説明

電子制御装置

【課題】回路基板に実装された発熱部品を効果的に冷却できるようにした電子制御装置を提供する。
【解決手段】上記回路基板であるパワーモジュール16のうち発熱部品であるスイッチング素子が実装された領域を、ケース12の底壁13に突設したブロック状突部38に着座させることにより、ケース12の底壁13とパワーモジュール16との間であって、且つブロック状突部38の外周側に空隙部を形成する。そして、ケース12に貫通形成された呼吸孔41と電力供給端子挿通孔40との間で空隙部を介して空気を通流させることにより、上記スイッチング素子からブロック状突部38に伝達された熱をケース12の外部に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の電子制御装置は、運転者の操作に基づいて電動アクチュエータとしてのモータを駆動制御することにより、自動車の制動力を制御するものであって、上記モータを駆動制御するための制御回路を筐体である金属製のケース内に収容することで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−132103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子制御装置では、上記ケースの外面に複数のフィンを突設することにより、上記制御回路を構成する電子部品のうち例えばインバータ回路のスイッチング素子に代表されるような発熱部品が発生した熱を上記ケースの外面から外部に放熱するようになっている。しかしながら、特許文献1に記載の電子制御装置では、上記ケース内の空気の通流による放熱については考慮されておらず、上記発熱部品の冷却効果を向上させる上でなおも改善の余地がある。
【0005】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであって、上記筐体の内部の空気の流れをもって発熱部品を効果的に冷却できるようにした電子制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、制御対象となる電動アクチュエータのアクチュエータハウジングに固定される筐体内に、発熱部品を含む電子部品が実装された回路基板を収容してなる電子制御装置であることを前提としている。その上で、筐体の内面に突設され、回路基板のうち発熱部品が実装された領域が着座する突出部と、上記筐体の内面と上記回路基板との間であって、且つ上記突出部の外周側に形成された空隙部と、その空隙部と上記筐体の外部空間とを連通するように上記筐体に貫通形成された呼吸孔と、上記筐体を上記アクチュエータハウジングに取り付けたときにそのアクチュエータハウジングの内部空間と上記空隙部とを連通するように上記筐体に貫通形成された連通孔と、を備えていて、上記呼吸孔と上記連通孔との間で上記空隙部を介して空気が通流可能になっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記呼吸孔と上記連通孔との間で上記空隙部を介して通流する空気により、上記発熱部品から上記突出部に伝達された熱が上記筐体の外部に放出されることになるから、上記発熱部品を効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態として本発明にかかる電子制御装置が適用されたアクチュエータユニットを示す分解斜視図。
【図2】図1に示すアクチュエータユニットを別の角度から見た分解斜視図。
【図3】図1に示すモータ制御装置の分解斜視図。
【図4】図3に示すパワーモジュール単体の斜視図。
【図5】図3に示すハウジング単体の斜視図。
【図6】図1に示すモータ制御装置を図5のA−A線に相当する位置で切断して示す斜視図。
【図7】図6に示すモータ制御装置をB−B線に相当する位置で切断して示す斜視図。
【図8】図6に示すモータ制御装置をC−C線に相当する位置で切断して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜8は本発明の好適な実施の形態を示す図であって、そのうち図1は本発明にかかる電子制御装置が適用されたアクチュエータユニットを示す分解斜視図、図2は図1に示すアクチュエータユニットを別の角度から見た分解斜視図である。また、図3は電子制御装置の分解斜視図である。
【0010】
図1,2に示すアクチュエータユニット1は、自動車に搭載される電動式のブレーキ倍力装置に用いられるものであって、三相交流電力によって駆動され、ブレーキ液の液圧を制御する電動アクチュエータである電動モータ2と、運転者によるブレーキ操作や自動車の運転状態に基づいて電動モータ2を駆動制御する電子制御装置としてのモータ制御装置3と、を備えている。なお、図示は省略しているが、電動モータ2は、いわゆるボールねじ機構により、ブレーキ液の液圧を制御する図示しないピストンを進退移動させることになる。
【0011】
電動モータ2のうちアクチュエータハウジングであるモータハウジング4の外面には、当該電動モータ2の軸方向に延びる一対の台座部5が電動モータ2の軸直角方向で互いに所定の間隔を隔てて形成されている。両台座部5のうち長手方向の両端部にはねじ孔6aが穿設された円形の着座面6がそれぞれ突出形成されている一方、モータ制御装置3の筐体7のうち後述するケース12にはモータハウジング4側の各着座面6にそれぞれ着座する4つの脚部8が形成されている。そして、筐体7側の各脚部8を挿通しつつモータハウジング4側の各ねじ孔6aに螺合する4つの制御装置取付ねじ9により、モータ制御装置3が電動モータ2に固定されることになる。
【0012】
図1,2のほか図3に示すように、モータ制御装置3の筐体7は、底壁13と周壁14を有し、上方に向けて開口する平面視略矩形状の金属製のケース12と、そのケース12の開口を閉蓋する平面視略矩形状の金属製のカバー15と、を備えていて、ケース12の底壁13をモータハウジング4側に向けた姿勢でモータハウジング4に固定されるようになっている。なお、ケース12はいわゆるアルミダイカスト法をもって型成形されている一方、カバー15は金属板をプレス成形することで形成されている。
【0013】
他方、モータハウジング4のうち両台座部5同士の間の位置には略偏平角筒状の筒状壁10が突出形成され、モータ制御装置3の筐体7をモータハウジング4に固定したときに、モータ制御装置3側のステータ接続部20およびセンサ接続部23が、筒状壁10の内周側に開口する開口部11を通じてモータハウジング4内に臨むようになっている。そして、ステータ接続部20がモータハウジング4内のステータ(図示せず)に、センサ接続部23がモータハウジング4内の回転位置センサ(図示せず)にそれぞれ接続されることになる。なお、上記回転位置センサとは、周知のように、モータハウジング4内に設けられたロータ(図示せず)の回転位置を検出するものであって、当該回転位置センサの出力信号はモータ制御装置3による電動モータ2の駆動制御に供されることになる。また、筒状壁10の先端には閉ループ状の溝部10aが形成されており、この溝部10aに配置されるシール部材(図示せず)がケース12の底壁13に圧接することにより、モータハウジング4の内外をシールするようになっている。
【0014】
また、モータ制御装置3の筐体7の内部には、ケース12の底壁13側からパワーモジュール16,制御モジュール17の順で両者16,17が所定の間隔を隔てて積層配置されている。なお、パワーモジュール16が本発明における回路基板に相当している。
【0015】
パワーモジュール16は、図3のほか図4に示すように、樹脂材料をもって略平板状に形成され、金属製のバスバーが多数埋設された板状基部18と、その板状基部18のうちケース12の底壁13側を向く部品実装面18aに実装された種々の電子部品と、板状基部18の一端縁に一体に形成されているとともに、ケース12側の後述する開口部36を通じて外部に臨んでいて、外部の電子機器と信号および電力を授受する外部接続コネクタ19と、板状基部18のうち部品実装面18aの略中央部に突設され、電動モータ2のステータ(図示せず)と電気的に接続されるステータ接続部20と、板状基部18の部品実装面18aのうちステータ接続部20を挟んで一方側の端縁に突設され、上述した回転位置センサ(図示せず)と電気的に接続されるセンサ接続部23と、を備えている。
【0016】
ステータ接続部20は、板状基部18のうち外部接続コネクタ19が形成された一端縁に対して直交する方向に沿って整列配置された接続部材である3つの電力供給端子21と、板状基部18の部品実装面18aから突出形成され、各電力供給端子21の根元部を被覆する断面略偏平矩形状の被覆部22と、を備えている。一方、センサ接続部23は、各電力供給端子21の整列方向を長手方向とした断面略偏平矩形状のコネクタハウジング内に複数の端子(図示せず)を収容することで構成されている。
【0017】
次いで、板状基部18の部品実装面18aに実装された種々の電子部品について具体的に説明するに、部品実装面18aのうちステータ接続部20とセンサ接続部23との間には平面視略矩形状の突条部18bによって囲われたスイッチング素子実装領域Aが発熱部品実装領域として形成されているとともに、そのスイッチング素子実装領域Aには、発熱部品である6つのスイッチング素子24が実装され、これらの各スイッチング素子24により、外部接続コネクタ19を介して供給される直流電力を3相交流電力に変換する周知のインバータ回路が構成されている。このインバータ回路の出力である3相交流電力は、ステータ接続部20を介して電動モータ2に供給され、当該電動モータ2を回転駆動する。なお、本実施の形態では、各スイッチング素子24としていわゆるMOSFET(電界効果トランジスタ)を用いている。
【0018】
そのほか、板状基部18の部品実装面18aには、当該部品実装面18aの面直角方向に突出する略円柱状に形成された一対の第1電解コンデンサ25、同じく部品実装面18aの面直角方向に突出した略円柱状を呈していて、両第1電解コンデンサ25よりも軸方向の長さが短い一対の第2電解コンデンサ26、複数のセラミックコンデンサ27、電流を検出するための複数のシャント抵抗28、回路保護のための一対のリレー29、第1,第2電解コンデンサ25,26とともにノイズ除去のためのノイズフィルタ部品として機能するノーマルモードコイル30およびコモンモードコイル31、がそれぞれ実装されている。両第1電解コンデンサ25およびノーマルモードコイル30は、部品実装面18aのうち外部接続コネクタ19とは反対側の端部にそれぞれ配置されているとともに、両第2電解コンデンサ26とコモンモードコイル31および両リレー29は、部品実装面18aのうちステータ接続部20を挟んでセンサ接続部23とは反対側の位置にそれぞれ配置されている。
【0019】
そして、板状基部18のうち四隅近傍の位置のほか、スイッチング素子実装領域Aの四隅近傍の位置にはそれぞれ取付孔32が貫通形成されていて、それらの各取付孔32をそれぞれ挿通する複数のパワーモジュール取付ねじ33によってパワーモジュール16がケース12に固定されている。
【0020】
また、パワーモジュール16の板状基部18のうち部品実装面18aとは反対側の面、すなわちカバー15側を向いた面には、略円柱状の制御モジュール支持部34と、爪部35とがそれぞれ複数突出形成されていて、制御モジュール17は、各制御基板支持部34に着座することで板状基部18との間に所定の間隔を隔てた状態で、各爪部35によっていわゆるスナップフィット方式で保持されている。
【0021】
制御モジュール17は、ガラスエポキシ樹脂に代表されるような非導電性樹脂材料からなる基板の表裏両面にそれぞれ導体パターン(図示せず)を形成し、その上に多数の電子部品(図示せず)を実装したものであって、パワーモジュール16側の板状基部18から突出する多数の端子によってパワーモジュール16と電気的に接続されている。そして、制御モジュール17は、運転者によるブレーキ操作や自動車の運転状態にかかる情報を外部接続コネクタ19を介して入力し、その情報に基づいて生成した駆動指令信号を各スイッチング素子24へ出力することで、各スイッチング素子24をスイッチング動作させて電動モータ2を駆動することになる。
【0022】
また、図5〜8に示すように、ケース12の周壁14は、第1壁部14aおよびこれと対向する第2壁部14bと、第1、第2壁部14a,14bにそれぞれ隣接し、当該各壁部14a,14bから屈曲して形成される第3壁部14cおよびこれと対向する第4壁部14dと、から構成されている。
【0023】
第1壁部14aには、パワーモジュール16側の外部接続コネクタ19が挿通する開口部36が当該第1壁部14aの大部分を上方側から切り欠くようにして形成されている。開口部36は外部接続コネクタ19の根元部に形成されたフランジ部19aに合致する形状を呈しており、当該開口部36の開口縁には、接着性を有するシール材(図示せず)を介してフランジ部19aが接着固定されている。また、第1壁部14aから屈曲して延設される第3壁部14cの外面には、冷却用のフィン12aが形成されている。
【0024】
また、ケース12の周壁14の先端縁および外部接続コネクタ19のフランジ部19aの上端縁には、閉ループ状に連続したシール溝46が形成されていて、カバー15は、当該カバー15の外周縁に形成された突縁部47をシール溝46に挿入した状態で、複数のカバー取付ねじ48(図3参照)によってケース12に締結固定されている。なお、図示は省略しているが、カバー15とケース12との間は、シール溝46内に塗布されたシール性を有する接着剤(図示せず)によってシールされている。
【0025】
ケース12の底壁13には、当該底壁13のうち四隅近傍の位置からカバー15側に向けてそれぞれ突出する略円柱状のパワーモジュール支持部37と、底壁13のうちパワーモジュール16側のスイッチング素子実装領域Aに対応する位置からカバー15側に向けて突出する平面視略矩形状のブロック状突部38と、がそれぞれ形成されている。なお、ブロック状突部38が本発明における突出部に相当している。
【0026】
ブロック状突部38は、外面に冷却用のフィン12aが形成された第3壁部14cのほぼ中央部分から第4壁部14d側へ向かって延出するように形成されている。これにより、周壁14とブロック状突部38との間、より詳しくは、第1壁部14a、第2壁部14b、第4壁部14dの各壁部とブロック状突部38との間には平面視略コ字状の空間が形成され、この空間内が、パワーモジュール16の部品実装面18aに実装されたノイズフィルタ部品、すなわち各電解コンデンサ25,26や、ノーマルモードコイル30およびコモンモードコイル31が収容される収容空間となる。また、ブロック状突部38の上面には、後述するような熱伝導物質50を介在して各スイッチング素子24が配置され、当該各スイッチング素子24の配置位置よりも第3壁部14c側に断面略矩形状のコネクタ挿通孔40が形成されている。
【0027】
また、ケース12の底壁13のうちパワーモジュール16側のステータ接続部20に対応する位置、すなわち第4壁部14d側のブロック状突部38の起立面側の位置には、連通孔としての電力供給端子挿通孔39が貫通形成されている。電力供給端子挿通孔39は、ブロック状突部38のうち第4壁部14d側の起立面とケース12の底壁13との角部38bに沿って延びるスリット状を呈している。
【0028】
さらに、第3壁部14cのうちブロック状突部38よりも第2壁部14b側の位置には略円形状の呼吸孔41が貫通形成されているとともに、この呼吸孔41には、空気の通過を許容しつつ水の通過を抑制ないし防止する呼吸フィルタ42が取り付けられている。
【0029】
そして、パワーモジュール16は、ステータ接続部20をケース12側の電力供給端子挿通孔39に、センサ接続部23をケース12側のコネクタ挿通孔40にそれぞれ挿通させつつ、各パワーモジュール支持部37およびブロック状突部38に板状基部18を載置した状態で、各パワーモジュール支持部37およびブロック状突部38にそれぞれ形成されたねじ孔37a,38aにそれぞれ螺合するパワーモジュール取付ねじ33によって締結固定されている。その結果、パワーモジュール16の板状基部18がケース12の底壁13に対して所定の間隔を隔てた位置に保持されているとともに、その板状基部18のうちスイッチング素子実装領域Aに実装された各スイッチング素子24がブロック状突部38の上面に当接する。
【0030】
また、ブロック状突部38の上面と各スイッチング素子24との間には熱伝導物質50が介在していて、各スイッチング素子24が発した熱は熱伝導物質50を介してブロック状突部38へと伝達されるようになっている。このように、熱伝導物質50を介在させることで、スイッチング素子24の当該熱伝導物質50への密着性が高まり、ブロック状突部38への熱伝導性を高めることができる。なお、上記熱伝導物質50には、例えばシリコンなどを材料とした弾性を有するシート状のもののほか、液状のグリスなどを採用することもできる。また、熱伝導物質50を用いずに、スイッチング素子24をブロック状突部38に直接接触させる構成としてもよい。
【0031】
周壁14とブロック状突部38との間に平面視略コ字状に形成された空間には、パワーモジュール16の部品実装面18aに実装される電子部品、すなわちノイズフィルタ機能を得るための電子部品である各電解コンデンサ25,26、ノーマルモードコイル30およびコモンモードコイル31が収容されるとともに、ブロック状突部38よりも周壁14に近い位置に配置されている。このため、ケース12の底壁13には、第1電解コンデンサ25の先端部を受容する電解コンデンサ受容凹部44や、ノーマルモードコイル30を受容するコイル受容凹部45が形成されている。このようにして、パワーモジュール16をケース12に固定することで、上述した電子部品とブロック状突部38との間に空隙部43が形成されるようになっている。
【0032】
そして、空隙部43のうち外部接続コネクタ19とは反対側であって第2壁部14bとブロック状突部38との間に形成される空隙部43の長手方向端部は、図7に示すように呼吸孔41を通じてケース12の外部に連通しているとともに、空隙部43のうち長手方向中間部、すなわち第4壁部14dとブロック状突部38との間に形成される空隙部43は、図6に示すように電力供給端子挿通孔39を通じてモータハウジング4の内部に連通している。これにより、モータハウジング4の内部空間がケース12内の空隙部43を介して外部空間に連通している。つまり、空隙部43のうち呼吸孔41と電力供給端子挿通孔39との間の平面視略L字状に曲折した領域を空気通路として、ブロック状突部38の起立面に沿って呼吸孔41と電力供給端子挿通孔39との間で空気が通流可能になっている。
【0033】
したがって、本実施の形態では、電動モータ2の駆動により、呼吸孔41と電力供給端子挿通孔39との間で空隙部43を介した空気の流れが生じることになる。具体的には、ブレーキ液の液圧を制御するピストン(図示せず)がモータハウジング4内の空気の体積を減少させる方向に電動モータ2を駆動した場合には、モータハウジング4内の空気が電力供給端子挿通孔39を通じてケース12内へ押し出され、電力供給端子挿通孔39から呼吸孔41に向かう方向、すなわち図6,7に矢印で示す方向に空気が流れる一方、上述したブレーキ液の液圧を制御するピストン(図示せず)がモータハウジング4内の空気の体積を増加させる方向に電動モータ2を駆動した場合には、ケース12内の空気が電力供給端子挿通孔39を通じてモータハウジング4内へ吸い出され、呼吸孔41から電力端子挿通孔39へ向かう方向、すなわち図6,7に示す矢印とは反対の方向に空気が流れることになる。これにより、電動モータ2の駆動時に空隙部42内で積極的な空気の流動が生じることになる。
【0034】
そして、このようにして空隙部42内を流れる空気により、各スイッチング素子24からブロック状突部38に伝達された熱が奪われ、その熱がケース12の外部に放出されることになる。その結果、各スイッチング素子24を効果的に冷却することができる。
【0035】
しかも、各スイッチング素子24の発熱量は、当然のことながら電動モータ2の駆動時に大きくなるため、各スイッチング素子24の発熱量が増大するタイミングで空隙部42内に積極的に空気を流動させることができ、各スイッチング素子24をより効果的に冷却できるようになる。
【0036】
さらに、電力供給端子挿通孔39は、ブロック状突部38のうち第4壁部14d側の端面とケース12の底壁13との角部38bに沿って延びるスリット状を呈しているため、その電力供給端子挿通孔39を出入りする空気がブロック状突部38に近接した位置を流れることとなるほか、空隙部43のうち外部接続コネクタ19とは反対側の長手方向端部に開口するように呼吸孔41を形成することにより、その呼吸孔41と電力供給端子挿通孔39との間の空気通路を平面視略L字状に曲折したものとして可及的に長く確保していることから、各スイッチング素子24をさらに効果的に冷却することができる。
【0037】
また、ブロック状突部38は、外面に冷却用のフィン12aが形成された第3壁部14cに連接されていることから、当該ブロック状突部38に伝達された熱をフィン12aから放熱させることにより、冷却性を向上させることもできる。
【0038】
また、各パワーモジュール支持部37のうち第2壁部14b側の二つのパワーモジュール支持部37が呼吸孔41と電力供給端子挿通孔39との間の空気通路(空間)へと臨んでいるため、それらの両パワーモジュール支持部37を介してパワーモジュール16を冷却することもできる。
【0039】
また、パワーモジュール16に実装されたノイズフィルタ部品である各電解コンデンサ25,26および各コイル30,31が呼吸孔41と電力供給端子挿通孔39との間の空気通路(空間)へ臨んでいることから、各電解コンデンサ25,26および各コイル30,31をも効果的に冷却できるようになる。
【0040】
加えて、ブロック状突部38の周囲に比較的サイズの大きい電子部品である各電解コンデンサ25,26および各コイル30,31を配置することによって、ケース12内の空間をより効率よく利用できるようになるとともに、電子部品をブロック状突部38の高さ範囲内に収めることが可能となり、モータ制御装置3の小型化にも供する。
【0041】
また、ブロック状突部38の高さよりも背丈の高い電子部品、例えば第1電解コンデンサ25については、その配置を第2壁部14b側としたことで、モータ制御装置3とモータハウジング4の間にケース12の底壁13を陥没させるようにして電解コンデンサ受容凹部44を膨出形成することが可能となる、すなわちモータ制御装置3とモータハウジング4の間に形成されるデッドスペースに電解コンデンサ受容凹部44を延設することができるため、カバー15側へのケース12の大型化を抑制することもできる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ブレーキ液の液圧を制御するピストン(図示せず)を電動モータ2によって作動させることでケース12内の空気を流動させるようになっているが、作動に伴って発熱するような電動アクチュエータであれば、その電動アクチュエータの発熱に伴う空気の膨張により、電力供給端子挿通孔39から呼吸孔41に向かって空気を流動させることもできる。つまり、電動アクチュエータのアクチュエータハウジング内の空気が膨張することにより、そのアクチュエータハウジング内の空気が電力供給端子挿通孔39を介してケース12内に流入することになるため、図6,7中に矢印で示す方向に空気が流れることになる。これにより、本実施の形態と略同様の効果を得ることも可能である。
【0043】
また、本実施の形態では、ブロック状突部38を周壁14から延設するように形成しているが、必ずしも当該構成に限定されるものではなく、例えば周壁14からブロック状突部38を離間させるかたちで構成してもよく、ブロック状突部38の少なくとも2つの起立面に沿った空隙部43が形成されることが望ましい。
【符号の説明】
【0044】
2…電動モータ(電動アクチュエータ)
3…モータ制御装置(電子制御装置)
4…モータハウジング(アクチュエータハウジング)
7…筐体
12…ケース
13…ケースの底壁
15…カバー
16…パワーモジュール(回路基板)
21…電力供給端子(接続部材)
24…スイッチング素子(発熱部品)
25…第1電解コンデンサ(ノイズフィルタ部品)
26…第2電解コンデンサ(ノイズフィルタ部品)
30…ノーマルモードコイル(ノイズフィルタ部品)
31…コモンモードコイル(ノイズフィルタ部品)
38…ブロック状突部(突出部)
39…電力供給端子挿通孔(連通孔)
41…呼吸孔
43…空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象となる電動アクチュエータのアクチュエータハウジングに固定される筐体内に、発熱部品を含む電子部品が実装された回路基板を収容してなる電子制御装置において、
上記筐体の内面に突設され、上記回路基板のうち上記発熱部品が実装された領域が着座する突出部と、
上記筐体の内面と上記回路基板との間であって、且つ上記突出部の外周側に形成された空隙部と、
上記空隙部と上記筐体の外部空間とを連通するように上記筐体に貫通形成された呼吸孔と、
上記筐体を上記アクチュエータハウジングに取り付けたときにそのアクチュエータハウジングの内部空間と上記空隙部とを連通するように上記筐体に貫通形成された連通孔と、
を備えていて、上記呼吸孔と上記連通孔との間で上記空隙部を介して空気が通流可能になっていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
上記筐体は、上記回路基板を収容するケースと、そのケースの開口を閉蓋するカバーと、を備えていて、上記ケースの底壁を上記アクチュエータハウジング側に向けた姿勢で上記アクチュエータハウジングに取り付けられるようになっているとともに、上記ケースの底壁に上記突出部および連通孔がそれぞれ形成されていて、
上記回路基板と上記電動アクチュエータとを電気的に接続するための接続部材が、上記回路基板から上記ケースの底壁側に向けて突出して上記連通孔を挿通していることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
上記電子部品のうちノイズ除去のためのノイズフィルタ部品が、上記回路基板のうち上記ケースの底壁側を向いた面に実装され、該ノイズフィルタ部品と前記突出部との間に上記空隙部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate