説明

電子マネー決済システムおよび携帯端末

【課題】複数ユーザが請求総額に対して分担支払できる電子マネー決済システムおよびそれに用いられる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末4とPOS端末1を有する電子マネー決済システムにおいて、携帯端末4は、電子マネー残高・ICカード識別情報の記憶手段を備えるICカード機能部5、支払金額を設定する制御手段15、POS端末1と近距離無線通信して支払金額をICカード識別情報と共にPOS端末1に送信し、応答信号を受信する送受信手段6を備え、POS端末は、送受信手段6からの支払金額・ICカード識別情報を受信し、応答信号を送信する送受信手段7、ICカード機能部5と通信するICカードリーダライタ3、携帯端末4のICカード識別情報・電子マネー残高を読取り、電子マネー残高を更新し、支払金額を請求金額から差し引いて新請求金額として更新するPOS端末制御手段9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー決済システムに関し、特に、非接触式の電子マネー決済(非接触ICカード)機能を搭載する携帯端末とPOS(Point Of Sales)端末とを有する電子マネー決済システムおよびそれに用いられる携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばSuicaやEdy等の非接触ICカードを用いることによる電子マネーを利用した支払いが急速に普及している。これらの使用にあたっては、事前に専用端末により電子マネーを非接触ICカードにチャージ(入金)しておき、そのチャージした金額を限度額として金銭の支払いに使用するものが一般的である。これらを用いれば、現金を必要とせずに簡単に支払いを済ますことができ、さらに釣銭の小銭がたまる煩わしさもなく、大変便利である。チャージした金額以上に支払うことはできないため、クレジットカードのように思わずお金を使い過ぎてしまうという心配もない。
【0003】
最近では、上述の非接触ICカードの機能を携帯電話などの携帯端末に搭載することも一般的になってきている。このような携帯端末においては、ユーザは、インターネット網等を通じて特定のサイトにアクセスすることで、自らが所有する非接触ICカードの内部情報を見ることができる。すなわち、過去の利用履歴を参照したり、専用端末を使用せずにクレジットカード決済などでICカードにチャージをしたり、さらには非接触ICカードの機能に交通定期券の機能も搭載させている場合には、その定期券使用期間の更新等もインターネット網等を通じて行うことができる。
【0004】
特に、携帯電話のような携帯端末は、腕時計と同等かまたはそれ以上に、常に携帯することが一般化したツールになっている。さらに、最近の携帯端末においては、メール機能、カメラ撮影機能、動画撮影機能といった機能のみならず、デジタルラジオ、ワンセグテレビ放送、シリコンオーディオの機能といったような、長時間利用する機能まで搭載されてきている。このように種々の便利な機能を備えているため、一般に財布を持ち歩かないような場面でも携帯端末は携帯するというユーザも多く、少額の金銭の支払いが必要になった際に、携帯端末でさらに支払いまで済ますことができる機能は大変便利である。このような利便性から、非接触ICカードの機能を搭載した携帯端末で電子マネーの支払いの機能を利用するユーザは増加の一途を辿っている。
【0005】
電子マネーで金銭の支払いを行う場合は、非接触ICカード(以下、適宜「ICカード」と称する)機能を有するカードまたは携帯端末を、支払いを行う店舗のPOS(Point Of Sales)端末に接続されているICカードリーダライタにかざすように近づけることにより、非接触式に自動で支払いが行われる。この時、店舗のPOS端末は、ICカードリーダライタを経て、カードまたは携帯端末のICカードに記録されている電子マネー残高を参照し、支払金額以上に電子マネー残高がある場合には、この電子マネー残高から支払金額を差し引いた金額を新たな電子マネー残高としてICカードに上書きする。こうすることで、カードまたは携帯端末のユーザは、釣り銭が発生せずスムーズに支払を済ませることができる。
【0006】
ところで、上述したようなICカード機能による支払いにおいては、一度の会計に対する支払いは、1人のユーザが1回の支払いで行うことを想定しているのが一般的である。したがって、複数のユーザがそれぞれに購入したものに対して、その複数のユーザが1つのグループとして会計を一度にまとめて行った場合であっても、最初に支払いをするユーザ1人が全ての支払いをしなければならない。最初に支払いをするユーザが自分のカードまたは携帯端末をICカードリーダライタにかざした瞬間に、請求総額が電子マネー残高以下であれば一度に電子マネーが全支払総額ぶん差し引かれてしまう。これでは、例えばグループの飲食費などを請求総額に対してグループの人数で割り勘(勘定を各人に平均に割り当てて支払う)にして支払いするなど、数人のユーザで支払金額を分担することはできず、著しく不便である。
【0007】
そこで、上記の問題を解決すべく、割勘支払などの決済処理が可能なPOS端末が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−16032
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、次のような問題点がある。すなわち、この方法では、一度にまとめた会計に対して複数人で支払をする際に、割り勘すなわち請求金額を人数で割ることしかできないため、分担支払(自らの利用金額に応じて各人が個別の決済を行う)など、支払者が自らの支払金額(支払上限金額)を設定するような決済方法を選択することはできず不便である。また、各決済処理を行う際には、電子マネーカードの挿入および排出も含めて、基本的に全ての処理操作をPOS端末の操作者が行わなければならないため、操作者の負担が大きいという問題点もある。
【0009】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、比較的簡単なシステム構成で、金銭の請求および決済を行う店舗側の負担を軽減でき、複数のユーザが請求総額から自らの支払金額を支払う分担支払が可能な電子マネー決済システムおよびそれに用いられる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する請求項1に係る電子マネー決済システムの発明は、携帯端末とPOS端末とを用いて電子マネー決済を行う電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する制御を行う携帯端末制御手段と、
前記POS端末と近距離無線通信して、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記POS端末に送信し、その応答信号を受信する携帯端末側送受信手段とを備え、
前記POS端末は、
前記携帯端末側送受信手段から送信される前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を前記携帯端末から受信し、その応答信号を前記携帯端末側送受信手段に送信するPOS端末側送受信手段と、
前記携帯端末の前記ICカード機能部と通信して、前記記憶手段に記憶された前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報を読み取ると共に、前記電子マネー残高を更新するICカードリーダライタと、
前記ICカードリーダライタを介して、前記電子マネー残高から前記支払上限金額を差し引いた電子マネー差引残高を新たな電子マネー残高として前記携帯端末の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高を更新するように制御すると共に、前記支払上限金額を請求金額から差し引いて新たな請求金額として更新するPOS端末制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末側送受信手段と前記POS端末側送受信手段との間の近距離無線通信を、赤外線通信としたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末はさらに、前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段を備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、前記支払上限金額を設定する制御を開始する時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、前記POS端末が前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を受信したことを示す応答信号を、前記携帯端末側送受信手段が受信した時点で前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御し、
さらに前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とするものである。
【0013】
さらに、上記目的を達成する請求項4に係る電子マネー決済システムの発明は、
携帯端末とPOS端末とサーバとを用いて電子マネー決済を行う電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する制御を行う携帯端末制御手段と、
前記サーバとの間の無線通信により、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記サーバに送信し、その応答信号を受信する無線通信手段とを備え、
前記POS端末は、
前記携帯端末の前記ICカード機能部と通信して、前記記憶手段に記憶された前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報を読み取ると共に、前記電子マネー残高を更新するICカードリーダライタと、
請求金額と、前記ICカードリーダライタで読み取った前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報とを含む決済要求を前記サーバに送信すると共に、前記請求金額から前記支払上限金額を差し引いた差引請求金額と、前記電子マネー残高から前記支払上限金額を差し引いた電子マネー差引残高とを含む決済内容を前記サーバから受信するPOS側情報送受信手段と、
前記サーバから受信した前記差引請求金額を新たな請求金額として処理し、前記電子マネー差引残高を新たな電子マネー残高として、前記ICカードリーダライタを介して、前記携帯端末の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高を更新する制御手段とを備え、
前記サーバは、
前記携帯端末から前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に無線により受信し、その応答信号を送信する第1送受信手段と、
前記POS端末から前記決済要求を受信し、前記決済内容を送信する第2の送受信手段と、
前記携帯端末から受信した前記支払上限金額を、前記POS端末から受信した前記請求金額から差し引いた差引請求金額と、前記携帯端末から受信した前記支払上限金額を、前記POS端末から受信した前記携帯端末の前記電子マネー残高から差し引いた電子マネー差引残高とを算出し、該算出した差引請求金額および該電子マネー差引残高を前記第2送受信手段を介して前記POS端末に送信する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末はさらに、前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段を備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、前記支払上限金額を設定する制御を開始する時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、前記サーバが前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を受信したことを示す応答信号を、前記無線通信手段が受信した時点で前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御し、
さらに前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とするものである。
【0015】
さらに、上記目的を達成する請求項6に係る電子マネー決済システムの発明は、
携帯端末とPOS端末とを用いて電子マネー決済を行う電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する制御を行う携帯端末制御手段と、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備え、前記POS端末と近距離無線通信して、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記POS端末に送信し、その応答信号を前記POS端末から受信するICカード機能部とを備え、
前記POS端末は、
前記携帯端末の前記ICカード機能部と通信して、前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を受信し、その応答信号を送信するとともに、前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報を読み取り、前記電子マネー残高を更新するICカードリーダライタと、
前記ICカードリーダライタを介して、前記電子マネー残高から前記支払上限金額を差し引いた電子マネー差引残高を新たな電子マネー残高として前記携帯端末の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高を更新するように制御すると共に、前記支払上限金額を請求金額から差し引いて新たな請求金額として更新するPOS端末制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の電子マネー決済システムにおいて、
前記ICカード機能部と前記ICカードリーダライタとの間の近距離無線通信を、RFID通信としたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項6または7に記載の電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末はさらに、前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段を備え、
前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とするものである。
【0018】
さらに、上記目的を達成する請求項9に係る携帯端末の発明は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する設定手段と、
前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共にPOS端末に送信し、その応答信号を受信する近距離無線通信手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0019】
さらに、上記目的を達成する請求項10に係る携帯端末の発明は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する設定手段と、
前記支払上限金額と前記ICカード識別情報とをサーバに送信し、該サーバからの応答信号を受信する送受信手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0020】
請求項11に係る発明は、請求項9または10に記載の携帯端末において、
前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段をさらに備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、
前記設定手段により前記支払上限金額の設定を行う設定モードになった時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、前記応答信号を受信した時点で前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御し、
前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とするものである。
【0021】
さらに、上記目的を達成する請求項12に係る携帯端末の発明は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を有し、かつ、ICカードリーダライタと近距離無線通信を行うICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する設定手段とを備え、
前記ICカード機能部は、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記ICカードリーダライタに送信し、その応答信号を受信することを特徴とするものである。
【0022】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の携帯端末において、
前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段をさらに備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一度にまとめた会計に対して、複数のユーザが請求総額のうち自らの支払金額を携帯端末に各自設定して決済を行うことができるようにしたので、店舗側が煩わしさを感じることなく、簡単にしかも迅速に分担支払を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0025】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0026】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子マネー決済システムの概略構成を示す図である。
【0027】
この電子マネー決済システムは、店舗側が使用するPOS端末1と、POS端末1が例えば専用線を介して接続する電子マネー決済システム網100と、電子マネー決済システム網100に接続し、電子マネーによる各種決済処理を管理するサーバ2と、POS端末1に有線または無線で接続されて電子マネーカードのカード情報の読み取りを行うICカードリーダライタ3と、支払いを行う少なくとも1人のユーザが使用する携帯端末4とで構成される。携帯端末4はさらに、ICカード機能部5、および携帯端末側送受信手段を構成する携帯端末側赤外線通信手段6を備え、ICカードリーダライタ3はさらに、POS端末側送受信手段を構成するPOS側赤外線通信手段7を備えている。電子マネー決済システム網100には、POS端末1の他にも複数の決済端末が接続する。携帯端末4を用いて支払いを行うユーザが複数いる場合には、携帯端末4も複数個存在することになる。なお、図1ではICカードリーダライタ3をPOS端末1と別体としたが、POS端末1はICカードリーダライタ3を含んで構成する。したがって、POS端末1はICカードリーダライタ3を内蔵して構成してもよい。また、例えば、複数のPOS端末を有する店舗などでは、当該複数のPOS端末を一括管理するPOSサーバを介して電子マネー決済システム網100に接続してもよい。この電子マネー決済システムを構成する各装置および機能部そのものは、通常の電子マネー決済システムで使用されている既知のものと同様のものであるため、その詳細については説明を省略する。
【0028】
図2は、図1の電子マネー決済システムの各機能を説明する概略ブロック図である。図1と同じ装置、手段および機能部を表すものは、同じ番号を付してある。
【0029】
図2に示す電子マネー決済システムでは、店舗側システムとしてPOS端末1と、携帯端末4のICカード機能部5とRFID通信して各情報を読み取るICカードリーダライタ3と、サーバ2とを有している。このICカードリーダライタ3は、携帯端末側赤外線通信手段6と通信するPOS側赤外線通信手段7を備えている。POS端末1は、電子マネー決済システム網100を介してサーバ2と通信を行うPOS側情報送受信手段8と、全体の動作を制御する制御手段9とを有しており、ICカードリーダライタ3およびPOS側赤外線通信手段7は、制御手段9に接続されている。
【0030】
携帯端末4は、前述のICカード機能部5および携帯端末側赤外線通信手段6の他に、ICカード機能部5に電力を供給するか否かを制御するICカード機能電力制御手段10と、無線通信を行う無線通信手段11と、ユーザが携帯端末4に各種情報を入力するための入力手段12と、必要な各種情報を表示してユーザに知らせる表示手段13と、必要に応じて機能の所要時間を計時する計時手段14と、前記各機能部を制御する制御手段15とを有している。ICカード機能部5は内部に記憶手段(図示せず)を有し、この記憶手段には、電子マネーの残高等を表す電子マネー情報、およびICカード機能の固体識別を行うためのICカードID情報(識別番号)が記憶されている。また、制御手段15は、分担支払設定アプリケーションや電話アプリケーション等の各種アプリケーションを有し、起動するアプリケーションに応じて全体の動作を制御するようになっている。したがって、制御手段15は、電子マネーの分担支払時には、ユーザ入力に基づいて支払金額(支払上限金額)を設定する設定手段も構成している。
【0031】
以下、図3〜5のフローチャート、図6の表示画面例および図7の概略模式図を参照して、本実施の形態に係る電子マネー決済システムを用いて支払者が自らの支払金額を設定して決済(分担支払)する方法を説明する。一例として、10000円の商品を3人のユーザA、BおよびCが共同で購入し、支払は、ユーザAが5000円、ユーザBは3000円、ユーザCは2000円をそれぞれ順番に支払うものとして説明する。
【0032】
図3は、本実施の形態による分担支払の全体の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0033】
まず、最初に支払いをするユーザAは、自分の携帯端末4の分担支払用アプリケーションを起動してユーザ処理を行うようにする(ステップS1)。このユーザ処理の内容の詳細を図4のフローチャートに示す。
【0034】
図4のユーザ処理においては、まずユーザAは入力手段12を用いて自分の携帯端末4の分担支払設定アプリケーションを起動すると、制御手段15は、ICカード機能部5内部の記憶手段から電子マネー情報を読み取り、例えば図6(A)のように、表示手段13に電子マネー残高を表示する(ステップS101)。本例では、ユーザAは、予め20000円の電子マネーをチャージしているものとする。
【0035】
この分担支払設定アプリケーションが起動すると、携帯端末4の制御手段15はICカード機能電力制御手段10に信号を送り、例えばICカード機能部5に対する電力の供給を切断するなどして、ICカード機能部5を無効化する(ステップS102)。
【0036】
このように、ICカード機能部5を無効化することで、分担支払の設定をしている最中に携帯端末4を不用意にICカードリーダライタ3に近づけてしまったとしても、ユーザAが請求金額10000円の全額の支払いを意図せず済ませてしまうことを防止する。
【0037】
次に、ユーザAは、入力手段12を用いて、自分が支払う金額を入力する(ステップS103)。続いて、制御手段15は、ICカード機能部5からICカードID情報を読み出して確認する(ステップS104)。
【0038】
ICカードID情報の確認が取れたら、制御手段15は、ID情報確認完了の旨を表示手段13に表示する(ステップS106)。次に、制御手段15は、例えば図6(B)のような画面を表示手段13に表示して、携帯端末4の赤外線ポートである携帯端末側赤外線通信手段6を通信先であるPOS側赤外線通信部7に向けるようユーザに促して(ステップS107)、赤外線送信を開始するか否かをユーザに問う(ステップS108)。
【0039】
ユーザは、表示手段13に表示された支払内容が正しいと確認したら、図7(A)に示すように、赤外線送信を開始することによりユーザ処理を終了する。本例では、ユーザAは5000円の支払を希望しているので、例えば図6(B)に示すように、もし5000円支払ったとしたら、その後の差引残高は15000円になる旨も表示手段13に表示することができる。ここで、支払金額の入力を間違えた場合には、ステップS103に戻って支払金額の入力からやり直す。
【0040】
なお、ステップS104でICカードID情報の確認ができない場合には、ユーザに登録を促し、このままではICカードによる決済ができない旨を表示手段13に表示して(ステップS105)、それ以上先のステップには進めないようにして、当該携帯端末4による分担支払を禁止する。
【0041】
ステップS108で送信を実行したら、図3に示すように、POS端末1は、携帯端末4からのユーザAの支払金額情報およびICカードID情報を受信する(ステップS2)。この受信が完了すると、受信完了通知を、今度はPOS端末1から携帯端末4に、赤外線通信手段7および6を介して送信する(ステップS3)。
【0042】
その後、携帯端末4側では、POS端末1がユーザAの支払金額情報およびICカードID情報を正常に受信したということを確認してから、制御手段15がICカード機能電力制御手段10に信号を送信して、ICカード機能部5を有効化する(ステップS4)。したがって、携帯端末4とPOS端末1とが赤外線通信で送受信をしている間は、両端末を接近させたとしても、その間に電子マネーが意図せずに決済されてしまうことは防止できる。さらに、この赤外線通信が何らかの事情により正常に行うことができなかった場合にはICカード機能部5が有効化されないため、ユーザが端末同士の通信の失敗に気付かずに携帯端末4をPOS端末1のICカードリーダライタ3に近づけても、ユーザの意図に反して自分の設定した金額を超えて決済されてしまうことは防止できる。なお、このICカード機能部5の無効化および有効化は、電力を供給する配線をスイッチ等で物理的に切断および接続する場合に限らず、ソフト制御にて行ってもよい。
【0043】
以上の操作によって電子マネーによる決済の準備が整ったので、ユーザAは、図7(B)に示すように、携帯端末4のICカード機能部5をPOS端末のICカードリーダライタ3にかざすことにより、ICカード機能部5から、ユーザAの電子マネー残高およびICカードID情報を、ICカードリーダライタ3を経てPOS端末1に送信する(ステップS5)。この後、この支払処理が終了するまで、表示手段13に例えば図6(C)のようなメッセージを表示することができる。
【0044】
POS端末1では、現在受信したICカードID情報が、先ほど赤外線で受信したICカードID情報と一致するか否かを確認する(ステップS6)。両者が一致しない場合には、POS端末1は、先ほど赤外線にて情報を受信したユーザと現在支払を行おうとしているユーザが同一でないと判断して、ICカードIDが否認された旨をPOS端末1上に表示して(ステップS7)、もう一度ステップS1のユーザ処理からのやり直しを促す。
【0045】
ステップS6にて、両ICカードID情報が一致する場合には、ユーザAの電子マネー残高と、支払金額の大小を比較し(ステップS8)、電子マネー残高が支払金額に満たない場合には、残高不足により決済不可能である旨の通知をPOS端末1上に表示する(ステップS9)。この場合には、ステップS1のユーザ処理に戻り、当該ユーザに現金での支払いをさせるか、または他のユーザに支払いを交替するようにする。
【0046】
本例の場合には、ユーザAの電子マネー残高は20000円で支払金額は5000円であるので、電子マネー残高が支払金額以上となる。このような場合には支払いが可能であるので、次に支払金額と、商品の購入による請求金額との大小を比較する(ステップS10)。
【0047】
支払金額が請求金額以上となる場合には、このユーザが全ての請求金額の代金を支払うものとして、このあとは通常の電子マネー決済と同様となる(ステップS11)。本例の場合には、請求金額10000円に対してユーザAはそのうち5000円のみを支払う。このように支払金額が請求金額に満たない場合には、POS端末1は、ユーザAの電子マネー残高から支払金額を差し引いて(ステップS12)、差し引き後の金額を新しい残高である電子マネー差引残高として、ICカードリーダライタ3を経て、ICカード機能部5内の電子マネー情報を書き換える(ステップS13)。本例の場合は、ユーザAの電子マネー残高から5000円を差し引き、新たな残高として電子マネー情報を15000円に書き換える。
【0048】
この後、意図せずに同一ユーザから2度の決済を行わないようにするために、二度払い防止処理を行う。この処理のフローチャートを図5に示す。
【0049】
図5の二度払い防止処理では、ユーザの電子マネー決済が終了した後、ステップS110にて、制御手段15がカード機能電力制御手段10に信号を送り、ICカード機能部5を無効化する(ステップS110)。この無効化も、電力を供給する配線をスイッチ等で物理的に切断する場合に限らず、ソフト制御にて行ってもよい。
【0050】
ICカード機能部5のこの無効化をトリガとして、計時手段14は時間の計測を開始する。所定の時間またはユーザが予め設定した時間が経過した後(ステップS111)、制御手段15はICカード機能部5を有効化する(ステップS112)。この間、携帯端末4の表示手段13に、例えば図7(D)のような表示をすることもできる。このようにすることで、一度決済を済ませた直後に、ICカード機能部5をICカードリーダライタ3に不用意に近づけてしまった場合でも、意図せず連続して2度の決済をしてしまうことが防止できる。
【0051】
以上でユーザAの支払処理が完了するが、本例の場合は、請求金額10000円のうち、ユーザAが5000円を払ったのみであり、まだ残金である差引請求金額が5000円ある。このような場合には、支払後の残金がPOS端末1上に表示される(ステップS15)。
【0052】
次のステップS16にて、支払金額が請求金額に達していない場合にはS1に戻り、次のユーザが、上述の同じ手順に従って自分の支払分の決済を行う。本例の場合には、ユーザBが、上述の手順に従って自らの支払分である3000円を支払う。ユーザBは自分の携帯端末で自らの支払金額である3000円を入力して設定し、電子マネーの決済を行う。したがってこの場合のステップS15では、ユーザAおよびBの支払後であるから、残金は2000円となり、ステップS16を経て再度ステップS1に戻る。次にユーザCが同様の手順で自らの支払金額である2000円を入力して設定し、電子マネー決済を行う。この場合、次のステップS16では未払金額が0円となり、次のステップに進む。
【0053】
全ての支払が終了すると、それまでの電子マネー決済に関する決済情報(決済が行われた日時データやICカードID情報とそれに対応する支払金額等)をサーバ2に送信して(ステップS17)、全ての動作を終了する。なお、決済情報は、決済が行われる都度、サーバ2に送信しても良いし、所定時間毎に蓄積した複数の決済情報をまとめて送信しても良い。
【0054】
なお、ステップS104において、ICカード機能部5のICカードID情報が確認できなかった場合には、当該ICカード機能部5のICカード機能を当該携帯端末4で使用できる状態ではないため、このユーザは、当該端末では電子マネーによる決済はできない。この場合には、当該ユーザは、現金による支払いをするか、または当該ユーザの支払い分を他のユーザに代理で支払ってもらうようにするなどの処理を行う。
【0055】
本実施の形態によれば、各ユーザが分担支払アプリケーションを起動して自らの支払金額を設定して分担支払を行えるようにしたので、店舗側が煩わしさを感じることなく、簡単にしかも迅速に分担支払を行うことができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、例えば、支払額に応じてポイントが蓄積されて何らかの特典に利用できるようなシステムになっている場合であっても、各ユーザの支払額に応じて当該ポイントを割り当てることができる。
【0057】
(第2実施の形態)
図8は、本発明の第2実施の形態に係る電子マネー決済システムの各機能を説明する概略ブロック図である。第1実施の形態に係る電子マネー決済システムを構成する装置、手段および機能部と同じものには同じ番号を付して示してある。本実施の形態に係る電子マネー決済システムは、その構成の大部分が第1実施の形態に係る電子マネー決済システムと同じであるので、これらの相違点について重点的に説明し、第1実施の形態と同じ説明は適宜省略する。
【0058】
本実施の形態では、サーバ2を、無線通信を行うための基地局16と有線または無線で接続して、この基地局16と携帯端末4の無線通信手段11とが無線通信によりデータ交換を行えるようになっている。より詳細には、このサーバ2は、基地局16と接続している第1送受信手段17と、電子マネー決済システム網100(図示せず)を介してPOS端末1のPOS側情報送受信手段8と接続している第2送受信手段18と、第1および第2送受信手段と接続してこれらを制御する制御手段19とを備えている。また、第1実施の形態で示した携帯端末側赤外線通信手段6およびPOS側赤外線通信手段7は、省略している。
【0059】
以下、図9〜10のフローチャート、図11の表示画面例および図12の概略模式図を参照して、本実施の形態に係る電子マネー決済システムを用いて支払者が自らの支払金額を設定して決済(分担支払)する方法を説明する。なお、本実施の形態は、複数のユーザが連続して電子マネー決済を行うことができる点では第1実施の形態と変わりがないため、一例として、10000円の商品を複数のユーザが共同で購入し、ユーザAが5000円を支払う際の手順についてのみ説明する。
【0060】
まず、図9に示すように、ユーザAは自分の携帯端末4を用いてユーザ処理を実行する(ステップS201)。このユーザ処理では、図10に示すように、ユーザAが携帯端末4の分担支払設定アプリケーションを起動する(ステップS1201)。この時、例えば図12(A)のように、表示手段13に電子マネー残高を表示することができる。分担支払設定アプリケーションを起動すると、制御手段15はICカード機能電力制御手段10に信号を送り、ICカード機能部5を無効化し(ステップS1202)、ユーザの不注意によって、意図せずに請求金額を全て支払ってしまうことを防止する。
【0061】
本実施の形態では、ユーザ側が行う作業は、基本的に第1実施の形態にて行う作業と変わらない。ユーザは携帯端末4に自分が支払う金額を入力する(ステップS1203)。すると制御手段15がICカード機能部5の記憶手段からICカードID情報を確認する(ステップS1204)。この確認が完了すると(ステップS1206)、例えば図11(B)のようなメッセージを表示手段13に表示して、支払金額情報およびICカードID情報を送信するか否かを問う(ステップS1207)。ここで、ユーザが送信開始を選択すると、図12(A)に示すように、携帯端末4の無線通信手段11と基地局16とが無線通信を開始して、制御手段15は、基地局16を介してユーザAの支払金額情報およびICカードID情報をサーバ2の第1送受信手段に送信するよう制御し、ユーザ処理を終了する。これに対し、支払金額の入力を間違えた場合には、これらの情報を送信せずに、ステップS1203に戻って支払金額の入力からやり直す。
【0062】
次に、図9に示すように、サーバ2にユーザAの支払金額情報およびICカードID情報が送信され、サーバ2がこれらの情報の正常な受信を完了すると(ステップS202)、サーバの制御手段19は、情報が正常に受信されたことを携帯端末4に通知するように第1送受信手段17を制御する(ステップS203)。携帯端末4の無線通信手段11がこの通知を正常に受信したら(ステップS204)、制御手段15はICカード機能電力制御手段10に信号を送信して、ICカード機能部5を有効化する(ステップS205)。
【0063】
以上の操作によって電子マネーによる決済の準備が整ったので、ユーザAは、図12(B)に示すように、ICカード機能部5をICカードリーダライタ3にかざすことにより、ICカード機能部5から、ユーザAの電子マネー残高およびICカードID情報を、ICカードリーダライタ3を経てPOS端末1に送信する(ステップS206)。
【0064】
次に、POS端末1の制御手段9は、ユーザAの電子マネー残高およびICカードID情報と共に、POS端末1に登録されている請求金額をまとめて決済要求として、サーバ2の第2送受信手段に送信するようにPOS側情報送受信手段8を制御する(ステップS207)。
【0065】
サーバ2が決済要求を受信すると、サーバ2の制御手段19は、携帯端末4の無線通信手段11から基地局16経由で受信したICカードID情報と、ICカード機能部5からICカードリーダライタ3およびPOS端末1経由で受信したICカードID情報とが一致するか否かを確認する(ステップS208)。両者が一致しない場合には、サーバ2の制御手段19は、先ほど無線通信にて情報を受信したユーザと現在支払を行おうとしているユーザが同一でないと判断して、ICカードIDが否認された旨の表示をPOS端末1上に表示させるための信号をPOS側情報送受信手段8に送信する。この信号に基づいて、POS端末1は、ICカードIDが否認された旨を表示する(ステップS209)。この場合は、もう一度ステップS201のユーザ処理からのやり直しを促す。
【0066】
2つのICカードID情報が一致する場合には、次にサーバ2の制御手段19は、ユーザAの電子マネー残高と、支払金額の大小を比較し(ステップS210)、電子マネー残高が支払金額に満たない場合には、残高不足により決済不可能である旨の表示をPOS端末1上に表示させるための信号をPOS側情報送受信手段8に送信する。この信号に基づいて、POS端末1は、残高不足により決済不可能である旨を表示する(ステップS211)。
【0067】
電子マネー残高が支払金額以上の場合は、次に、ユーザAの支払金額と、POS端末から受信した請求金額との大小を比較する(ステップS212)。支払金額が請求金額以上となる場合には、このユーザが全ての請求金額を支払うものとして、このあとは通常の電子マネー決済と同様となる(ステップS213)。支払金額が請求金額に満たない場合には、サーバ2の制御手段19は、ユーザAの電子マネー残高から支払金額を差し引いて(ステップS214)、差し引き後の金額を新しい残高である電子マネー差引残高として算出し、さらにICカードリーダライタ3を経てICカード機能部5内の電子マネー情報をこの電子マネー差引残高に書き換えるように、POS側情報送受信手段8に信号を送信する。その信号に基づいて、POS端末1の制御手段9は、ICカードリーダライタ3を経てICカード機能部5内の電子マネー情報を書き換える(ステップS215)。
【0068】
この後、二度払い防止処理を行うのは第1実施の形態と同じである(ステップS216)。
【0069】
さらに、サーバ2の制御手段19は、請求金額からユーザAの支払金額を差し引いた残金を差引請求金額として算出し、その金額を新たな請求金額としてPOS端末1のPOS側情報送受信手段8に送信するように制御する(ステップS217)。これに基づいて、POS端末1は、新たな請求金額を表示する。
【0070】
以降、請求金額がゼロになるまで、次のユーザが上記支払を繰り返すようにするのも第1実施の形態と同じである。
【0071】
これ以降の手順については、第1実施の形態で述べた手順と同じであるので、説明を省略する。
【0072】
本実施の形態によれば、携帯端末4が基地局16と通信する電波の届く範囲内であれば、ユーザの居場所に関わらず、ユーザ処理をして自らの支払金額の設定ができる。すなわち、携帯端末4の赤外線ポートを通信先に向ける動作をすることなく、支払金額およびICカードID情報を送信することができる。
【0073】
(第3実施の形態)
図13は、本発明の第3実施の形態に係る電子マネー決済システムの各機能を説明する概略ブロック図である。第1および第2実施の形態に係る電子マネー決済システムを構成する装置、手段および機能部と同じものには同じ番号を付して示してある。本実施の形態に係る電子マネー決済システムは、サーバ2および基地局16の構成を除けば、その構成の大部分が第2実施の形態に係る電子マネー決済システムと同じであるので、これらの相違点について重点的に説明し、同じ説明は適宜省略する。
【0074】
本実施の形態は、支払金額情報およびICカードID情報を、携帯端末4と基地局16との通信によりサーバ2を介してPOS端末1に送信するのではなく、携帯端末4のICカード機能部5を用いてICカードリーダライタ3からPOS端末1に送信するようにしたものである。
【0075】
以下、図14〜15のフローチャート、図16の表示画面例および図17の概略模式図を参照して、本実施の形態に係る電子マネー決済システムを用いて支払者が自らの支払金額を設定して決済(分担支払)する方法を説明する。なお、本実施の形態でも、複数のユーザが連続して電子マネー決済を行うことができる点では第1および第2実施の形態と変わりがないため、一例として、10000円の商品を複数のユーザが共同で購入し、ユーザAが5000円を支払う際の手順についてのみ説明する。
【0076】
まず、図14に示すように、ユーザ処理を実行する(ステップS301)。このユーザ処理では、図15に示すように、ユーザAが携帯端末4の分担支払設定アプリケーションを起動する(ステップS1301)。この時、例えば図16(A)のように、表示手段13に電子マネー残高を表示する。本実施の形態では、分担支払設定アプリケーションを起動しても、ICカード機能部5を無効化するように電力供給を制御する処理は行われない。
【0077】
次に、図15に示すように、ユーザに支払い金額の入力を促し(ステップS1302)、入力が完了したら、制御手段15は、ICカード機能部5のICカードID情報を確認し(ステップS1303)、確認がとれない場合にはユーザに登録を促し(ステップS1304)、強制終了になる。ICカードID情報が確認できた場合には、制御手段15は、ID情報確認完了の旨を表示手段13に表示し(ステップS1305)、次いで、例えば図16(B)のような画面を表示して、ユーザの入力内容を確定させてよいかどうかの確認を促す(ステップS1306)。支払金額の入力を間違えた場合には、ステップS1302に戻って支払金額の入力からやり直し、支払金額を確定させた場合には、ユーザ処理は終了する。
【0078】
上記のユーザ処理が終了したら、図17に示すように、携帯端末4をICカードリーダライタ3にかざすことにより、携帯端末4のICカード機能部5とICカードリーダライタ3との間でRFID通信を開始する。これにより、図14に示すように、POS端末1は、支払金額情報およびICカードID情報を受信する(ステップS302)。
【0079】
その後、ステップS303では、POS端末1の制御手段9は、携帯端末1から送信されたデータが、ユーザにより設定された支払金額、すなわち分担支払アプリケーションにより設定されたデータか否かを判定する。分担支払アプリケーションにより設定されたデータでない場合には、通常の電子マネー決済を行うためのデータであると判断して、制御手段9は、ステップS308に進み、1人が1度に全額を支払う通常の(分担支払ではない)電子マネー決済を行う。一方、携帯端末1から送信されたデータが分担支払アプリケーションにより設定されたデータであると判断した場合には、ステップS304に進み、第1実施の形態で説明したのと同様の分担支払の手順を続行する。
【0080】
これ以降の手順については、第1実施の形態で述べた手順と全く同じであるので、説明を省略する。
【0081】
本実施の形態によれば、ICカード機能部5とICカードリーダライタ3との間の通信のみで、ユーザの支払金額の設定および電子マネー決済の両方が行えるため、機器の構成を著しく簡単にすることができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、各ユーザがそれぞれに電子マネーによる決済をするものとしたが、そのユーザの中には電子マネーによる決済ではなく現金による支払いをする者がいてもよい。この場合には、ユーザは現金で支払う旨をPOS端末1の操作者に伝え、POS端末1の操作者は現金を受け取り、その現金の分だけ請求金額を減算処理するようにして、次のユーザの支払いを受け付ける。
【0083】
さらに、第1実施の形態では、携帯端末側赤外線通信手段6とPOS側赤外線通信手段7との間の通信を赤外線としたが、Bluetooth等の近距離無線通信としてもよい。また、各実施の形態において、ICカード機能部5とICカードリーダライタ3との間の通信も、RFID通信に限定する必要はなく、Bluetooth等の近距離無線通信としてもよい。
【0084】
また、第2実施の形態では、POS端末1を仲介として、携帯端末4とサーバ2がやりとりをし、ICカードID情報の一致の確認など各種処理はサーバ2が行うようにしたが、サーバ2を仲介として、携帯端末4とPOS端末1がやりとりをし、第1実施の形態のように、ICカードID情報の一致の確認など各種処理はPOS端末1が行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施の形態に係る電子マネー決済システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1の電子マネー決済システムの各機能を説明する概略ブロック図である。
【図3】第1実施の形態による分担支払の全体の処理を説明するフローチャートである。
【図4】図3のユーザ処理を説明するフローチャートである。
【図5】図3の二度払い防止処理を説明するフローチャートである。
【図6】第1実施の形態に係る形態端末の表示手段の表示例を示す図である。
【図7】第1実施の形態に係る電子マネー決済システムの使用例を示す模式図である。
【図8】第2実施の形態に係る電子マネー決済システムの各機能を説明する概略ブロック図である。
【図9】第2実施の形態による分担支払の全体の処理を説明するフローチャートである。
【図10】図9のユーザ処理を説明するフローチャートである。
【図11】第2実施の形態に係る形態端末の表示手段の表示例を示す図である。
【図12】第2実施の形態に係る電子マネー決済システムの使用例を示す模式図である。
【図13】第3実施の形態に係る電子マネー決済システムの各機能を説明する概略ブロック図である。
【図14】第3実施の形態による分担支払の全体の処理を説明するフローチャートである。
【図15】図14のユーザ処理を説明するフローチャートである。
【図16】第3実施の形態に係る形態端末の表示手段の表示例を示す図である。
【図17】第3実施の形態に係る電子マネー決済システムの使用例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0086】
1 POS端末
2 サーバ
3 ICカードリーダライタ
4 携帯端末
5 ICカード機能部
6 携帯端末側赤外線通信手段
7 POS側赤外線通信手段
8 POS側情報送受信手段
9 制御手段
10 ICカード機能電力制御手段
11 無線通信手段
12 入力手段
13 表示手段
14 計時手段
15 制御手段
16 基地局
17 第1送受信手段
18 第2送受信手段
19 制御手段
100 電子マネー決済システム網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末とPOS端末とを用いて電子マネー決済を行う電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する制御を行う携帯端末制御手段と、
前記POS端末と近距離無線通信して、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記POS端末に送信し、その応答信号を受信する携帯端末側送受信手段とを備え、
前記POS端末は、
前記携帯端末側送受信手段から送信される前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を前記携帯端末から受信し、その応答信号を前記携帯端末側送受信手段に送信するPOS端末側送受信手段と、
前記携帯端末の前記ICカード機能部と通信して、前記記憶手段に記憶された前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報を読み取ると共に、前記電子マネー残高を更新するICカードリーダライタと、
前記ICカードリーダライタを介して、前記電子マネー残高から前記支払上限金額を差し引いた電子マネー差引残高を新たな電子マネー残高として前記携帯端末の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高を更新するように制御すると共に、前記支払上限金額を請求金額から差し引いて新たな請求金額として更新するPOS端末制御手段と、を備えることを特徴とする電子マネー決済システム。
【請求項2】
前記携帯端末側送受信手段と前記POS端末側送受信手段との間の近距離無線通信を、赤外線通信としたことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー決済システム。
【請求項3】
前記携帯端末はさらに、前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段を備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、前記支払上限金額を設定する制御を開始する時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、前記POS端末が前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を受信したことを示す応答信号を、前記携帯端末側送受信手段が受信した時点で前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御し、
さらに前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電子マネー決済システム。
【請求項4】
携帯端末とPOS端末とサーバとを用いて電子マネー決済を行う電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する制御を行う携帯端末制御手段と、
前記サーバとの間の無線通信により、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記サーバに送信し、その応答信号を受信する無線通信手段とを備え、
前記POS端末は、
前記携帯端末の前記ICカード機能部と通信して、前記記憶手段に記憶された前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報を読み取ると共に、前記電子マネー残高を更新するICカードリーダライタと、
請求金額と、前記ICカードリーダライタで読み取った前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報とを含む決済要求を前記サーバに送信すると共に、前記請求金額から前記支払上限金額を差し引いた差引請求金額と、前記電子マネー残高から前記支払上限金額を差し引いた電子マネー差引残高とを含む決済内容を前記サーバから受信するPOS側情報送受信手段と、
前記サーバから受信した前記差引請求金額を新たな請求金額として処理し、前記電子マネー差引残高を新たな電子マネー残高として、前記ICカードリーダライタを介して、前記携帯端末の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高を更新する制御手段とを備え、
前記サーバは、
前記携帯端末から前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に無線により受信し、その応答信号を送信する第1送受信手段と、
前記POS端末から前記決済要求を受信し、前記決済内容を送信する第2の送受信手段と、
前記携帯端末から受信した前記支払上限金額を、前記POS端末から受信した前記請求金額から差し引いた差引請求金額と、前記携帯端末から受信した前記支払上限金額を、前記POS端末から受信した前記携帯端末の前記電子マネー残高から差し引いた電子マネー差引残高とを算出し、該算出した差引請求金額および該電子マネー差引残高を前記第2送受信手段を介して前記POS端末に送信する制御手段と、を備えることを特徴とする電子マネー決済システム。
【請求項5】
前記携帯端末はさらに、前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段を備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、前記支払上限金額を設定する制御を開始する時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、前記サーバが前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を受信したことを示す応答信号を、前記無線通信手段が受信した時点で前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御し、
さらに前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とする請求項4に記載の電子マネー決済システム。
【請求項6】
携帯端末とPOS端末とを用いて電子マネー決済を行う電子マネー決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する制御を行う携帯端末制御手段と、
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備え、前記POS端末と近距離無線通信して、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記POS端末に送信し、その応答信号を前記POS端末から受信するICカード機能部とを備え、
前記POS端末は、
前記携帯端末の前記ICカード機能部と通信して、前記支払上限金額および前記ICカード識別情報を受信し、その応答信号を送信するとともに、前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高および前記ICカード識別情報を読み取り、前記電子マネー残高を更新するICカードリーダライタと、
前記ICカードリーダライタを介して、前記電子マネー残高から前記支払上限金額を差し引いた電子マネー差引残高を新たな電子マネー残高として前記携帯端末の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高を更新するように制御すると共に、前記支払上限金額を請求金額から差し引いて新たな請求金額として更新するPOS端末制御手段と、を備えることを特徴とする電子マネー決済システム。
【請求項7】
前記ICカード機能部と前記ICカードリーダライタとの間の近距離無線通信を、RFID通信としたことを特徴とする請求項6に記載の電子マネー決済システム。
【請求項8】
前記携帯端末はさらに、前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段を備え、
前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とする請求項6または7に記載の電子マネー決済システム。
【請求項9】
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する設定手段と、
前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共にPOS端末に送信し、その応答信号を受信する近距離無線通信手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を備えるICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する設定手段と、
前記支払上限金額と前記ICカード識別情報とをサーバに送信し、該サーバからの応答信号を受信する送受信手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段をさらに備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、
前記設定手段により前記支払上限金額の設定を行う設定モードになった時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、前記応答信号を受信した時点で前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御し、
前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とする請求項9または10に記載の携帯端末。
【請求項12】
電子マネー残高およびICカード識別情報を記憶する記憶手段を有し、かつ、ICカードリーダライタと近距離無線通信を行うICカード機能部と、
ユーザの入力に基づいて支払上限金額を設定する設定手段とを備え、
前記ICカード機能部は、前記支払上限金額を前記ICカード識別情報と共に前記ICカードリーダライタに送信し、その応答信号を受信することを特徴とする携帯端末。
【請求項13】
前記ICカード機能部への電力供給を制御するICカード機能電力制御手段をさらに備え、
前記ICカード機能電力制御手段は、前記ICカード機能部の前記記憶手段に記憶されている前記電子マネー残高が更新された時点で前記ICカード機能部を無効化するように前記電力供給を制御し、所定時間経過後に前記ICカード機能部を有効化するように前記電力供給を制御することを特徴とする請求項12に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−134964(P2008−134964A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322276(P2006−322276)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】