説明

電子ユニットのロック装置

【目的】 装着が容易で完全にロックされると共に、例えば1本のドライバで複数個所のロックを解除し、装着した電子ユニット等の装着物を取り外し可能とする電子ユニットのロック装置を提供しようとする。
【構成】 電気接続箱1等の本体部7に被着結合される電子ユニット2のフック部6先端に弾性突起部14を設け、前記フック部6を係合する本体部7に前記弾性突起部14を係止するガイド係合部5を設けてなる電子ユニットのロック装置である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ユニット等を本体部に接続固定するためのロック装置に関するもので、特に詳しくは、車載用電気接続箱に電子ユニットを装着脱させるための電子ユニットのロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気接続箱に電子ユニットを装着するには、電気接続箱に設けられたソケットに電子ユニットのコネクタを挿入すると共に、電気接続箱のケースに複数の係合部を設け、電子ユニットのケースにも同数の爪状突起を備えたフック部を設け、前記係合部にフック部を圧入してロックさせていた。このロックを外すには、例えばドライバーのような解除治具を、前記フック部と係合部との隙間に挿入して両者の係合状態を外しておき、前記解除治具を挿入したままで別の個所を同様に解放し、電子ユニットを電気接続箱より取り外していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の電子ユニットのロック装置では、装着には簡単で逸脱を防止するものとしては信頼性も高く、構造も簡単であって多くの機器のロック装置として汎用されているが、電子ユニットの取り外しには多くの手間が掛かるばかりか、場合によってはフック部を損傷してロックが不能になるという欠点がある。また、電気接続箱が車載用のものであれば、車輛等の狭いスペースにて電子ユニットを取り外すことは困難であるばかりか、取り外しに用いられるドライバの操作も煩雑であるという問題点があった。
【0004】本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、装着が容易で完全にロックされると共に、例えば1本のドライバで複数個所のロックを解除し電子ユニットを取り外せる電子ユニットのロック装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の電子ユニットのロック装置は、本体部に被着結合される電子ユニット等のフック部先端に弾性突起部を設け、この電子ユニットを被着する本体部で前記フック部を係合する係合部の外周に、前記フック部との係合を解除した状態で前記弾性突起部を係止するガイド係合部を設けたことを特徴とするものである。
【0006】また、前記電子ユニット等の弾性突起部を設けたフック部には、このフック部を本体部の係合部より外すため解除治具を挿入する係止孔を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
【作 用】上記した構成による電子ユニットのロック装置は、本体側のソケットに電子ユニットのコネクタを挿入するときに、本体側のガイド係合部に電子ユニット側のフック部がガイドされて容易にロックされる。また、電子ユニットを本体部より外すには平板状突起部(例えばドライバの先端)を、前記ガイド係合部の下側より挿入するか、若しくはフック部に設けた係止孔に挿入してロックを解除し、フック部の弾性突起部をガイド係止部に引掛けておくことにより、複数個所のロックは完全に除かれて電子ユニットを簡単に取り外すことができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を図1ないし図6によって説明する。図6において、1は電気接続箱で、2は電子ユニットである。電気接続箱1はワイヤーハーネスの分岐回路を内蔵し、外部に多数のソケット3を備え、例えば自動車に装着されている各種電装品との接続を行なうものである。電子ユニット2は適宜の電子部品を内蔵し、外部に設けたコネクタ4を介して電気接続箱1に装着され判断制御等を行なうユニットである。前記電気接続箱1の外側には装着される電子ユニット2を保持するためのガイド係合部5が設けてあり、電子ユニット2の外側で前記ガイド係合部5を設けた位置に弾性突起部を備えたフック部6が設けてあって、電気接続箱1の所定位置に設けたソケット3の1つに電子ユニット2のコネクタ4を合わせて接続結合させると、前記ガイド係合部5と前記フック部6とは互にロックされるようになっている。
【0009】前記ガイド係合部5は、図1(A)に示すように、電気接続箱1の本体部7の外側に垂直方向に設けられた左右側板となるガイド部8と、このガイド部8より延設され前面側を覆う前板部9よりなる略々長方形の中空体の形状をなし、前板部9には後述するフック部6の弾性突起部14の幅方向より僅かに広いすりわり部10を設けた弾性部材の合成樹脂で形成されている。そして、前記中空部分ですりわり部10を設けた対応面状には下方に向う傾斜面を備えた係止突起11を設けてある。
【0010】一方、前記フック部6は、図1(B)に示すように、電子ユニット2の外側に垂直方向に垂下され且つ前記ガイド部8の幅方向の間隔をおいて設けられた2本のロックアーム12と、このロックアーム12の下端で接続される接続部13とを備え、接続部13の中央下側に弾性突起部14を設け、前記接続部13の裏側面上には上方に向う傾斜面を備えた係止突起15(図示せず)を設けてある。なお、電子ユニット2の外側部とロックアーム12の垂下部分との間には、前記ガイド係合部5の肉厚に相当する隙間のあることは云うまでもない。
【0011】前記ガイド係合部5の両側板であるガイド部8に、フック部6のロックアーム12の外面を合わせて上方より押し込むと、ロックアーム12が多少ともしなって係止突起部5は、ガイド係合部5の係止突起11を乗り越えて(図2参照)、図3(A)に示すようにロックされる。これにより電子ユニット2は電気接続箱1に被着結合される。
【0012】上述した電気接続箱1と電子ユニット2との結合を解除するには、図3(A)に示すように、ガイド係合部5の下方より解除治具16を挿入し、その先端をロックアーム12とガイド係合部5との隙間に入れて図の右方向へ倒すと、図3(B)に示すように、解除治具16がガイド係合部5の下端に当接して、この作用によりロックアーム12を時計方向に移動させ、ロックアーム12の先端にある弾性突起部14がすりわり部10を介して設けられた前板部9を越えて外部に突出する。この突出状態になった時に解除治具16を外すと、弾性突起部14は前板部9に仮係止されロックアーム12は完全にロック状態から開放される。以下、取り外そうとする電子ユニット2の周辺部のロック装置17を全て上記のように開放すれば、電子ユニット2は電気接続箱1より簡単に取り外すことができる。
【0013】図4は、上述したフック部6の変形例である。このフック部6Aはロックアーム12を接続する接続部13Aを厚肉構造とし、その中央部分に前記解除治具16の先端を挿入自在とした係止孔18を穿設したもので、それ以外の構造は上述したフック部6と同様である。このフック部6Aは、図5に示すように、電子ユニット2の上方より解除治具16の先端を前記係止孔18内に挿入し、解除治具16の一部を電子ユニット2の上縁に当てて力を加えることにより、ロックアーム12は図5の仮想線方向に移動され、前記ガイド係合部5の前板部(図示せず)に弾性突起部14が係止されロックを解放される。
【0014】次に、本発明の第2実施例を図7および図8R>8によって説明する。図7において、電子ユニット2に設けられたフック部6Bは、前記変形例で説明したフック部6Aの下端に突出させた弾性突起部14を、各左右側のロックアーム12の先端で直角方向に突出せしめて、且つ先端に外側に向う爪部19を備えたものに形成してある。なお、この2本のロックアーム12の間には係止孔18を設けた接続部13Aを設けてある。一方、電気接続箱1の本体部7に設けられたガイド係合部5Aは、前記爪部19を収納する幅を有して左右側板となるガイド部8Aと、このガイド部8Aに延設され前面側を覆う前板部9Aと、この前板部9Aの内側にあってガイド部8Aより突設された左右の弾性突起部20とを設けている。また、ガイド部8Aの中間で前記前板部9Aに対応する位置には、第1実施例で示したものと同様の係止突起11を備えている。
【0015】上述した構成によるロック装置17は図8に示すように、電子ユニット2を上方より被着させるだけで、フック部6Bの係止突起15はガイド係合部5Aの係止突起11に係止され、電子ユニット2と電気接続箱1との被着結合が容易に行なわれる。この結合された電子ユニット2を取り外すには、前記フック部6Bの上方より解除治具16の先端を、フック部6Bの接続部13Aに設けた係止孔18に係止させ、時計方向に力を加えると係止突起15と11とは容易に分離され、ロックアーム12の先端に設けた爪部19は、ガイド係合部5Aの弾性突起部20を一旦乗り越えた後に該弾性突起部20に係止される。以下、同様に複数個所に設けたロック装置17を解放しておけば、電子ユニット2は電気接続箱1より簡単に狭い場所でも取り外すことができる。なお、特に図示しないが、前記ロックアーム12の先端に設けた爪部19を、互に内側方向に突設させておき、ガイド係合部5A内の弾性突起部20を前板部9Aの裏面より突設せしめ、前記爪部19により左右方向より挟持させても同様の効果を得ることができる。
【0016】上述した各実施例のフック部6,6A,6Bと、ガイド係合部5,5Aとを、いずれも一枚の薄板基板上に部品として予め用意しておき、上方側の一方から開放しなければならない場所には、例えばフック部6Aとガイド係合部5、もしくはフック部6Bとガイド係合部5Aとのように、使用個所に応じて選択し基板の裏面に接着剤等を塗布し、貼着させてロック装置17として使用することもできる。
【0017】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の電子ユニットのロック装置は、フック部先端に設けた弾性突起部と、前記フック部を係止するガイド係合部に前記弾性突起部を支持係止する部材を設けたので、ロックを解除する際のフック部をガイド係合部にて仮に支持させ、電子ユニットの取り外しも容易となり、車輛等の狭いスペース内での取扱いが容易となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すロック装置の分離斜視図である。
【図2】図1のロック装置の装着時の断面図である。
【図3】図3(A)は図2のロック装置におけるロックを解除する第1段階の断面図であり、図3(B)は図2のロック装置のロックを解除した第2段階の断面図である。
【図4】本発明の第1実施例の変形例を示すフック部の斜視図である。
【図5】図4のフック部の作動を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施例のロック装置を装着した電子ユニットと電気接続箱との分離斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すロック装置の分離斜視図である。
【図8】図7のロック装置において、解除状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電気接続箱
2 電子ユニット
5 ガイド係合部
6 フック部
14 弾性突起部
16 解除治具
17 ロック装置
18 係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体部に被着結合される電子ユニット等のフック部先端に弾性突起部を設け、この電子ユニットを被着する本体部で前記フック部を係合する該本体部の外周に、前記フック部との係合を解除した状態で前記弾性突起部を係止するガイド係合部を設けたことを特徴とする電子ユニットのロック装置。
【請求項2】 前記電子ユニット等の弾性突起部を設けたフック部には、このフック部を本体部のガイド係合部より外すため解除治具を挿入する係止孔を設けたことを特徴とする電子ユニットのロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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