説明

電子レンジ加熱用包装袋

【課題】レトルト処理に耐え得る強いヒートシール強度で仕切りを形成でき、かつ電子レンジ加熱によって安定して剥離させることが可能な電子レンジ加熱用包装袋の提供。
【解決手段】周縁をシールした略矩形の包装袋10の内部が、周縁のうちのいずれかの側縁と平行に挿入された易剥離性フィルム24により形成された仕切りシール部25により複数の室17,18に区画され、包装袋10の一部に周辺をシールされた通気口22とを備え、先に仕切りシール部25が、その後に通気口22の周辺のシール部21が剥離するように構成された電子レンジ加熱用包装袋10において、仕切りシール部25のヒートシール強さを23N/15mm以上、最大幅を2〜3mmとし、仕切りシール部25の長手方向の中央部において、通気口22が設けられた室18と反対の側である片側のみに凹形状の未シール部26を設け、この未シール部26の長さを15〜25mmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト処理が可能であり、電子レンジ加熱による内圧の上昇によって複数の室が連通する電子レンジ加熱用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等を包装袋内に密封したまま電子レンジで加熱することができ、包装袋の内圧の上昇により易剥離のシール部を剥離させ、剥離部に設けた穴から内圧を開放できるようにした包装袋は、広く知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
また、内容物を2つの室に分けて収納した包装袋において、その仕切り部に易剥離のシール部を設け、加熱時の内圧の上昇を利用して、仕切り部を剥離させ、双方の内容物を混合できるようにした包装袋が種々提案されている(例えば特許文献1〜3を参照)。従来の複室型包装袋では、片側に水蒸気が発生しやすい液状物を収納し、もう片側に水蒸気が発生しにくい固形物を収納して液状物を収納した側から開封されるようにしたり、仕切り部の剥離を容易にするため、ヒートシール強度を10〜20N/15mm程度と弱くしたもの(例えば特許文献3を参照)などがある。このため、レトルト処理に耐え得る強いヒートシール強度で仕切りを形成でき、かつ電子レンジ加熱によって安定して剥離させることが求められている。
【特許文献1】特開2001−199474号公報
【特許文献2】特開平9−221176号公報
【特許文献3】特開2004−284604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レトルト処理に耐え得る強いヒートシール強さで仕切りを形成でき、かつ電子レンジ加熱によって安定して剥離させることが可能な電子レンジ加熱用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、周縁をシールした略矩形の包装袋の内部が、前記周縁のうちのいずれかの側縁と平行に挿入された易剥離性フィルムにより形成された仕切りシール部により複数の室に区画され、包装袋の一部に周辺をシールされた通気口とを備え、内容物を密封した後、内部が所定圧力以上になると、先に前記仕切りシール部が剥離して前記複数の室が1つに連通し、その後に通気口周辺のシール部が剥離して前記通気口が開口されるように構成された電子レンジ加熱用包装袋であって、前記仕切りシール部は、JIS Z 0238に規定するヒートシール強さが23N/15mm以上であり、前記仕切りシール部の最大幅は2〜3mmであり、前記仕切りシール部の長手方向の中央部において、前記通気口が設けられた室と反対の側である片側のみに凹形状の未シール部が設けられ、前記未シール部の前記長手方向に沿う長さが15〜25mmであることを特徴とする電子レンジ加熱用包装袋を提供する。
【0006】
本発明においては、前記未シール部は、曲率半径が40〜60mmの円弧状であることが好ましい。
また、本発明においては、前記未シール部における前記仕切りシール部の最小幅と、前記仕切りシール部の最大幅との差が0.5〜1.5mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子レンジ加熱用包装袋によれば、仕切りシール部のヒートシール強さを23N/15mm以上としてレトルト処理を可能にし、さらに仕切りシール部の長手方向の中央部において、通気口が設けられた側と反対の側である片側のみに凹形状の未シール部を設けることにより、電子レンジ加熱の際に当該未シール部に圧力を集中させて剥離を開始させ、さらに仕切りシール部を長手方向の全長にわたって剥離させることができる。
【0008】
内容物が複数あり、最初から混ざっていると変質や変色のおそれがあるものであっても、複数の室に分けて収納することができる。電子レンジの加熱により内圧を上昇させることで仕切りシール部を剥離させることができるため、使用する直前に混ぜたいものを収納するのに適している。また、一方を液状物、他方を固形物といった制限がなく、内容物の種類に関係なく仕切りシール部が剥離して内容物が混ざり合う。剥離時に目立った音がしないため、消費者に不安感を与えることがない。レトルト処理可能なヒートシール強さとすることができるので、レトルト殺菌処理を施したい内容物でも適用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は本発明の電子レンジ加熱用包装袋の一形態例を示す平面図であり、図2(a)は図1に示す電子レンジ加熱用包装袋の縦断面図であり、図2(b)は当該電子レンジ加熱用包装袋の仕切りシール部が剥離した状態を説明する縦断面図であり、図2(c)は当該電子レンジ加熱用包装袋の通気口シール部が剥離した状態を説明する縦断面図である。
【0010】
図2(a)に示すように、この電子レンジ加熱用包装袋(以下、単に「包装袋」という場合がある。)10は、一対の胴部材11,12と、包装袋10の下部において胴部材11,12の間に2つ折り状態で介装された底部材13とから構成されている。
【0011】
ここで、胴部材11,12および底部材13に用いられるフィルムとしては、1種類の樹脂からなる単層フィルム、1種類または複数種類の樹脂からなる多層を有する共押出フィルムや積層体フィルム、ラミネートフィルムなどを用いることができる。フィルムは、少なくとも片面がヒートシール性を有することが必要であり、このようなフィルムとしては例えば、延伸フィルムなどからなる基材層の表面にヒートシール性を有する樹脂からなるシーラント層を積層してなるラミネートフィルムを用いることができる。
一対の胴部材11,12は、ヒートシール性を有する面を内側として向かい合わせられている。また、底部材13は、ヒートシール性を有する側の面が外側となるように2つ折りにされて両胴部材11,12のヒートシール性を有する面と向かい合わされている。
【0012】
ガスバリア性を付与するため、前記フィルムにアルミナ(Al)やシリカ(SiO)等のセラミックを蒸着してなるセラミック蒸着膜を設けることもできる。この場合、酸素や水蒸気などのガスがフィルムを通過することが阻止され、内容物の保存性が向上して常温下長期保存が可能となるので好ましい。また、フィルムに金属層が含まれないため、電子レンジで加熱したときにスパークするおそれがない。さらに、フィルムの透明性が確保されるため、包装袋の内部の検査も容易であり、電気的放射によって金属探知が可能となる上、充填時にインラインピンホールテストによる検知器の設置も可能となるので、好ましい。
【0013】
前記シーラント層を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。例えば、胴部材11,12のシーラント層および底部材13のシーラント層として、同一グレードのキャストポリプロピレン(未延伸ポリプロピレン)または異なるグレードのキャストポリプロピレンを使用して、ポリプロピレン同士でヒートシールすることもできる。
前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などからなる単層または多層の組み合わせを用いることができる。胴部材11,12と底部材13とは、互いにヒートシールによって接合できる限り、構造、材質、厚さなどが互いに同じでもよく、また異なっていてもよい。
【0014】
包装袋10の両側縁部には、サイドシール部14,14が形成されている。これらのサイドシール部14中、胴部材11,12間に底部材13が介装された下部においては、各胴部材11,12の両側縁部が底部材13の両側縁部とヒートシールされている。また、それより上側の底部材13が介装されていない部分では、胴部材11,12の両側縁部同士でヒートシールされている。
【0015】
また、包装袋10の下部には、各胴部材11,12と底部材13とが互いに対向する対向面の下端縁部同士でヒートシールされることによりボトムシール部15が形成されている。さらに、底部材13の一部にパンチ穴などにより切欠部23を設け、該切欠部23を通して胴部材11,12同士がヒートシールされるようにすることもできる。
【0016】
また、包装袋10の上部には胴部材11,12同士がヒートシールされたトップシール部16が設けられている。すなわち、本形態例の包装袋10では、略矩形状の袋の四方の周縁がヒートシールされており、周縁シール部は、左右のサイドシール部14,14と、ボトムシール部15、およびトップシール部16を有する。
【0017】
一方の胴部材11には貫通孔である通気口22が設けられ、この通気口22は、ボトムシール部15の内側縁部から包装袋10の内方に突出した形状の通気口シール部21により閉塞されている。通気口シール部21は、一方の胴部材11と底部材13との対向面同士をヒートシールすることにより形成される。通気口シール部21は、形状の選択により、周縁シール部が剥離しない圧力にて剥離させるようにすることができる。この場合、周縁シール部と通気口シール部のヒートシール強さを同等としてもよく、また通気口シール部21をより確実に剥離させるため、通気口シール部21のヒートシール強さを、ボトムシール部15のヒートシール強さよりも小さくすることもできる。この場合、通気口シール部21のヒートシール強さは、ボトムシール部15等の周縁シール部のヒートシール強さの80%〜70%程度が好ましい。通気口シール部21のヒートシール強さは、レトルト殺菌処理後で、23N/15mm以上あることが望ましい。
【0018】
通気口22の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形の抜きや、1本ないし複数本の切り込み等とすることができる。通気口22の寸法は、通気口22が開口したときに包装袋の内部のガス等が逃げやすく、かつ通気口22から内容物が漏れ出しにくいような寸法を選択するとよい。
【0019】
本形態例において、通気口シール部21が包装袋の周縁シール部(ここではボトムシール部15であるが、包装袋の態様によってはサイドシール部14やトップシール部16などでも良い。)の内側縁部から突出してなる形状とは、通気口シール部21が、周縁シール部の内側縁部と通気口シール部21の周縁との境界となる二点21a,21bを結ぶ直線よりも内側に位置する部分を有すればよい。通気口シール部21の具体的な形状は特に限定されるものではないが、例えば、三角形状、台形状、長方形状、半円状などの各種形状を採用することができる。
【0020】
また、包装袋10の内部は、包装袋10の周縁のうちのいずれかの側縁と平行に挿入された易剥離性フィルム24により形成された仕切りシール部25により複数の室17,18に区画されている。本形態例においては、易剥離性フィルム24は帯状のテープであり、その長手方向が包装袋10の幅方向(ボトムシール部15を下としたときの左右方向)となるようにして胴部材11,12間に挿入されている(図2(a)を参照)。
【0021】
ここでは、仕切りシール部25を形成する易剥離性フィルム24は、略矩形の包装袋10における短辺側の側縁(本形態例では、図1の上下の側縁)と平行に挿入されているが、易剥離性フィルム24を長辺側の側縁(本形態例では、図1の左右の側縁)と平行に挿入して仕切りシール部25を形成することもできる。また、包装袋10は、長辺と短辺の長さが等しい正方形状であってもよい。
【0022】
また、仕切りシール部25は、易剥離性フィルム24の両面が胴部材11,12の内面とヒートシールされている。易剥離性フィルム24のうち、仕切りシール部25とされた部分以外の部分(図1において仕切りシール部25の上下両側の部分)は、胴部材11,12に対してヒートシールされておらず、未シールとされている。
【0023】
包装袋10への内容物の充填密封は、例えば、いずれか一方のサイドシール部14が未形成で胴部材11,12の間が開口された状態でそれぞれの室17,18に内容物を充填した後、その開口部をヒートシールしてサイドシール部14を形成し、周縁全周がヒートシールされるようにすればよい。密封後にはレトルト殺菌処理やボイル殺菌処理などの加熱殺菌処理により内容物を殺菌することができる。
【0024】
包装袋10を密封した後にレトルト処理する場合、包装袋10の周縁に形成された周縁シール部のヒートシール強さは、レトルト処理後、23N/15mm以上(2.3kgf/15mm以上)であることが望ましい。また、仕切りシール部25が剥離するときに周縁シール部の剥離を防止するため、周縁シール部のヒートシール強さは、仕切りシール部25のヒートシール強さより大きいことが必要であり、おおむね1.3〜2倍の強度が好ましい。本発明の包装袋においては、仕切りシール部25および通気口シール部21のヒートシール強さも23N/15mm以上とすることにより、安定してレトルト処理を行うことができる。
【0025】
本形態例においては、胴部材11,12のシーラント層に未延伸ポリプロピレンを用い、易剥離性フィルム24として、ポリプロピレン系樹脂からなる未延伸フィルムを用いている。易剥離性フィルム24は、包装袋10を構成するフィルム(本形態例においては胴部材11,12及び底部材13)同士のシールと同条件でヒートシールすることにより、包装袋10の周縁シール部よりヒートシール強さが小さい仕切りシール部25を形成することができるものであれば良く、易剥離性フィルム24の材質は、包装袋10の材料との組み合わせに応じて適宜選択することができる。
【0026】
包装袋10の内容物を電子レンジなどで加熱すると、包装袋10の内部に空気などの気体が存在する場合はこれが膨張し、また、内容物中の水分が蒸発することにより生じた水蒸気が膨張して、包装袋10の内部が高圧になり、図2(a)に示すように、それぞれの室17,18で内圧が上昇する。仕切りシール部25の中央部には、凹形状の未シール部26が形成されているので、この未シール部26には、内圧がより強く作用する。包装袋10の内部が所定の圧力以上になると、図2(b)に示すように、未シール部26を起点として仕切りシール部25が剥離し、複数の室17,18が連通する。これにより、それぞれの室17,18に分けて充填されている内容物が混合する。
【0027】
非レトルト対応袋であれば、仕切りシール部のヒートシール強さを小さく設定できるので、仕切りシール部の中央部に凸形状を形成し圧力を凸部に集中させ剥離を開始させ、仕切りシール部を全幅剥離させることができるが、本包装袋はレトルト対応のため、非レトルト対応袋に比べてヒートシール強さを大きく設定されているので、凸形状を設けた場合ではその一部が剥離し連通したところで剥離が全幅へ進まず内容物の混合を確実とすることができない。
【0028】
本包装袋は、仕切りシール部25の中央部に凹形状の未シール部26を形成しているので、内圧は未シール部26に集中はするものの、その形状の差から凸形状よりは集中度合いが低く、剥離までに時間を要するものである。ここで時間がかかることによって、仕切りシール部が加熱され、より剥離し易くなり全幅の剥離が可能になるのである。
つまり、本包装袋においては、仕切りシール部のヒートシール強さを大きく設定したので、剥離貫通までに時間がかかる凹形状が効果を奏するのである。
【0029】
本形態例の包装袋10においては、仕切りシール部25の長手方向の中央部において、通気口22が設けられた室18と反対の側である片側のみに凹形状の未シール部26が設けられているので、この未シール部26に圧力が集中し、通気口シール部21が剥離するより前に、仕切りシール部25が確実に剥離する。このため、内圧が過度に上昇することなく剥離が開始するので、剥離時に大きな音がすることを抑制できる。
【0030】
未シール部26における仕切りシール部25の最小幅と、仕切りシール部25の最大幅との差が0.5〜1.5mmであることが好ましい。このような未シール部26は、曲率半径が40〜60mmの円弧状とすることにより、未シール部26とその両側の部分とが滑らかに連続し、未シール部26における剥離をその外側の部分への剥離へと移行させることができ、仕切りシール部25全体の剥離を促進することができる。
【0031】
未シール部26への圧力集中の度合いを高めるため、仕切りシール部25の長手方向に沿う未シール部26の長さは15〜25mmであることが好ましい。
また、仕切りシール部25の最大幅は2〜3mmであるので、仕切りシール部25が全長にわたって剥離し、内容物の混合が円滑に行われる。
【0032】
さらに、内圧が高まると、通気口シール部21が内側へ突出しているので、通気口シール部21に対して内圧がより強く作用する。そして包装袋10の内部が所定の圧力以上になると、図2(c)に示すように、通気口シール部21が剥離して通気口22が開口する。従って、この通気口22から包装袋10の内部の過剰なガス等が逃げ、包装袋10の内圧が減少する。通気口22が開口すると、内圧が逃げるので周縁シール部が剥離することはなく、包装袋10の底抜けや内容物の漏れ出し等が生じることがない。このようにして、安全に加熱処理を行うことができる。
通気口シール部21のシール強度は、周縁部よりも内圧がより強く作用する形状であるので周縁シール部のシール強度と同等としてもよいし、周縁シール部のシール強度よりも小さいものとしてもよい。
【0033】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明において包装袋の底部材は省略することも可能である。この場合、本発明は、図3,図4に示すように、平袋を製造するために利用することができる。周縁シール部は、包装袋の周縁の一部がフィルムの折り返しなどで予め閉じている場合、包装袋の閉鎖・密封に必要な部分だけをシールするのでも良く、必ずしも全周に設ける必要はない。
【0034】
また、通気口シール部は室内部に周縁シール部から独立して存在していてもよい。
例えば、図3に示す電子レンジ加熱用包装袋10Aの場合、周縁シール部は、仕切りシール部25と交差するサイドシール部14,14と、仕切りシール部25と平行な横シール部19,19からなり、通気口22を閉塞する通気口シール部21Aがサイドシール部14の内側縁部から突出した形状とされている。また、図4に示す電子レンジ加熱用包装袋10Bの場合、周縁シール部は、仕切りシール部25と交差するサイドシール部14,14と、仕切りシール部25と平行な横シール部19,19からなり、通気口22を閉塞する通気口シール部21Bが第2の室18のコーナー近傍において、周縁シール部14,19から独立して存在している。
【実施例】
【0035】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
胴部材および底部材として、PET/ナイロン/キャストポリプロピレンの3層構成からなるフィルムを用いて、上記実施形態で説明した方法により図1に示すようなスタンディングパウチタイプの包装袋を製造した。易剥離性フィルムとしては、次の3種類を用い、それぞれについて包装袋を製造した。また、ヒートシール条件は、温度210℃、圧力0.5MPa、時間1secとした。
【0036】
<易剥離性フィルム>
テープA:東レフィルム加工(株)製 9501C 厚さ30μm。
テープB:オカモト(株)製 TP9 厚さ35μm。
テープC:オカモト(株)製 TP11 厚さ35μm。
【0037】
レトルト処理後の易剥離性フィルムと胴部材フィルムとの間のヒートシール強さをJIS Z 0238の「7.袋のヒートシール強さ試験」に規定する方法で測定したところ、テープAでは平均24.5N/15mm、テープBでは平均35.3N/15mm、テープCでは平均38.5N/15mmであった。
【0038】
<仕切りシール部の形状の比較>
実施例1の包装袋においては、図10に示すように、線幅2.5mmの直線状の仕切りシール部25の中央部の片側に、曲率半径50mmの凹形状の未シール部26を設けた。未シール部26の長手方向に沿う長さは20mm、未シール部26における仕切りシール部25の最小幅は1.5mmである。
【0039】
比較例1の包装袋においては、図5に示すように、線幅5mmの直線状の仕切りシール部31を設けた。
比較例2の包装袋においては、図6に示すように、線幅3mm、最大幅5mm、波のピッチ10mm、曲率半径3mmの波線状の仕切りシール部32を設けた。
【0040】
比較例3の包装袋においては、図7に示すように、複数の屈曲部を有する仕切りシール部33を設けた。
比較例4の包装袋においては、図8に示すように、中央部に、上側にV字形に突出した突出部と、下側に逆V字形に突出した突出部とが隣接した部分を有する仕切りシール部34を設けた。
【0041】
比較例5の包装袋においては、図9に示すように、線幅4mmの直線状の仕切りシール部35の中央部の両側に、曲率半径50mmの凹形状の未シール部35a,35bを設けた。未シール部35a,35bの長手方向に沿う長さは20mm、未シール部35a,35bにおける仕切りシール部35の最小幅は2mmである。
【0042】
図5〜図10に示す形状の仕切りシール部を有する包装袋を、テープA,B,またはCを用いて製造した。内容物を充填して密封した包装袋を電子レンジで加熱し、(1)中央の仕切りシール部が包装袋の全幅で剥離すること(「中央シール全幅剥離」)、目立った剥離音がないこと(「剥離音なし」)、仕切りシール部の剥離がサイドシール部の剥離を引き起こさないこと(「周辺シール後退なし」)、の3項目を試験した。
【0043】
以上の確認試験は、それぞれの仕切りシール形状(図5〜図10)、テープの種類(A〜C)ごとに複数のサンプルを作製して行い、項目ごとに合格したサンプル数を計数し、全数が合格した場合を「○」、1つでも不合格がある項目は「×」とした。この試験結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示すように、実施例1(図10のシール形状)の包装袋によれば、中央の仕切りシール部が包装袋の全幅で確実に剥離し、目立った剥離音がなく、かつ仕切りシール部の剥離がサイドシール部の剥離を引き起こさないという優れた結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、食品、非食品を問わず、各種内容品について複数の室に分けて収納し、電子レンジ加熱で仕切りを自動的に剥離させて混合処理させる用途に利用することができる。また、食品を内容品とする場合は、電子レンジで加熱調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の電子レンジ加熱用包装袋の一形態例を示す平面図である。
【図2】(a)は図1に示す電子レンジ加熱用包装袋の縦断面図、(b)は当該電子レンジ加熱用包装袋の仕切りシール部が剥離した状態を説明する縦断面図、(c)は当該電子レンジ加熱用包装袋の通気口シール部が剥離した状態を説明する縦断面図である。
【図3】本発明の電子レンジ加熱用包装袋の第2の形態例を示す平面図である。
【図4】本発明の電子レンジ加熱用包装袋の第3の形態例を示す平面図である。
【図5】比較例1の包装袋の仕切りシール部の形状を示す平面図である。
【図6】比較例2の包装袋の仕切りシール部の形状を示す平面図である。
【図7】比較例3の包装袋の仕切りシール部の形状を示す平面図である。
【図8】比較例4の包装袋の仕切りシール部の形状を示す平面図である。
【図9】比較例5の包装袋の仕切りシール部の形状を示す平面図である。
【図10】実施例1の包装袋の仕切りシール部の形状を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
10,10A,10B…電子レンジ加熱用包装袋、11,12…胴部材、13…底部材、14…サイドシール部、15…ボトムシール部、16…トップシール部、17…第1の室、18…第2の室、19…横シール部、21,21A,21B…通気口の周辺のシール部(通気口シール部)、22…通気口、23…切欠部、24…易剥離性フィルム、25…仕切りシール部、26…凹形状の未シール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁をシールした略矩形の包装袋の内部が、前記周縁のうちのいずれかの側縁と平行に挿入された易剥離性フィルムにより形成された仕切りシール部により複数の室に区画され、包装袋の一部に周辺をシールされた通気口とを備え、内容物を密封した後、内部が所定圧力以上になると、先に前記仕切りシール部が剥離して前記複数の室が1つに連通し、その後に通気口周辺のシール部が剥離して前記通気口が開口されるように構成された電子レンジ加熱用包装袋であって、
前記仕切りシール部は、JIS Z 0238に規定するヒートシール強さが23N/15mm以上であり、前記仕切りシール部の最大幅は2〜3mmであり、前記仕切りシール部の長手方向の中央部において、前記通気口が設けられた室と反対の側である片側のみに凹形状の未シール部が設けられ、前記未シール部の前記長手方向に沿う長さが15〜25mmであることを特徴とする電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項2】
前記未シール部は、曲率半径が40〜60mmの円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項3】
前記未シール部における前記仕切りシール部の最小幅と、前記仕切りシール部の最大幅との差が0.5〜1.5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ加熱用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−214892(P2009−214892A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58334(P2008−58334)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【出願人】(000116297)ヱスビー食品株式会社 (40)
【Fターム(参考)】