説明

電子メールシステム

【課題】 迷惑メールを防ぐため、ユーザが自身の携帯電話端末のアドレスを所定の条件で自動変更し、該変更に伴う煩わしいアドレスの変更通知をシステムで自動化して省くことにある。
【解決手段】 電子メールシステム1は、携帯電話端末20が自身に対する迷惑メールを検出して自身のアドレスを所定の条件で変更し、迷惑メール受信を回避する回避手段と、変更アドレスを登録されている通知先に自動通知する手段と、を備え、メールサーバ10が携帯電話端末20が変更するアドレスの唯一性を保証する保証手段を備え、てなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子メールシステムに関し、特に、迷惑メール受信を自動的に回避する手段を有する電子メールシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、各携帯電話端末のアドレスが迷惑メール送信業者によって探知されると、受信を望まない迷惑メールやダイレクトメールなどのスパムメールを大量に送りつけられ、時には、通信料を受信者が負担しなければならない事態になることがある。この迷惑メールを防ぐ方策の従来例に特開2000−92114号公報がある。この公報によれば、インターネットルータから受信したメールを電子メールサーバに転送する電子メール転送装置に、メールに含まれる特定語句を記憶させておき、該語句が検出されたメールを転送しないように、該メールの送信元アドレスを不転送対象送信元として登録する。受信メールの送信元が不転送対象送信元であるあるとき、該メールを受信不可メールであることを示すメッセージに置き換え、あるいは送信先アドレスを送信元アドレスに置き換えてリターンさせる、発明が説明されている。該発明では、電子メール転送装置にメール内容に不適切な語句があるかないかを調べる手段を必要とし、かつ不適切な特定語句を登録あるいは更新するなど、多くのクライアントにサービスするには電子メール転送装置の規模が大きなり、日常の管理も必要などの問題がある。
【0003】更に、特開2000−244553号公報によれば、予め登録するパスワードと、受信電子メールのパスワードとを照合し、一致しない場合、該電子メールを破棄する発明が説明されている。該発明では、送信元にパスワードを予め教えておく問題があり、パスワードの漏洩を防ぐことが送信元の信頼性に依存する危うさがある。また、パスワード変更に伴う相手先に通知する煩わしさを免れることができない。
【0004】更に、特開平6−139164号公報では、アドレス変更情報を送受して、アドレス帳を自動更新する発明が説明されている。このアドレス帳は、電子メールシステムを構成する計算機に設けることができる。しかし、各計算機自身がアドレスを変更する契機と、通知する更新アドレスが唯一であることの保証と、の問題があり、迷惑メール回避するシステムとしては、十分な機能を有しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スパムメールを防ぐ方法にユーザが自身の携帯電話端末のアドレスを所定の条件で自動変更することがある。そのため、携帯電話端末自体にスパムメール判定手段と、アドレスを変更する手段と、変更を相手先に自動的に通知する手段と、変更アドレスが電子メールシステム内で同じアドレスがダブっていない唯一性があることを保証する手段と、を設ける。アドレス変更の条件としては、受信を予期しない送信元アドレスのメールが所定回数以上受信する、あるいはアドレスを所定の時間の経過で自動変更する、ことである。この変更に対する煩わしい通知作業負担をシステムで自動化し省くことである。
【0006】この発明の第1の目的は、携帯電話端末に対するスパムメールを防ぐため、スパムメール判定手段と、アドレスを所定の条件で変更する手段と、その際のアドレスの変更通知する手段と、変更アドレスの唯一性を保証する手段と、を設けた電子メールシステムにある。
【0007】更に、第2の目的は、判定手段と、変更手段と、通知手段と、を携帯電話端末に設け、唯一性保証手段はメールサーバが有するユーザアドレス登録手段を利用することによって、第1の目的を既存の手段を利用して容易に実現することにある。
【0008】更に、第3の目的は、携帯電話端末の所有者が、自身のアドレス変更に伴う煩わしい、通知作業やアドレスの登録作業を免れることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため、この発明の、電子メールを受発信する携帯電話端末と、電子メールを中継するメールサーバと、でなる電子メールシステムにおいて、前記携帯電話端末が自身に対する迷惑メールを検出して自身のアドレスを変更し、迷惑メール受信を回避する回避手段と、変更アドレスを登録されている発信先に自動通知する手段と、を備え、前記メールサーバが前記携帯電話端末から通知されるアドレス候補の唯一性を保証する保証手段を備えて、なることを特徴とする。
【0010】更に、前記回避手段は、迷惑メール受信に対して、携帯電話端末自身のアドレスを変更する条件を設定するアドレス変更条件設定ファイルと、通常に利用する発信先及び発信元のアドレスを登録する登録アドレス一覧と、変更用のアドレス候補を登録するアドレス候補ファイルと、前記メールサーバからメールを受信するメール受信部と、受信メールが迷惑メールであるか否かを前記登録アドレス一覧を参照して監視し、迷惑メールであるとき、前記アドレス変更条件設定ファイルを参照して、アドレス変更条件を満たすか否かを検出するメール監視部と、前記アドレス変更条件が満たされているとき、前記アドレス候補ファイルからアドレス候補を読み出し、前記アドレス候補の唯一性が保証されるか否かを前記メールサーバに前記メール送信部を通じて問い合わせるアドレス通知部と、前記メールサーバから前記アドレス候補の唯一性の保証がされたとき、現用アドレスを前記アドレス候補を新しいアドレスに変更するアドレス変更部と、前記登録アドレス一覧を参照して、前記新しいアドレスを前記発信先に通知する変更通知メール作成部と、を備え、てなることを特徴とする。
【0011】更に、前記メールサーバは、全ての発信先アドレスを登録する登録アドレス一覧と、中継するメールを通信先の携帯電話端末に送信するメール送信部と、携帯電話端末からのメールを受信するメール受信部と、前記メール受信部からアドレスの唯一性の問い合わせを前記登録アドレス一覧を探索して判定し、前記メール送信部を通じて前記問合せに対する回答及び新しいアドレスを登録するアドレス検索部と、を備え、てなることを特徴とする。
【0012】更に、前記アドレス変更条件は、前記登録アドレス一覧に未登録な送信元アドレスのメール受信回数が所定の回数を越えることを特徴とする。
【0013】更に、前記アドレス変更条件は、アドレス設定後、所定の時間が経過していることを特徴とする。
【0014】更に、前記唯一性は、前記アドレス候補と同一のアドレスが前記登録アドレス一覧に登録されていないことであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1を参照すると、この発明の実施の形態を示す電子メールシステム1は、メールサーバ10と、携帯電話端末20と、を含む。
【0016】メールサーバ10は、携帯電話端末20からメールを受信するメール受信部13と、携帯電話端末20にメールを送信するメール送信部12と、加入している各携帯電話端末20のアドレスを登録する登録アドレス一覧11と、指定したアドレスが登録アドレス一覧11に登録されているか否かを探索して該アドレスと同じアドレスが登録されていない唯一性を保証する、また唯一性が保証されたアドレスを新規アドレスに登録するアドレス検索部14と、を備える。
【0017】携帯電話端末20は、メールを受信するメール受信部28と、受信したメールに対してアドレス変更条件を監視するメール監視部24と、アドレスを変更する条件を設定するアドレス変更条件設定ファイル21と、アドレスを登録する登録アドレス一覧22と、変更するアドレスをあらかじめ登録しておくアドレス候補ファイル23と、アドレス候補をアドレス候補ファイル23から取得し、メールサーバ10に通知するアドレス通知部24と、現在使用しているアドレスを新しいアドレスに変換するアドレス変更部26と、アドレス変更に伴う変更通知メールを作成する変更通知メール作成部27と、メールを送信するメール送信部29と、を備える。
【0018】次に、この実施の形態の動作について図面を参照して説明する。図1を援用し、図2及び図3を参照して、全体の動作について説明する。携帯電話端末20の初期設定の動作を示す図2を参照すると、携帯電話端末20は、アドレス変更条件設定ファイル21及びアドレス候補ファイル23に予め交信先のアドレス及び自身のアドレス候補を設定する。アドレス変更条件設定ファイル21には、携帯電話端末20で未登録アドレスのメールを指定した回数以上受信したとき、または、アドレスを変更してから指定した時間を経過したとき、などのアドレス変更の条件を設定する(図2のステップ31)。また、アドレス候補ファイル23には、アドレス変更するとき選択するアドレス候補を複数登録しておく(図2のステップ32)。
【0019】電子メールシステム1のアドレス変更動作を示す図3を参照すると、携帯電話端末20のメール監視部24は、登録アドレス一覧22と、アドレス変更条件設定ファイル21と、を参照して、メール受信部28に送られてくるメールを監視する(図3のステップ40)。メール監視部24は受信メールごとにアドレス変更情報設定ファイル21に指定した条件をチェックし、変更条件に一致するか否かを判断する(図3のステップ41)。変更条件に一致した場合、メール監視部24は該当アドレスのアドレス変更時間間隔や未登録アドレスのメール受信回数などの監視情報をリセットし、アドレス通知部25にアドレスを変更を通知する(図3のステップ42)。アドレス通知部25は、アドレス候補ファイル23からアドレス候補の一つを取得し、メール送信部29を通して該アドレス候補をメールサーバ10に現用アドレスを使用してメールで通知する(図3のステップ43)。
【0020】メールサーバ10では、アドレス候補の通知をメール受信部13で受信し、同一のアドレスがあるか否かを探索することをアドレス検索部14に通知する。アドレス検索部14では、登録アドレス一覧11を探索し、通知されたアドレス候補と同一のアドレスが登録アドレス一覧11に登録されているか否かを探索する(図3のステップ44)。探索した結果、アドレス候補が未登録の場合(図3のステップ45のY)、アドレス検索部14は該アドレス候補を新規アドレスとして登録アドレス一覧11に登録して従来のアドレスを削除し、メール送信部17を通して携帯電話端末のメール受信部15にアドレス候補を変更アドレスに適当であることを通知する(図3のステップ46)。アドレス候補と同一アドレスが既に登録されている場合、アドレス検索部14はメール送信部12を通してアドレス候補を変更アドレスに不適当であることを携帯電話端末のメール受信部28に通知する(図3のステップ46のN)。
【0021】携帯電話端末20のメール受信部28は受け取った通知をアドレス通知部25に渡す。アドレス通知部25は受け取った情報を判断し、該情報が適当通知であった場合、アドレス通知部25はアドレス変更部26にアドレス変更を通知する(図3のステップ47のOK通知)。該情報が前記の不適当通知であった場合、アドレス通知部25はアドレス候補ファイル23からアドレス候補を新たに一つ取得する(図3のステップ43)。アドレス通知部25はメールサーバ10でアドレス候補の唯一性が認められるまでリトライを繰り返す。
【0022】アドレス変更部26は、前記の適当通知に基づいて、現用アドレスをメールサーバ10が唯一性を保証したアドレス候補を新しいアドレスにする(図3のステップ48)。変更通知メール作成部27では登録アドレス一覧ファイル22内に登録されているアドレスを変更通知の送信先として、それぞれに変更通知メールを作成し、メール内に変更前のアドレスと変更後のアドレス情報を載せる(図3のステップ49)。変更通知メール作成部27は変更通知メールを作成後、メール送信部29を通してそれぞれの送信先に変更通知メールを送信する(図3のステップ50)。
【0023】
【発明の効果】この発明の効果は、自分の携帯電話端末のアドレスを一定期間ごと、または送信元が未登録アドレスであるメールの受信回数が所定回数を越えたとき、にアドレスを自動変更することによって、迷惑メール送信業者にアドレスを探知されても、迷惑メール受信を回避することができる。
【0024】更に、他の効果は、携帯電話端末及びメールサーバが有する既存手段を利用して実現できるため、新たな手段の追加を要せずに容易に実用できる。
【0025】更に、他の効果は、変更したアドレスを携帯電話端末内の登録アドレスに自動通知することで、アドレス変更に伴う通知作業を省くことができ、かつ変更作業に伴うミスを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一つを示す図である。
【図2】この実施の形態の携帯電話端末の初期設定の動作を示す流れ図である。
【図3】この実施の形態におけるアドレス変更の動作の示す流れ図である。
【符号の説明】
1 電子メールシステム
10 メールサーバ
11 登録アドレス一覧
12 メール送信部
13 メール受信部
14 アドレス検索部
20 携帯電話端末
21 アドレス変更条件設定ファイル
22 登録アドレス一覧
23 アドレス候補ファイル
24 メール監視部
25 アドレス通知部
26 アドレス変更部
27 変更通知メール作成部
28 メール受信部
29 メール送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子メールを受発信する携帯電話端末と、電子メールを中継するメールサーバと、でなる電子メールシステムにおいて、前記携帯電話端末が自身に対する迷惑メールを検出して自身のアドレスを変更し、迷惑メール受信を回避する回避手段と、変更アドレスを登録されている発信先に自動通知する手段と、を備え、前記メールサーバが前記携帯電話端末から通知されるアドレス候補の唯一性を保証する保証手段を備えて、なることを特徴とする電子メールシステム。
【請求項2】 前記回避手段は、迷惑メール受信に対して、携帯電話端末自身のアドレスを変更する条件を設定するアドレス変更条件設定ファイルと、通常に利用する発信先及び発信元のアドレスを登録する登録アドレス一覧と、変更用のアドレス候補を登録するアドレス候補ファイルと、前記メールサーバからメールを受信するメール受信部と、受信メールが迷惑メールであるか否かを前記登録アドレス一覧を参照して監視し、迷惑メールであるとき、前記アドレス変更条件設定ファイルを参照して、アドレス変更条件を満たすか否かを検出するメール監視部と、前記アドレス変更条件が満たされているとき、前記アドレス候補ファイルからアドレス候補を読み出し、前記アドレス候補の唯一性が保証されるか否かを前記メールサーバに前記メール送信部を通じて問い合わせるアドレス通知部と、前記メールサーバから前記アドレス候補の唯一性の保証がされたとき、現用アドレスを前記アドレス候補を新しいアドレスに変更するアドレス変更部と、前記登録アドレス一覧を参照して、前記新しいアドレスを前記発信先に通知する変更通知メール作成部と、を備え、てなることを特徴とする請求項1記載の電子メールシステム。
【請求項3】 前記メールサーバは、全ての発信先アドレスを登録する登録アドレス一覧と、中継するメールを通信先の携帯電話端末に送信するメール送信部と、携帯電話端末からのメールを受信するメール受信部と、前記メール受信部からアドレスの唯一性の問い合わせを前記登録アドレス一覧を探索して判定し、前記メール送信部を通じて前記問合せに対する回答及び新しいアドレスを登録するアドレス検索部と、を備え、てなることを特徴とする請求項1記載の電子メールシステム。
【請求項4】 前記アドレス変更条件は、前記登録アドレス一覧に未登録な送信元アドレスのメール受信回数が所定の回数を越えることを特徴とする請求項2記載の電子メールシステム。
【請求項5】 前記アドレス変更条件は、アドレス設定後、所定の時間が経過していることを特徴とする請求項2記載の電子メールシステム。
【請求項6】 前記唯一性は、前記アドレス候補と同一のアドレスが前記登録アドレス一覧に登録されていないことであることを特徴とする請求項1記載の電子メールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−218946(P2003−218946A)
【公開日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−18487(P2002−18487)
【出願日】平成14年1月28日(2002.1.28)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】