電子付着による表面酸化物の除去
【課題】基材表面からの酸化物のコスト効果が高く、効率的な除去方法および装置の提供。
【解決手段】本明細書中に記載されているのは、ターゲット領域内の基材表面から金属酸化物を除去するための方法および装置である。ある特定の態様において、この方法および装置は、導電性ワイヤーによって電気的に接続されている突き出た導電性チップの配列を有し、そして第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離されており、導電性チップの少なくとも一部分が、負にバイアスされている直流電源によって活性化されて、ターゲット領域内に存在する還元ガスの少なくとも一部分に付着する電子がターゲット領域内で発生し、処理表面と接触して基材の処理表面上の金属酸化物を還元する負に帯電した還元ガスを生成する、通電電極を有する。
【解決手段】本明細書中に記載されているのは、ターゲット領域内の基材表面から金属酸化物を除去するための方法および装置である。ある特定の態様において、この方法および装置は、導電性ワイヤーによって電気的に接続されている突き出た導電性チップの配列を有し、そして第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離されており、導電性チップの少なくとも一部分が、負にバイアスされている直流電源によって活性化されて、ターゲット領域内に存在する還元ガスの少なくとも一部分に付着する電子がターゲット領域内で発生し、処理表面と接触して基材の処理表面上の金属酸化物を還元する負に帯電した還元ガスを生成する、通電電極を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、米国特許出願第12/119、701号明細書の一部継続出願、2003年4月28日出願の米国特許出願第10/425、405号明細書の同じく継続出願である米国特許出願第12/042、055号明細書の一部継続出願であり、これらの開示の全てを参照により本明細書中に取り込む。本願はまた、2008年8月5日出願の米国特許仮出願第61/086、313号明細書の利益を主張し、その開示の全てを参照により本明細書中に取り込む。
【背景技術】
【0002】
本明細書中に記載されているのは、絶縁基材を含む基材の表面から金属酸化物を除去するフラックスレス法である。また本明細書中に記載されているのは、基材の表面から金属酸化物を除去するための装置である。
【0003】
ウェハーバンピングは、インナーリードボンディングのために、チップボンドパッド上に厚い金属バンプを作るのに使用される工程である。バンプは、一般的にパッド上にはんだを正確に置いて、その後リフローして(本明細書中で第1のリフローという)合金化を行い、そしてマッシュルーム形から半休形に、はんだバンプの形を変える。第1のリフローされたバンプを有するチップは、’’ひっくり返されて’’基材上のはんだで濡れることができる端子のフットプリントに対応し、そして次に第2のリフローに曝されてはんだ接合を形成する。これらのはんだ接合を本明細書中では、インナーリードボンドという。インナーリードボンドを乱すことなく、アウターリードボンディング等の次の集成ステップでより低い融点のはんだ(例えば、<230℃)を使用して進めることができるので、高融点はんだ(例えば、>300℃)は、ウェハーバンピング工程において通常使用される。
【0004】
第1のリフロー後のはんだバンプの形は、非常に重要である。例えば、高いバンプの高さは、より良いボンディングおよびより高い疲労耐久性のために好ましい。さらに、形成されたバンプは、好ましくは、平面性を確かにするために実質的に均一である。比較的より高いバンプ高さを有する実質的に均一なはんだバンプは、第1のリフローの間の酸化物のないバンプ表面と関係していると考えられる。現在のところ、はんだバンプされたウェハーの第1のリフローの間に、はんだ酸化物を除去するために2つの主要なアプローチがある。1つのアプローチは、400〜450℃のリフロー温度で純粋な水素を使用するフラックスレスはんだである。このアプローチの主な挑戦は、純粋な水素の可燃性の性質であり、概してこのアプローチの適用を制限する。第2のアプローチは、正確に置かれたはんだバンプの上に、またはバンプを形成するためにウェハー上に印刷されたはんだペースト混合物内に、有機フラックスを適用し、そしてフラックスがはんだ表面上の初期の酸化物を効果的に除去できるように、不活性環境中でバンプをリフローする。しかし、このアプローチは、欠点を有する。小さな空隙が、フラックスの分解により、はんだバンプ中に形成される場合がある。これらの空隙は、形成されたはんだ結合の電気的および機械的特性を低下させるだけでなくまた、はんだバンプされたウェハーの共平面性を破壊し、そして次のチップボンディング工程に影響する場合がある。分解したフラックスの揮発物はまた、保守コストを高める場合があるリフロー炉を汚染する場合がある。さらに、フラックスの残留物は、しばしばウェハー上に残り、金属を腐食させ、そして集成体の性能を低下させる場合がある。
【0005】
上記のリフロー工程からフラックス残留物を除去するために、後クリーニング工程を、クリーニング剤としてクロロフルオロカーボン(CFC)使用して適用できる。しかし、後クリーニングは、さらなる工程ステップを加え、そして製造工程時間を長くする。さらに、クリーニング剤として、クロロフルオロカーボン(CFC)の使用は、地球を保護するオゾン層への潜在的な損傷により禁止されている。残留物を減少させるために、少量の活性化剤を使用したクリーンでないフラックスが開発されたが、フラックス残留物の量とフラックスの活性において、利得と損失とのトレードオフがあった。したがって、より高反応性のH2ラジカルの生成を助け、それによって水素濃度の効果的な範囲および表面酸化物を還元するための処理温度を低下させる触媒法が、業界で探されていた。
【0006】
フラックスレス(ドライ)はんだが、幾つかの技術を使用して従来技術において使用されてきた。ある技術は、金属酸化物を取り除くか、またはそれらの蒸発温度に加熱するためにレーザー使用する。そうした方法は、典型的には不活性または還元雰囲気下で行われて、放出された汚染物質の再酸化を防ぐ。しかし、酸化物およびベース金属の融点または沸点は、類似している場合があり、そしてベース金属を溶融又は蒸発させることは望ましくない場合がある。したがって、そうしたレーザー法は、行うのが難しい。レーザーは、典型的には、作業するには高価で、かつおよび非効率的であり、酸化物層への直接の透視線を必要とする。これらの因子は、多くのはんだ用途のためのレーザー技術の有用性を制限する。
【0007】
表面酸化物は、高温での反応性ガス(例えば、H2)への暴露を通して、(例えば、H2Oに)化学的に還元できる。不活性キャリアー(例えば、N2)中に5%以上の還元ガスを含有する混合物が、典型的には使用される。反応生成物(例えば、H2O)は、次に高温での脱着によって表面から放出され、そして気流場中で運ばれる。典型的な工程の温度は350℃を超える。しかし、この工程は、高温に置いてさえ、遅くかつ非効率的である場合がある。
【0008】
還元工程の速度および有効性は、さらなる活性還元種を使用して高められる。そうした活性種は、従来のプラズマ技術を使用して生成できる。可聴、無線、またはマイクロ波周波数でのプラズマは、表面の酸素除去のために反応性ラジカルを生成するのに使用できる。そうした工程では、高強度の電磁気照射は、H2、O2、SF6、またはフッ素含有化合物を含む他の種をイオン化させ、そして解離させて、高度の反応性ラジカルにするために使用される。表面処理は、300℃未満の温度で行うことができる。しかし、プラズマ形成のために最適な条件を得るために、そうした工程は、典型的には真空条件下で行われ。真空での操作は、高価な装置を必要とし、そして速い連続的工程より、むしろ遅い、バッチ工程で行うことが好ましい。また、プラズマは、工程チャンバー内で、典型的には拡散して分散して、そして特定の基材の領域に向かわせることは難しい。したがって、反応性種は、工程において効率的に利用できない。プラズマはまた、スパッタリング工程を通して工程チャンバーに損傷を生じる場合があり、そして誘電体表面上に空間電荷を蓄積する場合があり、超小型回路の損傷となること可能性がある。マイクロ波それ自身はまた、超小型回路の損傷を生じる場合があり、そして基材温度は、処理の間に制御することが難しい場合がある。プラズマはまた、潜在的に危険な紫外線を放出する場合がある。そうした工程はまた、高価な電気装置を必要とし、そして相当な電力を消費し、それによってそれらの全体的なコスト効率を低下させる。
【0009】
米国特許第5、409、543号明細書は、真空条件において分子水素を熱的に解離させるために、熱フィラメントを使用して反応性水素種(すなわち、原子状水素)を生成させる方法を開示する。活性化された水素は、基材表面を化学的に還元する。熱フィラメントの温度は、500℃〜2200℃の範囲であることができる。電気的にバイアスされたグリッドは、または熱フィラメントから放出された過剰な自由電子の軌道を変え、または補足するために使用される。反応性種または原子状水素は、不活性なキャリアガスに、2%〜100%の水素を含有する混合物から生成される。
【0010】
米国特許第6、203、637号明細書は、熱イオン性カソードからの放電を使用して水素を活性化させる方法を開示する。熱イオン性カソードから放出された電子は、気相の放電を生じ、それが活性種を生成させる。放出工程は、加熱されたフィラメントを含有する別個のまたは離れたチャンバー内で行われる。イオンおよび活性化された中性物は、処理チャンバーに流れて、酸化された金属表面を化学的に還元する。しかし、そうした熱カソード処理は、最適な有効性およびフィラメントの寿命のために、真空条件を必要とする。真空での操作は、はんだ付けコンベヤーシステムに取り込まれることが好ましい高価な装置を必要とし、それによってそれらの全体的なコスト効率を低下させる。
【0011】
Potieらの’’Fluxless Soldering Under Activated Atomosphere at Ambient Pressure’’、Surface Mount International Conference、1995、San Jose、 CA、および米国特許第6、146、503号明細書、米国特許第6、089、445号明細書、米国特許第6、021、940号明細書、米国特許第6、007、637号明細書、米国特許第5、941、448号明細書、米国特許第5、858、312号明細書および米国特許第5、722、581号明細書は、放電を使用して活性H2(またはCH4またはNH3等の他の還元ガス)を生成させる方法を記載する。還元ガスは、一般的に不活性キャリアガス(N2)中に、’’%レベル’’で存在する。放電は、’’数キロボルト’’の交流電源を使用して生成される。離れたチャンバー中の電極から放出された電子は、実質的に帯電した種のない、励起されたまたは不安定な種を生成し、次に基材へ流れる。結果として工程は、ベース金属上の酸化物を還元して、150℃近くの温度ではんだ付けする。しかし、そうした離れた放電チャンバーは、大幅な装置コストを必要とし、そして既存のはんだ付けコンベヤーベルトシステムに容易に組み込まれない。さらに、これらの工程は、典型的には、はんだ酸化物を除去するよりむしろはんだ付けの前に金属表面を前処理するために用いられる。
【0012】
米国特許第5、433、820号明細書は、大気圧で高電圧(1kV〜50kV)電極からの放電またはプラズマを使用した表面処理方法を記載する。この電極は、離れたチャンバー内よりむしろ基材の近傍に置かれる。電極から放出された自由電子は、反応性水素ラジカル−−原子状水素を含有するプラズマ−−を生成し、これは、次に酸化された基材にわたって配置された誘電体シールド内の開口を通る。誘電体シールドは、酸素除去を必要とするこれらの特定の表面位置上で活性水素を濃縮する。しかし、そうした誘電体シールドは、電界を変え、そして正確な工程制御を妨げる場合がある表面電荷を蓄積させる場合がある。記載された方法は、ベース金属の表面をフラックスするためにのみ使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、熱エネルギーを低下させるために、比較的低温下ではんだバンプされたウェハーのフラックスレスリフローのために、経済的かつ効率的な方法を提供する技術的な要求がある。真空装置を購入し、そして維持する費用を回避するために、フラックスレスはんだリフローのための方法および装置を提供する技術において、さらなる要求がある。不燃性のガス環境を使用してフラックスレスはんだリフロー工程を提供する技術において、さらなる要求がある。さらに、例えば、電気的に絶縁された基材等の基材の表面から金属酸化物を除去する技術において、要求がある。電気的に絶縁された基材の例は、剛体エポキシガラスラミネート基材;柔軟なポリマーフィルム(例えば、ポリイミド);集積回路(IC)相互接続スキームにおいて使用される絶縁基材;3次元または積層ICパッケージ技術において使用される絶縁基材;およびそれらの組み合わせ、を含むがこれらに限られない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書中に記載された方法および装置は、全てではないが、フラックスの使用なしで基材の表面から金属酸化物を除去するための装置及び方法を提供することによって、当該技術の要求のいくつかを満たす。一つの形態では、基材の処理表面から金属酸化物を除去する方法が提供され、この方法は、接地電位を有するベース電極の近傍に基材を用意すること、(基材は、金属酸化物を含む処理表面を含む);ベース電極および基材の近傍に、通電(energizing)電極を用意すること、処理表面の少なくとも一部分は、この通電電極にさらされ、そしてベース電極および通電電極および基材は、ターゲット領域内にある。
【0015】
別の形態では、通電電極は、突き出た導電性チップの配列を含む電気絶縁板によって画定され、この導電性チップは、導電性ワイヤーによって電気的に接続されており、突き出た先端の配列は、第1の電気的に接続された群と、第2の電気的に接続された群に分離され、第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして正にバイアスされている直流電源および負にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と正にバイアスされている直流電源との間でエネルギーを交互に供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されており;ターゲット領域を通って還元ガスを含むガス混合物を通過させ;負にバイアスされている直流電源を起動することによって導電性チップの列に通電して、ターゲット領域内で電子を発生させ、電子の少なくとも一部分は、還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成させ;処理表面と負に帯電した還元ガスとを接触させて、処理表面上の金属酸化物を還元し;そして正にバイアスされている直流電源を起動することによって、導電性チップの列に通電し、処理表面から過剰な電子を回収し、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップの列および正にバイアスされている直流電源電気的に接続された導電性チップの列は、同時に通電されない。
【0016】
さらなる形態では、通電電極は、内部容積、ガス注入口、および下向きに突き出した導電性チップの配列を含む電気的に絶縁されたベースを有するチャンバーによって、画定されており、この導電性チップは細長い注入針でできており、チャンバーに流れる還元ガスを含むガス混合物がそれぞれの細長い注入針から注入できるように、それぞれの細長い注入針は、ガスチャンバーの内部容積と流体連通しており、これらの細長い注入針は、導電性ワイヤーによって共にすべて電気的に接続されており、そして次に。電子がそれぞれの細長い注入針の先端から発生できるように、負にバイアスされた直流電源に接続され、電子の少なくとも一部分は、それぞれの細長い注入針の先端から外に出る還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成し;処理表面と、負に帯電した還元ガスとを接触させて、基材の処理表面上の金属酸化物を還元し;負に帯電した電子が基材から接地に流れることができるように、基材は、導電性であり、そして接地されている。
【0017】
また別の形態では、通電電極は、内部容積、ガス注入口、および下向きに突き出した導電性チップの配列を含む電気的に絶縁されたベースを有するチャンバーによって画定されており、導電性チップは、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離され、チャンバーへ流れる還元ガスを含むガス混合物がそれぞれの細長い注入針から注ぎだされることができるように、導電性チップの第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の少なくとも一方は、ガスチャンバーの内部容積と流体連通しており、細長い注入針の少なくとも1つの群は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして負にバイアスされている直流電源および正にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されており;ガスチャンバー通し、そしてそれぞれの細長い注入針を通して、還元ガスを含むガス混合物を流し;電子がそれぞれの細長い注入針の先端から発生できるように、負にバイアスされている直流電源を起動することによって、細長い注入針の少なくとも1つの群に通電し、電子の少なくとも一部分が、それぞれの細長い注入針の先端から流れ出る還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成し;処理表面と、負に帯電した還元ガスとを接触させて、基材の処理表面上の金属酸化物を還元させ;そして正にバイアスされている直流電源を起動することによって、導電性チップの他方の群に通電して、処理表面から過剰な電子を回収し、細長い注入針の少なくとも1つの群は、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続されており、そして導電性チップの他方の群は、同時に通電されない正にバイアスされている直流電源に電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】図1aは、それぞれ、放出電極およびベース電極上の電圧パルスを具体的に示し;
【図1b】図1bは、それぞれ、放出電極およびベース電極上の電圧パルスを具体的に示し;
【図2a】図2aは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2b】図2bは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2c】図2cは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2d】図2dは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2e】図2eは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2f】図2fは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2g】図2gは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2h】図2hは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2i】図2iは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図3】図3は、複数の先端を用いた電子の放出および/または回収に好適な電極の1つの態様の例を提供し;
【図4】図4は、セグメント化された集成体を有する電子の放出および/または回収に好適な電極の1つの態様の例を提供し;
【図5】図5は、ウェハーバンピング用途における表面金属酸化物の除去を具体的に示す本明細書中に記載された方法の1つの態様の例を提供し;
【図6】図6は、ウェハーバンプのリフローの間に電極の極性を変化させることによって、基材表面上の負に帯電したイオンを除去するための本明細書中に記載された方法の特定の態様を具体的に示し;
【図7a】図7aは、2つの電極の極性が変化した場合の2つの電極間の荷電種の輸送を具体的に示し;
【図7b】図7bは、2つの電極の極性が変化した場合の2つの電極間の荷電種の輸送を具体的に示し;
【図8】図8は、ベース電極と比較して、正のバイアスを有する追加の電極を用いることによって、基材の表面上の電子を除去するための本明細書中に記載された方法の特定の態様の具体的な説明を提供する;
【図9a】図9aは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9b】図9bは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9c】図9cは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9d】図9dは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9e】図9eは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図10a】図10aは、それぞれ、一方向性の電圧パルスおよび双方向性電圧パルスの具体的な説明を提供し;
【図10b】図10bは、それぞれ、一方向性の電圧パルスおよび双方向性電圧パルスの具体的な説明を提供し;
【図11】図11は、本発明の電極集成体態様の具体的な説明であり;
【図12(a)(b)】図12(a)(b)は、図llの態様のある特徴の具体的な説明であり;
【図13】図13は、図llの態様で用いられる導電性チップの具体的な説明であり;そして
【図14】図14は、図llの態様で用いられる導電性チップの電気的配置の図である。
【図15】図15は、本明細書中に記載された通電電極集成体の態様の具体的な説明である。
【図16】図16は、そこを通る内部通路を有する導電性チップ、角度をつけた先端、およびフランジ状終端の態様の具体的な説明である。
【図17】図17は、本明細書中に記載された電極集成体の別の態様の等角図を提供する。
【図18(a)】図18(a)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【図18(b)】18(b)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【図19(a)】図19(a)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【図19(b)】19(b)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中に記載されているのは、負に帯電したイオンにさらすことにより、基材表面からの金属酸化物を除去するための方法および装置である。負に帯電したイオンは、表面の金属酸化物と反応し、そして還元する。一つの形態では、方法、装置、またはその両者は、例えば、はんだバンプされたウェハーのリフローに使用されるリフロー機等の従来のリフローおよびはんだ付け装置を改造することによって用いることができる。この形態または他の形態において、この方法はまた、他の工程に適用でき、金属メッキ(すなわち、その後のはんだ付けをさらに受けやすくするためのプリント基板または金属表面の部分のはんだめっき)、アウターリードボンディングのためのリフローおよびウェーブはんだ付け、表面クリーニング、ろう付け、溶着、およびケイ素ウェハー処理の間に生成された酸化銅等の金属の表面酸化物の除去等の基材からの表面金属酸化物の除去が望ましいが限定されない。本明細書中に記載された方法および装置を使用した金属酸化物の除去は、有機フラックスの必要なく、酸化物の除去に望ましい前記の工程または任意の他の工程に等しく適用できる。
【0020】
’’基材’’の用語は、本明細書中で使用される場合、一般的に、ケイ素、二酸化ケイ素で被覆されたケイ素、アルミニウム酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス、エポキシ等の材料、または電子装置内での使用に好適な任意の材料に関する。ある態様において、基材は、それらの上に配置したはんだを有した電気的に絶縁されたか、または半導電性の基材である。例示的なはんだ組成物は、フラックスレススズ銀、フラックスレススズ銀銅、フラックスレススズ鉛、またはフラックスレススズ銅を含むがこれらに限られない。一態様では、基材は、電気的に絶縁された基材である。電気的に絶縁された基材の例は:プリント基板に使用される剛体エポキシガラス(例えば、FR−4タイプ)ラミネート基材:柔軟な回路に使用される柔軟なポリマーフィルム(例えば、ポリイミド)基材;集積回路相互接続スキーム、ポリマー系BGA等の高密度相互接続、高密度相互接続、およびその同類のものにおいて使用される絶縁基材;3次元もしくは積層集積回路または3次元もしくは積層パッケージ技術において使用される絶縁基材;およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。しかし、本明細書中に記載された方法および装置は、種々の異なる基材およびはんだ組成物に好適である。ある好ましい態様において、基材は、その上に配置した複数のはんだバンプを有するケイ素ウェハーである。
【0021】
理論に拘束されることを望まないが、直流電源等のエネルギー源が少なくとも2つの電極間に適用される場合、電子は、他の電極(本明細書中において’’放出電極’’という)と比較して、負の電気のバイアスを有する2つの電極の1つのおよび/または2つの電極間の気相から発生すると考えられている。発生した電子は、接地しており、または電解に沿って、正の電気バイアス(本明細書中において’’ベース電極’’という)を有する他の電極の方へドリフトする。その表面上に複数のはんだバンプを有する基材は、ベースおよびはんだバンプされた表面を有する放出電極(本明細書中において’’ターゲット領域’’という)または放出電極に曝された処理領域によって画定された領域内に置かれる。ある態様において、基材は、ターゲット集成体を形成するベース電極に接続されていることができる。還元ガスおよび任意選択的にキャリアガスを含むガス混合物は、電極によって発生した電界を通過する。電子ドリフトの間、還元ガスの一部は、電子付着によってターゲット集成体、すなわち、ベース電極および基材表面にドリフトする負イオンを生成する。基材表面上で、負に帯電したイオンは、このように、従来のフラックスの必要無く、既存の金属酸化物を還元する。さらに、処理される表面上への活性種の吸着は、電界に沿った負に帯電したイオンのドリフトにより促進できる。
【0022】
還元ガスが、水素を含む態様において、本発明の方法は、次に用に起こると考えられている:
分子H2の解離付着:H2+e'=>H−+H(I)
水素原子上での電子付着:e'+H=>H−(II)
(I)および(II)の組み合わせ:2e'+H2=>2H−(III)
酸化物の還元:2H−+MO=>M+H2O+2e'(M=はんだ/ベース金属)(IV)。
【0023】
これらの態様において、電子付着を有する原子状水素イオンの形成は、分子水素の結合切断に関係するエネルギーを省くので、本発明の電子付着方法を使用する金属酸化物の還元の活性化エネルギーは、水素分子を使用する方法より低い。
【0024】
ある態様において、電子を発生させるために、放出電極を生じさせるのに充分なエネルギーは、電極の少なくとも1つ、好ましくは、放出電極へ供給される。エネルギー源は、好ましくは、電気エネルギーまたは交流もしくは直流源等の電源、である。電磁気エネルギー源、熱エネルギー源、もしくは光エネルギー源等のほかのエネルギー源はまた、単独で、または前記のエネルギー源のいずれかと組み合わせて使用できる。本発明のある態様において、放出電極は、第1の電圧レベルに接続されており、そしてベース電極は、第2の電圧レベルに接続されている。電圧レベルにおける相違は。電位におけるバイアスを作り出す。第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルの一方は、2つの電極のいずれかが接地されていることができるゼロを示すことができる。
【0025】
電子付着によって負に帯電したイオンを生成させるために、大量の電子が発生する必要がある。これに関連して、電子は、陰極放出、ガス放電、またはそれらの組み合わせ等の種々の手段によって発生できるが、これらに限られない。これらの電子発生方法の中での方法の選択は、主に発生する電子の効率およびエネルギーレベルによる。還元ガスが水素である態様では、4eVに近いエネルギーレベルを有する電子が好ましい。これらの態様では、そうした低エネルギーレベルの電子は、好ましくは、ガス放電よりむしろ陰極放出によって発生する。そして、発生した電子は、空間電荷を作り出すベース電極に向かって放出電極からドリフトする。水素が少なくとも2つの電極をまたはターゲット領域内を通過する場合、空間電荷は、電子付着によって負に帯電した水素イオンを生成するための電子源を提供する。
【0026】
陰極放出を通した電子発生を含む態様では、これらの態様は、:電界放出(本明細書中においてコールドエミッションという)、熱放出(本明細書中においてホットエミッションという)、熱電界放出、光子放出、および電子またはイオンビーム放出を含むことができる。
【0027】
電界放出は、放出電極の表面から発生する電子のエネルギー障壁を乗り越えるためにベース電極に対し、強度において充分高い放出電極上での負のバイアスを有する電界を適用することを含む。ある好ましい態様では、直流電圧は、0.1〜50kVの範囲、好ましくは、2〜30kVの範囲にある2つの電極間に適用される。これらの態様において、電極間の距離は、0.1〜30cm、好ましくは、0.5〜5cmの範囲であることができる。
【0028】
熱放出は、他方では、放出電極中の電子を活性化し、そして放出電極の材料中の金属結合から電子を分離するために高温を使用することを含む。ある好ましい態様では、放出電極の温度は、800〜3500℃、好ましくは、800〜1500℃の範囲であることができる。放出電極は、電極を通して交流または直流を通すことによる直接加熱;加熱要素によって加熱された電気的に絶縁された熱い表面を有するカソード表面と接触させること等の間接的な加熱、赤外線照射、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限られない種々の方法によって高温にされおよび/または維持されることができる。
【0029】
熱電界放出は、電界および高温の両方が適用される電子発生のための電界放出および熱放出方法のハイブリッドである。したがって、熱電界放出は、純粋な電界放出および純粋な熱放出と比較して、同量の電子を発生させるために、より小さい電界およびより低い電極温度を必要とすることができる。熱電界放出は、放出表面上の汚染による電子放出における劣化の傾向、および放出表面の平面性および均一性への高度の制限等の、純粋な電界放出と直面する困難性を最小化することができる。さらに、熱電界放出はまた、放出電極と気相との間の高電位化学反応等の熱放出に関連した問題を回避できる。熱電界放出が電子発生のために使用される態様において、放出電極の温度は、周囲温度〜3500℃、またはさらに好ましくは、150〜1500℃であることができる。これらの態様では、電圧は、0.01〜30KV、またはさらに好ましくは、0.1〜10KVの範囲であることができる。
【0030】
ある好ましい態様では、熱放出または熱電界放出法は、電子発生のために使用される。これらの態様では、これらの方法のいずれかにおいて使用される高温放出電極はまた、続くリフロー工程ステップのために、ガスを加熱するための必要な熱エネルギーを下げることができるように、2つの電極によって発生した電界を通るガス混合物のための熱源として機能できる。
【0031】
本発明のある態様において、電子の発生は、陰極放出およびコロナ放電法の組み合わせを介して達成される。これらの態様において、直流電圧等のエネルギー源は、2つの電極間に適用され、そして電子は、放出電極(コールドまたはホット)および放出電極近くの気相(コロナ放電)の両方から発生する。コロナ放電は、好ましくは、電子付着によって負に帯電したイオンを生成する効率を高め、そして、放出電極の寿命を延ばすために最小化される。
【0032】
陰極放出メカニズムが、電子放出のために使用される態様では、2つの電極の上に掛けられる電圧は、一定またはパルス状であることができる。電圧パルスの周波数は、0〜100kHzの範囲である。図1aおよび1bは、放出電極およびベース電極、それぞれの上での電圧パルスの具体的な説明を提供する。これらの態様において、電子発生の量を改善し、そして気相放電の傾向を低下させるためには、図1aおよび1bに示された等のパルス状の電圧は、一定の電圧より好ましいと考えられている。
【0033】
ガス放電を通した電子発生を含む態様では、これらの態様は、熱放電、光放電、およびグロー放電、アーク放電、スパーク放電、およびコロナ放電を含む種々のアバランシェ放電を含むことができる。これらの態様において、電子は、気相イオン化によって発生する。還元ガスおよび不活性ガスを含む気相は、ガス混合物である。気相イオン化のある態様において、電源は、2つの電極間に適用され、そして電子は、2つの電極間のガス混合物内の不活性ガスから発生でき、次にベース電極等の正にバイアスされた電極に向かってドリフトする。この電子ドリフトの間、これらの電子のいくつかは還元ガス分子上に付着し、そして電子付着によって負に帯電したイオンを生成できる。さらに、いくつかの正イオンはまた、不活性ガス内で生成され、次に放出電極等の負にバイアスされた電極に向かってドリフトし、そして電極表面で中和される。
【0034】
既に記載したように、電子は、ベース電極と比較して、負のバイアスを有する場合には、放出電極から発生できる。図2a〜2iを参照すると、放出電極は、例えば、細いワイヤー2、尖った先端2bを有する棒、幾つかの尖った先端またはくし2cを有する棒、スクリーンまたはワイヤーメッシュ2d、緩いコイル2e、くし2fの配列、細いワイヤーまたはフィラメント2gの束、その表面2hから突き出た鋭い先端を有する棒、またはぎざぎざのある表面2iを有する板等の種々の形状を有することができる。さらなる形状は、表面突起を有する板または棒、ワイヤーの巻きまたはフィラメントで巻かれた棒、細いワイヤーのコイル等の上記の形状の組み合わせを含むことができる。複数の電極は、連続して平行に、または直交する格子で並べて用いることができる。またさらなる形状は、複数の電極が車輪中の’’スポーク’’等の放射状の様式で並べられている’’ワゴンの車輪’’の配置を含むことができる。電界放出が含まれる態様等のある態様において、図3に記載した形状等の電極表面の近くの電界を最大化するために、カソードは、好ましくは複数の鋭い先端等の大きな表面曲率を有する形状でできている。図3に具体的に示すように、電極1は、その表面から広がる複数の先端3と共に電極表面上の溝内にある一連の細いワイヤー2を有する。
【0035】
放出電極の機能を果たす電極材料は、好ましくは、比較的低い電子放出エネルギーまたは仕事関数を有する導電性材料からなる。材料はまた、好ましくは、処理条件下で高い融点および比較的高い安定性を有する。好適な材料の例は、金属、合金、半導体、および導電性基材の上へ被覆されたまたは堆積された酸化物を含む。さらなる例は、タングステン、グラファイト、ニッケルクロム合金等の高温合金、および導電性基材上に堆積されたBaOおよびAl203等の金属酸化物を含むがこれらに限られない。
【0036】
ベース電極の機能を果たす電極は、金属またはそこに記載された他の材料のいずれか等の導電性材料からなる。ベース電極は、用途により種々の異なる形状を有することができる。
【0037】
熱電界放出を含む本発明のある態様において、放出電極は、図4に記載された電極等のセグメント化された集成体を含むことができる。この点で、放出電極のコア10は、高い電気抵抗を有する金属でできていることができる。複数の先端11コアは、10からでている。先端llは、本明細書中に開示された材料のいずれか等の比較的低い電子放出エネルギーまたは仕事関数を有する導電性材料でできていることができる。コアは、コア10を通して交流または直流電流(示されていない)を直接流すことによって加熱できる。熱伝導は、熱をコアから先端11に移動させる。熱いコア10および複数の先端11は、次に支持枠に装入される筺体12に囲まれており、それによって示したようなセグメント化された集成体を形成する。先端11は、筺体12の外側に曝されている。筺体12は、絶縁材料からなる。セグメント化された集成体は、作業の間にコアの熱膨張を可能にする。この配置では、電子は、ベース電極と比較して、放出電極上に負の電圧バイアスを適用することによって熱い先端11から発生できる。
【0038】
熱電界放出を含む本発明の別の好ましい態様では、間接的な加熱は、放出電極の温度をあげることができる。これは、放出電極のコアとして加熱カートリッジを使用して達成できる。加熱カートリッジの表面は、カートリッジの内側の加熱要素から電気的に絶縁されている金属等の導電性材料からなることができる。電子放出を促進するために、複数の分散された放出先端は、加熱カートリッジの表面上に取り付けられることができる。カートリッジは、カートリッジの内側の加熱要素を通して交流または直流電流を流すことによって加熱できる。第2の電極と比較して、カートリッジの表面上に負の電圧バイアスを適用することによって、電子は、カートリッジの分散された先端から発生できる。この配置で電圧バイアスを作り出すために、カートリッジが負にバイアスされていることができるように、第2の電極が接地されていることができるか、または、替わりに、第2の電極が正にバイアスされていることができるように、カートリッジが接地されていることができる。いくつかの態様において、後者の場合は、2つの電気回路間の干渉可能性を除くために好ましいことができる、例えば、1つの回路は、加熱要素に沿った交流または直流電流であることができ、そして別の回路は、カートリッジの表面と第2の電極との間の高い電圧バイアスであることができる。これらの態様では、熱いカートリッジ電極はまた、リフロー工程ステップのために必要な温度を達成するために、ガス混合物のための熱源の機能を果たすことができる。
【0039】
既に記載したように、還元ガスを含むガス混合物は、少なくとも2つの電極によって発生した電界を通過する。ガス混合物内に含まれる還元ガスは、以下の範疇の1つまたは2つ以上に入ることができる:1)本質的に還元体ガス、2)活性種と金属酸化物との反応でガス状の酸化物を生成する活性種を生成できるガス、または3)金属酸化物と活性種との反応で液体または水性酸化物を生成する活性種を生成できるガス。
【0040】
第1の範疇のガス、または本質的に還元体のガスは、熱力学的に除去される酸化物に対して還元体となる任意のガスを含む。本質的に還元体のガスの例は、H2、CO、SiH4、Si2H6、ギ酸、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール、および式(Ill):
【化1】
を有する何らかの酸性蒸気を含む。
【0041】
式(III)において、置換基Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール、または置換アリール基であることができる。’’アルキル’’の用語は、本明細書中で使用される場合、好ましくは、1〜20の炭素原子を含む、またはさらに好ましくは、1〜10の炭素原子を含む直鎖、分枝鎖、または環状アルキル基を含む。これは、ハロアルキル、アルカリール、またはアラルキル等の他の基に含まれるアルキル部分でも当てはまる。’’置換アルキル’’の用語は、O、N、S、またはハロゲン原子等のヘテロ原子;OCH3;OR(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);アルキルC1〜10またはアリールC6〜10;NO2;SO3R(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);またはNR2(R=H、アルキルC1〜10またはアリールC6〜10)を含む置換基を有するアルキル部分に適用される。’’ハロゲン’’の用語は、本明細書中で使用される場合、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。’’アリール’’の用語は、本明細書中で使用される場合、芳香族の特徴を有する6〜12員の炭素環を含む。’’置換アリール’’の用語は、本明細書中で使用される場合、O、N、S等のヘテロ原子、または複数のハロゲン原子;OCH3;OR(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);アルキルC1〜10またはアリールC6〜10;NO2;SO3R(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);またはNR2(R=H、アルキルC1〜10またはアリールC6〜10)を含む置換基を有するアリールを含む。ある好ましい態様では、ガス混合物は、水素を含む。
【0042】
還元ガスの第2の範疇は、本質的に還元的でないが、ガス分子上への電子の解離付着によって、例えば、H、C、S、H’、C’およびS’等の活性種を生成し、そして活性種と除去される金属酸化物との反応によって、ガス状の酸化物を生成する任意のガスを含む。このタイプのガスの例は:NH3、H2S、CH4、C2H4等であるがこれらに限られないC1〜C10炭化水素、式(III)を有する酸性蒸気、および以下の式(IV):
【化2】
を有する有機蒸気を含む。
【0043】
式(III)および(IV)において、置換基Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール、または置換アリール基であることができる。
【0044】
第3の範疇の還元ガスは、本質的に還元的でないが、ガス分子上への電子の解離付着によって、例えば、F、Cl、F、およびCl’等の活性種を形成でき、そして活性種と、金属酸化物との反応によって、液体または水性酸化物を生成する任意のガスを含む。このタイプのガスの例は、CF4、SF6、CF2Cl2、HCl、BF3、WF6、UF6、SiF3、NF3、CClF3、およびHF等のフッ素および塩素を含有するガスを含む。
【0045】
1種または2種以上の上記の範疇の還元ガスを含むほか、ガス混合物は、1種または2種以上のキャリアガスをさらに含むことができる。キャリアガスは、例えば、還元ガスを薄めるか、または衝突安定性を提供するために使用できる。ガス混合物中で使用されるキャリアガスは、還元ガスまたはガス混合物中のガスの電子親和性より低い電子親和性を有する任意のガスであることができる。ある好ましい態様では、キャリアガスは不活性ガスである。好適な不活性ガスの例は、N2、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびRnを含むがこれらに限られない。
【0046】
ある好ましい態様では、ガス混合物は、その比較的低いコストおよび排気ガス放出の環境への優しさにより、還元ガスとして水素およびキャリアガスとして窒素を含む。これらの態様において、ガス混合物は、0.1〜100体積%、好ましくは、1〜50体積%、またはさらに好ましくは、0.1〜4体積%の水素を含む。ガス混合物を不燃性にする4%より未満の水素量が好ましい。
【0047】
ある態様において、周囲温度から450℃の範囲、さらに好ましくは、100〜350℃の範囲の温度で、ガス混合物は、少なくとも2つの電極によって発生した電界を通る。ガス混合物の圧力は、好ましくは、環境大気圧、すなわち、処理領域の既存の圧力である。真空等のほかの特別な圧力は、必要であることができる。ガス混合物が加圧される態様では、圧力は、10〜20psia、好ましくは、14〜16psiaの範囲であることができる。
【0048】
酸化物が除去される基材表面は、好ましくは、放出電極と、放出電極の方に向いた表面を有するベース電極との間に配置される。本発明のある好ましい態様において、基材は、ターゲット集成体を提供し、そして放出電極の方に向くために、ベース電極に接続されていることができる。これらの態様において、放出電極と、ウェハーおよび/またはターゲット集成体の上表面との間の距離は、0.1〜30cm、好ましくは、0.5〜5cmの範囲であることができる。
【0049】
図5は、基材がケイ素ウェハー20であるウェハーバンピング用途で使用される方法の具体的な説明を提供する。図5を参照すると、第2の電極24は、ウェハー20より上に配置され、そして複数のはんだバンプ(示されていない)を含むウェハー20は、第1の電極22より上に配置されて、ターゲット集成体を形成する。複数のはんだバンプを含有するウェハー20の表面の少なくとも一部分は、第2の電極24に曝されている。ウェハー20が、第1の電極22の上に置かれるように示され、一方、ウェハー20は、電極22と電極24との間のどこかに置かれることが想定されている。パルス状の電圧25が第1の電極22および第2の電極24にかけて適用され、電界を発する。水素および窒素を含有するガス混合物26は、電界を通過する。低エネルギーの電子28は、電界内で発生し、第1の電極22およびその上に配置されたウェハー20に向かってドリフトする。さらに、ガス混合物26内の水素の一部分は、電子付着によって水素イオン30を生成し、この水素イオン30は、第1の電極22およびその上に配置されたウェハー20に向かってドリフトする。第1の電極の上に配置されたウェハー20を有する電極22に向かう負に帯電した水素イオン30および電子28のドリフトは、ウェハー20の表面の上へのイオン30の吸着を促進し、そしてウェハー表面の酸素除去(本明細書中において、表面の酸素除去という)を促す。
【0050】
基材の伝導度によって、表面の酸素除去から反応副生成物として発生した電子のいくつかは、基材表面上に堆積できる。さらに、自由電子の一部分は、電界に沿ってドリフトすることによって、基材上に直接吸収される。基材表面上へのこの電子の蓄積は、負に帯電したイオンのさらなる吸着を妨げ、そして表面の酸素除去の平衡に悪影響を及ぼす場合がある。表面の酸素除去工程をさらに効率的にするために、基材表面上の電子を周期的に除去する必要がある。
【0051】
基材表面上に電子を除去する一つの方法は、相互に対して電極の両方の極性を変化させることである。極性変化の間、それぞれの電極上の電圧レベルは、必ずしも同じでない場合がある。一態様では、極性変化は、図10bに示されたような少なくとも2つの電極との間に双方向性電圧パルスを適用することによって、達成できる。図6は、電圧パルス(すなわち、負のバイアス)の1つの相において電子を発生でき、そして電圧パルス(すなわち、正のバイアス)の別の相において電子を回収することができる極性変化の例を提供する。図6において、電極110は、電子放出および電子回収電極の両方として使用され、そして電極120はベース電極として使用される。この配置は、表面の酸素除去の効率を最大化できる。複数の鋭い先端101を含む電極110は、ウェハー103より上に配置される。電極110は、交流電源104に接続することによって加熱される。別の電極120は、ウェハー103の下に配置される。例えば、双方向性パルスの直流電源105によって、電極110および120の極性の変化を得ることができる。双方向性電圧パルスの例は、図10b中で具体的に説明されている。電極110が負にバイアスされている場合、先端101から発生した電子の少なくとも一部分は、還元ガスおよびウェハー103へ向かってドリフトする新たに作り出された還元ガスイオンの少なくとも一部分に付着する。極性が逆転した場合、電子は、ウェハー103の表面から放出され、そして先端101に戻って回収される。図7aおよび7bは、電圧パルスのそれぞれの周期の間の荷電種の輸送を具体的に示す。2つの電極の極性を変化させる周波数は、0〜100kHzの範囲であることができる。
【0052】
他の態様では、基材表面上の過剰な電子は、1つまたは2つ以上のさらなる電極を用いることによって除去できる。図8は、ウェハーが基材であるそうした例を提供する。図8を参照すると、ウェハー200は、接地したベース電極201の上に配置されている。2つの電極、ベース電極201に対して、負の電圧バイアスを有する電極202およびベース電極201に対して、正の電圧バイアスを有する電極203が、ウェハー表面200より上に配置される。この配置では、電子は、電極202から持続的に発生し、そして電極203で回収される。ある特定の態様において、電極202および電極203の極性は、正の電圧バイアスから負の電圧バイアスに、そしてベース電極201に対してその逆で、周期的に変化することができる。
【0053】
また別の態様では、電子または残留する表面電荷は、表面の酸素除去の後に中和剤を用いることによって、基材表面から除去できる。残っていて未処理の場合、残留した電荷汚染は、感受性の電子構成部分に静電放電のダメージを生じる場合がある。これらの態様において、市販されている中和装置を通して、そして次に基材表面にかけてN2等の高純度ガスを流すと、ウェハー表面上に残留する電荷を中和できる。ガス中に存在する正イオンは、任意の残留する電子を中和し、そして電気的に中性の表面を提供するであろう。好適な電荷中和装置は、例えば、ガス中の正イオンおよび負イオンに等しい密度を作るKr−85放射能源からなる。ガスがウェハーを通って流れるにつれて、正イオンおよび負イオンが生成され、一方ガス流の正味電荷は0である。
【0054】
ある態様において、基材またはターゲット集成体は、放出電極の役割を果たす電極に対して動くことができる。この点で、放出電極は、固定された位置にあることができ、そして基材を動かすことができ、放出電極は、動かすことができ、そして基材は固定位置にあることができ、または放出電極および基材の両方が動かされる。この動作垂直、水平、回転、または弧に沿っていることができる。これらの態様において、表面の酸素除去は、基材表面の局所的な領域内で起こることができる。
【0055】
以下の図9a〜9eで、基材は、接地しているベース電極の上に配置されたケイ素ウェハーである。複数のはんだバンプ(示されていない)を含むウェハー表面の少なくとも一部は、放出電極および回収電極の両方の機能を果たす(すなわち、極性、例えば、電位において負のバイアスから正のバイアスに極性を変化させる)第2の電極に曝される。図9aは、0〜100KHzの範囲の周波数で循環でき、それによって306に示すようなイオン領域を生成できるベース電極304に対して、双方向性にパルスの電圧が掛けられる、加熱された直線電極302の下で回転して動かされるケイ素ウェハー300を示す。処理チャンバー(示されていない)の外側に位置するモーターは、ウェハーを回転させる。そうした回転は、半導体処理においてウェハー表面の大幅な汚染無く、しばしば達成される。汚染は、高い清浄度、回転的な送り込みおよび流れパターンの制御を用いることによって回避できる。図9bは、ベース電極314に対して双方向的パルス電圧を適用され、それによって316に示すようなイオン領域を生成する加熱された直線状電極312の下で直線的に動かされるケイ素ウェハー310を示す。この配置は、例えば、リフロー炉を通るプリント基板等のチューブ状バンピング炉を通してウェハーを動かすのにコンベヤーベルトが使用される用途に好適であることができる。図9cは、対の加熱された直線状放出電極324および326の下で回転して動かされるケイ素ウェハー320を示し:電子がウェハー表面に発生し、そしてウェハー表面から戻って回収されることができ、それによって328として示したようなイオン領域を生成するように、ベース電極322は、固定された正のバイアスを有し、そして放出電極324および326は、ベース電極322に対して、固定された負のバイアスを有する。処理チャンバー(示されていない)の外側に位置するモーターは、ウェハーを回転させる。図9dは、電子放出を行いそして別々に回収し、それによって338に示したようなイオン領域を生成するために、固定されかつベース電極332に対して、反対の極性でる加熱された対の直線状電極334および336の下で直線的に動かされるケイ素ウェハー330を示す。最後に、図9eは、旋回腕346の終端に位置する比較的より小さい電極344を用いる。電極344の極性は、しばしばベース電極342に対して変更され、それによって348に示すようなイオン領域を生成する。この腕は、例えば、アーチ状の動きにおいて回転ウェハー340にわたって振られ、全ウェハー表面の完全かつ均一な処理に影響する。
【0056】
本明細書中に記載された方法は、例えば、表面クリーニング、金属メッキ、ろう付け、溶着、ならびにアウターリードボンディングのためのリフローおよびウェーブはんだ付け等のはんだバンプされたウェハーのリフローに加えて、マイクロエレクトロニクス製造のいくつかの領域で使用されることできる。本明細書中に記載された方法に好適であるリフローおよびウェーブはんだ付け装置の例は、本発明の譲受人に譲り受けられた、米国特許継続出願第09/949、580号明細書中に提供されている図1〜3にあり、そして参照により本明細書中にその全部を取り込む。ある特定の態様において、本明細書中に記載された方法は、酸化銅等の金属の表面酸化物を還元させるために使用されることができ、ケイ素ウェハーの処理または薄膜酸素除去の間に形成される。そうした酸化物は、ウェハー上にマイクロエレクトロニクス装置を形成するのに使用される化学的機械的な平坦化等の種々の湿式処理ステップの結果として形成されることができる。これらの表面酸化物は、装置の収率および装置の信頼性を低下させる。本方法は、水性還元剤の使用を必要としない充分に乾燥しており、環境に優しい方式で、表面酸化物を、除去させることができる。さらに、本方法は、比較的低温で行われるため、処理の間に装置の熱収支に著しく影響しない。対照的に、より高い温度は、ドーパントおよび酸化物の拡散を生じることによって、装置の収率および信頼性を低下させ、それによって装置の性能を低下させる。本明細書中に記載された方法は、単一のウェハー上で行われるある態様において、この方法は、他の単一のウェハー工程と統合でき、それによって他の製造ステップとのより良い適合性を提供する。
【0057】
本明細書中に記載された方法および装置は、ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去の適用のために、特に好適である。ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去のために、本明細書中に記載された方法および装置を使用することの便利さは、数多くある。第1に、アウターリードボンディングと比較して、ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去のための典型的なリフローはんだ付け工程は、両方とも単一面の処理である。これに関係して、酸素除去される表面より上の空間は、1cmまでも小さいことができ、それによってイオンの生成および輸送の両方にとって効率的な工程となる。第2に、ウェハーバンピング中のリフロー用処理温度は、典型的なリフローはんだ付け工程の温度より著しく高い。このより高い温度は、電子付着により負に帯電したイオンの形成を促進する。第3に、ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去工程では、はんだバンプおよび薄膜は、完全に暴露されており、それによって表面の酸素除去の間にあらゆる’’影’’の効果を最小化する。さらに、はんだが濡れ、そして構成部分の表面に広がらなけらばならない他のはんだ付け工程と比較して、ウェハー上に正確に置かれたはんだバンプは、第1のリフローにおいてはんだボールの形成を示すことだけを必要とする。
【0058】
図11〜14は、本発明によって基材の処理表面から金属酸化物を除去するために用いられる好ましい電極集成体装置を具体的に示す。図11参照すると、電極集成体は、導電性ワイヤー(示されていない)によって電気的に接続されている突き出た導電性チップ506の配列および接地電位を有するベース電極502を有する通電電極501を含む。本明細書中で使用される場合、’’通電電極’’の用語は、接地(0)に対して、正かまたは負の電位を有する電極である電極をいう。通電電極501は、ベース電極502に近い。好ましくは、ベース電極502および通電電極501は、約0.5cm〜約5.0cmの距離で、互いに隔たっている。好ましい態様では、ベース電極502および通電電極501は、1.0cmの距離で互いに隔たっている。
【0059】
基材503は、ベース電極502に近い。基材503は、絶縁部分504および金属酸化物を含む処理表面505を含む。好ましくは、処理表面505の少なくとも一部分は、通電電極501およびベース電極502に曝され、そして通電電極501および基材503は全てターゲット領域内にある。
【0060】
さて、図llおよび12(a)を参照すると、通電電極501は、導電性ワイヤー(示されていない)によって、電気的に接続された突き出た導電性チップ506の配列を有する絶縁板によって画定されている。好ましくは、絶縁板は、例えば、石英、セラミック材料、ポリマー、およびそれらの混合物等の絶縁材料から選択された材料を含む。一態様では、絶縁板は、石英を含む。別の態様では、絶縁板は、セラミック材料を含む。
【0061】
ある特定の態様において、ベース板に接続された突き出た導電性チップは、取り外しできる。例えば、図12(a)を参照すると、絶縁板の下側は、’’鍵穴’’に似た穴507を有し、穴507のそれぞれは、導電性ワイヤー508によって接続されており、導電性チップ506が一旦穴507に挿入されると、導電性チップ506と電気的に接触する。図12(b)は、3つの穴507の配置の拡大を示す。好ましくは、穴507(そしてこのように導電性チップ506)は相互から約2mm〜約10mm、もしくは約5mm〜約8mmの距離、または約5mmの距離で離間している。穴507は、例えば、レーザー穴あけ等の当業者に公知の任意の手段によって形成可能である。
【0062】
図13は、その上部終端508が穴507の一つにぴったり入り、導電性ワイヤー508と接触し、そして例えば、ひねる動作によってロックする単一の導電性チップ506を示す。導電性チップのそれぞれは、例えば、導電性チップ506をロックするのに使用されるのと反対方向にひねる動作によって、ロックを外し、そして除去できる。好ましくは、導電性チップ506は、例えば、真鍮、ステンレススチール、ニッケルクロム合金、および比較的低い電子放出エネルギーを有する他の金属等の金属でできている。別の態様では、導電性チップ506は、例えば、カーボンナノチューブ等のナノチューブから成ることができる。
【0063】
次に、図14に記載された態様を参照すると、突き出た導電性チップ506の配列は、直流電源518に接続されている第1の電気的に接続された群510および第2の電気的に接続された群512に分離されており、第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方が正にバイアスされている直流電源516に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方が負にバイアスされている。正にバイアスされている直流電源および負にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と、正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラー514に電気的に接続されている。多機能コントローラー514と、正のおよび負の直流電源のそれぞれとの間は、正のおよび負の直流電源のそれぞれと連通している正のパルス発生器520および負のパルス発生器522である。パルス発生器520および522は、事実上スイッチである。それぞれのパルス発生器が、多機能コントローラー514からパルス信号(例えば、0〜5vのパルス状の低電圧信号)を受ける場合、(例えば、直流電圧の0vと、設定点との間で)対応する高電圧源に相当する出力である高電圧パルスを生成できる。多機能コントローラー514は、デュアル出力を有する。一方の出力がパルス発生器に対応して接続され、他方の出力が他のパルス発生器と切断されていて、このように交流機能を作り出す。典型的には、多機能コントローラーのパルス信号の2つの調節できる変数、すなわち、パルス周波数および電圧のオンオフ比がある。
【0064】
運転では、還元ガスを含むガス混合物が、ターゲット領域を通る場合、負のパルス発生器522と連携した多機能コントローラー514は、負にバイアスされている直流電源を通電することによって、導電性チップの列に通電してターゲット領域内に電子を発生させ、電子の少なくとも一部分は、還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成し、次に、処理表面と接触して基材の処理表面上に金属酸化物を還元する。多機能コントローラー514は、次に正のパルス発生器520と連携している負にバイアスされている直流電源の動作を停止し、そして、正にバイアスされている直流電源を動かして、導電性チップの残りの組の列に通電して、処理表面から過剰な電子を回収する。好ましくは、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップの列および正にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップの列は、同時に通電されない。操作において、多機能コントローラー514は、高周波数のパルスで、負にバイアスされた直流電圧と、正にバイアスされた直流電圧との間で切り替えることができる。好ましい態様では、電圧のパルス周波数は、好ましくは、約0〜約50kHz、そしてさらに好ましくは、約10kHz〜約30kHzである。電圧パルスの振幅は、好ましくは、約1kV〜約3kVである。
【0065】
図11〜14によって具体的に説明された態様のいくつかの利益がある。第1に、そうした態様は、例えば、セラミック基材等の絶縁基材上での、例えば、酸化銅等の金属酸化物の低温還元を可能にする。絶縁基材の例は、例えば、プリント基板に使用される剛体エポキシガラスラミネート基材、柔軟な回路に使用される柔軟な屈曲ポリマーフィルム(例えば、ポリイミド)基材、集積回路の相互接続スキーム中で使用される絶縁基材、ポリマー系BGA(ボールグリッド配列)等の高密度相互接続、高密度相互接続、および3次元もしくは積層集積回路または3次元もしくは積層パッケージ技術において使用される絶縁基材を含む。次に、図11〜14中に具体的に説明された態様は、反対電位の隣接した先端の間でアークを出すことなく、先端中の均一な電子放出のための閾電圧を、概して低下させることができる構造および電気配置を提供する。本明細書中に記載された方法および装置のさらなる利益は、電極板の熱膨張が概して最小化されることである。石英またはセラミック等の絶縁材料が、金属の代わりに使用される場合、このように電極の熱たわみは、300℃より上等の高温において除かれることが可能である。さらなる追加の利益は、導電性のピンが、損傷または破損した場合、電極板から除去でき、そして交換できることである。
【0066】
図15に記載された別の態様では、電極集成体は、導電性ワイヤー(示されていない)によって電気的に接続されている突き出た導電性チップ605の配列を有する通電電極600、および接地電位を有するベース電極606を含む。通電電極600は、ベース電極606の近傍にある。チャンバーに入る還元ガス流を含むガス混合物が、ターゲット領域609に入る導電性チップ605の少なくとも一部分から外へ注入できるように(ターゲット領域は、ターゲット領域609内にある処理される表面または処理表面608を有する基材607を含む)、突き出た導電性チップ605の配列の少なくとも一部分は、チャンバー601の内部容積602と流体連通している内部通路(図15中で示されていない)を有する。ある態様において、通電電極600のベース電極606およびベース板604は、約0.5cm〜約5.0cmの距離で互いに隔たっているかまた、あるいは、1.0cmの距離で互いに隔たっている。
【0067】
図15を再び参照すると、通電電極600は、内部容積602、内部容積602と流体連通したガス注入口603、および図15中に示されていないもの等の電気的に絶縁されたベース板604を有するチャンバー601をさらに含む。絶縁されたベース板604の断面図は、円形で示され、一方、正方形、長方形、楕円、またはそれらの組み合わせ等であるがこれらに限定されない他の断面図が使用できることが想定される。絶縁されたベース板604は、例えば、石英、セラミック材料、ポリマー、およびそれらの混合物等の絶縁材料から選択される材料を含むことができる。ある特定の態様において、絶縁ベース板604は、石英を含む。別の特定の態様では、絶縁ベース板は、セラミック材料を含む。図15を再び参照すると、通電電極600は、突き出た導電性チップ605の配列をさらに含み、それぞれの導電性チップ605は、チャンバーへの還元ガス流を含むガス混合物がターゲット領域609の中へ導電性チップ605の少なくとも一部分から外へ注入できるように、チャンバー601の内部容積602と流体連通する内部通路(図15中で示されていない)を有する。導電性チップ605は、例えば、真鍮、ステンレススチール、ニッケルクロム合金等であるがこれらに限定されない金属から、グラファイト、炭素、カーボンナノチューブ等であるがこれらに限定されない比較的低い電子放出エネルギーを有する他の材料へ、電子を伝導する材料からなることができる。
【0068】
図16は、導電性チップ605の1つの態様の側面図を提供する。図16が具体的に示すように、導電性チップ605は、チャンバー601(図15に示されている)の内部容積602および処理領域609(図15に示されている)と流体連通する内部通路611(波線で示されている)を含む本体610を有する。運転中では、還元ガスの少なくとも一部分は、通電電極601の内部チャンバー602を通り、内部通路611を通って、処理領域またはターゲット領域609に入ることができる。図16に示された態様では、導電性チップ605は、導電性チップ605の本体610の外径より大きい直径を有するフランジ状終端613をさらに含み、この終端は、チャンバー601(図15に示す)の絶縁板604上に取り付けることができる。図16に示した態様では、導電性チップ605はまた、フランジ状終端613と反対にある角度をつけた先端612を有する。導電性チップ605の角度をつけた先端612のための他の形状をまた、用いることができることが期待され、これらは尖っていない端、テーパー状の端、三角錐形の端、または円錐形の端等であるが、これらに限られない。
【0069】
他の態様では、導電性チップ605は、絶縁材料でできている管、導電性材料でできている管、またはそれらの組み合わせに、挿入される導電性ワイヤーであることができ、その間の一部分を通して、還元ガスが、ターゲット領域の中へ管の内部容積を通過する。
【0070】
ある態様において、導電性チップ605は、電子がそれぞれの導電性針の先端から発生できるように、導電性ワイヤーによって全て共に接続されており、そして次に負にバイアスされた直流電源に接続され、電子の少なくとも一部分がそれぞれの導電性チップから流出する還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成する。処理表面は、次に、負に帯電した還元ガスと接触して、処理表面上の金属酸化物を還元する。このまたは他の態様において、負に帯電した電子が基材から接地に流れることができるように、基材は導電性であり、そして接地している。
【0071】
他の態様において、通電電極集成体は、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離された導電性チップ605を有し、導電性チップの第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の少なくとも一方は、チャンバー601の中への還元ガス流を含むガス混合物が、それぞれの導電性チップ605から外へ注入できるように、チャンバー601の内部容積602と流体連通している内部通路を有する導電性チップでできており、導電性チップ605の少なくとも1つの群は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして、負にバイアスされている直流電源および正にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と、正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されている。還元ガスを含むガス混合物は、次にチャンバー601を通り、そして内部通路611を有するそれぞれの導電性チップ605を通って流れ、そして導電性チップ605の少なくとも1つの群が、電子がそれぞれの導電性チップ605から発生できるように、負にバイアスされている直流電源を介して活性化され、電子の少なくとも一部分が、それぞれの導電性チップ605から流出する還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成する。この態様または他の態様において、突き出た導電性チップの配列は、内部通路を有する導電性チップと、内部通路を有さない導電性チップとの混合物であることができる。後者の導電性チップ、または内部通路を有さないものは、過剰な電子の少なくとも一部分を回収するために使用できる。導電性チップ605の他の群は、次に正にバイアスされている直流電源を起動することによって通電され、基材606の処理表面から過剰な電子を回収し、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップ605の少なくとも1つの群、および正にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップ605の残りの群は、同時に通電されない。
【0072】
ある態様において、還元ガス混合物の少なくとも一部分は、導電性チップ605の内部通路611を通ってか、ターゲット領域609内に直接、またはそれらの組み合わせで流れることができる。負に帯電した還元ガスは、次に基材607の処理表面608と、負に帯電した還元ガスとを接触させ、基材607の処理表面608上の金属酸化物を還元する。この態様または他の態様において、還元ガスの一部分は、内部通路を有する導電性チップ605を通って流れることができ、そして還元ガス混合物またはN2等のそれらの成分の残りは、ターゲット領域609内に直接流れることができ、in situで還元ガス混合物を生成する。
【0073】
本明細書中に記載された電極集成体のまた別の態様が図17に記載されている。図17は、内部容積702、ガス注入口703、絶縁板704、導電性チップ706および溝707を有する導電性ピンプレート705を有するチャンバー701を含む通電電極集成体700の態様の等角図を提供する。図17に記載された態様中の絶縁板704は、チャンバー701から導電性ピンプレート705を隔離する機能を果たし、還元ガス、不活性ガス、キャリアガス、およびそれらの組み合わせを含むガスが、内部容積702を通り、そしてターゲット領域(示されていない)へ流れることを可能にする。通電電極700は、モノリシックの集成体であることができるか、あるいは、一部置換、ガス分布制御等を容易に行うことができるように、連続して並べられている複数のモジュール式の集成体であることができる。チャンバー701のさらに詳細な図は、それぞれ側面図および上面図を提供する図18(a)および18(b)に提供されている。導電性ピンプレート705のさらに詳細な図は、側面図および上面図を、それぞれ提供する図19(a)および19(b)に提供されている。
【0074】
図18(a)および18(b)参照すると、通電電極700は、穴708の配列をさらに含むチャンバー701を含み、この穴によって、絶縁板704および導電性ピンプレート705中で縦溝707(示されていない)を通る前に、ガスは、ガス注入口703を通ることができる。チャンバー701に入るガスの残りの流れを提供する一対のガス注入口を有するとした、ガス分配ブロック701を図16、17(a)、および18(b)に記載する。穴708は、ガス注入口703および縦溝707と流体連通している。側面図18(a)において、穴708は、面取した面または’’漏斗形'として示されている。しかし、チャンバー701を通って穴708に入り、そして縦溝707(示されていない)を通り、そしてターゲット領域(示されていない)に入る、ガスの流れを最適化できる穴708のための他の形を使用できる。側面図18(b)において、穴708の上面図が正方形として示されている。しかし、例えば、円形、楕円形、三角形、またはその他等の穴708のために他の形を使用できる。ガス注入口703を通って、チャンバー701の内部容積702に入り、絶縁層704および縦溝707を通るガスの流れが最適化されるように、穴708の配置は選択できる。
【0075】
図19(a)および19(b)は、導電性ピンプレート705のさらなる面の側面図および上面図を提供する。図19(a)は、導電性ピンプレート705上の複数の導電性チップ706の配置を示す。導電性チップ706の少なくとも一部分は、チャンバー701の内部容積702と流体連通する内部通路、またはそれらの組み合わせを有する固体であることができる。図19(b)は、導電性チップ706の2つの列の間にあるとして示されている溝707をさらに具体的に説明する導電性ピンプレート705の上面図を提供する。導電性ピンプレート705は、導電性チップ706の配列へのエネルギーの流れを制御するための中央演算処理装置に電気的に連通している1つまたは2つ以上の電源コネクター709をさらに含む。反応性ガス、キャリアガス、不活性ガス、およびそれらの組み合わせ等のガスは、縦溝709を通ってターゲット領域(示されていない)内に流れることができる。導電性ピンプレート603を通るガスの流れは、チャンバー701(図18(a)および18(b)を参照のこと)中でバッフリングシステムによって、およびガス分配ブロックと電源コネクター709を介して電気的に連通している流量または質量流量コントローラーを介して、制御できる。導電性ピンプレート705、絶縁板704上に縦溝707の寸法およびガス流開口708の寸法は、最適なガス流パラメーターを達成するために、コンピューターモデリングまたはガス分布モデリングを介して決定できる。この態様または他の態様において、1種または2種以上の補助ガスを、ガス混合物に加えることができ、またはガス混合物で変更でき、リフロー炉または反応性ガスまたは活性種を希薄しないであろう他の方法において一般的にみることができる標準のガス板を通して、ターゲット領域(示されていない)に導入できる。
【0076】
本明細書中に記載された方法および装置は、以下の例を参照してさらに詳細に具体的に説明されるであろうが、しかし当然のことながら、本方法および装置は、これらに限定されると考えられない。
【実施例】
【0077】
例1
第1の実験は、実験室規模の炉を使用することによって行われた。使用したサンプルは、接地した銅板(アノード)上のフラックスレススズ鉛はんだプリフォーム(融点183℃)であり、炉の内側に入れ、そしてN2中5%H2のガス流で250℃まで加熱した。サンプル温度が平衡した時に、直流電圧を、負の電極(カソード)と、接地したサンプル(アノード)との間に適用し、そして約2kVまで0.3mAの電流で徐々に増加させた。2つの電極管の距離は約1cmであった。圧力は、環境の大気圧であった。はんだは、銅表面上で、実際、非常に良好に湿潤していたことが見いだされた。スズ系はんだ上でスズ酸化物を除去するためには、純粋なH2での有効な温度は350℃超であるので、電圧の適用がないと、銅表面上でのフラックスレスはんだの良好な濡れは、純粋なH2中においてさえ、そうした低温では決して達成できない。したがって、この結果で、電子付着方法がH2フラックスレスはんだ付けを促進する上で有効であることを確認した。
【0078】
例2
幾つかのカソード材料を、例1と同じ設定を使用した電界放出メカニズムを使用することによって、電子付着で補助した水素フラックスレスはんだ付けを検討した。検討の結果を、表Iに提供する。
【0079】
表Iは、最も高いフラックス効率を提供し、従って最も短い濡れ時間となるNi/Crカソードを使用することによって良好な結果が得られたことを具体的に示す。Ni/Crカソードは、他のカソード材料と比較して、比較的より大量の電子を発生させ、そして電子の好適なエネルギーレベルを有すると考えられている。
表I:250℃および20%H2でのカソード材料の濡れ時間への効果
【0080】
【表1】
【0081】
例3
本例は、電子を発生させるための熱電界放出法を調べるために行われた。その表面から突き出た多くの1mm長の機械加工された先端を有する3mm直径のグラファイト棒は、カソードとして機能し、そして図2i中に記載されるのと類似の形状を有した。突き出た機械加工された先端のそれぞれは、25度の先端角度を有した。グラファイト棒は、5%H2および95%N2のガス混合物中で、約400〜500℃まで交流電源を使用して抵抗加熱により加熱された。5KVの直流電源を、グラファイトカソードと銅板との間に適用し、これはそれらの間に1.5cmの隙間を有するアノードとして機能する。グラファイト棒上の先端の全ては、それによって照るくなり、電子をグラファイト棒上の分散された先端から一様に発生できることを示した。グラファイト棒の加熱がないと、カソードからの電子放出がないか、または先端の1つとアノード板との間でアークを出すかのいずれかがあるであろう。これは、統合された放出システムからの均一な電子の放出を得るために複数の先端を有するカソードと高温との組み合わせ、すなわち、熱電界放出方法が効果的であることを示す。
【0082】
例4
本例は、図4中で具体的に説明された電極等の2つの機械加工されたAl2O3耐熱性板の間に水平にクランプされた0.04’’直径のニッケルクロム合金加熱ワイヤーを使用して行われた。一連の5つのニッケルクロム合金放出ワイヤー(それぞれが、ワイヤーの1つの終端上に鋭い先端(12.5度)を有する)は、ニッケルクロム加熱ワイヤーから垂直に突き出し、そして2つの耐熱性板の間で垂直に位置する。ニッケルクロム加熱ワイヤーおよび先端を、5%H2と95%N2とのガス混合物で、約870℃まで交流電源を使用して加熱した。2.6KVの直流電圧を、カソードと銅板(2つの電極間に6mmのギャップを有するアノードとして機能する)との間に適用した。すべての5つの先端は、明るくなり、そして全放出電流は、2.4mAに達した。ワイヤーの加熱なしでは、カソードから電子放出がないか、または先端の1つとアノード板との間でアークを出すか、のいずれかであろう。例3のように、例4は、より高温の放出電極により、熱で補助された電界放出が均一の電子放出を提供することを示す。さらに、より高温の放出電極はまた、電子放出の量を、所与の電位で増加させる。
【0083】
例5
本例は、2つの電極間における電圧パルスの陰極放出への効果を示すために行われた。単一先端のニッケルクロム合金ワイヤーを、放出電極として使用し、そして接地した銅板は、ベース電極の機能を果たした。銅板を放出電極の先端より3mm下に配置した。スズ/鉛はんだプリフォームを、銅板の上に配置した。ニッケルクロムワイヤー、プリフォーム、および銅板を、炉中で周囲温度に、4%H2と残りN2のガス混合物中に維持し。種々の周波数および振幅のパルス状の一方向性電圧を、2つの電極間に適用した。これに関連して、放出電極の電位は、接地したベース電極に対してマイナスから0まで変化し、それによって電子が先端電極から発生できた。結果を表IIに提供する。
【0084】
表II中の結果は、より高パルスの周波数および振幅の電圧パルスが適用された場合、より大量の電子が放出電極から発生したことを示す。
表II:一方向性の電圧パルス
【0085】
【表2】
【0086】
例6
本例は、例5と同じ設定を使用した2つの電極の極性を変えることによる表面放電を示すために行った。
【0087】
3.4kV(例えば、+1.7kV〜−1.7kV)の全パルス振幅を有する双方向性電圧パルスを2つの電極間に適用した。双方向性電圧パルスの間、2つの電極の極性を変えた。言い換えれば、接地したベース電極に対して、放出電極の先端を正の電気バイアスから負の電気バイアスに変化させ、それによって先端電極から電子が発生し、そして回収されることを可能にした。
【0088】
表IIIは、それぞれの周波数の極性変化での、ベース電極からのリーク電流を提供する。表IIIは、より高周波数の極性変化を具体的に示すので、より低い電荷の蓄積は、銅のベース電極を通過するリーク電流を観察することによってなされるであろう。
表III:双方向性電圧パルス
【0089】
【表3】
【0090】
例7
本例は、追加の電極を用いることによって、離れた表面放電を示すために行われた。305℃の融点を有する90鉛/10スズはんだプリフォームを、電気的に絶縁されたウェハー上に配置された銅基材の小片上に配置した。接地した銅板は、ウェハーの下に配置され、そしてベース電極として機能した。2つの単一先端ニッケルクロムワイヤー(1つは負の電圧を有し、そして1つは正の電圧を有する)を、はんだプリフォームを有するベース電極より1cm上に配置した。2つの単一の先端電極間の距離は1.5cmであった。配置したものをN2中に4%のH2を含有するガス混合物内で、室温からはんだの融点より上の所与のリフロー温度まで加熱した。リフロー温度が平衡になると、正の電圧および負の電圧を2つの単一の先端電極に適用することによって電子付着が始まり、そしてはんだプリフォームが、球状のボールを形成するのに必要な時間を記録した。球状のはんだボールの形成は、酸化物のないはんだ表面を示した。表IVに示すように、表面の酸素除去は、はんだの融点よりわずか5〜15℃上である310〜330℃の温度領域でかなり効率的であった。
表IV
【0091】
【表4】
【0092】
例8
石英板系電極を炉の内側に設置した。石英板上の金属ピンの間隔は0.5cmであった。基材はセラミック基材上の銅板であり、次に、接地した電極(すなわち、ベース電極)の上に置いた。石英板と、銅表面上の金属ピンの先端との間の間隙は1cmであった。炉を、5%H2、95%N2でパージし。10kHzのパルス周波数で、0〜3.12kVの領域のパルス状電圧を、石英電極に適用した。すべての放出ピンからの均一の電子放出を観察した。それぞれの放出ピンからの平均放出電流は、約0.3mAであった。特に、放出先端の間隔が0.5cmまでもに小さいこの態様において、アークは観察されなかった。この結果は、石英板系電極から均一の電子放出のための閾電圧が、ガスイオン化電圧より遙かに低いレベルまで、概して低下したことを示す。
【0093】
例9
石英板系電極を炉の内側に設置した。石英板上の金属ピンの間隔は、1.0cmであった。処理表面は、元の銅板と比較すると銅板の色がより暗くなっている150℃で、2時間、予め酸化された銅板であった。酸化物の厚みは、オージェ分析によって400Åと推定された。予め酸化された銅板をセラミック基材上に置き、そして次に接地した電極上に置いた。石英板上の金属ピンの先端と、予め酸化された銅板の表面との間隔は1cmであった。炉を5%H2、95%N2でパージし、そして200℃まで加熱した。正の電圧および負の電圧を、+1.2kVおよび−1.2kVのそれぞれの振幅で、2つの異なる群の金属ピンに交互に適用した。交流周波数は15KHzであり、均一の電子放出を観察した。15分の上記の条件下でのそうした電子付着処理の後で、銅板を炉から取り出した。処理された銅表面の色が、初めの銅板の色に戻ったのが観察された。本明細書中に記載された電子付着工程の適用がないと、予め酸化された銅の表面上の酸化物還元は、同じ加熱工程において、非効率であることが見いだされた。
【0094】
例10
内部容積、内部容積と流体連通したガス注入口を有する通電電極を含むパイレックスガラスチャンバー、および内部容積と流体連通する内部通路をそれぞれ有する複数の導電性チップを取り付けたセラミックベースである絶縁ベースを、以下のように製造した。ガラスチャンバーは、形が円筒型であり、そして6.0cmの直径および8.0cmの高さを有した。セラミックベース板を、97穴の配列でドリルし、それぞれ0.65mmの直径を有し、そして5mm離れていた。それぞれの導電性チップは、チャンバーの内部容積と流体連通する内部通路、0.64の外径、0.32の内径、12度の角度に傾斜した終端を有する先端、および0.9mm外径を有するフランジ状終端を有した。全ての97の導電性チップを、セラミックベース板中に挿入し、そしてフランジ状終端で適所に保った。0.0035インチの直径を有するニッケルクロムワイヤーを、高温はんだを使用したはんだ付けによって97全ての導電性チップと電気的に接続するために使用した。修正された通電電極を、実験室スケール炉の内側に設置した。183の融点℃および2mmの直径および1mmの高さの寸法を有する5つのフラックスレススズ鉛はんだを、ベース電極として機能する接地した、正方形10cm×10cmの銅板の異なる場所においた。その上表面上にはんだを有する銅板を、炉内の通電電極の導電性チップの終点より1cm下に配置した。5%H2と95%N2の還元ガス混合物を加熱中に炉中に導入した。220℃の平衡温度に達すると、10kHzのパルス周波数で0〜3kVの領域のパルス状の電圧を、通電電極に適用した。すべての針の先端から均一の電子放出が観察された。それぞれの針の先端から平均放出電流は、約0.3mAであった。30秒の電子放出後に、実験を止め、そしてサンプルを、炉が冷えた後で、炉から取り出した。全てのはんだプリフォームが、銅板上で良好に湿潤していたことが見いだされた。
【0095】
比較として、類似の放出電極集成体を同じ炉の中に置いたが、しかし、類似の放出電極集成体は、ガラスチャンバーの内部容積と流体連通して、そこを通る内部通路を有する同一の導電性チップではなかった。内部通路を有するこれらの導電性チップを使用しないと、炉温度が250℃より上で、そして放出時間が1分より長くない限り、エリアアレイ放出先端の下で、同じはんだの濡れは、得られなかった。この比較は、水素を含有する還元ガスの流れが、電子付着工程の効率を改善できる内部容積と、流体連通した内部通路を有する導電性チップを有する内部容積を含む通電電極の使用を示す。
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、米国特許出願第12/119、701号明細書の一部継続出願、2003年4月28日出願の米国特許出願第10/425、405号明細書の同じく継続出願である米国特許出願第12/042、055号明細書の一部継続出願であり、これらの開示の全てを参照により本明細書中に取り込む。本願はまた、2008年8月5日出願の米国特許仮出願第61/086、313号明細書の利益を主張し、その開示の全てを参照により本明細書中に取り込む。
【背景技術】
【0002】
本明細書中に記載されているのは、絶縁基材を含む基材の表面から金属酸化物を除去するフラックスレス法である。また本明細書中に記載されているのは、基材の表面から金属酸化物を除去するための装置である。
【0003】
ウェハーバンピングは、インナーリードボンディングのために、チップボンドパッド上に厚い金属バンプを作るのに使用される工程である。バンプは、一般的にパッド上にはんだを正確に置いて、その後リフローして(本明細書中で第1のリフローという)合金化を行い、そしてマッシュルーム形から半休形に、はんだバンプの形を変える。第1のリフローされたバンプを有するチップは、’’ひっくり返されて’’基材上のはんだで濡れることができる端子のフットプリントに対応し、そして次に第2のリフローに曝されてはんだ接合を形成する。これらのはんだ接合を本明細書中では、インナーリードボンドという。インナーリードボンドを乱すことなく、アウターリードボンディング等の次の集成ステップでより低い融点のはんだ(例えば、<230℃)を使用して進めることができるので、高融点はんだ(例えば、>300℃)は、ウェハーバンピング工程において通常使用される。
【0004】
第1のリフロー後のはんだバンプの形は、非常に重要である。例えば、高いバンプの高さは、より良いボンディングおよびより高い疲労耐久性のために好ましい。さらに、形成されたバンプは、好ましくは、平面性を確かにするために実質的に均一である。比較的より高いバンプ高さを有する実質的に均一なはんだバンプは、第1のリフローの間の酸化物のないバンプ表面と関係していると考えられる。現在のところ、はんだバンプされたウェハーの第1のリフローの間に、はんだ酸化物を除去するために2つの主要なアプローチがある。1つのアプローチは、400〜450℃のリフロー温度で純粋な水素を使用するフラックスレスはんだである。このアプローチの主な挑戦は、純粋な水素の可燃性の性質であり、概してこのアプローチの適用を制限する。第2のアプローチは、正確に置かれたはんだバンプの上に、またはバンプを形成するためにウェハー上に印刷されたはんだペースト混合物内に、有機フラックスを適用し、そしてフラックスがはんだ表面上の初期の酸化物を効果的に除去できるように、不活性環境中でバンプをリフローする。しかし、このアプローチは、欠点を有する。小さな空隙が、フラックスの分解により、はんだバンプ中に形成される場合がある。これらの空隙は、形成されたはんだ結合の電気的および機械的特性を低下させるだけでなくまた、はんだバンプされたウェハーの共平面性を破壊し、そして次のチップボンディング工程に影響する場合がある。分解したフラックスの揮発物はまた、保守コストを高める場合があるリフロー炉を汚染する場合がある。さらに、フラックスの残留物は、しばしばウェハー上に残り、金属を腐食させ、そして集成体の性能を低下させる場合がある。
【0005】
上記のリフロー工程からフラックス残留物を除去するために、後クリーニング工程を、クリーニング剤としてクロロフルオロカーボン(CFC)使用して適用できる。しかし、後クリーニングは、さらなる工程ステップを加え、そして製造工程時間を長くする。さらに、クリーニング剤として、クロロフルオロカーボン(CFC)の使用は、地球を保護するオゾン層への潜在的な損傷により禁止されている。残留物を減少させるために、少量の活性化剤を使用したクリーンでないフラックスが開発されたが、フラックス残留物の量とフラックスの活性において、利得と損失とのトレードオフがあった。したがって、より高反応性のH2ラジカルの生成を助け、それによって水素濃度の効果的な範囲および表面酸化物を還元するための処理温度を低下させる触媒法が、業界で探されていた。
【0006】
フラックスレス(ドライ)はんだが、幾つかの技術を使用して従来技術において使用されてきた。ある技術は、金属酸化物を取り除くか、またはそれらの蒸発温度に加熱するためにレーザー使用する。そうした方法は、典型的には不活性または還元雰囲気下で行われて、放出された汚染物質の再酸化を防ぐ。しかし、酸化物およびベース金属の融点または沸点は、類似している場合があり、そしてベース金属を溶融又は蒸発させることは望ましくない場合がある。したがって、そうしたレーザー法は、行うのが難しい。レーザーは、典型的には、作業するには高価で、かつおよび非効率的であり、酸化物層への直接の透視線を必要とする。これらの因子は、多くのはんだ用途のためのレーザー技術の有用性を制限する。
【0007】
表面酸化物は、高温での反応性ガス(例えば、H2)への暴露を通して、(例えば、H2Oに)化学的に還元できる。不活性キャリアー(例えば、N2)中に5%以上の還元ガスを含有する混合物が、典型的には使用される。反応生成物(例えば、H2O)は、次に高温での脱着によって表面から放出され、そして気流場中で運ばれる。典型的な工程の温度は350℃を超える。しかし、この工程は、高温に置いてさえ、遅くかつ非効率的である場合がある。
【0008】
還元工程の速度および有効性は、さらなる活性還元種を使用して高められる。そうした活性種は、従来のプラズマ技術を使用して生成できる。可聴、無線、またはマイクロ波周波数でのプラズマは、表面の酸素除去のために反応性ラジカルを生成するのに使用できる。そうした工程では、高強度の電磁気照射は、H2、O2、SF6、またはフッ素含有化合物を含む他の種をイオン化させ、そして解離させて、高度の反応性ラジカルにするために使用される。表面処理は、300℃未満の温度で行うことができる。しかし、プラズマ形成のために最適な条件を得るために、そうした工程は、典型的には真空条件下で行われ。真空での操作は、高価な装置を必要とし、そして速い連続的工程より、むしろ遅い、バッチ工程で行うことが好ましい。また、プラズマは、工程チャンバー内で、典型的には拡散して分散して、そして特定の基材の領域に向かわせることは難しい。したがって、反応性種は、工程において効率的に利用できない。プラズマはまた、スパッタリング工程を通して工程チャンバーに損傷を生じる場合があり、そして誘電体表面上に空間電荷を蓄積する場合があり、超小型回路の損傷となること可能性がある。マイクロ波それ自身はまた、超小型回路の損傷を生じる場合があり、そして基材温度は、処理の間に制御することが難しい場合がある。プラズマはまた、潜在的に危険な紫外線を放出する場合がある。そうした工程はまた、高価な電気装置を必要とし、そして相当な電力を消費し、それによってそれらの全体的なコスト効率を低下させる。
【0009】
米国特許第5、409、543号明細書は、真空条件において分子水素を熱的に解離させるために、熱フィラメントを使用して反応性水素種(すなわち、原子状水素)を生成させる方法を開示する。活性化された水素は、基材表面を化学的に還元する。熱フィラメントの温度は、500℃〜2200℃の範囲であることができる。電気的にバイアスされたグリッドは、または熱フィラメントから放出された過剰な自由電子の軌道を変え、または補足するために使用される。反応性種または原子状水素は、不活性なキャリアガスに、2%〜100%の水素を含有する混合物から生成される。
【0010】
米国特許第6、203、637号明細書は、熱イオン性カソードからの放電を使用して水素を活性化させる方法を開示する。熱イオン性カソードから放出された電子は、気相の放電を生じ、それが活性種を生成させる。放出工程は、加熱されたフィラメントを含有する別個のまたは離れたチャンバー内で行われる。イオンおよび活性化された中性物は、処理チャンバーに流れて、酸化された金属表面を化学的に還元する。しかし、そうした熱カソード処理は、最適な有効性およびフィラメントの寿命のために、真空条件を必要とする。真空での操作は、はんだ付けコンベヤーシステムに取り込まれることが好ましい高価な装置を必要とし、それによってそれらの全体的なコスト効率を低下させる。
【0011】
Potieらの’’Fluxless Soldering Under Activated Atomosphere at Ambient Pressure’’、Surface Mount International Conference、1995、San Jose、 CA、および米国特許第6、146、503号明細書、米国特許第6、089、445号明細書、米国特許第6、021、940号明細書、米国特許第6、007、637号明細書、米国特許第5、941、448号明細書、米国特許第5、858、312号明細書および米国特許第5、722、581号明細書は、放電を使用して活性H2(またはCH4またはNH3等の他の還元ガス)を生成させる方法を記載する。還元ガスは、一般的に不活性キャリアガス(N2)中に、’’%レベル’’で存在する。放電は、’’数キロボルト’’の交流電源を使用して生成される。離れたチャンバー中の電極から放出された電子は、実質的に帯電した種のない、励起されたまたは不安定な種を生成し、次に基材へ流れる。結果として工程は、ベース金属上の酸化物を還元して、150℃近くの温度ではんだ付けする。しかし、そうした離れた放電チャンバーは、大幅な装置コストを必要とし、そして既存のはんだ付けコンベヤーベルトシステムに容易に組み込まれない。さらに、これらの工程は、典型的には、はんだ酸化物を除去するよりむしろはんだ付けの前に金属表面を前処理するために用いられる。
【0012】
米国特許第5、433、820号明細書は、大気圧で高電圧(1kV〜50kV)電極からの放電またはプラズマを使用した表面処理方法を記載する。この電極は、離れたチャンバー内よりむしろ基材の近傍に置かれる。電極から放出された自由電子は、反応性水素ラジカル−−原子状水素を含有するプラズマ−−を生成し、これは、次に酸化された基材にわたって配置された誘電体シールド内の開口を通る。誘電体シールドは、酸素除去を必要とするこれらの特定の表面位置上で活性水素を濃縮する。しかし、そうした誘電体シールドは、電界を変え、そして正確な工程制御を妨げる場合がある表面電荷を蓄積させる場合がある。記載された方法は、ベース金属の表面をフラックスするためにのみ使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、熱エネルギーを低下させるために、比較的低温下ではんだバンプされたウェハーのフラックスレスリフローのために、経済的かつ効率的な方法を提供する技術的な要求がある。真空装置を購入し、そして維持する費用を回避するために、フラックスレスはんだリフローのための方法および装置を提供する技術において、さらなる要求がある。不燃性のガス環境を使用してフラックスレスはんだリフロー工程を提供する技術において、さらなる要求がある。さらに、例えば、電気的に絶縁された基材等の基材の表面から金属酸化物を除去する技術において、要求がある。電気的に絶縁された基材の例は、剛体エポキシガラスラミネート基材;柔軟なポリマーフィルム(例えば、ポリイミド);集積回路(IC)相互接続スキームにおいて使用される絶縁基材;3次元または積層ICパッケージ技術において使用される絶縁基材;およびそれらの組み合わせ、を含むがこれらに限られない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書中に記載された方法および装置は、全てではないが、フラックスの使用なしで基材の表面から金属酸化物を除去するための装置及び方法を提供することによって、当該技術の要求のいくつかを満たす。一つの形態では、基材の処理表面から金属酸化物を除去する方法が提供され、この方法は、接地電位を有するベース電極の近傍に基材を用意すること、(基材は、金属酸化物を含む処理表面を含む);ベース電極および基材の近傍に、通電(energizing)電極を用意すること、処理表面の少なくとも一部分は、この通電電極にさらされ、そしてベース電極および通電電極および基材は、ターゲット領域内にある。
【0015】
別の形態では、通電電極は、突き出た導電性チップの配列を含む電気絶縁板によって画定され、この導電性チップは、導電性ワイヤーによって電気的に接続されており、突き出た先端の配列は、第1の電気的に接続された群と、第2の電気的に接続された群に分離され、第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして正にバイアスされている直流電源および負にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と正にバイアスされている直流電源との間でエネルギーを交互に供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されており;ターゲット領域を通って還元ガスを含むガス混合物を通過させ;負にバイアスされている直流電源を起動することによって導電性チップの列に通電して、ターゲット領域内で電子を発生させ、電子の少なくとも一部分は、還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成させ;処理表面と負に帯電した還元ガスとを接触させて、処理表面上の金属酸化物を還元し;そして正にバイアスされている直流電源を起動することによって、導電性チップの列に通電し、処理表面から過剰な電子を回収し、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップの列および正にバイアスされている直流電源電気的に接続された導電性チップの列は、同時に通電されない。
【0016】
さらなる形態では、通電電極は、内部容積、ガス注入口、および下向きに突き出した導電性チップの配列を含む電気的に絶縁されたベースを有するチャンバーによって、画定されており、この導電性チップは細長い注入針でできており、チャンバーに流れる還元ガスを含むガス混合物がそれぞれの細長い注入針から注入できるように、それぞれの細長い注入針は、ガスチャンバーの内部容積と流体連通しており、これらの細長い注入針は、導電性ワイヤーによって共にすべて電気的に接続されており、そして次に。電子がそれぞれの細長い注入針の先端から発生できるように、負にバイアスされた直流電源に接続され、電子の少なくとも一部分は、それぞれの細長い注入針の先端から外に出る還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成し;処理表面と、負に帯電した還元ガスとを接触させて、基材の処理表面上の金属酸化物を還元し;負に帯電した電子が基材から接地に流れることができるように、基材は、導電性であり、そして接地されている。
【0017】
また別の形態では、通電電極は、内部容積、ガス注入口、および下向きに突き出した導電性チップの配列を含む電気的に絶縁されたベースを有するチャンバーによって画定されており、導電性チップは、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離され、チャンバーへ流れる還元ガスを含むガス混合物がそれぞれの細長い注入針から注ぎだされることができるように、導電性チップの第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の少なくとも一方は、ガスチャンバーの内部容積と流体連通しており、細長い注入針の少なくとも1つの群は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして負にバイアスされている直流電源および正にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されており;ガスチャンバー通し、そしてそれぞれの細長い注入針を通して、還元ガスを含むガス混合物を流し;電子がそれぞれの細長い注入針の先端から発生できるように、負にバイアスされている直流電源を起動することによって、細長い注入針の少なくとも1つの群に通電し、電子の少なくとも一部分が、それぞれの細長い注入針の先端から流れ出る還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成し;処理表面と、負に帯電した還元ガスとを接触させて、基材の処理表面上の金属酸化物を還元させ;そして正にバイアスされている直流電源を起動することによって、導電性チップの他方の群に通電して、処理表面から過剰な電子を回収し、細長い注入針の少なくとも1つの群は、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続されており、そして導電性チップの他方の群は、同時に通電されない正にバイアスされている直流電源に電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】図1aは、それぞれ、放出電極およびベース電極上の電圧パルスを具体的に示し;
【図1b】図1bは、それぞれ、放出電極およびベース電極上の電圧パルスを具体的に示し;
【図2a】図2aは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2b】図2bは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2c】図2cは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2d】図2dは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2e】図2eは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2f】図2fは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2g】図2gは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2h】図2hは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図2i】図2iは、電子の放出および/または回収に好適な種々の電極形状の図式の具体的な説明であり;
【図3】図3は、複数の先端を用いた電子の放出および/または回収に好適な電極の1つの態様の例を提供し;
【図4】図4は、セグメント化された集成体を有する電子の放出および/または回収に好適な電極の1つの態様の例を提供し;
【図5】図5は、ウェハーバンピング用途における表面金属酸化物の除去を具体的に示す本明細書中に記載された方法の1つの態様の例を提供し;
【図6】図6は、ウェハーバンプのリフローの間に電極の極性を変化させることによって、基材表面上の負に帯電したイオンを除去するための本明細書中に記載された方法の特定の態様を具体的に示し;
【図7a】図7aは、2つの電極の極性が変化した場合の2つの電極間の荷電種の輸送を具体的に示し;
【図7b】図7bは、2つの電極の極性が変化した場合の2つの電極間の荷電種の輸送を具体的に示し;
【図8】図8は、ベース電極と比較して、正のバイアスを有する追加の電極を用いることによって、基材の表面上の電子を除去するための本明細書中に記載された方法の特定の態様の具体的な説明を提供する;
【図9a】図9aは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9b】図9bは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9c】図9cは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9d】図9dは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図9e】図9eは、基材に対する少なくとも1つの電極の動作を用いた本明細書中に記載された方法および装置の特定の態様の種々の具体的な説明を提供し;
【図10a】図10aは、それぞれ、一方向性の電圧パルスおよび双方向性電圧パルスの具体的な説明を提供し;
【図10b】図10bは、それぞれ、一方向性の電圧パルスおよび双方向性電圧パルスの具体的な説明を提供し;
【図11】図11は、本発明の電極集成体態様の具体的な説明であり;
【図12(a)(b)】図12(a)(b)は、図llの態様のある特徴の具体的な説明であり;
【図13】図13は、図llの態様で用いられる導電性チップの具体的な説明であり;そして
【図14】図14は、図llの態様で用いられる導電性チップの電気的配置の図である。
【図15】図15は、本明細書中に記載された通電電極集成体の態様の具体的な説明である。
【図16】図16は、そこを通る内部通路を有する導電性チップ、角度をつけた先端、およびフランジ状終端の態様の具体的な説明である。
【図17】図17は、本明細書中に記載された電極集成体の別の態様の等角図を提供する。
【図18(a)】図18(a)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【図18(b)】18(b)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【図19(a)】図19(a)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【図19(b)】19(b)は、それぞれ、図17の電極集成体のある形状の側面図および上面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中に記載されているのは、負に帯電したイオンにさらすことにより、基材表面からの金属酸化物を除去するための方法および装置である。負に帯電したイオンは、表面の金属酸化物と反応し、そして還元する。一つの形態では、方法、装置、またはその両者は、例えば、はんだバンプされたウェハーのリフローに使用されるリフロー機等の従来のリフローおよびはんだ付け装置を改造することによって用いることができる。この形態または他の形態において、この方法はまた、他の工程に適用でき、金属メッキ(すなわち、その後のはんだ付けをさらに受けやすくするためのプリント基板または金属表面の部分のはんだめっき)、アウターリードボンディングのためのリフローおよびウェーブはんだ付け、表面クリーニング、ろう付け、溶着、およびケイ素ウェハー処理の間に生成された酸化銅等の金属の表面酸化物の除去等の基材からの表面金属酸化物の除去が望ましいが限定されない。本明細書中に記載された方法および装置を使用した金属酸化物の除去は、有機フラックスの必要なく、酸化物の除去に望ましい前記の工程または任意の他の工程に等しく適用できる。
【0020】
’’基材’’の用語は、本明細書中で使用される場合、一般的に、ケイ素、二酸化ケイ素で被覆されたケイ素、アルミニウム酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス、エポキシ等の材料、または電子装置内での使用に好適な任意の材料に関する。ある態様において、基材は、それらの上に配置したはんだを有した電気的に絶縁されたか、または半導電性の基材である。例示的なはんだ組成物は、フラックスレススズ銀、フラックスレススズ銀銅、フラックスレススズ鉛、またはフラックスレススズ銅を含むがこれらに限られない。一態様では、基材は、電気的に絶縁された基材である。電気的に絶縁された基材の例は:プリント基板に使用される剛体エポキシガラス(例えば、FR−4タイプ)ラミネート基材:柔軟な回路に使用される柔軟なポリマーフィルム(例えば、ポリイミド)基材;集積回路相互接続スキーム、ポリマー系BGA等の高密度相互接続、高密度相互接続、およびその同類のものにおいて使用される絶縁基材;3次元もしくは積層集積回路または3次元もしくは積層パッケージ技術において使用される絶縁基材;およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。しかし、本明細書中に記載された方法および装置は、種々の異なる基材およびはんだ組成物に好適である。ある好ましい態様において、基材は、その上に配置した複数のはんだバンプを有するケイ素ウェハーである。
【0021】
理論に拘束されることを望まないが、直流電源等のエネルギー源が少なくとも2つの電極間に適用される場合、電子は、他の電極(本明細書中において’’放出電極’’という)と比較して、負の電気のバイアスを有する2つの電極の1つのおよび/または2つの電極間の気相から発生すると考えられている。発生した電子は、接地しており、または電解に沿って、正の電気バイアス(本明細書中において’’ベース電極’’という)を有する他の電極の方へドリフトする。その表面上に複数のはんだバンプを有する基材は、ベースおよびはんだバンプされた表面を有する放出電極(本明細書中において’’ターゲット領域’’という)または放出電極に曝された処理領域によって画定された領域内に置かれる。ある態様において、基材は、ターゲット集成体を形成するベース電極に接続されていることができる。還元ガスおよび任意選択的にキャリアガスを含むガス混合物は、電極によって発生した電界を通過する。電子ドリフトの間、還元ガスの一部は、電子付着によってターゲット集成体、すなわち、ベース電極および基材表面にドリフトする負イオンを生成する。基材表面上で、負に帯電したイオンは、このように、従来のフラックスの必要無く、既存の金属酸化物を還元する。さらに、処理される表面上への活性種の吸着は、電界に沿った負に帯電したイオンのドリフトにより促進できる。
【0022】
還元ガスが、水素を含む態様において、本発明の方法は、次に用に起こると考えられている:
分子H2の解離付着:H2+e'=>H−+H(I)
水素原子上での電子付着:e'+H=>H−(II)
(I)および(II)の組み合わせ:2e'+H2=>2H−(III)
酸化物の還元:2H−+MO=>M+H2O+2e'(M=はんだ/ベース金属)(IV)。
【0023】
これらの態様において、電子付着を有する原子状水素イオンの形成は、分子水素の結合切断に関係するエネルギーを省くので、本発明の電子付着方法を使用する金属酸化物の還元の活性化エネルギーは、水素分子を使用する方法より低い。
【0024】
ある態様において、電子を発生させるために、放出電極を生じさせるのに充分なエネルギーは、電極の少なくとも1つ、好ましくは、放出電極へ供給される。エネルギー源は、好ましくは、電気エネルギーまたは交流もしくは直流源等の電源、である。電磁気エネルギー源、熱エネルギー源、もしくは光エネルギー源等のほかのエネルギー源はまた、単独で、または前記のエネルギー源のいずれかと組み合わせて使用できる。本発明のある態様において、放出電極は、第1の電圧レベルに接続されており、そしてベース電極は、第2の電圧レベルに接続されている。電圧レベルにおける相違は。電位におけるバイアスを作り出す。第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルの一方は、2つの電極のいずれかが接地されていることができるゼロを示すことができる。
【0025】
電子付着によって負に帯電したイオンを生成させるために、大量の電子が発生する必要がある。これに関連して、電子は、陰極放出、ガス放電、またはそれらの組み合わせ等の種々の手段によって発生できるが、これらに限られない。これらの電子発生方法の中での方法の選択は、主に発生する電子の効率およびエネルギーレベルによる。還元ガスが水素である態様では、4eVに近いエネルギーレベルを有する電子が好ましい。これらの態様では、そうした低エネルギーレベルの電子は、好ましくは、ガス放電よりむしろ陰極放出によって発生する。そして、発生した電子は、空間電荷を作り出すベース電極に向かって放出電極からドリフトする。水素が少なくとも2つの電極をまたはターゲット領域内を通過する場合、空間電荷は、電子付着によって負に帯電した水素イオンを生成するための電子源を提供する。
【0026】
陰極放出を通した電子発生を含む態様では、これらの態様は、:電界放出(本明細書中においてコールドエミッションという)、熱放出(本明細書中においてホットエミッションという)、熱電界放出、光子放出、および電子またはイオンビーム放出を含むことができる。
【0027】
電界放出は、放出電極の表面から発生する電子のエネルギー障壁を乗り越えるためにベース電極に対し、強度において充分高い放出電極上での負のバイアスを有する電界を適用することを含む。ある好ましい態様では、直流電圧は、0.1〜50kVの範囲、好ましくは、2〜30kVの範囲にある2つの電極間に適用される。これらの態様において、電極間の距離は、0.1〜30cm、好ましくは、0.5〜5cmの範囲であることができる。
【0028】
熱放出は、他方では、放出電極中の電子を活性化し、そして放出電極の材料中の金属結合から電子を分離するために高温を使用することを含む。ある好ましい態様では、放出電極の温度は、800〜3500℃、好ましくは、800〜1500℃の範囲であることができる。放出電極は、電極を通して交流または直流を通すことによる直接加熱;加熱要素によって加熱された電気的に絶縁された熱い表面を有するカソード表面と接触させること等の間接的な加熱、赤外線照射、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限られない種々の方法によって高温にされおよび/または維持されることができる。
【0029】
熱電界放出は、電界および高温の両方が適用される電子発生のための電界放出および熱放出方法のハイブリッドである。したがって、熱電界放出は、純粋な電界放出および純粋な熱放出と比較して、同量の電子を発生させるために、より小さい電界およびより低い電極温度を必要とすることができる。熱電界放出は、放出表面上の汚染による電子放出における劣化の傾向、および放出表面の平面性および均一性への高度の制限等の、純粋な電界放出と直面する困難性を最小化することができる。さらに、熱電界放出はまた、放出電極と気相との間の高電位化学反応等の熱放出に関連した問題を回避できる。熱電界放出が電子発生のために使用される態様において、放出電極の温度は、周囲温度〜3500℃、またはさらに好ましくは、150〜1500℃であることができる。これらの態様では、電圧は、0.01〜30KV、またはさらに好ましくは、0.1〜10KVの範囲であることができる。
【0030】
ある好ましい態様では、熱放出または熱電界放出法は、電子発生のために使用される。これらの態様では、これらの方法のいずれかにおいて使用される高温放出電極はまた、続くリフロー工程ステップのために、ガスを加熱するための必要な熱エネルギーを下げることができるように、2つの電極によって発生した電界を通るガス混合物のための熱源として機能できる。
【0031】
本発明のある態様において、電子の発生は、陰極放出およびコロナ放電法の組み合わせを介して達成される。これらの態様において、直流電圧等のエネルギー源は、2つの電極間に適用され、そして電子は、放出電極(コールドまたはホット)および放出電極近くの気相(コロナ放電)の両方から発生する。コロナ放電は、好ましくは、電子付着によって負に帯電したイオンを生成する効率を高め、そして、放出電極の寿命を延ばすために最小化される。
【0032】
陰極放出メカニズムが、電子放出のために使用される態様では、2つの電極の上に掛けられる電圧は、一定またはパルス状であることができる。電圧パルスの周波数は、0〜100kHzの範囲である。図1aおよび1bは、放出電極およびベース電極、それぞれの上での電圧パルスの具体的な説明を提供する。これらの態様において、電子発生の量を改善し、そして気相放電の傾向を低下させるためには、図1aおよび1bに示された等のパルス状の電圧は、一定の電圧より好ましいと考えられている。
【0033】
ガス放電を通した電子発生を含む態様では、これらの態様は、熱放電、光放電、およびグロー放電、アーク放電、スパーク放電、およびコロナ放電を含む種々のアバランシェ放電を含むことができる。これらの態様において、電子は、気相イオン化によって発生する。還元ガスおよび不活性ガスを含む気相は、ガス混合物である。気相イオン化のある態様において、電源は、2つの電極間に適用され、そして電子は、2つの電極間のガス混合物内の不活性ガスから発生でき、次にベース電極等の正にバイアスされた電極に向かってドリフトする。この電子ドリフトの間、これらの電子のいくつかは還元ガス分子上に付着し、そして電子付着によって負に帯電したイオンを生成できる。さらに、いくつかの正イオンはまた、不活性ガス内で生成され、次に放出電極等の負にバイアスされた電極に向かってドリフトし、そして電極表面で中和される。
【0034】
既に記載したように、電子は、ベース電極と比較して、負のバイアスを有する場合には、放出電極から発生できる。図2a〜2iを参照すると、放出電極は、例えば、細いワイヤー2、尖った先端2bを有する棒、幾つかの尖った先端またはくし2cを有する棒、スクリーンまたはワイヤーメッシュ2d、緩いコイル2e、くし2fの配列、細いワイヤーまたはフィラメント2gの束、その表面2hから突き出た鋭い先端を有する棒、またはぎざぎざのある表面2iを有する板等の種々の形状を有することができる。さらなる形状は、表面突起を有する板または棒、ワイヤーの巻きまたはフィラメントで巻かれた棒、細いワイヤーのコイル等の上記の形状の組み合わせを含むことができる。複数の電極は、連続して平行に、または直交する格子で並べて用いることができる。またさらなる形状は、複数の電極が車輪中の’’スポーク’’等の放射状の様式で並べられている’’ワゴンの車輪’’の配置を含むことができる。電界放出が含まれる態様等のある態様において、図3に記載した形状等の電極表面の近くの電界を最大化するために、カソードは、好ましくは複数の鋭い先端等の大きな表面曲率を有する形状でできている。図3に具体的に示すように、電極1は、その表面から広がる複数の先端3と共に電極表面上の溝内にある一連の細いワイヤー2を有する。
【0035】
放出電極の機能を果たす電極材料は、好ましくは、比較的低い電子放出エネルギーまたは仕事関数を有する導電性材料からなる。材料はまた、好ましくは、処理条件下で高い融点および比較的高い安定性を有する。好適な材料の例は、金属、合金、半導体、および導電性基材の上へ被覆されたまたは堆積された酸化物を含む。さらなる例は、タングステン、グラファイト、ニッケルクロム合金等の高温合金、および導電性基材上に堆積されたBaOおよびAl203等の金属酸化物を含むがこれらに限られない。
【0036】
ベース電極の機能を果たす電極は、金属またはそこに記載された他の材料のいずれか等の導電性材料からなる。ベース電極は、用途により種々の異なる形状を有することができる。
【0037】
熱電界放出を含む本発明のある態様において、放出電極は、図4に記載された電極等のセグメント化された集成体を含むことができる。この点で、放出電極のコア10は、高い電気抵抗を有する金属でできていることができる。複数の先端11コアは、10からでている。先端llは、本明細書中に開示された材料のいずれか等の比較的低い電子放出エネルギーまたは仕事関数を有する導電性材料でできていることができる。コアは、コア10を通して交流または直流電流(示されていない)を直接流すことによって加熱できる。熱伝導は、熱をコアから先端11に移動させる。熱いコア10および複数の先端11は、次に支持枠に装入される筺体12に囲まれており、それによって示したようなセグメント化された集成体を形成する。先端11は、筺体12の外側に曝されている。筺体12は、絶縁材料からなる。セグメント化された集成体は、作業の間にコアの熱膨張を可能にする。この配置では、電子は、ベース電極と比較して、放出電極上に負の電圧バイアスを適用することによって熱い先端11から発生できる。
【0038】
熱電界放出を含む本発明の別の好ましい態様では、間接的な加熱は、放出電極の温度をあげることができる。これは、放出電極のコアとして加熱カートリッジを使用して達成できる。加熱カートリッジの表面は、カートリッジの内側の加熱要素から電気的に絶縁されている金属等の導電性材料からなることができる。電子放出を促進するために、複数の分散された放出先端は、加熱カートリッジの表面上に取り付けられることができる。カートリッジは、カートリッジの内側の加熱要素を通して交流または直流電流を流すことによって加熱できる。第2の電極と比較して、カートリッジの表面上に負の電圧バイアスを適用することによって、電子は、カートリッジの分散された先端から発生できる。この配置で電圧バイアスを作り出すために、カートリッジが負にバイアスされていることができるように、第2の電極が接地されていることができるか、または、替わりに、第2の電極が正にバイアスされていることができるように、カートリッジが接地されていることができる。いくつかの態様において、後者の場合は、2つの電気回路間の干渉可能性を除くために好ましいことができる、例えば、1つの回路は、加熱要素に沿った交流または直流電流であることができ、そして別の回路は、カートリッジの表面と第2の電極との間の高い電圧バイアスであることができる。これらの態様では、熱いカートリッジ電極はまた、リフロー工程ステップのために必要な温度を達成するために、ガス混合物のための熱源の機能を果たすことができる。
【0039】
既に記載したように、還元ガスを含むガス混合物は、少なくとも2つの電極によって発生した電界を通過する。ガス混合物内に含まれる還元ガスは、以下の範疇の1つまたは2つ以上に入ることができる:1)本質的に還元体ガス、2)活性種と金属酸化物との反応でガス状の酸化物を生成する活性種を生成できるガス、または3)金属酸化物と活性種との反応で液体または水性酸化物を生成する活性種を生成できるガス。
【0040】
第1の範疇のガス、または本質的に還元体のガスは、熱力学的に除去される酸化物に対して還元体となる任意のガスを含む。本質的に還元体のガスの例は、H2、CO、SiH4、Si2H6、ギ酸、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール、および式(Ill):
【化1】
を有する何らかの酸性蒸気を含む。
【0041】
式(III)において、置換基Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール、または置換アリール基であることができる。’’アルキル’’の用語は、本明細書中で使用される場合、好ましくは、1〜20の炭素原子を含む、またはさらに好ましくは、1〜10の炭素原子を含む直鎖、分枝鎖、または環状アルキル基を含む。これは、ハロアルキル、アルカリール、またはアラルキル等の他の基に含まれるアルキル部分でも当てはまる。’’置換アルキル’’の用語は、O、N、S、またはハロゲン原子等のヘテロ原子;OCH3;OR(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);アルキルC1〜10またはアリールC6〜10;NO2;SO3R(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);またはNR2(R=H、アルキルC1〜10またはアリールC6〜10)を含む置換基を有するアルキル部分に適用される。’’ハロゲン’’の用語は、本明細書中で使用される場合、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。’’アリール’’の用語は、本明細書中で使用される場合、芳香族の特徴を有する6〜12員の炭素環を含む。’’置換アリール’’の用語は、本明細書中で使用される場合、O、N、S等のヘテロ原子、または複数のハロゲン原子;OCH3;OR(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);アルキルC1〜10またはアリールC6〜10;NO2;SO3R(R=アルキルC1〜10またはアリールC6〜10);またはNR2(R=H、アルキルC1〜10またはアリールC6〜10)を含む置換基を有するアリールを含む。ある好ましい態様では、ガス混合物は、水素を含む。
【0042】
還元ガスの第2の範疇は、本質的に還元的でないが、ガス分子上への電子の解離付着によって、例えば、H、C、S、H’、C’およびS’等の活性種を生成し、そして活性種と除去される金属酸化物との反応によって、ガス状の酸化物を生成する任意のガスを含む。このタイプのガスの例は:NH3、H2S、CH4、C2H4等であるがこれらに限られないC1〜C10炭化水素、式(III)を有する酸性蒸気、および以下の式(IV):
【化2】
を有する有機蒸気を含む。
【0043】
式(III)および(IV)において、置換基Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール、または置換アリール基であることができる。
【0044】
第3の範疇の還元ガスは、本質的に還元的でないが、ガス分子上への電子の解離付着によって、例えば、F、Cl、F、およびCl’等の活性種を形成でき、そして活性種と、金属酸化物との反応によって、液体または水性酸化物を生成する任意のガスを含む。このタイプのガスの例は、CF4、SF6、CF2Cl2、HCl、BF3、WF6、UF6、SiF3、NF3、CClF3、およびHF等のフッ素および塩素を含有するガスを含む。
【0045】
1種または2種以上の上記の範疇の還元ガスを含むほか、ガス混合物は、1種または2種以上のキャリアガスをさらに含むことができる。キャリアガスは、例えば、還元ガスを薄めるか、または衝突安定性を提供するために使用できる。ガス混合物中で使用されるキャリアガスは、還元ガスまたはガス混合物中のガスの電子親和性より低い電子親和性を有する任意のガスであることができる。ある好ましい態様では、キャリアガスは不活性ガスである。好適な不活性ガスの例は、N2、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびRnを含むがこれらに限られない。
【0046】
ある好ましい態様では、ガス混合物は、その比較的低いコストおよび排気ガス放出の環境への優しさにより、還元ガスとして水素およびキャリアガスとして窒素を含む。これらの態様において、ガス混合物は、0.1〜100体積%、好ましくは、1〜50体積%、またはさらに好ましくは、0.1〜4体積%の水素を含む。ガス混合物を不燃性にする4%より未満の水素量が好ましい。
【0047】
ある態様において、周囲温度から450℃の範囲、さらに好ましくは、100〜350℃の範囲の温度で、ガス混合物は、少なくとも2つの電極によって発生した電界を通る。ガス混合物の圧力は、好ましくは、環境大気圧、すなわち、処理領域の既存の圧力である。真空等のほかの特別な圧力は、必要であることができる。ガス混合物が加圧される態様では、圧力は、10〜20psia、好ましくは、14〜16psiaの範囲であることができる。
【0048】
酸化物が除去される基材表面は、好ましくは、放出電極と、放出電極の方に向いた表面を有するベース電極との間に配置される。本発明のある好ましい態様において、基材は、ターゲット集成体を提供し、そして放出電極の方に向くために、ベース電極に接続されていることができる。これらの態様において、放出電極と、ウェハーおよび/またはターゲット集成体の上表面との間の距離は、0.1〜30cm、好ましくは、0.5〜5cmの範囲であることができる。
【0049】
図5は、基材がケイ素ウェハー20であるウェハーバンピング用途で使用される方法の具体的な説明を提供する。図5を参照すると、第2の電極24は、ウェハー20より上に配置され、そして複数のはんだバンプ(示されていない)を含むウェハー20は、第1の電極22より上に配置されて、ターゲット集成体を形成する。複数のはんだバンプを含有するウェハー20の表面の少なくとも一部分は、第2の電極24に曝されている。ウェハー20が、第1の電極22の上に置かれるように示され、一方、ウェハー20は、電極22と電極24との間のどこかに置かれることが想定されている。パルス状の電圧25が第1の電極22および第2の電極24にかけて適用され、電界を発する。水素および窒素を含有するガス混合物26は、電界を通過する。低エネルギーの電子28は、電界内で発生し、第1の電極22およびその上に配置されたウェハー20に向かってドリフトする。さらに、ガス混合物26内の水素の一部分は、電子付着によって水素イオン30を生成し、この水素イオン30は、第1の電極22およびその上に配置されたウェハー20に向かってドリフトする。第1の電極の上に配置されたウェハー20を有する電極22に向かう負に帯電した水素イオン30および電子28のドリフトは、ウェハー20の表面の上へのイオン30の吸着を促進し、そしてウェハー表面の酸素除去(本明細書中において、表面の酸素除去という)を促す。
【0050】
基材の伝導度によって、表面の酸素除去から反応副生成物として発生した電子のいくつかは、基材表面上に堆積できる。さらに、自由電子の一部分は、電界に沿ってドリフトすることによって、基材上に直接吸収される。基材表面上へのこの電子の蓄積は、負に帯電したイオンのさらなる吸着を妨げ、そして表面の酸素除去の平衡に悪影響を及ぼす場合がある。表面の酸素除去工程をさらに効率的にするために、基材表面上の電子を周期的に除去する必要がある。
【0051】
基材表面上に電子を除去する一つの方法は、相互に対して電極の両方の極性を変化させることである。極性変化の間、それぞれの電極上の電圧レベルは、必ずしも同じでない場合がある。一態様では、極性変化は、図10bに示されたような少なくとも2つの電極との間に双方向性電圧パルスを適用することによって、達成できる。図6は、電圧パルス(すなわち、負のバイアス)の1つの相において電子を発生でき、そして電圧パルス(すなわち、正のバイアス)の別の相において電子を回収することができる極性変化の例を提供する。図6において、電極110は、電子放出および電子回収電極の両方として使用され、そして電極120はベース電極として使用される。この配置は、表面の酸素除去の効率を最大化できる。複数の鋭い先端101を含む電極110は、ウェハー103より上に配置される。電極110は、交流電源104に接続することによって加熱される。別の電極120は、ウェハー103の下に配置される。例えば、双方向性パルスの直流電源105によって、電極110および120の極性の変化を得ることができる。双方向性電圧パルスの例は、図10b中で具体的に説明されている。電極110が負にバイアスされている場合、先端101から発生した電子の少なくとも一部分は、還元ガスおよびウェハー103へ向かってドリフトする新たに作り出された還元ガスイオンの少なくとも一部分に付着する。極性が逆転した場合、電子は、ウェハー103の表面から放出され、そして先端101に戻って回収される。図7aおよび7bは、電圧パルスのそれぞれの周期の間の荷電種の輸送を具体的に示す。2つの電極の極性を変化させる周波数は、0〜100kHzの範囲であることができる。
【0052】
他の態様では、基材表面上の過剰な電子は、1つまたは2つ以上のさらなる電極を用いることによって除去できる。図8は、ウェハーが基材であるそうした例を提供する。図8を参照すると、ウェハー200は、接地したベース電極201の上に配置されている。2つの電極、ベース電極201に対して、負の電圧バイアスを有する電極202およびベース電極201に対して、正の電圧バイアスを有する電極203が、ウェハー表面200より上に配置される。この配置では、電子は、電極202から持続的に発生し、そして電極203で回収される。ある特定の態様において、電極202および電極203の極性は、正の電圧バイアスから負の電圧バイアスに、そしてベース電極201に対してその逆で、周期的に変化することができる。
【0053】
また別の態様では、電子または残留する表面電荷は、表面の酸素除去の後に中和剤を用いることによって、基材表面から除去できる。残っていて未処理の場合、残留した電荷汚染は、感受性の電子構成部分に静電放電のダメージを生じる場合がある。これらの態様において、市販されている中和装置を通して、そして次に基材表面にかけてN2等の高純度ガスを流すと、ウェハー表面上に残留する電荷を中和できる。ガス中に存在する正イオンは、任意の残留する電子を中和し、そして電気的に中性の表面を提供するであろう。好適な電荷中和装置は、例えば、ガス中の正イオンおよび負イオンに等しい密度を作るKr−85放射能源からなる。ガスがウェハーを通って流れるにつれて、正イオンおよび負イオンが生成され、一方ガス流の正味電荷は0である。
【0054】
ある態様において、基材またはターゲット集成体は、放出電極の役割を果たす電極に対して動くことができる。この点で、放出電極は、固定された位置にあることができ、そして基材を動かすことができ、放出電極は、動かすことができ、そして基材は固定位置にあることができ、または放出電極および基材の両方が動かされる。この動作垂直、水平、回転、または弧に沿っていることができる。これらの態様において、表面の酸素除去は、基材表面の局所的な領域内で起こることができる。
【0055】
以下の図9a〜9eで、基材は、接地しているベース電極の上に配置されたケイ素ウェハーである。複数のはんだバンプ(示されていない)を含むウェハー表面の少なくとも一部は、放出電極および回収電極の両方の機能を果たす(すなわち、極性、例えば、電位において負のバイアスから正のバイアスに極性を変化させる)第2の電極に曝される。図9aは、0〜100KHzの範囲の周波数で循環でき、それによって306に示すようなイオン領域を生成できるベース電極304に対して、双方向性にパルスの電圧が掛けられる、加熱された直線電極302の下で回転して動かされるケイ素ウェハー300を示す。処理チャンバー(示されていない)の外側に位置するモーターは、ウェハーを回転させる。そうした回転は、半導体処理においてウェハー表面の大幅な汚染無く、しばしば達成される。汚染は、高い清浄度、回転的な送り込みおよび流れパターンの制御を用いることによって回避できる。図9bは、ベース電極314に対して双方向的パルス電圧を適用され、それによって316に示すようなイオン領域を生成する加熱された直線状電極312の下で直線的に動かされるケイ素ウェハー310を示す。この配置は、例えば、リフロー炉を通るプリント基板等のチューブ状バンピング炉を通してウェハーを動かすのにコンベヤーベルトが使用される用途に好適であることができる。図9cは、対の加熱された直線状放出電極324および326の下で回転して動かされるケイ素ウェハー320を示し:電子がウェハー表面に発生し、そしてウェハー表面から戻って回収されることができ、それによって328として示したようなイオン領域を生成するように、ベース電極322は、固定された正のバイアスを有し、そして放出電極324および326は、ベース電極322に対して、固定された負のバイアスを有する。処理チャンバー(示されていない)の外側に位置するモーターは、ウェハーを回転させる。図9dは、電子放出を行いそして別々に回収し、それによって338に示したようなイオン領域を生成するために、固定されかつベース電極332に対して、反対の極性でる加熱された対の直線状電極334および336の下で直線的に動かされるケイ素ウェハー330を示す。最後に、図9eは、旋回腕346の終端に位置する比較的より小さい電極344を用いる。電極344の極性は、しばしばベース電極342に対して変更され、それによって348に示すようなイオン領域を生成する。この腕は、例えば、アーチ状の動きにおいて回転ウェハー340にわたって振られ、全ウェハー表面の完全かつ均一な処理に影響する。
【0056】
本明細書中に記載された方法は、例えば、表面クリーニング、金属メッキ、ろう付け、溶着、ならびにアウターリードボンディングのためのリフローおよびウェーブはんだ付け等のはんだバンプされたウェハーのリフローに加えて、マイクロエレクトロニクス製造のいくつかの領域で使用されることできる。本明細書中に記載された方法に好適であるリフローおよびウェーブはんだ付け装置の例は、本発明の譲受人に譲り受けられた、米国特許継続出願第09/949、580号明細書中に提供されている図1〜3にあり、そして参照により本明細書中にその全部を取り込む。ある特定の態様において、本明細書中に記載された方法は、酸化銅等の金属の表面酸化物を還元させるために使用されることができ、ケイ素ウェハーの処理または薄膜酸素除去の間に形成される。そうした酸化物は、ウェハー上にマイクロエレクトロニクス装置を形成するのに使用される化学的機械的な平坦化等の種々の湿式処理ステップの結果として形成されることができる。これらの表面酸化物は、装置の収率および装置の信頼性を低下させる。本方法は、水性還元剤の使用を必要としない充分に乾燥しており、環境に優しい方式で、表面酸化物を、除去させることができる。さらに、本方法は、比較的低温で行われるため、処理の間に装置の熱収支に著しく影響しない。対照的に、より高い温度は、ドーパントおよび酸化物の拡散を生じることによって、装置の収率および信頼性を低下させ、それによって装置の性能を低下させる。本明細書中に記載された方法は、単一のウェハー上で行われるある態様において、この方法は、他の単一のウェハー工程と統合でき、それによって他の製造ステップとのより良い適合性を提供する。
【0057】
本明細書中に記載された方法および装置は、ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去の適用のために、特に好適である。ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去のために、本明細書中に記載された方法および装置を使用することの便利さは、数多くある。第1に、アウターリードボンディングと比較して、ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去のための典型的なリフローはんだ付け工程は、両方とも単一面の処理である。これに関係して、酸素除去される表面より上の空間は、1cmまでも小さいことができ、それによってイオンの生成および輸送の両方にとって効率的な工程となる。第2に、ウェハーバンピング中のリフロー用処理温度は、典型的なリフローはんだ付け工程の温度より著しく高い。このより高い温度は、電子付着により負に帯電したイオンの形成を促進する。第3に、ウェハーバンピングおよび薄膜酸素除去工程では、はんだバンプおよび薄膜は、完全に暴露されており、それによって表面の酸素除去の間にあらゆる’’影’’の効果を最小化する。さらに、はんだが濡れ、そして構成部分の表面に広がらなけらばならない他のはんだ付け工程と比較して、ウェハー上に正確に置かれたはんだバンプは、第1のリフローにおいてはんだボールの形成を示すことだけを必要とする。
【0058】
図11〜14は、本発明によって基材の処理表面から金属酸化物を除去するために用いられる好ましい電極集成体装置を具体的に示す。図11参照すると、電極集成体は、導電性ワイヤー(示されていない)によって電気的に接続されている突き出た導電性チップ506の配列および接地電位を有するベース電極502を有する通電電極501を含む。本明細書中で使用される場合、’’通電電極’’の用語は、接地(0)に対して、正かまたは負の電位を有する電極である電極をいう。通電電極501は、ベース電極502に近い。好ましくは、ベース電極502および通電電極501は、約0.5cm〜約5.0cmの距離で、互いに隔たっている。好ましい態様では、ベース電極502および通電電極501は、1.0cmの距離で互いに隔たっている。
【0059】
基材503は、ベース電極502に近い。基材503は、絶縁部分504および金属酸化物を含む処理表面505を含む。好ましくは、処理表面505の少なくとも一部分は、通電電極501およびベース電極502に曝され、そして通電電極501および基材503は全てターゲット領域内にある。
【0060】
さて、図llおよび12(a)を参照すると、通電電極501は、導電性ワイヤー(示されていない)によって、電気的に接続された突き出た導電性チップ506の配列を有する絶縁板によって画定されている。好ましくは、絶縁板は、例えば、石英、セラミック材料、ポリマー、およびそれらの混合物等の絶縁材料から選択された材料を含む。一態様では、絶縁板は、石英を含む。別の態様では、絶縁板は、セラミック材料を含む。
【0061】
ある特定の態様において、ベース板に接続された突き出た導電性チップは、取り外しできる。例えば、図12(a)を参照すると、絶縁板の下側は、’’鍵穴’’に似た穴507を有し、穴507のそれぞれは、導電性ワイヤー508によって接続されており、導電性チップ506が一旦穴507に挿入されると、導電性チップ506と電気的に接触する。図12(b)は、3つの穴507の配置の拡大を示す。好ましくは、穴507(そしてこのように導電性チップ506)は相互から約2mm〜約10mm、もしくは約5mm〜約8mmの距離、または約5mmの距離で離間している。穴507は、例えば、レーザー穴あけ等の当業者に公知の任意の手段によって形成可能である。
【0062】
図13は、その上部終端508が穴507の一つにぴったり入り、導電性ワイヤー508と接触し、そして例えば、ひねる動作によってロックする単一の導電性チップ506を示す。導電性チップのそれぞれは、例えば、導電性チップ506をロックするのに使用されるのと反対方向にひねる動作によって、ロックを外し、そして除去できる。好ましくは、導電性チップ506は、例えば、真鍮、ステンレススチール、ニッケルクロム合金、および比較的低い電子放出エネルギーを有する他の金属等の金属でできている。別の態様では、導電性チップ506は、例えば、カーボンナノチューブ等のナノチューブから成ることができる。
【0063】
次に、図14に記載された態様を参照すると、突き出た導電性チップ506の配列は、直流電源518に接続されている第1の電気的に接続された群510および第2の電気的に接続された群512に分離されており、第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方が正にバイアスされている直流電源516に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方が負にバイアスされている。正にバイアスされている直流電源および負にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と、正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラー514に電気的に接続されている。多機能コントローラー514と、正のおよび負の直流電源のそれぞれとの間は、正のおよび負の直流電源のそれぞれと連通している正のパルス発生器520および負のパルス発生器522である。パルス発生器520および522は、事実上スイッチである。それぞれのパルス発生器が、多機能コントローラー514からパルス信号(例えば、0〜5vのパルス状の低電圧信号)を受ける場合、(例えば、直流電圧の0vと、設定点との間で)対応する高電圧源に相当する出力である高電圧パルスを生成できる。多機能コントローラー514は、デュアル出力を有する。一方の出力がパルス発生器に対応して接続され、他方の出力が他のパルス発生器と切断されていて、このように交流機能を作り出す。典型的には、多機能コントローラーのパルス信号の2つの調節できる変数、すなわち、パルス周波数および電圧のオンオフ比がある。
【0064】
運転では、還元ガスを含むガス混合物が、ターゲット領域を通る場合、負のパルス発生器522と連携した多機能コントローラー514は、負にバイアスされている直流電源を通電することによって、導電性チップの列に通電してターゲット領域内に電子を発生させ、電子の少なくとも一部分は、還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成し、次に、処理表面と接触して基材の処理表面上に金属酸化物を還元する。多機能コントローラー514は、次に正のパルス発生器520と連携している負にバイアスされている直流電源の動作を停止し、そして、正にバイアスされている直流電源を動かして、導電性チップの残りの組の列に通電して、処理表面から過剰な電子を回収する。好ましくは、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップの列および正にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップの列は、同時に通電されない。操作において、多機能コントローラー514は、高周波数のパルスで、負にバイアスされた直流電圧と、正にバイアスされた直流電圧との間で切り替えることができる。好ましい態様では、電圧のパルス周波数は、好ましくは、約0〜約50kHz、そしてさらに好ましくは、約10kHz〜約30kHzである。電圧パルスの振幅は、好ましくは、約1kV〜約3kVである。
【0065】
図11〜14によって具体的に説明された態様のいくつかの利益がある。第1に、そうした態様は、例えば、セラミック基材等の絶縁基材上での、例えば、酸化銅等の金属酸化物の低温還元を可能にする。絶縁基材の例は、例えば、プリント基板に使用される剛体エポキシガラスラミネート基材、柔軟な回路に使用される柔軟な屈曲ポリマーフィルム(例えば、ポリイミド)基材、集積回路の相互接続スキーム中で使用される絶縁基材、ポリマー系BGA(ボールグリッド配列)等の高密度相互接続、高密度相互接続、および3次元もしくは積層集積回路または3次元もしくは積層パッケージ技術において使用される絶縁基材を含む。次に、図11〜14中に具体的に説明された態様は、反対電位の隣接した先端の間でアークを出すことなく、先端中の均一な電子放出のための閾電圧を、概して低下させることができる構造および電気配置を提供する。本明細書中に記載された方法および装置のさらなる利益は、電極板の熱膨張が概して最小化されることである。石英またはセラミック等の絶縁材料が、金属の代わりに使用される場合、このように電極の熱たわみは、300℃より上等の高温において除かれることが可能である。さらなる追加の利益は、導電性のピンが、損傷または破損した場合、電極板から除去でき、そして交換できることである。
【0066】
図15に記載された別の態様では、電極集成体は、導電性ワイヤー(示されていない)によって電気的に接続されている突き出た導電性チップ605の配列を有する通電電極600、および接地電位を有するベース電極606を含む。通電電極600は、ベース電極606の近傍にある。チャンバーに入る還元ガス流を含むガス混合物が、ターゲット領域609に入る導電性チップ605の少なくとも一部分から外へ注入できるように(ターゲット領域は、ターゲット領域609内にある処理される表面または処理表面608を有する基材607を含む)、突き出た導電性チップ605の配列の少なくとも一部分は、チャンバー601の内部容積602と流体連通している内部通路(図15中で示されていない)を有する。ある態様において、通電電極600のベース電極606およびベース板604は、約0.5cm〜約5.0cmの距離で互いに隔たっているかまた、あるいは、1.0cmの距離で互いに隔たっている。
【0067】
図15を再び参照すると、通電電極600は、内部容積602、内部容積602と流体連通したガス注入口603、および図15中に示されていないもの等の電気的に絶縁されたベース板604を有するチャンバー601をさらに含む。絶縁されたベース板604の断面図は、円形で示され、一方、正方形、長方形、楕円、またはそれらの組み合わせ等であるがこれらに限定されない他の断面図が使用できることが想定される。絶縁されたベース板604は、例えば、石英、セラミック材料、ポリマー、およびそれらの混合物等の絶縁材料から選択される材料を含むことができる。ある特定の態様において、絶縁ベース板604は、石英を含む。別の特定の態様では、絶縁ベース板は、セラミック材料を含む。図15を再び参照すると、通電電極600は、突き出た導電性チップ605の配列をさらに含み、それぞれの導電性チップ605は、チャンバーへの還元ガス流を含むガス混合物がターゲット領域609の中へ導電性チップ605の少なくとも一部分から外へ注入できるように、チャンバー601の内部容積602と流体連通する内部通路(図15中で示されていない)を有する。導電性チップ605は、例えば、真鍮、ステンレススチール、ニッケルクロム合金等であるがこれらに限定されない金属から、グラファイト、炭素、カーボンナノチューブ等であるがこれらに限定されない比較的低い電子放出エネルギーを有する他の材料へ、電子を伝導する材料からなることができる。
【0068】
図16は、導電性チップ605の1つの態様の側面図を提供する。図16が具体的に示すように、導電性チップ605は、チャンバー601(図15に示されている)の内部容積602および処理領域609(図15に示されている)と流体連通する内部通路611(波線で示されている)を含む本体610を有する。運転中では、還元ガスの少なくとも一部分は、通電電極601の内部チャンバー602を通り、内部通路611を通って、処理領域またはターゲット領域609に入ることができる。図16に示された態様では、導電性チップ605は、導電性チップ605の本体610の外径より大きい直径を有するフランジ状終端613をさらに含み、この終端は、チャンバー601(図15に示す)の絶縁板604上に取り付けることができる。図16に示した態様では、導電性チップ605はまた、フランジ状終端613と反対にある角度をつけた先端612を有する。導電性チップ605の角度をつけた先端612のための他の形状をまた、用いることができることが期待され、これらは尖っていない端、テーパー状の端、三角錐形の端、または円錐形の端等であるが、これらに限られない。
【0069】
他の態様では、導電性チップ605は、絶縁材料でできている管、導電性材料でできている管、またはそれらの組み合わせに、挿入される導電性ワイヤーであることができ、その間の一部分を通して、還元ガスが、ターゲット領域の中へ管の内部容積を通過する。
【0070】
ある態様において、導電性チップ605は、電子がそれぞれの導電性針の先端から発生できるように、導電性ワイヤーによって全て共に接続されており、そして次に負にバイアスされた直流電源に接続され、電子の少なくとも一部分がそれぞれの導電性チップから流出する還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成する。処理表面は、次に、負に帯電した還元ガスと接触して、処理表面上の金属酸化物を還元する。このまたは他の態様において、負に帯電した電子が基材から接地に流れることができるように、基材は導電性であり、そして接地している。
【0071】
他の態様において、通電電極集成体は、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離された導電性チップ605を有し、導電性チップの第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の少なくとも一方は、チャンバー601の中への還元ガス流を含むガス混合物が、それぞれの導電性チップ605から外へ注入できるように、チャンバー601の内部容積602と流体連通している内部通路を有する導電性チップでできており、導電性チップ605の少なくとも1つの群は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして、負にバイアスされている直流電源および正にバイアスされている直流電源は、負にバイアスされている直流電源と、正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されている。還元ガスを含むガス混合物は、次にチャンバー601を通り、そして内部通路611を有するそれぞれの導電性チップ605を通って流れ、そして導電性チップ605の少なくとも1つの群が、電子がそれぞれの導電性チップ605から発生できるように、負にバイアスされている直流電源を介して活性化され、電子の少なくとも一部分が、それぞれの導電性チップ605から流出する還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成する。この態様または他の態様において、突き出た導電性チップの配列は、内部通路を有する導電性チップと、内部通路を有さない導電性チップとの混合物であることができる。後者の導電性チップ、または内部通路を有さないものは、過剰な電子の少なくとも一部分を回収するために使用できる。導電性チップ605の他の群は、次に正にバイアスされている直流電源を起動することによって通電され、基材606の処理表面から過剰な電子を回収し、負にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップ605の少なくとも1つの群、および正にバイアスされている直流電源に電気的に接続された導電性チップ605の残りの群は、同時に通電されない。
【0072】
ある態様において、還元ガス混合物の少なくとも一部分は、導電性チップ605の内部通路611を通ってか、ターゲット領域609内に直接、またはそれらの組み合わせで流れることができる。負に帯電した還元ガスは、次に基材607の処理表面608と、負に帯電した還元ガスとを接触させ、基材607の処理表面608上の金属酸化物を還元する。この態様または他の態様において、還元ガスの一部分は、内部通路を有する導電性チップ605を通って流れることができ、そして還元ガス混合物またはN2等のそれらの成分の残りは、ターゲット領域609内に直接流れることができ、in situで還元ガス混合物を生成する。
【0073】
本明細書中に記載された電極集成体のまた別の態様が図17に記載されている。図17は、内部容積702、ガス注入口703、絶縁板704、導電性チップ706および溝707を有する導電性ピンプレート705を有するチャンバー701を含む通電電極集成体700の態様の等角図を提供する。図17に記載された態様中の絶縁板704は、チャンバー701から導電性ピンプレート705を隔離する機能を果たし、還元ガス、不活性ガス、キャリアガス、およびそれらの組み合わせを含むガスが、内部容積702を通り、そしてターゲット領域(示されていない)へ流れることを可能にする。通電電極700は、モノリシックの集成体であることができるか、あるいは、一部置換、ガス分布制御等を容易に行うことができるように、連続して並べられている複数のモジュール式の集成体であることができる。チャンバー701のさらに詳細な図は、それぞれ側面図および上面図を提供する図18(a)および18(b)に提供されている。導電性ピンプレート705のさらに詳細な図は、側面図および上面図を、それぞれ提供する図19(a)および19(b)に提供されている。
【0074】
図18(a)および18(b)参照すると、通電電極700は、穴708の配列をさらに含むチャンバー701を含み、この穴によって、絶縁板704および導電性ピンプレート705中で縦溝707(示されていない)を通る前に、ガスは、ガス注入口703を通ることができる。チャンバー701に入るガスの残りの流れを提供する一対のガス注入口を有するとした、ガス分配ブロック701を図16、17(a)、および18(b)に記載する。穴708は、ガス注入口703および縦溝707と流体連通している。側面図18(a)において、穴708は、面取した面または’’漏斗形'として示されている。しかし、チャンバー701を通って穴708に入り、そして縦溝707(示されていない)を通り、そしてターゲット領域(示されていない)に入る、ガスの流れを最適化できる穴708のための他の形を使用できる。側面図18(b)において、穴708の上面図が正方形として示されている。しかし、例えば、円形、楕円形、三角形、またはその他等の穴708のために他の形を使用できる。ガス注入口703を通って、チャンバー701の内部容積702に入り、絶縁層704および縦溝707を通るガスの流れが最適化されるように、穴708の配置は選択できる。
【0075】
図19(a)および19(b)は、導電性ピンプレート705のさらなる面の側面図および上面図を提供する。図19(a)は、導電性ピンプレート705上の複数の導電性チップ706の配置を示す。導電性チップ706の少なくとも一部分は、チャンバー701の内部容積702と流体連通する内部通路、またはそれらの組み合わせを有する固体であることができる。図19(b)は、導電性チップ706の2つの列の間にあるとして示されている溝707をさらに具体的に説明する導電性ピンプレート705の上面図を提供する。導電性ピンプレート705は、導電性チップ706の配列へのエネルギーの流れを制御するための中央演算処理装置に電気的に連通している1つまたは2つ以上の電源コネクター709をさらに含む。反応性ガス、キャリアガス、不活性ガス、およびそれらの組み合わせ等のガスは、縦溝709を通ってターゲット領域(示されていない)内に流れることができる。導電性ピンプレート603を通るガスの流れは、チャンバー701(図18(a)および18(b)を参照のこと)中でバッフリングシステムによって、およびガス分配ブロックと電源コネクター709を介して電気的に連通している流量または質量流量コントローラーを介して、制御できる。導電性ピンプレート705、絶縁板704上に縦溝707の寸法およびガス流開口708の寸法は、最適なガス流パラメーターを達成するために、コンピューターモデリングまたはガス分布モデリングを介して決定できる。この態様または他の態様において、1種または2種以上の補助ガスを、ガス混合物に加えることができ、またはガス混合物で変更でき、リフロー炉または反応性ガスまたは活性種を希薄しないであろう他の方法において一般的にみることができる標準のガス板を通して、ターゲット領域(示されていない)に導入できる。
【0076】
本明細書中に記載された方法および装置は、以下の例を参照してさらに詳細に具体的に説明されるであろうが、しかし当然のことながら、本方法および装置は、これらに限定されると考えられない。
【実施例】
【0077】
例1
第1の実験は、実験室規模の炉を使用することによって行われた。使用したサンプルは、接地した銅板(アノード)上のフラックスレススズ鉛はんだプリフォーム(融点183℃)であり、炉の内側に入れ、そしてN2中5%H2のガス流で250℃まで加熱した。サンプル温度が平衡した時に、直流電圧を、負の電極(カソード)と、接地したサンプル(アノード)との間に適用し、そして約2kVまで0.3mAの電流で徐々に増加させた。2つの電極管の距離は約1cmであった。圧力は、環境の大気圧であった。はんだは、銅表面上で、実際、非常に良好に湿潤していたことが見いだされた。スズ系はんだ上でスズ酸化物を除去するためには、純粋なH2での有効な温度は350℃超であるので、電圧の適用がないと、銅表面上でのフラックスレスはんだの良好な濡れは、純粋なH2中においてさえ、そうした低温では決して達成できない。したがって、この結果で、電子付着方法がH2フラックスレスはんだ付けを促進する上で有効であることを確認した。
【0078】
例2
幾つかのカソード材料を、例1と同じ設定を使用した電界放出メカニズムを使用することによって、電子付着で補助した水素フラックスレスはんだ付けを検討した。検討の結果を、表Iに提供する。
【0079】
表Iは、最も高いフラックス効率を提供し、従って最も短い濡れ時間となるNi/Crカソードを使用することによって良好な結果が得られたことを具体的に示す。Ni/Crカソードは、他のカソード材料と比較して、比較的より大量の電子を発生させ、そして電子の好適なエネルギーレベルを有すると考えられている。
表I:250℃および20%H2でのカソード材料の濡れ時間への効果
【0080】
【表1】
【0081】
例3
本例は、電子を発生させるための熱電界放出法を調べるために行われた。その表面から突き出た多くの1mm長の機械加工された先端を有する3mm直径のグラファイト棒は、カソードとして機能し、そして図2i中に記載されるのと類似の形状を有した。突き出た機械加工された先端のそれぞれは、25度の先端角度を有した。グラファイト棒は、5%H2および95%N2のガス混合物中で、約400〜500℃まで交流電源を使用して抵抗加熱により加熱された。5KVの直流電源を、グラファイトカソードと銅板との間に適用し、これはそれらの間に1.5cmの隙間を有するアノードとして機能する。グラファイト棒上の先端の全ては、それによって照るくなり、電子をグラファイト棒上の分散された先端から一様に発生できることを示した。グラファイト棒の加熱がないと、カソードからの電子放出がないか、または先端の1つとアノード板との間でアークを出すかのいずれかがあるであろう。これは、統合された放出システムからの均一な電子の放出を得るために複数の先端を有するカソードと高温との組み合わせ、すなわち、熱電界放出方法が効果的であることを示す。
【0082】
例4
本例は、図4中で具体的に説明された電極等の2つの機械加工されたAl2O3耐熱性板の間に水平にクランプされた0.04’’直径のニッケルクロム合金加熱ワイヤーを使用して行われた。一連の5つのニッケルクロム合金放出ワイヤー(それぞれが、ワイヤーの1つの終端上に鋭い先端(12.5度)を有する)は、ニッケルクロム加熱ワイヤーから垂直に突き出し、そして2つの耐熱性板の間で垂直に位置する。ニッケルクロム加熱ワイヤーおよび先端を、5%H2と95%N2とのガス混合物で、約870℃まで交流電源を使用して加熱した。2.6KVの直流電圧を、カソードと銅板(2つの電極間に6mmのギャップを有するアノードとして機能する)との間に適用した。すべての5つの先端は、明るくなり、そして全放出電流は、2.4mAに達した。ワイヤーの加熱なしでは、カソードから電子放出がないか、または先端の1つとアノード板との間でアークを出すか、のいずれかであろう。例3のように、例4は、より高温の放出電極により、熱で補助された電界放出が均一の電子放出を提供することを示す。さらに、より高温の放出電極はまた、電子放出の量を、所与の電位で増加させる。
【0083】
例5
本例は、2つの電極間における電圧パルスの陰極放出への効果を示すために行われた。単一先端のニッケルクロム合金ワイヤーを、放出電極として使用し、そして接地した銅板は、ベース電極の機能を果たした。銅板を放出電極の先端より3mm下に配置した。スズ/鉛はんだプリフォームを、銅板の上に配置した。ニッケルクロムワイヤー、プリフォーム、および銅板を、炉中で周囲温度に、4%H2と残りN2のガス混合物中に維持し。種々の周波数および振幅のパルス状の一方向性電圧を、2つの電極間に適用した。これに関連して、放出電極の電位は、接地したベース電極に対してマイナスから0まで変化し、それによって電子が先端電極から発生できた。結果を表IIに提供する。
【0084】
表II中の結果は、より高パルスの周波数および振幅の電圧パルスが適用された場合、より大量の電子が放出電極から発生したことを示す。
表II:一方向性の電圧パルス
【0085】
【表2】
【0086】
例6
本例は、例5と同じ設定を使用した2つの電極の極性を変えることによる表面放電を示すために行った。
【0087】
3.4kV(例えば、+1.7kV〜−1.7kV)の全パルス振幅を有する双方向性電圧パルスを2つの電極間に適用した。双方向性電圧パルスの間、2つの電極の極性を変えた。言い換えれば、接地したベース電極に対して、放出電極の先端を正の電気バイアスから負の電気バイアスに変化させ、それによって先端電極から電子が発生し、そして回収されることを可能にした。
【0088】
表IIIは、それぞれの周波数の極性変化での、ベース電極からのリーク電流を提供する。表IIIは、より高周波数の極性変化を具体的に示すので、より低い電荷の蓄積は、銅のベース電極を通過するリーク電流を観察することによってなされるであろう。
表III:双方向性電圧パルス
【0089】
【表3】
【0090】
例7
本例は、追加の電極を用いることによって、離れた表面放電を示すために行われた。305℃の融点を有する90鉛/10スズはんだプリフォームを、電気的に絶縁されたウェハー上に配置された銅基材の小片上に配置した。接地した銅板は、ウェハーの下に配置され、そしてベース電極として機能した。2つの単一先端ニッケルクロムワイヤー(1つは負の電圧を有し、そして1つは正の電圧を有する)を、はんだプリフォームを有するベース電極より1cm上に配置した。2つの単一の先端電極間の距離は1.5cmであった。配置したものをN2中に4%のH2を含有するガス混合物内で、室温からはんだの融点より上の所与のリフロー温度まで加熱した。リフロー温度が平衡になると、正の電圧および負の電圧を2つの単一の先端電極に適用することによって電子付着が始まり、そしてはんだプリフォームが、球状のボールを形成するのに必要な時間を記録した。球状のはんだボールの形成は、酸化物のないはんだ表面を示した。表IVに示すように、表面の酸素除去は、はんだの融点よりわずか5〜15℃上である310〜330℃の温度領域でかなり効率的であった。
表IV
【0091】
【表4】
【0092】
例8
石英板系電極を炉の内側に設置した。石英板上の金属ピンの間隔は0.5cmであった。基材はセラミック基材上の銅板であり、次に、接地した電極(すなわち、ベース電極)の上に置いた。石英板と、銅表面上の金属ピンの先端との間の間隙は1cmであった。炉を、5%H2、95%N2でパージし。10kHzのパルス周波数で、0〜3.12kVの領域のパルス状電圧を、石英電極に適用した。すべての放出ピンからの均一の電子放出を観察した。それぞれの放出ピンからの平均放出電流は、約0.3mAであった。特に、放出先端の間隔が0.5cmまでもに小さいこの態様において、アークは観察されなかった。この結果は、石英板系電極から均一の電子放出のための閾電圧が、ガスイオン化電圧より遙かに低いレベルまで、概して低下したことを示す。
【0093】
例9
石英板系電極を炉の内側に設置した。石英板上の金属ピンの間隔は、1.0cmであった。処理表面は、元の銅板と比較すると銅板の色がより暗くなっている150℃で、2時間、予め酸化された銅板であった。酸化物の厚みは、オージェ分析によって400Åと推定された。予め酸化された銅板をセラミック基材上に置き、そして次に接地した電極上に置いた。石英板上の金属ピンの先端と、予め酸化された銅板の表面との間隔は1cmであった。炉を5%H2、95%N2でパージし、そして200℃まで加熱した。正の電圧および負の電圧を、+1.2kVおよび−1.2kVのそれぞれの振幅で、2つの異なる群の金属ピンに交互に適用した。交流周波数は15KHzであり、均一の電子放出を観察した。15分の上記の条件下でのそうした電子付着処理の後で、銅板を炉から取り出した。処理された銅表面の色が、初めの銅板の色に戻ったのが観察された。本明細書中に記載された電子付着工程の適用がないと、予め酸化された銅の表面上の酸化物還元は、同じ加熱工程において、非効率であることが見いだされた。
【0094】
例10
内部容積、内部容積と流体連通したガス注入口を有する通電電極を含むパイレックスガラスチャンバー、および内部容積と流体連通する内部通路をそれぞれ有する複数の導電性チップを取り付けたセラミックベースである絶縁ベースを、以下のように製造した。ガラスチャンバーは、形が円筒型であり、そして6.0cmの直径および8.0cmの高さを有した。セラミックベース板を、97穴の配列でドリルし、それぞれ0.65mmの直径を有し、そして5mm離れていた。それぞれの導電性チップは、チャンバーの内部容積と流体連通する内部通路、0.64の外径、0.32の内径、12度の角度に傾斜した終端を有する先端、および0.9mm外径を有するフランジ状終端を有した。全ての97の導電性チップを、セラミックベース板中に挿入し、そしてフランジ状終端で適所に保った。0.0035インチの直径を有するニッケルクロムワイヤーを、高温はんだを使用したはんだ付けによって97全ての導電性チップと電気的に接続するために使用した。修正された通電電極を、実験室スケール炉の内側に設置した。183の融点℃および2mmの直径および1mmの高さの寸法を有する5つのフラックスレススズ鉛はんだを、ベース電極として機能する接地した、正方形10cm×10cmの銅板の異なる場所においた。その上表面上にはんだを有する銅板を、炉内の通電電極の導電性チップの終点より1cm下に配置した。5%H2と95%N2の還元ガス混合物を加熱中に炉中に導入した。220℃の平衡温度に達すると、10kHzのパルス周波数で0〜3kVの領域のパルス状の電圧を、通電電極に適用した。すべての針の先端から均一の電子放出が観察された。それぞれの針の先端から平均放出電流は、約0.3mAであった。30秒の電子放出後に、実験を止め、そしてサンプルを、炉が冷えた後で、炉から取り出した。全てのはんだプリフォームが、銅板上で良好に湿潤していたことが見いだされた。
【0095】
比較として、類似の放出電極集成体を同じ炉の中に置いたが、しかし、類似の放出電極集成体は、ガラスチャンバーの内部容積と流体連通して、そこを通る内部通路を有する同一の導電性チップではなかった。内部通路を有するこれらの導電性チップを使用しないと、炉温度が250℃より上で、そして放出時間が1分より長くない限り、エリアアレイ放出先端の下で、同じはんだの濡れは、得られなかった。この比較は、水素を含有する還元ガスの流れが、電子付着工程の効率を改善できる内部容積と、流体連通した内部通路を有する導電性チップを有する内部容積を含む通電電極の使用を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の処理表面から金属酸化物を除去する方法、
該方法は、:
接地電位を有するベース電極の近傍にある基材を用意すること、
該基材は、該金属酸化物を含む処理表面を含む;
該ベース電極および該基材の近傍にある通電電極を用意すること、
該処理表面の少なくとも一部分は、該通電電極に曝されており、そして該ベース電極および該通電電極および該基材は、ターゲット領域内にあり、該通電電極は、突き出た導電性チップの配列を含む絶縁板によって画定されており、該導電性チップは、導電性ワイヤーによって電気的に接続されており、該配列の一部分は、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離されて、該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そしておよび該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして該正にバイアスされている直流電源および該負にバイアスされている直流電源は、該負にバイアスされている直流電源と、該正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されている;
還元ガスを含むガス混合物に、該ターゲット領域を通過させること;
該負にバイアスされている直流電源を起動することによって、該導電性チップの列に通電して、該ターゲット領域内で電子を発生させ、該電子の少なくとも一部分が、該還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成すること;
該処理表面と該負に帯電した還元ガスとを接触させて、該基材の該処理表面上の該金属酸化物を還元すること;そして、
該正にバイアスされている直流電源を起動することによって、該導電性チップの列に通電して、該処理表面から過剰な電子を回収すること、
該負にバイアスされている直流電源電気的に接続されている該導電性チップの列および該正にバイアスされている直流電源電気的に接続されている該導電性チップの列は、同時に通電されない;
を含んで成る。
【請求項2】
該通電電極が、内部容積、および該内部容積と流体連通しているガス注入口をさらに含み、該導電性チップの少なくとも一部分が、該内部容積と流体連通した内部通路を有し、そして該還元ガスの少なくとも一部分が、該ガス注入口を通って該内部容積に入り、そして該内部通路を通って該ターゲット領域に入る、請求項1の方法。
【請求項3】
該絶縁板が、内部容積と流体連通している溝をさらに含み、そして該還元ガスの少なくとも一部分が、該溝を通って該ターゲット領域に入る、請求項2の方法。
【請求項4】
該還元ガスが、H2、CO、SiH4、Si2H6、CF4、SF6、CF2Cl2、HCl、BF3、WF6、UF6、SiF3、NF3、CClF3、HF、NH3、H2S、直鎖、分枝鎖または環状のC1〜C10炭化水素、ギ酸、アルコール、以下の式(III):
【化1】
を有する酸性蒸気、
以下の式(IV):
【化2】
(式(III)および式(IV)中、置換基Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基である。)
を有する有機蒸気、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されたガスである、請求項1の方法。
【請求項5】
該還元ガスが、H2を含む、請求項4の方法。
【請求項6】
該還元ガス中の該H2の濃度が、0.1〜100体積%である、請求項5の方法。
【請求項7】
該ガス混合物が、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるキャリアガスをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項8】
該導電性チップが、約2mm〜10mmの距離で、互いに隔たっている、請求項1の方法。
【請求項9】
該導電性チップが、約5mm〜約8mmの距離で、互いに隔たっている、請求項8の方法。
【請求項10】
該導電性チップが、約5mmの距離で、互いに隔たっている、請求項9の方法。
【請求項11】
該ベース電極および該通電電極が、約0.5mm〜約5.0mmの距離で、互いに隔たっている、請求項1の方法。
【請求項12】
該ベース電極および該通電電極が、1.0mmの距離で、互いに隔たっている、請求項1の方法。
【請求項13】
該電圧が、0.1kV〜30kVの範囲である、請求項1の方法。
【請求項14】
該周波数が、0kHz〜30kHzの間にある、請求項1の方法。
【請求項15】
該基材が、100℃〜400℃の範囲の温度にある、請求項1の方法。
【請求項16】
該電圧が、周波数0kHz〜50kHzの周波数でパルス化されていて、アークを出すのを防いでいる、請求項1の方法。
【請求項17】
該絶縁板が、石英、セラミック材料、ポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択された材料を含む、請求項1の方法。
【請求項18】
該絶縁板が、石英板である、請求項17の方法。
【請求項19】
該絶縁板が、ポリマーを含む、請求項17の方法。
【請求項20】
該ポリマーが、エポキシポリマーである、請求項18の方法。
【請求項21】
該処理表面が、はんだバンプをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項22】
該基材が、剛体エポキシガラスラミネート基材、柔軟な屈曲ポリマー基材、集積回路相互接続スキームにおいて使用される基材、高密度相互接続、積層集積回路において使用される基材、および積層パッケージにおいて使用される基材からなる群から選択される絶縁基材である、請求項1の方法。
【請求項23】
該突き出た導電性チップが、該絶縁板に取り外し可能に取り付けられている、請求項1の方法。
【請求項24】
ターゲット領域内にある基材の処理表面から金属酸化物を除去するための装置、
該装置は、
接地電位を有するベース電極と、
該ベース電極の近傍にある通電電極および導電性チップの配列を含む絶縁板を含む該基材、を含み、
該導電性チップは、導電性ワイヤーによって電気的に接続されており、該配列の一部分は、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離され、該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして該正にバイアスされている直流電源および該負にバイアスされている直流電源は、該負にバイアスされている直流電源と、該正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されており;
該導電性チップの少なくとも一部分が、該負にバイアスされている直流電源によって活性化されて、該ターゲット領域内で電子を発生し、該電子の少なくとも一部分が、該ターゲット領域内に存在する還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって該処理表面に接触する負に帯電した還元ガスを生成して、該基材の該処理表面上の該金属酸化物を還元する。
【請求項25】
該通電電極が、内部容積および該内部容積と流体連通しているガス注入口をさらに含み、該導電性チップの少なくとも一部分が、該内部容積と流体連通している内部通路を有し、そして該還元ガス混合物の少なくとも一部分が、該ガス注入口を通って該内部容積に入り、そして該内部通路を通って、該ターゲット領域に入る、請求項24の装置。
【請求項26】
該絶縁板が、内部容積と流体連通している溝をさらに含み、そして該還元ガスの少なくとも一部分が、該溝を通って該ターゲット領域に入る、請求項24の装置。
【請求項1】
基材の処理表面から金属酸化物を除去する方法、
該方法は、:
接地電位を有するベース電極の近傍にある基材を用意すること、
該基材は、該金属酸化物を含む処理表面を含む;
該ベース電極および該基材の近傍にある通電電極を用意すること、
該処理表面の少なくとも一部分は、該通電電極に曝されており、そして該ベース電極および該通電電極および該基材は、ターゲット領域内にあり、該通電電極は、突き出た導電性チップの配列を含む絶縁板によって画定されており、該導電性チップは、導電性ワイヤーによって電気的に接続されており、該配列の一部分は、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離されて、該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そしておよび該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして該正にバイアスされている直流電源および該負にバイアスされている直流電源は、該負にバイアスされている直流電源と、該正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されている;
還元ガスを含むガス混合物に、該ターゲット領域を通過させること;
該負にバイアスされている直流電源を起動することによって、該導電性チップの列に通電して、該ターゲット領域内で電子を発生させ、該電子の少なくとも一部分が、該還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって負に帯電した還元ガスを生成すること;
該処理表面と該負に帯電した還元ガスとを接触させて、該基材の該処理表面上の該金属酸化物を還元すること;そして、
該正にバイアスされている直流電源を起動することによって、該導電性チップの列に通電して、該処理表面から過剰な電子を回収すること、
該負にバイアスされている直流電源電気的に接続されている該導電性チップの列および該正にバイアスされている直流電源電気的に接続されている該導電性チップの列は、同時に通電されない;
を含んで成る。
【請求項2】
該通電電極が、内部容積、および該内部容積と流体連通しているガス注入口をさらに含み、該導電性チップの少なくとも一部分が、該内部容積と流体連通した内部通路を有し、そして該還元ガスの少なくとも一部分が、該ガス注入口を通って該内部容積に入り、そして該内部通路を通って該ターゲット領域に入る、請求項1の方法。
【請求項3】
該絶縁板が、内部容積と流体連通している溝をさらに含み、そして該還元ガスの少なくとも一部分が、該溝を通って該ターゲット領域に入る、請求項2の方法。
【請求項4】
該還元ガスが、H2、CO、SiH4、Si2H6、CF4、SF6、CF2Cl2、HCl、BF3、WF6、UF6、SiF3、NF3、CClF3、HF、NH3、H2S、直鎖、分枝鎖または環状のC1〜C10炭化水素、ギ酸、アルコール、以下の式(III):
【化1】
を有する酸性蒸気、
以下の式(IV):
【化2】
(式(III)および式(IV)中、置換基Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基である。)
を有する有機蒸気、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されたガスである、請求項1の方法。
【請求項5】
該還元ガスが、H2を含む、請求項4の方法。
【請求項6】
該還元ガス中の該H2の濃度が、0.1〜100体積%である、請求項5の方法。
【請求項7】
該ガス混合物が、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるキャリアガスをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項8】
該導電性チップが、約2mm〜10mmの距離で、互いに隔たっている、請求項1の方法。
【請求項9】
該導電性チップが、約5mm〜約8mmの距離で、互いに隔たっている、請求項8の方法。
【請求項10】
該導電性チップが、約5mmの距離で、互いに隔たっている、請求項9の方法。
【請求項11】
該ベース電極および該通電電極が、約0.5mm〜約5.0mmの距離で、互いに隔たっている、請求項1の方法。
【請求項12】
該ベース電極および該通電電極が、1.0mmの距離で、互いに隔たっている、請求項1の方法。
【請求項13】
該電圧が、0.1kV〜30kVの範囲である、請求項1の方法。
【請求項14】
該周波数が、0kHz〜30kHzの間にある、請求項1の方法。
【請求項15】
該基材が、100℃〜400℃の範囲の温度にある、請求項1の方法。
【請求項16】
該電圧が、周波数0kHz〜50kHzの周波数でパルス化されていて、アークを出すのを防いでいる、請求項1の方法。
【請求項17】
該絶縁板が、石英、セラミック材料、ポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択された材料を含む、請求項1の方法。
【請求項18】
該絶縁板が、石英板である、請求項17の方法。
【請求項19】
該絶縁板が、ポリマーを含む、請求項17の方法。
【請求項20】
該ポリマーが、エポキシポリマーである、請求項18の方法。
【請求項21】
該処理表面が、はんだバンプをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項22】
該基材が、剛体エポキシガラスラミネート基材、柔軟な屈曲ポリマー基材、集積回路相互接続スキームにおいて使用される基材、高密度相互接続、積層集積回路において使用される基材、および積層パッケージにおいて使用される基材からなる群から選択される絶縁基材である、請求項1の方法。
【請求項23】
該突き出た導電性チップが、該絶縁板に取り外し可能に取り付けられている、請求項1の方法。
【請求項24】
ターゲット領域内にある基材の処理表面から金属酸化物を除去するための装置、
該装置は、
接地電位を有するベース電極と、
該ベース電極の近傍にある通電電極および導電性チップの配列を含む絶縁板を含む該基材、を含み、
該導電性チップは、導電性ワイヤーによって電気的に接続されており、該配列の一部分は、第1の電気的に接続された群および第2の電気的に接続された群に分離され、該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の一方は、正にバイアスされている直流電源に接続されており、そして該第1の電気的に接続された群または第2の電気的に接続された群の他方は、負にバイアスされている直流電源に接続されており、そして該正にバイアスされている直流電源および該負にバイアスされている直流電源は、該負にバイアスされている直流電源と、該正にバイアスされている直流電源との間で交互にエネルギーを供給できる多機能コントローラーに電気的に接続されており;
該導電性チップの少なくとも一部分が、該負にバイアスされている直流電源によって活性化されて、該ターゲット領域内で電子を発生し、該電子の少なくとも一部分が、該ターゲット領域内に存在する還元ガスの少なくとも一部分に付着し、それによって該処理表面に接触する負に帯電した還元ガスを生成して、該基材の該処理表面上の該金属酸化物を還元する。
【請求項25】
該通電電極が、内部容積および該内部容積と流体連通しているガス注入口をさらに含み、該導電性チップの少なくとも一部分が、該内部容積と流体連通している内部通路を有し、そして該還元ガス混合物の少なくとも一部分が、該ガス注入口を通って該内部容積に入り、そして該内部通路を通って、該ターゲット領域に入る、請求項24の装置。
【請求項26】
該絶縁板が、内部容積と流体連通している溝をさらに含み、そして該還元ガスの少なくとも一部分が、該溝を通って該ターゲット領域に入る、請求項24の装置。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図2h】
【図2i】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12(a)(b)】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18(a)】
【図18(b)】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図2h】
【図2i】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12(a)(b)】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18(a)】
【図18(b)】
【図19(a)】
【図19(b)】
【公開番号】特開2009−280914(P2009−280914A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−115765(P2009−115765)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115765(P2009−115765)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】
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