説明

電子レンジで調理するまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉

【課題】電子レンジを用いて加熱調理した場合でも表面の衣部分がべたつかずカリッとした食感で、具材はジューシーでうまみ成分の損失が少ないノンフライから揚げ食品が調製できる、まぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を提供すること。
【解決手段】以下の成分(A)から成分(C)を含むまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉である。(A)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中1質量部以上15質量部以下のジェランガム(B)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中乳酸カルシウム由来のカルシウムが0.01質量部以上1質量部以下となる乳酸カルシウム(C)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中30質量部以上のデュラムセモリナ

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで調理するまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉に関する。
【背景技術】
【0002】
から揚げの一般的な調理方法として、肉、魚介又は野菜などの具材に穀粉や澱粉と調味料などをまぶすか、あるいは、これらを水に溶いたもので具材を被覆して油でフライ調理する方法が知られている。
油でフライ調理する方法は、油で揚げているため一般的に高カロリーとなりまたフライ調理に使用した油の後処理が煩雑である。
そのため、フライ調理せず、例えば、電子レンジなどを使用して加熱調理するノンフライのから揚げ様食品が求められており、調理を簡便化するために穀粉や澱粉と調味料などを予め混合したノンフライから揚げ様食品用ミックス粉が流通している。
例えば、ノンフライ揚げ様食品用ミックス粉として、α化度が40〜95%であり、かつ、120メッシュより粗い粒度の澱粉と、油脂及びジェランガムを0.1〜5.0質量%含むノンフライ食品用衣材が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、ジェランガムを使用するフライ食品の製造方法として、フライ用食材にバッターを付け、次いでプレフライ後、プレフライ品の表面温度が60℃以上の時に、その表面にジェランガム;カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる金属塩;及びイオン封鎖剤を水中に含む懸濁液を散布するか、あるいはプレフライ品を前記懸濁液に浸漬することを特徴とするプレフライ食品の製造方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−208531号公報
【特許文献2】特開平7−255389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電子レンジを用いて加熱調理した場合でも表面の衣部分がべたつかずカリッとした食感で、具材はジューシーでうまみ成分の損失が少ないノンフライから揚げ食品が調製できる、まぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ジェランガム、乳酸カルシウム及びデュラムセモリナを特定量配合したからまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を使用することにより電子レンジを用いて加熱調理した場合でも表面の衣部分がべたつかずカリッとした食感で、具材はジューシーでうまみ成分の損失が少ないノンフライから揚げ様食品を調製できることを見出し本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、以下の成分(A)から成分(C)を含むまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉である。
(A)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中1質量部以上15質量部以下のジェランガム
(B)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中乳酸カルシウム由来のカルシウムが0.01質量部以上1質量部以下となる乳酸カルシウム
(C)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中30質量部以上のデュラムセモリナ
【発明の効果】
【0006】
本発明のノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を使用することにより、電子レンジを用いて加熱調理した場合でも表面の衣部分がべたつかずカリッとした食感で、具材はジューシーでうまみ成分の損失が少ないノンフライから揚げ様食品が調製できる、
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品ミックス粉とは、鶏肉などの具材にこれをまぶして電子レンジで加熱調理し、から揚げ様食品を調製するためのミックス粉をいう。
本発明のまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品ミックス粉は、以下の成分(A)から成分(C)を必須成分として含む。
(A)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中1質量部以上15質量部以下のジェランガム
(B)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中乳酸カルシウム由来のカルシウムが0.01質量部以上1質量部以下となる乳酸カルシウム
(C)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中30質量部以上のデュラムセモリナ
これに必要に応じて、パン粉、穀粉(デュラムセモリナを除く)、澱粉、糖類、植物性蛋白、乳蛋白、卵粉、油脂、塩、調味料、香辛料、増粘安定剤(ジェランガムを除く)、膨張剤、乳化剤、色素など従来のノンフライから揚げ用ミックス粉に使用されている副資材を配合することができる。
【0008】
本発明において使用するジェランガムはSphingomonas elodeaと同等の微生物が菌体外に産出する多糖類であり、増粘安定剤としてゼリー、ジャム、飲料、たれ・つゆ、ドレッシング、プリン、ヨーグルトなどに利用されている。
本発明において使用するジェランガムの配合量は、ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中1質量部以上15質量部以下ある。
好ましくは、3質量部以上12質量部以下である。
ジェランガムの配合量が1質量部未満では、ゲルの形成が弱いため、衣にべたつきがあり、好ましくない。
ジェランガムの配合量が15質量部を超えると、食味のうまみが弱く好ましくない。
本発明では、ジェランガムを必須の成分としているが、ジェランガム以外の他の増粘多糖類、例えば、グアガム、キサンタンガム、ペクチンやカードランを使用した試験では、衣がねちゃついた食感となったり、ガム状の食感になるなどして良好な食感のから揚げ様食品を得ることができなかった。
これは、加熱によって水分を吸収し、硬くて脆いゲルを形成するジェランガムの性質によるものと考えられる。
【0009】
ジェランガムは乳酸カルシウムがあるとその効果が増大する。
乳酸カルシウムは水に溶けやすく、カルシウムイオンがジェランガムと結合して硬いゲルを形成する。
本発明において使用する乳酸カルシウム由来のカルシウム配合量はノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中0.01質量部以上1質量部以下である。
好ましくは、0.07質量部以上0.4質量部以下である。
乳酸カルシウム由来のカルシウムの配合量が0.01質量部未満では、ゲルの形成が弱いため、食味のうまみが弱く、好ましくない。
乳酸カルシウム由来のカルシウムの配合量が1質量部を超えると、食味が悪くなり好ましくない。
乳酸カルシウムは、無水物から5水和物までのものがあり、カルシウム含有量が異なる。
例えば、5水和物の乳酸カルシウムを使用する場合の乳酸カルシウム配合量は、乳酸カルシウム由来のカルシウムとして0.01質量部以上1質量部以下を配合する場合では乳酸カルシウム5水和物の配合量は、0.077質量部以上7.7質量部以下となる。
【0010】
本発明において使用するデュラムセモリナはデュラム小麦を原料としたセモリナ粉であり、スパゲティの原料として知られている。
本発明において使用するデュラムセモリナの灰分含有量、蛋白質含有量には特に限定はなく市販のデュラムセモリナも使用することができる。
本発明において使用するデュラムセモリナの配合量はノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中30質量部以上である。
デュラムセモリナの配合量が30質量部未満ではべたつきやねちゃつきの防止の効果を得ることができない。
衣の外観の厚みや味の成分を逃さないためにパン粉、穀粉、澱粉を使用する場合があるがこれらは、べたつきやねちゃつきの原因となる。
クラッカーパン粉、電極式パン粉、焙焼式パン粉、小麦粉、上新粉、コーンフラワー、ポテトフラワー、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、α化コーーンスタチーなど様々な材料の試験を行った結果、粒が硬く、α化した澱粉が流出しにくいデュラムセモリナが最も効果があった。
【0011】
本発明のまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉は、前記成分(A)から成分(C)及び必要に応じて副資材を混合して得ることができる。
混合方法は従来のまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉を製造する場合に使用する混合方法であれば特に限定はなく、通常の粉体混合装置、例えば、V型ミキサー、リボンミキサーなどを使用することができる。
【0012】
以下、本発明のまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉の使用方法について説明する。
本発明のまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉は従来のまぶしタイプのから揚げ粉と同様に具材にまぶして使用することができる。
具材として、鶏肉、牛、豚肉などの肉類、ミンチにした肉団子やハンバーグ類、わかさぎ、ししゃも、さけ、あじ、さば、さんま、いか、たこ、海老、牡蠣、ほたて貝などの魚介類、かまぼこなどの魚加工品、じゃがいも、たまねぎ、にんじん、ごぼう、なすなどの野菜類。豆腐、おにぎり、餅、団子などが使用できる。
これらの具材は、未加熱でも、茹で、蒸しなど加熱済みものでも良い。
まぶす量は食材により適宜調製し、具材にまぶしてよくなじませた後、皿などに並べ、電子レンジで加熱調理すればから揚げ様食品を得ることができるので非常に簡便である。
脂肪分を多く含む具材の場合、本発明のまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉によって具材中の水分が失われ難く水溶性の味の成分は保持され一方脂肪分は食品外に排出され易い。
表面に出てきた脂肪分により衣部分を加熱することでより一層のカリッとした食感を得ることができる。
これによりジューシーで旨味があり比較的低カロリーのから揚げ様食品を得ることができる。
なお、排出される脂肪分を取り除くには、皿の上に網を載せて置く、油吸収シートを敷いた上に置く、中心部へ下る傾斜のある皿の周囲に置くなどの方法を使用することができる。
【実施例】
【0013】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜7、比較例1〜5]
表1に示す配合割合の原料を均等になるように混合しまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を得た。
なお、乳酸カルシウムは5水和物を使用した。
表中単位は質量部である。
鶏モモ切り身(平均重量25g)10個、250質量部に対して、前記ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を約25質量部まぶし、これを中心部へ下る傾斜のある皿の周辺部に並べ600Wの電子レンジで3分間加熱し、から揚げ様食品を得た。
から揚げ様食品を10分後パネラー10名により、以下の評価基準によりから揚げ様食品の評価を行った。
[食感]
5点 衣のべたつき、ねちゃつきがなく非常によい
4点 わずかに衣にべたつき、ねちゃつき又は硬さがあるがよい
3点 普通
2点 衣にべたつき、ねちゃつき又は硬さがあり歯切れが悪く悪い
1点 衣にべたつき、ねちゃつきがあり又は非常に硬く歯切れが悪く非常に悪い
[食味]
5点 香ばしく、うまみがあり非常によい
4点 うまみがあってよい
3点 普通
2点 うまみが弱く悪い
1点 水っぽく、うまみがなく非常に悪い
得られた評価結果(平均点)を表2に示す。
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
食感及び食味がともに3.0以上を合格とした。
その結果、実施例1〜7が満足できる品質であった。
特に実施例2は、食感は衣がカリッとし、ねちゃつきなく、食味も香ばしくうまみがあり非常に優れていた。
比較例1〜5は食感又は食味のいずれかが劣り満足できる品質ではなかった。
【0017】
[実施例8]
未加熱の肉団子(重量15g)10ケ、150質量部に対して、前期実施例2のから揚げ用ミックス粉約8質量部をまぶし、これを皿に等分に並べ、600Wの電子レンジで3分間加熱し、から揚げ様食品を得た。
食感は衣の表面のべたつきや、ぬめりがなく、食味はうまみがあって満足できる品質であった。
【0018】
[実施例9]
塩たら切身(1切れ重量20g)10ケ、200質量部に対して、前記実施例2のから揚げ用ミックス粉約8質量部をまぶし、これを皿に等分に並べ、600Wの電子レンジで3分30秒間加熱し、から揚げ様食品を得た。
食感は衣の表面のべたつきや、ぬめりがなく、食味はうまみがあって満足できる品質であった。
【0019】
[実施例10]
短冊のじゃがいも(重量200質量部に対して、前記実施例6のから揚げ用ミックス粉約6質量部をまぶし、これを皿に等分に並べ、600Wの電子レンジで4分間加熱し、から揚げ様食品を得た。
食感は衣の表面のべたつきや、ぬめりがなく、食味はうまみがあって満足できる品質であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)から成分(C)を含むまぶしタイプのノンフライから揚げ様食品用ミックス粉。
(A)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中1質量部以上15質量部以下のジェランガム
(B)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中乳酸カルシウム由来のカルシウムが0.01質量部以上1質量部以下となる乳酸カルシウム
(C)ノンフライから揚げ様食品用ミックス粉100質量部中30質量部以上のデュラムセモリナ
【請求項2】
請求項1に記載のノンフライから揚げ様食品用ミックス粉を使用したノンフライから揚げ様食品。