説明

電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤

【課題】所望の安定した帯電量が得られ、かつ帯電量を始めとする電気特性の環境変動が小さい電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供する。
【解決手段】見掛け密度が2.30〜2.80g/cm、BET比表面積が0.09〜0.70m/g、平均円形度が0.90以上であるフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材であって、溶出法により測定されるCl濃度が0.1〜100ppmである電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、該フェライト芯材の表面に樹脂を被覆して得られる電子写真現像剤用フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用されるフェライトキャリア芯材及び該フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆したフェライトキャリア及びこれらの製造方法に関し、詳しくは所望の安定した帯電量が得られ、かつ帯電量を始めとする電気特性の環境変動が小さい電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
【0003】
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
【0004】
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
【0005】
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
【0006】
このような二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
【0007】
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉、あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性の良い画像が得られやすいという利点がある。
【0008】
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントの発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
【0009】
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧の低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
【0010】
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重が約5.0程度と軽く、またも磁化も低いフェライト粒子をキャリアとして用いたり、さらにフェライト粒子の表面に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
【0011】
例えば特許文献1(特開平8−22150号公報)には、フェライト粒子の組成としてマンガン−マグネシウムフェライトの一部をストロンチウムで置換した組成を用いた電子写真現像剤用フェライトキャリアが提案されている。
【0012】
このフェライトキャリアの製造方法は、フェライト原料を粉砕、混合、ペレット化した後、仮焼成する。次いで粉砕、スラリー化した後、粘度調整し、造粒し、本焼成を行う。さらに、粉砕、粒度調整を行い、得られたフェライト粒子の表面に樹脂を被覆する。この本焼成では、焼成温度は1000〜1500℃で行われ、バッチ式電気炉やロータリー式電気炉が用いられている。このように従来の製造方法では長い製造工程を必要とする。
【0013】
このような特許文献1に記載されているような製造方法では、製造工程が長く、生産安定性に問題があるのみならず、得られるフェライトキャリアは、所望の安定した帯電性が得られにくく、かつ帯電性を始めとする電気特性の環境変動が大きく、高帯電量ながら帯電量の環境変動を極めて小さくしたいという近年の帯電性能に対する要求に応えることができない。特に、近年多くなってきた重合トナーや低温定着トナーは従来のトナーに比べて、比較的帯電量が低く、帯電量の環境変動が大きいことが問題となることが多い。上記のようなフェライトキャリアは、これらのトナーと組み合わせて所望とする高い帯電量が得られ、かつ環境変動を抑制するには充分なものではなかった。
【0014】
さらに、近年のカラー化、高速化の流れから、高トナー濃度で、かつ高速現像が求められており、このような条件下では、従来よりも帯電能力が格段に高く、安定していることが必要であるが、上記のフェライトキャリアはこれらの要求を満足するものではなかった。
【0015】
一方、真球状のフェライトキャリア芯材又はフェライトキャリアを得る製造方法として、溶射によってフェライト原料を焼成する方法が提案されている。特許文献2(特開2008−249855公報)には、フェライトキャリア芯材のBET比表面積が900〜5000cm/g、見掛け密度が2.30〜2.80g/cmである電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアが記載されている。フェライトキャリア芯材は、フェライトキャリア原料を調製して得られる造粒物を、大気中で溶射してフェライト化し、次いで急冷固化するとされている。
【0016】
この製造方法では、BET比表面積や見掛け密度が一定範囲のフェライトキャリア芯材は得られるが、所望の安定した帯電性が得られにくく、かつ帯電性を始めとする電気特性の環境変動が大きいという課題を解決するものではない。
【0017】
特許文献3(特開2008−250214号公報)には、原料粉末を秤量混合し、水を加えてスラリーとし、これを噴霧乾燥により造粒して前駆体粒子とし、これを焼成して焼成物となし、この焼成物を2000℃以上の火炎中に落下させるか、燃焼炎中に分散させて熱処理し、粒子表面に縞模様状の隆起部分を形成し、次いで篩により分級するキャリア芯材の製造方法が記載されている。そして、上記スラリーを形成する際には、水にバインダーを添加することが有効であり、バインダーとしてはポリビニルアルコールが好適であるとされている。
【0018】
また、特許文献4(特開2009−244572号公報)には、キャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射してフェライト化し、次いで急冷凝固する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法が記載されている。ここに用いられるバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンが挙げられている。
【0019】
これら特許文献3及び4では、キャリア芯材原料と共にバインダーを用いてキャリア芯材を製造するものであるが、所望の安定した帯電性が得られにくく、かつ帯電性を始めとする電気特性の環境変動が大きいという課題を解決するものではない。
【0020】
一方、特許文献5(特開2006−267345号公報)には、フェライト粒子上に被覆した層を有し、鉄元素に対して一定の塩素元素を有するキャリアを用いた2成分現像剤が記載されている。この特許文献5はキャリアに含有される微量元素の存在及びその影響に着目したものであり、特に、フェライト粒子中の塩素元素がキャリアの耐久性に影響を与えていることに着目し、この量を制御することによりフェライトの硬度が向上し、負荷を受けても欠けたりせずに強固な耐久性が発現され、また塩素元素のもつ極性作用によりフェライト表面と樹脂被覆層の間での接着性も向上するようになり、その結果、樹脂被覆層が容易に剥離しなくなることが示されている。
【0021】
この特許文献5は、上記のように、フェライトキャリア芯材表面の塩素元素の存在により、樹脂被覆層が容易に剥離しなくなることが示されているが、塩素元素の存在が帯電量に影響を与えることについては何ら記載されていない。また、フェライトキャリア芯材表面の塩素元素の存在量を規定しただけでは、所望の安定した帯電性が得られにくく、かつ帯電性を始めとする電気特性の環境変動が大きいという課題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平08−22150号公報
【特許文献2】特開2008−249855公報
【特許文献3】特開2008−250214号公報
【特許文献4】特開2009−244572号公報
【特許文献5】特開2006−267345号公報
【0023】
このように、所望の安定した帯電量が得られ、かつ帯電量を始めとする電気特性の環境変動が小さい電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びその表面に樹脂を被覆したフェライトキャリアが求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従って、本発明の目的は、所望の安定した帯電量が得られ、かつ帯電量を始めとする電気特性の環境変動が小さい電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、見掛け密度、BET比表面積及び平均円形度が特定範囲にあり、かつCl濃度を一定範囲に抑えたフェライトキャリア芯材が上記目的を達成し得ることを知見し、さらにこのようなフェライトキャリア芯材は、特定性状を有するバインダーをキャリア芯材原料と共に造粒し、これを大気中で溶射し、急冷固化することにより得られることを見出し、本発明に至った。
【0026】
すなわち、本発明は、見掛け密度が2.30〜2.80g/cm、BET比表面積が0.09〜0.70m/g、平均円形度が0.90以上であるフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材であって、溶出法により測定されるCl濃度が0.1〜100ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材を提供するものである。
【0027】
また、本発明は、上記フェライトキャリア芯材の表面に樹脂が被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリアを提供するものである。
【0028】
また、本発明は、フェライトキャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射して次いで急冷固化させる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、上記バインダーが重合度800〜3000、ケン化度75〜96モル%のポリビニルアルコールであり、上記造粒物に対して固形分換算で0.5〜3.5重量%含有することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法を提供するものである。
【0029】
また、本発明は、上記製造方法により得られたフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法を提供するものである。
【0030】
また、本発明は、上記フェライトキャリア又は上記製造方法により得られたフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、所望の高い帯電量を有し、かつ帯電量を始めとする電気特性の環境変動が小さい。また、該フェライトキャリア芯材を用いた電子写真現像剤用フェライトキャリアは、高い帯電能力が長期に渡って維持でき、環境変動が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、見掛け密度が2.30〜2.80g/cm、好ましくは2.40〜2.70g/cmである。フェライトキャリア芯材の見掛け密度が2.30g/cm未満では樹脂を被覆したフェライトキャリアを小粒径化した際に、トナーとの混合時のストレスが弱くなるため、帯電立ち上がり性が低下する。フェライトキャリア芯材の見掛け密度が2.80g/cmを超えるようなフェライトキャリア芯材は、製造上、困難である。
【0033】
〔見掛け密度〕
この見掛け密度の測定は、JIS−Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)に従って測定される。
【0034】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、BET比表面積が0.09〜0.70m/g、好ましくは0.10〜0.60m/gである。フェライトキャリア芯材のBET比表面積が0.09m/g未満では、樹脂被覆時のアンカー効果が期待できず、樹脂とフェライトキャリア芯材の密着性に劣る。その結果、現像剤に用いたとき、トナーとの混合ストレスにより被覆樹脂の脱離が生じ、脱離樹脂がキャリアとトナーの電荷移行性を阻害するため、帯電立ち上がり性が低下する。フェライトキャリア芯材のBET比表面積が0.70m/gを超えると、樹脂被覆被膜の膜厚の制御が困難となるため、キャリア表面上での芯材露出部が多くなり、所望とする高帯電量が得られにくい。
【0035】
〔BET比表面積〕
ここで、BET比表面積は、株式会社マウンテック製BET比表面積測定装置(Macsorb HM model 1210)を用いて測定を行った。測定資料を真空乾燥機に入れ、200℃で2時間処理を行い、80℃以下になるまで乾燥機内で保持した後、乾燥機から取り出す。その後、試料をセルが密になるように充填し、装置にセットする。脱気温度200℃にて60分間前処理を行った後測定を行った。
【0036】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、溶出法により測定されるCl濃度が0.1〜100ppmであることが必要である。フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)表面に塩化物、塩化物イオンが多く存在すると、キャリアや現像剤の使用環境中にある水分(水分子)を吸着し易いため、多量に存在すると、帯電量を始めとする電気特性の環境変動が大きくなる。塩化物、塩化物イオンをできる限り低減する必要がある。
【0037】
しかし、キャリア芯材(フェライト)原料の1つである酸化鉄としては鉄鋼生産時に発生する塩酸酸洗工程から副生する酸化鉄を使用することが一般的であり、不可避不純物として塩化物、塩化物イオンが含有される。塩化物、塩化物イオンは、フェライト製造工程の1つであるバッチ式電気炉やロータリー式電気炉を用いた焼成工程においては、1000〜1500℃の温度領域で処理される際にその大部分は除去されるが、原料内部への熱が浸透しにくく、その一部が残ってしまう。特に、帯電能力を高めるために、比較的比表面積の大きいフェライト粒子を製造する場合、焼成温度を低めに設定する必要があるため、塩化物、塩化物イオンが残留しやすい。
【0038】
さらに、帯電能力を高めるためにBET比表面積を大きくすると、一般的な樹脂被覆フェライトキャリアに用いられるフェライト粒子に比べ、多く芯材粒子表面に塩化物及び/又は塩化物イオンが残存するため、キャリア特性に大きな影響を与える。
【0039】
そこで、本発明では、上述したように、フェライトキャリア芯材の溶出法により測定されるCl濃度を0.1〜100ppmとする必要がある。Cl濃度は、望ましくは0.1〜70ppm、さらに望ましくは0.1〜50ppm、最も好ましくは0.1〜20ppmである。この範囲で帯電量を始めとする電気特性の環境変動が少ない。また、後述する酸化被膜処理を施すことによって、高帯電量化が可能で、かつ環境変動も変わらず少ない。
【0040】
Cl濃度が100ppmを超えると、上述したように、使用環境中にある水分(水分子)を吸着し易いため、帯電量を始めとする電気特性の環境変動が大きくなり好ましくない。後述する酸化被膜処理を施しても、高帯電化しにくい。さらにフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆した場合にも、フェライトキャリア芯材に残存したCl成分と被覆樹脂とが相互作用し、帯電量の低下が発生しやすい。
【0041】
Cl濃度を0.1ppm未満にすることは工業上困難である。一般的にフェライトや電子写真現像剤用フェライトキャリアに用いられる原料として、特にClを多く含有するのは酸化鉄である。これは、酸化鉄としては工業的には鉄鋼生産時に発生する塩酸酸洗工程から副生する酸化鉄を使用するのが一般的であるためである。このような酸化鉄にもいくつかのグレードがあるが、Clとして数百ppm含有される。工業的に使用される酸化鉄で、最もClが少ないものでも、200ppm程度含有される。
【0042】
Cl濃度の測定方法は種々ある。例えば特開2006−267345号公報に記載されているような、蛍光X線元素分析装置を用いる方法である。しかし、蛍光X線元素分析装置で測定されるCl濃度は、表面近傍に存在するClのみならず、直接、外環境の影響を受けない粒子内部に存在するClを測定するのに有効な方法である。本発明においては、特に表面近傍に存在するClが、大気中の水分と相互作用を起こすことが、帯電特性の環境変動に悪影響を及ぼすものであることを見出し、また、表面の塩化物が水分の影響を受けること、このような塩化物が脱離しやすいこと等によって帯電能力自体が低下することを見出したものであり、基本的には粒子内部に存在するClとは無関係のものである。従って、本発明においては、フェライト粒子表面に存在するCl濃度を特定し、制御することが非常に重要である。このような測定方法として、下記に挙げる溶出法が用いられる。
【0043】
[Cl濃度:溶出法]
(1)試料を50.000g+0.0002g以内に正確に秤り、150mlガラス瓶に入れる。
(2)フタル酸塩(pH4.01)50mlをガラス瓶に添加する。
(3)イオン強度調整剤、1mlをガラス瓶に続けて添加し、蓋を閉める。
(4)ペイントシェ−カ−にて10分間撹拌する。
(5)150mlガラス瓶の底に磁石を当てキャリアが落ちないように注意しながらNo.5Bの濾紙を用いてPP製(50ml)の容器にろ過する。
(6)得られた上澄み液を、pHメーターにて電圧を測定する。
(7)同様に、検量線用に作成したCl濃度別の溶液(純水、1ppm、10ppm、100ppm及び1000ppm)を測定し、それらの値から、サンプルのCl濃度を計算する。
【0044】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の平均円形度は0.90以上であることが必要である。平均円形度が0.90以上であることにより非常に流動性に優れたフェライトキャリアが得られる。平均円形度が0.90未満では、流動性が悪く、帯電立ち上がり性が低下する。
【0045】
[平均円形度]
フェライトキャリア芯材の平均円形度は、粒度・形状分布測定器PITA−1(株式会社セイシン企業製)を使用した。グリセリン溶液にキャリア粉末をホモジナイザーで分散させ、供給タンクに供給する。この分散液を、一定量でレンズ粒径検出部に流し、CCDカメラ観察倍率10倍レンズにて、粒子3000個の測定を行った。円形度は下式により算出され、算出に必要な粒子の面積及び周長は、画像解析結果から自動的に計算される。
【0046】
【数1】

【0047】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材に用いられるフェライト粒子の組成は特に限定されないが、一般式として下記式(1)で示されるものが望ましい。
【0048】
【化1】

【0049】
このような特定組成のフェライト粒子は、磁化が高く、磁化の均一性がよいため(磁化のばらつきが少なく)、望ましく用いられる。
【0050】
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、表面酸化処理され、酸化被膜が形成されていることが望ましい。酸化被膜を形成することによって、電気抵抗調整のみならず、高帯電量化が可能となる。表面酸化処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300〜700℃で熱処理を行うことができる。酸化被膜の厚さは0.1nm〜5μmであることが好ましい。酸化被膜の厚さが0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生しや易くなる。また、必要に応じて、表面酸化処理の前に還元を行ってもよい。
【0051】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、体積平均粒径が20〜100μm、3kエルステッド印加時の磁化が55〜95Am/kgであることが望ましい。
【0052】
フェライトキャリア芯材の体積平均粒径が20μm未満であるとキャリア飛散を発生しやすく、体積平均粒径が100μmを超えると画質が悪くなるため好ましくない。
【0053】
フェライトキャリア芯材の3kエルステッド印加時の磁化が、55Am/kg未満であると、キャリア飛散を発生しやすく、磁化が95Am/kgを超えると、磁気ブラシが硬くなりすぎるため、画質を悪くする原因となる。
【0054】
〔体積平均粒径(マイクロトラック)〕
この体積平均粒径は、次のようにして測定される。すなわち、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いて測定される。分散媒には水を用いた。試料10gと水80mlを100mlのビーカーに入れ、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)を2〜3滴添加する。次いで超音波ホモジナイザー(SMT.Co.LTD.製UH−150型)を用い、出力レベル4に設定し、20秒間分散を行った。その後、ビーカー表面にできた泡を取り除き、試料を装置へ投入した。
【0055】
〔磁化〕
磁化の測定は、振動試料型磁気測定装置(型式:VSM−C7−10A(東英工業社製))を用いた。測定試料は、内径5mm、高さ2mmのセルに詰めて上記装置にセットした。測定は、印加磁場を加え、3kエルステッドまで掃引した。次いで、印加磁場を減少させ、ヒステリシスカーブを作製した。このカーブのデータより磁化を求めた。
【0056】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面に樹脂が被覆されていることが望ましい。キャリア特性、特に帯電量を始めとする電気特性はキャリア表面に存在する材料や性状に影響されることが多い。従って、適当な樹脂を表面被覆することによって、所望とするキャリア特性を精度良く調整することができる。
【0057】
被覆樹脂は特に制限されない。例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。樹脂の被覆量は、フェライトキャリア芯材(樹脂被覆前)100重量部に対して、0.5〜5.0重量部が好ましい。
【0058】
また、被覆樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは多量の樹脂を被覆した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
【0059】
さらに、キャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、上記の帯電制御剤以外に、被覆樹脂中に導電剤を添加することができる。導電剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電剤としては、導電性カーボンや酸化スズ、酸化チタン等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
【0060】
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法について説明する。
【0061】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法は、フェライトキャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射して次いで急冷固化させるものである。
【0062】
フェライトキャリア芯材原料をバインダーと共に調製して造粒物を得る方法は特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、乾式による方法、湿式による方法のいずれでもよい。
【0063】
造粒方法の一例を挙げると、フェライトキャリア芯材原料を適量秤量して混合した後、水とバインダーを加えて粉砕してスラリーを作製し、得られたスラリーをスプレードライヤーで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する方法が挙げられる。造粒物の粒径は、得られるフェライトキャリア芯材の粒径を考慮すると20〜100μm程度が好ましい。また、他の例としては、フェライトキャリア芯材原料及びバインダーを秤量した後、混合して乾式粉砕を行い、各原料等を粉砕分散させ、その混合物をグラニュレーターで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する方法が挙げられる。
【0064】
本発明に係る製造方法では、バインダーとして重合度800〜3000、ケン化度75〜96モル%のポリビニルアルコール(PVA)を用いる。このようなバインダーを用いるのは次の理由による。
【0065】
すなわち、従来の電気炉等を用いたフェライト化の焼成温度が1000〜1500℃であるのに対し、溶射による焼成温度は2000〜3500℃に達する。ポリビニルアルコールの性状が上記の範囲内にあると、溶射による焼成において、塩化物又は塩化物イオンが、蒸発・気化されやすく、その結果、得られるフェライトキャリア芯材のCl量が低減される。従来の電気炉等を用いた焼成での温度領域では、充分に塩化物又は塩化物イオンを取り除くことができず、かつCl量のバラツキも大きかったため、生産安定性に難があった。
【0066】
バインダーとしてのポリビニルアルコールの重合度が800未満では、造粒物の強度が脆く、溶射処理中に粒子破壊が発生し、所望の粒度あるいは形状が得られない。溶射焼成時に、ポリビニルアルコールの分解が早すぎる(−C−C−結合が切断されやすい)ため、造粒物中の塩化物又は塩化物イオンがポリビニルアルコールの付随分解物として蒸発、気化できないか、あるいは酸化できず、塩化物又は塩化物イオンが残留する。ポリビニルアルコールの重合度が3000を超えると、スラリー調製時の水溶性が低下かつ粘度が高くなり、造粒物が大きな塊状物やダマとなり原料調製しにくい。溶射焼成時に、ポリビニルアルコールが分解しにくく(−C−C−結合が切断されにくく)、造粒物中の塩化物又は塩化物イオンがポリビニルアルコールの付随分解物として蒸発・気化されず、ポリビニルアルコールと塩化物又は塩化物イオン共に残留してしまう。
【0067】
バインダーとしてのポリビニルアルコールのケン化度が75モル%未満では、スラリー調製時の水溶性が不十分なため、造粒物に包含するポリビニルアルコール量の1粒子ごとのムラが大きくなる。その結果、粒子によっては、造粒物の塩化物又は塩化物イオンがポリビニルアルコールの付随分解物として蒸発・気化できる適正量とならず、塩化物又は塩化物イオンが残留してしまう。ポリビニルアルコールのケン化度が96mol%を超えると、ポリビニルアルコールの結晶性が高いため、スプレードライ後の乾燥・冷却により造粒物の形状が歪になり、所望の粒度あるいは形状が得られない。ポリビニルアルコールの構造が歪みにくいため、造粒物中での存在が局所的になるため、塩化物又は塩化物イオンがポリビニルアルコールの付随分解物として蒸発・気化できないか、あるいは酸化できず、塩化物又は塩化物イオンが残留してしまう。
【0068】
造粒物中のバインダーとしてのポリビニルアルコールの含有量は、固形分換算で0.5〜3.5重量%である。このような量のポリビニルアルコールを用いることによって所望のフェライトキャリア芯材が得られる。ポリビニルアルコールの含有量が固形分換算0.5重量%未満では、塩化物又は塩化物イオンを付随分解物として蒸発・気化、あるいは酸化する絶対必要量が不足するため、塩化物又は塩化物イオンが残留してしまう。また、造粒物の結着強度が脆く、溶射処理中に粒子破壊が発生し、所望の粒度が得られない。ポリビニルアルコールの含有量が固形分換算3.5重量%を超えると、溶射焼成時にポリビニルアルコールの突沸が発生する。突沸したポリビニルアルコールは分解されず、瞬間的にガスとして造粒物系外に排出されてしまうため、造粒物中の塩化物又は塩化物イオンを付随分解物として蒸発・気化できない。また、突沸に関与しないポリビニルアルコールは、気化あるいは分解することなく焼成物中に残留してしまう。更に、溶射時に突沸したガスが中空部を形成し、所望の粒子密度が得られない。場合によっては、中空部を形成するガスが過剰となり中空部が大きくなり過ぎる結果、粒子が破壊され、所望の粒度あるいは形状までもが得られなくなる。
【0069】
このようにして調製された造粒物を大気中で溶射する。溶射には可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素が用いられ、燃焼ガスと酸素の容量比は1:3.5〜6.0である。燃焼ガスに対する酸素の割合が3.5未満では、溶融が充分でなく、燃焼ガスに対する酸素の割合が6.0を超えると、フェライト化が困難となる。例えば燃焼ガス10Nm/hrに対して酸素ガス35〜65Nm/hrの割合で用いられる。
【0070】
上記溶射に用いられる燃焼ガスとしては、プロパンガス、プロピレンガス、アセチレンガス等が用いられるが、特にプロパンガスが好適に用いられる。造粒物流速は20〜60m/secが好ましい。ここにおいて、溶射に用いられるバーナーのフレーム温度を2000〜3500℃、フレーム通過時間を10秒以内とすることが望ましい。
【0071】
このように溶射して得られた粒子は、大気中又は水中に投入され、急冷凝固される。その後、回収、乾燥及び分級を行ってフェライトキャリア芯材を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。
【0072】
本発明に係る製造方法では、上記フェライトキャリア芯材の表面を樹脂により被覆することにより樹脂を被覆したフェライトキャリアを得る。キャリア特性、特に帯電量を始めとする電気特性はキャリア表面に存在する材料や性状に影響されることが多い。従って、適当な樹脂を表面被覆することによって、所望とするキャリア特性を精度良く調整することができる。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。樹脂被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
【0073】
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上記した電子写真現像剤用キャリアとトナーとからなるものである。
【0074】
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。
【0075】
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
【0076】
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
【0077】
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
【0078】
着色剤(色剤)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
【0079】
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に外添剤を添加する。
【0080】
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
【0081】
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
【0082】
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
【0083】
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
【0084】
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
【0085】
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤の使用量は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼすことから、単量体の分散安定性が確保され、かつ重合トナー粒子の環境依存性に過度の影響を及ぼしにくい上記範囲内の量で使用することが好ましい。
【0086】
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
【0087】
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
【0088】
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
【0089】
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
【0090】
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0091】
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
【0092】
上記のようにして製造されたトナー粒子の平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
【0093】
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、すなわちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
【0094】
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し得られた現像剤を、補給用現像剤として用いることができる。この場合、キャリアとトナーの混合比、キャリア1重量部に対して、トナー2〜50重量部の比率で混合される。
【0095】
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
【0096】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0097】
MnO:39.6モル%、MgO:9.6モル%、Fe:50モル%及びSrO:0.8モル%になるようにフェライトキャリア原料を秤量し、水とバインダーとしてのポリビニルアルコールを加え、ビーズミルで2時間粉砕後、スプレードライヤーにて、焼成後の体積平均粒径が33〜37μmとなるように造粒物を調製した。ここに用いたポリビニルアルコールの重合度は2000、ケン化度は88モル%であり、造粒物中のバインダー含有量は固形分換算で1.2重量%であり、炭素含有量は1.33重量%であった。
【0098】
得られた造粒物を供給速度60kg/hrの条件でプロパン8Nm/hr、酸素32Nm/hrが供給されるフレームを通過させ、本焼成物を得た。なお、フレームへの造粒物の供給は酸素ガスを用いた気流輸送で行い、酸素ガスの供給速度は10Nm/hrとした。得られた焼成物を分級、磁力選鉱を行いフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。得られたフェライトキャリア芯材の炭素含有量は0.01重量%未満であった。
【実施例2】
【0099】
溶射時のプロパン供給量を5.5Nm/hr、酸素供給量を22Nm/hrとした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例3】
【0100】
溶射時のプロパン供給量を11Nm/hr、酸素供給量を44Nm/hrとした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例4】
【0101】
バインダーとして重合度1000、ケン化度89モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例5】
【0102】
バインダーとして重合度2400、ケン化度87モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例6】
【0103】
バインダーとして重合度2000、ケン化度79モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例7】
【0104】
バインダーとして重合度2400、ケン化度95モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例8】
【0105】
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で0.8重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【実施例9】
【0106】
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で3.0重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0107】
[比較例1]
実施例1と同様のフェライトキャリア芯材原料とバインダーとを用い、実施例1と同様にして造粒物を得た。
【0108】
次に、得られた造粒物を、トンネル式電気炉にて、焼成温度1250℃、酸素濃度3.0容量%にて焼成した。得られた焼成物を分級、磁力選鉱を行いフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
【0109】
[比較例2]
焼成温度1100℃、酸素濃度0容量%で焼成した以外は、比較例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0110】
[比較例3]
バインダーとして重合度600、ケン化度87モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0111】
[比較例4]
バインダーとして重合度3500、ケン化度85モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0112】
[比較例5]
バインダーとして重合度2000、ケン化度72モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0113】
[比較例6]
バインダーとして重合度2400、ケン化度98モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0114】
[比較例7]
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0115】
[比較例8]
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で5重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0116】
実施例1〜9及び比較例1〜8で用いたPVAの物性(重合度、ケン化度)、造粒物中のPVA含有量、造粒物の炭素量、焼成方法、溶射焼成条件(プロパン量、酸素量、粉体供給酸素量及び粉体供給量)、電気炉焼成条件及び焼成後の炭素量を表1に示す。また、フェライトキャリア芯材のCl濃度(溶出法)、BET比表面積、見掛け密度、平均円形度、体積平均粒径、磁化(3kエルステッド)、帯電量(LL環境、NN環境、HH環境)、環境別帯電量比(LL/HH)及び評価を表2及び表3に示す。ここで、LL環境は低温低湿(温度10〜15℃、相対湿度20〜25%)、NN環境は常温常湿(温度20〜25℃、相対湿度50〜60%)、HH環境は高温高湿(温度30〜35℃、相対湿度80〜85%)をそれぞれ示す。
【0117】
帯電量の測定方法は下記の通りであり、その他の各特性の測定方法は、上述の通りである。
【0118】
[帯電量]
フェライトキャリア(芯材)と、フルカラープリンターに使用されている市販の負極性トナー(シアントナー、富士ゼロックス株式会社製DocuPrintC3530用)を、トナー濃度を6.5重量%(トナー重量=3.25g、キャリア重量=46.75g)に秤量した。秤量したキャリア及びトナーを、各環境(LL環境、NN環境、HH環境)下に12時間以上暴露した。その後、キャリアとトナーを50ccのガラス瓶に入れ、100rpmの回転数にて、30分間撹拌を行った。
帯電量測定装置として、直径31mm、長さ76mmの円筒形のアルミ素管(以下、スリーブ)の内側に、N極とS極を交互に合計8極の磁石(磁束密度0.1T)を配置したマグネットロールと、該スリーブと5.0mmのGapをもった円筒状の電極を、該スリーブの外周に配置した。
このスリーブ上に、現像剤を0.5gを均一に付着させた後、外側のアルミ素管は固定したまま、内側のマグネットロールを100rpmで回転させながら、外側の電極とスリーブ間に、直流電圧2000Vを60秒間印可し、トナーを外側の電極に移行させた。このとき、円筒状の電極にはエレクトロメーター(KEITHLEY社製 絶縁抵抗計model6517A)をつなぎ、移行したトナーの電荷量を測定した。
60秒経過後、印可していた電圧を切り、マグネットロールの回転を止めた後、外側の電極を取り外し、電極に移行したトナーの重量を測定した。
測定された電荷量と移行したトナー重量から、帯電量を計算した。
【0119】
また、評価は帯電量比(環境変動)について行い、◎:優、○:良、△:可、×:不可の4段階で行った。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
表2及び表3の結果から明らかなように、実施例1〜9は、フェライトキャリア芯材の塩素濃度が100ppm以下と低く、安定した帯電量が得られ、かつ帯電量の環境変動が小さい。これに対して、比較例1〜8は、フェライトキャリア芯材の塩素濃度が100ppmを超え、帯電量の環境変動が大きい。
【実施例10】
【0124】
実施例1で得られたフェライトキャリア芯材を表面酸化処理温度680℃、大気雰囲気の条件下、ロータリー式の電気炉で表面酸化処理を行い、厚さ1μmの酸化被膜を形成した。
【0125】
[比較例9]
比較例1で得られたフェライトキャリア芯材を表面酸化処理温度680℃、大気雰囲気の条件下、ロータリー式の電気炉で表面酸化処理を行い、厚さ1μmの酸化被膜を形成した。
【0126】
実施例10及び比較例9により得られた表面に酸化被膜を形成したフェライトキャリア芯材のCl濃度(溶出法)、BET比表面積、見掛け密度、平均円形度、体積平均粒径、磁化(3kエルステッド)、帯電量(LL環境、NN環境、HH環境)、酸化被膜処理前後での帯電量比、環境別帯電量比(LL/HH)及び評価を表4及び表5に示す。これらの測定方法及び評価方法は上記と同様である。
【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
表4及び表5に示されるように、実施例10は安定した帯電量が得られ、かつ帯電量の環境変動が小さい。しかも、表面酸化処理前と比較すると、高帯電量化が達成される。これに対して、比較例9は、帯電量の環境変動が大きく、表面酸化処理前と比較しても、大幅な帯電量は変化が見られない。
【実施例11】
【0130】
実施例1で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)100重量部と、T単位とD単位を主成分とする縮合架橋型シリコーン樹脂(重量平均分子量:約8000)を準備し、このシリコーン樹脂溶液5重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分としては1重量部、希釈溶媒:トルエン)に、アミン系化合物としてアミノシランカップリング剤(3―アミノプロピルトリメトキシシラン)を、樹脂固形分に対して10重量%となるように添加し、万能混合撹拌機にて混合撹拌し、トルエンを揮発させながら、樹脂をフェライト芯材表面に被覆した。
【0131】
トルエンが充分揮発したことを確認した後、さらに5分撹拌を続け、トルエンをほぼ完全に除去したのち、装置内から取り出し、容器に入れ、熱風加熱式のオーブンに入れ、220℃で2時間、加熱処理を行った。
【0132】
その後、室温まで冷却し、樹脂が硬化されたフェライト粒子を取り出し、200Mの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が被覆されたフェライトキャリアを得た。
【実施例12】
【0133】
実施例10で得られた表面酸化処理したフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用い、実施例11と同様にして樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0134】
[比較例10]
比較例1で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用い、実施例11と同様にして樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0135】
[比較例11]
比較例2で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用い、実施例11と同様にして樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0136】
[比較例12]
比較例3で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用い、実施例11と同様にして樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0137】
[比較例13]
比較例7で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用い、実施例11と同様にして樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0138】
実施例11〜12及び比較例10〜13で得られた樹脂被覆フェライトキャリアの帯電立ち上がり性能(NN環境)、帯電量(HH環境、NN環境、LL環境)、帯電量比及び評価を表6に示す。帯電立ち上がり性能は下記の方法によって測定した。また、帯電量の測定は上記した通りである。評価は帯電立ち上がり性能、帯電量絶対値及び帯電量比(環境変動)について行った。また、評価方法は上記と同様である。
【0139】
[帯電立ち上がり性能]
NN環境下で、樹脂被覆フェライトキャリア88g、市販の負帯電性トナー12gを計量し、100ccポリ瓶に入れ、縦方向に100回転でボールミルにて混合し、所定時間(1分、3分、5分、10分及び30分)における帯電量を上記した方法により測定し、帯電量の飽和値を100としたときの指数表示で表示した。
【0140】
【表6】

【0141】
表6に示されるように、実施例11及び12は、帯電立ち上がり性能に優れ、各環境下で高い帯電量を示し、その環境変動も小さい。これに対し、比較例10〜13は帯電立ち上がり性能に劣り、帯電量の環境変動も大きい。また、比較例10、12及び13は帯電量も低い。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアは、所望の高い帯電量を有し、かつ帯電量を始めとする電気特性の環境変動が小さい。従って、このようなフェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアは、トナーと共に現像剤として高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機等に広く使用可能である。
また、本発明に係る製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが生産安定性をもって製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見掛け密度が2.30〜2.80g/cm、BET比表面積が0.09〜0.70m/g、平均円形度が0.90以上であるフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材であって、溶出法により測定されるCl濃度が0.1〜100ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
【請求項2】
請求項1に記載のフェライトキャリア芯材の表面に樹脂が被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリア。
【請求項3】
フェライトキャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射して次いで急冷固化させる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、上記バインダーが重合度800〜3000、ケン化度75〜96モル%のポリビニルアルコールであり、上記造粒物に対して固形分換算で0.5〜3.5重量%含有することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
【請求項4】
請求項3の製造方法により得られたフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法。
【請求項5】
請求項2に記載のフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
【請求項6】
請求項4に記載の製造方法により得られたフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。

【公開番号】特開2011−227452(P2011−227452A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293662(P2010−293662)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000231970)パウダーテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】