、管理サーバ10'からネガ情報を受信すると、受信したネガ情報を記憶手段103に記憶する(ステップS307)
【0120】
一方、ステップS304において、決済処理情報を受信していないと判断した場合には、電子マネー処理装置100'が管理サーバ10'からの通信を受信することができなかったことを意味するので、管理サーバ10'の通信感度情報要求手段11dは、その電子マネー処理装置100'の通信感度情報記憶手段132に記憶された通信感度情報を管理サーバ10'に送信するように繰り返し要求する(ステップS308)。
【0121】
次いで、電子マネー処理装置100'は、通信感度情報の送信要求を受信したか否かを判断する(ステップS309)。所定期間内に通信感度情報の送信要求を受信しないと判断した場合には、電子マネー処理装置100'はこの定時通信処理を終了する。
【0122】
ステップS309において通信感度情報の送信要求を受信したと判断した場合には、電子マネー処理装置100'は、通信感度情報記憶手段132から通信感度情報を読み出し(ステップS310)、読み出した通信感度情報を管理サーバ10'に送信して(ステップS311)、この定時通信処理を終了する。
【0123】
通信感度情報受信手段15bを介して通信感度情報を受信すると、管理サーバ10'の通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100'に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定し(ステップS312)、管理サーバ10'は、決定した新たな発呼時間を発呼時間テーブル13bに記憶し(ステップS313)、この定時通信処理を終了する。
【0124】
以上のようにして、本実施形態においても、管理サーバ10'から電子マネー処理装置100'への定時通信が失敗したことを管理サーバ10'のサーバ通信判断手段11cにより判断した場合には、電子マネー処理装置100'の設置ロケーションにおける無線通信の通信感度(電波状況)に応じて、定時通信の通信開始時刻を最適な時間帯に変更することができる。これにより、管理サーバ10'の管理者や自動販売機21〜2N(電子マネー処理装置100')のサービスマンの手間を掛けることなく、電子マネーの決済処理情報(売上情報)の収集や電子マネーのネガ情報の更新ができなかったために従来発生していた問題点を解決することができる。したがって、電子マネー処理装置100'を搭載した自動販売機21〜2Nによる電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0125】
以上説明したように、上述の第1および第2実施形態では、電子マネーシステム1および管理サーバ10、10'は、電子マネー処理装置100、100'の通信感度測定手段109により、電子マネー処理装置100、100'と管理サーバ10、10'との間の無線通信における通信感度を定期的に測定し、管理サーバ10、10'から電子マネー処理装置100、100'への通信が発呼時間(通信開始時刻)に行えないと装置通信判断手段112またはサーバ通信判断手段11cにより判断された場合には、測定された通信感度情報に基づいて、通信開始時刻決定手段11aにより、新たな発呼時間を決定し、次回からの通信は決定された新たな発呼時間に行われるように構成した。これにより、電子マネーシステム1において、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないこと等による従来の問題(例えば、電子マネーの売上に対する資金決済ができないこと、状況によっては電子マネーの使用ができなくなることなど)を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置100、100'を搭載した自動販売機21〜2N等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0126】
上述の実施形態では、図7に示す初期設定処理において、自動販売機21〜2Nが所定のロケーションに設置されたときに、初期設定を行い、管理サーバ10、10'において機械的に、あるいは、管理サーバ10、10'の管理者により手動で、設置された自動販売機に搭載されている電子マネー処理装置100、100'への発呼時間(通信開始時刻)が決定された場合について説明した。通常、管理サーバ10、10'は相当数の電子マネー処理装置100、100'を管理しているため、管理サーバ10、10'の負担とならないように、管理サーバ10、10'側で各電子マネー処理装置100、100'への発呼時間を決定するようにしていた。しかしながら、本発明はこのような構成に限らない。すなわち、本発明の電子マネーシステム1は、例えば、自動販売機21〜2Nの設置時には、その自動販売機21〜2Nへの発呼時間を仮に決定(発呼時間の仮決定)するが、電子マネー処理装置100、100'の通信感度測定手段109によりある程度の期間(例えば、1週間)の無線通信の通信感度のサンプリングが得られた後には、このように測定された通信感度情報に基づいて、通信の最適時間帯を判断し、その最適時間帯内の所定の時刻を管理サーバ10、10'から当該電子マネー処理装置100、100'への発呼時間と決定(発呼時間の本決定)して、本決定の発呼時間に定時通信を行うように構成されてもよい。このように構成することにより、各自動販売機21〜2Nにおいて定時通信を失敗してしまうような事態が発生する可能性をさらに低減させることができる。
【0127】
また、このような場合においても、もし定時通信に失敗することがあれば、第1または第2実施形態に記載した電子マネーシステム1のように、自動販売機21〜2Nへの発呼時間を再度決定(再調整)するように構成すればよい。
【0128】
上述の第1および第2実施形態では、自動販売機21〜2Nに搭載された電子マネー処理装置100、100'における電子マネー決済のサービスを提供する電子マネーシステム1および管理サーバ10、10'を例として本発明を説明したが、本発明は、このようなシステムだけに限定されず、例えば、周知の電子マネーを電子マネー媒体へチャージする電子マネーの入金装置に関する電子マネーシステムおよび管理サーバにも適用することができる。
【0129】
また、上述の第1および第2実施形態では、電子マネーを利用する対象として自動販売機21〜2Nを例として本発明を説明したが、本発明は、自動販売機21〜2Nに関する電子マネーシステム1および管理サーバ10、10'に限定されず、例えば、ガソリンスタンドの給油機や駐車場の駐車料金の支払い機、遊技場等に設置される両替機や遊技機に搭載された電子マネー処理装置に係る電子マネーシステムおよび管理サーバにも適用することができる。
【0130】
また、上述の第1および第2実施形態では、電子マネー処理装置100、100'が無線通信手段108を備え、この無線通信手段108を介して管理サーバ10との定時通信を行うものとして本発明を説明したが、本発明はこのような構成に限らず、自動販売機側に無線通信手段を備え、自動販売機に係る情報と電子マネー決済に係る情報の両方を送信するようなシステムにも適用することができる。この場合、通信感度測定手段109は電子マネー処理装置100、100'と自動販売機のいずれに設けられていてもよい。
【0131】
また、上述の第1および第2実施形態では、電子マネー処理装置100、100'が本発明を具現化する機能を有する制御手段101(制御部)、記憶手段103(メモリ)および無線通信手段108(通信部)を備えるものとして本発明を説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、電子マネー処理装置が制御部、メモリおよび通信部をいずれかを備えていないシステムであっても、自動販売機が備える主制御部が、自動販売機のメモリや通信部を制御するとともに、電子マネー処理装置を制御して、電子マネーの決済処理を行うシステムにおいて、当該主制御部等が本発明の電子マネー処理装置100、100'の機能を有するならば、このようなシステムに対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 電子マネーシステム
10、10' 管理サーバ
11 制御手段
11a 通信開始時刻決定手段
11b 処理情報取得手段
11c サーバ通信判断手段
11d 通信感度情報要求手段
13 記憶手段
13a 決済処理情報テーブル
13b 発呼時間テーブル
13c ネガ情報テーブル
15 通信手段
15a 通信開始時刻送信手段
15b 通信感度情報受信手段
21-2N 自動販売機
100、100' 電子マネー処理装置
101 制御手段
111 通信最適時間帯決定手段
112 装置通信判断手段
103 記憶手段
131 処理情報記憶手段
132 通信感度情報記憶手段
133 装置通信開始時刻記憶手段
134 通信最適時間帯記憶手段
108 無線通信手段
181 通信開始時刻受信手段
182 通信感度情報送信手段
109 通信感度測定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカード等を利用して電子マネーの決済を行う電子マネーシステム、および電子マネー処理装置の決済処理を管理する管理サーバに関し、より具体的には、電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる電子マネーシステムおよび電子マネー処理装置の管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子マネーを記憶した非接触ICカードや携帯電話機等の電子マネー媒体が急速に普及してきている。この電子マネー媒体を利用して電子的に決済を行う電子マネー処理装置は、例えば、自動販売機に搭載されている(例えば、特許文献1参照)。電子マネーには、例えば、Edy(登録商標)やSuica(登録商標)等の複数の種類があり、電子マネーの種類毎に異なる電子マネー事業者が管理・運営をしている。
【0003】
このような自動販売機に搭載された電子マネー処理装置は、一般に、自動販売機を管理する管理会社が運用する管理サーバと通信ネットワークを介して接続され、管理、維持、運営されている。
【0004】
ここで、自動販売機に搭載された電子マネー処理装置は、所定のタイミングで行われる通信(以下、「定時通信」という)により管理サーバと通信を行い、電子マネー処理装置から管理サーバへ電子マネー決済による決済処理情報を送信している。また、管理サーバから電子マネー処理装置には、ネガ情報(電子マネー決済を許可しない電子マネー媒体を特定するための情報であって、電子マネー決済を許可しない電子マネー媒体の識別情報からなる。)等が送信される。
【0005】
自動販売機は、様々な場所(ロケーション)に設置されるものであり、電子マネー処理装置がインターネットなどの通信ネットワークに直接的に接続できない場合もある。そのため、携帯電話通信網などの無線通信を用いて、管理サーバと電子マネー処理装置との間で定時通信が行われている。
【0006】
管理サーバは、上記の電子マネー事業者が運用する電子マネー事業者サーバに通信回線を介して接続されており、各電子マネー処理装置から取得した電子マネーによる決済処理情報を一括して電子マネー事業者サーバに送信する資金決済処理等を行っている。
【0007】
各電子マネー処理装置と管理サーバとの間の定時通信は、管理サーバから電子マネー処理装置への発呼に基づいて開始される。この発呼する時間(以下、「発呼時間」という)は、通常、他の自動販売機に搭載された電子マネー処理装置との定時通信に支障を生じない時間に決定して設定される。言い換えると、発呼時間は、数千、数万の自動販売機に搭載された電子マネー処理装置に対する管理サーバからの発呼時間が極力が偏重しないように決定されるものである。この発呼時間の設定作業は、電子マネー処理装置を搭載した自動販売機の設置時に設置作業員(サービスマン)もしくは管理サーバの管理者等により手動で、あるいは、管理サーバにより自動的に行われる。
【0008】
ここで、電子マネー処理装置への発呼時間が自動販売機の設置時に決定されると、決定された発呼時間は管理サーバにより記憶されるとともに、その後変更されることはない。自動販売機の設置後、何らかの要因で、決定した発呼時間を含む所定時間帯において通信ができなくなる状況が起こる可能性がある。例えば、店舗内に設置されている自動販売機に搭載された電子マネー処理装置において、閉店時間以降(店舗の閉まっているとき)に発呼時間が設定されてしまった場合には、店舗のシャッタが閉まることで電波状態が悪くなり、通信不能となることがある。また、屋外に設置された自動販売機に搭載された電子マネー処理装置の場合、周囲の新規建設等による電波状態の変化や、気象状況や季節による電波状態の変化などに起因して発呼時間の通信ができなくなることがある。
【0009】
また、オフィス等に設置された自動販売機に搭載された電子マネー処理装置の場合には、夜間などにオフィス全体の電源がオフされたことによって電子マネー処理装置の電源が発呼時間に落ちているために通信不能となる場合がある。このような場合には、管理サーバからの発呼による電子マネーの決済処理情報の収集や電子マネーのネガ情報の更新ための定時通信が失敗してしまう可能性がある。
【0010】
従来の電子マネーシステムでは、発呼時間における定時通信が失敗すると、例えば設定された上限回数に到達するまで何度でも発呼のリトライを行い、上限回数に到達するとこの定時通信を停止していた。その場合、電子マネーによる決済処理情報の収集や電子マネーのネガ情報の更新ができないので、以下のような問題が発生し得る:
(1)自動販売機における電子マネーの売上に対する資金決済ができなくなる。
(2)自動販売機に搭載された電子マネー処理装置に記憶されているネガ情報が更新されない場合には、電子マネーの種類によっては当該電子マネーが使用できなくなる。
(3)管理サーバにより収集されない電子マネー処理装置内に保存された売上情報が、ある一定件数まで蓄積してしまうと、電子マネー処理装置の仕様によっては、すべての電子マネーによる販売サービスが停止されてしまう。
【0011】
このように、電子マネー処理装置と管理サーバとの間の定時通信ができない場合には、顧客(電子マネー決済によって商品を購入しようとする顧客)に対して安定的に電子マネー決済のサービスを提供することができなくなる。
【0012】
したがって、現状では、例えば、管理サーバの管理者が上記のような定時通信の履歴を監視し、あるいは、自動販売機に商品を補充するサービスマンが電子マネー処理装置における通信履歴を確認することにより、定時通信が失敗していたことを確認した場合には、必要に応じて、管理者が発呼時間を変更する設定作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−30393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のように、発呼時間を変更する場合には、変更の前に、管理サーバの管理者または自動販売機のサービスマン等によって定時通信が可能な時間帯を調査し、定時通信が可能な時間帯における適当な時間を発呼時間として決定する作業が生じていた。このため、多大なる時間と労力を必要とするという問題があった。例えば、自動販売機の電源がオフされていた場合や、建物のシャッタの閉止などによる電波状態の変化については、サービスマンによる設置先の現地調査により、あるいは、設置場所における自動販売機のオーナーからの情報収集等により、通信不能の原因を把握・特定して、通信が良好に行える時間帯を明らかにすることができるかもしれない。
【0015】
しかし、その他の要因による電波状態の変化については、サービスマンや管理者には通信不能の原因を把握・特定しにくいので、最適な通信時間帯を求めることが困難であり、定時通信が連続的に失敗するようなすべての事象に対する解決策は見出されていない。
【0016】
また、自動販売機付近の電波状態や自動販売機の周辺環境(気象状況など)は日々変化するものであり、サービスマンや管理者が自動販売機の電子マネー処理装置の定時通信の可否を常に監視するというのでは、あまりにも時間と労力が掛かりすぎてしまい、問題の解決策としては全く現実的ではないという問題もある。
【0017】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、必要な場合には良好な通信が可能な発呼時間を決定することにより、電子マネー処理装置を搭載した自動販売機等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる電子マネーシステムおよびその電子マネー処理装置の管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態における電子マネーシステムは、複数の電子マネー処理装置と、複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
各電子マネー処理装置は、電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、通信感度測定手段により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、通信感度情報記憶手段に記憶されている通信感度情報に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、通信最適時間帯決定手段により決定された最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段とを備え、
管理サーバは、電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻を対応する電子マネー処理装置に送信する通信開始時刻送信手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段とを備え、
各電子マネー処理装置は、通信開始時刻送信手段により送信された自己に関する通信開始時刻を受信する通信開始時刻受信手段と、通信開始時刻受信手段により受信された通信開始時刻を記憶する装置通信開始時刻記憶手段と、装置通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に管理サーバからの通信を受けたか否かを判断する装置通信判断手段と、装置通信判断手段により管理サーバからの通信を受けていないと判断した場合には、通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯に、通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信する通信感度情報送信手段とをさらに備え、
管理サーバは、いずれかの電子マネー処理装置から通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段をさらに備え、
管理サーバでは、通信感度情報受信手段により通信感度情報が受信されると、通信開始時刻決定手段は、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻が決定されると、通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を対応する電子マネー処理装置に対応付けて記憶し、通信開始時刻送信手段は、対応する電子マネー処理装置に新しい通信開始時刻を送信し、対応する電子マネー処理装置では、通信開始時刻受信手段により新しい通信開始時刻が受信されると、装置通信開始時刻記憶手段は、既に記憶していた通信開始時刻を通信開始時刻受信手段により受信された該新しい通信開始時刻で更新して記憶することを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態における電子マネーシステムによれば、管理サーバと電子マネー処理装置との間で通信開始時刻の情報を共有するとともに、電子マネー処理装置に通信感度測定手段および装置通信判断手段を設け、管理サーバと電子マネー処理装置との間の通信が通信開始時刻に行えないと装置通信判断手段が判断した場合には、通信感度測定手段により測定された通信感度情報を管理サーバに送信し、この通信感度情報に基づいて、管理サーバの通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻を決定することとした。これにより、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないこと等による従来の問題を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置を搭載した自動販売機等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0020】
本発明の電子マネーシステムでは、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されればよい。このように、通信感度情報に基づいて、管理サーバ側において新しい通信開始時刻を決定することができる。
【0021】
本発明の電子マネーシステムでは、通信感度情報送信手段は、通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯を通信感度情報とともに管理サーバに送信し、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されてもよい。このように、電子マネー処理装置側で通信の最適時間帯を割り出しておき、管理サーバ側においてその最適時間帯のうち適当な時刻を新しい通信開始時刻と決定してもよい。
【0022】
また、本発明の別の実施形態における電子マネーシステムは、複数の電子マネー処理装置と、複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
各電子マネー処理装置は、電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、通信感度測定手段により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、管理サーバからの要求に応じて、通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信する通信感度情報送信手段とを備え、
管理サーバは、電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、サーバ通信判断手段により対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、通信感度情報要求手段に要求された電子マネー処理装置から通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段とを備え、
通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した通信感度情報に基づいて、電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻が決定されると、通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0023】
本発明の別の実施形態における電子マネーシステムによれば、電子マネー処理装置に通信感度測定手段を設け、管理サーバにサーバ通信判断手段を設け、管理サーバと電子マネー処理装置との間の通信が通信開始時刻に行えないとサーバ通信判断手段が判断した場合には、通信感度情報要求手段により、電子マネー処理装置に通信感度情報の送信を要求し、受信した通信感度情報に基づいて、管理サーバの通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻を決定することとした。これにより、上記一実施形態の構成の場合と同様に、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないこと等による従来の問題を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置における電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0024】
本発明の電子マネーシステムでは、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されればよい。
【0025】
本発明の電子マネーシステムでは、各電子マネー処理装置は、通信感度情報記憶手段に記憶されている測定時刻毎の通信感度に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、通信最適時間帯決定手段により決定された最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段とをさらに備え、通信感度情報送信手段は、通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯を通信感度情報とともに管理サーバに送信し、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されてもよい。
【0026】
また、上記の課題を解決するために、本発明の電子マネー処理装置の管理サーバは、無線通信における通信感度を定期的に測定し、測定した通信感度を記憶する複数の電子マネー処理装置のそれぞれと該無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する電子マネー処理装置の管理サーバであって、各電子マネー処理装置における電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、該各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、サーバ通信判断手段により対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、通信感度情報要求手段に要求された電子マネー処理装置から通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段とを備え、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した通信感度情報に基づいて、電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、通信開始時刻決定手段により新しい通信開始時刻が決定されると、通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0027】
本発明の管理サーバでは、通信開始時刻決定手段は、通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を新しい通信開始時刻として決定するように構成されてもよい。
【0028】
さらに、本発明のさらに別の実施形態の電子マネーシステムは、複数の電子マネー処理装置と、複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
各電子マネー処理装置は、電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、通信感度測定手段により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報を管理サーバに送信する通信感度情報送信手段とを備え、
管理サーバは、各電子マネー処理装置の通信感度情報送信手段により送信された通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と、通信感度情報受信手段により受信された通信感度情報を各電子マネー処理装置に関連付けて記憶するサーバ通信感度情報記憶手段と、サーバ通信感度情報記憶手段に記憶された通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置との通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を、該対応する電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻として決定する通信開始時刻決定手段と、通信開始時刻決定手段により決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、通信開始時刻記憶手段に記憶された通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の処理情報記憶手段から処理情報を取得する処理情報取得手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、管理サーバが、電子マネー処理装置からの通信感度情報に基づいて通信が可能な通信開始時刻を決定することにより、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないという問題を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態における電子マネーシステムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す自動販売機に搭載される電子マネー処理装置のハード構成の主要部を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電子マネー処理装置の機能を概念的に示すブロック図である。である。
【図4】図1に示す管理サーバのハード構成の主要部を示すブロック図である。
【図5】図4に示す管理サーバの機能を概念的に示すブロック図である。
【図6】図4に示す決済処理情報テーブルおよび発呼時間テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態における初期設定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態における電子マネー処理装置の機能を概念的に示すブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態における管理サーバの機能を概念的に示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の電子マネーシステムは、複数の自動販売機にそれぞれ搭載される電子マネー処理装置(電子マネー決済端末)と、これらの電子マネー処理装置が行う決済処理を管理する管理サーバとから構成される。以下の実施形態の電子マネー処理装置は、電子マネーを記憶した非接触ICカードや携帯電話等の電子マネー媒体の決済処理を行う装置であり、自動販売機の商品の決済処理を行う装置である。
【0032】
ここで、電子マネー媒体は、例えば、決済やチャージ(電子マネーの入金)により増減される貨幣情報を電子マネー情報として記憶するICチップと、所定の電子マネー端末との間で非接触により決済データの授受を行うアンテナとを備えている。
【0033】
<第1実施形態>
以下、本発明の電子マネーシステムおよび管理サーバの第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態の電子マネーシステムの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態における電子マネーシステム1の構成を概略的に示す図である。本実施形態の電子マネーシステム1では、管理サーバ10は、自動販売機21、22、・・・、2N(Nは任意の正の整数)に搭載された各電子マネー処理装置100と所定のタイミングで通信し(すなわち、管理サーバ10による発呼を行い)、電子マネー処理装置100は、電子マネーによる決済処理情報を取得するものである。
【0034】
なお、管理サーバ10は、電子マネーシステム1の管理者によって管理・運用され、自動販売機21〜2Nに搭載された各電子マネー処理装置100における電子マネーによる決済情報などを管理する。なお、電子マネーシステム1の管理者は、例えば自動販売機21〜2Nにより飲料を販売する飲料の販売会社(販売事業者)である。各電子マネー処理装置100も上記管理者によって運用されている。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の電子マネーシステム1は、複数の自動販売機21〜2Nにそれぞれ搭載されている電子マネー処理装置100と、複数の電子マネー処理装置100のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、電子マネー処理装置100における電子マネーによる決済に関する処理情報を受信して管理する管理サーバ10とを備えている。本実施形態の自動販売機21〜2Nは、例えば、複数種類の缶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのものであり、その内部には図示しない商品収容庫が設けられ、各種商品(本例では、飲料品)が収容されている。
【0036】
自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100は、例えば、携帯電話機の周波数帯域を用いて無線通信を行うことができる。各電子マネー処理装置100は、対応する自動販売機21〜2Nに隣接する基地局31、32、・・・3M(Mは任意の正の整数)を介して、インターネットなどの通信ネットワーク50に接続し、この通信ネットワーク50を介して電子マネーによる決済処理情報を管理サーバ10に送信するものである。ここで、本実施形態では、基地局31〜3Mは、例えば、携帯電話会社(キャリア)が設置している携帯電話通信網30を構成するために設けられたものであり、1つの基地局31〜3Mによりカバーされる電子マネー処理装置100(自動販売機21〜2N)の数は、利用する周波数帯域、通信可能エリア内に設置されている電子マネー処理装置100の数などにより決められる。なお、電子マネー処理装置100の詳細な構成は後述する。
【0037】
本実施形態では、電子マネーシステム1において、管理サーバ10は、各自動販売機21〜2Nに搭載された各電子マネー処理装置100における電子マネーによる決済に関する電子マネーによる決済処理情報を取得するために、自動販売機21〜2Nに搭載された電子マネー処理装置100毎に予め設定された所定の時間(発呼時間)に、対応する自動販売機21〜2Nに搭載された各電子マネー処理装置100と通信(以下、「定時通信」という)を行う。これらの発呼時間は、各自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100に関連付けられて、管理サーバ10により管理されている。以下、1つの自動販売機21〜2Nを用いて説明する場合には、代表して自動販売機21を用いるものとする。
【0038】
本実施形態では、自動販売機21の電子マネー処理装置100への発呼時間は、設置作業者(例えば、上記管理者(事業者)のサービスマンや、自動販売機21および電子マネー処理装置100の販売業者)により自動販売機21が所定のロケーションに設置されたとき、あるいはその後に、設置作業者または管理サーバ10の管理者により手動で決定される。その代わりに、この発呼時間は、自動販売機21〜2Nの設置時に管理サーバ10により自動的に決定されてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、管理サーバ10と各自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100との通信が対応する発呼時間に行われているか否かを判断する手段が自動販売機21〜2N側に設けられる。発呼時間に通信ができなかったと判断された場合には、管理サーバ10は、対象の電子マネー処理装置100の発呼時間を適宜変更して決定するものである。
【0040】
なお、第1実施形態に係る管理サーバ10は、単に電子マネー処理装置100の電子マネーの決済処理に関する通信を行うのみならず、電子マネー処理装置100を搭載する各自動販売機21〜2Nに対して、それらの機器情報(自動販売機の装置ID)と、自動販売機21〜2Nの設置から撤去、廃棄までの遷移状態と、各自動販売機21〜2Nの設置から各状態に遷移するために必要な設定情報と、それらの稼動情報とを共有するとともに、それらの情報の管理・設定・適用を行うものである。
【0041】
また、管理サーバ10は、上述のように、管理サーバ10からの発呼により、各自動販売機21〜2Nから定期的に自動販売機21〜2Nの売上情報(すなわち、現金での販売による売上、電子マネーでの販売による売上を含む)を収集し、該売上情報の管理を行う。さらに、本発明の技術的な特徴部分ではないが、管理サーバ10は、各電子マネーの事業者によりそれぞれ管理される電子マネー事業者サーバ41、42、・・・4K(Kは本システムで運用される電子マネーの事業者数、すなわち、電子マネー処理装置100により決済される電子マネーの種類の数を示し、ここでは、任意の正の整数である)を介して、電子マネーによる販売の売上情報に基づいて、各電子マネー事業者との資金決済を行う。なお、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kは、対象となる電子マネーを運営、管理する事業者固有のサーバシステム(センタシステム)である。
【0042】
このように、各電子マネー処理装置100および管理サーバ10は、該電子マネー処理装置100を備えた自動販売機21〜2Nの設置から撤去、廃棄までの各状態と、自動販売機21〜2Nにおける各電子マネーの稼動状態を共有するものである。
【0043】
電子マネー処理装置100は、管理サーバ10を経由して電子マネー事業者サーバ41〜4Kと通信を行うことにより、対応する自動販売機21〜2Nにおいて各種類の電子マネーを使用可能とするものである。これにより、電子マネー処理装置100は、電子マネーによる商品購入サービスを提供するとともに、電子マネーによる販売時にその売上情報を作成する。なお、後述するように、作成された電子マネーによる販売の売上情報は、管理サーバ10の発呼に応じて、各電子マネー処理装置100から管理サーバ10に送信される。
【0044】
次に、自動販売機21〜2Nに搭載されている電子マネー処理装置100のハード構成を説明する。図2は、図1に示す自動販売機21に搭載される電子マネー処理装置100のハード構成の主要部を示すブロック図である。図2に示すように、電子マネー処理装置100は、電子マネー処理装置100全体の動作を制御するための制御手段101と、自動販売機21本体の制御部(図示せず)とデータの送受信を行うための本体通信手段102と、電子マネー処理装置100の機能を実現する各種制御プログラムを含むプログラムや、これらのプログラムの処理で得られたデータなどを格納するための記憶手段103と、自動販売機21において電子マネーによる決済がなされたときにLEDの点灯・点滅により文字情報などを表示するLED表示手段104と、LED表示手段104に連動して音声による案内を出力する音声出力手段105と、利用者によるカードリーダ/ライタ107への電子マネー媒体200のかざし動作に応じて、選択された商品の決済処理を行う電子決済処理手段106と、携帯電話通信網30に対して無線による通信を行うためのモデムなどから構成される無線通信手段108と、無線通信手段108による通信感度(例えば、無線通信の電波強度)を定期的に測定する通信感度測定手段109と、通信感度測定手段109による無線通信の通信感度を測定するタイミングを計ったり、管理サーバ10からの通信開始時間を確認したりするために用いられるタイマ110とを備えている。
【0045】
制御手段101は、各種演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)を備え、記憶手段103に格納されている制御プログラムに従って、電子マネー処理装置100の各種制御を実行する。また、制御手段101は、後述するように、無線通信手段108による無線通信の可否、すなわち、管理サーバ10からの発呼を予め決められた通信開始時刻(発呼時間)に受けたか否かを判断し、必要に応じて、通信感度測定手段109により測定され、記憶手段103に記憶されている通信感度情報を管理サーバ10に送信するように無線通信手段108を制御する。なお、管理サーバ10に送信される通信感度情報については、詳細に後述する。
【0046】
なお、電子決済処理手段106は、いずれの商品も選択されていない場合には、利用者によるかざし動作に応じて、カードリーダ/ライタ107を介して電子マネー媒体200の電子マネー情報の残金データを取得し、制御手段101は、取得した電子マネー媒体200の残金データをLED表示手段104に表示させる。カードリーダ/ライタ107は、電子マネー媒体200のかざし動作に応じて、電子マネー媒体200の残金データを読み出し、電子決済処理手段106による決済処理の実行に応じて、電子マネー媒体200の残金データを書き換えるものである。
【0047】
記憶手段103には、電子決済処理手段106による電子マネーの決済処理の処理情報(決済処理情報)が記憶される。また、記憶手段103には、通信感度測定手段109により測定された通信感度情報(例えば、測定時刻毎の通信感度、すなわち、無線通信の電波強度)、この通信感度情報に基づいて決定される電波状態の最適時間帯、管理サーバ10により決定された通信開始時刻なども記憶される。
【0048】
なお、本実施形態では、通信感度測定手段109は、無線通信手段108による通信感度を定期的に、すなわち所定のタイミングで測定するように構成されているが、本発明はこのような構成に限らない。例えば、通信感度測定手段109は、通信感度を常時測定するように構成されてもよい。
【0049】
次に、本実施形態における電子マネー処理装置100の機能を説明する。図3は、図2に示す電子マネー処理装置100の機能を概念的に示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の電子マネー処理装置100の各機能は、制御手段101と、記憶手段103と、無線通信手段108と、通信感度測定手段109とにより実現される。
【0050】
制御手段101は、通信最適時間帯決定手段111と、装置通信判断手段112とを含む。記憶手段103は、処理情報記憶手段131と、通信感度情報記憶手段132と、装置通信開始時刻記憶手段133と、通信最適時間帯記憶手段134とを含む。無線通信手段108は、通信開始時刻受信手段181と、通信感度情報送信手段182とを含む。
【0051】
処理情報記憶手段131には、電子決済処理手段106により実行された電子マネーの決済処理に関する処理情報(決済処理情報)が記憶される。この決済処理情報は、管理サーバ10からの発呼に応じて、無線通信手段108、携帯電話通信網30および通信ネットワーク50を介して、管理サーバ10に送信されるものである。
【0052】
通信感度情報記憶手段132には、通信感度測定手段109により測定された無線通信手段108による通信感度が、0〜10の10段階の数値情報(通信感度レベル)として記憶される。また、通信感度情報記憶手段132には、予め通信感度が良好か否かを判別するための通信感度(電波強度)の基準値(本実施形態では、例えば、通信感度レベル「5」)が所定の期間(例えば、1週間)分記憶されている。
【0053】
通信感度測定手段109は、所定時間毎に、制御手段101の制御により無線通信手段108を動作させて、そのときの無線通信の通信感度である電波状況を測定するものである。ここで、所定時間とは、例えば、10分、30分、1時間などの一定の時間であり、測定した通信感度(電波強度)は、測定時刻と関連付けられる。通信感度情報記憶手段132には、通信感度測定手段109により測定された通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報が記憶される。例えば、通信感度情報記憶手段132には、通信感度測定手段109により1時間毎に測定された通信感度(電場強度)が1週間分時系列で記憶されるようになっており、1週間が経過する毎に通信感度情報が更新されるようになっている。
【0054】
通信最適時間帯決定手段111は、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報に基づいて、無線通信の電波状態の良好な最適時間帯を決定するものである。通信最適時間帯記憶手段134には、通信最適時間帯決定手段111により決定された最適時間帯が記憶される。
【0055】
具体的には、通信最適時間帯決定手段111は、通信感度情報記憶手段132から読み出した時系列の通信感度に関する数値情報(通信感度レベル)と基準値とを比較し、基準値以上の通信感度(電波強度)の時間帯を無線通信手段108による無線通信の電波状態が良好な最適時間帯として決定する。
【0056】
なお、電子マネー処理装置100の電源がオフの時間帯には、そのときの通信感度レベルは「0」として通信感度情報記憶手段132に記憶されればよい。停電や電子マネー処理装置100の電源がオフされているために定時通信ができなかった場合には、通信感度情報記憶手段132に記憶された時系列の通信感度情報は、その時間帯で通信感度レベルが0となっているので、電子マネー処理装置100の電源がオフの時間帯における通信感度(電波強度)は通信感度の基準値を超えることがない。したがって、通信最適時間帯決定手段111は、少なくとも電子マネー処理装置100の電源がオフされている時間帯以外の時間帯を電波状態の良好な最適時間帯と決定することになる。
【0057】
通信開始時刻受信手段181は、管理サーバ10で決定され、管理サーバ10から送信された自己に関する通信開始時刻を受信するものである。装置通信開始時刻記憶手段133には、通信開始時刻受信手段181により受信された通信開始時刻が記憶される。
【0058】
装置通信判断手段112は、装置通信開始時刻記憶手段133に記憶された通信開始時刻に管理サーバ10からの通信を受けたか否かを判断するものである。そして、装置通信判断手段112が管理サーバ10からの通信を受けていないと判断した場合には、通信感度情報送信手段182は、通信最適時間帯記憶手段134に記憶された最適時間帯に、通信感度情報記憶手段132に記憶された通信感度情報を管理サーバ10に送信するものである。
【0059】
次に、本実施形態における管理サーバ10のハード構成を説明する。図4は、図1に示す管理サーバ10のハード構成の主要部を示すブロック図である。図4に示すように、管理サーバ10は、制御手段11と、入力手段12と、記憶手段13と、表示手段14と、通信手段15とを備えている。
【0060】
制御手段11は、各種演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)を備え、記憶手段13に格納されている制御プログラムに従って、管理サーバ10の各種制御を実行するものである。本実施形態では、制御手段11は、各自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100から電子マネーによる決済処理情報を取得するとともに、電子マネー媒体200に関する最新のネガ情報を電子マネー処理装置100に送信して、電子マネー処理装置100の記憶手段103に記憶されているネガ情報を更新させる処理を実行する。ここで、「ネガ情報」とは、ネガティブ(否定的)情報の略語であり、遅れや未納があるクレジットカードによりチャージされた電子マネー媒体200(電子マネーカードや電子マネーのアプリケーションを実行可能な携帯電話など)や、盗難・紛失の電子マネー媒体200や、利用が停止された電子マネー媒体200、あるいは、偽造され、不正利用が発覚した電子マネー媒体200についての情報(例えば、カード番号情報など)をいう。
【0061】
入力手段12は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置によって構成され、管理サーバ10の管理者による入力装置を利用した操作を受け付けるものである。表示手段14は、例えば、CRTモニタや液晶表示装置によって構成され、記憶手段13に記憶され、制御手段11により処理された映像信号や画像信号に応じた映像・画像を表示するものである。
【0062】
記憶手段13には、決済処理情報テーブル13aと、発呼時間テーブル13bと、ネガ情報テーブル13cとが設けられる。決済処理情報テーブル13aには、各電子マネー処理装置100から取得した自動販売機21〜2Nにおける電子マネーによる決済処理情報が、対応する自動販売機21〜2Nの電子マネー処理装置100の装置IDと関連付けられて記憶される。
【0063】
ここで、図6を参照して、決済処理情報テーブル13aおよび発呼時間テーブル13bの一例を説明する。図6(a)は、決済処理情報テーブル13aの一例を示し、図6(b)は、発呼時間テーブル13bの一例を示す。図6(a)に示すように、決済処理情報テーブル13aには、対象となる電子マネー処理装置100の装置IDに関連付けられて、該電子マネー処理装置100が搭載される自動販売機21〜2Nにおける電子マネーによる決済処理情報、すなわち、利用された電子マネーの種類、決済金額が記録される。この電子マネーの決済処理情報は、電子マネーの種類に応じて、電子マネー事業者サーバ41〜4Kにそれぞれ送信され、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kにおいて資金決済がなされる。
【0064】
また、図6(b)に示すように、発呼時間テーブル13bには、電子マネー処理装置100の装置IDとその発呼時間とが関連付けられて記憶されている。本例では、例えば、発呼時間は10秒間隔で設定されているが、管理サーバ10により管理される電子マネー処理装置100の数などに応じて、発呼時間の間隔が適宜調整されればよい。なお、管理サーバ10の処理能力やアプリケーションに応じて、同一の発呼時間に複数の電子マネー処理装置100が設定されていてもよい。
【0065】
ネガ情報テーブル13cには、図示を省略したが、電子マネーの種類およびカード番号が記憶されている。このようなネガ情報は、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kから管理サーバ10に送信される。管理サーバ10の制御手段11は、通信手段15によりネガ情報を受信すると、ネガ情報テーブル13cに記憶されている情報を更新する。
【0066】
また、ネガ情報テーブル13cのネガ情報が更新されると、管理サーバ10は、各電子マネー処理装置100へ発呼して、更新されたネガ情報を各電子マネー処理装置100に送信するものである。なお、管理サーバ10は、ネガ情報が更新されているか否かにかかわらず、ネガ情報テーブル13cに記憶されているネガ情報を各電子マネー処理装置100に送信するように構成されてもよい。
【0067】
次に、本実施形態における管理サーバ10の機能を説明する。図5は、図4に示す管理サーバ10の機能を概念的に示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態の管理サーバ10の各機能は、制御手段11と、記憶手段13と、通信手段15とにより実現される。
【0068】
制御手段11は、通信開始時刻決定手段11aと、処理情報取得手段11bとを含む。記憶手段13は、図4に示すように、決済処理情報テーブル13aと、発呼時間テーブル13bと、ネガ情報テーブル13cとを含む。通信手段15は、通信開始時刻送信手段15aと、通信感度情報受信手段15bとを含む。なお、発呼時間テーブル13bは、本発明の(特許請求の範囲に記載した)通信開始時刻記憶手段に対応し、通信開始時刻決定手段11aにより決定された通信開始時刻を各電子マネー処理装置100に対応付けて記憶するものである。
【0069】
通信開始時刻決定手段11aは、各電子マネー処理装置100から電子マネーの決済処理に関する処理情報(決済処理情報)を取得するために、各電子マネー処理装置100に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻、すなわち、各電子マネー処理装置100に対する発呼時間を決定するものである。通信開始時刻決定手段11aにより決定された各電子マネー処理装置100への発呼時間は、記憶手段13の発呼時間テーブル13bに記憶される。また、本実施形態では、通信開始時刻送信手段15aは、発呼時間テーブル13bに記憶された各電子マネー処理装置100の通信開始時刻(発呼時間)を対応する電子マネー処理装置100に送信している。
【0070】
処理情報取得手段11bは、発呼時間テーブル13bに記憶された通信開始時刻(発呼時間)に、対応する電子マネー処理装置100と通信を行うことにより、その電子マネー処理装置100の処理情報記憶手段131から電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するものである。処理情報取得手段11bにより取得された各電子マネー処理装置100の決済処理情報は、記憶手段13の決済処理情報テーブル13aに一時的に記憶(保存)され、所定のタイミング毎に、各電子マネー事業者サーバ41〜4Kとの間で資金決済が行われる。
【0071】
電子マネー処理装置100の装置通信判断手段112によりその電子マネー処理装置100が管理サーバ10からの通信を受けていないと判断した場合、すなわち、当該電子マネー処理装置100と管理サーバ10との間で携帯電話通信網30などの無線通信(あるいは、インターネットなどの通信ネットワーク50)が絶たれている場合には、通信感度情報受信手段15bは、電子マネー処理装置100の通信感度情報送信手段182により送信される通信感度情報を受信する。
【0072】
ここで、通信感度情報受信手段15bにより通信感度情報が受信されるのは、電子マネー処理装置100と管理サーバ10との間の前回の定時通信が失敗したときである。そのため、このように通信感度情報が受信されると、通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定するものである。
【0073】
上述のように、管理サーバ10が管理する電子マネー処理装置100の数は、数千、数万にもなるため、通信開始時刻決定手段11aは、単にその電子マネー処理装置100の通信感度測定手段109により測定された通信感度(すなわち、電波状態)が良好な時間帯だけではなく、発呼時間テーブル13bに記憶されているすべての電子マネー処理装置100の発呼時間を加味して、上記新たな発呼時間を決定するものである。
【0074】
通信開始時刻決定手段11aは、例えば、通信感度情報受信手段15bにより受信した測定時刻(本実施形態では、例えば10秒)毎の通信感度(電波状態)に基づいて、通信が最適な時間帯を自ら判断し、このように判断した最適な時間帯のうち、他の電子マネー処理装置100への定時通信に支障を生じない所定の時刻を新たな発呼時間として決定すればよい。なお、発呼時間は極力他の電子マネー処理装置100の発呼時間とブッキングしないように設定される。このような設定は、管理サーバ10の制御手段11に過度の負荷が掛からないようにするための措置であり、同一時刻に複数の電子マネー処理装置100に定時通信を行うことを禁止するものではない。
【0075】
例えば、電子マネー処理装置100の通信感度情報送信手段182が、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報とともに、通信最適時間帯記憶手段134に記憶されている最適時間帯を管理サーバ10に送信するように構成されている場合には、通信開始時刻決定手段11aは、通信感度情報受信手段15bにより受信した最適時間帯に基づいて、この最適時間帯内の所定の時刻を新たな発呼時間(新しい通信開始時刻)として決定してもよい。
【0076】
通信開始時刻決定手段11aにより新たな発呼時間が決定されると、発呼時間テーブル13bには、対象の電子マネー処理装置100に対応付けてこの新しい通信開始時刻が記憶される。そして、通信開始時刻送信手段15aは、対象の電子マネー処理装置100に新たな発呼時間を送信するものである。
【0077】
なお、対応する電子マネー処理装置100では、通信開始時刻受信手段181により新たな発呼時間が受信されると、装置通信開始時刻記憶手段133では、既に記憶されていた通信開始時刻は、通信開始時刻受信手段181により受信された新たな発呼時間に更新されて記憶されることとなる。
【0078】
次に、フローチャートを用いて、本実施形態における電子マネーシステム1の動作を説明する。まず、自動販売機21を所定のロケーションに設置したときに実行される初期設定処理について説明する。図7は、本発明の第1実施形態における初期設定処理を示すフローチャートである。初期設定処理は、電子マネー処理装置100を搭載した自動販売機21を所定のロケーションに設置して電源を投入(電子マネー処理装置100の起動)した後、最初に管理サーバ10と通信するときに実行されるものである。
【0079】
まず、初期設定処理が実行される前提として、サービスマン(設置作業員)は、電子マネー処理装置100が搭載された自動販売機21を所定のロケーションに設置する作業を行う(ステップS101)。この設置作業が完了すると、自動販売機21(および電子マネー処理装置100)に電源が投入される。そして、サービスマンの操作により、自動販売機21の設置を確認するための設置確認通信が管理サーバ10との間で行われ(ステップS102)、管理サーバ10は、自動販売機21が所定のロケーションに設置されたことを確認する(ステップS103)。ここでは、例えば、電子マネー処理装置100の機器情報としての装置ID(シリアルナンバー)や稼働情報などが管理サーバ10と共有される。
【0080】
なお、このような電子マネー処理装置100からの設置確認通信および管理サーバ10による設置確認は、サービスマンから管理サーバ10の管理者への電話連絡等により行われ、管理サーバ10から発呼されることにより設置確認が行われてもよい。
【0081】
このように設置確認がなされると、管理サーバ10の通信開始時刻決定手段11aは、記憶手段13の発呼時間テーブル13bに既に記憶されているすべての電子マネー処理装置(例えば、他のすべての自動販売機22〜2Nの電子マネー処理装置100)の発呼時間に関する情報を読み出し(ステップS104)、既に設定されている発呼時間に支障を生じさせない時刻を当該電子マネー処理装置100への発呼時間として決定する(ステップS105)。
【0082】
次いで、管理サーバ10は、通信開始時刻送信手段15aによりこのように決定した発呼時間を電子マネー処理装置100に送信(通知)する(ステップS106)。電子マネー処理装置100では、通信開始時刻受信手段181により決定した発呼時間を受信すると、受信した発呼時間は、装置通信開始時刻記憶手段133に記憶される(ステップS107)。
【0083】
それ以降、所定のタイミングで通信感度測定手段109による通信感度の測定がなされる。すなわち、所定時間、例えば10秒が経過する毎に(ステップS108)、通信感度測定手段109は、無線通信手段108をアクティブにして無線通信の通信感度を測定し(ステップS109)、通信感度測定手段109により測定された通信感度(測定結果)を通信感度情報記憶手段132に記憶(保存)する(ステップS110)。
【0084】
ステップS106における管理サーバ10から電子マネー処理装置100への発呼時間の通知により、この初期設定処理は終了する。
【0085】
次に、管理サーバ10と各電子マネー処理装置100との間の定時通信処理について説明する。図8および図9は、本発明の第1実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。定時通信処理は、対象となる電子マネー処理装置100の起動後、所定のタイミング毎(例えば、毎日定時に、あるいは週に一度等)に実行されるものである。
【0086】
管理サーバ10は、まず、対象となる電子マネー処理装置100の発呼時間になったか否かを判断する(ステップS201)。また、これと並行して、電子マネー処理装置100は、記憶手段103の装置通信開始時刻記憶手段133に記憶されている通信開始時刻になったか否かを判断する(ステップS203)。管理サーバ10および電子マネー処理装置100は、発呼時間、すなわち通信開始時刻になるまでこの状態で待機する。
【0087】
ステップS201において発呼時間になったと判断された場合には、管理サーバ10は、その電子マネー処理装置100への定時通信を開始して(ステップS202)、処理情報取得手段11bは、電子マネー処理装置100の処理情報記憶手段131に記憶されている電子マネーの決済処理情報を取得するためのコマンドを送信する。そして、電子マネー処理装置100では、装置通信判断手段112は、通信開始時刻において管理サーバ10由来の発呼、すなわち、決済処理情報の取得コマンドを受信したか否かを判断する(ステップS204)。
【0088】
この取得コマンドを受信したと判断した場合には、電子マネー処理装置100は、無線通信手段108を介して、処理情報記憶手段131に記憶されている決済処理情報を管理サーバ10に送信する(ステップS205)。
【0089】
一方、定時通信を開始した管理サーバ10は、通信手段15を介して、対象の電子マネー処理装置100から決済処理情報を受信したか否かを判断する(ステップS206)。決済処理情報を受信していないと判断した場合には、処理フローはステップS202に戻って、管理サーバ10は、電子マネー処理装置100に対して決済処理情報の取得コマンドを再度送信する。なお、この取得コマンドを所定回数送信した場合においても、決済処理情報を受信することができなかったときには、管理サーバ10は、その電子マネー処理装置100と通信エラーとなったことを記録して、定時通信を終了すればよい。
【0090】
ステップS206において決済処理情報を受信したと判断した場合には、管理サーバ10は、受信した決済処理情報を決済処理情報テーブル13aに記憶するとともに(ステップS207)、ネガ情報テーブル13cに記憶されている電子マネーに関するネガ情報を電子マネー処理装置100に送信し(ステップS208)、この定時通信処理を終了する。
【0091】
そして、電子マネー処理装置100は、管理サーバ10からネガ情報を受信すると、受信したネガ情報を記憶手段103に記憶して(ステップS209)、すなわち、既に記憶されているネガ情報を更新して記憶して、この定時通信処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS204において、通信開始時刻にもかかわらず、管理サーバ10からの発呼、すなわち、決済処理情報の取得コマンドを受信していないと判断した場合には、電子マネー処理装置100は、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報を読み出して(ステップS210)、通信最適時間帯決定手段111は、このように読み出した通信感度情報に基づいて、無線通信の電波状態の良好な最適時間帯を決定する(ステップS211)。
【0093】
そして、電子マネー処理装置100は、通信感度情報送信手段182を介して、このように決定された最適時間帯に、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報を管理サーバ10に送信する(ステップS212)。
【0094】
通信感度情報受信手段15bを介して通信感度情報を受信すると、管理サーバ10の通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定し(ステップS213)、管理サーバ10は、決定した新たな発呼時間を発呼時間テーブル13bに記憶する(ステップS214)。
【0095】
そして、管理サーバ10は、通信開始時刻決定手段11aにより決定され、発呼時間テーブル13bに記憶された発呼時間を対象の電子マネー処理装置100に送信し(ステップS215)、この定時通信処理を終了する。
【0096】
通信開始時刻受信手段181により新たな発呼時間を受信すると、電子マネー処理装置100は、装置通信開始時刻記憶手段133に既に記憶されていた通信開始時刻(発呼時間)を、通信開始時刻受信手段181により受信された新たな発呼時間に更新して記憶し(ステップS216)、この定時通信処理を終了する。
【0097】
以上のようにして、本実施形態では、管理サーバ10から電子マネー処理装置100への定時通信が失敗したことを電子マネー処理装置100の装置通信判断手段112により判断した場合には、電子マネー処理装置100の設置ロケーションにおける無線通信の通信感度(電波状況)に応じて、定時通信の通信開始時刻を最適な時間帯に変更することができる。これにより、管理サーバ10の管理者や自動販売機21〜2N(電子マネー処理装置100)のサービスマンの手間を掛けることなく、電子マネーの決済処理情報(売上情報)の収集や電子マネーのネガ情報の更新ができなかったために従来発生していた問題点を解決することができる。したがって、電子マネー処理装置100を搭載した自動販売機21〜2Nによる電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0098】
なお、本実施形態の定時通信処理(図8および図9)では、管理サーバ10からの発呼による定時通信が失敗した場合に、電子マネー処理装置100の通信最適時間帯決定手段111は、自動販売機21の設置ロケーションにおける無線通信の電波状態の良好な最適時間帯を決定するものとして説明した(ステップS211)。しかしながら、本発明はこのような構成に限らず、通信最適時間帯決定手段111は、定時通信の可否にかかわらず、一定期間(例えば、1週間や1月など)毎に無線通信の最適時間帯を決定して、決定した最適時間帯を通信最適時間帯記憶手段134に記憶するように構成されてもよい。
【0099】
また、この場合、通信最適時間帯決定手段111により決定された最適時間帯は、電子マネー処理装置100における電子マネーの決済処理情報とともに、定時通信の際に管理サーバ10に送信されるように構成されていてもよい。
【0100】
<第2実施形態>
以下、本発明の電子マネーシステムおよび管理サーバの第2実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態では、定時通信の可否を電子マネー処理装置側で判断し、定時通信が行えなかった場合に、通信感度情報に基づいて、管理サーバが新たな発呼時間を再度決定するように構成されていた。本実施形態では、特に、定時通信の可否についても管理サーバ側で判断する点で第1実施形態の構成とは異なっている。なお、本実施形態の電子マネーシステムのハードウェアの構成については、実質的に第1実施形態と同様のものであるため、同様の機能を有するものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。また、電子マネーシステムの全体構成(図1)、電子マネー処理システムのハードウェア構成(図2)、および管理サーバのハードウェア構成(図4)は、第1実施形態と同様であるため、図1、図2および図4を用いて説明する。
【0101】
まず、本実施形態における電子マネー処理装置の機能を説明する。図10は、本発明の第2実施形態における電子マネー処理装置の機能を概念的に示すブロック図である。図10に示すように、本実施形態の電子マネー処理装置100'の機能は、第1実施形態と同様に、制御手段101と、記憶手段103と、無線通信手段108と、通信感度測定手段109とにより実現される。
【0102】
しかしながら、本実施形態の電子マネー処理装置100'は、以下の点において第1実施形態の電子マネー処理装置100とは異なる。すなわち、制御手段101は、装置通信判断手段112を含まず、記憶手段103は、装置通信開始時刻記憶手段133を含まず、無線通信手段108は、通信開始時刻受信手段181を含まない。
【0103】
このように、本実施形態では、定時通信の通信開始時刻が電子マネー処理装置100'に報知されておらず、定時通信の可否は電子マネー処理装置100'では判断されない。
【0104】
また、通信感度情報送信手段182は、電子マネー処理装置100'側で定時通信の失敗を判断した場合ではなく、単に管理サーバ10からの要求に応じて、通信感度情報記憶手段132に記憶されている通信感度情報を管理サーバ10に送信するものである。
【0105】
次に、本実施形態における管理サーバ10の機能を説明する。図11は、本発明の第2実施形態における管理サーバ10'の機能を概念的に示すブロック図である。図11に示すように、本実施形態の管理サーバ10'の機能は、第1実施形態と同様に、制御手段11と、記憶手段13と、通信手段15とにより実現される。
【0106】
しかしながら、本実施形態の管理サーバ10'は、制御手段11がサーバ通信判断手段11cおよび通信感度情報要求手段11dをさらに備える点で、第1実施形態の管理サーバ10とは異なる。
【0107】
サーバ通信判断手段11cは、発呼時間テーブル(通信開始時刻記憶手段)13bに記憶された発呼時間(通信開始時刻)に対応する電子マネー処理装置100'との通信を行うことができたか否かを判断するものである。サーバ通信判断手段11cは、例えば、定時通信を開始して、電子マネーの決済処理情報を取得するためのコマンドを送信した後、対象の電子マネー処理装置100'から電子マネーの決済情報が送信されてきたか否かに基づいて、定時通信の可否を判断する。その代わりに、サーバ通信判断手段11cは、例えば、PINGチェックテストのように、電子マネー処理装置100'のIPアドレスにPINGコマンドを送信することにより、電子マネー処理装置100'との疎通を確認するようにしてもよい。
【0108】
通信感度情報要求手段11dは、サーバ通信判断手段11cにより対応する電子マネー処理装置100'との通信を行うことができなかったと判断した場合には、その電子マネー処理装置100'の通信感度情報記憶手段132に記憶された通信感度情報を管理サーバ10'に送信するように繰り返し要求するものである。
【0109】
このように、本実施形態では、管理サーバ10'と電子マネー処理装置100'との定時通信が失敗したときに、通信感度情報要求手段11dは、通信感度情報を管理サーバ10'に送信するように電子マネー処理装置100'に要求するものである。しかしながら、定時通信の失敗時には、電子マネー処理装置100'から通信感度情報を取得するのも困難な場合が考えられる。したがって、通信感度情報要求手段11dは、通信感度情報を受信するまで繰り返し送信要求を行うものである。
【0110】
なお、通信感度情報要求手段11dは、このような定時通信の失敗時にのみ、通信感度情報の送信を電子マネー処理装置100'に要求するだけでなく、所定のタイミングで定期的に(例えば、数日に一度や1週間に一度など)通信感度情報(あるいは、定時通信を行うのに最適な時間帯)の送信を要求するように構成されていてもよい。
【0111】
通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100'に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定するものである。
【0112】
なお、通信開始時刻決定手段11aは、通信感度情報受信手段15bを介して受信した通信感度測定手段109による測定時刻毎の通信感度に基づいて、定時通信を行うのに最適な時間帯を判断し、この最適な時間帯のうち、他の電子マネー処理装置100'への定時通信に支障を生じない所定の時刻を新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間として決定すればよい。
【0113】
その代わりに、電子マネー処理装置100'の通信最適時間帯決定手段111が、通信感度情報記憶手段132に記憶されている測定時刻毎の通信感度に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定し、通信最適時間帯決定手段111により決定された最適時間帯が通信最適時間帯記憶手段134に記憶されている場合には、通信感度情報送信手段182は、通信最適時間帯記憶手段134に記憶された最適時間帯を通信感度情報とともに管理サーバ10'に送信するように構成されていてもよい。この場合、通信開始時刻決定手段11aは、通信感度情報受信手段15bにより受信した最適時間帯に基づいて、この最適時間帯内の所定の時刻を新たな発呼時間(新しい通信開始時刻)として決定してもよい。
【0114】
次に、フローチャートを用いて、本実施形態における電子マネーシステム1の動作を説明する。なお、自動販売機21を所定のロケーションに設置したときに実行される初期設定処理は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。なお、第2実施形態の電子マネーシステム1は、初期設定において管理サーバ10'が、各電子マネー処理装置100'に対応する発呼時間を送信せず、電子マネー処理装置100'が自己への発呼時間の保存を行わない点で、第1実施形態の電子マネーシステム1とは異なる。以下、管理サーバ10'と各電子マネー処理装置100'との間の定時通信処理である定時通信処理について説明する。図12は、本発明の第2実施形態における定時通信処理を示すフローチャートである。定時通信処理は、対象となる電子マネー処理装置100'の起動後、所定のタイミング毎(例えば、毎日定時に、あるいは週に一度等)に実行されるものである。
【0115】
管理サーバ10'は、まず、対象となる電子マネー処理装置100'の発呼時間になったか否かを判断する(ステップS301)。発呼時間になったと判断された場合には、管理サーバ10'は、その電子マネー処理装置100'への定時通信を開始して(ステップS302)、処理情報取得手段11bは、電子マネー処理装置100'の処理情報記憶手段131に記憶されている電子マネーの決済処理情報を取得するためのコマンドを送信する。
【0116】
決済処理情報の取得コマンドを受信すると、電子マネー処理装置100'は、無線通信手段108を介して、処理情報記憶手段131に記憶されている決済処理情報を管理サーバ10'に送信する(ステップS303)。
【0117】
決済処理情報の取得コマンドを送信した後、管理サーバ10'のサーバ通信判断手段11cは、決済処理情報を受信したか否かに基づいて、発呼時間テーブル(通信開始時刻記憶手段)13bに記憶された発呼時間(通信開始時刻)に対応する電子マネー処理装置100'との通信を行うことができたか否かを判断する(ステップS304)。
【0118】
決済処理情報を受信したと判断した場合には、管理サーバ10'は、受信した決済処理情報を決済処理情報テーブル13aに記憶するとともに(ステップS305)、ネガ情報テーブル13cに記憶されている電子マネーに関するネガ情報を電子マネー処理装置100'に送信する(ステップS306)。
【0119】
そして、電子マネー処理装置100'は、管理サーバ10'からネガ情報を受信すると、受信したネガ情報を記憶手段103に記憶する(ステップS307)
【0120】
一方、ステップS304において、決済処理情報を受信していないと判断した場合には、電子マネー処理装置100'が管理サーバ10'からの通信を受信することができなかったことを意味するので、管理サーバ10'の通信感度情報要求手段11dは、その電子マネー処理装置100'の通信感度情報記憶手段132に記憶された通信感度情報を管理サーバ10'に送信するように繰り返し要求する(ステップS308)。
【0121】
次いで、電子マネー処理装置100'は、通信感度情報の送信要求を受信したか否かを判断する(ステップS309)。所定期間内に通信感度情報の送信要求を受信しないと判断した場合には、電子マネー処理装置100'はこの定時通信処理を終了する。
【0122】
ステップS309において通信感度情報の送信要求を受信したと判断した場合には、電子マネー処理装置100'は、通信感度情報記憶手段132から通信感度情報を読み出し(ステップS310)、読み出した通信感度情報を管理サーバ10'に送信して(ステップS311)、この定時通信処理を終了する。
【0123】
通信感度情報受信手段15bを介して通信感度情報を受信すると、管理サーバ10'の通信開始時刻決定手段11aは、受信した通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置100'に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻、すなわち、新たな発呼時間を決定し(ステップS312)、管理サーバ10'は、決定した新たな発呼時間を発呼時間テーブル13bに記憶し(ステップS313)、この定時通信処理を終了する。
【0124】
以上のようにして、本実施形態においても、管理サーバ10'から電子マネー処理装置100'への定時通信が失敗したことを管理サーバ10'のサーバ通信判断手段11cにより判断した場合には、電子マネー処理装置100'の設置ロケーションにおける無線通信の通信感度(電波状況)に応じて、定時通信の通信開始時刻を最適な時間帯に変更することができる。これにより、管理サーバ10'の管理者や自動販売機21〜2N(電子マネー処理装置100')のサービスマンの手間を掛けることなく、電子マネーの決済処理情報(売上情報)の収集や電子マネーのネガ情報の更新ができなかったために従来発生していた問題点を解決することができる。したがって、電子マネー処理装置100'を搭載した自動販売機21〜2Nによる電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0125】
以上説明したように、上述の第1および第2実施形態では、電子マネーシステム1および管理サーバ10、10'は、電子マネー処理装置100、100'の通信感度測定手段109により、電子マネー処理装置100、100'と管理サーバ10、10'との間の無線通信における通信感度を定期的に測定し、管理サーバ10、10'から電子マネー処理装置100、100'への通信が発呼時間(通信開始時刻)に行えないと装置通信判断手段112またはサーバ通信判断手段11cにより判断された場合には、測定された通信感度情報に基づいて、通信開始時刻決定手段11aにより、新たな発呼時間を決定し、次回からの通信は決定された新たな発呼時間に行われるように構成した。これにより、電子マネーシステム1において、電子マネーの決済処理に関する処理情報が取得できないこと等による従来の問題(例えば、電子マネーの売上に対する資金決済ができないこと、状況によっては電子マネーの使用ができなくなることなど)を効果的に防止することができ、電子マネー処理装置100、100'を搭載した自動販売機21〜2N等による電子マネー決済のサービスを安定的に提供することができる。
【0126】
上述の実施形態では、図7に示す初期設定処理において、自動販売機21〜2Nが所定のロケーションに設置されたときに、初期設定を行い、管理サーバ10、10'において機械的に、あるいは、管理サーバ10、10'の管理者により手動で、設置された自動販売機に搭載されている電子マネー処理装置100、100'への発呼時間(通信開始時刻)が決定された場合について説明した。通常、管理サーバ10、10'は相当数の電子マネー処理装置100、100'を管理しているため、管理サーバ10、10'の負担とならないように、管理サーバ10、10'側で各電子マネー処理装置100、100'への発呼時間を決定するようにしていた。しかしながら、本発明はこのような構成に限らない。すなわち、本発明の電子マネーシステム1は、例えば、自動販売機21〜2Nの設置時には、その自動販売機21〜2Nへの発呼時間を仮に決定(発呼時間の仮決定)するが、電子マネー処理装置100、100'の通信感度測定手段109によりある程度の期間(例えば、1週間)の無線通信の通信感度のサンプリングが得られた後には、このように測定された通信感度情報に基づいて、通信の最適時間帯を判断し、その最適時間帯内の所定の時刻を管理サーバ10、10'から当該電子マネー処理装置100、100'への発呼時間と決定(発呼時間の本決定)して、本決定の発呼時間に定時通信を行うように構成されてもよい。このように構成することにより、各自動販売機21〜2Nにおいて定時通信を失敗してしまうような事態が発生する可能性をさらに低減させることができる。
【0127】
また、このような場合においても、もし定時通信に失敗することがあれば、第1または第2実施形態に記載した電子マネーシステム1のように、自動販売機21〜2Nへの発呼時間を再度決定(再調整)するように構成すればよい。
【0128】
上述の第1および第2実施形態では、自動販売機21〜2Nに搭載された電子マネー処理装置100、100'における電子マネー決済のサービスを提供する電子マネーシステム1および管理サーバ10、10'を例として本発明を説明したが、本発明は、このようなシステムだけに限定されず、例えば、周知の電子マネーを電子マネー媒体へチャージする電子マネーの入金装置に関する電子マネーシステムおよび管理サーバにも適用することができる。
【0129】
また、上述の第1および第2実施形態では、電子マネーを利用する対象として自動販売機21〜2Nを例として本発明を説明したが、本発明は、自動販売機21〜2Nに関する電子マネーシステム1および管理サーバ10、10'に限定されず、例えば、ガソリンスタンドの給油機や駐車場の駐車料金の支払い機、遊技場等に設置される両替機や遊技機に搭載された電子マネー処理装置に係る電子マネーシステムおよび管理サーバにも適用することができる。
【0130】
また、上述の第1および第2実施形態では、電子マネー処理装置100、100'が無線通信手段108を備え、この無線通信手段108を介して管理サーバ10との定時通信を行うものとして本発明を説明したが、本発明はこのような構成に限らず、自動販売機側に無線通信手段を備え、自動販売機に係る情報と電子マネー決済に係る情報の両方を送信するようなシステムにも適用することができる。この場合、通信感度測定手段109は電子マネー処理装置100、100'と自動販売機のいずれに設けられていてもよい。
【0131】
また、上述の第1および第2実施形態では、電子マネー処理装置100、100'が本発明を具現化する機能を有する制御手段101(制御部)、記憶手段103(メモリ)および無線通信手段108(通信部)を備えるものとして本発明を説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、電子マネー処理装置が制御部、メモリおよび通信部をいずれかを備えていないシステムであっても、自動販売機が備える主制御部が、自動販売機のメモリや通信部を制御するとともに、電子マネー処理装置を制御して、電子マネーの決済処理を行うシステムにおいて、当該主制御部等が本発明の電子マネー処理装置100、100'の機能を有するならば、このようなシステムに対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 電子マネーシステム
10、10' 管理サーバ
11 制御手段
11a 通信開始時刻決定手段
11b 処理情報取得手段
11c サーバ通信判断手段
11d 通信感度情報要求手段
13 記憶手段
13a 決済処理情報テーブル
13b 発呼時間テーブル
13c ネガ情報テーブル
15 通信手段
15a 通信開始時刻送信手段
15b 通信感度情報受信手段
21-2N 自動販売機
100、100' 電子マネー処理装置
101 制御手段
111 通信最適時間帯決定手段
112 装置通信判断手段
103 記憶手段
131 処理情報記憶手段
132 通信感度情報記憶手段
133 装置通信開始時刻記憶手段
134 通信最適時間帯記憶手段
108 無線通信手段
181 通信開始時刻受信手段
182 通信感度情報送信手段
109 通信感度測定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子マネー処理装置と、前記複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
前記各電子マネー処理装置は、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、
前記無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、
前記通信感度測定手段により測定された前記通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、
前記通信感度情報記憶手段に記憶されている通信感度情報に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、
前記通信最適時間帯決定手段により決定された前記最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段と
を備え、
前記管理サーバは、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、前記各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻を対応する電子マネー処理装置に送信する通信開始時刻送信手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、前記対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と
を備え、
前記各電子マネー処理装置は、
前記通信開始時刻送信手段により送信された自己に関する前記通信開始時刻を受信する通信開始時刻受信手段と、
前記通信開始時刻受信手段により受信された前記通信開始時刻を記憶する装置通信開始時刻記憶手段と、
前記装置通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に前記管理サーバからの通信を受けたか否かを判断する装置通信判断手段と、
前記装置通信判断手段により前記管理サーバからの通信を受けていないと判断した場合には、前記通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯に、前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信する通信感度情報送信手段と
をさらに備え、
前記管理サーバは、
いずれかの前記電子マネー処理装置から前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段
をさらに備え、
前記管理サーバでは、前記通信感度情報受信手段により前記通信感度情報が受信されると、前記通信開始時刻決定手段は、受信した前記通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、
前記通信開始時刻決定手段により前記新しい通信開始時刻が決定されると、前記通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を前記対応する電子マネー処理装置に対応付けて記憶し、前記通信開始時刻送信手段は、前記対応する電子マネー処理装置に前記新しい通信開始時刻を送信し、
前記対応する電子マネー処理装置では、前記通信開始時刻受信手段により前記新しい通信開始時刻が受信されると、前記装置通信開始時刻記憶手段は、既に記憶していた前記通信開始時刻を前記通信開始時刻受信手段により受信された該新しい通信開始時刻で更新して記憶することを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項2】
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項3】
前記通信感度情報送信手段は、前記通信最適時間帯記憶手段に記憶された前記最適時間帯を前記通信感度情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項4】
複数の電子マネー処理装置と、前記複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
前記各電子マネー処理装置は、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、
前記無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、
前記通信感度測定手段により測定された前記通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、
前記管理サーバからの要求に応じて、前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信する通信感度情報送信手段と
を備え、
前記管理サーバは、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、前記各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、
前記サーバ通信判断手段により前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、
前記通信感度情報要求手段に要求された前記電子マネー処理装置から前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と
を備え、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記通信感度情報に基づいて、前記電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、
前記通信開始時刻決定手段により前記新しい通信開始時刻が決定されると、前記通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を前記電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項5】
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項4に記載の電子マネーシステム。
【請求項6】
前記各電子マネー処理装置は、
前記通信感度情報記憶手段に記憶されている測定時刻毎の通信感度に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、
前記通信最適時間帯決定手段により決定された前記最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段と
をさらに備え、
前記通信感度情報送信手段は、前記通信最適時間帯記憶手段に記憶された前記最適時間帯を前記通信感度情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項4に記載の電子マネーシステム。
【請求項7】
無線通信における通信感度を定期的に測定し、測定した通信感度を記憶する複数の電子マネー処理装置のそれぞれと該無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する電子マネー処理装置の管理サーバであって、
前記各電子マネー処理装置における電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、該各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、
前記サーバ通信判断手段により前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、
前記通信感度情報要求手段に要求された前記電子マネー処理装置から前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と
を備え、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記通信感度情報に基づいて、前記電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、
前記通信開始時刻決定手段により前記新しい通信開始時刻が決定されると、前記通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする電子マネー処理装置の管理サーバ。
【請求項8】
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項7に記載の電子マネー処理装置の管理サーバ。
【請求項9】
複数の電子マネー処理装置と、前記複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
前記各電子マネー処理装置は、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、
前記無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、
前記通信感度測定手段により測定された前記通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、
前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信する通信感度情報送信手段と
を備え、
前記管理サーバは、
前記各電子マネー処理装置の前記通信感度情報送信手段により送信された前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と、
前記通信感度情報受信手段により受信された前記通信感度情報を前記各電子マネー処理装置に関連付けて記憶するサーバ通信感度情報記憶手段と、
前記サーバ通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報に基づいて、対応する前記電子マネー処理装置との通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を、該対応する電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻として決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、対応する前記電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と
を備えることを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項1】
複数の電子マネー処理装置と、前記複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
前記各電子マネー処理装置は、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、
前記無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、
前記通信感度測定手段により測定された前記通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、
前記通信感度情報記憶手段に記憶されている通信感度情報に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、
前記通信最適時間帯決定手段により決定された前記最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段と
を備え、
前記管理サーバは、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、前記各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻を対応する電子マネー処理装置に送信する通信開始時刻送信手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、前記対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と
を備え、
前記各電子マネー処理装置は、
前記通信開始時刻送信手段により送信された自己に関する前記通信開始時刻を受信する通信開始時刻受信手段と、
前記通信開始時刻受信手段により受信された前記通信開始時刻を記憶する装置通信開始時刻記憶手段と、
前記装置通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に前記管理サーバからの通信を受けたか否かを判断する装置通信判断手段と、
前記装置通信判断手段により前記管理サーバからの通信を受けていないと判断した場合には、前記通信最適時間帯記憶手段に記憶された最適時間帯に、前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信する通信感度情報送信手段と
をさらに備え、
前記管理サーバは、
いずれかの前記電子マネー処理装置から前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段
をさらに備え、
前記管理サーバでは、前記通信感度情報受信手段により前記通信感度情報が受信されると、前記通信開始時刻決定手段は、受信した前記通信感度情報に基づいて、対応する電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、
前記通信開始時刻決定手段により前記新しい通信開始時刻が決定されると、前記通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を前記対応する電子マネー処理装置に対応付けて記憶し、前記通信開始時刻送信手段は、前記対応する電子マネー処理装置に前記新しい通信開始時刻を送信し、
前記対応する電子マネー処理装置では、前記通信開始時刻受信手段により前記新しい通信開始時刻が受信されると、前記装置通信開始時刻記憶手段は、既に記憶していた前記通信開始時刻を前記通信開始時刻受信手段により受信された該新しい通信開始時刻で更新して記憶することを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項2】
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項3】
前記通信感度情報送信手段は、前記通信最適時間帯記憶手段に記憶された前記最適時間帯を前記通信感度情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項4】
複数の電子マネー処理装置と、前記複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
前記各電子マネー処理装置は、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、
前記無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、
前記通信感度測定手段により測定された前記通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、
前記管理サーバからの要求に応じて、前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信する通信感度情報送信手段と
を備え、
前記管理サーバは、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、前記各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、
前記サーバ通信判断手段により前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、
前記通信感度情報要求手段に要求された前記電子マネー処理装置から前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と
を備え、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記通信感度情報に基づいて、前記電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、
前記通信開始時刻決定手段により前記新しい通信開始時刻が決定されると、前記通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を前記電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項5】
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項4に記載の電子マネーシステム。
【請求項6】
前記各電子マネー処理装置は、
前記通信感度情報記憶手段に記憶されている測定時刻毎の通信感度に基づいて、電波状態の良好な最適時間帯を決定する通信最適時間帯決定手段と、
前記通信最適時間帯決定手段により決定された前記最適時間帯を記憶する通信最適時間帯記憶手段と
をさらに備え、
前記通信感度情報送信手段は、前記通信最適時間帯記憶手段に記憶された前記最適時間帯を前記通信感度情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記最適時間帯に基づいて、該最適時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項4に記載の電子マネーシステム。
【請求項7】
無線通信における通信感度を定期的に測定し、測定した通信感度を記憶する複数の電子マネー処理装置のそれぞれと該無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する電子マネー処理装置の管理サーバであって、
前記各電子マネー処理装置における電子マネーの決済処理に関する処理情報を取得するために、該各電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻を決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、対応する電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができたか否かを判断するサーバ通信判断手段と、
前記サーバ通信判断手段により前記対応する電子マネー処理装置との通信を行うことができなかったと判断した場合には、該電子マネー処理装置の前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信するように繰り返し要求する通信感度情報要求手段と、
前記通信感度情報要求手段に要求された前記電子マネー処理装置から前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と
を備え、
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した前記通信感度情報に基づいて、前記電子マネー処理装置に対して新たに通信を開始する時刻を示す新しい通信開始時刻を決定し、
前記通信開始時刻決定手段により前記新しい通信開始時刻が決定されると、前記通信開始時刻記憶手段は、該新しい通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶することを特徴とする電子マネー処理装置の管理サーバ。
【請求項8】
前記通信開始時刻決定手段は、前記通信感度情報受信手段により受信した測定時刻毎の通信感度に基づいて、通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を前記新しい通信開始時刻として決定することを特徴とする請求項7に記載の電子マネー処理装置の管理サーバ。
【請求項9】
複数の電子マネー処理装置と、前記複数の電子マネー処理装置のそれぞれと無線通信を介して接続することにより、該電子マネー処理装置における電子マネーの処理情報を受信して管理する管理サーバとを備える電子マネーシステムであって、
前記各電子マネー処理装置は、
電子マネーの決済処理に関する処理情報を記憶する処理情報記憶手段と、
前記無線通信における通信感度を定期的に測定する通信感度測定手段と、
前記通信感度測定手段により測定された前記通信感度およびその測定時刻からなる通信感度情報を記憶する通信感度情報記憶手段と、
前記通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報を前記管理サーバに送信する通信感度情報送信手段と
を備え、
前記管理サーバは、
前記各電子マネー処理装置の前記通信感度情報送信手段により送信された前記通信感度情報を受信する通信感度情報受信手段と、
前記通信感度情報受信手段により受信された前記通信感度情報を前記各電子マネー処理装置に関連付けて記憶するサーバ通信感度情報記憶手段と、
前記サーバ通信感度情報記憶手段に記憶された前記通信感度情報に基づいて、対応する前記電子マネー処理装置との通信が最適な時間帯を判断し、該最適な時間帯内の所定の時刻を、該対応する電子マネー処理装置に対して通信を開始する時刻を示す通信開始時刻として決定する通信開始時刻決定手段と、
前記通信開始時刻決定手段により決定された前記通信開始時刻を前記各電子マネー処理装置に対応付けて記憶する通信開始時刻記憶手段と、
前記通信開始時刻記憶手段に記憶された前記通信開始時刻に、対応する前記電子マネー処理装置と通信を行うことにより、該電子マネー処理装置の前記処理情報記憶手段から前記処理情報を取得する処理情報取得手段と
を備えることを特徴とする電子マネーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−248124(P2012−248124A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121115(P2011−121115)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]