説明

電子体温計

【課題】 乳幼児が飽きることなく口中での体温測定ができる電子体温計の提供。
【解決手段】測定部位が乳幼児の口中である電子体温計であって、測温部を含み、おしゃぶり機能と体温測定機能を備えた測定部と、制御部、表示部を備えた本体部と、からなる測定部位が乳幼児の口中である電子体温計であり、測定部は本体部から着脱可能であり、測定部が本体部から取り外されると本体部の電源がONされることを特徴とする。また、電源がONされた後、所定時間後に、本体部から所定の電磁波を発生して、測定部で測定された体温値を読み取り、表示部に体温値を表示することを特徴とする。また、電源がONされた後、表示部に体温値が表示されるまでの間、表示部にキャラクタをアニメーション表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子体温計に関するものである。特に、乳幼児が口に咥えて体温を測定する、いわゆるおしゃぶり型電子体温計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子体温計においては、日本においては主に水銀体温計の形状を踏襲し、体温測定部位をワキ下(腋下)とし、保護者・介護者が棒状の電子体温計のプローブ部(金属キヤップ部)を被測定者のワキ下(腋下)に挟んだり、測定者自身が棒状の電子体温計のプローブ部(金属キャップ部)をワキ下(腋下)に挟んで体温を測定するものである(特許文献1:特公平3−24615号公報)。これに対して、乳幼児が口に咥えて体温を測定する、いわゆるおしゃぶり型電子体温計が提案されている(特許文献2:特開2006−258790号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平3−24615号公報
【特許文献2】特開2006−258790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おしゃぶり型電子体温計は、測定器と本体部が信号ケーブルで接続されており、数分間を要する測定時間中に信号ケーブルを触ったりすることで正確な体温測定が難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、乳幼児が飽きることなく口中での体温測定ができる電子体温計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電子体温計は、測定部位が乳幼児の口中である電子体温計であって、測温部を含み、おしゃぶり機能と体温測定機能を備えた測定器と、制御部、表示部を備えた本体部と、からなる測定部位が乳幼児の口中である電子体温計であり、測定部は本体部から着脱可能であり、測定器が本体部から取り外されると本体部の電源がONされることを特徴とする。また、電源がONされた後、所定時間後に、本体部から所定の電磁波を発生して、測定器で測定された体温値を読み取り、表示部に体温値を表示することを特徴とする。また、電源がONされた後、表示部に体温値が表示されるまでの間、表示部にキャラクタをアニメーション表示することを特徴とする。また、表示部は、有機ELで形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、体温測定中に乳幼児が飽きることなく口中で精度の高い体温測定ができる電子体温計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の電子体温計の好ましい実施形態を示す図である。
【図2】図1に示す電子体温計のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、この発明の実施の形態を実測式の電子体温計を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をこれらに限定する趣旨のものではなく、平衡温予測式の電子体温計に適用できることはいうまでもない。
【0010】
<電子体温計の構成>
図1は、本実施形態の電子体温計を示すもので、(a)は測定器、本体部を組み合わせた平面図、(b)は測定器、本体部を組み合わせた正面図、(c)は測定器、本体部を組み合わせた側面図、(d)は本体部から取り外した時の測定器の平面図、(e)は本体部から取り外した時の測定器の正面図、(f)は本体部から取り外した時の測定器の側面図、図2は、機能ブロック図であり、(a)は本体部の機能ブロック図、(b)は測定器の機能ブロック図である。
【0011】
図1において、(d)〜(f)に示すように、電子体温計1の測定器10は、乳首部分11と、把持部12aを備えた受け皿部(フランジ部)12からなる。柔軟性材料で形成されている受け皿部12は波打ち形状となっていて、柔軟性材料によって形成されている人工乳首部11と繋がっている。人工乳首部11の先端部11aには、例えば、温度センサであるサーミスタを含む測温部7(図2参照)が収納されている。人工乳首部11は、(d),(e)から明らかなように、断面が偏平形状(長円形状または楕円形状)をしていて、口中での体温測定に際して乳幼児が咥えやすくなるようになっている。受け皿部12は、内側に曲線形状を有する曲線形状部12cと、人工乳首部11側には把持部12aが設けられている。また、切欠部12bが設けられている。曲線形状部12cや受け皿部12の波打ち形状は、乳幼児が測定器10を咥えている時に鼻孔を塞がないようにするためである。また、切欠部12bは、持った時のすべりを防止するためのものである。測定器10は、重量が5〜15g程度である。人工乳首部11は肉厚が2.5mm程度でイソプレンゴムやシリコンゴム,スチレンブタジエン共重合体,水添スチレンブタジエン共重合体等で形成されるが、好ましくは硬度15度(JIS−K6253(ISO7619)におけるA型デュロメータによる硬度)のシリコンゴムにより形成されている。また、受け皿部12はシリコンゴムより硬度が高いエラストマーで人工乳首部11と一体的に形成されている。
【0012】
体温測定を行わない時は、(a)〜(c)に示すように、電子体温計1の測定器10は、表示部4を備えた本体部2の上部の開口部に人工乳首部11が収納された状態となっている。この状態では、電池(電源部)13(図2参照)からの電源の供給はなく、人工乳首部11に埃やゴミが付着するのを防止している。本体部2には、例えば有機EL等で形成される表示部2が設けられている。
【0013】
図2(a)において、電子体温計1を構成する本体部2は、測定された体温値や測定中にキャラクタ等のアニメーション表示を行なう表示部4、電源のON/OFFを行なうスイッチ5、測定器10との間で送受信を行なうためのアンテナ部を含む外部通信部6、演算制御部(CPU)12、体温測定に必要なパラメータを格納したEEPROM12c、計測温度を時系列で記憶するためのRAM12a、被検者の体温を予測演算するプログラム等を格納したROM12bを備えている。演算制御部(CPU)12は、体温測定に必要なパラメータを格納したEEPROM12c、計測温度を時系列で記憶するためのRAM12a、被検者の体温を予測演算するプログラム等を格納したROM12bに基づき、電子体温計1全体を制御する。演算制御部12は、測温部7より出力されるデジタル信号のON時間を計測するタイマー(不図示)を備える。
【0014】
図2(b)において、電子体温計1を構成する測定器10は、人工乳首部11の先端部11aの中に収納されている測温部7、本体部2との間で送受信を行なうためのアンテナ部,コイルを含む外部通信部106、演算制御部(CPU)112、体温測定に必要なパラメータを格納したEEPROM112c、計測温度を時系列で記憶するためのRAM112a、演算するプログラム等を格納したROM112bを備えている。演算制御部(CPU)112は、体温測定に必要なパラメータを格納したEEPROM112c、計測温度を時系列で記憶するためのRAM112a、被検者の体温を予測演算するプログラム等を格納したROM112bに基づき、測定器10全体を制御する。測定温部7は、サーミスタ、コンデンサ、測温用CR発振回路等から構成されており、サーミスタにより検出された温度を発信信号として出力する。出力された発信信号はカウンタにおいてカウントされることで、デジタル量として出力される。
【0015】
<電子体温計における体温測定処理の流れ>
次に、電子体温計における体温測定処理の流れについて説明する。なお、ここでは、平衡温予測式の電子体温計1の体温測定処理の流れについて説明するが、本発明はこれに限定されず、実測式の電子体温計、予測/実測を併用するタイプの電子体温計にも適用可能である。
【0016】
測定器10を本体部2から取り外すと、電源スイッチ5がON状態となり、体温測定の動作が開始される。測定開始動作後、60秒程度後に、外部通信部6から、例えば13.56MHz,860〜960MHz,2.45GHzのうちのいずれかの電磁波が5秒毎に送信される(好ましいものとしては、860〜960MHzで、この場合、送受信距離は、2〜3m)。これと並行して、測定器10の人工乳首部11を乳幼児に咥えさせる。この電磁波を外部通信部106で受信し、その信号と同期して得られる測温部7の体温情報を外部通信部6を経て本体部2で読取る。測定されたこれらの体温情報は、RAM12aに記憶される。この体温情報は閾値と比較される。例えば、体温の場合、上限値が37.0℃、下限値が35.5℃としている。体温情報が異常(測定中の異常も含む)と判断されると、アラームを発生させる。体温測定が終了するとブザー,バイブレータ,光(不図示)などで報知する。異常がある場合は「発熱」と表示部4に表示させる。なお、表示部の表示モード切替スイッチを設けて、表示部4で過去24時間の体温値のトレンド、過去7日の体温値のトレンドを表示するようにしてもよい。
【0017】
<測定開始・予測演算の条件>
具体的には、前回の温度計測により演算された温度データの値(つまり、0.5秒前の温度データの値)からの上昇度が、所定の値(例えば、1℃)以上となったか否かを判断する。次に、上昇度が所定の値以上となったと判断した場合には、体温測定開始条件が成立したと判断し、当該温度データを計測したタイミングを、予測体温演算の基準点(t=0)として設定する。つまり、電子体温計1では、急激な温度上昇が計測されると、乳幼児が、口中に人工乳首部11を咥えたものとみなす。
【0018】
次に、体温測定開始条件が成立したと判断した場合には、温度データの取り込みを開始する。具体的には、出力された温度データと、当該温度データを計測したタイミングとを、時系列データとしてRAM12aに記憶する。次に、記憶された温度データを用いて、所定の予測式により、予測体温を演算する。
【0019】
次に、基準点(t=0)から所定時間(例えば25秒)、経過した後に、算出された一定区間(例えば、t=25〜30秒)における予測値が、予め設定された予測成立条件を満たすか否かを判断する。具体的には、所定の範囲(例えば、0.1℃)以内に収まっているか否かを判断する。
【0020】
次に、予測成立条件を満たすと判断されると、温度計測を終了するとともに、予測体温の演算が終了した旨の音声をスピーカ(不図示)で出力し、表示部4に、演算された予測体温を表示する。測定器10を図1(a),(b)(c)のように本体部2に戻すことで、スイッチ5がOFFされて、電池(電源部)13からの電源供給が停止する。
【0021】
一方、予測成立条件を満たさないと判断された場合には、基準点(t=0)から所定時間(例えば45秒)経過したか否かを判断し、経過したと判断された場合には、温度計測を強制終了する。なお、強制終了した場合には、その際に演算されていた予測体温を、表示部4に表示する。測定器10を図1(a),(b)(c)のように本体部2に戻すことで、スイッチ5がOFFされて、電池(電源部)13からの電源供給が停止する。
【符号の説明】
【0022】
1 電子体温計、2 本体部、4 表示部、5 スイッチ、7 測温部、10 測定器 11 人工乳首部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部位が乳幼児の口中である電子体温計であって、
測温部を含み、おしゃぶり機能と体温測定機能を備えた測定器と、
制御部、表示部を備えた本体部と、からなる測定部位が乳幼児の口中である電子体温計であって、
該測定器は該本体部から着脱可能であり、該測定部が該本体部から取り外されると該本体部の電源がONされることを特徴とする電子体温計。
【請求項2】
電源がONされた後、所定時間後に、該本体部から所定の電磁波を発生して、該測定器で測定された体温値を読み取り、該表示部に該体温値を表示することを特徴とする請求項1に記載の電子体温計。
【請求項3】
電源がONされた後、該表示部に該体温値が表示されるまでの間、該表示部にキャラクタをアニメーション表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子体温計。
【請求項4】
該表示部は、有機ELで形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子体温計。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−7582(P2011−7582A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150448(P2009−150448)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】