説明

電子写真用紙及び電子写真画像の形成方法

【課題】150μm厚以上の厚手でも80〜100μm厚のコピー用紙と同等の定着条件で定着が可能で、光沢の均一性とひび割れ耐性が改善された電子写真用紙と、それを用いた電子写真画像の形成方法を提供する。
【解決手段】基紙上に、少なくとも1層の塗工層を有する電子写真用紙において、該塗工層の最表面層が中空粒子を含む空隙層であり、該空隙層は厚さ10μm以上で、空隙率が40体積%以上であり、かつ平均粒径が0.1μm以上で、軟化点が40℃以上、140℃以下の熱可塑性樹脂からなる微粒子を含有することを特徴とする電子写真用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した機器に使用する電子写真用紙及びそれを用いた電子写真画像の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやパソコンの高速化、大容量化とともにプリンターの高速化が著しく進展した結果、固定情報と可変情報が混在する情報を数百から数千部複製することが可能となった。これが、要求に応じコンピュータ内にあるデジタル情報を直接印刷するオンデマンド印刷といわれるものである。
【0003】
オンデマンド印刷は、社内報、自費出版物、各種マニュアル、製品カタログなどに利用されており、用いられる電子写真用紙は、一般用紙、コート紙、キャストコート紙など広範囲の種類の用紙が使用され、紙厚も薄いものでは100μm以下の用紙から厚いものでは300μmを超える用紙が用いられている。
【0004】
一般に、電子写真用紙の膜厚が厚くなると、プリンターの定着温度を上げたり、定着速度を下げる対処が必要となる。紙厚が厚くなると、定着熱がより紙側に奪われるため、80〜100μmの一般コピー用紙と200μm厚のコート紙では、定着条件を変えることが必要とされている。
【0005】
オンデマンド印刷においても、厚さの異なる用紙を用いた印刷では、定着条件を変更して印刷することになるが、定着条件の変更は生産性を大きく低下させることになるため、80〜100μmの一般コピー用紙と同じ様な高速の定着条件で定着ができる電子写真用紙が望まれていた。
【0006】
また、オンデマンド印刷においては、画像品質がオフセット印刷に近似の品質であることが望まれている。オンデマンド印刷では数μmの大きさのトナーを用いた画像形成であることから、トナー濃度により光沢感に違いが見られることで画像品質を落としており、光沢の均一性を改善することが望まれていた。光沢の均一性改善では、中空粒子を電子写真用紙の最表層に含有する全顔料の5質量部以上添加することでの改善することが示されている(特許文献1参照)が、十分な効果は得られてないばかりでなく、定着後の定着面の脆性が劣化し、ひび割れの発生が目立つことが分かった。
【特許文献1】WO2004−29725号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、150μm厚以上の厚手でも80〜100μm厚のコピー用紙と同等の定着条件で定着が可能で、光沢の均一性とひび割れ耐性が改善された電子写真用紙と、それを用いた電子写真画像の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
1.基紙上に、少なくとも1層の塗工層を有する電子写真用紙において、該塗工層の最表面層が中空粒子を含む空隙層であり、該空隙層は厚さ10μm以上で、空隙率が40体積%以上であり、かつ平均粒径が0.1μm以上で、軟化点が40℃以上、140℃以下の熱可塑性樹脂からなる微粒子を含有することを特徴とする電子写真用紙。
【0010】
2.厚さが150μm以上であることを特徴とする前記1に記載の電子写真用紙。
【0011】
3.前記空隙層の厚さが、15μm以上、50μm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の電子写真用紙。
【0012】
4.前記空隙層における前記中空粒子の含有率が、50質量%以上、90質量%以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0013】
5.前記空隙層の空隙率が、50体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0014】
6.前記中空粒子の中空率が、40体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0015】
7.前記中空粒子を構成する樹脂が、スチレン−アクリル系共重合体であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0016】
8.前記中空粒子のガラス転移温度Tgが65℃以上、95℃以下であり、かつ流出開始温度が120℃以上、150℃以下であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0017】
9.前記空隙層が含有する前記熱可塑性樹脂からなる微粒子の平均外形L1に対する前記中空粒子の平均外径L2の比(L2/L1)が、0.5以上、2.0以下であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0018】
10.前記空隙層における熱可塑性樹脂からなる微粒子P1と前記中空粒子P2との質量比(P1:P2)が、10:90〜50:50であることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【0019】
11.厚手用紙に電子写真画像を形成する電子写真画像の形成方法において、該厚手用紙が前記2〜10のいずれか1項に記載の電子写真用紙であって、該電子写真用紙に電子写真方式のフルカラー画像形成装置で設定されている普通紙モードの定着条件で、電子写真画像を定着させることを特徴とする電子写真画像の形成方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、150μm厚以上の厚手でも、80〜100μm厚のコピー用紙に画像出力する普通紙モードの定着条件で定着が可能で、光沢の均一性とひび割れ耐性が改善された電子写真用紙と、それを用いた電子写真画像の形成方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基紙上に、少なくとも1層の塗工層を有する電子写真用紙において、該塗工層の最表面層が中空粒子を含む空隙層であり、該空隙層は厚さ10μm以上で、空隙率が40体積%以上であり、かつ平均粒径が0.1μm以上で、軟化点が40℃以上、140℃以下の熱可塑性樹脂からなる微粒子を含有することを特徴とする電子写真用紙により、例えば、150μm厚以上の厚手でも80〜100μm厚のコピー用紙と同等の定着条件で定着が可能で、光沢の均一性とひび割れ耐性が改善された電子写真用紙を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0023】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0024】
《基紙》
本発明の電子写真用紙に適用可能な基紙としては、非塗工紙、塗工紙のいずれでも使用でき、また内添填料は使用しても使用しなくてもよい。内添填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの他にカオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、有機顔料などが挙げられる。
【0025】
本発明の電子写真用紙の基紙を製造する際に使用する内添サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、中性抄紙の場合には、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤、カチオン性スチレンアクリルなどが挙げられる。
【0026】
本発明の電子写真用紙の基紙を製造する際に使用する紙料中には、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、歩留まり向上剤、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の濾水向上剤、紙力向上剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
【0027】
本発明の電子写真用紙の基紙の表面には、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン澱粉、燐酸澱粉、燐酸エステル化澱粉などの加工澱粉、変性澱粉、カゼイン、ポリビニルルアルコールなどのバインダー、スチレン/アクリル酸系共重合体、スチレン/メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体などの表面サイズ剤、エチレン−尿素樹脂などの寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料を塗工することができる。
【0028】
上記のバインダーおよび表面サイズ剤などを塗工する装置としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはメタードフィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロッドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーターなどを用いることができる。これら塗工装置の中では紙層内部へも上記のサイズプレス液を含浸させるような方式のものが望ましい。
【0029】
本発明の電子写真用紙の基紙製造に使用できるパルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に、ケナフやバガスなどの非木材パルプや古紙パルプが挙げられ、必要に応じて単独あるいは併用して用いられる。
【0030】
その他の添加剤としては、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0031】
本発明で使用する基紙の抄紙方法において、適用可能な抄紙機としては、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を挙げることができる。
【0032】
基紙の厚さとしては、特に制限はないが、本発明の効果をいかんなく発揮できる観点からは、少なくとも10μmの空隙層を設けた150μm以上の本発明の電子写真用紙とするに、紙厚としては140μm以上であることが好ましく、より好ましくは、150μm以上、300μm以下である。また、紙の緊度によるが、通常、坪量では130〜350g/m2程度の紙を使用できる。また、本発明においては、基紙の両方の面にフィルム形成能ある樹脂で被覆された支持体上に本発明の塗工層を設けても構わない。
【0033】
《空隙層》
本発明の電子写真用紙においては、基紙上に少なくとも1層の塗工層を有し、該塗工層の最表面層が中空粒子を含む空隙層であることを特徴の1つとする。すなわち、中空粒子から構成される空隙構造と中空粒子間に形成される空隙部からなる空隙層を有する。
【0034】
本発明において、中空粒子とは、主に熱可塑性樹脂から構成される殻部(シェル部)と、その殻部の内部に空気やその他の気体を保持するもので、既に発泡状態となっている中空状の粒子を指す。
【0035】
本発明における中空粒子の形状は、特に限定されず、真球状、扁平状、不定形等の各種形状を取っていても構わないが、球状であることが好ましい。また、本発明に係る中空粒子は、支持体へ空隙層塗布液を塗布、乾燥する際に、変形あるいは破壊されないものが望ましい。
【0036】
本発明に係る中空粒子の殻部を構成する材料としては、例えば、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニル系共重合体、尿素ホルマリン樹脂等が挙げられるが、好ましくはスチレン−アクリル系共重合体である。
【0037】
また、本発明においては、架橋型中空粒子も好ましく用いられる。ここで、架橋型とは、中空粒子のシェルを構成している樹脂が何らかの方法により架橋されていることを意味しており、例えば、スチレン−アクリル共重合体を主成分とする中空粒子であれば、粒子合成時にジビニルベンゼン等で架橋されているようなものを指す。本発明における架橋度の目安としては、乾燥中空粒子100mgをメチルエチルケトンとトルエンを質量比で1:1に混ぜた液100mlに添加し、常温で8時間攪拌した後の固形分残量比率が60%以上のものが好ましい。
【0038】
本発明に係る空隙層に適用可能な中空粒子は、酸性基含有単量体及びこれと共重合可能な単量体を用いて、例えば、特公平7−21011号公報、特許第3339139号公報、特許第3601215号公報、特公平7−35448号公報、特開第3465826号公報等に記載されている方法を参考に製造することができる。また、市販品としては、日本ゼオン社製のMH8101(平均粒径1.0μm)、MH5055(平均粒径0.50μm)や、ローム&ハース社製のHP1055(平均粒径1.0μm)等を使用することができる。
【0039】
本発明に係る中空粒子としては、光沢の均一性の上げるためには、ガラス転移温度が65〜95℃であり、かつ流出開始温度が120〜150℃である中空粒子が好ましい。
【0040】
樹脂組成ではスチレン−アクリル系共重合体が好ましく用いられるが、前記の製造方法に関する公報から、アクリル比率を高めることで容易に製造することができる。
【0041】
ガラス転移温度が65〜95℃であり、かつ流出開始温度が120〜150℃である中空粒子の製造方法は、上記の各公報に記載の製造例を参考にして、樹脂組成や架橋度を制御することで、製造することができる。
【0042】
本発明でいう中空粒子のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 6000(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー電子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)等で測定して求めることができ、この時、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をTgとする。
【0043】
本発明でいう中空粒子の流出開始温度は、フローテスターCFT−500C(島津製作所製)を用いて測定されたものであり、1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャにより200N/cm3の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す様にしたときに、試料がノズルより流出を開始する温度である。
【0044】
本発明に係る空隙層においては、平均粒子径が0.3〜3.0μmの中空粒子を用いることが好ましい。平均粒子径が0.3μmより小さいと、中空粒子間の隙間が狭くなることにより、断熱効果の低下が起こり本発明の効果を損なう。また、平均粒子径が3.0μmを超えると、表面光散乱が大きくなり、その結果、光沢の均一性に悪影響となる。
【0045】
本発明でいう粒子径とは、公知の方法により求めることができ、例えば、電子顕微鏡での粒子測定、レーザー回折式粒子径分布測定装置等を用いて測定できる。平均粒子径は、上記測定方法により測定した粒子径の算出平均であり、粒子個数は無差別に20個以上あることとする。
【0046】
本発明に係る中空粒子は、{中空粒子の内径/中空粒子の外径}×100(%)で定義される中空率が30体積%以上、70体積%以下であることが好ましく、より好ましくは40体積%以上で、70体積%以下である。中空率が30体積%に満たない中空粒子は本発明の性能を十分だすことが困難であり、中空率が70体積%を越える中空粒子は、中空粒子の製造が困難である。
【0047】
中空粒子の内径は、前記粒子径測定方法、透過型電子顕微鏡による粒子径測定を用いて殻部の厚みを同時に測定し計算から求めることができる。粒子個数は同じく20個以上サンプリングし、算術平均をとることとする。
【0048】
本発明において、空隙層は中空粒子を含有することで空隙を形成するが、空隙層に中空粒子を50質量%以上、90質量%以下で含有することが好ましい。含有量が50質量%未満であると本発明の目的とする効果が得られにくく、90質量%を超えると脆性悪化を招きやすい。
【0049】
本発明において、空隙層の空隙率は40体積%以上であればよいが、50体積%以上、70体積%以下であることが好ましい。空隙率が70体積%を超える断熱層形成では高速塗布での膜形成が悪く生産適性に課題がある。
【0050】
なお、ここでいう空隙率は、下式に従って得られた値である。
【0051】
空隙率(%)=〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/全乾燥膜厚〕×100
本発明に係る空隙層は、基紙上の一方の面側のみに設けられても、あるいは両面に設けられていてもよく、空隙層の膜厚が10μm以上であることを特徴とする。片面にのみ設けられる場合には、その最表面層である空隙層が10μm以上であり、また基紙の両面にそれぞれ空隙層を設ける場合には、各々空隙層を10μm以上で設けることを特徴とする。本発明に係る空隙層の膜厚は10μm以上であれば良いが、15〜50μmであることが好ましい。膜厚は50μmを超えても本発明の効果は十分得られるが、経済的な負荷を負うことになる。
【0052】
本発明に係る空隙層の空隙部は、中空粒子の中空部からなる空隙部以外に中空粒子間の出来た間隙を含めた空隙部からなる。
【0053】
中空粒子間に空隙部を設ける手段としては、中空粒子を保持するバインダー量を中空粒子の80質量%以下、好ましくは10質量%以上、50質量%以下とすることで形成することができる。10質量%に満たないバインダー量である場合には、空隙層の脆性劣化が大きいため、実用化には適さない。
【0054】
上記中空粒子を分散保持するバインダーとしては、特に限定はないが、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、アクリル−マレイン酸樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等のエマルジョンタイプの合成樹脂、ポリビニルアルコール、スターチ、カゼイン、ゼラチン等の水溶性高分子、カルボキシ・メチルセルローズ、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
【0055】
本発明に係る空隙層には、平均粒径が0.1μm以上で、軟化点が40〜140℃である熱可塑性樹脂から構成される微粒子を含むことが特徴であり、更には、軟化点が60〜110℃であると本発明の効果をより好ましくは発現することができる。
【0056】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂の微粒子は平均粒径が0.1μm以上であるが、空隙層が含有する熱可塑性樹脂からなる微粒子の平均外形をL1とし、中空粒子の平均外径をL2としたとき、その比L2/L1が、0.5以上、2.0以下であることが好ましい。
【0057】
また、空隙層における熱可塑性樹脂からなる微粒子P1と中空粒子P2との質量比(P1:P2)が、10:90〜50:50であることが好ましい。
【0058】
本発明において熱可塑性樹脂の軟化点とは、フローテスター(CFT500、島津製作所製)を用いて、測定条件を、荷重200N/cm2、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ1mm、予備加熱80℃で10分間、昇温速度6℃/minとし、サンプル量1cm3(真比重×1cm3で表される質量)を測定記録したとき、フローテスターのプランジャー降下量−温度曲線(軟化流動曲線)におけるS字曲線の高さをhとしたとき、h/2のときの温度をいう。
【0059】
本発明に係る熱可塑性樹脂の微粒子は、定着前は周辺の中空粒子や熱可塑性樹脂の微粒子との間に空隙部を有する空隙部を形成し、定着時には熱可塑性樹脂の微粒子が軟化、変形、溶融して中空粒子と接着することにより、少ないバインダー比率でありながら、定着後の折れやひび割れ等の脆性悪化を防止するものである。
【0060】
本発明に係る熱可塑性樹脂の微粒子としては、例えば、以下の熱可塑性樹脂を例示することができる。
【0061】
(イ)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等、
(ロ)エステル結合を有するもの、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、アビエチン酸、コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのジエーテル誘導体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2付加物等)、ビスフェノールS、2−エチルシクロヘキシルジメタノール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシルジメタノール、グリセリン等のアルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基等が置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂またはポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂。具体的には、特開昭59−101395号、同63−7971号、同63−7972号、同63−7973号、同60−294862号に記載のものを挙げることができる、
(ハ)ポリウレタン樹脂等、
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等、共重合ナイロン樹脂、
(ホ)ポリスルホン樹脂等、
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等、
(ト)ポリビニルブチラール等のポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等、
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等。
【0062】
また、市販品としては東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130等、花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010等、ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153等、ニチゴーモビニール製の082、081F、住友精化製のザイクセン、セボルジョン、日本合成化学製のポリスターTP−220、R−188等を挙げることができる。
【0063】
上記の各熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、またはこれらの熱可塑性樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
【0064】
本発明に係る空隙層には、上記説明した中空粒子や熱可塑性樹脂の微粒子の他に、各種顔料を添加することができる。顔料として、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、デラミネーティッドカオリン、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、カチオン修飾したコロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料などが挙げられる。
【0065】
また、その他の添加剤として、バインダー架橋剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、染料定着剤、無機および有機導電剤などを適宜配合することもできる。
【0066】
本発明に係る空隙層にはワックスも含有することができる。ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、石油ワックス、変性ワックス、水素化ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、合成炭化水素等が挙げられる。
【0067】
石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、酸アミド化合物あるいは酸イミド化合物等が挙げられる。
【0068】
変性ワックスとしては、例えば、アミン変性ポリプロピレン、アクリル酸変性やフッ素変性、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス、アルコール型ワックス等が挙げられる。
【0069】
水素化ワックスとしては、例えば、硬化ひまし油、ヒマシ油誘導体、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸、ウンデシレン酸、マレイン酸、高度マレイン化油、吹込油、シクロペンタジエン化油等の合成ワックス等が挙げられる。
【0070】
植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油等が挙げられる。
【0071】
動物系ワックスとしては、例えば、蜜蝋、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋等が挙げられる。
【0072】
鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン等の天然ワックスや、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0073】
合成炭化水素としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等、酸アミド化合物あるいは酸イミド化合物等が挙げられる。
【0074】
これらの中でも、カルナバワックス、脂肪酸エステル系ワックス、パラフィンワックス、酸アミド化合物等が好適である。
【0075】
本発明で使用されるワックスの量は、ワックスの種類にもよるが、例えば、空隙層であるトナー受容層の質量に対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%であることが適当である。
【0076】
空隙層へのワックスの添加方法においては、特に制限はないが、ワックスを加熱して融解した液を添加する方法、ワックスが微細に分散された水分散エマルションを添加する方法、等がある。
【0077】
本発明に係る空隙層は、電子写真用紙の使い方によって片面塗工、両面塗工とすることができる。塗工層を設ける方法は特に限定されるものではなく、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはメタードフィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレーコーターなどを適宜使用することができる。
【0078】
また、本発明に係る空隙層は、塗布形成後に表面処理しても、しなくても構わない。空隙層の表面処理の方法は、特に限定されるものでなく、例えば、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー、多段ソフトニップカレンダー、マシンカレンダー、リウェットキャストなどを適宜使用することができる。
【0079】
本発明に係る空隙層と基紙の間には、同様に中空粒子を含有する空隙層、顔料と樹脂接着剤からなる塗工層、等を設けることができる。
【0080】
本発明の電子写真用紙の白色度は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、高い方が好ましい。白色度としては、CIE 1976(L***)色空間においてL*値が80以上が好ましい。また、白色の色味は、できるだけニュートラルであることが好ましい。白色の色味としては、L***空間において(a*2+(b*2の値が、50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。
【0081】
本発明の電子写真用紙における表面電気抵抗としては、1×106〜1×1015Ω(25℃、65%RHの条件)であるのが好ましい。上記表面電気抵抗が、1×106Ω未満であると、トナー受容層にトナーが転写される際のトナー量が十分でなく、得られるトナー画像の濃度が低くなり、一方、1×1015Ωを超えると、転写時に必要以上の電荷が発生し、トナーが十分に転写されず、画像の濃度が低くなり、電子写真受像シートの取扱中に静電気を帯びて塵埃が付着しやすく、また、複写時にミスフィード、重送、放電マーク、トナー転写ヌケ等が発生しやすくなる点で好ましくない。
【0082】
本発明の電子写真用紙は、電子写真方式により電子写真用トナーによる画像形成に使用することができ、電子写真用カラートナーによるカラー画像形成に好適に使用することができる。
【0083】
《電子写真用トナー》
本発明において、トナーは樹脂バインダーと着色材とワックスを含む重合トナーであることが好ましい。
【0084】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合して微粒の重合体粒子(樹脂粒子)を調製し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を会合する方法で製造することができる。ここで「会合」とは、前記樹脂粒子が複数個融着することをいい、当該樹脂粒子と他の粒子(例えば着色剤粒子)とが融着する場合も含むものとする。
【0085】
本発明に係るトナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。なお、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0086】
また、本発明に係るトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0087】
トナーの樹脂バインダー成分としては、公知の樹脂を用いることができるが、一般には、ポリエステル樹脂やスチレン−アクリル樹脂等を主に用いることができる。また、塗被層上に画像を形成する場合には、塗被層に含まれる接着剤等の樹脂成分との相溶性の高い樹脂をトナーの樹脂バインダー成分として選択することが好ましい。このような観点からは、トナーの樹脂バインダー成分としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂等の中から目的に応じて1種或いは2種以上の混合物を使用することが好ましい。
【0088】
本発明に係るトナーに用いられるワックスとしては、特に限定されるものではなく、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロシュワックス、エステルワックスなどの融点を有する有機化合物を用いることができる。ワックスの融点は、定着時にトナー樹脂中からブリードアウトするという観点から50℃以上100℃以下であることが好ましい。
【0089】
ワックスの含有割合は、トナー全体において、通常1〜30質量%とされ、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%とされる。
【0090】
本発明においては、塩析/融着時に離型剤粒子を添加する手法によって離型剤を含有する樹脂粒子を得ることもできるが、少なくとも重合性単量体中に離型剤を溶解させ、この離型剤を含有した重合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることによって得えられたものであることが好ましい。このような手法によって得られた離型剤を含有する樹脂粒子においては、離型剤の存在状態を均一化することができるとともに、トナー間での離型剤存在状態の差をなくすことができる。
【0091】
トナーの体積平均粒子径は、2〜10μmの範囲内であることが好ましく、3〜9μmの範囲内であることがより好ましい。トナーの体積平均粒子径が、2μm未満であると、帯電性が不十分になりやすく、現像性が低下する場合があり、一方、10μmを越えると、画像の解像性が低下する場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0092】
《電子写真画像の形成方法》
本発明の電子写真画像の形成方法において、電子写真画像形成方法のプロセスとしては、帯電、画像入力及び定着の各工程におけるプロセスに特に制限はなく、従来公知のプロセスを用いることができる。
【0093】
本発明の電子写真画像形成方法においては、厚手用紙として本発明の電子写真用紙を使用し、80〜100μm厚の一般用コピー用紙を定着処理するのと同様の条件、すなわち、普通紙モードの定着条件で、電子写真画像を定着させることを特徴とする。
【0094】
(フルカラー画像形成装置)
本発明の電子写真画像の形成方法に適用可能なフルカラー画像形成装置としては、乾式電子写真方式のフルカラー複合機、フルカラー複写機やカラーレーザープリンタを挙げることができ、例えば、bizhub PRO C500、bizhub PRO C6500、bizhubC450、magicolor 5440DL(以上、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)、DocuColor 5065、DocuPrint C3540(以上、富士ゼロックス(株)製)、imagePRESS C1(キャノン(株)製)等が挙げられる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0096】
実施例1
《基紙A〜Dの作製》
硫酸塩法晒広葉樹パルプ(LBKP)を50部、硫酸塩法晒針葉樹パルプ(NBSP)を50部、軽質炭酸カルシウムを9部、カチオン化澱粉を1部、市販のポリアクリルアミド歩留まり向上剤を0.05部調整し、坪量88g/m2で厚さ93μmの基紙A、坪量145g/m2で厚さ150μmの基紙B、坪量210g/m2で厚さ205μmの基紙C、坪量290g/m2で厚さ295μmの基紙Dを抄造した。
【0097】
《電子写真用紙試料の作製》
〔試料101〜104の作製〕
上記作製した基紙A〜Dをそれぞれ電子写真用紙の試料101〜104とした。
【0098】
〔試料105〜108の作製〕
上記作製した基紙A〜D上に、下記塗工層a塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる条件で両面塗工、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、電子写真用紙105〜108とした。
【0099】
(塗工層a塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子A分散液(ローペークHP91、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度27.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率50%) 63質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 30質量%
りん酸エステル澱粉(王子コーンスターチ(株)製) 6質量%
ステアリン酸カルシウム 1質量%
塗工層aの空隙率は33%であった。
【0100】
なお、上記及び下記に記載の塗工液の添加剤配合比率とは、塗工液を構成する水以外の構成材料の比率を示したものであり、最終的な塗工液は、この配合比率から構成される各添加剤に所定の水を添加し、塗工に最適な粘度条件として塗工した。
【0101】
〔試料109〜112の作製〕
上記作製した基紙A〜D上に、下記塗工層b塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる条件で両面塗工、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、電子写真用紙109〜112とした。
【0102】
(塗工層b塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子B分散液(Nipol MH8101、日本ゼオン株式会社製 固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率51%) 75質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 24質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層bの空隙率は55%であった。
【0103】
〔試料113〜116の作製〕
上記作製した基紙A〜D上に、下記塗工層c塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる条件で両面塗工、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、電子写真用紙113〜116とした。
【0104】
(塗工層c塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子B分散液(Nipol MH8101、日本ゼオン株式会社製 固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率51%) 75質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 15質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 9質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層cの空隙率は60%であった。
【0105】
〔試料117〜120の作製〕
上記作製した基紙C上に、前記塗工層b塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が、試料117は6μm、試料118は11μm、試料119は35μmになる条件で両面塗工乾燥し、その後ソフトカレンダー処理を施して、電子写真用紙である試料117〜119を作製した。また、基紙C上に前記塗工層b塗工液をブレードコーターにてトナー転写を行う片面のみに、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が40μmになる条件で片面塗工した後乾燥し、その後ソフトカレンダー処理を施して、電子写真用紙である試料120を作製した。
【0106】
〔試料121の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層d塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになるに塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理をし施して、試料121を作製した。
【0107】
(塗工層d塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子C分散液(MH5055、日本ゼオン株式会社製 固形分濃度30質量%、平均粒子径=0.5μm、中空率43%) 75質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 15質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 9質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層dの空隙率は48%であった。
【0108】
〔試料122の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層e塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料122を作製した。
【0109】
(塗工層e塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子C分散液(MH5055、日本ゼオン株式会社製 固形分濃度30質量%、平均粒子径=0.5μm、中空率43%) 65質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 25質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 9質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層eの空隙率は41%であった。
【0110】
〔試料123の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層f塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料123を作製した。
【0111】
(塗工層f塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 75質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 15質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 9質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層fの空隙率は64%であった。
【0112】
〔試料124の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層g塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料124を作製した。
【0113】
(塗工層g塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 80質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 10質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 9質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層gの空隙率は72%であった。
【0114】
〔試料125の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層h塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料125を作製した。
【0115】
(塗工層h塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子E分散液(下記) 76質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 14質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 9質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層hの空隙率は65%であった。
【0116】
〈中空粒子E分散液の調製〉
特公平7−91390公報に記載されている実施例5のB1を参考にして、合成過程の充密重合体ラテックスの単量体を表1に示すように変更した以外は同様にして、下記の方法に従って、中空粒子Eを調製した。
【0117】
「種ラテックスの合成」
攪拌装置、還流冷却管、温度計、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口フラスコ中にイオン交換水300部を入れ、スチレン95部及びメタクリル酸5部を加えて攪拌を行ないながら加温した。内温が70℃に達した後、3%過硫酸カリウム水溶液17部を滴下ロートで添加して、反応を開始させた後、70℃に維持しなから3時間かけて重合反応を完結させ、固形分濃度24%、pH2.3、質量平均粒子径160nmとなる種ラテックスを調製した。質量法により重合転化率を求めたところ、99%であった。
【0118】
「充密重合ラテックスE1の調製」
上記と同様の反応容器中に、イオン交換水518部と3.3部の種ラテックスαとを仕込んで加温し、内温が80℃に到達した後、3%の過硫酸カリウム水溶液30部を滴下ロートよりフラスコに添加した。次いで、滴下ロートをイオン交換水20部で洗浄した後、スチレン95部、メタクリル酸メチル5部、メタクリル酸3部、ブタジエン1部、及びジビニルベンゼン0.2部より成る単量体混合物を滴下ロートから6時間かけて添加した後、2時間80℃に維持し重合反応を完結させた。得られたラテックスE1の固形分濃度は15%、質量法により求めた重合転化率は97%であった。
【0119】
「中空粒子分散液の調製」
上記と同様の反応容器中にイオン交換水870部、ラテックスA1を100部、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム1部、メチルエチルケトンを30部、10%水酸化カリウム水溶液44部を仕込み80℃にて3時間攪拌を行なった。次いで、1%硫酸水溶液400部を加え、80℃にて3時間攪拌を行ないその後室温に冷却したのち、有機溶剤を減圧除去した後、得られたラテックスを水で固形分濃度が26%となるように希釈し、中空粒子E分散液を得た。
【0120】
〔試料126〜132の作製〕
上記試料125の作製で用いた中空粒子E分散液を、表1に記載の中空粒子F〜Lに変更して塗布液i〜oとした以外は全て試料125と同様にして、試料126〜132を作製した。
【0121】
(中空粒子F〜Lの調製)
上記中空粒子Eの製造において、特公平7−21011号公報、特許第3339139号公報、特許第3601215号公報、特公平7−35448号公報、特開第3465826号公報等に記載されている合成方法に準じて、表1に示すようにモノマー組成の種類及び比率を変化させた以外は同様にして、中空粒子F〜Lを調製した。
【0122】
なお、表1に略称で記載の各モノマーの詳細は、以下の通りである。
【0123】
St:スチレン
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
nBA:n−ブチルアクリレート
Bd:ブタジエン
DVB:ジビニルベンゼン
(各中空粒子の特性値の測定)
上記試料105〜試料132の作製に用いた各分散液を、40℃湿度成り行きの条件下で24時間乾燥させて得られた中空粒子A〜Lについて、下記の方法に従って、中空粒子の平均粒径、空隙率、ガラス転移点温度(Tgと略記する)及び流出開始温度(Tfbと略記する)の測定を行った。
【0124】
〈平均外径の測定〉
透過型電子顕微鏡装置(TEM)、「JEM−200FX」(日本電子社製)を用いて、100個の中空粒子の外径を測定し、その平均値を求め、これを平均粒径とした。
【0125】
〈空隙率の測定〉
透過型電子顕微鏡装置(TEM)、「JEM−200FX」(日本電子社製)を用いて、100個の中空粒子の透過画像を撮影し、得られた中空粒子画像で、濃度の異なる領域での内部(空隙部)及び外部(外殻部)の体積比率を測定し、全粒子体積に占める内部空隙部の体積比率を求め、これを空隙率とした。ここで観察される画像濃度の異なる領域が、内部の中空部と外殻部との境界領域である。
【0126】
〈ガラス転移点温度(Tg)の測定〉
各中空粒子について、示差走査熱量計(DSC220C、セイコー電子工業社製)を用いて、ガラス転移点温度(Tg)を測定した。
【0127】
〈流出開始温度(Tfb)の測定〉
各中空粒子について、フローテスターCFT−500C(島津製作所製)を用い、1cm3の各中空粒子を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャにより0.2MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す様にしたときに、試料がノズルより流出を開始する温度を求め、これを流出開始温度(Tfb)とした。
【0128】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0129】
【表1】

【0130】
〔試料133の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層p塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料133を作製した。
【0131】
(塗工層p塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 70質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 14質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(081F、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度40質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 15質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層pの空隙率は65%であった。
【0132】
〔試料134の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層q塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料134を作製した。
【0133】
(塗工層q塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 70質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 14質量%
エチレンアクリル酸共重合物エマルジョン(ザイクセンAC−HW−10、住友精化株式会社製、固形分濃度30質量%、平均粒径0.18μm、軟化点90℃)15質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層qの空隙率は64%であった。
【0134】
〔試料135の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層r塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料135を作製した。
【0135】
(塗工層r塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 70質量%
スチレンブタジエン系ラテックス(Nipol 1562、日本ゼオン(株)製、固形分濃度41質量%) 14質量%
共重合ナイロン樹脂エマルジョン(セポルジョンPA、住友精化株式会社製、固形分濃度40質量%、平均粒径1.1μm、軟化点130℃) 15質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層rの空隙率は65%であった。
【0136】
〔試料136の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層s塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料136とした。
【0137】
(塗工層s塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 80質量%
アルカリ処理ゼラチン 4質量%
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジンナトリウム塩水溶液(固形分7.5%) 1質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 14質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層sの空隙率は65%であった。
【0138】
〔試料137の作製〕
上記作製した基紙C上に、下記塗工層t塗工液をブレードコーターにて、ソフトカレンダー処理後の片面塗工厚が20μmになる塗工量で両面塗工し、乾燥した。次いで、ソフトカレンダー処理を施して、試料137とした。
【0139】
(塗工層t塗工液〈添加剤配合比率〉)
中空粒子D分散液(ローペークHP1055、ローム&ハース株式会社製、固形分濃度26.5質量%、平均粒子径=1.0μm、中空率55%) 80質量%
ポリビニルアルコール(クラレ工業(株):平均重合度3500) 4質量%
エチレン酢酸ビニル系共重合体エマルジョン(082、ニチゴー・モビニール株式会社製、固形分濃度45質量%、平均粒径0.8μm、軟化点100℃) 14質量%
ジオクチル・スルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(固形分濃度1%) 1質量%
なお、塗工層tの空隙率は65%であった。
【0140】
〔試料138の作製〕
市販コピー用紙であるコニカミノルタコピーペーパーNR−A80(コニカミノルタビジネステクノロジー社製)を、試料138とした。
【0141】
《電子写真用紙の評価》
画像形成装置として、搬送速度と定着器の温度を細かく変更できるように改造したフルカラー複写機「bizhub PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて、定着条件を適宜調整して、以下の評価を行った。なお、トナーは、bizhub PRO C500用トナーを用いた。
【0142】
〔最低定着温度の評価〕
定着速度を200mm/secに固定し、定着温度を130℃〜160℃に10℃間隔でそれぞれ設定して、マゼンタとシアンのベタからなる画像を各試料に出力した。次いで、トナー定着面に3M社製のメンディングテープを貼り付け、テープの引き剥がし評価を行い、トナー剥がれ有無を目視観察し、下記の基準に従って最低定着温度の評価を行った。
【0143】
◎:定着温度130℃でもトナー剥がれなし
○:定着温度130℃でトナー剥がれがやや発生し、140℃ではトナー剥がれなし
△:定着温度140℃で剥がれがやや発生し、150℃ではトナー剥がれなし
×:定着温度150℃でもトナー剥がれが発生し、160℃ではトナー剥がれなし
××:定着温度160℃でもトナー剥がれ発生
以上の評価で、◎〜△のランクであれば、実用上許容範囲であると判定した。
【0144】
〔定着速度の評価〕
定着温度を150℃に固定し、定着速度を200mm/sec、300mm/sec、400mm/secの3条件で、マゼンタとシアンのベタからなる画像を各試料に出力した後、トナー定着面に3M社製のメンディングテープを貼り付け、テープの引き剥がし評価を行い、トナー剥がれ有無を目視観察し、下記の基準に従って定着速度の評価を行った。
【0145】
◎:定着速度400mm/secでもトナー剥がれなし
○:定着温度300mm/secではトナー剥がれの発生はないが、定着速度400mm/secではトナー剥がれがやや発生
△:定着温度200mm/secではトナー剥がれの発生はないが、定着速度300mm/secではトナー剥がれが発生
×:定着温度200mm/secでトナー剥がれがやや発生
××:定着温度200mm/secでもトナー剥がれの発生が著しい
以上の評価で、◎〜△のランクであれば、実用上許容範囲であると判定した。
【0146】
〔光沢均一性の評価〕
上記画像形成装置を用い、各試料上に「人物画像」、「風景画像」、「静物画像」、「多色文字画像」をそれぞれプリントし、各画像について、トナー未定着の白地部、低濃度部、中濃度部、高濃度部における光沢差を、10人のパネラーによる目視評価を行い、その平均評価を基に、下記の基準に従って光沢均一性を判定した。
【0147】
◎:白地部〜高濃度部にかけて均一な光沢で、光沢差が見られない
○:目視角度を変えることで、わずかに光沢差が認められるが、実用上は問題はない
△:光沢差が認められる
×:光沢差が大きく、高品位画像としては許容されない品質である
以上の評価で、◎及び○のランクであれば、実用上許容範囲であると判定した。
【0148】
〔ひび割れ耐性の評価〕
上記画像形成装置を用い、各試料上に黒ベタ画像を形成し、このベタ画像を3cm×10cmの大きさに裁断し、10℃、15%RHの環境下で24時間調湿した。得られたサンプルを直径20mmの棒に巻き付けて表面のひび割れの発生度合いを目視観察し、下記の基準に従ってひび割れ耐性を評価した。
【0149】
◎:ひび割れの発生なし
○:僅かにひび割れが発生するが、実用上問題なし
△:ひび割れが若干発生する
×:ひび割れが多く発生する。
【0150】
以上の評価で、◎及び○のランクであれば、実用上許容範囲であると判定した。
【0151】
以上により得られた各評価結果を、表2、表3に示す。
【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
表2、表3に記載の結果より明らかなように、本発明の試料は、高速定着適性、低温定着適性に優れることで、厚手用紙でも優れた定着性能を有し、白地部〜高濃度部での光沢均一性のある高品位な画像プリントを提供でき、かつひび割れ性の問題が無いことが分かり、本発明の試料を用いることで、150μm厚を超える用紙でも、100μm以下の薄手用紙と同様の定着条件で画像形成できることが分かる。
【0155】
実施例2
実施例1で作製した試料101〜104、107、115、121〜131、138について、画像形成装置として、オプションの両面プリントユニットをつけた高速タンデム・カラーレーザープリンター「magicolor7450」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて、プリント条件として用紙種類を普通紙モード出力に設定し、連続20枚の両面へ「人物画像」、「風景画像」、「静物画像」、「多色文字画像」、「マゼンタベタ画像」、「シアンベタ画像」、「黒ベタ画像」の各画像のプリント出力を行い、得られたプリントのトナー定着性能、光沢均一性、ひび割れ性を評価した。光沢均一性、ひび割れ性は画像プリント20枚から出力1番目、10番目、20番目からのプリント3枚を選び、実施例1と同様に行い、その平均特性を求めた。また、トナー定着性能は、以下の方法に従って評価した。
【0156】
〔トナー定着性能の評価〕
マゼンタベタ画像とシアンベタ画像の各トナー定着面に、3M社製のメンディングテープを貼り付け、テープの引き剥がし評価を行い、トナー剥がれ有無を目視観察し、下記の基準に従って、トナー定着性能の評価を行った。
【0157】
◎:20枚全ての試料で、両面ともトナー剥がれなし
○:20枚中1〜2枚で、片面或いは両面にトナー剥がれがわずかに発生
△:20枚中3〜5枚で、片面或いは両面にトナー剥がれがわずか発生、または1〜2枚で、片面或いは両面にトナー剥がれが発生
×:20枚中3〜5枚で、片面或いは両面に明らかなトナー剥がれが発生、または1枚に、片面或いは両面にトナー剥がれが顕著に発生
××:20枚中6枚以上に、片面或いは両面にトナー剥がれが発生、または2枚以上に、片面或いは両面にトナー剥がれが顕著に発生
以上により得られた結果を、表4に示す。
【0158】
【表4】

【0159】
表4に記載の結果より明らかなように、本発明の試料は、100μm以下紙厚の一般用コピー用紙と同等のトナー定着性能を有するとともに、画像プリントの光沢均一性、優れたひび割れ耐性を有することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙上に、少なくとも1層の塗工層を有する電子写真用紙において、該塗工層の最表面層が中空粒子を含む空隙層であり、該空隙層は厚さ10μm以上で、空隙率が40体積%以上であり、かつ平均粒径が0.1μm以上で、軟化点が40℃以上、140℃以下の熱可塑性樹脂からなる微粒子を含有することを特徴とする電子写真用紙。
【請求項2】
厚さが150μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用紙。
【請求項3】
前記空隙層の厚さが、15μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用紙。
【請求項4】
前記空隙層における前記中空粒子の含有率が、50質量%以上、90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項5】
前記空隙層の空隙率が、50体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項6】
前記中空粒子の中空率が、40体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項7】
前記中空粒子を構成する樹脂が、スチレン−アクリル系共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項8】
前記中空粒子のガラス転移温度Tgが65℃以上、95℃以下であり、かつ流出開始温度が120℃以上、150℃以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項9】
前記空隙層が含有する前記熱可塑性樹脂からなる微粒子の平均外形L1に対する前記中空粒子の平均外径L2の比(L2/L1)が、0.5以上、2.0以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項10】
前記空隙層における熱可塑性樹脂からなる微粒子P1と前記中空粒子P2との質量比(P1:P2)が、10:90〜50:50であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真用紙。
【請求項11】
厚手用紙に電子写真画像を形成する電子写真画像の形成方法において、該厚手用紙が請求項2〜10のいずれか1項に記載の電子写真用紙であって、該電子写真用紙に電子写真方式のフルカラー画像形成装置で設定されている普通紙モードの定着条件で、電子写真画像を定着させることを特徴とする電子写真画像の形成方法。

【公開番号】特開2008−102387(P2008−102387A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285780(P2006−285780)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】