説明

電子写真用現像剤

【課題】長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用現像剤を提供することを目的とする。
【解決手段】トナーとキャリアとを含有する電子写真用現像剤であって、前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、前記キャリアが、コア材と、前記コア材を被覆するコート樹脂とを含み、前記コート樹脂が、フッ素系樹脂と、アミノシランカップリング剤とを含み、前記トナー、前記キャリア及び前記電子写真用現像剤の、BET法によって測定されるBET比表面積をそれぞれ、S/g、S/g及びS/gとし、前記電子写真用現像剤1質量部に対する、前記トナー及び前記キャリアの含有量をそれぞれ、C質量部及びC質量部とする場合、下記式(1)を満足する電子写真用現像剤を用いる。
0.8≦S/(S×C+S×C)≦0.95 (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を均一に帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面を露光することによって、前記像担持体の表面に静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像が形成された像担持体の表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記トナー像を、前記像担持体から記録媒体へ転写する転写装置と、転写されたトナー像を加熱・加圧することによって記録媒体に定着させる定着装置等を備える。このような画像形成装置は、上記各装置によって、上述したようにトナー像を記録媒体に転写し、その後、そのトナー像を記録媒体に定着させることによって、画像を記録媒体上に形成する。
【0003】
このような画像形成装置としては、モノクロ印刷だけではなく、カラー画像を形成するカラー印刷機能を備えたものが利用されてきている。具体的には、例えば、タンデム方式のカラー画像形成装置等が挙げられる。
【0004】
タンデム方式のカラー画像形成装置とは、具体的には、例えば、電子写真方式で像担持体上に形成されたトナー像を1次転写した後、用紙等の記録媒体に2次転写するための中間転写ベルトを備え、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)等の複数色のトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせることでカラー画像を形成する画像形成装置である。このようなカラー画像形成装置は、複数色のトナー像を重ね合わせるために、中間転写ベルトに沿って各色に対応する画像形成ユニットが並設されている。そして、中間転写ベルト上には、前記画像形成ユニットの各感光体ドラムによるYMCK4色のトナー像が互いに重ね合わされるように順次転写(1次転写)されてカラー画像が形成される。そして、この中間転写ベルト上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルトに対向して設置された2次転写ローラによって用紙等の記録媒体上に転写(2次転写)される。このように、各色に対応するトナー像を、それぞれの像担持体上に形成し、さらに、それらのトナー像を重ね合わせることによって、カラー画像を形成する。そうすることによって、タンデム方式のカラー画像形成装置は、高速印刷を実現している。
【0005】
また、上述したような電子写真方式を利用した画像形成装置は、高画質な画像を形成するために、使用する現像剤として、様々なものが検討されている。具体的には、例えば、特許文献1〜4に記載のものが挙げられる。
【0006】
特許文献1には、スピネル構造をもつフェライト粒子からなり、平均粒子径が30μm未満である磁性キャリア粒子を含む現像剤が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤において、前記キャリアとして微細表面結晶で、しかも粒子径が44μm以下のものの割合が10重量%以下、かつ44〜105μmがピークになる小粒径キャリアを、また、トナーとして11μm以下の小粒径トナーを用いる現像剤が記載されている。
【0008】
また、特許文献3には、約30ミクロン乃至約1000ミクロンの平均直径を有するコアからなる電子写真の現像剤用のキャリア粒子であって、上記コアは、トナー粒子に対して負の摩擦帯電特性を有する第1のポリマーと、上記コアに足して強力な接着特性を有する第2のポリマーとのポリブレンドからなる外部被覆を有するキャリア粒子を含む現像剤が記載されている。
【0009】
また、特許文献4には、少なくともコア材の表面が樹脂で被覆された電子写真用キャリアであって、前記被覆樹脂がフッ素変性シリコーン樹脂及びアミノシランカップリング剤を含み、前記アミノシランカップリング剤が、被覆樹脂100重量部に対して5〜40重量部含有されており、トナーを負極性に帯電させる電子写真用キャリアを含む現像剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−144839号公報
【特許文献2】特開昭61−204646号公報
【特許文献3】特開昭54−110839号公報
【特許文献4】国際公開第2004/031865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、上述したような電子写真方式を利用した画像形成装置で、高画質な画像を形成させるために、使用する現像剤のトナーとして、粒子径の比較的小さなトナー(小粒径トナー)を用いることに着目した。このような小粒径トナーを用いると、トナーの粒子径が小さいので、形成される画像が高精細になることが期待できる。さらに、このような高画質な画像が形成できるだけではなく、1ドットを形成するトナーの体積も、トナーの粒子径が小さいので、小さくすることができる。すなわち、トナーの消費量の低減が期待できる。
【0012】
しかしながら、このような小粒径トナーを含む現像剤を用いて画像形成した場合、実際には、形成された画像にかぶり等の不具合が発生し、好適な画像が形成できない場合があった。このことは、以下のことによると本発明者は、推察した。具体的には、まず、小粒径トナーは、トナー全体としての表面積、すなわち、トナーの比表面積が大きくなる傾向がある。このため、小粒径トナーは、キャリアとの接触面積が小さくなるので、トナーが充分に帯電されないことになる。よって、このトナーの帯電不良が原因であると推察した。
【0013】
そこで、トナーとともに用いられるキャリアを小粒径化すれば、キャリア全体としての表面積が大きくなって、上記問題を解消できると考えた。具体的には、特許文献1及び特許文献2に記載されているような粒子径の比較的小さいキャリアを用いた現像剤について検討した。
【0014】
特許文献1によれば、解像力、緻密性、黒ベタ均一性及び階調性等が極めて良好な画質が得られることが開示されている。また、特許文献2によれば、長寿命でトナー飛散が少なく、文字のにじみやかぶりがなく、画像濃度の安定性が高く、緻密性の高い画質が得られることが開示されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、粒径の比較的小さいキャリアを用いていることが記載されているものの、実際には好適な画像が形成されない場合があった。すなわち、小粒径キャリアを用いただけ、すなわち、トナーとキャリアとの粒子径を規定しただけでは、不充分な場合があるという問題があった。
【0015】
一方、キャリアとして、コア材にコート樹脂を被覆したものが用いられていることが知られている。本発明者は、このようなコート樹脂でコア材が被覆されたキャリアを用いることについても検討した。前記コート樹脂としては、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が用いられている。しかしながら、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂を用いた場合、得られたキャリアは、トナーの成分がキャリアの表面に付着しキャリアのトナーを帯電させる性能を低下させる、所謂トナースペントが発生しやすかった。また、シリコーン樹脂を用いた場合、得られたキャリアは、耐トナースペント性が良好であったとしても、摩耗しやすく、さらに、コア材からコート樹脂が剥離しやすかった。また、フッ素樹脂を用いた場合、得られたキャリアは、耐摩耗性が良好であったとしても、コア材と、コア材を被覆するコート樹脂との結着性が不充分であり、つまり、コア材からコート樹脂が剥離しやすいため、実際には、耐久性が充分に満足できるものではなかった。
【0016】
以上のことから、コート樹脂として、複数の樹脂を混合した樹脂を用いることが考えられ、具体的には、特許文献3及び特許文献4に記載されているようなキャリアを用いた現像剤等が挙げられる。
【0017】
特許文献3によれば、有効寿命が長く、負の摩擦帯電特性を発揮することのできるキャリアを有する現像剤を提供できることが開示されている。しかしながら、このような現像剤を実際に用いて、長期間にわたって低濃度印字を行うと、好適な画像濃度の画像を継続して形成することが困難であった。このことは、キャリアを上記のような性状にするにあたっては、成膜性の比較的良好なポリマーを混合した樹脂を被覆することによって達成しているが、成膜性が高いポリマーを混合すれば、被覆された樹脂が必然的に高抵抗化することによると考えられる。すなわち、長期間にわたって低濃度印字を行うと、トナーの過帯電が発生しやすくなるためであると考えられる。
【0018】
また、特許文献4によれば、高温高湿下での帯電量の低下や低温低湿下での帯電量の極端な増加がなく、キャリアの被覆層の剥離による現像剤の劣化を防止し、トナーのスペント化による劣化も生じない高い耐久性のある寿命の長いキャリアが得られることが開示されている。しかしながら、実際には、耐久性が充分に満足できるものではなく、具体的には、長期間にわたって画像形成を行うと、コア材に被覆されたコート樹脂が削れる等、耐久性が充分に高いとは言えなかった。
【0019】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、上述したように、トナーとキャリアとの粒子径を規定しただけでは、高画質な画像を形成するには、不充分な場合があるということから、トナーとキャリアとの粒子径ではなく、トナーとキャリアと現像剤との比表面積に着目し、以下のような本発明に想到するに到った。
【0021】
本発明の一態様に係る電子写真用現像剤は、トナーとキャリアとを含有する電子写真用現像剤であって、前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、前記キャリアが、コア材と、前記コア材を被覆するコート樹脂とを含み、前記コート樹脂が、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤とを含み、前記トナー、前記キャリア及び前記電子写真用現像剤の、BET法によって測定されるBET比表面積をそれぞれ、S/g、S/g及びS/gとし、前記電子写真用現像剤1質量部に対する、前記トナー及び前記キャリアの含有量をそれぞれ、C質量部及びC質量部とする場合、下記式(1)を満足することを特徴とする。
【0022】
0.8≦S/(S×C+S×C)≦0.95 (1)
このような構成によれば、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用現像剤を提供することができる。
【0023】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0024】
上記式(1)におけるS/(S×C+S×C)は、前記トナーと前記キャリアとがそれぞれを混合する前の状態のままで維持されると仮定したときに想定される現像剤の比表面積に対する、現実の現像剤の比表面積の割合を示すと考えられる。実際には、トナーとキャリアとを混合すると、トナーを構成するトナー母粒子に外添剤がある程度埋没すると考えられる。よって、上記式(1)におけるS/(S×C+S×C)は、トナーとキャリアとの混合によって、トナーの外添剤が、トナー母粒子にどの程度埋没したかを示す指標になると考えられる。
【0025】
そして、上記式(1)におけるS/(S×C+S×C)が上記範囲内であると、トナー母粒子への外添剤の埋没量が適切となると考えられる。よって、トナーのキャリアへの付着性が好適になり、キャリアへのトナースペントの発生を抑制でき、さらに、トナーからトナーに外添されている外添剤が離脱することを抑制することができる。よって、長期間にわたって画像形成を行っても、外添剤がトナーから離脱することにより発生するトナー飛散や、キャリアへのトナースペント等の発生を抑制できると考えられる。
【0026】
さらに、キャリアのコート樹脂として、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤、すなわち、アミノシランカップリング剤とを含むものを用いることによって、トナーの帯電安定性や耐久性等を高めたキャリアが得られると考えられる。
【0027】
まず、フッ素系樹脂が、耐摩耗性に優れ、耐久性を向上させる。一方、フッ素系樹脂は、トナーに正帯電性を付与することができるものの、低濃度印字率の画像等を印字するような、トナーの入れ替わりの少ない状態で長期間にわたって印字すると、トナーが過剰に帯電してしまい、トナーとキャリアの電気的な吸引力が過剰に高くなることで、トナーがキャリアから離れにくくなり、形成画像の画像濃度低下を引き起こすおそれがあると考えられる。本発明では、コート樹脂にフッ素系樹脂を含有しているが、このような不具合が発生しにくい。このことは、コート樹脂にフッ素系樹脂だけではなく、アミノシランカップリング剤も含有していることによると考えられる。すなわち、アミノシランカップリング剤を含有していると、上記の不具合の発生を抑制できると考えられる。このことは、過剰に帯電したトナーがアミノシランカップリング剤と接触することによって、トナーの帯電量を低下させることにより、形成画像の画像濃度低下等の発生を抑制できることによると考えられる。
【0028】
さらに、アミノシランカップリング剤を含有していると、コート樹脂のコア材からの剥がれ等を抑制でき、耐久性に優れたキャリアが得られる。このことは、アミノシランカップリング剤を含有していると、コート樹脂とキャリアのコア材との結着性も高めることができることによると考えられる。
【0029】
以上のことから、上記のような構成にすることによって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用現像剤を提供することができると考えられる。
【0030】
また、前記電子写真用現像剤において、前記シランカップリング剤の含有量が、前記コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。このことは、キャリアのコート樹脂とコア材との結着性をより高めることができるとともに形成画像の画像濃度低下等の発生をより抑制できることができることによると考えられる。
【0032】
また、前記電子写真用現像剤において、前記フッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びポリテトラフロロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0033】
このような構成によれば、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。このことは、耐摩耗性により優れ、トナーに正帯電性を安定して好適に付与できるので、トナーの帯電安定性をより高めることができることによると考えられる。
【0034】
また、前記電子写真用現像剤において、前記コート樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
【0035】
このような構成によれば、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。このことは、コート樹脂の硬度が高く、繰り返し使用してもコート削れが少ないことによると考えられる。
【0036】
また、前記電子写真用現像剤において、前記コート樹脂の被覆量が、前記コア材100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましい。
【0037】
このような構成によれば、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。このことは、コート樹脂が削れることやキャリアのコア材から剥がれること等を抑制でき、さらに、トナーに対する帯電安定性を高めることができることによると考えられる。
【0038】
また、前記電子写真用現像剤において、前記フッ素系樹脂の含有量が、前記コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して、20〜90質量部であることが好ましい。
【0039】
このような構成によれば、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。このことは、前記フッ素系樹脂の上記効果を充分に発揮できることによると考えられる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態に係る電子写真用現像剤を用いる画像形成装置の全体構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0043】
本実施形態に係る電子写真用現像剤は、トナーとキャリアとを含有する電子写真用現像剤であって、前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、前記キャリアが、コア材と、前記コア材を被覆するコート樹脂とを含み、前記コート樹脂が、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤とを含み、前記トナー、前記キャリア及び前記電子写真用現像剤の、BET法によって測定されるBET比表面積をそれぞれ、S/g、S/g及びS/gとし、前記電子写真用現像剤1質量部に対する、前記トナー及び前記キャリアの含有量をそれぞれ、C質量部及びC質量部とする場合、下記式(1)を満足することを特徴とする。
【0044】
0.8≦S/(S×C+S×C)≦0.95 (1)
このような電子写真用現像剤は、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
【0045】
まず、上記式(1)におけるS/(S×C+S×C)は、上述したように、前記トナーと前記キャリアとがそれぞれを混合する前の状態のままで維持されると仮定したときに想定される現像剤の比表面積に対する、現実の現像剤の比表面積の割合を示すと考えられる。そして、実際には、トナーとキャリアとを混合すると、トナーを構成するトナー母粒子に外添剤がある程度埋没すると考えられる。よって、上記式(1)におけるS/(S×C+S×C)は、トナーとキャリアとの混合によって、トナーの外添剤が、トナー母粒子にどの程度埋没したかを示す指標(埋没度)になると考えられる。
【0046】
なお、前記各比表面積は、BET法(窒素吸着比表面積法)によって測定されるBET比表面積であり、具体的には、トナー、キャリア、及び現像剤の各試料の表面に吸着された液体窒素の吸着量から求められる。より具体的には、例えば、自動比表面積測定装置(株式会社マウンテック製のMacsorb model 1208)等を用い、試料表面に窒素を吸着させ、流動法(BET一点式)によって、試料のBET比表面積(m/g)を測定することができる。
【0047】
具体的な測定手順は、例えば、以下の通りである。
【0048】
まず、空セルの重量を測定する。次に、測定対象物であるサンプルを所定量秤量し、秤量したサンプルをセルの内壁面に付着しないように充填する。なお、測定対象物がトナーであるときは、約0.8gを秤量し、測定対象物がキャリアであるときは、約9gを秤量し、測定対象物が現像剤であるときは約7gを秤量する。そして、サンプルが充填されたセル内に、フローメータにて流量が25ml/分になるように窒素を流す。そして、温度45℃の条件下で30分間セル内に窒素を流す。そうすることによって、試料(サンプル)の脱気を行う。その後、2分間冷却後、測定装置、例えば、自動比表面積測定装置(株式会社マウンテック製のMacsorb model 1208)等のゼロ点調整を行った後、測定を開始する。測定開始後、セルをヂュアー瓶中の液体窒素に浸して吸着工程を行い、その後、セルをヂュアー瓶から大気中に戻して脱離工程を行う。先の工程を行っている間の自動計測によって、サンプルの実表面積が計測される。そして、計測された実表面積をサンプル重量で割ることによって、サンプルの比表面積を算出することができる。
【0049】
また、上記式(1)におけるS/(S×C+S×C)は、上記式(1)を満たせばよいが、下記式(2)を満たすことがより好ましい。
【0050】
0.85≦S/(S×C+S×C)≦0.90 (2)
そして、前記埋没度が、小さすぎると、外添剤がトナー母粒子に埋め込まれすぎており、外添剤を外添した効果が低下する傾向がある。例えば、トナーがキャリアへ付着しやすくなり、キャリアへのトナースペントが発生しやすくなる等の傾向がある。
【0051】
また、前記埋没度が、大きすぎると、外添剤のトナー母粒子への埋め込みが不充分であり、外添剤のトナー母粒子への固着が不充分である傾向がある。例えば、トナーから外添剤が離脱し、そのことによるトナー飛散が発生しやすくなる等の傾向がある。
【0052】
よって、前記埋没度が上記範囲内であると、トナー母粒子への外添剤の埋没量が適切となると考えられる。よって、トナーのキャリアへの付着性が好適になり、キャリアへのトナースペントの発生を抑制でき、さらに、トナーから外添剤が離脱することを抑制することができる。よって、長期間にわたって画像形成を行っても、外添剤がトナーから離脱することにより発生するトナー飛散や、キャリアへのトナースペント等の発生を抑制できると考えられる。
【0053】
さらに、前記コート樹脂については、後述するが、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤、すなわち、アミノシランカップリング剤とを含むものを用いることによって、トナーに対する帯電安定性や耐久性等を高めたキャリアが得られると考えられる。
【0054】
まず、フッ素系樹脂が、耐摩耗性に優れ、キャリアの耐久性を向上させる。一方、フッ素系樹脂は、トナーに正帯電性を付与することができるものの、低濃度印字率の画像等を印字するような、トナーの入れ替わりの少ない状態で長期間にわたって印字すると、トナーが過剰に帯電してしまい、トナーがキャリアから離れにくくなり、画像濃度低下を引き起こすおそれがあると考えられる。本実施形態では、コート樹脂にフッ素系樹脂を含有しているが、このような不具合が発生しにくい。このことは、コート樹脂にフッ素系樹脂だけではなく、アミノシランカップリング剤も含有していることによると考えられる。すなわち、アミノシランカップリング剤を含有していると、上記の不具合の発生を抑制できると考えられる。このことは、過剰に帯電したトナーがコート樹脂に含有されているアミノシランカップリング剤と接触することによって、トナーの帯電量を低下させることにより、画像濃度低下等の発生を抑制できることによると考えられる。
【0055】
さらに、アミノシランカップリング剤を含有していると、コート樹脂のコア材からの剥がれ等を抑制でき、耐久性に優れたキャリアが得られる。このことは、アミノシランカップリング剤を含有していると、コート樹脂とコア材との結着性も高めることができることによると考えられる。
【0056】
以上のことから、上記のような構成にすることによって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用現像剤を提供することができると考えられる。
【0057】
[トナー]
前記トナーは、上述したように、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、上記式(1)を満たすことができるBET比表面積のものであれば、特に限定されない。
【0058】
また、前記トナーのBET比表面積Sは、上述したように、上記式(1)を満たすことができるBET比表面積であれば、特に限定されない。具体的には、前記キャリアのBET比表面積Sや前記電子写真用現像剤のS等によって異なるが、例えば、7μmのトナーであれば、2.0〜2.8m/gであることが好ましい。
【0059】
また、前記トナーの粒子径としては、体積平均粒子径で、4.5〜9.0μmであることが好ましい。このような粒子径の比較的小さいトナー(小粒径トナー)を用いると、形成される画像が高精細になると考えられる。そして、通常、このような小粒径トナーを用いると、かぶり等が発生し、好適な画像を形成できない場合があるが、本実施形態に係る電子写真用現像剤であれば、そのような不具合の発生が抑制される。よって、より高画質な画像を形成することができる。なお、ここでの体積平均粒子径は、例えば、レーザ回折散乱法等による測定や、一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。
【0060】
<トナー母粒子>
前記トナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤を含有し、トナー母粒子として使用可能な形態のものであれば、特に限定されない。また、その粒子径としては、前記トナーの粒子径と同程度であり、具体的には、例えば、体積平均粒子径で、4.5〜9.0μmであることが好ましい。
【0061】
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー母粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等のポリスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;N−ビニル系樹脂等が挙げられる。この中でも、ポリエステル系樹脂が、比較的軟化点が低く、低温定着性に優れ、非オフセット温度範囲が広い点から好ましく用いられる。また、前記結着樹脂としては、上記各結着樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるもの等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。
【0063】
前記アルコール成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのアルコールとして使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記アルコール成分としては、分子内に水酸基が2個以上のアルコール(2価以上のアルコール)が含まれている必要がある。前記アルコール成分として用いられるもののうち、2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類等が挙げられる。また、前記アルコール成分として用いられるもののうち、3価以上のアルコールとしては、具体的には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。また、前記アルコール成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
また、前記カルボン酸成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのカルボン酸として使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸だけではなく、カルボン酸の、酸無水物や低級アルキルエステル等も含まれる。そして、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸の分子内に水酸基を2個以上有するカルボン酸(2価以上のカルボン酸)が含まれている必要がある。前記カルボン酸として用いられるもののうち、2価のカルボン酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸、及びアルケニルコハク酸等が挙げられる。アルキルコハク酸としては、例えば、n−ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等が挙げられ、アルケニルコハク酸としては、例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸として用いられるもののうち、3価以上のカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。前記共重合モノマーとしては、p−クロロスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のオレフィン系炭化水素(アルケン);塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。また、前記共重合モノマーとしては、上記各モノマーを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
前記結着樹脂としては、定着性の観点から、上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみである必要はなく、架橋剤や熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に組み合わせて用いてもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、トナーの用紙への定着時における定着性の低下を抑制しつつ、耐オフセット性を向上させることができる。
【0067】
前記熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、シアネート樹脂等のシアネート系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
(着色剤)
前記着色剤としては、トナーとして所望の色になるように、公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような着色剤が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。この中でも、例えば、以下の着色剤が好ましい。ブラックトナーの着色剤としては、カーボンブラックが好ましい。イエロートナーの着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー180が好ましい。シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)が好ましい。そして、マゼンタトナーの着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238が好ましい。
【0069】
前記着色剤の含有量としては、着色剤の種類によっても異なるが、好適な画像濃度を達成するためにも、例えば、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。
【0070】
(電荷制御剤)
前記トナー母粒子には、トナーの摩擦帯電性等の帯電性を制御するために、電荷制御剤を含有させることが一般的である。そして、トナーの帯電極性等に応じて、正電荷制御剤及び負電荷制御剤が必要に応じて組み合わせて用いられる。また、前記電荷制御剤としては、従来からトナー母粒子の電荷制御剤として用いられているものであれば、特に限定なく用いられる。
【0071】
前記正電荷制御剤としては、具体的には、例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロールイド等の4級アンモニウム塩;分子内に4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー;分子内にカルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー;分子内にカルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等が挙げられる。
【0072】
また、前記負電荷制御剤としては、具体的には、例えば、有機金属錯体、その塩、及びキレート化合物等が挙げられる。前記有機金属錯体、及びその塩としては、具体的には、例えば、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、及びこれらの塩が挙げられる。また、前記キレート化合物としては、具体的には、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジ−ターシヤリーブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。
【0073】
また、前記電荷制御剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。前記電荷制御剤の含有量が少なすぎる場合、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となり、形成画像にかぶりが発生しやすくなる可能性がある。また、前記電荷制御剤の含有量が多すぎる場合、トナーがチャージアップし易く、形成画像の画像濃度の低下を招くことがある。
【0074】
(ワックス)
前記トナー母粒子には、定着性やオフセット性等を向上させるために、ワックスを含有させることが一般的である。前記ワックスとしては、従来からトナー母粒子のワックスとして用いられているものであれば特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、カルナバワックスやサトウキビワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックスや昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;フィッシャートロプシュ(以下、「FT」と記すことがある)ワックスやポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス等が挙げられる。これらの中では、前記結着樹脂中での分散性に優れている点から、FTワックスやポリエチレンワックス等の合成炭化水素系ワックスが好ましく、FTワックスがより好ましい。前記ワックスの添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部添加することが好ましい。前記添加量が少なすぎる場合には、ワックスを添加したことによる効果が得られない可能性があり、また、多すぎる場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下し、またトナーからのワックスの脱離が生じるおそれがある。
【0075】
(製造方法)
また、前記トナー母粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0076】
まず、上記の、結着樹脂及び着色剤等のトナー母粒子を構成する各成分を混合機等で混合する。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。この中でも、ヘンシェルミキサが好ましい。
【0077】
次に、得られた混合物を混練機等で溶融混練する。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、2軸押出機等の押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられ、押出機が好適に用いられる。また、溶融混練時の温度としては、前記結着樹脂の軟化点以上であって、前記結着樹脂の熱分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0078】
次に、得られた溶融混練物を冷却して固形物とし、その固形物を粉砕機等で粉砕する。前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられ、気流式粉砕機が好適に用いられる。
【0079】
最後に、得られた粉砕物を分級機等で分級する。分級することによって、過粉砕物や粗粉を除去することができ、所望のトナー母粒子を得ることができる。前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット分級機等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられ、風力分級機が好適に用いられる。
【0080】
<外添剤>
前記トナーは、前記トナー母粒子に対して、外添剤を外添して得られるものである。すなわち、前記トナー母粒子に外添工程を施すことによって得られるものである。
【0081】
前記外添工程としては、従来公知の外添工程であれば、限定なく用いることができる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子に外添剤を添加し、攪拌機等で攪拌させることによって、前記トナー母粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる工程である。
【0082】
前記外添剤としては、トナーの外添剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、及びマグネタイト粒子等の金属酸化物粒子、ステアリン酸亜鉛粒子、ステアリン酸マグネシウム粒子、ステアリン酸カルシウム粒子等の金属石鹸粒子、樹脂粒子、及び前記金属酸化物粒子や前記金属石鹸粒子で表面処理された樹脂粒子等が挙げられる。この中でも、シリカ粒子と酸化チタン粒子との組み合わせが、流動性、帯電性、及び研磨性に優れる点から好ましい。また、前記外添剤としては、上記外添剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
また、前記外添剤の含有量は、前記トナー母粒子100質量部に対して、0.2〜3質量部であることが好ましい。
【0084】
前記攪拌機としては、従来公知の攪拌機を限定なく使用できる。具体的には、例えば、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ等の一般的な攪拌機等が挙げられ、ヘンシェルミキサが好適に用いられる。
【0085】
[キャリア]
前記キャリアは、上述したように、コア材と、前記コア材を被覆するコート樹脂とを含み、上記式(1)を満たすことができるBET比表面積のものであれば、特に限定されない。
【0086】
また、前記キャリアのBET比表面積Sは、上述したように、上記式(1)を満たすことができるBET比表面積であれば、特に限定されない。具体的には、前記トナーのBET比表面積Sや前記電子写真用現像剤のS等によって異なるが、例えば、体積中心径が35μmのキャリアの場合には、0.05〜0.08m/gであることが好ましい。
【0087】
また、前記コア材としては、従来から電子写真用現像剤(2成分現像剤)のキャリアとして用いられているものであれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の金属、前記金属を含む合金、フェライトやマグネタイト等の鉄系酸化物、及びこれらの混合物等の磁性材料を含有する磁性粒子等が挙げられる。前記磁性粒子としては、例えば、前記磁性材料を、焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子等が挙げられる。これらの中でも、フェライト及びマグネタイトからなる粒子が好ましい。
【0088】
また、前記コア材の粒子径としては、体積中心径で、20〜50μmであることが好ましく、25〜45μmであることがより好ましい。なお、ここでの体積中心径は、例えば、電子顕微鏡による測定、レーザ回折散乱法等による測定、及び一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。
【0089】
前記コート樹脂としては、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤、すなわち、アミノシランカップリング剤とを含んでいれば、特に限定されない。
【0090】
前記フッ素系樹脂は、特に限定されず、例えば、キャリアのコート樹脂として一般的に用いられるフッ素系樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)等が挙げられる。この中でも、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましい。前記フッ素系樹脂が、耐摩耗性に優れるだけではなく、トナーに正帯電性を付与することができると考えられる。よって、前記コート樹脂に前記フッ素系樹脂を含有させることによって、キャリアの耐摩耗性を向上させ、さらに、帯電安定性を高めることができると考えられる。
【0091】
前記シランカップリング剤としては、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤であれば、特に限定されない。すなわち、分子中に、アルコキシ基やハロゲン基等の加水分解性基とアミノ基とを含有するシランカップリング剤であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHSi(CH)(OCH、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCH、及びCNH(CHSi(OCH等が挙げられる。また、前記シランカップリング剤としては、上記各シランカップリング剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
また、前記コート樹脂には、前記フッ素系樹脂及び前記アミノシランカップリング剤以外に、他の成分を含有していてもよい。具体的には、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂等を含有していてもよい。
【0093】
前記シランカップリング剤の含有量が、前記コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。前記シランカップリング剤が少なすぎると、形成画像の画像濃度低下等の発生を抑制し、コート樹脂とコア材との結着性を高める等のシランカップリング剤を含有したことによる効果を充分に発揮できない可能性がある。また、前記シランカップリング剤が多すぎると、コート樹脂中で分散不良をおこし、コア材から脱離し、トナーの帯電不良を発生させるという可能性がある。よって、前記シランカップリング剤の含有量が、上記範囲内であることによって、濃度低下等の発生をより抑制でき、コート樹脂とコア材との結着性をより高めることができると考えられ、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。
【0094】
また、前記フッ素系樹脂の含有量が、前記コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して、20〜90質量部であることが好ましい。前記フッ素系樹脂が、少なすぎると、キャリアの耐摩耗性を向上させ、トナーの帯電安定性を高める等のフッ素系樹脂をコート樹脂に含有させた効果を充分に発揮できない可能性がある。また、前記フッ素系樹脂が、多すぎると、コア材へのコート樹脂の接着不良をおこし、コア材からはがれてしまうという可能性がある。よって、前記フッ素系樹脂の含有量が、上記範囲内であることによって、前記フッ素系樹脂の効果を、それぞれ充分に発揮できると考えられ、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。
【0095】
また、前記コート樹脂のコア材に対する被覆量としては、特に限定されない。具体的には、例えば、前記コア材100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましい。前記コート樹脂の被覆量が少なすぎると、コート樹脂によって、帯電安定性や耐久性等を充分に高めることができない可能性がある。また、前記コート樹脂の被覆量が多すぎると、厚い被覆層によってキャリアコア材の磁気が遮蔽され、キャリアが現像ローラに磁気的に担持されにくくなり感光体にキャリアが飛ぶ現象が発生しやすくなる。よって、前記コート樹脂の被覆量が上記範囲内であることによって、コート樹脂が削れることや剥がれること等を抑制でき、さらに、帯電安定性を高めることができると考えられ、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。
【0096】
(製造方法)
また、前記キャリアの製造方法としては、前記コート樹脂が前記コア材に被覆されれば、特に限定されない。具体的には、例えば、液状の前記コート樹脂を、前記コア材に被覆した後に熱処理することによって、前記コート樹脂を固化させる方法等が挙げられる。前記被覆方法としては、例えば、流動コーティング法や浸漬法等が挙げられる。そして、前記熱処理としては、前記コート樹脂の組成等によって異なる。
【0097】
前記電子写真用現像剤中のトナー濃度は、上述したように、上記式(1)を満たすことができるトナー濃度であれば、特に限定されない。具体的には、前記トナーのS、前記キャリアのBET比表面積Sや前記電子写真用現像剤のS等によって異なるが、例えば、前記電子写真用現像剤1質量部に対する前記トナーの含有量Cが、0.03〜0.15質量部となるような濃度であることが好ましい。また、前記電子写真用現像剤1質量部に対する前記キャリアの含有量Cが、0.85〜0.97質量部であることが好ましい。トナー濃度が低すぎると、形成画像の画像濃度が低くなりすぎる可能性がある。また、トナー濃度が高すぎると、現像装置内からのトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等にトナーが付着する不具合等が発生する傾向がある。よって、トナー濃度を上記範囲内にすることによって、高い画像濃度を得、さらに、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等の背景部分にトナーが付着する不具合を抑制することができる。
【0098】
本実施形態に係る電子写真用現像剤は、前記トナーを前記キャリアと適切な割合で混合した2成分現像剤であり、例えば、後述の画像形成装置で使用することができる。
【0099】
[画像形成装置]
前記電子写真用現像剤を用いる画像形成装置としては、電子写真方式の画像形成装置であれば、特に限定されない。また、後述するような、複数色のトナーを用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が好ましい。具体的には、例えば、後述するような、複数色のトナーを用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が挙げられる。ここでは、タンデム方式のカラー画像形成装置について説明する。なお、本実施形態に係る電子写真用現像剤を用いる画像形成装置は、各表面上にそれぞれ異なった各色のトナーによるトナー像を形成させるために、所定方向に並設された、複数の像担持体と、各像担持体に対向して配置され、表面にトナーを担持して搬送し、搬送されたトナーを、前記各像担持体の表面にそれぞれ供給する、現像ローラを備えた複数の現像装置とを備え、前記現像剤として、前記電子写真用現像剤を用いるものである。
【0100】
図1は、画像形成装置1の全体構成を示す概略断面図である。前記画像形成装置1は、図1に示すように、箱型の機器本体1aを有している。この機器本体1a内には、用紙Pを給紙する給紙部2と、この給紙部2から給紙された用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像データ等に基づくトナー像を転写する画像形成部3と、この画像形成部3で用紙Pに転写された未定着トナー像を用紙Pに定着させる定着処理を施す定着部4とが設けられている。さらに、前記機器本体1aの上面には、前記定着部4で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部5が設けられている。
【0101】
前記給紙部2は、給紙カセット21、ピックアップローラ22、給紙ローラ23,24,25、及びレジストローラ対26を備えている。前記給紙カセット21は、前記機器本体1aから挿脱可能に設けられ、各サイズの用紙Pを貯留する。前記ピックアップローラ22は、前記給紙カセット21の図1に示す右上方位置に設けられ、前記給紙カセット21に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。前記給紙ローラ23,24,25は、前記ピックアップローラ22によって取り出された用紙Pを用紙搬送路に送り出す。前記レジストローラ対26は、前記給紙ローラ23,24,25によって用紙搬送路に送り出された用紙Pを一時待機させた後、所定のタイミングで前記画像形成部3に供給する。具体的には、後述する2次転写ローラ12とバックアップローラ15との間の2次転写ニップに供給する。
【0102】
また、前記給紙部2は、前記機器本体1aの図1に示す右側面に取り付けられる不図示の手差しトレイとピックアップローラ27とをさらに備えている。このピックアップローラ27は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す。前記ピックアップローラ27によって取り出された用紙Pは、前記給紙ローラ23,25によって用紙搬送路に送り出され、前記レジストローラ対26によって一時待機させられた後、所定のタイミングで前記画像形成部3に供給される。具体的には、後述する2次転写ローラ12とバックアップローラ15との間の2次転写ニップに供給する。
【0103】
前記画像形成部3は、画像形成ユニット7と、この画像形成ユニット7によってその表面(接触面)にコンピュータ等から電送された画像データに基づくトナー像が1次転写される中間転写ベルト11と、この中間転写ベルト11上のトナー像を前記給紙カセット21から送り込まれた用紙Pに2次転写させるための2次転写ローラ12とを備えている。
【0104】
前記画像形成ユニット7は、中間転写ベルト11回転方向の上流側(図1では左側)から下流側に向けて順次配設されたマゼンタ用ユニット7Mと、シアン用ユニット7Cと、イエロー用ユニット7Yと、ブラック用ユニット7Kとを備えている。各ユニット7M,7C,7Y及び7Kは、それぞれの中央位置に像担持体としての感光体ドラム71が矢符(反時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、各感光体ドラム71の周囲には、帯電器75、露光装置76、現像装置72、クリーニング装置73及び除電器74等が、感光体ドラム71の回転方向上流側から順に各々配置されている。
【0105】
前記帯電器75は、矢符方向に回転されている感光体ドラム71の周面を均一に帯電させる。前記帯電器75としては、例えば、非接触型放電方式のコロトロン型及びスコロトロン型の帯電器、接触方式の帯電ローラ及び帯電ブラシ等が挙げられる。
【0106】
前記露光装置76は、いわゆるレーザ走査ユニットであり、前記帯電器75によって均一に帯電された感光体ドラム71の周面に、画像読取装置等から入力された画像データに基づくレーザ光を照射し、前記感光体ドラム71上に画像データに基づく静電潜像を形成する。前記現像装置72は、前記キャリアとトナーからなる現像剤を収容する現像剤収容部を備える。そして、前記現像装置72は、静電潜像が形成された感光体ドラム71の周面に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤のトナーを供給することで、画像データに基づくトナー像を形成させる。そして、このトナー像が後述の1次転写ローラ16の作用によって中間転写ベルト11に1次転写される。なお、前記現像装置72の現像剤収容部には、画像形成ユニット7毎に、異なる色のトナーを含む現像剤を収容している。前記クリーニング装置73は、中間転写ベルト11へのトナー像の1次転写が終了した後、前記感光体ドラム71の周面に残留しているトナーを清掃する。前記除電器74は、残留トナーの清掃が終了した後、前記感光体ドラム71の周面を除電する。前記クリーニング装置73及び前記除電器74によって清浄化処理された感光体ドラム71の周面は、新たな帯電処理のために帯電器75へ向かい、新たな帯電が行われる。
【0107】
前記中間転写ベルト11は、無端状のベルト状回転体であって、表面(接触面)側が各感光体ドラム71の周面にそれぞれ当接するように駆動ローラ13、ベルト支持ローラ14、バックアップローラ15、及び1次転写ローラ16等の複数のローラに架け渡されている。また、前記中間転写ベルト11は、各感光体ドラム71と対向配置された1次転写ローラ16によって感光体ドラム71に押圧された状態で、前記駆動ローラ13によって無端回転するように構成されている。
【0108】
前記駆動ローラ13は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、前記中間転写ベルト11を無端回転させるための駆動力を与える。前記ベルト支持ローラ14、及び前記バックアップローラ15は、回転自在に設けられ、駆動ローラ13による前記中間転写ベルト11の無端回転に伴って回転する従動ローラである。これらの従動ローラ14,15は、前記駆動ローラ13の主動回転に応じて中間転写ベルト11を介して従動回転するとともに、前記中間転写ベルト11を支持する。
【0109】
前記1次転写ローラ16は、1次転写バイアス(トナーの帯電極性とは逆極性)を前記中間転写ベルト11に印加する。そうすることによって、各感光体ドラム71上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム71と前記1次転写ローラ16との間で、前記駆動ローラ13の駆動により矢符(時計回り)方向に周回する中間転写ベルト11に重ね塗り状態で順次転写(1次転写)される。なお、前記1次転写ローラ16は、前記感光体ドラム71を回転させる駆動モータから駆動力を得て回転するものである。
【0110】
前記2次転写ローラ12は、トナー像と逆極性の2次転写バイアスを用紙Pに印加する。そうすることによって、前記中間転写ベルト11上に1次転写されたトナー像は、前記2次転写ローラ12と前記バックアップローラ15との間で用紙Pに転写され、これによって、用紙Pにカラーの転写画像(未定着トナー像)が転写される。
【0111】
前記定着部4は、前記2次転写ニップで用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、通電発熱体により加熱される加熱ローラ41と、この加熱ローラ41に対向配置され、周面が加熱ローラ41の周面に押圧当接される加圧ローラ42とを備えている。
【0112】
そして、前記2次転写ニップで前記2次転写ローラ12により用紙Pに転写された転写画像は、当該用紙Pが前記加熱ローラ41と前記加圧ローラ42との間を通過する際の加熱及び加圧による定着処理で用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、前記排紙部5へ排紙されるようになっている。また、前記画像形成装置1では、前記定着部4と前記排紙部5との間の適所に搬送ローラ対6が配設されている。
【0113】
前記排紙部5は、前記画像形成装置1の機器本体1aの頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受け取る排紙トレイが形成されている。
【0114】
前記画像形成装置1は、以上のような画像形成動作によって、用紙P上に画像形成を行う。そして、上記のようなタンデム方式の画像形成装置では、前記電子写真用現像剤を用いるので、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
【0115】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0116】
[実施例1]
(ブラックトナーの製造)
まず、結着樹脂として、ビスフェノールAとフマル酸とを重縮合して得られたポリエステル樹脂(花王株式会社製のタフトンNE−1110)100質量部、着色剤として、カーボンブラック(三菱化学株式会社製のMA−100)4質量部、ワックスとして、フィッシャートロプシュワックス(日本精蝋株式会社製のFT−100)3質量部、電荷制御剤として、4級アンモニウム塩化合物(オリエント化学工業株式会社製のP−51)2質量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)で2分間混合した。その後、得られた混合物を2軸押出機(株式会社池貝製のPCM−30)で溶融混練した。そして、得られた溶融混練物を気流式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製のジェットミルIDS−2)で微粉砕し、風力分級機(ホソカワミクロン株式会社製のTPS分級機)で分級処理した。そうすることによって、体積平均粒子径7μmのトナー母粒子が得られた。なお、トナー母粒子の体積平均粒子径は、粒度計(ベックマンコールター株式会社製のマルチサイザー3)によって、測定した。
【0117】
次に、得られたトナー母粒子100質量部に対して、外添剤として、シリカ粒子(キャボット社製のTG−820)2質量部、酸化チタン粒子(テイカ株式会社製のJR−405)1.5質量部を添加し、同上のヘンシェルミキサで、3000rpm、10分間混合した。そうすることによって、ブラックトナー(外添剤が外添されたトナー母粒子)が得られた。
【0118】
得られたブラックトナーを試料として、BET比表面積(m/g)を測定した。具体的には、自動比表面積測定装置(株式会社マウンテック製のMacsorb model 1208)を用い、試料表面に窒素を吸着させ、流動法(BET一点式)によって、試料のBET比表面積(m/g)を測定した。測定されたトナーのBET比表面積Sは、2.44m/gであった。また、トナーの体積平均粒子径は、上記トナー母粒子の体積平均粒子径と同様に測定した結果、7μmであった。
【0119】
(イエロートナーの製造)
カーボンブラック4質量部の代わりに、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180)2質量部添加したこと以外、上記ブラックトナーの製造と同様に製造した。
【0120】
そして、得られたイエロートナーのBET比表面積及び体積平均粒子径を、上記ブラックトナーと同様の方法で測定した。測定されたトナーのBET比表面積Sは、2.44m/gであった。また、トナーの体積平均粒子径は、7μmであった。
【0121】
(シアントナーの製造)
カーボンブラック4質量部の代わりに、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3)3質量部添加したこと以外、上記ブラックトナーの製造と同様に製造した。
【0122】
そして、得られたイエロートナーのBET比表面積及び体積平均粒子径を、上記ブラックトナーと同様の方法で測定した。測定されたトナーのBET比表面積Sは、2.44m/gであった。また、トナーの体積平均粒子径は、7μmであった。
【0123】
(マゼンタトナーの製造)
カーボンブラック4質量部の代わりに、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド238)3質量部添加したこと以外、上記ブラックトナーの製造と同様に製造した。
【0124】
そして、得られたイエロートナーのBET比表面積及び体積平均粒子径を、上記ブラックトナーと同様の方法で測定した。測定されたトナーのBET比表面積Sは、2.44m/gであった。また、トナーの体積平均粒子径は、7μmであった。
【0125】
(キャリアの製造)
まず、トリメット酸無水物と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを水に加え、80℃で2時間攪拌させた。そうすることによって、ポリアミドイミド溶液が得られた。次に、このポリアミドイミド溶液に、前記ポリアミドイミド溶液の固形分(樹脂分:第1コート樹脂)50質量部に対して、フッ素系樹脂(第2コート樹脂)として、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)(デュポン社製の120−J)50質量部、シランカップリング剤として、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6011)3質量部とを混合した。そうすることによって、液状のコート樹脂が得られた。
【0126】
次に、コア材として、フェライトコアキャリア(パウダーテック株式会社製のEF−35B、体積中心径35μm、質量磁化の強さ68emu/g)を用い、このコア材100質量部に対して、前記コート樹脂5質量部を、流動コーティング装置(株式会社パウレック製のMP−1)を用いて被覆した。その後、280℃で1時間、熱処理した。そうすることによって、前記コア材に被覆されたコート樹脂が固化され、キャリア(コート樹脂が被覆されたコア材)が得られた。
【0127】
そして、得られたキャリアのBET比表面積を、上記ブラックトナーと同様の方法で測定した。測定されたキャリアのBET比表面積Sは、0.066m/gであった。
【0128】
なお、得られたキャリアのコート樹脂の被覆量は、コア材100質量部に対して5質量部であった。そして、得られたキャリアのフッ素系樹脂の含有量は、コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して50質量部であった。また、得られたキャリアのシランカップリング剤の含有量は、コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して3質量部であった。
【0129】
(現像剤の製造)
上記のようにして得られた各色のトナーをそれぞれ100gと、前記キャリア1kgとを、40℃に調温された、京セラミタ株式会社製の混合装置で20分間攪拌して混合させた。そうすることによって、電子写真用現像剤(2成分現像剤)が得られた。前記混合装置は、具体的には、プラスチック製の円筒状容器を備え、その円筒状容器を、約100rpmの回転数で回転させる装置である。すなわち、混合対象物である各材料を収容した状態の円筒状容器を回転させることによって、前記円筒状容器内の材料を混合する装置である。
【0130】
そして、京セラミタ株式会社製のカラーMFP(KM−C3232)に、前記現像剤をセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その状態の電子写真用現像剤のBET比表面積を、上記ブラックトナーと同様の方法で測定した。測定された電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0131】
なお、前記電子写真用現像剤は、上述したように、トナー100gとキャリア1kg(1000g)とを混合することによって、電子写真用現像剤1100gを製造している。すなわち、キャリアに対するトナーの濃度(T/C)が、10質量%となるように製造している。よって、前記電子写真用現像剤1質量部に対する前記トナーの含有量Cは、約0.0909質量部であった。また、前記電子写真用現像剤1質量部に対する前記キャリアの含有量Cは、約0.909質量部であった。
【0132】
[実施例2]
現像剤の製造時の攪拌時間を、20分間から7分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様の方法で測定した電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.267m/gであった。
【0133】
[実施例3]
現像剤の製造時の攪拌時間を、20分間から40分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様の方法で測定した電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.229m/gであった。
【0134】
[実施例4]
トナーの製造において、トナー母粒子と外添剤との混合時間を、10分間から3分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0135】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、トナーのBET比表面積Sは、2.56m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.276m/gであった。
【0136】
[実施例5]
トナーの製造において、トナー母粒子と外添剤との混合時間を、10分間から30分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0137】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、トナーのBET比表面積Sは、2.31m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.220m/gであった。
【0138】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、トナーのBET比表面積Sは、2.31m/gであり、電子写真用現像剤とのBET比表面積Sは、0.220m/gであった。
【0139】
[実施例6]
キャリアの製造において、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6011)の添加量を、3質量部から1質量部に変更したこと以外、実施例1と同様である。なお、得られたキャリアのシランカップリング剤の含有量は、コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して1質量部であった。
【0140】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.064m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0141】
[実施例7]
キャリアの製造において、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6011)の添加量を、3質量部から10質量部に変更したこと以外、実施例1と同様である。なお、得られたキャリアのシランカップリング剤の含有量は、コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して10質量部であった。
【0142】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.072m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.243m/gであった。
【0143】
[実施例8]
キャリアの製造において、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)(デュポン社製の120−J)の代わりに、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)(デュポン社製のMP−102)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0144】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.066m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0145】
[実施例9]
キャリアの製造において、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)(デュポン社製の120−J)の代わりに、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)(デュポン社製の31−JR)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0146】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.066m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0147】
[実施例10]
キャリアの製造において、ポリアミドイミド樹脂の代わりに、ポリアミド樹脂
(東レ株式会社製のSP−500)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0148】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.069m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0149】
[実施例11]
キャリアの製造において、ポリアミドイミド樹脂の代わりに、ポリイミド樹脂
(宇部興産株式会社製のVIP−S)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0150】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.068m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0151】
[実施例12]
キャリアの製造において、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6011)の代わりに、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6020)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0152】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.066m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0153】
[実施例13]
キャリアの製造において、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6011)の添加量を、3質量部から12質量部に変更したこと以外、実施例1と同様である。なお、得られたキャリアのシランカップリング剤の含有量は、コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して12質量部であった。
【0154】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.075m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.244m/gであった。
【0155】
[実施例14]
キャリアの製造において、ポリアミドイミド樹脂の代わりに、シリコーン樹脂(メチル−ジメチルシリコーン樹脂、東レ・ダウコーニング株式会社製のSR2400)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0156】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.068m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.242m/gであった。
【0157】
[比較例1]
現像剤の製造において、前記混合容器で20分間攪拌して混合する代わりに、前記トナー100gと前記キャリア1kgとを、2Lのポリ容器に投入し、蓋をした後、3回上下反転させて、現像剤を製造すること以外、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様の方法で測定した電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.281m/gであった。
【0158】
[比較例2]
現像剤の製造時の攪拌時間を、20分間から60分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様の方法で測定した電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.220m/gであった。
【0159】
[比較例3]
現像剤の製造において、前記混合容器の調温温度を、40℃から25℃に変更したこと以外、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様の方法で測定した電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.277m/gであった。
【0160】
[比較例4]
トナーの製造において、トナー母粒子と外添剤との混合時間を、10分間から1分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0161】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、トナーのBET比表面積Sは、2.60m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.289m/gであった。
【0162】
[比較例5]
トナーの製造において、トナー母粒子と外添剤との混合時間を、10分間から60分間に変更したこと以外、実施例1と同様である。
【0163】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、トナーのBET比表面積Sは、2.22m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.206m/gであった。
【0164】
[比較例6]
キャリアの製造において、アミノシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のZ−6011)を添加しなかったこと以外、実施例1と同様である。なお、得られたキャリアのシランカップリング剤の含有量は、コート樹脂100質量部に対して0質量部であった。
【0165】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.060m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.241m/gであった。
【0166】
[比較例7]
キャリアの製造において、ポリアミドイミド樹脂を50質量部含有させる代わりに、シリコーン樹脂(メチル−ジメチルシリコーン樹脂、東レ・ダウコーニング株式会社製のSR2400)を100質量部含有させ、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を添加しなかったこと以外、実施例1と同様である。なお、得られたキャリアのフッ素系樹脂の含有量は、コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して0質量部であった。
【0167】
そして、実施例1と同様の方法で測定した、キャリアのBET比表面積Sは、0.070m/gであり、電子写真用現像剤のBET比表面積Sは、0.243m/gであった。
【0168】
以上のことを含めて、表1にまとめて示す。
【0169】
【表1】

【0170】
[評価]
得られた電子写真用現像剤については、以下のような方法で評価した。
【0171】
まず、京セラミタ株式会社製のカラーMFP(KM−C3232)を評価機として用い、得られた各現像剤をスタート現像剤として用い、さらに、上記各トナーを補給用トナーとして用いて、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
【0172】
具体的には、まず、前記スタート現像剤を、前記評価機にセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その後、画像を出力させた。なお、この画像を初期画像(1枚目)とした。次に、補給用トナーを補給しながら、印字率0.1%の画像を3000枚印字した。なお、3000枚目の画像を低濃度印刷画像とした。その後、補給用トナーを補給しながら、印字率10%で、各色の印字比率が25%の画像を1000枚印字した。なお、1000枚目(初期画像から4000枚目)の画像を高濃度印刷画像とした。
【0173】
(画像濃度)
前記初期画像、前記低濃度印刷画像、及び前記高濃度印刷画像の各画像には、2×2cmのソリッド画像が、用紙の搬送方向左側端部近傍の位置、中央部、及び右側端部近傍の位置の3箇所に形成されている。
【0174】
形成された画像の各ソリッド画像について、反射濃度計(Gretag Macbeth社製のRD−19A:SpectroEyeLT)を用いて反射濃度を測定した。そして、その平均値を得られた画像の画像濃度とした。
【0175】
測定した画像濃度の下限値が1.2以上であれば、「○」と評価し、1以上1.2未満であれば、「△」と評価し、1未満であれば、「×」と評価した。
【0176】
(かぶり)
得られた画像において、前記反射濃度計で測定した白紙相当部の画像濃度の値から、ベースペーパー(すなわち、画像出力前の白紙)の画像濃度の値を引いた値をかぶり濃度とした。そして、かぶり濃度を所定枚数毎に測定し、その最大値でかぶりを評価した。
【0177】
前記かぶり濃度の最大値が、0.007以下であれば、「◎」と評価し、0.007を超え0.010以下であれば、「○」と評価し、0.010を超え0.020以下であれば、「△」と評価し、0.020を超えるのであれば、「×」と評価した。
【0178】
(帯電量)
前記初期画像、前記低濃度印刷画像、及び前記高濃度印刷画像を印字した直後の現像剤を取り出し、上記と同様の方法で各帯電量を測定した。
【0179】
各評価結果は、表2に示す。
【0180】
【表2】

【0181】
得られた電子写真用現像剤については、さらに、以下のような方法で評価した。
【0182】
まず、上記画像形成とは別に、京セラミタ株式会社製のカラーMFP(KM−C3232)を評価機として用い、得られた各現像剤をスタート現像剤として用い、さらに、上記各トナーを補給用トナーとして用いて、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿環境下での画像形成を行った。
【0183】
具体的には、まず、前記スタート現像剤を、前記評価機の各色に応じた現像剤収容部にセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その後、常温常湿環境下で、100%ソリッド部、50%ハーフトーン部、文字部、及び細線部を含むサンプル画像を出力した。その後、常温常湿環境下で、印字率5%の標準パターンを300000枚印刷(300000枚耐久印刷)した。
【0184】
その結果、比較例1に係る現像剤を用いた場合、150000枚目の印刷で得られた画像上に、画像に無関係なトナーが落ちている(付着している)ことを目視で確認した。また、比較例3に係る現像剤を用いた場合、200000枚目の印刷で得られた画像上に、画像に無関係なトナーが落ちている(付着している)ことを目視で確認した。
【0185】
これら以外の現像剤を用いた場合、300000枚目の印刷で得られた画像であっても、特に問題が発生しなかった。具体的には、形成画像に画像に無関係なトナーが落ちている(付着している)ことを目視で確認できなかった。
【0186】
表1、表2及び300000枚耐久印刷の結果からわかるように、コア材と、前記コア材を被覆するコート樹脂とを含み、前記コート樹脂が、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤(アミノシランカップリング剤)とを含むキャリアを含有する電子写真用現像剤であって、トナー、前記キャリア及び前記電子写真用現像剤の、BET法によって測定されるBET比表面積をそれぞれ、S/g、S/g及びS/gとし、前記電子写真用現像剤1質量部に対する、前記トナー及び前記キャリアの含有量をそれぞれ、C質量部及びC質量部とする場合、下記式(1)を満足する電子写真用現像剤を用いた場合(実施例1〜14)は、他の場合(比較例1〜7)と比較して、画像濃度が高く、かぶり濃度が低く、さらに、トナーの帯電性が安定していることがわかった。
【0187】
0.8≦S/(S×C+S×C)≦0.95 (1)
さらに、実施例1〜14に係る電子写真用現像剤を用いた場合、300000枚耐久印刷しても、好適な画像が得られることがわかった。
【0188】
これらのことから、実施例1〜14に係る電子写真用現像剤は、長期間にわたって高画質な画像を形成することができることがわかった。
【符号の説明】
【0189】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 定着部
5 排紙部
6 搬送ローラ
7 画像形成ユニット
11 中間転写ベルト
12 2次転写ローラ
13 駆動ローラ
14 ベルト支持ローラ
15 バックアップローラ
16 1次転写ローラ
21 給紙カセット
22 ピックアップローラ
23,24,25 給紙ローラ
26 レジストローラ対
27 ピックアップローラ
41 加熱ローラ
42 加圧ローラ
71 感光体ドラム
72 現像装置
73 クリーニング装置
74 除電器
75 帯電器
76 露光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを含有する電子写真用現像剤であって、
前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、
前記キャリアが、コア材と、前記コア材を被覆するコート樹脂とを含み、
前記コート樹脂が、フッ素系樹脂と、分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤とを含み、
前記トナー、前記キャリア及び前記電子写真用現像剤の、BET法によって測定されるBET比表面積をそれぞれ、S/g、S/g及びS/gとし、前記電子写真用現像剤1質量部に対する、前記トナー及び前記キャリアの含有量をそれぞれ、C質量部及びC質量部とする場合、下記式(1)を満足することを特徴とする電子写真用現像剤。
0.8≦S/(S×C+S×C)≦0.95 (1)
【請求項2】
前記シランカップリング剤の含有量が、前記コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜10質量部である請求項1に記載の電子写真用現像剤。
【請求項3】
前記フッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びポリテトラフロロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の電子写真用現像剤。
【請求項4】
前記コート樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用現像剤。
【請求項5】
前記コート樹脂の被覆量が、前記コア材100質量部に対して、0.5〜10質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用現像剤。
【請求項6】
前記フッ素系樹脂の含有量が、前記コート樹脂の樹脂成分100質量部に対して、20〜90質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用現像剤。

【図1】
image rotate