電子制御ユニット
【課題】実装される電子部品の熱を効果的に放熱可能な電子制御ユニットを提供する。
【解決手段】樹脂基板3は、金属製の板部材2に設置される。半導体モジュール4(41〜44)は、樹脂基板3の第1面31に表面実装される。コンデンサ6(61〜63)は、樹脂基板3の第1面31に実装され、半導体モジュール4に流れる電流を平滑化する。第1GND配線パターン71は、樹脂基板3の第1面31に設けられ、半導体モジュール4のGND端子とコンデンサ6のGND端子とを電気的に接続する。固定部材81は、金属により形成され、第1GND配線パターン71および樹脂基板3を貫いて板部材2に接合することにより、樹脂基板3を板部材2に固定するとともに、第1GND配線パターン71と板部材2とを電気的に接続する。コネクタ9は、第1GND配線パターン71を挟んで半導体モジュール4とは反対側に配置されている。
【解決手段】樹脂基板3は、金属製の板部材2に設置される。半導体モジュール4(41〜44)は、樹脂基板3の第1面31に表面実装される。コンデンサ6(61〜63)は、樹脂基板3の第1面31に実装され、半導体モジュール4に流れる電流を平滑化する。第1GND配線パターン71は、樹脂基板3の第1面31に設けられ、半導体モジュール4のGND端子とコンデンサ6のGND端子とを電気的に接続する。固定部材81は、金属により形成され、第1GND配線パターン71および樹脂基板3を貫いて板部材2に接合することにより、樹脂基板3を板部材2に固定するとともに、第1GND配線パターン71と板部材2とを電気的に接続する。コネクタ9は、第1GND配線パターン71を挟んで半導体モジュール4とは反対側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御ユニットに関し、特に電動式パワーステアリングシステムに適用可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のモータ制御化が進み、モータとその制御を司る電子制御ユニットが増加傾向にある。一方、ユーザに快適な空間を提供するために、車室内空間を拡げる試みがなされている。そのため、モータ及び電子制御ユニットを配置するためのスペースの確保が課題となっており、モータ及び電子制御ユニットの小型化が重要になっている。
【0003】
例えば、電動式パワーステアリングシステムに用いられる電子制御ユニットは、エンジンルームやインパネの奥側に配置される。ところが、電動式パワーステアリングシステムに用いられる電子制御ユニットは、大電流(約100A)でモータを駆動するため、スイッチング素子の発熱が大きくなる。したがって、このような電子制御ユニットを小型化するためには、高い放熱構造が必要となる。
【0004】
特許文献1〜5には、プリント基板において放熱用の配線パターンを設けることにより、基板に実装される電子部品の放熱を図る構成が開示されている。しかしながら、これらの構成においても、放熱用の配線パターンあるいは電子部品の配置等によっては、期待する放熱効果を得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−206199号公報
【特許文献2】実開平4−8489号公報
【特許文献3】特開平5−315782号公報
【特許文献4】特開2002−94196号公報
【特許文献5】特開2003−16772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装される電子部品の熱を効果的に放熱可能な電子制御ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、板部材と樹脂基板と半導体モジュールと制御部とコンデンサと第1GND配線パターンと固定部材とコネクタとを備える電子制御ユニットである。樹脂基板は、金属製の板部材に設置される。半導体モジュールは、樹脂基板の板部材とは反対側の面である第1面に表面実装される。制御部は、半導体モジュールによるスイッチング作動を制御する。コンデンサは、樹脂基板の第1面に実装され、半導体モジュールに流れる電流を平滑化する。第1GND配線パターンは、樹脂基板の第1面に設けられ、半導体モジュールのGND端子とコンデンサのGND端子とを電気的に接続する。固定部材は、金属により形成され、第1GND配線パターンおよび樹脂基板を貫いて板部材に接合することにより、樹脂基板を板部材に固定するとともに、第1GND配線パターンと板部材とを電気的に接続する。コネクタは、第1GND配線パターンを挟んで半導体モジュールとは反対側に配置されている。コネクタには、半導体モジュールに電流を供給するためのハーネスが接続される。
【0008】
上述の構成により、本発明では、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱は、第1GND配線パターンおよび固定部材を経由して板部材に伝達される。これにより、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱は、効果的に放熱される。このように、第1GND配線パターンおよび固定部材は、半導体モジュールおよびコンデンサのGND電流を板部材に伝達するだけでなく、半導体モジュールおよびコンデンサに生じる熱をも板部材に伝達する。
【0009】
また、第1GND配線パターンは、比較的発熱量の大きな半導体モジュールとコネクタとの間に配置されている。そのため、半導体モジュールからの発熱は、第1GND配線パターンにより遮られる。これにより、半導体モジュールからの発熱が樹脂基板を経由してコネクタ側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターンおよびコネクタ間に実装される部品との熱干渉を防ぐことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、樹脂基板の第1面とは反対側の面である第2面に設けられ、第1GND配線パターンと電気的に接続する第2GND配線パターンをさらに備える。これにより、第1GND配線パターンの熱を第2GND配線パターンに伝達させることができる。よって、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をより高めることができる。また、この構成において、第2GND配線パターンを板部材に当接させる、あるいは、第2GND配線パターンと板部材との間に熱伝導性の高い部材を設けることにより、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をさらに高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、樹脂基板の内部に設けられ、第1GND配線パターンと電気的に接続する第3GND配線パターンをさらに備える。これにより、第1GND配線パターンの熱を第3GND配線パターンに伝達させることができる。よって、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をより高めることができる。なお、第3GND配線パターンを複数設けることにより、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、第1GND配線パターンは、コネクタのGND端子に電気的に接続するようにして延びる延伸部を有する。これにより、半導体モジュールおよびコンデンサのGND電流は延伸部を経由してコネクタのGND端子にも流れ、かつ、半導体モジュールおよびコンデンサに生じる熱は延伸部を経由してコネクタのGND端子に伝達される。このように、半導体モジュールおよびコンデンサに生じる熱をコネクタのGND端子(ハーネス)に積極的に伝達させることにより、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、コンデンサは、それぞれが所定の間隔を空けて配置されるよう、複数設けられている。すなわち、複数のコンデンサは分散配置されている。これにより、必要とされるコンデンサの静電容量を確保しつつ、コンデンサからの発熱を効果的に放熱することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、第1GND配線パターンと半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板の第1面に実装されるシャント抵抗をさらに備える。シャント抵抗は、半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗で検出した電流値に基づき半導体モジュールを高精度に制御することができる。
【0015】
ここで、シャント抵抗には半導体モジュールを流れた電流が流れるため、シャント抵抗の発熱量は比較的大きい。本発明では、シャント抵抗は、第1GND配線パターンに対しコネクタとは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗からの発熱が樹脂基板を経由してコネクタ側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターンおよびコネクタ間に実装される部品との熱干渉を防ぐことができる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、第2GND配線パターンと半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板の第2面に実装されるシャント抵抗をさらに備える。シャント抵抗は、半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗で検出した電流値に基づき半導体モジュールを高精度に制御することができる。
【0017】
ここで、シャント抵抗には半導体モジュールを流れた電流が流れるため、シャント抵抗の発熱量は比較的大きい。本発明では、シャント抵抗は、第2GND配線パターンに対しコネクタとは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗からの発熱が樹脂基板を経由してコネクタ側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第2GND配線パターンおよびコネクタ間に実装される部品との熱干渉を防ぐことができる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、樹脂基板と板部材との間に、絶縁放熱シートおよび放熱グリスの少なくとも一方を備える。これにより、樹脂基板側の熱を板部材側に効果的に放熱することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、板部材は、半導体モジュールおよび第1GND配線パターンに対応する部分に、樹脂基板の第2面に向かって突出するよう形成される突出部を有する。これにより、板部材(突出部)を第2面のうち半導体モジュールおよび第1GND配線パターンに対応する部分に容易に当接させることができる。さらに、突出部の厚み分、板部材のヒートマスを大きくすることができるため、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0020】
ところで、板部材に上述のような突出部を設ける場合、板部材(電子制御ユニット)の重量の増大が懸念される。そこで、請求項10に記載の発明では、突出部は、樹脂基板とは反対側の面に、樹脂基板側へ凹むよう形成される凹部を有する。これにより、板部材の放熱性を確保しつつ、板部材(電子制御ユニット)の重量の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図2】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを電動式パワーステアリングシステムに適用した状態を示す概略図。
【図3】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットの電気的な構成を示す図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットの板部材を示す図であって、(A)は上面図、(B)は底面図、(C)は(B)のC−C線断面図。
【図6】本発明の第2実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図7】本発明の第3実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図8】本発明の第4実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図9】本発明の第5実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図10】本発明の第6実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図11】本発明の第7実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図12】本発明の第8実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図13】本発明の第9実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図14】本発明の第10実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図15】図14のXV−XV線断面図。
【図16】本発明の第11実施形態による電子制御ユニットのシャント抵抗近傍を示す断面図。
【図17】本発明の第12実施形態による電子制御ユニットのシャント抵抗近傍を示す断面図。
【図18】本発明の第13実施形態による電子制御ユニットの第3GND配線パターン近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の複数の実施形態による電子制御ユニットを図に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを図1に示す。電子制御ユニット1は、図2に示すように、車両の電動式パワーステアリングシステム100に用いられ、操舵トルク信号および車速信号等に基づき、操舵のアシスト力を発生するモータ101を駆動制御するものである。
【0023】
電子制御ユニット1は、図1に示すように、板部材2、樹脂基板3、半導体モジュール4、制御部5、コンデンサ6、第1GND配線パターン71、固定部材81およびコネクタ9等を備えている。
板部材2は、例えばアルミ等の金属により、略矩形の板状に形成されている。
樹脂基板3は、例えばガラス繊維とエポキシ樹脂からなるFR−4等のプリント配線板である。樹脂基板3は、板部材2と同様略矩形に形成され、外形は板部材2より小さい。樹脂基板3は、その板面が板部材2の板面と略平行になるよう、板部材2に設置されている。
【0024】
電子部品の一種である半導体モジュール4は、樹脂基板3の板部材2とは反対側の面である第1面31に表面実装される。本実施形態では、半導体モジュール4は4つ(41〜44)設けられている。半導体モジュール4は、図示しないスイッチング素子を有している。
【0025】
本実施形態では、制御部5は、マイコン51およびカスタムIC52から構成されている。マイコン51は、樹脂基板3の第1面31に実装されている。一方、カスタムICは、樹脂基板3の第1面31とは反対側の面である第2面32に実装されている。
【0026】
電子部品の一種であるコンデンサ6は、樹脂基板3の第1面31に実装されている。本実施形態では、コンデンサ6は3つ(61〜63)設けられている。3つのコンデンサ6(61〜63)は、それぞれ所定の間隔を空けて直線状に配置されている。
【0027】
第1GND配線パターン71は、例えば銅等の金属薄膜により樹脂基板3上に形成される配線パターンである。第1GND配線パターン71は、樹脂基板3の第1面31に露出するよう設けられている。本実施形態では、第1GND配線パターン71は、長辺部711、および、長辺部711よりも短い短辺部712からなる。長辺部711と短辺部712とは、互いに略直角となるよう端部同士が繋がっている。すなわち、第1GND配線パターン71は、略L字状に形成されている。第1GND配線パターン71の長辺部711には、3つのコンデンサ6それぞれのGND(グランド電圧、負側)端子が接続されている。
【0028】
固定部材81は、例えばアルミ等の金属により形成されている。固定部材81は、本実施形態では、ねじ状に形成されている。第1GND配線パターン71の長辺部711と短辺部712とが繋がる部分、および、樹脂基板3には、第1GND配線パターン71および樹脂基板3を板厚方向に貫く孔33が形成されている。固定部材81は、孔33を通り、板部材2に形成された穴にねじ込まれることにより、板部材2に接合している。
【0029】
このとき、固定部材81の板部材2とは反対側の端部811と、板部材2と、の間には軸力が生じている。これにより、第1GND配線パターン71および樹脂基板3は、固定部材81の端部811と板部材2とに挟まれて、板部材2に対する位置が安定する。また、このとき、固定部材81の端部811が第1GND配線パターン71に接するため、第1GND配線パターン71と板部材2とは、固定部材81により電気的に接続される。
また、本実施形態では、樹脂基板3は、4つの隅(角)部が4つの固定部材82により板部材2に固定されている。
【0030】
コネクタ9は、樹脂により略長方形に形成されており、長手方向と板部材2の1つの辺とが略平行になるようにして当該辺に設けられている。コネクタ9は、PIG(電源電圧、正側)端子91、GND端子92、モータ端子93等を有している。コネクタ9には、ハーネス103が接続される(図2参照)。ハーネス103の導線104は、バッテリ102の正側とPIG端子91とを電気的に接続する。また、ハーネス103の導線105は、モータ101の巻線端子とモータ端子93とを電気的に接続する。
【0031】
本実施形態では、樹脂基板3の第1面31には、上述の配線パターン(第1GND配線パターン)および電子部品(半導体モジュール4、コンデンサ6)の他に、第1PIG配線パターン11、第2PIG配線パターン12、第3PIG配線パターン13、第4PIG配線パターン14、第5PIG配線パターン15、第6PIG配線パターン16、電子部品としてのリレー201、リレー202、コイル203、シャント抵抗300等が設けられている。
【0032】
第1PIG配線パターン11、第2PIG配線パターン12、第3PIG配線パターン13、第4PIG配線パターン14、第5PIG配線パターン15および第6PIG配線パターン16は、例えば銅等の金属薄膜により樹脂基板3上に形成される配線パターンであり、樹脂基板3の第1面31に露出するよう設けられている。
【0033】
第1PIG配線パターン11は、コネクタ9のPIG端子91とリレー201の正側端子とを接続している。第2PIG配線パターン12は、リレー201の負側端子とコイル203の正側端子とを接続している。第3PIG配線パターン13は、コイル203の負側端子と、コンデンサ6(61〜63)の正側端子、ならびに、半導体モジュール41および半導体モジュール42の正側端子(ソース電極)とを接続している。第4PIG配線パターン14は、半導体モジュール41のGND端子(ドレイン電極)と、半導体モジュール43の正側端子とを接続している。第5PIG配線パターン15は、半導体モジュール42のGND端子と、半導体モジュール44の正側端子とを接続している。第6PIG配線パターン16は、半導体モジュール43および半導体モジュール44のGND端子と、シャント抵抗300の正側端子とを接続している。シャント抵抗300の負側端子と第1GND配線パターン71の短辺部712とは接続している。すなわち、シャント抵抗300は、第1GND配線パターン71と半導体モジュール4(43、44)のGND端子側とを電気的に接続している。
【0034】
ここで、第1GND配線パターン71は、半導体モジュール4(41〜44)およびシャント抵抗300と、コネクタ9と、の間に位置するよう樹脂基板3に設けられている(図1参照)。また、リレー201、リレー202およびコイル203は、第1GND配線パターン71とコネクタ9との間に位置するよう樹脂基板3に設けられている。
【0035】
図3は、半導体モジュール4(41〜44)、コンデンサ6、リレー201、リレー202、コイル203、シャント抵抗300および制御部5等の電気的な接続を示す図である。
バッテリ102の正側は、ハーネス103の導線104、コネクタ9のPIG端子91および第1PIG配線パターン11を経由してリレー201に接続している(図3参照)。リレー201は、バッテリ102から電子制御ユニット1への電力の供給を遮断または許容する。
【0036】
バッテリ102からの電力は、コイル203を経由して半導体モジュール4(41〜44)に供給される。コイル203は、いわゆるチョークコイルであり、バッテリ102のノイズを除去する。
図3に示すように、半導体モジュール41と半導体モジュール43とが直列に接続されており、半導体モジュール42と半導体モジュール44とが直列に接続されている。そして、半導体モジュール41および43の2つの半導体モジュールと、半導体モジュール42および44の2つの半導体モジュールと、が並列に接続されている。
【0037】
また、半導体モジュール41および43の2つの半導体モジュールの接続点と、半導体モジュール42および44の2つの半導体モジュールの接続点との間に、リレー202およびモータ101が配置されている。さらにまた、半導体モジュール43および44のGND端子側にシャント抵抗300が接続している。また、コンデンサ6(61〜63)は、電源ラインとグランドとの間に並列に接続されている。コンデンサ6は、半導体モジュール4(41〜44)のオン/オフによって生じるサージ電圧を抑制する。
【0038】
上述の構成により、例えば半導体モジュール41および44がオンとなり半導体モジュール42および43がオフになると、電流は、半導体モジュール41、リレー202、モータ101、半導体モジュール44の順に流れる。一方、半導体モジュール42および43がオンとなり半導体モジュール41および44がオフになると、電流は、半導体モジュール42、モータ101、リレー202、半導体モジュール43の順に流れる。モータ101は直流モータであるため、このようにして各半導体モジュール4(41〜44)がオン/オフに制御されることで、モータ101が回転駆動される。各半導体モジュール4(41〜44)には、制御部5(カスタムIC52)からの信号線が接続されている。つまり、制御部5は、半導体モジュール4のスイッチング作動を制御することで、モータ101の回転駆動を制御する。なお、制御部5は、シャント抵抗300で検出した電流値に基づき、モータ101の回転駆動を高精度に制御可能である。また、半導体モジュール4のスイッチング作動時、半導体モジュール4およびシャント抵抗300には比較的大きな電流が流れるため、半導体モジュール4およびシャント抵抗300は発熱し、比較的高い温度になる。
【0039】
次に、第1GND配線パターン71およびその近傍の構成について、図4に基づき説明する。
図4に示すように、樹脂基板3の第2面32の固定部材81近傍には、孔を有する第2GND配線パターン111が設けられている。第2GND配線パターン111は、第1GND配線パターン71と同様、例えば銅等の金属薄膜により形成されている。第2GND配線パターン111の孔には、固定部材81が通されている。また、第1GND配線パターン71と第2GND配線パターン111とは、接続部材121により接続されている。接続部材121は、例えば銅等の金属により略円筒状に形成され、内側に固定部材81が通されている。固定部材81と、第1GND配線パターン71、接続部材121および第2GND配線パターン111とは、当接している。これにより、半導体モジュール4(41〜44)のスイッチング作動時、半導体モジュール4およびコンデンサ6(61〜63)のGND電流は、第1GND配線パターン71、接続部材121、第2GND配線パターン111および固定部材81を経由して板部材2に流れる。また、このとき、半導体モジュール4に生じる熱およびコンデンサ6に生じる熱は、第1GND配線パターン71、接続部材121、第2GND配線パターン111および固定部材81を経由して板部材2に伝達され、放熱される。
【0040】
また、本実施形態では、図1、4および5に示すように、板部材2は、半導体モジュール4(41〜44)および第1GND配線パターン71に対応する部分(矩形領域)に、樹脂基板3の第2面32に向かって突出するよう形成される突出部20を有する。突出部20は、半導体モジュール4(41〜44)および第1GND配線パターン71の配置される形状(矩形)に合わせ、略矩形柱状に形成されている。
【0041】
本実施形態では、突出部20と樹脂基板3の第2面32との間に、絶縁放熱シート131および放熱グリス132が設けられている。絶縁放熱シート131は、例えばシリコン等を含む熱抵抗の小さな絶縁シートである。放熱グリス132は、例えばシリコンを基材とする、熱抵抗の小さなゲル状のグリスである。
突出部20と樹脂基板3の第2面32との間の隙間を絶縁放熱シート131および放熱グリス132で埋めることにより、樹脂基板3の熱を板部材2の突出部20へ効果的に放熱することができる。このように、突出部20は、ヒートシンクとしての役割を果たす。
【0042】
また、本実施形態では、板部材2の突出部20は、樹脂基板3とは反対側の面に、樹脂基板3側へ凹むよう形成される凹部21を有する(図5(A)〜(C)参照)。
また、突出部20は、樹脂基板3側へ柱状に突出する位置決めピン22を有する。当該位置決めピン22を樹脂基板3の孔に通すことにより、樹脂基板3を精度よく位置決めすることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱は、第1GND配線パターン71および固定部材81を経由して板部材2に伝達される。これにより、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱は、効果的に放熱される。このように、第1GND配線パターン71および固定部材81は、半導体モジュール4およびコンデンサ6のGND電流を板部材2に伝達するだけでなく、半導体モジュール4およびコンデンサ6に生じる熱をも板部材2に伝達する。
【0044】
また、第1GND配線パターン71は、比較的発熱量の大きな半導体モジュール4とコネクタ9との間に配置されている。そのため、半導体モジュール4からの発熱は、第1GND配線パターン71により遮られる。これにより、半導体モジュール4からの発熱が樹脂基板3を経由してコネクタ9側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターン71およびコネクタ9間に実装される部品(リレー201、202、コイル203等)との熱干渉を防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態では、樹脂基板3の第1面31とは反対側の面である第2面32に設けられ、第1GND配線パターン71と電気的に接続する第2GND配線パターン111をさらに備える。これにより、第1GND配線パターン71の熱を第2GND配線パターン111に伝達させることができる。よって、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
また、本実施形態では、コンデンサ6は、それぞれが所定の間隔を空けて配置されるよう、複数(61〜63)設けられている。これにより、必要とされるコンデンサの静電容量を確保しつつ、コンデンサ6(61〜63)からの発熱を効果的に放熱することができる。
【0046】
また、本実施形態では、シャント抵抗300をさらに備える。シャント抵抗300は、第1GND配線パターン71と半導体モジュール4のGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板3の第1面31に実装され、半導体モジュール4に流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗300で検出した電流値に基づき半導体モジュール4を高精度に制御することができる。
【0047】
ここで、シャント抵抗300には半導体モジュール4を流れた電流が流れるため、シャント抵抗300の発熱量は比較的大きい。本実施形態では、シャント抵抗300は、第1GND配線パターン71に対しコネクタ9とは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗300からの発熱が樹脂基板3を経由してコネクタ9側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターン71およびコネクタ9間に実装される部品(リレー201、202、コイル203等)との熱干渉を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態では、樹脂基板3と板部材2との間に、絶縁放熱シート131および放熱グリス132を備える。これにより、樹脂基板3側の熱を板部材2側に効果的に放熱することができる。
【0049】
また、本実施形態では、板部材2は、半導体モジュール4(41〜44)および第1GND配線パターン71に対応する部分に、樹脂基板3の第2面32に向かって突出するよう形成される突出部20を有する。これにより、板部材2(突出部20)を第2面32のうち半導体モジュール4および第1GND配線パターン71に対応する部分に容易に近接させることができる。さらに、突出部20の厚み分、板部材2のヒートマスを大きくすることができるため、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0050】
ところで、板部材2に上述のような突出部20を設ける場合、板部材2(電子制御ユニット1)の重量の増大が懸念される。しかし、本実施形態では、突出部20は、樹脂基板3とは反対側の面に、樹脂基板3側へ凹むよう形成される凹部21を有する。これにより、板部材2の放熱性を確保しつつ、板部材2(電子制御ユニット1)の重量の増大を抑えることができる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による電子制御ユニットの一部を図6に示す。第2実施形態は、第2GND配線パターンの形状が第1実施形態と異なる。
【0052】
第2実施形態の第2GND配線パターン112は、第1GND配線パターン71と同様の形状(略L字状)に形成され、樹脂基板3の第2面32のうち第1GND配線パターン71に対応する位置に設けられている。つまり、第2GND配線パターン112は、第1実施形態の第2GND配線パターン111と比べ、面積が大きく形成されている。これにより、第1実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0053】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による電子制御ユニットの一部を図7に示す。第3実施形態は、板部材の突出部の構成が第2実施形態と異なる。
【0054】
第3実施形態では、板部材2の突出部20は、固定部材81に対応する位置に、樹脂基板3側へ略円柱状に突出する台座部25を有する。また、突出部20は、位置決めピン22の基端部に、樹脂基板3側へ略円柱状に突出する台座部26を有する。すなわち、位置決めピン22は、台座部26から突出するよう形成されている。
【0055】
樹脂基板3が固定部材81により板部材2に固定されたとき、第2GND配線パターン112と台座部25とは接し、樹脂基板3と台座部26とは接する。このとき、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には、台座部25および台座部26の突出の高さと同じ大きさの隙間が形成される。当該隙間には、絶縁放熱シート131および放熱グリス132が設けられている。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、第2GND配線パターン112と台座部25とが接する構成のため、第1GND配線パターン71の熱は、接続部材121および第2GND配線パターン112を経由して台座部25に効果的に伝達される。よって、第2GND配線パターン112と突出部20との間に絶縁放熱シート131および放熱グリス132が介在する第2実施形態と比べ、本実施形態では、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0057】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による電子制御ユニットの一部を図8に示す。
第4実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には、絶縁放熱シート131のみ設けられている。絶縁放熱シート131の厚みは、樹脂基板3と突出部20との間の隙間と略同じ、または、前記隙間よりやや大きく設定されている。これにより、絶縁放熱シート131は、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20とに密着可能である。
第4実施形態は、上述した構成以外は第3実施形態と同様である。
【0058】
以上説明したように、第4実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20との間に絶縁放熱シート131のみが介在する構成のため、第3実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0059】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による電子制御ユニットの一部を図9に示す。
第5実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には、放熱グリス132のみ設けられている。これにより、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)からの熱は、放熱グリス132を経由して突出部20に効果的に伝達する。
第5実施形態は、上述した構成以外は第4実施形態と同様である。
【0060】
以上説明したように、第5実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20との間に放熱グリス132のみが介在する構成のため、第4実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0061】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による電子制御ユニットの一部を図10に示す。
第6実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には絶縁放熱シートや放熱グリスは設けられておらず、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20とは当接している。
第6実施形態は、上述した構成以外は第2実施形態と同様である。
【0062】
以上説明したように、第6実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20との間に介在する部材がない構成のため、例えば樹脂基板3(第2GND配線パターン112)の面粗度と突出部20の面粗度とを所定の値まで小さくし、かつ、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)が突出部20に密着するよう固定部材81による軸力を所定の値まで高めれば、第2実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0063】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による電子制御ユニットを図11に示す。第7実施形態は、第1GND配線パターンの形状等が第1実施形態と異なる。
【0064】
第7実施形態では、第1GND配線パターン72は、延伸部713を有している。延伸部713は、長辺部711と短辺部712とが繋がる部分からコネクタ9のGND端子92まで延びるよう形成されている。本実施形態では、延伸部713は、リレー202を避けるようジグザグ形状に形成されている。延伸部713とコネクタ9のGND端子92とは電気的に接続している。
また、第7実施形態では、コイル203は、樹脂基板3の第2面32に実装されている。
第7実施形態は、上述した構成以外は第1実施形態と同様である。
【0065】
以上説明したように、第7実施形態では、第1GND配線パターン72は、コネクタ9のGND端子92に電気的に接続するようにして延びる延伸部713を有する。これにより、半導体モジュール4およびコンデンサ6のGND電流は延伸部713を経由してコネクタ9のGND端子92にも流れ、かつ、半導体モジュール4およびコンデンサ6に生じる熱は延伸部713を経由してコネクタ9のGND端子92に伝達される。このように、半導体モジュール4およびコンデンサ6に生じる熱をコネクタ9のGND端子92(ハーネス103)に積極的に伝達させることにより、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0066】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態による電子制御ユニットを図12に示す。第8実施形態は、コンデンサの配置が第7実施形態と異なる。
【0067】
第8実施形態では、3つのコンデンサ6(61〜63)のうちの1つ(61)がコネクタ9のGND端子92近傍に配置されている。ここで、コンデンサ61のGND端子は、第1GND配線パターン72の延伸部713に接続している。一方、コンデンサ61の正側端子は、第3PIG配線パターン13に接続している。
【0068】
この構成により、コンデンサ62および63の熱は、特に第1GND配線パターン72の長辺部711および固定部材81を経由して板部材2の突出部20に伝達される。一方、コンデンサ61の熱は、特に第1GND配線パターン72の延伸部713、および、コネクタ9のGND端子92を経由してハーネス103に伝達される。
【0069】
このように、本実施形態では、3つのコンデンサ6(61〜63)のうちの1つ(61)を、他の2つ(62および63)から所定の距離離れた箇所に配置(分散配置)することにより、3つのコンデンサ6(61〜63)の熱を2つの経路(延伸部713:コンデンサ61、長辺部711:コンデンサ62および63)を通じて放熱することができる。よって、第7実施形態と比べ、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0070】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態による電子制御ユニットを図13に示す。第9実施形態は、コンデンサの配置が第8実施形態と異なる。
【0071】
第9実施形態では、コンデンサ63は、第1GND配線パターン72の長辺部711と延伸部713とが繋がる部分の近傍に配置されている。ここで、コンデンサ63のGND端子は、第1GND配線パターン72の長辺部711と延伸部713とが繋がる部分に接続している。一方、コンデンサ63の正側端子は、第3PIG配線パターン13に接続している。
【0072】
この構成により、コンデンサ63の熱は、長辺部711および固定部材81を経由して板部材2の突出部20に伝達されるとともに、延伸部713およびコネクタ9のGND端子92を経由してハーネス103に伝達される。
このように、本実施形態では、3つのコンデンサ6(61〜63)をそれぞれ所定の距離離れた箇所に配置(分散配置)することにより、3つのコンデンサ6(61〜63)の熱を3つの経路(延伸部713:コンデンサ61、長辺部711:コンデンサ62、長辺部711および延伸部713:コンデンサ63)を通じて放熱することができる。よって、第8実施形態と比べ、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0073】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態による電子制御ユニットを図14に示す。第10実施形態は、シャント抵抗の配置が第9実施形態と異なる。
【0074】
第10実施形態では、シャント抵抗300は、樹脂基板3の第2面32に実装されている(図14および15参照)。
また、図15に示すように、樹脂基板3の第2面32には、第2GND配線パターン113が設けられている。第2GND配線パターン113と第1GND配線パターン72の短辺部712とは、接続部材122により電気的に接続されている。さらに、樹脂基板3の第2面32には、第7PIG配線パターン17が設けられている。第7PIG配線パターン17と第6PIG配線パターン16とは、接続部材123により電気的に接続されている。ここで、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113と第7PIG配線パターン17とを接続するよう設けられている。すなわち、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113と半導体モジュール4(43および44)のGND端子側とを電気的に接続している。これにより、シャント抵抗300は、半導体モジュール4に流れる電流の大きさを検出可能である。
【0075】
本実施形態では、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113に対しコネクタ9とは反対側に配置されている。また、板部材2の突出部20の、シャント抵抗300に対向する箇所には、樹脂基板3とは反対側へ凹む切欠き凹部23が形成されている。これにより、シャント抵抗300を樹脂基板3の第2面32に容易に配置することができる。また、切欠き凹部23が形成されることにより、シャント抵抗300が発熱しても、シャント抵抗300の周囲に熱が滞留するのを抑制することができる。
また、樹脂基板3は、板部材2の突出部20から柱状に突出する位置決めピン24によっても位置決めがなされている。また、樹脂基板3と板部材2の突出部20との間には、切欠き凹部23を避けた箇所に絶縁放熱シート131および放熱グリス132が設けられている。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、第2GND配線パターン113と半導体モジュール4のGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板3の第2面32に実装されるシャント抵抗300を備える。シャント抵抗300は、半導体モジュール4に流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗300で検出した電流値に基づき半導体モジュール4を高精度に制御することができる。
【0077】
ここで、シャント抵抗300には半導体モジュール4を流れた電流が流れるため、シャント抵抗300の発熱量は比較的大きい。本実施形態では、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113に対しコネクタ9とは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗300からの発熱が樹脂基板3を経由してコネクタ9側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第2GND配線パターン113およびコネクタ9間に実装される部品(リレー201、202、コイル203等)との熱干渉を防ぐことができる。
【0078】
また、本実施形態では、コンデンサ6の熱は、第1GND配線パターン72、固定部材81および接続部材121を経由して板部材2の突出部20に伝達される。また、半導体モジュール4の熱は、第6PIG配線パターン16、接続部材123および第7PIG配線パターン17を経由して板部材2の突出部20に伝達される。
【0079】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態による電子制御ユニットの一部を図16に示す。第11実施形態は、第2GND配線パターンの形状が第10実施形態と異なる。
【0080】
第11実施形態では、第2GND配線パターン112は、第1GND配線パターン72の長辺部711および短辺部712に対応する形状に形成されている。すなわち、第11実施形態の第2GND配線パターン112は、第2実施形態で示した第2GND配線パターン112と同様の部材である。本実施形態では、第2GND配線パターン112は、接続部材121および接続部材122により、第1GND配線パターン72と接続している。
【0081】
第11実施形態の第2GND配線パターン112は、第10実施形態の第2GND配線パターン113よりも面積が大きい。よって、第11実施形態では、第10実施形態と比べ、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0082】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態による電子制御ユニットの一部を図17に示す。第12実施形態は、第1GND配線パターンの形状が第11実施形態と異なる。
【0083】
第12実施形態の第1GND配線パターン73は、第11実施形態の第1GND配線パターン72において短辺部712を有さない構成と同等である。
このような構成であっても、コンデンサ6の熱を、第1GND配線パターン73、固定部材81および接続部材121を経由して板部材2の突出部20に効果的に伝達させることができる。
【0084】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態による電子制御ユニットの一部を図18に示す。第13実施形態は、樹脂基板の内部の構成が第2実施形態と異なる。
第13実施形態では、樹脂基板3の内部に第3GND配線パターン141が設けられている。第3GND配線パターン141は、第1GND配線パターン71および第2GND配線パターン112と同様、例えば銅等の金属薄膜により形成されている。第3GND配線パターン141は、接続部材121により、第1GND配線パターン71および第2GND配線パターン112と電気的に接続している。コンデンサ6(61〜63)の熱は、第1GND配線パターン71および接続部材121を経由して第3GND配線パターン141に伝達可能である。そのため、本実施形態では、樹脂基板3内部の第3GND配線パターン141を、コンデンサ6(61〜63)等の熱を放熱するために用いることができる。
【0085】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、板部材の突出部は、樹脂基板とは反対側の面に、凹部を有しない構成としてもよい。また、板部材は、突出部を有しない構成としてもよい。
【0086】
また、本発明の他の実施形態では、半導体モジュールおよびコンデンサは、4つまたは3つに限らず、いくつ設けられていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、半導体モジュールおよびコンデンサ以外の電子部品(リレー、コイル、マイコン、カスタムIC等)は、樹脂基板の第1面または第2面のどちらの面に実装されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、固定部材は、ねじ状に限らず、例えば板部材に圧入固定されるような部材であってもよい。
【0087】
また、本発明の他の実施形態では、樹脂基板の板部材とは反対側を容器状のカバー部材で覆うことにより、樹脂基板上の電子部品を外部からの衝撃、熱、湿気、液体などから保護する構成としてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、阻害要因がない限り、上述の複数の実施形態をどのように組み合わせてもよい。
本発明による電子制御ユニットは、電動式パワーステアリングシステムに限らず、他のシステムのモータの回転駆動を制御するのに用いてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 ・・・・・電子制御ユニット
2 ・・・・・板部材
3 ・・・・・樹脂基板
31 ・・・・第1面
41、42、43、44 ・・・半導体モジュール
51 ・・・・マイコン(制御部)
52 ・・・・カスタムIC(制御部)
61、62、63 ・・・コンデンサ
71、72、73 ・・・第1GND配線パターン
81 ・・・・固定部材
9 ・・・・・コネクタ
103 ・・・ハーネス
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御ユニットに関し、特に電動式パワーステアリングシステムに適用可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のモータ制御化が進み、モータとその制御を司る電子制御ユニットが増加傾向にある。一方、ユーザに快適な空間を提供するために、車室内空間を拡げる試みがなされている。そのため、モータ及び電子制御ユニットを配置するためのスペースの確保が課題となっており、モータ及び電子制御ユニットの小型化が重要になっている。
【0003】
例えば、電動式パワーステアリングシステムに用いられる電子制御ユニットは、エンジンルームやインパネの奥側に配置される。ところが、電動式パワーステアリングシステムに用いられる電子制御ユニットは、大電流(約100A)でモータを駆動するため、スイッチング素子の発熱が大きくなる。したがって、このような電子制御ユニットを小型化するためには、高い放熱構造が必要となる。
【0004】
特許文献1〜5には、プリント基板において放熱用の配線パターンを設けることにより、基板に実装される電子部品の放熱を図る構成が開示されている。しかしながら、これらの構成においても、放熱用の配線パターンあるいは電子部品の配置等によっては、期待する放熱効果を得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−206199号公報
【特許文献2】実開平4−8489号公報
【特許文献3】特開平5−315782号公報
【特許文献4】特開2002−94196号公報
【特許文献5】特開2003−16772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装される電子部品の熱を効果的に放熱可能な電子制御ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、板部材と樹脂基板と半導体モジュールと制御部とコンデンサと第1GND配線パターンと固定部材とコネクタとを備える電子制御ユニットである。樹脂基板は、金属製の板部材に設置される。半導体モジュールは、樹脂基板の板部材とは反対側の面である第1面に表面実装される。制御部は、半導体モジュールによるスイッチング作動を制御する。コンデンサは、樹脂基板の第1面に実装され、半導体モジュールに流れる電流を平滑化する。第1GND配線パターンは、樹脂基板の第1面に設けられ、半導体モジュールのGND端子とコンデンサのGND端子とを電気的に接続する。固定部材は、金属により形成され、第1GND配線パターンおよび樹脂基板を貫いて板部材に接合することにより、樹脂基板を板部材に固定するとともに、第1GND配線パターンと板部材とを電気的に接続する。コネクタは、第1GND配線パターンを挟んで半導体モジュールとは反対側に配置されている。コネクタには、半導体モジュールに電流を供給するためのハーネスが接続される。
【0008】
上述の構成により、本発明では、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱は、第1GND配線パターンおよび固定部材を経由して板部材に伝達される。これにより、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱は、効果的に放熱される。このように、第1GND配線パターンおよび固定部材は、半導体モジュールおよびコンデンサのGND電流を板部材に伝達するだけでなく、半導体モジュールおよびコンデンサに生じる熱をも板部材に伝達する。
【0009】
また、第1GND配線パターンは、比較的発熱量の大きな半導体モジュールとコネクタとの間に配置されている。そのため、半導体モジュールからの発熱は、第1GND配線パターンにより遮られる。これにより、半導体モジュールからの発熱が樹脂基板を経由してコネクタ側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターンおよびコネクタ間に実装される部品との熱干渉を防ぐことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、樹脂基板の第1面とは反対側の面である第2面に設けられ、第1GND配線パターンと電気的に接続する第2GND配線パターンをさらに備える。これにより、第1GND配線パターンの熱を第2GND配線パターンに伝達させることができる。よって、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をより高めることができる。また、この構成において、第2GND配線パターンを板部材に当接させる、あるいは、第2GND配線パターンと板部材との間に熱伝導性の高い部材を設けることにより、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をさらに高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、樹脂基板の内部に設けられ、第1GND配線パターンと電気的に接続する第3GND配線パターンをさらに備える。これにより、第1GND配線パターンの熱を第3GND配線パターンに伝達させることができる。よって、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をより高めることができる。なお、第3GND配線パターンを複数設けることにより、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、第1GND配線パターンは、コネクタのGND端子に電気的に接続するようにして延びる延伸部を有する。これにより、半導体モジュールおよびコンデンサのGND電流は延伸部を経由してコネクタのGND端子にも流れ、かつ、半導体モジュールおよびコンデンサに生じる熱は延伸部を経由してコネクタのGND端子に伝達される。このように、半導体モジュールおよびコンデンサに生じる熱をコネクタのGND端子(ハーネス)に積極的に伝達させることにより、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、コンデンサは、それぞれが所定の間隔を空けて配置されるよう、複数設けられている。すなわち、複数のコンデンサは分散配置されている。これにより、必要とされるコンデンサの静電容量を確保しつつ、コンデンサからの発熱を効果的に放熱することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、第1GND配線パターンと半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板の第1面に実装されるシャント抵抗をさらに備える。シャント抵抗は、半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗で検出した電流値に基づき半導体モジュールを高精度に制御することができる。
【0015】
ここで、シャント抵抗には半導体モジュールを流れた電流が流れるため、シャント抵抗の発熱量は比較的大きい。本発明では、シャント抵抗は、第1GND配線パターンに対しコネクタとは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗からの発熱が樹脂基板を経由してコネクタ側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターンおよびコネクタ間に実装される部品との熱干渉を防ぐことができる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、第2GND配線パターンと半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板の第2面に実装されるシャント抵抗をさらに備える。シャント抵抗は、半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗で検出した電流値に基づき半導体モジュールを高精度に制御することができる。
【0017】
ここで、シャント抵抗には半導体モジュールを流れた電流が流れるため、シャント抵抗の発熱量は比較的大きい。本発明では、シャント抵抗は、第2GND配線パターンに対しコネクタとは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗からの発熱が樹脂基板を経由してコネクタ側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第2GND配線パターンおよびコネクタ間に実装される部品との熱干渉を防ぐことができる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、樹脂基板と板部材との間に、絶縁放熱シートおよび放熱グリスの少なくとも一方を備える。これにより、樹脂基板側の熱を板部材側に効果的に放熱することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、板部材は、半導体モジュールおよび第1GND配線パターンに対応する部分に、樹脂基板の第2面に向かって突出するよう形成される突出部を有する。これにより、板部材(突出部)を第2面のうち半導体モジュールおよび第1GND配線パターンに対応する部分に容易に当接させることができる。さらに、突出部の厚み分、板部材のヒートマスを大きくすることができるため、半導体モジュールおよびコンデンサからの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0020】
ところで、板部材に上述のような突出部を設ける場合、板部材(電子制御ユニット)の重量の増大が懸念される。そこで、請求項10に記載の発明では、突出部は、樹脂基板とは反対側の面に、樹脂基板側へ凹むよう形成される凹部を有する。これにより、板部材の放熱性を確保しつつ、板部材(電子制御ユニット)の重量の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図2】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを電動式パワーステアリングシステムに適用した状態を示す概略図。
【図3】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットの電気的な構成を示す図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットの板部材を示す図であって、(A)は上面図、(B)は底面図、(C)は(B)のC−C線断面図。
【図6】本発明の第2実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図7】本発明の第3実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図8】本発明の第4実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図9】本発明の第5実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図10】本発明の第6実施形態による電子制御ユニットの第1GND配線パターン近傍を示す断面図。
【図11】本発明の第7実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図12】本発明の第8実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図13】本発明の第9実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図14】本発明の第10実施形態による電子制御ユニットを示す図。
【図15】図14のXV−XV線断面図。
【図16】本発明の第11実施形態による電子制御ユニットのシャント抵抗近傍を示す断面図。
【図17】本発明の第12実施形態による電子制御ユニットのシャント抵抗近傍を示す断面図。
【図18】本発明の第13実施形態による電子制御ユニットの第3GND配線パターン近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の複数の実施形態による電子制御ユニットを図に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを図1に示す。電子制御ユニット1は、図2に示すように、車両の電動式パワーステアリングシステム100に用いられ、操舵トルク信号および車速信号等に基づき、操舵のアシスト力を発生するモータ101を駆動制御するものである。
【0023】
電子制御ユニット1は、図1に示すように、板部材2、樹脂基板3、半導体モジュール4、制御部5、コンデンサ6、第1GND配線パターン71、固定部材81およびコネクタ9等を備えている。
板部材2は、例えばアルミ等の金属により、略矩形の板状に形成されている。
樹脂基板3は、例えばガラス繊維とエポキシ樹脂からなるFR−4等のプリント配線板である。樹脂基板3は、板部材2と同様略矩形に形成され、外形は板部材2より小さい。樹脂基板3は、その板面が板部材2の板面と略平行になるよう、板部材2に設置されている。
【0024】
電子部品の一種である半導体モジュール4は、樹脂基板3の板部材2とは反対側の面である第1面31に表面実装される。本実施形態では、半導体モジュール4は4つ(41〜44)設けられている。半導体モジュール4は、図示しないスイッチング素子を有している。
【0025】
本実施形態では、制御部5は、マイコン51およびカスタムIC52から構成されている。マイコン51は、樹脂基板3の第1面31に実装されている。一方、カスタムICは、樹脂基板3の第1面31とは反対側の面である第2面32に実装されている。
【0026】
電子部品の一種であるコンデンサ6は、樹脂基板3の第1面31に実装されている。本実施形態では、コンデンサ6は3つ(61〜63)設けられている。3つのコンデンサ6(61〜63)は、それぞれ所定の間隔を空けて直線状に配置されている。
【0027】
第1GND配線パターン71は、例えば銅等の金属薄膜により樹脂基板3上に形成される配線パターンである。第1GND配線パターン71は、樹脂基板3の第1面31に露出するよう設けられている。本実施形態では、第1GND配線パターン71は、長辺部711、および、長辺部711よりも短い短辺部712からなる。長辺部711と短辺部712とは、互いに略直角となるよう端部同士が繋がっている。すなわち、第1GND配線パターン71は、略L字状に形成されている。第1GND配線パターン71の長辺部711には、3つのコンデンサ6それぞれのGND(グランド電圧、負側)端子が接続されている。
【0028】
固定部材81は、例えばアルミ等の金属により形成されている。固定部材81は、本実施形態では、ねじ状に形成されている。第1GND配線パターン71の長辺部711と短辺部712とが繋がる部分、および、樹脂基板3には、第1GND配線パターン71および樹脂基板3を板厚方向に貫く孔33が形成されている。固定部材81は、孔33を通り、板部材2に形成された穴にねじ込まれることにより、板部材2に接合している。
【0029】
このとき、固定部材81の板部材2とは反対側の端部811と、板部材2と、の間には軸力が生じている。これにより、第1GND配線パターン71および樹脂基板3は、固定部材81の端部811と板部材2とに挟まれて、板部材2に対する位置が安定する。また、このとき、固定部材81の端部811が第1GND配線パターン71に接するため、第1GND配線パターン71と板部材2とは、固定部材81により電気的に接続される。
また、本実施形態では、樹脂基板3は、4つの隅(角)部が4つの固定部材82により板部材2に固定されている。
【0030】
コネクタ9は、樹脂により略長方形に形成されており、長手方向と板部材2の1つの辺とが略平行になるようにして当該辺に設けられている。コネクタ9は、PIG(電源電圧、正側)端子91、GND端子92、モータ端子93等を有している。コネクタ9には、ハーネス103が接続される(図2参照)。ハーネス103の導線104は、バッテリ102の正側とPIG端子91とを電気的に接続する。また、ハーネス103の導線105は、モータ101の巻線端子とモータ端子93とを電気的に接続する。
【0031】
本実施形態では、樹脂基板3の第1面31には、上述の配線パターン(第1GND配線パターン)および電子部品(半導体モジュール4、コンデンサ6)の他に、第1PIG配線パターン11、第2PIG配線パターン12、第3PIG配線パターン13、第4PIG配線パターン14、第5PIG配線パターン15、第6PIG配線パターン16、電子部品としてのリレー201、リレー202、コイル203、シャント抵抗300等が設けられている。
【0032】
第1PIG配線パターン11、第2PIG配線パターン12、第3PIG配線パターン13、第4PIG配線パターン14、第5PIG配線パターン15および第6PIG配線パターン16は、例えば銅等の金属薄膜により樹脂基板3上に形成される配線パターンであり、樹脂基板3の第1面31に露出するよう設けられている。
【0033】
第1PIG配線パターン11は、コネクタ9のPIG端子91とリレー201の正側端子とを接続している。第2PIG配線パターン12は、リレー201の負側端子とコイル203の正側端子とを接続している。第3PIG配線パターン13は、コイル203の負側端子と、コンデンサ6(61〜63)の正側端子、ならびに、半導体モジュール41および半導体モジュール42の正側端子(ソース電極)とを接続している。第4PIG配線パターン14は、半導体モジュール41のGND端子(ドレイン電極)と、半導体モジュール43の正側端子とを接続している。第5PIG配線パターン15は、半導体モジュール42のGND端子と、半導体モジュール44の正側端子とを接続している。第6PIG配線パターン16は、半導体モジュール43および半導体モジュール44のGND端子と、シャント抵抗300の正側端子とを接続している。シャント抵抗300の負側端子と第1GND配線パターン71の短辺部712とは接続している。すなわち、シャント抵抗300は、第1GND配線パターン71と半導体モジュール4(43、44)のGND端子側とを電気的に接続している。
【0034】
ここで、第1GND配線パターン71は、半導体モジュール4(41〜44)およびシャント抵抗300と、コネクタ9と、の間に位置するよう樹脂基板3に設けられている(図1参照)。また、リレー201、リレー202およびコイル203は、第1GND配線パターン71とコネクタ9との間に位置するよう樹脂基板3に設けられている。
【0035】
図3は、半導体モジュール4(41〜44)、コンデンサ6、リレー201、リレー202、コイル203、シャント抵抗300および制御部5等の電気的な接続を示す図である。
バッテリ102の正側は、ハーネス103の導線104、コネクタ9のPIG端子91および第1PIG配線パターン11を経由してリレー201に接続している(図3参照)。リレー201は、バッテリ102から電子制御ユニット1への電力の供給を遮断または許容する。
【0036】
バッテリ102からの電力は、コイル203を経由して半導体モジュール4(41〜44)に供給される。コイル203は、いわゆるチョークコイルであり、バッテリ102のノイズを除去する。
図3に示すように、半導体モジュール41と半導体モジュール43とが直列に接続されており、半導体モジュール42と半導体モジュール44とが直列に接続されている。そして、半導体モジュール41および43の2つの半導体モジュールと、半導体モジュール42および44の2つの半導体モジュールと、が並列に接続されている。
【0037】
また、半導体モジュール41および43の2つの半導体モジュールの接続点と、半導体モジュール42および44の2つの半導体モジュールの接続点との間に、リレー202およびモータ101が配置されている。さらにまた、半導体モジュール43および44のGND端子側にシャント抵抗300が接続している。また、コンデンサ6(61〜63)は、電源ラインとグランドとの間に並列に接続されている。コンデンサ6は、半導体モジュール4(41〜44)のオン/オフによって生じるサージ電圧を抑制する。
【0038】
上述の構成により、例えば半導体モジュール41および44がオンとなり半導体モジュール42および43がオフになると、電流は、半導体モジュール41、リレー202、モータ101、半導体モジュール44の順に流れる。一方、半導体モジュール42および43がオンとなり半導体モジュール41および44がオフになると、電流は、半導体モジュール42、モータ101、リレー202、半導体モジュール43の順に流れる。モータ101は直流モータであるため、このようにして各半導体モジュール4(41〜44)がオン/オフに制御されることで、モータ101が回転駆動される。各半導体モジュール4(41〜44)には、制御部5(カスタムIC52)からの信号線が接続されている。つまり、制御部5は、半導体モジュール4のスイッチング作動を制御することで、モータ101の回転駆動を制御する。なお、制御部5は、シャント抵抗300で検出した電流値に基づき、モータ101の回転駆動を高精度に制御可能である。また、半導体モジュール4のスイッチング作動時、半導体モジュール4およびシャント抵抗300には比較的大きな電流が流れるため、半導体モジュール4およびシャント抵抗300は発熱し、比較的高い温度になる。
【0039】
次に、第1GND配線パターン71およびその近傍の構成について、図4に基づき説明する。
図4に示すように、樹脂基板3の第2面32の固定部材81近傍には、孔を有する第2GND配線パターン111が設けられている。第2GND配線パターン111は、第1GND配線パターン71と同様、例えば銅等の金属薄膜により形成されている。第2GND配線パターン111の孔には、固定部材81が通されている。また、第1GND配線パターン71と第2GND配線パターン111とは、接続部材121により接続されている。接続部材121は、例えば銅等の金属により略円筒状に形成され、内側に固定部材81が通されている。固定部材81と、第1GND配線パターン71、接続部材121および第2GND配線パターン111とは、当接している。これにより、半導体モジュール4(41〜44)のスイッチング作動時、半導体モジュール4およびコンデンサ6(61〜63)のGND電流は、第1GND配線パターン71、接続部材121、第2GND配線パターン111および固定部材81を経由して板部材2に流れる。また、このとき、半導体モジュール4に生じる熱およびコンデンサ6に生じる熱は、第1GND配線パターン71、接続部材121、第2GND配線パターン111および固定部材81を経由して板部材2に伝達され、放熱される。
【0040】
また、本実施形態では、図1、4および5に示すように、板部材2は、半導体モジュール4(41〜44)および第1GND配線パターン71に対応する部分(矩形領域)に、樹脂基板3の第2面32に向かって突出するよう形成される突出部20を有する。突出部20は、半導体モジュール4(41〜44)および第1GND配線パターン71の配置される形状(矩形)に合わせ、略矩形柱状に形成されている。
【0041】
本実施形態では、突出部20と樹脂基板3の第2面32との間に、絶縁放熱シート131および放熱グリス132が設けられている。絶縁放熱シート131は、例えばシリコン等を含む熱抵抗の小さな絶縁シートである。放熱グリス132は、例えばシリコンを基材とする、熱抵抗の小さなゲル状のグリスである。
突出部20と樹脂基板3の第2面32との間の隙間を絶縁放熱シート131および放熱グリス132で埋めることにより、樹脂基板3の熱を板部材2の突出部20へ効果的に放熱することができる。このように、突出部20は、ヒートシンクとしての役割を果たす。
【0042】
また、本実施形態では、板部材2の突出部20は、樹脂基板3とは反対側の面に、樹脂基板3側へ凹むよう形成される凹部21を有する(図5(A)〜(C)参照)。
また、突出部20は、樹脂基板3側へ柱状に突出する位置決めピン22を有する。当該位置決めピン22を樹脂基板3の孔に通すことにより、樹脂基板3を精度よく位置決めすることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱は、第1GND配線パターン71および固定部材81を経由して板部材2に伝達される。これにより、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱は、効果的に放熱される。このように、第1GND配線パターン71および固定部材81は、半導体モジュール4およびコンデンサ6のGND電流を板部材2に伝達するだけでなく、半導体モジュール4およびコンデンサ6に生じる熱をも板部材2に伝達する。
【0044】
また、第1GND配線パターン71は、比較的発熱量の大きな半導体モジュール4とコネクタ9との間に配置されている。そのため、半導体モジュール4からの発熱は、第1GND配線パターン71により遮られる。これにより、半導体モジュール4からの発熱が樹脂基板3を経由してコネクタ9側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターン71およびコネクタ9間に実装される部品(リレー201、202、コイル203等)との熱干渉を防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態では、樹脂基板3の第1面31とは反対側の面である第2面32に設けられ、第1GND配線パターン71と電気的に接続する第2GND配線パターン111をさらに備える。これにより、第1GND配線パターン71の熱を第2GND配線パターン111に伝達させることができる。よって、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
また、本実施形態では、コンデンサ6は、それぞれが所定の間隔を空けて配置されるよう、複数(61〜63)設けられている。これにより、必要とされるコンデンサの静電容量を確保しつつ、コンデンサ6(61〜63)からの発熱を効果的に放熱することができる。
【0046】
また、本実施形態では、シャント抵抗300をさらに備える。シャント抵抗300は、第1GND配線パターン71と半導体モジュール4のGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板3の第1面31に実装され、半導体モジュール4に流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗300で検出した電流値に基づき半導体モジュール4を高精度に制御することができる。
【0047】
ここで、シャント抵抗300には半導体モジュール4を流れた電流が流れるため、シャント抵抗300の発熱量は比較的大きい。本実施形態では、シャント抵抗300は、第1GND配線パターン71に対しコネクタ9とは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗300からの発熱が樹脂基板3を経由してコネクタ9側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第1GND配線パターン71およびコネクタ9間に実装される部品(リレー201、202、コイル203等)との熱干渉を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態では、樹脂基板3と板部材2との間に、絶縁放熱シート131および放熱グリス132を備える。これにより、樹脂基板3側の熱を板部材2側に効果的に放熱することができる。
【0049】
また、本実施形態では、板部材2は、半導体モジュール4(41〜44)および第1GND配線パターン71に対応する部分に、樹脂基板3の第2面32に向かって突出するよう形成される突出部20を有する。これにより、板部材2(突出部20)を第2面32のうち半導体モジュール4および第1GND配線パターン71に対応する部分に容易に近接させることができる。さらに、突出部20の厚み分、板部材2のヒートマスを大きくすることができるため、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0050】
ところで、板部材2に上述のような突出部20を設ける場合、板部材2(電子制御ユニット1)の重量の増大が懸念される。しかし、本実施形態では、突出部20は、樹脂基板3とは反対側の面に、樹脂基板3側へ凹むよう形成される凹部21を有する。これにより、板部材2の放熱性を確保しつつ、板部材2(電子制御ユニット1)の重量の増大を抑えることができる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による電子制御ユニットの一部を図6に示す。第2実施形態は、第2GND配線パターンの形状が第1実施形態と異なる。
【0052】
第2実施形態の第2GND配線パターン112は、第1GND配線パターン71と同様の形状(略L字状)に形成され、樹脂基板3の第2面32のうち第1GND配線パターン71に対応する位置に設けられている。つまり、第2GND配線パターン112は、第1実施形態の第2GND配線パターン111と比べ、面積が大きく形成されている。これにより、第1実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0053】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による電子制御ユニットの一部を図7に示す。第3実施形態は、板部材の突出部の構成が第2実施形態と異なる。
【0054】
第3実施形態では、板部材2の突出部20は、固定部材81に対応する位置に、樹脂基板3側へ略円柱状に突出する台座部25を有する。また、突出部20は、位置決めピン22の基端部に、樹脂基板3側へ略円柱状に突出する台座部26を有する。すなわち、位置決めピン22は、台座部26から突出するよう形成されている。
【0055】
樹脂基板3が固定部材81により板部材2に固定されたとき、第2GND配線パターン112と台座部25とは接し、樹脂基板3と台座部26とは接する。このとき、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には、台座部25および台座部26の突出の高さと同じ大きさの隙間が形成される。当該隙間には、絶縁放熱シート131および放熱グリス132が設けられている。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、第2GND配線パターン112と台座部25とが接する構成のため、第1GND配線パターン71の熱は、接続部材121および第2GND配線パターン112を経由して台座部25に効果的に伝達される。よって、第2GND配線パターン112と突出部20との間に絶縁放熱シート131および放熱グリス132が介在する第2実施形態と比べ、本実施形態では、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0057】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による電子制御ユニットの一部を図8に示す。
第4実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には、絶縁放熱シート131のみ設けられている。絶縁放熱シート131の厚みは、樹脂基板3と突出部20との間の隙間と略同じ、または、前記隙間よりやや大きく設定されている。これにより、絶縁放熱シート131は、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20とに密着可能である。
第4実施形態は、上述した構成以外は第3実施形態と同様である。
【0058】
以上説明したように、第4実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20との間に絶縁放熱シート131のみが介在する構成のため、第3実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0059】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による電子制御ユニットの一部を図9に示す。
第5実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には、放熱グリス132のみ設けられている。これにより、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)からの熱は、放熱グリス132を経由して突出部20に効果的に伝達する。
第5実施形態は、上述した構成以外は第4実施形態と同様である。
【0060】
以上説明したように、第5実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20との間に放熱グリス132のみが介在する構成のため、第4実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0061】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による電子制御ユニットの一部を図10に示す。
第6実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と板部材2の突出部20との間には絶縁放熱シートや放熱グリスは設けられておらず、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20とは当接している。
第6実施形態は、上述した構成以外は第2実施形態と同様である。
【0062】
以上説明したように、第6実施形態では、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)と突出部20との間に介在する部材がない構成のため、例えば樹脂基板3(第2GND配線パターン112)の面粗度と突出部20の面粗度とを所定の値まで小さくし、かつ、樹脂基板3(第2GND配線パターン112)が突出部20に密着するよう固定部材81による軸力を所定の値まで高めれば、第2実施形態と比べ、半導体モジュール4およびコンデンサ6からの発熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0063】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による電子制御ユニットを図11に示す。第7実施形態は、第1GND配線パターンの形状等が第1実施形態と異なる。
【0064】
第7実施形態では、第1GND配線パターン72は、延伸部713を有している。延伸部713は、長辺部711と短辺部712とが繋がる部分からコネクタ9のGND端子92まで延びるよう形成されている。本実施形態では、延伸部713は、リレー202を避けるようジグザグ形状に形成されている。延伸部713とコネクタ9のGND端子92とは電気的に接続している。
また、第7実施形態では、コイル203は、樹脂基板3の第2面32に実装されている。
第7実施形態は、上述した構成以外は第1実施形態と同様である。
【0065】
以上説明したように、第7実施形態では、第1GND配線パターン72は、コネクタ9のGND端子92に電気的に接続するようにして延びる延伸部713を有する。これにより、半導体モジュール4およびコンデンサ6のGND電流は延伸部713を経由してコネクタ9のGND端子92にも流れ、かつ、半導体モジュール4およびコンデンサ6に生じる熱は延伸部713を経由してコネクタ9のGND端子92に伝達される。このように、半導体モジュール4およびコンデンサ6に生じる熱をコネクタ9のGND端子92(ハーネス103)に積極的に伝達させることにより、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0066】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態による電子制御ユニットを図12に示す。第8実施形態は、コンデンサの配置が第7実施形態と異なる。
【0067】
第8実施形態では、3つのコンデンサ6(61〜63)のうちの1つ(61)がコネクタ9のGND端子92近傍に配置されている。ここで、コンデンサ61のGND端子は、第1GND配線パターン72の延伸部713に接続している。一方、コンデンサ61の正側端子は、第3PIG配線パターン13に接続している。
【0068】
この構成により、コンデンサ62および63の熱は、特に第1GND配線パターン72の長辺部711および固定部材81を経由して板部材2の突出部20に伝達される。一方、コンデンサ61の熱は、特に第1GND配線パターン72の延伸部713、および、コネクタ9のGND端子92を経由してハーネス103に伝達される。
【0069】
このように、本実施形態では、3つのコンデンサ6(61〜63)のうちの1つ(61)を、他の2つ(62および63)から所定の距離離れた箇所に配置(分散配置)することにより、3つのコンデンサ6(61〜63)の熱を2つの経路(延伸部713:コンデンサ61、長辺部711:コンデンサ62および63)を通じて放熱することができる。よって、第7実施形態と比べ、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0070】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態による電子制御ユニットを図13に示す。第9実施形態は、コンデンサの配置が第8実施形態と異なる。
【0071】
第9実施形態では、コンデンサ63は、第1GND配線パターン72の長辺部711と延伸部713とが繋がる部分の近傍に配置されている。ここで、コンデンサ63のGND端子は、第1GND配線パターン72の長辺部711と延伸部713とが繋がる部分に接続している。一方、コンデンサ63の正側端子は、第3PIG配線パターン13に接続している。
【0072】
この構成により、コンデンサ63の熱は、長辺部711および固定部材81を経由して板部材2の突出部20に伝達されるとともに、延伸部713およびコネクタ9のGND端子92を経由してハーネス103に伝達される。
このように、本実施形態では、3つのコンデンサ6(61〜63)をそれぞれ所定の距離離れた箇所に配置(分散配置)することにより、3つのコンデンサ6(61〜63)の熱を3つの経路(延伸部713:コンデンサ61、長辺部711:コンデンサ62、長辺部711および延伸部713:コンデンサ63)を通じて放熱することができる。よって、第8実施形態と比べ、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0073】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態による電子制御ユニットを図14に示す。第10実施形態は、シャント抵抗の配置が第9実施形態と異なる。
【0074】
第10実施形態では、シャント抵抗300は、樹脂基板3の第2面32に実装されている(図14および15参照)。
また、図15に示すように、樹脂基板3の第2面32には、第2GND配線パターン113が設けられている。第2GND配線パターン113と第1GND配線パターン72の短辺部712とは、接続部材122により電気的に接続されている。さらに、樹脂基板3の第2面32には、第7PIG配線パターン17が設けられている。第7PIG配線パターン17と第6PIG配線パターン16とは、接続部材123により電気的に接続されている。ここで、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113と第7PIG配線パターン17とを接続するよう設けられている。すなわち、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113と半導体モジュール4(43および44)のGND端子側とを電気的に接続している。これにより、シャント抵抗300は、半導体モジュール4に流れる電流の大きさを検出可能である。
【0075】
本実施形態では、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113に対しコネクタ9とは反対側に配置されている。また、板部材2の突出部20の、シャント抵抗300に対向する箇所には、樹脂基板3とは反対側へ凹む切欠き凹部23が形成されている。これにより、シャント抵抗300を樹脂基板3の第2面32に容易に配置することができる。また、切欠き凹部23が形成されることにより、シャント抵抗300が発熱しても、シャント抵抗300の周囲に熱が滞留するのを抑制することができる。
また、樹脂基板3は、板部材2の突出部20から柱状に突出する位置決めピン24によっても位置決めがなされている。また、樹脂基板3と板部材2の突出部20との間には、切欠き凹部23を避けた箇所に絶縁放熱シート131および放熱グリス132が設けられている。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、第2GND配線パターン113と半導体モジュール4のGND端子側とを電気的に接続するよう、樹脂基板3の第2面32に実装されるシャント抵抗300を備える。シャント抵抗300は、半導体モジュール4に流れる電流の大きさを検出可能である。これにより、シャント抵抗300で検出した電流値に基づき半導体モジュール4を高精度に制御することができる。
【0077】
ここで、シャント抵抗300には半導体モジュール4を流れた電流が流れるため、シャント抵抗300の発熱量は比較的大きい。本実施形態では、シャント抵抗300は、第2GND配線パターン113に対しコネクタ9とは反対側に配置されている。これにより、シャント抵抗300からの発熱が樹脂基板3を経由してコネクタ9側へ伝達するのを抑制することができる。その結果、第2GND配線パターン113およびコネクタ9間に実装される部品(リレー201、202、コイル203等)との熱干渉を防ぐことができる。
【0078】
また、本実施形態では、コンデンサ6の熱は、第1GND配線パターン72、固定部材81および接続部材121を経由して板部材2の突出部20に伝達される。また、半導体モジュール4の熱は、第6PIG配線パターン16、接続部材123および第7PIG配線パターン17を経由して板部材2の突出部20に伝達される。
【0079】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態による電子制御ユニットの一部を図16に示す。第11実施形態は、第2GND配線パターンの形状が第10実施形態と異なる。
【0080】
第11実施形態では、第2GND配線パターン112は、第1GND配線パターン72の長辺部711および短辺部712に対応する形状に形成されている。すなわち、第11実施形態の第2GND配線パターン112は、第2実施形態で示した第2GND配線パターン112と同様の部材である。本実施形態では、第2GND配線パターン112は、接続部材121および接続部材122により、第1GND配線パターン72と接続している。
【0081】
第11実施形態の第2GND配線パターン112は、第10実施形態の第2GND配線パターン113よりも面積が大きい。よって、第11実施形態では、第10実施形態と比べ、放熱の効果をさらに高めることができる。
【0082】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態による電子制御ユニットの一部を図17に示す。第12実施形態は、第1GND配線パターンの形状が第11実施形態と異なる。
【0083】
第12実施形態の第1GND配線パターン73は、第11実施形態の第1GND配線パターン72において短辺部712を有さない構成と同等である。
このような構成であっても、コンデンサ6の熱を、第1GND配線パターン73、固定部材81および接続部材121を経由して板部材2の突出部20に効果的に伝達させることができる。
【0084】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態による電子制御ユニットの一部を図18に示す。第13実施形態は、樹脂基板の内部の構成が第2実施形態と異なる。
第13実施形態では、樹脂基板3の内部に第3GND配線パターン141が設けられている。第3GND配線パターン141は、第1GND配線パターン71および第2GND配線パターン112と同様、例えば銅等の金属薄膜により形成されている。第3GND配線パターン141は、接続部材121により、第1GND配線パターン71および第2GND配線パターン112と電気的に接続している。コンデンサ6(61〜63)の熱は、第1GND配線パターン71および接続部材121を経由して第3GND配線パターン141に伝達可能である。そのため、本実施形態では、樹脂基板3内部の第3GND配線パターン141を、コンデンサ6(61〜63)等の熱を放熱するために用いることができる。
【0085】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、板部材の突出部は、樹脂基板とは反対側の面に、凹部を有しない構成としてもよい。また、板部材は、突出部を有しない構成としてもよい。
【0086】
また、本発明の他の実施形態では、半導体モジュールおよびコンデンサは、4つまたは3つに限らず、いくつ設けられていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、半導体モジュールおよびコンデンサ以外の電子部品(リレー、コイル、マイコン、カスタムIC等)は、樹脂基板の第1面または第2面のどちらの面に実装されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、固定部材は、ねじ状に限らず、例えば板部材に圧入固定されるような部材であってもよい。
【0087】
また、本発明の他の実施形態では、樹脂基板の板部材とは反対側を容器状のカバー部材で覆うことにより、樹脂基板上の電子部品を外部からの衝撃、熱、湿気、液体などから保護する構成としてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、阻害要因がない限り、上述の複数の実施形態をどのように組み合わせてもよい。
本発明による電子制御ユニットは、電動式パワーステアリングシステムに限らず、他のシステムのモータの回転駆動を制御するのに用いてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 ・・・・・電子制御ユニット
2 ・・・・・板部材
3 ・・・・・樹脂基板
31 ・・・・第1面
41、42、43、44 ・・・半導体モジュール
51 ・・・・マイコン(制御部)
52 ・・・・カスタムIC(制御部)
61、62、63 ・・・コンデンサ
71、72、73 ・・・第1GND配線パターン
81 ・・・・固定部材
9 ・・・・・コネクタ
103 ・・・ハーネス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の板部材と、
前記板部材に設置される樹脂基板と、
前記樹脂基板の前記板部材とは反対側の面である第1面に表面実装される半導体モジュールと、
前記半導体モジュールによるスイッチング作動を制御する制御部と、
前記第1面に実装され、前記半導体モジュールに流れる電流を平滑化するコンデンサと、
前記第1面に設けられ、前記半導体モジュールのGND端子と前記コンデンサのGND端子とを電気的に接続する第1GND配線パターンと、
前記第1GND配線パターンおよび前記樹脂基板を貫いて前記板部材に接合することにより、前記樹脂基板を前記板部材に固定するとともに、前記第1GND配線パターンと前記板部材とを電気的に接続する金属製の固定部材と、
前記第1GND配線パターンを挟んで前記半導体モジュールとは反対側に配置され、前記半導体モジュールに電流を供給するためのハーネスが接続されるコネクタと、
を備えることを特徴とする電子制御ユニット。
【請求項2】
前記樹脂基板の前記第1面とは反対側の面である第2面に設けられ、前記第1GND配線パターンと電気的に接続する第2GND配線パターンをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記樹脂基板の内部に設けられ、前記第1GND配線パターンと電気的に接続する第3GND配線パターンをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記第1GND配線パターンは、前記コネクタのGND端子に電気的に接続するようにして延びる延伸部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記コンデンサは、それぞれが所定の間隔を空けて配置されるよう、複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子制御ユニット
【請求項6】
前記第1GND配線パターンと前記半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう前記第1面に実装され、前記半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能なシャント抵抗をさらに備え、
前記シャント抵抗は、前記第1GND配線パターンに対し前記コネクタとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記第2GND配線パターンと前記半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう前記第2面に実装され、前記半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能なシャント抵抗をさらに備え、
前記シャント抵抗は、前記第2GND配線パターンに対し前記コネクタとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
前記樹脂基板と前記板部材との間に、絶縁放熱シートおよび放熱グリスの少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項9】
前記板部材は、前記半導体モジュールおよび前記第1GND配線パターンに対応する部分に、前記第2面に向かって突出するよう形成される突出部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項10】
前記突出部は、前記樹脂基板とは反対側の面に、前記樹脂基板側へ凹むよう形成される凹部を有することを特徴とする請求項9に記載の電子制御ユニット。
【請求項1】
金属製の板部材と、
前記板部材に設置される樹脂基板と、
前記樹脂基板の前記板部材とは反対側の面である第1面に表面実装される半導体モジュールと、
前記半導体モジュールによるスイッチング作動を制御する制御部と、
前記第1面に実装され、前記半導体モジュールに流れる電流を平滑化するコンデンサと、
前記第1面に設けられ、前記半導体モジュールのGND端子と前記コンデンサのGND端子とを電気的に接続する第1GND配線パターンと、
前記第1GND配線パターンおよび前記樹脂基板を貫いて前記板部材に接合することにより、前記樹脂基板を前記板部材に固定するとともに、前記第1GND配線パターンと前記板部材とを電気的に接続する金属製の固定部材と、
前記第1GND配線パターンを挟んで前記半導体モジュールとは反対側に配置され、前記半導体モジュールに電流を供給するためのハーネスが接続されるコネクタと、
を備えることを特徴とする電子制御ユニット。
【請求項2】
前記樹脂基板の前記第1面とは反対側の面である第2面に設けられ、前記第1GND配線パターンと電気的に接続する第2GND配線パターンをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記樹脂基板の内部に設けられ、前記第1GND配線パターンと電気的に接続する第3GND配線パターンをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記第1GND配線パターンは、前記コネクタのGND端子に電気的に接続するようにして延びる延伸部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記コンデンサは、それぞれが所定の間隔を空けて配置されるよう、複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子制御ユニット
【請求項6】
前記第1GND配線パターンと前記半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう前記第1面に実装され、前記半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能なシャント抵抗をさらに備え、
前記シャント抵抗は、前記第1GND配線パターンに対し前記コネクタとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記第2GND配線パターンと前記半導体モジュールのGND端子側とを電気的に接続するよう前記第2面に実装され、前記半導体モジュールに流れる電流の大きさを検出可能なシャント抵抗をさらに備え、
前記シャント抵抗は、前記第2GND配線パターンに対し前記コネクタとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
前記樹脂基板と前記板部材との間に、絶縁放熱シートおよび放熱グリスの少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項9】
前記板部材は、前記半導体モジュールおよび前記第1GND配線パターンに対応する部分に、前記第2面に向かって突出するよう形成される突出部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項10】
前記突出部は、前記樹脂基板とは反対側の面に、前記樹脂基板側へ凹むよう形成される凹部を有することを特徴とする請求項9に記載の電子制御ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−59759(P2012−59759A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198871(P2010−198871)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]