説明

電子写真用トナー及びこれを使用した電子写真用画像形成装置

電子写真用トナー及びこれを使用した電子写真用画像の形成装置が開示される。電子写真用トナーは、結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含むトナー親粒子と、一次平均粒径が50ないし150nm、望ましくは、80ないし130nmであり、平均形状係数(SF1)が100ないし120であり、形状係数が0.96ないし1であり、縦横比が0.89ないし1であって、トナー親粒子の表面に添加されるチタン酸バリウム外添剤と、を含む。これにより、電子写真用トナーは、帯電安定性が高く、長期間印刷を行っても画像濃度が高くて転写効率にすぐれ、外添剤がトナー親粒子表面から脱離されない効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用トナー、及びこれを使用した電子写真用画像形成装置に係り、さらに詳細には、帯電安定性が高く、長期間印刷を行っても画像濃度が高くて転写効率にすぐれ、外添剤がトナー親粒子表面から脱離されない電子写真用トナー、及びこれを使用した電子写真用画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子写真用画像形成装置は、トナーカートリッジ及び感光体が含まれた現像装置と、転写ユニットとを具備し、一定の電位に帯電された前記感光体に光を走査して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像した後、現像されたトナー画像を印刷媒体に転写及び定着させて可視画像を形成する装置をいい、このような装置には、レーザプリンタ、ファクシミリ、複写機などが含まれる。
【0003】
乾式トナーは、トナー粒子の帯電方式によって、一成分系トナーと、二成分系トナーとに分けられ、帯電されたトナー粒子を、静電潜像が形成された潜像部に移動させる手段によって、磁性と非磁性とに分けることができる。前記一成分系トナーは、トナー粒子間の摩擦、またはトナーとドクターブレードとの摩擦を介して帯電を起こすトナーを意味し、二成分系トナーは、非磁性トナー粒子と磁性キャリア粒子とを混合することによって、キャリアとの摩擦を介して帯電を起こすトナーを意味する。また、非磁性トナーは、磁力を利用せずに、トナー粒子自体の流動性によって移動するトナーを意味し、磁性トナーは、トナー内にフェライトなどの磁性物質が混合されることによって、磁力を利用して移動するトナーを意味する。
【0004】
図1を参照しつつ、非磁性一成分系トナーを使用する非接触現像方式の電子写真画像形成装置4の作動について説明する。
【0005】
帯電ローラ2には、感光体1の外周を均一な電位に帯電させるために、帯電バイアス電圧が印加される。
【0006】
露光信号3は、シアン(C:cyan)、マゼンタ(M:magenta)、イエロー(Y:yellow)、ブラック(K:black)のような各色相の画像情報に対応する光でもって、電気的信号によって感光体1に照射される。
【0007】
トナー8は、ポリウレタンフォーム、スポンジなどの弾性部材から構成された供給ローラ6によって、現像ローラ5に供給される。
【0008】
現像ローラ5に供給されたトナー8は、現像ローラ5が回転されることによって、トナー・ドクターブレード7と現像ローラ5との接触部に達する。ここで、トナー・ドクターブレード7は、金属、ゴムのような弾性部材によって構成されている。トナー8は、トナー・ドクターブレード7と現像ローラ5とのの接触部間を通過しつつ、所定の厚みに規制されて薄層化され、またこの過程で、トナー8が十分に帯電される。薄層化されたトナー8は、現像ローラ5によって、感光体1の静電潜像が形成された現像領域へ移送される。
【0009】
現像ローラ5は、感光体1と所定間隔で離隔されて対向して配されている。現像ローラ5は、反時計回り方向に回転し、感光体1は、時計回り方向に回転する。
【0010】
感光体1の現像領域へ移送されたトナー8は、電源12から現像ローラ5に印加された電圧と、感光体1の潜像電位との電位差によって発生した電気力によって、感光体1に形成された静電潜像を現像し、トナー画像を形成する。
【0011】
感光体1に形成されたトナー画像は、感光体1の回転方向に沿って、転写ユニット9の位置に達する。転写ユニット9には、感光体1に現像されたトナー画像が、印刷媒体13に転写されるように、前記トナー画像と反対極性の転写バイアス電圧が印加される。感光体1と転写ユニット9との間に作用する静電気力によって、トナー画像が印刷媒体13に転写される。
【0012】
印刷媒体13に転写されたトナー画像は、高温、高圧の定着器(図示せず)を通過しつつ、印刷媒体上に定着する。一方、転写後、感光体1の外周面に残っている残余トナー8’は、クリーニングブレード10によって除去される。
【0013】
一般的にトナーは、トナー親粒子、外添剤及びその他添加剤によって構成され、トナー親粒子は、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含み、前記外添剤は、トナー親粒子の表面に添加される。
【0014】
カラー画像形成装置の場合には、一般的にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の四種色相のトナーが使われる。従って、カラー画像形成装置の場合、各トナー色相を具現するためには、少なくとも四種の互いに異なる着色剤が使われねばならない。
【0015】
トナー親粒子は、一般的に混練粉砕法、懸濁重合法、またはエマルジョン重合法などによって製造される。
【0016】
このように製造されたトナー親粒子の表面に、シリカ、金属酸化物及び/または有機物などの微粒子外添剤を配合または添加することによって、トナー完成品が製造される。
【0017】
トナー粒子は、前述のように、摩擦帯電によって、感光体1の静電潜像を現像してトナー画像を形成し、現像された静電潜像の極性によって、正または負の帯電を保有することになる。このとき、トナーの帯電性能は、トナー親粒子の原料配合によっても影響を受けるが、主に、トナー親粒子の表面に添加される外添剤によって、さらに多くの影響を受けるために、外添剤の配合及び添加方法によって、その帯電性能が調節されうる。
【0018】
一方、外添剤がトナー親粒子の表面に均一にまぶされた場合にも、印刷が進行するにつれて、トナーに加えられる圧力によって、トナー粒子間凝集が発生したり、トナー・ドクターブレードまたはスリーブ(現像ローラ)に塊り形態で付着し、このような場合、長期的に画像が薄くなって不均一になる現像を示すことになる。このような問題点を解決するためには、適切な外添剤の選択と、その含有量及び粒径などについての設計とが非常に重要である。
【0019】
このような問題点を解決するための多様な方法が、次のように提案された。
【0020】
特許文献1は、トナーの現像性、転写性及びクリーニング性を向上させるために、平均粒径が異なる二種の無機微粒子、すなわち、平均粒径が5nm以上20nm未満である粒子と、平均粒径が20nm以上40nm以下である粒子とを併用し、特定量添加することが開示されている。それらは、初期段階では、高い現像性、転写性及びクリーニング性を得ることができるが、経時的にトナーに加えられる応力が軽減されることがないので、外部添加剤の埋没または脱離などが容易に起こり、現像性、転写性が初期段階からかなり変更される。
【0021】
一方、特許文献2は、トナー上への外部添加剤の埋没を抑制するために、粒径が大きい無機微粒子を使用することが有効であることが開示されている。しかし、無機微粒子は、比重が大きいために、外部添加剤のサイズが大きくなる場合、撹拌応力による外部添加剤の脱離は避けられない。また、前記無機微粒子は、完全な球形の形状を有さないために、トナー表面上に付着させた場合、外部添加剤のスタンディング(standing)を一定に制御し難い。
【0022】
特許文献3は、トナー粒子表面に形成された1次コーティング層と2次コーティング層とを含み、前記1次コーティング層は、二種の有機粉末が互いの表面にコーティングされたコーティング有機粉末を含有し、前記2次コーティング層は、シリカ及び二酸化チタンが互いの表面にコーティングされたコーティング無機粉末を含有する非磁性一成分系トナーの製造方法を開示している。
【0023】
特許文献4は、着色剤及び結着樹脂を含有するトナー親粒子と、外添剤として空隙率が10.0〜50.0%である無機微粉体を使用するトナーの製造方法を開示している。
【0024】
特許文献5は、トナー粒子表面の帯電制御剤の分布を制御し、トナー粒子間の均一な帯電状態を確保し、帯電安定性を高めてトナーの長期信頼性を構築するトナーの製造方法を開示している。
【0025】
最近の急激なデジタル機器の発達によって、高画質化、高速化及びカラー化が急速に進行しており、さらに正確であって効率が高い転写性能及び長期的安定的な帯電性能を有したトナーが要求されているが、いまだに不十分な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開1991−100661号公報
【特許文献2】特開1995−028276号公報
【特許文献3】大韓民国公開特許第2006−0083898号公報
【特許文献4】特開1998−288855号公報
【特許文献5】大韓民国公開特許第2002−0061683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、長期帯電安定性にすぐれ、長期間印刷を行っても画像濃度が高く維持されて転写効率にすぐれ、外添剤が脱離せずに現像装置内の汚染を防止できる電子写真用トナーを提供するものである。
【0028】
本発明の他の目的は、前記トナーを使用した電子写真用画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記のような課題を解決するために本発明は、結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含むトナー親粒子と、一次平均粒径が50ないし150nm、望ましくは、80ないし130nmであり、平均形状係数(SF1)が100ないし120であり、形状係数(shape factor)が0.96ないし1であり、縦横比(aspect ratio)が0.89ないし1であって、前記トナー親粒子の表面に添加されるチタン酸バリウム外添剤とを含む電子写真用トナーを提供する。
【0030】
本発明の一実施例によれば、前記外添剤は、トナー親粒子100重量部に対して、0.3ないし5重量部、望ましくは、1ないし3重量部の割合で含まれうる。
【0031】
本発明の他の実施例によれば、前記トナー親粒子は、形状係数が0.975ないし1であり、体積平均粒径が5ないし7μmである。
【0032】
本発明の他の実施例によれば、前記電子写真用トナーは、一次平均粒径が5ないし50nm、望ましくは、5nmないし30nmであり、ヘキサメチルジサラザン(HMDS)で表面処理されたシリカ(追加外添剤A)と、一次平均粒径が30ないし80nmであり、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で表面処理されたシリカ(追加外添剤B)とを外添剤としてさらに含む。
【0033】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記電子写真用トナーは、一次平均粒径が10ないし100nm、望ましくは、50nmないし90nmの無機化合物(追加外添剤C)を外添剤としてさらに含む。
【0034】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記電子写真用トナーは、前記トナー親粒子100重量部に対して、全体として1ないし16重量部の外添剤を含む。さらに詳細には、前記トナー親粒子100重量部に対して、前記チタン酸バリウム外添剤以外に、追加外添剤Aは、0.5ないし5重量部、追加外添剤Bは、0.1ないし3重量部、追加外添剤Cは、0.1ないし3重量部の割合で含まれうる。
【0035】
また本発明によれば、前記実施例のうち、いずれか一実施例による電子写真用トナーを使用した電子写真用画像の形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】非接触現像方式の電子写真用画像形成装置の主要部の一例を示す概略図である。
【図2A】球形の外添剤のみを使用した場合、トナー親粒子表面に付着した外添剤の分布を示す概念図である。
【図2B】球形及び非球形の外添剤を混合して使用した場合、トナー親粒子表面に付着した外添剤の分布を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0038】
本発明の一実施例による電子写真用トナーは、トナー親粒子及び外添剤を含む。
【0039】
トナー親粒子は、結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤などを含むことができる。
【0040】
結着樹脂は、トナー親粒子に含まれ、トナーの他の成分、例えば、着色剤、帯電制御剤、及び/または後述する離型剤、及び/または外添剤を結着させ、トナーを印刷媒体に固着させる接合剤または固着剤の役割を行う。かような結着樹脂としては、公知の各種樹脂が使われうるが、例えば、ポリスチレン、ポリ−P−クロロスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸プロピル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸プロピル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステルなどのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、並びにそれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素樹脂または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが単独または混合されて使われうる。それらのうち、ポリエステル系樹脂は、定着性及び透明性にすぐれ、カラートナーに適している。
【0041】
着色剤は、トナーが色相を示すようにするためのものである。現在、電子写真用トナーとしては、ブラック(K:black)、イエロー(Y:yellow)、マゼンタ(M:magenta)、及びシアン(C:cyan)の着色剤を含むトナーがある。前記トナーは、電子写真用画像の形成装置に使用されうるが、かような画像形成装置のうち、ブラック着色剤を含むトナーだけが使用された画像形成装置を白黒画像形成装置といい、前記四種色相をそれぞれ含む四種のトナーがいずれも使用された画像形成装置をカラー画像形成装置という。
【0042】
これらに限定されるものではないが、ブラック着色剤としては、酸化鉄、カーボンブラック及び酸化チタンなどが使われる。
【0043】
イエロー着色剤としては、例えば、縮合窒素化合物、イソインドリノン化合物、アントラキン化合物、アゾ金属錯体、またはアリルイミド化合物などが使われる。具体的には、C.I.顔料イエロー12,13,14,17,62,74,83,93,94,95,109,110,111,128,129,147または168などが使われうる。
【0044】
マゼンタ着色剤の例としては、縮合窒素化合物、アントラキン、キナクリドン化合物、塩基染料レーク化合物、ナフトール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、チオインジゴ化合物、またはペリレン化合物が使われる。具体的には、C.I.顔料レッド2,3,5,6,7,23,48:2,48:3,48:4,57:1,81:1,144,146,166,169,177,184,185,202,206,220,221または254などが使われうる。
【0045】
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキン化合物、または塩基染料レーク化合物などが使われる。具体的には、C.I.顔料ブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62または66などが使われうる。
【0046】
前記のような各色相のトナーには、かような着色剤は、単独で、または二種以上の混合物として使われもする。着色剤は、色相、彩度、明度、耐候性、トナー中の分散性などを考慮して選択される。
【0047】
前記着色剤の含有量は、トナーを着色し、現像によって可視画像を形成するのに十分な程度であればよいが、例えば、結着樹脂100重量部を基準として、2ないし20重量部が望ましい。前記含有量が2重量部未満であるならば、着色効果が不十分であり、20重量部を超えれば、トナーの電気抵抗が低くなるために、十分な摩擦帯電量を得られないので、汚染を発生させるため望ましくない。
【0048】
帯電制御剤としては、負帯電性帯電制御剤及び正帯電性帯電制御剤がいずれも使われ、負帯電性帯電制御剤としては、クロム含有アゾ錯体(azo dyes)またはモノアゾ金属錯体のような有機金属錯体、またはキレート化合物;クロム、鉄、亜鉛のような金属含有サリチル酸化合物;芳香族ヒドロキシカルボキシル酸と芳香族ジカルボキシル酸との有機金属錯体が使われ、公知のものであるならば、特別に制限されるものではない。また、正帯電性帯電制御剤としては、ニグロシンやその脂肪酸金属塩に改質された生成物、トリブチルベンジルアンモニウム1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホネート及びテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩を含むオニウム塩などを単独で、または二種以上混合して使用できる。かような帯電制御剤は、静電気力によってトナーを安定的に、かつ速い速度で帯電させ、トナーを現像ローラ上に安定して支持させる。
【0049】
トナーに含まれる帯電制御剤の含有量は、一般的に、トナー全体の100重量部に対して、0.1重量部ないし10重量部の範囲内である。
【0050】
本実施例によるトナー親粒子は、トナー画像の定着性を向上させることができる離型剤を含むことができる。離型剤としては、低分子ポリプロピレン、低分子ポリエチレンなどのポリアルキレンワックス、エステルワックス、カルナウバ(carnauba)ワックス、パラフィンワックス、モンテンワックス(Montan wax)、ライスワックス(Rice wax)、カンデリラワックス(Candelilla wax)などが使われうる。
【0051】
また、感光体を保護し、現像特性の劣化を防止し、高品質の画像を得るために、トナー親粒子は、高級脂肪酸または脂肪酸アミド、またはその金属塩などをさらに含むことができる。
【0052】
このように製造されたトナー親粒子は、平均縦横比(aspect ratio)が0.975ないし1.0であることが望ましい。さらに望ましくは、前記平均縦横比が0.980ないし1.0である。平均縦横比が1.0である場合、トナー親粒子の形状は、完全な球形であり、数値が低いほど球形から遠ざかってその表面積は増大し、トナー親粒子の表面積が増大することによって、静電付着力が増大し、転写効率が急激に低下する。
【0053】
また、トナー親粒子の平均縦横比が小さくなるほど、トナー親粒子の表面に、後述する外添剤がさらに多く埋没されるようになって均一に付着されず、実質的に平均縦横比が0.975未満になれば、外添剤の機能(帯電付与、スペーサの役割、流動性付与など)が低下することになる。
【0054】
縦横比は、ランダムなトナー親粒子サンプル100個をSEM(scanning electron microscope)イメージ(x1,500)で測定した後、これをImage J Softwareで分析し、下記数式1によって求めることができる。
[数式1]
1/縦横比(aspect ratio)=粒子の最大長/粒子の最大長に垂直方向の最大長
【0055】
縦横比は、0ないし1の値を有することができ、1に近いほど球形に近いことを意味する。
【0056】
また、本発明の実施例では、トナー親粒子の体積平均粒径は、5ないし7μm、望ましくは、5.5ないし6.5μmである。体積平均粒径が5μm未満であるならば、トナー親粒子の表面積が大きくなって静電付着力が増加し、転写効率が急激に低下するので望ましくない。また、前記体積平均粒径が7μmを超えれば、現像過程及び転写過程において、トナーのバラツキが発生して静電潜像の再現性が低下し、これによって、高画質を得難くなるので望ましくない。また、トナー親粒子の体積平均粒径を、前記範囲とすることは、フルカラー画像において、カラー再現性にも望ましい。ただし、印刷画像の解像度が高まるほど、トナー親粒子の体積平均粒径は小さくならなければならず、粒径は、さまざまな製造方法によって多様に調節可能であるので、前記粒径範囲によって、本発明の保護範囲が制限されるものではない。
【0057】
本発明においてトナー親粒子は、特別の製造方法に限定されるものではなく、公知の方法で製造されうる。トナー親粒子の製造方法としては、例えば、結着樹脂及び着色剤、離型剤、帯電制御剤などを溶融混練、粉砕、分級する溶融混練粉砕法;溶融混練粉砕法で得られた粒子に機械的衝撃または熱エネルギーを加えてその形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの分散液とを混合し、凝集及び加熱融着させてトナー親粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの混合溶液とを水系溶媒に懸濁させ重合する懸濁重合法;結着樹脂及び着色剤、離型剤、帯電制御剤などの混合溶液を水系溶媒に懸濁させ組み合わせる溶解懸濁法などを挙げることができる。
【0058】
前記方法で得られたトナー親粒子をコアとして、このコアに単量体または結着樹脂の粒子を付着させて凝集し、凝集粒子を加熱融合して付着させることによって、コア・シェル構造を有するようにするトナー親粒子を製造することもできる。
【0059】
外添剤は、トナーに流動性、帯電安定性及びクリーニング性、その他トナーに要求される物性を付与するために、トナー親粒子の表面に添加されるものであり、本発明では、チタン酸バリウムを外添剤として使用することによって、トナー帯電量の温度及び/または湿度依存性を低下させて帯電量を制御でき、流動性を変化させずに、現像装置内での撹拌効率を一定に制御でき、これによって、各トナーの帯電量を均一に維持し、現像装置内の汚染を改善できる効果を得ることができる。また、転写性能を初期段階と同一または類似したレベルに維持でき、長期にわたって安定して高画質を維持でき、帯電安定性を満足させる効果を得ることができる。
【0060】
また、前記チタン酸バリウム外添剤は、平均形状係数(SF1)が100ないし120であり、形状係数(shape factor)が0.96ないし1であり、縦横比(aspect ratio)が0.89ないし1であることが望ましい。平均形状係数(SF1)と形状係数、縦横比がこの範囲を外れれば、前記チタン酸バリウム外添剤がトナー親粒子に付着したとき、トナー親粒子の本来の形態に影響を与えることになるので、現像装置内部に汚染を誘発させたり、または帯電ローラに汚染及び損傷を誘発させることがある。
【0061】
縦横比は、ランダムに外添剤粒子100個のSEM
イメージ(x100,000)を測定した後、これをImage J Softwareで分析し、前記数式1によって求めることができる。
形状係数は、ランダムに外添剤粒子100個のSEM
イメージ(x100,000)を測定した後、これをImage J Softwareで分析し、下記数式2によって求めることができる。
[数式2]
形状係数=4π(面積/(周囲長)
【0062】
前記数式2で、面積(area)は、外添剤粒子の投影面積を示し、周囲長(perimeter)は、外添剤粒子の投影像の周囲長を示す。形状係数は、0ないし1の値であり、1に近いほど球形の形状を有する。
【0063】
平均形状係数(SF1)は、ランダムに外添剤粒子100個のSEMイメージ(x100,000)を測定した後、これをImage J Softwareで分析し、下記数式3によって求めることができる。
[数式3]
平均形状係数(SF1)=[(最大直径)/投影面積]X(π/4)X100
【0064】
SF1が100ないし120の値を有せば、球形粒子に近く、140ないし150の値を有せば、非球形の形状を有する。
【0065】
一方、かようなトナー親粒子と外添剤をヘンシェル(Henschel)ミキサ、V混合器及びチクロ(Cyclo)ミキサで混合し、外添剤が付着したトナー完成品を製造できる。
【0066】
図2Aは、球形の外添剤のみを使用した場合、トナー親粒子表面に付着した外添剤の分布を示す図面であり、図2Bは、球形の外添剤と非球形の外添剤とを混合して使用した場合、トナー親粒子表面に付着した外添剤の分布を示す図面である。
【0067】
図2Aを参照すれば、トナー親粒子20の表面に、球形の大粒径外添剤31と球形の小粒径外添剤32とが付着されている。外添剤30が付着したトナー親粒子20を揺さぶって撹拌すれば、大粒径外添剤31がトナー親粒子20の表面に一部埋没されるが、トナー親粒子20の全体的な形状を大きく変化させないだけではなく、外添剤30の形状も撹拌前の円形を維持し、各外添剤31,32がトナー親粒子20の表面に均一に分布することになる。
【0068】
一方、図2Bを参照すれば、外添剤30は、球形の大粒径外添剤31、球形の小粒径外添剤32、及び非球形(六面体)の大粒径外添剤33から構成されている。外添剤30が付着したトナー親粒子20を揺さぶって撹拌すれば、球形の大粒径外添剤31は、トナー親粒子20の表面に一部埋没されて全体的に円形を維持するが、非球形の大粒径外添剤33は、トナー親粒子の表面に相当部分が埋没され、円形を維持し難いだけではなく、トナー親粒子20の全体的な形状を変化させることになる。また、各外添剤31,32,33は、トナー親粒子20の表面に均一に分布しなくなる。
【0069】
前記チタン酸バリウム外添剤は、一次平均粒径が50ないし150nmであることが望ましい。前記一次平均粒径が50nm未満であるならば、前記チタン酸バリウム外添剤がトナー粒子の表面に埋没される現像が発生し、帯電や流動性に悪影響を与えるので、望ましくなく、150nmを超えれば、前記チタン酸バリウム外添剤がトナー粒子の表面で、互いぶつかる現象が発生し、汚染を起こすことがあって、望ましくない。
【0070】
前記チタン酸バリウム外添剤の添加量は、トナー親粒子100重量部に対して、0.3ないし5重量部が望ましく、1ないし3重量部がさらに望ましい。前記外添剤の添加量が0.3重量部未満であるならば、帯電安定性を満足できずに望ましくなく、5重量部を超えれば、過剰被覆状態になり、過剰無機化合物の接触によって、後述する二次障害を起こしてしまい、望ましくない。
【0071】
外添剤は、画像劣化の原因になるトナー親粒子表面からの外添剤分離や、トナー親粒子表面への外添剤埋没を防止するために、一次平均粒径が異なる二種以上の外添剤が併用されうる。また、かような外添剤は、トナーの流動性及び保存性、摩擦電気的帯電性の増強、混合性の調節、現像性及び転写安定性の改善などの効果のために、ヘキサメチルジサラザン(HMDS)及び/またはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの表面処理剤で表面処理されうる。
【0072】
例えば、本実施例で前記外添剤は、一次平均粒径が5ないし50nmであり、ヘキサメチルジサラザン(HMDS)で表面処理されたシリカ(追加外添剤A)と、一次平均粒径が30ないし80nmであり、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で表面処理されたシリカ(追加外添剤B)とを含むことが望ましい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前記外添剤は、前記追加外添剤A及びBの代わりに、任意の公知の大粒径シリカ及び小粒径シリカを含むこともできる。また、前記外添剤は、一次平均粒径が10ないし100nmである無機化合物(追加外添剤C)をさらに含むことができる。ここで、粒径が相対的に大きい外添剤は、スペーサ(spacer)粒子として、トナーの劣化を防止して帯電安定性を向上させる機能を担いし、粒径が相対的に小さい外添剤は、主にトナーに流動性を付与する機能を担う。
【0073】
前記外添剤の一次平均粒径は、レーザ回折/散乱方式の粒子分布測定装置(Malvern 2000)を利用して測定した。
【0074】
本実施例に使われる追加外添剤Aの一次平均粒径が、5nm未満であるならば、製造し難くなってコストが高騰し、前記追加外添剤Aがトナー粒子の表面に埋没される現像が発生し、帯電や流動性に悪影響を与えるので望ましくなく、一次平均粒径が50nmを超えれば、非静電付着力が低下するだけではなく、外添剤の脱離が容易になり、帯電阻害、画質欠陥のような二次障害を起こすので望ましくない。さらに望ましくは、追加外添剤Aは、一次平均粒径が5nmないし30nmの単分散球状シリカである。
【0075】
ヘキサメチルジサラザン(HMDS)で表面処理したシリカである追加外添剤Aの具体的な例としては、RX300、RX812、R812S、RX200、RX8200、NX90、NAX50、RX50(以上、アエロジル社製)、TG810G(Cabot社製)などを挙げることができる。
【0076】
追加外添剤Aの添加量は、トナー親粒子100重量部に対して、0.5ないし5重量部が望ましく、1ないし3重量部がさらに望ましい。前記添加量が0.5重量部未満であるならば、非静電的付着力が不足し、現像及び転写向上効果を十分に得られずに望ましくなく、5重量部を超えれば、トナー親粒子表面を単層カバーできる量を超え、過剰にトナー親粒子が被覆された状態になり、帯電阻害、画質欠陥などの二次障害を起こしやすくて望ましくない。
【0077】
追加外添剤Aは、トナー親粒子に均一に分散される。また、追加外添剤Aは、トナーの流動性及び帯電性を制御し、トナー親粒子の表面を十分にカバーすることはできるが、スペーサ効果を有効に発現できないために、小粒径の無機化合物と大粒径のシリカとを併用することが望ましい。
【0078】
本実施例に使われる追加外添剤Bは、トナーの摩擦電気的帯電性の増強、混合性の調節、現像性改善、画像濃度の改善及び転写安定性などの効果を得るために、トナーの表面に添加される。
【0079】
追加外添剤Bは、追加外添剤C及びチタン酸バリウムと同時に使われる場合、トナーに高い摩擦電気的電荷を付与できる。追加外添剤Bの具体的な例としては、RY50、NY50、RY200、RY200S、R202(以上、アエロジル社製)などを挙げることができる。
【0080】
前記追加外添剤Bは、一次平均粒径が40ないし60nmであることがさらに望ましい。本実施例に使われる追加外添剤Bの一次平均粒径が30nm未満であるならば、高価となり、また、前記追加外添剤Bがトナー粒子の表面に埋没される現象が発生し、帯電や流動性に悪影響を与えるので望ましくなく、一次平均粒径が80nmを超えれば、サイズによるトナー表面付着に対するメリットがなくなり、帯電などに好ましくない影響を与えるので望ましくない。
【0081】
追加外添剤Bの添加量は、トナー親粒子100重量部に対して、0.1ないし3重量部が望ましく、0.3ないし2重量部がさらに望ましい。前記添加量が0.1重量部未満であるならば、非静電的付着力が不十分であり、3重量部を超えれば、トナー親粒子表面を単層カバーできる量を超え、過剰にトナー親粒子が被覆された状態になり、帯電阻害、画質欠陥などの二次障害を起こしやすくて望ましくない。
【0082】
追加外添剤Cとして使われうる無機化合物としては、例えば、シリカ、チタン化合物、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セシウム及び酸化バリウム化合物などを挙げることができる。また、使用目的によって、追加外添剤Cの表面に、公知の表面処理を施すことができる。
【0083】
追加外添剤Cは、帯電制御を容易にするためのものであり、かような追加外添剤Cとしては、トナー帯電量の温度及び/または湿度依存性を抑制するという側面で、チタン化合物が使われることが望ましい。追加外添剤Cとして、チタン化合物を使用する場合には、その表面をストロンチウムで処理することが望ましい。
【0084】
前記追加外添剤Cは、一次平均粒径が50ないし90nmであることがさらに望ましい。前記追加外添剤Cは、一次平均粒径が40ないし60nmであることがさらに望ましい。本実施例に使われる追加外添剤Cの一次平均粒径が10nm未満であるならば、高価であり、他の外添剤と調和するように外添されず、汚染などが発生するので望ましくなく、一次平均粒径が100nmを超えれば、粒子サイズや粒子形態によって、外添後に汚染を誘発したり、帯電に悪影響を及ぼすので望ましくない。
【0085】
前記追加外添剤Cの添加量は、トナー親粒子100重量部に対して、0.1ないし3重量部が望ましく、0.3ないし1重量部がさらに望ましい。前記添加量が0.3重量部未満であるならば、帯電制御が容易ではなくて望ましくなく、5重量部を超えれば、過剰被覆状態になって、過剰無機化合物の接触によって、前述の二次障害を起こしやすくて望ましくない。
【0086】
また、外添剤以外に、必要によっては、他の多様な添加剤が添加されうる。かような添加剤は、例えば、流動化剤;ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子などのクリーニング助剤;または転写助剤などを挙げることができる。
【0087】
以下、本具現例による電子写真用トナーの製造過程について詳細に説明する。
【0088】
まず、溶融混練粉砕法について説明する。
【0089】
前記方法において、まず、着色剤は、結着樹脂中に均一に分散されるように処理される。このために、着色剤は、あらかじめフラッシング(flushing)処理されたり、またはマスターバッチを利用し、結着樹脂と高濃度で溶融混練されうる。例えば、結着樹脂と着色剤は、2ロール,3ロールの加圧ニーダ(pressurizing kneader)、または二軸圧出機などの混練手段によって混合されうる。かような結着樹脂と着色剤との混合物は、80ないし180℃の温度で、10分ないし2時間溶融混練される。次に、前記混合物は、ジェットミル、摩擦ミルまたは回転型ミルなどの粉砕機によって微粉砕され、分級を介して、体積平均粒径が7ないし9μmであるトナー親粒子が製造される。かようなトナー親粒子に外添剤が添加されることによって、粉体流動性や帯電安定性などが向上するのである。
【0090】
次に、乳化重合凝集法について説明する。
【0091】
まず結着樹脂、着色剤、離型剤などのエマルジョンを作った後で重合し、1μm未満の粒子サイズを有するトナー構成要素を作り、凝集過程を経て、1μmから3μmサイズに一次凝集させる。その後、分子量が異なるラテックスを添加して二次凝集を行い、5μmないし10μmサイズのトナー粒子を製造する。
【0092】
また、前記外添剤をトナー親粒子に付着させるための方策として、前記トナー親粒子と前記外添剤とを所定割合で配合した後、ヘンシェル(Henschel)ミキサなどの撹拌装置に充填して撹拌し、トナー親粒子の表面に外添剤を付着させる方法と、両粒子を「NARA−hybridizer」などの表面改質器に充填して撹拌することによって、トナー粒子の表面に外添剤粒子の少なくとも一部分が埋没されるようにして、固着する方法が利用されうる。
【0093】
本発明による電子写真用トナーは、前記の通りに、非接触式非磁性一成分系トナー以外にも、接触式非磁性一成分系トナーにも同一に適用されうる。ここで、接触式とは、現像ローラと感光体表面とが接触することによって、静電潜像がトナーに現像される方式をいい、非接触食式とは、現像ローラと感光体表面とが所定間隔離隔されており、トナーが現像ローラに印加された電圧と感光体の潜像電位との電位差によって発生する電気力によって移動し、現像される方式を意味する。
【0094】
以下、実施例を挙げて、発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がかような実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0095】
実施例1−1ないし1−15及び比較例1−1ないし1−7
(シアントナー親粒子の製造)
ポリエステル樹脂(分子量:2.5×104)460g、フタロシアニン顔料ブルー15:3 25g、四級アンモニウム塩5g、低分子ポリプロピレン10gを、ヘンシェルミキサで混合した。この混合物を、二軸溶融混練機で165℃の温度で溶融混練し、ジェットミル粉砕機で微粉砕した後、風力分級器で分級し、体積平均粒径が7.0μmであるトナー親粒子を得た。
【0096】
(外添工程)
前記溶融混練粉砕法によって製造された非処理トナー親粒子に、下記表1に示したような外添剤を、表2に示した組成でそれぞれ処理し、各実施例及び比較例のトナーを製造した。前記外添処理は、表1の各外添剤をトナー親粒子に添加し(トナー親粒子100重量部基準)、ヘンシェルミキサで3分間混合することによって行った。
【0097】

【表1】

【0098】

【表2】

【0099】
実施例2−1ないし2−15及び比較例2−1ないし2−7
(シアントナー親粒子の製造)
ラテックス粒子の製造
酸素を除去した超純水400gに、陰イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.5gを混合し、水溶液を得た。前記水溶液を反応槽に入れて80℃まで加熱した。前記水溶液の温度が80℃に達したとき、過硫酸カリウム0.2gを超純水30gに溶解させた開始剤溶液を添加した。この後、10分後にスチレン、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸(それぞれ81g、22g、2.5g)105.5gを約30分にわたって滴加した。4時間反応させた後、加熱を中断して自然冷却し、シード(seed)溶液を得た。前記シード溶液30gを超純水351gに混合した後、80℃に加熱した。エステルワックス17gを、単量体スチレン18g、アクリル酸ブチル7g、メタクリル酸1.3g及びドデカンチオール(dodecanethiol)0.4gと共に混合して加熱溶解させた。このように準備されたワックス/単量体混合物をSDS
1gが溶解された超純水220gに入れた後、超音波分散器で約10分間均質化させ、均質化された乳化溶液を得た。前記均質化された乳化溶液を、前記シード溶液が充填された反応槽に投入し、約15分後に開始剤(過硫酸カリウム)5gを超純水40gに溶解させた開始剤溶液を添加した。このとき、反応温度を82℃に維持し、2時間半反応を進めた。
2時間半の反応時間が過ぎた後、さらに過硫酸カルシウム開始剤1.5gを超純水60gに溶解させた開始剤溶液を添加し、シェル層(shell layer)形成のための単量体として、スチレン56g、アクリル酸ブチル20g、メタクリル酸4.5g及びドデカンチオール3gを約80分間滴加して投入した。2時間後に反応を終了させ、自然冷却させてラテックス粒子を得た。
【0100】
凝集/溶融工程
このように準備されたラテックス粒子分散液318gを、0.5g
SDS乳化剤が溶解されている超純水(310g)に混合した。ここに、SDS乳化剤で分散させた顔料粒子(cyan)分散液18.2g(固形分40重量%)を混ぜてラテックス顔料分散液を得た。その後、250rpmの速度で撹拌しつつ、10モル%NaOH緩衝溶液を利用し、前記ラテックス顔料分散液のpHを10に滴定した。前記ラテックス顔料分散液に、凝集剤であるMgCl 10gを超純水30gに溶解させた凝集制溶液を10分にわたって滴加した。その後、1℃/分の昇温速度で、前記混合溶液の温度を95℃まで上昇させた。前記温度で3時間反応させた後、自然冷却させてトナー親粒子を得た。このとき、得られたトナー親粒子の体積平均粒径は、6.5μmであった。
【0101】
(外添工程)
前記重合法によって製造された非処理トナー親粒子に、下記表3に示したような外添剤をそれぞれ外添処理し、各実施例のトナーを製造した。前記外添処理は、表3の各外添剤をトナー親粒子に添加し(トナー親粒子100重量部基準)、ヘンシェルミキサで3分間混合することによって行った。
【0102】

【表3】

【0103】
<物性評価試験>
前記実施例及び比較例で製造したそれぞれの非磁性一成分系トナーの物性を、下記のように測定した。すなわち、カラートナーを使用するタンデム(tandem)方式の現像装置を具備する非磁性一成分系現像方式の商用プリンタ(HP 4600、Hewlett−Packard社)を利用し、恒温/恒湿(25℃/55%RH)条件で、5,000枚まで印刷し、下記の方法で、画像濃度、帯電安定性、長期安定性、帯電ローラ汚染を評価した。
【0104】
(1)画像濃度(ID:image density):ソリッド(solid)面積画像をマクベス(Macbeth)反射濃度系SpectroEyeで測定し、このときに得られた結果を、下記の基準によって、それぞれA,B,C及びD等級に分類した:
A:画像の濃度が平均1.4以上
B:画像の濃度が平均1.3以上1.4未満
C:画像の濃度が平均1.2以上1.3未満
D:画像の濃度が平均1.2以下
【0105】
(2)帯電安定性(%):サクション・チャージ・アナライザ(Suction Charge Analyzer)を利用して帯電量を測定し、これを初期帯電量と比較して帯電安定性を評価した。このときに得られた結果を、下記基準によって、それぞれA,B,C及びD等級に分類した:
A:帯電安定性95%以上
B:帯電安定性85%以上95%未満
C:帯電安定性75%以上85%未満
D:帯電安定性50%以上75%未満
(帯電安定性が50%未満になれば、画像がプリンティングされない)
【0106】
(3)長期安定性:前記のような方法で、画像濃度及び帯電安定性を評価した。このときに得られた結果を、下記の基準によって、それぞれA,B,C及びD等級に分類した:
A:画像の濃度が1.4以上であって、帯電安定性が75%以上
B:画像の濃度が1.3以上1.4未満であって、帯電安定性が70%以上75%未満
C:画像の濃度が1.2以上1.3以下であって、帯電安定性が60%以上70%未満
D:画像の濃度が1.2未満であって、帯電安定性が40%以上60%未満
【0107】
(4)帯電ローラの汚染
5,000枚印刷後、前記商用プリンタを分解し、これに装着された帯電ローラがトナーによって汚染されているか否かを肉眼で観察した。
前記基準によって評価された画像濃度、帯電安定性、長期性及び帯電ローラの汚染測定及び観察結果を、下記表4に示した。
【0108】

【表4】

【0109】
前記表4から分かるように、本実施例ように、球形に近いチタン酸バリウム外添剤を使用した場合、特に、前記チタン酸バリウム外添剤をHMDSまたはPDMSで表面処理した、互いに異なるサイズのシリカ(追加外添剤A及びB)、及びストロンチウムで表面処理した二酸化チタン(追加外添剤C)を混合して使用することによって、画像濃度、帯電安定性及び長期安定性の側面で、優秀な特性を有するトナーを製造できる。すなわち、外添剤は、粒子形態が球形に近いほどトナー親粒子に付着しても円形を維持でき、スペーサの役割を行って、トナー同士がぶつかったとき、外添剤自体が取れ落ちる現象を減らすことができる。また、外添剤をトナー親粒子に均一に付着させ、トナーの帯電安定性を向上させ、トナーの流動性を変化させない。これは、結局、トナーの帯電分布をシャープにして、トナー画像が長期にわたって安定した高画質を維持できるようにする。
【0110】
また、比較例のトナーは、帯電ローラを深刻に汚染させるのに対し、本実施例によるトナーは、現像装置内の帯電ローラが汚染されることを防止できる。
【0111】
以上、本発明による望ましい実施例について説明したが、これは、例示的なものであり、当技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他実施例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決まるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含むトナー親粒子と、
一次平均粒径が50ないし150nmであり、平均形状係数(SF1)が100ないし120であり、形状係数が0.96ないし1であり、縦横比が0.89ないし1であって、前記トナー親粒子の表面に添加されるチタン酸バリウム外添剤と、を含む電子写真用トナー。
【請求項2】
前記チタン酸バリウム外添剤が、トナー親粒子100重量部に対して、0.3ないし5重量部の割合で含まれる請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項3】
一次平均粒径が5ないし50nmであり、ヘキサメチルジサラザン(HMDS)で表面処理されたシリカ(追加外添剤A)と、一次平均粒径が30ないし80nmであり、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で表面処理されたシリカ(追加外添剤B)とを外添剤としてさらに含む請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項4】
一次平均粒径が10ないし100nmである無機化合物(追加外添剤C)を外添剤としてさらに含む請求項3に記載の電子写真用トナー。
【請求項5】
前記トナー親粒子100重量部に対して、前記追加外添剤Aを0.5ないし5重量部と、前記追加外添剤Bを0.1ないし3重量部と、前記追加外添剤Cを0.1ないし3重量部との割合で含む請求項4に記載の電子写真用トナー。
【請求項6】
前記トナー親粒子は、形状係数が0.975ないし1であり、体積平均粒径が5ないし7μmである請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の電子写真用トナーを使用した電子写真用画像の形成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2011−507049(P2011−507049A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539296(P2010−539296)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007488
【国際公開番号】WO2009/078669
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(508130188)サムスン ファイン ケミカルズ カンパニー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】